JP2019106607A - 弾性表面波型共振子、発振モジュール、電子機器および移動体 - Google Patents
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Abstract
【課題】挿入損失の周波数特性における乱れを低減することができるとともに、周波数の可変幅のばらつきを低減できる弾性表面波型共振子を提供する。【解決手段】弾性表面波型共振子2は弾性表面波を利用した振動子であって、圧電基板15と、圧電基板15にそれぞれ設置された第1櫛形電極22と、第2櫛形電極23と、第3櫛形電極24と、第4櫛形電極25と、を備え、各電極は、それぞれ第1方向26に延びているバスバー電極と、このバスバー電極と接続し第1方向26と交差する第2方向27に延びている複数の電極指29と、を備え、各電極の電極指29は、第2方向27に対向する各バスバー電極の間に配置され、第2方向27に対向する各電極の電極指29は第1方向26にて交互に配置され、各バスバー電極は穴部を有する形状であり、弾性表面波の波長をλとするとき、各バスバー電極の厚さTが、0<T≦0.047×λを満たす。【選択図】図5
Description
本発明は、弾性表面波型共振子、発振モジュール、電子機器および移動体に関するものである。
携帯電話をはじめとする、無線の通信装置に弾性表面波型共振子やSAWフィルターが多く使用されている。弾性表面波型共振子やSAWフィルターは、小型化、高周波化、量産性に優れている。そして、トランスバーサル型のSAWフィルターが特許文献1に開示されている。トランスバーサル型のSAWフィルターは周波数−位相特性が直線的である点が利用しやすいので、各種の通信装置に好適に用いることができる。SAWフィルターを用いた発振モジュールには電圧制御位相回路が設置され、電圧を制御することにより発振周波数を変化させることができる。SAWフィルターを弾性表面波型共振子として使用ことができる。
特許文献1によるとSAWフィルターでは圧電基板上に、基端側のバスバー部とバスバー部から延びる電極指とを備える電極の対が設置されている。この電極の対では弾性表面波が発生するように各電極指が互いに交叉して設けられている。バスバー部には音響反射を低減するグレーティング領域が設置されている。このグレーティング領域には各電極指の電極指ピッチと異なるピッチのストリップが設けられている。このストリップにより各電極指から進行する弾性表面波の音響反射が低減される。
特許文献1におけるSAWフィルターはバスバー部にストリップを設置して音響反射を低減している。しかし、弾性表面波型共振子では特許文献1におけるSAWフィルターのようにバスバー部にストリップを設けただけでは不要な振動モードでの共振波を抑制できない。不要な振動モードの共振波は挿入損失の周波数特性に乱れを生じさせる。また、不要な振動モードの共振波は発振モジュールが出力する信号の発振周波数の幅のばらつきを大きくする。このため、不要な振動モードの共振波を抑制し、挿入損失の周波数特性における乱れを低減することができるとともに、周波数の可変幅のばらつきを低減できる弾性表面波型共振子が望まれていた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例にかかる弾性表面波型共振子は、弾性表面波を利用した弾性表面波型共振子であって、圧電基板と、前記圧電基板にそれぞれ設置された第1櫛形電極と、第2櫛形電極と、第3櫛形電極と、第4櫛形電極と、を備え、前記第1櫛形電極は、第1方向に延びている第1バスバー電極及び前記第1バスバー電極と接続し前記第1方向と交差する第2方向に延びている複数の電極指を含み、前記第2櫛形電極は、第1方向に延びている第2バスバー電極及び前記第2バスバー電極と接続し前記第2方向に延びている複数の電極指を含み、前記第3櫛形電極は、第1方向に延びている第3バスバー電極及び前記第3バスバー電極と接続し前記第2方向に延びている複数の電極指を含み、前記第4櫛形電極は、第1方向に延びている第4バスバー電極及び前記第4バスバー電極と接続し前記第2方向に延びている複数の電極指を含み、前記第1櫛形電極の前記電極指及び前記第2櫛形電極の前記電極指は、前記第2方向にて前記第1バスバー電極と前記第2バスバー電極との間に配置され、前記第1櫛形電極の前記電極指と前記第2櫛形電極の前記電極指とは前記第1方向にて交互に配置され、前記第3櫛形電極の前記電極指及び前記第4櫛形電極の前記電極指は、前記第2方向にて前記第3バスバー電極と前記第4バスバー電極との間に配置され、前記第3櫛形電極の前記電極指と前記第4櫛形電極の前記電極指とは前記第1方向にて交互に配置され、前記第1バスバー電極、前記第2バスバー電極、前記第3バスバー電極、及び前記第4バスバー電極は穴部を有する形状であり、前記弾性表面波の波長をλとするとき、前記第1櫛形電極、前記第2櫛形電極、前記第3櫛形電極、及び前記第4櫛形電極の厚さTが、0<T≦0.047×λを満たすことを特徴とする。
本適用例にかかる弾性表面波型共振子は、弾性表面波を利用した弾性表面波型共振子であって、圧電基板と、前記圧電基板にそれぞれ設置された第1櫛形電極と、第2櫛形電極と、第3櫛形電極と、第4櫛形電極と、を備え、前記第1櫛形電極は、第1方向に延びている第1バスバー電極及び前記第1バスバー電極と接続し前記第1方向と交差する第2方向に延びている複数の電極指を含み、前記第2櫛形電極は、第1方向に延びている第2バスバー電極及び前記第2バスバー電極と接続し前記第2方向に延びている複数の電極指を含み、前記第3櫛形電極は、第1方向に延びている第3バスバー電極及び前記第3バスバー電極と接続し前記第2方向に延びている複数の電極指を含み、前記第4櫛形電極は、第1方向に延びている第4バスバー電極及び前記第4バスバー電極と接続し前記第2方向に延びている複数の電極指を含み、前記第1櫛形電極の前記電極指及び前記第2櫛形電極の前記電極指は、前記第2方向にて前記第1バスバー電極と前記第2バスバー電極との間に配置され、前記第1櫛形電極の前記電極指と前記第2櫛形電極の前記電極指とは前記第1方向にて交互に配置され、前記第3櫛形電極の前記電極指及び前記第4櫛形電極の前記電極指は、前記第2方向にて前記第3バスバー電極と前記第4バスバー電極との間に配置され、前記第3櫛形電極の前記電極指と前記第4櫛形電極の前記電極指とは前記第1方向にて交互に配置され、前記第1バスバー電極、前記第2バスバー電極、前記第3バスバー電極、及び前記第4バスバー電極は穴部を有する形状であり、前記弾性表面波の波長をλとするとき、前記第1櫛形電極、前記第2櫛形電極、前記第3櫛形電極、及び前記第4櫛形電極の厚さTが、0<T≦0.047×λを満たすことを特徴とする。
本適用例によれば、第1櫛形電極の電極指及び第2櫛形電極の電極指の場所で形成された弾性表面波のうち第2方向に伝播した弾性表面波の一部は第1バスバー電極、第2バスバー電極、第3バスバー電極、第4バスバー電極にて反射し、ノイズとして作用する。そして、第1バスバー電極、第2バスバー電極、第3バスバー電極、第4バスバー電極には穴部が設置されている。さらに、弾性表面波の波長をλとするとき、第1櫛形電極、第2櫛形電極、第3櫛形電極、及び第4櫛形電極の厚さTが、0<T≦0.047×λを満たしている。このとき、第1バスバー電極、第2バスバー電極、第3バスバー電極、第4バスバー電極で反射する弾性表面波の影響を低減することが推定される。そして、発振回路に本適用例の弾性表面波型共振子を用いて電圧制御型発振回路としたときに、挿入損失の周波数特性における乱れを低減することができるとともに、周波数の可変幅のばらつきを低減できることが、本発明の発明者により見いだされた。
[適用例2]
上記適用例にかかる弾性表面波型共振子において、前記第1櫛形電極、前記第2櫛形電極、前記第3櫛形電極及び前記第4櫛形電極の厚さTが、0.01×λ≦Tを満たすことを特徴とする。
上記適用例にかかる弾性表面波型共振子において、前記第1櫛形電極、前記第2櫛形電極、前記第3櫛形電極及び前記第4櫛形電極の厚さTが、0.01×λ≦Tを満たすことを特徴とする。
本適用例によれば、各櫛形電極の厚さTは0.01×λ以上になっている。このとき、各櫛形電極の電気抵抗が大きくなることを抑制できる。従って、発振回路に弾性表面波型共振子を用いたときに挿入損失が大きくなることを抑制できる。
[適用例3]
上記適用例にかかる弾性表面波型共振子において、前記第1バスバー電極、前記第2バスバー電極、前記第3バスバー電極、及び前記第4バスバー電極はそれぞれ、前記第2方向において前記穴部を挟むように配置され前記第1方向に延びている第1電極部及び第2電極部を備えることを特徴とする。
上記適用例にかかる弾性表面波型共振子において、前記第1バスバー電極、前記第2バスバー電極、前記第3バスバー電極、及び前記第4バスバー電極はそれぞれ、前記第2方向において前記穴部を挟むように配置され前記第1方向に延びている第1電極部及び第2電極部を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、各バスバー電極は第2方向において穴部を挟むように配置され第1方向に延びている第1電極部及び第2電極部を備えている。複数の電極指へは第1電極部を通って電流が流れる。さらに、第2電極部を通って複数の電極指へ電流が流れる。従って、第2電極部が設置されていないときに比べて、各電極の電気抵抗が大きくなることを抑制できる。その結果、発振回路に弾性表面波型共振子を用いたときに挿入損失が大きくなることを抑制できる。
[適用例4]
本適用例にかかる発振モジュールであって、上記に記載の弾性表面波型共振子と、前記弾性表面波型共振子と電気的に接続される集積回路と、を備えることを特徴とする。
本適用例にかかる発振モジュールであって、上記に記載の弾性表面波型共振子と、前記弾性表面波型共振子と電気的に接続される集積回路と、を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、発振モジュールは弾性表面波型共振子及び弾性表面波型共振子と電気的に接続される集積回路を備えている。集積回路は弾性表面波型共振子を振動させて所定の電圧波形を出力する。そして、弾性表面波型共振子には上記に記載の弾性表面波型共振子が用いられている。上記に記載の弾性表面波型共振子は挿入損失の周波数特性における乱れを低減することができる振動子である。このとき、発振モジュールは発振周波数の可変幅のばらつきを小さくできる。従って、発振モジュールは発振周波数の可変幅のばらつきが小さい発振モジュールとすることができる。
[適用例5]
本適用例にかかる電子機器は上記に記載の発振モジュールを備えることを特徴とする。
本適用例にかかる電子機器は上記に記載の発振モジュールを備えることを特徴とする。
本適用例によれば、電子機器は発振モジュールを備えている。この発振モジュールには上記に記載の発振モジュールが用いられている。上記に記載の発振モジュールは発振周波数の可変幅のばらつきが小さいモジュールである。従って、本適用例の電子機器は発振周波数の可変幅のばらつきが小さい発振モジュールを備えた電子機器とすることができる。
[適用例6]
本適用例にかかる移動体は上記に記載の発振モジュールを備えることを特徴とする。
本適用例にかかる移動体は上記に記載の発振モジュールを備えることを特徴とする。
本適用例によれば、移動体は発振モジュールを備えている。この発振モジュールには上記に記載の発振モジュールが用いられている。上記に記載の発振モジュールは発振周波数の可変幅のばらつきが小さいモジュールである。従って、本適用例の移動体は発振周波数の可変幅のばらつきが小さい発振モジュールを備えた移動体とすることができる。
以下、実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態では、発振モジュールの特徴的な例について、図に従って説明する。第1の実施形態にかかわる発振モジュールについて図1〜図11及び図14〜図16に従って説明する。図1は、発振モジュールの構造を示す概略斜視図である。図2は発振モジュールの構造を示す側断面図であり、図1のA−Aで切断した断面図である。図3は発振モジュールの構造を示す側断面図であり、図1のB−Bで切断した断面図である。尚、発振モジュールには蓋であるリッドが設置されているが、図1〜図3はリッドが省略されている図になっている。
本実施形態では、発振モジュールの特徴的な例について、図に従って説明する。第1の実施形態にかかわる発振モジュールについて図1〜図11及び図14〜図16に従って説明する。図1は、発振モジュールの構造を示す概略斜視図である。図2は発振モジュールの構造を示す側断面図であり、図1のA−Aで切断した断面図である。図3は発振モジュールの構造を示す側断面図であり、図1のB−Bで切断した断面図である。尚、発振モジュールには蓋であるリッドが設置されているが、図1〜図3はリッドが省略されている図になっている。
図1に示すように、発振モジュール1は、弾性表面波型共振子2、集積回路3及びパッケージ4を含んで構成されている。弾性表面波型共振子2は弾性表面波を利用した振動子であり、弾性表面波フィルターやSAWフィルター(Surface Acoustic Wave)と言われる。従って、発振モジュール1はSAW発振器である。
パッケージ4の材質は特に限定されないが、本実施形態では、例えば、セラミックが用いられている。そしてパッケージ4はセラミックの層が積層されたセラミックの積層パッケージである。図2及び図3に示すように、パッケージ4は第1層4A、第2層4B、第3層4C及び第4層4Dがこの順に積層されている。パッケージ4の第4層4D側には開口部が設けられており、この開口部を図示しないリッドで覆うことにより収容室が形成されている。この収容室に、弾性表面波型共振子2及び集積回路3が収容されている。このように、パッケージ4は弾性表面波型共振子2と集積回路3とを同一空間内に収容する。
集積回路3はIC(Integrated Circuit)とも言われる。図2に示すように、集積回路3の図中下側の面がパッケージ4の第1層4A上の面に接着固定されている。そして、集積回路3の図中上側の面には複数の電極5が設置されている。電極5はパッドとも言われる。パッケージ4の第2層4Bの図中上側の面には電極6が設置されている。電極6もパッドとも言われる。電極6と各電極5とがそれぞれワイヤー7によりボンディングされている。
弾性表面波型共振子2は、長手方向の一方の端にある第1端部2Aがパッケージ4に固着されている。詳しくは、弾性表面波型共振子2の第1端部2Aの下面が接着剤8によりパッケージ4の第3層4Cの図中上側の面に接着固定されている。また、弾性表面波型共振子2の長手方向の他方の端にある第2端部2Bは固定されていない。そして、第2端部2Bとパッケージ4の内面との間に間隙が設けられている。すなわち、弾性表面波型共振子2は片持ち梁状態でパッケージ4に固定されている。
図1に示すように、弾性表面波型共振子2の図中上側の面には第1端部2A側に第1入力ポート9、第2入力ポート10、第1出力ポート11及び第2出力ポート12が設置されている。第1入力ポート9、第2入力ポート10、第1出力ポート11及び第2出力ポート12はワイヤーボンディング用のパッドである。図1及び図3に示すように、パッケージ4の第3層4Cの図中上側の面には4つの電極13が設置されている。そして、弾性表面波型共振子2の第1入力ポート9、第2入力ポート10、第1出力ポート11及び第2出力ポート12とパッケージ4の第3層4Cの上面に設けられている4つの電極13とがそれぞれワイヤー14によりボンディングされている。
パッケージ4の内部には、第3層4C上に設置された4つの電極13と第2層4B上に設置された4つの電極6とをそれぞれ電気的に接続するための不図示の配線が設けられている。すなわち、弾性表面波型共振子2の第1入力ポート9、第2入力ポート10、第1出力ポート11及び第2出力ポート12は、ワイヤー14、ワイヤー7及びパッケージ4の内部配線を介して、集積回路3の互いに異なる4つの電極5とそれぞれ電気的に接続されている。
また、パッケージ4の外側の表面には、電源端子、接地端子あるいは出力端子として機能する不図示の複数の外部電極が設けられている。パッケージ4の内部には、不図示の配線も設置され、配線はこれらの複数の外部電極の各々と所定の複数の電極6の各々とをそれぞれ電気的に接続する。このように、発振モジュール1では弾性表面波型共振子2と集積回路3とが配線により電気的に接続されている。
図4は、発振モジュールの構造を示す模式平面図である。図中には弾性表面波型共振子2及び集積回路3が示され、パッケージ4が省略されている。図4に示すように、弾性表面波型共振子2は圧電基板15を備えている。圧電基板15の表面には、第1のIDT16(Interdigital Transducer)、第2のIDT17、第1の反射器18及び第2の反射器21が設置されている。
圧電基板15の材質は、例えば、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ほう酸リチウム(Li2B4O7:LBO)等の単結晶材料や、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)等の圧電性薄膜、圧電性セラミックス等を用いることができる。本実施形態では、例えば、圧電基板15の材質に水晶を用いている。
第1のIDT16と第2のIDT17は、第1の反射器18と第2の反射器21との間に位置する。圧電基板15には第1櫛形電極22と、第2櫛形電極23と、第3櫛形電極24と、第4櫛形電極25と、が設置されている。第1のIDT16は第1櫛形電極22及び第2櫛形電極23を備えている。第2のIDT17は第3櫛形電極24及び第4櫛形電極25を備えている。圧電基板15の平面方向において、圧電基板15の長手方向を第1方向26とし、第1方向26と直交する方向を第2方向27とする。
第1櫛形電極22は、第1方向26に延びている第1バスバー電極22a及び第1バスバー電極22aと接続し第1方向26と交差する第2方向27に延びている複数の電極指29を含んでいる。第2櫛形電極23は、第1方向26に延びている第2バスバー電極23a及び第2バスバー電極23aと接続し第2方向27に延びている複数の電極指29を含んでいる。
第3櫛形電極24は、第1方向26に延びている第3バスバー電極24a及び第3バスバー電極24aと接続し第2方向27に延びている複数の電極指29を含んでいる。第4櫛形電極25は、第1方向26に延びている第4バスバー電極25a及び第4バスバー電極25aと接続し第2方向27に延びている複数の電極指29を含んでいる。
第1櫛形電極22の電極指29及び第2櫛形電極23の電極指29は、第2方向27にて第1バスバー電極22aと第2バスバー電極23aとの間に配置されている。第1櫛形電極22の電極指29と第2櫛形電極23の電極指29とは第1方向26にて一定間隔で交互に配置されている。
同様に、第3櫛形電極24の電極指29及び第4櫛形電極25の電極指29は、第2方向27にて第3バスバー電極24aと第4バスバー電極25aとの間に配置されている。第3櫛形電極24の電極指29と第4櫛形電極25の電極指29とは第1方向26にて一定間隔で交互に配置されている。
一定間隔で設けられた複数の電極指29は互いに第1方向26に対向して配置されている。そして、第1のIDT16及び第2のIDT17の第1方向26における電極指29のピッチは同じであり、共に一定値になっている。
圧電基板15には第1入力ポート9、第2入力ポート10、第1出力ポート11及び第2出力ポート12が設置されている。第1入力ポート9は第1の配線30により第1櫛形電極22と電気的に接続され、第2入力ポート10は第2の配線31により第2櫛形電極23と電気的に接続されている。さらに、第1出力ポート11は第3の配線32により第3櫛形電極24と電気的に接続され、第2出力ポート12は第4の配線33により第4櫛形電極25と電気的に接続されている。
このように、弾性表面波型共振子2は圧電基板15を備え、圧電基板15の表面を弾性表面波が伝播する。圧電基板15には第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25が設置されている。第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25はそれぞれ第1方向26に延びている第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aを備えている。そして、第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aはそれぞれ第1方向26と直交する第2方向27に延びている複数の電極指29を備えている。
第1櫛形電極22と第2櫛形電極23とは第2方向27にて対向して配置されている。そして、第1櫛形電極22の電極指29と第2櫛形電極23の電極指29とは第1方向26にて交互に配置されている。第1櫛形電極22と第2櫛形電極23との間に所定の波形の電圧を反復して印加する。この電圧に対応して圧電基板15の表面が伸縮するので、圧電基板15の表面に弾性表面波が形成される。
第3櫛形電極24と第4櫛形電極25とは第2方向27にて対向して配置されている。そして、第3櫛形電極24の電極指29と第4櫛形電極25の電極指29とは第1方向26にて交互に配置されている。圧電基板15の表面に形成された弾性表面波は第3櫛形電極24の電極指29及び第4櫛形電極25の電極指29に到達する。そして、この弾性表面波に対応して圧電基板15は電圧を生じるので、第3櫛形電極24の電極指29と第4櫛形電極25の電極指29との間に所定の電圧波形が生じる。
第1櫛形電極22及び第2櫛形電極23の場所で形成された弾性表面波は第1方向26及び第2方向27に伝播する。これらの弾性表面波のうち第1方向26に伝播する弾性表面波を第3櫛形電極24の電極指及び第4櫛形電極25の電極指が検出する。第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24及び第4櫛形電極25の各電極指29の間隔を調整することにより、第3櫛形電極24と第4櫛形電極25との間に生じる電圧波形の周波数を限定することができる。従って、弾性表面波型共振子2を周波数フィルターとして機能させることができる。
弾性表面波型共振子2は第1のIDT16が弾性表面波を形成して第2のIDT17が弾性表面波を検出するトランスバーサル型の振動子になっている。弾性表面波型共振子2における弾性表面波の波長は特に限定されないが本実施形態では、例えば、2μm〜6μmである。弾性表面波型共振子2における弾性表面波の周波数は特に限定されないが本実施形態では、例えば、0.5GHz〜1.5GHzである。
このように構成された弾性表面波型共振子2において、第1入力ポート9及び第2入力ポート10からf=v/(2d)(vは弾性表面波が圧電基板15の表面を伝播する速度。dは電極指29のピッチ)付近の周波数を有する電気信号が入力されると、第1のIDT16により1波長が2dに等しい弾性表面波が励起される。そして、第1のIDT16により励起された弾性表面波は、第1の反射器18と第2の反射器21の間で反射されて定在波となる。この定在波は、第2のIDT17において電気信号に変換され、第1出力ポート11及び第2出力ポート12から出力される。すなわち、弾性表面波型共振子2は、中心周波数をf=v/(2d)とする狭帯域のバンドパスフィルターとして機能する。
図5は弾性表面波型共振子の電極パターンを示す要部模式平面図である。図5に示すように、第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25は穴部34を有する形状になっている。弾性表面波の波長をλとする。そして、第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の厚さをTとする。このとき、0<T≦0.047×λを満たしている。
穴部34は、第1方向26に並ぶ複数の穴34aを有する。穴34aの個数は特に限定されないが、本実施形態では例えば、8個になっている。各々の穴34aは、例えば、第2方向27に延びている矩形形状である。各々の穴34aの第1方向26における長さは、例えば電極指29同士の間隔の90〜110%に相当する長さであり、望ましくは電極指29同士の間隔に等しい。
さらには、第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の厚さTが、0.01×λ≦Tを満たしている。つまり、第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の厚さTは0.01×λ以上になっている。このとき、第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の厚さTが薄いと電気抵抗が大きくなる。第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の厚さTを0.01×λ以上にすることにより各電極の電気抵抗が大きくなることを抑制できる。従って、発振回路に弾性表面波型共振子2を用いたときに挿入損失が大きくなることを抑制できる。
第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aはそれぞれ第2方向27において穴部34を挟むように配置され第1方向26に延びている第1電極部35及び第2電極部36を備えている。第2電極部36は第1電極部35より電極指29に近い方の電極であり、第1電極部35及び第2電極部36は共に電極指29と電気的に接続されている。各電極において第1方向26に並ぶ穴部34における穴34aの個数は電極指29の個数より多くなっている。穴部34における穴34aの個数が多い方が少ないときより第2方向27に進行する弾性表面波の影響が低減されることを期待できる。
第1櫛形電極22では第1の配線30から第1電極部35及び第2電極部36を通って電流が電極指29に流れる。第2櫛形電極23では第2の配線31から第1電極部35及び第2電極部36を通って電流が電極指29に流れる。第3櫛形電極24では第3の配線32から第1電極部35及び第2電極部36を通って電流が電極指29に流れる。第4櫛形電極25では第4の配線33から第1電極部35及び第2電極部36を通って電流が電極指29に流れる。
複数の電極指29へは第1電極部35を通って電流が流れる。さらに、第2電極部36を通って複数の電極指29へ電流が流れる。従って、第2電極部36が設置されていないときに比べて、各電極の電気抵抗が大きくなることを抑制できる。各電極の電気抵抗が大きい弾性表面波型共振子を用いたときには発振回路の挿入損失が大きくなる。従って、発振回路に弾性表面波型共振子2を用いるときには各電極の電気抵抗が大きくなることが抑制される為、挿入損失が大きくなることを抑制できる。
第1のIDT16及び第2のIDT17の各部位の寸法は特に限定されないが性能を確認して設定するのが好ましい。第1バスバー電極22a〜第4バスバー電極25aにおける穴34aの第1方向26の穴幅34bは、電極指29同士の間隔と同じくλ/4が好ましい。穴34aの第2方向27の長さである穴長さ34cは、例えば本実施形態では0.17mmである。第1方向26に並ぶ穴34aと穴34aとの間の導体19の第1方向26の幅である導体幅19aは、電極指29の導体幅と同じくλ/4が好ましい。第1方向26に並ぶ導体19のピッチである導体ピッチ19bはλ/2が好ましい。
電極指29においても、第1方向26から見たときに第1櫛形電極22の電極指29と第2櫛形電極23の電極指29とが重なる幅である交差幅29aは限定されないが性能を確認して設定するのが好ましい。交差幅29aは、例えば本実施形態では0.64mmである。第1のIDT16及び第2のIDT17の材料は導電性があり、圧電基板15上に形成し易いアルミニウムや銅が好ましい。本実施形態では、例えば、第1のIDT16及び第2のIDT17の材料にアルミニウムを用いている。
図6は、発振モジュールの電気ブロック図である。図6に示すように、本実施形態の発振モジュール1は、弾性表面波型共振子2、電圧制御位相回路37、第1差動増幅器38、コンデンサー41、コンデンサー42、第2差動増幅器43、コンデンサー44、コンデンサー45、逓倍回路46、ハイパスフィルター47、出力回路48を含んで構成されている。尚、発振モジュール1は、適宜、これらの要素の一部を省略または変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。
電圧制御位相回路37、第1差動増幅器38、コンデンサー41、コンデンサー42、第2差動増幅器43、コンデンサー44、コンデンサー45、逓倍回路46、ハイパスフィルター47及び出力回路48は、集積回路3に含まれている。すなわち、これらの各回路は集積回路3の一部である。
弾性表面波型共振子2の第1出力ポート11は、集積回路3の第1入力端子3Aと電気的に接続されている。弾性表面波型共振子2の第2出力ポート12は、集積回路3の第2入力端子3Bと電気的に接続されている。弾性表面波型共振子2の第1入力ポート9は、集積回路3の第1出力端子3Cと電気的に接続されている。また、弾性表面波型共振子2の第2入力ポート10は、集積回路3の第2出力端子3Dと電気的に接続されている。
集積回路3の電源端子3Eは、発振モジュール1の外部端子であるVDD端子1A(Drain Voltage)と電気的に接続されており、電源端子3EにはVDD端子1Aを介して所望の電源電位が供給される。この外部端子はパッケージ4の表面に設けられた外部電極である。また、集積回路3の接地端子3Fは、発振モジュール1の外部端子であるVSS端子1B(Source Voltage)と電気的に接続されており、接地端子3FにはVSS端子1Bを介して接地電位(0V)が供給される。そして、電圧制御位相回路37、第1差動増幅器38、コンデンサー41、コンデンサー42、第2差動増幅器43、コンデンサー44、コンデンサー45、逓倍回路46、ハイパスフィルター47及び出力回路48は、電源端子3Eと接地端子3Fとの間の電位差を電源電圧として動作する。尚、第1差動増幅器38、第2差動増幅器43、逓倍回路46、ハイパスフィルター47及び出力回路48の各電源端子及び各接地端子は、電源端子3E及び接地端子3Fとそれぞれ電気的に接続されているが、図示が省略されている。
電圧制御位相回路37及び第1差動増幅器38は、弾性表面波型共振子2の第1出力ポート11及び第2出力ポート12から第1入力ポート9及び第2入力ポート10に至る帰還経路上に設けられている。
電圧制御位相回路37は、制御電圧を操作して位相及び周波数を変更する回路である。電圧制御位相回路37は、例えば、コイル及び可変容量素子を組み合わせた構成で実現することができる。可変容量素子は、例えば、印加される制御電圧に応じて容量値が変化するバラクターであってもよい。バラクターはバリキャップ、あるいは可変容量ダイオードともいう。他にも、可変容量素子は、例えば、複数のコンデンサーと、複数のコンデンサーの少なくとも一部を選択するための複数のスイッチとを含み、選択信号に応じて複数のスイッチが開閉することで選択されたコンデンサーに応じて容量値が切り替わる回路であってもよい。
第1差動増幅器38は、非反転入力端子と反転入力端子とに入力される一対の信号を、その電位差を増幅して非反転出力端子と反転出力端子とから出力する。第1差動増幅器38の非反転出力端子は、集積回路3の第1出力端子3C及びコンデンサー41の一端と電気的に接続されている。また、第1差動増幅器38の反転出力端子は、集積回路3の第2出力端子3D及びコンデンサー42の一端と電気的に接続されている。第1差動増幅器38は、入力端子に入力される一対の信号を非反転増幅して出力端子から出力する。
弾性表面波型共振子2、電圧制御位相回路37及び第1差動増幅器38により、弾性表面波型共振子2の第1出力ポート11及び第2出力ポート12から第1入力ポート9及び第2入力ポート10に至る信号経路上を一対の信号が伝播して正帰還の閉ループが構成され、この一対の信号が発振信号となる。すなわち、弾性表面波型共振子2、電圧制御位相回路37及び第1差動増幅器38により、発振回路49が構成される。尚、発振回路49は、適宜、これらの要素の一部を省略または変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。
発振モジュール1は、発振回路49よりも後段に、コンデンサー41、コンデンサー42、第2差動増幅器43、コンデンサー44、コンデンサー45、逓倍回路46、ハイパスフィルター47及び出力回路48が設けられている。
コンデンサー41は、一端が第1差動増幅器38の非反転出力端子と電気的に接続され、他端が第2差動増幅器43の非反転入力端子と電気的に接続されている。また、コンデンサー42は、一端が第1差動増幅器38の反転出力端子と電気的に接続され、他端が第2差動増幅器43の反転入力端子と電気的に接続されている。このコンデンサー41及びコンデンサー42は、直流カット用のコンデンサーとして機能し、第1差動増幅器38の非反転出力端子及び反転出力端子から出力される各信号の直流成分を除去する。
第2差動増幅器43は、発振回路49から逓倍回路46に至る信号経路上に設けられている。第2差動増幅器43は非反転入力端子と反転入力端子とに入力される差動信号を増幅し、増幅した差動信号を非反転出力端子と反転出力端子とから出力する。
コンデンサー44は、一端が第2差動増幅器43の非反転出力端子と電気的に接続され、他端が逓倍回路46の非反転入力端子と電気的に接続されている。また、コンデンサー45は、一端が第2差動増幅器43の反転出力端子と電気的に接続され、他端が逓倍回路46の反転入力端子と電気的に接続されている。このコンデンサー44及びコンデンサー45は、DCカット用のコンデンサーとして機能し、第2差動増幅器43の非反転出力端子及び反転出力端子から出力される各信号の直流成分を除去する。
逓倍回路46は差動で動作する。逓倍回路46は非反転入力端子と反転入力端子とに入力される差動信号の周波数f0を逓倍し、逓倍した差動信号を非反転出力端子と反転出力端子とから出力する。
逓倍回路46の非反転出力端子はハイパスフィルター47の非反転入力端子と電気的に接続されている。また、逓倍回路46の反転出力端子はハイパスフィルター47の反転入力端子と電気的に接続されている。
ハイパスフィルター47は、逓倍回路46から出力回路48に至る信号経路上に設けられている。ハイパスフィルター47は差動で動作する。ハイパスフィルター47は非反転入力端子と反転入力端子とに入力される差動信号から低周波成分が減衰された差動信号を非反転出力端子と反転出力端子とから出力する。ハイパスフィルター47の非反転出力端子は出力回路48の非反転入力端子と電気的に接続されている。また、ハイパスフィルター47の反転出力端子は出力回路48の反転入力端子と電気的に接続されている。
出力回路48は、逓倍回路46及びハイパスフィルター47の後段に設けられている。出力回路48は差動で動作する。出力回路48は非反転入力端子と反転入力端子とに入力される差動信号を所望の電圧レベルの信号に変換した差動信号を生成し、非反転出力端子と反転出力端子とから出力する。出力回路48の非反転出力端子は集積回路3の第3出力端子3Gと電気的に接続され、出力回路48の反転出力端子は集積回路3の第4出力端子3Hと電気的に接続されている。集積回路3の第3出力端子3Gは、発振モジュール1の外部端子であるCP端子1Cと電気的に接続されており、集積回路3の第4出力端子3Hは、発振モジュール1の外部端子であるCN端子1Dと電気的に接続されている。そして、出力回路48が変換した発振信号は、集積回路3の第3出力端子3G及び第4出力端子3Hを経由して、発振モジュール1のCP端子1C及びCN端子1Dから外部に出力される。
発振モジュール1は電圧制御位相回路37で調整する電圧により制御するSAW発振器である。このような発振モジュール1は電圧制御SAW発振器またはVCSO(Voltage-controlled Surface Acoustic Wave oscillator)と言われている。
図7は弾性表面波型共振子の挿入損失を示す図である。図7において、横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示す。そして、挿入損失線50は発振モジュール1における弾性表面波型共振子2の挿入損失を示す。発振モジュール1は電圧制御位相回路37において制御電圧を変化させることにより発振周波数を変化させることができる。そして、挿入損失線50は発振周波数を変化させたときに挿入損失が変わる様子を示している。弾性表面波型共振子2は877.5MHzより低い周波数と878.2MHzより高い周波数において信号が減衰し、挿入損失線50が増加する。そして、周波数が877.5MHzと878.2MHzとの間では弾性表面波型共振子2の挿入損失減衰が小さい。そして、挿入損失線50は乱れの少ない滑らかな曲線になっている。
図8は弾性表面波型共振子における信号の位相の変化を示す図である。図8において、横軸は周波数を示し、縦軸は位相を示す。そして、位相特性線51は発振モジュール1の弾性表面波型共振子2における信号の位相を示す。制御電圧を変化させることにより弾性表面波型共振子における信号の周波数と位相が変化する。周波数が877MHzと周波数が878.5MHzとの間では位相特性線51は乱れの少ない滑らかな曲線になっている。
図9は弾性表面波型共振子における制御電圧に対する周波数変化量の相関を示す図である。図9において、横軸は制御電圧を示し、縦軸は周波数変化量を示す。そして、電圧周波数特性線52は電圧制御位相回路37の制御電圧の変化に対する弾性表面波型共振子2における信号の周波数変化を示す。制御電圧を変化させることにより弾性表面波型共振子における信号の周波数が変化する。制御電圧が1.5Vのときの周波数を基準にして制御電圧を変化させたときの周波数の変化量の割合を電圧周波数特性線52が示している。制御電圧が0V〜3Vの間で電圧周波数特性線52は乱れの少ない滑らかな曲線になっている。
図14〜図16は比較例の図であり、第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aに穴部34がないときの特性の例を示す。図14は弾性表面波型共振子の挿入損失を示す図であり、図7に対応する図である。図14において、横軸は周波数を示し、縦軸は挿入損失を示す。そして、挿入損失線50は発振モジュール1における弾性表面波型共振子2の挿入損失を示す。挿入損失線53は第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aに穴部34がないとき弾性表面波型共振子2で発振周波数を変化させたときに挿入損失が変わる様子を示している。挿入損失線53は乱れの大きい曲線になっている。変動する部分はリップルとも言われる。この乱れの大きいことを変動が大きいともいう。第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aに穴部34がないときには第2方向27に進行する弾性表面波の影響を受けるので、乱れが大きくなると推理される。挿入損失線53に比較して図7に示す挿入損失線50は乱れが小さい滑らかな曲線になっている。つまり、図7の挿入損失線50は第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aに穴部34が設置された為、挿入損失の周波数特性における乱れが低減されていることを示している。
図15は弾性表面波型共振子における信号の位相の変化を示す図であり、図8に対応する図である。図15において、横軸は周波数を示し、縦軸は位相を示す。そして、位相特性線54は発振モジュール1の弾性表面波型共振子2における信号の周波数と位相との関係を示す。位相特性線54は第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aに穴部34がないとき弾性表面波型共振子2で発振周波数を変化させたときに位相が変わる様子を示している。位相特性線54は乱れの大きい曲線になっている。この乱れの大きいことを変動が大きいともいう。位相特性線54に比較して図8に示す位相特性線51は乱れが小さい滑らかな曲線になっている。つまり、図8の位相特性線51は第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aに穴部34が設置された為、位相の周波数特性における乱れが低減されていることを示している。
図16は弾性表面波型共振子における制御電圧に対する周波数変化量の相関を示す図であり、図9に対応する図である。図16において、横軸は制御電圧を示し、縦軸は周波数変化量を示す。そして、電圧周波数特性線55は電圧制御位相回路37の制御電圧の変化に対する弾性表面波型共振子2における信号の周波数変化を示す。電圧周波数特性線55は第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aに穴部34がないとき弾性表面波型共振子2で制御電圧を変化させたときに弾性表面波型共振子における信号の周波数が変化する様子の1つの例を示している。この例では制御電圧が2.3V付近で電圧周波数特性線55が大きく変動している。この例のような特性を有する弾性表面波型共振子2は使用することが難しい。電圧周波数特性線55に比較して図9に示す電圧周波数特性線52は第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aに穴部34が設置された為、変動が小さい滑らかな曲線になっている。
図10は電極の厚さと周波数変化幅との関係を示す図である。図10において、横軸は膜厚波長比を示す。膜厚は第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の厚さであり、波長は弾性表面波の波長である。そして、膜厚波長比は第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の厚さと弾性表面波型共振子2における弾性表面波の波長λとの比率を100分率(パーセント)で示している。電極の厚さが厚くなるとき膜厚波長比が大きくなる。
例えば、弾性表面波の波長が3μm、第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の厚さが0.15μmのとき膜厚波長比が5%になる。尚、第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24及び第4櫛形電極25はともに同じ厚さになっている。縦軸は弾性表面波型共振子2の周波数変化幅を示している。周波数変化幅は制御電圧を所定の電圧幅で変化させたときに弾性表面波の周波数が変化する幅を示している。例えば、図9の電圧周波数特性線52では所定の電圧幅を0v〜3vとしたときに周波数変化幅が350ppmになっている。
図中には膜厚波長比が4.3%、4.7%、4.9%、5.9%における周波数変化幅の値がそれぞれ5個プロットされている。膜厚波長比が大きくなる程周波数変化幅が小さくなる傾向がある。そして、標本のばらつきを示す標準偏差σが膜厚波長比毎に異なっている。
図11は膜厚波長比と周波数変化幅の標準偏差との関係を示す図である。図11において、横軸は膜厚波長比を示す。つまり、横軸は第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の厚さと弾性表面波型共振子2における弾性表面波の波長λとの比率を100分率(パーセント)で示している。縦軸は図10でプロットされた周波数変化幅の標準偏差を示している。各膜厚波長比における周波数変化幅の標準偏差を(膜厚波長比、周波数変化幅の標準偏差)で示すと、(4.3%、6.8)、(4.7%、6.1)、(4.9%、18.9)、(5.9%、13.1)となっている。周波数変化幅の標準偏差が小さい程、電圧周波数特性線52の傾きのばらつきが小さい。そして、図16に示す電圧周波数特性線55のような大きな乱れの発生が抑制されている。図11に戻って、膜厚波長比が4.7%以下のときは膜厚波長比が4.7%をこえるときに比べて周波数変化幅の標準偏差が小さくなっている。これは、膜厚波長比を4.7%以下にすることにより、図9に示す電圧周波数特性線52の傾きのばらつきを低減することができることを示している。そして、電圧を制御したときに周波数変化量が急激に変化することを抑制できることを示している。
従って、弾性表面波の波長をλとするとき、第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の厚さTが、0<T≦0.047×λを満たすのが好ましい。このとき、第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25で反射する弾性表面波の影響を低減することが推定される。そして、発振回路49に弾性表面波型共振子2を用いて電圧制御型発振回路としたときに、挿入損失の周波数特性における乱れを低減することができるとともに、周波数の可変幅のばらつきを低減することができる。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、弾性表面波型共振子2は圧電基板15を備え、圧電基板15の表面を弾性表面波が伝播する。圧電基板15には第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25が設置されている。第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の各電極はそれぞれ第1方向26に延びている第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aを備えている。第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aの各電極にはそれぞれ第1方向26と直交する第2方向27に延びている複数の電極指29が設置されている。
(1)本実施形態によれば、弾性表面波型共振子2は圧電基板15を備え、圧電基板15の表面を弾性表面波が伝播する。圧電基板15には第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25が設置されている。第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の各電極はそれぞれ第1方向26に延びている第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aを備えている。第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aの各電極にはそれぞれ第1方向26と直交する第2方向27に延びている複数の電極指29が設置されている。
第1櫛形電極22と第2櫛形電極23とは第2方向27にて対向して配置されている。そして、第1櫛形電極22の電極指29と第2櫛形電極23の電極指29とは第1方向26にて交互に配置されている。第1櫛形電極22の電極指29と第2櫛形電極23の電極指29との間に所定の波形の電圧を反復して印加する。この電圧に対応して圧電基板15の表面が伸縮するので、圧電基板15の表面に弾性表面波が形成される。
第3櫛形電極24と第4櫛形電極25とは第2方向27にて対向して配置されている。そして、第3櫛形電極24の電極指29と第4櫛形電極25の電極指29とは第1方向26にて交互に配置されている。圧電基板15の表面に形成された弾性表面波は第3櫛形電極24の電極指及び第4櫛形電極25の電極指に到達する。そして、この弾性表面波に対応して圧電基板15は電圧を生じるので、第3櫛形電極24の電極指29と第4櫛形電極25の電極指との間に所定の電圧波形が生じる。
第1櫛形電極22の電極指及び第2櫛形電極23の電極指の場所で形成された弾性表面波は第1方向26及び第2方向27に伝播する。これらの弾性表面波のうち第1方向26に伝播する弾性表面波を第3櫛形電極24の電極指及び第4櫛形電極25の電極指が検出する。第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24及び第4櫛形電極25の各電極指29の間隔を調整することにより、第3櫛形電極24と第4櫛形電極25との間に生じる電圧波形の周波数を限定することができる。従って、弾性表面波型共振子2を周波数フィルターとして機能させることができる。
第1櫛形電極22の電極指及び第2櫛形電極23の電極指の場所で形成された弾性表面波のうち第2方向27に伝播した弾性表面波の一部は第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aにて反射し、ノイズとして作用する。そして、第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aには穴部34が設置されている。さらに、弾性表面波の波長をλとするとき、第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の厚さTが、0<T≦0.047×λを満たしている。このとき、第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aで反射する弾性表面波の影響を低減することが推定される。そして、発振回路49に弾性表面波型共振子2を用いて電圧制御型発振回路としたときに、挿入損失の周波数特性における乱れを低減することができるとともに、周波数の可変幅のばらつきを低減することができる。
(2)本実施形態によれば、第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の厚さTは0.01×λ以上になっている。このとき、各電極の電気抵抗が大きくなることを抑制できる。従って、発振回路49に弾性表面波型共振子2を用いたときに挿入損失が大きくなることを抑制できる。
(3)本実施形態によれば、第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aは第2方向27において穴部34を挟むように配置され第1方向26に延びている第1電極部35及び第2電極部36を備えている。複数の電極指29へは第1電極部35を通って電流が流れる。さらに、第2電極部36を通って複数の電極指29へ電流が流れる。従って、第2電極部36が設置されていないときに比べて、各電極の電気抵抗が大きくなることを抑制できる。その結果、発振回路49に弾性表面波型共振子2を用いたときに挿入損失が大きくなることを抑制できる。
(4)本実施形態によれば、発振モジュール1は弾性表面波型共振子2及び弾性表面波型共振子2と電気的に接続される集積回路3を備えている。集積回路3は弾性表面波型共振子2を振動させて所定の電圧波形を出力する。そして、発振モジュール1には上記に記載の弾性表面波型共振子2が用いられている。上記に記載の弾性表面波型共振子2は挿入損失の周波数特性における乱れを低減することができる振動子である。このとき、発振モジュール1は発振周波数の可変幅のばらつきを小さくできる。従って、発振モジュール1は発振周波数の可変幅のばらつきが小さい発振モジュールとすることができる。
(第2の実施形態)
次に、発振モジュール1を備える電子機器の一実施形態について図12の電子機器の構成を示す機能ブロック図を用いて説明する。
次に、発振モジュール1を備える電子機器の一実施形態について図12の電子機器の構成を示す機能ブロック図を用いて説明する。
すなわち、本実施形態では、図12に示すように電子機器60は、発振モジュール61、CPU65(Central Processing Unit)、操作部66、ROM67(Read Only Memory)、RAM68(Random Access Memory)、通信部69、表示部70を含んで構成されている。尚、本実施形態の電子機器60は、構成要素の一部を省略または変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
発振モジュール61は、発振回路62を備えている。発振回路62は、SAWフィルターを備えており、SAWフィルターの共振周波数に基づく周波数の発振信号を発生させる。
また、発振モジュール61は、発振回路62よりも後段にある逓倍回路63や出力回路64を備えていてもよい。逓倍回路63は、発振回路62が発生させた発振信号の周波数を逓倍した発振信号を発生させる。また、出力回路64は、逓倍回路63が発生させた発振信号あるいは発振回路62が発生させた発振信号をCPU65に出力する。発振回路62、逓倍回路63及び出力回路64は、それぞれ差動で動作してもよい。
CPU65は、ROM67等に記憶されているプログラムに従い、発振モジュール61から入力される発振信号をクロック信号として各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、CPU65は、操作部66からの操作信号に応じた各種の処理、外部装置とデータ通信を行うために通信部69を制御する処理、表示部70に各種の情報を表示させるための表示信号を送信する処理等を行う。
操作部66は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号をCPU65に出力する。
ROM67は、CPU65が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。
RAM68は、CPU65の作業領域として用いられ、ROM67から読み出されたプログラムやデータ、操作部66から入力されたデータ、CPU65が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。
通信部69は、CPU65と外部装置との間のデータ通信を成立させるための各種制御を行う。
表示部70は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、CPU65から入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。表示部70には操作部66として機能するタッチパネルが設けられていてもよい。
電子機器60は発振モジュール61に上記の発振モジュール1が用いられている。上記に記載の発振モジュール1は発振周波数の可変幅のばらつきが小さいモジュールである。従って、電子機器60は発振周波数の可変幅のばらつきが小さい発振モジュール1を備えた電子機器とすることができる。そして、発振周波数の可変幅のばらつきが小さい発振モジュール1を用いることにより発振モジュール61の発振周波数を調整し易い電子機器を実現することができる。
このような電子機器60としては種々の電子機器が考えられ、例えば、光ファイバー等を用いた光伝送装置等のネットワーク機器、放送機器、人工衛星や基地局で利用される通信機器、GPS(Global Positioning System)モジュール、パーソナルコンピューターが挙げられる。パーソナルコンピューターには、例えば、モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター、タブレット型パーソナルコンピューターが挙げられる。他にも、このような電子機器60としてはスマートフォンや携帯電話機等の移動体端末、ディジタルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えば、インクジェットプリンター)が挙げられる。他にも、このような電子機器60としてはルーターやスイッチ等のストレージエリアネットワーク機器、ローカルエリアネットワーク機器、移動体端末基地局用機器が挙げられる。他にも、このような電子機器60としてはテレビ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、リアルタイムクロック装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ゲーム用コントローラー、ワードプロセッサーが挙げられる。他にも、このような電子機器60としてはワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS(Point Of Sale)端末が挙げられる。他にも、このような電子機器60としては医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)が挙げられる。他にも、このような電子機器60としてはフライトシミュレーター、ヘッドマウントディスプレイ、モーショントレース、モーショントラッキング、モーションコントローラー、PDR(歩行者位置方位計測)等が挙げられる。
本実施形態の電子機器60の一例として、上述した発振モジュール61を基準信号源として用いて、例えば、端末と有線または無線で通信を行う端末基地局用装置等として機能する伝送装置が挙げられる。発振モジュール61として、例えば、上記に記載の発振モジュール1を適用することにより、例えば通信基地局等に利用可能な、従来よりも周波数精度の高い、高性能、高信頼性を所望される電子機器60を実現することも可能である。
また、本実施形態の電子機器60の他の一例として、通信部69が外部クロック信号を受信し、CPU65(処理部)が、当該外部クロック信号と発振モジュール61の出力信号とに基づいて、発振モジュール61の周波数を制御する周波数制御部と、を含む、通信装置であってもよい。
(第3の実施形態)
次に、発振モジュール1を備える移動体の一実施形態について図13の移動体の構成を示す平面図を用いて説明する。
次に、発振モジュール1を備える移動体の一実施形態について図13の移動体の構成を示す平面図を用いて説明する。
すなわち、本実施形態では、図13に示すように移動体80は、発振モジュール81、エンジンシステムの制御を行う第1コントローラー82、ブレーキシステムの制御を行う第2コントローラー83、キーレスエントリーシステムの制御を行う第3コントローラー84、バッテリー85、バックアップ用バッテリー86を含んで構成されている。尚、移動体80は、図中の各構成要素の一部を省略してもよく、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
発振モジュール81は、SAWフィルターを備えた発振回路を備えており、SAWフィルターの共振周波数に基づく周波数の発振信号を発生させる。
また、発振モジュール81は、発振回路よりも後段にある逓倍回路や出力回路を備えていてもよい。逓倍回路は、発振回路が発生させた発振信号の周波数を逓倍した発振信号を発生させる。また、出力回路は、逓倍回路が発生させた発振信号あるいは発振回路が発生させた発振信号を出力する。発振回路、逓倍回路及び出力回路は、それぞれ差動で動作してもよい。
発振モジュール81が出力する発振信号は、第1コントローラー82、第2コントローラー83、第3コントローラー84に供給され、例えばクロック信号として用いられる。
バッテリー85は、発振モジュール81及び第1コントローラー82、第2コントローラー83、第3コントローラー84に電力を供給する。バックアップ用バッテリー86は、バッテリー85の出力電圧が閾値よりも低下した時、発振モジュール81及び第1コントローラー82、第2コントローラー83、第3コントローラー84に電力を供給する。
移動体80には発振モジュール81に上記の発振モジュール1が用いられている。上記に記載の発振モジュール1は発振周波数の可変幅のばらつきが小さいモジュールである。従って、移動体80は発振周波数の可変幅のばらつきが小さい発振モジュール1を備えた移動体とすることができる。そして、発振周波数の可変幅のばらつきが小さい発振モジュール1を用いることにより発振モジュール81の発振周波数を調整し易い移動体を実現することができる。
このような移動体80としては種々の移動体が考えられ、例えば、自動車(電気自動車も含む)、ジェット機やヘリコプター等の航空機、船舶、ロケット、人工衛星等が挙げられる。
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aの穴部34には第1方向26に並んで1列の穴34aが配置された。穴34aの配列は1列に限らず複数列でも良い。このときにも、第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25は第2方向27に進行する弾性表面波の影響を低減させることが期待できる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aの穴部34には第1方向26に並んで1列の穴34aが配置された。穴34aの配列は1列に限らず複数列でも良い。このときにも、第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25は第2方向27に進行する弾性表面波の影響を低減させることが期待できる。
(変形例2)
前記第1の実施形態では、第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aに並ぶ穴部34における穴34aの個数が電極指29の個数より多くなっていた。第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の穴部34に並ぶ穴34aの個数は電極指29の個数と同じでも良く、電極指29の個数より少なくても良い。
前記第1の実施形態では、第1バスバー電極22a、第2バスバー電極23a、第3バスバー電極24a、及び第4バスバー電極25aに並ぶ穴部34における穴34aの個数が電極指29の個数より多くなっていた。第1櫛形電極22、第2櫛形電極23、第3櫛形電極24、第4櫛形電極25の穴部34に並ぶ穴34aの個数は電極指29の個数と同じでも良く、電極指29の個数より少なくても良い。
他にも、上記の実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)でも良い。さらに、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成にしても良い。さらに、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成にしても良い。また、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成にしても良い。
1,61,81…発振モジュール、2…弾性表面波型共振子、3…集積回路、15…圧電基板、22…第1櫛形電極、23…第2櫛形電極、24…第3櫛形電極、25…第4櫛形電極、26…第1方向、27…第2方向、29…電極指、34…穴部、35…第1電極部、36…第2電極部、60…電子機器、80…移動体。
Claims (6)
- 弾性表面波を利用した弾性表面波型共振子であって、
圧電基板と、
前記圧電基板にそれぞれ設置された第1櫛形電極と、第2櫛形電極と、第3櫛形電極と、第4櫛形電極と、を備え、
前記第1櫛形電極は、第1方向に延びている第1バスバー電極及び前記第1バスバー電極と接続し前記第1方向と交差する第2方向に延びている複数の電極指を含み、
前記第2櫛形電極は、第1方向に延びている第2バスバー電極及び前記第2バスバー電極と接続し前記第2方向に延びている複数の電極指を含み、
前記第3櫛形電極は、第1方向に延びている第3バスバー電極及び前記第3バスバー電極と接続し前記第2方向に延びている複数の電極指を含み、
前記第4櫛形電極は、第1方向に延びている第4バスバー電極及び前記第4バスバー電極と接続し前記第2方向に延びている複数の電極指を含み、
前記第1櫛形電極の前記電極指及び前記第2櫛形電極の前記電極指は、前記第2方向にて前記第1バスバー電極と前記第2バスバー電極との間に配置され、
前記第1櫛形電極の前記電極指と前記第2櫛形電極の前記電極指とは前記第1方向にて交互に配置され、
前記第3櫛形電極の前記電極指及び前記第4櫛形電極の前記電極指は、前記第2方向にて前記第3バスバー電極と前記第4バスバー電極との間に配置され、
前記第3櫛形電極の前記電極指と前記第4櫛形電極の前記電極指とは前記第1方向にて交互に配置され、
前記第1バスバー電極、前記第2バスバー電極、前記第3バスバー電極、及び前記第4バスバー電極は穴部を有する形状であり、
前記弾性表面波の波長をλとするとき、
前記第1櫛形電極、前記第2櫛形電極、前記第3櫛形電極、及び前記第4櫛形電極の厚さTが、0<T≦0.047×λを満たすことを特徴とする弾性表面波型共振子。 - 請求項1に記載の弾性表面波型共振子であって、
前記第1櫛形電極、前記第2櫛形電極、前記第3櫛形電極及び前記第4櫛形電極の厚さTが、0.01×λ≦Tを満たすことを特徴とする弾性表面波型共振子。 - 請求項1または2に記載の弾性表面波型共振子であって、
前記第1バスバー電極、前記第2バスバー電極、前記第3バスバー電極、及び前記第4バスバー電極はそれぞれ、前記第2方向において前記穴部を挟むように配置され前記第1方向に延びている第1電極部及び第2電極部を備えることを特徴とする弾性表面波型共振子。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の弾性表面波型共振子と、
前記弾性表面波型共振子と電気的に接続される集積回路と、を備えることを特徴とする発振モジュール。 - 請求項4に記載の発振モジュールを備えることを特徴とする電子機器。
- 請求項4に記載の発振モジュールを備えることを特徴とする移動体。
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-
2017
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