JP2019089738A - 防虫組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】水と、水溶性の昆虫忌避剤と、を含有し、昆虫忌避剤が気化し易い成分であっても、昆虫忌避剤の気化が抑制される、新規の防虫組成物の提供。【解決手段】水、セルロースナノファイバー及び昆虫忌避剤を含有し、前記セルロースナノファイバーが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ,ラジカル触媒による、セルロースの化学変性法で得られたものであり、15〜25℃のいずれかの温度の1Lの水に対する、前記昆虫忌避剤の溶解量が3g以上である、防虫組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、防虫組成物に関する。
昆虫用の忌避剤としては、これまでに、N,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(別名:N,N−ジエチル−m−トルアミド、本明細書においては、「DEET」と称することがある)が広く利用されている。しかし、DEETは、揮発性を有しており、単体で使用した場合には気化し易いことで、目的とする箇所での昆虫忌避効果の持続性が低い。
これに対して、水と、DEETと、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンノオキシラジカル等のN−オキシル化合物と、を含有する昆虫忌避剤組成物が開示されている(特許文献1参照)。この昆虫忌避剤組成物を用いた場合、スプレーした後の液ダレが発生せず、DEETの利用効率が高いため、昆虫忌避性能が高く、昆虫忌避効果が長時間持続するとされている。
特許第5459764号公報
しかし、DEETは、親油性化合物であり、水へはほとんど不溶である。そのため、溶媒として水を併用し、安全性が高い組成物として用いるのに、DEETは適さないという問題点があった。
そこで、本発明は、水と、水溶性の昆虫忌避剤と、を含有し、昆虫忌避剤が気化し易い成分であっても、昆虫忌避剤の気化が抑制される、新規の防虫組成物を提供することを課題とする。
本発明は、水、セルロースナノファイバー及び昆虫忌避剤を含有し、前記セルロースナノファイバーが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ,ラジカル触媒による、セルロースの化学変性法で得られたものであり、15〜25℃のいずれかの温度の1Lの水に対する、前記昆虫忌避剤の溶解量が3g以上である、防虫組成物を提供する。
本発明の防虫組成物においては、前記昆虫忌避剤がイカリジンであることが好ましい。
本発明によれば、水と、水溶性の昆虫忌避剤と、を含有し、昆虫忌避剤が気化し易い成分であっても、昆虫忌避剤の気化が抑制される、新規の防虫組成物が提供される。
実施例及び比較例での防虫組成物又は昆虫忌避剤の評価結果を示すグラフである。
<<防虫組成物>>
本発明の防虫組成物は、水、セルロースナノファイバー(本明細書においては、「CNF」と称することがある)及び昆虫忌避剤を含有し、前記セルロースナノファイバーが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ,ラジカル(本明細書においては、「TEMPO」と略記することがある)触媒による、セルロースの化学変性法で得られたもの(本明細書においては、「TEMPO酸化CNF」と略記することがある)であり、15〜25℃のいずれかの温度の1Lの水に対する、前記昆虫忌避剤の溶解量が3g以上である。
本発明の防虫組成物は、CNFとしてTEMPO酸化CNFという特定範囲のものを含有し、昆虫忌避剤として特定範囲の水溶性を有するものを含有していることにより、たとえ昆虫忌避剤が気化し易い成分であっても、昆虫忌避剤の気化による離脱が抑制される。このように、本発明の防虫組成物は、CNF及び昆虫忌避剤として、特定の組み合わせを含有していることにより、顕著に優れた効果を奏する。このような防虫組成物は、昆虫忌避効果の持続性が高い。
本発明の防虫組成物中の昆虫忌避剤が、気化し難い成分であれば、このような昆虫忌避剤においては、昆虫忌避剤の気化による離脱が、より顕著に抑制される。
本明細書において、CNFとしては、例えば、セルロース若しくはその誘導体で、繊維幅が3〜200nmのミクロフィブリル又はミクロフィブリル集合体となっているものが挙げられる。
<TEMPO酸化CNF>
防虫組成物が含有するTEMPO酸化CNFは、公知のものであってよい。
防虫組成物において、TEMPO酸化CNFは、溶解していてもよいし、溶解せずに分散した状態であってもよい。
防虫組成物のTEMPO酸化CNFの含有量は、特に限定されないが、後述する昆虫忌避剤の含有量を考慮して、調節することが好ましい。
より具体的には、防虫組成物において、昆虫忌避剤の含有量に対する、TEMPO酸化CNFの含有量の割合([防虫組成物のTEMPO酸化CNFの含有量]/[防虫組成物の昆虫忌避剤の含有量]×100)は、特に限定されないが、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、5質量%以上及び15質量%以上のいずれかであってもよい。TEMPO酸化CNFの前記割合が前記下限値以上であることで、防虫組成物において、昆虫忌避剤の気化を抑制する効果がより高くなる。
防虫組成物において、昆虫忌避剤の含有量に対する、TEMPO酸化CNFの含有量の割合の上限値は、特に限定されない。
TEMPO酸化CNFの前記割合は、22質量%以下であることが好ましい。TEMPO酸化CNFの前記割合が前記上限値以下であることで、防虫組成物において、均一な組成の防虫組成物がより容易に得られる。
防虫組成物において、昆虫忌避剤の含有量に対する、TEMPO酸化CNFの含有量の割合は、上述の好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、TEMPO酸化CNFの前記割合は、好ましくは0.01〜22質量%、より好ましくは0.1〜22質量%、さらに好ましくは0.5〜22質量%であり、例えば、5〜22質量%、及び5〜15質量%のいずれかであってもよい。ただし、これは、TEMPO酸化CNFの前記割合の一例である。
<昆虫忌避剤>
防虫組成物が含有する昆虫忌避剤の、15〜25℃のいずれかの温度の1Lの水に対する溶解量は、3g以上である。これは、前記昆虫忌避剤が常温下において水溶性であることを意味する。このような条件を満たせば、昆虫忌避剤は、特に限定されない。
なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
昆虫忌避剤の、1Lの水に対する溶解量は、15〜25℃のすべての温度域の水(1L)に対して、3g以上であってもよいし、15〜25℃のいずれか一部の温度域の水(1L)に対して、3g以上であってもよい。
例えば、昆虫忌避剤は、常温下で、液体及び固体のいずれであってもよい。
また、昆虫忌避剤は、常温下で、気化し易い成分及び気化し難い成分のいずれであってもよい。例えば、昆虫忌避剤は、揮発性を有していてもよいし、有していなくてもよく、昇華性を有していてもよいし、有していなくてもよい。ただし、気化し易い昆虫忌避剤を用いることで、本発明の効果がより顕著に得られる。
また、防虫組成物において、昆虫忌避剤は、溶解していてもよいし、溶解せずに分散した状態であってもよい。
なお、本明細書において、「昆虫忌避剤の気化」とは、常温下での昆虫忌避剤の性状に関わらず(例えば、昆虫忌避剤が常温下で液体及び固体のいずれであっても)、昆虫忌避剤が気体となることを意味し、上述の「揮発」、「昇華」も気化に含まれる。
15〜25℃のいずれかの温度の1Lの水に対する、昆虫忌避剤の溶解量は、4g以上であることが好ましく、5g以上であることがより好ましく、6g以上であることがさらに好ましく、例えば、7g以上、及び8g以上のいずれかであってもよい。昆虫忌避剤の前記溶解量が、前記下限値以上であることで、防虫組成物において、昆虫忌避剤の気化を抑制する効果がより高くなる。
15〜25℃のいずれかの温度の1Lの水に対する、昆虫忌避剤の溶解量の上限値は、特に限定されない。
昆虫忌避剤の前記溶解量は、11g以下であることが好ましい。前記溶解量が前記上限値以下である昆虫忌避剤は、入手が容易である。
15〜25℃のいずれかの温度の1Lの水に対する、昆虫忌避剤の溶解量は、上述の好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、昆虫忌避剤の前記溶解量は、好ましくは4〜11g、より好ましくは5〜11g、さらに好ましくは6〜11gであり、例えば、7〜11g、及び8〜11gのいずれかであってもよい。ただし、これは、昆虫忌避剤の前記溶解量の一例である。
防虫組成物の昆虫忌避剤の含有量は、特に限定されないが、2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、6質量%以上であることがさらに好ましく、例えば、8質量%以上、及び9質量%以上のいずれかであってもよい。防虫組成物の昆虫忌避剤の含有量が前記下限値以上であることで、防虫組成物の昆虫忌避効果がより高くなる。
防虫組成物の昆虫忌避剤の含有量の上限値は、特に限定されない。
防虫組成物の昆虫忌避剤の含有量は、14質量%以下であることが好ましい。防虫組成物の昆虫忌避剤の含有量が前記上限値以下であることで、防虫組成物において、昆虫忌避剤をより容易に溶解又は分散させることができるなど、均一な組成の防虫組成物がより容易に得られる。
防虫組成物の昆虫忌避剤の含有量は、上述の好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、防虫組成物の昆虫忌避剤の含有量は、好ましくは2〜14質量%、より好ましくは4〜14質量%、さらに好ましくは6〜14質量%であり、例えば、8〜14質量%、及び9〜14質量%のいずれかであってもよい。ただし、これは、防虫組成物の昆虫忌避剤の含有量の一例である。
好ましい昆虫忌避剤としては、イカリジン(1−(1−メチルプロポキシカルボニル)−2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン)が挙げられる。
常温下及び室温(例えば、17〜23℃)下でのいずれかの温度の1Lの水に対する、イカリジンの溶解量は、8.6gである。
防虫組成物が含有する昆虫忌避剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
<他の成分>
防虫組成物は、水、TEMPO酸化CNF、及び昆虫忌避剤以外に、本発明の効果を損わない範囲内において、これらのいずれにも該当しない他の成分を含有していてもよい。
前記他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
前記他の成分としては、例えば、水以外の溶媒、TEMPO酸化CNF以外のCNF(本明細書においては、「他のCNF」と略記することがある)、15〜25℃のすべての温度域の1Lの水に対する溶解量が3g未満の昆虫忌避剤(本明細書においては、「他の昆虫忌避剤」と略記することがある)等が挙げられる。
なお、本明細書において、単なる「昆虫忌避剤」との記載は、前記他の昆虫忌避剤ではなく、先に説明した、「15〜25℃のいずれかの温度の1Lの水に対する溶解量が3g以上の昆虫忌避剤」を意味する。
水以外の溶媒としては、例えば、エタノール等のアルコールが挙げられる。
前記他のCNFとしては、例えば、解繊セルロースナノファイバー(本明細書においては、「解繊CNF」と称することがある)等が挙げられる。解繊CNFは、水等の分散媒中で、セルロースナノファイバー前駆体(CNF前駆体)に対して解繊処理を行うことにより、セルロースナノファイバー分散液(CNF分散液)を得る工程を有する製造方法で製造されたCNFである。解繊CNFとして、より具体的には、CNF前駆体を、超音波ホモジナイザー、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、対向衝突型ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、遊星ミル、高速回転ミキサー、又は磨砕用グラインダー等を用いて、機械的解繊処理して得られたもの(本明細書においては、「機械解繊CNF」と称することがある)等が挙げられる。
防虫組成物が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
防虫組成物の前記他の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されず、前記他の成分の種類に応じて適宜調節することが好ましい。
例えば、前記他の成分が水以外の溶媒である場合、防虫組成物の水以外の溶媒の含有量は、防虫組成物の水の含有量に対して、0.1質量倍以下であることが好ましく、0.05質量倍以下であることがより好ましい。防虫組成物の水以外の溶媒の含有量がこのような範囲内であることにより、防虫組成物において、昆虫忌避剤の気化を抑制する効果がより高くなり、又、防虫組成物の安全性がより高くなる。
例えば、前記他の成分が他のCNFである場合、防虫組成物の他のCNFの含有量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。また、防虫組成物の他のCNFの含有量は、防虫組成物のTEMPO酸化CNFの含有量に対して同等以下であることが好ましい。
そして、防虫組成物の他のCNFの含有量は、防虫組成物のTEMPO酸化CNFの含有量に対して同等以下であり、かつ0.5質量%以下であることが好ましく、防虫組成物のTEMPO酸化CNFの含有量に対して同等以下であり、かつ0.1質量%以下であることがより好ましい。
防虫組成物の他のCNFの含有量がこのような範囲内であることにより、防虫組成物において、昆虫忌避剤の気化を抑制する効果がより高くなる。
例えば、前記他の成分が他の昆虫忌避剤である場合、防虫組成物の他の昆虫忌避剤の含有量は、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。また、防虫組成物の他の昆虫忌避剤の含有量は、防虫組成物の前記昆虫忌避剤(15〜25℃のいずれかの温度の1Lの水に対する溶解量が3g以上の昆虫忌避剤)の含有量に対して同等以下であることが好ましい。
そして、防虫組成物の他の昆虫忌避剤の含有量は、防虫組成物の前記昆虫忌避剤の含有量に対して同等以下であり、かつ3質量%以下であることが好ましく、防虫組成物の前記昆虫忌避剤の含有量に対して同等以下であり、かつ1質量%以下であることがより好ましい。
防虫組成物の他の昆虫忌避剤の含有量がこのような範囲内であることにより、防虫組成物において、昆虫忌避剤の気化を抑制する効果がより高くなる。
ただし、防虫組成物の前記他の成分の含有量が0質量%(防虫組成物が前記他の成分を含有しない場合)であっても、防虫組成物において、昆虫忌避剤の気化を抑制する効果を十分に高いものとすることが可能である。
前記防虫組成物は、例えば、スプレー剤、エアゾール剤、塗布剤等、公知の剤型とすることができる。
前記防虫組成物は、昆虫全般に対して忌避効果を持続的に発現する。
前記防虫組成物において、昆虫忌避剤の揮発が抑制される理由は定かではないが、以下のように推測される。
すなわち、防虫組成物中のTEMPO酸化CNFは、TEMPO触媒によるセルロースの化学変性法で得られたものであるため、セルロースに由来する水酸基(−OH)に加え、この水酸基から生じたカルボキシ基(−C(=O)−OH)を有する。これら水酸基及びカルボキシ基は、いずれも親水性の官能基(親水性基)であり、特にカルボキシ基の親水性が高い。このカルボキシ基は、さらに、TEMPO酸化CNFを得る過程での処理方法に依存して、金属塩等の塩を形成すると推測される。このように、TEMPO酸化CNFは、親水性を有する。なお、TEMPO酸化CNFは、親水性を有していても、水溶性を有するとは限らず、水溶性を有していてもよいし、有していなくてもよい。また、TEMPO酸化CNFは、高分子化合物であるため、当然に気化しない。
一方、先の説明のとおり、前記昆虫忌避剤は水溶性であり、換言すると、TEMPO酸化CNFと同様に親水性を有する。
このような場合、前記防虫組成物においては、ともに親水性であるTEMPO酸化CNFと昆虫忌避剤は、互いに相互作用し易くなっており、気化しないTEMPO酸化CNFは、昆虫忌避剤を保持する担体として機能する。
したがって、昆虫忌避剤は、たとえ気化し易い成分であっても、防虫組成物中ではTEMPO酸化CNFによって保持されるため、防虫組成物中からの気化が抑制されるのではないかと推測される。
<<防虫組成物の製造方法>>
防虫組成物は、水、TEMPO酸化CNF、昆虫忌避剤、及び必要に応じて前記他の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま防虫組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを防虫組成物としてもよい。
各成分の配合順序は、特に限定されない。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、例えば、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節できる。配合時の温度は、例えば、15〜50℃であってもよいが、これは一例である。
配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、例えば、1分〜24時間であってもよいが、これは一例である。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、昆虫忌避剤として用いている、イカリジン、DEET(N,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド)の構造式を、以下に示す。
15〜25℃のすべて温度域の1Lの水に対する、DEETの溶解量は、3g未満である。
Figure 2019089738
また、以下の実施例及び比較例において、「室温」とは、概ね20〜23℃を意味する。
[実施例1]
<防虫組成物の製造>
TEMPO酸化CNF(第一工業製薬社製「レオクリスタ(登録商標)」)を用いて、濃度が2質量%であるTEMPO酸化CNF水分散液を調製した。
次いで、このTEMPO酸化CNF水分散液(45g)に、イカリジン(5g)を添加して、室温下、2000rpmの条件で、撹拌翼で5分撹拌することにより、イカリジンの含有量が10質量%であり、TEMPO酸化CNFの含有量が2質量%である、水分散体の防虫組成物を得た。
<防虫組成物の評価>
室温、常圧の空気雰囲気下において、上記で得られた防虫組成物(300μL)を、ろ紙(Whatman社製定性ろ紙♯3、TGK品番996−41−01−23、直径9cm、粒子保持能6μm、灰分0.06%、初期ろ過速度90秒、坪量187g/m、厚さ0.39mm)の中央領域付近に吸収させた。
次いで、この吸収後のろ紙を直ちに、室温下の水/アセトニトリル(1/1、体積比)の混合溶媒(50mL)中に浸漬して、超音波を30分加えることにより、ろ紙中のイカリジンを混合溶媒中に抽出した。
次いで、ろ紙を浸漬している混合溶媒(すなわち抽出液)をサンプリングし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、下記条件で分析した。
(HPLC分析条件)
移動相の種類:水/アセトニトリル(1/1、体積比)
移動相の流量:0.2mL/min
分析時間:10分
検出波長:195nm
次いで、その分析結果から、前記混合溶媒中に抽出されているイカリジン(昆虫忌避剤)の量(A)を定量した。この定量値(A)は、理論上は、前記混合溶媒中に浸漬する前に、ろ紙に吸着されていたイカリジン(昆虫忌避剤)の量と同じとなる。
別途、上記のものと同じろ紙を用い、上記と同じ方法で、防虫組成物(300μL)をこのろ紙の中央領域付近に吸収させた。
次いで、この吸着後のろ紙を80℃、常圧の空気雰囲気下で1時間静置した。
次いで、この静置後のろ紙を直ちに、室温下の水/アセトニトリル(1/1、体積比)の混合溶媒(50mL)中に浸漬して、上記(Aの定量時)と同じ方法で、前記混合溶媒中に抽出されているイカリジン(昆虫忌避剤)の量(A)を定量した。この定量値(A)は、理論上は、1時間静置後で前記混合溶媒中に浸漬する前に、ろ紙に吸着されていたイカリジン(昆虫忌避剤)の量と同じとなる。
さらに、80℃、常圧の空気雰囲気下でのろ紙の静置時間を、1時間に代えて2時間及び3時間とした点以外は、上記と同じ方法で、前記混合溶媒中に抽出されているイカリジン(昆虫忌避剤)の量(A及びA)を定量した。これら定量値(A及びA)は、理論上は、2時間静置後及び3時間静置後で前記混合溶媒中に浸漬する前に、ろ紙に吸着されていたイカリジン(昆虫忌避剤)の量と同じとなる。
ここで、80℃、常圧の空気雰囲気下でのろ紙の静置時間がt時間(tは0以上の数である)の場合の、上記のイカリジン(昆虫忌避剤)の定量値をAとし、下記式により、前記静置時間が0時間、1時間、2時間及び3時間である場合の、それぞれのろ紙におけるイカリジン(昆虫忌避剤)の残存率(%)を算出した。結果を表1及び図1に示す。
昆虫忌避剤の残存率(%)=A/A×100
[実施例2]
<防虫組成物の製造>
TEMPO酸化CNF(第一工業製薬社製「レオクリスタ(登録商標)」)を用いて、濃度が1質量%であるTEMPO酸化CNF水分散液を得た。
次いで、このTEMPO酸化CNF水分散液(45g)に、イカリジン(5g)を添加して、室温下、2000rpmの条件で、撹拌翼で5分撹拌することにより、イカリジンの含有量が10質量%であり、TEMPO酸化CNFの含有量が1質量%である、水分散体の防虫組成物を得た。
<防虫組成物の評価>
上記で得られた防虫組成物について、実施例1の場合と同じ方法で、イカリジン(昆虫忌避剤)の残存率(%)を算出した。結果を表1及び図1に示す。
[実施例3]
<防虫組成物の製造>
TEMPO酸化CNF(第一工業製薬社製「レオクリスタ(登録商標)」)を用いて、濃度が0.1質量%であるTEMPO酸化CNF水分散液を得た。
次いで、このTEMPO酸化CNF水分散液(45g)に、イカリジン(5g)を添加して、室温下、2000rpmの条件で、撹拌翼で5分撹拌することにより、イカリジンの含有量が10質量%であり、TEMPO酸化CNFの含有量が0.1質量%である、水分散体の防虫組成物を得た。
<防虫組成物の評価>
上記で得られた防虫組成物について、実施例1の場合と同じ方法で、イカリジン(昆虫忌避剤)の残存率(%)を算出した。結果を表1及び図1に示す。
[比較例1]
<昆虫忌避剤の評価>
上記の防虫組成物(300μL)に代えて、イカリジン(30μL)を、ろ紙の中央領域付近に吸収させた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、イカリジン(昆虫忌避剤)の残存率(%)を算出した。結果を表1及び図1に示す。
[比較例2]
<防虫組成物の製造>
TEMPO酸化CNF(第一工業製薬社製「レオクリスタ(登録商標)」)を用いて、濃度が1質量%であるTEMPO酸化CNF水分散液を得た。
次いで、このTEMPO酸化CNF水分散液(45g)に、DEET(5g)を添加して、室温下、2000rpmの条件で、撹拌翼で5分撹拌することにより、DEETの含有量が10質量%であり、TEMPO酸化CNFの含有量が1質量%である防虫組成物を得た。
<防虫組成物の評価>
上記で得られた防虫組成物について、実施例1の場合と同じ方法で、DEET(昆虫忌避剤)の残存率(%)を算出した。結果を表1及び図1に示す。
[比較例3]
<防虫組成物の製造>
機械解繊CNF(スギノマシン社製「Bin−Fis WMa−1002」)を用いて、濃度が2質量%である機械解繊CNF水分散液を得た。
次いで、この機械解繊CNF水分散液(45g)に、イカリジン(5g)を添加して、室温下、2000rpmの条件で、撹拌翼で5分撹拌することにより、イカリジンの含有量が10質量%であり、機械解繊CNFの含有量が2質量%である防虫組成物を得た。
<防虫組成物の評価>
上記で得られた防虫組成物について、実施例1の場合と同じ方法で、イカリジン(昆虫忌避剤)の残存率(%)を算出した。結果を表1及び図1に示す。
Figure 2019089738
上記結果から明らかなように、実施例1〜3の防虫組成物は、昆虫忌避剤として水溶性のイカリジンを含有し、CNFとしてTEMPO酸化CNFを含有しており、昆虫忌避剤の3時間での残存率が64%以上(64〜71%)であって、昆虫忌避剤の気化の抑制効果が高かった。
実施例1〜3の防虫組成物において、イカリジンの含有量は10質量%であり、TEMPO酸化CNFの含有量は0.1〜2質量%であった。
これに対して、比較例1では、防虫組成物ではなく、イカリジン(昆虫忌避剤)のみを用いており、昆虫忌避剤の気化の抑制効果が著しく低かった。例えば、昆虫忌避剤の残存率は、2時間の段階ですでに0%であった。
比較例2の防虫組成物は、昆虫忌避剤として非水溶性(油溶性)のDEETを含有し、CNFとしてTEMPO酸化CNFを含有しており、昆虫忌避剤の3時間での残存率が50%であって、昆虫忌避剤の気化の抑制効果が低かった。例えば、昆虫忌避剤の残存率は、1時間の段階ですでに66%であり、実施例1〜3の場合と比べてかなり低かった。
比較例2の防虫組成物は、実施例2の防虫組成物の場合と同様に、TEMPO酸化CNFを含有し、その含有量は1質量%であり、昆虫忌避剤の含有量が10質量%であったものの、昆虫忌避剤が非水溶性であった。
比較例3の防虫組成物は、昆虫忌避剤として水溶性のイカリジンを含有し、CNFとして機械解繊CNFを含有しており、昆虫忌避剤の3時間での残存率が51%であって、昆虫忌避剤の気化の抑制効果が低かった。例えば、昆虫忌避剤の残存率は、1時間の段階ですでに69%であり、実施例1〜3の場合と比べてかなり低かった。
比較例3の防虫組成物は、実施例2の防虫組成物の場合と同様に、昆虫忌避剤として水溶性のイカリジンを含有し、CNFの含有量が2質量%であったものの、CNFが機械解繊CNFであった。
本発明は、昆虫忌避のための防虫剤として利用可能である。

Claims (2)

  1. 水、セルロースナノファイバー及び昆虫忌避剤を含有し、
    前記セルロースナノファイバーが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ,ラジカル触媒による、セルロースの化学変性法で得られたものであり、
    15〜25℃のいずれかの温度の1Lの水に対する、前記昆虫忌避剤の溶解量が3g以上である、防虫組成物。
  2. 前記昆虫忌避剤がイカリジンである、請求項1に記載の防虫組成物。
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