JP2019094260A - 癌疾患治療用ナノ粒子化製剤 - Google Patents

癌疾患治療用ナノ粒子化製剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2019094260A
JP2019094260A JP2016063031A JP2016063031A JP2019094260A JP 2019094260 A JP2019094260 A JP 2019094260A JP 2016063031 A JP2016063031 A JP 2016063031A JP 2016063031 A JP2016063031 A JP 2016063031A JP 2019094260 A JP2019094260 A JP 2019094260A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
cancer
substituted
compound
compound according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016063031A
Other languages
English (en)
Inventor
笠井 均
Hitoshi Kasai
均 笠井
良卓 小関
Yoshitaku Koseki
良卓 小関
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku University NUC
Original Assignee
Tohoku University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku University NUC filed Critical Tohoku University NUC
Priority to JP2016063031A priority Critical patent/JP2019094260A/ja
Priority to PCT/JP2017/012669 priority patent/WO2017170564A1/ja
Publication of JP2019094260A publication Critical patent/JP2019094260A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/14Particulate form, e.g. powders, Processes for size reducing of pure drugs or the resulting products, Pure drug nanoparticles
    • A61K9/16Agglomerates; Granulates; Microbeadlets ; Microspheres; Pellets; Solid products obtained by spray drying, spray freeze drying, spray congealing,(multiple) emulsion solvent evaporation or extraction
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/435Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom
    • A61K31/47Quinolines; Isoquinolines
    • A61K31/4738Quinolines; Isoquinolines ortho- or peri-condensed with heterocyclic ring systems
    • A61K31/4745Quinolines; Isoquinolines ortho- or peri-condensed with heterocyclic ring systems condensed with ring systems having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. phenantrolines
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/56Compounds containing cyclopenta[a]hydrophenanthrene ring systems; Derivatives thereof, e.g. steroids
    • A61K31/58Compounds containing cyclopenta[a]hydrophenanthrene ring systems; Derivatives thereof, e.g. steroids containing heterocyclic rings, e.g. danazol, stanozolol, pancuronium or digitogenin
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D491/00Heterocyclic compounds containing in the condensed ring system both one or more rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms and one or more rings having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, not provided for by groups C07D451/00 - C07D459/00, C07D463/00, C07D477/00 or C07D489/00
    • C07D491/22Heterocyclic compounds containing in the condensed ring system both one or more rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms and one or more rings having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, not provided for by groups C07D451/00 - C07D459/00, C07D463/00, C07D477/00 or C07D489/00 in which the condensed system contains four or more hetero rings
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07JSTEROIDS
    • C07J43/00Normal steroids having a nitrogen-containing hetero ring spiro-condensed or not condensed with the cyclopenta(a)hydrophenanthrene skeleton

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Steroid Compounds (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

【課題】癌疾患の治療に使用する薬物、特に、水溶性で難吸収性である薬物10−ヒドロキシ7−エチルカンプトテシン(SN-38)と脂溶性の有機酸が結合した化合物とそのナノ粒子、SN-38を薬効成分とする新規なDDSの提供。【解決手段】式(1)で示されるSN-38エステル誘導体、及びその化合物をナノ粒子化することによる癌疾患治療用ナノ粒子化製剤の製造方法、及び癌疾患治療用ナノ粒子化製剤。[XはH、ヒドロキシ基、置換/非置換のアルキル基、置換/非置換のアルコキシ基又は置換/非置換のアシルオキシ基、コレステロール骨格の5位及び6位の間の炭素—炭素結合は、単結合又は二重結合]【選択図】なし

Description

本発明は、癌疾患の治療に使用する薬物、特に、水溶性で難吸収性である薬物10−ヒドロキシ7−エチルカンプトテシン(SN-38)と脂溶性の有機酸が結合した化合物、その化合物のナノ粒子、その化合物をナノ粒子化することによる癌疾患治療用ナノ粒子化製剤の製造方法、及び、該癌疾患治療用ナノ粒子化製剤等に関する。
抗癌剤であるカンプトテシン(Camptothecin)及びその特定の誘導体が知られている。カンプトテシンやその誘導体の多くは水に極めて難溶であるため、この薬物の臨床利用が制約されている。水溶性カンプトテシン誘導体としては、9−ジメチルアミノメチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(トポテカン(Topotecan))、7−[(4−メチルピペラジノ)メチル]−10,11−エチレンジオキシカンプトテシン、7−[(4−メチルピペラジノ)メチル]−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン、及び7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]カルボニルオキシカンプトテシン(CPT−11)が挙げられる。これらの中で、CPT−11(イリノテカン(Irinotecan)/カンプトサール(Camptosar)、登録商標)は、1996年6月に米国食品医薬品局からヒトでの使用が認可されたものである。
CPT−11の活性本体が10−ヒドロキシ−7−エチルカンプトテシン(SN-38)であることは1984年にミヤサカ(Miyasaka)他による特許文献1にて判明した。しかしながら、SN-38は、水溶性が極めて乏しいため、ヒト癌患者への直接投与はされていない。一方、近年、ヒト癌患者において、SN-38が更に代謝を受けて不活性化グルクロニド種を形成することが報告されている。SN-38を高分子ミセル化した製剤であるNK012の開発は行われているが、ミセル化ナノ粒子には様々な問題点があり、実用化は疑問視される。
また、SN-38のリポソーム製剤(LE-SN-38)の臨床開発は行われているが、プライアリー腫瘍反応エンドポイントをパスすることができていない。そのため、SN-38を薬効成分とし、新規DDS(Drug Delivery System)を用いた新薬開発の方法が求められている。
従来、難溶性薬剤のナノ粒子は、粗大な粒子をボールミル等によって機械的に粉砕することにより製造されている。しかしながら、ナノメータースケールまで粒径を下げるのは困難であり、また粒径のばらつきも大きい。
一方、人体に薬物を投与する際、難溶性の薬物は、しばしば薬物を水中に分散させた水性懸濁薬剤として用いられる。
水性懸濁薬剤は、水中に分散されたナノ粒子状の薬剤成分が体内で滞留する性質を有することから、局所的に、あるいは長時間にわたって、薬効を発揮させるのに効果的であり、その目的に応じて経口剤、皮膚用外用剤、鼻腔用外用剤、眼科用外用剤等として使用される。
水性懸濁薬剤は、通常、ナノ粒子状に粉砕された薬物を、界面活性剤等を用いて水中に分散させることによって製造される。しかしながら、粉砕によって得られる薬物の粒径は比較的大きく、また、粒径のばらつきも大きいことから、長期間の保存や、温度等の環境の急激な変化によって、大きな粒子成分が沈降してしまう問題がある。また、粒径のばらつきのために、水性懸濁薬剤としての品質にもばらつきが生じやすく、同じ製造方法によって製造された薬剤であっても、滞留時間が短すぎて効果が現れにくかったり、滞留時間が長すぎて副作用が生じる恐れがあったりするという問題もある。そのため、粒径が小さく、かつ粒度分布が狭い薬剤ナノ粒子を得る方法が求められていた。
一方、特許文献2には、抗真菌剤又は抗菌剤と、少なくとも1つのリンカー及び/又は担体とをカップリングさせることによって形成されるコンジュゲートベースの抗真菌性又は抗菌性プロドラッグが開示されている。ここで担体として、脂肪酸、表面活性剤、ポリマー等が用いられているため、安全性や実用化等の問題点がある。
また、特許文献3には、コレステロール修飾した癌治療薬化合物、胆汁酸修飾した癌治療薬化合物、胆汁酸誘導体化修飾した癌治療薬化合物、エマルジョン、マイクロエマルジョン、これらの化合物を含むミセル製剤、これらの化合物や製剤の投与方法及びこれらの化合物や製剤を用いた癌の治療方法が開示されている。
しかしながら、界面活性剤が用いられているため、ミセル化ナノ粒子には様々な問題点があり、実用化は疑問視される。
US4473692 特願2014-517203 WO2005/118612
上記した従来技術における1以上の欠点又は問題を解決することができる、SN-38を薬効成分とする新規なDDSの開発に対する緊急の必要性があった。
上記のような状況に鑑み、本発明者らは、SN-38を薬効成分とする新規DDSの開発について鋭意研究した。その結果、本発明者らは、意外にも特定の脂溶性有機酸をSN-38の10位のヒドロキシ基に導入したSN-38エステル誘導体が、ナノ薬剤製造に有効であり、かつ優れた癌細胞増殖抑制活性を示すことを見出した。本発明者はこの知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記〔1〕〜〔24〕に記載の発明を提供することにより上記課題を解決したものである。
〔1〕
式(1):


(式中、Xは、水素原子、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基であり、コレステロール骨格の5位及び6位の間の炭素―炭素結合は、単結合又は二重結合である)で表される化合物。
〔2〕
前記Xは、水素原子であり、前記コレステロール骨格の5位及び6位の間の炭素―炭素結合は、単結合である、〔1〕に記載の化合物。
〔3〕
前記Xは、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基であり、前記コレステロール骨格の5位及び6位の間の炭素―炭素結合は、二重結合である、〔1〕に記載の化合物。
〔4〕
前記Xは、ヒドロキシ基である、〔3〕に記載の化合物。
〔5〕
前記Xは、アシルオキシ基である、〔3〕に記載の化合物。
〔6〕
前記アシルオキシ基は、アルキルカルボニルオキシ基である、〔5〕に記載の化合物。
〔7〕
前記アルキルカルボニルオキシ基は、アセチルオキシ基である、〔6〕
に記載の化合物。
〔8〕
式(2):
(式中、Rは、置換されていてもよいアルキル基である)で表される化合物。
〔9〕
前記Rは、C〜C20アルキル基である、〔8〕に記載の化合物。
〔10〕
前記Rは、C〜Cアルキル基である、〔8〕に記載の化合物。
〔11〕
前記Rは、メチル基である、〔8〕に記載の化合物。
〔12〕
式(3):
(式中、nは、1〜20の整数を示す)で表される化合物。
〔13〕
からなる群から選ばれる化合物。
〔14〕
〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の化合物がナノ粒子化されて成る、ナノ粒子。
〔15〕
平均粒径10〜200nmである、〔14〕に記載のナノ粒子。
〔16〕
水混和性の有機溶媒に〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の化合物を溶解させた溶液を水に注入して得たことを特徴とする、〔14〕又は〔15〕に記載のナノ粒子の製造方法。
〔17〕
〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の化合物を含有する医薬組成物。
〔18〕
〔14〕又は〔15〕に記載のナノ粒子を含有する医薬組成物。
〔19〕
〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の化合物を含有する癌疾患の治療剤。
〔20〕
〔14〕又は〔15〕に記載のナノ粒子を含有する癌疾患の治療剤。
〔21〕
前記癌疾患が固形腫瘍である、〔19〕又は〔20〕に記載の癌疾患の治療剤。
〔22〕
前記固形腫瘍が食道癌、胃癌、結腸癌、大腸癌、直腸癌、膵臓癌、肝臓癌、喉頭癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、乳癌、子宮癌又は卵巣癌である、〔21〕に記載の癌疾患の治療剤。
〔23〕
〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の癌疾患治療用ナノ粒子化製剤。
〔24〕
〔14〕又は〔15〕に記載のナノ粒子を含有する注射剤。
特に言及しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いた用語は以下に述べる意味を有する。
「アルキル基」とは、特に限定しない限り、飽和脂肪族炭化水素基、例えば炭素数が1〜20の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のC〜Cアルキル基、ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、1,2,2−トリメチルブチル基、1,3,3−トリメチルブチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、2,3,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、オクチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、ノニル基、1−メチルオクチル基、2−メチルオクチル基、3−メチルオクチル基、7−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1,1−ジメチルヘプチル基、6,6−ジメチルヘプチル基、デシル基、1−メチルノニル基、2−メチルノニル基、6−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−プロピルヘプチル基、n−ノニル基、n−デシル等の基を挙げることができるが、C〜Cアルキルの基が好ましい。
「アルコキシ基」とは、アルキル部分が前記の意味を有する炭素数が1〜20の(アルキル)−O−基を示し、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基等のC〜Cアルコキシ基を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
「アシルオキシ基」としては、例えば、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルキルカルバモイルオキシ基、アルキルスルフィニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
「アルキルカルボニルオキシ基」とは、アルキル部分が上記の意味である炭素数が1〜20の(アルキル)−C(=O)−O−基を示し、例えばアセトキシ基又はプロピオニルオキシ基等のC〜Cアルキルカルボニルオキシ基を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
「アルコキシカルボニルオキシ基」とは、アルコキシ部分が上記の意味である炭素数が1〜20の(アルキル)−O−C(=O)−O−基を示し、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、プロポキシカルボニルオキシ基、ブトキシカルボニルオキシ基等のC〜Cアルコキシ−カルボニルオキシ基)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「アルキルカルバモ イルオキシ基」とは、アルキル部分が上記の意味である炭素数が1〜20の(アルキル)−NH−C(=O)−O−基を示し、例えば、メチルカルバモイルオキシ基、エチルカルバモイルオキシ基等のC〜Cアルキルカルバモイルオキシ基)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「アルキルスルフィニルオキシ基」とは、アルキル部分が上記の意味である炭素数が1〜20の(アルキル)−SO−O−基を示し、例えば、メチルスルフィニルオキシ基、エチルスルフィニルオキシ基、プロピルスルフィニルオキシ基、イソプロピルスルフィニルオキシ基等のC〜Cアルキルスルフィニルオキシ基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「アルキルスルホニルオキシ基」とは、アルキル部分が上記の意味である炭素数が1〜20の(アルキル)−SO−O−基を示し、例えば、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、プロピルスルホニルオキシ基、イソプロピルスルホニルオキシ基等のC〜Cアルキルスルホニルオキシ基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基」とは、置換されていても、無置換であってもよい。置換されている場合、置換基はどの置換可能な位置で置換されてもよく、好ましくは置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基等である。
抗癌活性成分であるSN-38を脂溶性有機酸(疎水性分子)と化学結合させて該成分の細胞膜親和性及び浸透性の向上を図るとともに、再沈法における効率的なナノ粒子化を促すことによって、このような薬効成分を含む癌治療用薬剤の機能を著しく向上させることができる。
該脂溶性有機酸としては当業者に公知の任意の物質を用いることができ、例えば、コレステロール等のコレステロール類、水素添加されたジヒドロコレステロール等の各種誘導体(例えば、コラン酸又はコレン酸)、ヒノキチオールの有機酸誘導体(例えば、ヒノキチオールグルタル酸)、各種脂肪酸とのエステル体又は塩、並びに、疎水性アミノ酸や疎水性ペプチド等を挙げることができる。
該脂溶性有機酸の代表例としては、式(4)又は式(5)で表される有機酸が挙げられる。
式(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基であり、コレステロール骨格の5位及び6位の間の炭素―炭素結合は、単結合又は二重結合である。 式(5)中、nは、1〜20の整数を示し、好ましくは、1〜6の整数であり、もっと好ましくは、3である。
該脂溶性有機酸の好適な代表例としては、Xは、水素原子であり、コレステロール骨格の5位及び6位の間の炭素―炭素結合は、単結合である化合物が挙げられる。
該脂溶性有機酸の好適な代表例としては、Xは、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基であり、コレステロール骨格の5位及び6位の間の炭素―炭素結合は、二重結合である化合物が挙げられる。Xは、好ましくは、ヒドロキシ基又はアシルオキシ基(例えばアルキルカルボニルオキシ)であり、もっと好ましくは、アセチルオキシ基である。
該脂溶性有機酸の例示としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の式(1)の化合物の具体例としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のSN-38ヒノキチオール誘導体ナノ粒子の走査型電子顕微鏡で撮影した写真像(SEM像)の一例を示す。 本発明のSN-38コラン酸誘導体ナノ粒子の走査型電子顕微鏡で撮影した写真像(SEM像)の一例を示す。 本発明のSN-38誘導体ナノ粒子とイリノテカンのin vitro抗癌活性試験の結果を示す。
本発明の式(1)、式(2)及び式(3)の化合物の合成
本発明の式(1)、式(2)及び式(3)の化合物は、当業者には公知の方法で製造できる。例えば、SN-38又はその誘導体と、脂溶性有機酸、例えば、コラン酸、コレン酸等、ヒノキチオール又はその誘導体を、塩基及び溶媒の存在下、脱水縮合させることによってSN-38エステルを製造することができる。
SN-38エステルの製造で一般的に使用しうる塩基としては有機塩基、例えば、脂肪族三級アミン、芳香族三級アミン、窒素含有複素環化合物等、又は無機塩基、例えば、NaOHを例示できる。ここで、脂肪族三級アミンとしては炭素数1〜6の脂肪鎖が置換したトリアルキルアミン類(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン等)を、芳香族三級アミンとしては炭素数1〜6の脂肪鎖が窒素原子上に2つ置換したアニリン類(例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等)を、窒素含有複素環化合物としては、例えば、ピリジン類(具体的には、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N,N−ジエチルアミノピリジン等)、ジアジン類(具体的には、1,2−ジアジン、1,3−ジアジン、1,4−ジアジン等)、トリアジン類(具体的には、1,3,4−トリアジン等)、メチルイミダゾール、ヘキサメチレンテトラミン、及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)等の窒素含有複素環化合物をそれぞれ例示することができる。塩基の使用量は、SN-38の1モルに対し1.0〜6.0モル、好ましくは1.0〜3.0モルの範囲であればよい。
SN-38エステルの製造で一般的に使用しうる溶媒としては塩化メチレン、エチレンジクロリド(EDC)、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)又はジメトキシエタン(DME)のような適当な溶剤が挙げられる。
SN-38エステルを製造する際の反応温度は、溶媒の沸点以下の温度範囲で任意に選ぶことができるが、0〜60℃の範囲を好ましい反応温度として例示できる。より好ましくは、20〜30℃である。反応の反応時間は、反応条件(例えば、用いた化合物や溶媒の種類及び量、反応温度等)の影響を受けるため一概には言えないが、通常は1〜24時間である。
本発明の式(1)の化合物のナノ粒子の製造方法
本発明の式(1)の化合物のナノ粒子を製造するにあたっては、式(1)の化合物は、まず良溶媒である有機溶媒に溶解される。有機溶媒としては、式(1)の化合物を溶解することができ、水と混和性のある有機溶媒ならば適宜選択できる。具体的な有機溶媒としては、溶解させる化合物にもよるが、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等を例示することができ、これらを単独であるいは混合して用いることができる。有機溶媒としては、溶解性と安全性の観点からは、アセトン、テトラヒドロフラン、エタノール及びジメチルスルホキシドが特に好ましい。
本発明の式(1)の化合物の有機溶媒への溶解濃度は、生成するナノ粒子の粒径に影響を与える大きな要因であるため、その濃度は所望の粒径に応じて適宜変更される。後述するように平均粒径が10〜200nmのナノ粒子を得ようとする場合、溶解濃度は、通常0.1〜15質量%程度で調整されるが、平均粒径が10〜200nmのナノ粒子を得ようとする場合、0.5質量%前後の溶液を用いて調製される。
式(1)の化合物の有機溶媒溶液(以下単に有機溶媒溶液という。)が、貧溶媒である水に注入されると、水に分散した状態の式(1)の化合物のナノ粒子が生成する。本発明では、式(1)の化合物が脂溶性有機酸を複数有することにより、式(1)の化合物の水への溶解性は、元のSN-38よりも低くなる。その結果、式(1)の化合物は、元のSN-38よりも水中で迅速に結晶化し、粒径や粒度分布がより小さいナノ粒子となる。
有機溶媒溶液が注入される水の量は、通常、本発明の式(1)の化合物の体積基準で、10倍以上である。上限は特にないが、水が多すぎると式(1)の化合物のナノ粒子の濃度が薄くなり、濃縮する必要も生じるため、通常、100倍以下である。
有機溶媒溶液が注入される水の温度を変化させると、生成するナノ粒子の粒径も変化するので、有機溶媒溶液の注入中に、水を特定の温度に一定に保つことで、得られる式(1)の化合物のナノ粒子の粒径を制御することができる。例えば、低い温度の水を用いると、式(1)の化合物のナノ粒子の粒径が大きくなる傾向がある。通常、−20℃〜60℃の範囲で、所望の粒径に応じて温度が制御される。
有機溶媒溶液の注入は、粒径のばらつきを防ぐため、攪拌状態の水に、短時間に一気に行うことが好ましい。注入後、しばらく攪拌を続けることにより、結晶化あるいはナノ粒子化した式(1)の化合物が水に均一に分散された、水分散液を得ることができる。得られた式(1)の化合物のナノ粒子は、水に分散された状態まま、水性懸濁薬剤として利用することができ、また濾過等の固液分離操作を行うことによって、微粒子粉末として単離することもできる。
水性懸濁薬剤として使用する場合、用途や、使用した良溶媒の種類によっては、このまま使用することもできるが、通常、良溶媒として添加された有機溶媒は、薬剤としての安全性を向上させるために除去される。有機溶媒の除去方法に制限はなく、公知の方法で水性懸濁剤から除去することができる。通常は、有機溶媒は、減圧(あるいは常圧)下で留去することによって容易に除去されるが、透析を用いて取り除くこともできる。
以上のような操作を行うことにより、粒径が非常に小さく、また粒度分布が狭い式(1)の化合物のナノ粒子を得ることができる、水の温度や、良溶媒の種類、添加量等を制御することにより、狭い粒度分布を保ちつつも、粒径を大きくさせた式(1)の化合物のナノ粒子を製造することが可能であり、通常、製造条件を変更することにより、平均粒径が10nm〜200nm程度の式(1)の化合物のナノ粒子を製造することができる。
式(1)の化合物は、生体内において、生体内を通過する際のpHの変化や、エステラーゼ等の酵素の働きにより、本来の薬剤SN-38の形に加水分解される。したがって、生体内ではSN-38そのものとして機能するため、本発明の式(1)の化合物のナノ粒子の薬効及び安全性を確保することができる。
以上、現時点において、最も、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う式(1)の化合物のナノ粒子及びその製造方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。なお、本発明の式(2)及び式(3)の化合物のナノ粒子の製造方法は、上記の本発明の式(1)の化合物ナノ粒子の製造方法に準じる。
EPR 効果(enhanced permeability and retention effect)を利用するためには、ナノ粒子の大きさは、腎排泄を抑えるために 10nm以上である必要がある。また、脾臓などのマクロファージや肝臓のクッパー細胞などに捕捉されないために、200nm 以下である必要がある(がんターゲティングのためのナノメディスン、www.dojindo.co.jp/letterj/151/review/01.html (総説、片山 佳樹 教授)。従って、本発明のナノ粒子の平均粒径は、10〜200nmであることが好ましく、 10〜100nmであることがより好ましい。
更に、本発明は、上記の癌治療用ナノ粒子化製剤を含む各種治療用の医薬組成物に係る。このような医薬組成物には、該医薬組成物の投与対象、投与経路、用途、形態、及び含まれる薬物の種類・量等の様々な条件に応じて、当業者に公知の任意の医薬上許容されるその他の各種の緩衝液、補助剤及び添加剤等を適宜含有させることができる。
本発明の癌疾患治療用ナノ粒子化製剤の治療の対象となる腫瘍としては、特に限定されないが固形腫瘍であり、具体的には食道癌、胃癌、結腸癌、大腸癌、直腸癌、膵臓癌、肝臓癌、喉頭癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、乳癌、子宮癌又は卵巣癌が挙げられる。標的部位は、腫瘍の細胞、組織、器官又は臓器及びそれらの内部等である。
本発明の癌疾患治療用ナノ粒子化製剤は、例えば非経口的、経口的、経皮的、経鼻的あるいは肺投与の形態で調製される。
製薬上許容される賦形剤を含有する本発明の組成物は、賦形剤を薬あるいは治療剤と混合することを含むよく知られている調剤技術のいずれかによって調製することができる。
非経口としては、例えば注射投与用の無菌水溶液として処方することができる。
本発明による医薬組成物は、例えば脳癌、骨癌や基底細胞癌腫、腺癌、食道癌、小腸癌及び胃癌のような上皮細胞由来の新生物(上皮癌腫)、結腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、肺癌、胸癌、皮膚癌等の癌、前立腺癌、腎臓癌腫及び体中の上皮細胞に影響する他の知られている癌を含む良性あるいは悪性の腫瘍/新生物の防止、改善及び/又は治療に有用である。本発明の組成物が特に有用であると考えられる癌は胃腸癌、特に結腸直腸癌、肺癌、特に小細胞肺癌、子宮頚癌及び膵臓癌である。
治療効果を得るために本発明による組成物を投与する個々の用量は、もちろん、例えば年齢、体重、患者の状況、投与経路等を含めた個々の投与環境によって決まる。個々の投薬計画は、それぞれの個人的必要性及び前記組成物の投与を管理監督する人の専門的判断に基づいて特定の対象に適合させることができる。
採用する用量範囲は、投与経路、処置される患者の年齢、体重、状況に依存する。例を挙げると本発明の組成物の日投与量は一般に非経口投与、具体的にはボーラス又は輸液による静脈投与の場合、1〜1000mg/m体表面積、好ましくは10〜500mg/m体表面積である。前記用量は一時に投与してもよいし、様々な時間間隔で数回に分割して少しずつ行ってもよい。非経口投与の適当なスケジュールのある特定の例を挙げると、第1週目から第4週目までの各週の初日に静脈輸液で90分かけて125mg/m体表面積を投与する6週間の投与計画である。別の治療計画では350mg/m体表面積の非経口投与が3週間ごとに90分かけて静脈注射で行われる。
以下、実施例に即して本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの記載によって何等制限されるものではない。
SN-38ヒノキチオール誘導体の合成
SN-38グルタル酸エステルは、公知文献(L. Mao at al., Chemical Communications 2012, 48, 395-397)の記載に基づき、合成した。
ナス型フラスコにSN-38グルタル酸エステル (50 mg、0.0987 mmol)とヒノキチオール(16.2 mg, 0.0987 mmol)を添加し、脱水したCH2Cl2 1.0 mlに溶解させた。この溶液にEDC(37.8 mg, 0.197 mmol)とDMAP(1.2 mg, 0.00987 mmol)を添加して3時間攪拌を行った。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止後、分液ロートに移した。クロロホルムを用いて抽出後、クロロホルム層を水及び飽和塩化ナトリウム水溶液を用いて洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸マグネシウムで脱水後、脱脂綿ろ過を行った後、減圧下にて溶媒を留去させた。そして、展開溶媒をクロロホルム/メタノール=100/1〜30/1にしたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。精製した結晶の色は、淡黄色で、SN-38ヒノキチオール誘導体(56.3 mg, 0.0863 mmol)が87%の収率で得られた。
HNMR (CDCl3, 400 MHz): d 1.05 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.25, (6H, d, J = 6.8 Hz)1.40 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.54-1.84 (2H, m), 2.25-2.32 (2H, m), 2.78-2.95 (4H, m),3.16 (2H, q, J = 7.6 Hz), 3.70 (1H, s), 5.26 (2H, s), 5.31 (1H, d, J = 16 Hz), 5.76 (1H, d, J = 16 Hz), 6.97-7.19 (4H, m), 7.58 (1H, dd, J = 9.2, 2.4 Hz ), 7.64 (1H, s), 7.87 (1H, d, J = 2.4 Hz), 8.23 (1H, d, J = 9.2 Hz).
HR-MS (ESI-TOF): m/z calcd. for C37H37N2O9 ([M+H]+) 653.2494, found 653.2488.
SN-38 コラン酸誘導体の合成
二口ナス型フラスコにSN-38 (80.6 mg、0.205 mmol)とコラン酸(77.4 ng, 0.215 mmol)を添加し、脱水したCH2Cl2 10 mlに溶解させた。この溶液にEDC(84.9 mg, 0.443 mmol)とDMAP(5.5 mg, 0.0450 mmol)を添加して24時間攪拌を行った。反応溶液を分液ロートに移しクロロホルムを加え、飽和塩化アンモニウム水溶液、水、塩化ナトリウム水溶液を用いて洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸マグネシウムで脱水後、脱脂綿ろ過を行った後、減圧下にて溶媒を留去させた。そして、展開溶媒をクロロホルム/メタノール=100/1にしたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。精製した結晶の色は、淡黄色で、SN-38コラン酸誘導体(149 mg, 0.203 mmol)が99%の収率で得られた。
HNMR (CDCl3, 400 MHz): d 0.69 (3H, s), 0.92-2.01 (48H, m), 2.57-2.61 (1H, m), 2.67-2.71 (1H, m), 3.14 (2H, q, J = 7.6 Hz), 3.94 (1H, s), 5.24 (2H, s), 5.29 (1H, d, J = 16 Hz), 5.74 (1H, d, J = 16 Hz), 7.53 (1H, dd, J = 9.2, 2.4 Hz ), 7.64 (1H, s), 7.79 (1H, d, J = 2.4 Hz), 8.21 (1H, d, J = 9.2 Hz).
HR-MS (ESI-TOF): m/z calcd. for C46H59N2O6 ([M+H]+) 735.4368, found 735.4358.
SN-38 コレン酸誘導体の合成
TBS-コレン酸は、公知文献(T. A. Spencer at al., journal of Medicinal Chemistry 2001, 44, 886-897.)の記載に基づき、合成した。
ナス型フラスコにSN-38 (50mg, 0.127 mmol)とTBS-コレン酸(62.3 mg, 0.127 mmol)を添加し、脱水したCH2Cl2 1.3mlに溶解させた。この溶液にEDC(48.7 mg, 0.254 mmol)とDMAP(1.6 mg, 0.0127 mmol)を添加して3時間攪拌を行った。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止後、分液ロートに移した。クロロホルムを用いて抽出後、クロロホルム層を水及び飽和塩化ナトリウム水溶液を用いて洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸マグネシウムで脱水後、脱脂綿ろ過を行った後、減圧下にて溶媒を留去させた。そして、展開溶媒をクロロホルム/メタノール=100/1にしたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。精製した結晶の色は、淡黄色で、SN-38コレン酸TBS保護体(38.4 mg, 0.0445 mmol)が35%の収率で得られた。
ナス型フラスコにSN-38コレン酸TBS保護体(38.4mg, 0.0445 mmol)を添加し、CH2Cl2/MeCN/H2O = 1.5 mL/1 mL/0.5 mLに溶解させLiBF4(20.9 mg, 0.222 mmol)を加えて80℃で5時間攪拌を行った。この溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止後、分液ロートに移した。クロロホルムを用いて抽出後、クロロホルム層を水及び飽和塩化ナトリウム水溶液を用いて洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸マグネシウムで脱水後、脱脂綿ろ過を行った後、減圧下にて溶媒を留去させた。そして、展開溶媒をクロロホルム/メタノール=100/1にしたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。精製した結晶の色は、淡黄色で、SN-38コレン酸誘導体(27.0 mg, 0.0360 mmol)が81%の収率で得られた。
HNMR (THF-d8, 400 MHz): d 0.76 (3H, s), 0.93-1.64 (29H, m), 1.80-2.21 (9H, m),2.57-2.61 (1H, m), 2.67-2.71 (1H, m), 3.19-3.32 (4H, m), 5.26-5.30 (4H, m), 5.51-5.56 (2H, m), 7.49 (1H, s),7.55 (1H, dd, J = 9.2, 2.4 Hz ), 7.91 (1H, d, J = 2.4 Hz), 8.15 (1H, d, J = 9.2 Hz).
HR-MS (ESI-TOF): m/z calcd. for C46H57N2O7 ([M+H]+) 749.4160, found 749.4144.
SN-38 アセチルコレン酸誘導体の合成
アセチルコレン酸は、公知文献(Y. Shen at al., journal of Fluorine Chemistry 2002, 113, 13-15.)の記載に基づき、合成した。
ナス型フラスコにSN-38 (84.7mg, 0.216 mmol)とアセチルコレン酸(108 mg, 0.259 mmol)を添加し、脱水したCH2Cl2を2.2 mlに溶解させた。この溶液にEDC(82.8 mg, 0.254 mmol)とDMAP(2.6 mg, 0.0216 mmol)を添加して18時間攪拌を行った。この溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止後、分液ロートに移した。クロロホルムを用いて抽出後、クロロホルム層を水及び飽和塩化ナトリウム水溶液を用いて洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸マグネシウムで脱水後、脱脂綿ろ過を行った後、減圧下にて溶媒を留去させた。そして、展開溶媒をクロロホルム/メタノール=100/1にしたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。精製した結晶の色は、淡黄色で、SN-38アセチルコレン酸誘導体(136 mg, 0.0445 mmol)が80%の収率で得られた。
HNMR (CDCl3, 400 MHz): d 0.73 (3H, s), 0.92-1.64 (30H, m), 1.82-2.01 (11H, m), 2.32-2.34 (2H, m), 2.56-2.62 (1H, m), 2.68-2.76 (1H, m),3.15 (2H, q, J = 7.6 Hz), 3.70 (1H, s), 4.59-4.65 (1H, m),5.28 (2H, s), 5.32 (1H, d, J = 16 Hz), 5.38 (1H, d, J = 4.8 Hz), 5.76 (1H, d, J = 16 Hz), 7.55 (1H, dd, J = 9.2, 2.4 Hz), 7.64 (1H, s), 7.82 (1H, d, J = 2.4 Hz), 8.24 (1H, d, J = 9.2 Hz).
HR-MS (ESI-TOF): m/z calcd. for C48H59N2O8 ([M+H]+) 791.4266, found 791.4260.
ナノ粒子の作製方法
10 mM に調製したSN38誘導体のTHF溶液100 μLを水10 ml中に注射器を用いて室温下注入し、SN-38誘導体のナノ粒子の水分散液を得た。ナノ粒子の水分散液(10 mL)を封入した透析膜(分画分子量1万2千〜1万4千)を100 mLの蒸留水を加えたビーカーに投入し、5時間置きに2回蒸留水を交換して、ナノ粒子分散液中のTHFを除去した。その後、透析膜内のナノ粒子分散液を10 mLに定容することで最終的な濃度は0.1 mMとなった。
有機溶媒の除去方法
ナノ粒子の水分散液(10 mL)を封入した透析膜(分画分子量1万2千〜1万4千)を100 mLの蒸留水を加えたビーカーに投入し、5時間置きに2回蒸留水を交換して、ナノ粒子分散液中のTHFを除去した。
粒子サイズは以下の通りであった。
SN-38ヒノキチオール誘導体 200 nm
SN-38コラン酸誘導体 50 nm
SN-38コレン酸誘導体 50 nm
SN-38アセチルコレン酸誘導体 50 nm
試験例1
in vitro活性試験
ヒト肝癌細胞株HepG2を96ウェルプレートに2 × 104 cells/ウェルで播種した。翌日、イリノテカン、SN-38誘導体ナノ粒子分散液を、0.01〜10 μMとなるようにHepG2細胞培養液に添加した。その後48時間培養し、Cell Counting Kit-8(DOJINDO社製)とマイクロプレートリーダー(BIO-RAD社製)を用いて、比色法により細胞生存率を測定した。この結果、本条件下において、イリノテカンはほとんど抗癌活性を示さなかったのに対して、各種SN-38試料は顕著な抗癌活性を示した(図3)。
本願に係る発明のナノ粒子は、顕著な抗癌活性を示し、界面活性剤を構成要件とするミセルとは異なり、界面活性剤を構成要件としないために、実用化及び安全性が期待される。



Claims (24)

  1. 式(1):

    (式中、Xは、水素原子、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基であり、コレステロール骨格の5位及び6位の間の炭素―炭素結合は、単結合又は二重結合である)で表される化合物。
  2. 前記Xは、水素原子であり、前記コレステロール骨格の5位及び6位の間の炭素―炭素結合は、単結合である、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記Xは、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基又は置換されていてもよいアシルオキシ基であり、前記コレステロール骨格の5位及び6位の間の炭素―炭素結合は、二重結合である、請求項1に記載の化合物。
  4. 前記Xは、ヒドロキシ基である、請求項3に記載の化合物。
  5. 前記Xは、アシルオキシ基である、請求項3に記載の化合物。
  6. 前記アシルオキシ基は、アルキルカルボニルオキシ基である、請求項5に記載の化合物。
  7. 前記アルキルカルボニルオキシ基は、アセチルオキシ基である、請求項6に記載の化合物。
  8. 式(2):
    (式中、Rは、置換されていてもよいアルキル基である)で表される化合物。
  9. 前記Rは、C〜C20アルキル基である、請求項8に記載の化合物。
  10. 前記Rは、C〜Cアルキル基である、請求項8に記載の化合物。
  11. 前記Rは、メチル基である、請求項8に記載の化合物。
  12. 式(3):
    (式中、nは、1〜20の整数を示す)で表される化合物。
  13. からなる群から選ばれる化合物。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物がナノ粒子化されて成る、ナノ粒子。
  15. 平均粒径10〜200nmある、請求項14に記載のナノ粒子。
  16. 水混和性の有機溶媒に請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物を溶解させた溶液を水に注入して得たことを特徴とする、請求項14又は15に記載のナノ粒子の製造方法。
  17. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物を含有する医薬組成物。
  18. 請求項14又は15に記載のナノ粒子を含有する医薬組成物。
  19. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物を含有する癌疾患の治療剤。
  20. 請求項14又は15に記載のナノ粒子を含有する癌疾患の治療剤。
  21. 前記癌疾患が固形腫瘍である、請求項19又は20に記載の癌疾患の治療剤。
  22. 前記固形腫瘍が食道癌、胃癌、結腸癌、大腸癌、直腸癌、膵臓癌、肝臓癌、喉頭癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、乳癌、子宮癌又は卵巣癌である、請求項21に記載の癌疾患の治療剤。
  23. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の癌疾患治療用ナノ粒子化製剤。
  24. 請求項14又は請求項15に記載のナノ粒子を含有する注射剤。



JP2016063031A 2016-03-28 2016-03-28 癌疾患治療用ナノ粒子化製剤 Pending JP2019094260A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016063031A JP2019094260A (ja) 2016-03-28 2016-03-28 癌疾患治療用ナノ粒子化製剤
PCT/JP2017/012669 WO2017170564A1 (ja) 2016-03-28 2017-03-28 癌疾患治療用ナノ粒子化製剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016063031A JP2019094260A (ja) 2016-03-28 2016-03-28 癌疾患治療用ナノ粒子化製剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019094260A true JP2019094260A (ja) 2019-06-20

Family

ID=59964626

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016063031A Pending JP2019094260A (ja) 2016-03-28 2016-03-28 癌疾患治療用ナノ粒子化製剤

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2019094260A (ja)
WO (1) WO2017170564A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022532342A (ja) 2019-05-14 2022-07-14 ニューベイション・バイオ・インコーポレイテッド 抗がん核内ホルモン受容体標的化化合物
EP4058464A1 (en) 2019-11-13 2022-09-21 Nuvation Bio Inc. Anti-cancer nuclear hormone receptor-targeting compounds
MX2023011241A (es) 2021-03-23 2023-10-03 Nuvation Bio Inc Compuestos dirigidos a receptores de hormonas nucleares contra el cancer.
EP4334314A1 (en) 2021-05-03 2024-03-13 Nuvation Bio Inc. Anti-cancer nuclear hormone receptor-targeting compounds

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20080045559A1 (en) * 2003-10-29 2008-02-21 Sonus Pharmaceuticals, Inc. Tocopherol-modified therapeutic drug compounds
WO2005118612A1 (en) * 2004-06-04 2005-12-15 Sonus Pharmaceuticals, Inc. Cholesterol/bile acid/bile acid derivative-modified therapeutic anti-cancer drugs
CN101967173A (zh) * 2010-09-15 2011-02-09 东北林业大学 喜树碱10位偶合胆酸的新衍生物
US20150119388A1 (en) * 2012-06-15 2015-04-30 The Children's Hospital Philadelphia Novel pro- and codrug derivatives for nanoparticle delivery of select anticancer agents formed using rapidly cleavable phenolic ester bridges
US9150585B2 (en) * 2012-11-13 2015-10-06 Fl Therapeutics Llc Analogs of camptothecin
CN105315294B (zh) * 2014-06-26 2018-05-01 王杭祥 7-乙基-10-羟基喜树碱药物前体及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
WO2017170564A1 (ja) 2017-10-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Dong et al. Self-assembly of oxidation-responsive polyethylene glycol-paclitaxel prodrug for cancer chemotherapy
Zhang et al. Novel SN38 conjugate-forming nanoparticles as anticancer prodrug: in vitro and in vivo studies
Du et al. Redox sensitive lipid-camptothecin conjugate encapsulated solid lipid nanoparticles for oral delivery
CN101707888B (zh) 用7-乙基-10-羟基喜树碱的多臂聚合物缀合物治疗非霍奇金氏淋巴瘤
JP5027885B2 (ja) 水難溶性カンプトテシン誘導体のサブミクロンナノ粒子及びその製造方法
CN101420963B (zh) 用于治疗乳腺癌、结肠直肠癌、胰腺癌、卵巢癌和肺癌的7-乙基-10-羟基喜树碱的多臂聚合轭合物
WO2017170564A1 (ja) 癌疾患治療用ナノ粒子化製剤
WO2005118612A1 (en) Cholesterol/bile acid/bile acid derivative-modified therapeutic anti-cancer drugs
CN111484501A (zh) 羟基喜树碱亚油酸酯小分子前药及其自组装纳米粒的构建
KR20140051292A (ko) 양친매성 스페이서 또는 양친매성 폴리머 상에서 치료제를 포함하는 항산화, 신경보호 및 항신생물 나노입자
TW201016237A (en) Treatment of neuroblastoma with multi-arm polymeric conjugates of 7-ethyl-10-hydroxycamptothecin
Fang et al. Dimeric camptothecin derived phospholipid assembled liposomes with high drug loading for cancer therapy
Zheng et al. Hydrophobized SN38 to redox-hypersensitive nanorods for cancer therapy
CN106946975A (zh) 一种雷公藤甲素衍生物及其制备方法与制剂
He et al. Redox responsive 7-ethyl-10-hydroxycamptothecin (SN38) lysophospholipid conjugate: synthesis, assembly and anticancer evaluation
KR20210120899A (ko) 약물 이합체를 포함하는 나노입자 및 이의 용도
CN108863992B (zh) 多氨基多羧酸修饰卡巴他赛化合物的制备方法及用途
CN112654626A (zh) 化合物及其用途
EP2586463B1 (en) Pharmaceutical multimeric particles, and manufacturing method for same
KR101554703B1 (ko) 벤조일옥시신남알데히드-폴리에틸렌글리콜 결합 마이셀에 아연 프로토포르피린을 담지한 pH 감응형 항암 전구약물 및 이의 제조방법
RU2697551C2 (ru) Новые производные peg
CN112778217B (zh) 一种喹唑啉类化合物及其应用
JP2021147340A (ja) 化合物、そのナノ粒子及び癌疾患の治療剤
CN111171018B (zh) 一种查尔酮类化合物及其应用
EP3763391A1 (en) Ketone carbonyl-containing hydrophobic antitumor drug and conjugate thereof as well as nano preparation containing conjugate, preparation method therefor, and application thereof