JP2019107762A - 枚葉フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スジ状の微小な凹凸が生じることを抑制することができる、枚葉フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】粘着剤層を有する多層フィルムを切断して、前記多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断工程を有する、枚葉フィルムの製造方法であって、前記切断工程は、押切刃を、前記多層フィルムの第1表面から、前記多層フィルムの第2表面に接触するように配置された刃受板に到達するまで、前記多層フィルム内を進入させて、前記多層フィルムを切断する押切工程を含み、前記刃受板は、押し込み弾性率が3.5×109Pa以下である、枚葉フィルムの製造方法。【選択図】図4

Description

本発明は、粘着剤層を有する多層フィルムから枚葉フィルムを得る枚葉フィルムの製造方法に関し、製造装置、および当該多層フィルムの切断方法にも関する。
従来、偏光板等を含む多層フィルムを切断する方法の一つとして、押切刃を用いて切断する方法が知られている(例えば、特開2015−33727号公報(特許文献1))。特許文献1には、多層フィルムの切断に用いる押切刃として、刃先部の表面粗さが特定の数値範囲内にある押切刃を用いることにより、切断面のケバの発生を抑制できることが記載されている。
特開2015−33727号公報
特許文献1に記載されているように、押切刃を用いて多層フィルムを切断した際には、多層フィルムの表面の切断部近傍においてスジ状の微小な凹凸が生じる場合があった。スマートフォン等のモバイル機器用に多層フィルムを切断して枚葉フィルムを製造する場合には、枚葉フィルムの大きさが小さく、また表示される文字や模様が画面に合せて比較的小さいために至近距離から見られることとなって、微小な凹凸であっても目立ちやすく外観上の欠陥となりやすかった。本発明者らは、検討を進めて、このようなスジ状の微小な凹凸は、多層フィルムが粘着剤層を有する場合に生じやすいものであるとの知見を得た。そして、さらに鋭意検討を重ねて、このようなスジ状の微小な凹凸を抑制し得る方法を見出し本発明に至ったものである。
本発明は、スジ状の微小な凹凸が生じることを抑制することができる、枚葉フィルムの製造方法及び製造装置、並びに多層フィルムの切断方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す枚葉フィルムの製造方法及び製造装置、並びに多層フィルムの切断方法を提供する。
〔1〕 粘着剤層を有する多層フィルムを切断して、前記多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断工程を有する、枚葉フィルムの製造方法であって、
前記切断工程は、押切刃を、前記多層フィルムの第1表面から、前記多層フィルムの第2表面に接触するように配置された刃受板に到達するまで、前記多層フィルム内を進入させて、前記多層フィルムを切断する押切工程を含み、
前記刃受板は、押し込み弾性率が3.5×10Pa以下である、枚葉フィルムの製造方法。
〔2〕 前記刃受板は、押し込み弾性率が1.0×10Pa以下である、[1]に記載の枚葉フィルムの製造方法。
〔3〕 前記刃受板は、前記多層フィルムの第2表面に接触する表面のタック値が0.1N以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の枚葉フィルムの製造方法。
〔4〕 前記多層フィルムは、偏光子を有する、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の枚葉フィルムの製造方法。
〔5〕 粘着剤層を有する多層フィルムを切断して、前記多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断部を有する、枚葉フィルムの製造装置であって、
前記切断部は、前記多層フィルムの第1表面から前記多層フィルムに進入可能に配置された押切刃と、前記多層フィルムの第2表面に接触するように配置され、前記多層フィルムに進入した前記押切刃を受け止め可能な刃受板と、を備え、
前記刃受板は、押し込み弾性率が3.5×10Pa以下である、枚葉フィルムの製造装置。
〔6〕 前記刃受板は、押し込み弾性率が1.0×10Pa以下である、〔5〕に記載の枚葉フィルムの製造装置。
〔7〕 前記刃受板は、前記多層フィルムの第2表面に接触する表面のタック値が0.1N以下である、〔5〕又は〔6〕に記載の枚葉フィルムの製造装置。
〔8〕 粘着剤層を有する多層フィルムを切断する切断方法であって、
押切刃を、前記多層フィルムの第1表面から、前記多層フィルムの第2表面に接触するように配置された刃受板に到達するまで、前記多層フィルム内を進入させて、前記多層フィルムを切断する押切工程を含み、
前記刃受板は、押し込み弾性率が3.5×10Pa以下である、多層フィルムの切断方法。
〔9〕 前記刃受板は、押し込み弾性率が1.0×10Pa以下である、〔5〕に記載の多層フィルムの切断方法。
〔10〕 前記刃受板は、前記多層フィルムの第2表面に接触する表面のタック値が0.1N以下である、〔8〕又は〔9〕に記載の多層フィルムの切断方法。
〔11〕 前記多層フィルムは、偏光子を有する、〔8〕〜〔10〕のいずれかに記載の多層フィルムの切断方法。
本発明によると、スジ状の微小な凹凸が生じることを抑制することができる、枚葉フィルムの製造方法及び製造装置、並びに多層フィルムの切断方法を提供することができる。
多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断工程の一例を模式的に示す概略図である。 多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断工程の一例を模式的に示す概略図である。 多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断工程の一例を模式的に示す概略図である。 押切刃を有する切断装置を模式的に示す断面図である。 押切刃部材の一例を示す(a)断面図、(b)下面からの斜方視図、(c)下面図である。 押切刃による切断動作を模式的に示す図である。 押切刃部材の図5とは異なる一例を示す下面図である。 多層フィルム表面の切断面近傍に生じるスジ状の微小な凹凸を示すイメージ図である。 多層フィルムの具体的な層構成の一例を模式的に示す概略断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の全ての図面においては、各構成要素を理解しやすくするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
[枚葉フィルムの製造方法]
本実施形態に係る枚葉フィルムの製造方法は、粘着剤層を有する多層フィルムを切断して、多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断工程を有する。切断工程は、押切刃を、多層フィルムの第1表面から、多層フィルムの第2表面に接触するように配置された刃受板に到達するまで、多層フィルム内を進入させて、多層フィルムを切断する押切工程を含む。
<切断工程>
図1〜図3は、それぞれ、多層フィルムを切断して、多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断工程の一例を模式的に示す概略図である。図1〜図3において、点線は、切断工程における切断線を示す。図1に示す例では、長尺の多層フィルム10aを、刃先が直線状の押切刃を用いて、長手方向に直交する方向に切断して(図1(a))小片化された多層フィルム10bを得て(図1(b))、その後、小片化された多層フィルム10bを、刃先が直線状の押切刃を用いて、元の多層フィルム10aの長手方向に切断して(図1(b))、所望の大きさの枚葉フィルム11を得る(図1(c))。
図2に示す例では、長尺の多層フィルム10aを型状の押切刃で打ち抜いて切断して(図2(a))、所望の大きさの枚葉フィルム11を得る(図2(b))。
図3に示す例では、長尺の多層フィルム10aを、刃先が直線状の押切刃を用いて、長手方向に直交する方向に切断して(図3(a))小片化された多層フィルム10cを得て(図3(b))、その後、型状の押切刃で打ち抜いて所望の大きさの枚葉フィルム11を得る(図3(c))。
図1〜図3に示す切断工程の切断の方向は、特に限定されるものではなく、配向特性を有する多層フィルムを切断する場合には、所望の配向特性を有する枚葉フィルム11が得られるように切断の方向を決定する。
図1〜図3に示す各例では、1回又は複数回の切断を経て、多層フィルムから1枚又は複数枚の枚葉フィルムが得られる。切断工程における切断の回数は限定されない。また、上記では、切断工程における全ての切断が押切工程である場合について説明したが、いずれかの切断が押切工程であれば限定されることはなく、押切工程以外にも、レーザー光による切断、丸刃の回転による切断、等を含む切断工程であってもよい。すなわち、得られる枚葉フィルムが、押切工程による切断面を含むものであればよい。押切工程によると、多層フィルムの表面の切断部近傍においてスジ状の微小な凹凸が生じやすいものの、本実施形態においては、全ての切断が押切工程であっても、このようなスジ状の微小な凹凸の発生を抑制することができる。
<押切工程>
図4は、押切刃を有する切断装置を模式的に示す概略図である。図4に示す切断装置20により、本実施形態に係る押切工程を実施することができる。切断装置20は、押切刃を有する押切刃部材21と、押切刃部材21の上下動を制御する制御部24と、上面に刃受板22が設けられている、多層フィルム10を載置する載置台23と、を備える。多層フィルム10は、刃受板22に接触するように載置台23上に載置される。載置台23上に載置された多層フィルム10において、刃受板22に接触する表面を第2表面102、第2表面102に対向する上側の表面を第1表面101とする。押切工程においては、押切刃部材21が下方に移動することにより、押切刃は、多層フィルム10の第1表面101から、刃受板22に到達するまで、多層フィルム10内を進入する。その後、押切刃部材21が上方に移動することにより、押切刃は、多層フィルム10から離間する。押切刃部材21のかかる上下動作により、多層フィルム10が切断される。
図5(a)は、図4に示す押切刃部材21の一例である押切刃部材21aを詳細に示す断面図である。図5(b)は、押切刃部材21aの下面からの斜方視図を示し、図5(b)のa−a断面図が図5(a)に相当する。図5(c)は、押切刃部材21aの下面図を示す。押切刃部材21aは、直線状の刃先部を有する押切刃211aと、押切刃211aを保持する保持部213aと、保持部213aの下面に配置された弾性体212aとを備える。弾性体212aの最下面は、押切刃211aの刃先部と同じか押切刃211aの刃先部より下方に位置する。
図6(a)〜(c)は、図5(a)〜(c)に示す押切刃部材21aを備える切断装置により、多層フィルム10を切断する際の、押切刃211aによる切断動作を模式的に示す図である。切断動作は、押切刃部材21aが下方に移動して(図6(a))、押切刃部材21aの弾性体212aの最下面が多層フィルム10の第1表面101に接触する(図6(b))。その後、さらに押切刃部材21aが下方に移動することにより、弾性体212aが多層フィルム10の第1表面101上で収縮し、切断刃211aのみが、多層フィルム10の第1表面101から多層フィルム10内に進入し、刃受板22に到達するまで進入をつづける(図6(c))。切断刃211aが刃受板22に到達すると、押切刃部材21の移動方向が上方向に切り替えられて、切断刃211aが多層フィルム10から引き抜かれる。以上の切断動作により、多層フィルム10が積層方向に切断される。
切断刃部材21aが備える押切刃211aは、図5(a)〜(c)に示すような多層フィルム10を直線状に切断可能な押切刃に限定されることはなく、所望の切断が可能となるように設計することができる。多層フィルム10から矩形の枚葉フィルムを打ち抜くことが可能な型状の押切刃であってもよい。型状の押切刃を備えた押切刃部材の一例について、その下面図を図7に示す。図7に示す押切刃部材21bは、押切刃211b、保持部材及び弾性体212bを備え、押切刃211bの形状が異なる点以外は、図5に示す押切刃部材21aと同様の構成であり、同様の方法により多層フィルム10を切断することができる。
押切刃21a,21bとしては、トムソン刃が好ましく用いられる。トムソン刃は、表面に樹脂加工が施されているものであってもよい。弾性体212a,212bは、多層体の表面で収縮可能であり、切断時に刃受板22とともに多層体10を挟み込んで多層体を固定することができるものであれば限定されることはなく、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、多孔質体のスポンジ等が好ましく用いられる。
本実施形態に係る切断装置において、載置台23上に載置されて、多層フィルム10の第2表面102と接触する刃受板22は、押し込み弾性率が3.5×10Pa以下であり、1.0×10Pa以下であることが好ましく、5.0×10Pa以下であることがより好ましく、5.0×10Pa以下がさらに好ましい。刃受板22の押し込み弾性率がかかる数値範囲であることにより、多層フィルム10の表面の切断面近傍に生じるスジ状の微小な凹凸を抑制することができる。また、刃受板22は、押し込み弾性率が1.0×10Pa以上であることが好ましい。刃受板22の押し込み弾性率が低すぎると、切断時に多層フィルム10が大きく変形することになり、きれいな切断面を得ることが困難となるからである。本明細書で規定する押し込み弾性率は、微小硬さ試験機「H100SMC」(フィッシャーインストルメンツ社製)、圧子としては対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子にて測定した値とする。
刃受板22は、押し込み弾性率が3.5×10Pa以下であれば特に限定されないが、押し込み弾性率が上記数値範囲内の刃受板22を構成しやすい観点から、ポリウレタンゴムシート、シリコーンゴムシート、多孔質体のスポンジ等を用いた刃受板22が好ましい。また、切断後の多層フィルム10を剥離しやすい観点から、刃受板22は、多層フィルム10と接触する表面のタック値が0.1N以下であることが好ましい。通常、タック値は、0.001N以上である。本明細書で規定するタック値は、JIS T 9233に記載の方法に準じてピクマタック試験(荷重800gf、接触時間30秒、引き上げ速度300mm/分、温度23℃)を行って測定した値とする。
刃受板22は、多層フィルム10と接触する表面に、所望のタック値となるように調整可能な表面層を有する積層構造のものであってもよい。このような表面層としては、アクリルフィルム、セルロースアセテートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム等が例示される。表面層の厚みは特に限定されないが、例えば40〜80μmであり、好ましくは60〜100μmである。
刃受板22の表面積は特に限定されないが、切断対象の多層フィルム10の表面積より大きい方が好ましい。刃受板22の厚みは、押切刃が容易に貫通しない厚さであれば特に限定されないが、例えば、0.5〜5mmであり、好ましくは0.6〜3mmである。
<その他の工程>
本実施形態に係る枚葉フィルムの製造方法は、上述の切断工程以外の工程を備えていてもよく、例えば、多層フィルムを製造する多層フィルム製造工程、ロール状に巻かれている多層フィルムを巻出す巻出し工程、多層フィルム又は枚葉フィルムを搬送する搬送工程、多層フィルム又は枚葉フィルムを乾燥する乾燥工程等が挙げられる。
<多層フィルム>
多層フィルムは、粘着剤層を有するものであれば特に限定されない。多層フィルムは、例えば、光学積層フィルムである。光学積層フィルムの場合、微小な凹凸であっても外観上問題となりやすいからである。多層フィルムの厚みは、例えば、5〜3000μmであり、好ましくは100〜300μmである。多層フィルムの層構成は、切断工程で粘着剤層に汚れが付着しにくいように、粘着剤層が最表面に露出していない層構成であることが好ましい。
多層フィルムが粘着剤層を有する場合、押切刃を用いて切断すると、多層フィルムの表面の切断面近傍にスジ状の微小な凹凸が生じやすいが、本実施形態の枚葉フィルムの製造方法によると、このような微小な凹凸の発生を抑制することができる。微小な凹凸は、より具体的には、切断面に略平行な方向に延在するスジ状の凸条であることが多く、刃受板に接する第2表面に生じることが多い。微小な凹凸が発生するメカニズムは明らかではないが、考え得る一つのメカニズムとして、押切刃の進入により、各層に異なるズリ応力が生じ、粘着剤層に接する二つの層に作用するズリ応力の違いに起因して粘着剤層が局所的に変形することが挙げられる。このような局所的な変形は、粘着剤層が他の層と比較して軟らかいことに起因していると推測される。
図8は、多層フィルムの表面の切断面近傍に生じるスジ状の微小な凹凸を示すイメージ図である。図8を用いて説明する微小な凹凸の発生のメカニズムは、考え得る一つのメカニズムであり、本実施形態の枚葉フィルムの製造方法により抑制される微小な凹凸は、このようなメカニズムにより発生する凹凸に限定されず、また図8に模式的に示される微小な凹凸に限定されない。図8において、切断対象の多層フィルム10として、層101、粘着剤層102、層103からなる多層フィルムを想定する。多層フィルム10に、押切刃211を進入させると、各層に異なるズリ応力が生じ、粘着剤層102は、これに隣接する層101及び層103より軟らかいため、二つの層101,103に作用するズリ応力の違いに起因して粘着剤層102の切断面の近傍の局所がわずかに隆起し凸条102aを形成する。粘着剤層102の凸条102aに起因して、粘着剤層102に隣接する層103もわずかに隆起し凸条103aを形成する場合がある。このようにして、粘着剤層102に形成される凸条102a及び層103に形成される凸条103aが、外観上視認されるスジ状の凹凸の原因となる。
(粘着剤層)
粘着剤層は、(メタ)アクリル系、ゴム系、ウレタン系、エステル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物で構成することができる。中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよい。
粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上をモノマーとする重合体又は共重合体が好適に用いられる。ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、通常は架橋剤をさらに含有する。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの;ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの;ポリエポキシ化合物やポリオールであって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの;ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線の照射を受けて硬化する性質を有しており、活性エネルギー線照射前においても粘着性を有してフィルム等の被着体に密着させることができ、活性エネルギー線の照射によって硬化して密着力の調整ができる性質を有する粘着剤組成物である。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、紫外線硬化型であることが好ましい。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、ベースポリマー、架橋剤に加えて、活性エネルギー線重合性化合物をさらに含有する。さらに必要に応じて、光重合開始剤や光増感剤等を含有させることもある。
粘着剤組成物は、光散乱性を付与するための微粒子、ビーズ(樹脂ビーズ、ガラスビーズ等)、ガラス繊維、ベースポリマー以外の樹脂、粘着性付与剤、充填剤(金属粉やその他の無機粉末等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、着色剤、消泡剤、腐食防止剤、光重合開始剤等の添加剤を含むことができる。
上記粘着剤組成物の有機溶剤希釈液を基材上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を用いた場合は、形成された粘着剤層に、活性エネルギー線を照射することにより所望の硬化度を有する硬化物とすることができる。
粘着剤層の厚みは、例えば、1〜40μmであることができる。粘着剤層の厚みが1〜40μmである場合、押切工程によりスジ状の微小な凹凸が生じやすいが、本実施形態の枚葉フィルムの製造方法によると、粘着剤層の厚みが1〜40μmであっても、スジ状の微小な凹凸の発生を抑制することができる。
粘着剤層は、温度20℃、角周波数1,000ラジアン/秒で0.15〜1MPaの貯蔵弾性率を示すものであることができる。粘着剤層が、このような貯蔵弾性率である場合、他の層と比較して軟らかいことが多く微小な凹凸が生じやすいが、本実施形態の枚葉フィルムの製造方法によると、粘着剤層の温度20℃における貯蔵弾性率が0.15〜1MPaであっても、微小な凹凸の発生を抑制することができる。また、本実施形態の多層フィルムが複数の粘着剤層を有する場合、貯蔵弾性率が小さい方の粘着剤層において、微小な凹凸がより発生しやすい傾向がある。本実施形態の枚葉フィルムの製造方法によると、複数の粘着剤層を有する場合であっても、全ての粘着剤層における微小な凹凸の発生を抑制することができる。
粘着剤層の貯蔵弾性率は、市販の粘弾性測定装置、例えば、REOMETRIC社製の粘弾性測定装置「DYNAMIC ANALYZER RDA II」を用いて測定することができる。
貯蔵弾性率を上記範囲に調整するための方法としては、ベースポリマー、あるいはさらに架橋剤を含む粘着剤組成物に、オリゴマー、具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーをさらに添加して活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(好ましくは紫外線硬化型粘着剤組成物)とすることが挙げられる。より好ましくは、活性エネルギー線を照射して粘着剤層を適度に硬化させる。
(多層フィルムの層構成例)
図9は、本実施形態に係る枚葉フィルムの製造方法で用いられる、又は製造される多層フィルムの具体的な層構成の一例を模式的に示す概略断面図である。多層フィルム10dは、偏光子(図9において図示せず)を含む偏光板100と、その一方の表面に積層されるプロテクトフィルム60と、他方の表面に積層される第1粘着剤層31と、第1粘着剤層31の外面に第1粘着剤層31を仮保護するための剥離可能なセパレートフィルム70が積層されている。一方、偏光板100におけるプロテクトフィルム60側の表面(プロテクトフィルム60が貼合される表面)及び第1粘着剤層31側の表面(第1粘着剤層31が貼合される表面)は、例えば保護フィルム、他の光学フィルム又はフィルム上に付加される層の表面であることができる。
プロテクトフィルム60は、一方の面が粘着性であり、他方の面が非粘着性であり、粘着性である一方の面で偏光板100に貼合して積層してもよい。このようなプロテクトフィルム60としては、いわゆる自己粘着性プロテクトフィルムが挙げられる。自己粘着性プロテクトフィルムは、例えば非粘着性の樹脂からなる非粘着性樹脂層61と、自己粘着性の樹脂からなる粘着性樹脂層62とからなる樹脂フィルムである。自己粘着性プロテクトフィルムとしては、例えば「トレテック」(東レフィルム加工(株))などが挙げられる。また、樹脂フィルム(基材フィルム)61と、その上に積層される第2粘着剤層62とで構成され、この粘着剤層を介して偏光板100に貼合積層されるプロテクトフィルムも挙げられる。プロテクトフィルム60が第2粘着剤層62を有する場合、通常、その上記貯蔵弾性率は、第1粘着剤層の上記貯蔵弾性率よりも大きい。
偏光板100は、少なくとも偏光子及び第1粘着剤層31を含む偏光素子であり、通常は偏光子の片面又は両面に貼合される保護フィルムをさらに含む。偏光板100は、保護フィルムに加えて、偏光子とは異なる光学機能を有するフィルムのような他の光学フィルムや、光学層のようなフィルム上に付加される層を含むこともできる。保護フィルムを含む各種光学フィルムは、接着剤層又は粘着剤層を介して貼合することができる。偏光板100は、粘着剤層を含むものであっても含まないものであってもよい。
偏光板100の厚みは、通常20〜200μmであり、好ましくは30〜150μmであり、より好ましくは40〜120μmであり、さらに好ましくは50〜100μmである。
多層フィルム10dは、フィルムロールから連続的に巻き出されて搬送される原料フィルムに対し、同様にフィルムロールから連続的に巻き出される他の原料フィルムを積層し、得られた長尺状の積層フィルムをロール状に巻き取る、いわゆるロール・トゥ・ロール方式により作製されたものであっても、これをさらに切断して得られた多層フィルムであってもよい。本実施形態に係る枚葉フィルムの製造方法では、切断工程において多層フィルム10dを切断して、枚葉フィルムを製造する。
多層フィルム10dは、粘着剤層として、第1粘着剤層31と第2粘着剤層62をともに含む場合、剥離可能なセパレートフィルム70が積層されている第1粘着剤層31の方が、通常、押切工程において微小な凹凸を生じさせやすい。これは、ズリ応力の作用によって、セパレートフィルム70が一度剥離あるいはズレを生じ、粘着剤層の変位が固定化されてしまうことに起因している可能性があると考える。
多層フィルム10dを、図4に示す切断装置により切断する際には、プロテクトフィルム60側を第1表面とし、セパレートフィルム70側を第2表面として、セパレートフィルム70が刃受板22に接触するように載置台23上に載置して切断してもよいし、セパレートフィルム70側を第1表面とし、プロテクトフィルム60側を第2表面として、プロテクトフィルム60を構成する樹脂フィルム61が刃受板22に接触するように載置台23上に載置して切断してもよい。本実施形態の枚葉フィルムの製造方法によると、いずれの向きに多層フィルム10dを載置した場合であっても、押切工程によるスジ状の微小な凹凸の発生を抑制することができる。
未切断の多層フィルム10dの形状は特に限定されないが、典型的には長尺(帯状)である。未切断の多層フィルム10dの長尺方向の長さ及び幅方向の長さは特に制限されないが、通常、多層フィルム10dの長尺方向の長さは100m〜20000mであり、幅方向の長さは1000mm〜1500mmである。なお、多層フィルム10dを小片の多層フィルム10dに切断した後に、押切工程に供してもよい。この場合、小片の多層フィルム10dの形状は特に制限されないが、長辺と短辺とを有する方形形状を有することが好ましく、典型的には長方形である。長辺及び短辺の長さは特に制限されないが、例えば、長辺の長さは900mm以下であり、短辺の長さは800mm以下である。
枚葉フィルムのサイズ、形状及び切り出し角度は特に制限されない。枚葉フィルムは、好ましくは方形形状であり、より好ましくは長辺と短辺とを有する方形形状である。この方形形状は好ましくは長方形である。枚葉フィルムが長方形である場合において、長辺の長さは、例えば50mm〜300mmであり、好ましくは70mm〜200mmである。短辺の長さは、例えば30mm〜200mmであり、好ましくは40mm〜100mmである。押切工程において切断面近傍の枚葉フィルムの表面に生じる微小な凹凸は、枚葉フィルムのサイズが小さいほど目立ちやすく外観上の欠陥となりやすいが、本実施形態の枚葉フィルムの製造方法によると、枚葉フィルムのサイズが小さい場合であっても、微小な凹凸が生じるのを防ぐことができる。
(1)偏光子
偏光子は、その吸収軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、吸収軸に直交する(透過軸と平行な)振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有する吸収型の偏光子であり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させた偏光フィルムを好適に用いることができる。偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程;二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程;及び、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を含む方法によって製造できる。
偏光子の厚みは50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがさらに好ましい。偏光子の厚みを30μm以下とすることは、偏光板100、ひいては画像表示装置の薄型化に有利である。偏光子の厚みは通常、2μm以上(例えば5μm以上)である。
(2)保護フィルム
偏光子の片面又は両面に積層することができる保護フィルムは、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂;アクリロニトリル・スチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリイミド系樹脂等からなるフィルムであることができる。中でも、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂を用いることが好ましい。なお本明細書において「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂及びメタクリル系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。その他の「(メタ)」を付した用語においても同様である。
保護フィルムの厚みは、通常1〜100μmであるが、強度や取扱性等の観点から5〜60μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。
保護フィルムの少なくともいずれか一方は、その外面(偏光子とは反対側の面)に、ハードコート層、防眩層、光拡散層、位相差層(1/4波長の位相差値を持つ位相差層等)、反射防止層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)又は光学層を備えるものであってもよい。
保護フィルムは、例えば接着剤層を介して偏光子に貼合することができる。接着剤層を形成する接着剤としては、水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤、又は熱硬化性接着剤を用いることができ、好ましくは水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤である。
(3)他の光学フィルム
偏光板100は、偏光子及び保護フィルム以外の他の光学フィルムを含むことができ、その代表例は輝度向上フィルム及び位相差フィルムである。偏光板100が他の光学フィルムを含む場合、プロテクトフィルム60は、この光学フィルムの表面に積層されてもよい。
(4)第1粘着剤層
第1粘着剤層31は、偏光板100の最表面に配置される粘着剤層であり、多層フィルムを画像表示素子(例えば液晶セル)や他の光学部材に貼合するために用いることができる。第1粘着剤層31の厚みは、1〜40μmであることができるが、偏光板100の薄膜化の観点、及び良好な加工性を保ちつつ偏光板100の寸法変化を抑制する観点から、3〜25μm(例えば3〜20μm、さらには3〜15μm)とすることが好ましい。第1粘着剤層31の材料は、上述の粘着剤層での説明がそのまま適用される。
(5)セパレートフィルム
セパレートフィルム70は、第1粘着剤層31を画像表示素子(例えば液晶セル)や他の光学部材に貼合するまでその表面を保護するために仮着されるフィルムである。セパレートフィルム70は通常、片面に離型処理が施された熱可塑性樹脂フィルムで構成され、その離型処理面が第1粘着剤層31に貼り合わされる。セパレートフィルム70を構成する熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンのようなポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル系樹脂等であることができる。第3粘着剤層32の表面にも、輝度向上フィルム50等の光学フィルムを貼合するまでその表面を仮着保護するために、上と同様のセパレートフィルムを貼着しておくことができる。セパレートフィルム70の厚みは、例えば10〜100μmである。第1粘着剤層31の前記貯蔵弾性率が0.15〜1MPaである場合に、この第1粘着剤層31に直接に接するセパレートフィルムの厚みが50μm以下であると、押切工程において、この第1粘着剤層31に微小な凹凸を生ずることが多くなることから、本発明の方法が好ましく適用される。
(6)プロテクトフィルム
プロテクトフィルム60は、樹脂フィルム61と、その上に積層される非粘着性樹脂層62または第2粘着剤層62とで構成される。プロテクトフィルム60は、偏光板100の表面を保護するためのフィルムであり、通常、例えば画像表示素子や他の光学部材にプロテクトフィルム付偏光板が貼合された後にそれが有する非粘着性樹脂層62または第2粘着剤層62ごと剥離除去される。
樹脂フィルム61を構成する樹脂は、例えば、ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンのようなポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂であることができる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂である。樹脂フィルム61は、単層構造であってもよいし多層構造であってもよいが、製造容易性及び製造コスト等の観点から、好ましくは単層構造である。第2粘着剤層62については、前述した第1粘着剤層31についての記述が引用される。
[枚葉フィルムの製造装置]
本実施形態に係る枚葉フィルムの製造装置は、粘着剤層を有する多層フィルムを切断して、多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断部を有する。切断部は、前記多層フィルムの第1表面から多層フィルムに進入可能に配置された押切刃と、多層フィルムの第2表面に接触するように配置され、多層フィルムに進入した押切刃を受け止め可能な刃受板と、を備える。刃受板は、押し込み弾性率が3.5×10Pa以下である。切断部については、枚葉フィルムの製造方法における上述の切断装置の説明がそのまま適用される。多層フィルムについては、枚葉フィルムの製造方法における上述の多層フィルムの説明がそのまま適用される。
本実施形態に係る枚葉フィルムの製造装置は、上述の切断部以外の構成要素を備えていてもよく、例えば、多層フィルムを製造する多層フィルム製造部、ロール状に巻かれている多層フィルムを巻出す巻出し部、多層フィルム又は枚葉フィルムを搬送する搬送部、多層フィルム又は枚葉フィルムを乾燥する乾燥部等が挙げられる。
[多層フィルムの切断方法]
本実施形態に係る多層フィルムの切断方法は、押切刃を、多層フィルムの第1表面から、多層フィルムの第2表面に接触するように配置された刃受板に到達するまで、多層フィルム内を進入させて、多層フィルムを切断する押切工程を含む。刃受板は、押し込み弾性率が3.5×10Pa以下である。切断方法については、枚葉フィルムの製造方法における上述の切断工程の説明がそのまま適用される。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[多層フィルム]
切断対象の多層フィルムとして、長辺の長さ300mm×短辺の長さ200mmの長方形のプロテクトフィルム付のシクロオレフィンポリマー(COP)偏光板(SRD341量産原反)を用いた。プロテクトフィルム付のCOP偏光板は、上から、プロテクトフィルム(58μm)、保護フィルムとしてのTACフィルム(25μm)、偏光子としてのPVAフィルム(25μm)、COPフィルム(23μm)、第1粘着剤層(20μm)、セパレートフィルムとしてのPETフィルム(38μm)が積層された構成となっている。プロテクトフィルムは、一方の面が粘着性であり、他方の面が非粘着性であり、粘着性の一方の面がTACフィルムに接して貼合されていた。
第1粘着剤層は、温度20℃、角周波数1,000ラジアン/秒で貯蔵弾性率が0.3MPaであった。
[実施例1]
図5に示す切断刃部材21aを備えた、図4に示す切断装置を用いた。切断刃部材21aの切断刃211aとして、長手方向の長さが614mmのトムソン刃(株式会社荻野精機製作所社製)を用いた。刃受板22として、多層フィルムに接触する表面に表面層が積層されていないポリウレタンシート(タイガースポリマー株式会社製、タイプレン TR100−50、厚さ1mm)を用いた。刃受板22の押し込み弾性率を、下記の方法により測定したところ6.4×10Paであった。刃受板22の、多層フィルムに接触する表面のタック値を下記の方法により測定したところ、0.6Nであった。
(押し込み弾性率の測定)
押し込み弾性率は、微小硬さ試験機「H100SMC」(フィッシャーインストルメンツ社製)、圧子としては対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用い、押し込み試験初期の押し込み深さ−試験力カーブにおける傾きから導出した。測定における荷重増加速度は300mN/20秒とした。押し込み弾性率の数値が低いほど、軟質材料であることを示す。
(タック値の測定)
材料表面の粘着性を示すタック性の評価は、JIS T 9233−3.8.6(2)三橋法に準じた装置を用いて試験を実施した。各実施例・比較例において、試験片として幅20mm、長さ100mmのものを1枚採取した。接着部円盤(直径50mm、厚さ14mm、アルミニウム製)の表面をヘキサンを用いて洗浄し、室温で30分乾燥させた。上記接着部円盤を、「ピクマタックテスター(II)型」(株式会社東洋精機製作所製)に装着し、試験装置により接着部円盤を下げ、試料と接触させた。室温(23℃)環境下において荷重800gfで30秒間接触させたのち、300mm/秒で引き上げた。接着部円盤と試料が離れる際に発生した力の最大値を、その測定におけるタック性の数値とし、試料位置を変えて同様の試験を5回行い、その平均値を求めた。数値が低いほど、粘着性が低く加工時における貼り付きが少ないことを示す。
(切断試験)
プロテクトフィルム付のCOP偏光板を載置台23の上に刃受板22に接触するように載置した。このとき、プロテクトフィルムとしてのPETフィルム(58μm)が上側に、セパレートフィルムとしてのPETフィルム(38μm)が下側で刃受板22に接触する方向で載置した。そして、切断刃211aを、プロテクトフィルム付のCOP偏光板へ、プロテクトフィルムの表面での速度が6.6mm/sとなるように進入させて、吸収軸に直交する方向に切断してプロテクトフィルム付のCOP偏光板を2等分した。
(スジ状の凹凸発生の評価)
8つのサンプルで切断試験を実施し、8つのサンプルについて2等分された切断片の表面の切断面近傍におけるスジ状の凹凸発生の有無を目視にて評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
刃受板22として、実施例1とは異なるポリウレタンシート(タイガースポリマー株式会社製、タイプレン TR100−70、厚さ1mm)を用いた点以外は、実施例1と同様にして切断試験を行い、スジ状の凹凸発生の有無の評価を行った。評価結果を表1に示す。実施例2で用いた刃受板22の押し込み弾性率及び多層フィルムに接触する表面のタック値は表1に示す通りであった。
[実施例3]
刃受板22として、実施例1と同じポリウレタンシートを基材として用い、さらに多層フィルムと接触する表面に表面層としてアクリルフィルム(住友化学株式会社製、テクノロイ S001、厚さ80μm)を接着剤を介して積層した積層板を用いた点以外は、実施例1と同様にして切断試験を行い、スジ状の凹凸発生の有無の評価を行った。評価結果を表1に示す。実施例3で用いた刃受板22の押し込み弾性率及び多層フィルムに接触する表面のタック値は表1に示す通りであった。
[実施例4]
刃受板22として、実施例2と同じポリウレタンシートを基材として用い、さらに多層フィルムと接触する表面に表面層としてアクリルフィルム(住友化学株式会社製、テクノロイ S001、厚さ80μm)を接着剤を介して積層した積層板を用いた点以外は、実施例1と同様にして切断試験を行い、スジ状の凹凸発生の有無の評価を行った。評価結果を表1に示す。実施例4で用いた刃受板22の押し込み弾性率及び多層フィルムに接触する表面のタック値は表1に示す通りであった。
[比較例1]
刃受板22として、ポリ塩化ビニルシート(住友ベークライト株式会社製、厚さ3000μm)を用いた点以外は、実施例1と同様にして切断試験を行い、スジ状の凹凸発生の有無の評価を行った。評価結果を表1に示す。比較例1で用いた刃受板22の押し込み弾性率及び多層フィルムに接触する表面のタック値は表1に示す通りであった。
10,10a,10b,10c,10d 多層フィルム、11 枚葉フィルム、20 切断装置、21,21a,21b 押切刃部材、22 刃受板、23 載置台、31 第1粘着剤層、60 プロテクトフィルム、61 樹脂フィルム、62 第2粘着剤層、70 セパレートフィルム、100 偏光板、101 第1表面、102 第2表面、211a,211b 押切刃、212a,212b 弾性体、213a 保持部。

Claims (11)

  1. 粘着剤層を有する多層フィルムを切断して、前記多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断工程を有する、枚葉フィルムの製造方法であって、
    前記切断工程は、押切刃を、前記多層フィルムの第1表面から、前記多層フィルムの第2表面に接触するように配置された刃受板に到達するまで、前記多層フィルム内を進入させて、前記多層フィルムを切断する押切工程を含み、
    前記刃受板は、押し込み弾性率が3.5×10Pa以下である、枚葉フィルムの製造方法。
  2. 前記刃受板は、押し込み弾性率が1.0×10Pa以下である、請求項1に記載の枚葉フィルムの製造方法。
  3. 前記刃受板は、前記多層フィルムの第2表面に接触する表面のタック値が0.1N以下である、請求項1又は2に記載の枚葉フィルムの製造方法。
  4. 前記多層フィルムは、偏光子を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の枚葉フィルムの製造方法。
  5. 粘着剤層を有する多層フィルムを切断して、前記多層フィルムから枚葉フィルムを得る切断部を有する、枚葉フィルムの製造装置であって、
    前記切断部は、前記多層フィルムの第1表面から前記多層フィルムに進入可能に配置された押切刃と、前記多層フィルムの第2表面に接触するように配置され、前記多層フィルムに進入した前記押切刃を受け止め可能な刃受板と、を備え、
    前記刃受板は、押し込み弾性率が3.5×10Pa以下である、枚葉フィルムの製造装置。
  6. 前記刃受板は、押し込み弾性率が1.0×10Pa以下である、請求項5に記載の枚葉フィルムの製造装置。
  7. 前記刃受板は、前記多層フィルムの第2表面に接触する表面のタック値が0.1N以下である、請求項5又は6に記載の枚葉フィルムの製造装置。
  8. 粘着剤層を有する多層フィルムを切断する切断方法であって、
    押切刃を、前記多層フィルムの第1表面から、前記多層フィルムの第2表面に接触するように配置された刃受板に到達するまで、前記多層フィルム内を進入させて、前記多層フィルムを切断する押切工程を含み、
    前記刃受板は、押し込み弾性率が3.5×10Pa以下である、多層フィルムの切断方法。
  9. 前記刃受板は、押し込み弾性率が1.0×10Pa以下である、請求項8に記載の多層フィルムの切断方法。
  10. 前記刃受板は、前記多層フィルムの第2表面に接触する表面のタック値が0.1N以下である、請求項8又は9に記載の多層フィルムの切断方法。
  11. 前記多層フィルムは、偏光子を有する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の多層フィルムの切断方法。
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