以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物は、光又は放射線の照射により酸を発生する化合物である成分(A)及び酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂である成分(B)を含有し、前記成分(A)が、下記一般式(1)で示されるオニウムガレート塩を含むことを特徴とする。
<光又は放射線の照射により酸を発生する化合物である成分(A)>
本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物に用いられるものである光又は放射線の照射により酸を発生する化合物である成分(A)(本明細書において、「成分(A)」という。)は、光酸発生剤であり、光又は放射線により直接又は間接的に酸を発生する。
前記成分(A)は、上記一般式(1)で示されるオニウムガレート塩を含むことを特徴とする。
上記の一般式(1)中、R1〜R4における、炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル及びn−オクタデシル等)、分岐アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル、2−エチルヘキシル及び1、1、3、3−テトラメチルブチル等)、シクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)及び架橋環式アルキル基(ノルボルニル、アダマンチル及びピナニル等)が挙げられる。
カチオン重合反応における触媒活性の観点から、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基で置換されているものが好ましく、中でもフッ素原子で置換されたものがより好ましい。
上記の一般式(1)中、R1〜R4における、炭素数6〜14(以下の置換基の炭素数は含まない)のアリール基としては、単環式アリール基(フェニル等)、縮合多環式アリール基(ナフチル、アントラセニル、フェナンスレニル、アントラキノリル、フルオレニル及びナフトキノリル等)及び芳香族複素環炭化水素基(チエニル、フラニル、ピラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル等単環式複素環;及びインドリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、キサンテニル、チアントレニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、クロマニル、イソクロマニル、クマリニル、ジベンゾチエニル、キサントニル、チオキサントニル、ジベンゾフラニル等縮合多環式複素環)が挙げられる。
アリール基としては、以上の他に、アリール基中の水素原子の一部が炭素数1〜18のアルキル基、ハロゲン原子が置換した炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、−OR6で表されるアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、R7CO−で表されるアシル基、R8COO−で表されるアシロキシ基、−SR9で表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基、−NR10R11で表されるアミノ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記置換基において、炭素数2〜18のアルケニル基としては、直鎖又は分岐のアルケニル基(ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル及び2−メチル−2−プロぺニル等)、シクロアルケニル基(2−シクロヘキセニル及び3−シクロヘキセニル等)及びアリールアルケニル基(スチリル及びシンナミル等)が挙げられる。
上記置換基において、炭素数2〜18のアルキニル基としては、直鎖又は分岐のアルキニル基(エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、1、1−ジメチル−2−プロピニル、1−ぺンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、3−メチル−1−ブチニル、1−デシニル、2−デシニル、8−デシニル、1−ドデシニル、2−ドデシニル及び10−ドデシニル等)及びアリールアルキニル基(フェニルエチニル等)が挙げられる。
上記置換基において、ハロゲン原子が置換した炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖アルキル基(トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、2、2、2−トリクロロエチル、2、2、2−トリフルオロエチル、1、1−ジフルオロエチル、ヘプタフルオロ−n−プロピル、1、1−ジフルオロ−n−プロピル、3、3、3−トリフルオロ−n−プロピル、ノナフルオロ−n−ブチル、3、3、4、4、4−ペンタフルオロ−n−ブチル、パーフルオロ−n−ペンチル、パーフルオロ−n−オクチル、等)、分岐アルキル基(ヘキサフルオロイソプロピル、ヘキサクロロイソプロピル、ヘキサフルオロイソブチル、ノナフルオロ−tert−ブチル等)、シクロアルキル基(ペンタフルオロシクロプロピル、ノナフルオロシクロブチル、パーフルオロシクロペンチル及びパーフルオロシクロヘキシル等)及び架橋環式アルキル基(パーフルオロアダマンチル等)が挙げられる。
上記置換基において、−OR6で表されるアルコキシ基、R7CO−で表されるアシル基、R8COO−で表されるアシロキシ基、−SR9で表されるアルキルチオ基、−NR10R1で表されるアミノ基の、R6〜R11としては炭素数1〜8のアルキル基が挙げられ、具体的には上記のアルキル基のうち炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
上記置換基において、−OR16で表されるアリールオキシ基、R7CO−で表されるアシル基、R8COO−で表されるアシロキシ基、−SR9で表されるアリールチオ基、−NR10R11で表されるアミノ基の、R6〜R11としては炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、具体的には上記の炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
−OR6で表されるアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、iso−ペントキシ、neo−ペントキシ及び2−メチルブトキシ等が挙げられる。
−OR6で表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ、ナフトキシ等が挙げられる。
R7CO−で表されるアシル基としては、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ピバロイル及びベンゾイル等が挙げられる。
R8COO−で表されるアシロキシ基としては、アセトキシ、ブタノイルオキシ及びベンゾイルオキシ等が挙げられる。
−SR9で表されるアルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、ヘキシルチオ及びシクロヘキシルチオ等が挙げられる。
−SR9で表されるアリールチオ基としては、フェニルチオ、ナフチルチオ等が挙げられる。
−NR10R11で表されるアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジプロピルアミノ及びピペリジノ等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
これら置換基において、カチオン重合反応における触媒活性の観点から、ハロゲン原子が置換した炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基が好ましく、フッ素原子が置換した炭素数1〜8のアルキル基およびフッ素原子がより好ましい。
一般式(1)で表されるオニウムガレート塩のR1、R2、R3、R4がパーフルオロアルキル基又はフッ素原子で置換されたフェニル基であることが好ましく、ペンタフルオロフェニル基又はビス(トリフルオロメチル)フェニル基であることがより好ましい。
特に好ましくは、一般式(1)で表されるオニウムガレート塩の[ (R1)( R2)( R3)( R4)Ga]−で表されるガレートアニオンが[Ga(C6F5)4]―又は、[Ga((CF3)2C6H3)4]―である。
上記の一般式(1)中のR5はEに結合している有機基を表し、同一であっても異なってもよい。R5としては、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基および炭素数2〜18のアルキニル基が挙げられ、アリール基はさらに炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、−OR6で表されるアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、R7CO−で表されるアシル基、R8COO−で表されるアシロキシ基、−SR9で表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基、−NR10R11で表されるアミノ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記有機基の炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基および炭素数2〜18のアルキニル基としては、一般式(1)中のR1〜R4で説明したものと同じものが挙げられる。
また2個以上のR5が互いに直接または-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-NH-、-CO-、-COO-、-CONH-、アルキレン基もしくはフェニレン基を介して元素Lを含む環構造を形成しても良い。
上記の一般式(1)中のEは、15族〜17族(IUPAC表記)の原子価nの元素を表し、有機基R5と結合してオニウムイオン[E+]を形成する。15族〜17族の元素のうち好ましいのは、O(酸素)、N(窒素)、P(リン)、S(硫黄)またはI(ヨウ素)であり、対応するオニウムイオンとしてはオキソニウム、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、ヨードニウムである。中でも、安定で取り扱いが容易な、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、ヨードニウムが好ましく、カチオン重合性能や架橋反応性能に優れるスルホニウム、ヨードニウムがさらに好ましい。
nは元素Eの原子価を表し、1〜3の整数である。
オキソニウムイオンの具体例としては、トリメチルオキソニウム、ジエチルメチルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、テトラメチレンメチルオキソニウムなどのオキソニウム;4−メチルピリリニウム、2、4、6−トリメチルピリリニウム、2、6−ジ−tert−ブチルピリリニウム、2、6−ジフェニルピリリニウムなどのピリリニウム;2、4−ジメチルクロメニウム、1、3−ジメチルイソクロメニウムなどのクロメニウムおよびイソクロメニウムが挙げられる。
アンモニウムイオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウム;N、N−ジメチルピロリジニウム、N−エチル−N−メチルピロリジニウム、N、N−ジエチルピロリジニウムなどのピロリジニウム;N、N'−ジメチルイミダゾリニウム、N、N'−ジエチルイミダゾリニウム、N−エチル−N'−メチルイミダゾリニウム、1、3、4−トリメチルイミダゾリニウム、1、2、3、4−テトラメチルイミダゾリニウムなどのイミダゾリニウム;N、N'−ジメチルテトラヒドロピリミジニウムなどのテトラヒドロピリミジニウム;N、N'−ジメチルモルホリニウムなどのモルホリニウム;N、N'−ジエチルピペリジニウムなどのピペリジニウム;N−メチルピリジニウム、N−ベンジルピリジニウム、N−フェナシルピリジウムなどのピリジニウム;N、N'−ジメチルイミダゾリウム、などのイミダゾリウム;N−メチルキノリウム、N−ベンジルキノリウム、N−フェナシルキノリウムなどのキノリウム;N−メチルイソキノリウムなどのイソキノリウム;ベンジルベンゾチアゾニウム、フェナシルベンゾチアゾニウムなどのチアゾニウム;ベンジルアクリジウム、フェナシルアクリジウムなどのアクリジウムが挙げられる。
ホスホニウムイオンの具体例としては、テトラフェニルホスホニウム、テトラ−p−トリルホスホニウム、テトラキス(2−メトキシフェニル)ホスホニウム、テトラキス(3−メトキシフェニル)ホスホニウム、テトラキス(4−メトキシフェニル)ホスホニウムなどのテトラアリールホスホニウム;トリフェニルベンジルホスホニウム、トリフェニルフェナシルホスホニウム、トリフェニルメチルホスホニウム、トリフェニルブチルホスホニウムなどのトリアリールホスホニウム;トリエチルベンジルホスホニウム、トリブチルベンジルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、トリエチルフェナシルホスホニウム、トリブチルフェナシルホスホニウムなどのテトラアルキルホスホニウムなどが挙げられる。
スルホニウムイオンの具体例としては、トリフェニルスルホニウム、トリ−p−トリルスルホニウム、トリ−o−トリルスルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、1−ナフチルジフェニルスルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、トリ−1−ナフチルスルホニウム、トリ−2−ナフチルスルホニウム、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(p−トリルチオ)フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−(4−メトキシフェニルチオ)フェニルビス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルビス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジ−p−トリルスルホニウム、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム、[4−(2−チオキサントニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド、ビス〔4−{ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホニオ}フェニル〕スルフィド、ビス{4−[ビス(4−フルオロフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、ビス{4−[ビス(4−メチルフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、ビス{4−[ビス(4−メトキシフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9、10−ジヒドロアントラセン−2−イルジ−p−トリルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9、10−ジヒドロアントラセン−2−イルジフェニルスルホニウム、2−[(ジ−p−トリル)スルホニオ]チオキサントン、2−[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン、4−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)チオフェニル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル フェニルスルホニウム、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジフェニルスルホニウム、4−[4−(ベンゾイルフェニルチオ)]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−[4−(ベンゾイルフェニルチオ)]フェニルジフェニルスルホニウム、5−(4−メトキシフェニル)チアアンスレニウム、5−フェニルチアアンスレニウム、5−トリルチアアンスレニウム、5−(4−エトキシフェニル)チアアンスレニウム、5−(2、4、6−トリメチルフェニル)チアアンスレニウムなどのトリアリールスルホニウム;ジフェニルフェナシルスルホニウム、ジフェニル4−ニトロフェナシルスルホニウム、ジフェニルベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウムなどのジアリールスルホニウム;フェニルメチルベンジルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、4−メトキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、4−アセトカルボニルオキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニル(2−ナフチルメチル)メチルスルホニウム、2−ナフチルメチルベンジルスルホニウム、2−ナフチルメチル(1−エトキシカルボニル)エチルスルホニウム、フェニルメチルフェナシルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、4−メトキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、4−アセトカルボニルオキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、2−ナフチルメチルフェナシルスルホニウム、2−ナフチルオクタデシルフェナシルスルホニウム、9−アントラセニルメチルフェナシルスルホニウムなどのモノアリールスルホニウム;ジメチルフェナシルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウム、ジメチルベンジルスルホニウム、ベンジルテトラヒドロチオフェニウム、オクタデシルメチルフェナシルスルホニウムなどのトリアルキルスルホニウムなどが挙げられる。
ヨードニウムイオンの具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ジ−p−トリルヨードニウム、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム、ビス(4−デシルオキシ)フェニルヨードニウム、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム、4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウムおよび4−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウムなどのヨードニウムイオンが挙げられる。
上記の一般式(1)で表される酸発生剤のアニオン構造としては、たとえば、以下化学式(a−1)〜(a−9)で表されるものが好ましく例示できる。
上記成分(A)の含有量は、化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物の固形分中、0.05〜5重量%とすることが好ましい。
<酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂である成分(B)>
本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物に用いられるものである酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂である成分(B)(本明細書において、「成分(B)」という。)は、ノボラック樹脂(B1)、ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)、及びアクリル樹脂(B3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂、又はこれらの混合樹脂若しくは共重合体である。
[ノボラック樹脂(B1)]
ノボラック樹脂(B1)としては、下記一般式(b1)で表される樹脂を使用することができる。
上記一般式(b1)中、R1bは、酸解離性溶解抑制基を表し、R2b、R3bは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。
更に、上記R1bで表される酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(b2)もしくは(b3)で表される、炭素数1〜6の直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラフラニル基又はトリアルキルシリル基が好ましい。
上記一般式(b2)および(b3)中、R4b、R5bは、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基を表し、R6bは、炭素数1〜10の直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基を表し、R7bは、炭素数1〜6の直鎖状、分枝鎖状、又は環状のアルキル基を表し、oは0又は1である。
上記炭素数1〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、環状のアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
ここで、上記一般式(b2)で表される酸解離性溶解抑制基として、具体的には、メトキシエチル基、エトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、イソブトキシエチル基、tert−ブトキシエチル基、シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチル−エチル基、1−エトキシ−1−メチルエチル基などが挙げられ、上記一般式(b3)で表される酸解離性溶解抑制基として、具体的には、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基などが挙げられる。また、上記トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリ−tert−ブチルジメチルシリル基などの各アルキル基の炭素数が1〜6のものが挙げられる。
[ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)]
ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)としては、下記一般式(b4)で表される樹脂を使用することができる。
上記一般式(b4)中、R8bは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R9bは、酸解離性溶解抑制基を表し、nは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。
上記炭素数1〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、環状のアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
上記R9bで表される酸解離性溶解抑制基としては、上記一般式(b2)及び(b3)に例示したものと同様の酸解離性溶解抑制基を用いることができる。
さらに、ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)には、物理的、化学的特性を適度にコントロールする目的で他の重合性化合物を構成単位として含むことができる。このような重合性化合物としては、公知のラジカル重合性化合物や、アニオン重合性化合物が挙げられる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸類;2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基及びエステル結合を有するメタクリル酸誘導体類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル類;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのジカルボン酸ジエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシスチレン、α−メチルヒドロキシスチレン、α−エチルヒドロキシスチレンなどのビニル基含有芳香族化合物類;酢酸ビニルなどのビニル基含有脂肪族化合物類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有重合性化合物類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの塩素含有重
合性化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド結合含有重合性化合物類などを挙げることができる。
[アクリル樹脂(B3)]
アクリル樹脂(B3)としては、下記一般式(b5)〜(b10)で表される樹脂を使用することができる。
上記一般式(b5)〜(b7)中、R10b〜R17bは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、フッ素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分枝鎖状のフッ素化アルキル基を表し、Xbは、それが結合している炭素原子とともに炭素数5〜20の炭化水素環を形成し、Ybは、置換基を有していてもよい脂肪族環式基又はアルキル基を表し、nは括弧内の構造の繰り返し単位数を表し、pは0〜4の整数であり、qは0又は1である。
なお、上記R10b〜R17bにおける炭素数1〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、環状のアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。また、フッ素化アルキル基とは、上記アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されたものである。
上記R11bとしては、高コントラストで、解像度、焦点深度幅などが良好な点から、炭素数2〜4の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基が好ましく、上記R13b、R14b、R16b、R17bとしては、水素原子又はメチル基が好ましい。
上記Xbは、それが結合している炭素原子とともに炭素数5〜20の脂肪族環式基を形成する。このような脂肪族環式基の具体例としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどのモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。特に、シクロヘキサン、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基(さらに置換基を有していてもよい)が好ましい。
さらに、上記Xbの脂肪族環式基が、その環骨格上に置換基を有する場合、該置換基の例としては、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、酸素原子(=O)などの極性基や、炭素数1〜4の直鎖状又は分枝鎖状の低級アルキル基が挙げられる。極性基としては特に酸素原子(=O)が好ましい。
上記Ybは、置換基を有していてもよい脂肪族環式基又はアルキル基であり、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどのモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。特に、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基(さらに置換基を有していてもよい)が好ましい。
さらに、上記Ybの脂肪族環式基が、その環骨格上に置換基を有する場合、該置換基の例としては、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、酸素原子(=O)等の極性基や、炭素数1〜4の直鎖状又は分枝鎖状の低級アルキル基が挙げられる。極性基としては特に酸素原子(=O)が好ましい。
また、Ybがアルキル基である場合、炭素数1〜20、好ましくは6〜15の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であることが好ましい。このようなアルキル基は、特にアルコキシアルキル基であることが好ましく、このようなアルコキシアルキル基としては、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、1−メトキシプロピル基、1−エトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチル−エチル基、1−エトキシ−1−メチルエチル基などが挙げられる。
一般式(b8)、一般式(b9)および一般式(b10)において、R18b、R20bおよびR21bは、相互に独立に、水素原子またはメチル基を示し、一般式(b8)において、各R19bは、相互に独立に、水素原子、ヒドロキシル基、シアノ基または−COOR23b基(但し、R23bは水素原子、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基または炭素数3〜20のシクロアルキル基を表す。)を示し、一般式(b10)において、各R22bは、相互に独立に、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体または1〜4の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を示し、かつR22bの少なくとも1つが該脂環式炭化水素基もしくはその誘導体であるか、あるいは何れか2つのR22bが相互に結合して、それぞれが結合している共通の炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を形成し、残りのR22bは、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基または炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基もしくはその誘導体を表す。
上記一般式(b5)で表されるアクリル樹脂の好ましい具体例としては、下記一般式(b5−1)〜(b5−3)で表されるものを挙げることができる。
上記一般式(b5−1)〜(b5−3)中、R18bは、水素原子又はメチル基を表し、nは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。
上記一般式(b6)で表されるアクリル樹脂の好ましい具体例としては、下記一般式(b6−1)〜(b6−28)で表されるものを挙げることができる。
上記一般式(b7)で表されるアクリル樹脂の好ましい具体例としては、下記一般式(b7−1)〜(b7−22)で表されるものを挙げることができる。
上記一般式(b8)で表されるアクリル樹脂の好ましい繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3、5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3−シアノアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシルアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3、5−ジカルボキシルアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシル−5−ヒドロキシアダマンタン−1−イル、(メタ)アクリル酸3−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシアダマンタン−1−イル等の重合性不飽和結合が開裂した単位を挙げることができる。
上記一般式(b10)で表されるアクリル樹脂の好ましい繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イル、(メタ)アクリル酸2−n−プロピルアダマンチル−2−イル、(メタ)アクリル酸2−i−プロピルアダマンチル−2−イル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチル等の重合性不飽和結合が開裂した単位を挙げることができる。
さらに、(B3)アクリル樹脂は、上記一般式(b5)〜(b10)で表される構成単位に対して、さらにエーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含む共重合体からなる樹脂であることが好ましい。
このような構成単位は、エーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位である。エーテル結合を有する重合性化合物としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどのエーテル結合及びエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体などのラジカル重合性化合物を例示することができ、好ましくは、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリ
コール(メタ)アクリレートである。これらの化合物は、何れかを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、(B3)アクリル樹脂には、物理的、化学的特性を適度にコントロールする目的で、他の重合性化合物を構成単位として含むことができる。このような重合性化合物としては、公知のラジカル重合性化合物や、アニオン重合性化合物が挙げられる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸類;2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基及びエステル結合を有するメタクリル酸誘導体類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル類;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのジカルボン酸ジエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシスチレン、α−メチルヒドロキシスチレン、α−エチルヒドロキシスチレンなどのビニル基含有芳香族化合物類;酢酸ビニルなどのビニル基含有脂肪族化合物類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有重合性化合物類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの塩素含有重合性化合物;
アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド結合含有重合性化合物類などを挙げることができる。
上記成分(B)の中でも、アクリル樹脂(B3)を用いることが好ましい。
上記アクリル樹脂(B3)の中でも、上記一般式(b5)〜(b10)で表される構成単位と、エーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位と、(メタ)アクリル酸単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類からなる構成単位とを有する共重合体であることが好ましい。
上記共重合体中における一般式(b5)〜(b10)で表される構成単位の割合は、20〜70重量%であることが好ましい。
また、成分(B)のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは10、000〜600、000であり、より好ましくは50、000〜600、000であり、さらに好ましくは230、000〜550、000である。このような重量平均分子量とすることにより、レジストの樹脂物性が優れたものとなる。
さらに、成分(B)は、分散度が1.05以上の樹脂であることが好ましい。ここで、「分散度」とは、重量平均分子量を数平均分子量で除した値のことである。このような分散度とすることにより、レジストのメッキ耐性および樹脂物性が優れたものとなる。
上記成分(B)の含有量は、化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物の固形文中、5〜60重量%とすることが好ましい。
<アルカリ可溶性樹脂(C)>
本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物には、レジストの樹脂物性を向上させるために、さらにアルカリ可溶性樹脂(C)(本明細書において、「成分(C)」という。)を含有させることが好ましい。成分(C)としては、ノボラック樹脂(C1)、ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)、アクリル樹脂(C3)、及びポリビニル樹脂(C4)、からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
[ノボラック樹脂(C1)]
ノボラック樹脂(C1)としては、重量平均分子量が1、000〜50、000のものが好ましい。
上記ノボラック樹脂(C1)は、例えばフェノール性水酸基を持つ芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」と称する)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる。この際に使用されるフェノール類としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2、3−キシレノール、2、4−キシレノール、2、5−キシレノール、2、6−キシレノール、3、4−キシレノール、3、5−キシレノール、2、3、5−トリメチルフェノール、3、4、5−トリメチルフェノール、p−フェニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログ
リシノール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、没食子酸、没食子酸エステル、α−ナフトール、β−ナフトールなどが挙げられる。
また、アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒドなどが挙げられる。付加縮合反応時の触媒は、特に限定されるものではないが、例えば酸触媒では、塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸などが使用される。
なお、o−クレゾールを使用すること、樹脂中の水酸基の水素原子を他の置換基に置換すること、あるいは嵩高いアルデヒド類を使用することにより、樹脂の柔軟性を一層向上させることが可能である。
[ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)]
ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)としては、重量平均分子量が1、000〜50、000のものが好ましい。
上記ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)を構成するヒドロキシスチレン系化合物としては、p−ヒドロキシスチレン、α−メチルヒドロキシスチレン、α−エチルヒドロキシスチレンなどが挙げられる。さらに、ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)は、スチレン樹脂との共重合体とすることが好ましく、このようなスチレン樹脂を構成するスチレン系化合物としては、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
[アクリル樹脂(C3)]
アクリル樹脂(C3)としては、重量平均分子量が50、000〜800、000のものが好ましい。
このようなアクリル樹脂(C3)としては、エーテル結合を有する重合性化合物から誘導されたモノマー、及びカルボキシル基を有する重合性化合物から誘導されたモノマー単位を含んでなるものが好ましい。
上記エーテル結合を有する重合性化合物としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリラート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリラート、3−メトキシブチル(メタ)アクリラート、エチルカルビトール(メタ)アクリラート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリラート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリラート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラートなどのエーテル結合及びエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体などを例示することができ、好ましくは、2−メトキシエチルアクリラート、メトキシトリエチレングリコールアクリラートである。これらの化合物は、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記カルボキシル基を有する重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基及びエステル結合を有する化合物などを例示することができ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸である。これらの化合物は、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[ポリビニル樹脂(C4)]
ポリビニル樹脂(C4)としては、重量平均分子量が10、000〜200、000のものが好ましく、50、000〜100、000のものがより好ましい。
上記ポリビニル樹脂(C4)は、ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)であり、下記一般式(c1)で表されるビニル低級アルキルエーテルの何れか単独又は2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合体からなる。
上記一般式(c1)中、R1cは、炭素数1〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を表す。
上記ポリビニル樹脂(C4)は、ビニル系化合物から得られる重合体であり、具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリヒドロキシスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニル安息香酸、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルフェノール、及びこれらの共重合体などが挙げられる。中でも、ガラス転移点の低さに鑑みて、ポリビニルメチルエーテルが好ましい。
上記成分(C)の含有量は、上記成分(B)100重量部に対して、5〜95重量部とすることが好ましく、より好ましくは10〜90重量部とされる。5重量部以上とすることによりレジストの樹脂物性を向上させることができ、95重量部以下とすることにより現像時の膜減りを防ぐことができる傾向がある。
<酸拡散制御剤(D)>
本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き安定性などの向上のために、さらに酸拡散制御剤(D)(本明細書において、「成分(D)」という。)を含有させることが好ましい。成分(D)としては、含窒素化合物(D1)が好ましく、さらに必要に応じて、有機カルボン酸(D2)、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。
[含窒素化合物(D1)]
含窒素化合物(D1)としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリベンジルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、エチレンジアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4、4’−ジアミノジフェニルメタン、4、4’−ジアミノジフェニルエーテル、4、4’−ジアミノベンゾフェノン、4、4’−ジアミノジフェニルアミン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メ
チルピロリドン、メチルウレア、1、1−ジメチルウレア、1、3−ジメチルウレア、1、1、3、3、−テトラメチルウレア、1、3−ジフェニルウレア、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、8−オキシキノリン、アクリジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、2、4、6−トリ(2−ピリジル)−S−トリアジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1、4−ジメチルピペラジン、1、4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンなどを挙げることができる。これらのうち、特にトリエタノールアミンのようなアルカノールアミンが好ましい。これらは何れかを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記含窒素化合物(D1)は、上記成分(B)及び成分(C)の合計重量100重量部に対して、通常0〜5重量部の範囲で用いられ、特に0〜3重量部の範囲で用いられることが好ましい。
[有機カルボン酸(D2)、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体]
有機カルボン酸(D2)、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体のうち、有機カルボン酸としては、具体的には、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適であり、特にサリチル酸が好ましい。
リンのオキソ酸又はその誘導体の例としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような(D2)有機カルボン酸、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体は、上記成分(B)及び成分(C)の合計重量100重量部に対して、通常0〜5重量部の範囲で用いられ、特に0〜3重量部の範囲で用いられることが好ましい。
また、塩を形成させて安定させるために、有機カルボン酸(D2)、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体は、上記含窒素化合物(D1)と同等量を用いることが好ましい。
また、本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物には、基板との接着性を向上させるために、接着助剤をさらに含有させることもできる。使用される接着助剤としては、官能性シランカップリング剤が好ましい。具体的な官能性シランカップリング剤としては、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアナート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤であり、具体例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを挙げることができる。この接着助剤の含有量は、上記成分(B)及び成分(C)の合計重量100重量部に対して、20重量部以下であることが好ましい。
また、本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物には、塗布性、消泡性、レベリング性などを向上させるために、界面活性剤をさらに含有させることもできる。界面活性剤の例としては、BM−1000、BM−1100(いずれも商品名;BMケミー社製)、メガファックF142D、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF183(いずれも商品名;大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC−135、フロラードFC−170C、フロラードFC−430、フロラードFC−431(いずれも商品名;住友スリーエム社製)、サーフロンS−112、サーフロンS−113、サーフロンS−131、サーフロンS−141、サーフロンS−145(いずれも商品名;旭硝子社製)、SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8
428(いずれも商品名;東レシリコーン社製)などの市販のフッ素系界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
また、本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物には、アルカリ現像液に対する溶解性の微調整を行うために、酸、酸無水物、又は高沸点溶媒をさらに含有させることもできる。酸及び酸無水物の例としては、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸、安息香酸、桂皮酸などのモノカルボン酸;乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ桂皮酸、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ桂皮酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、シリンギン酸などのヒドロキシモノカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1、2−シクロヘキサンジカルボン酸、1、2、4−シクロヘキサントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1、2、5、8−ナフタレンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸;無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバニル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、1、2、3、4−ブタンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス無水トリメリタート、グリセリントリス無水トリメリタートなどの酸無水物、といったものを挙げることができる。また、高沸点溶媒の例としては、N−メチルホルムアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセタートなどを挙げることができる。上述したようなアルカリ現像液に対する溶解性の微調整を行うための化合物の使用量は、用途・塗布方法に応じて調整することができ、組成物を均一に混合させることができれば特に限定されるものではないが、得られる組成物全重量に対して60重量%以下、好ましくは40重量%以下とする。
また、本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物には、基本的に増感剤の必要がないが、感度を補完するものとして、必要により、増感剤を含有できる。このような増感剤としては、従来公知のものが使用でき、具体的には、アントラセン{アントラセン、9、10−ジブトキシアントラセン、9、10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9、10−ジメトキシアントラセン、2−tert−ブチル−9、10−ジメトキシアントラセン、2、3−ジメチル−9、10−ジメトキシアントラセン、9−メトキシ−10−メチルアントラセン、9、10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9、10−ジエトキシアントラセン、2−tert−ブチル−9、10−ジエトキシアントラセン、2、3−ジメチル−9、10−ジエトキシアントラセン、9−エトキシ−10−メチルアントラセン、9、10−ジプロポキシアントラセン、9、10−ジイソプロポキシアントラセン、9、10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9、10−ジプロポキシアントラセン、2−tert−ブチル−9、10−ジプロポキシアントラセン、2、3−ジメチル−9、10−ジプロポキシアントラセン、9−イソプロポキシ−10−メチルアントラセン、9、10−ジベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9、10−ジベンジルオキシアントラセン、2−tert−9、10−ジベンジルオキシアントラセン、2、3−ジメチル−9、10−ジベンジルオキシアントラセン、9−ベンジルオキシ−10−メチルアントラセン、9、10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9、10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−tert−9、10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2、3−ジメチル−9、10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、9−(α−メチルベンジルオキシ)−10−メチルアントラセン、9、10−ジフェニルアントラセン、9−メトキシアントラセン、9−エトキシアントラセン、9−メチルアントラセン、9−ブロモアントラセン、9−メチルチオアントラセン及び9−エチルチオアントラセン等};ピレン;1、2−ベンズアントラセン;ペリレン;テトラセン;コロネン;チオキサントン{チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン及び2、4−ジエチルチオキサントン等};フェノチアジン{フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、N−フェニルフェノチアジン等};キサントン;ナフタレン{1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、1、4−ジヒドロキシナフタレン、1、5−ジヒドロキシナフタレン、1、6−ジヒドロキシナフタレン、2、7−ジヒドロキシナフタレン、2、7−ジメトキシナフタレン、1、1′−チオビス(2−ナフトール)、1、1′−ビ−(2−ナフトール)及び4−メトキシ−1−ナフトール等};ケトン{ジメトキシアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン、2、2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4、4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4、4’−ジクロロベンゾフェノン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等};カルバゾール{N−フェニルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びN−グリシジルカルバゾール等};クリセン{1、4−ジメトキシクリセン、1、4−ジエトキシクリセン、1、4−ジプロポキシクリセン、1、4−ジベンジルオキシクリセン及び1、4−ジ−α−メチルベンジルオキシクリセン等};フェナントレン{9−ヒドロキシフェナントレン、9−メトキシフェナントレン、9−エトキシフェナントレン、9−ベンジルオキシフェナントレン、9、10−ジメトキシフェナントレン、9、10−ジエトキシフェナントレン、9、10−ジプロポキシフェナントレン、9、10−ジベンジルオキシフェナントレン、9、10−ジ−α−メチルベンジルオキシフェナントレン、9−ヒドロキシ−10−メトキシフェナントレン及び9−ヒドロキシ−10−エトキシフェナントレン等}等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの増感剤の使用量は、一般式(1)で示されるオニウムガレート塩100重量部に対し、5〜500重量部、好ましくは10〜300重量部である。
また、本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物には、粘度調整のため有機溶剤を適宜配合することができる。有機溶剤としては具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、及びジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル、又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;蟻酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類を挙げることができる。これらは何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの有機溶剤の使用量は、本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物を(例えば、スピンコート法)使用して得られるフォトレジスト層の膜厚が5μm以上となるよう、固形分濃度が30重量%以上となる範囲が好ましい。
本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物の調製は、例えば、上記各成分を通常の方法で混合、攪拌するだけでよく、必要に応じ、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用いて分散、混合させてもよい。また、混合した後で、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いて濾過してもよい。
本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物は、支持体上に、通常5〜150μm、より好ましくは10〜120μm、さらに好ましくは10〜100μmの膜厚のフォトレジスト層を形成するのに適している。このフォトレジスト積層体は、支持体上に本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物からなるフォトレジスト層が積層されているものである。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたものなどを例示することができる。この基板としては、例えば、シリコン、窒化シリコン、チタン、タンタル、パラジウム、チタンタングステン、銅、クロム、鉄、アルミニウムなどの金属製の基板やガラス基板などが挙げられる。特に、本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物は、銅基板上においても良好にレジストパターンを形成することができる。配線パターンの材料としては、例えば銅、ハンダ、クロム、アルミニウム、ニッケル、金などが用いられる。
上記フォトレジスト積層体は、例えば以下のようにして製造することができる。すなわち、上述したように調製した化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物の溶液を支持体上に塗布し、加熱により溶媒を除去することによって所望の塗膜を形成する。支持体上への塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法などの方法を採用することができる。本発明の組成物の塗膜のプレベーク条件は、組成物中の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚などによって異なるが、通常は70〜150℃、好ましくは80〜140℃で、2〜60分間程度とすればよい。
フォトレジスト層の膜厚は、通常5〜150μm、好ましくは10〜120μm、より好ましくは10〜100μmの範囲とすればよい。
このようにして得られたフォトレジスト積層体を用いてレジストパターンを形成するには、得られたフォトレジスト層に、所定のパターンのマスクを介して、光又は放射線、例えば波長が300〜500nmの紫外線又は可視光線を部位選択的に照射(露光)すればよい。
ここに、「光」は、酸を発生するために酸発生剤を活性化させる光であればよく、紫外線、可視光線、遠紫外線を包含し、また「放射線」は、X線、電子線、イオン線等を意味する。光又は放射線の線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザー、LEDランプなどを用いることができる。また、放射線照射量は、組成物中の各成分の種類、配合量、塗膜の膜厚などによって異なるが、例えば超高圧水銀灯使用の場合、50〜10、000mJ/cm2である。
そして、露光後、公知の方法を用いて加熱することにより酸の拡散を促進させて、この露光部分のフォトレジスト層のアルカリ溶解性を変化させる。ついで、例えば、所定のアルカリ性水溶液を現像液として用いて、不要な部分を溶解、除去して所定のレジストパターンを得る。
現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1、8−ジアザビシクロ[5、4、0]−7−ウンデセン、1、5−ジアザビシクロ[4、3、0]−5−ノナンなどのアルカリ類の水溶液を使用することができる。また、前記アルカリ類の水溶液にメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
現像時間は、組成物各成分の種類、配合割合、組成物の乾燥膜厚によって異なるが、通常1〜30分間であり、また現像の方法は液盛り法、ディッピング法、パドル法、スプレー現像法などのいずれでもよい。現像後は、流水洗浄を30〜90秒間行い、エアーガンや、オーブンなどを用いて乾燥させる。
このようにして得られたレジストパターンの非レジスト部(アルカリ現像液で除去された部分)に、例えばメッキなどによって金属などの導体を埋め込むことにより、メタルポストやバンプなどの接続端子を形成することができる。なお、メッキ処理方法は特に制限されず、従来から公知の各種方法を採用することができる。メッキ液としては、特にハンダメッキ、銅メッキ、金メッキ、ニッケルメッキ液が好適に用いられる。残っているレジストパターンは、最後に、定法に従って、剥離液などを用いて除去する。
本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物はドライフィルムとしても使用できる。このドライフィルムは、本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物からなる層の両面に保護膜が形成されたものである。化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物からなる層の膜厚は、通常10〜150μm、好ましくは20〜120μm、より好ましくは20〜80μmの範囲とすればよい。また、保護膜は、特に限定されるものではなく、従来ドライフィルムに用いられている樹脂フィルムを用いることができる。一例としては、一方をポリエチレンテレフタレートフィルムとし、他方をポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリエチレンフィルムからなる群より選ばれる1種とすることができる。
上記のような化学増幅型ポジ型ドライフィルムは、例えば以下のようにして製造することができる。すなわち、上述したように調製した化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物の溶液を一方の保護膜上に塗布し、加熱により溶媒を除去することによって所望の塗膜を形成する。乾燥条件は、組成物中の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚などによって異なるが、通常は60〜100℃で、5〜20分間程度でよい。
このようにして得られた化学増幅型ドライフィルムを用いてレジストパターンを形成するには、化学増幅型ポジ型ドライフィルムの一方の保護膜を剥離し、露出面を上記した支持体側に向けた状態で支持体上にラミネートし、フォトレジスト層を得、その後、プレベークを行ってレジストを乾燥させた後に、他方の保護膜を剥離すればよい。
このようにして支持体上に得られたフォトレジスト層には、支持体上に直接に塗布することにより形成したフォトレジスト層に関して上記したのと同様の方法で、レジストパターンを形成することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されることは意図しない。
<光酸発生剤の合成>
(合成例1)リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレートの合成
窒素雰囲気下で十分に乾燥させた125mL4つ口フラスコに超脱水ジエチルエーテル360部及びペンタフルオロブロモベンゼン30部仕込み、これをドライアイス/アセトン浴を用いて−78℃に冷却した。2.5mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液70部を10分かけて滴下し、その後、−78℃で30分撹拌した。これに、塩化ガリウム(III)5部を溶解させたジエチルエーテル溶液68部を10分かけて滴下し、−78℃で3時間撹拌した。反応液を徐々に室温に戻しながら攪拌し、室温に戻してから更に5時間撹拌した。析出した固体をろ過し、反応液をエバポレーターに移し、溶媒を留去することにより、灰白色の生成物を得た。生成物を超脱水ヘキサン50部で4回洗浄した後、一晩真空乾燥させ、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレートを得た。生成物は19F−NMRにて同定した。
(合成例2)[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレート(光酸発生剤 A−1)の合成
ジフェニルスルホキシド(1.6部、8mmol)、ジフェニルスルフィド(1.5部、8mmol)、無水酢酸(2.5部、24mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸(1.5部、10mmol)及びアセトニトリル13部を均一混合し、40℃で6時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却し、イオン交換水60部中に投入し、ジクロロメタン60部で抽出し、水層のpHが中性になるまでイオン交換水で洗浄した。ジクロロメタン層をロータリーエバポレーターに移して、溶媒を留去し、褐色液状の生成物を得た。これに酢酸エチル20部を加え、60℃の水浴中で溶解させた後、ヘキサン60部を加え撹拌した後、5℃まで冷却し30分間静置してから上澄みを除く操作を2回行い、生成物を洗浄した。これをロータリーエバポレーターに移して溶媒を留去することにより、[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフラートを得た。
(複分解法)
このトリフレートをジクロロメタン50部に溶かし、等モルのリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレートむ水溶液66部を室温下で混合し、そのまま3時間撹拌し、ジクロロメタン層を分液操作にて水で2回洗浄した後、ロータリーエバポレーターに移して溶媒を留去することにより、A−1を得た。
(合成例3)[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルス
ルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレート(光酸発生剤A−2)の合成
ジフェニルスルホキシド(1.6部、8mmol)、ジフェニルスルフィド(1.5部、8mmol)を4−[(フェニル)スルフィニル]ビフェニル(2.2部、8mmol)、4−(フェニルチオ)ビフェニル(2.1部、8mmol)に変更した以外、合成例2と同様にして、A−2を得た。
(合成例4))[4−(2−チオキサントニルチオ)フェニル]フェニル−2−チオキサントニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレート(光酸発生剤A−3)の合成
ジフェニルスルホキシド(1.6部、8mmol)、ジフェニルスルフィド(1.5部、8mmol)を2−(フェニルチオ)チオキサントン(2.6部、8mmol)、2−[(フェニル)スルフィニル]チオキサントン(2.5部、8mmol)に変更した以外、合成例2と同様にして、A−3を得た。
〔比較合成例1〕4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート(光酸発生剤A−4)の合成
ジフェニルスルホキシド12.1部、ジフェニルスルフィド9.3部及びメタンスルホン酸43.0部を撹拌しながら、これに無水酢酸7.9部を滴下し、40〜50℃で5時間反応させた後、室温(約25℃)まで冷却し、この反応溶液を20%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液121部中に投入し、室温(約25℃)で1時間撹拌して、黄色のやや粘調な油状物が析出した。この油状物を酢酸エチルにて抽出し、有機層を水で数回洗浄した後、有機層から溶剤を留去し、得られた残渣にトルエンを加えて溶解した後、ヘキサンを加え、10℃で1時間よく撹拌した後静置した。1時間後、溶液は2層に分離したため、上層を分液によって除いた。残った下層にヘキサンを加え、室温(約25℃)でよく混合すると淡黄色の結晶が析出した。これをろ別し、減圧乾燥し
て、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを収率60%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド、δ(ppm)7.72〜7.87(12H、m)、7.54〜7.63(5H、m)、7.42(2H、d)}。また、赤外吸光分光分析(KBr錠剤法)により、840cm-1付近にP−F結合の吸収を確認した。
実施例1〜3、比較例1〜4
〔化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物の作成及び評価〕
<評価用試料の調製>
表1に示す通り、光酸発生剤である成分(A)1重量部、樹脂成分(B)として、下記化学式(Resin-1)で示される樹脂40重量部、及びアルカリ可溶性樹脂(C)として、m−クレゾールとp−クレゾールとをホルムアルデヒド及び酸触媒の存在下で付加縮合して得たノボラック樹脂60重量部を、溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に均一に溶解させ、孔径1μmのメンブレンフィルターを通して濾過し、固形分濃度40重量%のポジ型フォトレジスト組成物P1〜P3を調製した。
また比較例も表1に示した配合量で同様に行い、ポジ型フォトレジスト組成物HP1〜HP4を調製した。
<感度評価>
シリコンウェハー基板上に、上記組成物実施例P1〜P3および組成物比較例HP1〜HP4で調製したポジ型レジスト組成物をスピンコートした後、乾燥して約20μmの膜厚を有するフォトレジスト層を得た。このレジスト層をホットプレートにより130℃で6分間プレベークした。プレベーク後、TME−150RSC(トプコン社製)を用いてパターン露光(i線)を行い、ホットプレートにより75℃で5分間の露光後加熱(PEB)を行った。その後、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた浸漬法により、5分間の現像処理を行い、流水洗浄し、窒素でブローして10μmのラインアンドスペース(L&S)パターンを得た。更に、それ以下ではこのパターンの残渣が認められなくなる最低限の露光量、すなわちレジストパターンを形成するのに必要な最低必須露光量(感度に対応する)を測定した。
<貯蔵安定性評価>
また、上記で調製した化学増幅型ポジ型レジスト組成物を用いて、調製直後と40℃で1ヶ月保存後の感光性(感度)評価を上記の通りに行い、貯蔵安定性を次の基準で判断した。
○:40℃で1ヶ月保存後の感度変化が調製直後の感度の5%未満
×:40℃で1ヶ月保存後の感度変化が調製直後の感度の5%以上
<パターン形状評価>
上記操作により、シリコンウエハー基板上に形成した10μmのL&Sパターンの形状断面の下辺の寸法Laと上辺の寸法Lbを、走査型電子顕微鏡を用いて測定し、パターン形状を次の基準で判断した。結果を表4に示す。
○:0.85≦Lb/La≦1
×:Lb/La<0.85
※最低必要露光量が特定できないため、貯蔵安定性、パターン形状は測定不能。
表2に示される通り、本発明の一般式(1)で示されるオニウムガレート塩を光酸発生剤として用いた実施例P1〜P3の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物は、比較例HP1〜HP4の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物ように従来の光酸発生剤を用いた場合よりも感度、貯蔵安定性、パターン形状に優れることがわかった。