JP2019110730A - ステータ - Google Patents

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Atsushi Ishikawa
敦詞 石川
杉本 篤
Atsushi Sugimoto
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Abstract

【課題】従来とは全く異なる新規なステータを実現する。【解決手段】ステータは、コイルと、コイルの内側を通過するとともにロータの磁石の磁束が通過するための磁路を構成する磁性部材を備えている。このステータでは、磁性部材がコイルの内側を複数回通過するように構成されている。【選択図】 図1

Description

本明細書は、ステータに関する技術を開示する。
特許文献1に、モータ(ブラシレスモータ)で用いられるステータが開示されている。特許文献1のステータは、環状のヨークの内周面からステータの中心(ロータの回転軸)に向けて伸びる複数のティースを備えている。各ティースには、コイルが巻回されている。
特開2017−188982号公報
図5に、従来のステータ300の基本構造を示す。特許文献1のステータも、基本構造はステータ300と同一である。ステータ300は、環状のヨーク60と、ヨーク60の内周面からロータ50の回転軸10に向けて伸びるティース62と、ティース62に巻回されたコイル65を備えている。ティース62の端部は、ロータ50に取り付けられた磁石に対向している。磁石の一方の極から生じた磁束は、矢印70に示すようにティース62及びヨーク60を通過し、磁石の他極に至る。ティース62及びヨーク60は、一体となってステータコア64を構成し、磁束が通過する磁路を構成する磁性部材として機能している。
モータでは、磁束とコイルを流れる電流(環状電流)とが交差することによって、トルクを発現している。そのため、モータの出力トルクを大きくするためには、磁束を大きくするか、コイルの巻数を増やすことが必要であり、このうち、磁束を大きくするためには、磁石のサイズを大きくする(磁石使用量を増やす)ことが必要である。そのため、従来は、モータの出力トルクを大きくするためには、モータのサイズが大きくなることが避けられない。すなわち、従来は、モータの出力トルクを増大させる技術と、モータを小型化する技術とは、トレードオフの関係にあった。本明細書は、従来とは全く異なる技術的思想に基づき、従来とは全く異なる新規なステータを実現することを目的とする。
従来より、モータの出力トルク(T)は、磁束(Φ)と、電流(I)と、コイルの巻数(z)の関数で決定することが知られていた。具体的には、モータの出力トルク(T)は、「式1:T=Φ×I×z」で示される。式1から明らかなように、電流(I)一定でトルク(T)を大きくするためには、磁束(Φ)を大きくするか、コイルの巻数(z)を増やす他ない。上記したように、従来は、磁束を大きくするためには、磁石サイズを大きくすることが技術常識であった。本発明者らは、モータのトルク発現メカニズムについて再考し、磁石のサイズ(磁石使用量)を変化させることなく、上記式1の磁束(Φ)を増やす手法について研究した。
本発明者らの研究の結果、上記式1の磁束(Φ)について、本来はコイル(コイルを流れる環状電流)と交差する磁束(磁束量)を意味しているものの、従来技術では上記式(1)の磁束(Φ)を磁石に固有の値(磁石サイズに由来する値)として捉えていることが、上記トレードオフの関係を打破できない原因であるという認識を得た。すなわち、磁石から生じる磁束そのものは変化させることなく、コイルと交差する磁束(磁束量)を増加させることができれば、コイルの巻数を増大したり、磁石のサイズを大きくすることなく、モータの出力トルクを増大させることができるという知見を得た。本明細書で開示するステータは、この知見に基づくものである。
本明細書で開示する第1技術は、コイルと、コイルの内側を通過するとともにロータの磁石の磁束が移動するための磁路を構成する磁性部材を備えるステータであってよい。このステータでは、磁性部材がコイルの内側を複数回通過するように構成されていてよい。
本明細書で開示する第2技術は、上記第1技術において、磁性部材は、リボン状であり、コイルを構成するコイル線の周りを巻回していてよい。
本明細書で開示する第3技術は、上記第2技術において、コイルが複数回折り返されていてよい。
本明細書で開示する第4技術は、上記第2又は第3技術において、磁性部材の端部に、磁石と対向する対向部が設けられていてよい。
本明細書で開示する第5技術は、上記第2から第4技術において、磁性部材の材料が、アモルファス金属であってよい。
本明細書で開示する第6技術は、上記第1技術において、磁性部材は、第1ヨークと、複数のティースが設けられている複数の第2ヨークを含んでいてよい。また、複数の第2ヨークの各々は、第1ヨークに接続されている第1ティースと、ロータの磁石に対向している第2ティースを備えていてよい。
本明細書で開示する第7技術は、上記第6技術において、各第2ヨークの第1ティースと第2ティースが、互いにロータの回転軸周りにずれた位置に設けられていてよい。また、特定の第2ヨークに設けられている第1ティースと、特定の第2ヨーク以外の第2ヨークに設けられている第2ティースとが、ロータの回転軸周りにおいて同じ位置に設けられてよい。
本明細書で開示する第8技術は、上記第7技術において、第1ヨークが、ロータの回転軸方向で、ロータと対向する位置に設けられていてよい。
本明細書で開示する第9技術は、上記第8技術において、第1ヨークが、ロータの回転軸方向でロータの両側に夫々設けられていてよい。
第1技術によると、コイルと磁束の交差回数を2回以上にすることができ、磁石のサイズを大きくすることなく(磁石から生じる磁束は大きくすることなく)、実質的にコイルの内側を通過する磁束を増加させることができる。そのため、磁石のサイズを大きくしたり、コイルの巻数を増やしたりすることなく、モータのトルクを大きくすることができる。すなわち、第1技術によると、「式2:T=n×Φ×I×z(n:コイルと磁束の交差回数、n>1)」の関係を示すモータを実現することができる。上記式2に(n=1)を代入したものが上記式1であり、従来のモータは、全てコイルと磁束の交差回数が1回である。
第2技術によると、ステータの組立工程(磁性部材をコイルに巻きつける加工)を簡単にすることができる。また、目的(必要トルク)に応じて、磁性部材がコイルを周回する回数を容易に調整することができる。
第3技術によると、ステータのサイズを小さくすることができる。従来のステータでは、ティース(ステータコア)の周りにコイルを巻回する。換言すると、従来のステータでは、コイルの内側に所定サイズの空間を確保し、その空間にティースが配置されている。磁性部材がコイル線の周りを巻回する構造の場合、コイルの内側に空間を確保する必要がない。コイル線を複数回折り返してコイルの内側の空間を減らすことにより、コイル(コイルの外縁)が占めるサイズを小さくすることができ、結果として小型のステータを実現することができる。
第4技術によると、磁性部材自体を磁石に対向させる必要がない。換言すると、コイルを巻回している磁性部材本体(磁性部材のうち、対向部を除く部分)を磁石から離れた位置に配置することができる。その結果、ステータ形状の設計自由度が増す。
第5技術によると、比較的容易に、磁性部材をコイル線に巻回させることができる。
第6技術によると、磁石から生じた磁束が、第2ティース,第1ティース,第1ヨーク,第1ティースの順に構成される磁路を通過することができる。磁束は、第2ティースを通過するとき、及び、第1ヨークに続く第1ティースを通過するときに、コイルと交差する。すなわち、第6技術によると、コイルと磁束が複数回交差し、上記式2を満足するモータを実現することができる。
第7技術によると、同一のコイルを通過する複数のティース(特定の第2ヨークの第1ティースと、特定の第2ヨーク以外の第2ヨークの第2ティース)を、ロータ回転軸方向に並べることができる。複数のティースに対するコイルの巻回作業を容易にすることができる。
第8技術によると、ロータの回転軸方向のスペースを有効に活用することができ、径方向(モータの回転軸に直交する方向)におけるモータ(ステータ)のサイズを小さくすることができる。
第9技術によると、ロータの回転軸方向の片側に第1ヨークが設けられる(典型的に、第1ヨークが1個だけ設けられる)場合と比較して、磁束とコイルの交差回数を増やすことができる。
第1実施例のステータの概略図を示す。 第1実施例のステータ構成部品を構造を説明するための図を示す。 第2実施例のステータの概略図を示す。 第2実施例のステータの部分断面図を示す。 従来のステータの基本構造を説明するための図を示す。
(第1実施例)
図1を参照し、ステータ100について説明する。ステータ100は、三相モータで用いられる。図1は、ステータの100の斜視図を示している。ステータ100は、U相を構成する部分ステータ6Uと、V相を構成する部分ステータ6Vと、W相を構成する部分ステータ6Wを備えている。各部分ステータ6U,6V及び6Wは、ロータ50の回転軸10方向に積層されている。具体的には、部分ステータ6U,6V及び6Wは、ロータ50の径方向(回転軸10方向に対して直交する方向)においてロータ50の外側に配置されており、ロータ50の周方向(ロータ50が回転する方向)において同一箇所で、回転軸10方向に並んで配置されている。部分ステータ6Uは、コイル2Uと、コイル2Uのコイル線の周りを巻回している透磁性リボン4Uを備えている。透磁性リボン4Uは、コイル2Uのコイル線に巻きつけられている。透磁性リボン4Uは、磁性部材の一例である。透磁性リボン4Uの端部に、ロータ50に対向する第1対向部4Ua及び第2対向部4Ubが設けられている。第1対向部4Uaと第2対向部4Ubは、回転軸10に対して対称の位置で、ロータ50に対向している。なお、ロータ50には、磁石(図示省略)が取り付けられている。
部分ステータ6Vと部分ステータ6Wは、実質的に部分ステータ6Uと同一の構造を備えている。すなわち、部分ステータ6Vはコイル2Vと透磁性リボン4Vを備えており、透磁性リボン4Vの端部にロータ50に対向する第1対向部4Va及び第2対向部4Vbが設けられている。また、部分ステータ6Wはコイル2Wと透磁性リボン4Wを備えており、透磁性リボン4Wの端部にロータ50に対向する第1対向部4Wa及び第2対向部4Wbが設けられている。なお、第1対向部4Vaと第2対向部4Vb、及び、第1対向部4Waと第2対向部4Wbも、各々回転軸10に対して対称の位置で、ロータ50に対向している。すなわち、第1対向部4Uaと第2対向部4Ub,第1対向部4Vaと第2対向部4Vb,第1対向部4Waと第2対向部4Wbは、各々ロータ50の周方向に180度離れて配置されている。また、第1対向部4Ua,4Va及び4Waは、各々ロータ50の周方向に120度離れて配置されている。同様に、第2対向部4Ub,4Vb及び4Wbは、各々ロータ50の周方向に120度離れて配置されている。
図2を参照し、部分ステータ6U,6V及び6Wの基本構造について説明する。なお、上記したように、部分ステータ6U,6V及び6Wは、実質的に同じ構造を有している。そのため、以下の説明では、部分ステータ6Uの基本構造のみを説明し、部分ステータ6V及び6Wの説明は省略する。なお、図2では、各部品の構造を明確にするため、透磁性リボン4Uの巻数を実際の巻数より少なく示している(図1も参照)。
図2に示すように、コイル2Uは環状であり、その表面は絶縁体(図示省略)で被覆されている。コイル2Uは、1本のコイル線を1回以上巻回したものであり、端部(図示省略)は、制御装置(図示省略)の出力部、他相のコイル(コイル2V,2W)の端部に接続されている。図2から明らかなように、透磁性リボン4Uは、コイル2U(コイル線)の周りを複数回(2回以上)巻回している。透磁性リボン4Uの端部には、金属製の対向部4Ua及び4Ubが固定されている。なお、対向部4Ua,4Ubは、透磁性リボン4Uの両端部を所定の形状に加工したものであってもよい。図1は、図2に示すコイル2U(部分ステータ6U)を複数回折り畳んだ状態を示している。具体的には、図1は、図2に示すコイル2Uを両端が連結された平行な2本の直線となるようにコイル2Uを潰し、さらに、直線状のコイル2Uを2回折り返した状態を示している。
上記したように、透磁性リボン4Uの端部に第1対向部4Ua及び第2対向部4Ubが設けられており、第1対向部4Uaと第2対向部4Ubは、各々ロータ50に対向している。そのため、ロータ50に取り付けられた磁石から生じた磁束は、透磁性リボン4Uを通過して一方の極から他方の極に移動する。すなわち、透磁性リボンは、ロータ50に取り付けられた磁石から生じた磁束が通過するための磁路として機能する。また、上記したように、透磁性リボン4Uは、コイル2Uの周りを複数回巻回している。換言すると、透磁性リボン4Uは、コイル2Uの内側を複数回通過している。そのため、部分ステータ6Uでは、磁束が、コイル2Uの内側を複数回通過し、コイル2U(コイル2Uを流れる環状電流)と複数回交差する。すなわち、ステータ100を用いてモータを製造すると、「式2:T=n×Φ×I×z,(n>1)」の関係を示すモータを実現することができる。ここで、(T)はモータの出力トルクを示し、(n)はコイルと磁束が交差する回数を示し、(Φ)は磁束を示し、(I)は電流を示し、(z)はコイルの巻数を示す。
(第1実施例のステータ100の利点)
ステータ100の利点について、図5に示す従来のステータ300と対比して説明する。上記したように、ステータ100を用いると、「式2:T=n×Φ×I×z,(n>1)」の関係を示すモータを製造することができる。一方、従来のステータ300の場合、ロータ50に設けられた磁石から生じる磁束は、矢印70のように、ティース62,ヨーク60,ティース62を通過してロータ50(磁石)に至る。そのため、ステータ300を用いたモータは、「式1:T=Φ×I×z」、すなわち、上記式2において、「n=1」の関係を示す。そのため、ステータ300を用いたモータでは、電流(I)一定で出力トルク(T)を大きくするためには、磁束(Φ)を大きくする(磁石使用量を増やす)か、コイルの巻数(コイル65の巻回数)を増加させる他ない。しかしながら、ステータ100では、磁束(Φ)及びコイル2(2U,2V,2W)の巻数を増加させることなく、透磁性リボン4(4U,4V,4W)の巻数を増加させることによって、出力トルク(T)を大きくすることができる。また、ステータ100では、透磁性リボン4の巻数によっては、出力トルク(T)を大きくするとともに、磁石使用量(磁石サイズ)を少なくすることもできる。
また、従来のステータ300は、ティース62にコイル65を巻回しているので、三相モータを実現するためには、ティース62及びコイル65を、ロータ50の周方向に等間隔に配置することが必要である。そのため、ステータ300は、各部品(コイル65,ティース62)のレイアウトが制限され、径方向におけるステータ300のサイズ(ヨーク60の径)の調整も限定される。それに対して、ステータ100は、コイル2に透磁性リボン4を巻回し、透磁性リボン4の端部に対向部4a,4bを設けている。そのため、コイル2及び透磁性リボン4を、ロータ50の周方向に等間隔に配置する必要がない。また、コイル2及び透磁性リボン4自体を、ロータ50に対向させる必要もない。そのため、図1に示すように、ステータ100を構成する部分ステータ6U,6V及び6Wを、ロータ50の周方向の一箇所にまとめて配置することができる。ステータ100は、径方向の形状(径方向サイズ等)の自由度を高くすることができる。
また、ステータ100は、コイル2(部分ステータ6)を複数回折り返し、コイル2の内側の空間を小さくしている(図1と図2を比較参照)。コイル2を複数回折り返すことにより、ステータ100の径方向サイズをさらに小さくすることができる。なお、従来のステータ300は、コイル65の内側にティース62を通過させる空間を確保することが必要なので、コイル65を折り返すことはできない。
(第2実施例)
図3及び図4を参照し、ステータ200について説明する。ステータ200は、三相モータで用いられる。図3は、ステータの200の斜視図を示している。ステータ200は、U相を構成する部分ステータ20a,20d,20gと、V相を構成する部分ステータ20b,20e,20hと、W相を構成する部分ステータ20c,20f,20iを備えている。部分ステータ20a〜20iは、第2ヨークの一例である。各部分ステータ20a〜20iには、3個のティース、すなわち、上部ティース22a〜22i,中部ティース24a〜22i,下部ティース26a〜26iが設けられている。図3には、ティース22a〜22i,24a〜22i,26a〜26iの一部が示されている。以下の説明では、各部分ステータ20a〜20iに共通する特徴について説明する場合、参照番号のアルファベットを省略し、単に部分ステータ20と称することがある。同様に、上部ティース22a〜22i,中部ティース24a〜22i,下部ティース26a〜26iに共通する特徴について説明する場合、単に上部ティース22,中部ティース24,下部ティース26と称することがある。上部ティース22及び下部ティース26は第1ティースの一例であり、中部ティース24は第2ティースの一例である。
上記したように、各部分ステータ20は、上部ティース22と中部ティース24と下部ティース26を備えている。各部分ステータ20において、上部ティース22と中部ティース24と下部ティース26は、ロータの回転軸10方向に互いにずれているとともに、回転軸10周り(ロータの周方向)にもずれている。
部分ステータ20の内側には、透磁性を有する環状の上部ヨーク40aが配置されている。上部ヨーク40aは、第1ヨークの一例である。上部ヨーク40aには、各上部ティース22a〜22iが接続されている。なお、図3には現れていないが、図4に示すように、上部ヨーク40aの下方には、ロータ50及び下部ヨーク40bが配置されている。具体的には、上部ヨーク40aと下部ヨーク40bの間に、ロータ50が配置されている。換言すると、ロータ50の回転軸10方向において、ロータ50の両側に、上部ヨーク40aと下部ヨーク40bが夫々設けられている。ロータ50には磁石(図示省略)が取り付けられている。また、ロータ50には、各中部ティース24a〜22iが対向している。なお、下部ヨーク40bは環状であり、実質的に上部ヨーク40aと同形状である。下部ヨーク40bには、各下部ティース26a〜26iが接続されている。下部ヨーク40bも、第1ヨークの一例である。各部分ステータ20と上部ヨーク40aと下部ヨーク40bは、ロータ50に取り付けられた磁石から生じた磁束が通過するための磁路として機能する。
図4には、上部ティース22bと中部ティース24aと下部ティース26iが現れている。すなわち、図4は、U相のコイル30aの内側を通過しているティース22b,24a,26iを示している。上記したように、上部ティース22bが設けられてる部分ステータ20bはV相を構成し、中部ティース24aが設けられてる部分ステータ20aはU相を構成し、下部ティース26iが設けられている部分ステータ20iはW相を構成している。そのため、U相のコイル30aの内側を、V相を構成する上部ティース22bと、U相を構成する中部ティース24aと、W相を構成する下部ティース26iが通過している。なお、上部ティース22bと中部ティース24aと下部ティース26iの周りに、U相のコイル30aが巻回されていると捉えることもできる。
図3に示すように、コイル30aと同様に、V相のコイル30bの内側を、上部ティース22c(W相)と、中部ティース24b(V相)と、下部ティース26a(U相)が通過している。W相のコイル30cの内側を、上部ティース22d(U相)と、中部ティース24c(W相)と、下部ティース26a(V相)が通過している。W相のコイル30iの内側を、上部ティース22a(U相)と、中部ティース24i(W相)と、下部ティース26h(V相)が通過している。同様に、コイル30d(U相)、コイル30e(V相)、コイル30f(W相)、コイル30g(U相)、コイル30h(V相)にも、対応する相の中部ティース24と、他相の上部ティース22及び下部ティース26が通過している。以下の説明では、コイル30a〜30iについて、共通する特徴を説明する場合に、単にコイル30と称することがある。
図3に示すように、各コイル30を通過する上部ティース22と中部ティース24と下部ティース26は、回転軸10方向に並んで配置されている。換言すると、各コイル30を通過する上部ティース22と中部ティース24と下部ティース26は、各々周方向において同じ位置であって、回転軸10方向にずれた位置に配置されている。そのため、上部ティース22と中部ティース24と下部ティース26にコイル30を巻回するときに、コイル30を効率よく巻回することができる。
次に、図4を参照し、ステータ200における磁束の流れを説明する。例えば、U相のコイル30(コイル30a,30d,30g)に電流が流れる場合について、コイル30aの内側を通過する磁束(コイル30aと交差する磁束)について説明する。ロータ50に取り付けられた磁石から生じた磁束は、矢印50a方向に進み、中部ティース24aを通過する。中部ティース24aを通過した磁束は、上部ティース22aを通過して上部ヨーク40aに流れるとともに、下部ティース26aを通過して下部ヨーク40bに流れる(図3も参照)。上部ヨーク40aに流れた磁束は、矢印50b方向に進み、部分ステータ20bの上部ティース22bを通過する。また、下部ヨーク40bに流れた磁束は、矢印50c方向に進み、部分ステータ20iの下部ティース26iを通過する。すなわち、U相のコイル30に電流が流れる場合、コイル30aの内側を3回磁束が通過する。なお、上部ティース22bを通過した磁束は、中部ティース24bを通過して磁石の他極に移動する。また、下部ティース26iを通過した磁束は、中部ティース24iを通過して磁石の他極に移動する。
(第2実施例のステータ200の利点)
上記したように、U相のコイル30aに電流が流れるときに、磁束は、コイル30aの内側を3回通過する。すなわち、磁束とコイル30aが3回交差する。なお、このことは、他のコイル30b〜30iについても同様である。そのため、ステータ200を用いると、上記式2において、「T=n×Φ×I×z,(n=3)」の関係を示すモータを製造することができる。上記したように、従来のステータ300(図5を参照)は、上記式2において、「n=1」の関係を示す。そのため、ステータ200を用いることにより、磁束(磁石使用量)及びコイル巻数を増加させることなく、出力トルク(T)をおよそ3倍にすることができる。あるいは、ステータ200を用いることにより、出力トルク(T)の低下を抑制しながら、磁石使用量を従来の3分の1程度にすることができる。
(他の実施形態)
本明細書で開示する技術は、コイルの内側を磁性部材が複数回通過し、モータの出力トルク(T)と、コイルと磁束の交差回数(n)と、磁束(Φ)と、電流(I)と、コイルの巻数(z)の関係が、「T=n×Φ×I×z,(n>1)」を満足する形態であれば、具体的な構成は種々に変更することができる。例えば、上記実施例では、ロータの径方向にステータを配置する例について説明した。すなわち、ラジアルギャップモータで用いられるステータの例を説明した。しかしながら、本明細書で開示する技術は、アキシャルギャップモータで用いられるステータに適用することもできる。
例えば、第1実施例のステータにおいて、各相の部分ステータを、ロータの周方向において、各々異なる位置に(周方向にずらして)配置してもよい。この場合、各相の部分ステータは、回転軸方向にずらして配置せず、回転軸方向において同一箇所に配置してもよい(すなわち、回転軸に直交する同一平面上に、全ての部分ステータを配置してもよい)。また、第1実施例のステータにおいて、コイルを折り返す回数は2回に限定されず、コイルを直線状に潰した後、3回以上折り返してもよいし、1回折り返してもよいし、折り返さなくてもよい。あるいは、コイルを潰しことなく、コイルの内側に隙間がある状態のままでもよい(図2を参照)。また、第1実施例のステータにおいて、リボン状の磁性部材(透磁性リボン)に代えて、薄板状の透磁部材を用いることもできる。この場合、薄板状の透磁部材をコイルを巻回するように折り返すことにより、薄板状の透磁部材がコイルの内側を複数回通過するように構成することができる。
第2実施例において、各ティースは、ロータの回転軸から離れる方向に伸びていてもよい。この場合、ロータは、ステータ(部分ステータ)の外側に配置する。アウターロータ型のモータを実現することができる。また、第2実施例において、上部ヨークと下部ヨークの一方を省略してもよい。すなわち、ロータの回転軸方向において、ロータの片側に、ロータと対向するようにヨーク(第1ヨーク)が設けられていてもよい。なお、第1ヨークの数に係らず、第1ヨークをロータと対向しない位置に設けてもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:コイル
4:磁性部材(透磁性リボン)
20:磁性部材(第2ヨーク)
22,26:第1ティース
24:第2ティース
40:磁性部材(第1ヨーク)
100:ステータ
200:ステータ

Claims (9)

  1. コイルと、
    コイルの内側を通過するとともにロータの磁石の磁束が通過するための磁路を構成する磁性部材と、を備えており、
    磁性部材がコイルの内側を複数回通過するように構成されている、ステータ。
  2. 請求項1に記載のステータであって、
    磁性部材は、リボン状であり、コイルを構成するコイル線の周りを巻回している、ステータ。
  3. 請求項2に記載のステータであって、
    前記コイル線が複数回折り返されている、ステータ。
  4. 請求項2又は3に記載のステータであって、
    磁性部材の端部に、前記磁石と対向する対向部が設けられている、ステータ。
  5. 請求項2から4のいずれか一項に記載のステータであって、
    磁性部材の材料が、アモルファス金属である、ステータ。
  6. 請求項1に記載のステータであって、
    磁性部材は、
    第1ヨークと、複数のティースが設けられている複数の第2ヨークとを含み、
    複数の第2ヨークの各々は、第1ヨークに接続されている第1ティースと、ロータの磁石に対向している第2ティースと、を備えている、ステータ。
  7. 請求項6に記載のステータであって、
    各第2ヨークの第1ティースと第2ティースが、互いにロータの回転軸周りにずれた位置に設けられており、
    特定の第2ヨークに設けられている第1ティースと、前記特定の第2ヨーク以外の第2ヨークに設けられている第2ティースとが、ロータの回転軸周りにおいて同じ位置に設けられている、ステータ。
  8. 請求項7に記載のステータであって、
    第1ヨークが、ロータの回転軸方向でロータと対向する位置に設けられている、ステータ。
  9. 請求項8に記載のステータであって、
    第1ヨークが、ロータの回転軸方向でロータの両側に夫々設けられている、ステータ。
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