JP2019112678A - 化学蒸着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】成膜を安定的に行うことができ、十分な耐久性を有する皮膜を得る化学蒸着装置の提供。【解決手段】ガス予熱部は、混合ガスa1を発生させるハロゲンガス発生部、混合ガスa2を予熱する第1予熱部、第2予熱部、及び、混合ガスa1と混合ガスa2とを混合する混合部、を有し、第2予熱部のガス経路は、ガス予熱部を通過する最短長さで、ハロゲン化金属ガス発生部に至るガス経路の長さと第1予熱部のガス経路の長さの合計長は、第2予熱部のガス経路の長さよりも3倍以上、かつ、ハロゲン化金属ガス発生部、第1予熱部、第2予熱部の順で周壁のヒータに近接し、ガス放出部は、混合ガスAを反応容器に導入するためにノズル穴を設けた第1のパイプと、混合ガスBを反応容器に導入するためにノズル穴を設けた第2のパイプを有し、第1のパイプは第2のパイプの外側に同心円状に設けられている化学蒸着装置。【選択図】図1A

Description

本発明は、ハロゲン化金属を含むガスを用いて、硬質皮膜を切削工具や金型の表面に被覆することに適した化学蒸着装置に関する。
切削工具や金型の寿命を向上させるために、物理蒸着法、化学蒸着法により工具の表面に、例えば、AlとTiの窒化物、AlとCrの窒化物の硬質皮膜を被覆することが知られている。
例えば、特許文献1は、NH、NとHからなるガス群Aと、CrCl、AlCl、Al(CH、NとHからなるガス群Bを別々に供給することで立方晶構造からなるAlとCrの窒化物からなる硬質皮膜を工具基材の表面に被覆することを開示している。
特開2017−80883号公報
前述のように、切削工具への硬質皮膜の被覆は、物理蒸着法、化学蒸着法によりなされているが、硬質皮膜の膜種(組成)によっては、市販されている被覆切削工具の皮膜は、物理蒸着法によってのみなされたものであり、化学蒸着法によってなされたものは未見である。
本発明者は、例えば、特許文献1に記載されているハロゲンガスとアルカリガスを用いる化学蒸着について鋭意検討したところ、ハロゲンガスとアルカリガスとが過剰に反応して成膜が安定し難いことを確認した。
本発明者は、硬質皮膜の原料ガスとしてハロゲンガスとアルカリガスを用いた2種の金属の窒化物皮膜を安定的に切削工具や金型に被覆するための条件を鋭意検討したところ、以下の(1)〜(5)の新規な知見を得た。
(1)ハロゲンガスに、生成温度の異なる2種のハロゲン化金属(「高温ハロゲン化金属」と「低温ハロゲン化金属」)が含まれているとき、少なくとも高温ハロゲン化金属を化学蒸着装置内で発生させることが好ましい(低温ハロゲン化金属は化学蒸着装置外で発生させてもよい)こと。
(2)高温ハロゲン化金属の発生に影響を与えないために、高温ハロゲン化金属の発生時には低温ハロゲン化金属が存在しないことが好ましいこと。
(3)高温ハロゲン化金属と低温ハロゲン化金属とを混合したハロゲンガスとするとき、両者の温度差は小さい方が好ましいこと。
(4)アルカリガスは加熱を抑制し、ハロゲンガスよりも低温であることが好ましいこと。
(5)ハロゲンガスとアルカリガスとを、それぞれ、別系統で化学蒸着装置の反応容器内に供給し被覆を行うことが好ましいこと。
本発明は、前記知見に基づくものであり、以下の形態を含むものである。
「1 ガス予熱部と反応容器にガスを導入するガス放出部を含む化学蒸着装置であって、
前記ガス予熱部は、
(1)ハロゲン化金属ガスを生成させるための混合ガスを当該金属に接触させてハロゲン化金属ガス含む混合ガスa1を発生させるハロゲンガス発生部、
(2)混合ガスa2を予熱する第1予熱部、
(3)混合ガスBを予熱する第2予熱部、及び、
(4)前記混合ガスa1と前記混合ガスa2とを混合し、混合ガスAとする混合部、
を有し、
前記第2予熱部のガス経路は、前記ガス予熱部を通過する最短長さで設けられており、
前記ハロゲン化金属ガス発生部に至るガス経路の長さと前記第1予熱部のガス経路の長さの合計長は、前記第2予熱部のガス経路の長さよりも3倍以上長く、かつ、前記ハロゲン化金属ガス発生部、前記第1予熱部、前記第2予熱部の順で炉の周壁に設けたヒータ側に近接して設けられており、
前記ガス放出部は、
前記混合ガスAを前記反応容器に導入するためにノズル穴を設けた第1のパイプと、前記混合ガスBを前記反応容器に導入するためにノズル穴を設けた第2のパイプを有し、前記第1のパイプは前記第2のパイプの外側に同心円状に設けられていることを特徴とする化学蒸着装置。
2 前記第1のパイプに設けられたノズル穴から前記混合ガスAのガス噴出方向と前記第2のパイプに設けられたノズル穴から前記混合ガスBのガス噴出方向が30〜90度ずれて配置され、前記混合ガスAのノズル穴と前記第1のパイプの軸心からの距離をH1、前記混合ガスBのノズル穴と前記第1のパイプの軸心からの距離をH2とした場合、H2/H1は1.5以上とすることを特徴とする前記1に記載の化学蒸着装置。」
本発明によれば、ハロゲンガスとアルカリガスを用いた成膜を安定的に行うことができ、十分な耐久性を有する切削用皮膜や金型用皮膜を被覆する化学蒸着装置を得ることができるという、優れた効果を発揮する。
実施例の硬質皮膜の被覆に用いた化学蒸着装置(CVD炉)の概略模式図である。 実施例の硬質皮膜の被覆に用いた化学蒸着装置(CVD炉)の要部を拡大した概略模式図である。 実施例の硬質皮膜の被覆に用いた化学蒸着装置(CVD炉)のガス噴出口の概略断面図である。 比較例1及び2の硬質皮膜の被覆に用いた化学蒸着装置(CVD炉)の模式図である。 比較例1及び2の硬質皮膜の被覆に用いた化学蒸着装置(CVD炉)のガス噴出口の概略断面図である。
次に、本発明の化学蒸着装置について、より詳しく説明する。
以下、高温ハロゲン化金属を含むハロゲンガスを「混合ガスa1」、低温ハロゲン化金属を含むハロゲンガスを「混合ガスa2」、混合ガスa1と混合ガスa2の混合ガスを「混合ガスA」、アルカリガスを含む混合ガスを「混合ガスB」と、それぞれ、いうことがある。
本発明の化学蒸着装置は、ガス予熱部と反応容器内にガスを導入するガス放出部とを有している。この化学蒸着装置は、複数の金属の窒化物皮膜を被覆できるように反応容器内の温度、圧力を調整できる。
ガス予熱部は、
(1)高温ハロゲン化金属を含むハロゲンガスを生成させるための混合ガスを、当該金属に接触させて、高温ハロゲン化金属を含む混合ガスa1を発生させるハロゲン化金属ガス発生部、
(2)混合ガスa2を予熱する第1予熱部、
(3)混合ガスBを予熱する第2予熱部、
(4)混合ガスa1と混合ガスa2とを混合し、混合ガスAとする混合部、
を有している。
なお、予熱部の熱源は、周壁またはその近傍に予熱部用に独立して設けてもよいし、化学蒸着装置の周壁またはその近傍に備えられている熱源(ヒータ)を利用してもよい。また、ハロゲン化金属の発生に使用する金属は、フレーク状などのハロゲン化金属が発生しやすい形状とする。
ここで予熱部において、各混合ガスの温度を前述のとおりとするために、化学蒸着装置の周壁またはその近傍に設けられている熱源(ヒータ)に、ハロゲン化金属ガス発生部、第1予熱部、第2予熱部の順に近づけると共に、ガス経路の配置を工夫して、混合ガスa1を得るためのガス流路の長さ(「ハロゲン化金属ガス発生部に至るガス経路の長さ」ともいう)と混合ガスa2のガス経路の長さ(「第1予熱部のガス経路の長さ」ともいう)の合計の長さを混合ガスBのガス経路の長さ(「第2予熱部のガス経路の長さ」ともいう)の3倍以上、好ましくは、5倍以上で、8倍以下とし、さらには、混合ガスBのガス経路の長さをガス予熱部を最短長さで通過する長さとする。
ここで、混合ガスa1を生成するガス経路の長さ、混合ガスa2のガス経路の長さ、混合ガスBのガス経路の長さとは、それぞれ、化学蒸着装置のガス導入口からガス予熱部の出口までの長さをいう。後述するように実施例で使用される化学蒸着装置の予熱部では、成膜中に回転を伴う接続経路及び予熱室(予熱チャンバー)内の経路をいう。
このような構成にすることによって、高温ハロゲン化金属を十分に含んだ混合ガスa1を得ることができる温度に混合ガスが予熱され、一方、混合ガスa2は、混合ガスa1の近傍の温度、例えば、混合ガスa1予熱温度±80℃の範囲に予熱され、混合ガスa1と混合されて混合ガスAとすることができる。他方、混合ガスBは、混合ガスAよりも低い温度となる。
なお、混合ガスAについては、予熱部におけるガス経路が長いため、化学蒸着装置に備えられている熱源を利用するときは、ほぼ反応容器の温度まで上昇している。一方、混合ガスBについては、予熱部におけるガス経路を最短としているため、温度上昇が抑制されているということができる。
さらに、化学蒸着装置の反応容器内は、ガス放出部として、混合ガスAを反応容器に導入するためにノズル穴を設けた第1のパイプと、混合ガスBを反応容器に導入するためにノズル穴を設けた第2のパイプを有している。第2パイプは2本で、1本の第1のパイプの外側に対向するように配置され、これらパイプは第1のパイプの軸心を中心に、例えば、2〜5回転/分の速度で回転することが望ましい。
ここで、混合ガスAのノズル穴と混合ガスBのノズル穴が近すぎると、急激な反応が起こり、例えば、柱状粒子の集合から構成される組織が得られ難くなるとともに、硬質皮膜の膜厚分布が悪くなり、一方、混合ガスAのノズル穴と混合ガスBのノズル穴が離れすぎると、ガス供給が不十分となり膜厚分布が悪くなる、という成膜が不安定なものとなる。そこで、これを防ぐために、一例として、混合ガスAのノズル穴からのガス噴出方向と混合ガスBのノズル穴からのガス噴出方向は30度から90度ずれて配置し、混合ガスAのノズル穴と回転軸(第1のパイプの軸心)からの距離をH1、混合ガスBのノズル穴と回転軸(第1のパイプの軸心)からの距離をH2とした場合、H2/H1は1.5以上とすることが挙げられる。
以下、実施例として、高温ハロゲン化金属が塩化Cr(CrClで表現できる成分のみではなくCrとClとが化学的に結合したもの全てをいう)、及び、低温ハロゲン化金属がAlCrを用いて、AlCrN皮膜を工具基体に被覆する例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、例えば、他に、高温ハロゲン化金属をTiCl、低温ハロゲン化金属をAlClとして、AlTiN皮膜の被覆にも適用可能であるし、ハロゲンは塩素に限定されない。また、形成される皮膜は窒化物皮膜に限らず、例えば、炭窒化物であってもよい。さらに、被覆対象は工具基体に限らず金型であってもよい。
本実施例では、概略模式図として図1A、図1B及び図1Cに示す化学蒸着装置(CVD炉)1を用いた。まず、この装置の概要を説明する。
CVD炉1は、円筒形のチャンバー2と、チャンバー2の周壁内部に設けられたヒータ3と、チャンバー2に多数のインサート基材(工具基材)20を設置する複数のインサート設置板4を有する反応容器5と、反応容器5の下部に設けられた接続経路11と予熱部である予熱チャンバー6を有する。
予熱チャンバー6は、
円筒状であってその下部に、ガス経路82から導入された塩化Crガス発生用の混合ガスを接続経路11を経由して予熱チャンバー6の径方向に分散させ、塩化Crガス発生室62に導入する空間と、
この空間の直上に設けられ、予熱チャンバー6の外周にその円筒の外周が一致し中心部が円筒状の空間を形成する内周を有する、予熱チャンバー6と同心状の塩化Crガス発生室62と、
塩化Crガス発生室62の中心部の円筒状の空間に予熱チャンバー6と同心状に形成され、ガス経路81から導入された混合ガスa2を予熱する予熱室61(第1予熱部)と、
塩化Crガス発生室62と予熱室61の上部に位置し、混合ガスa1と混合ガスa2とを混合して混合ガスAとする混合室63(混合部)と、
を有している。
また、予熱チャンバー6、すなわち、予熱室61の軸心部には、ガス経路91から導入された混合ガスBがその高さ方向に貫通する経路(第2予熱部)があり、この経路は予熱チャンバー6の上部でパイプ7の中心経路につながっており、これは、予熱チャンバー6を通過する最短長さ(550mm)となっている。一方、混合室63で混合された混合ガスAの経路は、予熱チャンバー6の上部でパイプ7の2の外側経路につながるよう設けられている。
ガス経路82から導入された混合ガスは、予熱チャンバー6内の塩化Crガス発生室62に導入され、反応容器内の温度(炉内温度)である750℃近傍となって同発生室内の金属Crと反応して塩化Crガスを含む混合ガスa1となり、混合室63に導入される。
そして、前記のとおり、混合ガスBはパイプ7の外側経路に導入され、ノズル穴91a、91bから反応容器5内に導入される。他方、ガス経路81、82から導入され予熱室61を貫通する反応ガスAは、パイプ7の中心経路に導入され、ノズル穴83a、83bから反応容器5内に導入される。
ここで、ノズル穴83a、83bとノズル穴91a、91bの位置関係は図1Cのガス噴出口断面図に示すように、ノズル穴91a、91bは、ノズル穴83a、83bよりもパイプ7の回転軸O1よりも外側に配置されており、ノズル穴91a、91bと回転軸O1からの距離をH2、ノズル穴83a、83bと回転軸O1からの距離をH1としたとき、H2/H1は2となっており、ノズル穴91a、91bの噴出方向とノズル穴83a、83bの噴出方向は90度の角度をなしている。
図1Bの12に示す、接続経路11と予熱チャンバー6及びパイプ7は、2回転/分の速度で回転するように構成されているが、図1A、図1B及び図1Cでは、この回転に必要な構成の図示を省略している。
図1A及び図1Bでは、具体的な構成の図示を省略しているが、混合ガスa1を得るためのガス経路の長さと混合ガスa2のガス経路の長さとの合計の長さは、図1Bに示す13aと13bと13cの合計である混合ガスBのガス経路の長さの約4倍となるように構成されている。
次に、AlCrN被膜の被覆について詳述する。
≪工具基材≫
工具基材(基材)として、WC基超硬合金(10質量%のCo、0.6質量%のCr、残部WC及び不可避的不純物からなる)製のミーリング用インサート(三菱日立ツール製のWDNW14520)と、WC基超硬合金(7質量%のCo、0.6質量%のCr、2.2質量%のZrC、3.3質量%のTaC、0.2質量%のNbC、残部WC及び不可避的不純物からなる)製の物性評価用インサート(ISO規格のSNMN120408)を用意し、共に、反応容器内5のインサート設置板4に載置した。
≪中間皮膜の被覆≫
実施例1〜5及び7〜8については、中間皮膜として窒化チタン皮膜を形成した。まず、基材を、図1Aに示すCVD炉1内にセットし、Hガスを流しながらCVD炉1内の温度を800℃に上昇させた。その後、800℃及び12KPaで、予熱チャンバー6のガス導入口からガス経路81を経て、83.1体積%のHガス、15.0体積%のNガス、1.9体積%のTiClガスからなる混合ガスを予熱室62に導入し、パイプ7の第1のノズル穴83a、83bから67L/分の流量で反応容器5内に流して窒化チタン皮膜を形成した。
実施例6については、中間皮膜として窒化チタンアルミニウム皮膜を形成した。まず、基材を、図1Aに示すCVD炉1内にセットし、Hガスを流しながらCVD炉1内の温度を800℃に上昇させた。その後、800℃及び4KPaで、予熱チャンバー6のガス導入口からガス経路81を経て、0.15体積%のTiClガス、0.45体積%のAlClガス、7.50体積%のNガス、及び52.51体積%のHガスからなる混合ガスを予熱室62に導入し、パイプ7の第1のノズル穴83a、83bから反応容器炉5内に流すとともに、ガス経路91に30.76体積%のHガス、7.50体積%のNガス、1.13体積%のNHガスからなる混合ガスを導入し、パイプ7の第2のノズル穴91a、91bから67L/分の流量で反応容器5内に流して、窒化チタンアルミニウム皮膜を形成した。
中間皮膜の被覆条件を表1に示す。
≪硬質皮膜の被覆≫
≪混合ガスa1を得る工程≫
2ガスを流しながらCVD炉1内の圧力を4KPaに下げた後、図1Aに示す予熱チャンバー6のガス経路82に、400℃に保温したH2ガスとHClガスの混合ガスを導入した。
800℃に予熱した予熱チャンバー6の塩化Crガス発生室62は、Cr金属フレーク(純度99.99%、サイズ2mm〜8mm)が充填されており、ガス経路82より導入したH2ガスとHClガスの混合ガスと反応し、H2ガスと塩化Crガスの混合ガスである混合ガスa1を生成し、混合室63に導入した。
≪混合ガスAを得て、ノズル穴から反応容器に導入する工程≫
予熱チャンバー6のガス導入口からガス経路81を経て、H2ガスとAlCl3ガスを混合した混合ガスa2を予熱室62で予熱し後、混合室63へ導入した。
そして、混合ガスa1と混合ガスa2を混合室63で混合して予熱室の温度である800℃近傍の温度となっている混合ガスAを得た。そして、得られた混合ガスAを、パイプ7の第1のノズル穴83a、83bから反応容器炉内に導入した。混合ガスAの合計流量は48.75L/分であった。
≪混合ガスBをノズル穴から反応容器に導入する工程≫
ガス経路91にH2ガスとN2ガス及びNH3ガスからなる混合ガスBを導入し、パイプ7の第2のノズル穴91a、91bから炉内に導入した。混合ガスBの合計流量は30.25L/分であった。
なお、ここで、NH/(H+N)の値が0.002以上0.020以下にあると、AlとCrをベースとする窒化物を有する硬質皮膜をより安定的に成膜することができる。
こうして、実施例1〜8は、表2に記載された中間皮膜の上に、表3に示す各混合ガス組成で化学蒸着法により、膜厚が約6μmのAlとCrの窒化物を被覆して被覆切削工具を製作した。
なお、発生した塩化Crガス、AlClガスの量は、塩化Crガス発生室に導入するHClガス量の1/3を塩化Crガス量として混合ガスの組成を求めた。
なお、実施例8については、上層を設けた。上層の成膜は、本実施態様に係るAlとCrを主体とする窒化物膜を成膜後、結合層、酸化アルミニウム層の順に成膜する。すなわち、まず、Ti(CN)層及びTi(CNO)層からなる結合層を形成するために、1000℃及び16kPaで、予熱チャンバー6のガス導入口からガス経路81を経て、63.5体積%のHガス、22.0体積%のNガス、3.2体積%のCHガス、及び1.3体積%のTiClガスからなる混合ガスを予熱室62に導入し、パイプ7の第1のノズル穴83a、83bから反応容器炉内に流すとともに、ガス経路91に、10体積%のHガスを導入し、パイプ7の第2のノズル穴91a、91bから炉内に流して、厚さ0.5μmのTi(CN)層を形成した。連続して1000℃及び16kPaで、51.3体積%のHガス、30.7体積%のNガス、3.0体積%のCHガス、1.2体積%のTiClガス、3.0体積%のCOガス、及び0.8体積%のCOガスからなる混合ガスを予熱室62に導入し、パイプ7の第1のノズル穴83a、83bから反応容器炉内に流すとともに、ガス経路9に、10体積%のHガスを導入し、パイプ7の第2のノズル穴91a、91bから炉内に流して、厚さ0.5μmのTi(CNO)層を形成した。
さらに、1000℃及び9kPaで、9.2体積%のAlClガスと、85.3体積%のHガスと、4.3体積%のCOガスと、0.2体積%のHSガスと、1.0体積%のHClガスとからなる混合ガスを予熱室62に導入し、パイプ7の第1のノズル穴83a、83bから反応容器炉内に流すとともに、ガス経路9に、10体積%のHガスを導入し、パイプ7の第2のノズル穴91a、91bから炉内に流して、厚さ1μmの酸化アルミニウム層を形成した。
これに対して、比較の目的で、比較例1〜2をそれぞれ以下のようにした。
比較例1は、図2A、図2Bに示すCVD炉を用いて硬質皮膜を作製した。まず、このCVD炉の構成を簡単に説明する。図2A、図2Bにおいて、図1A、1Cと同じ符号の部材は、これら図と同じ部材を表している。このCVD炉では、ガス経路84から導入される混合ガスはノズル7に設けられたノズル穴84aから、ガス経路93から導入される混合ガスはノズル7に設けられたノズル穴93aから、独立に反応容器5内に導入される。なお、パイプ7は回転するが、回転に必要な構成の図示は省略している。すなわち、比較例1で用いたCVD炉は、本発明でいう予熱部を有していない。
比較例1では、基材の上に中間皮膜である窒化チタン皮膜を実施例1と同じ成膜条件により形成した。その後、800℃でHガスを流しながらCVD炉1内の圧力を4KPaに下げた後、ガス経路84に、表2に示す組成のH2ガスとN2ガスと塩化CrガスとAlCl3ガスの混合ガスAを導入し、パイプ7のノズル穴84aから反応容器5内に導入し、表3に示す組成のガス経路93にH2ガスとN2ガス及びNH3ガスからなる混合ガスBを導入し、パイプ7のノズル穴93aから反応容器5内に導入した。こうして、中間皮膜の上に、化学蒸着法により、膜厚が約6μmのAlとCrの窒化物の皮膜をインサート基材に被覆して、被覆切削工具を製作した。
比較例2は、比較例1と同じCVD炉を用いて硬質皮膜を作製した。基材の上に中間皮膜である窒化チタン皮膜を実施例1と同じ成膜条件により形成した。その後、800℃でH2ガスを流しながらCVD炉1内の圧力を4KPaに下げた後、ガス経路84に、表2に示す組成のH2ガスとN2ガスと塩化Crガス及びAlCl3ガスの混合ガスAを導入し、パイプ7のノズル穴84aから炉内に導入し、ガス経路93に、表3に示す組成のH2ガスとN2ガス及びNH3ガスからなる混合ガスBを導入し、パイプ7のノズル穴93aから炉内に導入した。こうして、中間皮膜の上に、化学蒸着法により、膜厚が約6μmのAlとCrの窒化物の皮膜をインサート基材に被覆して、被覆切削工具を製作した。
次に、実施例1〜8及び比較例1〜2について、硬質皮膜の組成、切削性評価を下記のとおりに行った。
≪硬質皮膜の組成≫
電子プローブマイクロ分析装置(EPMA、日本電子株式会社製JXA―8500F)を用いて、加速電圧10KV、照射電流0.05A、及びビーム径0.5μmの条件で、物性評価用インサート(SNMN120408)の断面における窒化アルミクロムニウム硬質皮膜の膜厚方向中心の任意の5箇所を測定して、得られた測定値の平均から硬質皮膜の組成を求めた。測定結果を表3に示す。
≪結晶構造の測定≫
X線回折装置(PANalytical社製のEMPYREAN)を用いて、管電圧45kV及び管電流40mAでCuKα1線(波長λ:0.15405nm)を物性評価用インサート(SNMN120408)のすくい面の硬質皮膜の表面に照射して硬質皮膜の結晶構造を評価した。結果を表3に示す。
≪切削評価≫
被覆したミーリング用インサートを、刃先交換式回転工具(ASRT5063R−4)に止めねじで装着し、下記のミーリング条件で硬質皮膜の工具寿命を評価した。硬質皮膜の逃げ面摩耗幅は、倍率100倍の光学顕微鏡で観察することにより測定した。工具寿命は、逃げ面の最大摩耗幅が0.350mmを超えたときの総切削長さとし、それに至る加工時間を工具寿命として5分単位で測定した。加工条件を以下に示す。試験結果を表3に示す。
被削材: S55C(30HRC)
加工方法: ミーリング加工
インサート形状: WDNW140520
切削速度: 150m/分
回転数:毎分758回転
一刃当たりの送り: 2.05mm/tooth
送り速度:1554mm/分
軸方向の切り込み量: 1.0mm
径方向の切り込み量: 40mm
切削方法: 乾式切削
実施例1〜8は、いずれも、AlCrN皮膜であって、安定した皮膜の被覆ができたため耐摩耗性及び耐チッピング性が向上し優れた耐久性を示した。一方、比較例1〜2は、AlCrN皮膜であるものの安定した皮膜の被覆ができずいずれも早期に皮膜剥離が発生した。
前述のとおり、この発明の化学蒸着装置は、ハロゲンガスとアルカリガスを用いた成膜を安定的に行うことができ、十分な耐久性を有する切削用皮膜や金型用皮膜を被覆することができるものであるから、切削工具、金型等の高性能化、切削加工及び成形加工の省力化、省エネ化、さらには低コスト化が十分に期待できる。
1:化学蒸着装置(CVD炉)
2:チャンバー
3:ヒータ
4:インサート設置板
5:反応容器
5a:反応容器の開口部
6:予熱チャンバー(予熱部)
61:予熱室
62:塩化Crガス発生室(ハロゲン化金属ガス発生部)
63:混合室(混合部)
7:パイプ(ガス放出部)
83a、83b、91a、91b、92a、93a:ノズル穴(ガス噴出口)
81:混合ガスa2のガス経路
82:混合ガスa1となる混合ガスのガス経路
84:混合ガスのガス経路
91:混合ガスBのガス経路
92:混合ガスのガス経路
93:混合ガスのガス経路
10:排気パイプ
11:接続経路
12:成膜中回転部
13a:予熱チャンバー内の混合ガスBのガス経路
13b:接続経路内の混合ガスBのガス経路(縦方向)
13c:接続経路内の混合ガスBのガス経路(回転軸方向)
20:インサート基材

Claims (2)

  1. ガス予熱部と反応容器にガスを導入するガス放出部を含む化学蒸着装置であって、
    前記ガス予熱部は、
    (1)ハロゲン化金属ガスを生成させるための混合ガスを当該金属に接触させてハロゲン化金属ガス含む混合ガスa1を発生させるハロゲンガス発生部、
    (2)混合ガスa2を予熱する第1予熱部、
    (3)混合ガスBを予熱する第2予熱部、及び、
    (4)前記混合ガスa1と前記混合ガスa2とを混合し、混合ガスAとする混合部、
    を有し、
    前記第2予熱部のガス経路は、前記ガス予熱部を通過する最短長さで設けられており、
    前記ハロゲン化金属ガス発生部に至るガス経路の長さと前記第1予熱部のガス経路の長さの合計長は、前記第2予熱部のガス経路の長さよりも3倍以上長く、かつ、前記ハロゲン化金属ガス発生部、前記第1予熱部、前記第2予熱部の順で炉の周壁に設けたヒータ側に近接して設けられており、
    前記ガス放出部は、
    前記混合ガスAを前記反応容器に導入するためにノズル穴を設けた第1のパイプと、前記混合ガスBを前記反応容器に導入するためにノズル穴を設けた第2のパイプを有し、前記第1のパイプは前記第2のパイプの外側に同心円状に設けられていることを特徴とする化学蒸着装置。
  2. 前記第1のパイプに設けられたノズル穴から前記混合ガスAのガス噴出方向と前記第2のパイプに設けられたノズル穴から前記混合ガスBのガス噴出方向が30〜90度ずれて配置され、前記混合ガスAのノズル穴と前記第1のパイプの軸心からの距離をH1、前記混合ガスBのノズル穴と前記第1のパイプの軸心からの距離をH2とした場合、H2/H1は1.5以上とすることを特徴とする請求項1に記載の化学蒸着装置。
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