JP2019095015A - 等速自在継手 - Google Patents

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公雄 日比
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Abstract

【課題】トルク入力時において内部で発生する摺動抵抗を低減できる等速自在継手を提供する。【解決手段】第1の溝対28に介在されるボール16a、および、第2の溝対30に介在されるボール16aは、その直径D1が、ボール16bの直径D2よりも大きく形成されているため、アイドル運転時などの低トルク域では、ボール16aを介してトルク伝達が行われ、ボール16bによるトルク伝達が抑制される。従って、トルク伝達されるボール16の数が少なくなることから、ボール16とアウタートラック溝22およびインナートラック溝24との間の摺動抵抗を低減できる。【選択図】図2

Description

本発明は、等速自在継手内で発生する摺動抵抗の低減に関する。
内周面に複数個の外側トラック溝が形成されているカップ状の外側継手部材と、外周面に複数個の内側トラック溝が形成されている内側継手部材と、前記外側継手部材の前記外側トラック溝と前記内側継手部材の前記内側トラック溝との間に介在されている複数個のトルク伝達ボールと、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間に介在され、前記トルク伝達ボールを保持するポケットを有する環状のケージとを、備える等速自在継手が知られている。特許文献1に記載の等速ジョイント(等速自在継手)がそれである。
特許文献1の等速ジョイントにあっては、外側継手部材の開口部から開口部と反対側に向かって解放されるように形成される解放角と、外側継手部材の開口部と反対側からその開口部に向かって解放されるように形成される解放角とを、周方向で交互に形成することで、トルク入力時のボールの押し出し力の方向を、隣り合うボール毎に交互に異ならせる技術が開示されている。特許文献1の等速ジョイントのように構成されることで、トルク入力時のボールの押し出し力の方向が、隣り合うボール毎に異なる反転するため、トルク入力時にボールを介してケージにかかる力(荷重)が低減される。従って、ケージの内周面と内側継手部材の外周面との間の摺動抵抗の低減、および、ケージの外周面と外側継手部材の内周面との間の摺動抵抗の低減が可能となる。
特開2004−169915号公報 特開2013−133918号公報
ところで、トルク入力時は、上述したケージと外側継手部材および内側継手部材との間の摺動抵抗だけでなく、トルク伝達ボールと外側トラック溝との間、および、トルク伝達ボールと内側トラック溝との間でも摺動抵抗が発生する。また、例えばアイドル運転時において、等速ジョイント内の摺動抵抗に起因するアイドル振動が発生することが知られており、この振動を抑制するためには、トルク伝達ボールと外側トラック溝との間、および、トルク伝達ボールと内側トラック溝との間で発生する摺動抵抗についても低減する必要がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、トルク入力時において内部で発生する摺動抵抗を低減できる等速自在継手を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)内周面に複数個の外側トラック溝が形成されているカップ状の外側継手部材と、外周面に複数個の内側トラック溝が形成されている内側継手部材と、前記外側継手部材の前記外側トラック溝と前記内側継手部材の前記内側トラック溝との間に介在されている複数個のトルク伝達ボールと、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間に介在され、前記トルク伝達ボールを保持するポケットを有する環状のケージとを、備える等速自在継手であって、(b)前記外側トラック溝の溝底線と前記トルク伝達ボールとの接触点における接線と、前記内側トラック溝の溝底線と前記トルク伝達ボールとの接触点における接線との間の角度である解放角は、前記外側継手部材のカップ底部側から前記外側継手部材のカップ開口部側に向かって前記接線の間の間隔が広くなる第1解放角と、前記外側継手部材の前記カップ開口部側から前記カップ底部側に向かって前記接線の間の間隔が広くなる第2解放角とからなり、(c)前記第1解放角を形成する前記外側トラック溝および前記内側トラック溝からなる第1の溝対と、前記第2解放角を形成する前記外側トラック溝および前記内側トラック溝からなる第2の溝対とが、周方向で交互に配置され、(d)前記第1の溝対に介在される前記トルク伝達ボールの少なくとも1つ、および、前記第2の溝対に介在される前記トルク伝達ボールの少なくとも1つは、前記トルク伝達ボールの直径が、他のトルク伝達ボールの直径よりも大きく形成されており、(e)前記第1の溝対に介在され、前記他のトルク伝達ボールよりも直径の大きい前記トルク伝達ボールの個数と、前記第2の溝対に介在され、前記他のトルク伝達ボールよりも直径の大きい前記トルク伝達ボールの個数とが、同じであることを特徴とする。
また、第2発明の要旨とするところは、第1発明の等速自在継手において、前記トルク伝達ボールの総数が偶数個に設定され、周方向で互いに向かい合う位置に配置されている、前記第1の溝対および前記第2の溝対にそれぞれ介在される前記トルク伝達ボールの直径が、前記他のトルク伝達ボールの直径よりも大きいことを特徴とする。
また、第3発明の要旨とするところは、第1発明または第2発明の等速自在継手において、前記他のトルク伝達ボールよりも直径の大きい前記トルク伝達ボールの直径は、アイドル運転時において前記他のトルク伝達ボールよりも直径が大きくなる値に設定されていることを特徴とする。
第1発明の等速自在継手によれば、第1の溝対に介在される前記トルク伝達ボールの少なくとも1つ、および、第2の溝対に介在されるトルク伝達ボールの少なくとも1つは、その直径が、他のトルク伝達ボールの直径よりも大きく形成されているため、アイドル運転時などの低トルク域では、他のトルク伝達ボールよりも直径の大きいトルク伝達ボールを介してトルク伝達が行われ、他のトルク伝達ボールによるトルク伝達が抑制される。従って、トルク伝達されるトルク伝達ボールの数が少なくなることから、トルク伝達ボールと外側トラック溝および内側トラック溝との間での摺動抵抗を低減できる。
また、トルク入力時において、第1の溝対に介在されてトルク伝達されるトルク伝達ボールの個数と、第2の溝対に介在されてトルク伝達されるトルク伝達ボールの個数が同じであるため、これらのトルク伝達ボールで発生する押し出し力が互いに打ち消し合い、トルク伝達ボールを介してケージに作用する力が大幅に低減される。よって、ケージの内周面と内側継手部材の外周面との間の摺動抵抗、および、ケージの外周面と外側継手部材の内周面との間の摺動抵抗についても低減されることから、等速自在継手内で発生する摺動抵抗が一層低減され、等速自在継手内の摺動抵抗に起因する振動を低減することができる。
また、第2発明の等速自在継手によれば、トルク伝達ボールの総数が偶数個に設定され、周方向で互いに向かい合う位置に配置されている、第1の溝対および第2の溝対にそれぞれ介在されるトルク伝達ボールの直径が、他のトルク伝達ボールの直径よりも大きいため、トルク入力時は、第1の溝対に介在されるトルク伝達ボールの押し出し力と、第2の溝対に介在されるトルク伝達ボールの押し出し力とが打ち消し合うことで、ケージにかかる力が低減される。従って、ケージと外側継手部材および内側継手部材との接触部で発生する摺動抵抗が低減される。
また、第3発明の等速自在継手によれば、直径の大きいトルク伝達ボールの直径は、アイドル運転時において他のトルク伝達ボールよりも直径が大きくなる値に設定されているため、アイドル運転時は、直径の大きいトルク伝達ボールによってトルク伝達されることとなる。従って、アイドル運転時にトルク伝達されるトルク伝達ボールの個数が少なくなるので、アイドル運転時の摺動抵抗が低減され、アイドル運転時の摺動抵抗に起因する振動が抑制される。また、通常走行時などアイドル運転時よりもトルクが大きくなると、直径の大きいトルク伝達ボールが弾性変形することで、他のトルク伝達ボールによってもトルク伝達される。これより、トルクが増加すると残りのトルク伝達ボールによってもトルク伝達されるため、従来の等速自在継手と同様のトルク伝達が可能となる。
本発明の一実施例である車両の等速ジョイントの内部構造を示す組立部である。 図1の等速ジョイントを矢印A方向から見た矢視図である。 図2の等速ジョイントのB−B断面図である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例である車両の等速ジョイント10の内部構造を示す組立図(斜視図)である。等速ジョイント10は、2つの回転軸の間に設けられ、これら2つの回転軸のなす角度(交差角)が変化した場合であっても、これら回転軸間で回転を伝達する、よく知られた等速自在継手である。なお、等速ジョイント10が、本発明の等速自在継手に対応している。
等速ジョイント10は、アウターレース12と、アウターレース12の内周側に配置されるインナーレース14と、アウターレース12とインナーレース14との間に介挿されている6個のボール16と、これら6個のボール16をアウターレース12の後述するアウタトラック溝22およびインナーレース14の後述するインナートラック溝24から脱落不能に保持するケージ18とを、含んで構成されている。なお、アウターレース12が、本発明の外側継手部材に対応し、インナーレース14が、本発明の内側継手部材に対応し、ボール16が、本発明のトルク伝達ボールに対応している。
アウターレース12は、アウターレース12に連結されている回転軸20とともに回転軸線CL1(以下、軸線CL1)回りに回転可能に配置され、軸線CL1方向の一端が開口するカップ状に形成されている。また、アウターレース12の軸線CL1方向において開口部と反対側(以下、カップ底部側という)には、回転軸20が連結されている。アウターレース12のカップ状の部位の内周面には、ボール16と同じ6個のアウタートラック溝22が周方向で等角度間隔に形成されている。なお、アウタートラック溝22が、本発明の外側トラック溝に対応している。
インナーレース14は、環状形状を有し、アウターレース12のカップ状の部位の内部側に配置されている。インナーレース14は、その中心に位置する回転軸線CL2(以下、軸線CL2)回りに回転可能とされている。インナーレース14の外周面には、ボール16と同じ6個のインナートラック溝24が、周方向で等角度間隔で形成されている。また、インナーレース14の内周面には、図示しない回転軸とスプライン嵌合するためのスプライン歯が形成されている。なお、インナートラック溝24が、本発明の内側トラック溝に対応している。
ボール16は、金属材料からなり球形状に形成されている。ボール16は、回転軸20の径方向において、アウターレース12のアウタートラック溝22とインナーレース14のインナートラック溝24との間に介在されている。ボール16は、アウタボール溝22およびインナボール溝24の溝形状に沿って揺動可能(転動可能)とされている。
例えば、インナーレース14からトルクが入力されると、そのトルクが、インナーレース14から各ボール16を介してアウターレース12に伝達される。このとき、ボール16が、インナーレース14のインナートラック溝24と係合するとともに、アウターレース12のアウタートラック溝22と係合することから、インナーレース14、ボール16、およびアウターレース12が一体的に回転する。また、ボール16は、等速ジョイント10の交差角に応じて、アウタボール溝22およびインナボール溝24の形状に沿って軸線CL1方向に揺動(転動)し、等速ジョイント10が一回転すると元位置に復帰する。
ケージ18は、円環形状に形成され、内周面および外周面が何れも滑らかな曲面状に形成されている。ケージ18は、回転軸20の径方向において、アウターレース12とインナーレース14との間に介在されている。ケージ18には、ボール16を脱落不能に保持するためのポケット26が、周方向で等角度間隔に6箇所形成されている。ポケット26は、ケージ18の内周面と外周面との間を貫通する貫通穴であり、径方向外側から見るとケージ18の周方向に沿って長手状に伸びる矩形に形成されている。このポケット26内にボール16がそれぞれ収容されている。従って、各ボール16は、ケージ18によって、周方向で等角度間隔となる位置に常時保持される。
図2は、等速ジョイント10を図1の矢印A方向から見た図、すなわち等速ジョイント10を軸線CL1方向でアウターレース12の開口部側から見た図に対応している。また、図3は、図2の等速ジョイント10のB−B断面図である。なお、図3にあっては、アウターレース12の回転軸線CL1とインナーレース14の回転軸線CL2とが同軸上にある状態を示している。以下、特に区別しない場合には、軸線CL1、CL2を軸線CLと記載する。また、図2、3に示すように、ボール16は、直径の異なるボール16aおよびボール16bの2種類のボールから構成されているが、特に区別しない場合には、ボール16と記載する。同様に、図2、3に示すように、アウタートラック溝22は、形状の異なる第1アウタートラック溝22aおよび第2アウタートラック溝22bから構成され、インナートラック溝24は、形状の異なる第1インナートラック溝24aおよび第2インナートラック溝24bから構成されているが、特に区別しない場合には、アウタートラック溝22およびインナートラック溝24とそれぞれ記載する。
図2に示すように、アウタートラック溝22は、溝形状の異なる、第1アウタートラック溝22aおよび第2アウタートラック溝22bから構成されている。また、インナートラック溝24は、溝形状の異なる、第1インナートラック溝24aおよび第2インナートラック溝24bから構成されている。第1アウタートラック溝22aと第1インナートラック溝24aとが周方向で同じ位置に配置されることで、ボール16を収容する第1の溝対28が構成される。すなわち、第1の溝対28は、第1アウタートラック溝22aおよび第1インナートラック溝24aから構成される。また、第2アウタートラック溝22bと第2インナートラック溝24bとが周方向で同じ位置に配置されることで、ボール16を収容する第2の溝対30が構成される。すなわち、第2の溝対30は、第2アウタートラック溝22bおよび第2インナートラック溝24bから構成される。
以下、アウタートラック溝22およびインナートラック溝24の形状について説明する。
図3の軸線CLよりも上側は、第1の溝対28を形成する第1アウタートラック溝22aおよび第1インナートラック溝24aを示している。第1の溝対28において、第1アウタートラック溝22aの溝底線M1とボール16との接触点S1における接線L1と、第1インナートラック溝24aの溝底線M2とボール16との接触点S2における接線L2との、交点X1を頂点とする接線L1と接線L2との間に、第1解放角αが形成されている。第1解放角αは、軸線CL方向でアウターレース12の開口部と反対側に位置するカップ底部側から開口部側に向かって、接線L1と接線L2との間の間隔が広くなっている。このような解放角αは、アウターレース12のカップ底部側から開口部側に向かって解放されていると称される。なお、溝底線M1は、第1アウタートラック溝22aのうち、軸線CLとの直線距離が最も短い点を結ぶ線、すなわち断面がU字状に形成される第1アウタートラック溝22aの中央部を結ぶ線に対応している。また、第1インナートラック24aの溝底線M2、および後述する第2アウタートラック溝22bの溝底線M3および第2インナートラック溝24bのM4についても同様に定義される。
上記解放角αを形成する一対の第1アウタートラック溝22aおよび第1インナートラック溝24aの間に介在されるボール16にトルクが入力されると、ボール16には、第1アウタートラック溝22aおよび第1インナートラック溝24aのくさび効果によって、軸線CL方向でアウターレース12の開口部方向に作用する押し出し力F1が作用する。この押し出し力F1は、ボール16とケージ18のポケット26との接触点を介してケージ18にも作用する。
図3の軸線CLよりも下側は、第2の溝対30を形成する第2アウタートラック溝22bおよび第2インナートラック溝24bを示している。第2の溝対30において、第2アウタートラック溝22bの溝底線M3とボール16との接触点S3における接線L3と、第2インナートラック溝24bの溝底線M4とボール16との接触点S4における接線L4との、交点X2を頂点とする接線L3と接線L4との間に、第2解放角βが形成されている。第2解放角βは、軸線CL方向でアウターレース12の開口部側からカップ底部側に向かって、接線L3と接線L4との間の間隔が広くなっている。このような、解放角βは、アウターレース12の開口部側からカップ底部側に向かって解放されていると称される。
上記解放角βを形成する一対の第2アウタートラック溝22bおよび第2インナートラック溝24bの間に介在されるボール16にトルクが入力されると、ボール16には、第2アウタートラック溝22bおよび第2インナートラック溝24bのくさび効果によって、軸線CL方向でアウターレース12のカップ底部方向に作用する押し出し力F2が作用する。すなわち、押し出し力F1とは軸線CL方向で反対方向に作用する押し出し力F2が発生する。この押し出し力F2は、ボール16とケージ18のポケット26との接触点を介してケージ18にも作用する。上記のように、本実施例の解放角は、第1解放角αと第2解放角βからなる。
図2に示すように、第1アウタートラック溝22aおよび第1インナートラック溝24aからなる第1の溝対28と、第2アウタートラック溝22bおよび第2インナートラック溝24bからなる第2の溝対30とは、周方向で交互に配置されている。また、アウタートラック溝22およびインナートラック溝24は、それぞれ6個形成されているため、第1の溝対28と第2の溝対30とは周方向で互いに向かい合う位置に配置される。すなわち、第1の溝対28に対して、軸線CLを中心にして対称な位置に、第2の溝対30が配置されている。
上記のように構成されることで、等速ジョイント10にトルクが入力されると、第1解放角αを形成する第1の溝対28に介在されているボール16で発生する押し出し力F1と、第2解放角βを形成する第2の溝対30に介在されているボール16で発生する押し出し力F2とが、互いに打ち消し合うことから、ケージ18に作用する軸線CL方向の力(荷重)が大幅に低減される。
このように、ケージ18に作用する力が低減されることで、ケージ18の外周面とアウターレース12の内周面との接触部での摺動抵抗、および、ケージの内周面とインナーレース14の外周面との接触部での摺動抵抗が大幅に低減される。
ところで、等速ジョイント10にあっては、トルク入力時において、ボール16とアウタートラック溝22およびインナートラック溝24との間、並びにボール16とケージ18のポケット26との間でも接触しており、これらの接触部間でも摺動抵抗が発生する。特に、ボール16とアウタートラック溝22およびインナートラック溝24との間で発生する摺動抵抗が大きい。ここで、エンジンのアイドル運転中は、等速ジョイント10が低トルクかつ無回転の状態となるが、このとき等速ジョイント10内の摺動抵抗に起因する振動(アイドル振動)が発生することが知られている。この振動を低減するため、16とアウタートラック溝22およびインナートラック溝24との間の摺動抵抗を低減する必要がある。
このボール16とアウタートラック溝22およびインナートラック溝24との間の摺動抵抗を低減するため、ボール16が、直径の異なるボール16aおよびボール16bの2種類のボールから構成されている。具体的には、6個のボール16のうち2個のボール16aの直径D1が、他の4個のボール16bの直径D2に比べて大きくされている(D1>D2)。詳細には、ボール16aの直径D1が、ボール16bの直径D2よりも0.01mm〜0.02mm程度大きくされている。本実施例では、第1の溝対28に介在される3個のボール16のうち1個のボール16aが、ボール16bの直径D2よりも大きい直径D1に設定され、その第1の溝対28に対して周方向で互いに向かい合う位置に配置されている第2の溝対30に介在されるボール16aが、ボール16bの直径D2よりも大きい直径D1に設定されている。よって、第1の溝対28に介在される直径D1を有するボール16aの個数と、第2の溝対30に介在される直径D1を有するボール16aの個数とが、同じ数となっている。
上記のように、ボール16aの直径D1が、ボール16bの直径D2よりも大きいことから、アイドル運転時などの低トルク領域では、ボール16aのみでトルク伝達されることとなり、4個のボール16bにはトルク伝達されない。従って、4個のボール16bとそのボール16と接触する溝(アウタートラック溝22およびインナートラック溝24)との間での摩擦力をゼロまたは略ゼロ程度まで大幅に低減することが可能となる。すなわち、ボール16とそのボールと接触する溝との間で摺動抵抗が発生するボール16の数を、実質的に6個から2個に減らすことができる。よって、等速ジョイント10内での摺動抵抗が低減される。
このとき、周方向で互いに向かい合う一対のボール16aによってトルク伝達されるが、図3に示すように、一対のボール16aの一方は、第1の溝対28を構成する第1アウタートラック溝22aと第1インナートラック溝24aとの間に介在され、ボール16aの他方は、第2の溝対30を構成する第2アウタートラック溝22bと第2インナートラック溝24bとの間に介在されているため、一対のボール16aの一方ではスラスト力F1が発生し、一対のボール16aの他方ではスラスト力F2が発生する。従って、アイドル運転時であってもスラスト力F1、F2が互いに打ち消し合うことで、ケージ18に作用する軸線CL方向の力が低減されるため、ケージ18とアウタートラック溝22およびインナートラック溝24との間の摺動抵抗も低減される。
また、通常走行時では、アイドル運転時に比べてトルクが増加することでボール16aにかかる力が増加するため、ボール16aが弾性変形することで、ボール16aに加えて残りの4つのボール16bによってもトルク伝達される。このように、トルクが増加すると6個のボール16によってトルク伝達されることから、トルクが増加しても等速ジョイント10によるトルク伝達が可能となる。よって、トルクが増加した場合には、従来の等速ジョイントと同じように作動するため、等速ジョイント10の信頼性を確保できる。
上述したように、ボール16aの直径D1は、ボール16bの直径D2よりも0.01mm〜0.02mmだけ大きいが、このボール16aの直径D1は、予め実験的または設計的に設定され、例えばアイドル運転時においてボール16bの直径D2よりも大きい状態で維持され、且つ、アイドル運転時に入力されるトルクよりもトルクが大きくなると、ボール16aが弾性変形することで、ボール16bと同じ直径D2となる値に設定されている。すなわち、アイドル運転時に入力されるトルクに対するボール16aの変形量を吸収できる程度に、ボール16aの直径D1が、ボール16bの直径D2よりも大きくされている。従って、アイドル運転中は、ボール16aのみでトルク伝達されることとなり、アイドル運転時に入力されるトルクを越えると、ボール16bによってもトルク伝達される。よって、アイドル運転時にトルク伝達されるボール16の数が少なくなり、等速ジョイント10内の摺動抵抗が低減されるため、アイドル運転時の振動が低減される。
上述のように、本実施例によれば、第1の溝対28に介在されるボール16a、および、第2の溝対30に介在されるボール16aは、その直径D1が、ボール16bの直径D2よりも大きく形成されているため、アイドル運転時などの低トルク域では、ボール16aを介してトルク伝達が行われ、ボール16bによるトルク伝達が抑制される。従って、トルク伝達されるボール16の数が少なくなることから、ボール16とアウタートラック溝22およびインナートラック溝24との間の摺動抵抗を低減できる。
また、トルク入力時において、第1の溝対28に介在されてトルク伝達されるボール16aの個数と、第2の溝対30に介在されてトルク伝達されるボール16aの個数が同じであるため、これらのボール16aで発生する押し出し力F1、F2が互いに打ち消し合い、ボール16aを介してケージ18に作用する力が大幅に低減される。よって、ケージ18の内周面とインナーレース14の外周面との間の摺動抵抗、および、ケージ18の外周面とアウターレース12の内周面との間の摺動抵抗についても低減されることから、等速ジョイント10内で発生する摺動抵抗が一層低減され、等速ジョイント10内の摺動抵抗に起因する振動を低減することができる。また、摺動部で発生する発熱についても低減される。
また、ボール16の総数が偶数個である6個に設定され、周方向で互いに向かい合う位置に配置されている、第1の溝対28および第2の溝対30にそれぞれ介在されるボール16aの直径D1が、ボール16bの直径D2よりも大きいため、トルク入力時は、第1の溝対28に介在されるボール16aの押し出し力F1と、第2の溝対30に介在されるボール16aの押し出し力F2とが打ち消し合うことで、ケージ18にかかる力が低減される。従って、ケージ18とアウターレース12およびインナーレース14との接触部で発生する摺動抵抗が低減される。
また、ボール16aの直径D1は、アイドル運転時においてボール16bよりも直径が大きくなる値に設定されているため、アイドル運転時は、ボール16aによってトルク伝達されることとなる。従って、アイドル運転時にトルク伝達されるボール16の個数が少なくなるので、アイドル運転時の摺動抵抗が低減され、アイドル運転時の摺動抵抗に起因する振動が抑制される。また、通常走行時などアイドル運転時よりも入力されるトルクが大きくなると、ボール16aが弾性変形することで、ボール16bによってもトルク伝達される。これより、トルクが増加するとボール16bによってもトルク伝達されるため、従来の等速ジョイントと同様のトルク伝達が可能となる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、ボール16の個数が6個であったが、必ずしもこれに限定されない。ボール16の個数が4個あるいは8個など適宜変更されても構わない。また、本発明は、ボール16の個数が5個などの奇数個であっても適用することができる。なお、ボール16の数が奇数個の場合には偶数個に比べて、トルク入力時においてケージ18に作用する力(荷重)が大きくなるため、ボール16の数は偶数個が望ましい。
また、前述の実施例では、周方向で互いに向かい合うボール16aが残りのボール16bよりも直径D1が大きくされているが、必ずしも周方向で互いに向かい合うボール16aに限定されない。例えば、周方向で隣合うボール16の直径が他のボール16よりも大きくされても構わない。
また、前述の実施例では、6個のボール16のうち2個のボール16aが、残りのボール16bよりも直径D1が大きくされていたが、必ずしも2個のボール16aに限定されない。例えば4個のボール16の直径が大きくされても構わない。この場合には、例えばアイドル運転時に4個のボール16でトルク伝達されることになるが、6個のボール16でトルク伝達される場合に比べるとトルク伝達されるボール16の数が少なくなるので、本発明の効果が得られる。要は、第1の溝対28に介在され、ボール16bよりも直径の大きいボール16aの個数と、第2の溝対30に介在され、ボール16bよりも直径の大きいボール16aの個数が同じに設定されていれば、本発明の効果を得ることができる。
また、前述の実施例では、ボール16aの直径D1が、ボール16bの直径D2よりも0.01mm〜0.02mm程度大きくされているとしたが、この数値は本実施例における一態様であって、適宜変更される。すなわち、例えばアイドル運転時においてボール16bの直径D2よりも大きくなり、且つ、アイドル運転時に入力されるトルクよりもトルクが大きくなると、ボール16aが弾性変形することで、ボール16bと同じ直径D2となる値であれば構わない。また、必ずしもアイドル運転時に入力されるトルクに基づいた値に限定されず、問題となる振動が発生するトルクに基づいて、ボール16aの直径D1が設定されても構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:等速ジョイント(等速自在継手)
12:アウターレース(外側継手部材)
14:インナーレース(内側継手部材)
16、16a、16b:ボール(トルク伝達ボール)
18:ケージ
22、22a、22b:アウタートラック溝(外側トラック溝)
24、24a、24b:インナートラック溝(内側トラック溝)
26:ポケット
28:第1の溝対
30:第2の溝対
α:第1解放角
β:第2解放角

Claims (3)

  1. 内周面に複数個の外側トラック溝が形成されているカップ状の外側継手部材と、外周面に複数個の内側トラック溝が形成されている内側継手部材と、前記外側継手部材の前記外側トラック溝と前記内側継手部材の前記内側トラック溝との間に介在されている複数個のトルク伝達ボールと、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間に介在され、前記トルク伝達ボールを保持するポケットを有する環状のケージとを、備える等速自在継手であって、
    前記外側トラック溝の溝底線と前記トルク伝達ボールとの接触点における接線と、前記内側トラック溝の溝底線と前記トルク伝達ボールとの接触点における接線との間の角度である解放角は、前記外側継手部材のカップ底部側から前記外側継手部材のカップ開口部側に向かって前記接線の間の間隔が広くなる第1解放角と、前記外側継手部材の前記カップ開口部側から前記カップ底部側に向かって前記接線の間の間隔が広くなる第2解放角とからなり、
    前記第1解放角を形成する前記外側トラック溝および前記内側トラック溝からなる第1の溝対と、前記第2解放角を形成する前記外側トラック溝および前記内側トラック溝からなる第2の溝対とが、周方向で交互に配置され、
    前記第1の溝対に介在される前記トルク伝達ボールの少なくとも1つ、および、前記第2の溝対に介在される前記トルク伝達ボールの少なくとも1つは、前記トルク伝達ボールの直径が、他のトルク伝達ボールの直径よりも大きく形成されており、
    前記第1の溝対に介在され、前記他のトルク伝達ボールよりも直径の大きい前記トルク伝達ボールの個数と、前記第2の溝対に介在され、前記他のトルク伝達ボールよりも直径の大きい前記トルク伝達ボールの個数とが、同じである
    ことを特徴とする等速自在継手。
  2. 前記トルク伝達ボールの総数が偶数個に設定され、
    周方向で互いに向かい合う位置に配置されている、前記第1の溝対および前記第2の溝対にそれぞれ介在される前記トルク伝達ボールの直径が、前記他のトルク伝達ボールの直径よりも大きいことを特徴とする請求項1の等速自在継手。
  3. 前記他のトルク伝達ボールよりも直径の大きい前記トルク伝達ボールの直径は、アイドル運転時において前記他のトルク伝達ボールよりも直径が大きくなる値に設定されていることを特徴とする請求項1または2の等速自在継手。
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