JP2019097446A - 感覚刺激低減剤の評価又は選択方法 - Google Patents

感覚刺激低減剤の評価又は選択方法 Download PDF

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【課題】パラベン類による感覚刺激を低減する、感覚刺激低減剤を評価又は選択する方法を提供する。【解決手段】以下の(1)〜(3)の工程を含む、パラベン類による感覚刺激低減剤の評価又は選択方法。(1)CES1を発現可能な細胞に、被験物質を接触させる工程、(2)当該細胞におけるCES1の発現を測定する工程、(3)(2)で測定された結果に基づいて、CES1の発現を促進させる被験物質をパラベン類による感覚刺激低減剤として評価する工程。【選択図】なし

Description

本発明は、パラベン類により惹起される感覚刺激を抑制する感覚刺激低減剤の評価又は選択方法に関する。
皮膚化粧品等の皮膚外用剤は、細菌の混入、繁殖を防ぐために防腐剤を製剤に配合する場合が多い。中でも、パラベン類は抗菌力及び安全性が共に高い防腐剤として、最も多く皮膚外用剤に配合されている。
しかし、紫外線、乾燥、化学物質等に過敏な人、いわゆる敏感肌の人においては、パラベン類によってピリピリ感やヒリヒリ感等の一過性の不快な刺激感を感じる場合がある。 これに対し、従来、皮膚に対する刺激感を抑制するものとして、例えば、界面活性剤に対する刺激を抑制する、疎水性基含有多糖類誘導体からなる刺激抑制剤(特許文献1)、染毛剤に対する刺激を抑制する染毛剤用刺激抑制剤(特許文献2)が報告されている。また、パラベン類の刺激抑制剤として、TRPA1の抑制物質が使用できることが報告されている(特許文献3)。
特開2001−64185号公報 特開2002−363053号公報 特開2008−79528号公報
本発明は、パラベン類による感覚刺激を低減する、感覚刺激低減剤を評価又は選択する方法を提供することに関する。
本発明者らは、パラベン類により惹起される感覚刺激について検討したところ、メチルパラベンが生体内において代謝酵素カルボキシルエステラーゼ1(CES1)によって代謝されてp−ヒドロキシ安息香酸(PHBA)に変換され、当該PHBAには感覚刺激が殆どないこと、更に、敏感肌の人では、健常者に比べてCES1の発現が低下していることを見出し、CES1の発現を指標とすることにより、パラベン類による感覚刺激低減剤を探索又は評価できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(3)の工程を含む、パラベン類による感覚刺激低減剤の評価又は選択方法、を提供する。
(1)CES1を発現可能な細胞に、被験物質を接触させる工程
(2)当該細胞におけるCES1の発現を測定する工程
(3)(2)で測定された結果に基づいて、CES1の発現を促進させる被験物質をパラベン類による感覚刺激低減剤として評価する工程
本発明によれば、生体内においてパラベン類を速やかに分解し、パラベン類により惹起される感覚刺激を低減する、新しい機序の感覚刺激低減剤を探索又は評価できる。
3次元培養表皮におけるIL−1α産生量。MP:p−ヒドロキシ安息香酸メチル添加、PHBA:p−ヒドロキシ安息香酸添加。 敏感肌者における皮膚感覚刺激スコア。MP:p−ヒドロキシ安息香酸メチル塗布、PHBA:p−ヒドロキシ安息香酸塗布。 健常者及び敏感肌者のCES1発現量。 健常者及び敏感肌者のp−ヒドロキシ安息香酸メチルの代謝活性。 発芽ブロッコリー抽出物のCES1発現促進作用。 発芽ブロッコリー抽出物のp−ヒドロキシ安息香酸メチルによる感覚刺激低減作用。
本発明において、「パラベン類」としては、例えばメチルパラベン(p−ヒドロキシ安息香酸メチル)、エチルパラベン(p−ヒドロキシ安息香酸エチル)、プロピルパラベン(p−ヒドロキシ安息香酸プロピル)、イソプロピルパラベン(p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル)、ブチルパラベン(p−ヒドロキシ安息香酸ブチル)、イソブチルパラベン(p−ヒドロキシ安息香酸イソブチル)、ベンジルパラベン(p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル)等のパラオキシ安息香酸エステル及びそのナトリウム塩が挙げられる。
また、「パラベン類による感覚刺激低減」とは、パラベン類により惹起される、皮膚のピリピリ感やヒリヒリ感等の一過性の不快な刺激感を、抑制又は緩和することを意味する。
本発明において、「CES1」とは、カルボキシルエステラーゼ1を指し、セリンエステラーゼ1又はSES1としても知られている。この酵素は、哺乳動物肝臓カルボキシエステラーゼ(EC 3.1.1.1)のファミリーのメンバーであり、エステル、チオエステル又はアミド官能基を有する内因性基質を加水分解する。ヒトでは肝臓以外にも肺、皮膚での発現が報告されており、医薬品の代謝活性化や化学物質等の生体外異物の解毒に関与している。
後記実施例に示すとおり、ヒト三次元培養表皮モデルにp−ヒドロキシ安息香酸メチル(MP)又はp−ヒドロキシ安息香酸(PHBA)を添加して培養した後、培地中の炎症性サイトカイン(IL−1α)量を測定したところ、MPを添加した場合にはIL−1αの産生が増加したが、PHBAの添加ではIL−1αの産生は殆ど見られなかった(図1)。また、敏感肌を意識する人の皮膚にMP又はPHBAを塗布し、その刺激感を試験したところ、MP塗布では何らかの刺激感が感じられたのに対して、PHBAの塗布では刺激感は殆ど感じられなかった(図2)。
更に、健常者および敏感肌者より皮膚を採取し、皮膚中のMPの代謝活性とCES1の発現量を測定したところ、敏感肌者の皮膚では健常者の皮膚に比べて、MPの代謝活性が低く、CES1発現量が遥かに低いことが認められた(図3、4)
これらの結果は、CES1の発現を促進する物質は、パラベン類による感覚刺激低減剤として有用であり、また、CES1の発現を指標としてパラベン類による感覚刺激低減剤を評価又は選択できることを示唆している。
パラベン類による感覚刺激低減剤の評価又は選択方法は、以下の(1)〜(3)の工程を含むものである。
(1)CES1を発現可能な細胞に、被験物質を接触させる工程
(2)当該細胞におけるCES1の発現を測定する工程
(3)(2)で測定された結果に基づいて、CES1の発現を促進させる被験物質をパラベン類による感覚刺激低減剤として評価する工程
ここで、「CES1を発現可能な細胞」としては、生来的にCES1遺伝子を有し、これを発現する能力のある細胞、及び外来的にCES1遺伝子を発現可能に導入された細胞が挙げられる。当該細胞は、生体から採取された細胞、または生体から採取された組織や器官に含まれる細胞であってもよく、培養細胞であってもよい。好ましくは、当該細胞は、哺乳動物に由来する細胞であり、より好ましくはヒト由来の細胞である。
生来的にCES1遺伝子を有し、これを発現する能力のある細胞としては、生体のあらゆる組織に由来する細胞が挙げられるが、好ましくは、哺乳動物(好ましくはヒト)から採取された皮膚由来の細胞、例えば、表皮組織由来の細胞(表皮角化細胞等)、真皮組織由来の細胞(線維芽細胞等)他、これらの細胞に由来する細胞培養物、器官培養物等が挙げられ、表皮組織由来の細胞が好ましく、表皮角化細胞がより好ましい。
外来的にCES1遺伝子を発現可能にした細胞は、CES1遺伝子を組み込んだ発現ベクターを任意の哺乳動物細胞に導入し、当該細胞を形質転換させることによって得ることができる。発現ベクターにおける転写調節領域(プロモーター等)は、生体内と同様な発現制御が可能であれば特に限定されないが、CES1遺伝子の転写調節領域(プロモーター等)を用いるのが好ましい。また、外来的にCES1遺伝子を発現可能にした細胞として、CES1遺伝子の転写調節領域(プロモーター等)にレポータージーンを結合したベクターを導入した細胞を用いることもできる。CES1遺伝子又はCES1遺伝子の転写調節領域(プロモーター等)を組み込んだベクターの作製方法及びベクターの哺乳動物細胞への導入方法は、当業者に周知である。
また、培養細胞としては、上記、生来的にCES1遺伝子を有し、これを発現する能力のある細胞、及び外来的にCES1遺伝子を発現可能に導入された細胞由来の培養細胞の他、CES1を発現可能な株細胞が挙げられ、哺乳動物(好ましくはヒト)から採取された皮膚由来の培養細胞が好ましく、正常ヒト培養表皮角化細胞がより好ましい。また、3次元培養皮膚細胞も好適に用いられ、具体的には、EpiDerm TM(MatTek Corporation社製)、EpiSkin(SkinEthic社製)、RHE(SkinEthic社製)、Labcyteエピモデル(J−TEC社製)等が挙げられる。
上記細胞に接触される被験物質としては、パラベン類による感覚刺激低減剤として使用することを所望する物質であれば、特に制限されず、例えば、動植物、海洋生物、微生物等及びその抽出物;それらに由来する天然成分;合成化合物;ならびにそれらの混合物及び組成物等が挙げられる。
上記細胞に被験物質を接触させる手段としては、当該分野で公知の手段であればよく、例えば、当該被験物質の細胞培養培地への添加、または細胞への直接的な添加(例えば、滴下、塗布、散布、噴霧、パッチ等)が挙げられる。被験物質の濃度及び接触量は、被験物質の形態、化学的性質、細胞毒性、予想される皮膚感作性の強度等に基づいて適宜設定すればよい。例えば、適当な濃度に希釈した被験物質の所定量を、37℃、5%COの条件下で24〜48時間、該細胞に曝露することが挙げられる。
上記細胞におけるCES1の発現は、CES1タンパク質の発現、CES1タンパク質の活性、当該タンパク質をコードするCES1mRNAの発現、CES1遺伝子のプロモーターの活性化等を指標として測定することができる。測定は、指標とするパラメータ(例えば、タンパク質発現、タンパク質の生物活性、mRNA発現、CES1遺伝子プロモーターの活性化等)の測定方法として当該分野で公知の方法に従って行えばよい。
測定方法としては、例えば、mRNA発現の測定方法としては、ドットブロット法、ノーザンブロット法、RT−PCR、リアルタイムRT−PCR、マイクロアレイ等、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
CES1遺伝子のプロモーターの活性測定方法としては、レポーター遺伝子を用いたプロモーター活性や転写活性の蛍光・光学的測定(レポーターアッセイ)が挙げられる。
タンパク質発現の測定方法の例としては、SDS−PAGE、クロマトグラフィー法、免疫学的測定法(例えば、免疫組織化学、ELISA、ウエスタンブロット、免疫沈降等)、比色定量法、質量分析等、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
CES1タンパク質の活性は、例えばCES1発現細胞にCES1の基質であるp−ヒドロキシ安息香酸メチルを暴露し、一定時間培養した後、培養液中のp−ヒドロキシ安息香酸をHPLCで定量することにより測定することができる。
次いで、上記のとおり測定された発現に基づいて、被験物質のCES1の発現促進効果が評価されるが、斯かる評価は、例えば、被験物質添加前後で、又は被験物質添加群と被験物質非添加群若しくは対照物質添加群とを比較することによって行われる。あるいは、評価は、種々の濃度の被験物質間で測定結果を比較することによって行われ得る。
そして、CES1の発現を上昇若しくは促進させる被験物質は、パラベン類による感覚刺激低減剤として選択される。
斯くして得られたパラベン類による感覚刺激低減剤は、パラベン類により惹起される感覚刺激を低減するために、パラベン類が配合された化粧品、医薬品等に配合することにより使用できる。
上述した実施形態に関し、本発明においてはさらに以下の態様が開示される。
<1>以下の(1)〜(3)の工程を含む、パラベン類による感覚刺激低減剤の評価又は選択方法。
(1)CES1を発現可能な細胞に、被験物質を接触させる工程、
(2)当該細胞におけるCES1の発現を測定する工程、
(3)(2)で測定された結果に基づいて、CES1の発現を促進させる被験物質をパラベン類による感覚刺激低減剤として評価する工程。
<2>パラベン類が、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、イソブチルパラベン、イソプロピルパラベン及びベンジルパラベンから選ばれる1種以上である<1>の方法。
<3>パラベン類が、メチルパラベンである<2>の方法。
<4>CES1を発現可能な細胞が、ヒト表皮組織由来の細胞であり、好ましくは正常ヒト培養表皮角化細胞である<1>〜<3>のいずれか1の方法。
<5>CES1の発現がCES1タンパク質の発現、CES1タンパク質の活性、当該タンパク質をコードするCES1mRNAの発現、CES1遺伝子のプロモーターの活性化から選ばれる1種以上であり、好ましくはCES1mRNAの発現である<1>〜<4>のいずれかの方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
参考例1 パラベン類により惹起される感覚刺激性の比較(三次元培養表皮での評価)
ヒト三次元培養表皮モデルとしてLabCyte EPI−MODEL24(株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)を用いた。専用アッセイ培地500μLで培養カップを一晩前培養(5%CO、37℃)した後、培養カップを新しいアッセイ培地の入った24ウェルプレートに移した。培養カップ内の表皮組織にp−ヒドロキシ安息香酸メチル(MP)あるいはp−ヒドロキシ安息香酸(PHBA)の16.4mM水溶液50μL を添加し、6時間培養した後、リン酸緩衝液で培養カップ内を10回洗浄し、カップを新しいアッセイ培地の入った24ウェルプレートに移して、さらに18時間追培養した。追培養後、培地中のIL−1α量をHuman IL−1 alpha/ IL−1F1 Quantikine ELISA Kit(R&D Systems)を用い添付プロトコールに従って定量した。結果を図1に示す。
図1より、感覚刺激物質により産生が亢進することが知られているIL−1α量がPHBAではMPと比べて非常に少なく、PHBAの感覚刺激性は極めて弱と考えられた。
参考例2 パラベン類により惹起される感覚刺激性の比較(ヒト評価)
次の基準のすべてに該当する者を敏感肌の被験者として選抜した。
1. 年齢:20〜55歳
2. 性別:女性
3. 敏感肌と自覚している者
4. 以下のaまたはbの1つ以上に該当する者
a. 敏感肌対応化粧品と思われる製品を選んで使用している
b. 過去1年以内に、洗顔料、スキンケア製品や化粧下地を使用してぴりぴり、チクチクと言った刺激を感じたことがある
選抜した被験者に対して次の方法でスティンギング試験Aを実施した。
メイク落としと洗顔料によって洗顔後、温度23℃湿度50%環境下で5分以上馴化させ、p−ヒドロキシ安息香酸メチルあるいはp−ヒドロキシ安息香酸の16.4mM水溶液600μLを含浸した2cm×5cmの不織布を頬部に接触させ、接触開始30秒後、1分後、2分後、3分後、5分後の被験者が認知した感覚刺激(痛い、ぴりぴりする、ちくちくする、じんじんする、温かい、ほてる)について申告したスコア(0:なにも感じない、0.5:わずかに感じられる或いはほんの少しの違和感、1.0:少しの違和感、1.5:少し〜多少の違和感、2.0:多少の違和感、2.5:多少〜かなりの違和感、3.0:我慢できない或いはかなりの違和感)の30秒後〜5分後までのすべてのスコアの中の最大値から蒸留水で同様の試験を実施した時のスコアの最大値を引いた値を感覚刺激スコアとしてWilcoxonの符号付順位和検定によって統計解析した。結果を図2に示す。
図2より、PHBAの感覚刺激は極めて弱く、感覚刺激への寄与は殆どないと考えられた。
参考例3 健常肌と敏感肌のCES1発現量および代謝活性の比較
(1)スティンギング試験B
メイク落としと洗顔料によって洗顔後、温度23℃湿度50%環境下で5分以上馴化させ、p−ヒドロキシ安息香酸メチルの16.4mM水溶液600μLを含浸した10cmの不織布を右頬部に接触させ、接触開始30秒後、1分後、2分後、3分後の被験者が認知した感覚刺激について申告したスコア(0:なにも感じない、0.5:わずかに感じる、1.0:少し感じる、2.0:はっきり感じる、3.0:非常に強く感じる、強い刺激に不織布を外したい)の30秒後〜3分後までのすべてのスコアの中の最大値を頬部の感覚刺激スコアとした。次いで、70%イソプロピルアルコールで右頸部を清拭後、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(MP)の16.4mM水溶液300μLを含浸した2cm×2.5cmの不織布を清拭部位に接触させ、接触開始30秒後、1分後、2分後、3分後の被験者が認知した感覚刺激について申告したスコア(0:なにも感じない、0.5:わずかに感じる、1.0:少し感じる、2.0:はっきり感じる、3.0:非常に強く感じる、強い刺激に不織布を外したい)の30秒後〜3分後までのすべてのスコアの中の最大値を頸部の感覚刺激スコアとした。
(2)被験者の選抜
次の基準のすべてに該当する者の中から3名を健常肌者として選抜した。
・年齢:20〜55歳
・性別:女性
・敏感肌ではないと自覚している者
・スティンギング試験Bで頬部・頸部の感覚刺激スコアがいずれも0(なにも感じない)の者
次の基準のすべてに該当する者の中から3名を敏感肌者として選抜した。
・年齢:20〜55歳
・性別:女性
・敏感肌と自覚している者
・スティンギング試験Bで頬部の感覚刺激スコアが2(はっきり感じる)以上かつ頸部の感覚刺激スコアが0.5(わずかに感じる)以上の者
(3)皮膚生検
健常肌者および敏感肌者より各3名ずつを選抜し、右頸部(スティンギング試験を実施した部位)より4mmφの生検トレパンによって皮膚を採取し、採取皮膚を液体窒素によってただちに凍結させ、解析まで−80℃で保存した。
(4)生検皮膚中カルボキシルエステラーゼ1の発現量および活性
4mmφの生検皮膚をメスで半分にし、一片をカルボキシルエステラーゼ1の発現量解析用、残りの一片をカルボキシルエステラーゼ1の活性解析用に用いた。
発現量解析用生検皮膚組織をハサミで細切し、プロテアーゼ阻害剤ミックス(和光純薬工業)を添加したRIPA buffer(和光純薬工業)を生検皮膚組織の入ったマイクロチューブ内に(組織重量(mg)×20)μL添加して、ホモジナイザー(ヒスコトロン、株式会社マイクロテック・ニチオン)でホモジナイズした後、30分間氷上で静置した。30分後、4℃で2分間超音波処理し、10,000rpm、4℃で20分間遠心して、その上清を皮膚抽出液として得た。Pierce BCA Protein Assay Kit(Thermo Scientific)を用い、bovine serum albuminを標準タンパク質として皮膚抽出液のタンパク質量を定量した。
皮膚抽出液を試料として以下の通りポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)及びウェスタンブロッティングを行った。
皮膚抽出液をSDS−PAGEにより分離後、PVDF膜(BIO RAD)に転写した。転写したPVDF膜は5%スキムミルク液に浸漬してブロッキングした後、1:200に希釈した抗カルボキシルエステラーゼ1抗体(R&D Systems、Cat#MAB4920)を用いて一次抗体反応を行い、1:2000に希釈したhorseradish peroxidase(HRP)標識抗マウスIgG抗体(R&D Systems、Cat#HAF007)を用いて二次抗体反応を行った。Clarity Western ECL Substrate(BIO RAD)にて発光させ、LAS−4000(富士フィルム株式会社)を用いて抗体反応を検出した。撮影したウェスタンブロットの画像からCES1とアクチンのバンドを画像解析ソフトCS Analyzer(アトー株式会社)により別々に選択しバンド強度を測定して、アクチン当たりのCES1の強度を算出した。なお、ポリアクリルアミドゲルへの試料のロード量が均一であるかどうかは、一次抗体に抗β―アクチン抗体を用いた同様の実験により検証した。
活性解析用生検皮膚組織をハサミで細切後、50mM HEPES/ 150mM KCl(pH 7.4)溶液を(組織重量(mg)×20)μL添加し、ホモジナイザー(ヒスコトロン、株式会社マイクロテック・ニチオン)でホモジナイズした後、10,000rpm、4℃で20分間遠心して、その上清を皮膚抽出液として得た。皮膚抽出液のタンパク質量をPierce BCA Protein Assay Kit(Thermo Scientific)を用いて定量した。各皮膚抽出液の最終タンパク濃度が50μg/mLとなるように調製し、カルボキシルエステラーゼ1の基質であるp−ヒドロキシ安息香酸メチルを200μMとなるよう添加し、37℃で5時間反応させた。その後、反応溶液と同量の冷アセトニトリルを添加し、反応を停止させ、代謝物であるp−ヒドロキシ安息香酸をHPLCで定量し、単位タンパク質、単位時間当たりのp−ヒドロキシ安息香酸生成量をCES1代謝活性とした。以下にHPLCに用いた機器、カラム、測定条件を示す。
機器:Alliance 2695 Separation Module、2996 Photodiode Array Detector(Waters)
カラム:L−column ODS(4.6×150mm、5μm、化学物質評価研究機構)
カラム温度:40℃
移動相:45%メタノール/0.1%ギ酸
流速:1.0mL/min
試料注入量:50μL
検出波長:254nm
結果を図3及び図4に示す。
図3及び図4より、敏感肌者の皮膚は健常者の皮膚に比べてCES1発現量、CES1代謝活性が低いことが認められた。
実施例1 CES1発現に基づく発芽ブロッコリー抽出物の評価
正常ヒト表皮角化細胞(ライフテクノロジーズジャパン)を各ウェル1×10となるよう6−wellプレートに播種し、HuMedia−KG2(クラボウ)で一晩培養後、発芽ブロッコリー抽出物(ブロッコリースプラウトエキス;オリザ油化株式会社、化粧品用)を固形分濃度0.0001w/v%あるいは0.001w/v%となるように培地に添加し、48時間培養した。培養後の細胞をD−PBS(−)で洗浄し、RNeasy Mini Kits(キアゲン)を用い、添付のマニュアルに従ってRNAを抽出した。RNA濃度は、NanoDrop1000(Thermo Fisher scientific)を用いて算出した。High−Capacity RNA−to−cDNA Kit(ライフテクノロジーズジャパン)を用いて抽出したTotal RNAの逆転写反応を行った後、7500 Fast Real−Time PCR System(ライフテクノロジーズジャパン)を用いてリアルタイムPCRを実施した。リアルタイムPCRは、前記で逆転写したcDNAとCES1もしくは内在性コントロールとしてRPLP0のTaqmanプライマー(ライフテクノロジーズジャパン、CES1:Hs00275627−m1、RPLP0:HS00420895_gH)、Taqman Gene Expression Master Mix(ライフテクノロジーズジャパン)を用いて、ΔΔCT法によりCES1mRNA発現量を比較した。結果を図5に示す。
図5より、発芽ブロッコリー抽出物によってCES1mRNA発現量の増加が認められた。
実施例2 発芽ブロッコリー抽出物のヒト有効性試験
敏感肌を自覚しており、かつp−ヒドロキシ安息香酸メチル(MP)に感覚刺激を感じる男性を被験者として選抜して、固形分濃度0.01%の発芽ブロッコリー抽出物(ブロッコリースプラウトエキス;オリザ油化株式会社、化粧品用)含有する10%エタノール溶液を1日2回、1回500円玉大の量を1週間にわたって被験者の全顔に塗布し、塗布前後のスティンギング試験Cによる感覚刺激スコアを比較した。スティンギング試験Cは次の方法で実施した。
メイク落としと洗顔料によって洗顔後、温度23℃湿度50%環境下で5分以上馴化させ、p−ヒドロキシ安息香酸メチルの16.4mM水溶液600μLを含浸した10cmの不織布を頬部に接触させ、接触開始30秒〜3分後の被験者が認知した感覚刺激について申告したスコア((0:なにも感じない、0.5:わずかに感じる、1.0:少し感じる、2.0:はっきり感じる、3.0:非常に強く感じる、強い刺激に不織布を外したい)の最大値から蒸留水で同様の試験を実施した時のスコアの最大値を引いた値を感覚刺激スコアとしてWilcoxonの符号付順位和検定によって統計解析した。結果を図7に示す。
図6より、発芽ブロッコリー抽出物によってp−ヒドロキシ安息香酸メチルの感覚刺激が低減されることが確認された。

Claims (3)

  1. 以下の(1)〜(3)の工程を含む、パラベン類による感覚刺激低減剤の評価又は選択方法。
    (1)CES1を発現可能な細胞に、被験物質を接触させる工程、
    (2)当該細胞におけるCES1の発現を測定する工程、
    (3)(2)で測定された結果に基づいて、CES1の発現を促進させる被験物質をパラベン類による感覚刺激低減剤として評価する工程。
  2. パラベン類が、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、イソブチルパラベン、イソプロピルパラベン及びベンジルパラベンから選ばれる1種以上である請求項1記載の方法。
  3. CES1を発現可能な細胞が、ヒト表皮組織由来の細胞である請求項1又は2記載の方法。
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