JP2019108065A - リーン車両 - Google Patents

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JP2019108065A
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Toshimasa Miyabe
敏昌 宮部
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Abstract

【課題】リーン車両の移動時において、良好な車体操作性を維持することと利便性の向上とを両立する。【解決手段】緩衝規制機構91は、左緩衝装置72と右緩衝装置82の少なくとも一方の動作に対して付与される緩衝規制力を変更する。パーキングブレーキ装置92は、後輪4の回転に対して付与される制動力を変更する。連携装置93は、緩衝規制力が増していく期間と制動力が増していく期間が少なくとも部分的に重なるように、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92を動作させる。【選択図】図7

Description

本発明は、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並ぶように配置された左車輪と右車輪を備えているリーン車両に関する。
左右旋回時に左右方向に傾斜する車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並ぶように配置された二つの前輪を備えたリーン車両が知られている(例えば、特許文献1を参照)。リーン車両は、車体フレームが鉛直方向に対して傾斜した状態で旋回できる車両である。より具体的には、車体フレームは、右旋回時においてリーン車両の右方に傾斜し、左旋回時においてリーン車両の左方に傾斜する。
特許文献1に記載されているリーン車両は、リンク機構を備えている。リンク機構は、車体フレームに対する左車輪および右車輪の相対位置を変更して車体フレームをリーン車両の左方または右方に傾斜させるように構成されている。
特許文献1に記載されているリーン車両は、左緩衝装置と右緩衝装置を備えている。左緩衝装置は、左前輪を支持し、リンク機構に対する左前輪の車体フレームの上下方向への変位を緩衝するように動作する。右緩衝装置は、右前輪を支持し、リンク機構に対する右前輪の車体フレームの上下方向への変位を緩衝するように動作する。
特開2005−313876号公報
特許文献1に記載されたリーン車両は、左緩衝装置と右緩衝装置の動作に対して付与される抵抗力を変更する抵抗力変更機構を備えている。抵抗力変更機構は、左緩衝装置と右緩衝装置の動作に対して付与される抵抗力を増すことによって緩衝能力を制限し、徐行時や停車時における車体の姿勢変化を抑制するために使用される。特許文献1に記載されたリーン車両においては、車両の速度が所定値以下になると抵抗力変更機構を作動可能である。
しかしながら、車体の姿勢変化が抑制された状態では路面の状態変化に対する柔軟な追随性が低下するため、良好な車体操作性を維持することが難しくなる。
本発明は、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並ぶように配置された左車輪と右車輪を備えているリーン車両が移動している場合において、良好な車体操作性を維持することと利便性の向上とを両立させることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる一態様は、リーン車両であって、
車体フレームと、
前記車体フレームの左右方向に並ぶように配置されている左車輪および右車輪と、
前記左車輪および前記右車輪よりも前記車体フレームの前後方向における前方と後方の少なくとも一方に配置されている車輪と、
前記車体フレームに対する前記左車輪および前記右車輪の相対位置を変更して前記車体フレームを前記車両の左方または右方に傾斜させるリンク機構と、
前記左車輪を支持し、前記リンク機構に対する前記左車輪の前記車体フレームの上下方向への変位を緩衝するように動作する左緩衝装置と、
前記右車輪を支持し、前記リンク機構に対する前記右車輪の前記車体フレームの上下方向への変位を緩衝するように動作する右緩衝装置と、
前記左緩衝装置と前記右緩衝装置の少なくとも一方の動作に対して付与される第一抵抗力を変更する第一抵抗力変更機構と、
前記左車輪、前記右車輪、および前記車輪の少なくとも一つの回転に対して付与される第二抵抗力を変更する第二抵抗力変更機構と、
前記第一抵抗力が増していく期間と前記第二抵抗力が増していく期間が、少なくとも部分的に重なるように前記第一抵抗力変更機構と前記第二抵抗力変更機構を動作させる連携装置と、
を備えている。
本願発明者は、良好な車体操作性を維持するためには、リーン車両が停止するまでは左緩衝装置と右緩衝装置の少なくとも一方の動作に対する抵抗力が付与された状態を成立させないようにすればよいと考えた。そして、少なくとも一つの車輪の回転に対して付与される抵抗力が増していく状態が成立していれば、リーン車両が停止している状態、あるいは停止に準じた状態にある蓋然性が高いといえることに気づいた。
すなわち、上記のような構成を有するリーン車両によれば、連携装置が、左緩衝装置と右緩衝装置の少なくとも一方の動作に対する第一抵抗力が増していく期間と、少なくとも一つの車輪に対する第二抵抗力が増していく期間が、少なくとも部分的に重なるように第一抵抗力変更機構と第二抵抗力変更機構を動作させる。これにより、リーン車両が停止状態あるいは停止に準じた状態に至るタイミングと、左緩衝装置と右緩衝装置の少なくとも一方の緩衝動作が規制されるタイミングとの間の時間差を少なくできる。
したがって、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並ぶように配置された左車輪と右車輪を備えているリーン車両が移動している場合において、良好な車体操作性を維持できる。さらに連携装置が設けられたことにより、リーン車両を停止状態あるいは停止に準じた状態にさせる作業と、車体の姿勢変化を規制する作業とを別個に行う場合よりも利便性が高まる。
上記のリーン車両は、以下のように構成されうる。
前記連携装置は、前記第二抵抗力の増加が完了した後に前記第一抵抗力の増加が完了するように、前記第一抵抗力変更機構と前記第二抵抗力変更機構を動作させる。
このような構成によれば、リーン車両が停止状態あるいは停止に準じた状態に至る前に左緩衝装置と右緩衝装置の緩衝動作が規制される事態を回避できる。
上記のリーン車両は、以下のように構成されうる。
運転者により操作される操作部材を備えており、
前記連携装置は、前記操作部材の操作に応じて前記第一抵抗力変更機構と前記第二抵抗力変更機構の双方を駆動する駆動力を発生する駆動力発生装置を含んでいる。
このような構成によれば、第一抵抗力変更機構と第二抵抗力変更機構の作動を容易にできる。
上記のリーン車両は、以下のように構成されうる。
前記第一抵抗力変更機構は、
前記左緩衝装置の動作に対して左抵抗力を付与する左抵抗力変更機構と、
前記右緩衝装置の動作に対して右抵抗力を付与する右抵抗力変更機構と、
を含んでおり、
前記連携装置は、前記左抵抗力が増加していく期間と前記右抵抗力が増加していく期間が少なくとも部分的に重なるように、前記左抵抗力変更機構と前記右抵抗力変更機構を動作させる。
このような構成によれば、左緩衝装置の動作に対する左抵抗力を増加させる操作と右緩衝装置の動作に対する右抵抗力を増加させる操作とを個別に行わせる場合に比べ、左抵抗力と右抵抗力を増加させることに要する期間を短くできる。
この場合、上記のリーン車両は、以下のように構成されうる。
前記連携装置は、前記左抵抗力と前記右抵抗力の差異を機械的に減少させる平衡装置を含んでいる。
このような構成によれば、左抵抗力と右抵抗力を増加させることに要する期間をさらに短くできるとともに、そのような効果が、簡易な構成で得られる。
上記のリーン車両は、以下のように構成されうる。
前記連携装置は、前記第一抵抗力変更機構と前記第二抵抗力変更機構の一方の動作に基づいて前記第一抵抗力変更機構と前記第二抵抗力変更機構の他方を動作させる。
このような構成によれば、第一抵抗力変更機構と第二抵抗力変更機構の連携性を高めることができる。
この場合、上記のリーン車両は、以下のように構成されうる。
前記連携装置は、前記第一抵抗力変更機構と前記第二抵抗力変更機構を繋ぐワイヤを含んでいる。
このような構成によれば、第一抵抗力変更機構と第二抵抗力変更機構の連携性を高める効果が、簡易な構成で得られる。
一実施形態に係るリーン車両の全体を左方から見た左側面図である。 上記リーン車両の前部を示す正面図である。 上記リーン車両の前部を示す平面図である。 左転舵時における上記リーン車両の前部を示す平面図である。 左方への傾斜時における上記リーン車両の前部を示す正面図である。 左方への傾斜および左転舵時における上記リーン車両の前部を示す正面図である。 上記リーン車両の機能構成を示す図である。 上記リーン車両における緩衝ロック機構とパーキングブレーキ装置の連携動作を示す図である。 第一変形例に係るリーン車両の機能構成を示す図である。 第二変形例に係るリーン車両の機能構成を示す図である。 第三変形例に係るリーン車両の機能構成を示す図である。
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について、以下詳細に説明する。
添付の図面において、矢印Fは、リーン車両の前方向を示している。矢印Bは、リーン車両の後方向を示している。矢印Uは、リーン車両の上方向を示している。矢印Dは、リーン車両の下方向を示している。矢印Rは、リーン車両の右方向を示している。矢印Lは、リーン車両の左方向を示している。
リーン車両は、車体フレームを鉛直方向に対して左右方向に傾斜させて旋回する。そこでリーン車両を基準とした方向に加え、車体フレームを基準とした方向が定められる。添付の図面において、矢印FFは、車体フレームの前方向を示している。矢印FBは、車体フレームの後方向を示している。矢印FUは、車体フレームの上方向を示している。矢印FDは、車体フレームの下方向を示している。矢印FRは、車体フレームの右方向を示している。矢印FLは、車体フレームの左方向を示している。
本明細書において、「車体フレームの前後方向」、「車体フレームの左右方向」、および「車体フレームの上下方向」とは、リーン車両を運転する運転者から見たとき、車体フレームを基準とした前後方向、左右方向、および上下方向を意味する。「車体フレームの側方」とは、車体フレームの左右方向における右方あるいは左方を意味している。
本明細書において、「車体フレームの前後方向に延びる」とは、車体フレームの前後方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの左右方向および上下方向と比較して、車体フレームの前後方向に近い傾きで延びることを意味する。
本明細書において、「車体フレームの左右方向に延びる」とは、車体フレームの左右方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの前後方向および上下方向と比較して、車体フレームの左右方向に近い傾きで延びることを意味する。
本明細書において、「車体フレームの上下方向に延びる」とは、車体フレームの上下方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの前後方向および左右方向と比較して、車体フレームの上下方向に近い傾きで延びることを意味する。
本明細書において、「リーン車両の直立状態」あるいは「車体フレームの直立状態」とは、無転舵状態かつ車体フレームの上下方向が鉛直方向と一致している状態を意味する。この状態においては、リーン車両を基準にした方向と車体フレームを基準にした方向は一致する。車体フレームを鉛直方向に対して左右方向に傾斜させて旋回しているときは、リーン車両の左右方向と車体フレームの左右方向は一致しない。またリーン車両の上下方向と車体フレームの上下方向も一致しない。しかしながら、リーン車両の前後方向と車体フレームの前後方向は一致する。
本明細書において、「車体フレームの左右方向における部材Aの左方」とは、車体フレームの左右方向における左方へ部材Aを平行移動させたときに当該部材Aが通過する空間を指す。部材Aの右方についても同様に定義される。
本明細書において、「部材Aよりも車体フレームの左右方向における左方」とは、車体フレームの左右方向における左方へ部材Aを平行移動させたときに当該部材Aが通過する空間に加え、当該空間から車体フレームの左右方向に直交する向きに広がる空間を含む。部材Aよりも右方についても同様に定義される。
本明細書において、「車体フレームの上下方向における部材Aの上方」とは、車体フレームの上下方向における上方へ部材Aを平行移動させたときに当該部材Aが通過する空間を指す。部材Aの下方についても同様に定義される。
本明細書において、「部材Aよりも車体フレームの上下方向における上方」とは、車体フレームの上下方向における上方へ部材Aを平行移動させたときに当該部材Aが通過する空間に加え、当該空間から車体フレームの上下方向に直交する向きに広がる空間を含む。部材Aよりも下方についても同様に定義される。
本明細書において、「車体フレームの前後方向における部材Aの前方」とは、車体フレームの前後方向における前方へ部材Aを平行移動させたときに当該部材Aが通過する空間を指す。部材Aの後方についても同様に定義される。
本明細書において、「部材Aよりも車体フレームの前後方向における前方」とは、車体フレームの前後方向における前方へ部材Aを平行移動させたときに当該部材Aが通過する空間に加え、当該空間から車体フレームの前後方向に直交する向きに広がる空間を含む。部材Aよりも後方についても同様に定義される。
本明細書において、「回転」とは、部材が軸線を中心として360度以上の角度で変位することを指す。本明細書において、「回動」とは、部材が軸線を中心として360度未満の角度で変位することを指す。
本明細書において、「連結される」とは、ある部材と別の部材が直接的に連結される場合だけでなく、ある部材と別の部材が、さらに別の部材を介して間接的に連結される場合を含む意味である。
図1から図8を参照しつつ、一実施形態に係るリーン車両1について説明する。図1に示されるように、リーン車両1は、車両本体部2、二つの前輪3、後輪4、リンク機構5、およびステアリング機構6を備えている。
車両本体部2は、車体フレーム21、車体カバー22、シート23、パワーユニット24、およびリアアーム25を含んでいる。
図1において、車体フレーム21は直立状態にある。図1を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。図1は、リーン車両1の全体を車体フレーム21の左右方向における左方から見た左側面図である。
車体フレーム21は、ヘッドパイプ211とメインフレーム212を含んでいる。
ヘッドパイプ211は、リーン車両1の前部に配置されている。車体フレーム21の左右方向からリーン車両1を見たとき、ヘッドパイプ211の上部は、ヘッドパイプ211の下部よりも車体フレーム21の前後方向における後方に配置されている。
メインフレーム212は、ヘッドパイプ211に接続されている。メインフレーム212は、ヘッドパイプ211よりも車体フレーム21の前後方向における後方に配置されている。メインフレーム212は、シート23、パワーユニット24、およびリアアーム25を支持している。
パワーユニット24は、内燃機関や電動モータなどの動力源、およびトランスミッションなどの伝達機構を備えている。動力源により生成された駆動力は、伝達機構を介して後輪4へ伝達される。
リアアーム25は、車体フレーム21の前後方向に延びている。リアアーム25の前端部は、メインフレーム212に支持され、車体フレーム21の左右方向に延びる軸線を中心として回動可能とされている。リアアーム25の後端部は、後輪4を支持している。
車体カバー22は、リーン車両1を構成する部品群の少なくとも一部を覆う車体部品である。車体カバー22は、フロントカバー221、二つのフロントフェンダ222、リアフェンダ223、およびレッグシールド224を含んでいる。
フロントカバー221は、シート23よりも車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。フロントカバー221は、リンク機構5とステアリング機構6の少なくとも一部を覆っている。フロントカバー221は、車体フレーム21に対して変位不能に配置されている。
各フロントフェンダ222の少なくとも一部は、フロントカバー221の下方にそれぞれ配置されている。各フロントフェンダ222の少なくとも一部は、各前輪3よりも上方に配置されている。
二つの前輪3は、ヘッドパイプ211よりも車体フレーム21の上下方向における下方に配置されている。二つの前輪3の少なくとも一部は、車体フレーム21の上下方向におけるフロントカバー221の下方に配置されている。
後輪4の少なくとも一部は、シート23よりも車体フレーム21の上下方向における下方に配置されている。後輪4の少なくとも一部は、車体フレーム21の上下方向におけるリアフェンダ223の下方に配置されている。
レッグシールド224は、車体フレーム21の前後方向における二つの前輪3よりも後方かつシート23よりも前方に配置されている。レッグシールド224は、リーン車両1の前方から見てシート23に着座した運転者の脚部の少なくとも一部を覆う位置に配置されている。
図2は、リーン車両1の前部を車体フレーム21の前後方向における前方から見た正面図である。図2において、車体フレーム21は直立状態にある。図2を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。図2においては、破線で示されるフロントカバー221、二つのフロントフェンダ222、およびレッグシールド224を透視した状態を示している。
二つの前輪3は、左車輪31と右車輪32を含んでいる。左車輪31は、車体フレーム21の一部であるヘッドパイプ211よりも車体フレーム21の左右方向における左方に配置されている。右車輪32は、ヘッドパイプ211よりも車体フレーム21の左右方向における右方に配置されている。左車輪31と右車輪32は、車体フレーム21の左右方向に並ぶように配置されている。
二つのフロントフェンダ222は、左フェンダと右フェンダを含んでいる。左フェンダは、左車輪31の上面の少なくとも一部を覆っている。右フェンダは、右車輪32の上面の少なくとも一部を覆っている。
ステアリング機構6は、ハンドルバー61とステアリングシャフト62を含んでいる。ステアリングシャフト62は、ハンドルバー61の左右方向中央部から下方に向かって延びている。ステアリングシャフト62は、図示しない中間ステアリング軸受部を介してヘッドパイプ211に支持されている。これにより、ステアリングシャフト62は、ヘッドパイプ211に対して中間ステアリング回動軸SIを中心として回動可能である。
本実施形態に係るリーン車両1においては、平行四節リンク(パラレログラムリンクとも呼ばれる)方式のリンク機構5を採用している。
リンク機構5は、左車輪31と右車輪32よりも車体フレーム21の上下方向における上方に配置されている。リンク機構5は、上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53、および右サイド部材54を含んでいる。リンク機構5は、ハンドルバー61の操作に伴うステアリングシャフト62の中間ステアリング回動軸SIを中心とする回動に連動しない。すなわち、リンク機構5は、中間ステアリング回動軸SIを中心として、車体フレーム21に対して回動しない。
ヘッドパイプ211は、上中間リーニング軸受部211aを有している。上クロス部材51の中間部は、上中間リーニング軸受部211aを介してヘッドパイプ211に支持されている。上クロス部材51は、上中間リーニング軸受部211aを通り車体フレーム21の前後方向に延びる上中間リーニング回動軸LUIを中心として、ヘッドパイプ211に対して回動可能である。
ヘッドパイプ211は、下中間リーニング軸受部211bを有している。下クロス部材52の中間部は、下中間リーニング軸受部211bを介してヘッドパイプ211に支持されている。下クロス部材52は、下中間リーニング軸受部211bを通り車体フレーム21の前後方向に延びる下中間リーニング回動軸LDIを中心として、ヘッドパイプ211に対して回動可能である。
左サイド部材53は、上左リーニング軸受部53aを有している。上クロス部材51の左端部は、上左リーニング軸受部53aを介して左サイド部材53に連結されている。上クロス部材51は、上左リーニング軸受部53aを通り車体フレーム21の前後方向に延びる上左リーニング回動軸LULを中心として、左サイド部材53に対して回動可能である。
右サイド部材54は、上右リーニング軸受部54aを有している。上クロス部材51の右端部は、上右リーニング軸受部54aを介して右サイド部材54に連結されている。上クロス部材51は、上右リーニング軸受部54aを通り車体フレーム21の前後方向に延びる上右リーニング回動軸LURを中心として、右サイド部材54に対して回動可能である。
左サイド部材53は、下左リーニング軸受部53bを有している。下クロス部材52の左端部は、下左リーニング軸受部53bを介して左サイド部材53に連結されている。下クロス部材52は、下左リーニング軸受部53bを通り車体フレーム21の前後方向に延びる下左リーニング回動軸LDLを中心として、左サイド部材53に対して回動可能である。
右サイド部材54は、下右リーニング軸受部54bを有している。下クロス部材52の右端部は、下右リーニング軸受部54bを介して右サイド部材54に連結されている。下クロス部材52は、下右リーニング軸受部54bを通り車体フレーム21の前後方向に延びる下右リーニング回動軸LDRを中心として、右サイド部材54に対して回動可能である。
図3は、リーン車両1の前部を車体フレーム21の上下方向における上方から見た平面図である。図3において、車体フレーム21は直立状態にある。図3を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。図3においては、破線で示されるフロントカバー221と二つのフロントフェンダ222を透視した状態を示している。
上クロス部材51は、ヘッドパイプ211よりも車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。上クロス部材51は、車体フレーム21の前後方向には湾曲することなく、車体フレーム21の左右方向に延びている板状部材である。
図2と図3に示されるように、下クロス部材52は、上クロス部材51よりも車体フレーム21の上下方向における下方に配置されている。下クロス部材52は、前要素521と後要素522を含んでいる。前要素521は、ヘッドパイプ211、左サイド部材53、および右サイド部材54よりも車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。後要素522は、ヘッドパイプ211、左サイド部材53、および右サイド部材54よりも車体フレーム21の前後方向における後方に配置されている。前要素521と後要素522は、車体フレーム21の左右方向に延びている。
図2と図3に示されるように、左サイド部材53は、車体フレーム21の左右方向におけるヘッドパイプ211の左方に配置されている。左サイド部材53は、左車輪31よりも車体フレーム21の上下方向における上方に配置されている。左サイド部材53は、ヘッドパイプ211が延びる方向に延びている。左サイド部材53の上部は、その下部よりも車体フレーム21の前後方向における後方に配置されている。
図2と図3に示されるように、右サイド部材54は、車体フレーム21の左右方向におけるヘッドパイプ211の右方に配置されている。右サイド部材54は、右車輪32よりも車体フレーム21の上下方向における上方に配置されている。右サイド部材54は、ヘッドパイプ211が延びる方向に延びている。右サイド部材54の上部は、その下部よりも車体フレーム21の前後方向における後方に配置されている。
上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53、および右サイド部材54は、上クロス部材51と下クロス部材52が相互に平行な姿勢を保ち、左サイド部材53と右サイド部材54が相互に平行な姿勢を保つように、ヘッドパイプ211に支持されている。
図2に示されるように、リーン車両1は、左懸架部7を備えている。左懸架部7は、左ブラケット71と左緩衝装置72を含んでいる。
左ブラケット71は、その上部に左回動部材(不図示)を備えている。左回動部材は、左サイド部材53の内部に配置され、左サイド部材53が延びる方向と同じ向きに延びている。左サイド部材53は、左ステアリング軸受部(不図示)を有している。左回動部材は、左ステアリング軸受部を介して左サイド部材53に支持されている。これにより、左回動部材は、左サイド部材53に対して、左ステアリング回動軸SLを中心として回動可能である。すなわち、左ブラケット71は、左サイド部材53に対して、左ステアリング回動軸SLを中心として回動可能に連結されている。
左ステアリング回動軸SLは、左サイド部材53が延びる方向に延びている。図2に示されるように、左ステアリング回動軸SLは、ステアリングシャフト62の中間ステアリング回動軸SIと平行に、車体フレーム21の上下方向に延びている。図3に示されるように、左ステアリング回動軸SLは、ステアリングシャフト62の中間ステアリング回動軸SIと平行に、車体フレーム21の前後方向に延びている。
左緩衝装置72は、いわゆるテレスコピック式の緩衝機構である。図2に示されるように、左緩衝装置72は、左上テレスコピック要素721、左下テレスコピック要素722、および左車輪軸723を含んでいる。
左上テレスコピック要素721は、左ブラケット71に支持されている。左下テレスコピック要素722は、左上テレスコピック要素721に対して摺動可能に連結されている。左上テレスコピック要素721に対する左下テレスコピック要素722の摺動により、リンク機構5に対する左車輪31の車体フレーム21の上下方向への変位が緩衝される。
左車輪軸723は、左下テレスコピック要素722に支持されている。左車輪軸723は、左車輪31を支持している。左車輪31は、左車輪軸723を中心として回転可能である。
図2に示されるように、リーン車両1は、右懸架部8を備えている。右懸架部8は、右ブラケット81と右緩衝装置82を含んでいる。
右ブラケット81は、その上部に右回動部材(不図示)を備えている。右回動部材は、右サイド部材54の内部に配置され、右サイド部材54が延びる方向と同じ向きに延びている。右サイド部材54は、右ステアリング軸受部(不図示)を有している。右回動部材は、右ステアリング軸受部を介して右サイド部材54に支持されている。これにより、右回動部材は、右サイド部材54に対して、右ステアリング回動軸SRを中心として回動可能である。すなわち、右ブラケット81は、右サイド部材54に対して、右ステアリング回動軸SRを中心として回動可能に連結されている。
右ステアリング回動軸SRは、右サイド部材54が延びる方向に延びている。図2に示されるように、右ステアリング回動軸SRは、ステアリングシャフト62の中間ステアリング回動軸SIと平行に、車体フレーム21の上下方向に延びている。図3に示されるように、右ステアリング回動軸SRは、ステアリングシャフト62の中間ステアリング回動軸SIと平行に、車体フレーム21の前後方向に延びている。
右緩衝装置82は、いわゆるテレスコピック式の緩衝機構である。図2に示されるように、右緩衝装置82は、右上テレスコピック要素821、右下テレスコピック要素822、および右車輪軸823を含んでいる。
右上テレスコピック要素821は、右ブラケット81に支持されている。右下テレスコピック要素822は、右上テレスコピック要素821に対して摺動可能に連結されている。右上テレスコピック要素821に対する右下テレスコピック要素822の摺動により、リンク機構5に対する右車輪32の車体フレーム21の上下方向への変位が緩衝される。
右車輪軸823は、右下テレスコピック要素822に支持されている。右車輪軸823は、右車輪32を支持している。右車輪32は、右車輪軸823を中心として回転可能である。
図1に示されるように、左ステアリング回動軸SLは、鉛直方向(車体フレーム21の上下方向)に対して、車体フレーム21の前後方向における後方に傾斜している(キャスタ角を有している)。同様に、右ステアリング回動軸SRは、鉛直方向(車体フレーム21の上下方向)に対して、車体フレーム21の前後方向における後方に傾斜している(キャスタ角を有している)。
図3に示されるように、ステアリング機構6は、操舵力伝達機構63を含んでいる。操舵力伝達機構63は、中間伝達プレート631、左伝達プレート632、右伝達プレート633、中間ジョイント634、左ジョイント635、右ジョイント636、およびタイロッド637を含んでいる。
中間伝達プレート631は、ステアリングシャフト62の下部に設けられている。中間伝達プレート631は、ヘッドパイプ211に対して、ステアリングシャフト62の中間ステアリング回動軸SIと平行に延びる回動軸を中心として回動可能である。
左伝達プレート632は、中間伝達プレート631の左方に配置されている。左伝達プレート632は、左ブラケット71の下部に接続されている。左伝達プレート632は、左ブラケット71に対して相対回動不能である。左伝達プレート632は、左サイド部材53に対して、左ステアリング回動軸SLを中心として回動可能である。
右伝達プレート633は、車体フレーム21の左右方向における中間伝達プレート631の右方に配置されている。右伝達プレート633は、右ブラケット81の下部に接続されている。右伝達プレート633は、右ブラケット81に対して相対回動不能である。右伝達プレート633は、右サイド部材54に対して、右ステアリング回動軸SRを中心として回動可能である。
中間ジョイント634は、中間ジョイントステアリング軸受部634aを有している。中間ジョイントステアリング軸受部634aは、車体フレーム21の上下方向に延びる中間ジョイントステアリング回動軸を規定している。中間ジョイント634は、中間ジョイントステアリング軸受部634aを介して中間伝達プレート631の前部に連結されている。これにより、中間ジョイント634は、中間伝達プレート631に対して、中間ジョイントステアリング回動軸を中心として回動可能である。
左ジョイント635は、中間ジョイント634よりも車体フレーム21の左右方向における左方に配置されている。左ジョイント635は、左ジョイントステアリング軸受部635aを有している。左ジョイントステアリング軸受部635aは、車体フレーム21の上下方向に延びる左ジョイントステアリング回動軸を規定している。左ジョイント635は、左ジョイントステアリング軸受部635aを介して左伝達プレート632の前部に連結されている。これにより、左ジョイント635は、左伝達プレート632に対して、左ジョイントステアリング回動軸を中心として回動可能である。
右ジョイント636は、中間ジョイント634よりも車体フレーム21の左右方向における右方に配置されている。右ジョイント636は、右ジョイントステアリング軸受部636aを有している。右ジョイントステアリング軸受部636aは、車体フレーム21の上下方向に延びる右ジョイントステアリング回動軸を規定している。右ジョイント636は、右ジョイントステアリング軸受部636aを介して右伝達プレート633の前部に連結されている。これにより、右ジョイント636は、右伝達プレート633に対して、右ジョイントステアリング回動軸を中心として回動可能である。
中間ジョイント634は、中間ジョイントリーニング軸受部634bを有している。中間ジョイントリーニング軸受部634bは、車体フレーム21の前後方向に延びる中間ジョイントリーニング回動軸を規定している。タイロッド637の中間部は、中間ジョイントリーニング軸受部634bと連結されている。タイロッド637の中間部は、中間ジョイントリーニング軸受部634bに対して、中間ジョイントリーニング回動軸を中心として回動可能である。
左ジョイント635は、左ジョイントリーニング軸受部635bを有している。左ジョイントリーニング軸受部635bは、車体フレーム21の前後方向に延びる左ジョイントリーニング回動軸を規定している。タイロッド637の左部は、左ジョイントリーニング軸受部635bと連結されている。タイロッド637の左部は、左ジョイントリーニング軸受部635bに対して、左ジョイントリーニング回動軸を中心として回動可能である。
右ジョイント636は、右ジョイントリーニング軸受部636bを有している。右ジョイントリーニング軸受部636bは、車体フレーム21の前後方向に延びる右ジョイントリーニング回動軸を規定している。タイロッド637の右部は、右ジョイントリーニング軸受部636bと連結されている。タイロッド637の右部は、右ジョイントリーニング軸受部636bに対して、右ジョイントリーニング回動軸を中心として回動可能である。
左伝達プレート632は、左ジョイント635、タイロッド637、および中間ジョイント634を介して、中間伝達プレート631と連結されている。右伝達プレート633は、右ジョイント636、タイロッド637、および中間ジョイント634を介して、中間伝達プレート631と連結されている。左伝達プレート632と右伝達プレート633は、左ジョイント635、タイロッド637、および右ジョイント636を介して、相互に連結されている。換言すると、タイロッド637は、中間伝達プレート631を左伝達プレート632と右伝達プレート633に連結している。
次に、図4を参照しつつ、リーン車両1のステアリング動作について説明する。図4は、左車輪31と右車輪32を左転舵させた状態におけるリーン車両1の前部を、車体フレーム21の上下方向における上方から見た平面図である。図4において、車体フレーム21は直立状態にある。図4を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。図4においては、破線で示されるフロントカバー221と二つのフロントフェンダ222を透視した状態を示している。
運転者がハンドルバー61を操作すると、ステアリングシャフト62は、中間ステアリング回動軸SIを中心としてヘッドパイプ211に対して回動する。図4に示す左転舵の場合、ステアリングシャフト62は、矢印LTの方向に回動する。中間伝達プレート631は、ヘッドパイプ211に対して、中間ステアリング回動軸SIを中心として矢印LTの方向へ回動する。
中間伝達プレート631の矢印LTの方向への回動に伴って、タイロッド637の中間ジョイント634は、中間伝達プレート631に対して、矢印RTの方向に回動する。これにより、タイロッド637は、その姿勢を維持したまま、車体フレーム21の左右方向における左方かつ車体フレーム21の前後方向における後方へ移動する。
上記のタイロッド637の移動に伴って、タイロッド637の左ジョイント635と右ジョイント636は、それぞれ左伝達プレート632と右伝達プレート633に対して矢印RTの方向に回動する。これにより、タイロッド637はその姿勢を維持したまま、左伝達プレート632と右伝達プレート633が、矢印LTの方向に回動する。
左伝達プレート632が矢印LTの方向に回動すると、左伝達プレート632に対して相対回動不能である左ブラケット71が、左サイド部材53に対して、左ステアリング回動軸SLを中心として、矢印LTの方向に回動する。
右伝達プレート633が矢印LTの方向に回動すると、右伝達プレート633に対して相対回動不能である右ブラケット81が、右サイド部材54に対して、右ステアリング回動軸SRを中心として、矢印LTの方向に回動する。
左ブラケット71が矢印LTの方向に回動すると、左ブラケット71に支持されている左緩衝装置72が、左サイド部材53に対して、左ステアリング回動軸SLを中心として、矢印Tの方向に回動する。左緩衝装置72が矢印Tの方向に回動すると、左車輪軸723を介して左緩衝装置72に支持されている左車輪31が、左サイド部材53に対して、左ステアリング回動軸SLを中心として、矢印LTの方向に回動する。このとき、左フェンダもまた左車輪31とともに矢印LTの方向に回動する。
右ブラケット81が矢印LTの方向に回動すると、右ブラケット81に支持されている右緩衝装置82が、右サイド部材54に対して、右ステアリング回動軸SRを中心として、矢印LTの方向に回動する。右緩衝装置82が矢印LTの方向に回動すると、右車輪軸823を介して右緩衝装置82に支持されている右車輪32が、右サイド部材54に対して、右ステアリング回動軸SRを中心として、矢印LTの方向に回動する。このとき、右フェンダもまた右車輪32とともに矢印LTの方向に回動する。
右転舵するように運転者がハンドルバー61を操作すると、上述した各要素は、左転舵時とは逆方向に回動する。各要素の動きは左右が逆になるのみであるため、詳細な説明は省略する。
すなわち、操舵力伝達機構63は、左懸架部7と右懸架部8を連結し、ハンドルバー61の回動に応じて左車輪31と右車輪32を当該回動の方向に回動させるように構成されている。
次に、図2と図5を参照しつつ、リーン車両1の傾斜動作について説明する。図5は、車体フレーム21がリーン車両1の左方に傾斜した状態におけるリーン車両1の前部を、車体フレーム21の前後方向における前方から見た正面図である。図5においては、破線で示されるフロントカバー221、二つのフロントフェンダ222、およびレッグシールド224を透視した状態を示している。
図2に示されるように、直立状態における車体フレーム21の前方からリーン車両1を見たとき、リンク機構5は長方形状をなしている。図5に示されるように、傾斜状態における車体フレーム21の前方からリーン車両1を見たとき、リンク機構5は平行四辺形状をなしている。リンク機構5の作動と車体フレーム21の左右方向への傾斜は連動する。「リンク機構5の作動」とは、上クロス部材51と下クロス部材52が、それぞれ上中間リーニング回動軸LUIと下中間リーニング回動軸LDIを中心としてヘッドパイプ211に対して回動し、上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53、および右サイド部材54が、それぞれ上左リーニング回動軸LUL、上右リーニング回動軸LUR、下左リーニング回動軸LDL、および下右リーニング回動軸LDRを中心として相対回動することにより、リンク機構5の形状が変化することを意味する。
例えば、図5に示されるように、運転者がリーン車両1を左方に傾斜させると、ヘッドパイプ211が鉛直方向に対して左方に傾斜する。ヘッドパイプ211が傾斜すると、上クロス部材51は、上中間リーニング軸受部211aを通る上中間リーニング回動軸LUIを中心として、ヘッドパイプ211に対して、リーン車両1の前方から見て反時計回りに回動する。同様に、下クロス部材52は、下中間リーニング軸受部211bを通る下中間リーニング回動軸LDIを中心として、ヘッドパイプ211に対して、リーン車両1の前方から見て反時計回りに回動する。これにより、上クロス部材51は、下クロス部材52に対して、車体フレーム21の左右方向における左方に移動する。
この移動により、上クロス部材51は、上左リーニング軸受部53aを通る上左リーニング回動軸LULと上右リーニング軸受部54aを通る上右リーニング回動軸LURを中心として、それぞれ左サイド部材53と右サイド部材54に対して、リーン車両1の前方から見て反時計回りに回動する。同様に、下クロス部材52は、下左リーニング軸受部53bを通る下左リーニング回動軸LDLと下右リーニング軸受部54bを通る下右リーニング回動軸LDRを中心として、それぞれ左サイド部材53と右サイド部材54に対して、リーン車両1の前方から見て反時計回りに回動する。これにより、左サイド部材53と右サイド部材54は、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま、鉛直方向に対してリーン車両1の左方に傾斜する。
このとき、下クロス部材52は、タイロッド637に対して、車体フレーム21の左右方向における左方に移動する。この移動により、タイロッド637は、中間ジョイント634、左ジョイント635、および右ジョイント636に対し、それぞれ中間ジョイントリーニング軸受部634b、左ジョイントリーニング軸受部635b、および右ジョイントリーニング軸受部636bを中心として回動する。これにより、タイロッド637は、上クロス部材51および下クロス部材52と平行な姿勢を保つ。
リーン車両1の左方への左サイド部材53の傾斜に伴い、左回動部材を介して左サイド部材53に支持されている左ブラケット71は、リーン車両1の左方に傾斜する。この傾斜に伴い、左ブラケット71に支持されている左緩衝装置72も、リーン車両1の左方に傾斜する。これにより、左緩衝装置72に支持されている左車輪31が、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま、リーン車両1の左方に傾斜する。
リーン車両1の左方への右サイド部材54の傾斜に伴い、右回動部材を介して右サイド部材54に支持されている右ブラケット81は、リーン車両1の左方に傾斜する。この傾斜に伴い、右ブラケット81に支持されている右緩衝装置82も、リーン車両1の左方に傾斜する。これにより、右緩衝装置82に支持されている右車輪32が、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま、リーン車両1の左方に傾斜する。
上記の左車輪31と右車輪32の傾斜動作に係る説明は、鉛直方向を基準としている。しかしながら、リーン車両1の傾斜動作時(リンク機構5の作動時)においては、車体フレーム21の上下方向と鉛直上下方向は一致しない。車体フレーム21の上下方向を基準とした場合、リンク機構5の作動時において、左車輪31と右車輪32は、車体フレーム21の上下方向における相対位置が変化している。換言すると、リンク機構5は、車体フレーム21の上下方向における左車輪31と右車輪32の相対位置を変更することにより、鉛直方向からリーン車両1の左方または右方に車体フレーム21を傾斜させる。これにより、リーン車両1は左方へ旋回する。
運転者がリーン車両1を右方に傾斜させると、各要素は右方に傾斜する。これにより、リーン車両1は右方へ旋回する。各要素の動きは左右が逆になるのみであるため、詳細な説明は省略する。
図6は、リーン車両1を左方へ傾斜させ、かつ左転舵させた状態におけるリーン車両1の前部を車体フレーム21の前後方向における前方から見た正面図である。図6においては、破線で示されるフロントカバー221と二つのフロントフェンダ222を透視した状態を示している。
操舵動作により、左車輪31は左ステアリング回動軸SLを中心として反時計回りに回動され、右車輪32は右ステアリング回動軸SRを中心として反時計回りに回動されている。傾斜動作により、左車輪31と右車輪32は、車体フレーム21とともにリーン車両1の左方に傾斜している。すなわち、この状態においては、リンク機構5は平行四辺形状を呈している。タイロッド637は、車体フレーム21の直立状態における位置から、車体フレーム21の左右方向における左方、かつ車体フレーム21の前後方向における後方に移動している。
図7に示されるように、リーン車両1は、緩衝規制機構91を備えている。緩衝規制機構91は、左緩衝装置72と右緩衝装置82の少なくとも一方の動作に対して付与される緩衝規制力を変更する機構である。緩衝規制機構91が左緩衝装置72と右緩衝装置82の少なくとも一方の動作に対して付与される抵抗力を増すと、当該左緩衝装置72と右緩衝装置82の少なくとも一方の緩衝能力が制限される。これにより、徐行時や停車時における車体の姿勢変化が抑制されうる。緩衝規制機構91は、第一抵抗力変更機構の一例である。左緩衝装置72と右緩衝装置82の少なくとも一方の動作に対して付与される緩衝規制力は、第一抵抗力の一例である。
緩衝規制機構91としては、左上テレスコピック要素721と左下テレスコピック要素722の相対変位、および右上テレスコピック要素821と右下テレスコピック要素822の相対変位の少なくとも一方を規制する機構が例示されうる。
例えば、内部に作動油と当該作動油用の通路を有することにより減衰力を発生させる機構の場合、当該通路を閉塞するか断面積を縮小することによって、上テレスコピック要素と下テレスコピック要素の相対変位を規制できる。
あるいは、ロッド部材とキャリパ装置を備える機構が採用されうる。この場合、ロッド部材は、上テレスコピック要素と下テレスコピック要素の一方に設けられ、両要素の相対変位の方向に沿って延びる。キャリパ装置は、上テレスコピック要素と下テレスコピック要素の他方に設けられ、ロッド部材を把持可能に構成される。適当なタイミングでキャリパ装置にロッド部材を把持させることにより、上テレスコピック要素と下テレスコピック要素の相対変位を規制できる。
リーン車両1は、パーキングブレーキ装置92を備えている。パーキングブレーキ装置92は、後輪4の回転に対して付与される制動力を変更する装置である。パーキングブレーキ装置92としては、周知のシュー式制動装置やキャリパ式制動装置が採用されうる。パーキングブレーキ装置92は、第二抵抗力変更機構の一例である。後輪4の回転に対して付与される制動力は、第二抵抗力の一例である。
リーン車両1は、連携装置93を備えている。連携装置93は、左緩衝装置72と右緩衝装置82の少なくとも一方に対して付与される緩衝規制力が増していく期間と後輪4に対して付与される制動力が増していく期間が少なくとも部分的に重なるように、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92を動作させる装置である。
連携装置93は、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の少なくとも一つについて作動条件が成立したかを判断し、上記のように緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92を動作させるマイクロコンピュータを含みうる。作動条件の例としては、リーン車両1の車速が所定値以下である状態が所定時間以上継続していること、パワーユニット24における内燃機関あるいはモータの回転数が所定値以下である状態が所定時間以上継続していることなどが挙げられる。
この場合、マイクロコンピュータは、プロセッサとメモリを備えている。プロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。プロセッサは、複数のプロセッサコアを含みうる。メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。ROMには、上記の処理を実行するプログラムが記憶されうる。当該プログラムは、人工知能プログラムを含みうる。人工知能プログラムの例としては、ディープラーニングによる学習済みニューラルネットワークが挙げられる。プロセッサは、ROMに記憶されたプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上記の処理を実行しうる。連携装置93は、ECUなどの制御装置として構成されてもよいし、ASICやFPGAなどの集積回路によって構成されてもよいし、マイクロコントローラと集積回路の組合せによって構成されてもよい。
図8の(A)は、連携装置93の動作の一例を示している。一点鎖線は、緩衝規制機構91により左緩衝装置72と右緩衝装置82の少なくとも一方に対して付与される緩衝規制力(抵抗力)F1の経時的変化を示している。実線は、パーキングブレーキ装置92により後輪4に対して付与される制動力(抵抗力)F2の経時的変化を示している。
具体的には、パーキングブレーキ装置92により後輪4に対して付与される制動力F2が時点t1において増加し始め、時点t2において所定の値(100%)に達する。他方、緩衝規制機構91により左緩衝装置72と右緩衝装置82の少なくとも一方に対して付与される緩衝規制力F1が時点t3において増加し始め、時点t4において所定の値(100%)に達する。本例においては、時点t3からt2の間において、緩衝規制力F1が増していく期間と制動力F2が増していく期間が重なっている。
本例においては、緩衝規制力F1と制動力F2の双方が線形的に増加している。しかしながら、緩衝規制力F1と制動力F2の少なくとも一方は、非線形的あるいは段階的に増加してもよい。
本願発明者は、良好な車体操作性を維持するためには、リーン車両1が停止するまでは左緩衝装置72と右緩衝装置82の少なくとも一方の動作に対する緩衝規制力F1が付与された状態を成立させないようにすればよいと考えた。そして、後輪4の回転に対して付与される制動力F2が増していく状態が成立していれば、リーン車両1が停止している状態、あるいは停止に準じた状態にある蓋然性が高いといえることに気づいた。
すなわち、上記のような構成を有するリーン車両1によれば、連携装置93が、左緩衝装置72と右緩衝装置82の少なくとも一方の動作に対する緩衝規制力F1が増していく期間と、後輪4に対する制動力F2が増していく期間が、少なくとも部分的に重なるように緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92を動作させる。これにより、リーン車両1が停止状態あるいは停止に準じた状態に至るタイミングと、左緩衝装置72と右緩衝装置82の少なくとも一方の緩衝動作が規制されるタイミングとの間の時間差を少なくできる。
したがって、傾斜可能な車体フレーム21と、その車体フレーム21の左右方向に並ぶように配置された左車輪31と右車輪32を備えているリーン車両1が移動している場合において、良好な車体操作性を維持できる。さらに連携装置93が設けられたことにより、リーン車両1を停止状態あるいは停止に準じた状態にさせる作業と、車体の姿勢変化を規制する作業とを別個に行う場合よりも利便性が高まる。
緩衝規制力F1の増加が完了する時点t4と制動力F2の増加が完了する時点t2は、緩衝規制力F1の増加期間と制動力F2の増加期間が少なくとも部分的に重なっていれば、適宜に定められうる。図8の(A)に示される例においては、連携装置93は、制動力F2の増加が完了した後に緩衝規制力F1の増加が完了するように、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92を動作させる。
このような構成によれば、リーン車両1が停止状態あるいは停止に準じた状態に至る前に左緩衝装置72と右緩衝装置82の緩衝動作が規制される事態を回避できる。
緩衝規制力F1の増加期間と制動力F2の増加期間が少なくとも部分的に重なっていれば、制動力F2の増加開始に先立って緩衝規制力F1の増加が開始されてもよい。
図9に示されるように、リーン車両1は、パーキングレバー94を備えうる。パーキングレバー94は、車体フレーム21の前後方向におけるレッグシールド224の後方に設けられたフットレスト部や、ハンドルバー61に配置されうる。前者の場合、パーキングレバー94は、運転者の足によって操作される。後者の場合、パーキングレバー94は、運転者の手によって操作される。パーキングレバー94が操作されることにより、パーキングブレーキ装置92が作動し、後輪4に対して制動力が付与される。パーキングレバー94は、操作部材の一例である。
パーキングレバー94とパーキングブレーキ装置92は、ワイヤによって機械的に接続されてもよいし、電気信号線によって電気的に接続されてもよい。前者の場合、パーキングレバー94を操作する力がワイヤによって機械的に伝達され、パーキングブレーキ装置92を作動させる。後者の場合、パーキングレバー94の操作によって出力される信号が電気信号線を通じてパーキングブレーキ装置92に入力され、パーキングブレーキ装置92に所定の制動動作を行なわせる。後者の場合、パーキングレバー94は、プッシュスイッチやダイヤルスイッチなどにより置き換えられうる。
この場合、連携装置93は、パーキングブレーキ装置92の作動を検出して図8の(A)に示される動作を緩衝規制機構91に行なわせるように構成されうる。このような構成は、上述のマイクロプロセッサにより実現されうる。パーキングブレーキ装置92の作動の検出は、パーキングブレーキ装置92を構成する要素の動きを検出することにより行なわれてもよいし、パーキングレバー94の操作を検出することにより行なわれてもよい。すなわち、連携装置93は、パーキングブレーキ装置92の動作に基づいて緩衝規制機構91を動作させるように構成されうる。
このような構成によれば、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の連携性を高めることができる。
図9に示されるように、リーン車両1は、緩衝規制レバー95を備えうる。緩衝規制レバー95は、車体フレーム21の前後方向におけるレッグシールド224の後方に設けられたフットレスト部や、ハンドルバー61に配置されうる。前者の場合、緩衝規制レバー95は、運転者の足によって操作される。後者の場合、緩衝規制レバー95は、運転者の手によって操作される。緩衝規制レバー95が操作されることにより、緩衝規制機構91が作動し、左緩衝装置72と右緩衝装置82の少なくとも一方に緩衝規制力が付与される。緩衝規制レバー95は、操作部材の一例である。
緩衝規制レバー95と緩衝規制機構91は、ワイヤによって機械的に接続されてもよいし、電気信号線によって電気的に接続されてもよい。前者の場合、緩衝規制レバー95を操作する力がワイヤによって機械的に伝達され、緩衝規制機構91を作動させる。後者の場合、緩衝規制レバー95の操作によって出力される信号が電気信号線を通じて緩衝規制機構91に入力され、緩衝規制機構91に所定の緩衝規制動作を行なわせる。後者の場合、緩衝規制レバー95は、プッシュスイッチやダイヤルスイッチなどにより置き換えられうる。
この場合、連携装置93は、緩衝規制機構91の作動を検出して図8の(A)を参照して説明した動作をパーキングブレーキ装置92に行なわせるように構成されうる。このような構成は、上述のマイクロプロセッサにより実現されうる。緩衝規制機構91の作動の検出は、緩衝規制機構91を構成する要素の動きを検出することにより行なわれてもよいし、緩衝規制レバー95の操作を検出することにより行なわれてもよい。すなわち、連携装置93は、緩衝規制機構91の動作に基づいてパーキングブレーキ装置92を動作させるように構成されうる。
このような構成によっても、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の連携性を高めることができる。
図10に示されるように、連携装置93は、分配装置931を含みうる。分配装置931は、パーキングレバー94の操作に応じて緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の双方を駆動する駆動力を発生する装置である。分配装置931は、駆動力発生装置の一例である。
パーキングレバー94の操作に応じて緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の双方を駆動しうる構成としては、以下に列挙する種々の組合せが可能である。いずれの例においても、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の作動を容易にできる。
例1:パーキングレバー94と分配装置931がワイヤで接続され、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の双方が分配装置931とワイヤで接続される。
例2:パーキングレバー94と分配装置931がワイヤで接続され、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の一方が分配装置931とワイヤで接続され、他方が分配装置931と電気信号線で接続される。
例3:パーキングレバー94と分配装置931がワイヤで接続され、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の双方が分配装置931と電気信号線で接続される。
例4:パーキングレバー94と分配装置931が電気信号線で接続され、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の双方が分配装置931とワイヤで接続される。
例5:パーキングレバー94と分配装置931が電気信号線で接続され、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の一方が分配装置931とワイヤで接続され、他方が分配装置931と電気信号線で接続される。
例6:パーキングレバー94と分配装置931が電気信号線で接続され、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の双方が分配装置931と電気信号線で接続される。
例1の場合、パーキングレバー94の操作力が、ワイヤを介して分配装置931へ機械的に伝達される。分配装置931において、当該操作力は、緩衝規制機構91を機械的に操作する力とパーキングブレーキ装置92を機械的に操作する力に分配され、ワイヤを介して緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の各々に伝達される。すなわち、連携装置93は、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92を繋ぐワイヤを含んでいる。このような構成によれば、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の連携性を高める効果が、簡易な構成で得られる。
例2と例3の場合、パーキングレバー94の操作力が、ワイヤを介して分配装置931へ機械的に伝達される。分配装置931は、当該操作力の入力をトリガとして緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の少なくとも一方へ電気信号を送出する装置として構成される。当該電気信号は、電気信号線を介して緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の少なくとも一方へ伝達される。緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の少なくとも一方は、当該電気信号の入力を受けて所定の緩衝規制力あるいは制動力を発生する機構として構成される。このような構成によれば、分配装置931のレイアウト自由度が高まる。
例4の場合、パーキングレバー94の操作に応じた電気信号が、電気信号線を介して分配装置931に入力される。分配装置931は、当該電気信号の入力をトリガとして緩衝規制機構91を機械的に操作する力とパーキングブレーキ装置92を機械的に操作する力を発生する装置として構成される。発生した力は、ワイヤを介して緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の各々に伝達される。このような構成によれば、パーキングレバー94のレイアウト自由度が高まる。
例5と例6の場合、パーキングレバー94の操作に応じた電気信号が、電気信号線を介して分配装置931に入力される。分配装置931は、当該電気信号の入力をトリガとして緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の少なくとも一方へ電気信号を送出する装置として構成される。当該電気信号は、電気信号線を介して緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の少なくとも一方へ伝達される。緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の少なくとも一方は、当該電気信号の入力を受けて所定の緩衝規制力あるいは制動力を発生する機構として構成される。このような構成によれば、パーキングレバー94と分配装置931のレイアウト自由度が高まる。
図11に示されるように、緩衝規制機構91は、左緩衝規制機構911と右緩衝規制機構912を含みうる。この場合、左緩衝規制機構911は、左緩衝装置72の動作に対して左緩衝規制力を付与する。右緩衝規制機構912は、右緩衝装置82の動作に対して右緩衝規制力を付与する。左緩衝規制力は、左抵抗力の一例である。右緩衝規制力は、右抵抗力の一例である。左緩衝規制力と右緩衝規制力を付与しうる構成例は、前述の通りである。
図8の(B)は、この場合における連携装置93の動作の一例を示している。一点鎖線は、左緩衝規制機構911により左緩衝装置72に対して付与される左緩衝規制力(抵抗力)F11の経時的変化を示している。二点鎖線は、右緩衝規制機構912により右緩衝装置82に対して付与される右緩衝規制力(抵抗力)F12の経時的変化を示している。
具体的には、左緩衝規制機構911により左緩衝装置72に対して付与される左緩衝規制力F11が時点t3において増加し始め、時点t4において所定の値(100%)に達する。他方、右緩衝規制機構912により右緩衝装置82に対して付与される右緩衝規制力F12が時点t5において増加し始め、時点t6において所定の値(100%)に達する。本例においては、時点t5からt4の間において、左緩衝規制力F11が増していく期間と右緩衝規制力F12が増していく期間が重なっている。
本例においては、左緩衝規制力F11と右緩衝規制力F12の双方が線形的に増加している。しかしながら、緩衝規制力F11と制動力F12の少なくとも一方は、非線形的あるいは段階的に増加してもよい。
図示の例の場合、連携装置93は、左緩衝装置72に左緩衝規制力F11を付与させる左操作力を、ワイヤを介して左緩衝規制機構911へ機械的に伝達するように構成されうる。さらに連携装置93は、左操作力の発生に伴って右緩衝装置82に右緩衝規制力F12を付与させる右操作力を発生させ、ワイヤを介して当該右操作力を右緩衝規制機構912へ機械的に伝達するように構成されうる。
あるいは、連携装置93は、まず右操作力を発生させ、右操作力の発生に伴って左操作力を発生させるように構成されうる。この場合、図8の(B)に示される左緩衝規制力F11と右緩衝規制力F12の時間的前後関係が逆となる。
このような構成によれば、左緩衝装置72の動作に対する左緩衝規制力F11を増加させる操作と右緩衝装置82の動作に対する右緩衝規制力F12を増加させる操作とを個別に行わせる場合に比べ、左緩衝規制力F11と右緩衝規制力F12を増加させることに要する期間を短くできる。
好ましくは、連携装置93は、左緩衝規制力F11と右緩衝規制力F12が同時に発生するように構成される。この場合、左緩衝規制力F11の経時変化と右緩衝規制力F12の経時変化は、図8の(A)に示される緩衝規制力F1の経時変化と一致する。このような連携装置93を実現するために、電気信号を通じて左緩衝規制機構911と右緩衝規制機構912を駆動してもよいし、図11に示される平衡装置932を設けてもよい。
平衡装置932を用いる場合、左緩衝規制機構911と右緩衝規制機構912の各々と平衡装置932の間は、ワイヤによって接続される。平衡装置932は、可動部分932aを備えている。左緩衝装置72と右緩衝装置82の状態によっては、左緩衝装置72と平衡装置932を接続するワイヤに加わる張力が、右緩衝装置82と平衡装置932を接続するワイヤに加わる張力と一致しない場合がある。そのような場合に可動部分932aが変位し、両張力の差異を機械的に減少させる。換言すると、平衡装置932は、左緩衝規制力F11と右緩衝規制力F12の差異を機械的に減少させる。
特に連携装置93が平衡装置932を含む構成の場合、左緩衝規制力F11と右緩衝規制力F12を増加させることに要する期間をさらに短くできるとともに、そのような効果が、簡易な構成で得られる。
パーキングブレーキ装置92と平衡装置932の間は、ワイヤで接続されうる。この場合、連携装置93は、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92を繋ぐワイヤを含む。このような構成によれば、緩衝規制機構91とパーキングブレーキ装置92の連携性を高める効果が、簡易な構成で得られる。
なお、上記の平衡装置932は、図10に示された構成における分配装置931と緩衝規制機構91の間に設けられてもよい。
上記の実施形態は、本開示の理解を容易にするための例示であり、本開示の内容を限定するものではない。上記の実施形態は、本開示の趣旨を逸脱することなく変更あるいは改良されうる。
上記の実施形態においては、パワーユニット24の動力源から後輪4へ駆動力が供給されている。これに加えてあるいは代えて、パワーユニット24の動力源からの駆動力は、左車輪31と右車輪32の少なくとも一方に供給されうる。
上記の実施形態においては、パーキングブレーキ装置92により生成される制動力は、後輪4に付与されている。これに加えてあるいは代えて、当該制動力は、左車輪31と右車輪32の少なくとも一方に付与されうる。
上記の実施形態においては、リーン車両1は、二つの前輪3と一つの後輪4を備えている。しかしながら、複数の後輪が設けられてもよい。
後輪4は、左車輪31と右車輪32よりも車体フレーム21の前後方向における後方に配置されている。後輪4に加えてあるいは代えて、左車輪31と右車輪32よりも車体フレーム21の前後方向における後方に配置された少なくとも一つの車輪が設けられうる。この場合、パワーユニット24の動力源からの駆動力は、左車輪31、右車輪32、および当該車輪の少なくとも一つへ供給されうる。この場合、パーキングブレーキ装置92により生成される制動力は、左車輪31、右車輪32、および当該車輪の少なくとも一つに付与されうる。
上記の実施形態において、ハンドルバー61は、車体フレームの左右方向に延びる単一の部材で構成されている。しかしながら、ハンドルバー61は、左車輪31および右車輪32を回動させる操舵力の入力が可能であれば、運転者の左手により操作される左ハンドル部と運転者の右手により操作される右ハンドル部が別体として設けられている構成が採用されうる。あるいは、ハンドルバー61は、ステアリングホイールや操縦桿のような形態とされうる。
上クロス部材51と下クロス部材52以外のクロス部材を備えている構成が採用されうる。「上クロス部材」と「下クロス部材」は、相対的な上下関係に基づいて命名しているに過ぎない。上クロス部材は、リンク機構5における最上位のクロス部材を意味していない。上クロス部材は、別のクロス部材よりも上方に位置しているクロス部材を意味する。下クロス部材は、リンク機構5における最下位のクロス部材を意味していない。下クロス部材は、別のクロス部材よりも下方に位置しているクロス部材を意味する。
上記の実施形態においては、リンク機構5は、いわゆる平行四節リンクを備えている。すなわち、上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53、および右サイド部材54は、上クロス部材51と下クロス部材52が相互に平行な姿勢を保ち、左サイド部材53と右サイド部材54が相互に平行な姿勢を保つように、車体フレーム21に支持されている。しかしながら、車体フレーム21に対する左車輪31と右車輪32の相対位置を変更して車体フレーム21をリーン車両1の左方または右方に傾斜させることができれば、いわゆるダブルウィッシュボーン方式のリンク機構も採用されうる。この場合、左車輪31および右車輪32の一方の車体フレーム21の上下方向への動きを反対方向の動きとして他方に伝えるための連動機構が必要である。また、左緩衝装置72と右緩衝装置82は、この連動機構に連結される。この場合、緩衝規制機構91により付与される抵抗力は、平行四節リンク方式のリンク機構と同様に、左緩衝装置72と右緩衝装置82に付与されうる。
本願明細書で用いられた用語および表現は、説明のために用いられたものであって、限定的に解釈するために用いられたものではない。本願明細書に示され、かつ述べられた特徴事項のいかなる均等物をも排除するものではなく、特許請求の範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されねばならない。
本願明細書で用いられている「平行」という語は、±40°の範囲で傾斜するが、部材としては交わらない2つの直線も含む意味である。本願明細書において方向や部材に関して用いられている「沿う」という語は、±40°の範囲で傾斜する場合も含む意味である。本願明細書で用いられている「方向に延びる」という語は、当該方向に対して±40°の範囲で傾斜する場合も含む意味である。
本願明細書において、ある部品あるいは部材が、「車体フレーム21に対して変位不能に配置されている」と説明されている場合、車体フレーム21がリーン車両1の左右方向に傾斜したときに、当該部品あるいは部材が車体フレーム21とともにリーン車両1の左右方向に傾斜することを意味する。本願明細書において用いられている「車体フレーム21に対して変位不能に配置されている」という表現は、ある部品あるいは部材が車体フレーム21に直接固定されているものだけでなく、車体フレーム21に固定された車両部品(燃料タンク、ブラケット、パワーユニット24など)に固定されるものを含む。ここで、「固定」とは、防振部材などを介して固定することを含む。
本願発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。本願明細書は、本願発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。本願明細書において記載と図示の少なくとも一方がなされた好ましい実施形態は、当該実施形態に本願発明が限定されることを意図するものではないという了解に基づいている。
本願発明は、本願明細書に開示された実施形態例に基づいて当業者によって認識されうる、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ)、改良、変更を含むあらゆる実施形態も包含する。請求項における限定事項はその請求項で用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本願明細書あるいは本願の権利化手続き中に記載された実施形態に限定されるべきではない。そのような実施形態は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、本願明細書において、「好ましくは」、「よい」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」「よいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。
1:リーン車両、21:車体フレーム、31:左車輪、32:右車輪、4:後輪、5:リンク機構、72:左緩衝装置、82:右緩衝装置、91:緩衝規制機構、911:左緩衝規制機構、912:右緩衝規制機構、92:パーキングブレーキ装置、93:連携装置、931:分配装置、932:平衡装置、94:パーキングレバー、95:緩衝規制レバー、F1:緩衝規制力、F11:左緩衝規制力、F12:右緩衝規制力、F2:制動力

Claims (7)

  1. リーン車両であって、
    車体フレームと、
    前記車体フレームの左右方向に並ぶように配置されている左車輪および右車輪と、
    前記左車輪および前記右車輪よりも前記車体フレームの前後方向における前方と後方の少なくとも一方に配置されている車輪と、
    前記車体フレームに対する前記左車輪および前記右車輪の相対位置を変更して前記車体フレームを前記リーン車両の左方または右方に傾斜させるリンク機構と、
    前記左車輪を支持し、前記リンク機構に対する前記左車輪の前記車体フレームの上下方向への変位を緩衝するように動作する左緩衝装置と、
    前記右車輪を支持し、前記リンク機構に対する前記右車輪の前記車体フレームの上下方向への変位を緩衝するように動作する右緩衝装置と、
    前記左緩衝装置と前記右緩衝装置の少なくとも一方の動作に対して付与される第一抵抗力を変更する第一抵抗力変更機構と、
    前記左車輪、前記右車輪、および前記車輪の少なくとも一つの回転に対して付与される第二抵抗力を変更する第二抵抗力変更機構と、
    前記第一抵抗力が増していく期間と前記第二抵抗力が増していく期間が、少なくとも部分的に重なるように前記第一抵抗力変更機構と前記第二抵抗力変更機構を動作させる連携装置と、
    を備えている、
    リーン車両。
  2. 前記連携装置は、前記第二抵抗力の増加が完了した後に前記第一抵抗力の増加が完了するように、前記第一抵抗力変更機構と前記第二抵抗力変更機構を動作させる、
    請求項1に記載のリーン車両。
  3. 運転者により操作される操作部材を備えており、
    前記連携装置は、前記操作部材の操作に応じて前記第一抵抗力変更機構と前記第二抵抗力変更機構の双方を駆動する駆動力を発生する駆動力発生装置を含んでいる、
    請求項1または2に記載のリーン車両。
  4. 前記第一抵抗力変更機構は、
    前記左緩衝装置の動作に対して左抵抗力を付与する左抵抗力変更機構と、
    前記右緩衝装置の動作に対して右抵抗力を付与する右抵抗力変更機構と、
    を含んでおり、
    前記連携装置は、前記左抵抗力が増加していく期間と前記右抵抗力が増加していく期間が少なくとも部分的に重なるように、前記左抵抗力変更機構と前記右抵抗力変更機構を動作させる、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のリーン車両。
  5. 前記連携装置は、前記左抵抗力と前記右抵抗力の差異を機械的に減少させる平衡装置を含んでいる、
    請求項4に記載のリーン車両。
  6. 前記連携装置は、前記第一抵抗力変更機構と前記第二抵抗力変更機構の一方の動作に基づいて前記第一抵抗力変更機構と前記第二抵抗力変更機構の他方を動作させる、
    請求項1から5のいずれか一項に記載のリーン車両。
  7. 前記連携装置は、前記第一抵抗力変更機構と前記第二抵抗力変更機構を繋ぐワイヤを含んでいる、
    請求項6に記載のリーン車両。
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