JP2019109286A - 定着装置およびそれに用いる定着部材 - Google Patents

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哲也 佐野
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Abstract

【課題】繰り返し屈曲等の条件においても疲労破壊の発生を抑制し、より長寿命化を実現することのできる定着装置およびそれに用いる定着部材を提供する。【解決手段】画像を担持した記録材が挟持搬送されるニップ部を形成する、一方が記録材の搬送方向に直交する長手方向に長く、回転可能な第1の定着部材と、他方が前記第1の定着部材に対向する第2の定着部材と、前記ニップ部を加熱する加熱手段と、を有し、前記第1の定着部材は、残留応力が付与された金属層を備え、前記金属層は、前記長手方向で残留応力の値が異なる。【選択図】 図8

Description

本発明は、複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置に用いられる定着装置およびそれに用いる定着部材に関するものである。
電子写真方式を用いた画像形成装置では、感光ドラム上に形成されたトナー像(画像)を記録材上に転写し、記録材上に形成された未定着トナー像を像加熱装置である定着装置によって加熱加圧し定着させることで固着した画像を得る。このような画像形成装置に使用される定着装置としては、熱容量が小さくウォームアップ時間が短い、フィルム加熱方式が用いられている(特許文献1)。
このフィルム加熱方式の定着装置は、加熱体としてのヒータと、加圧部材としての加圧ローラとの間に断面がリング状のフィルム部材としての耐熱性フィルム(ベルト)を挟ませて定着ニップ部(ニップ部)を形成する。そして、該ニップ部の耐熱性フィルムと加圧ローラとの間に未定着トナー像を形成担持させた記録材を導入して耐熱性フィルムと一緒に狭持搬送させる。これにより、耐熱性フィルムを介してヒータの熱を与えながらニップ部の加圧力で未定着トナー像を記録材の記録面に定着させるものである。
そして、近年では、耐熱性フィルムとして、SUSなどの金属からなる金属スリーブを用いた方式のものが提案されている(特許文献2、特許文献3)。
特開平4−44075号公報 特開2003−156954号公報 特開2010−266704号公報
ここで、上述した画像形成装置においては、交換頻度などメンテナンス性やランニングコストの観点から、より長寿命化を図ることが要求されている。特に、金属スリーブを用いた定着装置は、ニップ部の記録材搬送方向の両端部における繰り返し屈曲による疲労などによるクラック(スリーブ破損)が発生する場合があり、長寿命化する場合の課題となっている。
すなわち、金属スリーブを用いた定着装置においては、金属スリーブは、加圧ローラ等の押圧によって、ニップ部においてリング形状(円筒形状)から扁平する形状に変形する。ニップ部では、ヒータ面および突起部を有するガイド部材から形成される形状に押圧されるため、金属スリーブの変形としては、径が小さくなる方向に曲がる部分(正曲げ部分)と、径が大きくなる方向に曲がる部分(逆曲げ部分)に変形する。したがって、回転によってニップ部を通過する際には、正曲げ、逆曲げの屈曲を繰り返すこととなる。
そして、曲げによる応力が金属スリーブに繰り返し付与されることによって、疲労破壊が発生する。金属スリーブが破壊されると、画像不良や搬送不良などが発生し、定着器は交換が必要となる寿命を迎える。上述した曲げの曲率が小さいほど金属スリーブにかかる応力は大きく、応力の大きい負荷を繰り返し付与される方が疲労は大きい。このため、曲げの曲率の小さい場合の方が、疲労破壊はより早く発生し、寿命は短くなる。
正曲げ、逆曲げの度合いは、金属スリーブの径や厚み、ニップ部を形成するガイド部材の形状などによる。特に、定着性を向上させるためにガイド部材のニップ部下流側に突起部を設けて、局所的に加圧力を高める構成とする場合などでは、局所加圧部による曲げの曲率がより小さくなる。このため、金属スリーブにかかる応力はより大きくなり、疲労破壊は早く発生する。
本発明の目的は、繰り返し屈曲等の条件においても疲労破壊の発生を抑制し、より長寿命化を実現することのできる定着装置およびそれに用いる定着部材を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る定着装置は、画像を担持した記録材が挟持搬送されるニップ部を形成する、一方が記録材の搬送方向に直交する長手方向に長く、回転可能な第1の定着部材と、他方が前記第1の定着部材に対向する第2の定着部材と、前記ニップ部を加熱する加熱手段と、を有し、前記第1の定着部材は、残留応力が付与された金属層を備え、前記金属層は、前記長手方向で残留応力の値が異なることを特徴とする。
また、本発明に係る定着部材は、対向体との間で、画像を担持した記録材が挟持搬送されるニップ部を形成する、長手方向に長い定着部材であって、残留応力が付与された金属層を備え、前記金属層は、前記長手方向で残留応力の値が異なることを特徴とする。
本発明によれば、繰り返し屈曲等の条件においても疲労破壊の発生を抑制し、より長寿命化を実現することのできる定着装置およびそれに用いる定着部材を提供することができる。
本発明の実施形態に係る定着装置を搭載した画像形成装置の模式図 本発明の実施形態に係る定着装置の模式図 本発明の実施形態に係る定着装置の長手方向の端部を示す図 第1の実施形態の長手方向の中央部におけるニップ部の拡大断面図 第1の実施形態の長手方向の中央部における金属スリーブに付与される応力を示す図 第1の実施形態の長手方向の端部におけるニップ部の拡大断面図 第1の実施形態の長手方向の端部における紺族スリーブに付与される応力を示す図 (a)、(b)は、第1の実施形態の金属スリーブに付与される長手方向の中央部、端部における残留応力を示す図 (a)、(b)は、第2の実施形態の金属スリーブに付与される長手方向の中央部、端部における残留応力を示す図
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図1は、本発明の実施形態に係る定着装置を搭載した画像形成装置としての、電子写真プロセス利用のレーザービームプリンタの模式図である。1は像担持体としての電子写真感光体ドラム(以下、ドラム)であり、矢印方向(時計方向)に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。2は接触帯電ローラ等の帯電手段であり、この帯電手段2によりドラム1の面が所定の極性・電位に一様に帯電処理(一次帯電)される。
3は画像露光手段としてのレーザービームスキャナであり、不図示のイメージスキャナ・コンピュータ等の外部機器から入力する目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応してオン/オフ変調したレーザー光Lを出力する。そして、ドラム1の帯電処理面を走査露光(照射)する。この走査露光により、ドラム1の面の露光明部の電荷が除電されて、ドラム1の面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。4は現像装置であり、現像スリーブ4aからドラム1の面に現像剤(トナー)が供給されて、ドラム1の面の静電潜像が、可転写像であるトナー像として順次に現像される。
5は給紙カセットであり、記録材Pを積載収納させてある。9は転写手段としての転写ローラであり、所定の電圧が印加され、トナー像を記録材上に転写する。
次に、図1を用いて画像形成動作を説明する。給紙ローラ6が駆動されて給紙カセット5内の記録材Pが一枚ずつ分離給紙され、レジストローラ7、シートパス8aを通って、ドラム1と転写ローラ9との当接ニップ部である転写部位Tに所定のタイミングで導入される。この間、帯電手段、露光手段、現像手段によりトナー画像形成処理がなされ、ドラム1上にトナー像が形成される。そして、ドラム1上のトナー像の先端部が転写部位Tに到達したとき、記録材Pの先端部もちょうど転写部位Tに到達するタイミングとなるように、レジストローラ7で記録材Pの搬送が制御される。
転写部位Tに導入された記録材Pは、この転写部位Tで挟持搬送され、その間、転写ローラ9には不図示の転写バイアス印加電源から制御された所定の転写電圧(転写バイアス)が印加され、ドラム1面側のトナー像が記録材Pの表面に静電的に転写される。転写部位Tにおいてトナー像の転写を受けた記録材Pは、ドラム1の面から分離されてシートパス8bを通って、所定の温度(170℃)に制御された定着装置(定着器、定着部)100のニップ部Nへ搬送導入される。そして、トナー像(画像)の加熱・加圧定着処理を受ける。
一方、記録材分離後(記録材Pに対するトナー像転写後)のドラム1の面は、クリーニング装置10で転写残トナーや紙粉等の除去がされて清浄面化され、繰り返して作像することに供される。そして、定着装置100を通った記録材Pは、シートパス8c側に進路案内されて、排紙口13から排紙トレイ14上に排出される。
(定着装置)
図2に、像加熱装置の一例としての定着装置100の断面図を示す。定着装置(定着器、定着部)100は、画像を担持した記録材が挟持搬送される定着ニップ部(以下、ニップ部)Nを形成する、このニップ部を形成するために、一方が第1の定着部材、他方が第1の定着部材に対向する対向体としての第2の定着部材を備える。すなわち、記録材の搬送方向に直交する長手方向に長く、長手方向に直交する断面がリング形状の回転可能な第1の定着部材としての円筒状の金属スリーブ(エンドレスベルト)102を備える。また、第2の定着部材としての加圧ローラ108を備える。
更に、定着装置100は、金属スリーブ102の面に接触する、ニップ部を加熱する加熱手段としてのヒータ300を備える。
第1の定着部材としての金属スリーブ102は、ステンレス等の金属からなる厚さ20〜70μmの基層上に、PFA、PTFE等のフッ素樹脂からなる厚さ5〜30μmの離型層を設けたものである。なお、画質向上のため、基層と離型層の間に中間層として、シリコンゴムなどからなる厚さ100〜300μmの弾性層を設ける構成としてもよい。そして、金属層として金属の基層には、後に詳述する残留圧縮応力が付与されている。
一方、第2の定着部材としての加圧ローラ108は、鉄やアルミニウム等からなる芯金109と、シリコーンゴム等からなる厚さ2〜4mmの弾性層110を有する。
そして、ヒータ300は、幅5〜12mm、厚さ0.5〜1mmのアルミナ等からなるセラミック製のヒータ基板105と、基板105上に例えばAg/Pd(銀パラジウム)等の発熱抵抗体を用いて形成された発熱体Hを備える。更に、発熱体Hを覆う厚さ0.05〜0.1mmの絶縁性(本実施形態ではガラス)の表面保護層107を備える。
LCP(液晶ポリマ)等の耐熱樹脂製のガイド部材(保持部材)101にヒータ300は保持されており、このガイド部材101は金属スリーブ102の回転を案内するガイド機能も有している。そして、加圧手段(不図示)により総圧10〜30kgfの圧力で、金属スリーブ102を介してヒータ300と加圧ローラ108は加圧されることにより、幅5〜11mmのニップ部Nを形成する。
加圧ローラ108はモータ120から動力を受けて矢印方向に回転し、加圧ローラ108が回転することによって金属スリーブ102が従動して回転する。金属スリーブ102の内面には、ヒータ300、ガイド部材101と摺擦して回転するときの摺動抵抗(摩擦抵抗)を小さく抑えるため、潤滑剤としてフッ素系の耐熱性グリースなどを介在させてある。
ヒータ基板105の裏面側(金属スリーブ102と反対側)で、長手方向において通紙領域に対応する領域には、サーミスタ等の温度検知素子111が当接している。そして、温度検知素子111の検知温度に応じて商用交流電源から発熱ラインへ供給する電力が制御され、所定の温度となるように温度制御がされる。ヒータ300によって、未定着トナー画像を担持する記録材(記録紙、用紙)Pは、ニップ部Nで挟持搬送されつつ加熱されて定着処理される。図2において、104はガイド部材101に不図示のバネの圧力を加えるための金属製のステーである。
図3は、長手方向(記録材搬送方向に直交する方向)における端部の様子(長手位置関係)を示した模式図である。金属スリーブ102の長手方向の長さは、いるより長くなるように構成されている。このため、金属スリーブ102の長手方向端部は、加圧ローラと接触(対向)しない部分を有している。長手方向で、加圧ローラ108と接触(対向)する領域を領域L1、加圧ローラと接触(対向)しない領域を領域L2とする。
ここで、金属スリーブ102にかかる応力について、図4を用いて説明する。図4は、長手方向の中央部(領域L1内)における長手方向に直交する断面図で、ニップ部Nの記録材搬送方向(短手方向)における金属スリーブ102の変形を示す拡大模式図である。
金属スリーブ102は、図4に示すように、ニップ部において、加圧ローラ108の押圧によって、ヒータ300とガイド部材101とで形成される形状に変形する。図中(A)は、円筒形状から径が小さくなる方向に曲がる(正曲げ)部分で、図中(B)は、円筒形状から径が大きくなる方向に曲がる(逆曲げ)部分である。このように、ヒータ面(フラット面)に押圧されることや、ヒータ300とガイド部材101との段差(高さの差)の影響により、正曲げ形状、逆曲げ形状に変形する。
この変形によって、金属スリーブ102には、図5のような応力が付与される。図5は、変形の無い理想的な円筒形状を応力の基準(=0)とし、外周面の引張応力(正曲げ)をマイナス、内周面の引張応力(逆曲げ)をプラスとしている。すなわち、ニップ部の記録材搬送方向(短手方向)の両端部近傍の正曲げ部分(A)には負の応力(=外周面側の引張応力)が作用する。そして、ニップ部の記録材搬送方向(短手方向)の中央の逆曲げ部分(B)には、正の応力(=内周面側の引張応力)が作用する。
図5に示す長手方向の中央部で、金属スリーブ102に作用する最大の応力(ピーク値)は、マイナス側(正曲げ)が−700MPa(外周面側に700MPaの引張応力)、プラス側(逆曲げ側)が500MPa(内周面側に500MPaの引張応力)である。すなわち、絶対値としては、正曲げの応力(外周面側の引張応力)の方が大きい。
なお、図5は、金属スリーブ102として、φ24(mm)、厚さ30μmのSUSスリーブを用いた場合の例で、ガイド部材101とヒータ300のヒータ面の段差は0.3mmである。そして、局所加圧としてニップ部の下流側部分の加圧力が高く作用するように、φ24(mm)の加圧ローラ108の回転中心を上流側に1mmオフセットさせて配置し、加圧力25kgfで加圧させたときの値を示している。この応力の値は、金属スリーブ102の径や厚み、加圧ローラ108の径、加圧力、ヒータ300とガイド部材102の段差や位置などにより決まる。
図5に示す長手方向の中央部(領域L1内)に対し、長手方向の端部(領域L2)における金属スリーブ102の変形は、図6に示すようになる。すなわち、形状としては領域L1での変形の影響を受けた形状となるものの、領域L1の場合(図5)に比べるとその変形量は小さい。
図7は、領域L2の金属スリーブ102にかかる応力を示す。領域L1の場合(図5)に比べ、逆曲げによる応力の分布が異なるのに加え、正曲げ、逆曲げの応力ピーク値も低い値となっている(ピーク値で、330MPaと−300MPaの応力)。
ここで、本実施形態では、金属スリーブ102にかかる応力(応力分布)に応じて、金属スリーブ102に残留応力を付与することで、繰り返し屈曲による疲労破壊を抑制し、長寿命化を図る。すなわち、金属スリーブ102にかかる実質的な最大応力を小さくするように、金属スリーブ102に残留応力を付与することで、繰り返し屈曲による疲労破壊を抑制し、長寿命化を図る。
すなわち、図8(a)に示すように、金属スリーブ102の領域L1(長手方向の中央部)で、正曲げと逆曲げによる屈曲応力分布の最大応力(最小値の−700MPaと最大値の500MPa)の中間値になるように、残留圧縮応力を付与する。具体的には、外周面側に100MPa(−100MPa)の残留圧縮応力を付与する。また図8(b)に示すように、金属スリーブ102の領域L2(長手方向の端部)で、正曲げと逆曲げによる最大応力(最小値の−300MPaと最大値の330MPa)の中間値になるように、内周面側に15MPa(+15MPa)の残留圧縮応力を付与する。
ここで、残留応力が付与された金属スリーブ102は、見かけ上(外見上)、円筒状であって、長手方向の各位置における断面形状(リング形状)の径は同じである。しかし、残留応力が付与された金属スリーブ102を長手方向に切り開くと、内面側に圧縮残留応力が付与されている状態の場合には、径が大きくなる方向(正方向)に変化する。一方、外周面に残留圧縮応力が付与されている状態の場合には、径が小さくなる方向(負方向)に変化する。このように、長手方向に切り開くと断面形状(リング形状)における径が変化する。
なお、この径の変化は、金属スリーブ102の厚みや材質等で決まり、本実施形態では、100MPaの残留応力を内周面に付与した場合、φ24(mm)の径が、φ40(mm)に変化した。
ここで、金属スリーブに残留応力を付与する方法としては、例えばショットピーニング等の表面改質による方法などがある。ショットピーニングは、粒径10〜300μmの研磨材を予め定められた吐出圧力で噴射し、金属層の表面を改質させるもので、処理条件を調整することで所望の残留圧縮応力を得ることができる。
そして、マスキング、噴射時間など、処理の強度を適宜調整することで、部分的に残留応力の値を変更することが可能であり、長手方向で異なる値の残留応力を付与することが可能である。本実施形態では、株式会社 不二製作所製のショットピーニング装置(ニューマ・ブラスター)にて、内周面または外周面の金属層にショットピーニング処理を施し、所望の残留圧縮応力を得た。
残留応力の付与状態は、上述したように円筒状のスリーブを長手方向に切り開いて、径の変化を確認することで、簡易的に確認できる。
上記のような構成とすることで、屈曲による金属スリーブ102にかかる最大応力を小さくすることができ、回転における繰り返し屈曲においても、疲労を抑制できる。すなわち、屈曲によって生じる逆曲げ、正曲げの応力に対し、金属スリーブ102自身に残留応力を付与して、曲げによる応力を相殺することで、実質的に金属スリーブ102に作用する最大応力を小さくできる。
具体的には、領域L1(長手方向の中央領域)において、正曲げ時に最大700MPa(−700MPa)の応力がかかるのに対し、金属スリーブ102の外周面側に100MPaの残留圧縮応力(−100MPa)を付与する。これにより、屈曲時にかかる実質的な最大応力を、600MPaと小さくすることができる。
また、領域L2(長手方向の端部領域)においては、逆曲げ側に330MPaの最大応力がかかるのに対し、金属スリーブ102の内周面側に15MPaの残留圧縮応力を付与する。これにより、屈曲時にかかる実質的な最大応力を、315MPaと小さくすることができる。したがって、繰り返し作用する屈曲時の最大応力を小さくできるため、疲労破壊の発生を抑制し、長寿命化を実現できる。
さらに、本実施形態では、金属スリーブ102の長手方向の端部には、内周面に残留圧縮応力を付与しているため、内側(長手方向で中央部側)に折れ曲がりにくくなっている。その結果、スリーブの長手方向の寄りによる挫掘の発生を抑制する効果もある。すなわち、金属スリーブの長手方向端部は、一般に長手方向の寄りによってフランジ等の規制部材に突き当たって内側に折れ曲がる挫掘が発生し易いが、本実施形態のように構成することで、内側への折れ曲がりを抑制できるため、挫掘の発生を抑制できる。
なお、本実施形態では、領域L2に関しては、領域L2に作用する最大応力(−300MPa、330MPa)の中間の値に相当する値となるように残留応力を付与した。しかし、領域L1に比べ最大応力の値自体は小さいため、必ずしも、中間の値にしなくても、屈曲による疲労破壊を抑制できる。このため、屈曲に対する疲労破壊よりも、金属スリーブの寄りに起因する挫掘の抑制のために、より大きな残留圧縮応力を内周面側に付与する構成としてもよい。
表1は、本実施形態の効果の確認として、本実施形態の定着装置を用い、通紙試験を行った結果である。クラックの発生を寿命と判断し、クラックの発生した枚数を確認した。比較例として、本実施形態の定着装置に、金属スリーブに残留応力を付与しなかった場合の例(比較例1)、領域L1に−200MPaの残留応力を付与した例(比較例2)も示す。
本実施形態(実施例1)の場合、実質的に金属スリーブ102にかかる最大応力は、正曲げ、逆曲げともに絶対値として600PMaであるのに対し、比較例1では、絶対値として正曲げ700MPaであり、正曲げ側の応力による屈曲疲労が大きい。また、比較例2では、絶対値として逆曲げ700MPaであり、逆曲げの応力がより大きく、屈曲疲労が大きい。
そして、通紙試験結果では、比較例1、比較例2の場合は、約20万枚でクラック発生(=寿命)となったのに対し、本実施形態(実施例1)の場合、約30万枚でクラック発生(=寿命)であり、より高寿命化しているのを確認した。
また、本実施形態では、残留応力を所定の値に調整(コントロール)するという構成である。したがって、金属スリーブ102の残留応力を適切に管理することによって、金属スリーブ102の製造時に生じるばらつきを小さくすることができ、安定した品質を保つことも可能となる。
以上、本実施形態では、金属スリーブの屈曲によって作用する応力の大きさに応じた残留応力を金属スリーブに付与することで、繰り返し屈曲に対して、金属スリーブに作用する最大応力を小さくして、疲労破壊を抑制できる。これにより、より長寿命化を達成することのできる定着装置およびこれを用いた画像形成装置を提供することが可能となる。
《第2の実施形態》
本発明の第2の実施形態は、記録材搬送方向(短手方向)で、ニップ部の下流部のガイド部材の形状を変更したものであり、それ以外は、第1の実施形態と同等の構成である。第1の実施形態では、ガイド部材101とヒータ300のヒータ面の段差は0.3mmであったが、本実施形態では、ガイド部材101とヒータ300のヒータ面の段差を0.1mmとなるように設定した。その結果、局所加圧具合は弱くなり、金属スリーブ102の曲げ曲率は小さく(曲率半径は大きく)、したがって金属スリーブ102にかかる応力は小さくなっている。
図9は、本実施形態の金属スリーブ102において屈曲によってかかる応力と、金属スリーブ102に付与した残留応力を示す。図9から分かるように、領域L1(長手方向の中央部)では、スリーブに作用する最大の応力は、正曲げ側は−400MPa(外周面側に400MPaの引張応力)、逆曲げ側は、500MPa(内周面側に500MPaの引張応力)である。すなわち、第1の実施形態に比べ正曲げ側の応力が小さくなったため、相対的に逆曲げ(内周面側の引張応力)の応力の方が大きくなっている。
そして、領域L2(長手方向の端部側)の金属スリーブにかかる応力は、ピーク値で、330MPaと−290MPaであり、領域L1に比べ、ともに絶対値として低い値となる。
このような本実施形態では、金属スリーブに付与する残留応力は、図9(a)に示すように、領域L1で50MPaに相当する残留圧縮応力(内周側に50MPaの圧縮応力)を付与した。また、図9(b)に示すように、領域L2で20MPaに相当する残留圧縮応力(内周側に20MPaの圧縮応力)を付与した。
本実施形態においても、通紙試験を行いクラック発生する枚数の確認したところ、それぞれ長寿命化しているのを確認できた。
このように、本実施形態においても、金属スリーブに作用する応力の大きさに応じた残留応力を金属スリーブに付与することで、繰り返し屈曲に対して、金属スリーブに作用する最大応力を小さくして、疲労破壊を抑制できる。これにより、より長寿命化を達成することのできる定着装置およびこれを用いた画像形成装置を提供することが可能となる。
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(変形例1)
上述した実施形態では、定着部における加熱はヒータによるものであったが、本発明はこれに限らず、励磁コイルを用いた電磁誘導方式などを用いても良い。この場合、ヒータ300に替わるバックアップ部材を設ければ、加圧された状態のニップ部を形成することが可能である。
(変形例2)
上述した実施形態では、金属層が長手方向で残留応力の値が異なる第1の定着部材において、長手方向の中央部に対し長手方向の端部は両端部を前提としたが、長手方向の中央部に対し長手方向の片側の端部を前提とするものであっても良い。
(変形例3)
上述した実施形態では、記録材として記録紙を説明したが、本発明における記録材は紙に限定されるものではない。一般に、記録材とは、画像形成装置によってトナー像が形成されるシート状の部材であり、例えば、定型或いは不定型の普通紙、厚紙、薄紙、封筒、葉書、シール、樹脂シート、OHPシート、光沢紙等が含まれる。なお、上述した実施形態では、便宜上、記録材(シート)Pの扱いを通紙、排紙、給紙、通紙部、非通紙部などの用語を用いて説明したが、これによって本発明における記録材が紙に限定されるものではない。
(変形例4)
上述した実施形態では、未定着トナー像をシートに定着する定着装置を例に説明したが、本発明は、これに限らず、画像の光沢を向上させるべく、シートに仮定着されたトナー像を加熱加圧する装置(この場合も定着装置と呼ぶ)にも同様に適用可能である。
102・・金属スリーブ(エンドレスベルト)、108・・加圧ローラ、300‥‥ヒータ

Claims (16)

  1. 画像を担持した記録材が挟持搬送されるニップ部を形成する、一方が記録材の搬送方向に直交する長手方向に長く、回転可能な第1の定着部材と、他方が前記第1の定着部材に対向する第2の定着部材と、
    前記ニップ部を加熱する加熱手段と、
    を有し、
    前記第1の定着部材は、残留応力が付与された金属層を備え、
    前記金属層は、前記長手方向で残留応力の値が異なることを特徴とする定着装置。
  2. 前記残留応力は、内周面に付与されて切り開いたときに径が大きくなる正方向に変化する、もしくは外周面に付与されて切り開いたときに径が小さくなる負方向に変化することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記残留応力の値は、
    前記第1の定着部材の前記長手方向における第1の領域において、第1の値であり、
    前記第1の領域に対し端部側の第2の領域において、前記第1の値の絶対値と異なる絶対値となる第2の値であることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記第1の定着部材の前記長手方向における長さは、前記第2の定着部材の前記長手方向における長さより長く、
    前記第1の定着部材の前記第1の領域は前記第2の定着部材と対向する領域であり、
    前記第1の定着部材の前記第2の領域は前記第2の定着部材と対向しない領域であることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記第2の値の絶対値は、前記第1の値の絶対値より小さいことを特徴とする請求項3または4に記載の定着装置。
  6. 前記第1の値は、前記ニップ部の前記長手方向に直交する記録材搬送方向における曲げによる屈曲応力分布の最大値および最小値を基に、その中間値として設定されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の定着装置。
  7. 前記第2の値は、前記ニップ部の前記長手方向に直交する記録材搬送方向における曲げによる屈曲応力分布の最大値および最小値を基に、その中間値として設定されることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
  8. 前記第2の値は、前記第1の定着部材の前記長手方向の端部への寄りに起因する挫掘の抑制のために、前記ニップ部の前記長手方向に直交する記録材搬送方向における曲げによる屈曲応力分布の最大値および最小値の中間値より大きな値として設定されることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
  9. 前記第1の領域における前記残留応力は、外周面に付与されて切り開いたときに径が小さくなる負方向に変化する値であり、
    前記第2の領域における前記残留応力は、内周面に付与されて切り開いたときに径が大きくなる正方向に変化する値であることを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1項に記載の定着装置。
  10. 前記第1の領域における前記残留応力は、内周面に付与されて切り開いたときに径が大きくなる正方向に変化する値であり、
    前記第2の領域における前記残留応力は、内周面に付与されて切り開いたときに径が大きくなる正方向に変化する値であって、前記第1の領域における前記残留応力の値より小さい値であることを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1項に記載の定着装置。
  11. 前記第1の定着部材は、前記長手方向に直交する断面がリング状であり、
    前記金属層が基層に設けられることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の定着装置。
  12. 対向体との間で、画像を担持した記録材が挟持搬送されるニップ部を形成する、長手方向に長い定着部材であって、
    残留応力が付与された金属層を備え、
    前記金属層は、前記長手方向で残留応力の値が異なることを特徴とする定着部材。
  13. 前記残留応力は、内周面に付与されて切り開いたときに径が大きくなる正方向に変化する、もしくは外周面に付与されて切り開いたときに径が小さくなる負方向に変化することを特徴とする請求項12に記載の定着部材。
  14. 前記残留応力の値は、
    前記長手方向における第1の領域において、第1の値であり、
    前記第1の領域に対し端部側の第2の領域において、前記第1の値の絶対値と異なる絶対値となる第2の値であることを特徴とする請求項13に記載の定着部材。
  15. 前記第2の値の絶対値は、前記第1の値の絶対値より小さいことを特徴とする請求項14に記載の定着部材。
  16. 前記長手方向に直交する断面がリング状であり、
    前記金属層が基層に設けられることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか1項に記載の定着部材。
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