JP2019099586A - リキッドインキ組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
一方で、硝化綿/ポリアミド樹脂、もしくは硝化綿/ウレタン樹脂の混合樹脂系を使用したリキッドインキや、前記ポリアミド樹脂がダイマー酸とジアミンの反応による熱可塑性ポリアミド樹脂を使用したインキが開示されており、ダイマー酸の反応原料としてトール油脂肪酸など植物性脂肪酸もしくは合成油脂肪酸が使用されている(例えば、特許文献1及び2)。
しかし、前記ダイマー酸の反応原料として、各種植物性脂肪酸の記載はあるものの、米ぬか脂肪酸を使用することの優位性の記載はない。本発明のリキッドインキ組成物は、ノントルエン系の溶剤組成であっても、耐摩擦性、耐油性、耐熱性、印刷適性、及び粘度安定性を充分保持したインキ組成物を実現するものであり、また、米ぬか脂肪酸を原料に使用する事は、カーボンオフセットや化石資源の節約の観点からもその活用が望まれる。
ポリアミド樹脂は、重合脂肪酸、各種植物性脂肪酸などのポリカルボン酸とポリアミンの重縮合物が一般的である。前記重合脂肪酸としては、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が挙げられる。また各種植物性脂肪酸としては、トール油脂肪酸、パーム油脂肪酸、やし油脂肪酸、大豆油脂肪酸、カカオ脂肪酸、及びこれら天然油脂の混合脂肪酸が挙げられる中で、本発明は米ぬか脂肪酸を反応原料とするものである。
数平均分子量が1000よりも小さい場合、耐ブロッキング性及び耐熱性が低下する傾向にあり、30,000を超えると低温撓み性が低下する傾向にある。
米ぬか脂肪酸を反応原料する熱可塑性ポリアミド樹脂(A)の配合量は、インキ組成物中の全固形分に対して10〜70質量%が好ましい。
可塑剤(D)としては、ひまし油の様な脂肪油、ジオクチルフタレートの様なフタル酸エステル系、リン酸エステル系、アジピン酸エステル系やセバシン酸エステル系の様な脂肪酸エステル系、ポリエステル系、エポキシ化植物油の様なエポキシ系、アセチルクエン酸トリブチルの様なクエン酸エステル、N−ブチルベンゼンスルフォンアミドやN−エチルトルエンスルフォンアミドの様なスルホン酸アミド系が挙げられる。中でも、クエン酸エステル、エポキシ化植物油、リン酸エステル系及びスルホン酸アミド系が好ましい。
尚、可塑剤(D)の配合量は、組成物全量の0.01〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5.0質量%であり、0.5〜3.0質量%であれば更に好ましい。これら可塑剤(D)は其々単独しても良いし、複数組み合わせて使用してもよい。
チタンキレートは、1分子中にTi−O−C結合を保有するものであり、このアルコキシ基を有する事によって樹脂の分子間又は分子内架橋結合を強固にする役割を持つ。チタンキレートとしては、チタンアルコキシド、チタンアシレート等が挙げられ。前記チタンアルコキシドとしては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネートの他、トリエタノールアミンチタネート、チタニウムアセチルアセテート、チタニウムエチルアセトアセテート、チタニウムラクテート、オクチレングリコールチタネート、チタンテトラアセチルアセテート、リン酸チタン化合物等を挙げる事ができる。有機チタン系の中でも、リン酸チタン化合物及びチタニウムアセチルアセテートが好ましい。
尚、キレート架橋剤(E)の配合量は、組成物全量の0.1〜5.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3.0質量%である。
本発明のリキッドインキ組成物の製造は、例えば、米ぬか脂肪酸を反応原料とする熱可塑性ポリアミド樹脂(A)に、例えば事前に有機溶剤に溶かした硝化綿、有機溶剤(C)を加え、必用に応じて可塑剤(D)、キレート架橋剤(E)、着色剤(F)、その他ポリエチレン系ワックス、アマイド系ワックス、体質顔料、帯電防止剤、ブロッキング防止剤などの添加剤、インキ流動性および分散性を改良するための界面活性剤、あるいはポリアミド樹脂と相溶性を有する樹脂を、経時で増粘とゲル化が生じない範囲にて併用し、ボールミル、アトライター、サンドミル、三本ロールなどの通常の印刷インキ製造装置を用いて混練することで作製される。特に、帯電防止剤の添加は、エステル系溶剤、ケトン系溶剤を使用時に発生しやすいヒゲと呼ばれる印刷時の静電気トラブルの抑制に効果的である。
尚、米ぬか脂肪酸を反応原料とする熱可塑性ポリアミド樹脂(A)と、トール油の様な植物性脂肪酸由来のポリアミド樹脂、合成脂肪酸由来のポリアミド樹脂を混合して使用することも可能である。
尚、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による数平均分子量(ポリスチレン換算)Mnの測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR−Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:1.0重量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
オートクレーブに米ぬか脂肪酸(酸価200、ヨウ素価108)100部、モンモリロナイトクレー6部、水酸化リチウム0.1部、水酸化カルシウム0.1部及び水1部を投入。系内を窒素雰囲気とし密閉後に攪拌しながら圧力0.5MPaに保持して230℃で3時間加熱した。その後、反応物を130℃に冷却し75%リン酸1部を加えて1時間処理した。加圧濾過により固形物を取り除き、租生成物を得た。この租生成物を流下膜式蒸留器に導き、圧力0.1kPa、温度200℃の条件で単量体酸を除いた。
得られたダイマー酸(X)についてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定し、二量体成分が75%である事を確認した。
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、上記で得られた米ぬか脂肪酸由来のダイマー酸(X)100部、米ぬか脂肪酸(アシッド100S;ボーソー油脂(株)製)1部、セバシン酸5部、エチレンジアミン10部、ヘキサメチレンジアミン5部、及びトリフェニルホスフィン0.24部を入れ、系内を窒素雰囲気とし、さらに、窒素気流下均一化の攪拌しながら200℃までゆっくりと昇温する。続いて攪拌しながら200℃にて5時間脱水縮合を行うことにより、軟化点125℃、アミン価2、酸価8、数平均分子量11,000の米ぬか脂肪酸由来のダイマー酸変性ポリアミド樹脂組成物を得た。
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ダイマー酸(ハリダイマー270S;ハリマ化成(株)製)100部、トール油脂肪酸(ハートールFA−1;ハリマ化成(株)製)1部、セバシン酸5部、エチレンジアミン10部、ヘキサメチレンジアミン5部、及びトリフェニルホスフィン0.24部を入れ、系内を窒素雰囲気とし、さらに、窒素気流下均一化の攪拌しながら200℃までゆっくりと昇温する。続いて攪拌しながら200℃にて5時間脱水縮合を行うことにより、軟化点123℃、アミン価2、酸価8、数平均分子量10,000のトール脂肪酸由来のダイマー酸変性ポリアミド樹脂組成物(T)を得た。
工業用硝化綿H1/2(ニトロセルロース、不揮発分70%、JIS K−6703により溶液濃度25.0%における粘度9.0〜14.9%品 太平化学製品株式会社製)37.5部に、イソプロピルアルコール/酢酸エチル/酢酸ノルマルプロピル/メチルシクロヘキサン(重量比で25/25/13/10の比率)の混合液を62.5部加え、充分混合し硝化綿ニス液(S)を作製した。
〔インキの調製法〕
表1及び表2に記載の配合比率で混合した混合物をマイティーミル(株式会社井上製作所製)を用いて混練し、実施例1〜16、及び比較例1に記載の藍インキを調製し、各々について以下の評価を実施した。
表1及び表2に記載の藍インキを、其々離合社製ザーンカップNo.4を用いてインキ製造直後に液温25℃にて粘度を測定した。測定値が12秒〜18秒である事が好ましい。
表1及び表2に記載の藍インキを各々ガラス瓶に採取し、50℃で28日間保存を行った。その後、粘度を測定して保存前との粘度変化を評価した。
評価基準3以上であれば実用範囲である。
(評価基準)
5:粘度変化が無い 粘度変化が2秒未満
4:粘度変化が少し 粘度差が2秒以上5秒未満
3:粘度変化がやや多い 粘度差が5秒以上10秒未満
2:粘度変化が多い 粘度差が10秒以上15秒未満
1:粘度変化が非常に多い 粘度差が15秒以上
表1及び表2に記載の藍インキを、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製 FOR 厚さ20μm)にバーコーター#10で塗布し、24時間放置して印刷物を作成した。
次いで、この印刷面に大豆白絞油を綿棒にて2cc塗布した後、40℃のオーブンに24時間放置した。その後乾いた面棒で大豆白絞油塗布部分を擦り、印刷面の状態を目視評価した。
(評価基準)
5:印刷皮膜がフィルムから全く脱離しない。
4:印刷皮膜の面積比率として、20%未満がフィルムから脱離する。
3:印刷皮膜の面積比率として、20%以上、40%未満がフィルム
から脱離するが実用範囲である。
2:印刷皮膜の面積比率として、40%以上、60%未満がフィルム
から脱離する。
1:印刷面の面積比率として、60%以上がフィルムから脱離する。
表1及び表2に記載の藍インキを、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製 FOR 厚さ20μm)にバーコーター#10で塗布し、24時間放置して印刷物を作成した。
次いで、この印刷面にアルミニウム箔を重ね合わせ、ヒートシールテスターを用いて温度180℃、荷重2Kg/cm2、圧着時間1秒の条件で熱圧着し、室温25℃まで冷却してからアルミニウム箔を引き剥がして、印刷面の状態を目視評価した。
(評価基準)
5:印刷皮膜がフィルムから全く剥離しない。
4:印刷皮膜の面積比率として、20%未満がフィルムから剥離する。
3:印刷皮膜の面積比率として、20%以上、40%未満がフィルム
から剥離するが実用範囲である。
2:印刷皮膜の面積比率として、40%以上、60%未満がフィルム
から剥離する。
1:印刷面の面積比率として、60%以上がフィルムから剥離する。
表1及び表2に記載の藍インキを、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製 FOR 厚さ20μm)にバーコーター#10で塗布し、24時間放置して印刷物を作成した。
次いで、この印刷面にセロファンテープ(ニチバン社製)を貼り付けた後、素早くテープを引き剥がし、印刷面の状態を目視評価した。
(評価基準)
5:印刷皮膜がフィルムから全く剥離しない。
4:印刷皮膜の面積比率として、20%未満がフィルムから剥離する。
3:印刷皮膜の面積比率として、20%以上、40%未満がフィルム
から剥離するがが実用範囲である。
2:印刷皮膜の面積比率として、40%以上、60%未満がフィルム
から剥離する。
1:印刷面の面積比率として、60%以上がフィルムから剥離する。
表1及び表2に記載の藍インキを、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製 FOR 厚さ20μm)にバーコーター#10で塗布し、24時間放置して印刷物を作成した。
次いで、サザーランド型摩耗試験機を用い、2ポンド荷重にて100回白色上質紙で擦り、藍インキの取られ具合を目視評価した。
(評価基準)
5:擦った白色上質紙に全く色が着かない。
4:擦った白色上質紙に評価「5」と「3」の中程度の極薄く色が着く。
3:擦った白色上質紙に薄く色が着くが実用範囲である。
2:擦った白色上質紙に評価「3」と「1」の中程度に着色する。
1:擦った白色上質紙に濃く色が着く。
表1及び表2に記載の藍インキを、インキ作成に使用した同一比率の混合有機溶剤で希釈し、離合社製ザーンカップNo3で16秒になるように希釈した。それを、版深度25μmを有するレーザーグラビア版を取り付けたMD型グラビア印刷機(富士機械株式会社製)を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製 FOR 厚さ20μm)の処理面に印刷を行った。そして、印刷物の印刷部分へのインキの転移度(カスレ度)を評価した。カスレ試験は、グラビア版の円周600mmφで300m/minの印刷速度での評価を行った。
(評価基準)
5:カスレが全くない。
4:ごく僅かにカスレ発生。
3:少しカスレ発生、実用範囲である。
2:カスレが顕著に確認できる。
1:カスレが多発している。
上記カスレ試験の条件で印刷した時の印刷物の中で評価「5」のカスレのない良好な印刷物の各印刷面と非印刷面を合わせて、永久歪試験器(テスター産業社製)を用い5kg/cm2の圧で締め込み、40℃で1日後に手で剥がし、インキの剥離の程度と剥離抵抗の強度から耐ブロキング性を評価した。
評価基準3以上であれば実用範囲である。
(評価基準)
5:印刷皮膜の剥離が全くなく、剥離抵抗も全く感じられない。
4:印刷皮膜の剥離が全くないが、剥離抵抗が若干感じられない。
3:印刷皮膜の剥離が全くないが、剥離抵抗が感じられる。
2:印刷皮膜の剥離が見られ、汚れが顕著に発生している。
1:印刷皮膜が殆ど剥離し、剥離抵抗が強く感じられる。
・硝化綿H1/2(ニトロセルロース、不揮発分70%、JIS K−6703により溶液濃度25.0%における粘度9.0〜14.9%品 太平化学製品株式会社製)
・Fastogen Blue 5380(DIC(株)製):C.I.Pig.
No.=B−15:3
・クエン酸エステル系ATBC可塑剤:アセチルクエン酸トリブチル(トリブチル=2−アセトキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシラート 旭化成ファインケム(株)社製
・エポキシ化大豆油サンソイザーE−2000H:CAS No.8013−07−8
新日本理化(株)製
・Sibercizer C6可塑剤:N−エチルo/p−トルエンスルホンアミド、Merck社製
・リン酸エステル系TOP可塑剤:トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、大八化学工業(株)製
・チタンTAAキレート剤(BORICA社製):チタニウムアセチルアセトネート
CAS:17927−27−9
Claims (6)
- 米ぬか脂肪酸を反応原料とする熱可塑性ポリアミド樹脂(A)、繊維素系樹脂(B)、有機溶剤(C)及び可塑剤(D)を含有する事を特徴とするリキッドインキ組成物。
- 前記可塑剤(D)が、クエン酸エステル系可塑剤、スルホンアミド系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、エポキシ化大豆油、及び脂肪油からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であり、組成物全量の0.01〜10.0質量%含有する請求項1に記載のリキッドインキ組成物。
- 更に、キレート架橋剤(E)を含有する請求項1又は2に記載のリキッドインキ組成物。
- 更に、着色剤(F)を含有する請求項1〜3の何れか1つに記載のリキッドインキ組成物。
- 前記有機溶剤(C)が芳香族有機溶剤及び/又はケトン系溶剤を含まない請求項1〜4の何れか1つに記載のリキッドインキ組成物。
- 請求項1〜5の何れか1つに記載のリキッドインキを印刷してなる印刷物。
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