JP2019107762A - 枚葉フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記切断工程は、押切刃を、前記多層フィルムの第1表面から、前記多層フィルムの第2表面に接触するように配置された刃受板に到達するまで、前記多層フィルム内を進入させて、前記多層フィルムを切断する押切工程を含み、
前記刃受板は、押し込み弾性率が3.5×109Pa以下である、枚葉フィルムの製造方法。
前記切断部は、前記多層フィルムの第1表面から前記多層フィルムに進入可能に配置された押切刃と、前記多層フィルムの第2表面に接触するように配置され、前記多層フィルムに進入した前記押切刃を受け止め可能な刃受板と、を備え、
前記刃受板は、押し込み弾性率が3.5×109Pa以下である、枚葉フィルムの製造装置。
押切刃を、前記多層フィルムの第1表面から、前記多層フィルムの第2表面に接触するように配置された刃受板に到達するまで、前記多層フィルム内を進入させて、前記多層フィルムを切断する押切工程を含み、
前記刃受板は、押し込み弾性率が3.5×109Pa以下である、多層フィルムの切断方法。
本実施形態に係る枚葉フィルムの製造方法は、粘着剤層を有する多層フィルムを切断して、多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断工程を有する。切断工程は、押切刃を、多層フィルムの第1表面から、多層フィルムの第2表面に接触するように配置された刃受板に到達するまで、多層フィルム内を進入させて、多層フィルムを切断する押切工程を含む。
図1〜図3は、それぞれ、多層フィルムを切断して、多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断工程の一例を模式的に示す概略図である。図1〜図3において、点線は、切断工程における切断線を示す。図1に示す例では、長尺の多層フィルム10aを、刃先が直線状の押切刃を用いて、長手方向に直交する方向に切断して(図1(a))小片化された多層フィルム10bを得て(図1(b))、その後、小片化された多層フィルム10bを、刃先が直線状の押切刃を用いて、元の多層フィルム10aの長手方向に切断して(図1(b))、所望の大きさの枚葉フィルム11を得る(図1(c))。
図4は、押切刃を有する切断装置を模式的に示す概略図である。図4に示す切断装置20により、本実施形態に係る押切工程を実施することができる。切断装置20は、押切刃を有する押切刃部材21と、押切刃部材21の上下動を制御する制御部24と、上面に刃受板22が設けられている、多層フィルム10を載置する載置台23と、を備える。多層フィルム10は、刃受板22に接触するように載置台23上に載置される。載置台23上に載置された多層フィルム10において、刃受板22に接触する表面を第2表面102、第2表面102に対向する上側の表面を第1表面101とする。押切工程においては、押切刃部材21が下方に移動することにより、押切刃は、多層フィルム10の第1表面101から、刃受板22に到達するまで、多層フィルム10内を進入する。その後、押切刃部材21が上方に移動することにより、押切刃は、多層フィルム10から離間する。押切刃部材21のかかる上下動作により、多層フィルム10が切断される。
本実施形態に係る枚葉フィルムの製造方法は、上述の切断工程以外の工程を備えていてもよく、例えば、多層フィルムを製造する多層フィルム製造工程、ロール状に巻かれている多層フィルムを巻出す巻出し工程、多層フィルム又は枚葉フィルムを搬送する搬送工程、多層フィルム又は枚葉フィルムを乾燥する乾燥工程等が挙げられる。
多層フィルムは、粘着剤層を有するものであれば特に限定されない。多層フィルムは、例えば、光学積層フィルムである。光学積層フィルムの場合、微小な凹凸であっても外観上問題となりやすいからである。多層フィルムの厚みは、例えば、5〜3000μmであり、好ましくは100〜300μmである。多層フィルムの層構成は、切断工程で粘着剤層に汚れが付着しにくいように、粘着剤層が最表面に露出していない層構成であることが好ましい。
粘着剤層は、(メタ)アクリル系、ゴム系、ウレタン系、エステル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物で構成することができる。中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよい。
図9は、本実施形態に係る枚葉フィルムの製造方法で用いられる、又は製造される多層フィルムの具体的な層構成の一例を模式的に示す概略断面図である。多層フィルム10dは、偏光子(図9において図示せず)を含む偏光板100と、その一方の表面に積層されるプロテクトフィルム60と、他方の表面に積層される第1粘着剤層31と、第1粘着剤層31の外面に第1粘着剤層31を仮保護するための剥離可能なセパレートフィルム70が積層されている。一方、偏光板100におけるプロテクトフィルム60側の表面(プロテクトフィルム60が貼合される表面)及び第1粘着剤層31側の表面(第1粘着剤層31が貼合される表面)は、例えば保護フィルム、他の光学フィルム又はフィルム上に付加される層の表面であることができる。
偏光子は、その吸収軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、吸収軸に直交する(透過軸と平行な)振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有する吸収型の偏光子であり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させた偏光フィルムを好適に用いることができる。偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程;二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程;及び、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を含む方法によって製造できる。
偏光子の片面又は両面に積層することができる保護フィルムは、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂;アクリロニトリル・スチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリイミド系樹脂等からなるフィルムであることができる。中でも、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂を用いることが好ましい。なお本明細書において「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂及びメタクリル系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。その他の「(メタ)」を付した用語においても同様である。
偏光板100は、偏光子及び保護フィルム以外の他の光学フィルムを含むことができ、その代表例は輝度向上フィルム及び位相差フィルムである。偏光板100が他の光学フィルムを含む場合、プロテクトフィルム60は、この光学フィルムの表面に積層されてもよい。
第1粘着剤層31は、偏光板100の最表面に配置される粘着剤層であり、多層フィルムを画像表示素子(例えば液晶セル)や他の光学部材に貼合するために用いることができる。第1粘着剤層31の厚みは、1〜40μmであることができるが、偏光板100の薄膜化の観点、及び良好な加工性を保ちつつ偏光板100の寸法変化を抑制する観点から、3〜25μm(例えば3〜20μm、さらには3〜15μm)とすることが好ましい。第1粘着剤層31の材料は、上述の粘着剤層での説明がそのまま適用される。
セパレートフィルム70は、第1粘着剤層31を画像表示素子(例えば液晶セル)や他の光学部材に貼合するまでその表面を保護するために仮着されるフィルムである。セパレートフィルム70は通常、片面に離型処理が施された熱可塑性樹脂フィルムで構成され、その離型処理面が第1粘着剤層31に貼り合わされる。セパレートフィルム70を構成する熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンのようなポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル系樹脂等であることができる。第3粘着剤層32の表面にも、輝度向上フィルム50等の光学フィルムを貼合するまでその表面を仮着保護するために、上と同様のセパレートフィルムを貼着しておくことができる。セパレートフィルム70の厚みは、例えば10〜100μmである。第1粘着剤層31の前記貯蔵弾性率が0.15〜1MPaである場合に、この第1粘着剤層31に直接に接するセパレートフィルムの厚みが50μm以下であると、押切工程において、この第1粘着剤層31に微小な凹凸を生ずることが多くなることから、本発明の方法が好ましく適用される。
プロテクトフィルム60は、樹脂フィルム61と、その上に積層される非粘着性樹脂層62または第2粘着剤層62とで構成される。プロテクトフィルム60は、偏光板100の表面を保護するためのフィルムであり、通常、例えば画像表示素子や他の光学部材にプロテクトフィルム付偏光板が貼合された後にそれが有する非粘着性樹脂層62または第2粘着剤層62ごと剥離除去される。
本実施形態に係る枚葉フィルムの製造装置は、粘着剤層を有する多層フィルムを切断して、多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断部を有する。切断部は、前記多層フィルムの第1表面から多層フィルムに進入可能に配置された押切刃と、多層フィルムの第2表面に接触するように配置され、多層フィルムに進入した押切刃を受け止め可能な刃受板と、を備える。刃受板は、押し込み弾性率が3.5×109Pa以下である。切断部については、枚葉フィルムの製造方法における上述の切断装置の説明がそのまま適用される。多層フィルムについては、枚葉フィルムの製造方法における上述の多層フィルムの説明がそのまま適用される。
本実施形態に係る多層フィルムの切断方法は、押切刃を、多層フィルムの第1表面から、多層フィルムの第2表面に接触するように配置された刃受板に到達するまで、多層フィルム内を進入させて、多層フィルムを切断する押切工程を含む。刃受板は、押し込み弾性率が3.5×109Pa以下である。切断方法については、枚葉フィルムの製造方法における上述の切断工程の説明がそのまま適用される。
切断対象の多層フィルムとして、長辺の長さ300mm×短辺の長さ200mmの長方形のプロテクトフィルム付のシクロオレフィンポリマー(COP)偏光板(SRD341量産原反)を用いた。プロテクトフィルム付のCOP偏光板は、上から、プロテクトフィルム(58μm)、保護フィルムとしてのTACフィルム(25μm)、偏光子としてのPVAフィルム(25μm)、COPフィルム(23μm)、第1粘着剤層(20μm)、セパレートフィルムとしてのPETフィルム(38μm)が積層された構成となっている。プロテクトフィルムは、一方の面が粘着性であり、他方の面が非粘着性であり、粘着性の一方の面がTACフィルムに接して貼合されていた。
図5に示す切断刃部材21aを備えた、図4に示す切断装置を用いた。切断刃部材21aの切断刃211aとして、長手方向の長さが614mmのトムソン刃(株式会社荻野精機製作所社製)を用いた。刃受板22として、多層フィルムに接触する表面に表面層が積層されていないポリウレタンシート(タイガースポリマー株式会社製、タイプレン TR100−50、厚さ1mm)を用いた。刃受板22の押し込み弾性率を、下記の方法により測定したところ6.4×106Paであった。刃受板22の、多層フィルムに接触する表面のタック値を下記の方法により測定したところ、0.6Nであった。
押し込み弾性率は、微小硬さ試験機「H100SMC」(フィッシャーインストルメンツ社製)、圧子としては対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用い、押し込み試験初期の押し込み深さ−試験力カーブにおける傾きから導出した。測定における荷重増加速度は300mN/20秒とした。押し込み弾性率の数値が低いほど、軟質材料であることを示す。
材料表面の粘着性を示すタック性の評価は、JIS T 9233−3.8.6(2)三橋法に準じた装置を用いて試験を実施した。各実施例・比較例において、試験片として幅20mm、長さ100mmのものを1枚採取した。接着部円盤(直径50mm、厚さ14mm、アルミニウム製)の表面をヘキサンを用いて洗浄し、室温で30分乾燥させた。上記接着部円盤を、「ピクマタックテスター(II)型」(株式会社東洋精機製作所製)に装着し、試験装置により接着部円盤を下げ、試料と接触させた。室温(23℃)環境下において荷重800gfで30秒間接触させたのち、300mm/秒で引き上げた。接着部円盤と試料が離れる際に発生した力の最大値を、その測定におけるタック性の数値とし、試料位置を変えて同様の試験を5回行い、その平均値を求めた。数値が低いほど、粘着性が低く加工時における貼り付きが少ないことを示す。
プロテクトフィルム付のCOP偏光板を載置台23の上に刃受板22に接触するように載置した。このとき、プロテクトフィルムとしてのPETフィルム(58μm)が上側に、セパレートフィルムとしてのPETフィルム(38μm)が下側で刃受板22に接触する方向で載置した。そして、切断刃211aを、プロテクトフィルム付のCOP偏光板へ、プロテクトフィルムの表面での速度が6.6mm/sとなるように進入させて、吸収軸に直交する方向に切断してプロテクトフィルム付のCOP偏光板を2等分した。
8つのサンプルで切断試験を実施し、8つのサンプルについて2等分された切断片の表面の切断面近傍におけるスジ状の凹凸発生の有無を目視にて評価した。評価結果を表1に示す。
刃受板22として、実施例1とは異なるポリウレタンシート(タイガースポリマー株式会社製、タイプレン TR100−70、厚さ1mm)を用いた点以外は、実施例1と同様にして切断試験を行い、スジ状の凹凸発生の有無の評価を行った。評価結果を表1に示す。実施例2で用いた刃受板22の押し込み弾性率及び多層フィルムに接触する表面のタック値は表1に示す通りであった。
刃受板22として、実施例1と同じポリウレタンシートを基材として用い、さらに多層フィルムと接触する表面に表面層としてアクリルフィルム(住友化学株式会社製、テクノロイ S001、厚さ80μm)を接着剤を介して積層した積層板を用いた点以外は、実施例1と同様にして切断試験を行い、スジ状の凹凸発生の有無の評価を行った。評価結果を表1に示す。実施例3で用いた刃受板22の押し込み弾性率及び多層フィルムに接触する表面のタック値は表1に示す通りであった。
刃受板22として、実施例2と同じポリウレタンシートを基材として用い、さらに多層フィルムと接触する表面に表面層としてアクリルフィルム(住友化学株式会社製、テクノロイ S001、厚さ80μm)を接着剤を介して積層した積層板を用いた点以外は、実施例1と同様にして切断試験を行い、スジ状の凹凸発生の有無の評価を行った。評価結果を表1に示す。実施例4で用いた刃受板22の押し込み弾性率及び多層フィルムに接触する表面のタック値は表1に示す通りであった。
刃受板22として、ポリ塩化ビニルシート(住友ベークライト株式会社製、厚さ3000μm)を用いた点以外は、実施例1と同様にして切断試験を行い、スジ状の凹凸発生の有無の評価を行った。評価結果を表1に示す。比較例1で用いた刃受板22の押し込み弾性率及び多層フィルムに接触する表面のタック値は表1に示す通りであった。
Claims (11)
- 粘着剤層を有する多層フィルムを切断して、前記多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断工程を有する、枚葉フィルムの製造方法であって、
前記切断工程は、押切刃を、前記多層フィルムの第1表面から、前記多層フィルムの第2表面に接触するように配置された刃受板に到達するまで、前記多層フィルム内を進入させて、前記多層フィルムを切断する押切工程を含み、
前記刃受板は、押し込み弾性率が3.5×109Pa以下である、枚葉フィルムの製造方法。 - 前記刃受板は、押し込み弾性率が1.0×109Pa以下である、請求項1に記載の枚葉フィルムの製造方法。
- 前記刃受板は、前記多層フィルムの第2表面に接触する表面のタック値が0.1N以下である、請求項1又は2に記載の枚葉フィルムの製造方法。
- 前記多層フィルムは、偏光子を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の枚葉フィルムの製造方法。
- 粘着剤層を有する多層フィルムを切断して、前記多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断部を有する、枚葉フィルムの製造装置であって、
前記切断部は、前記多層フィルムの第1表面から前記多層フィルムに進入可能に配置された押切刃と、前記多層フィルムの第2表面に接触するように配置され、前記多層フィルムに進入した前記押切刃を受け止め可能な刃受板と、を備え、
前記刃受板は、押し込み弾性率が3.5×109Pa以下である、枚葉フィルムの製造装置。 - 前記刃受板は、押し込み弾性率が1.0×109Pa以下である、請求項5に記載の枚葉フィルムの製造装置。
- 前記刃受板は、前記多層フィルムの第2表面に接触する表面のタック値が0.1N以下である、請求項5又は6に記載の枚葉フィルムの製造装置。
- 粘着剤層を有する多層フィルムを切断する切断方法であって、
押切刃を、前記多層フィルムの第1表面から、前記多層フィルムの第2表面に接触するように配置された刃受板に到達するまで、前記多層フィルム内を進入させて、前記多層フィルムを切断する押切工程を含み、
前記刃受板は、押し込み弾性率が3.5×109Pa以下である、多層フィルムの切断方法。 - 前記刃受板は、押し込み弾性率が1.0×109Pa以下である、請求項8に記載の多層フィルムの切断方法。
- 前記刃受板は、前記多層フィルムの第2表面に接触する表面のタック値が0.1N以下である、請求項8又は9に記載の多層フィルムの切断方法。
- 前記多層フィルムは、偏光子を有する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の多層フィルムの切断方法。
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