JP2019102710A - マスク一体型表面保護テープ - Google Patents

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Abstract

【課題】プラズマダイシング方式に用いるマスク一体型表面保護テープであって、適度な硬さを有し装置汚染を生じにくく、半導体ウェハのパターン面への密着性に優れ、かつ当該パターン面との剥離性にも優れ、また表面保護テープとの間の良好な剥離性も実現することができるマスク一体型表面保護テープを提供する。【解決手段】少なくとも基材フィルム3aと基材フィルム上に設けられたマスク材層3bとを有するマスク一体型表面保護テープ3であって、マスク一体型表面保護テープのマスク材層側を半導体ウェハ1に貼合し、続いてマスク一体型表面保護テープを剥離したときに、半導体ウェハとマスク材層との界面で剥離され、マスク一体型表面保護テープのマスク材層側を半導体ウェハに貼合し、剥離誘起処理を施して、マスク一体型表面保護テープを剥離したときに、マスク材層と基材フィルムとの界面で剥離される。【選択図】図2

Description

本発明は、マスク一体型表面保護テープに関する。
最近の半導体チップの薄膜化・小チップ化への進化はめざましく、特に、メモリカードやスマートカード等の半導体ICチップが内蔵されたICカードでは薄膜化が要求され、また、LED・LCD駆動用デバイスなどでは小チップ化が要求されている。今後これらの需要が増えるにつれ半導体チップの薄膜化、小チップ化のニーズはより一層高まるものと考えられる。
これらの半導体チップは、半導体ウェハをバックグラインド工程やエッチング工程等において所定の厚さに薄膜化した後、ダイシング工程を経て個々のチップに分割して得られる。以下、半導体ウェハを単にウェハということもある。ダイシング工程には、種々のダイシング方式が知られている。その一つに、プラズマダイシング方式がある(例えば、特許文献1参照)。プラズマダイシング方式は、マスクで覆っていない箇所をプラズマで選択的にエッチングすることで、半導体ウェハを分割する方法である。このダイシング方式を用いると、選択的にチップの分断が可能であり、スクライブラインが曲がっていても問題なく分断できる。また、エッチングレートが非常に高いことから近年ではチップの分断に最適なプロセスの一つとされてきた。
特開2007−19385号公報
プラズマダイシング方式では、一般的に、六フッ化硫黄(SF)や四フッ化炭素(CF)など、シリコンウェハとの反応性が非常に高いフッ素系のガスをプラズマ発生用ガスとして用いて、シリコンに対して高いエッチングレートを得ている。そのため、エッチングしない面に対してマスクによる保護が必須であり、事前のマスク形成が必要となる。
マスク形成には、特許文献1に記載のように、ウェハの表面にレジストを塗布した後、フォトリソグラフィプロセスによってストリートに相当する部分のレジスト膜を除去してマスクとする技術が一般的に用いられる。そのため、フォトリソグラフィ工程設備が必要であり、全体の処理プロセスが長くなっていた。
これに対して、レジストによるマスク形成を必要としない、プラズマダイシング用のマスク一体型表面保護テープが用いるプラズマダイシング方式がある。この方式では、詳細は後述するが、基材フィルム(表面保護テープ)にマスク材層を積層した構成のテープを用いる。マスク材層側をウェハ表面に貼着させ、ウェハの裏面研削を行った後、基材フィルムを剥がしてマスク材層を露出させる。その後、ダイシングする部分のマスク材をレーザーカットし、プラズマダイシングを行う。
半導体チップの厚さは、近年ますます薄くなる傾向にある。それゆえ、マスク一体型表面保護テープを用いてウェハのパターン面を保護し、ウェハの裏面を研削して薄膜化するに当たっては、マスク材層には基材フィルムと一体となって半導体ウェハのパターン層に良好に密着し、パターン層を効果的に保護できる特性が求められる。他方、半導体ウェハの裏面研削後には、マスク材層を表面に露出させるために基材フィルムをマスク材層から剥離する。したがって、マスク材層には基材フィルムに対する易剥離性も求められる。
さらにこのマスク材層は、SFプラズマ等からウェハを保護し、かつ、プラズマダイシング後(ウェハの分割後)には、Oプラズマ等によってウェハ表面から確実に除去できる特性も求められる。
また、マスク一体型表面保護テープをウェハのパターン面に適正に貼合できなかった場合には、パターン面に貼り合わせたマスク一体型表面保護テープをマスク材ごと一度剥がし、再度貼り直す必要が生じる。その際には、半導体ウェハ表面からマスク材層を糊残りなく剥がすことができる、パターン面に対する再剥離性も求められる。
つまり、マスク材層にはパターン面との強固な密着性を実現しながらも、このパターン面からの剥離性も良好な特性とすることが求められる。
また、セパレータや貼合装置にマスク材の構成材料が移行してしまうと設備の汚染に繋がる。したがって、マスク材層には一定の硬さ(まとまり)も求められる。
従って、本発明は、プラズマダイシング方式に用いるマスク一体型表面保護テープであって、適度な硬さを有し装置汚染を生じにくく、半導体ウェハのパターン面への密着性に優れ、かつ当該パターン面との剥離性にも優れ、また表面保護テープとの間の良好な剥離性も実現することができるマスク一体型表面保護テープを提供することを課題とする。
本発明の上記課題は以下の手段によって解決される。
[1]
少なくとも基材フィルムと該基材フィルム上に設けられたマスク材層とを有するマスク一体型表面保護テープであって、
(1)前記マスク一体型表面保護テープのマスク材層側を半導体ウェハに貼合し、続いて前記マスク一体型表面保護テープを剥離したときに、前記半導体ウェハと前記マスク材層との界面で剥離され、
(2)前記マスク一体型表面保護テープのマスク材層側を半導体ウェハに貼合し、剥離誘起処理を施した後、前記マスク一体型表面保護テープを剥離したときに、前記マスク材層と前記基材フィルムとの界面で剥離される
マスク一体型表面保護テープ。
[2]
前記剥離誘起処理が放射線照射である[1]に記載のマスク一体型表面保護テープ。
[3]
前記マスク材層が、ベース樹脂と、単官能重合性化合物とを少なくとも含む[1]又は[2]に記載のマスク一体型表面保護テープ。
[4]
少なくとも基材フィルムと該基材フィルム上に設けられたマスク材層とを有するマスク一体型表面保護テープであって、前記マスク材層が、ベース樹脂と単官能重合性化合物とを少なくとも含む、マスク一体型表面保護テープ。
[5]
前記マスク材層が、前記ベース樹脂として(メタ)アクリル共重合体を含み、該ベース樹脂100質量部に対して、前記単官能重合性化合物の量が20〜100質量部である[3]又は[4]に記載のマスク一体型表面保護テープ。
[6]
前記ベース樹脂のエチレン性不飽和基濃度が0.5meq/g以下である[3]〜[5]のいずれか1項に記載のマスク一体型表面保護テープ。
[7]
プラズマダイシングに使用される[1]〜[6]のいずれか1項に記載のマスク一体型表面保護テープ。
[8]
下記工程(a)〜(e)を含む半導体チップの製造に用いられる[1]〜[7]のいずれか1項に記載のマスク一体型表面保護テープ。
〔工程〕
(a)前記マスク一体型表面保護テープのマスク材層側を半導体ウェハのパターン層側に貼り合せた状態で、該半導体ウェハの裏面を研削する工程、
(b)マスク一体型表面保護テープの剥離誘起処理を行う工程、
(c)前記マスク一体型表面保護テープから、マスク剤層を半導体ウェハパターン層側に残した状態で、基材フィルムを剥離する工程、
(d)前記表面に露出させたマスク材層を、該マスク材層のうち半導体ウェハのストリートに相当する部分をレーザー光照射により切断して半導体ウェハのストリートを開口する工程、
(e)プラズマガスにより前記半導体ウェハを前記ストリートに沿って分断して半導体チップに個片化するプラズマダイシング工程。
[9]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載のマスク一体型表面保護テープを用いることを特徴とする半導体チップの製造方法。
本発明のマスク一体型表面保護テープは、マスク材層が適度な硬さを有し装置汚染を生じにくく、また、このマスク材層は半導体ウェハのパターン面への密着性に優れ、当該パターン面との剥離性にも優れ、さらに基材フィルムとの間の良好な剥離性も実現することができる。
本発明のマスク一体型表面保護テープの模式的な概略断面図である。 本発明のマスク一体型表面保護テープを半導体ウェハへ貼合するまでの工程を説明する概略断面図である。図2(A)はパターン層を有する半導体ウェハを示し、図2(B)はマスク一体型表面保護テープを貼合する工程を示し、図2(C)はマスク一体型表面保護テープを貼合した半導体ウェハを示す。 本発明のマスク一体型表面保護テープを使用する半導体ウェハの薄膜化と固定までの工程を説明する概略断面図である。図3(A)は半導体ウェハの薄膜化処理を示し、図3(B)はウェハ固定テープを貼合する工程を示し、図3(C)は半導体ウェハをリングフレームに固定した状態を示す。 本発明のマスク一体型表面保護テープを使用するマスク形成までの工程を説明する概略断面図であり、図4(A)はマスク一体型表面保護テープからマスク材層を残して基材フィルムを引き剥がす工程を示し、図4(B)はマスク一体型表面保護テープのマスク材層が剥き出しになった状態を示し、図4(C)はレーザーでストリートに相当するマスク材層を切除する工程を示す。 本発明のマスク一体型表面保護テープを使用するプラズマダイシングとプラズマアッシングの工程を説明する概略断面図であり、図5(A)はプラズマダイシングを行う工程を示し、図5(B)はチップに個片化された状態を示し、図5(C)はプラズマアッシングを行う工程を示す。 本発明のマスク一体型表面保護テープを使用するチップをピックアップするまでの工程を説明する概略断面図であり、図6(A)はマスク材層が除去された状態を示し、図6(B)はチップをピックアップする工程を示す。
本発明のマスク一体型表面保護テープは、半導体ウェハの研削による薄膜化工程においてはウェハのパターン面を保護し、また、続くプラズマダイシングにおいては半導体チップのパターン面をプラズマ照射から保護するマスク機能を担うことができる。
本発明のマスク一体型表面保護テープの層構成、使用方法について、好ましい形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明のマスク一体型表面保護テープ3は、少なくとも基材フィルム3aとマスク材層3bを有する。基材フィルム3aは後述するように、表層基材3aaと粘着剤層3abを有する複層構造であることも好ましい(図2(B)参照)。
マスク一体型表面保護テープは、半導体ウェハを加工する際に用いられ、半導体ウェハの裏面研削の際に、パターン層(表面)を保護するために、当該パターン層に貼り合わせて用いる。そのため、マスク一体型表面保護テープはパターン層に形成される素子を被覆する厚さがあって、その押圧抵抗は低く、また、研削時のダストや研削水などの浸入が起こらないように素子を密着できる密着性が高いものである。
さらにマスク一体型表面保護テープ3は、裏面研削後、そのままプラズマダイシング方式に適用することができ、パターン面をプラズマから効果的に保護するマスク機能を担うことができる。本発明のマスク一体型表面保護テープ3は、プラズマダイシング方式においてフォトリソグラフィプロセスを不要とすることができる。
マスク一体型表面保護テープは、好ましくは、少なくとも下記工程(a)〜(e)を含む半導体チップの製造に用いられる。
すなわち、本発明のマスク一体型表面保護テープは、下記工程(a)〜(e)を含む半導体チップの製造用のマスク一体型表面保護テープである。
〔工程(a)〜(e)〕
(a)マスク一体型表面保護テープのマスク材層側を半導体ウェハのパターン層側に貼り合せた状態で、半導体ウェハの裏面を研削する工程、
(b)マスク一体型表面保護テープの剥離誘起処理を行う工程、
(c)マスク一体型表面保護テープから、マスク材層を半導体ウェハのパターン層側に残した状態で、基材フィルムを剥離する工程、
(d)表面に露出させたマスク材層を、該マスク材層のうち半導体ウェハのストリートに相当する部分をレーザー光照射により切断して半導体ウェハのストリートを開口する工程、
(e)プラズマガスにより半導体ウェハをストリートで分断して半導体チップに個片化するプラズマダイシング工程。
本発明のマスク一体型表面保護テープが適用される上記半導体チップの製造方法は、上記工程(e)の後、下記工程(f)を含むことが好ましい。また下記工程(f)の後に下記工程(g)を含むことが好ましく、さらに工程(g)の後に下記工程(h)を含むことが好ましい。
(f)Oプラズマにより前記マスク材層を除去する工程、
(g)ウェハ固定テープから半導体チップをピックアップする工程、
(h)ピックアップした半導体チップをダイボンディング工程に移行する工程。
以下に、本発明のマスク一体型表面保護テープが使用される用途としての半導体チップの製造方法に適用される工程(a)〜(e)を含め、詳細に説明する。
本発明のマスク一体型表面保護テープを用いた半導体チップの製造方法(以下、単に「本発明が適用される製造方法」という。)について、その好ましい実施形態を、図面を参照して以下に説明する。本発明で規定されること以外は下記実施形態に限定されるものではない。また、各図面に示される形態は、本発明の理解を容易にするための模式図であり、各部材のサイズ、厚さ、ないしは相対的な大小関係等は説明の便宜上大小を変えている場合があり、実際の関係をそのまま示すものではない。また、本発明で規定する事項以外はこれらの図面に示された外形、形状に限定されるものでもない。
なお、下記の実施形態に用いる装置および材料等は、特に断りのない限り、従来から半導体ウェハの加工に用いられている通常の装置および材料等を使用することができ、その使用条件も通常の使用方法の範囲内で目的に応じて適宜に設定、好適化することができる。また、各実施形態で共通する材質、構造、方法、効果などについては重複記載を省略する。
本発明のマスク一体型表面保護テープが適用される製造方法を図2〜図6を参照して説明する。
半導体ウェハ1は、その表面S側に半導体素子の回路などが形成されたパターン層2を有している(図2(A)参照)。このパターン層2に、表層基材3aaに粘着剤層3abを介してマスク材層3bを設けた本発明のマスク一体型表面保護テープ3を矢印DA方向に向かって貼合する(図2(B)参照)。こうして、パターン層2が本発明のマスク一体型表面保護テープ3で被覆された半導体ウェハ1を得る(図2(C)参照)。
なお、図2には、基材フィルム3aが表層基材3aaと粘着剤層3abからなる2層構造である形態を示しているが、基材フィルム3aの層構成は特に制限されず、例えば単層構造であることも好ましい。
次に、ウェハ研削装置M1を用いて、例えば矢印DB方向に研削砥石を回転させて半導体ウェハ1の裏面Bを研削し、半導体ウェハ1の厚さを薄くする(図3(A)参照)。その研削した裏面Bには、ウェハ固定テープ4を矢印DC方向に向かって貼り合わせる(図3(B)参照)。そして、ウェハ固定テープ4をリングフレームFに支持固定する(図3(C)参照)。
マスク一体型表面保護テープ3に、UV照射等の剥離誘起処理を施した後(図示せず)、基材フィルム3aをマスク材層3bから剥離するとともにそのマスク材層3bは半導体ウェハ1に残して(図4(A)参照)、マスク材層3bを剥き出しにする(図4(B)参照)。そして、表面Sの側からパターン層2に格子状等に適宜形成された複数のストリート(図示せず)に対してCOレーザー光Lを照射して、マスク材層3bのストリートに相当する部分を除去し、半導体ウェハ1のストリート1Sを開口する(図4(C)参照)。
マスク材層3bを切断するレーザー光照射には、紫外線または赤外線のレーザー光を照射するレーザー照射装置を用いることができる。このレーザー光照射装置は、半導体ウェハ1のストリートに沿って移動自在にレーザー光照射部が配設されており、マスク材層3bを除去するために適切に制御された出力のレーザー光を照射できる。
なお、レーザー光はCOレーザー光に限定されるものではなく、なかでもYAGレーザー光の第3高調波である波長355nmや第4高調波である波長266nmの紫外線領域のレーザー光は各種材質に対して吸収率が非常に高く、熱ストレスをかけない。そのため、高品質を求められる微細レーザー加工に使用され、ビーム径が長波長レーザーと比べ絞れるため、より微細な加工が可能であり、本発明に好適に利用できる。
次に、表面S側からSFガスのプラズマP1による処理を行いストリート1S部分で剥き出しになった半導体ウェハ1をエッチングし(図5(A)参照)、個々のチップ7に分割して個片化する(図5(B)参照)。次いでOガスプラズマP2によってマスク材層3bをアッシングし(図5(C)参照)、表面Sに残ったマスク材層3bを除去して、チップ7の個片化した半導体ウェハ1上のパターン層2を露出させる(図6(A)参照)。そして最後に個片化されたチップ7をピンM2により突き上げコレットM3により吸着して矢印DD方向にピックアップする(図6(B)参照)。図5(A)及び(B)の矢印DF、DGは、各プラズマ照射の方向を示す。
SFガスを用いた半導体ウェハのSiのエッチングプロセスはBOSCHプロセスとも呼ばれる。このプロセスは露出したSiと、SFをプラズマ化して生成したF原子とを反応させ、四フッ化ケイ素(SiF)として除去するものであり、リアクティブ(反応性)イオンエッチング(RIE)とも呼ばれる。一方、Oプラズマによる除去は、半導体製造プロセス中ではプラズマクリーナーとしても用いられる方法であり、アッシング(灰化)とも呼ばれ、対有機物除去の手法の一つである。一般的に、半導体デバイス表面に残った有機物残渣をクリーニングするために行われる。
次に、マスク一体型表面保護テープ3で使用する材料および上記工程で使用する材料について説明する。
なお、マスク一体型表面保護テープ3で使用する材料以外に上記工程で使用する材料は、下記に説明するものに限定されるものではない。
半導体ウェハ1は、片面に半導体素子の回路などが形成されたパターン層2を有するシリコンウェハなどであり、パターン層2は、半導体素子の回路などが形成された面であって、平面視においてストリートを有する。
本発明のマスク一体型表面保護テープ3は、基材フィルム3a上にマスク材層3bが設けられた構成を有し、パターン層2に形成された半導体素子を保護する機能を有する。すなわち、後工程のウェハ薄膜化工程(裏面研削工程)ではパターン層2で半導体ウェハ1を支持してウェハの裏面が研削されるために、マスク一体型表面保護テープ3はこの研削時の負荷に耐える必要がある。そのため、マスク一体型表面保護テープ3は、単なるレジスト膜等とは異なり、パターン層2に形成される素子を被覆するだけの厚さがあって、その押圧抵抗は低い。またマスク一体型表面保護テープ3は、研削時のダストや研削水などの浸入が起こらないように素子を密着できるだけの密着性が高いものである。
<基材フィルム>
基材フィルム3aは単層構成でも、複数の層が積層した積層体であってもよい。複層構造の場合、例えば、表層を構成する表層基材3aa上に、粘着剤層3abが設けられた形態とすることができる。
基材フィルム3aを構成する樹脂もしくはポリマー成分は、従来の半導体ウェハ加工用表面保護テープで使用される樹脂もしくはポリマー成分が用いられる。例えば、ポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂が挙げられる。さらには、(メタ)アクリル樹脂に加え、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ゴム類が挙げられ、これらを単体もしくは2種以上を混合させたものでも構わない。
また、表面保護テープ3aを構成する樹脂ないしポリマーは、硬化剤で硬化された形態であってもよい。例えば、水酸基を有するアクリル酸エステルをモノマーとして用いて重合体((メタ)アクリル樹脂)を合成し、これにポリイソシアネート化合物を混合して反応させたものを基材フィルム(好ましくは複層構造の基材フィルムの粘着剤層)とすることにより、基材フィルム3aの粘着力、凝集力等を適宜に調整することが可能になる。
基材フィルム3aは、マスク材層3bと共に、パターン層2に形成される素子の凹凸を吸収してパターン層2との密着性を高め、パターン層2を保護する役割を担う。基材フィルム3aは、ウェハ薄膜化工程の負荷に耐える観点からは、マスク材層3bとの密着性は高い方が好ましい。他方、ウェハ薄膜化工程後においては、マスク材層を露出させる必要があるため、マスク材層3bからの易剥離性も求められる。この相反する特定の両立は、例えば後述するように、マスク材層3bを特性組成の剥離誘起型(好ましくは放射線硬化型)樹脂とすることにより実現することができる。
基材フィルム3aの好ましい一実施形態において、基材フィルム3aは表層基材3aaと粘着剤層3abとを有する積層構造であり、粘着剤層3abが(メタ)アクリル共重合体を含有する。この(メタ)アクリル共重合体は、上記のように硬化剤で粘着力、凝集力等が調整されていることも好ましい。
この(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量は、硬化剤と反応する前において、通常は30万〜100万程度である。
また、粘着剤層3abを構成する(メタ)アクリル共重合体は、(メタ)アクリル酸エステル成分の割合が70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。また、(メタ)アクリル系共重合体中、(メタ)アクリル酸エステル成分の割合が100モル%でない場合、残部のモノマー成分は(メタ)アクリロイル基を重合性基として重合した形態で存在する成分(例えば(メタ)アクリル酸等)であることが好ましい。
本発明では、基材フィルム3aの厚さは、強度、伸度、放射線透過性の観点から20〜200μmが好ましい。ウェハ表面にバンプ突起を有する場合には、凹凸追従性の観点から、基材フィルム3aの厚さは100〜1000μmが好ましい。
<マスク材層>
マスク材層3bは、プラズマダイシング工程でのSFなどのプラズマ照射によるエッチング(ダイシング)から、半導体ウェハ表面を保護できる特性を有する。また開口工程で除去された半導体ウェハのストリート部分のみを選択的にエッチング(ダイシング)して、半導体ウェハの高精度な分割を可能とするエッチングマスクとしての機能を有する層である。さらに半導体ウェハ表面のパターン層表面に貼り合わせて使用されるため、通常の半導体ウェハ加工用表面保護テープにおける粘着剤層と同様に、ウェハのパターン面に対し、所望の十分な粘着性を有する。
本発明のマスク一体型表面保護テープは、ウェハ薄膜化工程の負荷に耐えてウェハのパターン面を保護できる必要がある。そのためマスク材層3bは、ウェハ薄膜化工程においてはウェハのパターン面との密着性に優れ、また基材フィルム3aとの密着性にも優れた特性とする必要がある。
他方、ウェハ薄膜化工程後においては、マスク材層3bから基材フィルム3aが剥離されてマスク材層が最表面に露出する必要がある。したがって、この段階ではマスク材層3bとウェハのパターン面との密着性は強固でありながら、マスク材層3bと基材フィルム3aとの間の易剥離性を実現する必要がある。このような特性を実現するために、マスク一体型表面保護テープのマスク材層3bは所望の粘着性を有する剥離誘起型(好ましくは放射線硬化型)とすることが好ましい。マスク材を剥離誘起型とすることにより、剥離誘起処理によって基材フィルム3aとマスク材層3bの密着力を減少させ、もしくは、マスク剤層3bとウェハパターン面の密着力を上昇させ、マスク材層3bからの基材フィルム3aの易剥離性を実現できる。なお、放射線硬化型における「放射線」とは紫外線のような光線や電子線のような電離性放射線の双方を含む意味に用いる。本発明では、放射線は紫外線が好ましい。剥離誘起処理としては、放射線照射の他、加熱処理、研削加工他による加圧処理、水やその他溶媒との化学反応、貼合後の経時による密着力変化などが挙げられ、それにより、半導体ウェハとマスク材との密着性を向上させたり、マスク材と基材フィルムとの密着性を低下させたりすることができる。
ここで、マスク材層を硬化すれば、一般的にはウェハ表面との密着性も低下するものと考えられる。しかし、本発明のマスク一体型表面保護テープは、マスク材層を特定の組成とすることにより、硬化後においてもマスク材層とウェハのパターン面との密着性を十分に保ち、もしくは当該密着性を向上させることができる。このマスク材層3bの組成について説明する。
本発明のマスク一体型表面保護テープにおいて、マスク材層3bは、ベース樹脂に加えて、エチレン性不飽和基(炭素−炭素二重結合)を分子内に1つだけ有する化合物(単官能重合性化合物とも称す。)を少なくとも有することが好ましい。このエチレン性不飽和基とは、放射線、特に紫外線で重合反応することが可能な反応性の基であり、後述する放射線重合性(メタ)アクリル系共重合体におけるエチレン性不飽和基が好ましい態様である。
単官能重合性化合物としては、単官能アクリレート化合物が好ましい。
単官能重合性化合物の分子量は、100,000以下であり、200〜10,000が好ましく、200〜3,000がより好ましく、200〜1,000であってもよい。
単官能アクリレート化合物としては、(メタ)アルキルアクリレート化合物、ウレタン単官能アクリレート化合物、エステル単官能アクリレート化合物、エポキシ単官能アクリレート化合物などがあり、具体的には、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ジフェニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルアクリレート、フェノキシエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。
マスク材層がベース樹脂に加えて単官能重合性化合物を含むことで、放射線照射等により硬化する前においては十分に高い粘着力を実現でき、ウェハのパターン面や基材フィルムに対し、強固に密着することが可能となる。他方、放射線照射によりマスク材層を硬化した後においては、基材フィルムに対する密着性は低下させることができるが、ウェハのパターン面に対する密着力は十分に保つことができる、つまり、硬化後においてもマスク材層3bの、ウェハのパターン面への密着を十分に保つことができる。この理由は定かではないが、硬化によってマスク材層の表面自由エネルギーが半導体ウェハの表面自由エネルギーに近づくことなどが一因と考えられる。
マスク材層に使用されるベース樹脂は、(メタ)アクリル共重合体を含むことが好ましい。
なお、本発明および本明細書では、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」を総称するもので、「アクリル」、「メタクリル」のいずれか一方であっても、これらの混合であっても構わない。例えば、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの一方又は両方を意味するものである。
なお、(メタ)アクリル共重合体を含有するとは、(メタ)アクリル共重合体が硬化剤と反応した状態で存在する形態を含む意味である。
(メタ)アクリル共重合体は、異なった(メタ)アクリル酸エステルの2種以上の共重合体であっても、(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アミドを含むエチレン性不飽和基を有するモノマーとの共重合体であっても構わない。
エチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、上記以外に、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、ビニルアルコール、酢酸ビニル、塩化ビニル、マレイン酸(エステル、酸無水物も含む)などが挙げられる。
本発明では、(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸から選択されるモノマーの共重合体が、より好ましい。また、1種類の共重合体であっても複数の共重合体の混合物であっても構わない。
また、ベース樹脂はエチレン性不飽和基を有することも好ましい。この場合、ベース樹脂中のエチレン性不飽和基濃度は、0.5meq/g以下が好ましく、0.1〜0.4meq/gがより好ましく、0.2〜0.3meq/gがさらに好ましい。
なかでも、(メタ)アクリル共重合体がエチレン性不飽和基を有していることが好ましい。
このように、ベース樹脂がエチレン性不飽和基を一定量有することにより、レーザーカット性をより高めることができる。また、単官能重合性化合物の作用と相俟って、硬化後、ウェハから基材を剥離するときにマスク材層ごとウェハから剥離してしまう現象をより効果的に抑えることが可能となる。
ベース樹脂中へのエチレン性不飽和基の導入は、例えば、ヒドロキシ基を有するベース樹脂と、ヒドロキシ基と反応する基(例えば、イソシアネート基)とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応させることにより行うことができる。このような化合物としては、代表的には、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられる。
放射線によりマスク材層3bを重合硬化させる場合には、光重合開始剤、例えばイソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、クロロチオキサントン、ベンジルメチルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等を用いることができる。これらのうち少なくとも1種類をマスク材層に添加することにより、効率よく重合反応を進行させることができる。
上記マスク材層3bは、さらに光増感剤、従来公知の粘着付与剤、軟化剤、酸化防止剤等を含有していてもよい。また、紫外線吸収剤を含有することも好ましい。紫外線吸収剤としては、トリアジン骨格、ベンゾフェノン骨格、ベンゾトリアゾール骨格、又はベンゾエート骨格を有する紫外線吸収剤が好ましい。
マスク材層は上述のように、ベース樹脂として(メタ)アクリル共重合体を含有することが好ましい。より好ましくは、ベース樹脂中に占める(メタ)アクリル共重合体の割合が80質量以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、ベース樹脂のすべてが(メタ)アクリル共重合体であることも好ましい。
また、マスク材層はベース樹脂100質量部に対して、単官能重合性化合物を20〜100質量部含有することが好ましい。上記の単官能重合性化合物の量は、ベース樹脂100質量部に対して20〜80質量部がより好ましく、20〜60質量部がさらに好ましい。上記の単官能重合性化合物の量が上記の範囲内にあることにより、放射線照射等の剥離誘起処理後、半導体ウェハ1表面に対するマスク材層3bの密着力をより高いレベルで確保することができ、マスク材層3bから基材フィルム3aを剥がす際に、マスク材層3bが半導体ウェハ1に十分に密着した状態をより確実に保つことができる。
また、硬化前においては十分な粘着力を実現し、かつ適度な硬さのマスク材層とすることができる、結果、ウェハ表面への密着性と、ウェハ表面からの易剥離性の両立を実現し、また装置汚染も生じにくい。
レーザーカット性、半導体ウェハ表面へのマスク材層の密着性、装置汚染の抑制の点から、マスク材層のエチレン性不飽和基の濃度は、0.1meq/g以上2.8meq/g以下であることが好ましく、0.5meq/g以上2.3meq/g以下であることがより好ましく、0.8meq/g以上1.8meq/g以下であることがさらに好ましい。
マスク材層3bの厚さは、パターン層2に形成された素子等の保護能をより高め、またパターン層への密着性をより高めること、およびマスク除去のアッシング処理時間短縮化の観点から、1〜100μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。なお、デバイスの種類にもよるが、パターン表面の凹凸は概ね数μm〜20μm程度、バンプ突起がある場合は数μm〜300μm程度である。
本発明のマスク一体型表面保護テープにおいて、パターン凹凸に追従させる部分の合計厚さは、半導体ウェハのパターン凹凸よりも大きいことが好ましい。ここで、パターン凹凸に追従させる部分とは、例えば、マスク一体型表面保護テープの貼合温度における1Hzの貯蔵弾性率が50MPa以下の層を指し、マスク材層、粘着剤層、加熱で軟化する樹脂層などが該当する。これにより、薄膜化裏面研削した半導体ウェハのパターン層への密着性をより高めることができる。
ウェハ固定テープ4は、半導体ウェハ1を保持し、プラズマダイシング工程にさらされても耐えうるプラズマ耐性が必要である。またピックアップ工程においては良好なピックアップ性や場合によってはエキスパンド性等も要求されるものである。
こうしたウェハ固定テープ4には、上記基材フィルム3aと同様のテープを用いることができる。また一般的にダイシングテープと称される従来のプラズマダイシング方式で利用される公知のダイシングテープを用いることができる。また、ピックアップ後のダイボンディング工程への移行を容易にするために、粘着剤層と基材フィルムとの間にダイボンディング用接着剤を積層したダイシングダイボンディングテープを用いることもできる。
マスク材層3bを切断するレーザー照射には、紫外線または赤外線のレーザー光を照射するレーザー照射装置を用いることができる。このレーザー光照射装置は、半導体ウェハ1のストリートに沿って移動自在にレーザー照射部が配設されており、マスク材層3bを除去するために適切に制御された出力のレーザーを照射できる。なかでもCOレーザーは数W〜数十Wの大出力を得ることが可能であり、本発明に好適に利用できる。
プラズマダイシングおよびプラズマアッシングを行うにはプラズマエッチング装置を用いることができる。プラズマエッチング装置は、半導体ウェハ1に対してドライエッチングを行い得る装置である。すなわち、真空チャンバ内に密閉処理空間をつくり、高周波側電極に半導体ウェハ1が載置され、その高周波側電極に対向して設けられたガス供給電極側からプラズマ発生用ガスが供給されるものである。高周波側電極に高周波電圧が印加されればガス供給電極と高周波側電極との間にプラズマが発生するため、このプラズマを利用する。発熱する高周波電極内には冷媒を循環させて、プラズマの熱による半導体ウェハ1の昇温を防止している。
上記半導体チップの製造方法によれば、パターン層を保護するマスク一体型表面保護テープにプラズマダイシングにおけるマスク機能を持たせたことで、従来のプラズマダイシングプロセスで用いられていたレジストを設けるためのフォトリソ工程等が不要となる。特に本発明のマスク一体型表面保護テープを用いると、マスクの形成に印刷や転写等の高度な位置合わせが要求される技術が不要で簡単に半導体ウェハ表面に貼合でき、レーザー加工装置により簡単にマスクを精度よく形成できる。
また、マスク材層3bをOプラズマで除去できるため、プラズマダイシングを行う装置と同じ装置でマスク部分の除去ができる。加えてパターン層2側(表面S側)からプラズマダイシングを行うため、ピッキング作業前にチップの上下を反転させる必要がない。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
[実施例1] マスク一体型表面保護テープの作製、半導体チップの製造
<マスク一体型表面保護テープの作製>
アクリル酸20mol%、ブチルアクリレート70mol%、メチルアクリレート10mol%を混合し、溶液中で重合することにより重量平均分子量40万のアクリル系共重合体を合成した。
この共重合体の溶液に該共重合体100質量部に対して、硬化剤として、TETRAD−X(三菱ガス化学株式会社製、エポキシ系硬化剤)を2.0質量部、コロネートL(日本ポリウレタン工業株式会社製、イソシアネート系硬化剤)を1.0質量部配合し基材フィルム形成用粘着剤組成物Aを得た。
メタクリル酸1.0mol%、2−エチルヘキシルアクリレート78mol%、2−ヒドロキシエチルアクリレート21mol%を混合し、溶液中で重合することにより重量平均分子量70万の(メタ)アクリル系共重合体溶液を得た。
得られた共重合体に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:カレンズMOI(登録商標)、昭和電工株式会社製)を反応させて付加することで、以下の物性のエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル共重合体(ベース樹脂)を得た。(重量平均分子量:70万、二重結合量:0.20meq/g)
このベース樹脂100質量部に対し、単官能アクリレートとしてアロニックス(登録商標)M−5700(商品名:東亞合成株式会社製)を10.0質量部、硬化剤としてコロネートL(商品名:日本ポリウレタン工業株式会社製、イソシアネート系硬化剤)を2.0質量部、光重合開始剤としてイルガキュア184(商品名:BASF社製)を5.0質量部、紫外線吸収剤としてLA−F70(株式会社ADEKA製、トリアジン骨格の紫外線吸収剤)を1.0質量部配合し、マスク材層形成用組成物Bを得た。
上記基材フィルム形成用粘着剤組成物Aを乾燥後の厚さが30μmとなるよう剥離ライナー上に塗工し、乾燥された粘着剤層(3ab)を厚さ100μmのLDPE(低密度ポリエチレン)フィルム(表層基材3aa)に貼り合せ、厚さ130μmの、剥離ライナー付複層基材フィルム3aを得た。
更に上記マスク材層形成用組成物Bを剥離ライナー上に乾燥後の厚さが10μm厚となるように塗工し、上記の剥離ライナー付複層基材フィルム3aの剥離ライナーを剥がして露出させた粘着剤層(基材フィルム形成用粘着剤組成物Aの層)表面にマスク材層(3b)を貼り合せることで、総厚140μmの紫外線硬化型のマスク材一体型表面保護テープ3を得た。
<半導体チップの製造>
ラミネータDR8500III(商品名:日東精機(株)社製)を用いて、スクライブライン(ストリート)付シリコンウェハ(直径8インチ)表面に、上記で得られた紫外線硬化型のマスク一体型表面保護テープを貼り合わせた。
その後、DGP8760(商品名:ディスコ(株)社製)を用いて、前記マスク一体型表面保護テープを貼り合わせた面とは反対の面(ウェハの裏面)を、ウェハの厚さが50μmになるまで研削した。研削後のウェハを、RAD−2700F(商品名:リンテック(株)社製)を用いて、ウェハ裏面側からダイシングテープ上にマウントし、リングフレームにて支持固定した。更に紫外線硬化型のマスク一体型テープ側から、高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmの紫外線を照射することで、マスク材層3bと基材フィルム3aとを剥離可能にし、ウェハ上にマスク材層3bのみを残した。
次にCOレーザーでスクライブライン上のマスク剤の除去し、スクライブラインを開口した。
その後、プラズマ発生用ガスとしてSFガスを用い、シリコンウェハを15μm/分のエッチング速度で5分間、マスク材層側からプラズマ照射した。このプラズマダイシングによりウェハを切断して個々のチップに分割した。次いでプラズマ発生用ガスとしてOガスを用い、1.5μm/分のエッチング速度で10分間アッシングを行い、マスク剤を除去した。その後、ダイシングテープ側から紫外線を照射し(照射量200mJ/cm)、ダイシングテープの粘着力を低減させ、チップをピックアップした。
上記実施例1において、ラミネータDR8500III(商品名:日東精機(株)社製)を用いて、スクライブライン(ストリート)付シリコンウェハ(直径8インチ)表面に、上記で得られた紫外線硬化型のマスク一体型表面保護テープを貼り合わせた。
その後、貼り合せたウェハから紫外線照射することなく、マスク一体型表面保護テープを剥離したところ、ウェハ上にマスク材層3bが残ることなく剥離できた。このマスク転写に係る評価基準については、後に詳述する。
[実施例2]
単官能アクリレートを20.0質量部にした以外は実施例1と同様にして評価した。
[実施例3]
単官能アクリレートを40.0質量部にした以外は実施例1と同様にして評価した。
[実施例4]
単官能アクリレートを60.0質量部にした以外は実施例1と同様にして評価した。
[実施例5]
単官能アクリレートを80.0質量部にした以外は実施例1と同様にして評価した。
[実施例6]
単官能アクリレートを100質量部にした以外は実施例1と同様にして評価した。
[実施例7]
マスク材形成用組成物B中のエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル共重合体の二重結合量を0.05meq/gにした以外は実施例3と同様の方法にて評価した。
[実施例8]
マスク材形成用組成物B中のエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル共重合体の二重結合量を0.10meq/gにした以外は実施例3と同様の方法にて評価した。
[実施例9]
マスク材形成用組成物B中のエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル共重合体の二重結合量を0.30meq/gにした以外は実施例3と同様の方法にて評価した。
[実施例10]
マスク材形成用組成物B中のエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル共重合体の二重結合量を0.40meq/gにした以外は実施例3と同様の方法にて評価した。
[比較例1]
マスク材層形成用組成物Bの調製において、単官能アクリレートを配合せず、カレンズMOIも配合しなかったこと以外は実施例1と同様の方法にて評価した。
紫外線照射後の表面保護テープでマスクがウェハに一部しか残らなかったので、レーザーカット以降の評価を実施しなかった。
[比較例2]
マスク材層形成用組成物Bの調製において、単官能アクリレートを配合しなかったこと以外は実施例1と同様の方法にて評価した。
紫外線照射後の表面保護テープでマスクがウェハに一部しか残らなかったので、レーザーカット以降の評価を実施しなかった。
[比較例3]
マスク材層形成用組成物B中のエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル共重合体(ベース樹脂)の二重結合量を0.60meq/gにし、かつ、ベース樹脂100質量部に対し、単官能アクリレート(アロニックス(登録商標)M−5700)を20.0質量部用いた以外は実施例1と同様にして評価した。
紫外線照射後、基材フィルムを剥離した際に、マスクがウェハに一部しか残らなかったので、レーザーカット以降の評価を実施しなかった。
[比較例4]
単官能アクリレートを150質量部にした以外は実施例1と同様の方法にて評価した。
ラミネータでの貼合時に貼合テーブル周辺部やローラーなどにマスク材層が付着し、装置汚染が確認されたため、その後の評価を実施しなかった。
<試験例1:紫外線照射前のマスク転写>
紫外線硬化型のマスク一体型表面保護テープを半導体ウェハに貼り合わせた後、貼り合せた半導体ウェハから紫外線照射することなく、マスク一体型表面保護テープのエッジ部分をつかんで、剥離した。
半導体ウェハには、厚さが725μm、8インチ径のシリコンウエハに、半導体ウエハの回路パターンおよび切断予定部位に設けられた溝を模した疑似段差を、ダイサーを用いて形成した。具体的には、回路パターンの段差を疑似的に形成するために、60μm幅で10μm深さのラインを5mm間隔で格子状に設けた。
上記紫外線照射前のマスク転写性の評価基準を以下に示す。
(紫外線照射前のマスク転写性の評価基準)
A:半導体ウェハ表面にマスク材層が残ることなく、マスク材層のすべてを剥離できた。
B:半導体ウェハ表面のエッジ部にマスク材層が残るが、問題なくマスク材層を剥離できた。
C:半導体ウェハ表面からマスク材層を剥離できなかった。
ここで、半導体ウェハ表面のエッジ部とは、ウェハエッジから10mm以内の範囲を指す。AまたはBの状態を合格とした。
<試験例2:紫外線照射後のマスク転写>
上記試験例1と同様にしてマスク一体型表面保護テープを半導体ウェハに貼り合わせた。
マスク一体型表面保護テープ側から高圧水銀ランプ(主波長365nm)を用いて500mJ/cmの紫外線を照射した。マスク一体型表面保護テープのエッジ部分をつかんで、剥離速度300mm/minおよび100mm/minの両方で剥離を行い、評価した。
上記紫外線照射後のマスク転写性の評価基準を以下に示す。
(紫外線照射後のマスク転写性の評価基準)
A:剥離速度が100mm/minのとき、剥離速度が300mm/minのときのいずれにおいても、半導体ウェハ表面にマスク材層がすべて残った。
B:剥離速度が300mm/minのときは、半導体ウェハ表面からマスク材層が剥離するが、剥離速度が100mm/minのときには、半導体ウェハ表面にマスク材層がすべて残った。
C:剥離速度が100mm/minのとき、剥離速度が300mm/minのときのいずれにおいても、半導体ウェハ表面からマスク材層が剥離してしまった。
AまたはBの状態を合格とした。
<試験例3:レーザーカット性>
各実施例および比較例において、上記紫外線照射後のマスク転写性の評価後、マスク材層に355nmのYAGレーザーを照射して、マスク材層のストリートに相当する部分を除去し、半導体ウェハのストリートを開口する際の切断性を下記評価基準により評価した。
ここで、平均出力2.5W、繰り返し周波数1kHzのYAGレーザーの第三高周波(355nm)をfθレンズによりシリコンウェハ表面に25μm径に集光して、ガルバノスキャナーによりレーザー光を照射した。
レーザー光の照射は、2.5mm/秒の速度でスキャンして、1ラインあたり1回のレーザー照射を繰り返すことで、マスク材層のストリートに相当する部分を除去し、半導体ウェハのストリートを開口する際の切断性を評価した。
上記レーザーカット性の評価基準を以下に示す。
(レーザーカット性の評価基準)
A:一様にレーザーカットすることができた。
B:デブリが生じる場合があるが、レーザーカットが可能であった。
C:マスク剤層が除去できず、ストリートを開口できなかった。
AまたはBの状態を合格とした。
試験例1〜3で得られた結果を下表に示す。
Figure 2019102710
Figure 2019102710
上記表1に示されるように、マスク材層が単官能重合性化合物を含まない場合には、紫外線照射後において、マスク一体型表面保護テープを半導体ウェハから剥離した際に、半導体ウェハ表面にマスク材層を残すことができなかった(比較例1)。この現象は、ベース樹脂自体にエチレン性不飽和基を導入しても改善しなかった(比較例2)
また、マスク材層が単官能重合性化合物を含有しても、ベース樹脂中のエチレン性不飽和基濃度が高すぎると、マスク一体型表面保護テープを半導体ウェハから剥離した際に、やはり半導体ウェハ表面にマスク材層を残すことができなかった(比較例3)。
また、マスク材層に含まれる単官能重合性化合物の量が多すぎる場合には、上述した通り、ラミネータでの貼合時に貼合テーブル周辺部やローラーなどにマスク材層が付着し、装置汚染が生じた(比較例4)。
これに対し、マスク材層がベース樹脂と共に単官能重合性化合物を含有し、かつ、ベース樹脂自体のエチレン性不飽和基を適量含有する形態とすることにより、紫外線照射前においてはマスク一体型表面保護テープを半導体ウェハから剥離した際に、マスク材層をウェハから剥離することができ、紫外線照射後においては、マスク一体型表面保護テープを半導体ウェハから剥離した際に、半導体ウェハ表面にマスク材層を残すことができた(実施例1〜10)。
1 半導体ウェハ
2 パターン層
3 マスク一体型表面保護テープ
3a 基材フィルム(表面保護テープ)
3aa 表層基材
3ab 粘着剤層
3b マスク材層
4 ウェハ固定テープ
7 チップ
S 表面
B 裏面
M1 ウェハ研削装置
M2 ピン
M3 コレット
F リングフレーム
L レーザー光(COレーザー光)
P1 SFガスのプラズマ
P2 Oガスのプラズマ
[1]
少なくとも基材フィルムと該基材フィルム上に設けられたマスク材層とを有するマスク一体型表面保護テープであって、
前記マスク材層が、ベース樹脂と単官能重合性化合物とを少なくとも含み、
前記ベース樹脂として(メタ)アクリル共重合体を含み、該ベース樹脂100質量部に対して、前記単官能重合性化合物の量が10〜60質量部であり、
前記ベース樹脂のエチレン性不飽和基濃度が0.1〜0.5meq/gであり、
(1)前記マスク一体型表面保護テープのマスク材層側を半導体ウェハに貼合し、剥離誘起処理を施す前に前記マスク一体型表面保護テープを剥離したときに、前記半導体ウェハと前記マスク材層との界面で剥離され、
(2)前記マスク一体型表面保護テープのマスク材層側を半導体ウェハに貼合し、剥離誘起処理を施した後、前記マスク一体型表面保護テープを剥離したときに、前記マスク材層と前記基材フィルムとの界面で剥離される
マスク一体型表面保護テープ。
[2]
前記剥離誘起処理が放射線照射である[1]に記載のマスク一体型表面保護テープ。

少なくとも基材フィルムと該基材フィルム上に設けられたマスク材層とを有するマスク一体型表面保護テープであって、前記マスク材層が、ベース樹脂と単官能重合性化合物と
を少なくとも含
前記ベース樹脂として(メタ)アクリル共重合体を含み、該ベース樹脂100質量部に対して、前記単官能重合性化合物の量が10〜60質量部であり、
前記ベース樹脂のエチレン性不飽和基濃度が0.1〜0.5meq/gであるマスク一体型表面保護テープ。

プラズマダイシングに使用される[1]〜[]のいずれか1項に記載のマスク一体型表面保護テープ。

下記工程(a)〜(e)を含む半導体チップの製造に用いられる[1]〜[]のいずれか1項に記載のマスク一体型表面保護テープ。
〔工程〕
(a)前記マスク一体型表面保護テープのマスク材層側を半導体ウェハのパターン層側に貼り合せた状態で、該半導体ウェハの裏面を研削する工程、
(b)マスク一体型表面保護テープの剥離誘起処理を行う工程、
(c)前記マスク一体型表面保護テープから、マスク層を半導体ウェハパターン層側に残した状態で、基材フィルムを剥離する工程、
(d)前記表面に露出させたマスク材層を、該マスク材層のうち半導体ウェハのストリートに相当する部分をレーザー光照射により切断して半導体ウェハのストリートを開口する工程、
(e)プラズマガスにより前記半導体ウェハを前記ストリートに沿って分断して半導体チップに個片化するプラズマダイシング工程。

[1]〜[]のいずれか1項に記載のマスク一体型表面保護テープを用いることを特徴とする半導体チップの製造方法。
本発明のマスク一体型表面保護テープは、ウェハ薄膜化工程の負荷に耐えてウェハのパターン面を保護できる必要がある。そのためマスク材層3bは、ウェハ薄膜化工程においてはウェハのパターン面との密着性に優れ、また基材フィルム3aとの密着性にも優れた特性とする必要がある。
他方、ウェハ薄膜化工程後においては、マスク材層3bから基材フィルム3aが剥離されてマスク材層が最表面に露出する必要がある。したがって、この段階ではマスク材層3bとウェハのパターン面との密着性は強固でありながら、マスク材層3bと基材フィルム3aとの間の易剥離性を実現する必要がある。このような特性を実現するために、マスク一体型表面保護テープのマスク材層3bは所望の粘着性を有する剥離誘起型(好ましくは放射線硬化型)とすることが好ましい。マスク材を剥離誘起型とすることにより、剥離誘起処理によって基材フィルム3aとマスク材層3bの密着力を減少させ、もしくは、マスク層3bとウェハパターン面の密着力を上昇させ、マスク材層3bからの基材フィルム3aの易剥離性を実現できる。なお、放射線硬化型における「放射線」とは紫外線のような光線や電子線のような電離性放射線の双方を含む意味に用いる。本発明では、放射線は紫外線が好ましい。剥離誘起処理としては、放射線照射の他、加熱処理、研削加工他による加圧処理、水やその他溶媒との化学反応、貼合後の経時による密着力変化などが挙げられ、それにより、半導体ウェハとマスク材との密着性を向上させたり、マスク材と基材フィルムとの密着性を低下させたりすることができる。
ここで、マスク材層を硬化すれば、一般的にはウェハ表面との密着性も低下するものと考えられる。しかし、本発明のマスク一体型表面保護テープは、マスク材層を特定の組成とすることにより、硬化後においてもマスク材層とウェハのパターン面との密着性を十分に保ち、もしくは当該密着性を向上させることができる。このマスク材層3bの組成について説明する。
次にCOレーザーでスクライブライン上のマスク材を除去し、スクライブラインを開口した。
その後、プラズマ発生用ガスとしてSFガスを用い、シリコンウェハを15μm/分のエッチング速度で5分間、マスク材層側からプラズマ照射した。このプラズマダイシングによりウェハを切断して個々のチップに分割した。次いでプラズマ発生用ガスとしてOガスを用い、1.5μm/分のエッチング速度で10分間アッシングを行い、マスクを除去した。その後、ダイシングテープ側から紫外線を照射し(照射量200mJ/cm)、ダイシングテープの粘着力を低減させ、チップをピックアップした。
[実施例2]
単官能アクリレートを20.0質量部にした以外は実施例1と同様にして評価した。
[実施例3]
単官能アクリレートを40.0質量部にした以外は実施例1と同様にして評価した。
[実施例4]
単官能アクリレートを60.0質量部にした以外は実施例1と同様にして評価した。
参考例5]
単官能アクリレートを80.0質量部にした以外は実施例1と同様にして評価した。
参考例6]
単官能アクリレートを100質量部にした以外は実施例1と同様にして評価した。
参考例7]
マスク材形成用組成物B中のエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル共重合体の二重結合量を0.05meq/gにした以外は実施例3と同様の方法にて評価した。
[実施例8]
マスク材形成用組成物B中のエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル共重合体の二重結合量を0.10meq/gにした以外は実施例3と同様の方法にて評価した。
[実施例9]
マスク材形成用組成物B中のエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル共重合体の二重結合量を0.30meq/gにした以外は実施例3と同様の方法にて評価した。
[実施例10]
マスク材形成用組成物B中のエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル共重合体の二重結合量を0.40meq/gにした以外は実施例3と同様の方法にて評価した。
[比較例1]
マスク材層形成用組成物Bの調製において、単官能アクリレートを配合せず、カレンズMOIも配合しなかったこと以外は実施例1と同様の方法にて評価した。
紫外線照射後の表面保護テープでマスクがウェハに一部しか残らなかったので、レーザーカット以降の評価を実施しなかった。
<試験例3:レーザーカット性>
各実施例および比較例において、上記紫外線照射後のマスク転写性の評価後、マスク材層に355nmのYAGレーザーを照射して、マスク材層のストリートに相当する部分を除去し、半導体ウェハのストリートを開口する際の切断性を下記評価基準により評価した。
ここで、平均出力2.5W、繰り返し周波数1kHzのYAGレーザーの第三高周波(355nm)をfθレンズによりシリコンウェハ表面に25μm径に集光して、ガルバノスキャナーによりレーザー光を照射した。
レーザー光の照射は、2.5mm/秒の速度でスキャンして、1ラインあたり1回のレーザー照射を繰り返すことで、マスク材層のストリートに相当する部分を除去し、半導体ウェハのストリートを開口する際の切断性を評価した。
上記レーザーカット性の評価基準を以下に示す。
(レーザーカット性の評価基準)
A:一様にレーザーカットすることができた。
B:デブリが生じる場合があるが、レーザーカットが可能であった。
C:マスク層が除去できず、ストリートを開口できなかった。
AまたはBの状態を合格とした。
Figure 2019102710
上記表1に示されるように、マスク材層が単官能重合性化合物を含まない場合には、紫外線照射後において、マスク一体型表面保護テープを半導体ウェハから剥離した際に、半導体ウェハ表面にマスク材層を残すことができなかった(比較例1)。この現象は、ベース樹脂自体にエチレン性不飽和基を導入しても改善しなかった(比較例2)
また、マスク材層が単官能重合性化合物を含有しても、ベース樹脂中のエチレン性不飽和基濃度が高すぎると、マスク一体型表面保護テープを半導体ウェハから剥離した際に、やはり半導体ウェハ表面にマスク材層を残すことができなかった(比較例3)。
また、マスク材層に含まれる単官能重合性化合物の量が多すぎる場合には、上述した通り、ラミネータでの貼合時に貼合テーブル周辺部やローラーなどにマスク材層が付着し、装置汚染が生じた(比較例4)。
これに対し、マスク材層がベース樹脂と共に単官能重合性化合物を含有し、かつ、ベース樹脂自体のエチレン性不飽和基を適量含有する形態とすることにより、紫外線照射前においてはマスク一体型表面保護テープを半導体ウェハから剥離した際に、マスク材層をウェハから剥離することができ、紫外線照射後においては、マスク一体型表面保護テープを半導体ウェハから剥離した際に、半導体ウェハ表面にマスク材層を残すことができた(実施例1〜4、参考例5〜7、実施例8〜10)。特にマスク材層に含まれる単官能重合性化合物及びベース樹脂自体のエチレン性不飽和基の両方を適量含有する形態とすることによって、マスク材層を一様にレーザーカットすることができた(実施例1〜4、8〜10)。

Claims (9)

  1. 少なくとも基材フィルムと該基材フィルム上に設けられたマスク材層とを有するマスク一体型表面保護テープであって、
    (1)前記マスク一体型表面保護テープのマスク材層側を半導体ウェハに貼合し、続いて前記マスク一体型表面保護テープを剥離したときに、前記半導体ウェハと前記マスク材層との界面で剥離され、
    (2)前記マスク一体型表面保護テープのマスク材層側を半導体ウェハに貼合し、剥離誘起処理を施して、前記マスク一体型表面保護テープを剥離したときに、前記マスク材層と前記基材フィルムとの界面で剥離される
    マスク一体型表面保護テープ。
  2. 前記剥離誘起処理が放射線照射である請求項1に記載のマスク一体型表面保護テープ。
  3. 前記マスク材層が、ベース樹脂と単官能重合性化合物とを少なくとも含む請求項1又は2に記載のマスク一体型表面保護テープ。
  4. 少なくとも基材フィルムと該基材フィルム上に設けられたマスク材層とを有するマスク一体型表面保護テープであって、前記マスク材層が、ベース樹脂と単官能重合性化合物とを少なくとも含む、マスク一体型表面保護テープ。
  5. 前記マスク材層が、前記ベース樹脂として(メタ)アクリル共重合体を含み、該ベース樹脂100質量部に対して、前記単官能重合性化合物の量が20〜100質量部である請求項3又は4に記載のマスク一体型表面保護テープ。
  6. 前記ベース樹脂のエチレン性不飽和基濃度が0.5meq/g以下である請求項3〜5のいずれか1項に記載のマスク一体型表面保護テープ。
  7. プラズマダイシングに使用される請求項1〜6のいずれか1項に記載のマスク一体型表面保護テープ。
  8. 下記工程(a)〜(e)を含む半導体チップの製造に用いられる請求項1〜7のいずれか1項に記載のマスク一体型表面保護テープ
    〔工程〕
    (a)前記マスク一体型表面保護テープのマスク材層側を半導体ウェハのパターン層側に貼り合せた状態にて、該半導体ウェハの裏面を研削する工程、
    (b)マスク一体型表面保護テープの剥離誘起処理を行う工程、
    (c)前記マスク一体型表面保護テープから、マスク材層を半導体ウェハのパターン層側に残した状態で、基材フィルムを剥離する工程、
    (d)前記表面に露出させたマスク材層を、該マスク材層のうち半導体ウェハのストリートに相当する部分をレーザー光照射により切断して半導体ウェハのストリートを開口する工程、
    (e)プラズマガスにより前記半導体ウェハを前記ストリートに沿って分断して半導体チップに個片化するプラズマダイシング工程。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のマスク一体型表面保護テープを用いることを特徴とする半導体チップの製造方法。
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