JP2019110794A - 細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法 - Google Patents

細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 細胞培養容器に対して、所望の位置に容易に細胞保持領域を生成できる細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法の提供。【解決手段】 細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100では、本体101は、中空円柱形状を有している。本体101は、容器接触面P101に自己吸着性を有し、自己吸着性によって、細胞培養容器に吸着し、位置が固定され、また、容易に取り外すことができる。細胞保持空間103は、本体101の容器接触面P101から上面P102まで、本体101を貫通する中空円柱形状の中空空間として形成される。細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の細胞保持空間103が位置する領域を細胞保持領域R100に、播種した心筋細胞を保持する細胞保持領域生成処理を施す。細胞保持領域生成処理の親水処理によって、細胞保持領域R100に親水処理を施す。これにより、細胞培養容器上の所望の位置に親水領域を形成できる。【選択図】 図3

Description

本発明は、細胞培養容器細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法に関し、特に、所望の領域に細胞保持領域を生成することができるものに関する。
従来の細胞培養容器における細胞の保持について、MEAプローブ(後述)を用いて心筋細胞の細胞外電位を計測する際を例に説明する。MEAプローブを用いて細胞外電位を計測する際には、基板上に配置された計測電極上に細胞を播種する。細胞を播種する際には、実験者によるピペットを用いて播種する細胞を培養していたディッシュから取得した後、計測電極上を狙ってMEAプローブの基板上に細胞を吐出する。なお、細胞外電位計測において、計測した電位から細胞状態を比較する際には、各細胞外電位計測における条件のばらつきを少なくすることが望ましく、特に、細胞の播種状況も均一にすることが望ましい。細胞の播種状況も均一でない場合、結果として、MEAプローブによる計測シグナルが不均一となる。
一般に、播種の際の細胞培養液の液量については、実験者によって比較的容易にコントロールできていた。しかしながら、播種後の細胞培養液の形状や大きさ等、播種状況に関しては、実験者の技術、習熟度等が様々であり、十分にコントロールされておらず、事実上、実験者に依存している状況であった。
また、細胞培養容器に対して播種した細胞が容易に定着できるように、細胞培養容器の細胞播種面に、親水処理を施すことがある。親水処理についても、親水処理を施す実験者の技術、習熟度に依存しており、現状、親水処理の大きさや均一性等、親水処理の処理状況にムラが生じている場合がある。さらに、親水処理に続いてコーティングを施す場合があるが、コーティング処理についても、親水処理と同様の問題がある。
図9に、MEAプローブの計測電極上に播種した際の細胞の播種状況を示す。実験者は、外部電極上を狙って細胞を播種したが、実際には、外部電極に対して大きく広がるように播種されている。播種状況は、実験者毎、実験毎に異なるため、計測により取得した細胞外電位は、厳密には同じ状況で計測されたものではないとも言える。
このような細胞の播種状況のばらつきを軽減するために、基材上に形成された撥水性表面を有する撥水層と、 基材上に形成された所定のパターンの親水性面とを備える、細胞培養用基板を用いる技術がある。撥水層と所定のパターンの親水性面とを備える 細胞培養用基板について図10の基材1を用いて説明する。
図10(1)に示すように、先ず、基材1の表面に対して、化学処理、プラズマ処理、紫外光照射処理等の活性化処理を施し、 有機化合物層を基材1面に化学的に結合させるための種々の反応性基(表面官能基)を基材1表面に導入する。例えば、基材1がシリコンである場合では、好ましくは例えば大気中又は減圧条件下で真空紫外光を照射して基材1表面を親水化(具体的にはシラノール基即ち水酸基を導入)し得る。 また、酸素を含む雰囲気中で照射処理した場合には、 当該紫外光照射により雰囲気酸素から発生したオゾンによって基材1表面に残存する有機含有物を除去することができる。
次いで、図10(2)に示すように、活性化された基材1を有機化合物の気相中において処理し、 有機化合物を基材1上において成長させ、 撥水層3を形成することができる。有機化合物から成る原料ガスをプラズマ状態にし、 この活性プラズマを利用して、 気相中および基材表面での化学反応により薄膜形成を行うプラズマCVD法の採用が好ましい。 この方法によると、 室温付近の温度で基材の表面に撥水性表面(撥水層)を形成することができる。 従って、 例えば耐熱性の低い高分子材料 (合成樹脂) 製の基材(例えばポリスチレン製ぺトリディッシュ)に撥水層を形成するのに好適である。
好適には撥水層3として、有機化合物が所定方向に配向する単分子層に形成する。単分子層とすることにより、層の厚さを一定とし、かつ超薄に形成することができる。 このため、均一な撥水性能を付与することができるとともに、超微細なバターンを形成可能である。 撥水層3が単分子層よりも成長した場合には、 所望により、過剰に吸着した分子を除去して単分子層に形成することができる。 この単分子属形成手段としては、 特に限定されず、 使用した物質に応じて酸処理、アルカリ処理、水洗処理等を適宜組み合わせて行うことができる。
撥水層3の表面と水滴のなす角である接触角(即ち水滴接触角)は120°以上が好ましく、140°以上がさらに好ましく、接触角(水接触角)が150°以上(例えば150−160°)である超撥水性表面の形成が特に好ましい。このような高い接触角が実現される撥水性表面によると通常の培地から成る比較的高容積の液滴(水滴)をほぼ真球形状に保つことができる。
なお、接触角は、従来公知の種々の手段によって測定することができる。 例えば、蒸留水から成る水滴の静的接触角(例えば液滴直径約2mm)を液滴法により25℃の雰囲気下で接触角計(例えば、協和界面科学株式会社製の「CA−X150型」) を用いて測定することができる。
次に、図10(3)に示すように、所定のバターンの親水性面5が形成されるように、撥水属3の当該バターンに対応する部分を種々の技法、 例えばリソグラフィによって除去する。例えば、フォトリソグラフィ法の適用が好ましい。例えば所定バターンと同じ透過部(光透過可能な開口部)が形成されたフォトマスクを用意し、 フォトマスク越しに所定の光源(例えばエキシマランプ)から高エネルギー光(例えば真空紫外光)を照射する。 このことによって、光照射部分即ち上記パターン部分の撥水層3(少なくともその表面部分)のみを選択的に光化学反応によって除去(分解又は変性を包含する)することができる。 同時に、 この処理によって、 基材1表面を活性化させ、 該表面5に種々の親水性基を導入することができる。 例えば、基材がシリコンである場合では、 好ましくは例えば大気中又は減圧条件下で真空紫外光を照射して撥水層3を除去すると同時に基材1の表面5を親水化(具体的にはシラノール基即ち水酸基を導入) し得る。
この結果、 所定パターンの親水性面5を形成することができる。 即ち、本発明の好ましい態様において、リソグラフィによって、撥水層3の除去と同時に除去された基材1表面に親水性面5を形成することができる。 尚、基材1表面の親水性が十分でない場合には、 さらに化学処理などを施すことによって、 親水性を付与又は向上させることができる。また、リソグラフィとしては、フォトリソグラフィに限られず、 従来公知のリソグラフィを採用することができる。 好適な例としては、電子線リソグラフィ、EUV(波長が13.5mm近傍の極端紫外光、即ちExtreme UltraViolet)リソグラフィ、及び集束イオンビームリソグラフィが挙げられる(以上、特許文献1参照)。
国際公開第2006/028274号公報
前述の基材1には、以下に示すような改善すべき点がある。基材1を形成する際には、予めパターンを形成しておく必要があるため、製造後、例えば実験中には、容易に親水領域の位置を変更できないという改善すべき問題もある。また、基材1を形成する際にプラズマCVD法や各種リソグラフィ法等、専門の製造装置を要するため、製造装置を有さない者には利用できない、という改善すべき点がある。また、専門の製造装置を使用するためコストがかかるという改善すべき点がある。
そこで、本発明は、細胞培養容器に対して、所望の位置に容易に細胞保持領域を生成できる細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法を提供することを目的とする。
本発明における課題を解決するための手段及び発明の効果を以下に示す。
本発明に係る細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法は、培地内で細胞を培養する細胞培養容器に親水領域を形成する際に用いる細胞培養容器用細胞保持領域形成装置であって、少なくとも前記細胞培養容器に接する面である容器接触面に吸着性を有する本体、前記容器接触面から前記容器接触面に対向して位置する面まで前記本体を貫通するように形成される細胞保持空間、を有する細胞培養容器用細胞保持領域形成装置を用いて、細胞培養容器に細胞保持領域を形成する細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法であって、前記細胞培養容器に前記細胞培養容器用細胞保持領域形成装置を配置し、前記細胞保持空間に対して親水処理を施すことによって、少なくとも、前記細胞培養容器の前記細胞保持空間に囲まれた領域である細胞保持領域を親水処理する細胞保持領域生成処理を施すこと、を特徴とする。
これにより、細胞培養容器に対して、所望の位置に容易に親水処理を施した細胞保持領域を生成することができる。ひいては、所望の位置に生成した細胞保持領域に細胞を播種できる。
本発明に係る細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法では、前記細胞保持領域生成処理後に前記細胞培養容器に配置した前記細胞培養容器用細胞保持領域形成装置を取り除くこと、を特徴とする。
これにより、細胞培養容器に親水処理を施した細胞保持領域のみを配置できる。ひいては、細胞培養容器の所望の位置に生成した細胞保持領域に細胞を播種できる。
本発明に係る細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法では、前記親水処理によって、前記細胞保持領域の接触角が、前記細胞培養容器の前記細胞保持領域以外の領域の接触角よりも小さくすること、を特徴とする。
これにより、親水処理を施した細胞保持領域にのみ、正確に細胞を播種することができる。
本発明に係る細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法では、前記細胞保持領域生成処理として、さらに、前記親水処理の後、前記細胞保持空間を洗浄する洗浄処理を施し、前記洗浄処理の後、前記細胞保持空間に対して所定の表面被覆処理を施すこと、を特徴とする。
これにより、細胞保持領域に細胞を保持することができる親水処理を施すだけでなく、その他の機能を有する表面処理、例えば、細胞接着性の向上を補助する処理を施すことができる。
本発明に係る細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法に用いる細胞培養容器用細胞保持領域形成装置の一実施例である細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100を示す図である。 MEAプローブPを示す図である。 細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100のMEAプローブPに使用する際の状態を示す図である。 細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100のMEAプローブPに使用する際の状態を示す図である。 細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100のMEAプローブPに使用する際の実際の状態を示す図である。 細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100のMEAプローブPに使用する際の状態を示す図である。 細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100のMEAプローブPに使用する際の実際の状態を示す図である。 細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100のその他の使用例を示す図である。 従来の細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法を説明するための図である。 従来の細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法を説明するための図である。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
本発明に係る細胞培養容器用細胞保持領域形成装置について、一実施例である細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100を用いて説明する。細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100は、培地内で細胞を培養する細胞培養容器に、培養した細胞を保持するための細胞保持領域を形成する際に、細胞培養容器に取り付け、および/または、取り外して用いる装置である。
第1 構成
細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の構成について、図1を用いて説明する。ここで、図1Aは細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の平面図を、図1Bは細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の正面図を、図1Cは図1AのX−X断面を、それぞれ示す。
図1Aに示すように、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100は、本体101、及び、細胞保持空間103を有している。図1Bに示すように、本体101は、細胞培養容器に接する面である容器接触面P101、及び、容器接触面P101に対向して位置する上面P102を有している。
本体101は、シリコンゴムを用いて中空円柱形状に形成されている。シリコンゴムは、自己吸着性を有している自己吸着物質である。したがって、本体101は、容器接触面P101に自己吸着性を有している。細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100は、容器接触面P101の自己吸着性によって、容器接触面P101を介して細胞培養容器に吸着し、細胞培養容器に対して位置が固定される。なお、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100は、自己吸着力により細胞培養容器に吸着されているため、容易に取り外すことができる。なお、本体101の自己吸着力は、少なくとも、細胞保持空間103に配置される液体、例えば細胞懸濁液が、本体101の容器接触面P101と細胞培養容器との間から漏れない程度のものである。
また、本体101は、シリコンゴムを材質とし、薄い円筒形状を有し、また、特に表面処理を施していないことから、60°以上の接触角を有している。なお、部材の接触角については、一般的に、材質、形状、及び、表面の状態等によって決定される。
また、本体101は、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100を取り付ける細胞培養容器において細胞培養のための培地貯留高さよりも低い高さを有している。これにより、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100を細胞培養容器に取り付けた際に、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100を培地中に配置することができる。
図1Cに示すように、細胞保持空間103は、本体101の容器接触面P101から上面P102まで、本体101を貫通する中空円柱形状の中空空間として形成される。
細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の大きさは、使用する細胞培養容器の大きさ等、使用環境によって決定する。例えば、外直径D1=8mm、内直径D3=2mm、高さH=0.5mmの薄い中空円柱形状とする。
このように、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100によって、細胞培養容器に対して、所望の位置に細胞保持空間103を配置することができる。したがって、細胞保持空間103に対して所定の処理を施すことによって、細胞培養容器上の所望の位置に、所定の処理を施した領域を形成することができる。例えば、所定の処理として親水処理を施す場合、細胞培養容器上の所望の位置に、親水領域を形成することができる。
また、細胞培養容器に対して細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100を配置した状態で使用することによって、細胞培養容器上の所望の位置に、細胞保持空間を配置し、3次元的に所望の細胞を配置することができる。
さらに、シリコンゴムを利用することによって、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100を容易に生成することができ、コストを低減できる。さらに、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100を用いることによって、細胞培養容器の細胞保持空間103に囲まれた領域(細胞保持領域R100:後述)対して容易に均一な親水処理を施すことができる。
第2 細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の使用方法
細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の使用方法について、細胞培養容器としても機能するMEA(Multi−Electrode Array)プローブPの電極位置に心筋細胞を培養する場合を例に、図2〜図6を用いて説明する。
ここで、MEAプローブPについて説明する。MEAプローブPは、細胞活動により生ずる細胞外電位を計測するための装置である。MEAプローブPについて、図2を用いて簡単に説明する。ここで、図2Aは、MEAプローブPの平面図を、図2Bは、図2Aに示すMEAプローブPのX2−X2断面図を、それぞれ示す。図2A、図2Bに示すように、MEAプローブPは、基板部PB及び容器壁部PWを有している。基板部PBは、薄板形状を有している。容器壁部PWは、基板部PB上に形成される。容器壁部PWは、一端が解放された円筒形状を有している。基板部PB及び容器壁部PWによって、所定の培地を貯留し、基板部PB上に細胞を培養できる細胞培養容器を形成する。
基板部PBについては、ガラスを基材として、表面にポリイミドによる表面処理が施されている。このため、基板部PBは、60°以上の表面の接触角を有している。
また、MEAプローブPは、計測電極E1及び参照電極E2を有している。計測電極E1は、容器壁部PWのほぼ中央に、基板部PBに沿って形成される。なお、計測電極E1は、4×4のマトリクス状に配置される。参照電極E2は、計測電極E1を中心に、所定数配置される。MEAプローブPは、計測電極E1と参照電極E2との電位差に基づき、細胞活動による細胞外電位を計測する。なお、計測電極E1、及び、参照電極E2のそれぞれから、引き出し線(図2中点線)が配置される。
使用する細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100は、外直径D1=8mm、内直径D3=2mm、高さH=0.5mmの薄い中空円柱形状の本体101を有している(図1参照)。細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100は、シリコンゴムを用いて形成されている。なお、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の本体101は、60°以上の接触角を有している。
MEAプローブPを用いて細胞外電位を計測しようとする心筋細胞は、心筋細胞を含む一般的な細胞懸濁液を使用する。
1.MEAプローブPの基板部PB上に、細胞保持領域R100を形成する際の使用方法
MEAプローブPを用いて培養した心筋細胞の細胞外電位を計測しようとする使用者は、図3A、図3Bに示すように、MEAプローブPの計測電極E1上に細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の細胞保持空間103が位置し、容器接触面P101が基板部PBに対向するように、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100をMEAプローブPの基板部PB上に配置する。細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100は、容器接触面P101の自己吸着性により、基板部PBに吸着し、MEAプローブPの計測電極E1上に細胞保持空間103が位置するように固定される。なお、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100を配置した後、本体101を上から指、ピンセット等を用いて押圧することによって、より強固に吸着させることができる。
ここで、MEAプローブPの基板部PBにおいて、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の細胞保持空間103が位置する領域を細胞保持領域R100とする。細胞保持領域R100は、計測電極E1を含む領域として形成される。
そして、細胞保持領域R100に、播種した心筋細胞を保持する細胞保持領域生成処理を施す。細胞保持領域生成処理は、親水処理、洗浄処理、及び、表面被覆処理を有している。
まず、実験者は、細胞保持領域R100に親水処理を施す。親水処理は、例えば、ピペットに吸引した牛の血清を細胞保持空間103に吐出し、細胞保持空間103に牛の血清を所定時間滞留させた後、アスピレータで吸引することによって行う。親水処理により、例えば、細胞保持領域R100を、接触角θ=0°〜10°とする。
次に、親水処理を施した細胞保持領域R100に洗浄処理を施す。洗浄処理は、例えば、ピペットを用いて純水を吸引し、細胞保持空間103に吐出し、アスピレータを用いて吸引することにより行う。洗浄処理により、例えば、細胞保持領域R100を、接触角θ=0°〜20°とする。
さらに、洗浄処理を施した細胞保持領域R100に表面被覆処理を施す。表面被覆処理は、例えば、市販の表面被覆材、例えばゲルトレックス(Geltrex:商標)をピペットで吸引し、細胞保持空間103に吐出し、所定時間、乾燥する。なお、乾燥は、湿度60%以上で、30分〜2時間とする。表面被覆処理により、例えば、細胞保持領域R100を、接触角θ=0°〜20°とする。
以上、一連の親水処理、洗浄処理、表面被覆処理によって、細胞保持領域R100を、MEAプローブPの細胞保持領域R100以外の基板部PBの領域の接触角よりも小さい接触角を有する領域にできる。
乾燥処理の後、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100をMEAプローブPの基板部PB上から取り外す。これにより、図4A、図4Bに示すように、計測電極E1上に、正確に、親水処理を施した細胞保持領域R100を形成することができる。実際に、MEAプローブPの基板部PB上に、細胞保持領域R100を形成した状態を図5に示す。
MEAプローブPの基板部PB上の細胞保持領域R100に、心筋細胞を含む細胞懸濁液を用いて、心筋細胞を播種する。図6A、図6Bに示すように、親水処理を施した細胞保持領域R100(接触角:0°〜20°)と、基板部PBの細胞保持領域R100以外の領域(接触角:60°以上)とでは接触角が異なるため、計測電極E1上に形成されている細胞保持領域R100に、正確に、計測対象である心筋細胞を含む細胞懸濁液を配置し、つまり、心筋細胞を播種し、保持することができる。実際に、MEAプローブPの基板部PB上に形成した細胞保持領域R100に心筋細胞を播種した状態を図7に示す。なお、図7においては、点線によって、細胞保持領域R100を示している。
MEAプローブPの基板部PB及び容器壁部PWによって形成される細胞培養容器に所定量の培地を注ぎ(図6B:一点鎖線参照)、細胞保持領域R100において、通常通り、心筋細胞を培養しながら、細胞外電位を計測する。
[その他の実施形態]
(1)細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の形状:前述の実施例1においては、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の本体101は中空円柱形状としたが、本体に細胞保持空間を有するものであれば、例示のものに限定されない。例えば、本体及び細胞保持空間が共に角柱形状の中空角柱形状としてもよい。また、本体が角柱形状、細胞保持空間が円筒形状としてもよい。
(2)細胞保持空間103:前述の実施例1においては、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100は、1つの細胞保持空間103を有するとしたが、複数の細胞保持空間103を有するようにしてもよい。
(3)細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の本体101の材料:前述の実施例1においては、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の本体101を、シリコンゴムを用いて形成するとしたが、自己吸着性を有するものであれば、例示のものに限定されない。例えば、シリコンゴム以外のPDMS(PolyDiMethylSiloxane)、ポリカーボネイト、高分子ゲル、その他のプラスチック材料であってもよい。
また、本体101は、60°より大きい接触角を有するものであれば例示のものに限定されない。例えば、細胞保持空間に配置する細胞に影響を与えない表面処理を施すことによって、60°以上の接触角を持たせるようにしてもよい。
(4)計測対象の細胞:前述の実施例1においては、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100を用いて細胞培養容器に貯留する培地内で培養する細胞として心筋細胞を用いたが、例示のものに限定されない。例えば、神経細胞であってもよい。また、多能性幹細胞由来の心筋細胞や神経細胞であってもよい。なお、多能性幹細胞としては、例えば、胚性幹細胞(ES細胞)やiPS細胞がある。
(5)MEAプローブP:前述の実施例1においては、細胞培養容器としてMEAプローブPを用いたが、細胞を培養できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、細胞培養用のディッシュやウェルであってもよい。
(6)親水処理:前述の実施例1においては、親水処理を牛の血清を用いて行ったが、少なくとも細胞保持領域R100を親水化できるものであれば、例示のものに限定されない。
(7)洗浄処理:前述の実施例1においては、洗浄処理を、純粋を用いて行ったが、少なくとも細胞保持領域R100を洗浄できるものであれば、例示のものに限定されない。また、必要でなければ、細胞保持領域生成処理において、洗浄処理を施さなくてもよい。
(8)表面被覆処理:前述の実施例1においては、表面被覆処理を、ゲルトレックスを用いて行ったが、少なくとも細胞保持領域R100を、表面を被覆できるものであれば、例示のものに限定されない。また、必要でなければ、細胞保持領域生成処理において、表面被覆処理を施さなくてもよい。
(9)細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の取り外し:前述の実施例1においては、細胞保持領域生成処理を施した後、MEAプローブPから細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100を取り外したが、取り外さなくてもよい。この場合、図8A、図8Bに示すように、細胞培養容器用細胞保持領域形成装置100の細胞保持空間103に播種した細胞懸濁液が保持されるため、細胞保持空間103において3次元的に細胞を培養し、保持することができる。
(10)本体101の自己吸着性:前述の実施例1においては、本体101は自己吸着性を有し、自己吸着性により細胞培養容器に固定できるとしたが、吸着性を有するものであれば、例示のものに限定されない。例えば、本体101の容器接触面P101に、細胞毒性がない粘着層を配置することによって、細胞培養容器に吸着させるようにしてもよい。
本発明に係る細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法は、例えば、培養した心筋細胞の細胞活動に基づく細胞外電位の計測に用いることができる。
100 細胞培養容器用細胞保持領域形成装置
101 本体
103 細胞保持空間
P101 容器接触面
P102 上面
R100 細胞保持領域
P MEAプローブ
PB 基板部
PW 容器壁部
E1 計測電極
E2 参照電極

Claims (4)

  1. 培地内で細胞を培養する細胞培養容器に親水領域を形成する際に用いる細胞培養容器用細胞保持領域形成装置であって、
    少なくとも前記細胞培養容器に接する面である容器接触面に吸着性を有する本体、
    前記容器接触面から前記容器接触面に対向して位置する面まで前記本体を貫通するように形成される細胞保持空間、
    を有する細胞培養容器用細胞保持領域形成装置を用いて、細胞培養容器に細胞保持領域を形成する細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法であって、
    前記細胞培養容器に前記細胞培養容器用細胞保持領域形成装置を配置し、
    前記細胞保持空間に対して親水処理を施すことによって、少なくとも、前記細胞培養容器の前記細胞保持空間に囲まれた領域である細胞保持領域を親水処理する細胞保持領域生成処理を施すこと、
    を特徴とする細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法。
  2. 請求項1に係る細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法において、さらに、
    前記細胞保持領域生成処理後に前記細胞培養容器に配置した前記細胞培養容器用細胞保持領域形成装置を取り除くこと、
    を特徴とする細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法。
  3. 請求項1または請求項2に係る細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法において、
    前記親水処理によって、前記細胞保持領域の接触角が、前記細胞培養容器の前記細胞保持領域以外の領域の接触角よりも小さくすること、
    を特徴とする細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法。
  4. 請求項1〜請求項3に係るいずれかの細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法において、
    前記細胞保持領域生成処理として、さらに、
    前記親水処理の後、前記細胞保持空間を洗浄する洗浄処理を施し、
    前記洗浄処理の後、前記細胞保持空間に対して所定の表面被覆処理を施すこと、
    を特徴とする細胞培養容器に対する細胞保持領域生成方法。
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JP7469092B2 (ja) 2020-03-23 2024-04-16 株式会社Screenホールディングス 細胞保持容器
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