JP2019085470A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびそれを含む成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、PPS樹脂、フッ素樹脂、炭素繊維、黒鉛および金属硫化物を特定量含有することにより、機械的特性、摺動特性、PV値に優れるPPS樹脂組成物、および成形品を提供する。【解決手段】ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、炭素繊維を6〜60重量部、フッ素樹脂を6〜60重量部、黒鉛を6〜40重量部含有する樹脂組成物であって、金属硫化物をポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に対して1〜20重量%含有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。【選択図】図1

Description

本発明はポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびそれを含む成形品に関するものである。より詳しくは、高い摺動性と高い限界PV値を有し、かつ剛性に優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびそれを含む成形品に関する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、「PPS樹脂」ということもある)は高耐熱性のスーパーエンジニアリングプラスチックに属し、機械的強度、剛性、難燃性、耐薬品性、電気特性および寸法安定性などを有していることから、射出成形用を中心として、各種電気・電子部品、家電部品、自動車部品および機械部品などの用途に幅広く使用されている。
PPS樹脂は優れた耐薬品性、寸法安定性を有することから、樹脂部品同士や金属部品と樹脂部品の摺動部に使用されることも多い。しかしながら、摺動特性の一つである摩擦係数が、PPS樹脂の分子構造起因で大きくなってしまう問題がある。摩擦係数が大きいことにより、相手材との摺動面での負荷が大きくなり、金属部品あるいはポリフェニレンスルフィド樹脂部品の磨耗が進行し、摺動性の悪化あるいは摺動しなくなる恐れがある。
そこで、PPS樹脂組成物に、PTFE樹脂に代表されるフッ素樹脂や黒鉛などの摺動助剤を添加し、摺動性を改善することが行われている。
例えば、特許文献1では、合成樹脂、炭素繊維および固体潤滑材を添加してなる潤滑性樹脂組成物が記載されている。そして、固体潤滑剤が、ポリテトラフルオロエチレン、二硫化モリブデンおよび黒鉛からなる群から選ばれる1種以上であることが記載されている。
また、例えば特許文献2では、カーボンファイバ、フルオロカーボン、PPS樹脂を含有する湿式ラジアル軸受用摺動部材が開示されている。実施例には、さらに黒鉛を含有した例が記載されている。
さらに、特許文献3では、PPS樹脂、摺動性特性向上成分、耐摩耗性向上成分を添加したフローティングカム材料が開示されている。そして、摺動性特性向上成分としてPTFE等のフッ素成分、耐摩耗性向上成分として黒鉛、炭素繊維等が記載されている。
特開平7−268126 特開平10−204282 特開2001−140917
家電や自動車などの様々な機器に、ギアやスイッチに代表されるような摺動性部品が用いられており、摺動性部品の摺動特性を向上させることは家電や自動車の燃費向上にもつながるため、特に重要視されている。加えて、近年、自動車のエンジンや家電部品の小型化の要求が高まり、摺動性部品の摺動特性の要求スペックはますます高度化し、摩擦係数が小さく、高い負荷にも耐えうる材料が求められている。より具体的には、動静摩擦係数がいずれも小さく、動静摩擦係数の差が小さい特性、および、限界PV値(摺動表面が摩擦発熱によって変形又は溶融する限界値)が高い特性が求められている。加えて、PPS樹脂の特徴である機械的特性の維持も求められている。
しかしながら、特許文献1では、動摩擦係数については評価しているものの、十分ではなく、静摩擦係数やPV値については評価すらされていない。また、特許文献2では、起動時の摩擦係数(言い換えると、静摩擦係数)については評価しているものの十分ではなく、動摩擦係数やPV値については評価すらされていない。また、特許文献3では、摺動特性評価として、動静摩擦係数やPV値については評価すらされていない。したがって、特許文献1〜3に記載された技術では依然として摺動特性が十分なものではない、という課題がある。 そこで、本発明においては、上記事情に鑑み、機械的特性、摺動特性、限界PV値に優れるPPS樹脂組成物、および成形品を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、PPS樹脂、フッ素樹脂、炭素繊維、黒鉛および金属硫化物を特定量含有するPPS樹脂組成物が、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記を提供するものである。
(1)ポリフェニレンスルフィド樹脂、炭素繊維、フッ素樹脂、黒鉛および金属硫化物を含むポリフェニレンスルフィド樹脂組成物であって、
ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、炭素繊維を6〜60重量部、フッ素樹脂を6〜60重量部、黒鉛を6〜40重量部含有し、
ポリフェニレンスルフィド樹脂、炭素繊維、フッ素樹脂、黒鉛および金属硫化物の合計に対して、金属硫化物を1〜20重量%含有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(2)JIS K−7218法で測定した静止摩擦係数と動摩擦係数の差が0.05以下、かつ限界PV値が1000kg/cm・m/min.以である、(1)に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を含む成形品。
(3)金属部品との摺動面を有する部品に使用される(2)に記載の成形品。
本発明によれば、PPS樹脂、フッ素樹脂、炭素繊維、黒鉛および金属硫化物を特定量含有することにより、機械的特性、摺動特性、PV値に優れるPPS樹脂組成物、および成形品を提供することができる。
実施例において、摩擦係数および限界PV値の評価に用いたスラスト試験機の概略図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ということもある)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。
<ポリフェニレンスルフィド樹脂>
本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)の代表例としては、ポリアリーレンスルフィド、ポリアリーレンスルフィドスルホン、ポリアリーレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられ、中でもポリアリーレンスルフィドが特に好ましく使用される。かかるポリアリーレンスルフィドは、下記構造式で示される繰り返し単位を好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む重合体であり、上記繰り返し単位が70モル%以上の場合には、耐熱性が優れる点で好ましい。
Figure 2019085470
また、かかるポリアリーレンスルフィド樹脂は、その繰り返し単位の30モル%以下を、下記の構造式を有する繰り返し単位などで構成することが可能であり、ランダム共重合体、ブロック共重合体であってもよく、それらの混合物であってもよい。
Figure 2019085470
かかるポリアリーレンスルフィド樹脂は、通常公知の方法、つまり特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造することができる。
本発明で用いるポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法においては、重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。本発明で用いるポリアリーレンスルフィド樹脂は、公知の如何なる回収方法を採用しても良い。
例えば、重合反応終了後、徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法を用いても良い。この際の徐冷速度には特に制限は無いが、通常0.1℃/分〜3℃/分程度である。徐冷工程の全行程において同一速度で徐冷する必要もなく、ポリマー粒子が結晶化析出するまでは0.1〜1℃/分、その後1℃/分以上の速度で徐冷する方法などを採用しても良い
また上記の回収を急冷条件下に行うことも好ましい方法の一つであり、この回収方法の好ましい一つの方法としてはフラッシュ法が挙げられる。フラッシュ法とは、重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉末状にして回収する方法であり、ここでいうフラッシュとは、重合反応物をノズルから噴出させることを意味する。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には例えば常圧中の窒素または水蒸気が挙げられ、その温度は通常150℃〜250℃の範囲が選択される。
本発明においては、上記のようにして得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で使用することも、もちろん可能である。しかしながら、空気中加熱による架橋/高分子量化はポリアリーレンスルフィド樹脂の酸化着色を招くため、白色性の目標を達成するために、加熱による架橋/高分子量化を行わない実質的に直鎖状のPPSであることが好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を有機溶媒で洗浄する場合に、洗浄に用いる有機溶媒としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく使用することができる。例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが使用される。これらの有機溶媒のなかでも、特にN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどが好ましく使用される。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
かかる有機溶媒による洗浄の具体的方法としては、有機溶媒中にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でポリアリーレンスルフィド樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分な効果が得られる。なお、有機溶媒洗浄を施されたポリアリーレンスルフィド樹脂は、残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を熱水で処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、熱水洗浄によるポリアリーレンスルフィド樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のポリアリーレンスルフィド樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。ポリアリーレンスルフィド樹脂と水との割合は、水の多い方がよく、好ましくは水1リットルに対し、ポリアリーレンスルフィド樹脂200g以下の浴比で使用される。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を酸処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、酸または酸の水溶液にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、および硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などが用いられる。これらの酸のなかでも、特に酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたポリアリーレンスルフィド樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが好ましい。また、洗浄に用いる水は、酸処理によるポリアリーレンスルフィド樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。
本発明で用いられるポリアリーレンスルフィド樹脂の溶融粘度に特に制限はないが、より優れた流動性を得る意味からその溶融粘度は低い方が好ましい。例えば1Pa・s以上(ダイス長10mm、ダイス孔直径1mm、310℃、剪断速度1216/s)が好ましく、より好ましくは2Pa・s以上である。上限は25Pa・s以下が好ましく、より好ましくは20Pa・s以下である。
なお、ポリアリーレンスルフィド樹脂の溶融粘度は東洋精機(株)社製キャピログラフを用い、ダイス長10mm、ダイス孔直径1mm、310℃、剪断速度1216/sの条件により測定することができる。
また、流動性と機械特性を両立せしめる目的で、溶融粘度の異なる2種のポリアリーレンスルフィド樹脂を併用しても良い。例えば、低溶融粘度ポリアリーレンスルフィド樹脂として1Pa・s以上、より好ましくは2Pa・s以上、上限bは25Pa・s以下、より好ましくは20Pa・s以下(ダイス長10mm、ダイス孔直径1mm、310℃、剪断速度1216/s)のものと、高溶融粘度ポリアリーレンスルフィド樹脂として30Pa・s以上、より好ましくは40Pa・s以上、上限は90Pa・s以下、より好ましくは60Pa・s以下(ダイス長10mm、ダイス孔直径1mm、310℃、剪断速度1216/s)のものを併用するのが好ましい。低溶融粘度ポリアリーレンスルフィド樹脂/高溶融粘度ポリアリーレンスルフィド樹脂の併用比率(重量比)は30:70〜75:25であることが好ましく、より好ましくは、35:65〜70:30である。
<炭素繊維>
本実施形態における炭素繊維含有量は、PPS樹脂100重量部に対して6〜60重量部であり、好ましくは14〜50重量部である。PPS樹脂100重量部に対して炭素繊維含有量が6〜60重量部の範囲の場合、それを含む成形品が必要とする摺動性と剛性のバランスに優れたものになる。
炭素繊維が6重量部未満の場合、成形品の機械的強度に劣る。一方、60重量部を超えると、機械的強度は高いものになるが、動静摩擦係数およびその差が高くなり、また限界PV値は低くなる。
炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維を原料とするPAN系炭素繊維、石油タールや石油ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維、ビスコースレーヨンや酢酸セルロースなどを原料とするセルロース系炭素繊維、炭化水素などを原料とする気相成長系炭素繊維、これらの黒鉛化繊維などが挙げられる。これら炭素繊維のうち、強度と弾性率のバランスに優れる点で、PAN系炭素繊維が好ましく用いられる。
<フッ素樹脂、黒鉛、金属硫化物>
フッ素樹脂は、高分子固体の中で摩擦係数が小さい物質であり、摺動材の一種である。さらに、自身以外の物質との親和性が低いため、相手への吸着性に劣る。言い換えると、例えば本発明の実施形態におけるPPS樹脂組成物を成形してなる成形品(摺動部材という)を、相手材(例えば金属部品)と摺動させる際、摺動部材からフッ素樹脂が脱落する。そして、脱落したフッ素樹脂は、相手材との親和性に劣るため摺動面より排除され、摺動性が低下する恐れがある。
黒鉛も摺動材の一種ではあるが、層状構造を持ち層間結合は弱いため、摺動部材と相手材との間で摺動が繰り返されると、摺動部材から脱落する。一方で黒鉛は、相手材(例えば金属部品)とは優れた親和性を有するため、摺動部材から脱落しても摺動面に留まりやすい。
また、金属硫化物も摺動材の一種である。金属硫化物の中でも層状構造を持つ二硫化モリブデンや二硫化タングステンが好ましい。摺動部材と相手材との間で摺動が繰り返されると、金属硫化物は摺動部材から脱落するが、黒鉛同様、相手材(例えば金属部品)とは優れた親和性を有するため、摺動部材から脱落しても摺動面に留まりやすい。
本発明者らは、フッ素樹脂、黒鉛、金属硫化物を併用することにより、得られる成形品の摺動特性および限界PV値が優れることを見出した。その理由は定かではないが以下のように推測される。
摺動部材を、相手材(例えば金属部品)との間で摺動させると、摺動部材が磨耗し、摺動部材からフッ素樹脂、黒鉛および金属硫化物が脱落する。中でも黒鉛および金属硫化物は相手材表面(例えば金属表面)に留まりやすく、相手材表面に存在する凹凸部の、凹部に侵入する(言い換えると、相手材表面はでこぼこしており、そのへこみ部分に侵入する)。凹部(へこみ部)に進入した黒鉛および金属硫化物は、摺動が進むにつれて摺動面に露出される。これは、摺動が進むにつれて、凸部(突起部)が摺り減り、凹部(へこみ部)が摺動面に露出されるためである。摺動が進めば、本来であれば相手部材表面と摺動部材とが直接接触するところ、凹部(へこみ部)に侵入した黒鉛および金属硫化物が露出されて摺動部材と接するため、相手部材表面と摺動部材との直接接触を防ぐことができ、あるいは、直接接触する頻度を低減することができる。そのため、相手部材表面に傷が発生することが抑制される。
加えて、長時間摺動を繰り返すと、摺動部材表面および相手材表面が磨耗する。しかし、本実施形態における摺動部材にはフッ素樹脂、黒鉛および金属硫化物が含まれているため、摺動部材の摺動面に繰り返しそれらが現れることで動摩擦係数の上昇を防ぐことができる。また、相手材表面にも、摺動部材から脱落した黒鉛および金属硫化物が継続的に留まるため、たとえ長時間摺動をしても高い主導性を維持することができる。特に金属硫化物は摺動初期の摺動性に、黒鉛は摺動後期の摺動性に寄与すると推測される。
さらに本実施形態におけるPPS樹脂組成物を成形してなる成形品は、高い限界PV値をもっており、高圧および高速に対応し得る材料である。特に本実施形態においては、炭素繊維に、フッ素樹脂、黒鉛および金属硫化物を併用することにより、摩擦で発生した摩擦熱を摺動面より逃がす放熱性の特性を付与できるため、高い限界PV値効果を奏する。
このように、本実施形態においては、PPS樹脂、炭素繊維に、フッ素樹脂、黒鉛および金属硫化物を併用することにより、摺動特性および限界PV値に優れるという効果を奏するものである。
静止摩擦係数と動摩擦係数の差が小さくなることは、言い換えると、摺動部材と相手材が摺動を開始し、動くときの抵抗力の差が小さくなることを意味する。作動と停止を繰り返す機構の製品において、この抵抗力が小さい場合、静止状態から動作状態にスムーズに移ることができる。一方、静止摩擦係数と動摩擦係数の差が大きい場合、静止状態から動作状態にエネルギーを放出する必要がある。これは熱や音などとして放出されるため、摺動部材や相手材にとって好ましくない。
以下にフッ素樹脂、黒鉛および金属硫化物それぞれについて詳細に述べる。
<フッ素樹脂>
本実施形態におけるフッ素樹脂含有量は、PPS樹脂100重量部に対して6〜60重量部であり、好ましくは14〜50重量部である。フッ素樹脂が6重量部未満の場合、動静摩擦係数およびその差が大きくなり、また限界PV値が小さくなる一方、60重量部を超えると、成形品の機械的強度に劣る。
上記フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、フッ化ビニリデン〔VdF〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、フッ化ビニル〔VF〕、へキサフルオロプロピレン〔HFP〕、へキサフルオロイソブテン〔HFIB〕、CH=CX(CF(式中、XはH又はF、XはH、F又はCl、nは1〜10の整数である。)で示される単量体、CF=CF−ORf(式中、Rfは、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヨウ素含有フッ素化ビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素単量体に基づく重合単位を有することが好ましい。フッ素樹脂は、上記含フッ素単量体の単独重合体であってもよいし、変性フッ素樹脂(本発明の効果を損なわない程度の共単量体を、前記含フッ素単量体と共重合してなるもの)であっても構わない。なお、本実施形態においては、含フッ素単量体の単独重合体であることが好ましい。
フッ素樹脂の融点は、得られる成形品外観の観点から140〜340℃であることが好ましく、160〜320℃であることがより好ましく、180〜300℃であることが更に好ましい。上記融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
フッ素樹脂は、372℃におけるメルトフローレート〔MFR〕が0.3〜300g/10分であることが好ましい。MFRが小さすぎると低摩擦性や非粘着性に劣るおそれがあり、MFRが大きすぎると耐摩耗性に劣るおそれがある。上記MFRは、ASTM D 1238に準拠し、温度372℃、荷重5kgで測定して得られる値である。
<黒鉛>
本実施形態における黒鉛含有量は、PPS樹脂100重量部に対して、6〜40重量部である。黒鉛が6重量部未満の場合、動静摩擦係数が大きく、その差も大きく、かつ限界PVも小さくなる。一方、40重量部を越えると、限界PV値は高くなるものの、機械的強度に劣る。
本実施形態における黒鉛としては、特に限定されず、種々の黒鉛を用いることができ、天然の黒鉛、人工的に作製された黒鉛のいずれを使用してもよい。天然黒鉛は、一般的に、その性状によって、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土壌黒鉛などが挙げられる。人造黒鉛としては、石油コークス、石油ピッチ或いは無定形炭素等を、高温で熱処理した黒鉛が挙げられる。また、これら天然黒鉛または人造黒鉛を強酸に浸漬し、さらに過酸化水素、塩酸等の酸化剤を添加して処理し、次いで水洗後、急速加熱して、原料黒鉛のC軸方向に膨張させた膨張黒鉛(または、膨張化黒鉛)等を用いることが出来る。これらは一種または任意の割合で二種以上を併用してもよい。
黒鉛は、炭素原子が規則正しく網目構造を形成して平面状に広がるAB面(六角網面平面)が多数積層し、AB面に垂直なC軸方向に厚みを有する結晶である。積層したAB面相互間のファンデルワールス力による結合力がAB面の面内方向の結合力に比べてはるかに小さいため、AB面間でせん断が起きやすい。そのため、この黒鉛は、AB面の広がりに対して積層の厚みが薄いため、全体としては薄板状を呈している。なお、鱗片状黒鉛粒子は、外力を受けた場合にAB面間のせん断が起こることにより、限界PV値が大きく向上すると考えられる。
<金属硫化物>
金属硫化物としては、例えば、二硫化モリブデン(MoS)、二硫化タングステン(WS)、硫化スズ(SnS)や硫化アンチモン(Sb)などが挙げられる。これら金属硫化物のうち、その結晶構造より、二硫化モリブデンや二硫化タングステンが好ましく用いられる。より好ましくは、入手性の観点より、二硫化モリブデンが用いられる。
本実施形態における、金属硫化物の添加量としては、PPS樹脂、炭素繊維、フッ素樹脂、黒鉛および金属硫化物の合計100重量%に対して、金属硫化物を1〜20重量%含有する。金属硫化物の含有量が1重量%未満の場合、動静摩擦係数およびその差が大きくなり、かつ限界PV値も小さくなる。一方、20重量%を越えると動静摩擦係数が大きくなる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、更に上記の成分の他に、その物性を損なわない範囲において、樹脂組成物の製造時(混合時)、成形時に用いられる通常の他の添加剤を配合することができる。
<PPS樹脂組成物の製造方法>
本実施形態のPPS樹脂組成物は、PPS樹脂、炭素繊維、フッ素樹脂、黒鉛および金属硫化物、必要に応じてその他添加剤を配合することにより製造できる。配合方法としては、公知の技術を用いることができる。
例えば、各原料を溶融混練する方法が挙げられる。各成分の配合順序は特に限定されない。2軸押出機を用いて溶融混練する場合を例に挙げると、例えば、メインフィーダーからPPS樹脂、フッ素樹脂、黒鉛および金属硫化物を供給し、炭素繊維を2軸押出機のサイドフィーダーから供給する方法が挙げられる。
<成形品の製造方法>
上記PPS樹脂組成物を成形することにより、本発明の成形品を得ることができる。成形方法は特に制限されず、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、異形押出法、トランスファー成形法、中空成形法、ガスアシスト中空成形法、ブロー成形法、押出ブロー成形、IMC(インモールドコ−ティング成形)成形法、回転成形法、多層成形法、2色成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形法、発泡成形法、加圧成形法など公知の方法を用いることができる。形状自由度、生産性の点で射出成形、射出圧縮成形が好ましい。
<成形品の用途>
本実施形態のPPS樹脂組成物を成形してなる成形品は、機械的特性、摺動特性および高いPV限界値を有するので、各種電気・電子部品、家電部品、自動車部品などに好適に用いることができる。中でも、本実施形態の成形品は、各種摺動部品として好適に用いることができる。
電気・電子部品、家電部品用摺動部材としては、以下に制限されないが、例えば、ギア、カム、ベアリングリテーナ、軸受け、プーリー、メカニカルシールの端面材、バルブの弁座、Vリング、ロッドパッキン、ピストンリング、ピストン、インペラー、ベーン及びローターに用いられる。上記のギアとしては、以下に制限されないが、例えば、平歯車、はすば歯車、やまば歯車、内歯車対、ラック− 小歯車、すぐばかさ歯車、まがりばかさ歯車、交差軸フェースギア、ねじ歯車、ウォームギア及びハイポイドギアが挙げられる。
自動車部品用摺動部材としては、以下に制限されないが、例えば、ギア、アクチュエーター、ベアリングリテーナ、軸受け、チェーンガイド、チェーンテンショナーのシュー、スイッチ、ピストン、パッキン、ローラー及びベルト等の摺動部品の素材として使用することができる。特に、ベアリングリテーナ、軸受け、プーリー、メカニカルシールの端面材、バルブの台座、ピストンリング、ピストン、インペラー、アクチュエーター、チェーンガイド、ローラー及びベルトといった金属部品との摺動面を有する部品に好適に使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の骨子は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
〔ポリフェニレンスルフィド樹脂の調製〕
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.91kg(69.80モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム1.89kg(23.10モル)、及びイオン交換水10.5kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14.78kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を200℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン10.45kg(71.07モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から270℃まで昇温した。270℃で100分反応した後、オートクレーブの底栓弁を開放し、窒素で加圧しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。 得られた固形物およびイオン交換水76リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した76リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。
得られたケークおよびイオン交換水90リットルを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、pHが7になるよう酢酸を添加した。オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。
内容物をガラスフィルターで吸引濾過した後、これに70℃のイオン交換水76リットルを注ぎ込み吸引濾過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PPSを得た。
得られたPPSは、MFRが600g/10分であった。
(ポリフェニレンスルフィド樹脂)
上記記載の方法で重合したPPSを、酸素濃度2%、220℃、12時間で熱酸化処理を行い、本件でしようするポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
(炭素繊維)
チョップドストランド(東レ(株)社製 TV14−006 3mm長 平均繊維径6μm)。
(ガラス繊維)
チョップドストランド(日本電気硝子(株)社製 T−760H 3mm長 平均繊維径10.5μm)。
(フッ素樹脂)
PTFE(ダイキン工業(株)社製 ルブロンL−5)、融点:328℃。
(黒鉛)
燐片状黒鉛((株)中越黒鉛工業所社製 CFW−50A)。
(金属硫化物)
二硫化モリブデン(大東潤滑(株) リキモリLM−12)。
〔測定評価方法〕
本実施例および比較例における測定評価方法は以下の通りである。
(ポリフェニレンスルフィド樹脂のMFRの測定)
ポリフェニレンスルフィド樹脂を315.5℃、5000gの荷重の条件で、ASTM−D1238−70に従い、東洋精機製F−B01を用いて、測定をした。
(曲げ強度・弾性率の測定)
ISO178に準じて測定を行った。具体的には次のように測定を行った。樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度310℃、金型温度145℃に設定した住友重機械工業社製射出成形機(SE50DUZ−C160)に供給し、充填時間0.8sで充填、充填圧力の75%の保圧にて射出成形を行い、ISO 20753に規定されるタイプB2試験片形状を得た。この試験片を、23℃、相対湿度50%の条件で16時間状態調節を行った
後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下、スパン64mm、歪み速度2mm/minの条件で測定を行った。
(摩擦係数の測定)
樹脂組成物ペレットを用い、樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度310℃、金型温度145℃に設定した住友重機械工業社製射出成形機(SE50DUZ−C160)に供給し、80×80×3mmtの板状のサンプルを成形した。得られた板を30×30×3mmtの樹脂プレート(図1の1)に加工した。オリエンテック社製スラスト型摩擦摩耗試験機(EFM−III−E)を使用した。相手材料は2cmのSUS304製のリング(外径:25.6mm×内径:20 mm×高さ:15mm、図1の2)を用い、スラスト式による摩擦摩耗試験JIS K 7218(1986年)に準拠して、図1の3の方向に回転させ、摩擦磨耗試験を無潤滑の状態で行った。すべり速度20m/min.の条件下で、図1の4の方向から荷重をかけた。加圧荷重を15kgとし、静止摩擦係数と動摩擦係数の測定を行った。
(限界PV値の測定)
樹脂組成物ペレットを用い、樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度310℃、金型温度145℃に設定した住友重機械工業社製射出成形機(SE50DUZ−C160)に供給し、80×80×3mmtの板状のサンプルを成形した。得られた板、30×30×3mmt(図1の1)の樹脂プレートに加工し、オリエンテック社製スラスト型摩擦摩耗試験機(EFM−III−E)を使用して、相手材料は2cmのSUS304製のリング(外径:25.6mm×内径:20 mm×高さ:15mm、図1の2)を用い、スラスト式による摩擦摩耗試験JIS K 7218(1986年)に準拠して、図1の3の方向に回転させ、摩擦磨耗試験を無潤滑の状態で行った。すべり速度20m/min.の条件下で、図1の4の方向から2分間に2kgずつ荷重をかけ、材料の摺動表面が摩擦熱によって変形(溶融)するまで荷重を増やし、加重が低下した点として材料の限界PV値を求めた。
(PPS樹脂組成物の製造)
シリンダー温度を300℃、スクリュー回転数を300rpmに設定した、26mm直径の中間添加口を有する2軸押出機(東芝機械(株)製TEM−26SS)を用いて、ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部、フッ素樹脂、黒鉛と金属硫化物を表1〜2に示す重量比で原料供給口から添加して溶融状態とし、炭素繊維を表1〜2に示す重量比で中間添加口から供給し、吐出量40kg/時間で溶融混練してペレットを得た。このペレットを用いて上記の各特性を評価した。その結果を表1〜2に示す。
Figure 2019085470
Figure 2019085470
〔実施例1〜10〕
表1に示す実施例1〜10は、静止摩擦係数と動摩擦係数がそれぞれ低く、その差が0.05以下である。また、限界PV値も1000kg/cm・m/min.以上であり、摺動性に優れていることがわかる。さらに、曲げ強度や曲げ弾性率といった特性も高いことから、金属部品との摺動面を有する部品にも適している。
〔比較例1、4、6〕
表2に示す比較例1、4、6は、機械的特性を満足しない組成比率であり、金属部品との摺動面を有する部品として不適であることがわかる。
〔比較例2、3、5、7、9〕
表2に示す比較例2は、炭素繊維添加量が多いため、その端部が摺動時の抵抗となり、また、表2に示す比較例3、5、7、9は、摩擦係数を低下させる効果があるフッ素樹脂、黒鉛、二硫化モリブデンの量が少ないため、それぞれ摺動性に劣ることがわかる。
〔比較例8、10〕
表2に示す比較例8、10は、それぞれ金属硫化物とガラス繊維が砥石のような効果を強く発現してしまい限界PV値が目標に達せず、摺動性に劣ることがわかる。
1:樹脂プレート
2:リング
3:回転方向を示す矢印
4:荷重をかける方向を示す矢印

Claims (3)

  1. ポリフェニレンスルフィド樹脂、炭素繊維、フッ素樹脂、黒鉛および金属硫化物を含むポリフェニレンスルフィド樹脂組成物であって、
    ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、炭素繊維を6〜60重量部、フッ素樹脂を6〜60重量部、黒鉛を6〜40重量部含有し、
    ポリフェニレンスルフィド樹脂、炭素繊維、フッ素樹脂、黒鉛および金属硫化物の合計に対して、金属硫化物を1〜20重量%含有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. JIS K−7218法で測定した静止摩擦係数と動摩擦係数の差が0.05以下、かつ限界PV値が1000kg/cm・m/min.以上である、請求項1に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を含む成形品。
  3. 金属部品との摺動面を有する部品に使用される請求項2に記載の成形品。
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