JP2019107688A - 鋳型造型用粘結剤組成物 - Google Patents
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〔ヒドロキシベンズアルデヒド類〕
前記ヒドロキシベンズアルデヒド類は、分子内にヒドロキシ基を一つ以上含み、ヒドロキシ基以外の置換基を有していてもよいベンズアルデヒドであり、2−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド等のヒドロキシベンズアルデヒド;ヒドロキシアルコキシベンズアルデヒド;2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド等のジヒドロキシベンズアルデヒド;及びトリヒドロキシベンズアルデヒドから選ばれる少なくとも1種以上が例示できる。これらの中でも、アルデヒドの臭気および鋳型の硬化速度を向上させる観点から、ジヒドロキシベンズアルデヒドが好ましく、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドがより好ましい。
前記アルキレン尿素は、エチレン尿素、プロピレン尿素、ブチレン尿素、ヒダントイン、イミダゾリジニル尿素等が挙げられる。これらの化合物は単独でも或いは2種以上の混合でも用いることが出来る。硬化速度の向上、鋳型強度の向上の観点からエチレン尿素、イミダゾリジニル尿素が好ましく、エチレン尿素がより好ましい。
前記粘結剤組成物中のヒドロキシベンズアルデヒド類およびアルキレン尿素の配合の質量比(ヒドロキシベンズアルデヒド類の質量/アルキレン尿素の質量)は、硬化速度の向上の観点から、0.5〜10が好ましく、3〜7がより好ましく、4〜6が更に好ましい。
前記粘結剤組成物には、粘結剤成分として従来公知の酸硬化性樹脂が含まれていても良い。当該酸硬化性樹脂としては、フルフリルアルコール、フルフリルアルコールの縮合物、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物、フルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物(尿素変性フラン樹脂)、尿素とエチレン尿素とアルデヒド類の縮合物(尿素・エチレン尿素共縮合樹脂)、メラミンとアルデヒド類の縮合物、及び尿素とアルデヒド類の縮合物よりなる群から選ばれる1種からなるものや、これらの群から選ばれる2種以上の混合物からなるものが例示できる。また、これらの群から選ばれる2種以上の共縮合物からなるものも使用できる。このうち、鋳型の硬化速度向上と鋳型強度向上の観点から、フルフリルアルコール、フルフリルアルコールの縮合物及びフルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物から選ばれる1種以上、並びにこれらの共縮合物を使用するのが好ましい。フルフリルアルコールは、非石油資源である植物から製造できるため、地球環境の観点からは、フルフリルアルコールを使用するのが好ましい。
前記粘結剤組成物中には、硬化速度を向上させ、鋳型強度を向上させる観点から、硬化促進剤が含まれていてもよい。なお、前記硬化促進剤は、粘結剤組成物中に含まれるものに加えて、鋳型用組成物に別添してもよい。前記硬化促進剤としては、硬化速度を向上させ、鋳型強度を向上させる観点から、下記一般式(1)で表される化合物(以下、硬化促進剤(1)という)、多価フェノール類、及び芳香族ジアルデヒドからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
前記粘結剤組成物中には、更に水が含まれてもよい。例えば、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物などの各種縮合物を合成する場合、水溶液状の原料を使用したり、縮合水が生成したりするために縮合物は、通常、水との混合物の形態で得られる。このような縮合物を粘結剤組成物に使用するにあたっては合成過程に由来するこれらの水をあえて除去する必要はない。また、前記粘結剤組成物を取扱いやすい粘度に調整する目的などで、水を更に添加してもよい。ただし、水が過剰になると、酸硬化性樹脂の硬化反応が阻害されるおそれがあるため、前記粘結剤組成物中の水含有量は0〜30質量%の範囲とすることが好ましく、前記粘結剤組成物を扱いやすくする観点と硬化反応速度を維持する観点から0.5〜5質量%の範囲がより好ましく、0.7〜3.5質量%の範囲が更に好ましい。
また、前記粘結剤組成物中には、更にシランカップリング剤等の添加剤が含まれていてもよい。例えばシランカップリング剤が含まれていると、得られる鋳型の強度を向上させることができるため好ましい。シランカップリング剤としては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシランや、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、メタクリロキシシラン、アクリロキシシランなどが用いられる。好ましくは、アミノシラン、エポキシシラン、ウレイドシランである。より好ましくはアミノシラン、エポキシシランであり、更に好ましくはアミノシランである。アミノシランの中でも、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。シランカップリング剤の前記粘結剤組成物中の含有量は、鋳型強度の観点から、0.01〜0.5質量%であることが好ましく、0.05〜0.3質量%であることがより好ましい。
前記粘結剤組成物は、耐火性粒子及び硬化剤組成物と混合して鋳型用組成物とすることができる。本実施形態の鋳型用組成物は、前記粘結剤組成物、耐火性粒子及び硬化剤組成物を含有する。
前記耐火性粒子としては、ケイ砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂、ムライト砂、合成ムライト砂等の従来公知のものを使用でき、また、使用済みの耐火性粒子を回収したものや再生処理したものなども使用できる。
前記硬化剤組成物は、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、及びしゅう酸から選ばれる少なくとも一種類以上が例示できる。鋳型強度の硬化速度を向上させる観点から、2,6−ジヒドロキシ安息香酸が好ましく、24時間後鋳型強度を向上させる観点から2,6−ジヒドロキシ安息香酸としゅう酸の併用が好ましい。
前記硬化剤組成物は、鋳物砂に均一に添加し、樹脂組成物と均一に混合させる目的で、水、アルコール類、エーテルアルコール類およびエステル類よりなる群から選ばれる1種以上の溶剤を含有させることができる。これらの中でも、鋳型の硬化速度向上や、鋳型強度の向上を図る観点から、アルコール類、エーテルアルコール類が好ましく、炭素数1〜3のアルコール類がより好ましい。アルコール類として、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールであり、メタノール、エタノールが好ましく、メタノールがより好ましい。前記硬化剤組成物は水を含有しても良いが、上記溶媒を含有させると、硬化剤中の水分量を低減できるため、鋳型の硬化速度が更に良好になると共に、鋳型強度が更に向上する。硬化剤組成物中の前記溶剤の含有量は、鋳型強度向上と硬化剤組成物に対する溶解性の観点から、樹脂に対して10〜90質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることが更に好ましい。更に、上記溶媒を含まずに、固体として鋳型に添加することも出来る。
前記鋳型用組成物は、前記耐火性粒子と、前記鋳型造型用粘結剤組成物と、前記硬化剤組成物とを混合する混合工程を経て製造され、好ましくは、前記耐火性粒子と前記硬化剤組成物とを混合する第1混合工程、及び第1混合工程途中又は工程後に得られた混合物に前記鋳型造型用粘結剤組成物を混合する第2混合工程を含む混合工程により製造される。
前記鋳型用組成物を硬化させることによって鋳型を製造することができる。本実施形態の鋳型の製造方法において、従来の鋳型の製造プロセスをそのまま利用して鋳型を製造することができる。好ましい鋳型の製造方法として、前記耐火性粒子と前記硬化剤組成物とを混合する第1混合工程、および第1混合工程途中又は工程後に得られた混合物に前記鋳型造型用粘結剤組成物を混合する第2混合工程を含む混合工程を経て製造された前記鋳型用組成物を硬化させる硬化工程を有する鋳型の製造方法が挙げられる。
〔硬化剤組成物の製造〕
下記表1に示す硬化剤(2,6−ジヒドロキシ安息香酸、しゅう酸)、メタノールをそれぞれ所定の質量で混合し、必要に応じて40〜50℃で加熱溶解し、実施例1〜15及び比較例1〜5の硬化剤組成物を製造した。なお、表1中、「2,6−DHB」は2,6−ジヒドロキシ安息香酸である。
下記表1に示す酸硬化性樹脂(FFA、BHMF)、アルデヒド化合物、アルキレン尿素及びシランカップリング剤を所定の質量比率で混合し、実施例1〜15及び比較例1〜4の粘結剤組成物を製造した。なお、表1中、「FFA」はフルフリルアルコール、「BHMF」は2,5−ビス(ヒドロキシメチル)フランを意味し、用いた「シランカップリング剤」はN−β―(アミノエチル)−γ―アミノプロピルメチルジメトキシシランである。
25℃、55%RHの条件下で、珪砂(フリーマントル)新砂100質量部に対し、表1に示す硬化剤組成物0.65質量部を添加し、次いで表1に示す粘結剤組成物1.0質量部を添加し、これらを混合して鋳型用組成物を得た。
混練直後の鋳型用組成物を直径50mm、高さ50mmの円柱形状のテストピース枠に充填し、1時間した時に抜型を行いJIS Z 2604−1976に記載された方法で、テストピースの圧縮強度(MPa)を測定し、「1時間後の圧縮強度」および「1MPa到達時間」を評価した。「1時間後の圧縮強度」の数値が高いほど、「1MPa到達時間」は数値が低いほど硬化速度に優れる。結果を表1に示す。
また、別途同様に作成したテストピース枠に充填したものを、圧縮強度1MPa到達時に抜型を行い、充填から24時間後に、JIS Z 2604−1976に記載された方法で、テストピースの圧縮強度(MPa)を測定した。「24時間後の圧縮強度」の数値が高いほど鋳型強度に優れる。結果を表1に示す。
25℃、55%RHに制御された恒温室内で、粘結剤組成物を用いて鋳型用組成物を製造する際に発生する臭気を嗅ぎ、下記基準で評価した。
1:アルデヒド由来の不快な臭気をほとんど感じない
2:アルデヒド由来の不快な臭気を僅かに感じる
3:アルデヒド由来の不快な臭気を感じる
4:アルデヒド由来の不快な臭気を強く感じる
Claims (5)
- ヒドロキシ基を一つ以上含むベンズアルデヒド類、及びアルキレン尿素を含有する鋳型造型用粘結剤組成物。
- 前記ベンズアルデヒド類が3−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、アルコキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、及びトリヒドロキシベンズアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも1種又は2種以上である請求項1に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
- 前記アルキレン尿素が、エチレン尿素、プロピレン尿素、ブチレン尿素、ヒダントイン、イミダゾリジニル尿素からなる群より選ばれる少なくとも1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳型造型用粘結剤組成物と、当該鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤組成物と、耐火性粒子とを含有する鋳型用組成物。
- 耐火性粒子と請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳型造型用粘結剤組成物と当該鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤組成物とを混合して鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化させる硬化工程を有する鋳型の製造方法。
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