JP2019092008A - 局側装置及び通信ノードの登録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
PONシステムは、光スプリッタで分岐する光ファイバ網であるPON回線と、PON回線の幹線ファイバに接続される局側の光回線終端装置(OSU:Optical Subscriber Unit)と、PON回線の複数の支線ファイバにそれぞれ接続される宅側の光回線終端装置(ONU:Optical Network Unit)と、を備える。
分散型のPONシステムでは、シャーシ型の筐体を採用する局側装置のスロットに回線カード(OSU:以下、「回線ノード」ともいう。)又は中継カード(以下、「中継ノード」ともいう。)を選択的に収納でき、中継カードは、リモートノードと光ファイバを伝送路としたイーサネット通信(「イーサネット」は登録商標である。)を行う。
従って、リモートノードを用いる分散型のPONシステムでは、リモートノードによるPON通信の設定作業を局側からの遠隔制御で行えるようにすることが好ましい。
本発明は、リモートノードを含む分散型のPONシステムにおいて、リモートノードを回線ノードと同様に扱えるようにすることを目的とする。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、リモートノードを含む分散型のPONシステムにおいて、管理対象となるリモートノードを局側で自動的に検出できるようにすることを第2の目的とする。
また、本発明は、システム及び装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現することができる。
本発明によれば、リモートノードを含む分散型のPONシステムにおいて、管理対象となるリモートノードを自動的に検出することができる。
以下、本発明の実施形態の概要を列記して説明する。
従って、リモートノードを含む分散型のPONシステムにおいて、リモートノードを回線ノードと同様に扱うことができる。よって、上述の第1の目的が達成される。
この場合、例えば通信事業者の作業員が、上記の操作入力をパーソナルコンピュータなどよりなる端末装置に実行することにより、リモートノードの識別情報を管理テーブルに登録できるようになる。
その理由は、複数のスロットを有するシャーシ型の筐体は汎用品であるため、特殊形状の収納部を有する筐体を採用する場合に比べて、本実施形態の局側装置を安価に製作できるからである。
その理由は、MACアドレスのアドレス値は、各通信ノードに一意に割り当てられており、リモートノードを含む各通信ノードの個体識別に適した情報だからである。
このようにすれば、制御通信に用いるローカルIPアドレスをリモートノードに自動的に割り当てることができる。
このようにすれば、リモートノードを含む分散型のPONシステムにおいて、局側装置の管理部が、管理対象となるリモートノードを自動的に検出することができる。よって、上述の第2の目的が達成される。
このようにすれば、遠隔地に設置されることが想定されるリモートノードに、PON設定情報を自動的に提供することができる。
このようにすれば、ユーザフレームと制御フレームが混在する中継ノード/リモートノード間のイーサネット通信において、各通信ノードが制御フレームを容易に識別することができる。
このようにすれば、ユーザフレームと制御フレームが混在する中継ノード/リモートノード間のイーサネット通信において、各通信ノードが自身宛ての制御フレームを容易に識別することができる。
このようにすれば、例えばリモートノードを多段接続するPONシステム(図10参照)の場合に、他のリモートノードに制御フレームを適切に提供できるようになる。
このようにすれば、光ファイバでのイーサネット通信においてユーザフレームが輻輳しても、制御フレームをほぼ確実に伝送することができる。このため、中継カードとリモートノードの間の制御通信を確保することができる。
従って、本実施形態の登録方法は、上述の(1)〜(11)に記載の局側装置と同様の作用効果を奏する。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
一般に、レイヤ2の通信で用いるPDU(Protocol Data Unit)を「フレーム」と呼び、レイヤ3の通信で用いるPDUを「パケット」と呼ぶが、本実施形態では、両者を特に明確に区別しない。
本実施形態では、局側(通信事業者側)の光回線終端装置の集合体を「局側装置」といい、宅側(加入者側)の光回線終端装置(ONU)を「宅側装置」という。また、局側装置を「OLT」と略記し、宅側装置を「ONU」と略記することがある。
EPONでは、IEEE802.3ahで定義されたMPCP(Multi-Point Control Protocol)フレームにより、ONUの登録、離脱、ONUからの帯域要求、及び帯域要求に応じたONUへの帯域割当などが実行される。
図1は、本発明の実施形態に係るPONシステムの概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のPONシステムは、通信事業者の局舎などに設置される局側装置(OLT)1と、複数の宅側装置(ONU)2と、支線側に宅側装置2が接続されるPON回線3とを備える。PON回線3の幹線側は、局側装置1に収容された回線カード30、或いは、局側装置1から離れたリモートノード50に接続される。
すなわち、PON回線3は、幹線ファイバ5と、幹線ファイバ5に接続された光スプリッタ4と、光スプリッタ4から分岐する複数本の支線ファイバ6とを備える。PON回線3には、2つ以上の光スプリッタ4が存在してもよい。この場合は、分岐点が複数箇所のPON回線となる。
回線カード30及び中継カード40は、筐体10のいずれかのスロットSLに装着される。図1の構成例では、管理カード20がスロットSLの奥側(上位側)に収容されているが、管理カード20をスロットSLに装着してもよい。
管理カード20には、パーソナルコンピュータなどよりなる通信事業者の管理用の端末装置13が接続される。端末装置13は、所定の通信プロトコルに則って管理カード20と通信可能である。
リモートノード50は、局舎から離れた遠隔地に設置されるが、PON回線3の幹線ファイバ5が接続される光回線終端装置である。従って、リモートノード50は、MPCPフレームにより宅側装置2とPON通信を行うPON制御部55を有する。
従って、中継カード40は、光信号を用いたイーサネット通信の局側(上位側)の光回線終端装置であり、リモートノード50は、光信号を用いたイーサネット通信の宅側(下位側)の光回線終端装置である。
すなわち、通信事業者は、所望するシステムの接続形態を実現できるように、筐体10のスロットSLに回線カード30及び中継カード40のいずれを装着するかを、任意に選択することができる。
ユーザ端末14を宅側装置2に直接接続することも必須ではない。すなわち、宅側装置2には、ユーザネットワーク(図示せず)が接続されてもよい。ユーザ端末14は、ユーザネットワークを介して宅側装置2に接続されてもよい。
PON通信では、MPCPに則った時分割多重化が行われる。具体的には、PON制御部36,55は、宅側装置2から受信したレポートに基づいて、宅側装置2によるデータの上り方向の送信開始時刻及び送信許可量を演算する。
各宅側装置2は、グラントをPON制御部36,55から受信すると、グラントにより指定された時刻に、許可量に相当するデータと、自機のバッファ内のデータ量に相当する次回送信分のデータ量を要求するレポートをPON制御部36,55に送信する。
図2は、管理カード20の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、管理カード20は、リジッドなプリント基板よりなる回路基板21と、回路基板21に実装された各種の回路部品とを備える。管理カード20の回路部品には、管理通信ポート22、上位通信ポート23、制御部24、フレーム処理部25、制御通信ポート26、ユーザ通信ポート27、及び記憶部28が含まれる。
上位通信ポート23は、フレーム処理部25と電気的に接続されたユーザ通信のためのコネクタよりなる。上位通信ポート23には、所定規格の通信ケーブル(図示せず)が接続される。この通信ケーブルは、上位装置11に接続される。
制御部24は、RAM(Random Access Memory)を含む。RAMは、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)などのメモリ素子で構成され、CPUなどが実行するコンピュータプログラム及びその実行に必要なデータを一時的に記憶する。
記憶部28は、ネットワークOSや当該OS上で動作する種々のアプリケーションソフトウェア(以下、「アプリケーション」と略記する。)を記憶している。記憶部28が記憶するアプリケーションには、制御部24を、「DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ」として機能させるためのソフトウェアが含まれる。
バックプレーン伝送路C1の下位側端部は、回線カード30の制御通信ポート32(図3参照)又は中継カード40の制御通信ポート42(図4参照)に接続される。
バックプレーン伝送路C2の下位側端部は、回線カード30のユーザ通信ポート33(図3参照)又は中継カード40のユーザ御通信ポート43(図4参照)に接続される。
フレーム処理部25は、受信したレイヤ2の通信フレームの宛先に応じて、自身の出力ポートのうちのどの出力ポートから通信フレームを送出するかを決定する。
破線の帯状矢印で示す制御通信経路R2は、制御部24と回線カード30又は中継カード40の間で行われる制御通信のための通信経路である。
端末装置13は、通信事業者の作業員によるコマンド入力に応じてマウント情報を生成し、生成したマウント情報を制御部24に送信する。マウント情報には、スロットSLのスロット番号iの番号値(例えば♯1〜♯8)と、所定の番号値に対応させるカードの識別情報(以下、「ノードID」という。)が含まれる。
制御部24は、端末装置13から受信したマウント情報から、スロット番号iの番号値とノードIDの値を抽出し、抽出した番号値のエントリに、抽出したノードIDの値を記録する。
従って、制御通信経路R2により伝送される制御情報には、上記のPON設定情報が含まれる。PON制御情報には、例えば次の情報が含まれる。
動作パラメータ:PON制御部36,55が上り方向の動的帯域割当(DBA)を実行する場合に必要となる、最低保証帯域などのパラメータ
ONU設定情報:PON制御部36,55がPON回線3を開通する際に必要となる、課金情報などのONUごとの設定情報
制御部24は、PONシステムに含まれる各ノード30,40,50にそれぞれノード固有情報の送信要求を送信し、各ノード30,40,50のノード固有情報を収集する。制御部24は、収集したノード固有情報に基づいて、PONシステム全体の接続形態(トポロジ)を確認する。
従って、ユーザ通信経路R3は、管理カード20の上位通信ポート23、フレーム処理部25及びユーザ通信ポート27を経由する。
もっとも、管理カード20は、局側装置1に収容可能なカード数(例えば8枚)と同数の制御通信ポート26及びユーザ通信ポート27を備え、制御部24は、複数の通信ノードとのバックプレーン通信を実行可能である。従って、管理カード20には、回線カード30及び中継カード40のうちの少なくとも2つを接続することができる。
図3は、回線カード30の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、回線カード30は、リジッドなプリント基板よりなる回路基板31と、回路基板31に実装された各種の回路部品とを備える。回線カード30の回路部品には、制御通信ポート32、ユーザ通信ポート33、制御部34、フレーム処理部35、PON制御部36、PON通信ポート37、及び記憶部38が含まれる。
バックプレーン伝送路C1の上位側端部は、管理カード20の制御通信ポート26(図2参照)に接続される。
バックプレーン伝送路C2の上位側端部は、管理カード20のユーザ通信ポート27(図2参照)に接続される。
制御部34は、RAMを含む。RAMは、SRAM又はDRAMなどのメモリ素子で構成され、CPUなどが実行するコンピュータプログラム及びその実行に必要なデータを一時的に記憶する。
記憶部38は、自ノードに固有の状態情報である「ノード固有情報」を記憶している。回線カード30のノード固有情報には、例えば次の情報a1〜a5が含まれる。
情報a2) 自ノードのカードタイプ(図3の例では「回線カード」)
情報a3) PON通信ポート37のポート数
情報a4) PON通信ポート37に繋がるONUの数
情報a5) ファームウェア(OS)のバーション
フレーム処理部35は、受信したレイヤ2の通信フレームの宛先に応じて、自身の出力ポートのうちのどの出力ポートから通信フレームを送出するかを決定する。
PON制御部36は、光トランシーバ39からの上りの電気信号に、宅側装置2が送信元の制御フレーム(レポート)が含まれる場合には、そのレポートに基づいて送信元の宅側装置2のための制御フレーム(グラント)を生成し、光トランシーバ39に送信する。
光トランシーバ39は、光信号の送受信回路を含む光デバイス(例えば、プラガブル光トランシーバ)よりなり、PON回線3から入力される上りの光信号を電気信号に変換し、PON制御部36から入力される下りの電気信号を光信号に変換する。
制御通信経路R2により伝送される制御情報には、上述の「PON設定情報」が含まれる。制御部34は、管理カード20からPON設定情報を受信すると、受信したPON設定情報をPON制御部36に通知する。
PON制御部36は、通知された動作パラメータに基づいて、宅側装置2が送出する上りフレームの動的帯域割当を実行する。
従って、ユーザ通信経路R3は、回線カード30内のユーザ通信ポート33、フレーム処理部35、PON制御部36及びPON通信ポート37を経由する。
図4は、中継カード40の構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、中継カード40は、リジッドなプリント基板よりなる回路基板41と、回路基板41に実装された各種の回路部品とを備える。中継カード40の回路部品には、制御通信ポート42、ユーザ通信ポート43、制御部44、フレーム処理部45、イーサネット通信ポート46、及び記憶部47が含まれる。
バックプレーン伝送路C1の上位側端部は、管理カード20の制御通信ポート26(図2参照)に接続される。
バックプレーン伝送路C2の上位側端部は、管理カード20のユーザ通信ポート27(図2参照)に接続される。
制御部44は、RAMを含む。RAMは、SRAM又はDRAMなどのメモリ素子で構成され、CPUなどが実行するコンピュータプログラム及びその実行に必要なデータを一時的に記憶する。
記憶部47は、自ノードに固有の状態情報である「ノード固有情報」を記憶している。中継カード40のノード固有情報には、例えば次の情報b1〜b5が含まれる。
情報b2) 自ノードのカードタイプ(図4の例では「中継カード」)
情報b3) イーサネット通信ポート46のポート数
情報b4) イーサネット通信ポート46に繋がるリモートノード50の識別情報(例えばMACアドレスのアドレス値)
情報b5) ファームウェア(OS)のバーション
フレーム処理部45は、受信したレイヤ2の通信フレームの宛先に応じて、自身の出力ポートのうちのどの出力ポートから通信フレームを送出するかを決定する。
光トランシーバ48は、光信号の送受信回路を含む光デバイス(例えば、プラガブル光トランシーバ)よりなり、光ファイバ7から入力される上りの光信号を電気信号に変換し、フレーム処理部45から入力される下りの電気信号を光信号に変換する。
ハッチング付きの帯状矢印で示す制御通信経路R4は、制御部44とリモートノード50の間で行われる制御通信のための通信経路である。
従って、制御通信経路R4により伝送される制御情報には、上述の「PON設定情報」が含まれる。
従って、制御通信経路R2により伝送される制御情報には、リモートノード50の「ノード固有情報」が含まれる。
従って、ユーザ通信経路R3は、中継カード40内のユーザ通信ポート43、フレーム処理部45及びイーサネット通信ポート46を経由する。
図5は、リモートノード50の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、リモートノード50は、リジッドなプリント基板よりなる回路基板51と、回路基板51に実装された各種の回路部品とを備える。リモートノード50の回路部品には、イーサネット通信ポート52、制御部53、フレーム処理部54、PON制御部55、PON通信ポート56、及び記憶部57が含まれる。
光トランシーバ58は、光信号の送受信回路を含む光デバイス(例えば、プラガブル光トランシーバ)よりなり、光ファイバ7から入力される下りの光信号を電気信号に変換し、フレーム処理部54から入力される上りの電気信号を光信号に変換する。
制御部53は、RAMを含む。RAMは、SRAM又はDRAMなどのメモリ素子で構成され、CPUなどが実行するコンピュータプログラム及びその実行に必要なデータを一時的に記憶する。
記憶部57は、自ノードに固有の状態情報である「ノード固有情報」を記憶している。リモートノード50のノード固有情報には、例えば次の情報c1〜c7が含まれる。
情報c2) 自ノードのカードタイプ(図5の例では「リモートノード」)
情報c3) イーサネット通信ポート52のポート数
情報c4) イーサネット通信ポート52に繋がる中継カード40の識別情報(例えばMACアドレスのアドレス値)
情報c5) PON通信ポート56のポート数
情報c6) PON通信ポート56に繋がるONUの数
情報c7) ファームウェア(OS)のバーション
フレーム処理部54は、受信したレイヤ2の通信フレームの宛先に応じて、自身の出力ポートのうちのどの出力ポートから通信フレームを送出するかを決定する。
PON制御部55は、光トランシーバ59からの上りの電気信号に、宅側装置2が送信元の制御フレーム(レポート)が含まれる場合には、そのレポートに基づいて送信元の宅側装置2のための制御フレーム(グラント)を生成し、光トランシーバ59に送信する。
光トランシーバ59は、光信号の送受信回路を含む光デバイス(例えば、プラガブル光トランシーバ)よりなり、PON回線3から入力される上りの光信号を電気信号に変換し、PON制御部55から入力される下りの電気信号を光信号に変換する。
制御通信経路R4により伝送される制御情報には、上述の「PON設定情報」が含まれる。制御部55は、中継カード40からPON設定情報を受信すると、受信したPON設定情報をPON制御部55に通知する。
PON制御部55は、通知された動作パラメータに基づいて、宅側装置2が送出する上りフレームの動的帯域割当を実行する。
具体的には、制御部53は、管理カード20に宛てたノード固有情報をフレーム処理部54に入力する。フレーム処理部54は、入力されたノード固有情報を中継カード40に送信し、中継カード40は、受信したノード固有情報を管理カード20に転送する。
従って、ユーザ通信経路R3は、リモートノード50内のイーサネット通信ポート52、フレーム処理部54、PON制御部55及びPON通信ポート56を経由する。
図6は、本実施形態のPONシステムの比較例に係る接続形態を示す説明図である。
図6の接続形態では、回線カード(OSU)30のみが局側装置1のスロットSLに収容され、当該回線カード30に複数(図例では3つ)のPON回線3が接続されている。
このため、図6の接続形態を採用すると、宅側装置2の設置可能範囲は、局側装置1が設置される局舎を中心とした半径20km以内の範囲に限定されるという問題(以下、「問題点1」という。)がある。
このため、局側装置1の消費電力が増大し、電源容量が大きな局側装置1が必要になる。また、消費電力の増大に応じて発熱量も増大するので、大規模な冷却設備を局舎に設置せねばならない。従って、PONシステムの設備コストが大きくなるという問題(以下、「問題点2」という。)がある。
このため、図6の接続形態を採用すると、多数の加入者が存在する密集エリアにおいて、更に加入者が増加したためPON回線3を増設する必要が生じた場合には、局側装置1を起点として複数の幹線ファイバ5を密集エリアまで敷設せねばならず、大規模な敷設工事が必要になるという問題(以下、「問題点3」という。)がある。
しかし、光信号を途中で増幅する中継装置を採用する方策では、上記の問題点1のみを解決できるに止まり、上記の問題点2及び3を同時に解決することはできない。
図7は、本実施形態のPONシステムの好ましい接続形態を示す説明図である。
図7の接続形態では、回線カード30の他に中継カード40が局側装置1のスロットSLに収容されている。また、中継カード40は、局舎から離れた屋外に設置されたリモートノード50と光ファイバ7により接続され、屋外のリモートノード50に複数(図例では2つ)のPON回線3が接続されている。
このため、図7の接続形態を採用すると、宅側装置2の設置可能範囲は、局側装置1が設置される局舎を中心として、半径60km以内の範囲にまで拡大することができる。従って、上述の問題点1を解決することができる。
このため、図7の接続形態を採用すると、回線カード30を局側装置1に集中させる図6の接続形態に比べて、PONシステムの運用に必要な消費電力を局側装置1からリモートノード50に分散できる。従って、局側装置1の電源容量が少量で足り、局舎の冷房設備もより簡便化できる。よって、上述の問題点2を解決することができる。
この場合、回線カード30の代わりに中継カード40を装着し、中継カード40に接続したリモートノード50によりPON通信を行うことにすれば、局側装置1の消費電力をほぼ1/5の約2kwに削減することができる。これに伴い、局舎における給電系の設備も大幅に簡素化することができ、波及的な効果も大きくなる。
このため、図7の接続形態を採用すると、多数の加入者が存在する密集エリアに複数のPON回線3を増設する必要が生じた場合は、密集エリアの近傍にリモートノード50を設置し、リモートノード50に複数のPON回線3を接続すればよい。
このため、局側装置1を起点として複数の幹線ファイバ5を敷設する必要がなくなり、敷設工事が簡便になる。従って、上述の問題点3を解決することができる。
図8〜図11は、本実施形態のPONシステムの好ましい接続形態を示すブロック図である。
本実施形態の中継カード40及びリモートノード50は、イーサネット通信とPON通信の通信インタフェースをそれぞれ複数備えているので、図8〜図11に示すように、種々の接続形態のPONシステムを構成することができる。
図8の中央のリモートノード50には、1つのPON回線3が接続されている。もっとも、本実施形態のリモートノード50は、複数のPON通信ポート56を有するので(図5参照)、図8の下側のリモートノード50のように、1つのリモートノード50に複数(図例では2つ)のPON回線3を接続することもできる。
図10の構成例を採用すれば、リモートノード50の設置範囲を、局側装置1から最大で80km(=40km+40km)まで遠隔化することができる。
例えば、河川の下流域にある局舎の近隣にサービスエリアA1が存在し、そこから40km離れた河川の中流域にサービスエリアA2が存在し、そこから更に40km離れた河川の上流域にサービスエリアA3が存在する場合を想定する。
図11の構成例を採用すれば、中継カード40とリモートノード50の間のイーサネット通信の通信経路が冗長化される。このため、イーサネット通信の耐障害性を高めたり、イーサネット通信の通信帯域を拡張したりすることができる。
図12は、スロット番号の仮想化の一例を示す説明図である。
上述の通り、管理カード20の記憶部28は、通信ノードのマウント位置(カードの収納位置)を管理するためのマウント管理テーブルMTを記憶している(図2参照)。
マウント管理テーブルMTには、実際のスロットSLに対応するスロット番号i(例えば♯1〜♯8。以下、「実スロット番号i」という。)と、実スロット番号iに対応させるノードID(MACアドレスのアドレス値)が含まれる。
pon-system(config) # slot 1
pon-system(config-slot) # mac-address EE:FF:AA:BB:CC:DD
上記のコマンドを受信した管理カード20の制御部24は、マウント管理テーブルMTの♯1の欄に「EE:FF:AA:BB:CC:DD」の値を記す。
pon-system(config) # interface 1/1
pon-system(config-interface) # enable
上記のコマンドにおいて、「interface 1/1」は、interface <slot番号>/<PON IF番号>を意味する。
従って、中継カード40は実スロット番号iと1対1で対応するが、1つの実スロット番号iに1つのリモートノード50が対応するとは限らない。すなわち、1つの実スロット番号iとリモートノード50との対応関係が1対多になり得る。このため、回線カード30をスロットSLに装着する場合には想定できない新たな問題が生じる。
この場合、「pon-system(config) # interface 8/1」のコマンドでは、管理カード20の制御部24は、リモートノードN1,N2を識別できない。従って、制御部24は、上記のコマンドを受信しても、リモートノードN1,N2のPONインタフェースを有効化できず、リモートノードN1,N2のPON通信を開通できなくなる。
具体的には、管理カード20の制御部24は、中継カード40の接続を検出すると、実スロット番号i(=♯1〜♯8)に割り当てていない仮想のスロット番号j(以下、「仮想スロット番号j」という。)のエントリをマウント管理テーブルMTに追加する。
これにより、管理カード20の制御部24は、リモートノード50が恰も1つのスロットSLに挿入されているかのように認識可能となり、回線カード30と同様の従来のコマンドでリモートノード50のPONインタフェースを有効化できるようになる。
この場合、2つのリモートノードN1,N2のノードIDを、仮想スロット番号j=♯9と仮想スロット番号j=♯10にそれぞれマウントすれば、仮想スロット番号jとリモートノード50が1対1の対応関係になる。
なお、リモートノードN1,N2が接続される中継カード40の実スロット番号iと、リモートノードN1,N2に適用する仮想スロット番号jを、コマンド入力などにより制御部24に通知すれば、制御部24は、リモートノードN1,N2がどの中継カード40に接続されたかを判定可能となる。
pon-system(config) # virtualslot 9
pon-system(config-virtualslot) # mac-address AA:BB:CC:DD:EE:FF
pon-system(config) # virtualslot 10
pon-system(config-virtualslot) # mac-address CC:DD:EE:FF:AA:BB
pon-system(config) # interface 9/1
pon-system(config-interface) # enable
pon-system(config) # interface 10/1
pon-system(config-interface) # enable
図13は、リモートノード50によるPON通信を遠隔制御で起動するための処理の流れを示すシーケンス図である。
図13では、各処理の動作主体が「管理カード20」、「中継カード40」及び「リモートノード50」となっているが、実際の動作主体は、各ノードに搭載された制御部24,44,53である。
従って、管理カード20の制御部24は、バックプレーン通信のプラグアンドプレイ機能により、バックプレーン伝送路C1を介して回線カード30又は中継カード40と接続されると、接続先の回線カード30又は中継カード40からノード固有情報などを自動的に取得し、接続先との制御通信を自動的に開始することができる。
すなわち、イーサネット通信は汎用的な通信方法であるため、通信インタフェースのリンクアップのみでは、管理カード20の制御部24は、接続相手が管理対象のリモートノード50であるか否かを判定できない。
リモートノード50には、固有のMACアドレスが割り当てられている。従って、管理カード20の制御部24は、DHCPパケットに含まれるMACアドレスがマウント管理テーブルMTに存在するか否かにより、送信元の通信ノードの適否を判定する。
従って、上記の制御フレームを取得したリモートノード50は、PON設定情報に従って自ノードのPON制御部55の設定などを実行することにより、配下の宅側装置2とのPON通信を開始できるようになる。
リモートノード50は、中継カード40と物理的に接続されたあと(ステップST11)、自身のイーサネット通信ポート52のリンクアップを検知すると(ステップST12)、DHCPパケットを上り方向にブロードキャストし、自ノードで使用するローカルIPアドレスの割り当てを要求する(ステップST13)。
具体的には、管理カード20は、DHCPパケットに含まれるMACアドレスが、マウント管理テーブルMTに存在する場合には、送信元の通信ノードを、管理対象のリモートノード50であると判定する。存在しない場合には、管理カード20は、ステップST15以降の処理を実行せず、送信元の通信ノードにIPアドレスを割り当てない。
具体的には、管理カード20は、リモートノード50用に定めたローカルIPアドレスを、DHCPパケットの送信元の通信ノード宛てに送信する。これにより、リモートノード50は、制御通信に用いるローカルIPアドレスを取得する。
また、図13のシーケンスにおいて、中継カード40がDHCPサーバとして機能する場合には、リモートノード50に対するローカルIPアドレスの割り当てを中継カード40が実行することにしてもよい。
具体的には、管理カード20は、ノード固有情報を要求する制御フレームをリモートノード50に送信する(ステップST17)。上記の制御フレームを受信したリモートノード50は、自ノードのノード固有情報を含む制御フレームを生成し、生成した制御フレームを管理カード20に返信する(ステップST18)。
具体的には、管理カード20は、PON設定情報を含む制御フレームをリモートノード50に送信する(ステップST20)。PON設定情報を受信したリモートノード50は、PON設定情報に含まれるONU設定情報などに従ってPON回線3を開通し、宅側装置2とのPON通信を開始する。
図14は、中継カード40及びリモートノード50のフレーム処理部45,54による転送処理の一例を示すフローチャートである。
上述の通り、本実施形態のPONシステムでは、中継カード40とリモートノード50の間の通信については、光信号を用いたイーサネット通信が採用されている。
そこで、本実施形態では、中継カード40とリモートノード50が、イーサネット通信がユーザ通信及び制御通信のいずれであるかを識別できるように、制御通信を表す識別情報をヘッダの適当な格納場所に格納することとする。具体的には、VLAN IDに格納された所定値(例えば「4095」)を、制御通信を表す識別情報とする。
このため、制御部44,53が情報処理を行わなくても制御フレームを選別できる。従って、ユーザ通信と制御通信の統合/分離を行う場合に、イーサネット通信のパフォーマンス(帯域や遅延)が悪化するのを防止できる。
IPアドレスを提供するDHCPサーバの機能は、管理カード20にあってもよいし、中継カード40にあってもよいし、局側装置1の外部(例えば、上位装置11に搭載される汎用のDHCPサーバ)にあってもよい。
IPアドレスが自身宛てかどうかの判定処理についても、フレーム処理部45,54の論理回路が実行するようにすれば、当該判定処理を高速に行うことができる。以下、図14に基づいて、上記の考え方に基づくフレーム転送処理の内容を説明する。
具体的には、フレーム処理部45,54は、ヘッダのVLAN IDの値が予め制御用と定義した所定値(本実施形態では「4095」)であるか否かを判定する。
ステップST31の判定結果が否定的である場合は、受信した通信フレームがユーザフレームであるから、フレーム処理部45,54は、受信した通信フレームをイーサネット通信ポート46,52に転送する。
この場合、制御部44,53は、転送された制御フレームに含まれるデータの内容を読み取り、読み取ったデータの内容に応じた所定の制御動作を実行する。
ステップST35の判定結果が肯定的である場合は、受信した通信フレームが他のリモートノード50宛ての制御フレームであるとは言えないので、受信した通信フレームを破棄する(ステップST37)。
すなわち、複数のリモートノード50を多段に接続する構成例(図10参照)を採用するPONシステムでは、イーサネット通信の中継点となるリモートノード50は、中継カード40から受信した制御フレームが他のリモートノード50宛てである場合には、受信した制御フレームを他のリモートノード50に転送する必要があるからである。
上述の実施形態において、回線カード30のフレーム処理部45とリモートノード50のフレーム処理部54は、帯域制御部45A,54Aを有することが好ましい。
帯域制御部45A,54Aは、光ファイバ7により伝送する通信フレームのうち、制御フレームの伝送を保証する機能を有する。すなわち、帯域制御部45A,54Aは、例えば、制御フレームの伝送を最優先する帯域制御(QoS:Quality of Service)を実行することにより、制御フレームの伝送を常に確保する。
上述の実施形態において、マウント管理テーブルMTを記憶する記憶部28と、中継カード40と通信するリモートノード50のMACアドレスと対応づける仮想スロット番号jをマウント管理テーブルMTに追加する制御部24を、局側装置1に収容される管理カード20ではなく、通信事業者の端末装置13に搭載してもよい。
すなわち、回線カード30及びリモートノード50が行うPON通信を管理する管理部は、局側装置1に収容される管理カード20であってもよいし、局側装置1と通信可能に接続される端末装置13であってもよい。
上述の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲によって示され、その範囲と均等の意味及びその範囲内でのすべての変更が含まれる。
従って、筐体10に収納する通信ノードの構造も、必ずしもカードタイプ(管理カード20、回線カード30及び中継カード40)である必要はなく、筐体10内に形成された所定形状の収納部に収まる構造であればよい。
2 宅側装置(ONU)
3 PON回線
5 幹線ファイバ
6 支線ファイバ
7 光ファイバ
10 筐体
11 上位装置
12 上位網
13 端末装置(管理部)
14 ユーザ端末
20 管理カード(管理部)
21 回路基板
22 管理通信ポート
23 上位通信ポート
24 制御部
25 フレーム処理部
26 制御通信ポート
27 ユーザ通信ポート
28 記憶部
30 回線カード(回線ノード)
31 回路基板
32 制御通信ポート
33 ユーザ通信ポート
34 制御部
35 フレーム処理部
36 PON制御部
37 PON通信ポート
38 記憶部
39 光トランシーバ
40 中継カード(中継ノード)
41 回路基板
42 制御通信ポート
43 ユーザ通信ポート
44 制御部
45 フレーム処理部
45A 帯域制御部
46 イーサネット通信ポート
47 記憶部
48 光トランシーバ
50 リモートノード
51 回路基板
52 イーサネット通信ポート
53 制御部
54 フレーム処理部
54A 帯域制御部
55 PON制御部
56 PON通信ポート
57 記憶部
58 光トランシーバ
59 光トランシーバ
SL スロット(収納部)
MT マウント管理テーブル
R1 管理通信経路
R2 制御通信経路
R3 ユーザ通信経路
R4 制御通信経路
Claims (12)
- 宅側装置とPON通信を行う回線ノードと、
宅側装置とPON通信を行うリモートノードと光ファイバを伝送路とするイーサネット通信を行う中継ノードと、
前記回線ノード又は前記中継ノードを装着可能な複数の収納部を有する筐体と、
前記回線ノード及び前記リモートノードが行うPON通信を管理する管理部と、を備える局側装置であって、
前記管理部は、通信ノードの収納位置を管理するための管理テーブルを有し、
前記管理テーブルは、前記回線ノード又は前記中継ノードの識別情報と対応づける前記収納部の識別番号のエントリと、前記リモートノードの識別情報と対応づける仮想の識別番号のエントリと、を含む局側装置。 - 前記管理部は、
前記仮想の識別番号と前記リモートノードの識別情報の操作入力に応じて、入力された前記仮想の識別番号のエントリに、入力された前記リモートノードの識別情報を格納する請求項1に記載の局側装置。 - 前記収納部は、
シャーシ型の前記筐体に形成されたスロットである請求項1又は請求項2に記載の局側装置。 - 前記通信ノードの識別情報は、
前記回線ノード、前記中継ノード又は前記リモートノードのMACアドレスのアドレス値である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の局側装置。 - 前記リモートノードは、
DHCPクライアントの機能を有し、
前記管理部又は前記中継ノードは、
DHCPサーバの機能を有し、ブロードキャストされたDHCPパケットの受信に応じて、前記DHCPパケットの送信元の通信ノードにローカルIPアドレスを配布する請求項4に記載の局側装置。 - 前記管理部は、
自身が受信したDHCPパケットに含まれるMACアドレスのアドレス値が前記管理テーブルに含まれる場合に、当該DHCPパケットの送信元の通信ノードを管理対象の前記リモートノードであると判定する請求項4又は請求項5に記載の局側装置。 - 前記管理部は、
管理対象と判定した前記リモートノードに、PON通信の開設に必要なPON設定情報を含む制御フレームを送信する請求項6に記載の局側装置。 - 前記中継ノード及び前記リモートノードは、
前記光ファイバを伝送路とするイーサネット通信において、受信した通信フレームのヘッダに制御用の識別情報が含まれるか否かにより、受信した通信フレームが制御フレームか否かを判定する請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の局側装置。 - 前記中継ノード及び前記リモートノードは、
前記光ファイバを伝送路とするイーサネット通信において、受信した制御フレームに含まれるローカルIPアドレスに基づいて、前記制御フレームが自身宛てか否かを判定する請求項8に記載の局側装置。 - 前記リモートノードは、
前記光ファイバを伝送路とするイーサネット通信において、受信した制御フレームに含まれるローカルIPアドレスが他のリモートノードのアドレスである場合は、受信した制御フレームを前記他のリモートノードに転送する請求項9に記載の局側装置。 - 前記中継ノード及び前記リモートノードは、
前記光ファイバを伝送路とするイーサネット通信において、前記制御フレームの伝送を保証する帯域制御部を有する請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の局側装置。 - 宅側装置とPON通信を行う回線ノードと、
宅側装置とPON通信を行うリモートノードと光ファイバを伝送路とするイーサネット通信を行う中継ノードと、
前記回線ノード又は前記中継ノードを装着可能な複数の収納部を有する筐体と、
前記回線ノード及び前記リモートノードが行うPON通信を管理する管理部と、を備える局側装置において実行される、通信ノードの登録方法であって、
前記回線ノードを前記収納部に装着する場合には、前記回線ノードの識別情報を、管理テーブルにおける前記収納部の識別番号のエントリに格納するステップと、
前記リモートノードを前記収納部に装着された前記中継ノードに接続する場合には、前記リモートノードの識別情報を、前記管理テーブルにおける仮想の識別番号のエントリに格納するステップと、を含む通信ノードの登録方法。
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-
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