JP2019085610A - 金属表面処理用水溶液、金属表面の処理方法、及び接合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】均一であり、かつ、塩害環境に曝されても接着強度が低下し難く、接着耐久性、特に長期保存後の接着耐久性に優れた表面処理金属材を製造するための金属表面処理用水溶液を提供する。【解決手段】本発明は、アルキルシリケート、そのオリゴマー、それらの加水分解物又はその重合体と、分子内に加水分解可能なアルコキシシリル基を有する有機シラン化合物、その加水分解物又はその重合体と、炭素数1〜4のアルコールと、炭素数1〜6のカルボン酸とをそれぞれ所定量含有し、pHが2以上7以下である金属表面処理用水溶液に関する。【選択図】なし
Description
本発明は、金属表面処理用水溶液及び金属表面の処理方法、並びに、当該金属表面処理用水溶液で処理された金属材を用いた接合体に関する。
自動車、船舶及び航空機などの輸送機に用いられる部材の軽量化の観点から、炭素繊維やアルミ合金、鉄鋼材料といった、強度、材質、質量等の異なる異種材料を接合する技術の開発が注目されている。特に、接着樹脂(樹脂接着剤)は、電位差腐食による材料の腐食がなく、多様な材料を腐食せずに接合可能なことから、近年積極的に研究されている。しかしながら、環境中の水分、酸素及び塩化物イオンなどが接合部に浸入すると、次第に、接着剤層と金属との界面が劣化し、更に劣悪環境では腐食に進展することもあり、界面剥離が生じて、接着強度が低下するという問題がある。したがって、海岸沿いや融雪剤が散布された道路のように塩害が生じやすい環境下では、金属と接着樹脂の界面に水分や塩化物イオンが浸入し、金属表面の腐食・劣化が起こり、金属と接着樹脂の界面で容易に剥離するため、接着強度が著しく低下してしまう恐れがある。そのため、金属と接着樹脂の界面を保護し、塩害環境下でも接着強度を低下させないような前処理が、接着耐久性を左右する重要な因子となる。
ここで、接着用前処理としては、防食の観点から、金属表面の耐食性や塗料密着性を向上させるための表面処理が知られている。
例えば、特許文献1には、テトラエチルオルソシリケート等のテトラアルキルシリケートと、シリカゾル等の水和酸化物ゾルを含む水性組成物でアルミニウム等の金属を処理することにより、その上に形成される接着剤などの塗膜の初期密着性や密着性の長期安定性を向上させる手法が記載されている。
また、特許文献2には、少なくとも2個の3置換シリル基を有する少なくとも1種類の多官能性シランのみから本質的になる第一の処理溶液で金属基板を処理した後、少なくとも1種類のオルガノ官能性シランを含む第二の処理溶液を含む第二の被覆を施すことにより、金属の耐食性を向上させる手法が記載されている。
また、特許文献3には、アミノシランと多シリル官能シランを含む溶液により金属基材を処理することにより、金属の耐食性を向上させる手法が記載されている。
また、特許文献4には、亜鉛メッキ鋼板の表面をケイ酸化合物を含む水溶液でリンスした後、シランカップリング剤で処理することで耐食性を向上させる方法が記載されている。
また、特許文献5には、ケイ酸エステル、アルミニウム無機塩及びポリエチレングリコールを含有し、シランカップリング剤をさらに含有させた溶液を、亜鉛系めっき鋼板上に塗布、乾燥して皮膜を形成させることで、塗料密着性及び耐白錆性を向上させる手法が記載されている。
また、特許文献6には、ナトリウム水ガラス等の水ガラスと、アミノシラン等のシランを含む水溶液により、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料の表面を処理することで、塗料密着性を向上させる手法が記載されている。
また、特許文献7には、無機珪酸塩、有機官能性シラン及び2以上のトリアルコキシシリル基を含む架橋剤を含有するアルカリ溶液で金属シートを処理することにより、耐食性及び塗料付着性を向上させる手法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の手法では、長期の湿潤劣化試験により接着強度が著しく減少してしまうため、接着耐久性は十分なものとはいえない。
また、特許文献2及び特許文献3に記載の手法では、生成するシラン皮膜の接着耐久性は十分でなく、高温乾燥または長時間の処理を必要とするなどプロセスへの実用性にも問題がある。
また、特許文献4〜特許文献7に記載の手法は、あくまで金属表面の防食や塗料の密着性の改善を目的とするものである。したがって、形成される皮膜は肉厚となるが、肉厚な皮膜では皮膜自身の機械強度が低く、張力や応力に対して脆くなり、高い接着強度を得ることができない。
また、表面処理後の合金材は、加工性向上のため表面処理後に塗油を行い、その後成形し、接着を行う。ここで、表面処理皮膜と接着剤の間に潤滑油や加工油、プレス油などの機械油が含まれると、接着剤の密着性が大きく低下し、高い接着強度を得ることができないことから、表面に加工油、プレス油等の機械油が付着しても接着耐久性が低下しない合金材の開発が求められている。
さらに、表面処理後の合金材の表面は、保管中に直接、又は防錆油等を通して間接的に大気に長時間さらされることにより、大気中の水分や酸素等の影響により表面処理皮膜が劣化し、接着剤との密着性が大きく低下する場合がある。そのため、長期保存された場合においても表面処理皮膜の劣化が少ない、長期保存後の接着耐久性に優れた合金材の開発が求められている。
また、上述したような表面処理された合金材においては、表面処理皮膜にムラがあると接着強度や接着耐久性が極端に低い部分が発生し、そこを起点として接着耐久性が低下することから、ムラのない均一な皮膜を形成することが求められている。
以上のような問題点を鑑みて、本発明は、均一な皮膜を形成でき、また、塩害環境に曝されても、接着強度が低下し難く、接着耐久性、特に長期保存後の接着耐久性に優れた表面処理金属材を製造するための金属表面処理用水溶液、当該金属表面処理用水溶液を用いた金属表面の処理方法、及び当該金属表面処理用水溶液を用いて表面処理された金属材の接合体を提供することを主目的とする。
本発明者らは、前述した目的を達成するために、創意工夫を重ねた結果、アルキルシリケートまたはそのオリゴマー、有機シラン化合物、所定のアルコール、所定のカルボン酸をそれぞれ特定の濃度範囲で含み、かつpHが特定範囲に調整された金属表面処理用水溶液により前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、0.01質量%以上3質量%未満のアルキルシリケート、そのオリゴマー、それらの加水分解物又はその重合体と、0.01質量%以上3質量%未満の分子内に加水分解可能なアルコキシシリル基を有する有機シラン化合物、その加水分解物又はその重合体と、3質量%以上50質量%以下の炭素数1〜4のアルコールと、0.0001質量%以上0.1質量%以下の炭素数1〜6のカルボン酸とを含有し、pHが2以上7以下である金属表面処理用水溶液を提供する。
本発明の金属表面処理用水溶液の一態様は、上記アルキルシリケートがテトラアルキルシリケートを含んでもよい。
本発明の金属表面処理用水溶液の一態様は、上記有機シラン化合物がビスシラン化合物を含んでもよい。
本発明の金属表面処理用水溶液の一態様は、上記有機シラン化合物が有機樹脂成分と化学結合しうる反応性官能基を有するシランカップリング剤を含んでもよい。
本発明の金属表面処理用水溶液の一態様は、上記アルキルシリケートがテトラエチルオルソシリケートを含んでもよい。
本発明の金属表面処理用水溶液の一態様は、上記有機シラン化合物が1,2−ビストリエトキシシリルエタンを含んでもよい。
また、本発明の金属表面処理用水溶液を用いた金属表面の処理方法の一態様は、上記いずれかの金属表面処理用水溶液を、乾燥後の表面処理皮膜量が0.5mg/m2以上50mg/m2以下となるように金属の表面に塗布することを含んでもよい。
また、本発明の金属表面処理用水溶液を用いた金属表面の処理方法の一態様は、上記金属がアルミニウム合金であってもよい。
また、本発明は、上述の金属表面処理用水溶液で処理された金属材同士を、接着樹脂を介して接合させた接合体も提供する。
また、本発明は、上述の金属表面処理用水溶液で処理された金属材と樹脂成形体を、接着樹脂を介して接合させた接合体も提供する。
本発明の金属表面処理用水溶液によれば、形成される皮膜が均一となり、また、塩害環境に曝されても接着強度が低下し難く、接着耐久性、特に長期保存後の接着耐久性に優れた表面処理金属材を製造することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
[金属表面処理用水溶液]
以下、本実施形態の金属表面処理用水溶液(以下、表面処理液ともいう)について説明する。
本実施形態の表面処理液は、0.01質量%以上3質量%未満のアルキルシリケート、そのオリゴマー、それらの加水分解物又はその重合体と、0.01質量%以上3質量%未満の分子内に加水分解可能なアルコキシシリル基を有する有機シラン化合物、その加水分解物又はその重合体と、3質量%以上50質量%以下の炭素数1〜4のアルコールと、0.0001質量%以上0.1質量%以下の炭素数1〜6のカルボン酸とを含み、pHが2以上7以下である。
本実施形態の表面処理液を、金属表面の少なくとも一部に塗布すると、金属表面にアルキルシリケートまたはそのオリゴマーが導入されて金属中の金属元素とケイ素との複合酸化皮膜が形成され、その後の乾燥工程で有機シラン化合物と複合酸化皮膜が化学的に結合した、有機シラン化合物よりなる表面処理皮膜が形成される。このようにして得られる表面処理金属材は、接着剤との結合性、更には耐食性に非常に優れ、塩害環境に曝されても、接着強度が低下し難く、接着耐久性に優れたものである。また、本実施形態の表面処理液によれば、アルキルシリケートまたはそのオリゴマーによる表面処理と有機シラン化合物による表面処理を一工程で行うことができるため、接着耐久性に優れた表面処理金属材を、簡略化された工程で製造することができ、設備投資費や製造コストを低減することができる。
以下、本実施形態の金属表面処理用水溶液(以下、表面処理液ともいう)について説明する。
本実施形態の表面処理液は、0.01質量%以上3質量%未満のアルキルシリケート、そのオリゴマー、それらの加水分解物又はその重合体と、0.01質量%以上3質量%未満の分子内に加水分解可能なアルコキシシリル基を有する有機シラン化合物、その加水分解物又はその重合体と、3質量%以上50質量%以下の炭素数1〜4のアルコールと、0.0001質量%以上0.1質量%以下の炭素数1〜6のカルボン酸とを含み、pHが2以上7以下である。
本実施形態の表面処理液を、金属表面の少なくとも一部に塗布すると、金属表面にアルキルシリケートまたはそのオリゴマーが導入されて金属中の金属元素とケイ素との複合酸化皮膜が形成され、その後の乾燥工程で有機シラン化合物と複合酸化皮膜が化学的に結合した、有機シラン化合物よりなる表面処理皮膜が形成される。このようにして得られる表面処理金属材は、接着剤との結合性、更には耐食性に非常に優れ、塩害環境に曝されても、接着強度が低下し難く、接着耐久性に優れたものである。また、本実施形態の表面処理液によれば、アルキルシリケートまたはそのオリゴマーによる表面処理と有機シラン化合物による表面処理を一工程で行うことができるため、接着耐久性に優れた表面処理金属材を、簡略化された工程で製造することができ、設備投資費や製造コストを低減することができる。
表面処理金属材の接着において高い接着耐久性を得るためには、表面処理皮膜の耐食性を向上させることが必要であり、表面処理皮膜の耐食性の向上においては、皮膜の強度、皮膜の緻密さ、皮膜の厚みが重要な因子となる。
分子内に加水分解可能なアルコキシシリル基を有する有機シラン化合物は自己組織化する性質があり、基材表面に緻密で均一な皮膜を形成することができるが、厚膜化した際には層間で剥離が生じやすい。一方、アルキルシリケートは強度の高い皮膜を形成することができるが、厚膜化した際には均一な皮膜を形成することができずに皮膜ムラが生じ、耐食性が低下する。
そこで本実施形態においては、これら両方を含有する表面処理液によって、有機シラン化合物皮膜の特徴である皮膜の均一性と、アルキルシリケート皮膜の特徴である皮膜強度を兼ね揃えることで、それぞれを単独で使用した場合よりも、きわめて優れた接着耐久性を持つ表面処理皮膜を実現している。
分子内に加水分解可能なアルコキシシリル基を有する有機シラン化合物は自己組織化する性質があり、基材表面に緻密で均一な皮膜を形成することができるが、厚膜化した際には層間で剥離が生じやすい。一方、アルキルシリケートは強度の高い皮膜を形成することができるが、厚膜化した際には均一な皮膜を形成することができずに皮膜ムラが生じ、耐食性が低下する。
そこで本実施形態においては、これら両方を含有する表面処理液によって、有機シラン化合物皮膜の特徴である皮膜の均一性と、アルキルシリケート皮膜の特徴である皮膜強度を兼ね揃えることで、それぞれを単独で使用した場合よりも、きわめて優れた接着耐久性を持つ表面処理皮膜を実現している。
本実施形態の表面処理液のpHは2以上7以下である。表面処理液のpHが7よりも高いとアルキルシリケートまたはそのオリゴマーが過剰に重合しやすくなり、溶液の保存安定性が低下するので好ましくない。また、アルキルシリケートまたはそのオリゴマーの重合が進むと、生成する処理層が厚くなり、応力がかかった際に処理層の内部で破壊が生じ、高い接着強度を得ることができない。一方、表面処理液のpHが2よりも低いとアルミ表面の溶解が激しくなり、処理層が不均一となるため、安定した接着性能を発揮することが困難となる。したがって、表面処理液のpHは2以上7以下の範囲とする必要がある。表面処理液のpHは、金属酸化皮膜との反応性を考慮すると、好ましくは3以上である。また、表面処理液のpHは、アルキルシリケートの安定性の観点からは、好ましくは6以下である。なお、表面処理液のpHは、例えば塩酸や硫酸、硝酸、酢酸などの酸を添加すること等により適宜調整することができる。
表面処理液中のアルキルシリケート、そのオリゴマー(以下、「アルキルシリケート類」ともいう)の濃度は、0.01質量%以上3質量%未満である。表面処理液中のアルキルシリケート類の濃度が3質量%以上であると、生成する表面処理皮膜が厚くなり、均一な皮膜を得ることができないため強度が低下してしまう。一方、表面処理液中のアルキルシリケート類の濃度が0.01質量%未満であると、アルキルシリケート類の濃度が低すぎるため、金属中の金属元素とケイ素との複合酸化皮膜を十分に形成することができなくなり、十分な接着耐久性が得られなくなる。表面処理液中のアルキルシリケート類の濃度は、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上である。また、表面処理液中のアルキルシリケート類の濃度は、好ましくは2質量%未満であり、より好ましくは1質量%未満である。
また、表面処理液中の分子内に加水分解可能なアルコキシシリル基を有する有機シラン化合物の濃度は、0.01質量%以上3質量%未満である。表面処理液中の有機シラン化合物の濃度が3質量%以上であると、生成する表面処理皮膜が厚くなり、均一な皮膜を得ることができないため強度が低下してしまう。また、溶液の安定性も低下するため好ましくない。一方、表面処理液中の有機シラン化合物の濃度が0.01質量%未満であると、有機シラン化合物の濃度が低すぎるため、有機シラン化合物を含む表面処理皮膜を十分に形成することができなくなり、十分な接着耐久性が得られなくなる。表面処理液中の有機シラン化合物の濃度は、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1%以上である。また、表面処理液中の有機シラン化合物の濃度は、好ましくは2質量%未満であり、より好ましくは1質量%未満である。
本実施形態において、表面処理液に含まれるアルキルシリケート類の種類は特に限定されないが、反応後に皮膜の腐食や接着樹脂の劣化の原因となるような副生成物を生じないテトラアルキルシリケートまたはそのオリゴマーが好ましい。この観点からは、テトラメチルオルソシリケート、テトラエチルオルソシリケート、テトライソプロピルオルソシリケート等のテトラアルキルシリケートまたはそのオリゴマーが好ましく、中でも、経済性や安全性の観点からは、テトラエチルオルソシリケートまたはそのオリゴマーが好ましい。なお、重合物には、オリゴマーなどが含まれる。ここで、アルキルシリケート類としては、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、アルキルシリケート類は、表面処理液において、加水分解物や、加水分解物の重合体として存在してもよい。
本実施形態において、表面処理液に含まれる有機シラン化合物は分子内に加水分解可能なアルコキシシリル基を有すれば種類は特に限定されないが、有機シラン化合物には加水分解可能なトリアルコキシル基を分子内に複数有するシラン化合物、その加水分解物またはその重合体を含んでいてもよい。分子内に加水分解可能なトリアルコキシル基を複数有するシラン化合物は、自己重合により緻密なシロキサン結合を形成するだけでなく、金属酸化物と反応性が高く、化学的に安定な結合を形成するため、皮膜の湿潤耐久性を更に高めることができる。また有機シラン処理皮膜は加工油、プレス油等の機械油や接着剤のような有機化合物との相互溶解性が高く、皮膜に加工油、プレス油等の機械油や防錆油が付着していてもその影響を緩和できるため、塗油による接着耐久性の低下を防ぐ役割も担う。上記シラン化合物の種類は特に限定されないが、経済性の観点からは、加水分解可能なトリアルコキシシリル基を分子内に2つ有するシラン化合物(ビスシラン化合物)が好ましく、例えば、1,2−ビストリアルコキシシリルエタン、1,4−ビストリアルコキシシリルベンゼン、1,6−ビストリアルコキシシリルヘキサン、N, N-(ビストリアルコキシシリルプロピル)アミン、ビストリアルコキシシリルプロピルテトラスルフィドなどを用いることができる。とりわけ、汎用性、経済性の観点から、1,2−ビストリエトキシシリルエタン(以下BTSE)が好ましい。ここで、有機シラン化合物としては、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、有機シラン化合物は表面処理液において、加水分解物や、加水分解物の重合体として存在してもよい。
また、有機シラン化合物は、有機樹脂成分と化学結合しうる反応性官能基を有するシランカップリング剤、その加水分解物またはその重合体を含んでいてもよい。例えば、アミノ基、エポキシ基、メタクリル基、ビニル基及びメルカプト基などの反応性官能基をもつシランカップリング剤を単独で使用、もしくはシラン化合物と併用することで、皮膜と樹脂との間に化学結合を形成させ、接着耐久性を更に高めることができる。なおシランカップリング剤の官能基は、前述したものに限定されるものではなく、各種官能基を有するシランカップリング剤を、使用する接着樹脂に応じて適宜選択して使用することができる。シランカップリング剤の好適な具体例としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(N−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−アミノエチル)−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。ここで、シランカップリング剤としては、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、表面処理液中の炭素数1〜4のアルコールの濃度は3質量%以上、50質量%以下である。表面処理液中のアルキルシリケートまたはそのオリゴマー及び有機シラン化合物は、水によって加水分解し、乾燥工程で重合して表面処理皮膜を形成するが、表面処理液中の炭素数1〜4のアルコールの濃度が50質量%を超えると、水の量が不十分となって加水分解が十分に進行しなくなり、表面処理皮膜の形成が妨げられる。一方、表面処理液中においてアルキルシリケートまたはそのオリゴマー及び有機シラン化合物は、これらの加水分解物との平衡状態にあるが、加水分解物は徐々に重合してゲル化してしまう。これに対して、表面処理液が炭素数1〜4のアルコールを含むことで、平衡を移動させ、加水分解物の濃度を下げ、重合を抑制することができ、ひいては表面処理液の安定性を向上させることができる。また、表面処理液が炭素数1〜4のアルコールを含有することで、表面処理液の表面張力及び粘度が低下することにより塗布性が向上して表面処理液の塗布時の液膜ムラが減少し、さらに表面処理液の沸点が低下することにより速乾性が向上して乾燥時に皮膜ムラが生じにくくなり、これらの効果により表面処理皮膜の均一性が向上する。表面処理液中の炭素数1〜4のアルコールの濃度が3質量%未満であると、この効果を十分に得ることができない。
また、上記観点より表面処理液中の炭素数1〜4のアルコールの濃度は好ましくは4質量%以上であり、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは10%以上である。また、表面処理液中の炭素数1〜4のアルコールの濃度は、好ましくは45質量%未満であり、より好ましくは40質量%未満である。
また、上記観点より表面処理液中の炭素数1〜4のアルコールの濃度は好ましくは4質量%以上であり、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは10%以上である。また、表面処理液中の炭素数1〜4のアルコールの濃度は、好ましくは45質量%未満であり、より好ましくは40質量%未満である。
また、表面処理液中の炭素数1〜6のカルボン酸の濃度は0.0001質量%以上、0.1質量%以下である。表面処理液が炭素数1〜6のカルボン酸を0.0001質量%以上含有することで、これらを触媒としてアルキルシリケートまたはそのオリゴマー及び有機シラン化合物が加水分解するため、水溶性が向上し、表面処理液の調製が容易となる。一方、表面処理液が炭素数1〜6のカルボン酸を0.1質量%を超えて含有すると、表面処理皮膜中に未反応のカルボン酸が残存し、表面処理皮膜の耐食性を低下させ、さらに、接着剤との密着性も低下させる恐れがある。
また、上記観点より表面処理液中の炭素数1〜6のカルボン酸の濃度は好ましくは0.0002質量%以上であり、より好ましくは0.0003%以上である。また、表面処理液中の炭素数1〜6のカルボン酸の濃度は、好ましくは0.05質量%未満であり、より好ましくは0.02質量%未満である。
また、上記観点より表面処理液中の炭素数1〜6のカルボン酸の濃度は好ましくは0.0002質量%以上であり、より好ましくは0.0003%以上である。また、表面処理液中の炭素数1〜6のカルボン酸の濃度は、好ましくは0.05質量%未満であり、より好ましくは0.02質量%未満である。
本実施形態において、炭素数1〜4のアルコールとしては例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール等を用いることができる。ここで、アルコールとしては、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、炭素数1〜6のカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸等を用いることができる。ここで、カルボン酸としては、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、カルボン酸の炭素数が1〜4であると水に溶け易いため、より好ましい。
なお、カルボン酸の炭素数が1〜4であると水に溶け易いため、より好ましい。
本実施形態においては、表面処理液が直径1nm以上の粒子状の無機化合物(以下、「粒子状無機化合物」ともいう)を原料として含むと、形成される皮膜が肉厚となり接着強度及び接着耐久性が低下するおそれがある。したがって、表面処理液は、その原料に粒子状無機化合物を実質的に含まないことが好ましい。なお、「粒子状無機化合物を実質的に含まない」とは、粒子状無機化合物を全く含まない態様に限定されるものではなく、粒子状無機化合物を不純物レベルで含有することは許容される。具体的には、表面処理液の原料の全量に対して、粒子状無機化合物が0.05質量%以下まで含有されることは許容される。また、粒子状無機化合物としては、シリカやアルミナといった無機酸化物のゾル等が挙げられる。なお、粒子状の無機化合物の直径は、表面処理液乾燥後の固形分の透過型電子顕微鏡(TEM)による観察や、希釈した表面処理液の液中パーティクルカウンターによる観察により測定される直径を表す。
なお、表面処理液は、上記成分以外にも、所望により、安定剤、補助剤等の1つ以上をさらに含んでいてもよい。
なお、表面処理液の調製方法としては、例えば、以下の調整方法が一例として挙げられるが、これに限定されるものではない。
まず、炭素数1〜4のアルコールと水の混合液に、有機シラン化合物と、触媒としての少量の炭素数1〜6のカルボン酸を加え、有機シラン化合物を十分に加水分解させて、有機シラン化合物水溶液とする。つづいて、同様の手法によりアルキルシリケートまたはそのオリゴマーの水溶液を調製し、これら2液を混合、所定の濃度まで水で希釈することにより表面処理液を調製する。
また、アルキルシリケートまたはそのオリゴマーは塩基性で重合しやすいため、有機シラン化合物として塩基性の化合物を用いる場合、溶液を混合した際のアルキルシリケートまたはそのオリゴマーの過剰な重合を避けるため、有機シラン溶液を予め炭素数1〜6のカルボン酸で中和しておいた上で、溶液を調製することが好ましい。
まず、炭素数1〜4のアルコールと水の混合液に、有機シラン化合物と、触媒としての少量の炭素数1〜6のカルボン酸を加え、有機シラン化合物を十分に加水分解させて、有機シラン化合物水溶液とする。つづいて、同様の手法によりアルキルシリケートまたはそのオリゴマーの水溶液を調製し、これら2液を混合、所定の濃度まで水で希釈することにより表面処理液を調製する。
また、アルキルシリケートまたはそのオリゴマーは塩基性で重合しやすいため、有機シラン化合物として塩基性の化合物を用いる場合、溶液を混合した際のアルキルシリケートまたはそのオリゴマーの過剰な重合を避けるため、有機シラン溶液を予め炭素数1〜6のカルボン酸で中和しておいた上で、溶液を調製することが好ましい。
本発明の表面処理液の用途としては、特に限定されるものではないが、酸化皮膜を有する種々の金属材料、例えば、アルミニウム、銅、鉄鋼、チタン等の金属材料の接着耐久性を向上させるために有用に用いることができる。特に、本発明の表面処理液は、アルミニウム合金の接着耐久性を向上させるために有用に用いることができる。
アルミニウム合金の種類は、特に限定されるものではなく、加工される部材の用途に応じて、JISに規定される又はJISに近似する種々の非熱処理型若しくは熱処理型のアルミニウム合金から適宜選択して使用することができる。ここで、非熱処理型アルミニウム合金としては、純アルミニウム(1000系)、Al−Mn系合金(3000系)、Al−Si系合金(4000系)及びAl−Mg系合金(5000系)がある。また、熱処理型アルミニウム合金としては、Al−Cu−Mg系合金(2000系)、Al−Mg−Si系合金(6000系)及びAl−Zn−Mg系合金(7000系)がある。
例えば、本発明の表面処理液により処理されたアルミニウム合金材を自動車用部材に用いる場合は、強度の観点から、当該アルミニウム合金材は0.2%耐力が100MPa以上であることが好ましい。このような特性を満足するアルミニウム合金材を形成可能なアルミニウム合金としては、2000系、5000系、6000系及び7000系などのように、マグネシウムを比較的多く含有するものがあり、これらの合金は必要に応じて調質してもよい。また、各種アルミニウム合金の中でも、時効硬化能に優れ、合金元素量が比較的少なくスクラップのリサイクル性や成形性にも優れていることから、6000系アルミニウム合金を用いることが好ましい。
なお、本発明の表面処理液を適用する処理対象としてのアルミニウム合金は、特に、その表面の少なくとも一部に、Mgを0.1原子%以上30原子%未満含有し、Cuが0.6原子%未満に規制された酸化皮膜を有するアルミニウム合金であることが好ましい。
アルミニウム合金には、通常、合金成分としてマグネシウムが含まれており、アルミニウム合金の表面にアルミニウムとマグネシウムの複合酸化物である酸化皮膜を形成すると、表面にマグネシウム酸化皮膜が濃化した状態で存在することとなる。よって、この状態では、本発明の表面処理液による表面処理を経ようとも、マグネシウム酸化皮膜層が厚すぎることから、表面処理皮膜に多くのマグネシウムが含まれることとなり、このように形成した表面処理皮膜では、皮膜自体の強度が得られず、初期の接着性が低下するおそれがある。
また、水分、酸素及び塩化物イオンなどが浸透してくるような環境においては、接着樹脂層との界面の水和や基材の腐食の原因となり、表面処理後のアルミニウム合金材の接着耐久性を低下させる。具体的には、酸化皮膜中のMg含有量が30原子%以上になると、表面処理後のアルミニウム合金材の初期の接着性や接着耐久性が低下する傾向がある。したがって、アルミニウム合金の酸化皮膜中のMg含有量は30原子%未満であることが好ましい。これにより、初期の接着性や接着耐久性を向上することができる。アルミニウム合金の酸化皮膜中のMg含有量は、初期の接着性や接着耐久性の向上の観点から、25原子%未満がより好ましく、20原子%未満がさらに好ましく、10原子%未満が特に好ましい。一方、アルミニウム合金の酸化皮膜中のMg含有量の下限値は、経済性の観点から0.1原子%以上とすることが好ましい。
また、酸化皮膜の表面に過剰なCuが存在すると、本発明の表面処理液による表面処理により形成される表面処理皮膜にCuが過剰に含まれることとなり、接着耐久性が低下する原因となる。そこで、アルミニウム合金の酸化皮膜中のCu含有量は、0.6原子%未満に規制されていることが好ましく、0.5原子%未満に規制されていることがより好ましい。
なお、アルミニウム合金の酸化皮膜中のMg含有量やCu含有量は、酸洗やアルカリ洗浄等のエッチング処理における各種条件(処理時間、処理温度、及び、薬液の濃度及びpH等)を適宜制御することによって調整ないし規制することができる。なお、アルミニウム合金の酸化皮膜中のMg含有量やCu含有量は、高周波グロー放電発光分光分析法(GD−OES)により測定することができる。
上述したような金属材料を本実施形態の表面処理液で処理することにより、表面に表面処理皮膜が形成された金属材を得ることができる。例えば、アルミニウム合金に本発明の表面処理液を適用することで、酸化皮膜がAlとOを主として含み、かつSiを含む(Al−O−Si結合を含む)皮膜に改質され、その上に、SiとO(シロキサン結合)を主として含み、かつAlを含む(Al−O−Si結合を含む)皮膜が形成されて、最表面側から基材側に向けてSi濃度が低下し、また、Al濃度が増加する構造を有する皮膜が形成される。
本実施形態の表面処理液で処理されたアルミニウム材においては、表面処理皮膜の最表面におけるO、C、N以外の成分の合計量を100原子%とした場合のSi量は20原子%以上100原子%以下、Al量は0原子%以上80原子%以下にすることで、接着耐久性が確保されるため好ましい。
さらに、表面処理皮膜はアルミニウム合金の合金成分であるMgやCuも含むことができるが、これらの元素は接着耐久性の観点から少ないことが望ましく、本表面処理やその前処理等で制御することで、皮膜中含まれるMgを10原子%以下、Cuを0.5原子%以下に制御することが好ましい。また、接着前の保存性の観点からは、Na量は3原子%以下であることが望ましい。
また、表面処理皮膜には、上述した有機シラン化合物以外に有機高分子化合物が含有される場合があるが、接着強度や耐久性の観点からその含有量は少ないことが好ましく、具体的には20質量%以下、更には10質量%以下とすることが好ましい。
表面処理皮膜の最表面や、内部における各成分の含有量は、高周波グロー放電発光分光分析法(GD−OES)により測定することができる。
さらに、表面処理皮膜はアルミニウム合金の合金成分であるMgやCuも含むことができるが、これらの元素は接着耐久性の観点から少ないことが望ましく、本表面処理やその前処理等で制御することで、皮膜中含まれるMgを10原子%以下、Cuを0.5原子%以下に制御することが好ましい。また、接着前の保存性の観点からは、Na量は3原子%以下であることが望ましい。
また、表面処理皮膜には、上述した有機シラン化合物以外に有機高分子化合物が含有される場合があるが、接着強度や耐久性の観点からその含有量は少ないことが好ましく、具体的には20質量%以下、更には10質量%以下とすることが好ましい。
表面処理皮膜の最表面や、内部における各成分の含有量は、高周波グロー放電発光分光分析法(GD−OES)により測定することができる。
(金属表面の処理方法)
つづいて、本発明の表面処理液を用いた金属表面の処理方法について説明する。
本発明の表面処理液を用いた金属表面の処理方法は、前記表面処理液を、乾燥後の表面処理皮膜量が好ましくは0.5mg/m2以上50mg/m2以下となるように、金属の表面に塗布することを含むものである。なお、表面処理液を金属に塗布するにあたっては、金属表面の一部のみに塗布してもよく、全部に塗布してもよい。
つづいて、本発明の表面処理液を用いた金属表面の処理方法について説明する。
本発明の表面処理液を用いた金属表面の処理方法は、前記表面処理液を、乾燥後の表面処理皮膜量が好ましくは0.5mg/m2以上50mg/m2以下となるように、金属の表面に塗布することを含むものである。なお、表面処理液を金属に塗布するにあたっては、金属表面の一部のみに塗布してもよく、全部に塗布してもよい。
表面処理液の塗布方法としては、浸漬処理、スプレー、ロールコート、バーコート、静電塗布等が挙げられる。また、表面処理後にはリンスはしてもよく、しなくてもよいが、皮膜の安定性や緻密さを向上させる効果から、塗布後、リンスしない方が望ましい。なお、リンスに用いられる洗浄液としては、例えば、水、アルコール等が挙げられる。
上記表面処理液の塗布後には、必要に応じて、加熱により表面処理液を乾燥させる。加熱温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上である。また、加熱温度が高すぎると、金属の特性に影響を及ぼすため、当該加熱温度は、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、更に好ましくは180℃以下である。また、乾燥時間は、加熱温度にもよるが、好ましくは2秒以上であり、より好ましくは5秒以上であり、さらに好ましくは10秒以上である。また、当該乾燥時間は、好ましくは20分以下、より好ましくは5分以下、さらに好ましくは2分以下である。
表面処理液の塗布量は、十分な接着耐久性の向上効果を得る観点から、乾燥後の皮膜量が0.5mg/m2以上50mg/m2以下となるように調整することが好ましい。また、より好ましくは、乾燥後の皮膜量が1mg/m2以上40mg/m2以下となるように、さらに好ましくは5mg/m2以上30mg/m2以下となるように調整する。表面処理液の塗布量が少なすぎると、皮膜が形成されず、良好な接着耐久性を得られない場合がある。また、表面処理液の塗布量が多くなりすぎると、形成される表面処理皮膜が厚くなりすぎて表面処理皮膜内で剥離がおこり、接着耐久性が損なわれる場合がある。また、例えば自動車の組み立て工程後の塗装のための脱脂エッチング工程で表面処理皮膜が除去されず、塗装密着性に悪影響を与える場合がある。
なお、本発明の表面処理液による処理を行うにあたっては、処理の均一性を確保するとの観点から、処理対象となる金属に対して前処理としてのエッチング処理を行うことが好ましい。
エッチング処理においては、金属の表面の一部又は全部に対して、酸性溶液による処理(酸洗)及びアルカリ溶液による処理(アルカリ洗浄、アルカリ脱脂)のうちの少なくとも1つを行う。酸洗の際に用いる薬液(酸洗剤)は、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸、硝酸及びフッ酸から選ばれる群からなる1種以上を含む溶液を用いることができる。また、酸洗剤には、脱脂性を高めるために界面活性剤を含有させてもよい。また、酸洗の条件は、金属材料の組成や酸化皮膜の厚み等を考慮して適宜設定することができ、特に限定されないが、たとえば、pHが2以下、処理温度10〜80℃、処理時間1〜120秒の条件を適用することができる。
また、アルカリ洗浄(アルカリ脱脂)の際に用いる薬液も、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選ばれる群からなる1種以上を含む溶液を用いることができる。また、アルカリ溶液による処理の条件は、金属材料の組成や酸化皮膜の厚み等を考慮して適宜設定することができ、特に限定されないが、例えば、pHが10以上、処理温度10〜80℃、処理時間1〜120秒の条件を適用することができる。
また、各薬液での洗浄後にはリンスを行うことが好ましい。リンスの方法は特に限定されないが、例えば、スプレー、浸漬等が挙げられる。また、リンスに用いられる洗浄液としては、例えば、工業水、純水、イオン交換水等が挙げられる。
(表面処理金属材の接合体)
本発明の表面処理液により表面処理された金属材(以下、表面処理金属材ともいう)は、塩害環境に曝されても、接着強度が低下し難く、接着耐久性に優れたものである。ここで、当該表面処理金属材は、接着樹脂を介して他の部材と接合され、接合体を形成してもよい。なお、他の部材には、他の表面処理金属材、表面処理されていない他の金属材、樹脂成形体等が包含される。
本発明の表面処理液により表面処理された金属材(以下、表面処理金属材ともいう)は、塩害環境に曝されても、接着強度が低下し難く、接着耐久性に優れたものである。ここで、当該表面処理金属材は、接着樹脂を介して他の部材と接合され、接合体を形成してもよい。なお、他の部材には、他の表面処理金属材、表面処理されていない他の金属材、樹脂成形体等が包含される。
接着樹脂は、特に限定されるものではなく、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ニトリル系樹脂、ナイロン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリエチレン(PE)系樹脂、ゴム系樹脂など、従来からアルミニウム合金材を接合する際に用いられてきた接着樹脂を用いることができる。接着樹脂の性状は特に限定されないが、1液系、2液系、フィルム状のものが使用される。また、接着樹脂の厚さは、特に限定されるものではないが、接着強度向上の観点から、10〜500μmが好ましく、より好ましくは50〜400μmである。
また、表面処理されていない他の金属材には、表面処理される金属材と同様のものを使用することができる。
また、樹脂成形体としては、例えば、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ボロン繊維強化プラスチック(BFRP)、アラミド繊維強化プラスチック(AFRP,KFRP)、ポリエチレン繊維強化プラスチック(DFRP)及びザイロン強化プラスチック(ZFRP)などの各種繊維強化プラスチックにより形成した繊維強化プラスチック成形体を用いることができる。これらの繊維強化プラスチック成形体を用いることにより、一定の強度を維持しつつ、接合体を軽量化することが可能となる。
なお、樹脂成形体は、前述した繊維強化プラスチック以外に、ポリプロピレン(PP)、アクリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン6、ナイロン6,6、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフタルアミド(PPA)などの繊維強化されていないエンジニアリングプラスチックを使用することもできる。
[接合体の製造方法]
前述した接合体の製造方法、特に接合方法は、従来公知の接合方法を用いることができる。そして、接着樹脂を表面処理金属材に形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、予め接着樹脂によって作製した接着シートを用いてもよいし、接着樹脂を表面処理皮膜の表面に噴霧または塗布することによって形成してもよい。
前述した接合体の製造方法、特に接合方法は、従来公知の接合方法を用いることができる。そして、接着樹脂を表面処理金属材に形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、予め接着樹脂によって作製した接着シートを用いてもよいし、接着樹脂を表面処理皮膜の表面に噴霧または塗布することによって形成してもよい。
また、図示しないが、本実施形態の接合体に、両面に表面処理皮膜が形成された表面処理金属材を用いた場合、接着樹脂又は接着樹脂層を介して、これらの表面処理金属材又は皮膜が形成されていない他の合金材又は樹脂成形体を、さらに接合することが可能となる。
そして、製造された表面処理金属材は、接合体の作製前又は自動車用部材への加工前に、その表面にプレス油等の機械油が塗布される場合がある。プレス油は、エステル成分を含有するものが主に使用される。表面処理金属材にプレス油を塗布する方法や条件は、特に限定されるものではなく、通常のプレス油を塗布する方法や条件が広く適用でき、例えば、エステル成分としてオレイン酸エチルを含有するプレス油に、表面処理金属材材を浸漬すればよい。なお、エステル成分もオレイン酸エチルに限定されるものではなく、ステアリン酸ブチルやソルビタンモノステアレートなど、様々なものを利用することができる。
なお、接合体も、表面処理金属材と同様に、自動車用部材への加工前に、その表面にプレス油を塗布してもよい。
なお、接合体も、表面処理金属材と同様に、自動車用部材への加工前に、その表面にプレス油を塗布してもよい。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果についてより具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
(実施例1)
JIS6016(Mg:0.54質量%、Si:1.11質量%、Cu:0.14質量%)の6000系アルミニウム合金を用いて、板厚1mmのアルミニウム合金冷延板を作製した。そして、この冷延板を実体到達温度550℃まで加熱処理し、冷却した。その後、長さ100mm、幅25mmに切断して基材とした。
続いて、基材を、水酸化カリウムを含むpH13の水溶液で70℃にて10秒アルカリ脱脂し、さらに、温度60℃、処理時間10秒として硫酸及びフッ酸を含むpH1の溶液で酸洗した後、水洗し、乾燥させた。
一方、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)を、エタノール、酢酸、水と混合し、攪拌した。さらに、得られた溶液を水で希釈し、TEOS水溶液を調整した。また、1,2−ビストリエトキシシリルエタン(BTSE)を、エタノール、酢酸、水と混合し、攪拌した。さらに、得られた溶液を水で希釈し、BTSE水溶液を調整した。調製したTEOS水溶液と、BTSE水溶液と、水とを、TEOS、BTSE、エタノール及び酢酸の濃度が表1の実施例1の欄に示す通りになる割合で混合し、表面処理液を得た。
その後、表面処理液をバーコーターで基材の表面に均一に塗布し、100℃で1分間加熱乾燥させて、表面処理金属材を作製した。
次に、プレス油をトルエンで希釈し濃度を調整した後、乾燥後の塗布量が1g/m2の割合となるように表面処理金属材に塗布し、乾燥させることで実施例1の表面処理金属材を得た。
JIS6016(Mg:0.54質量%、Si:1.11質量%、Cu:0.14質量%)の6000系アルミニウム合金を用いて、板厚1mmのアルミニウム合金冷延板を作製した。そして、この冷延板を実体到達温度550℃まで加熱処理し、冷却した。その後、長さ100mm、幅25mmに切断して基材とした。
続いて、基材を、水酸化カリウムを含むpH13の水溶液で70℃にて10秒アルカリ脱脂し、さらに、温度60℃、処理時間10秒として硫酸及びフッ酸を含むpH1の溶液で酸洗した後、水洗し、乾燥させた。
一方、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)を、エタノール、酢酸、水と混合し、攪拌した。さらに、得られた溶液を水で希釈し、TEOS水溶液を調整した。また、1,2−ビストリエトキシシリルエタン(BTSE)を、エタノール、酢酸、水と混合し、攪拌した。さらに、得られた溶液を水で希釈し、BTSE水溶液を調整した。調製したTEOS水溶液と、BTSE水溶液と、水とを、TEOS、BTSE、エタノール及び酢酸の濃度が表1の実施例1の欄に示す通りになる割合で混合し、表面処理液を得た。
その後、表面処理液をバーコーターで基材の表面に均一に塗布し、100℃で1分間加熱乾燥させて、表面処理金属材を作製した。
次に、プレス油をトルエンで希釈し濃度を調整した後、乾燥後の塗布量が1g/m2の割合となるように表面処理金属材に塗布し、乾燥させることで実施例1の表面処理金属材を得た。
(実施例2)
エタノールにかえて2−プロパノールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の表面処理金属材を得た。なお、用いた表面処理液の各成分の濃度は、表1の実施例2の欄に示す通りであった。
エタノールにかえて2−プロパノールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の表面処理金属材を得た。なお、用いた表面処理液の各成分の濃度は、表1の実施例2の欄に示す通りであった。
(実施例3〜9)
表面処理液の成分量を適宜変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3〜9の表面処理金属材を得た。なお、用いた表面処理液の各成分の濃度は、表1の実施例3〜9の欄に示す通りであった。
表面処理液の成分量を適宜変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3〜9の表面処理金属材を得た。なお、用いた表面処理液の各成分の濃度は、表1の実施例3〜9の欄に示す通りであった。
(比較例1)
表面処理液として、各成分を表1に示す量含有するTEOS溶液を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の表面処理金属材を得た。なお、用いた表面処理液の各成分の濃度は、表1の比較例1の欄に示す通りであった。
表面処理液として、各成分を表1に示す量含有するTEOS溶液を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の表面処理金属材を得た。なお、用いた表面処理液の各成分の濃度は、表1の比較例1の欄に示す通りであった。
(比較例2)
表面処理液として、各成分を表1に示す量含有するBTSE溶液を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の表面処理金属材を得た。なお、用いた表面処理液の各成分の濃度は、表1の比較例2の欄に示す通りであった。
表面処理液として、各成分を表1に示す量含有するBTSE溶液を使用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の表面処理金属材を得た。なお、用いた表面処理液の各成分の濃度は、表1の比較例2の欄に示す通りであった。
(比較例3〜6)
表面処理液の成分量を適宜変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3〜6の表面処理金属材を得た。なお、用いた表面処理液の各成分の濃度は、表1の比較例3〜6の欄に示す通りであった。
表面処理液の成分量を適宜変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3〜6の表面処理金属材を得た。なお、用いた表面処理液の各成分の濃度は、表1の比較例3〜6の欄に示す通りであった。
<皮膜量の測定>
形成された皮膜の皮膜量は、蛍光X線によって測定した。具体的には、蛍光X線によって皮膜のケイ素量を測定し、校正曲線を用いて、蛍光X線の強度と皮膜量の換算を行うことにより算出した。結果を表1に示す。
形成された皮膜の皮膜量は、蛍光X線によって測定した。具体的には、蛍光X線によって皮膜のケイ素量を測定し、校正曲線を用いて、蛍光X線の強度と皮膜量の換算を行うことにより算出した。結果を表1に示す。
<皮膜ムラの評価>
得られた表面処理金属材の皮膜ムラを、板の鉛直方向より光を照射し、鉛直方向に対して45度の角度より目視にて表面を観察することにより評価した。具体的には、皮膜の色や濃淡に差が見られた場合に皮膜ムラありと評価した。結果を表1に示す。
なお、皮膜にムラありと評価されたものに対しては、後述の凝集破壊率の評価は行わなかった。
得られた表面処理金属材の皮膜ムラを、板の鉛直方向より光を照射し、鉛直方向に対して45度の角度より目視にて表面を観察することにより評価した。具体的には、皮膜の色や濃淡に差が見られた場合に皮膜ムラありと評価した。結果を表1に示す。
なお、皮膜にムラありと評価されたものに対しては、後述の凝集破壊率の評価は行わなかった。
<凝集破壊率(接着耐久性)>
図1A及び図1Bは凝集破壊率の測定方法を模式的に示す図であり、図1Aは側面図であり、図1Bは平面図である。
まず、表面処理金属材の経時劣化を模擬するために、各実施例、比較例の表面処理金属材を40℃、相対湿度90%の環境下に24時間保持した。その後、図1A及び図1Bに示すように、構成が同じ2枚の供試材31a,31b(25mm幅)の端部を、熱硬化型エポキシ樹脂系接着樹脂によりラップ長10mm(接着面積:25mm×10mm)となるように重ね合わせ貼り付けた。
ここで用いた接着樹脂35は熱硬化型エポキシ系接着樹脂(ビスフェノールA型、ウレタン変性)である。また、接着樹脂35の厚さが250μmとなるように微量のガラスビーズ(粒径250μm)を接着樹脂35に添加して調節した。
重ね合わせてから30分間、室温で乾燥させて、その後、170℃で20分間加熱し、熱硬化処理を実施した。その後、室温で24時間静置して接着試験体を作製した。
図1A及び図1Bは凝集破壊率の測定方法を模式的に示す図であり、図1Aは側面図であり、図1Bは平面図である。
まず、表面処理金属材の経時劣化を模擬するために、各実施例、比較例の表面処理金属材を40℃、相対湿度90%の環境下に24時間保持した。その後、図1A及び図1Bに示すように、構成が同じ2枚の供試材31a,31b(25mm幅)の端部を、熱硬化型エポキシ樹脂系接着樹脂によりラップ長10mm(接着面積:25mm×10mm)となるように重ね合わせ貼り付けた。
ここで用いた接着樹脂35は熱硬化型エポキシ系接着樹脂(ビスフェノールA型、ウレタン変性)である。また、接着樹脂35の厚さが250μmとなるように微量のガラスビーズ(粒径250μm)を接着樹脂35に添加して調節した。
重ね合わせてから30分間、室温で乾燥させて、その後、170℃で20分間加熱し、熱硬化処理を実施した。その後、室温で24時間静置して接着試験体を作製した。
作製した接着試験体を、40℃、濃度5質量%の塩水中に14日間保持後、引張試験機にて50mm/分の速度で引張り、接着部分の接着樹脂の凝集破壊率を評価した。凝集破壊率は下記数式1に基づいて算出した。なお、下記数式1においては、接着試験体の引張後の片側を試験片a、もう片方を試験片bとした。
各試験条件とも3本ずつ作製し、凝集破壊率は3本の平均値とした。また、評価基準は、凝集破壊率が60%未満を不良(×)、60%以上70%未満をやや良好(△)、70%以上90%未満を良好(○)、90%以上を優れている(◎)とした。その結果を表1に示す。なお、表1の凝集破壊率の欄に(−)と記載されているものは皮膜にムラありと評価されたため、凝集破壊率の評価を行わなかったものである。
表1に示されるように、本発明に規定される要件を満足する実施例1〜9の表面処理金属材は、表面処理皮膜にムラがなく、さらに表面処理皮膜形成後に高湿環境下に12時間保持され、さらに接着後に塩水中に14日間保持されたにもかかわらず、凝集破壊率の評価がやや良好(△)、良好(○)ないし優れている(◎)であった。
以上の結果より、本発明に規定される要件を満足する表面処理金属材は、ムラのない均一な皮膜が形成されており、また、接着耐久性に優れた。
以上の結果より、本発明に規定される要件を満足する表面処理金属材は、ムラのない均一な皮膜が形成されており、また、接着耐久性に優れた。
一方、比較例1の表面処理金属材は、表面処理液中のBTSE濃度が本発明の規定の範囲より低く、その結果、凝集破壊率が不良(×)であり、接着耐久性に劣っていた。
また、比較例2の表面処理金属材は、表面処理液中のTEOS濃度が本発明の規定の範囲より低く、表面処理液中のBTSE濃度が本発明の規定の範囲より高く、その結果、凝集破壊率が不良(×)であり、接着耐久性に劣っていた。
また、比較例3の表面処理金属材は、表面処理液中のエタノール濃度が本発明の規定の範囲より低く、その結果、表面処理皮膜にムラが発生した。
また、比較例4の表面処理金属材は、表面処理液中のカルボン酸濃度が本発明の規定の範囲より低く、その結果、表面処理皮膜にムラが発生した。
また、比較例5の表面処理金属材は、表面処理液中のBTSE濃度及びTEOS濃度のいずれもが本発明の規定の範囲より低く、その結果、凝集破壊率が不良(×)であり、接着耐久性に劣っていた。
また、比較例6の表面処理金属材は、表面処理液中のBTSE濃度及びTEOS濃度のいずれもが本発明の規定の範囲より高く、その結果、表面処理皮膜にムラが発生した。
また、比較例2の表面処理金属材は、表面処理液中のTEOS濃度が本発明の規定の範囲より低く、表面処理液中のBTSE濃度が本発明の規定の範囲より高く、その結果、凝集破壊率が不良(×)であり、接着耐久性に劣っていた。
また、比較例3の表面処理金属材は、表面処理液中のエタノール濃度が本発明の規定の範囲より低く、その結果、表面処理皮膜にムラが発生した。
また、比較例4の表面処理金属材は、表面処理液中のカルボン酸濃度が本発明の規定の範囲より低く、その結果、表面処理皮膜にムラが発生した。
また、比較例5の表面処理金属材は、表面処理液中のBTSE濃度及びTEOS濃度のいずれもが本発明の規定の範囲より低く、その結果、凝集破壊率が不良(×)であり、接着耐久性に劣っていた。
また、比較例6の表面処理金属材は、表面処理液中のBTSE濃度及びTEOS濃度のいずれもが本発明の規定の範囲より高く、その結果、表面処理皮膜にムラが発生した。
31a、31b 供試材
35 接着樹脂
35 接着樹脂
Claims (10)
- 0.01質量%以上3質量%未満のアルキルシリケート、そのオリゴマー、それらの加水分解物又はその重合体と、
0.01質量%以上3質量%未満の分子内に加水分解可能なアルコキシシリル基を有する有機シラン化合物、その加水分解物又はその重合体と、
3質量%以上50質量%以下の炭素数1〜4のアルコールと、
0.0001質量%以上0.1質量%以下の炭素数1〜6のカルボン酸とを含有し、
pHが2以上7以下である金属表面処理用水溶液。 - 前記アルキルシリケートがテトラアルキルシリケートを含む請求項1に記載の金属表面処理用水溶液。
- 前記有機シラン化合物がビスシラン化合物を含む請求項1または2に記載の金属表面処理用水溶液。
- 前記有機シラン化合物が有機樹脂成分と化学結合しうる反応性官能基を有するシランカップリング剤を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属表面処理用水溶液。
- 前記アルキルシリケートがテトラエチルオルソシリケートを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属表面処理用水溶液。
- 前記有機シラン化合物が1,2−ビストリエトキシシリルエタンを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属表面処理用水溶液。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属表面処理用水溶液を用いた金属表面の処理方法において、前記金属表面処理用水溶液を、乾燥後の表面処理皮膜量が0.5mg/m2以上50mg/m2以下となるように金属の表面に塗布することを含む、金属表面の処理方法。
- 前記金属がアルミニウム合金である、請求項7に記載の金属表面の処理方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属表面処理用水溶液で処理された金属材同士を、接着樹脂を介して接合させた接合体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属表面処理用水溶液で処理された金属材と樹脂成形体を、接着樹脂を介して接合させた接合体。
Priority Applications (1)
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