JP2019112347A - 糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制剤、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制方法 - Google Patents

糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制剤、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】藻類の増殖をより効率的に抑制できる新規な藻類増殖抑制剤を提供する。【解決手段】ミソハギの植物体又はその抽出物を少なくとも含む、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制剤を提供する。前記植物体は、ミソハギの葉又は枝を少なくとも含んでいてもよい。また、本発明は、ミソハギの植物体及びその抽出物からなる群から選択される1以上を、閉鎖性水域に供給する、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制方法も提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制剤、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制方法に関する。
閉鎖性水域における藻類の増殖は、景観の悪化、悪臭発生、水域内の生息生物への悪影響等の問題をもたらし得る。
そのため、閉鎖性水域における藻類の増殖を抑制するための様々な技術が開発されている。例えば、ある種の植物が有するアレロパシー(植物等が生産する化学物質が環境に放出されることによって、他植物に直接又は間接的に与える作用)を利用した、藻類の増殖抑制方法が知られる。このような藻類へのアレロパシー活性を有する植物としてユキヤナギ(学名:Spiraea thunbergii)が挙げられる(非特許文献1参照)。
広島県立総合技術研究所保健環境センター研究報告、No.19.p37−46.(2011)
しかし、藻類の増殖をより効率的に抑制できる技術に対してニーズがある。
そこで、本発明は、藻類の増殖をより効率的に抑制できる新規な藻類増殖抑制剤の提供を目的とする。
本発明者らは、ミソハギの植物体又はその抽出物が、藻類のうち特に糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖を良好に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下を提供する。
(1) ミソハギの植物体又はその抽出物を少なくとも含む、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制剤。
(2) 前記植物体は、ミソハギの葉又は枝を少なくとも含む、(1)に記載の増殖抑制剤。
(3) 前記植物体は乾燥処理を施されたものである、(1)又は(2)に記載の増殖抑制剤。
(4) 前記糸状緑藻は、Klebsormidium sp.、Stigeoclonium sp.、及びSpirogyra sp.からなる群から選択される1以上である、(1)から(3)のいずれかに記載の増殖抑制剤。
(5) 前記珪藻は、付着珪藻及び浮遊珪藻からなる群から選択される1以上である、(1)から(3)のいずれかに記載の増殖抑制剤。
(6) 前記珪藻は、Achnanthidium minutissimum、及びCyclotella meghinianaからなる群から選択される1以上である、(5)に記載の増殖抑制剤。
(7) ミソハギの植物体及びその抽出物からなる群から選択される1以上を、閉鎖性水域に供給する、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制方法。
(8) 前記植物体は、ミソハギの葉又は枝を少なくとも含む、(7)に記載の増殖抑制方法。
(9) 前記植物体は乾燥処理を施されたものである、(7)又は(8)に記載の増殖抑制方法。
(10) 前記糸状緑藻は、Klebsormidium sp.、Stigeoclonium sp.、及びSpirogyra sp.からなる群から選択される1以上である、(7)から(9)のいずれかに記載の増殖抑制方法。
(11) 前記珪藻は、付着珪藻及び浮遊珪藻からなる群から選択される1以上である、(7)から(9)のいずれかに記載の増殖抑制方法。
(12) 前記珪藻は、Achnanthidium minutissimum、及びCyclotella meghinianaからなる群から選択される1以上である、(11)に記載の増殖抑制方法。
本発明によれば、藻類の増殖をより効率的に抑制できる新規な藻類増殖抑制剤が提供される。
藻類を用いた培養試験における実験環境を示す図である。 藻類を用いた培養試験における実験環境を示す図である。 藻類を用いた培養試験における、溶存酸素濃度の結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれに特に限定されない。
<糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制剤>
本発明の増殖抑制剤は、ミソハギの植物体又はその抽出物を少なくとも含む。
(ミソハギの植物体又はその抽出物)
ミソハギ(学名:Lythrum anceps)は、日本各地の湿地原等で生育するミソハギ科の多年草である。本発明において「ミソハギの植物体」とは、ミソハギの植物体の全体又は一部を意味し、葉、枝、茎、根、及び花等の全て又は一部が含まれる。本発明の効果が奏されやすいという観点から、本発明においては、ミソハギの植物体として、ミソハギの葉又は枝を含むものを用いることが好ましい。
ミソハギの植物体は、未処理のものであってもよく、処理されたものであってもよい。未処理の植物体としては、人工的に採取した植物体の全体又は一部、落葉、落枝等をそのまま利用できる。処理された植物体としては、上記未処理の植物体に、所望の物理的処理又は化学的処理を施したものを利用できる。このような処理としては、乾燥処理、粉砕処理、酵素処理、発酵処理等が挙げられる。
本発明者による検討の結果、乾燥処理を施したミソハギの植物体を用いると、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制効果がより高まりやすいという意外な知見が見出された。乾燥処理の条件は特に限定されないが、ミソハギの植物体の乾燥温度が高いほど、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制効果がより高い増殖抑制剤を得やすい傾向にある。例えば、乾燥温度の下限は、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましく、100℃以上がさらにより好ましい。乾燥温度の上限は、200℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。乾燥時間の下限は、60分以上が好ましく、120分以上がより好ましい。乾燥時間の上限は、48時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましく、4時間以下がさらにより好ましい。
本発明において用いられるミソハギの植物体の採取時期や産地は特に限定されない。
本発明において用いられるミソハギの植物体の抽出物(以下、「ミソハギ抽出物」ともいう。)は、上記ミソハギの植物体から、所望の抽出方法により得られる抽出物である。抽出物の形態は特に限定されず、液体(抽出液)、固体等であってもよい。扱いが容易であるという観点から、抽出物は抽出液であることが好ましい。
抽出方法としては、例えば、溶媒による抽出、水流撹拌や水流との接触による抽出、材料を振とうすることによる抽出等が挙げられる。抽出効率の点から、溶媒による抽出が好ましい。
溶媒による抽出としては、ミソハギの植物体を溶媒に浸漬後、遠心分離処理を行う方法が挙げられる。遠心分離処理後の上澄み液がミソハギ抽出物(抽出液)に相当する。溶媒の量は、十分な抽出を行うことができれば特に限定されないが、通常、ミソハギの植物体1kg(乾燥重量)に対して2.5〜5.0L使用される。抽出温度は、十分な抽出を行うことができる温度であれば特に限定されないが、通常、室温(1〜30℃、好ましくは15〜25℃)に設定される。抽出時間は抽出温度等に応じて適宜設定でき、好ましくは24〜36時間である。抽出効率を上げる観点から、溶媒に浸漬するミソハギの植物体は、粉砕物であることが好ましい。
ミソハギの植物体の抽出において用いられる溶媒としては、一般的な抽出溶媒を用いることができる。抽出溶媒としては、例えば、水(水道水等)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール等)、エーテル(エチルエーテル等)、酢酸エステル(酢酸エチル等)等が挙げられる。
なお、本発明者による検討の結果、溶媒による抽出に際しては、ミソハギの植物体を溶媒に浸漬する前に、ミソハギの植物体に乾燥処理を施すと、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制効果がより高まりやすいという意外な知見が見出された。乾燥処理の条件は特に限定されないが、ミソハギの植物体の乾燥温度が高いほど、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制効果がより高い増殖抑制剤を得やすい傾向にある。例えば、乾燥温度の下限は、20℃以上が好ましく、3℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましく、100℃以上がさらにより好ましい。乾燥温度の上限は、200℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。乾燥時間の下限は、60分以上が好ましく、120分以上がより好ましい。乾燥時間の上限は、48時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましく、4時間以下がさらにより好ましい。このような乾燥処理を溶媒への浸漬前に行うことで、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制効果がより高い抽出物を得ることができる。
本発明の増殖抑制剤に配合されるミソハギの植物体及び/又はその抽出物の量の下限値は、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制効果を奏することができる量であれば特に限定されないが、増殖抑制剤に対して好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.0010質量%以上、さらに好ましくは0.0050質量%以上含まれていてもよい。ミソハギの植物体及び/又はその抽出物の量の上限値は、過度でなくともよく、増殖抑制剤に対して好ましくは100質量%以下、より好ましくは80.00質量%以下、さらに好ましくは50.00質量%以上含まれていてもよい。なお、増殖抑制剤にミソハギの植物体が配合される場合、乾燥重量に換算した植物の量が上記の範囲内であればよい。増殖抑制剤にミソハギ抽出物が配合される場合、抽出物中の固形分含量が上記の範囲内であればよい。増殖抑制剤にミソハギの植物体及びミソハギ抽出物が配合される場合、乾燥重量に換算した植物体の量及び抽出物中の固形分含量の総量が上記の範囲内であればよい。
本発明の増殖抑制剤には、ミソハギの植物体及びその抽出物のいずれかが配合されていればよく、その両方が配合されていてもよい。
(その他の成分)
本発明の増殖抑制剤には、上記成分(つまり、ミソハギの植物体及び/又はその抽出物)のほか、これらの成分の作用を損なわない範囲で、任意の添加物が含まれていてもよい。このような添加物としては、培地、ビタミン、酸化防止剤、キレート剤、pH緩衝剤等が挙げられる。これらの添加物の種類や量は、得ようとする効果に応じて適宜設定できる。
(増殖抑制剤の製造方法)
本発明の増殖抑制剤の製造方法は特に限定されず、上記成分を適宜混合、撹拌等することで得られる。また、本発明の増殖抑制剤の剤型も特に限定されない。
(糸状緑藻)
本発明の増殖抑制剤によれば、糸状緑藻の増殖を効果的に抑制できる。糸状緑藻としては特に限定されないが、Klebsormidium sp.、又は、Stigeoclonium sp.、Spirogyra sp.、Ulothrix sp.、Microspora sp.等が挙げられる。これらのうち、本発明によれば、Klebsormidium sp.、Stigeoclonium sp.、及びSpirogyra sp.の増殖を特に効果的に抑制できる。糸状緑藻の増殖が抑制されたかどうかは、目視、顕微鏡観察や、実施例の方法を用いて評価できる。
(珪藻)
本発明の増殖抑制剤によれば、珪藻の増殖を効果的に抑制できる。珪藻としては特に限定されないが、付着珪藻(Achnanthidium minutissimum等)、浮遊珪藻(Cyclotella meghiniana等)等が挙げられる。これらのうち、本発明によれば、Achnanthidium minutissimum、及びCyclotella meghinianaの増殖を特に効果的に抑制できる。珪藻の増殖が抑制されたかどうかは、目視、顕微鏡観察や、実施例の方法を用いて評価できる。
<糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制方法>
上記のとおり、ミソハギの植物体及び/又はその抽出物により、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖を抑制できる。そのため、本発明によれば、ミソハギの植物体及び/又はその抽出物を閉鎖性水域に供給することで糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖を効果的に抑制できる。また、本発明によれば、藻類増殖抑制効果を有することが知られるユキヤナギよりも高い藻類増殖抑制効果が、より長い期間(例えば40日以上)にわたって奏され得る。
本発明において「閉鎖性水域」とは、外部水域との間での水の出入りが少ない水域を意味する。閉鎖性水域としては、湖沼、溜池、城濠、ビオトープ施設、水槽等が挙げられる。
ミソハギの植物体及び/又はその抽出物の、閉鎖性水域への供給量は、得ようとする増殖抑制効果の程度に応じて適宜設定できる。例えば、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖を十分に抑制するために、水量1mに対してミソハギの植物体及び/又はその抽出物を、好ましくは100g以上、さらに好ましくは200g以上供給してもよい。また、ユキヤナギの葉及び/又はその抽出物の供給量は過度でなくとも十分な効果を奏することができるため、好ましくは400g以下、さらに好ましくは300g以下供給してもよい。なお、ミソハギの植物体を用いる場合、乾燥重量に換算した植物体の量が上記の範囲内であればよい。ミソハギ抽出物を用いる場合、抽出物中の固形分含量が上記の範囲内であればよい。ミソハギの植物体及びその抽出物を併用する場合、乾燥重量に換算した植物体の量及び抽出物中の固形分含量の総量が上記の範囲内であればよい。
ミソハギの植物体及びその抽出物を閉鎖性水域へ供給するに際しては、その順番は限定されず、これらを同時に供給してもよいし、一方を先に供給した後に他方を供給してもよい。
ミソハギの植物体及び/又はその抽出物を閉鎖性水域へ供給する方法は、これらの成分と閉鎖性水域中の水が接触できれば特に限定されないが、例えば、下記の方法が挙げられる。
(1)閉鎖性水域内に、ミソハギの植物体及び/又はその抽出物を直接投入する。
(2)閉鎖性水域周辺にミソハギを植栽し、樹木からの落葉や落枝を利用し、閉鎖性水域中の水と、ミソハギの植物体とを接触させる。
(3)閉鎖性水域の底部に、ミソハギの植物体及び/又はその抽出物を詰めた孔部を有する容器(繊維製バッグ等)を設置する。
(4)閉鎖性水域に設けられた装置(濾過装置、ポンプ等)の一部に、ミソハギの植物体及び/又はその抽出物を詰めた孔部を有する容器(繊維製バッグ等)を組み込み、閉鎖性水域内を循環する水と、これらの成分とを接触させる。
(5)ミソハギの植物体及び/又はその抽出物を入れた浮島を、閉鎖性水域の表面に浮遊させる。浮島は太陽電池等で稼働させて閉鎖性水域内を移動してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<ミソハギ葉抽出物(抽出液)の作製>
以下の方法で、ミソハギ葉抽出液を作製した。
(1)鉢で栽培しているミソハギの葉を摘み取り、恒温乾燥器(商品名「MOV−212F」、パナソニック ヘルスケアホールディングス株式会社製)を用いて、30℃、60℃、100℃の各温度で24時間、葉を乾燥させた。
(2)乾燥後、葉をすり鉢で粉砕した。
(3)葉の粉砕物を、加圧加熱殺菌処理済みの水道水に、室温(約20℃)で24時間、浸した。水道水の加圧加熱殺菌処理としては、高圧蒸気滅菌器(商品名「HA−300MIV」、株式会社平山製作所製)を用いて、121℃、15分間の処理を行った。
(4)水道水に浸した粉砕物を、卓上遠心器(商品名「H−103N」、株式会社コクサン製)を用いて、3000rpm、15分間遠心処理し、水と粉砕物とを分離させ、上澄み液を回収した。該上澄み液がミソハギ葉抽出液に相当する。
(5)得られた各上澄み液(ミソハギ葉抽出液)に、加圧加熱殺菌処理済みの水道水を加え、粉砕物(固形物)の濃度が50mg/mlになるように調整した。
<藻類を用いた培養試験−1>
以下の方法で、上記<ミソハギ葉抽出液の作成>で得られたミソハギ葉抽出液の存在下で藻類を培養し、藻類増殖抑制効果を評価した。
(1)培養試験には、3種の藻類(糸状緑藻、珪藻(付着珪藻及び浮遊珪藻)、及び藍藻)を用いた。糸状緑藻としては、Klebsormidium sp.(株番号NIES−329、国立環境研分譲株)、Stigeoclonium sp.(独自単離株)を用いた。付着珪藻としては、Achnanthidium minutissimum(株番号NIES−71、国立環境研分譲株)を用いた。浮遊珪藻としては、Cyclotella meghiniana(株番号NIES−803、国立環境研分譲株)を用いた。藍藻としては、Oscillatoria sp.(株番号NIES−2118、国立環境研分譲株)を用いた。
(2)各藻類を、加圧加熱殺菌処理済みの培養用培地を30mL充填した平底フラスコに入れ、22℃、照度4500lux、12時間の明暗周期で、恒温器内で培養した。各藻類は、30日間ごとに、増殖した藻類の一部(1mL)を新しい培地を入れたフラスコに移し(植え継ぎ)、継代培養した。各藻類の培養用培地の組成を、それぞれ表1〜3に示す。以下、糸状緑藻の培養用培地を「C培地」ともいい、珪藻(付着珪藻及び浮遊珪藻)の培養用培地を「Csi培地」ともいい、藍藻の培養用培地を「MA培地」ともいう。「C培地」及び「Csi培地」に含まれる「PIV ミネラル混合液」の組成を表4に示す。
(3)上記で継代培養した各藻類(植え継ぎ20日後のもの)を、藻類増殖抑制効果の評価に供した。具体的には、12穴マルチウェルプレート(商品名「353043MULTIWELL」、FALCON社製)に、表5の配合に基づき、各藻類用の培養用培地(4mL)、ミソハギ葉抽出液を、ミソハギ葉抽出液の固形物の濃度が100又は200mg/Lとなるように調整して加え、さらに各藻類を入れ、14日間培養した。なお表5中、「培養試験で用いた培地」の欄に示した「ミソハギ(30℃)」、「ミソハギ(60℃)」及び「ミソハギ(100℃)」の記載は、括弧内の温度で乾燥させたミソハギ葉からの抽出液を意味する。例えば、「ミソハギ(30℃)」とは、30℃で乾燥させたミソハギ葉からの抽出液を意味する。培養は、水温24℃、照度4500lux、12時間の明暗周期で、恒温器内で行った。藻類は、糸状緑藻については藻体塊を1mm程度の大きさに剃刀で切断して用いた。付着珪藻、浮遊珪藻及び藍藻は、それぞれ0.2mLの保存株を用いた。
(4)培養後、各ウェル中の藻体塊を、培養液から直径24mmGFC濾紙(Whatman濾紙)にトラップした。この濾紙を、N,N−ジメチルホルムアミド液(5mL)を充填したガラス容器に浸し、2時間以上暗所に放置してからクロロフィル抽出を行った。(5)抽出した各クロロフィル液を、3500rpm、5分間遠心処理し、上澄み液を回収した。該上澄み液について、マイクロプレートリーダー(商品名「infinite m200」、TECAN社製)を用いて、クロロフィルa濃度(μg/L)を吸光法で定量した。なお、この方法は、西条八束、「クロロフィルの測定法」(陸水学雑誌、Vol.36、pp.103−109(1975))を参考に実施した。
(6)上記で特定したクロロフィルa濃度(μg/L)に基づき、以下の計算式によって、各藻類について、ミソハギ葉抽出液による藻類増殖抑制効果を算出した。その結果を、表5の「藻類増殖抑制効果」の項に示す。
藻類増殖抑制効果(%)=100−((実施例又は比較例のクロロフィルa濃度÷対照のクロロフィルa濃度)×100)
なお、上記式中、「実施例又は比較例のクロロフィルa濃度」とは、表5中の「実施例」又は「比較例」に示された培地で培養した藻体塊を用いて得たクロロフィル液中のクロロフィルa濃度を示す。「対照のクロロフィルa濃度」とは、表5中の「実施例」又は「比較例」に対応する「対照」に示された培地で培養した藻体塊を用いて得たクロロフィル液中のクロロフィルa濃度を示す。例えば、「実施例1−1」の藻類増殖抑制効果は、100−((実施例1−1のクロロフィルa濃度)÷(対照1のクロロフィルa濃度)×100)を算出することで特定した。
Figure 2019112347
Figure 2019112347
Figure 2019112347
Figure 2019112347
Figure 2019112347
表5の実施例に示されるとおり、ミソハギ葉抽出液は、糸状緑藻、付着珪藻、及び浮遊珪藻に対して、増殖抑制効果を示した。この効果は、ミソハギ葉の乾燥温度を上げるにつれて高まるという意外な傾向を示した。
他方、表5の比較例に示されるとおり、藍藻に対しては、ミソハギ葉抽出液による増殖抑制効果は認められなかった。
<藻類を用いた培養試験−2>
以下の方法で、<藻類を用いた培養試験−1>よりも培養スケールを上げて、ミソハギ枝粉砕物又はミソハギ葉粉砕物による藻類増殖抑制効果を評価した。
(1)ガラス製角型水槽(幅200mm×奥行200mm×高さ250mm)を3つ用意し、各水槽に8L水道水を注ぎ、8μLの栄養塩(商品名「HYPONeX5−10−5」、村上物産株式会社製)を添加した後、糸状緑藻(湿重量0.5g)を入れた。糸状緑藻としては、Spirogyra sp.(アオミドロとして知られる。)を用いた。藻類負荷材料として、80gの砂利(0.5〜2mmサイズ)を水槽底に敷いた。
(2)各水槽に、表6に示す量のミソハギ枝粉砕物又はミソハギ葉粉砕物を投入した。また、粉砕物を投入しない対照も用意した。なお、ミソハギ枝粉砕物は、100℃で2時間乾燥させたミソハギ枝を粉砕することで得た。ミソハギ葉粉砕物は、100℃で2時間乾燥させたミソハギ葉を粉砕することで得た。ミソハギ枝粉砕物又はミソハギ葉粉砕物は、図1に示すように、各粉砕物を不織布の葉袋(お茶パック)に詰め、通気管とネットの間に挟んで水中に固定した。
(2)各水槽へ粉砕物を投入した後、水温24℃、照度9000lux、12時間の明暗周期で、21日間、糸状緑藻を培養した。
(3)培養開始時点及び培養終了時点での各水槽中の糸状緑藻の湿重量、並びに、1日当たりの各水槽中の糸状緑藻の増重量を、それぞれ、表6の「開始時湿重量」、「終了時湿重量」、「日間増重量」の項に示した。
(4)上記で特定した「日間増重量」に基づき、ミソハギ枝粉砕物又はミソハギ葉粉砕物による藻類増殖抑制効果を算出した。その結果を、表6の「藻類増殖抑制効果(%)」の項に示す。
藻類増殖抑制効果(%)=(1−(実施例のテスト日間増重量÷対照の日間増重量))×100
Figure 2019112347
表6の「開始時湿重量」と「終了時湿重量」との比較や、「藻類増殖抑制効果」の結果から理解されるとおり、ミソハギ枝粉砕物又はミソハギ葉粉砕物を投入した水槽においては、対照と比較して、糸状緑藻の増殖が顕著に抑制されていた。
<藻類を用いた培養試験−3>
以下の方法で、ミソハギ葉粉砕物、藻類増殖抑制効果が知られる植物粉砕物(ユキヤナギ葉粉砕物)のそれぞれについて藻類増殖抑制効果を評価した。
(1)ガラス製角型水槽(幅240mm×奥行240mm×高さ300mm)を3つ用意し、各水槽に14L水道水を注ぎ、14μLの栄養塩(商品名「HYPONeX5−10−5」、村上物産株式会社製)を添加した後、糸状緑藻(湿重量2.4g)を入れた。糸状緑藻としては、Spirogyra sp.(アオミドロとして知られる。)を用いた。藻類負荷材料として、250gの砂利(0.5〜2mmサイズ)を水槽底に敷いた。
(2)各水槽に、固形分濃度が100mg/Lとなるようにミソハギ葉粉砕物又はユキヤナギ葉粉砕物(14g)を投入した。また、粉砕物を投入しない対照も用意した。なお、ミソハギ葉粉砕物は、100℃で2時間乾燥させたミソハギ葉を粉砕することで得た。ユキヤナギ葉粉砕物は、30℃で2時間乾燥させたミソハギ葉を粉砕することで得た。ミソハギ葉粉砕物又はユキヤナギ葉粉砕物は、図2に示すように、各粉砕物を不織布の葉袋(お茶パック)に詰め、循環ろ過器に収容した。試験期間中、水を循環器(エアリフト式)で1.2時間をかけて全水量循環させた。図2中、矢印は水の循環の流れを意味する。
(2)各水槽へ粉砕物を投入した後、水温24±2℃、照度10000lux、12時間の明暗周期で、56日間、糸状緑藻を培養した。
(3)培養開始時点及び培養終了時点での各水槽中の糸状緑藻の湿重量を表7に示した。
(4)試験期間中、7日ごとに正午12時に溶存酸素濃度を、溶存酸素計(商品名「DO 電極FDO925」、WTW社製)を用いて測定した。その結果を表8及び図3に示す。
Figure 2019112347
Figure 2019112347
表7の結果の結果から理解されるとおり、ミソハギ葉粉砕物又はユキヤナギ葉粉砕物を投入した水槽においては、対照と比較して、糸状緑藻の増殖が顕著に抑制されていた。また、糸状緑藻の増殖抑制効果は、ユキヤナギ葉粉砕物よりもミソハギ葉粉砕物の方が優れていた。
表8及び図3の結果の結果から理解されるとおり、ミソハギ葉粉砕物又はユキヤナギ葉粉砕物を投入した水槽においては、対照と比較して、溶存酸素濃度の増加が抑制されていた。この結果からもミソハギ葉粉砕物又はユキヤナギ葉粉砕物を投入した水槽においては、対照と比較して、糸状緑藻の増殖が抑制されていたことがわかる。また、ユキヤナギ葉粉砕物を投入した水槽では、試験開始から約28日後に対照とほぼ同等の溶存酸素濃度となったのに対し、ミソハギ葉粉砕物を投入した水槽においては、試験開始から約49日後に対照とほぼ同等の溶存酸素濃度となった。このことから、ユキヤナギ葉粉砕物よりもミソハギ葉粉砕物の方が、糸状緑藻の増殖抑制効果の持続期間が長いことが推察された。

Claims (12)

  1. ミソハギの植物体又はその抽出物を少なくとも含む、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制剤。
  2. 前記植物体は、ミソハギの葉又は枝を少なくとも含む、請求項1に記載の増殖抑制剤。
  3. 前記植物体は乾燥処理を施されたものである、請求項1又は2に記載の増殖抑制剤。
  4. 前記糸状緑藻は、Klebsormidium sp.、Stigeoclonium sp.、及びSpirogyra sp.からなる群から選択される1以上である、請求項1から3のいずれかに記載の増殖抑制剤。
  5. 前記珪藻は、付着珪藻及び浮遊珪藻からなる群から選択される1以上である、請求項1から3のいずれかに記載の増殖抑制剤。
  6. 前記珪藻は、Achnanthidium minutissimum、及びCyclotella meghinianaからなる群から選択される1以上である、請求項5に記載の増殖抑制剤。
  7. ミソハギの植物体及びその抽出物からなる群から選択される1以上を、閉鎖性水域に供給する、糸状緑藻及び/又は珪藻の増殖抑制方法。
  8. 前記植物体は、ミソハギの葉又は枝を少なくとも含む、請求項7に記載の増殖抑制方法。
  9. 前記植物体は乾燥処理を施されたものである、請求項7又は8に記載の増殖抑制方法。
  10. 前記糸状緑藻は、Klebsormidium sp.、Stigeoclonium sp.、及びSpirogyra sp.からなる群から選択される1以上である、請求項7から9のいずれかに記載の増殖抑制方法。
  11. 前記珪藻は、付着珪藻及び浮遊珪藻からなる群から選択される1以上である、請求項7から9のいずれかに記載の増殖抑制方法。
  12. 前記珪藻は、Achnanthidium minutissimum、及びCyclotella meghinianaからなる群から選択される1以上である、請求項11に記載の増殖抑制方法。
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