JP2019108329A - 胎盤細胞外マトリクスを使用する口腔病変の治療 - Google Patents

胎盤細胞外マトリクスを使用する口腔病変の治療 Download PDF

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Abstract

【課題】口腔病変の治療のためのコラーゲン含有新規組成物の提供。【解決手段】細胞外マトリクスの治療有効量を口腔病変へ投与することを含む、口腔病変を有する個体を治療する方法。前記細胞外マトリクスは、化学修飾されていないか又は外来性プロテアーゼと接触されていないヒト胎盤由来の細胞外マトリクスであって、界面活性剤による処置により調製されたものであることが好ましい。前記細胞外マトリクスは、コラーゲンを含むことが好ましく、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン及びグリコサミノグリカンから選択される1種以上を更に含むことが好ましい。【選択図】図1

Description

本出願は、その開示が全体として引用により本明細書中に組み込まれている、2012年12
月7日に出願された米国特許仮出願第61/734,665号の優先権を主張するものである。
(1. 分野)
非歯科的口腔病変の治療における、細胞外マトリクス(ECM)を含有する組成物及びECM成
分を含有する組成物の使用が、本明細書に提供される。
(2. 背景)
コラーゲンは、皮膚及び内臓を支える、腱、骨、歯及び鞘(sheets)を含む体内の多くの
構造物を形成する、細胞外マトリクスタンパク質成分である。口腔病変の治療のためのコ
ラーゲン組成物の必要性が、当該技術分野において依然存在している。
(3. 概要)
一態様において、口腔病変、例えば歯科手技により引き起こされたのではない口腔病変
を有する個体を治療する方法であって、細胞外マトリクス(ECM)、例えばヒト胎盤ECMを含
有する組成物、又は1種以上のECM成分を含有する組成物を、該個体へ投与することを含む
方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施態様において、本組成物は、該口腔病変
へ直接投与される。他の実施態様において、本組成物は、口腔病変の少なくとも一部に隣
接して又は周辺に投与される。いくつかの実施態様において、本組成物は、ペーストとし
て投与される。いくつかの他の実施態様において、本組成物は、スプレー剤又はエアゾー
ル剤の形状で投与される。いくつかの他の実施態様において、本組成物は、液剤の形状で
、例えば含嗽剤で投与される。いくつかの他の実施態様において、本組成物は、シート又
は貼付剤として投与される。
一実施態様において、この口腔病変は、移植片対宿主疾患により引き起こされるか又は
これに関連している。別の実施態様において、口腔病変は、剥離であるか、剥離の結果で
あるか、又は剥離に関連しており、例えば剥離性口腔障害である。別の具体的実施態様に
おいて、口腔病変は、アフタ性潰瘍である。具体的実施態様において、アフタ性潰瘍は、
ベーチェット病により引き起こされるか又はベーチェット病の一部である。別の具体的実
施態様において、アフタ性潰瘍は、特発性である。
いくつかの実施態様において、該口腔病変を有する該個体は、造血幹細胞療法を受けて
いるか又はこれを受けたことがある。別の具体的実施態様において、該個体は、骨髄移植
を受けているか又はこれを受けたことがある。より具体的実施態様において、該造血幹細
胞療法は、部分的又は完全な造血細胞アブレーション(hematopoietic ablation)を含む。
具体的実施態様において、該アブレーションは、限局的又は全身の放射線照射を含む。別
の具体的実施態様において、口腔病変を有する個体は、頭部又は頸部に放射線療法を受け
ているか又はこれを受けたことがある。
別の実施態様において、口腔病変は、化学療法、例えば腫瘍、血液癌、若しくは他の種
類の癌を治療するために個体へ投与された化学療法により引き起こされるか又はこれに関
連している。具体的実施態様において、口腔病変は、口腔病変を有する個体による、化学
療法薬、例えばアルキル化剤、例としてメルファランなどのナイトロジェンマスタードア
ルキル化剤の使用により引き起こされるか又はこれに関連している。別の具体的実施態様
において、口腔病変は、化学療法後の口腔粘膜炎又は化学療法が誘発した口腔粘膜炎であ
る。別の具体的実施態様において、口腔病変は、アフタ性口内炎、例えば特発性アフタ性
口内炎であるか又はこれと診断されている。具体的実施態様において、口腔病変は、口腔
病変を有する個体による、mTOR(ラパマイシンの哺乳動物での標的)阻害剤の使用により引
き起こされるか又はこれに関連している。別の具体的実施態様において、口腔病変は、口
腔病変を有する個体による、5-フルオロウラシルの使用により引き起こされるか又はこれ
に関連している。別の具体的実施態様において、該個体が療法コース、例えば化学療法を
受けているか又は受けたことがある場合の、該個体における該口腔病変の発症は、該療法
のコースの早期終結を引き起こしている。この文脈において、「早期終結」とは、該口腔
病変の部分的又は全体的結果として、該個体に処方される前の、療法のコースの終結を意
味する。
別の実施態様において、口腔病変は、該個体への抗体の投与により引き起こされるか又
はこれに関連している。いくつかの具体的実施態様において、この抗体は、抗-CD20抗体
である。より具体的な実施態様において、抗体は、リツキシマブ(例えばRITUXAN(登録商
標))、オファツムマブ(例えばARZERRA(登録商標))、ベルツズマブ又はオクレリズマブで
ある。別の具体的実施態様において、抗体は、抗-腫瘍壊死因子抗体である。より具体的
な実施態様において、抗体は、アダリムマブ(例えばHUMIRA(登録商標))、エタネルセプト
(例えばENBREL(登録商標))、インフリキシマブ(例えばREMICADE(登録商標))、セルトリズ
マブペゴル(例えばCIMZIA(登録商標))、ナタリズマブ(例えばTYSABRI(登録商標))又はゴ
リムマブ(例えばSIMPONI(登録商標))である。別の具体的実施態様において、該個体が、
抗体療法コースを受けている又は受けたことがある場合の、該個体における該口腔病変の
発症は、該抗体療法のコースの早期終結を引き起こしている。この文脈において、「早期
終結」とは、該口腔病変の部分的又は全体的結果として、該個体に処方される前の、抗体
療法のコースの終結を意味する。
一実施態様において、口腔病変を有する個体は、世界保健機関経口毒性(WHO-OT)スコア
を用い診断又は評価される。具体的実施態様において、該ECMの該個体への投与は、例え
ば投与後1、2、3、4、5、6、又は7日以内に、WHO-OTスコアの、4等級から3等級へ、3等級
から2等級へ、2等級から1等級へ、4等級から2等級へ、4等級から1等級へ、又は3等級から
1等級への低下を生じる。
別の実施態様において、口腔病変を有する個体は、口腔粘膜炎に関する米国国立癌研究
所共通毒性基準(NCI-CTC)スコアを用い診断又は評価される。具体的実施態様において、
該ECMの該個体への投与は、例えば投与後1、2、3、4、5、6、又は7日以内に、NCI-CTCス
コア(口内炎/咽頭炎[口腔/咽頭粘膜炎]に関する)の、4等級から3等級へ、3等級から2等級
へ、2等級から1等級へ、1等級から0等級へ、4等級から2等級へ、4等級から1等級へ、4等
級から0等級へ、3等級から1等級へ、3等級から0等級へ、又は2等級から0等級への低下を
生じる。
別の実施態様において、口腔病変を有する個体は、口腔粘膜炎に対する評価尺度(OMAS)
を用い診断又は評価され、ここで該OMASは、平均粘膜炎スコア、重み付け平均粘膜炎スコ
ア、粘膜炎範囲スコア、及び最悪部位スコアを含む。具体的実施態様において、該ECMの
該個体への投与は、例えば投与後1、2、3、4、5、6、又は7日以内に、平均粘膜炎スコア
、重み付け平均粘膜炎スコア、粘膜炎範囲スコア、又は最悪部位スコアの、少なくとも1
、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、又は少なくとも5ポイントの低下を生じる(S
onisらの文献、Cancer, 85(10):2103-2113 (1999)参照)。
別の実施態様において、口腔病変を有する個体は、癌看護研究に関する西欧コンソーシ
アム(WCCNR)(the Western Consortium for Cancer Nursing Research)スコアを用い診断
又は評価される。具体的実施態様において、該ECMの該個体への投与は、例えば投与後1、
2、3、4、5、6、又は7日以内に、ACCRNスコアの、3期から2期へ、3期から1期へ、3期から
0期へ、2期から1期へ、2期から0期へ、又は1期から0期への低下を生じる。
別の実施態様において、口腔病変を有する個体は、腫瘍放射線治療群(RTOG)スコア(粘
膜に関して)を用い診断又は評価される。具体的実施態様において、該ECMの該個体への投
与は、例えば投与後1、2、3、4、5、6、又は7日以内に、RTOGスコア(粘膜炎に関する)の
、4等級から3等級へ、3等級から2等級へ、2等級から1等級へ、1等級から0等級へ、4等級
から2等級へ、4等級から1等級へ、4等級から0等級へ、3等級から1等級へ、3等級から0等
級へ、又は2等級から0等級への低下を生じる。
別の実施態様において、口腔病変は、該個体における顎の骨壊死により引き起こされる
か又はこれに関連している。いくつかの具体的実施態様において、該個体は、ビスホスホ
ネート療法を受けているか又は受けたことがある。
いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は、ECM
、例えばヒト胎盤由来のECMを含んでいる。いくつかの実施態様において、本明細書記載
の方法において使用される組成物は、ECM、例えばヒト胎盤由来のECMからなる。いくつか
の実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は、コラーゲン、例
えばテロペプチドコラーゲン(すなわち1以上のテロペプチド領域を含むコラーゲン)、フ
ィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、及び/又はグリコサミノグリカンなどの1種以
上のECM成分を含んでいる。いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法において
使用される組成物は、コラーゲン、例えばテロペプチドコラーゲン(すなわち1以上のテロ
ペプチド領域を含むコラーゲン)、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、及び/又
はグリコサミノグリカンなどの1種以上のECM成分からなり、すなわち本組成物は、1種以
上の単離された/精製されたECM成分、例えばコラーゲンからなる。
一実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は、コラーゲン(
例えばテロペプチドコラーゲン)を含み、且つ細胞デブリ、細胞内デブリ、他のECMタンパ
ク質(例えば、フィブロネクチン及び/若しくはラミニン)、サイトカイン、並びに/又は
増殖因子は実質的に含まない。いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法におい
て使用される組成物は、組成物中のタンパク質の総量に比べ(例えば乾燥重量で)、少なく
とも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の総コラーゲンを含む
。いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は、組成
物中のタンパク質の総量に比べ(例えば乾燥重量で)、75%〜80%、80%〜85%、85%〜90
%、90%〜95%、95%〜98%、又は98%〜99.5%の総コラーゲンを含む。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される組成物は、コラーゲンを含むが、
ラミニン及びフィブロネクチンなどの、他のECM成分は実質的に欠いている。いくつかの
実施態様において、本明細書記載の方法において使用されるコラーゲン含有組成物は、組
成物中のタンパク質の総量に比べ(例えば乾燥重量で)、ラミニンを1%未満、0.5%未満、
0.1%未満、0.05%未満、若しくは0.01%未満含むか、又はラミニンを0.01%〜0.05%、0
.05%〜0.1%、0.1%〜0.5%、若しくは0.5%〜1.0%含む。いくつかの実施態様において
、本明細書に提供されるコラーゲン含有組成物は、組成物中のタンパク質の総量に比べ(
例えば乾燥重量で)、フィブロネクチンを1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、
若しくは0.01%未満含むか、又はフィブロネクチンを0.01%〜0.05%、0.05%〜0.1%、0
.1%〜0.5%、若しくは0.5%〜1.0%含む。
いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は、コラ
ーゲン(例えばテロペプチドコラーゲン)及びエラスチンを含むが、ラミニン及びフィブロ
ネクチンなどの、他のECM成分は実質的に欠いている。いくつかの実施態様において、本
明細書記載の方法において使用される組成物は、組成物中のタンパク質の総量に比べ(例
えば乾燥重量で)、エラスチンを約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%
、11%、12%、13%、14%、又は15%、若しくはエラスチンを1〜5%、5〜10%、又は10
〜15%含み、並びにラミニンを1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、又は0.01
%未満含むか、若しくはラミニンを0.01%〜0.05%、0.05%〜0.1%、0.1%〜0.5%、又
は0.5%〜1.0%含み;並びに/又は、フィブロネクチンを1%未満、0.5%未満、0.1%未
満、0.05%未満又は0.01%未満含むか、若しくはフィブロネクチンを0.01%〜0.05%、0.
05%〜0.1%、0.1%〜0.5%、又は0.5%〜1.0%含む。具体的実施態様において、本明細
書記載の方法において使用される組成物は、組成物中のタンパク質の総量に比べ(例えば
乾燥重量で)、コラーゲンを80%より多く、エラスチンを10〜15%、ラミニンを0.01%未
満、及びフィブロネクチンを0.01%未満含む。
いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物中のECM(
又はECM成分)は、界面活性剤処理される。いくつかの実施態様において、本明細書記載の
方法において使用される組成物中のECM(又はECM成分)は、塩基処理される。いくつかの実
施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物中のECM(又はECM成分)は
、界面活性剤処理され且つ塩基処理される。いくつかの実施態様において、本明細書記載
の方法において使用される組成物中のECM(又はECM成分)は、界面活性剤処理されるが、塩
基処理されない。いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法において使用される
組成物中のECM(又はECM成分)は、塩基処理されるが、界面活性剤処理されない。
いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は、さら
に複数の幹細胞、例えば治療有効量の幹細胞を含む。様々な実施態様において、幹細胞は
、胚性幹細胞、胚性生殖細胞、間葉系幹細胞、骨髄-由来幹細胞、胎盤幹細胞、造血前駆
細胞(例えば、末梢血、胎児血、胎盤血、臍帯血、胎盤灌流液など由来の造血幹細胞)、体
性幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、内皮幹細胞、心臓幹細胞、筋幹細胞、脂肪
幹細胞などである。
具体的実施態様において、幹細胞は、胎盤幹細胞である。より具体的な実施態様におい
て、該胎盤幹細胞は、CD34-及び/又はCD200+である。具体的実施態様において、胎盤幹
細胞は、CD34-、CD10+、CD105+及びCD200+である。いくつかの具体的実施態様において、
胎盤幹細胞は、1種以上のCD10、CD73、CD105、CD200、及び/又はOCT-4を発現するが、1
種以上のCD34、CD38、CD45、及び/又はHLA-Gは発現しない。いくつかの他の具体的実施
態様において、胎盤幹細胞はまた、HLA-ABC(MHC-1)を発現することができるが、HLA-DRは
発現しない。別の具体的実施態様において、胎盤幹細胞は、CD200+及びHLA-G-である。別
の具体的実施態様において、胎盤幹細胞は、CD73+、CD105+、及びCD200+である。別の具
体的実施態様において、胎盤幹細胞は、CD200+及びOCT-4+である。別の具体的実施態様に
おいて、胎盤幹細胞は、CD73+、CD105+及びHLA-G-である。別の具体的実施態様において
、胎盤幹細胞は、CD73+及びCD105+であり、且つ胎盤細胞の集団においては、胚様体の形
成を可能にする条件下で、1以上の胚様体の形成を促進する。別の具体的実施態様におい
て、胎盤幹細胞は、OCT-4+であり、且つ胎盤細胞の集団においては、胚様体の形成を可能
にする条件下で培養された場合、該幹細胞を含む単離された胎盤幹細胞の集団内における
1以上の胚様体の形成を促進する。
別の具体的実施態様において、例えば該組成物がシート、貼付剤、又はペーストの形状
である場合、この幹細胞は、組成物へ接着される。前記実施態様のいずれかの具体的実施
態様において、幹細胞は、本組成物と接触する場合、例えば幹細胞が本組成物へ接着する
場合、IL-6、IL-8及び/又はMCP-1(単球走化性タンパク質-1)を分泌する。
別の態様において、ECM及び/又はECM成分を含有する組成物を、口腔病変を有する個体
へ投与するためのキットが、本明細書に提供される。このキットは典型的には、当該技術
分野における熟練した施術者へ配布するために便利な包装内に、ECM及び/又はECM成分を
含有する組成物を備える。
(4. 図面の簡単な説明)
図1は、細胞外マトリクス(ECM)を単離する例証的方法を表すフローチャートである。
図2Aは、様々な方法により調製されたECMを含有する組成物上で成長された胎盤幹細胞からのIL-6の分泌である。横座標:組成物の種類及び組成物上での細胞の成長時間別の、具体的成長条件。縦座標: ECM-結合した細胞1000個についての1ミリリットル当たりのピコグラム数。NC=無細胞。Purecol=精製されたコラーゲン。TCPS=組織培養ポリスチレン。
図2Bは、様々な方法により調製されたECMを含有する組成物上で成長された胎盤幹細胞からのIL-8の分泌である。横座標:組成物の種類及び組成物上での細胞の成長時間別の、具体的成長条件。縦座標: ECM-結合した細胞1000個についての1ミリリットル当たりのピコグラム数。NC=無細胞。Purecol=精製されたコラーゲン。TCPS=組織培養ポリスチレン。
図2Cは、様々な方法により調製されたECMを含有する組成物上で成長された胎盤幹細胞からのMCP-1の分泌である。横座標:組成物の種類及び組成物上での細胞の成長時間別の、具体的成長条件。縦座標: ECM-結合した細胞1000個についての1ミリリットル当たりのピコグラム数。NC=無細胞。Purecol=精製されたコラーゲン。TCPS=組織培養ポリスチレン。
(5. 詳細な説明)
(5.1 ECMを使用する口腔病変の治療方法)
本明細書記載の方法において使用されるECM及び/又はECM成分、例えば胎盤ECM又はそ
れらの成分を含有する組成物は、一態様において、口腔病変を治療するために使用され、
ここで該病変は、歯科手技によるか又は口腔手術によっては引き起こされない。いくつか
の実施態様において、本明細書記載の組成物の治療有効量を、個体へ投与する、例えば口
腔病変へ投与することを含む、口腔病変を有する対象を治療する方法が、本明細書に提供
される。この文脈において、「治療有効量」とは、口腔病変の少なくとも1つの症状又は
局面を軽減若しくは除去するように作用するECM及び/又はECM成分を含有する組成物の量
を意味する。例えば本組成物は、病変を修復するために、対象へ投与することができるか
、或いは例えば口腔病変により引き起こされたか又はこれに関連した疼痛又は炎症を軽減
するために、緩和剤として投与することができる。本明細書において使用される用語「対
象」及び「個体」とは、非限定的に霊長類(例えばヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イ
ヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含む、哺乳動物などの動物をいう。いくつかの
実施態様において、対象/個体はヒトである。
いくつかの実施態様において、ECM及び/又はECM成分含有組成物は、対象の口腔病変へ
直接投与される。他の実施態様において、ECM及び/又はECM成分含有組成物は、対象の口
腔病変の少なくとも一部に隣接して又はその周辺へ投与される。そのような投与は、例え
ば口腔病変の少なくとも一部又は病変全体を覆うシートとして製剤化されたECM及び/又
はECM成分含有組成物の配置によることができる。いくつかの実施態様において、本明細
書記載の方法において使用される組成物は、ペーストとして口腔病変へ投与される。いく
つかの他の実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は、スプレ
ー剤又はエアゾール剤の形状で口腔病変へ投与される。いくつかの他の実施態様において
、本明細書記載の方法において使用される組成物は、液剤の形状で、例えば含嗽剤中で、
口腔病変へ投与される。いくつかの他の実施態様において、本明細書記載の方法において
使用される組成物は、マトリクス、ゲル剤、シート、又は貼付剤として、口腔病変へ投与
される。
具体的実施態様において、本明細書記載の方法に従い治療される口腔病変は、剥離であ
るか、剥離の結果であるか又は剥離に関連しており、例えば、剥離性口腔障害である。別
の具体的実施態様において、本明細書記載の方法に従い治療される口腔病変は、アフタ性
潰瘍である。具体的実施態様において、アフタ性潰瘍は、ベーチェット病により引き起こ
されるか、又はベーチェット病の一部である。別の具体的実施態様において、アフタ性潰
瘍は特発性である。
いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法に従い治療される口腔病変を有する
対象は、造血幹細胞療法を受けているか又は受けたことがある。別の具体的実施態様にお
いて、該対象は、骨髄移植を受けているか又は受けたことがある。いくつかの実施態様に
おいて、口腔病変は、移植片対宿主疾患により引き起こされるか又はこれに関連している
。具体的実施態様において、口腔病変は、口腔病変を有する個体による、化学療法薬、例
えば、アルキル化剤、例としてメルファランなどのナイトロジェンマスタードアルキル化
剤の使用により引き起こされるか又はこれに関連している。より具体的な実施態様におい
て、該造血幹細胞療法又は骨髄移植は、部分的又は完全な造血細胞アブレーションを含む
。具体的実施態様において、該アブレーションは、限局的又は全身の放射線照射を含む。
別の実施態様において、本明細書記載の方法に従い治療される口腔病変を有する対象は
、頭部又は頸部に放射線療法を受けているか又はこれを受けたことがある。
別の実施態様において、本明細書記載の方法に従い治療される口腔病変は、化学療法、
例えば腫瘍、血液癌、若しくは他の癌型を治療するために個体へ投与された化学療法によ
り引き起こされるか又はこれに関連している。具体的実施態様において、口腔病変は、化
学療法後の口腔粘膜炎又は化学療法が誘発した口腔粘膜炎により引き起こされる。別の具
体的実施態様において、口腔病変は、アフタ性口内炎、例えば特発性アフタ性口内炎であ
るか又はこれと診断されている。口腔病変が、化学療法により引き起こされるか又はこれ
に関連している、例えば化学療法薬の使用により引き起こされるか又はこれに関連してい
るような具体的実施態様において、化学療法薬は、例えば、アルキル化剤(例えば、ブス
ルファン、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、イホス
ファミド、メクロレタミン又はメルファラン);代謝拮抗薬(例えば、5-フルオロウラシル
、メトトレキセート、ゲムシタビン、シタラビン、又はフルダラビン);抗腫瘍作用を有
する抗生物質(例えば、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソル
ビシン、又はイダルビシン);又は、有糸分裂阻害剤(例えば、パクリタキセル、ドセタキ
セル、エトポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン又はビノレルビン)である。具体的
実施態様において、口腔病変は、口腔病変を有する個体による、mTOR(“ラパマイシンの
哺乳動物での標的”)阻害剤の使用により引き起こされるか又はこれに関連している。別
の具体的実施態様において、口腔病変は、口腔病変を有する個体による、5-フルオロウラ
シルの使用により引き起こされるか又はこれに関連している。
別の実施態様において、本明細書記載の方法に従い治療される口腔病変は、対象への抗
体の投与により引き起こされるか又はこれに関連している。いくつかの具体的実施態様に
おいて、抗体は、抗-CD20抗体である。より具体的な実施態様において、抗体は、リツキ
シマブ(例えばRITUXAN(登録商標))、オファツムマブ(例えばARZERRA(登録商標))、ベルツ
ズマブ又はオクレリズマブである。別の具体的実施態様において、抗体は、抗-腫瘍壊死
因子抗体である。より具体的な実施態様において、抗体は、アダリムマブ(例えばHUMIRA(
登録商標))、エタネルセプト(例えばENBREL(登録商標))、インフリキシマブ(例えばREMIC
ADE(登録商標))、セルトリズマブペゴル(例えばCIMZIA(登録商標))、ナタリズマブ(例え
ばTYSABRI(登録商標))又はゴリムマブ(例えばSIMPONI(登録商標))である。別の具体的実
施態様において、該個体が抗体療法コースを受けているか又は受けたことがある場合の、
該個体における該口腔病変の発症は、該抗体療法のコースの早期終結を引き起こしている
。この文脈において、「早期終結」とは、該口腔病変の部分的又は全体的結果として、該
個体に処方される前の、抗体療法のコースの終結を意味する。
いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法に従い治療される対象が、療法コー
ス、例えば放射線療法、化学療法、又は抗体投与を受けている又は受けたことがある場合
の、該対象における該口腔病変の発症は、該療法のコースの早期終結を引き起こすか、又
は引き起こすことが予想される。この文脈において、「早期終結」とは、該口腔病変の部
分的又は全体的結果として、該対象に処方される前の、療法のコースの終結を意味する。
一実施態様において、口腔病変を有する個体は、世界保健機関経口毒性(WHO-OT)スコア
を用い診断又は評価される。具体的実施態様において、該ECMの該個体への投与は、例え
ば投与後1、2、3、4、5、6、又は7日以内に、WHO-OTスコアの、4等級から3等級へ、3等級
から2等級へ、2等級から1等級へ、4等級から2等級へ、4等級から1等級へ、又は3等級から
1等級への低下を生じる。
別の実施態様において、口腔病変を有する個体は、口腔粘膜炎に関する米国国立癌研究
所共通毒性基準(NCI-CTC)スコアを用い診断又は評価される。具体的実施態様において、
本明細書記載の組成物(すなわちECM(例えば胎盤ECM)又はECM成分を含有する組成物)の該
個体への投与は、例えば投与後1、2、3、4、5、6、又は7日以内に、NCI-CTCスコア(口内
炎/咽頭炎[口腔/咽頭粘膜炎])の、4等級から3等級へ、3等級から2等級へ、2等級から1等
級へ、1等級から0等級へ、4等級から2等級へ、4等級から1等級へ、4等級から0等級へ、3
等級から1等級へ、3等級から0等級へ、又は2等級から0等級への低下を生じる。
別の実施態様において、本明細書記載の方法に従い治療される口腔病変を有する個体は
、口腔粘膜炎に対する評価尺度(OMAS)を用い診断又は評価され、ここで該OMASは、以下の
サブスコアを含む:平均粘膜炎スコア、重み付け平均粘膜炎スコア、粘膜炎範囲スコア、
及び最悪部位スコア。具体的実施態様において、本明細書記載の組成物(すなわちECM(例
えば胎盤ECM)又はECM成分を含有する組成物)の該個体への投与は、例えば投与後1、2、3
、4、5、6、又は7日以内に、平均粘膜炎スコア、重み付け平均粘膜炎スコア、粘膜炎範囲
スコア、又は最悪部位スコアの、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4
、又は少なくとも5ポイントの低下を生じる。Sonisらの文献、Cancer, 85(10):2103-2113
(1999)を参照されたい。
別の実施態様において、本明細書記載の方法に従い治療される口腔病変を有する個体は
、癌看護研究に関する西欧コンソーシアム(WCCNR)スコアを用い診断又は評価される。具
体的実施態様において、本明細書記載の組成物(すなわちECM(例えば胎盤ECM)又はECM成分
を含有する組成物)の該個体への投与は、例えば投与後1、2、3、4、5、6、又は7日以内に
、ACCRNスコアの、3期から2期へ、3期から1期へ、3期から0期へ、2期から1期へ、2期から
0期へ、又は1期から0期への低下を生じる。
別の実施態様において、本明細書記載の方法に従い治療される口腔病変を有する個体は
、腫瘍放射線治療群(RTOG)スコア(粘膜に関して)を用い診断又は評価される。具体的実施
態様において、本明細書記載の組成物(すなわちECM(例えば胎盤ECM)又はECM成分を含有す
る組成物)の該個体への投与は、例えば投与後1、2、3、4、5、6、又は7日以内に、RTOGス
コア(粘膜炎に関する)の、4等級から3等級へ、3等級から2等級へ、2等級から1等級へ、1
等級から0等級へ、4等級から2等級へ、4等級から1等級へ、4等級から0等級へ、3等級から
1等級へ、3等級から0等級へ、又は2等級から0等級への低下を生じる。
別の実施態様において、本明細書記載の方法に従い治療される口腔病変は、対象におけ
る顎の骨壊死により引き起こされるか又はこれに関連している。具体的実施態様において
、該対象は、ビスホスホネート療法を受けているか又は受けたことがある。
(5.2 細胞外マトリクス組成物)
本明細書に提供される治療方法、すなわち口腔病変の治療方法において有用な、細胞外
マトリクス(ECM)及び/又はECM成分を含有する組成物が、本明細書に提供される。本明細
書記載の方法において使用される組成物のECM及びECM成分は、いくつかの実施態様におい
て、哺乳動物の供給源、例えば、ヒト、ウシ、ヒツジ科(ovine)、ヒツジ(sheep)、ラット
の供給源から得ることができる。本明細書記載の方法において使用される組成物のECM及
びECM成分は、有袋動物、例えばカンガルーから得られる。いくつかの実施態様において
、本明細書記載の方法において使用される組成物のECM及びECM成分は、非哺乳動物の供給
源から得られ、例えばECMは、魚から得られる。
本明細書記載の方法において使用される組成物のECM及びECM成分は、それらが誘導され
る供給源の任意の部分から得ることができる。いくつかの実施態様において、ECMは、例
えば、ウシの皮膚、仔牛の皮膚、ラットの尾、カンガルーの尾、又は魚の皮膚から得るこ
とができる。具体的実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物の
ECM及び/又はECM成分は、胎盤から得られ、例えばECMは、ウシ胎盤ECM、ヒツジ科胎盤EC
M、又はヒト胎盤ECMである。具体的実施態様において、本明細書記載の方法において使用
される組成物のECM及びECM成分は、ヒト胎盤から誘導される。
ECM、例えばヒト胎盤のECMの主成分は、コラーゲンである。従って本明細書記載の方法
において使用されるECMを含有する組成物は、コラーゲン、例えばテロペプチドコラーゲ
ン及び/又はアテロペプチドコラーゲンを含む。具体的実施態様において、本明細書記載
のECM成分を含有する組成物は、コラーゲンを含む。
本明細書記載の方法において使用される組成物中のコラーゲンは、当業者に公知の任意
の型のコラーゲン又はそのようなコラーゲンの混合物であることができる。いくつかの実
施態様において、コラーゲンは、1種以上のコラーゲン型を含むコラーゲン組成物の形状
である。特定のコラーゲンとしては、例えば、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コ
ラーゲン及びIV型コラーゲンが挙げられる。一実施態様において、本明細書記載の方法に
おいて使用されるコラーゲン含有組成物は、I型コラーゲン及びIV型コラーゲンを含み、
例えば本組成物中の主要なコラーゲンは、I型及びIV型コラーゲンである。いくつかの実
施態様において、本明細書に提供される治療方法において有用な組成物は、乾燥重量で、
1%〜15%のIV型コラーゲン、2%〜13%のIV型コラーゲン、3%〜12%のIV型コラーゲン
、又は4%〜11%のIV型コラーゲンを含む(すなわち、本組成物は、ECMがそのようなコラ
ーゲンを含むECMを含み、及び/又は本組成物は、その一種がそのようなコラーゲンであ
るECM成分を含む)。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される治療方法におい
て有用な組成物は、乾燥重量で、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少
なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%のI型コラーゲンを含む(すなわち、
本組成物は、ECMがそのようなコラーゲンを含むECMを含み、及び/又は本組成物は、その
一種がそのようなコラーゲンであるECM成分を含む)。いくつかの実施態様において、本明
細書に提供される治療方法において有用な組成物は、乾燥重量で、70%〜95%のI型コラ
ーゲン、74%〜92%のI型コラーゲン又は80%〜90%のI型コラーゲンを含む(すなわち、
本組成物は、ECMがそのようなコラーゲンを含むECMを含み、及び/又は本組成物は、その
一種がそのようなコラーゲンであるECM成分を含む)。いくつかの実施態様において、本明
細書に提供される治療方法において有用な組成物は、III型コラーゲンを、例えば乾燥重
量で、最大1%、最大2%、最大3%、最大4%、最大5%、最大6%又は最大7%のIII型コラ
ーゲンを含む(すなわち、本組成物は、ECMがそのようなコラーゲンを含むECMを含み、及
び/又は本組成物は、その一種がそのようなコラーゲンであるECM成分を含む)。いくつか
の実施態様において、本明細書に提供される治療方法において有用な組成物は、乾燥重量
で、2%〜15%のIV型コラーゲン、70%〜95%のI型コラーゲン及び最大6%のIII型コラー
ゲンを含む(すなわち、本組成物は、ECMがそのようなコラーゲンを含むECMを含み、及び
/又は本組成物は、その一種がそのようなコラーゲンであるECM成分を含む)。
いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法において使用されるコラーゲン含有
組成物は、少なくとも1種の追加のECM成分、例えば、エラスチン、フィブロネクチン、ラ
ミニン、及び/又はグリコサミノグリカンを含む。いくつかの実施態様において、本明細
書記載の方法において使用されるコラーゲン含有組成物は、典型的にはECMに関連した1種
以上の成分を欠いているか、又は最小量含み、例えば、本ECM成分含有組成物は、コラー
ゲンを含むが、エラスチン、フィブロネクチン、ラミニン、及び/又はグリコサミノグリ
カンの1種以上は欠いている(又はその最小量を含む)。具体的実施態様において、本明細
書記載の方法において使用されるコラーゲン含有組成物は、検出不可能なフィブロネクチ
ン、検出不可能なラミニン、又は検出不可能なラミニン若しくはフィブロネクチンを含む
。具体的実施態様において、本明細書記載の方法において使用されるコラーゲン含有組成
物は、検出不可能なグリコサミノグリカンを含む。
具体的実施態様において、本明細書記載の方法において使用されるコラーゲン含有組成
物は、(i)組成物中のタンパク質の総量に比べ(例えば乾燥重量で)、少なくとも若しくは
約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の総コラーゲン;又
は、組成物中のタンパク質の総量に比べ(例えば乾燥重量で)、75%〜80%、80%〜85%、
85%〜90%、90%〜95%、95%〜98%、若しくは98%〜99.5%の総コラーゲン;(ii)組成
物中のタンパク質の総量に比べ(例えば乾燥重量で)、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0
.05%未満、若しくは0.01%未満のラミニン;又は、組成物中のタンパク質の総量に比べ(
例えば乾燥重量で)、0.01%〜0.05%、0.05%〜0.1%、0.1%〜0.5%、若しくは0.5%〜1
.0%のラミニン;及び/又は、(iii)組成物中のタンパク質の総量に比べ(例えば乾燥重量
で)、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、若しくは0.01%未満のフィブロネク
チン;又は、組成物中のタンパク質の総量に比べ(例えば乾燥重量で)、0.01%〜0.05%、
0.05%〜0.1%、0.1%〜0.5%、若しくは0.5%〜1.0%のフィブロネクチンを含むことが
できる。別の具体的実施態様において、本組成物は、組成物中のタンパク質の総量に比べ
(例えば乾燥重量で)、少なくとも若しくは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、
9%、10%、11%、12%、13%、14%、若しくは15%のエラスチン;又は、組成物中のタ
ンパク質の総量に比べ(例えば乾燥重量で)、1〜5%、5〜10%、若しくは10〜15%のエラ
スチンを含む。別の具体的実施態様において、本組成物は、乾燥重量で約5%のエラスチ
ンを含む。別の具体的実施態様において、本組成物は、乾燥重量で約10%のエラスチンを
含む。別の具体的実施態様において、本組成物は、乾燥重量で約5%以下のエラスチンを
含む。別の具体的実施態様において、本組成物は、乾燥重量で約10%以下のエラスチンを
含み、例えば本組成物は、乾燥重量で、11%、12%、13%、14%、15%、若しくは15%よ
り多いエラスチンを含む。
いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物のECM及
びECM成分は、以下に説明されるプロセスのひとつにより得ることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書記載の組成物中のコラーゲン、例えば、本明細
書記載の組成物のECM中のコラーゲンは、例えば架橋剤により、架橋されている。いくつ
かの実施態様において、架橋剤は、グルタルアルデヒドである。例えば、それらの内容が
全体として引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許第4,852,640号、第5,428
,022号、第5,660,692号及び第5,008,116号、並びにMcPhersonらの文献、1986、J. Biomed
ical Materials Res. 20:79-92を参照されたい。さらなる架橋剤及びコラーゲンを架橋す
る方法の例は、米国特許第5,880,242号及び第6,117,979号、並びにZeemanらの文献、2000
、J Biomed Mater Res. 51(4):541-8、van Wachemらの文献、2000、J Biomed Mater Res.
53(1):18-27、van Wachemらの文献、1999、J Biomed Mater Res. 47(2):270-7、Zeeman
らの文献、1999、J Biomed Mater Res. 46(3):424-33、Zeemanらの文献、1999、Biomater
ials 20(10):921-31に記載されており、これらの内容はその全体が引用により本明細書中
に組み込まれている。
さらなる実施態様において、本明細書記載の組成物中のコラーゲン、例えば、本明細書
記載の組成物のECM中のコラーゲンは、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルにより
架橋される。さらなる実施態様において、本明細書記載の組成物中のコラーゲン、例えば
本明細書記載の組成物のECM中のコラーゲンは、無毒の天然の架橋試薬であるゲニピンに
より架橋される。ゲニピンは、その親化合物であるゲニポシドから得ることができ、ゲニ
ポシドは、クチナシ(Gardenia jasminoides)の果実から単離することができる。ゲニピン
は、Challenge Bioproducts社(7 Alley 25, Lane 63, TzuChiang St. 404、台中、台湾、
電話886-4-3600852)から商業的に入手することができる。架橋試薬としてのゲニピンの使
用は、米国特許出願公開第2003/0049301号に広く記載されており、その内容はその全体が
引用により本明細書中に組み込まれている。
本明細書記載の組成物中のコラーゲン、例えば、本明細書記載の組成物のECM中のコラ
ーゲンは、単独の架橋剤により又は架橋剤の混合物により、架橋され得る。いくつかの実
施態様において、本明細書記載の組成物中のECM、又は本明細書記載のコラーゲン含有組
成物(すなわち、少なくとも1種の成分がコラーゲンであるECM成分を含有する組成物)中の
コラーゲンは、グルタルアルデヒドにより架橋された、塩基処理された及び/又は界面活
性剤処理されたヒト胎盤のコラーゲンを含む。いくつかの実施態様において、本明細書記
載の組成物中のECM、又は本明細書記載のコラーゲン含有組成物(すなわち、少なくとも1
種の成分がコラーゲンであるECM成分を含有する組成物)中のコラーゲンは、グルタルアル
デヒドにより架橋された、塩基処理されたが界面活性剤処理されないヒト胎盤のコラーゲ
ンを含む。いくつかの実施態様において、本明細書記載の組成物中のECM、又は本明細書
記載のコラーゲン含有組成物(すなわち、少なくとも1種の成分がコラーゲンであるECM成
分を含有する組成物)中のコラーゲンは、グルタルアルデヒドにより架橋された、界面活
性剤処理されたが塩基処理されないヒト胎盤のコラーゲンを含む。いくつかの実施態様に
おいて、本明細書記載の組成物中のECM、又は本明細書記載のコラーゲン含有組成物(すな
わち、少なくとも1種の成分がコラーゲンであるECM成分を含有する組成物)中のコラーゲ
ンは、グルタルアルデヒドにより架橋された、塩基処理され且つ界面活性剤処理されたヒ
ト胎盤のコラーゲンを含む。
本明細書記載の組成物中のコラーゲン、例えば本明細書記載の組成物のECM中のコラー
ゲンは、当業者に公知の任意の酵素-介在した架橋技術により架橋され得る。例えば、本
明細書記載の組成物中のコラーゲン、例えば、本明細書記載の組成物のECM中のコラーゲ
ンは、例えば、Orbanらの文献、2004, J. Biomedical Materials Res. 68(4):756-62に記
載された方法により、グルタミン転移酵素により架橋され得る。
(5.3 ECMの調製プロセス)
いくつかの実施態様において、本明細書記載の組成物中で使用されるECM、又はそれか
ら本明細書記載のECM成分を含有する組成物のECM成分が誘導されるECMは、本明細書記載
の方法に従いヒト胎盤から調製される。胎盤組織は、可溶性又は不溶性又はその両方のい
ずれかの羊膜、絨毛膜、臍帯を含む胎盤の任意の部分から、或いは胎盤全体から由来する
ことができる。いくつかの実施態様において、ECMは、臍帯を除く全ヒト胎盤から調製さ
れる。いくつかの他の実施態様において、ECMは、羊膜又は臍帯を除く全胎盤から調製さ
れる。
それからECMが得られる胎盤は、正常で健常な乳児の、正常分娩後又は帝王切開による
分娩後できるだけ速やかに採取されることが、好ましい。有利なことに、胎盤は、無菌条
件下で収集される。胎盤は、いくつかの実施態様において、任意のさらなる処理前に分娩
時から48時間貯蔵される。他の実施態様において、胎盤は、任意のさらなる処理前に分娩
時から最大5日間貯蔵される。
胎盤及び任意に臍帯は、分娩室又は出産室から、別の場所、例えば実験室へ、さらなる
処理のために輸送されることができる。胎盤は、任意に断熱されている、滅菌バッグ又は
容器などの滅菌した輸送装置内で、輸送されることができる。一部の実施態様において、
胎盤は、さらなる処理まで、室温で貯蔵される。他の実施態様において、胎盤は、さらな
る処理まで、冷蔵、すなわち温度約2℃〜8℃で貯蔵される。胎盤は、さらなる処理前に、
最大5日間、無菌条件下で貯蔵されてよい。胎盤は、当業者に公知のように、無菌条件下
で取り扱われ且つ処理されることが好ましく、例えば実験室においては、HEPA濾過システ
ムが装備され得る(クラス1000以上を有するとクリーンルーム分類により規定される)。
胎盤は、ECMを入手する前に、放血される、すなわち出産後に残存する臍帯血が完全に
排出されることが、好ましい。一部の実施態様において、胎盤は、70%放血され、80%放
血され、90%放血され、95%放血されるか、又は99%以上放血される。
妊婦は、例えばFDA規則に従い、胎盤組織に夾雑することがわかっている伝染性疾患、
非限定的にHIV、HBV、HCV、HTLV、梅毒、CMV及び他のウイルス病原体を含むものについて
、当業者に公知の標準的技術を用い、出産以前に、公知の病原体についてスクリーニング
されてよい。妊婦は、出産の1ヶ月以内に、特に出産の2週間以内に、出産の1週間以内に
、又は出産時に、スクリーニングされてよい(例えば血液試料が診断目的に採取される)。
好ましくは、前述の病原体について陰性又は非反応性と試験されたドナーから収集された
組織のみを使用し、ECMを作製する。有利なことに、例えば詳細な家族歴を含む、胎盤膜
のドナーの完全な父系の及び医学的及び社会的履歴が、得られる。
いくつかの実施態様において、ドナーは、当業者に公知の標準の血清学試験及び細菌学
試験を用いて、スクリーニングされる。例えば、ドナースクリーニングは、例として、抗
体スクリーン(ATY);アラニンアミノ基転移酵素スクリーニング(ALT);肝炎ウイルスコア
抗体(核酸及びELISA);B型肝炎表面抗原;C型肝炎ウイルス抗体;HIV-1及びHIV-2;HTLV-
1及びHTLV-2;梅毒試験(RPR);CMV抗体試験;及び/又は、C型肝炎及びHIV試験の使用な
ど、当業者に公知の標準抗原-検出技術の使用を包含することができる。使用されるアッ
セイは、当業者に公知のように、核酸ベースのアッセイ又はELISAベースのアッセイであ
ってよい。
新生児の臍帯由来の血液は、当業者に公知の標準的技術を使用し、試験することができ
る(例えば、Cotorrueloらの文献、2002, Clin. Lab. 48(5 6):271 81;Maineらの文献、2
001, Expert Rev. Mol. Diagn., 1(1):19 29;Nielsenらの文献、1987, J. Clin. Microb
iol. 25(8):1406 10参照)。一実施態様において、新生児の臍帯由来の血液は、当業者に
公知の標準的技術を使用し、細菌病原体(非限定的にグラム陽性菌及びグラム陰性菌を含
む)並びに/又は真菌について試験される。新生児の臍帯由来の血液の血液型及びRh因子
は、当業者に公知の標準的技術を使用し、決定することができる。別の実施態様において
、識別を伴う全血球算定(CBC)は、当業者に公知の標準的技術を使用し、新生児の臍帯由
来の血液から得られる。さらに別の実施態様において、好気性細菌培養物は、当業者に公
知の標準的技術を使用し、新生児の臍帯由来の血液から得られる。正常限界内のCBC(例え
ば、全体的な異常又は正常レベルからの逸脱なし)、血清学試験及び細菌学試験について
陰性、並びに感染症及び夾雑に関し試験陰性又は非反応性を有するドナーから収集された
組織のみ使用し、ECMを作製する。
一旦ヒト胎盤組織が得られたならば、これは、ECMを調製するために、例えば下記の工
程に従い処理することができる。下記の工程は、連続的順番で示されているが、当業者は
、いくつかの工程の順番を入れ替えることができることを認めるであろう。タンパク質組
成物の緩衝液交換、沈殿、遠心分離、再懸濁、希釈及び濃縮などの、当業者に容易に明ら
かな技術は、詳細な説明は不要であると想定される。例証的調製は、下記実施例に説明さ
れる。
胎盤の任意の部分、又は全胎盤は、本明細書記載のプロセスに使用することができる。
いくつかの実施態様において、ECMは、全胎盤から、又は胎盤の絨毛膜部分若しくは羊膜
部分から調製される。
臍帯は、盤状胎盤(placental disc)から分離することができ、且つ羊膜は、絨毛膜から
分離することができる。羊膜は、胎盤膜の切除前に、絨毛膜から分離することができる。
羊膜の絨毛膜からの分離は、胎盤膜の先端から開始することができ、且つ例えば手袋をは
めた指によるなどの鈍的剥離を用い、絨毛膜から分離することができる。羊膜の絨毛膜及
び盤状胎盤からの分離後、臍帯断端を、例えば鋏により切除し、盤状胎盤から分離する。
いくつかの実施態様において、羊膜と絨毛膜の分離が組織を剥がさずには不可能である場
合は、羊膜及び絨毛膜は、一つの構成員として盤状胎盤から切断し、その後それらを剥が
して離すことができる。
羊膜、絨毛膜又は全胎盤は、本明細書記載の方法で使用する前に、貯蔵することができ
る。貯蔵技術の例は、米国特許出願公開第2004/0048796号及び第2003/0187515号に説明さ
れており、これらの内容はそれらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
胎盤組織は、ECMを得る前に、脱細胞化(decellularized)されてよい。胎盤組織は、例
えば、それらの内容がそれらの全体で引用により本明細書中に組み込まれている、米国特
許出願公開第2004/0048796号及び第2003/0187515号に説明された技術など、当業者に公知
の任意の技術に従い、脱細胞化され得る。
いくつかの実施態様において、胎盤組織は、浸透圧ショック、界面活性剤処理、及び/
又は塩基処理に供される。いずれか特定の操作理論に結びつけられることを意図するもの
ではないが、浸透圧ショックは、組織内の細胞を破裂させることができ、これにより細胞
、細胞成分及び血液成分の除去を促進すると考えられる。浸透圧ショックは、任意の清澄
化工程に加えることができるか、又はこれは単独の清澄化工程であることができる。
浸透圧ショックは、当業者に公知の任意の浸透圧ショック条件で実行することができる
。そのような条件は、組織の、高浸透圧の溶液、又は低浸透圧の溶液、又は高浸透圧及び
低浸透圧の交互の溶液中での、インキュベーションを含む。高浸透圧溶液は、NaCl(例え
ば、0.2M〜1.0M)、KCl(例えば、0.2M〜1.0M又は2.0M)、硫酸アンモニウム、単糖、二糖(
例えば、20%ショ糖)、親水性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)、グリセロー
ルなどの1種以上を含む溶液などの、当業者に公知の任意の高浸透圧溶液であることがで
きる。いくつかの実施態様において、高浸透圧溶液は、塩化ナトリウム溶液である。一部
の実施態様において、塩化ナトリウム溶液は、少なくとも0.25M、0.5M、0.75M、1.0M、1.
25M、1.5M、1.75M、2M、2.25M又は2.5M NaClである。一部の実施態様において、塩化ナト
リウム溶液は、約0.25M〜5M、約0.5M〜4M、約0.75M〜3M、又は約1.0M〜2.0M NaClである
低浸透圧溶液は、水、例えば当業者に公知の任意の方法に従い脱イオンされた水などの
、当業者に公知の任意の低浸透圧溶液であることができる。一部の実施態様において、浸
透圧ショック溶液は、50mM NaClの浸透圧未満の浸透圧ショック能を持つ水を含む。
いくつかの実施態様において、浸透圧ショックは、塩化ナトリウム溶液、それに続けて
水溶液を使用し、達成される。様々な実施態様において、この塩化ナトリウム溶液は、少
なくとも0.5M NaCl、少なくとも0.75M NaCl、少なくとも1.0M NaCl、少なくとも1.5M NaC
l、又は少なくとも2.0M NaClである。いくつかの実施態様において、1回の0.5M NaCl処理
に、水洗浄が続く。いくつかの実施態様において、2回連続の0.5M NaCl処理に、水洗浄が
続く。いくつかの実施態様において、1回の2M NaCl処理に、水洗浄が続く。これらの配列
は、当業者の判断に従い、反復することができる。
いくつかの実施態様において、胎盤組織は、界面活性剤により処理される。いくつかの
実施態様において、浸透圧ショックから生じる組成物は、界面活性剤で処理される。界面
活性剤は、細胞膜又は細胞内膜の破壊が可能であることが当業者に公知の任意の界面活性
剤であることができる。いくつかの実施態様において、界面活性剤は、イオン性である。
例えばいくつかの実施態様において、界面活性剤は、デオキシコール酸塩、デオキシコー
ル酸、又はドデシル硫酸ナトリウムである。いくつかの実施態様において、界面活性剤は
、両性イオン性である。いくつかの実施態様において、界面活性剤は、非イオン性である
。例えばいくつかの実施態様において、界面活性剤は、TWEEN(登録商標)-20などのTWEEN(
登録商標)界面活性剤、又はTritonX100などのTritonX界面活性剤であることができる。本
組成物は、当業者により組成物からの望ましくない成分の除去に適していると判断された
条件下で、界面活性剤と接触され得る。例証的条件は、下記実施例において提供される。
いくつかの実施態様において、界面活性剤処理は、約0℃〜30℃、約5℃〜25℃、約5℃
〜20℃、又は約5℃〜15℃で実行される。いくつかの実施態様において、界面活性剤処理
は、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、又は約30℃で実行される。特定の
実施態様において、界面活性剤処理は、約5℃〜15℃で実行される。
いくつかの実施態様において、界面活性剤処理は、約1〜24時間、約2〜20時間、約5〜1
5時間、約8〜12時間、又は約2〜5時間実行され得る。
いくつかの実施態様において、胎盤組織は、塩基により処理される。いくつかの実施態
様において、浸透圧ショック及び/又は界面活性剤処理から生じる組成物は、例えば塩基
性溶液中のECMの洗浄により、塩基により1回以上任意に処理され得る。塩基処理のための
例証的塩基は、ECMから容易且つ安全に除去することができる、生体適合性塩基、揮発性
塩基又は当業者に公知の塩基を含む。この塩基は、例えば0.2M〜1.0Mの濃度の、当業者に
公知の有機塩基又は無機塩基のいずれかであることができる。いくつかの実施態様におい
て、塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム、例えば水酸化
アンモニウム溶液、水酸化カリウム溶液又は水酸化ナトリウム溶液である。水酸化ナトリ
ウム溶液は、例えば、0.1M NaOH、0.25M NaOH、0.5M NaOH、又は1M NaOHであることがで
きる。特定の実施態様において、塩基処理は、0.1M又は0.5M NaOHにより実行される。
いくつかの実施態様において、塩基処理は、約0℃〜30℃、約5℃〜25℃、約5℃〜20℃
、又は約5℃〜15℃で実行される。いくつかの実施態様において、塩基処理は、約0℃、約
5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、又は約30℃で実行される。特定の実施態様にお
いて、塩基処理は、約5℃〜15℃で実行される。
いくつかの実施態様において、塩基処理は、約1〜24時間、約2〜20時間、約5〜15時間
、約8〜12時間、又は約2〜5時間かけて実行されることができる。
様々な界面活性剤及び塩基(例えばNaOH)処理工程を使用し、本明細書記載の方法におい
て使用される組成物中での使用のための最終のECM物質の数多くの変種を作製することが
できる。例えばいくつかの実施態様において、様々な量のいくつかの成分を有するECMを
作製するために、ECM-含有組織は、約0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、又は約0.5M NaOHにより
、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23
、又は約24時間かけて、処理することができる。
いくつかの他の実施態様において、本明細書記載の組成物中に存在するECMは、塩基処
理せずに作製される。塩基処理工程が省略されている実施態様において、作製されるECM
は、塩基処理を含むこと以外は同じ方法を使用し作製されるECMよりも、より高量のエラ
スチン、フィブロネクチン及び/又はラミニンを含む。
いくつかの実施態様において、ECMは乾燥される。乾燥は、ECMの貯蔵及び包装を促進す
る。乾燥はまた、細胞成分を、ECMからより除去されやすくする。前述のいずれかの工程
の後、例えばECMは、後続の工程に進む前に、乾燥することができる。乾燥は、当業者に
明らかな任意の乾燥技術により実行され得る。有用な乾燥技術は、その内容がその全体で
引用により本明細書中に組み込まれている米国特許公開第2004/0048796号に説明されてい
る。例証的乾燥技術は、下記作業例において明らかにされるように、例えば、凍結乾燥、
真空乾燥、加熱(例えば約50℃以下)、又はフリーズドライを含む。
いくつかの実施態様において、ECM調製における任意の又は全ての工程は、無菌条件下
で実行される。特定の実施態様において、塩基処理、及び全ての後続の工程は、無菌条件
下で実行される。さらなる実施態様において、本明細書記載の方法により調製された任意
のECM組成物は、当業者に明らかな技術に従いさらに滅菌され得る。
いくつかの実施態様において、ECM調製の方法は、順に実行される、先に説明された浸
透圧ショック、フリーズドライ、界面活性剤処理、1回目の水洗浄、フリーズドライ、塩
基処理、2回目の水洗浄及び乾燥工程(例えばフリーズドライ)を含む。いくつかの実施態
様において、界面活性剤は、デオキシコール酸塩、例えば1%デオキシコール酸塩である
。いくつかの実施態様において、塩基処理は、0.5N NaOHで、例えば4時間である。いくつ
かの実施態様において、1回目の水洗浄は、反復される(合計2回の1回目洗浄)。いくつか
の実施態様において、2回目の水洗浄は、2回反復される(合計3回の2回目洗浄)。いくつか
の実施態様において、界面活性剤は1%デオキシコール酸塩であり、塩基処理は0.5N NaOH
で4時間であり、1回目の水洗浄は反復され(合計2回洗浄)、且つ2回目の水洗浄は2回反復
される(合計3回洗浄)。いくつかの実施態様において、そのようなプロセスは、本組成物
中の総タンパク質に比べ(例えば乾燥重量で)、約0.5〜0.7%(例えば0.59%)のグリコサミ
ノグリカン、約3〜5%(例えば3.5%)のエラスチン、極微量又は検出不可能なフィブロネ
クチン、及び極微量又は検出不可能なラミニンを含有する組成物を提供することができる
いくつかの実施態様において、ECM含有組成物は、組織、例えば胎盤組織を、例えば先
に説明したように浸透圧ショック、塩基処理、及び水洗浄に供することにより、得られる
。いくつかの実施態様において、これらの工程は、順に実行される。いくつかの実施態様
において、塩基処理は、NaOH、例えば0.5N NaOHにより、例えば4時間である。いくつかの
実施態様において、そのような調製から生じるECM又はECM成分含有組成物は、組成物中の
総タンパク質に比べ(例えば乾燥重量で)、約0.2〜0.4%又は約0.28%〜約0.38%のグリコ
サミノグリカン、約3〜5%又は約3.2%〜約4.7%のエラスチン、極微量又は含まない(例
えば0.1%未満又は0.01%未満)のフィブロネクチン、及び極微量又は含まない(例えば0.1
%未満又は0.01%未満)のラミニンを含む。
いくつかの実施態様において、ECM含有組成物は、組織、例えば胎盤組織を、例えば先
に説明したような浸透圧ショック、界面活性剤処理、及び水洗浄工程に供することにより
、得られる。いくつかの実施態様において、これらの工程は、順に実行される。いくつか
の実施態様において、界面活性剤は、デオキシコール酸塩、例えば1%デオキシコール酸
塩である。いくつかの実施態様において、そのようなプロセスは、ECM又はECM成分を含有
する組成物を提供することができ、ここで該組成物は、約0.3%〜0.5%(例えば約0.4%)
のグリコサミノグリカン、約10〜15%(例えば約12%)のエラスチン、約0.2〜1.0%(例え
ば約0.6%)のフィブロネクチン及び約0.1〜0.3%(例えば約0.16%)のラミニンを含む。
(5.4 任意のさらなる処理)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される組成物(又はECM成分含有組成物中
)のECM中のコラーゲンは、テロペプチドコラーゲンを含み、すなわちECM中のコラーゲン
は、テロペプチドを含む。そのようなテロペプチドコラーゲンは、いくつかの実施態様に
おいて、アテロペプチドコラーゲン(すなわちそれからテロペプチドが除去されているコ
ラーゲン)を含む組成物のための給源として使用され得る。アテロペプチドコラーゲン含
有組成物は、アテロペプチドコラーゲンについて当業者に明らかな目的のために使用する
ことができる。
そのような実施態様において、テロペプチドコラーゲンを含有するそのような組成物中
のECMは、その中に含まれるコラーゲンからテロペプチドを部分的に又は完全に除去する
ことが可能である酵素と接触させることができる。この酵素は、コラーゲンからテロペプ
チドを除去することが可能である、当業者に公知の任意のタンパク質分解酵素であること
ができる。いくつかの実施態様において、酵素は、ペプシン又はパパインである。一般に
この酵素は、当業者に公知のテロペプチドの除去に適した条件下で、本組成物と接触され
る。そのようなコラーゲンからテロペプチドを除去するために、テロペプチドコラーゲン
を含有する組成物を酵素により処理する方法は、例えば、米国特許第4,511,653号、第4,5
82,640号、第5,436,135号及び第6,548,077号に説明されており、これらの内容はそれらの
全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
いくつかの実施態様において、テロペプチドコラーゲンを含有する組成物は、ペプシン
と、約15℃〜40℃、約20℃〜35℃、約25℃〜30℃、約20℃〜30℃、又は約23℃〜27℃で接
触される。特定の実施態様において、テロペプチドコラーゲンを含有する組成物は、ペプ
シンと、約23℃〜27℃で、テロペプチドを除去するのに十分な時間接触される。本組成物
は、この酵素と、テロペプチドを除去するのに十分な時間、接触されてよい。いくつかの
実施態様において、例えば本組成物は、ペプシンと、少なくとも5、10、15、20、25又は3
0時間接触される。いくつかの実施態様において、本組成物は、ペプシンと、約5〜30時間
、約10〜25時間又は約20〜25時間接触される。いくつかの実施態様において、本組成物は
、ペプシンと、約8、16、24又は32時間接触される。
本組成物は、いくつかの実施態様において、ECM中のコラーゲンからテロペプチドを実
質的に全て除去するのに適した量の酵素と接触される。一部の実施態様において、乾燥重
量でECM 1kg当たりペプシン約0.1g、0.5g、1.0g、2.0g又は5.0gが、テロペプチドコラー
ゲンを含有するECMと接触される。他の実施態様において、約0.1g、0.5g、1.0g、2.0g又
は5.0gペプシン/胎盤が、テロペプチドコラーゲンを含有するECMと接触される。いくつ
かの実施態様において、本組成物は、ペプシン約0.1〜10.0g/L、約0.5〜5/L、約1〜2.5g/
L、又は約0.5〜1.5g/Lと接触される。一部の実施態様において、本組成物は、ペプシン約
0.1g/L、約0.2g/L、約0.5g/L、約1.0g/L、約2.0g/L、5g/L又は10g/Lと接触される。特定
の実施態様において、本組成物は、pH約2〜3の酢酸溶液中で、ペプシン約0.5〜1.0g/Lと
、約23℃〜27℃で、約16〜24時間接触される。
ECM及び/又はECM成分を含有する組成物は、組成物中のテロペプチドコラーゲンからテ
ロペプチドを除去するために、好適な溶液容積:胎盤中で酵素と接触されてよい。ペプシ
ンの胎盤に対する高い容積比は、ペプシンによる効果を最大化することができることが認
められる。いくつかの実施態様において、胎盤について約1、2、4、又は8倍容積の酢酸溶
液が使用される。特定の実施態様において、胎盤について約2倍容積の酢酸溶液が使用さ
れる。
望ましいならば、ECM及び/又はECM成分を含有する組成物は、例えばそれらの内容はそ
れらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許第4,511,653号、第4,5
82,640号及び第5,436,135号に説明されたような、フィブリル化によりさらに処理するこ
とができる。必要ならば、本組成物は、フィブリル化前に標準的技術に従い濃縮すること
ができる。
望ましいならば、ECM及び/又はECM成分を含有する組成物の1種以上の成分(例えばコラ
ーゲン)は、架橋されることができる。いくつかの実施態様において、本組成物は、架橋
の前に、フィブリル化される。架橋は、当業者に公知の任意の架橋剤、例えば前述の架橋
剤によることができる。いくつかの実施態様において、架橋剤は、グルタルアルデヒドで
あり、架橋は、当業者に公知のコラーゲンのグルタルアルデヒド架橋方法に従い、実行す
ることができる。他の実施態様において、架橋剤は、1,4-ブタンジオールジグリシジルエ
ーテル又はゲニピンである。
一部の実施態様において、架橋剤と本明細書記載の組成物中に存在するコラーゲンの間
の共有結合は、例えば安定性を改善するよう還元され得る。還元は、例えば、組成物中の
コラーゲン(例えば、ECM含有組成物のECM中のコラーゲン、又はその少なくとも1種の成分
はコラーゲンであるECM成分含有組成物中のコラーゲン)の、当業者に公知の任意の還元剤
との接触により達成され得る。いくつかの実施態様において、還元剤は、水素化ホウ素ナ
トリウム、亜硫酸水素ナトリウム、β-メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、メルカ
プトエチルアミン、ベンジルメルカプタン、チオクレゾール、ジチオスレイトール又はト
リブチルホスフィンなどのホスフィンである。いくつかの実施態様において、コラーゲン
は、還元剤による還元の前に、架橋される。コラーゲン、例えば架橋されたコラーゲンの
還元は、米国特許第4,185,011号、第4,597,762号、第5,412,076号及び第5,763,579号に説
明されており、これらの内容はその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
いくつかの実施態様において、ECM及び/又はECM成分を含有する組成物は、当業者に公
知の方法による機械的剪断により、さらに処理されることができる。例証的剪断技術は、
その内容がその全体で引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許第4,642,117
号に説明されている。いくつかの実施態様において、ECM及び/又はECM成分を含有する組
成物は、組織ホモジナイザーにより剪断される。
いくつかの実施態様において、工程は、本明細書記載の方法において使用される組成物
中の天然のプロテアーゼ活性を制限するように行われ得る。溶液中の利用可能なカルシウ
ムイオン及び亜鉛イオンの量を排除又は限定するように、本組成物を配合することにより
、プロテアーゼの準最適な条件を達成することができる。多くのプロテアーゼは、カルシ
ウムイオン及び亜鉛イオンの存在下で活性があり、カルシウム及び亜鉛イオン非含有環境
中ではそれらの活性は大きく失われる。従って、例えば1,10-フェナントロリン及びエチ
レンジアミン四酢酸(EDTA)などの金属イオンキレート剤の添加は、多くのタンパク質分解
酵素にとって好ましくない環境を作り出す。有利なことに、本明細書記載の方法で使用す
るための組成物は、pH条件、カルシウムイオン及び亜鉛イオンの低下した利用可能性、金
属イオンキレート剤の存在、並びにコラゲナーゼに特異的なタンパク質分解阻害剤の使用
を選択し、調製することができる。例えば組成物は、pH5.5〜8、又はpH7〜8で、カルシウ
ムイオン及び亜鉛イオン非含有、及びEDTAなどの金属イオンキレート剤含有の、緩衝され
た水溶液を含んでよい。加えてコラーゲン組成物の処理時の温度及び時間パラメータの制
御もまた、プロテアーゼの活性を制限するために利用することができる。
(5.5 組成物の特徴づけ)
(5.5.1 生化学的特徴づけ)
当該技術分野において公知であり且つ本明細書において例示される生化学ベースのアッ
セイを使用し、本明細書に提供される方法において有用な組成物の生化学的組成を決定す
ることができる。例えばタンパク質含量に関する、吸光度ベースのアッセイは、280nmで
の吸光度を測定するアッセイ(例えば、Layne, Eの文献、「タンパク質測定に関する吸光
度法及び比濁法(Spectrophotometric and Turbidimetric Methods for Measuring Protei
ns)」、Methods in Enzymology 3: 447-455, (1957);Stoscheck, C Mの文献、「タンパ
ク質定量(Quantitation of Protein)」、Methods in Enzymology 182: 50-69, (1990)参
照)、205nmでのアッセイ、及び試料の減衰係数をベースにしたアッセイ(例えば、Scopes,
R Kの文献、Analytical Biochemistry 59: 277, (1974);Stoscheck, C M.の文献、「タ
ンパク質定量(Quantitation of Protein)」、Methods in Enzymology 182: 50-69, (1990
)参照)を含むが、これらに限定されるものではない。組成物は、例えばI型コラーゲン、I
I型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、ラミニン、エラスチン、フィブロネ
クチン、及び/又はグリコサミノグリカンの1種以上について、公知のアッセイを使用し
、特徴づけることができる。
比色分析ベースのアッセイは、改変ローリーアッセイ、ビューレットアッセイ、ブラド
フォードアッセイ、ビシンコニン酸(Smith)アッセイ(例えば、Stoscheck, C Mの文献、「
タンパク質定量(Quantitation of Protein)」、Methods in Enzymology 182: 50-69 (199
0)参照)を含むが、これらに限定されるものではない。
具体的実施態様において、本明細書に提供される組成物の総タンパク質含量の測定は、
ブラドフォード色素結合アッセイの使用を含む(Bradford, M.の文献、Analytical Bioche
mistry, 72, 248 (1976)、これはその全体が引用により本明細書中に組み込まれている)
。ブラドフォードアッセイは、例えばBIO-RAD社(ハーキュリーズ、CA、米国)から入手可
能なブラドフォード色素-結合アッセイを使用し、実行することができる。このタンパク
質アッセイは、異なる濃度のタンパク質に反応する色素クマシーブリリアントブルーR-25
0の色の変化をベースにしている。このアッセイは、例えば関心対象のタンパク質(例えば
、コラーゲン、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチンなど)の既知の濃度の一連のヒ
ト標準の吸光度(595ナノメーター)を測定することによる、標準較正曲線の開発に関与す
ることができる。例として、例えば羊膜試料のECM及び/又はECM成分含有組成物中のコラ
ーゲンの濃度は、標準曲線を参照し、決定することができる。このアッセイは、0.2〜1.4
mg/mLの範囲のタンパク質濃度の測定を可能にする標準フォーマットにおいて、及び最大2
5μgの濃度のタンパク質を測定する微量アッセイとして、開発される。標準アッセイに関
して、例えば100mMクエン酸(pH2.4)に溶解されたECMを、1.5mL微小遠心チューブへ、濃度
0.1〜1mg/mLで、総量0.1mLでアリコートとする。各チューブへ、クマシーブルー色素1mL
を添加する。試料を激しく攪拌し、室温で10分間静置させる。吸光度を、595ナノメータ
ー(nm)で測定する。微量アッセイについては、100mMクエン酸(pH2.4)中に溶解したECMを
、96-ウェルプレートのウェルへ、総容積0.1mL(2.5〜30μg/mL)でアリコートとする。各
ウェルへ、色素試薬10μLを添加する。試料を激しく攪拌し、室温で10分間インキュベー
ションし、その後吸光度を、プレートリーダーにおいて595nmで測定する。被験試料は、3
つ組でアッセイすることができる。タンパク質濃度は、標準曲線を参照し、決定する。タ
ンパク質濃度は、ECMの総乾燥重量の割合(%)として算出する。各ECMのタンパク質含量は
、約10%の誤差限界内で、本質的にECMの総乾燥重量の95%以上である。水含量は、低く
、且つ実験誤差(およそ10%)内である。
本明細書記載の方法で使用される組成物中のECMの総タンパク質含量(例えば総コラーゲ
ン含量)の概算は、当業者に公知であり且つ本明細書に例示された方法を用いて特徴づけ
ることができる。具体的実施態様において、ECMのコラーゲン含量は、定量的色素-ベース
のアッセイキット、例えばBiocolor社(英国)により製造されたSIRCOL(商標)キットを用い
て測定する。このアッセイは、特異的コラーゲン結合色素としてSirius Red(又はDirect
Red 80)を利用する。コラーゲンに結合された色素は、UV-可視分光光度計の吸光度540nm
において、濃度依存した増加を示す。このアッセイは、濃度のわかっている一連のウシコ
ラーゲン標準の吸光度を測定することによる、標準較正曲線の開発に関与している。被験
試料、例えば羊膜試料中のコラーゲンの濃度は、標準曲線を参照することにより決定され
る。例証的アッセイにおいて、コラーゲン(1mg/mL)は、1.5mL微小遠心チューブへ、濃度5
〜100μg/100μLで、アリコートされる。試料容積は、水により100μLに調整される。各
試料へ、SIRCOL(商標)色素試薬1mLを、室温で添加する。試料チューブに蓋をし、室温で
、機械的に振盪しながら、30分間(mm)インキュベーションさせる。次に試料を、12,000×
gで15分間遠心させ、ピペッターを用い、液体を排出する。各チューブの底の赤味を帯び
た沈殿物を、0.5M NaOH(水酸化ナトリウム)1mLに溶解する。試料のUV吸光度を、例えばBe
ckman DU-7400 UV-可視分光光度計を使用し、540nmで測定する。各試料中のコラーゲン濃
度、対、540nmでの吸光度(OD)を用い、標準較正曲線を、プロットする。実験誤差を決定
するために、アッセイは、一つの低濃度コラーゲン標準(10μg/100μL)で、繰り返す(n=
10)。膜試料を、同じプロトコールを使用しアッセイし、この試料は総容積100μLに添加
する。
さらに別の実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物中のコラ
ーゲン型を、当該技術分野において公知であり且つ本明細書に例示される標準方法、例え
ばELISAアッセイを用い決定することができる。ECM中のコラーゲンの型、例えばI型、III
型及びIV型コラーゲンを決定するための例証的アッセイは、例えば、Chondrex社(レドモ
ンド、WA、米国)からのArthrogen-CIA(登録商標)コラーゲン-Iによりキットとして提供さ
れる、サンドイッチELISAアッセイの使用を含む。III型及びIV型の試験に関して、一次抗
体(捕獲抗体)及び二次抗体(検出抗体)及びコラーゲン標準を、Rockland Immunochemicals
社(ギルバーツビル、PA)から入手することができる。検出抗体は、I型、III型又はIV型ヒ
トコラーゲンに対するビオチン化抗体であり、これはストレプトアビジンペルオキシダー
ゼに結合する。色素原基質及び尿素及びH2O2との酵素反応は、黄色を呈し、これはUV-可
視分光法により490nmで検出される。コラーゲン型の量を定量するために、標準較正曲線
を、濃度のわかっている一連のヒトコラーゲン標準の試料により開発する。羊膜の被験試
料中のコラーゲンの濃度は、標準曲線を参照することにより決定される。アッセイプロト
コールは、ELISAキットの推奨に従い、開発される。標準較正曲線を開発するために、96-
ウェルトレー中の10〜12ウェルを、キットに備えられた100倍希釈した捕獲抗体100μLの
添加により、捕獲抗体(抗-I型ヒト-コラーゲン抗体、非コンジュゲート型)でコーティン
グする。一晩インキュベーションした後、ウェルを、洗浄緩衝液により3回洗浄し、未結
合の抗体を除去する。その後ヒトI型コラーゲンを、これらのウェルへ、容積100μL中0〜
5μg/mLの漸増濃度で添加する。2時間室温でインキュベーションした後、ウェルを、洗浄
緩衝液で3回洗浄し、未結合のコラーゲンを除去する。次にビオチン化されたI型コラーゲ
ン抗体を、ウェル中の容積100μLの抗体-コラーゲン複合体へ添加し、室温で2時間結合さ
せる。未結合の抗体を、洗浄緩衝液による3回の洗浄で洗浄除去する。次に検出酵素スト
レプトアビジンペルオキシダーゼを、キットに備えられた該酵素の200倍希釈した試料の
添加により、抗体-コラーゲン-抗体複合体に結合させ、これを室温で1時間インキュベー
ションさせる。96-ウェルプレートを、反復洗浄し(6回)、あらゆる未結合の酵素を除去す
る。色素原基質+尿素/H2O2を、各ウェルに容積100μLで添加する。反応を、室温で30分
間進行させる。2.5N硫酸50Lの添加により、反応を終結させる。吸光度を、490nmで測定す
る。
さらに別の実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物中の総エ
ラスチン含量を、当該技術分野において公知の方法を用い実現することができる。ECMの
エラスチン含量の測定に関する例証的アッセイは、Biocolor社(英国)により製造された定
量的色素ベースのアッセイキット(FASTIN)を含むことができる。このアッセイは、特異的
エラスチン結合色素として、5,10,15,20-テトラフェニル-21,23-ポルフィリン(TPPS)を利
用する(例えば、Winkleman, J.の文献、(1962), Cancer Research, 22, 589-596参照)。
エラスチンに結合された色素は、UV-可視分光光度計において、吸光度513nmで、濃度依存
型の増加を示す。このアッセイは、濃度のわかっている一連のウシエラスチン標準の吸光
度を測定することによる、標準較正曲線の開発に関与している。被験試料中、例えばECM
試料中のエラスチンの濃度は、標準曲線を参照することにより決定される。ECM(1mg/mL)
は、1.5mL微小遠心チューブへ、濃度5〜100μg/100μLで、アリコートされる。試料容積
は、水により100μLに調整される。各試料へ、エラスチン沈殿試薬(トリクロロ酢酸+ア
ルギニン)1mLを、4℃で添加し、同じ温度で一晩貯蔵する。一晩沈殿させた後、試料を、1
2,000×gで15分間遠心させ、ピペッターを用い、液体を排出する。各試料へ、FASTIN色素
試薬(TPPS)1mLを、90%飽和硫酸アンモニウム100μLと共に添加する。試料チューブに蓋
をし、機械的に振盪しながら、室温で1時間インキュベーションさせる。硫酸アンモニウ
ムは、エラスチン-色素複合体を沈殿させるように働く。1時間の混合工程の後、試料を、
12,000×gで15分間遠心させ、ピペッターを用い、液体を排出する。各チューブの底の茶
色沈殿物を、I-プロパノール中のグアニジン-HCl溶液であるFASTIN解離試薬1mLに溶解す
る。試料のUV吸光度を、例えば、Beckman DU-7400 UV-可視分光光度計を使用し、513nmで
測定する。各試料中のエラスチン濃度、対、513nmでの吸光度(OD)を用い、標準較正曲線
を、プロットする。このアッセイにおける実験誤差を決定するために、アッセイは、一つ
の低濃度エラスチン標準(10μg/100μL)で、繰り返すことができる(n=10)。膜試料を、
同じプロトコールを使用しアッセイし、この試料は総容積100μLに添加する。各試料は、
3つ組でアッセイする。
さらに別の実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物中の総グ
リコサミノグリカン(GAG)含量を、当該技術分野において公知の方法を用い決定すること
ができる。ECM中のGAGの存在は、例えば、Biocolor社(英国)により製造された定量的色素
-ベースのアッセイキット(BLYSCAN)を用いて、測定することができる。このアッセイは、
特異的GAG結合色素として、1,9-ジメチル-メチレンブルーを利用する。GAGに結合された
色素は、UV-可視分光光度計において、吸光度656nmで、濃度依存型の増加を示す。このア
ッセイは、濃度のわかっている一連のウシGAG標準の吸光度を測定することによる、標準
較正曲線の開発に関与している。羊膜の被験試料中のGAGの濃度は、標準曲線を参照する
ことにより決定される。ウシGAG(0.1mg/mL)は、1.5mL微小遠心チューブへ、濃度0.5〜5μ
g/100μLで、アリコートされる。試料容積は、水により100μLに調整される。各試料へ、
1,9-ジメチル-メチレン色素試薬1mLを、室温で添加する。試料チューブに蓋をし、機械的
に振盪しながら、室温で30分間インキュベーションさせる。次に、試料を、12,000×gで1
5分間遠心させ、ピペッターを用い、液体を排出する。各チューブの底の赤味を帯びた沈
殿物を、色素解離試薬1mLに溶解する。試料のUV吸光度を、例えば、Beckman DU-7400 UV-
可視分光光度計を使用し、656nmで測定する。各試料中のGAG濃度、対、540nmでの吸光度(
OD)を用い、標準較正曲線を、プロットする。このアッセイにおける実験誤差を決定する
ために、アッセイは、一つの低濃度GAG標準(1μg/100μL)で、繰り返すことができる(n=
8)。膜試料を、同じプロトコールを使用しアッセイし、この試料は総容積100μLに添加す
る。各試料は、3つ組でアッセイする。
さらに別の実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物中の総ラ
ミニン含量を、当該技術分野において公知の方法を用いアッセイすることができる。ECM
中の総ラミニン含量を決定するための例証的アッセイは、例えば、タカラバイオ社(滋賀
、日本)からキット(カタログ番号MKIO7)などとして提供される、サンドイッチELISAアッ
セイを含む。このキットは、ヒトラミニンに対するマウスモノクローナル抗体である一次
(捕獲抗体)により予めコーティングされた96-ウェルプレートを含む。二次抗体(検出抗体
)及びヒトラミニン標準を、このキットは備えている。検出抗体は、ペルオキシダーゼと
コンジュゲートされたヒトラミニン抗体である。色素原基質テトラメチルベンジジン及び
H2O2との酵素反応は、青色を呈し、これはUV-可視分光法により450nmで検出される。ラミ
ニン量を定量するために、標準較正曲線を、濃度のわかっている一連のヒトラミニン標準
の試料(キットに備えられている)により開発する。ECMの被験試料中のラミニンの濃度は
、標準曲線を参照することにより決定される。アッセイプロトコールは、このキットの推
奨に従い、開発される。標準較正曲線を開発するために、ヒトラミニン標準を、キットに
備えられた抗体で予めコーティングされた96-ウェルトレー中の個別のウェルに、最終容
積100μL中5ng/mL〜160ng/mLの漸増濃度で添加する。1時間室温でインキュベーションし
た後、ウェルを、洗浄緩衝液(0.05%TWEEN(商標)含有PBS)により3回洗浄し、未結合のラ
ミニンを除去する。その後ペルオキシダーゼ-コンジュゲート型ラミニン抗体を、ウェル
中の容積100μLの抗体-ラミニン複合体へ添加し、室温で1時間結合させる。96-ウェルプ
レートを、4回洗浄し、あらゆる未結合の酵素/抗体コンジュゲートを除去する。色素原
基質+H2O2を、各ウェルに容積100μLで添加する。反応を、室温で30分間進行させる。2.
5N硫酸100μLの添加により、反応を終結させる。吸光度を、450nmで測定する。可溶化し
た膜の試料は、濃度1000ng/mLで試験する。各膜試料は、3つ組で試験する。ラミニン濃度
は、下記に示すように総膜重量の濃度として表される。
さらに別の実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物中の総フ
ィブロネクチン含量を、当該技術分野において公知であり且つ本明細書に例示される標準
方法を用いアッセイすることができる。ECM中の総フィブロネクチン含量を決定するため
の例証的アッセイは、例えば、下記のタカラバイオ社(滋賀、日本)からキット(カタログ
番号MK115)として提供される、サンドイッチELISAアッセイを含むことができる。このキ
ットは、ヒトフィブロネクチンに対するマウスモノクローナル抗体である一次(捕獲抗体)
により予めコーティングされた96-ウェルプレートを含む。二次抗体(検出抗体)及びヒト
フィブロネクチン標準を、このキットは備えている。検出抗体は、ホースラディッシュペ
ルオキシダーゼとコンジュゲートされたヒトフィブロネクチン抗体である。色素原基質テ
トラメチルベンジジン及びH2O2との酵素反応は、青色を呈し、これはUV-可視分光法によ
り450nmで検出される。フィブロネクチンの量を定量するために、標準較正曲線を、濃度
のわかっている一連のヒトフィブロネクチン標準の試料(キットに備えられている)により
開発する。被験試料中のフィブロネクチンの濃度は、標準曲線を参照することにより決定
される。アッセイプロトコールは、このELISAキットの推奨に従い、開発される。標準較
正曲線を開発するために、ヒトフィブロネクチン標準を、キットに備えられた抗体で予め
コーティングされた96-ウェルトレー中の個別のウェルに、最終容積100μL中12.5ng/mL〜
400ng/mLの漸増濃度で添加する。1時間室温でインキュベーションした後、ウェルを、洗
浄緩衝液(0.05%TWEEN(商標)含有PBS)により3回洗浄し、未結合のフィブロネクチンを除
去する。その後ペルオキシダーゼ-コンジュゲート型フィブロネクチン抗体を、ウェル中
の容積100μLの抗体-フィブロネクチン複合体へ添加し、室温で1時間結合させる。96-ウ
ェルプレートを、繰り返し(4×)洗浄し、あらゆる未結合の酵素/抗体コンジュゲートを
除去する。色素原基質+H2O2を、各ウェルに容積100μLで添加する。反応を、室温で30分
間進行させる。2.5N硫酸100μLの添加により、反応を終結させる。吸光度を、450nmで測
定する。可溶化した膜の試料は、濃度1000ng/mLで試験する。各膜試料は、3つ組で試験す
る。当業者は、本明細書記載の方法において使用される組成物の他の成分、例えばそのよ
うな組成物中のエラスチンの量を測定するために、前述の方法を使用することができるこ
とを認めるであろう。
(5.5.2 生体適合性試験)
本明細書に提供される治療方法において有用な組成物は、実質的に非免疫原性である。
非免疫原性ヒト組織は、他のヒト組織と本来生体適合性であるので、標準の生体適合性試
験(例えば、皮膚刺激及び過敏反応、急性全身毒性)を実行する必要はない。本明細書にお
いて使用される生体適合性とは、生存組織において、毒性、損傷、又は免疫学的反応若し
くは拒絶を生じないことにより、生物学的に適合性がある特性をいう。未知の物質に対す
る生体反応は、人工物質を体内で使用する場合の一番の懸念であり、従って物質の生体適
合性は、そのような物質の重要な設計上の考慮事項である。生体適合性アッセイは、細胞
毒性アッセイ、ウサギの眼球刺激試験、溶血アッセイ及び発熱性アッセイを含むが、これ
らに限定されるものではない。本組成物を評価する上で有用な生体適合性アッセイは、細
胞-ベース又は無細胞であってよい。
本組成物の細胞毒性は、ISO MEM溶出試験を用い決定することができる(実施例5.4.2.2)
。この試験の目的は、培養されたマウス線維芽細胞において細胞毒性反応を誘発する組成
物の能力を評価することである。例証的アッセイにおいて、5%ウシ胎仔血清(FBS)を補充
したEagle最小必須培地(E-MEM)を使用し、被験試料を抽出する。この培地はまた、以下の
1種以上が補充されている:L-グルタミン、HEPES、ゲンタマイシン、ペニシリン、バンコ
マイシン、及びアンホテリシンB(ファンギゾン)。L-929細胞(マウス線維芽細胞)の培養物
を成長させ、使い捨て組織培養実験器具において、大気中5±1%の二酸化炭素の加湿大気
中で、37±1℃で、単層で使用する。被験試料は、試料120cm2及び20ml-E-MEM+5%FBSの
比同等物を使用し、無傷のまま抽出する。被験試料は、E-MEM+5%FBS中で、5±1%二酸
化炭素中において、37±1℃で、24〜25時間抽出する。この抽出期間の後、維持培養培地
を、試験培養ウェルから取り除き、被験培地/抽出物及び対照培地/抽出物、及び塩化カ
ドミウムでスパイクした陽性対照培地の1mlと置き換える。陽性対照、中間対照及び陰性
対照を、被験試料と平行して試行する。被験培地/抽出物及び対照培地/抽出物及び塩化
カドミウムでスパイクした陽性対照培地を、3つ組でプレーティングし、大気中5±1%の
二酸化炭素の加湿大気中で、37±1℃で、72±4時間インキュベーションする。培養物を、
24、48及び72±4時間のインキュベーション時間で、顕微鏡観察により、細胞毒性作用に
ついて評価する。細胞毒性を評価する基準は、顆粒化、鋸状化又は円形化などの細胞の形
態学的変化、及び溶解又は剥離による単層からの生存細胞の喪失を含むことができる。本
試験の正当性は、陰性対照培養物が、試験期間を通じて、健常で正常な外観を維持するこ
とを必要とする。毒性の程度は、下記のようにスコア化される:
0 なし:離散した細胞質内の顆粒;細胞溶解なし
1 わずか:20%以下の細胞が、丸く、ゆるく接着し、細胞質内顆粒を伴わない;場
所により溶解細胞が存在
2 軽度:50%以下の細胞が、丸く、細胞質内顆粒を欠いている;広範な細胞溶解及
び細胞間の空領域なし
3 中等度:70%以下の細胞層が、丸みを帯びた細胞を含み、及び/又は溶解される
4 重度:細胞層がほぼ完全に破壊。
USPに従い、スコア「0」、「1」又は「2」の試験物質は、無毒と考えられるであろう。
スコア「3」又は「4」の試験物質は、有毒と考えられる。正当性試験に関して、陽性対照
試料は、スコア「3」又は「4」を有さねばならず、且つ陰性対照試料は、スコア「0」を
有さねばならない。
ウサギの眼球表面は、ヒト皮膚よりもより過敏であることがわかっており、従ってウサ
ギ眼球刺激資源が、ECM及び/又はECM成分を含有する組成物の生体適合性を評価するため
に使用される。例証的アッセイにおいて、試料は、プライマリー眼球刺激についてスクリ
ーニングされる。本明細書記載のECM含有組成物は、0.05%デオキシコール酸一水和物ナ
トリウム塩(D-Cell)の水溶液を用いて清澄化される。この試験は、連邦有害性物質法(FHS
A)規則16 CFR 1500の指針に従い、実行することができる。例証的アッセイにおいて、対
照眼球は、補助光源による肉眼試験により、ウサギについて臨床上正常と判断されている
。既存の角膜損傷を検出するために、眼球は、フルオレセイン染色により処理し、0.9%U
SP生理食塩水(PSS)によりフラッシュし、且つ暗室において紫外線で観察する。試料は、
標準的技術に従い、各ウサギの一眼の下側の結膜嚢へ点眼する。各ウサギの対眼は、未処
置のままとし、比較対照として働く。動物は、処置後それらの檻へ戻す。投与後、24、48
、及び72時間に、各ウサギの試験眼を、補助光源により試験し、且つ適切な倍率で未処置
の対照眼と比べ、眼球刺激について等級づけする。角膜損傷を検出又は確認するために、
24時間の時点で、試験眼を、フルオレセイン染色により処理し、PSSをフラッシュし、且
つ暗条件において紫外ランプにより試験する。反応は、FHSA-改変Draizeスコアリング基
準に従い、スコア化する。3匹の動物中1匹が有意な陽性反応を示す場合が、境界所見であ
る。3匹の動物中2匹が有意な陽性反応を示す場合は、有意な陽性反応であり、この試験物
質は刺激物であると考えられる。
本明細書記載の組成物の溶血特性は、当該技術分野において公知であり且つ本明細書に
おいて例示される方法(実施例5.4.2.4参照)を用いて、アッセイすることができる。溶血
は、血液と接触する被験試料の溶血性特性を説明している。例証的アッセイにおいて、こ
の手法は、被験物質の血液細胞浮遊液への曝露、及びその後の放出されたヘモグロビン量
の決定に関与している。本試験は、被験組成物をヒト血液と直接接触させる静的条件下で
試行する。赤血球により放出されるヘモグロビンの量は、陰性対照及び陽性対照と同時に
、分光光度計により540nmで測定される(その後シアノメトヘモグロビンに換算)。試料及
び対照に関する溶血指標は、下記のように算出される:
溶血指標=放出されたヘモグロビン(mg/mL)/存在するヘモグロビン(mg/mL)×100
式中:放出されたヘモグロビン(mg/ml)=(定数+X係数)×光学密度×16
存在するヘモグロビン(mg/mL)=希釈した血液10±1mg/mL
本明細書記載の方法において使用される組成物の発熱原性は、当該技術分野において公
知であり且つ本明細書において例示される方法(実施例5.4.2.5参照)を使用し、アッセイ
することができる。一実施態様において、組成物の発熱原性は、例えば、カブトガニの血
球抽出成分(LAL)試験を用い、組成物中の細菌性エンドトキシンの存在を測定することに
より、決定される。この試験は、細菌性エンドトキシンの検出及び定量のための、インビ
トロアッセイである。例証的試験において、組成物(例えば、ECM含有組成物)の98試料(1
ロットにつきn=1)を、各々1×2cmを測定し、抽出について個別に試験する。抽出は、軌
道振盪機上で間欠的に旋回しながら、抽出液30mL中、37〜40℃で40〜60分間、各試料を洗
浄することにより実行する。各試料抽出物のpHは、pH紙により検証した場合、6〜8である
。発熱性レベルは、速度論的比濁比色試験(KTCT)により、試験感度0.05エンドトキシン単
位(EU)/mLで、測定する。1試料当たりの総エンドトキシンレベルは、検出されたエンド
トキシン値(EU/mL)を30mL(1装置当たりの抽出容積)で積算し、再度24倍する(サイズ6×8c
mの装置にシミュレーションする)ことにより、算出する。
(5.5.3 微生物学試験)
非限定的に、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ菌(Klebsiella pneumoniae)、
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、エンテロコッカス・フェーカリス、カンジダ
・アルビカンス、プロテウス・ブルガリス、スタフィロコッカス・ビリダンス、及び緑膿
菌(Pseudomonas aeruginosa)を含む、本明細書記載の方法において使用される組成物中の
微生物の存在は、当該技術分野において公知の方法により決定することができる。そのよ
うな方法は、本組成物の調製の任意の工程において使用することができる。いくつかの実
施態様において、脱細胞化及びすすぎなどの工程は、本明細書記載の方法において使用さ
れる組成物中の微生物の数を減少するように作用する。
産業的滅菌プロセスを受ける前の、本明細書記載の方法で使用される組成物中の夾雑生
物の量、すなわち本組成物の「バイオバーデン」は、当該技術分野において公知の方法を
使用し、アッセイすることができる。例証的方法において、無菌性保証水準(SAL)10〜6の
無菌性を達成する最小電子線照射線量が決定される。膜は、ペプトン-TWEEN(商標)溶液を
使用する、含浸及び手動振盪により、抽出される。プレーティング法は、大豆-カゼイン
消化寒天を使用する、膜濾過である。好気性菌の条件(aerobic conditions)に関しては、
プレートを、30〜35℃で4日間インキュベーションし、その後数える。真菌に関しては、
プレートを、20〜25℃で4日間インキュベーションし、その後数える。胞子形成菌につい
ては、抽出部分は、熱ショックさせ、濾過し、好気性菌のようにプレーティングする。プ
レートは、30〜35℃で4日間インキュベーションし、その後数える。嫌気性菌については
、プレートは、嫌気性条件下で、30〜35℃で4日間インキュベーションし、その後数える
。利用される微生物は、例えば、クロストリジウム・スポロゲネス、緑膿菌、及びバシル
ス・アトロファエウスなどを含むことができる。
特定の実施態様において、ECM、例えば1グラムのECMは、好気性菌及び真菌についてコ
ロニー形成単位(cfu)2未満、1未満、又は好気性菌及び真菌についてゼロcfuを有する。さ
らに別の実施態様において、ECMは、嫌気性菌及び胞子について、コロニー形成単位(cfu)
5.1未満、2未満、又は1未満を有する。
特定の実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は、本明細書
において例示され且つ当業者に公知である方法(実施例5.4.3.2参照)を使用し、決定され
るように、静菌性又は静真菌性ではない。本明細書において使用される静菌性とは、細菌
の成長又は繁殖を阻害するが、細菌を死滅しない物質をいう。本明細書において使用され
る静真菌性とは、非殺真菌化学物質又は物理的物質(physical agency)の存在により、真
菌の成長を妨害する物質をいう。
(5.5.4 組成物の貯蔵及び取り扱い)
本明細書記載の方法において使用される組成物は、室温(例えば25℃)で貯蔵することが
できる。いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は
、少なくとも0℃、少なくとも4℃、少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃、
少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、又は少なくとも40℃の温度で、或い
は、4℃以下、10℃以下、15℃以下、20℃以下、25℃以下、30℃以下、35℃以下又は40℃
以下の温度で、貯蔵することができる。一部の実施態様において、本明細書記載の方法に
おいて使用される組成物は、冷蔵されない。一部の実施態様において、本明細書記載の方
法において使用される組成物は、約2〜8℃の温度で冷蔵されてよい。他の実施態様におい
て、本明細書記載の方法において使用される組成物は、先に確定された温度のいずれかで
、長期間貯蔵することができる。特定の実施態様において、本明細書記載の方法において
使用される組成物は、無菌及び非酸化条件下で貯蔵される。いくつかの実施態様において
、本明細書記載の方法において使用される組成物は、任意の特定の温度で、12ヶ月以上、
生化学的又は構造的完全性を変更することなく(例えば分解せず)、コラーゲン組成物の生
化学的又は生物物理学的特性を変更することなく、貯蔵することができる。いくつかの実
施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は、生化学的又は構造的
完全性を変更することなく(例えば分解せず)、コラーゲン組成物の生化学的又は生物物理
学的特性を変更することなく、数年間貯蔵することができる。本明細書記載の方法におい
て使用される組成物は、長期間貯蔵に適した任意の容器内で貯蔵されてよい。いくつかの
実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は、無菌の二重の剥離
式パウチ型包装内に貯蔵することができる。
(5.5.5 滅菌)
本明細書記載の方法において使用される組成物は、そのような組成物の滅菌に関する当
業者に公知の技術に従い、滅菌することができる。いくつかの実施態様において、本組成
物は、エンドトキシンの通過を可能にし、且つ本組成物中のECMを保持するか、又は1以上
の所望のECM成分を保持するフィルターを通して濾過される。エンドトキシンの濾過に関
して当業者に公知の例えばサイズ30kDaのフィルターを、使用することができる。いくつ
かの実施態様において、本組成物は、エンドトキシンはフィルターを通過させる一方で、
本組成物のECM又はECM成分は保持する条件下で、フィルターと接触される。これらの条件
は、当業者に公知の濾過、例えば遠心分離又はポンプ機能に関する任意の条件であること
ができる。フィルターは、コラーゲンは保持するが、エンドトキシンはフィルターを通過
させるサイズでなければならない。いくつかの実施態様において、フィルターは、5kDa〜
100kDaである。特定の実施態様において、フィルターは、約5kDa、約10kDa、約15kDa、約
20kDa、約30kDa、約40kDa、約50kDa、約60kDa、約70kDa、約80kDa、約90kDa又は約100kDa
である。フィルターは、セルロース、ポリエーテルスルホン及び他の当業者に明らかなも
のなど、本明細書記載の組成物と適合性があることが当業者に公知の任意の物質であるこ
とができる。濾過は、当業者により望まれる回数繰り返すことができる。エンドトキシン
は、クリアランスをモニタリングする標準的技術に従い、検出することができる。
いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は、濾過
し、ウイルス粒子非含有又は減少したECMを作製することができる。有利なことに、この
フィルターは、組成物のECMを保持する一方で、ウイルス粒子は通過させる。ウイルスを
クリアリングするために有用であることが当業者に公知の任意のフィルターを、使用する
ことができる。例えば、1000kDaフィルターを、パルボウイルス、A型肝炎ウイルス及びHI
Vのクリアランス又は減少に使用することができる。750kDaフィルターを、パルボウイル
ス及びA型肝炎ウイルスのクリアランス又は減少に使用することができる。500kDaフィル
ターを、パルボウイルスのクリアランス又は減少に使用することができる。
本組成物を、1種以上のウイルス粒子をフィルター通過させる一方で、組成物中のECMは
保持するサイズのフィルターと接触させる工程を含む方法により、本明細書記載の方法に
おいて使用される組成物は、ウイルス粒子を含まないか、又は減少した数のウイルス粒子
を有するように、調製することができる。いくつかの実施態様において、組成物は、1種
以上のウイルス粒子はフィルターを通過させる一方で、組成物のECM又は1以上の所望のEC
M成分は保持する条件下で、フィルターと接触される。これらの条件は、当業者に公知の
濾過、例えば遠心分離又はポンプ機能に関する任意の条件であることができる。フィルタ
ーは、ECM又は所望のECM成分は保持する一方で、1種以上のウイルス粒子はフィルターを
通過させるサイズのものでなければならない。いくつかの実施態様において、フィルター
は、500kDa〜1000kDaである。特定の実施態様において、フィルターは、約500kDa、約750
kDa又は約1000kDaである。フィルターは、セルロース、ポリエーテルスルホン及び他の当
業者に明らかなものなど、本明細書記載の組成物と適合性があることが当業者に公知の任
意の物質であることができる。濾過は、当業者により望まれる回数繰り返すことができる
。ウイルス粒子は、濾過をモニタリングする標準的技術に従い、検出することができる。
本明細書記載の方法において使用される組成物の滅菌はまた、例えばGorham, D. Byrom
(編集)の文献(1991、「生体材料(Biomaterials)」、Stockton Press社、ニューヨーク、5
5-122)記載など、当業者に公知の方法を使用する電子線照射により実行することもできる
。少なくとも99.9%の細菌又は他の可能性のある夾雑生物を殺傷するのに十分な照射線量
は、本方法の範囲内である。特定の実施態様において、少なくとも18〜25kGy線量を使用
し、ECMの最終滅菌を実現する。
(5.6 製剤化)
いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は、例え
ば含嗽剤のような溶液又は懸濁液として、水又はリン酸緩衝食塩水中に製剤化することが
できる。特定の実施態様において、本組成物は、リン酸緩衝食塩水中に製剤化される。EC
M又はECM成分は、溶液又は懸濁液中に、当業者に有用な任意の濃度で存在することができ
る。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される製剤は、ECMを0.1〜100mg/ml、
1〜100mg/ml、1〜75mg/ml、1〜50mg/ml、1〜40mg/ml、10〜40mg/ml又は20-40mg/ml含有す
る。いくつかの実施態様において、この溶液又は懸濁液は、コラーゲンを約5mg/ml、10mg
/ml、15mg/ml、20mg/ml、25mg/ml、30mg/ml、35mg/ml、40mg/ml、45mg/ml又は50mg/ml含
有する。特定の実施態様において、約35mg/mlのECMを含有する製剤が、本明細書に提供さ
れる。
いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法において使用されるECM含有組成物
は、ペーストとして製剤化される(概して、例えば本明細書記載の方法を使用しヒト胎盤
から抽出されたECMは、白色ペーストである)。ペーストとして製剤化される本明細書記載
の方法において使用されるECM含有組成物は、そのようなペーストとして、本明細書に提
供される治療方法において使用されるか、又はそのような物質の成形に関して当該技術分
野において公知の任意の方法に従い成形することができ、例えば口腔病変を治療する方法
においては、その口腔病変を満たすように成形され得る。例えば本組成物は、具体的な形
状を作製するよう、鋳型の形とされるか、又は鋳型の周囲に形成され、且つ加熱乾燥、真
空乾燥又はフリーズドライされる。本組成物はまた、薄くのばし、例えば真空を使用し、
例えばゲルドライヤー上で、乾燥することもできる。この形状は、シート、チューブ、プ
ラグ、球形などを含む、有用な形状であることができる。具体的実施態様において、本組
成物は、口腔病変に合致するよう成形される。
いくつかの実施態様において、ECM及び/又はECM成分含有組成物は、口腔病変の治療の
ために、医薬品又は化粧品に許容し得る担体を含有してよい。そのような組成物の投与剤
形は、注射剤、液剤、クリーム剤、ゲル剤、インプラント、ポンプ、軟膏、乳剤、懸濁剤
、ミクロスフェア、粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子、リポソーム、ペースト、貼付剤、錠
剤、経皮送達装置、スプレー剤、エアゾール剤、又は当業者に馴染みのある他の手段を含
むが、これらに限定されるものではない。そのような医薬品又は化粧品に許容し得る担体
は一般に、当業者に公知である。医薬製剤は、周知であり容易に入手可能な構成成分を使
用し、当該技術分野において公知の手順により調製することができる。例えば本化合物は
、通常の賦形剤、希釈剤、又は担体と共に、製剤化され、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、散
剤などへ形成することができる。そのような製剤化に適している賦形剤、希釈剤、及び担
体の例は、以下を含む:充填剤及び増量剤(例えば、デンプン、糖、マンニトール、及び
ケイ素誘導体);結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース及び他のセルロース誘導体
、アルギネート、ゼラチン、及びポリビニル-ピロリドン);湿潤剤(例えば、グリセロー
ル);崩壊剤(例えば、炭酸カルシウム及び炭酸水素ナトリウム);溶解遅延剤(例えば、パ
ラフィン);吸収促進剤(例えば、第4級アンモニウム化合物);界面活性剤(例えばセチル
アルコール、グリセロールモノステアレート);吸着性担体(例えば、カオリン及びベント
ナイト);乳化剤;保存剤;甘味料;安定化剤;着色剤;芳香剤;香味剤;滑沢剤(例えば
、タルク、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウム);固形ポリエチルグ
リコール;並びに、それらの混合物。
用語「医薬品又は化粧品に許容し得る担体」又は「医薬品又は化粧品に許容し得るビヒ
クル」は、本明細書において、非限定的に水又は食塩水、ゲル剤、クリーム剤、泥膏(sal
ve)、溶媒、希釈剤、液体軟膏基剤、軟膏、ペースト、インプラント、リポソーム、ミセ
ル、巨大ミセルなどを含み、有害な生理的反応又は化粧品反応を引き起こすことなく、生
存動物又はヒト組織との接触における使用に適しており、且つ有害な様式で本組成物の他
の成分と相互作用しない、非限定的に任意の液体、固形物、半固形物を意味するように使
用される。当業者に公知の他の医薬品又は化粧品に許容し得る担体又はビヒクルは、分子
の送達のための組成物の製造に利用することができる。
可能ならば長期間にわたり、任意の活性構成成分、例えば組成物中のECM又はECM成分に
追加の活性構成成分を、特定の部位のみに又は好ましくは特定の部位に、放出する本明細
書記載の方法において使用される組成物を、構成することができる。そのような組合せは
また、放出速度論を制御するさらなる機序を提供する。コーティング、エンベロープ、及
び保護的マトリクスを、例えばポリマー物質又はワックスから作製することができる。
様々な形状に特に適している、ECM及び/又はECM成分、並びに任意に担体などの他の物
質を含有する、本明細書記載の方法において使用される組成物のインビボ投与の方法は、
経口投与(例えば、口腔内又は舌下投与)、局所適用、エアゾール適用、経皮投与、皮内投
与、皮下投与、筋肉内投与、又は病変部位への外科的投与を含むが、これらに限定される
ものではない。先の投与の様々な形状に有用な技術は、局所適用、外科的投与、注射、ス
プレー剤、経皮送達装置、浸透圧ポンプ、所望の部位への直接の電着、又は当業者に熟知
される他の手段を含むが、これらに限定されるものではない。
本明細書記載の方法において使用される組成物は、クリーム剤、ゲル剤、液剤、懸濁剤
、リポソーム、粒子の形状で、又は治療用化合物及び化粧品化合物の製剤化及び送達の分
野の技術者に公知の他の手段で、適用することができる。皮下投与のための適切な製剤の
いくつかの例は、インプラント、デポ剤、針、カプセル剤、及び浸透圧ポンプを含むが、
これらに限定されるものではない。経口投与に適切な製剤のいくつかの例は、以下を含む
が、これらに限定されるものではない:ペースト、貼付剤、シート、液剤、シロップ剤、
懸濁剤、エアゾール剤及びミスト。従ってそのような製剤は、いくつかの実施態様におい
て、本明細書記載の方法に従う治療病変又は口腔病変において使用される。経皮投与に適
切な製剤のいくつかの例は、クリーム剤、ペースト、貼付剤、スプレー剤、及びゲル剤を
含むが、これらに限定されるものではない。皮下投与に適切な送達機序のいくつかの例は
、インプラント、デポ剤、針、カプセル剤、及び浸透圧ポンプを含むが、これらに限定さ
れるものではない。
本組成物が例えば1種以上の医薬品又は化粧品として許容し得る担体又は賦形剤を含有
する実施態様は、好都合なことに、単位剤形で提供されることができ、且つ通常の医薬技
術により調製されることができる。そのような技術は、活性構成成分を含む組成物と医薬
担体又は賦形剤を会合させる工程を含む。概して、これらの製剤は、活性構成成分を、例
えば液体担体と、均一且つ緊密に会合させることにより、調製される。特定の単位剤形は
、投与される構成成分の、投与量若しくは単位、又はそれらの好適な画分を含むものであ
る。本明細書に提供される組成物を含む製剤は、特に先に言及した構成成分に加え、当業
者により通常使用される他の薬剤を含んでよいことは、理解されなければならない。投与
の容積は、投与経路によって決まるであろう。
本明細書記載の方法において使用される組成物は、所望の生理的又は薬学的結果、例え
ば口腔病変の治療を生じるであろう任意の投与量範囲で、ヒト又は動物へ投与することが
できる。用量は、1又は複数の投与される物質、所望の治療エンドポイント、作用部位又
は体液中で所望の有効濃度、及び投与の型によって決まるであろう。物質の適量に関する
情報は、当業者に公知であり、且つL. S. Goodman及びA. Gilman編集の文献、「治療薬の
薬学的基礎(Pharmacological Basis of Therapeutics)」、Macmillan Publishing社、New
York、及びKatzungの文献、「基礎及び臨床薬理学(Basic & Clinical Pharmacology)」
、Appleton & Lang社、Norwalk、コネチカット州(第6版、1995)などの参考文献に認める
ことができる。所望の療法の分野の熟練した医師は、状況及び投与される物質により必要
とされる、具体的用量及び投与量範囲、並びに投与頻度を選択することができる。
本明細書記載の方法において使用される組成物は、ECM又はECM成分でない、1種以上の
化合物又は物質、例えば活性構成成分又は活性薬剤、例えばコラーゲン、エラスチン、ラ
ミニン及び/又はグリコサミノグリカンなどを含むことができる。例えば、本組成物は、
製造期間中又は手術のための準備期間のいずれかに、生体分子により含浸されることがで
きる。そのような生体分子は、抗生物質(クリンダマイシン、ミノサイクリン、ドキシサ
イクリン、ゲンタマイシンなど)、ホルモン、増殖因子、抗-腫瘍剤、抗真菌薬、抗ウイル
ス薬、鎮痛剤、抗-ヒスタミン薬、抗炎症薬、非限定的に銀(硝酸銀及びスルファジアジン
銀などを含むが、これらに限定されるものではない銀塩など)、銀元素、抗生物質を含む
抗感染薬、殺菌性酵素(リゾチームなど)、創傷治癒薬(PDGF、TGFを含むが、これらに限定
されるものではないサイトカインなど;サイモシン)、創傷治癒剤としてのヒアルロン酸
、創傷シーラント(トロンビン含有又は非含有のフィブリンなど)、細胞誘引剤及び細胞足
場剤(フィブロネクチンなど)並びに同類のものを含むが、これらに限定されるものではな
い。具体例において、本組成物は、少なくとも1種の増殖因子、例えば線維芽細胞増殖因
子、上皮増殖因子などにより、含浸されてよい。本組成物はまた、特定の生化学プロセス
の特異的阻害剤、例えば膜受容体阻害剤、キナーゼ阻害剤、成長阻害剤、制癌剤、抗生物
質などの小型有機分子により、含浸されてよい。
さらに別の実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は、ヒド
ロゲルと組合せることができる。当業者に公知の任意のヒドロゲル、例えば、Grahamの文
献、1998, Med. Device Technol. 9(1): 18-22;Peppasらの文献、2000, Eur. J. Pharm.
Biopharm. 50(1): 27-46;Nguyenらの文献、2002, Biomaterials, 23(22): 4307-14;He
ninclらの文献、2002, Adv. Drug Deliv. Rev 54(1): 13-36;Skelhorneらの文献、2002,
Med. Device. Technol. 13(9): 19-23;又は、Schmedlenらの文献、2002, Biomaterials
23: 4325-32に明らかにされたヒドロゲル組成物のいずれかを使用することができる。具
体的実施態様において、本組成物が固体形状で製剤化される場合は、ヒドロゲルは、組成
物上に塗布され、すなわち組成物の表面上に吐出される。ヒドロゲルは、例えば、組成物
上に噴霧、組成物の表面上に飽和、組成物により浸漬、組成物の槽投入、又は組成物の表
面上にコーティングされることができる。本明細書に提供される方法及び組成物に有用な
ヒドロゲルは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポ
リエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸、デキストラン又はそれら
の誘導体及びアナログを含むが、これらに限定されるものではない、当該技術分野におい
て公知の水-相互反応性ポリマー、又は水溶性ポリマーのいずれかから製造することがで
きる。
一部の実施態様において、本組成物は、ヒドロゲルと組合せる前に、1種以上の生体分
子によりさらに含浸される。他の実施態様において、ヒドロゲルは、組成物と組合せる前
に、1種以上の生体分子によりさらに含浸される。そのような生体分子は、抗生物質(クリ
ンダマイシン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、ゲンタマイシンなど)、ホルモン、
増殖因子、抗-腫瘍剤、抗真菌薬、抗ウイルス薬、鎮痛剤、抗-ヒスタミン薬、抗炎症薬、
非限定的に銀(硝酸銀及びスルファジアジン銀などを含むが、これらに限定されるもので
はない銀塩など)、銀元素、抗生物質を含む抗感染薬、殺菌性酵素(リゾチームなど)、創
傷治癒薬(PDGF、TGFを含むが、これらに限定されるものではないサイトカインなど;サイ
モシン)、創傷治癒剤としてのヒアルロン酸、創傷シーラント(トロンビン含有又は非含有
のフィブリンなど)、細胞誘引剤及び細胞足場剤(フィブロネクチンなど)並びに同類のも
のを含むが、これらに限定されるものではない。具体例において、本組成物又はヒドロゲ
ルは、少なくとも1種の増殖因子、例えば線維芽細胞増殖因子、上皮増殖因子などにより
含浸されてよい。有利なことに、この生体分子は治療薬であることができる。
一部の実施態様において、ヒドロゲルは、本組成物を含有するラミネートと組合せられ
る。
一部の実施態様において、ヒドロゲル/組成物は、対象に局所的に、すなわち、例えば
病変部位での、口腔粘膜の表面上に適用される。一部の実施態様において、ヒドロゲルは
、非生分解性であるように製剤化される。さらに別の実施態様において、ヒドロゲルは、
生分解性であるように製剤化される。具体的実施態様において、ヒドロゲルは、個体への
投与後、数日以内で、例えば、7日未満、14日未満、21日未満、又は28日未満で分解する
ように、製剤化される。別の具体的実施態様において、ヒドロゲル組成物は、個体への投
与後、数ヶ月以内に分解するように、製剤化される。
一部の実施態様において、本明細書記載の組成物は、細胞を含む。例えば、細胞は、本
明細書記載の組成物と共に溶液中にあるか、又はその組成物が固体形状である場合は、本
明細書記載の組成物上に実装(populate)されてよい。本明細書記載の組成物中で使用する
ことができる細胞は、幹細胞(例えばヒト幹細胞)、ヒト分化型成体細胞、全能性幹細胞、
多能性幹細胞、多分化能性幹細胞、組織特異的幹細胞、胚性幹細胞、方向づけられた前駆
細胞、線維芽細胞様細胞、及び同類のものを含むが、これらに限定されるものではない。
他の実施態様において、本組成物は、非限定的に軟骨細胞、肝細胞、造血細胞、膵実質細
胞、神経芽細胞、及び筋肉前駆細胞を含む、前駆細胞の特異的クラスを含むことができる
(5.7 幹細胞)
いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法において使用される組成物は、複数
の幹細胞を含む。これらの幹細胞は、所定の目的に適した任意の幹細胞であることができ
、且つ全能性若しくは多能性幹細胞であることができるか、又は前駆細胞であることがで
きる。好ましくは、本組成物は、米国特許第7,045,148号;第7,468,276号;第8,057,788
号及び第8,202,703号に記載されたものなど、胎盤幹細胞を含み、これらの特許の開示は
それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。しかし本組成物は、任意の組
織給源由来の、幹細胞又は前駆細胞、好ましくは哺乳動物の幹細胞又は前駆細胞、例えば
、胚性幹細胞、胚性生殖細胞、間葉系幹細胞、骨髄-由来幹細胞、造血前駆細胞(例えば、
末梢血、胎児血、胎盤血、臍帯血、胎盤灌流液など由来の造血幹細胞)、体性幹細胞、神
経幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、内皮幹細胞、心臓幹細胞、筋幹細胞、脂肪幹細胞などを
含むことができる。本組成物は、幹細胞型の任意の組合せを含むことができる。いくつか
の実施態様において、幹細胞は、ヒト幹細胞、例えばヒト胎盤幹細胞である。具体的実施
態様において、これらの細胞は、本組成物の給源に対し自家であり、例えば細胞は、それ
から組成物中のECM又はECM成分が誘導されるものと同じ給源(すなわち胎盤)由来の胎盤幹
細胞である。
いくつかの実施態様において、本組成物は、固体形状である場合、複数の幹細胞又は前
駆細胞と、複数の該幹細胞又は前駆細胞が組成物に接着するのに十分な時間、接触される
。好ましい実施態様において、本組成物は、幹細胞又は前駆細胞と接触する前に、有用な
構造形に、例えばシート、プラグ、チューブ、又は他の構造形に成形される。幹細胞又は
前駆細胞の本組成物との接触は、当該技術分野において公知の任意の方法により実行する
ことができ、且つ例えば、幹細胞又は前駆細胞を含む媒体を本組成物の表面上に分散する
こと;本組成物の一部又は全体を、幹細胞又は前駆細胞の浮遊液中に含浸すること;少な
くとも1回の細胞分裂について多数の増殖に十分な期間、複数の幹細胞又は前駆細胞を本
組成物の表面上で培養すること;並びに、同類のものを含んでよい。幹細胞、好ましくは
胎盤幹細胞は、本組成物上に、例えば組成物の成形された形状の上に、組成物表面の全体
又は一部の上に存在することができ、例えば、無作為に表面上に存在、集密に存在などす
ることができる。
任意の実施態様において本組成物と接触される幹細胞又は前駆細胞の数は、変動してよ
いが、様々な実施態様において、少なくとも1×106、3×106、1×107、3×107、1×108
3×108、1×109、3×109、1×1010、3×1010、1×1011、3×1011、又は1×1012個である
か;或いは、1×106、3×106、1×107、3×107、1×108、3×108、1×109、3×109、1×1
010、3×1010、1×1011、3×1011、又は1×1012個以下の幹細胞又は前駆細胞であること
ができる。
いくつかの他の実施態様において、本組成物は、幹細胞又は幹細胞の集団により沈着さ
れた細胞外マトリクスタンパク質の1種以上の型を含む。一実施態様において、例えば、
組成物を複数の幹細胞と接触すること;幹細胞が、細胞外マトリクスタンパク質の少なく
とも一型を検出可能な量沈着するのに十分な期間、本組成物上で幹細胞を培養すること;
並びに、この組成物を脱細胞化し、少なくとも一型の細胞外マトリクスタンパク質を含有
する組成物を作製することにより、組成物は、細胞外マトリクスタンパク質を含むように
、作製される。従って一実施態様において、本組成物は、脱細胞化された細胞外マトリク
スを含み、ここでこの脱細胞化された細胞外マトリクスは、幹細胞により沈着又は作製さ
れる。様々な実施態様において、本細胞外マトリクスタンパク質は、1種以上のコラーゲ
ン(例えば、I型、II型、III型、及び/又はIV型コラーゲンの1種以上)、エラスチン及び
/又はフィブロネクチンを含む。別の実施態様において、本細胞外マトリクスタンパク質
は、増殖しているが分化していない複数の幹細胞により作製される。別の実施態様におい
て、本細胞外マトリクスは、分化している複数の幹細胞によるか、又は複数の幹細胞から
分化された複数の幹細胞により作製される。
(5.7.1 胎盤幹細胞)
一実施態様において、本組成物は、複数のCD34-胎盤幹細胞を含む。CD34-胎盤幹細胞は
、組織培養基材に接着し、且つ非-胎盤細胞型に分化する能力を有する、胎盤組織から入
手可能な、幹細胞である。胎盤幹細胞は、胎児起源のもの又は母親起源のもののいずれか
であることができる(すなわち、胎児又は母親のいずれかの遺伝子型を有することができ
る)。胎盤幹細胞の集団、又は胎盤幹細胞を含む細胞の集団は、もっぱら胎児起源のもの
若しくは母親起源のものである胎盤幹細胞を含むことができるか、又は胎児起源と母親起
源の両方の胎盤幹細胞の混合集団を含むことができる。胎盤幹細胞、及び胎盤幹細胞を含
む細胞の集団は、以下で論じられている形態的特性、マーカー特性、及び培養特性によっ
て同定及び選択することができる。
胎盤幹細胞は、初代培養又は細胞培養で培養したとき、組織培養基材、例えば、組織培
養容器表面(例えば、組織培養プラスチック)に接着する。培養下の胎盤幹細胞は、通常、
線維芽細胞のような星状の外観をしており、いくつかの細胞質突起が中央の細胞体から伸
びている。しかしながら、胎盤幹細胞は、線維芽細胞よりも多くのそのような突起を示す
ので、胎盤幹細胞は、同じ条件下で培養された線維芽細胞と形態的に区別することができ
る。形態学的には、胎盤幹細胞は、造血幹細胞からも区別することができ、造血幹細胞は
、通常、培養下では、より丸みを帯びた、又は敷石状の形態をとる。
胎盤幹細胞は一般に、マーカーCD10、CD73、CD105、CD200、HLA-G、及び/又はOCT-4を
発現し、且つCD34、CD38、又はCD45を発現しない。胎盤幹細胞は、HLA-ABC(MHC-1)及びHL
A-DRも発現することができる。従って一実施態様において、ECMと組合せられ得る幹細胞
は、CD200+又はHLA-G+である。別の実施態様において、胎盤幹細胞は、CD73+、CD105+
及びCD200+である。別の実施態様において、胎盤幹細胞は、CD200+及びOCT-4+である。別
の実施態様において、胎盤幹細胞は、CD73+、CD105+及びHLA-G+である。別の実施態様に
おいて、胎盤幹細胞は、CD73+及びCD105+であり、並びに胎盤細胞の集団の場合、胚様体
の形成を可能にする条件下で、1以上の胚様体の形成を促進する。別の実施態様において
、胎盤幹細胞は、OCT-4+であり、並びに胎盤細胞の集団の場合、胚様体の形成を可能にす
る条件下で培養されると、該幹細胞を含む単離された胎盤幹細胞の集団における、1以上
の胚様体の形成を促進する。
いくつかの実施態様において、単離された胎盤幹細胞は、単離された胎盤幹細胞である
。いくつかの他の実施態様において、単離された胎盤幹細胞は、単離された胎盤多能性細
胞である。一実施態様において、単離された胎盤幹細胞、例えば、PDACは、フローサイト
メトリーで検出した場合、CD34-、CD10+、及びCD105+である。別の具体的実施態様におい
て、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞は、神経表現型の細胞、骨形成表現型の細
胞、及び/又は軟骨形成表現型の細胞に分化する潜在能力を有する。別の具体的実施態様
において、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD200+である。別の具体
的実施態様において、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさらに、CD45-又はCD9
0+である。別の具体的実施態様において、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞はさ
らに、フローサイトメトリーで検出した場合、CD45-及びCD90+である。別の具体的実施態
様において、単離されたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤細胞はさらに、フローサイト
メトリーで検出した場合、CD90+又はCD45-である。別の具体的実施態様において、単離さ
れたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーで検出した
場合、CD90+及びCD45-であり、すなわち、該細胞は、CD34-、CD10+、CD45-、CD90+、CD10
5+及びCD200+である。別の具体的実施態様において、該CD34-、CD10+、CD45-、CD90+、CD
105+、CD200+細胞はさらに、CD80-及びCD86-である。
いくつかの実施態様において、該胎盤幹細胞は、フローサイトメトリーで検出した場合
、CD34-、CD10+、CD105+、及びCD200+、並びにCD38-、CD45-、CD80-、CD86-、CD133-、HL
A-DR,DP,DQ-、SSEA3-、SSEA4-、CD29+、CD44+、CD73+、CD90+、CD105+、HLA-A,B,C+、PDL
1+、ABC-p+、及び/又はOCT-4+のうちの1以上である。他の実施態様において、上記のCD3
4-、CD10+、CD105+細胞はいずれもさらに、CD29+、CD38-、CD44+、CD54+、SH3+、又はSH4
+のうちの1以上である。別の具体的実施態様において、該細胞はさらに、CD44+である。
上記の単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞のいずれかの別の具体的実施態様におい
て、該細胞はさらに、CD117-、CD133-、KDR-(VEGFR2-)、HLA-A,B,C+、HLA-DP,DQ,DR-、若
しくはプログラム死-1リガンド(PDL1)+のうちの1以上、又はそれらの任意の組合せである
別の実施態様において、CD34-、CD10+、CD105+細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、C
D38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD8
0-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE-カドヘリンlow、CD1
84/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT-4+、SSEA3-、SSEA4-、ABC-p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA-A,
B,C+、HLA-DP,DQ,DR-、HLA-G-、若しくはプログラム死-1リガンド(PDL1)+のうちの1以上
、又はそれらの任意の組合せである。別の実施態様において、CD34-、CD10+、CD105+細胞
はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62E-、CD62L-
CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+
、CD117-、CD144/VE-カドヘリンlow、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT-4+、SSEA3-
SSEA4-、ABC-p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA-A,B,C+、HLA-DP,DQ,DR-、HLA-G-、及びプログラム
死-1リガンド(PDL1)+である。
別の具体的実施態様において、本明細書記載の胎盤幹細胞はいずれもさらに、フローサ
イトメトリーで検出した場合、ABC-p+であるか、又は逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(R
T-PCR)で決定した場合、OCT-4+(POU5F1+)であり、ここで、ABC-pは、胎盤特異的ABC輸送
体タンパク質(乳癌耐性タンパク質(BCRP)及びミトキサントロン耐性タンパク質(MXR)とし
ても知られる)であり、且つOCT-4は、オクタマー-4タンパク質(POU5F1)である。別の具体
的実施態様において、本明細書記載の胎盤幹細胞はいずれもさらに、フローサイトメトリ
ーで決定した場合、SSEA3-又はSSEA4-であり、ここで、SSEA3はステージ特異的胚抗原3で
あり、且つSSEA4はステージ特異的胚抗原4である。別の具体的実施態様において、本明細
書記載の胎盤幹細胞はいずれもさらに、SSEA3-及びSSEA4-である。
別の具体的実施態様において、本明細書記載の胎盤細胞はいずれもさらに、MHC-I+(例
えば、HLA-A,B,C+)、MHC-II-(例えば、HLA-DP,DQ,DR-)、又はHLA-G-のうちの1以上である
。別の具体的実施態様において、本明細書記載の胎盤幹細胞はいずれもさらに、MHC-I+(
例えば、HLA-A,B,C+)、MHC-IV(例えば、HLA-DP,DQ,DR-)、及びHLA-G-のうちの1以上であ
る。
本明細書に開示されている方法及び組成物において有用である、単離された胎盤幹細胞
、又は例えば単離された胎盤幹細胞を含む、例えば該細胞が濃縮されている胎盤細胞の集
団などの細胞集団も、本明細書で提供される。好ましい細胞集団は、単離された胎盤幹細
胞を含み、ここで、該細胞集団は、例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、
35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又
は98%の単離されたCD10+、CD105+、及びCD34-胎盤幹細胞を含み;すなわち、該集団内の
細胞の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%
、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は98%は、単離されたCD10+、CD105+
、及びCD34-胎盤幹細胞である。具体的実施態様において、単離されたCD34-、CD10+、CD1
05+胎盤幹細胞はさらに、CD200+である。別の具体的実施態様において、単離されたCD34-
、CD10+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞はさらに、フローサイトメトリーで検出した場合、C
D90+又はCD45-である。別の具体的実施態様において、単離されたCD34-、CD10+、CD105+
、CD200+胎盤幹細胞はさらに、フローサイトメトリーで検出した場合、CD90+及びCD45-
ある。別の具体的実施態様において、上記の単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞
はいずれもさらに、CD29+、CD38-、CD44+、CD54+、SH3+、又はSH4+のうちの1以上である
。別の具体的実施態様において、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞、又は単離
されたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞はさらに、CD44+である。上記の単離さ
れたCD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞を含む細胞集団のいずれかの具体的実施態様におい
て、単離された胎盤幹細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54
-、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(C
D105+)、CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE-カドヘリンlow、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133
-、OCT-4+、SSEA3-、SSEA4-、ABC-p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA-A,B,C+、HLA-DP,DQ,DR-、HLA
-G-、又はプログラム死-1リガンド(PDL1)+のうちの1つ若しくは複数、又はそれらの任意
の組合せである。別の具体的実施態様において、CD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞はさら
に、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62E-、CD62L-、CD62P-
、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD11
7-、CD144/VE-カドヘリンlow、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT-4+、SSEA3-、SSEA4-
、ABC-p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA-A,B,C+、HLA-DP,DQ,DR-、HLA-G-、及びプログラム死-1リ
ガンド(PDL1)+である。
いくつかの実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離され
た胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH
3+、SH4+、SSEA3-、SSEA4-、OCT-4+、及びABC-p+のうちの1以上、又は全てであり、ここ
で、該単離された胎盤幹細胞は、胎盤組織の物理的及び/又は酵素的破壊によって得られ
る。具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びABC-p+である。別
の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びCD34-であり、ここ
で、該単離された胎盤幹細胞は、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する:CD10+、CD
29+、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH3+、SH4+、SSEA3-、及びSSEA4-。別の具体的実施
態様において、該単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34-、CD10+、CD29+、CD44+、CD45
-、CD54+、CD90+、SH3+、SH4+、SSEA3-、及びSSEA4-である。別の実施態様において、該
単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34-、SSEA3-、及びSSEA4-である。別の具体的実施
態様において、該単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びCD34-であり、且つSH2+又はSH3+
のいずれかである。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+
CD34-、SH2+、及びSH3+である。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞
は、OCT-4+、CD34-、SSEA3-、及びSSEA4-であり、且つSH2+又はSH3+のいずれかである。
別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びCD34-であり、且
つSH2+又はSH3+のいずれかであり、且つCD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SS
EA3-、又はSSEA4-のうちの少なくとも1つである。別の具体的実施態様において、該単離
された胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34-、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SSE
A3-、及びSSEA4-であり、且つSH2+又はSH3+のいずれかである。
別の実施態様において、本明細書に開示されている方法及び組成物において有用な単離
された胎盤幹細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、及びOCT-4+である。別の具体的実施態様におい
て、該単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD44+、CD54+、CD90+、CD34-、CD45-、S
SEA3-、又はSSEA4-である。別の実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は、SH2+、S
H3+、SH4+、SSEA3-、及びSSEA4-である。別の具体的実施態様において、該単離された胎
盤幹細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-及びSSEA4-、CD10+、CD29+、CD44+、CD54+、CD90
+、OCT-4+、CD34-、又はCD45-である。
別の実施態様において、本明細書に開示されている方法及び組成物において有用な単離
された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+
、及びSH4+であり;ここで、該単離された胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+、SSEA3-、又はSS
EA4-のうちの1以上である。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されている方法及び組成物において有用
な単離された胎盤幹細胞は、CD200+又はHLA-G-である。具体的実施態様において、該単離
された胎盤幹細胞は、CD200+及びHLA-G-である。別の具体的実施態様において、該単離さ
れた胎盤幹細胞はさらに、CD73+及びCD105+である。別の具体的実施態様において、該単
離された胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45-である。別の具体的実施態様に
おいて、該単離された胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、及びCD45-である。別の具体
的実施態様において、該胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、及びCD105+である
。別の具体的実施態様において、該単離されたCD200+又はHLA-G-胎盤細胞は、胚様体の形
成を可能にする条件下で、該単離された胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団内での胚様体の
形成を促進する。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は、幹細胞でも
多能性細胞でもない胎盤細胞から単離されている。別の具体的実施態様において、該単離
された胎盤幹細胞は、これらのマーカーの組合せを示さない胎盤細胞から単離されている
別の実施態様において、本明細書記載の治療方法及びECM組成物において有用な細胞集
団は、CD200+、HLA-G-胎盤幹細胞を含む、例えばCD200+、HLA-G-胎盤幹細胞が濃縮されて
いる、細胞の集団である。具体的実施態様において、該集団は、胎盤細胞の集団である。
様々な実施態様において、該細胞集団内の細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、
少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%は、単
離されたCD200+、HLA-G-胎盤幹細胞である。好ましくは、該細胞集団内の細胞の少なくと
も約70%は、単離されたCD200+、HLA-G-胎盤幹細胞である。より好ましくは、該細胞の少
なくとも約90%、95%、又は99%は、単離されたCD200+、HLA-G-胎盤幹細胞である。該細
胞集団の具体的実施態様において、該単離されたCD200+、HLA-G-胎盤幹細胞は、CD73+
びCD105+でもある。別の具体的実施態様において、該単離されたCD200+、HLA-G-胎盤幹細
胞は、CD34-、CD38-、又はCD45-でもある。別の具体的実施態様において、該単離されたC
D200+、HLA-G-胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、及びCD105+でもある。別の
実施態様において、該細胞集団は、胚様体の形成を可能にする条件下で培養したとき、1
以上の胚様体を生じさせる。別の具体的実施態様において、該細胞集団は、幹細胞ではな
い胎盤細胞から単離されている。別の具体的実施態様において、該単離されたCD200+、HL
A-G-胎盤幹細胞は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、CD73+、CD105+、及びCD200+である。別の具体的実施態様において、該単離さ
れた胎盤幹細胞は、HLA-G-である。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細
胞は、CD34-、CD38-、又はCD45-である。別の具体的実施態様において、該単離された胎
盤幹細胞は、CD34-、CD38-、及びCD45-である。別の具体的実施態様において、該単離さ
れた胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、及びHLA-G-である。別の具体的実施態様にお
いて、該単離されたCD73+、CD105+、及びCD200+胎盤幹細胞は、該単離された胎盤幹細胞
を含む胎盤細胞の集団を、胚様体の形成を可能にする条件下で培養したとき、該集団内で
の1以上の胚様体の形成を促進する。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹
細胞は、単離された胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的実施態
様において、該単離された胎盤幹細胞は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離
されている。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な細胞集団は、単
離されたCD73+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞を含む、例えば、単離されたCD73+、CD105+
CD200+胎盤幹細胞が濃縮されている、細胞の集団である。様々な実施態様において、該細
胞集団内の細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも
約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%は、単離されたCD73+、CD105+、CD200
+胎盤幹細胞である。別の実施態様において、該細胞の集団内の該細胞の少なくとも約70
%は、単離されたCD73+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞である。別の実施態様において、該
細胞の集団内の細胞の少なくとも約90%、95%、又は99%は、単離されたCD73+、CD105+
、CD200+胎盤幹細胞である。該集団の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞
は、HLA-G-である。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞はさらに、CD
34-、CD38-、又はCD45-である。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞
はさらに、CD34-、CD38-、及びCD45-である。別の具体的実施態様において、該単離され
た胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、CD45-、及びHLA-G-である。別の具体的実施態様
において、該胎盤幹細胞を含む該細胞の集団は、胚様体の形成を可能にする条件下で培養
したとき、1以上の胚様体を生じさせる。別の具体的実施態様において、該胎盤幹細胞の
集団は、幹細胞でない胎盤細胞から単離されている。別の具体的実施態様において、該胎
盤細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離されている。
いくつかの他の実施態様において、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、C
D38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH4+、SSEA3-、SSEA4-、OCT-4+、HLA-G-、又
はABC-p+のうちの1以上である。具体的実施態様において、単離された胎盤幹細胞は、CD1
0+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-、S
SEA4-、及びOCT-4+である。別の具体的実施態様において、単離された胎盤幹細胞は、CD1
0+、CD29+、CD34-、CD38-、CD45-、CD54+、SH2+、SH3+、及びSH4+である。別の具体的実
施態様において、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD45-、CD54+
、SH2+、SH3+、SH4+、及びOCT-4+である。別の具体的実施態様において、単離された胎盤
幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、HLA-G-、SH2+
SH3+、SH4+である。別の具体的実施態様において、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及び
ABC-p+である。別の具体的実施態様において、単離された胎盤幹細胞は、SH2+、SH3+、SH
4+、及びOCT-4+である。別の実施態様において、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34
-、SSEA3-、及びSSEA4-である。具体的実施態様において、該単離されたOCT-4+、CD34-
SSEA3-、及びSSEA4-胎盤細胞はさらに、CD10+、CD29+、CD34-、CD44+、CD45-、CD54+、CD
90+、SH2+、SH3+、及びSH4+である。別の実施態様において、単離された胎盤幹細胞は、O
CT-4+及びCD34-であり、且つSH3+又はSH4+のいずれかである。別の実施態様において、単
離された胎盤幹細胞は、CD34-、並びにCD10+、CD29+、CD44+、CD54+、CD90+、又はOCT-4+
のいずれかである。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、CD200+及びOCT-4+である。具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞
は、CD73+及びCD105+である。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は
、HLA-G-である。別の具体的実施態様において、該単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞
は、CD34-、CD38-、又はCD45-である。別の具体的実施態様において、該単離されたCD200
+、OCT-4+胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、及びCD45-である。別の具体的実施態様において
、該単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+、及
びHLA-G-である。別の具体的実施態様において、該単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞
は、該単離された細胞を含む胎盤細胞の集団を、胚様体の形成を可能にする条件下で培養
したとき、該集団による1以上の胚様体の生成を促進する。別の具体的実施態様において
、該単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞は、幹細胞ではない胎盤細胞から単離されてい
る。別の具体的実施態様において、該単離されたCD200+、OCT-4+胎盤細胞は、これらの特
徴を示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な細胞集団は、CD
200+、OCT-4+胎盤幹細胞を含む、例えば、CD200+、OCT-4+胎盤幹細胞が濃縮されている、
細胞の集団である。様々な実施態様において、該細胞集団内の細胞の少なくとも約10%、
少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少な
くとも約60%は、単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞である。別の実施態様において、
該細胞の少なくとも約70%は、該単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞である。別の実施
態様において、該細胞集団内の細胞の少なくとも約80%、90%、95%、又は99%は、該単
離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞である。該単離された集団の具体的実施態様において
、該単離されたCD200+、OCT-4+胎盤細胞はさらに、CD73+及びCD105+である。別の具体的
実施態様において、該単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞はさらに、HLA-G-である。別
の具体的実施態様において、該単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、C
D38-、及びCD45-である。別の具体的実施態様において、該単離されたCD200+、OCT-4+
盤細胞はさらに、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+、及びHLA-G-である。別の具体的
実施態様において、該細胞集団は、胚様体の形成を可能にする条件下で培養したとき、1
以上の胚様体を生成する。別の具体的実施態様において、該細胞集団は、単離されたCD20
0+、OCT-4+胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的実施態様において
、該細胞集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、CD73+、CD105+、及びHLA-G-である。別の具体的実施態様において、該単離さ
れたCD73+、CD105+、及びHLA-G-胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45-である。
別の具体的実施態様において、該単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤細胞はさらに、C
D34-、CD38-、及びCD45-である。別の具体的実施態様において、該単離されたCD73+、CD1
05+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+である。
別の具体的実施態様において、該単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞はさら
に、CD200+である。別の具体的実施態様において、該単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-
胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、CD45-、OCT-4+、及びCD200+である。別の具体的実
施態様において、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞は、該細胞を含む胎盤細
胞の集団を、胚様体の形成を可能にする条件下で培養したとき、該集団内での胚様体の形
成を促進する。別の具体的実施態様において、該単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤
幹細胞は、該単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離さ
れている。別の具体的実施態様において、該単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細
胞は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な細胞集団は、単
離されたCD73+、CD105+、及びHLA-G-胎盤幹細胞を含む、例えば、単離されたCD73+、CD10
5+、及びHLA-G-胎盤幹細胞が濃縮されている、細胞の集団である。様々な実施態様におい
て、該細胞の集団内の細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、
少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%は、単離されたCD73+、CD1
05+、HLA-G-胎盤幹細胞である。別の実施態様において、該細胞の集団内の細胞の少なく
とも約70%は、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞である。別の実施態様にお
いて、該細胞の集団内の細胞の少なくとも約90%、95%、又は99%は、単離されたCD73+
、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞である。上記の集団の具体的実施態様において、該単離され
たCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45-である。別の具
体的実施態様において、該単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、CD34-
、CD38-、及びCD45-である。別の具体的実施態様において、該単離されたCD73+、CD105+
、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+である。別の具体的実施態様において、該単離され
たCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、CD200+である。別の具体的実施態様にお
いて、該単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、CD45-
OCT-4+、及びCD200+である。別の具体的実施態様において、該細胞集団は、該CD73+、CD1
05+、HLA-G-胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的実施態様にお
いて、該細胞集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、CD73+及びCD105+であり、且つ該CD73+、CD105+胎盤幹細胞を含む単離された胎
盤細胞の集団を、胚様体の形成を可能にする条件下で培養したとき、該集団内での1以上
の胚様体の形成を促進する。別の具体的実施態様において、該単離されたCD73+、CD105+
胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45-である。別の具体的実施態様において、
該単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、及びCD45-である。別の
具体的実施態様において、該単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+であ
る。別の具体的実施態様において、該単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、OCT
-4+、CD34-、CD38-、及びCD45-である。別の具体的実施態様において、該単離されたCD73
+、CD105+胎盤細胞は、該細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的実施態
様において、該単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞は、これらの特徴を示さない胎盤細胞
から単離されている。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な細胞集団は、CD
73+、CD105+であり、且つ該細胞を含む単離された胎盤細胞の集団を、胚様体の形成を可
能にする条件下で培養したとき、該集団内での1以上の胚様体の形成を促進する単離され
た胎盤幹細胞を含む、例えば、該単離された胎盤幹細胞が濃縮されている、細胞の集団で
ある。様々な実施態様において、該細胞の集団内の細胞の少なくとも約10%、少なくとも
約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60
%は、該単離されたCD73+、CD105+胎盤細胞である。別の実施態様において、該細胞の集
団内の細胞の少なくとも約70%は、該単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞である。別の
実施態様において、該細胞の集団内の細胞の少なくとも約90%、95%、又は99%は、該単
離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞である。上記の集団の具体的実施態様において、該単
離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45-である。別の具体
的実施態様において、該単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-
及びCD45-である。別の具体的実施態様において、該単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞
はさらに、OCT-4+である。別の具体的実施態様において、該単離されたCD73+、CD105+
盤幹細胞はさらに、CD200+である。別の具体的実施態様において、該単離されたCD73+、C
D105+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、CD45-、OCT-4+、及びCD200+である。別の具体
的実施態様において、該細胞集団は、該単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞ではない胎
盤細胞から単離されている。別の具体的実施態様において、該細胞集団は、これらのマー
カーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤
細胞は、OCT-4+であり、且つ胚様体の形成を可能にする条件下で培養したとき、該細胞を
含む単離された胎盤細胞の集団内での1以上の胚様体の形成を促進する。具体的実施態様
において、該単離されたOCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD73+及びCD105+である。別の具体
的実施態様において、該単離されたOCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45
-である。別の具体的実施態様において、該単離されたOCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD200
+である。別の具体的実施態様において、該単離されたOCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD73+
、CD105+、CD200+、CD34-、CD38-、及びCD45-である。別の具体的実施態様において、該
単離されたOCT-4+胎盤幹細胞は、OCT-4+胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離されている。
別の具体的実施態様において、該単離されたOCT-4+胎盤細胞は、これらの特徴を示さない
胎盤細胞から単離されている。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な細胞集団は、OC
T-4+であり、且つ該細胞を含む単離された胎盤細胞の集団を、胚様体の形成を可能にする
条件下で培養したとき、該集団内での1以上の胚様体の形成を促進する単離された胎盤幹
細胞を含む、例えば、該単離された胎盤幹細胞が濃縮されている、細胞の集団である。様
々な実施態様において、該細胞の集団内の細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、
少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%は、該
単離されたOCT-4+胎盤幹細胞である。別の実施態様において、該細胞の集団内の細胞の少
なくとも約70%は、該単離されたOCT-4+胎盤細胞である。別の実施態様において、該細胞
の集団内の細胞の少なくとも約80%、90%、95%、又は99%は、該単離されたOCT-4+胎盤
幹細胞である。上記の集団の具体的実施態様において、該単離されたOCT-4+胎盤幹細胞は
さらに、CD34-、CD38-、又はCD45-である。別の具体的実施態様において、該単離されたO
CT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、及びCD45-である。別の具体的実施態様におい
て、該単離されたOCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD73+及びCD105+である。別の具体的実施
態様において、該単離されたOCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD200+である。別の具体的実施
態様において、該単離されたOCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD73+、CD105+、CD200+、CD34-
、CD38-、及びCD45-である。別の具体的実施態様において、該細胞集団は、該胎盤幹細胞
ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的実施態様において、該細胞集団は、こ
れらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、単離されたHLA-A,B,C+、CD45-、CD133-、及びCD34-胎盤幹細胞である。別の実
施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な細胞集団は、単離された
胎盤幹細胞を含む細胞の集団であり、ここで、該細胞集団内の細胞の少なくとも約70%、
少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%は、単
離されたHLA-A,B,C+、CD45-、CD133-、及びCD34-胎盤幹細胞である。具体的実施態様にお
いて、該単離された胎盤幹細胞又は単離された胎盤幹細胞の集団は、HLA-A,B,C+、CD45-
、CD133-、及びCD34-胎盤細胞ではない胎盤幹細胞から単離されている。別の具体的実施
態様において、該単離された胎盤幹細胞は、非母親起源のものである。別の具体的実施態
様において、該単離された胎盤幹細胞の集団は、母親成分を実質的に含まず;例えば、該
単離された胎盤細胞集団内の該細胞の少なくとも約40%、45%、5-0%、55%、60%、65
%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、非母親起源のものである
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、単離されたCD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-、及びCD133-胎盤幹細胞であ
る。別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な細胞集団は、
単離された胎盤幹細胞を含む細胞の集団であり、ここで、該細胞の集団内の細胞の少なく
とも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも
約99%は、単離されたCD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-、及びCD133-胎盤幹細胞であ
る。具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞又は単離された胎盤幹細胞の集団
は、該単離された胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別の具体的実施態様
において、該単離されたCD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-、及びCD133-胎盤細胞は、
非母親起源のものであり、すなわち、胎児の遺伝子型を有する。別の具体的実施態様にお
いて、該単離された胎盤幹細胞の集団内の該細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%
、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、非母親起源の
ものである。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞又は単離された胎盤
幹細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、単離されたCD10+ CD33-、CD44+、CD45-、及びCD117-胎盤幹細胞である。別の
実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な細胞集団は、単離され
た胎盤幹細胞を含む、例えば、該単離された胎盤幹細胞が濃縮されている、細胞の集団で
あり、ここで、該細胞の集団内の細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくと
も約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%は、単離されたCD10+ CD33-、CD44+
、CD45-、及びCD117-胎盤幹細胞である。具体的実施態様において、該単離された胎盤細
胞又は単離された胎盤幹細胞の集団は、該細胞ではない胎盤細胞から単離されている。別
の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は、非母親起源のものである。別の
具体的実施態様において、該細胞集団内の該細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%
、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、非母親起源の
ものである。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞又は単離された胎盤
幹細胞の集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、単離されたCD10+ CD13-、CD33-、CD45-、及びCD117-胎盤幹細胞である。別の
実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な細胞集団は、単離され
たCD10+、CD13-、CD33-、CD45-、及びCD117-胎盤幹細胞を含む、例えば、該胎盤幹細胞が
濃縮されている、細胞の集団であり、ここで、該集団内の細胞の少なくとも約70%、少な
くとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%は、CD10+
、CD13-、CD33-、CD45-、及びCD117-胎盤細胞である。具体的実施態様において、該単離
された胎盤幹細胞又は単離された胎盤幹細胞の集団は、該細胞ではない胎盤細胞から単離
されている。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は、非母親起源のも
のである。別の具体的実施態様において、該細胞集団内の該細胞の少なくとも約40%、45
%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、又は99%は
、非母親起源のものである。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞又は
単離された胎盤幹細胞の集団は、これらの特徴を示さない胎盤細胞から単離されている。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、HLA A,B,C+、CD45-、CD34-、及びCD133-であり、且つさらに、CD10+、CD13+
CD38+、CD44+、CD90+、CD105+、CD200+、及び/若しくはHLA-G-、並びに/又はCD117陰性
である。別の実施態様において、本明細書記載の方法において有用な細胞集団は、単離さ
れた胎盤幹細胞を含む細胞の集団であり、ここで、該集団内の細胞の少なくとも約20%、
25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90
%、95%、98%、又は約99%は、HLA A,B,C+、CD45-、CD34-、CD133-であり、且つさらに
CD10、CD13、CD38、CD44、CD90、CD105、CD200について陽性であり、並びに/又はCD117
及び/若しくはHLA-Gについて陰性である単離された胎盤幹細胞である。具体的実施態様
において、該単離された胎盤幹細胞又は単離された胎盤幹細胞の集団は、該細胞ではない
胎盤細胞から単離されている。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は
、非母親起源のものである。別の具体的実施態様において、該細胞集団内の該細胞の少な
くとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、
98%、又は99%は、非母親起源のものである。別の具体的実施態様において、該単離され
た胎盤幹細胞又は単離された胎盤幹細胞の集団は、これらのマーカーを示さない胎盤細胞
から単離されている。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、抗体結合によって決定した場合、CD200+及びCD10+であり、且つ抗体結合又はR
T-PCRのいずれかで決定した場合、CD117-である単離された胎盤幹細胞である。別の実施
態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤幹細胞は、
CD10+、CD29-、CD54+、CD200+、HLA-G-、MHCクラスI+、及びβ-2-ミクログロブリン+であ
る、単離された胎盤幹細胞、例えば、胎盤幹細胞又は胎盤多能性細胞である。別の実施態
様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤幹細胞は、少
なくとも1つの細胞マーカーの発現が、間葉系幹細胞(例えば、骨髄由来間葉系幹細胞)の
場合よりも少なくとも2倍高い胎盤細胞である。別の具体的実施態様において、該単離さ
れた胎盤幹細胞は、非母親起源のものである。別の具体的実施態様において、該細胞集団
内の該細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85
%、90%、95%、98%、又は99%は、非母親起源のものである。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、単離された胎盤幹細胞、例えば、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+
CD62E-、CD62L-、CD62P-、CD80-、CD86-、CD103-、CD104-、CD105+、CD106/VCAM+、CD144
/VE-カドヘリンlow、CD184/CXCR4-、β-ミクログロブリンlow、MHC-Ilow、MHC-II-、HLA-
Glow、及び/又はPDL1lowのうちの1以上である、胎盤幹細胞又は胎盤多能性細胞である。
具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は、少なくともCD29+及びCD54+である
。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は、少なくともCD44+及びCD106
+である。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は、少なくともCD29+
ある。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な細胞集団は、単
離された胎盤幹細胞を含み、ここで該細胞集団内の細胞の少なくとも50%、60%、70%、
80%、90%、95%、98%、又は99%は、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62
-E-、CD62-L-、CD62-P-、CD80-、CD86-、CD103-、CD104-、CD105+、CD106/VCAM+、CD144/
VE-カドヘリンdim、CD184/CXCR4-、β-ミクログロブリンdim、HLA-Idim、HLA-II-、HLA-G
dim、及び/又はPDL1dimのうちの1以上である単離された胎盤幹細胞である。別の具体的
実施態様において、該細胞集団内の細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95
%、98%、又は99%は、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62-E-、CD62-L-
CD62-P-、CD80-、CD86-、CD103-、CD104-、CD105+、CD106/VCAM+、CD144/VE-カドヘリンd
im、CD184/CXCR4-、β-ミクログロブリンdim、MHC-Idim、MHC-II-、HLA-Gdim、及びPDL1d
imである。いくつかの実施態様において、胎盤細胞は、インターフェロンガンマ(IFN-γ)
により誘導された場合に、HLA-IIマーカーを発現する。
別の実施態様において、本明細書記載の方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH
4+、SSEA3-、SSEA4-、OCT-4+、及びABC-p+のうちの1以上、又は全てである単離された胎
盤幹細胞であり、ここで、ABC-pは、胎盤特異的ABC輸送体タンパク質(乳癌耐性タンパク
質(BCRP)及びミトキサントロン耐性タンパク質(MXR)としても知られる)であり、ここで該
単離された胎盤幹細胞は、例えば、臍帯血が抜かれ、且つ残留血液を取り除くように灌流
された、哺乳動物、例えば、ヒトの胎盤の灌流によって得られる。
上記の特徴のいずれかの別の具体的実施態様において、細胞マーカー(例えば、分化マ
ーカー又は免疫原性マーカーのクラスター)の発現は、フローサイトメトリーで決定され
;別の具体的実施態様において、該マーカーの発現は、RT-PCRで決定される。
遺伝子プロファイリングによって、単離された胎盤幹細胞、及び単離された胎盤幹細胞
の集団は、他の細胞、例えば、間葉系幹細胞、例えば、骨髄由来間葉系幹細胞と区別可能
であることが確認されている。本明細書記載の単離された胎盤幹細胞は、例えば、その発
現が、骨髄由来間葉系幹細胞と比較して、単離された胎盤幹細胞で有意により高い、1種
以上の遺伝子の発現に基づいて、間葉系幹細胞と区別することができる。特に、本明細書
で提供される治療方法において有用な単離された胎盤幹細胞は、その発現が、同等数の骨
髄由来間葉系幹細胞でよりも、単離された胎盤細胞で有意により高い(すなわち、少なく
とも2倍高い)1種以上の遺伝子の発現に基づいて、間葉系幹細胞と区別することができ、
ここで、該1種以上の遺伝子は、これらの細胞を同等の条件下で成長させたとき、ACTG2、
ADARB1、AMIGO2、ARTS-1、B4GALT6、BCHE、C11orf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD
、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、ICAM1、IER3、IGFBP
7、ILIA、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAK1、PCDH7、
PDLIM3、PKP2、RTN1、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN、Z
C3H12A、又は前述のもののいずれかの組合せである。例えば、その開示がその全体として
引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許出願公開第2007/0275362号を参照さ
れたい。いくつかの具体的実施態様において、該1種以上の遺伝子の該発現は、例えば、R
T-PCR、又は例えば、U133-Aマイクロアレイ(Affymetrix社)を用いるマイクロアレイ解析
によって決定される。別の具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は、DMEM-L
G(例えば、Gibco社);2%胎仔ウシ血清(例えば、Hyclone Labs.社);1×インスリン-トラ
ンスフェリン-セレン(ITS);1×リノール酸-ウシ血清アルブミン(LA-BSA);10-9Mデキサ
メタゾン(例えば、Sigma社);10-4Mアスコルビン酸2-ホスフェート(例えば、Sigma社);
上皮増殖因子10ng/mL(例えば、R&D Systems社);及び血小板由来増殖因子(PDGF-BB)10ng/
mL(例えば、R&D Systems社)を含む培地中で、何回かの集団倍加、例えば、約3〜約35回の
範囲の集団倍加の間、培養したときに、該1種以上の遺伝子を発現する。別の具体的実施
態様において、単離された胎盤細胞に特異的な遺伝子は、CD200である。
これらの遺伝子に関する具体的な配列は、2008年3月現在、GenBankにおいて、寄託番号

NM_001615 (ACTG2), BC065545 (ADARB1), (NM_181847 (AMIGO2), AY358590 (ARTS-1), BC
074884 (B4GALT6), BC008396 (BCHE), BCO20196 (C11orf9), BCO31103 (CD200), NM_0018
45 (COL4A1), NM_001846 (COL4A2), BCO52289 (CPA4), BC094758 (DMD), AF293359 (DSC3
), NM_001943 (DSG2), AF338241 (ELOVL2), AY336105 (F2RL1), NM_018215 (FLJ10781),
AY416799 (GATA6), BC075798 (GPR126), NM_016235 (GPRC5B), AF340038 (ICAM1), BC000
844 (IER3), BC066339 (IGFBP7), BC013142 (IL1A), BT019749 (IL6), BC007461 (IL18),
(BC072017) KRT18, BC075839 (KRT8), BC060825 (LIPG), BC065240 (LRAP), BC010444 (
MATN2), BC011908 (MEST), BC068455 (NFE2L3), NM_014840 (NUAK1), AB006755 (PCDH7),
NM_014476 (PDLIM3), BC126199 (PKP-2), BC090862 (RTN1), BC002538 (SERPINB9), BCO
23312 (ST3GAL6), BC001201 (ST6GALNAC5), BC126160 or BC065328 (SLC12A8), BCO25697
(TCF21), BC096235 (TGFB2), BC005046 (VTN), and BC005001 (ZC3H12A)
で見出すことができる。
いくつかの具体的実施態様において、該単離された胎盤幹細胞は、これらの細胞を同等
の条件下で成長させたとき、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞よりも検出可能により高いレ
ベルで、
ACTG2, ADARB1, AMIGO2, ARTS-1, B4GALT6, BCHE, C11orf9, CD200, COL4A1, COL4A2, CP
A4, DMD, DSC3, DSG2, ELOVL2, F2RL1, FLJ10781, GATA6, GPR126, GPRC5B, ICAM1, IER3
, IGFBP7, ILIA, IL6, IL18, KRT18, KRT8, LIPG, LRAP, MATN2, MEST, NFE2L3, NUAK1,
PCDH7, PDLIM3, PKP2, RTN1, SERPINB9, ST3GAL6, ST6GALNAC5, SLC12A8, TCF21, TGFB2,
VTN, and ZC3H12A
の各々を発現する。
具体的実施態様において、胎盤細胞は、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)よりも
検出可能により高いレベルで、CD200及びARTS1(1型腫瘍壊死因子のアミノペプチダーゼ調
節因子);ARTS-1及びLRAP(白血球由来アルギニンアミノペプチダーゼ);IL6(インターロ
イキン-6)及びTGFB2(トランスフォーミング増殖因子、β2);IL6及びKRT18(ケラチン18)
;IER3(即初期応答3)、MEST(中胚葉特異的転写産物ホモログ)、及びTGFB2;CD200及びIER
3;CD200及びIL6;CD200及びKRT18;CD200及びLRAP;CD200及びMEST;CD200及びNFE2L3(
核因子(赤血球由来2)-様3);又はCD200及びTGFB2を発現し、ここで、該骨髄由来間葉系幹
細胞は、該単離された胎盤幹細胞が経た継代数と同等の培養継代数を経たものである。他
の具体的実施態様において、胎盤細胞は、同等数の骨髄由来間葉系幹細胞BM-MSCよりも検
出可能により高いレベルで、
ARTS-1, CD200, IL6 and LRAP; ARTS-1, IL6, TGFB2, IER3, KRT18 and MEST; CD200, IE
R3, IL6, KRT18, LRAP, MEST, NFE2L3, and TGFB2; ARTS-1, CD200, IER3, IL6, KRT18,
LRAP, MEST, NFE2L3, and TGFB2; or IER3, MEST and TGFB2
を発現し、ここで、該骨髄由来間葉系幹細胞は、該単離された胎盤幹細胞が経た継代数と
同等の培養継代数を経たものである。
上に言及した遺伝子の発現を標準的な技術で評価することができる。例えば、遺伝子の
配列に基づくプローブを個々に選択し、従来技術で構築することができる。該遺伝子の発
現は、例えば、該遺伝子の1つ又は複数に対するプローブを含むマイクロアレイ、例えば
、Affymetrix GENECHIP(商標)ヒトゲノムU133A 2.0アレイ、又はAffymetrix GENECHIP(商
標)ヒトゲノムU133 Plus 2.0(サンタクララ、CA)で評価することができる。これらの遺伝
子の発現は、特定のGenBank寄託番号の配列が変更された場合でも評価することができる
が、それは、変更された配列に特異的なプローブを、周知の標準的な技術を用いてすぐに
作製することができるからである。
これらの遺伝子の発現のレベルを用いて、単離された胎盤幹細胞の集団の同一性を確認
するか、細胞の集団が少なくとも複数の単離された胎盤幹細胞を有することを確認するか
、又は同様のことをすることができる。その同一性が確認される単離された胎盤幹細胞の
集団は、クローン性のもの、例えば、単一の単離された胎盤細胞から拡大された単離され
た胎盤幹細胞の集団、又は混合された幹細胞集団、例えば、多数の単離された胎盤幹細胞
から拡大された単離された胎盤幹細胞をのみ含む細胞の集団、若しくは本明細書記載の単
離された胎盤幹細胞と少なくとも1種類の他の細胞とを含む細胞の集団であることができ
る。
胎盤幹細胞は、灌流により得ることができ、例えば、臍帯血が抜かれ、且つ残留血液を
取り除くように灌流された哺乳動物の胎盤を灌流すること;該胎盤を灌流溶液で灌流する
こと;及び該灌流溶液を回収すること(ここで、灌流後の該灌流溶液は、胎盤幹細胞を含
む胎盤細胞の集団を含む);並びに該細胞の集団から複数の該胎盤幹細胞を単離すること
を含む方法によって生じさせることができる。具体的実施態様において、該灌流溶液を臍
帯静脈と臍帯動脈の両方に通し、それが胎盤から浸出した後に回収する。この方法により
生成される胎盤幹細胞の集団は、典型的には、胎児細胞及び母親細胞の混合物を含む。別
の具体的実施態様において、該灌流溶液を臍帯静脈に通して、臍帯動脈から回収するか、
又は臍帯動脈に通して、臍帯静脈から回収する。この方法により生成される胎盤幹細胞の
集団は、典型的には、実質的に専ら胎児起源であり;すなわち、例えば、該集団中の胎盤
幹細胞の90%、95%、99%、又は99.5%より多くが、胎児起源である。
様々な実施態様において、胎盤の灌流によって得られる細胞の集団内に含まれる胎盤幹
細胞は、該胎盤細胞の集団の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又
は少なくとも99.5%である。別の具体的実施態様において、灌流によって回収される胎盤
幹細胞は、胎児細胞と母親細胞を含む。別の具体的実施態様において、灌流によって回収
される胎盤幹細胞は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又は少な
くとも99.5%胎児細胞である。
胎盤幹細胞はまた、臓器又はその一部の、物理的破壊、例えば酵素消化により哺乳動物
の胎盤から単離されることができる。例えば、胎盤又はその一部は、例えば、圧搾するか
、剪断するか、細かく切り刻むか、さいの目状に切るか、みじん切りにするか、浸軟する
か、又は同様に処理し、且つこの組織は、引き続き1種以上の酵素で消化することができ
る。胎盤又はその一部はまた、物理的に破壊し、且つ1種以上の酵素で消化してもよく、
その後得られた材料を、例えば培地又は緩衝液中に含浸するか又はこれに混合する。破壊
の方法が、例えばトリパンブルー排出により決定された、該生存臓器中の細胞の複数、よ
り好ましくは過半数、及びより好ましくは少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、98
%、又は99%を残留するならば、任意の物理的破壊の方法を使用することができる。
胎盤は、物理的破壊及び/又は酵素的消化並びに幹細胞回収の前に、構成要素に解剖す
ることができる。例えば、胎盤幹細胞は、羊膜、絨毛膜、臍帯、胎盤葉、若しくはそれら
の任意の組合せから得ることができる。典型的には、胎盤幹細胞は、胎盤組織の小さなブ
ロック、例えば、体積約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80
、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は約1000立方ミリメートルの
胎盤組織の小さいブロックの破壊によって得ることができる。
胎盤組織の灌流又は物理的/酵素的破壊による胎盤幹細胞において有用な、ひとつの幹
細胞回収組成物は、1種以上の組織破壊酵素、例えば、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、ヒ
アルロニダーゼ、LIBERASE(Boehringer Mannheim社、インディアナポリス、IN)、パパイ
ン、デオキシリボヌクレアーゼ、セリンプロテアーゼ、例えばトリプシン、キモトリプシ
ン、又はエラスターゼなどを含む。組織消化酵素の任意の組合せを用いることができる。
組織消化酵素の代表的な濃度は、例えば、コラゲナーゼI及びコラゲナーゼIVの50〜200 U
/mL、ディスパーゼの1〜10 U/mL、及びエラスターゼの10〜100 U/mLである。胎盤幹細胞
を遊離させるために、プロテアーゼを組合せて、すなわち、2種以上のプロテアーゼを同
じ消化反応で用いることができるか、又はプロテアーゼを順次用いることができる。例え
ば、一実施態様において、胎盤又はその一部を、まず、約2mg/mlの適量のコラゲナーゼI
で、30分間消化し、その後、約0.25%のトリプシンで、例えば、37℃で10分間消化する。
セリンプロテアーゼを、他の酵素の使用後に連続して用いることが好ましい。
別の実施態様において、キレート剤、例えば、エチレングリコールビス(2-アミノエチ
ルエーテル)-N,N,N'N'-四酢酸(EGTA)又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を、幹細胞を含
む幹細胞回収組成物に、又は幹細胞回収組成物で幹細胞を単離する前にその中で組織を破
壊及び/若しくは消化する溶液に添加することにより、組織をさらに破壊することができ
る。
胎盤全体、又は胎盤の一部が、胎児細胞と母親細胞の両方を含む場合(例えば、胎盤の
一部が、絨毛膜又は胎盤葉を含む場合)、回収された胎盤幹細胞は、胎児給源と母親給源
の両方に由来する胎盤幹細胞の混合物を含むであろう。胎盤の一部が、母親細胞(例えば
、羊膜)を全く、又はごくわずかな数しか含まない場合、回収される胎盤幹細胞は、ほと
んど胎児性の胎盤幹細胞しか含まないことになる。
(5.7.2 胎盤幹細胞の単離及び特徴づけ)
灌流で得られたものであれ、酵素的消化によって得られたものであれ、哺乳動物の胎盤
由来の幹細胞を、最初に、フィコール勾配遠心分離によって、他の細胞から純化(すなわ
ち、単離)することができる。そのような遠心分離は、遠心分離速度などについての任意
の標準的なプロトコールに従うことができる。一実施態様において、例えば、胎盤から回
収された細胞を、室温で15分間、5000×gでの遠心分離によって灌流液から回収し、これ
により、細胞は、例えば、夾雑しているデブリ及び血小板から分離される。別の実施態様
において、胎盤灌流液を、約200mlに濃縮し、フィコール上で穏やかに層を形成させ、22
℃で20分間、約1100×gで遠心分離し、該細胞の低密度界面層をさらなる処理のために回
収する。
細胞ペレットを、新鮮な幹細胞回収組成物、又は幹細胞維持に好適な培地、例えば、2U
/mlヘパリン及び2mM EDTA(GibcoBRL社、NY)を含むIMDM無血清培地に再懸濁することがで
きる。全単核細胞画分を、例えば、Lymphoprep(NycomedPharmas社、オスロ、ノルウェー)
を、製造者の推奨手順に従って用いて単離することができる。
灌流又は消化によって得られた胎盤細胞を、例えば、0.2%EDTA(Sigma社、セントルイ
ス、MO)を含む0.05%トリプシン溶液を用いる示差的トリプシン処理によって、例えば、
さらに、又は最初に単離することができる。胎盤幹細胞は典型的には、約5分以内にプラ
スチック表面から剥がれるが、他の接着性の集団は典型的には、20〜30分間を超えるイン
キュベーションを必要とするので、示差的トリプシン処理が可能である。トリプシン処理
、及び例えばトリプシン中和溶液(Cascade Biologics社、ポートランド、OR)を用いるト
リプシン中和後、剥がれた胎盤細胞を回収することができる。接着細胞の単離の一実施態
様において、例えば、約5〜10×106個の細胞のアリコートを、いくつかのT-75フラスコ、
好ましくは、フィブロネクチンコーティングしたT75フラスコの各々に入れる。そのよう
な実施態様において、該細胞を、MESENCULT(登録商標)(StemCell Technologies社、バン
クーバー、BC、カナダ)などの、市販の間葉系幹細胞成長培地を用いて培養し、組織培養
インキュベーター(37℃、5%CO2)内に置くことができる。10〜15日後、PBSで洗浄するこ
とにより、接着していない細胞をフラスコから除去する。その後、PBSをMESENCULT(登録
商標)又は類似培地と交換する。フラスコを、様々な接着細胞型の存在について、特に、
線維芽細胞様細胞の塊の同定及び拡大について、毎日調べることが好ましい。
哺乳動物の胎盤から回収された細胞の数と種類を、例えば、フローサイトメトリー、細
胞選別、免疫細胞化学(例えば、組織特異的抗体若しくは細胞マーカー特異的抗体による
染色)、蛍光活性化細胞選別(FACS)、磁気活性化細胞選別(MACS)などの標準的な細胞検出
技術を用いて形態及び細胞表面マーカーの変化を測定することにより、光学顕微鏡若しく
は共焦点顕微鏡法を用いて細胞の形態を調べることにより、並びに/又はPCR及び遺伝子
発現プロファイリングなどの当該技術分野で周知の技術を用いて遺伝子発現の変化を測定
することにより、モニタリングすることができる。これらの技術を、同様に、1種以上の
特定のマーカーが陽性である細胞を同定するためにも用いることができる。例えば、CD34
に対する抗体を用いて、上記の技術を用いて、細胞が検出可能な量のCD34を含むかどうか
を決定することができ;もしそうであるならば、細胞はCD34+である。同様に、細胞がRT-
PCRで検出されるのに十分なOCT-4RNA、又は成体細胞よりも有意に多くのOCT-4RNAを産生
するならば、該細胞は、OCT-4+である。細胞表面マーカー(例えば、CD34などのCDマーカ
ー)に対する抗体及びOCT-4などの幹細胞特異的遺伝子の配列は、当該技術分野で周知であ
る。
胎盤幹細胞、特にフィコール分離、示差的接着、又は両方の組合せによって単離された
細胞を、蛍光活性化セルソーター(FACS)を用いて選別することができる。蛍光活性化細胞
選別(FACS)は、粒子の蛍光特性に基づいて、細胞を含む粒子を分離する周知の方法である
(Kamarchの文献(1987, Methods Enzymol, 151:150-165))。個々の粒子中の蛍光部分のレ
ーザーによる励起によって、わずかな電荷が生じ、混合物からの陽性粒子及び陰性粒子の
電磁分離が可能になる。一実施態様において、細胞表面マーカー特異的抗体又はリガンド
を個別の蛍光標識で標識する。細胞をセルソーターに通して処理し、使用された抗体に結
合するその能力に基づく細胞の分離を可能にする。FACSで選別された粒子を96ウェルプレ
ート又は384ウェルプレートの個々のウェルに直接に沈着させて、分離及びクローニング
をしやすくすることができる。磁気ビーズに連結された抗体を使用し、細胞を選別するこ
ともできる。
1つの選別スキームでは、胎盤由来の幹細胞を、マーカーCD34、CD38、CD44、CD45、CD7
3、CD105、OCT-4、及び/又はHLA-Gの発現に基づいて選別する。これは、幹細胞を培養下
のその接着特性に基づいて選択する手順との関連で達成することができる。例えば、幹細
胞(stem)接着の選択を、マーカー発現に基づく選別の前又は後に達成することができる。
一実施態様において、例えば、細胞を、まず、そのCD34発現に基づいて選別し;CD34-
胞を保持し、且つCD200+HLA-G-である細胞を、他の全てのCD34-細胞から分離する。別の
実施態様において、胎盤由来の細胞をそのCD200の発現及び/又はHLA-Gの発現の欠如を基
にし;例えば、これらのマーカーのいずれかを提示する細胞を、さらなる使用のために単
離する。例えばCD200を発現及び/又はHLA-Gの発現を欠く細胞を、具体的実施態様におい
て、そのCD73及び/若しくはCD105、又は抗体SH2、SH3、若しくはSH4によって認識される
エピトープの発現、或いはCD34、CD38、又はCD45の発現の欠如に基づいてさらに選別する
ことができる。例えば、一実施態様において、胎盤細胞を、CD200、HLA-G、CD73、CD105
、CD34、CD38、及びCD45の発現、又は発現の欠如によって選別し、且つCD200+、HLA-G-
CD73+、CD105+、CD34-、CD38-、及びCD45-である胎盤細胞を、さらなる使用のために他の
胎盤細胞から単離する。
別の実施態様において、磁気ビーズを用いて細胞を分離することができる。磁気ビーズ
(直径0.5〜100μm)に結合するその能力に基づいて粒子を分離する方法である、磁気活性
化細胞選別(MACS)技術を用いて、該細胞を選別してもよい。特定の細胞表面分子又はハプ
テンを特異的に認識する抗体の共有結合的付加を含む、種々の有用な修飾を磁気ミクロス
フェアに対して行なうことができる。その後、該ビーズを細胞と混合し、結合させておく
。その後、細胞を磁場に通して、特異的細胞表面マーカーを有する細胞を分離する。一実
施態様において、その後、これらの細胞を単離し、さらなる細胞表面マーカーに対する抗
体と結合した磁気ビーズと再び混合することができる。該細胞を再び磁場に通して、両方
の抗体に結合した細胞を単離する。その後、そのような細胞を希釈して、別々の皿、例え
ば、クローン単離用のマイクロタイターディッシュに入れることができる。
胎盤幹細胞を、(生存を評価するための)トリパンブルー排出アッセイ、フルオレセイン
ジアセテート取込みアッセイ、ヨウ化プロピジウム取込みアッセイ;及び、(増殖を評価
するための)チミジン取込みアッセイ、MTT細胞増殖アッセイなどの、当該技術分野で公知
の標準的技術を用いて、生存能力、増殖能力、及び寿命について評価することができる。
寿命は、延長された培養下での集団倍加の最大数を決定することなどの、当該技術分野で
周知の方法によって決定してもよい。
胎盤幹細胞を、当該技術分野で公知の他の技術、例えば、所望の細胞の選択的成長(陽
性選択)、望ましくない細胞の選択的破壊(陰性選択);例えば、大豆凝集素を用いる、混
合集団における示差的細胞凝集力に基づく分離;凍結-解凍処置;濾過;従来のゾーン遠
心分離;遠心洗浄(向流遠心分離);単位重力分離;向流分配;電気泳動法;などを用いて
他の胎盤細胞から分離することもできる。
(5.7.3 胎盤幹細胞の培養)
胎盤幹細胞は、前述のように単離し、直ちにECMと接触させることができる。胎盤幹細
胞はまた、例えば細胞培養において、ECMと接触させる前に、多くの世代のために培養す
ることもできる。例えば、単離された胎盤幹細胞、又は胎盤幹細胞集団、又はそれより胎
盤幹細胞が生じる細胞若しくは胎盤組織を用いて、細胞培養物をイニシエートするか、又
はそれを播種することができる。一般に、細胞を、コーティングされていないか、或いは
ラミニン、コラーゲン(例えば、天然物若しくは変性物)、ゼラチン、フィブロネクチン、
オルニチン、ビトロネクチン、及び/又は市販の細胞外膜タンパク質などの細胞外マトリ
クス若しくはリガンドでコーティングされているかのいずれかの滅菌組織培養容器に移す
いくつかの実施態様において、胎盤幹細胞は、ECM、例えば本明細書に提供されるECM上
で培養される。いくつかの実施態様において、ECMは、検出可能な量のフィブロネクチン
及びラミニンを含む。他の実施態様において、ECMは、検出可能な量のフィブロネクチン
又はラミニンを含まない。他の実施態様において、ECMは、乾燥重量で少なくとも約5%、
又は少なくとも約10%のエラスチンを含む。別の実施態様において、ECMは、乾燥重量で
、約5%以下のエラスチンを含む。
いくつかの実施態様において、胎盤幹細胞は、培養培地から回収可能な特異的サイトカ
インの生成のために培養される。具体的実施態様において、サイトカインは、IL-6、IL-8
、及び/又は単球走化性タンパク質-1(MCP-1)である。いくつかの他の実施態様において
、胎盤幹細胞は、フィブロネクチンの生成のために、培養される。具体的実施態様におい
て、胎盤幹細胞は、フィブロネクチンを約5%未満含むECM上で培養される。
前述のように、ECMは、有用である、例えば医療上有用である任意の形状に成形するこ
とができる。一旦成形され且つ乾燥されたこれらの組成物は、典型的には例えば組織培養
培地又は緩衝液などの、水溶液中で安定している。従って、胎盤幹細胞などの幹細胞は、
成形された組成物上で直接培養することができる。そのような培養は、細胞培養に適した
細胞培養皿、又は例えばフラスコなどの、他の液体容器中で行うことができる。
胎盤幹細胞を、幹細胞の培養に許容し得るものとして当該技術分野で認識されている任
意の培地中及び任意の条件下で培養することができる。いくつかの実施態様において、培
養培地は、血清、例えば、ヒト血清又は仔ウシ血清/ウシ胎仔血清を含む。いくつかの他
の実施態様において、培養培地は、無血清である。胎盤幹細胞を、例えば、ITS(インスリ
ン-トランスフェリン-セレン)、LA+BSA(リノール酸-ウシ血清アルブミン)、デキストロ
ース、L-アスコルビン酸、PDGF、EGF、IGF-1、及びペニシリン/ストレプトマイシンを含
むDMEM-LG(ダルベッコの改変必須培地、低グルコース)/MCDB 201(ニワトリ線維芽細胞基
本培地);10%ウシ胎仔血清(FBS)を含むDMEM-HG(高グルコース);15%FBSを含むDMEM-HG
;10%FBS、10%ウマ血清、及びヒドロコルチゾンを含むIMDM(イスコフの改変ダルベッコ
培地);10%FBS、EGF、及びヘパリンを含むM199;10%FBS、GLUTAMAX(商標)、及びゲンタ
マイシンを含む{umlaut over (.gamma.)}-MEM(最小必須培地);10%FBS、GLUTAMAX(商標)
、及びゲンタマイシンを含むDMEMなどにおいて培養することができる。一実施態様におい
て、培地は、2%FBS、ITS、LA+BSA、デキストロース、L-アスコルビン酸、PDGF、EGF、及
びペニシリン/ストレプトマイシンを含む、DMEM-LG/MCDB-201である。
胎盤幹細胞を培養するために用いることができる他の培地としては、DMEM(高グルコー
ス又は低グルコース)、イーグルの基本培地、ハムのF10培地(F10)、ハムのF-12培地(F12)
、イスコフの改変ダルベッコ培地、間葉系幹細胞成長培地(MSCGM)、ライボヴィッツのL-1
5培地、MCDB、DMIEM/F12、RPMI1640、改良DMEM(Gibco社)、DMEM/MCDB201(Sigma社)、及
びCELL-GROFREEが挙げられる。
培養培地には、例えば、血清(例えば、ウシ胎仔血清(FBS)、好ましくは、約2〜15%(v/
v);ウマ科(ウマ)血清(ES);ヒト血清(HS));β-メルカプトエタノール(BME)、好ましく
は、約0.001%(v/v);1種以上の増殖因子、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増
殖因子(EGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、インスリン様増殖因子-1(IGF-1)、白血
病抑制因子(LIF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、及びエリスロポエチン(EPO);L-バリンを含
むアミノ酸;並びに例えば、単独の又は組合せた、ペニシリンG、硫酸ストレプトマイシ
ン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、及びナイスタチンなどの、微生物汚染を防除す
るための1種以上の抗生物質及び/又は抗真菌剤を含む1種以上の成分を補充することがで
きる。
胎盤幹細胞は、標準組織培養条件で、例えば組織培養ディッシュ又はマルチウェルプレ
ートにおいて、培養することができる。胎盤幹細胞はまた、懸滴培養法を用い、培養する
ことができる。この方法において、胎盤幹細胞は、培地約5mL中に、約1×104個細胞/mLで
懸濁され、且つ培地の1滴以上の液滴が、例えば100mLペトリ皿などの組織培養容器の蓋の
内側に配置される。液滴は、例えば単独の液滴、又は例えばマルチチャネルピペッターな
どからの複数の液滴であることができる。蓋を慎重に反転させ、ディッシュの底を上部に
配置し、これはディッシュの大気中の湿分を維持するのに十分であるある容積の液体、例
えば滅菌PBSを含み、且つ幹細胞が培養される。
一旦単離された胎盤幹細胞、又は胎盤幹細胞を含む幹細胞の単離された集団(例えば、
インビボにおいて幹細胞又は幹細胞の集団が通常会合されている胎盤細胞の少なくとも50
%から分離された、幹細胞又は幹細胞の集団)が得られると、この胎盤幹細胞又は細胞の
集団は、インビトロにおいて増殖及び拡大され得る。例えば、胎盤幹細胞は、幹細胞が集
密度70〜90%まで増殖するのに十分な時間、すなわち、幹細胞及びそれらの後代が、組織
培養容器の培養表面積の70〜90%を占拠するまで、例えば、ディッシュ、フラスコ、マル
チウェルプレートなどの組織培養容器において培養することができる。
胎盤幹細胞は、細胞成長を可能にする密度で、培養容器中に播種することができる。例
えば細胞は、低密度(例えば約1,000〜約5,000個細胞/cm2)から高密度(例えば約50,000個
以上の細胞/cm2)までで播種されてよい。好ましい実施態様において、細胞は、大気中CO2
約0〜約5容積%で培養される。一部の好ましい実施態様において、細胞は、大気中O2約2
〜約25%で、好ましくは大気中O2約5〜約20%で培養される。細胞は、約25℃〜約40℃、
好ましくは37℃で培養されることが好ましい。細胞は、インキュベーター内で培養される
ことが好ましい。培養培地は、静止するか、又は例えばバイオリアクターを用い、攪拌す
ることができる。胎盤幹細胞は、低い酸化的ストレス(例えば、グルタチオン、アスコル
ビン酸、カタラーゼ、トコフェロール、N-アセチルシステインなどの添加)下で成長させ
ることができる。
一旦70%〜90%の集密度が得られたならば、細胞を継代することができる。例えば細胞
は、当該技術分野において周知の技術を使用し、酵素処理、例えばトリプシン処理し、組
織培養表面から細胞を分離することができる。該細胞のピペッティングにより除去し、及
び細胞をカウントした後、約20,000〜100,000個の幹細胞、好ましくは約50,000個の幹細
胞を、新鮮な培養培地を含む新規培養容器において継代する。典型的には、新たな培地は
、幹細胞が取り除かれた培地と同じ種類である。少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9
、10、12、14、16、18、若しくは20回、又はそれ以上継代された胎盤幹細胞は、ECMと組
合せて使用することができる。
(5.8 非幹細胞)
本明細書記載の方法において使用される組成物は、いくつかの実施態様において、非幹
細胞の1以上の型を含むことができる。本明細書において使用される「非幹細胞」は、最
終分化された細胞を指す。例えば一実施態様において、組成物は、複数の線維芽細胞を含
む。本組成物と組合せることができる非幹細胞は、線維芽細胞又は線維芽細胞様細胞、真
皮細胞、内皮細胞、上皮細胞、筋細胞、心臓細胞、膵臓細胞などを含むが、これらに限定
されるものではない。いくつかの他の実施態様において、本組成物は、少なくとも2つの
型の幹細胞及び少なくとも2つの型の非幹細胞を含む。
組成物が幹細胞又は非幹細胞と組合せられる先の実施態様のいずれかに関して、これら
の細胞及び組成物は、一緒に、例えば単一の組成物として個体へ投与することができる。
例えば一実施態様において、本組成物は、組成物の個体への投与の直前に(例えば、10〜2
0分以内)、組成物と接触される幹細胞を含むことができる。別の実施態様において、幹細
胞は、幹細胞を組成物に付着させるのに十分な投与前の時点で、典型的には投与の少なく
とも1時間前に、該組成物と接触させることができる。より具体的な実施態様において、
この投与前の時点は、幹細胞を付着させ増殖させるのに十分な時点、典型的には投与の少
なくとも24時間〜48時間前、又はそれ以前である。別のより具体的な実施態様において、
この時点は、該幹細胞が、固体化された組成物に付着し且つその上で増殖するのに十分な
時点、及び検出可能な量の細胞外マトリクスタンパク質、例えばフィブロネクチンを沈着
するのに十分な時点である。
その上本組成物、及び幹細胞又は非幹細胞は、個体へ個別に投与することができる。例
えば一実施態様において、本組成物を、例えば修復を必要とする創傷部位又は組織で、個
体へ投与することができ、且つ該幹細胞を続けて投与することができる。別の実施態様に
おいて、該幹細胞は、口腔病変の部位と接触され、修復を必要とする創傷又は組織は引き
続き、本明細書記載の組成物と接触される。
従って一実施態様において、病変を、幹細胞、例えば胎盤幹細胞を含有する本明細書記
載の組成物と接触させる工程を含む、口腔病変の治癒を促進する方法が、本明細書に提供
され、ここで該幹細胞は、少なくとも病変の一部へ、IL-6、IL-8若しくはMCP-1、若しく
はそれらの任意の組合せを分泌するか、又はフィブロネクチンを分泌する。該幹細胞がフ
ィブロネクチンを分泌する場合、本組成物は検出不可能な量のフィブロネクチンを含有す
ることが好ましい。具体的実施態様において、本組成物は、ほぼ口腔病変の形状に成形又
は形成される。
(5.9 キット)
別の態様において、口腔病変の治療を促進するための、本明細書記載の組成物、及び追
加成分を含むキットが、本明細書に提供される。いくつかの実施態様において、キットは
、当該技術分野の施術者への配送のための、本明細書記載の組成物の1種以上の包装を備
える。キットは、口腔病変の治療における本組成物の使用に関する指示が記されたラベル
又は表示物を備えることができる。いくつかの実施態様において、キットは、1個以上の
スプレーボトル、ピンセット、スパーチュラ(ペーストの塗布用)、カニューレ、カテーテ
ルなどの、コラーゲン組成物を投与する手段などの、本方法を実行するのに有用な構成要
素を備えることができる。いくつかの実施態様において、キットは、組成物の投与のため
の安全な使い捨て手段に有用な1個以上の構成要素(例えば、「尖った(sharps)」容器)を
備えることができる。いくつかの実施態様において、キットは、予め充填された注射器、
単回投与量又は単回使用の包装中に、組成物(例えば、ECM及び/又はECM成分を含有する
組成物)を備えることができる。
いくつかの他の実施態様において、キットは、本明細書記載の組成物、及び幹細胞又は
非幹細胞の集団の培養のための1種以上の他の構成要素を備えることができる。例として
、キットは、例えばシート、チューブ、メッシュなどの形状の組成物など、幹細胞、例え
ば胎盤幹細胞の培養に適した1種以上の構造形の中に、本明細書記載の組成物を備えるこ
とができる。キットは例えば、細胞培養時に本明細書記載の組成物を含むことができる培
養ディッシュ;プラスチックウェア、注射器、ピペットチップ、細胞培養培地、1種以上
のサイトカイン又は増殖因子、使い捨て用品など、幹細胞の培養に使用される、1種以上
の製品を備えることができる。
他の実施態様において、キットは、幹細胞の胎盤組織からの回収を促進する1以上の構
成要素を備えることができる。様々な具体的実施態様において、キットは、幹細胞を回収
するための胎盤の灌流を促進する構成要素、例えば灌流溶液;胎盤を入れるのに十分に大
きい1個以上のトレー、灌流溶液の回収のためのガラス用品又はプラスチック用品;灌流
溶液を回収するための1個以上のバッグ、臍帯血管にカニューレ挿管するための針及び/
又はカニューレ;組織消化に適したプロテアーゼ、胎盤組織の浸軟又は他の精製(renderi
ng)のための道具などを備える。他の具体的実施態様において、キットは、胎盤幹細胞を
単離するために、胎盤組織の酵素消化を促進する1以上の構成要素、例えば、1種以上の組
織消化酵素(例えば、トリプシン、キモトリプシンなど);細胞培養に適したプラスチック
用品(例えば、培養ディッシュ、マルチウェル培養プレートなど)を備える。
(6. 実施例)
下記の段落において、当業者は、語句「およそ23℃」は、室温を意味することができる
ことを認めるであろう。
(6.1 実施例1:胎盤からのECMの単離)
本実施例は、胎盤からのECMの単離を例示している。
凍結胎盤を、本明細書記載の方法に従い入手する。胎盤を、水の入ったナルゲントレー
内で1〜4時間ラッピングしておくことにより、解凍する。その後これらを、プラスチック
ラップから取り出し、さらなる解凍のために水中に配置する。
解凍した胎盤を、肉挽き器のステンレス鋼製トレー上に置く。各胎盤から、臍帯断片を
切除し、各胎盤を、およそ23℃で、約4個の小片に薄切りする。これらの小片を、およそ2
3℃で、肉挽き器で細断する。
浸透圧ショック:得られた細断された胎盤を、0.5M NaCl(5リットル/胎盤)が入ったナ
ルゲンタンクに加え、モーター付きミキサーを用い、75〜100rpm(4〜6℃で24時間)で混合
する。
24時間後、ミキサーを停止させ、組織をおよそ23℃で、ミキサーの底に沈降させる。組
織及び液体を、#36 TYGON(商標)チューブを備えた蠕動ポンプを用いて、排出させ、およ
そ23℃で、#40篩を通して濾過し、分離された組織を、混合タンクに戻す。
新鮮な0.5M NaCl(5L/胎盤)を、この混合物へ添加し、4〜6℃で24時間混合する(モータ
ー付きミキサー、75〜100rpm)。24時間後、組織を、先に説明した方法を用い、分離する
組織を、水(5L/胎盤)で洗浄し、24時間、4〜6℃で混合する(モーター付きミキサー、75
〜100rpm)。24時間後、組織を、先に説明した方法を用い、分離する。
組織は、先の4段落に従い、再度0.5M NaClで、再度0.5M NaClで、次に水で、さらに洗
浄する。
フリーズドライ:得られた試料を、200〜400gの量、フリーズドライヤー容器中で、殻
を剥がし(shelled)、-70℃で1〜2時間凍結する。凍結した試料を、フリーズドライヤー内
で24〜48時間、フリーズドライし、その後取り出す。フリーズドライした試料を、ブレン
ダー内で滑らかな粉末となるまで混合し、次に清浄な混合タンクに移す。
界面活性剤処理:1%デオキシコール酸溶液(1L/胎盤)を、混合されフリーズドライされ
た試料が入った、混合タンクに添加する。試料及び1%デオキシコール酸溶液を、4〜6℃
で24時間混合する(モーター付きミキサー、75〜100rpm)。24時間後、ミキサーを停止し、
組織を、先に説明したように、#40篩で分離する。
界面活性剤処理は、4〜6℃で、24時間繰り返す(モーター付きミキサー、75〜100rpm)。
24時間後、ミキサーを停止し、組織を、先に説明したように、#40篩で分離する。
水洗浄:組織を、水(5L/胎盤)で洗浄し、4〜6℃で、24時間混合する(モーター付きミキ
サー、75〜100rpm)。24時間後、組織を、先に説明した方法を用いて分離する。
組織は再度、水(5L/胎盤)で洗浄し、4〜6℃で、24時間混合する(モーター付きミキサー
、100〜150rpm)。24時間後、組織を、先に説明した方法を用いて分離する。
組織は再度、水(5L/胎盤)で洗浄し、4〜6℃で、24時間混合する(モーター付きミキサー
、150rpm)。24時間後、組織を、先に説明した方法を用いて分離する。
任意に、組織を、水(5L/胎盤)で4回目の洗浄をし、4〜6℃で、24時間混合する(モータ
ー付きミキサー、150rpm)。24時間後、組織を、先に説明した方法を用いて分離する。
フリーズドライ:得られた試料を、200gの量でブレンダーに加える。脱イオン水200mL
を、この試料へ添加し、試料を、滑らかなペーストとなるまでブレンダーにより混合する
。混合された試料を、プールし、水(1L/胎盤)ですすぐ。
試料200〜400gの量を、フリーズドライヤー容器に加える。試料を、殻を剥がし、-70℃
で凍結する。殻を剥がした試料を、24〜48時間フリーズドライする。
無菌塩基処理:フリーズドライした試料をプールする。水酸化ナトリウム溶液(0.5M, 1
L)を、オートクレーブをかけ滅菌したフラスコに加える。低エンドトキシン水(1L)を、プ
ールしたフリーズドライされた試料へ加える。試料と水酸化ナトリウム溶液を、振盪機上
で、およそ23℃で、250rpmで4時間混合する。
滅菌水洗浄:試料を、無菌#70フィルターを通す濾過により回収し、エンドトキシン非
含有水1Lですすぐ。エンドトキシン非含有水(1L)を添加し、試料を、振盪機上で、およそ
23℃で、250rpmで18〜24時間混合する。
試料を、無菌#70フィルターを通す濾過により回収する。エンドトキシン非含有水(1L)
を加え、試料を、振盪機上で、およそ23℃で、250rpmで18〜24時間混合する。
試料を、無菌#70フィルターを通す濾過により回収し、エンドトキシン非含有水(1L)で
すすぐ。エンドトキシン非含有水(1L)を加え、試料を、振盪機上で、およそ23℃で、250r
pmで18〜24時間混合する。
pHが9よりも大きい場合、試料を、再度、エンドトキシン非含有水で洗浄し、振盪機上
で、約250rpmで約18〜24時間混合した。
pHが9以下である場合、試料はそのまま製剤化される。収量は、10g/胎盤以上であるこ
とができる。
得られるECMは、貯蔵のためにフリーズドライすることができる。使用するためには、
この試料を、ペーストとして、例えば注射器内で使用するために、ブレンダー内でリン酸
緩衝食塩水300〜1000mg/mL中に懸濁することができる。試料はまた、リン酸緩衝食塩水50
0〜1000mg/mL中で、型に入れ、例えばシート、チューブ、プラグなどとして使用するため
に成形することができる。
(6.2 実施例2:テロペプチドコラーゲン含有ECMの調製)
テロペプチドコラーゲンを含有するECMの7.5gを、実施例1の浸透圧ショック工程、フリ
ーズドライ工程、界面活性剤処理工程、水洗浄工程、フリーズドライ工程、塩基処理工程
、水洗浄工程及びフリーズドライ工程に従い、調製した。
テロペプチドコラーゲン含有ECMの11.8gを、実施例1の浸透圧ショック工程、フリーズ
ドライ工程、界面活性剤処理工程、水洗浄工程、塩基処理工程、水洗浄工程及びフリーズ
ドライ工程に従い、調製した。
テロペプチドコラーゲン含有ECMの12.0gを、実施例1の浸透圧ショック工程、フリーズ
ドライ工程、界面活性剤処理工程、水洗浄工程、塩基処理工程、水洗浄工程及びフリーズ
ドライ工程に従い、調製した。
テロペプチドコラーゲン含有ECMの11.8gを、実施例1の浸透圧ショック工程、界面活性
剤処理工程、水洗浄工程、塩基処理工程、水洗浄工程及びフリーズドライ工程に従い、調
製した。
(6.3 実施例3:生化学的分析)
ECMを、実施例1及び2に従い調製した。標準的技術による生化学的分析は、乾燥重量で
、コラーゲン80.40%、水1.00%、並びにフィブロネクチン、ラミニン及びグリコサミノ
グリカン0.01%未満を示した。エラスチン含量は決定しなかった。
実施例1及び2に従い調製した試料のアミノ酸分析は、グリシン34〜35%、ヒドロキシプ
ロリン約11%、及びプロリン10〜11%を示した。
実施例1及び2に従い調製した試料の免疫分析は、総コラーゲンの、74〜92%はI型コラ
ーゲンであり、4〜6%はIII型コラーゲンであり、2〜15%はIV型コラーゲンであることを
示した。
(6.4 実施例4:ECM作製の代替方法、及びECM上での幹細胞の培養)
本実施例は、ECMを作製する代替法を明らかにしており、それらの方法により作製され
た物質の組成の分析を提供する。
(材料及び方法)
細胞外マトリクス(ECM)の分離:ECMは、以下のように分離した。簡単に述べると、凍結
されたヒト胎盤を、0.5M塩化ナトリウム中で解凍し、肉挽き器で細断し、インキュベータ
ー振盪機において、0.5M塩化ナトリウム及び水中、23℃で、繰り返し洗浄し、引き続き1
%SDS又は0.5%デオキシコール酸などの界面活性剤で洗浄した。放血された胎盤組織を、
0.1〜0.5N水酸化ナトリウムにより、3時間〜24時間の間の変動する時間処理して、胎盤葉
の(cotyledonous)組織を可溶化し、引き続きリン酸緩衝食塩水(PBS)によりpHが中性にな
るようにすすいだ。このように作製された物質は、安定したペーストであり、4℃で貯蔵
した。
生化学的分析:分離されたECMの生化学組成を決定するために、試料1gを、フリーズド
ライし、乾燥重量を決定した。ECMを、100mM HCl中に70℃で溶解するか、又は10mM HCl中
、23℃で18時間のECMのペプシン処理(1mg/gm)によるかのいずれかにより、可溶化した。1
00mM HCl中に溶解された組織を使用し、フィブロネクチン、ラミニン、GAG及びエラスチ
ンの含量を決定した。ペプシンで可溶化した組織を使用し、コラーゲン含量を決定した。
フィブロネクチン及びラミニン濃度を、サンドイッチELISAを用いて決定した。エラス
チン及びグリコサミノグリカン(GAG)の含量を、色素ベースのアッセイを用いて決定した
。I型コラーゲン含量の決定は、サンドイッチELISA(Chondrex社)を使用し行った。III型
及びIV型コラーゲンの含量は、II型及びIV型コラーゲンの一次抗体並びにHRP-コンジュゲ
ートされた二次抗体を使用する、インハウスELISAを用いて決定した。
ECM構築体の調製:ECMのシートを調製するために、水和されたECMペーストの層を、2枚
の医療用TYVEK(商標)シートの間にはさんだ。この構築体を、ゲル乾燥機に装填し、ECMフ
ィルムが乾燥するまで、真空を一晩、23℃で適用した。シートを、細胞培養試験に適した
サイズに切断した。ECMの3D構造物を調製するために、ECMペーストを、様々な金型に充填
し、フリーズドライした。培地又は水中のECMシート及び3D成形物の安定性を試験するた
めに、これらの構築体を、37℃で、最大1週間、水、塩類溶液又は細胞培養培地中でイン
キュベーションした。
細胞培養物:胎盤幹細胞を、60%低-グルコースDMEM(Invitrogen社、カールスバッド、
CA)、40% MCDB-201(Sigma社、セントルイス、MO)、2%ウシ胎仔血清(Hyclone社、ローガ
ン、ユタ州)、1×インスリン-トランスフェリン-セレン補充物(Invitrogen社)、0.02%リ
ノール酸/ウシ血清アルブミン(Sigma社)、10ng/mL上皮細胞増殖因子(Sigma社)、10ng/mL
血小板由来増殖因子(R&D Systems社、ミネアポリス、MN)、0.05Mデキサメタゾン(Sigma社
)、0.1mMアスコルビン酸2-ホスフェート(Sigma社)、及び100Uペニシリン/1000Uストレプ
トマイシン(Invitrogen社)の中で、継代培養した。胎盤幹細胞(30,000個/ウェル)を、24
マルチウェルクラスタープレートに配置されたECMフィルム上に播種した。胎盤幹細胞は
また、コラーゲン(Inamed社、フリーモント、CA)で予めコーティングされたLabtekチャン
バースライド(Nalgene Nunc International社、ロチェスター、NY)上に、同等密度で播種
した。細胞は、37℃で、3〜48時間インキュベーションし、且つ免疫蛍光顕微鏡用に処理
した。
免疫蛍光顕微鏡: ECMフィルムと共に3又は48時間インキュベーションした後、胎盤幹
細胞-ECM構築体を、3.7%ホルムアルデヒドで10分間固定し、0.5%Triton-X 100により20
分間透過性亢進させた。F-アクチンを可視化するために、胎盤幹細胞を、AlexaFluor 488
-コンジュゲートしたファロイジンと共にインキュベーションした。フィブロネクチン染
色に関しては、試料を、ウサギ抗-ヒトフィブロネクチン抗体(Sigma社)と共に、ブロッキ
ング緩衝液(3%ウシ血清アルブミン/1×リン酸緩衝食塩水)中で、1時間インキュベーショ
ンし、リン酸緩衝食塩水で洗浄し、AlexaFluor 594-コンジュゲートした抗-ウサギ抗体と
共に、ブロッキング緩衝液中で30分間さらにインキュベーションした。試料を再度、リン
酸緩衝食塩水で洗浄し、スライド上に搭載し、蛍光顕微鏡により観察した。
サイトカイン分泌分析:培地試料(100μl)を、胎盤幹細胞を含有する細胞培養ECMシー
トから、並びに胎盤幹細胞含有する組織培養処理したプレートから、培養の0、3、24及び
48時間目に取り出した。試料を、1mL PBSに希釈し、サイトカインの存在について分析し
た。各サイトカインの濃度は、既知の濃度のサイトカインの標準プロットから算出した。
(結果)
ECMの分離:典型的胎盤の乾燥重量は、約30gであり、これは湿重量約300g/胎盤に相当
する。図1に示したように、浸透圧ショック工程及び界面活性剤洗浄工程を使用し、かな
りの量の非細胞外マトリクス組織を除去することができ、最終の残留物重量は約10gであ
る。NaOH及び界面活性剤を使用する可溶化の組合せの使用は、残留物重量約6gのさらなる
減少を生じる。NaOHへの曝露時間、及びNaOHの濃度は、胎盤から単離されたECMの総質量
に影響を及ぼすことがわかった。本発明者らの界面活性剤及びNaOH洗浄工程の変動を使用
し、最終ECM物質の5種の変種を作製した。典型的には、1個の胎盤は、ECM物質約6g〜約10
gを生じた。
ECMの生化学的組成:ECMの5種の変種(ECM-1からECM-5と称す)の生化学的分析は、これ
らは、本質的にコラーゲンで構成されることを示した:I型は、主要コラーゲンであり(総
コラーゲンの約74%〜約90%)、及びIII型(総コラーゲンの約4%〜約6%)及びIV型(総コ
ラーゲンの約2%〜約15%)は、少量成分である。胎盤ECMにおいて認められる他の主要細
胞外マトリクスタンパク質は、エラスチンであった。表1に示したように、エラスチンは
、ECM-1からECM-4の総乾燥重量の約3〜5%を表す。しかし、NaOHを使用せずに作製された
ECM-5は、およそ12%のエラスチンを含んだ。グリコサミノグリカンは、5種の方法により
作製されたECM全てにおいて同定されたのに対し、乾燥重量の割合は、分離方法におけるN
aOHの使用により影響を受けないように見えた。逆に、重要な接着タンパク質であるフィ
ブロネクチンとラミニンの存在は、NaOHの使用に対し劇的に感受性があった。フィブロネ
クチン及びラミニンは、NaOH処理で残存することができず、これはECM-1からECM-4では認
めることができなかった。しかしNaOHを使用せずに分離されたECM-5は、これらの接着タ
ンパク質がより濃厚である組成を有する(表1)。
表1:異なる方法で作製された胎盤コラーゲン組成物中に存在する細胞外マトリクス成

Figure 2019108329
細胞結合試験:播種の3時間後、全てのECM(#1-5)において、同様の胎盤幹細胞の付着レ
ベルが認められた。ECMへの幹細胞結合のレベルは、精製されたコラーゲンについて認め
られたレベルよりもわずかに低かった。この時点でのフィブロネクチンの免疫染色は、検
出可能な細胞外フィブロネクチンを伴わない、豊富な細胞内染色を明らかにした。培養の
48時間までに、胎盤幹細胞は、数が増加し、且つ精製されたコラーゲン、ECM-2、及びECM
-4上で同様の良く拡散された形態をとることが認められた。対照的に、ECM-1上で培養さ
れた胎盤幹細胞は、繁殖しなかった。より少ない細胞が認められただけではなく、それら
の形態も、丸みを帯び、且つ余り拡散していなかった。ECM-5上の胎盤幹細胞は、他のECM
上又はコラーゲン上の胎盤細胞よりも、より伸長され且つ偏光したように見えた。
ECM-3上の細胞付着の決定は、乾燥時の該物質の表面の不均一性のために、若干損なわ
れた。注目の一つの面に沿った画像化は困難であるので、非常に少ない細胞が付着したよ
うに最初見えたが、しかし注目の異なる面における知見は、ECM-3上のいくらかの細胞付
着を明らかにした。
48時間時点でのフィブロネクチンの免疫染色は、ECM-1からECM-4上での、細胞外フィブ
ロネクチンマトリクス線維の広範なネットワークを明らかにした。胎盤幹細胞がECM上で
培養されなかった対照は、フィブロネクチン線維の証拠を示さなかったので、これらのフ
ィブロネクチンマトリクス線維は、胎盤幹細胞により集成された。ECM-1からECM-4とは対
照的に、ECM-5及びコラーゲンは、胎盤幹細胞によるフィブロネクチンマトリクス集成を
支援せず、細胞外線維状フィブロネクチンは、これらの表面上で検出されなかった。
サイトカインアレイ試験:ECM上の結合及び増殖の結果としての胎盤幹細胞からの重要
なサイトカイン/ケモカインの分泌を調べた。ECM上のサイトカイン分泌を、組織培養物
で処理した細胞培養プレート上でインキュベーションした胎盤幹細胞からの分泌と比較し
た。いくつかのインターロイキン及びサイトカインを含む、標準25-マルチプレックスサ
イトカインアレイ(Biosource社)を、使用した。サイトカインは、IL-1β、IL-IRa、IL-2R
、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12p40/p70、IL-13、IL-15、IL-17、TNF-β
、IFN-β、IFN-γ、GM-CSF、MIP-1α、MIP-1β、IP-10、MIG、エオタキシン、ランテス、
及びMCP-1を含んだ。胎盤幹細胞がECMシート上で培養された場合に、試験した25種のサイ
トカインのうち、3種のサイトカインIL-6、IL-8及びMCP-1は、組織培養物処理したプレー
ト上で培養された胎盤幹細胞による分泌を超え且つ上回るよう、分泌が増加したことが、
認められた。図2A-2Cは、5種のECM構築体上での胎盤幹細胞によるサイトカイン(IL-6、IL
-8及びMCP-1)分泌の、時間依存的増加を示している。データは全て、1000個の結合した細
胞/cm2について規準化した。ECM-5は、MCP-1分泌の増加が出現しなかった点で、異常であ
り、これはこの細胞外マトリクス上で培養された場合の胎盤幹細胞の細胞生理学的変化を
示唆していた。先に示したように、ECM-5は、ECM-1からECM-4とは異なり、フィブロネク
チンの発現を支援しなかった。ECM-5は、NaOHを使用せずに作製された唯一のマトリクス
であり、且つ2種の重要な細胞接着タンパク質であるフィブロネクチン及びラミニンを維
持した生化学的組成を有した点は、興味深い。
本明細書に引用された刊行物及び特許出願は全て、各々個別の刊行物及び特許出願が、
引用により組み込まれていることを具体的且つ個別に指摘されているように、引用により
本明細書中に組み込まれている。前述のものは、理解を明確にすることを目的として例証
及び実施例により、一部詳細に説明されているが、本明細書に提供される内容を鑑み、添
付された請求項の精神又は範囲から逸脱しないある種の変更及び改変を行うことができる
ことは、当業者には容易に明らかであろう。
本明細書に引用された刊行物及び特許出願は全て、各々個別の刊行物及び特許出願が、引用により組み込まれていることを具体的且つ個別に指摘されているように、引用により本明細書中に組み込まれている。前述のものは、理解を明確にすることを目的として例証及び実施例により、一部詳細に説明されているが、本明細書に提供される内容を鑑み、添付された請求項の精神又は範囲から逸脱しないある種の変更及び改変を行うことができることは、当業者には容易に明らかであろう。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
細胞外マトリクスの治療有効量を口腔病変へ投与することを含む、口腔病変を有する個体を治療する方法であって、ここで該口腔病変が、歯科手技により引き起こされない、前記方法。
(構成2)
前記細胞外マトリクスが、化学修飾されていないか又は外来性プロテアーゼと接触されていないヒト胎盤の細胞外マトリクスである、構成1記載の方法。
(構成3)
前記ヒト胎盤の細胞外マトリクスが、前記投与前に塩基ではなく界面活性剤による処置により調製されている、構成2記載の方法。
(構成4)
前記ヒト胎盤の細胞外マトリクスが、前記投与前に界面活性剤による及び塩基による処置により調製されている、構成2記載の方法。
(構成5)
前記ヒト胎盤の細胞外マトリクスが、コラーゲン、並びに、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン、及びグリコサミノグリカンの1種以上を含む、構成2記載の方法。
(構成6)
前記ヒト胎盤の細胞外マトリクス中のコラーゲンが、乾燥重量で74%〜92%のI型コラーゲンを含む、構成2記載の方法。
(構成7)
前記ヒト胎盤の細胞外マトリクス中のコラーゲンが、乾燥重量で4%〜6%のIII型コラーゲンを含む、構成2記載の方法。
(構成8)
前記ヒト胎盤の細胞外マトリクス中のコラーゲンが、乾燥重量で2%〜15%のIV型コラーゲンを含む、構成2記載の方法。
(構成9)
前記ヒト胎盤の細胞外マトリクスが、乾燥重量で0.01%未満のラミニン又は0.01%未満のフィブロネクチンを含有する、構成2記載の方法。
(構成10)
前記ヒト胎盤の細胞外マトリクスが、乾燥重量で3%〜5%のエラスチンを含有する、構成2記載の方法。
(構成11)
前記ヒト胎盤の細胞外マトリクス中のコラーゲンが、順に:(a)胎盤組織を浸軟する工程;(b)該胎盤組織を低張塩類溶液中に懸濁する工程;(c)該胎盤組織を界面活性剤により処理する工程;及び、(d)該胎盤組織を塩基により処理する工程:を含む方法により調製可能である、構成2記載の方法。
(構成12)
前記塩基が、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、又は水酸化ナトリウムである、構成11記載の方法。
(構成13)
前記高張塩類溶液が、塩化ナトリウムを含む、構成11記載の方法。
(構成14)
前記界面活性剤が、デオキシコール酸塩又はデオキシコール酸であるか又はこれを含む、構成11記載の方法。
(構成15)
前記口腔病変が、前記個体への化学療法薬の投与により引き起こされるか又はこれに関連している、構成1記載の方法。
(構成16)
前記化学療法薬が、アルキル化剤である、構成15記載の方法。
(構成17)
前記アルキル化剤が、メルファラン、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、又はメクロレタミンの1種以上である、構成16記載の方法。
(構成18)
前記化学療法薬が、代謝拮抗薬である、構成15記載の方法。
(構成19)
前記代謝拮抗薬が、5-フルオロウラシル、メトトレキセート、ゲムシタビン、シタラビン、又はフルダラビンの1種以上である、構成18記載の方法。
(構成20)
前記化学療法薬が、抗腫瘍作用を有する抗生物質である、構成15記載の方法。
(構成21)
前記抗腫瘍作用を有する抗生物質が、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、又はイダルビシンの1種以上である、構成20記載の方法。
(構成22)
前記化学療法薬が、有糸分裂阻害剤である、構成15記載の方法。
(構成23)
前記有糸分裂阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン又はビノレルビンの1種以上である、構成22記載の方法。
(構成24)
前記口腔病変、又は複数の該口腔病変が、前記化学療法薬を含む療法コースの早期終結を引き起こしたか又は引き起こすことが予想される、構成15記載の方法。
(構成25)
前記口腔病変が、前記個体への抗体の投与により引き起こされるか又はこれに関連している、構成1記載の方法。
(構成26)
前記抗体が、リツキシマブ、オファツムマブ、ベルツズマブ、オクレリズマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、セルトリズマブペゴル、ナタリズマブ又はゴリムマブの1種以上である、構成25記載の方法。
(構成27)
前記口腔病変が、前記個体への、造血幹細胞移植、又は骨髄移植により引き起こされるか又はこれに関連している、構成1記載の方法。
(構成28)
前記口腔病変が、前記個体における、移植片対宿主疾患により引き起こされるか又はこれに関連している、構成1記載の方法。
(構成29)
前記口腔病変が、前記個体へ施された放射線照射により引き起こされるか又はこれに関連している、構成1記載の方法。
(構成30)
前記口腔病変が、剥離性口腔障害により引き起こされる、構成1記載の方法。
(構成31)
前記口腔病変が、アフタ性潰瘍である、構成1記載の方法。
(構成32)
前記ECMが、複数の幹細胞を含む、構成1〜31のいずれか1項記載の方法。
(構成33)
前記幹細胞が、CD10 + 、CD34 - 、CD105 + 、CD100 + 胎盤幹細胞である、構成32記載の方法。
(構成34)
前記ECMの前記投与が、投与後7日以内に、世界保健機関経口毒性(WHO-OT)スコアに従い少なくとも1等級の前記口腔病変の改善を生じる、構成1〜33のいずれか1項記載の方法。
(構成35)
前記ECMの前記投与が、投与後7日以内に、口腔粘膜炎に関する米国国立癌研究所共通毒性基準(NCI-CTC)に従い少なくとも1等級の前記口腔病変の改善を生じる、構成1〜33のいずれか1項記載の方法。
(構成36)
前記ECMの前記投与が、投与後7日以内に、口腔粘膜炎に対する評価尺度(OMAS)の任意のサブスコアの少なくとも1ポイントの前記口腔病変の改善を生じる、構成1〜33のいずれか1項記載の方法。
(構成37)
前記ECMの前記投与が、投与後7日以内に、癌看護研究に関する西欧コンソーシアム(WCCNR)スコアに従い少なくとも1期の前記口腔病変の改善を生じる、構成1〜33のいずれか1項記載の方法。

Claims (37)

  1. 細胞外マトリクスの治療有効量を口腔病変へ投与することを含む、口腔病変を有する個
    体を治療する方法であって、ここで該口腔病変が、歯科手技により引き起こされない、前
    記方法。
  2. 前記細胞外マトリクスが、化学修飾されていないか又は外来性プロテアーゼと接触され
    ていないヒト胎盤の細胞外マトリクスである、請求項1記載の方法。
  3. 前記ヒト胎盤の細胞外マトリクスが、前記投与前に塩基ではなく界面活性剤による処置
    により調製されている、請求項2記載の方法。
  4. 前記ヒト胎盤の細胞外マトリクスが、前記投与前に界面活性剤による及び塩基による処
    置により調製されている、請求項2記載の方法。
  5. 前記ヒト胎盤の細胞外マトリクスが、コラーゲン、並びに、ラミニン、フィブロネクチ
    ン、エラスチン、及びグリコサミノグリカンの1種以上を含む、請求項2記載の方法。
  6. 前記ヒト胎盤の細胞外マトリクス中のコラーゲンが、乾燥重量で74%〜92%のI型コラ
    ーゲンを含む、請求項2記載の方法。
  7. 前記ヒト胎盤の細胞外マトリクス中のコラーゲンが、乾燥重量で4%〜6%のIII型コラ
    ーゲンを含む、請求項2記載の方法。
  8. 前記ヒト胎盤の細胞外マトリクス中のコラーゲンが、乾燥重量で2%〜15%のIV型コラ
    ーゲンを含む、請求項2記載の方法。
  9. 前記ヒト胎盤の細胞外マトリクスが、乾燥重量で0.01%未満のラミニン又は0.01%未満
    のフィブロネクチンを含有する、請求項2記載の方法。
  10. 前記ヒト胎盤の細胞外マトリクスが、乾燥重量で3%〜5%のエラスチンを含有する、請
    求項2記載の方法。
  11. 前記ヒト胎盤の細胞外マトリクス中のコラーゲンが、順に:(a)胎盤組織を浸軟する工
    程;(b)該胎盤組織を低張塩類溶液中に懸濁する工程;(c)該胎盤組織を界面活性剤により
    処理する工程;及び、(d)該胎盤組織を塩基により処理する工程:を含む方法により調製
    可能である、請求項2記載の方法。
  12. 前記塩基が、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、又は水酸化ナトリウムである、請
    求項11記載の方法。
  13. 前記高張塩類溶液が、塩化ナトリウムを含む、請求項11記載の方法。
  14. 前記界面活性剤が、デオキシコール酸塩又はデオキシコール酸であるか又はこれを含む
    、請求項11記載の方法。
  15. 前記口腔病変が、前記個体への化学療法薬の投与により引き起こされるか又はこれに関
    連している、請求項1記載の方法。
  16. 前記化学療法薬が、アルキル化剤である、請求項15記載の方法。
  17. 前記アルキル化剤が、メルファラン、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、
    シクロホスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、又はメクロレタミンの1種以上で
    ある、請求項16記載の方法。
  18. 前記化学療法薬が、代謝拮抗薬である、請求項15記載の方法。
  19. 前記代謝拮抗薬が、5-フルオロウラシル、メトトレキセート、ゲムシタビン、シタラビ
    ン、又はフルダラビンの1種以上である、請求項18記載の方法。
  20. 前記化学療法薬が、抗腫瘍作用を有する抗生物質である、請求項15記載の方法。
  21. 前記抗腫瘍作用を有する抗生物質が、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビ
    シン、ドキソルビシン、又はイダルビシンの1種以上である、請求項20記載の方法。
  22. 前記化学療法薬が、有糸分裂阻害剤である、請求項15記載の方法。
  23. 前記有糸分裂阻害剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、ビンブラスチン
    、ビンクリスチン又はビノレルビンの1種以上である、請求項22記載の方法。
  24. 前記口腔病変、又は複数の該口腔病変が、前記化学療法薬を含む療法コースの早期終結
    を引き起こしたか又は引き起こすことが予想される、請求項15記載の方法。
  25. 前記口腔病変が、前記個体への抗体の投与により引き起こされるか又はこれに関連して
    いる、請求項1記載の方法。
  26. 前記抗体が、リツキシマブ、オファツムマブ、ベルツズマブ、オクレリズマブ、アダリ
    ムマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、セルトリズマブペゴル、ナタリズマブ又は
    ゴリムマブの1種以上である、請求項25記載の方法。
  27. 前記口腔病変が、前記個体への、造血幹細胞移植、又は骨髄移植により引き起こされる
    か又はこれに関連している、請求項1記載の方法。
  28. 前記口腔病変が、前記個体における、移植片対宿主疾患により引き起こされるか又はこ
    れに関連している、請求項1記載の方法。
  29. 前記口腔病変が、前記個体へ施された放射線照射により引き起こされるか又はこれに関
    連している、請求項1記載の方法。
  30. 前記口腔病変が、剥離性口腔障害により引き起こされる、請求項1記載の方法。
  31. 前記口腔病変が、アフタ性潰瘍である、請求項1記載の方法。
  32. 前記ECMが、複数の幹細胞を含む、請求項1〜31のいずれか1項記載の方法。
  33. 前記幹細胞が、CD10+、CD34-、CD105+、CD100+胎盤幹細胞である、請求項32記載の方法
  34. 前記ECMの前記投与が、投与後7日以内に、世界保健機関経口毒性(WHO-OT)スコアに従い
    少なくとも1等級の前記口腔病変の改善を生じる、請求項1〜33のいずれか1項記載の方法
  35. 前記ECMの前記投与が、投与後7日以内に、口腔粘膜炎に関する米国国立癌研究所共通毒
    性基準(NCI-CTC)に従い少なくとも1等級の前記口腔病変の改善を生じる、請求項1〜33の
    いずれか1項記載の方法。
  36. 前記ECMの前記投与が、投与後7日以内に、口腔粘膜炎に対する評価尺度(OMAS)の任意の
    サブスコアの少なくとも1ポイントの前記口腔病変の改善を生じる、請求項1〜33のいずれ
    か1項記載の方法。
  37. 前記ECMの前記投与が、投与後7日以内に、癌看護研究に関する西欧コンソーシアム(WCC
    NR)スコアに従い少なくとも1期の前記口腔病変の改善を生じる、請求項1〜33のいずれか1
    項記載の方法。
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