JP2019112678A - 化学蒸着装置 - Google Patents
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Description
「1 ガス予熱部と反応容器にガスを導入するガス放出部を含む化学蒸着装置であって、
前記ガス予熱部は、
(1)ハロゲン化金属ガスを生成させるための混合ガスを当該金属に接触させてハロゲン化金属ガス含む混合ガスa1を発生させるハロゲンガス発生部、
(2)混合ガスa2を予熱する第1予熱部、
(3)混合ガスBを予熱する第2予熱部、及び、
(4)前記混合ガスa1と前記混合ガスa2とを混合し、混合ガスAとする混合部、
を有し、
前記第2予熱部のガス経路は、前記ガス予熱部を通過する最短長さで設けられており、
前記ハロゲン化金属ガス発生部に至るガス経路の長さと前記第1予熱部のガス経路の長さの合計長は、前記第2予熱部のガス経路の長さよりも3倍以上長く、かつ、前記ハロゲン化金属ガス発生部、前記第1予熱部、前記第2予熱部の順で炉の周壁に設けたヒータ側に近接して設けられており、
前記ガス放出部は、
前記混合ガスAを前記反応容器に導入するためにノズル穴を設けた第1のパイプと、前記混合ガスBを前記反応容器に導入するためにノズル穴を設けた第2のパイプを有し、前記第1のパイプは前記第2のパイプの外側に同心円状に設けられていることを特徴とする化学蒸着装置。
2 前記第1のパイプに設けられたノズル穴から前記混合ガスAのガス噴出方向と前記第2のパイプに設けられたノズル穴から前記混合ガスBのガス噴出方向が30〜90度ずれて配置され、前記混合ガスAのノズル穴と前記第1のパイプの軸心からの距離をH1、前記混合ガスBのノズル穴と前記第1のパイプの軸心からの距離をH2とした場合、H2/H1は1.5以上とすることを特徴とする前記1に記載の化学蒸着装置。」
以下、高温ハロゲン化金属を含むハロゲンガスを「混合ガスa1」、低温ハロゲン化金属を含むハロゲンガスを「混合ガスa2」、混合ガスa1と混合ガスa2の混合ガスを「混合ガスA」、アルカリガスを含む混合ガスを「混合ガスB」と、それぞれ、いうことがある。
ガス予熱部は、
(1)高温ハロゲン化金属を含むハロゲンガスを生成させるための混合ガスを、当該金属に接触させて、高温ハロゲン化金属を含む混合ガスa1を発生させるハロゲン化金属ガス発生部、
(2)混合ガスa2を予熱する第1予熱部、
(3)混合ガスBを予熱する第2予熱部、
(4)混合ガスa1と混合ガスa2とを混合し、混合ガスAとする混合部、
を有している。
なお、予熱部の熱源は、周壁またはその近傍に予熱部用に独立して設けてもよいし、化学蒸着装置の周壁またはその近傍に備えられている熱源(ヒータ)を利用してもよい。また、ハロゲン化金属の発生に使用する金属は、フレーク状などのハロゲン化金属が発生しやすい形状とする。
ここで、混合ガスa1を生成するガス経路の長さ、混合ガスa2のガス経路の長さ、混合ガスBのガス経路の長さとは、それぞれ、化学蒸着装置のガス導入口からガス予熱部の出口までの長さをいう。後述するように実施例で使用される化学蒸着装置の予熱部では、成膜中に回転を伴う接続経路及び予熱室(予熱チャンバー)内の経路をいう。
なお、混合ガスAについては、予熱部におけるガス経路が長いため、化学蒸着装置に備えられている熱源を利用するときは、ほぼ反応容器の温度まで上昇している。一方、混合ガスBについては、予熱部におけるガス経路を最短としているため、温度上昇が抑制されているということができる。
ここで、混合ガスAのノズル穴と混合ガスBのノズル穴が近すぎると、急激な反応が起こり、例えば、柱状粒子の集合から構成される組織が得られ難くなるとともに、硬質皮膜の膜厚分布が悪くなり、一方、混合ガスAのノズル穴と混合ガスBのノズル穴が離れすぎると、ガス供給が不十分となり膜厚分布が悪くなる、という成膜が不安定なものとなる。そこで、これを防ぐために、一例として、混合ガスAのノズル穴からのガス噴出方向と混合ガスBのノズル穴からのガス噴出方向は30度から90度ずれて配置し、混合ガスAのノズル穴と回転軸(第1のパイプの軸心)からの距離をH1、混合ガスBのノズル穴と回転軸(第1のパイプの軸心)からの距離をH2とした場合、H2/H1は1.5以上とすることが挙げられる。
CVD炉1は、円筒形のチャンバー2と、チャンバー2の周壁内部に設けられたヒータ3と、チャンバー2に多数のインサート基材(工具基材)20を設置する複数のインサート設置板4を有する反応容器5と、反応容器5の下部に設けられた接続経路11と予熱部である予熱チャンバー6を有する。
予熱チャンバー6は、
円筒状であってその下部に、ガス経路82から導入された塩化Crガス発生用の混合ガスを接続経路11を経由して予熱チャンバー6の径方向に分散させ、塩化Crガス発生室62に導入する空間と、
この空間の直上に設けられ、予熱チャンバー6の外周にその円筒の外周が一致し中心部が円筒状の空間を形成する内周を有する、予熱チャンバー6と同心状の塩化Crガス発生室62と、
塩化Crガス発生室62の中心部の円筒状の空間に予熱チャンバー6と同心状に形成され、ガス経路81から導入された混合ガスa2を予熱する予熱室61(第1予熱部)と、
塩化Crガス発生室62と予熱室61の上部に位置し、混合ガスa1と混合ガスa2とを混合して混合ガスAとする混合室63(混合部)と、
を有している。
また、予熱チャンバー6、すなわち、予熱室61の軸心部には、ガス経路91から導入された混合ガスBがその高さ方向に貫通する経路(第2予熱部)があり、この経路は予熱チャンバー6の上部でパイプ7の中心経路につながっており、これは、予熱チャンバー6を通過する最短長さ(550mm)となっている。一方、混合室63で混合された混合ガスAの経路は、予熱チャンバー6の上部でパイプ7の2の外側経路につながるよう設けられている。
そして、前記のとおり、混合ガスBはパイプ7の外側経路に導入され、ノズル穴91a、91bから反応容器5内に導入される。他方、ガス経路81、82から導入され予熱室61を貫通する反応ガスAは、パイプ7の中心経路に導入され、ノズル穴83a、83bから反応容器5内に導入される。
ここで、ノズル穴83a、83bとノズル穴91a、91bの位置関係は図1Cのガス噴出口断面図に示すように、ノズル穴91a、91bは、ノズル穴83a、83bよりもパイプ7の回転軸O1よりも外側に配置されており、ノズル穴91a、91bと回転軸O1からの距離をH2、ノズル穴83a、83bと回転軸O1からの距離をH1としたとき、H2/H1は2となっており、ノズル穴91a、91bの噴出方向とノズル穴83a、83bの噴出方向は90度の角度をなしている。
図1Bの12に示す、接続経路11と予熱チャンバー6及びパイプ7は、2回転/分の速度で回転するように構成されているが、図1A、図1B及び図1Cでは、この回転に必要な構成の図示を省略している。
工具基材(基材)として、WC基超硬合金(10質量%のCo、0.6質量%のCr3C2、残部WC及び不可避的不純物からなる)製のミーリング用インサート(三菱日立ツール製のWDNW14520)と、WC基超硬合金(7質量%のCo、0.6質量%のCr3C2、2.2質量%のZrC、3.3質量%のTaC、0.2質量%のNbC、残部WC及び不可避的不純物からなる)製の物性評価用インサート(ISO規格のSNMN120408)を用意し、共に、反応容器内5のインサート設置板4に載置した。
実施例1〜5及び7〜8については、中間皮膜として窒化チタン皮膜を形成した。まず、基材を、図1Aに示すCVD炉1内にセットし、H2ガスを流しながらCVD炉1内の温度を800℃に上昇させた。その後、800℃及び12KPaで、予熱チャンバー6のガス導入口からガス経路81を経て、83.1体積%のH2ガス、15.0体積%のN2ガス、1.9体積%のTiCl4ガスからなる混合ガスを予熱室62に導入し、パイプ7の第1のノズル穴83a、83bから67L/分の流量で反応容器5内に流して窒化チタン皮膜を形成した。
実施例6については、中間皮膜として窒化チタンアルミニウム皮膜を形成した。まず、基材を、図1Aに示すCVD炉1内にセットし、H2ガスを流しながらCVD炉1内の温度を800℃に上昇させた。その後、800℃及び4KPaで、予熱チャンバー6のガス導入口からガス経路81を経て、0.15体積%のTiCl4ガス、0.45体積%のAlCl3ガス、7.50体積%のN2ガス、及び52.51体積%のH2ガスからなる混合ガスを予熱室62に導入し、パイプ7の第1のノズル穴83a、83bから反応容器炉5内に流すとともに、ガス経路91に30.76体積%のH2ガス、7.50体積%のN2ガス、1.13体積%のNH3ガスからなる混合ガスを導入し、パイプ7の第2のノズル穴91a、91bから67L/分の流量で反応容器5内に流して、窒化チタンアルミニウム皮膜を形成した。
中間皮膜の被覆条件を表1に示す。
≪混合ガスa1を得る工程≫
H2ガスを流しながらCVD炉1内の圧力を4KPaに下げた後、図1Aに示す予熱チャンバー6のガス経路82に、400℃に保温したH2ガスとHClガスの混合ガスを導入した。
800℃に予熱した予熱チャンバー6の塩化Crガス発生室62は、Cr金属フレーク(純度99.99%、サイズ2mm〜8mm)が充填されており、ガス経路82より導入したH2ガスとHClガスの混合ガスと反応し、H2ガスと塩化Crガスの混合ガスである混合ガスa1を生成し、混合室63に導入した。
予熱チャンバー6のガス導入口からガス経路81を経て、H2ガスとAlCl3ガスを混合した混合ガスa2を予熱室62で予熱し後、混合室63へ導入した。
そして、混合ガスa1と混合ガスa2を混合室63で混合して予熱室の温度である800℃近傍の温度となっている混合ガスAを得た。そして、得られた混合ガスAを、パイプ7の第1のノズル穴83a、83bから反応容器炉内に導入した。混合ガスAの合計流量は48.75L/分であった。
ガス経路91にH2ガスとN2ガス及びNH3ガスからなる混合ガスBを導入し、パイプ7の第2のノズル穴91a、91bから炉内に導入した。混合ガスBの合計流量は30.25L/分であった。
なお、ここで、NH3/(H2+N2)の値が0.002以上0.020以下にあると、AlとCrをベースとする窒化物を有する硬質皮膜をより安定的に成膜することができる。
なお、発生した塩化Crガス、AlCl3ガスの量は、塩化Crガス発生室に導入するHClガス量の1/3を塩化Crガス量として混合ガスの組成を求めた。
比較例1では、基材の上に中間皮膜である窒化チタン皮膜を実施例1と同じ成膜条件により形成した。その後、800℃でH2ガスを流しながらCVD炉1内の圧力を4KPaに下げた後、ガス経路84に、表2に示す組成のH2ガスとN2ガスと塩化CrガスとAlCl3ガスの混合ガスAを導入し、パイプ7のノズル穴84aから反応容器5内に導入し、表3に示す組成のガス経路93にH2ガスとN2ガス及びNH3ガスからなる混合ガスBを導入し、パイプ7のノズル穴93aから反応容器5内に導入した。こうして、中間皮膜の上に、化学蒸着法により、膜厚が約6μmのAlとCrの窒化物の皮膜をインサート基材に被覆して、被覆切削工具を製作した。
電子プローブマイクロ分析装置(EPMA、日本電子株式会社製JXA―8500F)を用いて、加速電圧10KV、照射電流0.05A、及びビーム径0.5μmの条件で、物性評価用インサート(SNMN120408)の断面における窒化アルミクロムニウム硬質皮膜の膜厚方向中心の任意の5箇所を測定して、得られた測定値の平均から硬質皮膜の組成を求めた。測定結果を表3に示す。
X線回折装置(PANalytical社製のEMPYREAN)を用いて、管電圧45kV及び管電流40mAでCuKα1線(波長λ:0.15405nm)を物性評価用インサート(SNMN120408)のすくい面の硬質皮膜の表面に照射して硬質皮膜の結晶構造を評価した。結果を表3に示す。
被覆したミーリング用インサートを、刃先交換式回転工具(ASRT5063R−4)に止めねじで装着し、下記のミーリング条件で硬質皮膜の工具寿命を評価した。硬質皮膜の逃げ面摩耗幅は、倍率100倍の光学顕微鏡で観察することにより測定した。工具寿命は、逃げ面の最大摩耗幅が0.350mmを超えたときの総切削長さとし、それに至る加工時間を工具寿命として5分単位で測定した。加工条件を以下に示す。試験結果を表3に示す。
被削材: S55C(30HRC)
加工方法: ミーリング加工
インサート形状: WDNW140520
切削速度: 150m/分
回転数:毎分758回転
一刃当たりの送り: 2.05mm/tooth
送り速度:1554mm/分
軸方向の切り込み量: 1.0mm
径方向の切り込み量: 40mm
切削方法: 乾式切削
2:チャンバー
3:ヒータ
4:インサート設置板
5:反応容器
5a:反応容器の開口部
6:予熱チャンバー(予熱部)
61:予熱室
62:塩化Crガス発生室(ハロゲン化金属ガス発生部)
63:混合室(混合部)
7:パイプ(ガス放出部)
83a、83b、91a、91b、92a、93a:ノズル穴(ガス噴出口)
81:混合ガスa2のガス経路
82:混合ガスa1となる混合ガスのガス経路
84:混合ガスのガス経路
91:混合ガスBのガス経路
92:混合ガスのガス経路
93:混合ガスのガス経路
10:排気パイプ
11:接続経路
12:成膜中回転部
13a:予熱チャンバー内の混合ガスBのガス経路
13b:接続経路内の混合ガスBのガス経路(縦方向)
13c:接続経路内の混合ガスBのガス経路(回転軸方向)
20:インサート基材
Claims (2)
- ガス予熱部と反応容器にガスを導入するガス放出部を含む化学蒸着装置であって、
前記ガス予熱部は、
(1)ハロゲン化金属ガスを生成させるための混合ガスを当該金属に接触させてハロゲン化金属ガス含む混合ガスa1を発生させるハロゲンガス発生部、
(2)混合ガスa2を予熱する第1予熱部、
(3)混合ガスBを予熱する第2予熱部、及び、
(4)前記混合ガスa1と前記混合ガスa2とを混合し、混合ガスAとする混合部、
を有し、
前記第2予熱部のガス経路は、前記ガス予熱部を通過する最短長さで設けられており、
前記ハロゲン化金属ガス発生部に至るガス経路の長さと前記第1予熱部のガス経路の長さの合計長は、前記第2予熱部のガス経路の長さよりも3倍以上長く、かつ、前記ハロゲン化金属ガス発生部、前記第1予熱部、前記第2予熱部の順で炉の周壁に設けたヒータ側に近接して設けられており、
前記ガス放出部は、
前記混合ガスAを前記反応容器に導入するためにノズル穴を設けた第1のパイプと、前記混合ガスBを前記反応容器に導入するためにノズル穴を設けた第2のパイプを有し、前記第1のパイプは前記第2のパイプの外側に同心円状に設けられていることを特徴とする化学蒸着装置。 - 前記第1のパイプに設けられたノズル穴から前記混合ガスAのガス噴出方向と前記第2のパイプに設けられたノズル穴から前記混合ガスBのガス噴出方向が30〜90度ずれて配置され、前記混合ガスAのノズル穴と前記第1のパイプの軸心からの距離をH1、前記混合ガスBのノズル穴と前記第1のパイプの軸心からの距離をH2とした場合、H2/H1は1.5以上とすることを特徴とする請求項1に記載の化学蒸着装置。
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