JP2019089578A - ポリオレフィン系包装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】スリップ剤の過度なブリードアウトによって発生する内容物の汚染や充填時のロール汚れを生じない、医療用薬液を充填したソフトバッグを包装するための外装袋を提供する【解決手段】少なくとも1層の熱融着層を有する単層または積層フィルムからなる包装材料の熱融着層同士を対向させて周縁部を熱融着させた外装袋であって、前記熱融着層は、ポリオレフィン系樹脂及び飽和脂肪酸アミドを含有し、前記熱融着層の厚さが10〜100μmであることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、内容物が充填された包装袋を収納するために使用する外装袋に関し、特に医療、医薬品分野において輸液等の薬液を充填したソフトバッグの収納用として好適に使用される外装袋に関する。
医療、医薬品分野において、アミノ酸輸液、糖・電解質輸液、リンゲル液等の薬液が充填されたソフトバッグを収納する外装袋としては、一般の包装袋にはないさまざまな品質が要求される。例を挙げれば、有害物や菌の付着がない衛生性、内容物に異物が移行しない非移行性の他、充填ラインにおける非汚染性、低温シール性、易充填性(滑り性)等の品質である。特に非移行性については、内容物の性質上、厳しい規格が課せられている。
従来の外装袋の熱融着層は、製膜中の熱酸化を防止するフェノール系、リン系化合物に代表される酸化防止剤と、巻き取り時の包装材料同士の密着(ブロッキング)を防止する、シリカ、合成ゼオライトに代表されるアンチブロッキング剤(以下「AB剤」と略す)と、製袋適性、充填適性を付与するための、脂肪酸アミドに代表されるスリップ剤、更にはステアリン酸カルシウムに代表される熱安定剤等の各種添加剤を含んだポリオレフィン系樹脂で構成されている。
スリップ剤の多くは、高分子中を移動して内容物と接触する側の熱融着層表面に移行する事で滑り性を付与している。スリップ剤としては、従来不飽和脂肪酸モノアミドであるエルカ酸アミドが広く用いられているが、エルカ酸アミドは、融点が82℃であり、比較的低温でも高分子中を動きやすいため、熱融着層表面から収納物である輸液バッグに移行し、更には輸液バッグの包装材料中を移動して内容液にまで到達する場合がある事が知られている。エルカ酸アミドの過剰なブリードアウトは、内容液の汚染、ラミネート工程、及び充填ラインでのロール汚れ、更にはラミネート阻害、シール阻害を起こすことがあるという問題があった。
上記問題点を解決するものとして、脂肪酸アミドの量を極力低減し、従来の滑り性を補う為にAB剤を多く添加したり、AB剤の種類を変更したり、更にはポリオレフィンの密度を上げる事が実施されてきた。しかし、AB剤を多くする事で熱融着層の透明性が劣ったり、物理強度が弱くなったり、シール強度が弱くなったりする懸念事項があった。更には、ポリオレフィンの密度を上げる事で低温シール性が落ち、充填ライン適性が悪くなるという問題も発生した。
特許文献1に記載されたラミネート用ポリエチレン系積層体は、基材と貼り合せて熱融着層として用いる積層体であり、滑り性や低温シール性を改善する目的で提案されたものである。この積層体は、特許請求の範囲に記載された通り、片面にシーラント層と、前記シーラント層と反対の面にラミネート面とを有する共押出し法により多層に製膜された積層体であって、前記積層体のヤング率が1500kgf/cm以上であり、前記積層体のシーラント層の平均密度が0.880〜0.915g/cmの範囲で、さらに前記シーラント層を構成する樹脂の50重量%以上が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなり、また、前記積層体の構成中に、平均密度が0.915g/cm以上であって、50重量%以上が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂である層が積層されていることを特徴とするラミネート用ポリエチレン系積層体である。特許文献1の実施例には、シーラント層としてポリエチレン系樹脂100に対してエルカ酸アミド0.15重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.15重量部、AB剤(平均粒径8μm、球状、合成ゼオライト)を1.0重量部添加、中間層にポリエチレン系樹脂100に対してエルカ酸アミド0.15重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.15重量部を添加することが記載されている。
特許文献1に記載されたポリエチレン系積層体は、いずれも十分な滑り性と腰の強さとを有するため、良好な充填適性やシール性を有するものであり、一般的な用途の包装袋としては有用であるが、スリップ剤、なかでもエルカ酸アミドの配合量が多すぎて、過剰なブリードアウトを生じる危険性があり、医薬品用外装袋を始めとする規格の厳しい用途には適合しないものである。また、不飽和脂肪酸アミドは使用する上で、フィルムが酸化劣化することによる変色や臭い発生の危険性がある。
特開平11−198323号公報
本発明の課題は、スリップ剤の過度なブリードアウトによって発生する内容物の汚染や充填時のロール汚れを生じない、外装袋を提供することである。
上記の課題を解決するための手段として、本発明の第1の発明は、少なくとも1層の熱融着層を有する単層または積層フィルムからなる包装材料の熱融着層同士を対向させて周縁部を熱融着させた外装袋であって、前記熱融着層は、ポリオレフィン系樹脂及び飽和脂肪酸アミドを含有し、前記熱融着層の厚さが10〜100μmであることを特徴とする外装袋である。
また、本発明の第2の発明は、第1の発明において、医療用薬液を充填したソフトバッグを包装するために使用されることを特徴とする外装袋である。
本発明に係る外装袋は、少なくとも1層の熱融着層を有する単層または積層フィルムからなる包装材料の熱融着層同士を対向させて周縁部を熱融着させた外装袋であって、熱融着層は、ポリオレフィン系樹脂及び飽和脂肪酸アミドを含有し、熱融着層の厚さが10〜100μmであることを特徴とする外装袋であり、スリップ剤としてブリードしやすいエルカ酸アミドの過剰な使用を避けることができるため、スリップ剤のブリードアウトに起因するさまざまな問題点を回避することが可能となる。
また、熱融着層の厚さを10〜100μmとしたことにより、熱融着層に含まれるスリップ剤の絶対量も少なくなり、過剰なスリップ剤のブリードアウトに起因する問題を回避することが本質的に可能となる。
1.包装材料
本発明に係る包装材料は、少なくとも1層の熱融着層を有する単層または積層フィルムからなる。即ち、本発明に係る包装材料には、熱融着層のみからなる単層フィルム、熱融着層以外に種々の基材層を設けた積層フィルムが含まれる。
本発明に係る包装材料は熱融着層以外に印刷基材層を設けた積層フィルムからなることが可能である。印刷基材層としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ナイロン(Ny)などが使用可能である。印刷基材層の表面には、内容物に関する絵柄や情報などを表す印刷を施すことができる。
本発明に係る包装材料は熱融着層以外に酸素バリア層を設けた積層フィルムからなることも可能である。酸素バリア層としては、上記印刷基材層に使用されるフィルムと同様のフィルムに酸化アルミニウムや酸化珪素などの金属酸化物を蒸着して、ガスバリア性を発揮するようにしたガスバリア性フィルムでもよいし、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOH)、ポリビニルアルコールフィルム(PVA)等の単体のガスバリア性フィルムでもよい。これら単体のバリアフィルムは、酸素に対するバリア性は優れているが、水蒸気は透過するのに対して、金属酸化物を蒸着したガスバリアフィルムは、水蒸気に対するバリア性も優れているので、より厳しいバリア性の規格を必要とする用途には好ましく使用できる。
また、金属酸化物を蒸着したガスバリアフィルムは、熱融着層に使用するスリップ剤のマイグレーションを遮断する効果が高く、熱融着層に添加されたスリップ剤を熱融着面側に集中的にブリードアウトさせる効果を有するのでさらに好ましい。
熱融着層としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)などのポリオレフィン系樹脂が使用できる。この他、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・αオレフィン共重合体などのポリエチレン系樹脂や、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂なども使用することができる。
<付加的成分(添加剤)>
本発明の包装材料は、外装袋として好適に用いられるため、ブリードアウトなど本発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意の添加剤を配合することが出来る。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン系樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤等を挙げることが出来る。各種添加剤について以下に詳しく述べる。さらに本発明の効果を著しく損なわない範囲で、柔軟性を付与する成分としてエラストマーを配合することができる。
(イ)酸化防止剤
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などを挙げることができる。
燐系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ミックスド、モノ及びジノニルフェニルホスファイト)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどを挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)などを挙げることができる。
これら酸化防止剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
酸化防止剤の配合量は、包装材料を構成する各々の層の樹脂100重量部に対して好ましくは0.01〜1.0重量部、より好ましくは0.02〜0.5重量部、さらに好ましくは0.05〜0.1重量部、配合量が0.01重量部以上では、熱安定性の効果が得られ、樹脂を製造する際に劣化が起こりにくく、ヤケとなってフィッシュアイの原因となりにくい。また、1.0重量部以下では、酸化防止剤自体が異物となってフィッシュアイの原因となりにくく好ましい。
(ロ)アンチブロッキング剤
アンチブロッキング剤としては、好ましくは平均粒子径1〜7μm、より好ましくは1〜5μm、さらに好ましくは、1〜4μmである。平均粒子径が1μm以上では、得られるシートの滑り性、開口性が良好で好ましい。また、7μm以下では、透明性、傷つき性が良好で好ましい。ここで平均粒子径は、コールターカウンター計測による値である。
アンチブロッキング剤の具体例としては、たとえば無機系としては、合成または天然のシリカ(二酸化珪素)、ケイ酸マグネシウム、アルミノシリケート、タルク、ゼオライト、硼酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、燐酸カルシウム等が使用される。
また、有機系としては、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルシルセスキオキサン(シリコーン、(CHSiO3/2)、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド(ユリア樹脂)、フェノール樹脂等を用いることができる。
特に合成シリカ、ポリメチルメタクリレートが分散性、透明性、耐ブロッキング性、傷つき性のバランスから好適である。
また、アンチブロッキング剤は表面処理されたものを用いてもよく、表面処理剤としては、界面活性剤、金属石鹸、アクリル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、フッ素樹脂、シランカップリング剤、ヘキサメタリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、トリメタリン酸ソーダ等の縮合リン酸塩等を用いることができ、特に有機酸処理なかでもクエン酸処理されたものが好適である。処理方法は特に限定されるものではなく、表面噴霧、浸漬等公知の方法を採用することができる。
アンチブロッキング剤はいかなる形状であってもよく、球状、角状、柱状、針状、板状、不定形状等任意の形状とすることができる。
これらアンチブロッキング剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
アンチブロッキング剤を配合する場合の配合量は、包装材料を構成する各々の層の樹脂100重量部に対して好ましくは0.01〜1.0重量部、より好ましくは0.05〜0.7重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部である。配合量が0.01重量部以上では、シートのアンチブロッキング性、滑り性、開口性が良好である。配合量が1.0重量部以下では、シートの透明性を損なうことがなく、また、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となりにくく好ましい。
(ハ)スリップ剤
スリップ剤としては、モノアマイド類、ビスアマイド類等が挙げられ、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
モノアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸モノアマイドとして、ラウリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド等が挙げられる。
ビスアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸ビスアマイドとして、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルマロン酸アマイド、N,N’−ジステアリルコハク酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アマイドなどが挙げられる。
これらの中では、特に、脂肪酸アマイドのうち、ベヘニン酸アマイドが好適に使用される。
スリップ剤を配合する場合の配合量としては、包装材料を構成する各々の層の樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜1.0重量部、より好ましくは0.025〜0.7重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部である。配合量が0.01重量部以上では、スリップ性が良好であり、1.0重量部以下の場合には、熱融着層表面へのスリップ剤のブリードアウト量が多すぎることはなく、酸素バリア層とのラミネート工程において十分なラミネート強度があるため、ラミネート阻害を発生したり、製袋工程において十分なシール強度が出ないシール阻害を生じたり、ラミネート工程や充填工程においてスリップ剤によるロール汚染を生じたりするという問題を回避することができる。またさらには、スリップ剤が内容物であるソフトバッグ内容液にまで移行して内容液の汚染を引き起こすことを防止できる為、医療用ソフトバッグの外装袋等に使用する場合には、好ましい。
(ニ)核剤
核剤の具体例としては、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウム、タルク、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸)アルミニウム、ヒドロキシ−ビス(2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸)アルミニウムと炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩との混合物((株)ADEKA製、商品名アデカスタブNA21)等が挙げられる。
上記核剤を配合する場合の配合量としては、包装材料を構成する各々の層の樹脂100重量部に対して、好ましくは0.0005〜0.5重量部、より好ましくは0.001〜0.1重量部、さらに好ましくは0.005〜0.05重量部である。上記範囲内では核剤としての効果が得られ、また、核剤自体が異物となってフィッシュアイの原因となることがなく好ましい。
熱融着層の厚さについては、10μm以上100μm以下であることが望ましい。熱融着層の厚さが10μm以上であると、フィルム強度が高く破袋しにくくなり、厚さが100μm以下である場合には、スリップ剤の絶対量が多くなることがないためスリップ剤が過剰にブリードアウトすることがなく、内容物への汚染に繋がる恐れがない。
外装袋に内容物を収納(充填)する際に、外装袋の内面がある程度の滑り性を持っていないと、収納適性(充填適性)が劣ることになるため、外装袋の内面である熱融着層にはスリップ剤を添加する必要がある。しかしソフトバッグの外表面には外装袋の内表面である熱融着層面が直接接触するので、この熱融着層面にスリップ剤などの添加剤が高濃度に存在すると、保存条件によってはこの添加剤がソフトバッグの包装材料を貫通して内容液にまで到達する場合があり、大きな問題となる。
内容液に到達したスリップ剤は、内容液中に不溶性微粒子として存在するので、微粒子測定装置(パーティクルカウンター)によって簡易的に検出することができる。
2.外装袋
本発明の外装袋は例えば本発明に係る包装材料の熱融着層同士を対向させ、規定のサイズに切り出した後、2枚を重ね合わせ、周縁部をインパルスシールして製造することができる。本発明の外装袋は、例えばTダイフィルムであれば4か所、インフレフィルムであれば2か所の周縁部を熱融着させた構造を有する。
本発明の外装袋は、内容物が充填された包装袋を収納するために使用され、特に医療、医薬品分野において輸液等の薬液を充填したソフトバッグの収納用として好適に使用することができる。
以下実施例および比較例に基づき、本発明に係る外装袋について、さらに具体的に説明する。
[実施例1及び比較例1]
後述のプロピレン系樹脂パウダー、また添加剤を表1に示した割合で、タンブラーにてそれぞれ混合し均一化し、得られた混合物を35mm径の二軸押出機により230℃で溶融混練し、プロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットをホッパーへ投入し、以下の条件に従ってTダイ成形機にて無延伸フィルムを得た。得られたフィルムについての物性を、後記測定法に準拠し測定した。表1にその評価結果を掲載する。
なお、使用した樹脂と添加剤の詳細を以下に記す。
(ポリオレフィン系樹脂)
日本ポリプロ(株)製、商品名ノバテック(登録商標)PP、グレード名FY6Q
チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体 パウダー、 MFR=2.4
(酸化防止剤)
酸化防止剤1:
テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASFジャパン株式会社製商品名「イルガノックス1010」)
酸化防止剤2:
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン株式会社製商品名「イルガホス168」)
(スリップ剤)
飽和脂肪酸アミド:ベヘニン酸アミド(日本精化株式会社製商品名「BNT22」)
不飽和脂肪酸アミド:エルカ酸アミド(日本精化株式会社製商品名「ニュートロン-S」)
(AB剤)
合成シリカ:水澤化学工業(株)製、商品名ミズパール K−300 粒径:3μm
(混練条件)
混練機:東芝機械社製35mm径同方向二軸混練機 混練温度:230℃
スクリュー回転数:250rpm フィーダー回転数:50rpm
(フィルム成形)
Tダイ成形機:プラコー社製35mm径単軸成形機、押出温度:240℃
ダイス幅:330mm リップ開度:0.8mm
冷却ロール温度:35℃ 引取速度:19.0〜21.0m/分
フィルム厚さ:30μm前後
実施例1および比較例1の各包装材料を用いて開口部が未シール状態の輸液バッグ用外装袋を作成し、下記項目について評価を行った。
<評価項目と評価方法>
<不溶性微粒子測定>:得られた外袋用フィルム(包装材料)を100mm×250mm形状にカットして周縁部3か所をインパルスシールし、そこへ下記に示す評価用輸液ソフトバッグを収納した後、残り周縁部1か所をインパルスシールしたサンプル袋を作成した。60℃で30日間保存後、内容液中の不溶性微粒子をパーティクルカウンターにて測定した。検体数は、n=3とした。
測定機:リオン株式会社製液中パーティクルカウンター 品番:KL−04
微粒子限度値:2μm以上の微粒子の個数:150個/mL以下
○:検体において限度値以下であった
×:検体において限度値以上であった
以上の実験結果を表1に示した。
(評価用輸液ソフトバッグ作製方法)
プロピレン系樹脂:日本ポリプロ(株)製、商品名ウェルネックス、グレード名RFG4VM
上記原料ペレットを口径30mmの単軸押出機を用い、マンドレル口径50mm、リップ幅1.0mmのサーキュラーダイから設定温度200℃にて押出し、水冷して、3m/minの速度で、折り幅90mmとなるように、水冷インフレーション成形を行い、総厚み200μmの筒状成形体を得た。得られた成形体を幅90mm、高さ210mmのサイズにフィルムを切り、周縁部1か所をインパルスシールして、関東化学(株)製高速液体クロマトグラフ用蒸留水(品番:#113072B)を250ml充填した後、残り周縁部1か所をインパルスシールした評価用輸液ソフトバッグを得た。
<スリップ性官能評価>
上記の通り、Tダイ成形機でフィルムを作製し、紙管に巻き取ったサンプルロールを23℃、50%RH環境下で30日間状態調整した後、ロールからフィルムを繰り出す時の滑り性を官能評価した。
○:フィルムの繰り出しに問題無く、スリップ性良好
×:フィルム繰り出し時に引っ掛かるような感触があり、スリップ性能が目標未達
Figure 2019089578
表1の結果によると、実施例1の外装袋は、検体における不溶性微粒子数が限度値以下であった。飽和脂肪酸アミドではなく、不飽和脂肪酸アミドであるエルカ酸アミドを添加した比較例1では、不溶性微粒子数が基準を上回り、不合格であった。

Claims (2)

  1. 少なくとも1層の熱融着層を有する単層または積層フィルムからなる包装材料の熱融着層同士を対向させて周縁部を熱融着させた外装袋であって、前記熱融着層は、ポリオレフィン系樹脂及び飽和脂肪酸アミドを含有し、前記熱融着層の厚さが10〜100μmであることを特徴とする外装袋。
  2. 医療用薬液を充填したソフトバッグを包装するために使用されることを特徴とする請求項1に記載の外装袋。
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