JP2019083813A - イミダゾールジペプチドを含む魚肉加工食品 - Google Patents

イミダゾールジペプチドを含む魚肉加工食品 Download PDF

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Abstract

【課題】抗疲労効果及び/または運動パフォーマンス向上効果を期待できる十分量のイミダゾールジペプチドを含有し、安価で入手でき、かつ手軽にイミダゾールジペプチドを摂取可能であり、更に、風味もよく健康に配慮した魚肉加工食品を提供すること【解決手段】抗疲労効果及び/または運動パフォーマンス向上効果を期待できる配合量を本発明者による新しい観点による研究レビューに基づいて決定し、魚肉加工食品に適用する。【選択図】なし

Description

本発明は、有効成分としてイミダゾールジペプチドを含む、抗疲労及び/または運動パフォーマンス向上のための魚肉加工食品に関する。
鶏肉、豚肉、牛肉等の畜肉、サケ、マグロ等の魚の肉に含まれるイミダゾールジペプチドとしてはカルノシン及びアンセリンが知られている。イミダゾールジペプチドにおける抗酸化作用等の種々の生理学的作用が報告されており、また、その疲労回復効果や抗老化効果も期待されている。
特許文献1には、畜肉類又は魚介類の抽出物を酵素処理することにより品質を改善し、保存安定性を向上させた、イミダゾールジペプチド含有エキスの製造方法が記載されている。
特許文献2には、イミダゾールジペプチド及びその塩からなる群より選ばれる1種以上とニンニク加工物とを含有する抗疲労及び/又は疲労回復用組成物が開示されている。
特許文献3には、イミダゾールジペプチド類及び/又はその塩を有効成分として含有する運動能力の向上及び抗疲労効果を有する組成物が開示されている。
特開2013−106607号公報 特開2016−008202号公報 特開2002−173442号公報
イミダゾールジペプチドに抗疲労効果及び/または運動パフォーマンス向上効果が期待できることは既に知られているが、イミダゾールジペプチドの摂取量とこれらの効果との関係に関する知見は極めて少ない。
また、登山、ハイキング、スポーツ時、あるいは非常時等にこまめにエネルギーを補給したり、疲労を回復するための行動食として、イミダゾールジペプチドを含む魚肉ソーセージ等の魚肉加工品を活用する事例も知られている。しかしながら、これらの効果を期待できる十分量のイミダゾールジペプチドを含有し、安価で入手でき、かつ手軽にイミダゾールジペプチドを摂取可能であり、更に、健康に配慮した加工食品は見当たらない。
特許文献1〜3においてはイミダゾールジペプチドとして、合成品、畜肉や魚肉からの抽出物や精製品が用いられており、このような合成品、抽出物、精製品を加工食品の製造に用いた場合、合成、抽出または精製にかかるコストが加工食品の価格を上昇させる要因となる場合がある。更に、イミダゾールジペプチドの合成品、イミダゾールジペプチドを含む抽出物またはその精製品を加工食品に配合した場合、その配合量によっては、加工食品の風味のバランスを損なう場合がある。
本発明の目的は、抗疲労効果及び/または運動パフォーマンス向上効果を期待できる十分量のイミダゾールジペプチドを含有し、安価で入手でき、かつ手軽にイミダゾールジペプチドを摂取可能であり、更に、風味もよく健康に配慮した魚肉加工食品を提供することにある。
本発明にかかる抗疲労及び/または運動パフォーマンス向上のための魚肉加工食品の一実施形態は、魚肉と、有効成分としてのイミダゾールジペプチドを含み、イミダゾールジペプチドの一日当たりの摂取量が50mg〜4000mgであることを特徴とする。
本発明にかかる抗疲労及び/または運動パフォーマンス向上のための魚肉加工食品の他の一実施形態は、魚肉と、有効成分としてのイミダゾールジペプチドを含み、魚肉加工食品100g当たりイミダゾールジペプチドを65mg以上含むことを特徴とする。
また、本発明にかかるイミダゾールジペプチドの、抗疲労及び/または運動パフォーマンス向上のための魚肉を含む加工食品の製造における有効成分としての使用方法の一実施形態は、前記魚肉加工食品のイミダゾールジペプチドの一日当たりの摂取量が50mg〜4000mgであることを特徴とする。
また、本発明にかかるイミダゾールジペプチドの、抗疲労及び/または運動パフォーマンス向上のための魚肉を含む加工食品の製造における有効成分としての使用方法の他の実施形態は、前記魚肉加工食品が該魚肉加工食品100g当たりイミダゾールジペプチドを65mg以上含むことを特徴とする。
本発明によれば、抗疲労効果及び/または運動パフォーマンス向上効果を期待できる十分量のイミダゾールジペプチドを含有し、安価で入手でき、かつ手軽にイミダゾールジペプチドを摂取可能であり、更に、風味もよく健康に配慮した魚肉加工食品を提供することができる。
運動パフォーマンス(テニス)におけるパフォーマンススコアの取得方法を説明するための図である。 テニスパフォーマンススコア(各セットの平均得点変化幅(Δ2-0wk)(*:p<0.05, Student’s T-test)を示す図である。 POMSアンケート(Δ2-0wk)結果まとめを示す図である。 (A)は自覚症しらべ結果まとめ(Δ2-0wk)(運動前、*:p<0.05, Student’s T-test)を示す図である。(B)は覚症しらべ結果まとめ(Δ2-0wk)(運動後、*:p<0.05, Student’s T-test)を示す図である。
本発明にかかる抗疲労及び/または運動パフォーマンス向上のための魚肉加工食品は、魚肉と、有効成分としてのイミダゾールジペプチドを含むことを特徴とする。
イミダゾールジペプチドとしては、アンセリン、カルノシン及びバレニンからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができ、アンセリン及び/またはカルノシンを用いることが好ましい。
本発明にかかる魚肉加工食品には以下の2つの実施形態が含まれる。
・第一の実施形態
一日当たりの摂取量が50mg〜4000mgの範囲となるように、イミダゾールジペプチドを含有する魚肉加工食品。
・第二の実施形態
魚肉加工食品100g当たりイミダゾールジペプチドを65mg以上含有する魚肉加工食品。
本発明には、これらの実施形態にかかる魚肉加工食品の製造におけるイミダゾールジペプチドの使用方法が含まれる。
一日当たりのイミダゾールジペプチドの摂取量の下限は、100mgが好ましく、112mgがより好ましく、120mgが更に好ましく、400mgとすることもできる。
イミダゾールジペプチドの一日当たりの摂取量の上限は2000mgがより好ましい。
イミダゾールジペプチドの一日当たりの摂取量の好ましい範囲としては。100mg〜400mgの範囲を挙げることができる。
これらのイミダゾールジペプチドの一日当たりの摂取量の範囲は、魚肉加工食品が、エキス、カプセルあるいは錠剤タイプのサプリメントとしての食品と異なり、一般食品でありながら、一般食品として美味しく食すことができ、かつ目的とする効果に必要な十分なイミダゾールジペプチドを配合できるように、本発明者により新たに提示された後述する実施例2及び3の研究レビューによる解析プロセスを経て決定されたものである。
有効成分であるイミダゾールジペプチドとしては、化学合成品、魚介類、畜産動物等の肉から抽出された抽出品やその精製品等を利用することができる。
魚肉加工食品が含有する魚肉に含まれるイミダゾールジペプチドを有効成分として利用することもできる。魚肉加工食品が含有する魚肉に含まれるイミダゾールジペプチドは単独で、あるいは、上述した化学合成品、魚介類、畜産動物等から得られた抽出品及びその精製品の少なくとも1種と組み合わせて用いることができる。
魚肉加工食品におけるイミダゾールジペプチドの含有量を、これを含む抽出物や精製品を別途用いるのではなく、魚肉加工食品の製造用の直接原料としての魚肉からの供給で賄うことは、目的とする効果を得るための十分な量のイミダゾールジペプチドを含み、安価で、かつ健康を配慮した魚肉加工食品を提供する上で好ましい。また、部分的に抽出物や精製品を適宜用い、目的とする効果を得るための充分な量のイミダゾールジペプチドを含み、安価で、かつ、健康を配慮した魚肉加工食品を提供することもできる。
魚肉加工食品としては、魚肉を使用した加工食品であって、手軽に食することができ、かつ目的とする効果を得ることができる含有量でイミダゾールジペプチドを含有することができる製品であれば特に限定されない。このような魚肉加工食品としては、ソーセージ、ハンペン等の各種加熱練り製品、水煮缶詰、加圧加熱調理済焼き魚、竜田揚げ、から揚げなどの揚げ物、シューマイ、春巻き、ギョーザ等の包み食品または包み揚げ食品、ハンバーグなどのミンチ魚肉製品等を挙げることができる。
なお、加圧加熱調理済焼き魚は、加熱加圧することで、食べ易いように軟化させた焼き魚であり、公知の方法で製造することができる。加熱加圧には、加圧水蒸気等を用いることができる。魚の焼成後、あるいは焼成前に加圧水蒸気による処理を行うことで、イミダゾールジペプチドの流出を防止して、魚肉に含まれるイミダゾールジペプチドを有効に利用することができる。また、加圧加熱調理済焼き魚は必要に応じて調味料等の添加物による処理を行ってもよい。この場合、調味料等の添加物にイミダゾールジペプチドを含有させてもよい。
魚肉加工食品のイミダゾールジペプチドの含有量は、魚肉加工食品の種類及び形態、並びに、通常の、あるいは推奨または想定される一日当たりの摂取量に応じて、上述した一日当たりのイミダゾールジペプチドの摂取量を達成できるように選択することが好ましい。
例えば、一日の摂取量が200g程度までである魚肉加工食品の場合、イミダゾールジペプチドの含有量は、魚肉加工食品100g当たりで、65mg以上、好ましくは195mg以上、より好ましくは214mg以上とすることができる。
また、当該効果が求められる行動時に携帯する際の利便性や、無理なく食べ切れる適当な重量として、魚肉加工食品の一日当たりの摂取量は100g未満とすることが更に好ましい。
また、イミダゾールジペプチドの含有量の上限は、魚肉加工食品100g当たり1000mg、より好ましくは650mgとすることが好ましい。
なお、「日常生活や運動によって生じる一過性の身体的な疲労感や、運動機能の低下」は、以下のように定義することが知られている。
「日常生活や運動によって生じる一過性の身体的な疲労感」
・主観的に評価される疲労のうち、病的なものを除き、平均的な日常生活(パソコン操作などを含む)や、種々の程度の運動により生じたもの。
「運動機能の低下」(運動パフォーマンスの低下)
・種々の程度の運動で生じる疲労により、身体各部に機能低下が生じ、結果として運動機能が低下すること。
魚肉加工食品の製造に用いる魚肉は、目的とする魚肉加工食品の製造用として利用できるものであれば特に限定されない。魚肉としては魚類可食部であれば特定されるものではないが、例えば、サケ・マス類(ギンザケ、シロサケ、カラフトマス、タイセイヨウサケ、ベニザケ、マスノスケなど)、カツオ類(カツオ、ソウダガツオなど)、マグロ類(ビンナガマグロ、キハダマグロ、クロマグロなど)から選択される少なくとも1種の魚肉を用いることができる。
なお、魚肉加工食品製造用の魚肉原料自体に由来するイミダゾールジペプチドを魚肉加工食品中の有効成分として利用する場合には、目的とする有効成分含有量を提供できるイミダゾールジペプチド含有量を有する魚肉原料を選択して用いることが好ましい。
本発明にかかる魚肉加工食品の製造は、その形態に応じた公知の製造方法により製造することができる。魚肉加工食品の製造プロセスの適当な段階で必要量のイミダゾールジペプチドが配合されるようにすればよい。なお、イミダゾールジペプチドは、水溶性であり、水洗などのプロセスにおいて原料から流出して損失となる割合が増加する可能性が高い。従って、製造プロセス中で、イミダゾールジペプチドの損失が生じないように、冷凍解凍の回数や水と接する機会を最小限とするなどの工夫を行うとよい。
先に述べた通り、イミダゾールジペプチドとしては、化学合成品、魚肉等から抽出された抽出品及びその精製品等を利用することができるが、魚肉加工食品の製造に直接原料として利用する魚肉中に含まれるイミダゾールジペプチドを有効成分として利用することが、製造価格を低く抑え、かつ風味がよく、健康を考慮した製品とする上で好ましい。この場合には、直接原料として利用する魚肉からのイミダゾールジペプチドの外部への流出を抑えるための工夫を行うことが特に重要となる。
例えば、魚肉原料として多くの水洗工程を行うすり身ではなく、水洗工程を行わない、あるいは水性工程の回数を最小限とし、かつイミダゾールジペプチドの流出を抑制することができる落し身等の目的に合った細かさの魚肉を主体として用いて魚肉加工食品を製造することが好ましい。この場合、本来含まれるイミダゾールジペプチドの含有量を保持した、あるいはその損失を最小限に抑制した落し身等の魚肉原料の、魚肉加工食品全体に対する配合割合を少なくとも10質量%とすることが好ましい。このイミダゾールジペプチド供給用の魚肉原料の魚肉加工食品全体に対する配合割合は、30質量%以上あるいは33質量%以上、さらにより好ましくは44質量%以上とすることが好ましい。
また、魚肉加工食品全体に対する魚肉原料の割合の上限は、100質量%、99質量%、60質量%または50質量%と、魚肉加工食品の種類や形態に応じて適宜選択することができる。なお、本発明の効果が得られる範囲内で、魚肉のすり身を併用してもよい。
更に、水洗工程を経た魚肉原料では、魚肉からの水溶性の風味成分も流出して、魚肉本来の風味を損なう場合がある。上述した本来含まれるイミダゾールジペプチドの含有量を保持した、あるいはその損失を最小限に抑制した落し身等の魚肉原料では、魚肉本来の風味が維持されており、最終的に得られる魚肉加工製品に魚肉本来の風味を付与することができる。
魚肉加工食品製造用の魚肉の形態としては、上述した落し身の他に、魚肉フィレ、魚肉ブロック、魚肉切り身、内臓を除いた魚体そのもの、あるいは内臓及び頭部を除いた魚体そのもの等、すり身と異なりイミダゾールジペプチドの流出を防止、あるいは最小限とする加工が可能な形態も利用可能である。
魚肉加工食品の製造には、魚肉の他に、魚肉加工食品の形態に応じて、増粘剤、増量剤、調味料、甘味剤、塩分、糖分、脂質分、保存剤等の各種の添加剤を目的に応じて添加することができる。
なお、本発明にかかる魚肉加工食品の原料配合は、健康を考慮した組成となるように調整することが好ましい。
例えば、食塩の配合量を低減して、減塩製品とすることで、魚肉本来の風味を更に強調することができる。食塩の配合量は、食塩の摂取量が2.0g/日以下であることが好ましく、さらに1.5g/日以下となる量とすることがより好ましい。食塩の摂取量を考慮した魚肉加工食品の食塩の含有量は、魚肉加工食品100g当たり1.4g以下とすることが好ましい。また、魚肉加工食品は食塩を添加しない無塩魚肉加工食品としてもよい。
(実施例1)
従来のすり身は水さらしの工程により水溶性のイミダゾールジペプチドや魚肉本来の風味成分が流出することにともない、魚肉加工食品中のイミダゾールジペプチド含有量や魚肉本来の風味を維持・確保できないという問題点があった。今回、サケ落し身を次のごとく配合することによって、各原料の混合までのイミダゾールジペプチドや魚肉本来の風味成分の損失を抑え、おいしく、また、イミダゾールジペプチドが配合された食感の良いサケ肉加工食品をつくることができた。
サケ肉加工食品(ソーセージ)の原料配合(質量基準)
・鮭落し身(魚肉原料):60%
・グルテン:4%
・油脂:7%
・コーンスターチ:3%
・増粘多糖:3%
・食塩:1%
・アミノ酸:0.2%
・有機酸:0.3%
・水:21.5%
ソーセージの製造は、次の要領で、実施した。
各副原材料を受け入れた上で、サケ落し身の冷凍原料を解凍した。副原料類は、各々、計量した。金属探知機によって、冷凍原料に金属の混在がないことを確認した。その後、冷凍原料の解凍品と副原料を練り合わせ、油脂を投入して、得られた混合物の品温を確認した。その後、フィルターを用いた混合物からの異物除去処理を行い、ソーセージ用の内装フィルムに充填・結紮した。加熱殺菌は 120℃で4分間行った。その上で、冷却・乾燥し、サケ肉ソーセージを得た。
こうして得られたサケ肉ソーセージに含まれるイミダゾールジペプチド含有量を常法により測定し、アンセリンおよびカルノシンの含量の合算として、算出した。その結果、イミダゾールジペプチドの含有量は390mg/100gであった。
参考として、市販のサケソーセージ(佐藤水産株式会社製)のイミダゾールジペプチドの含有量を同じ方法で求めたところ、50mg/100gであった。
(実施例2)
医薬素材や機能性食品素材による薬効・薬理、効果・効能を評価するためのヒト臨床試験による複数の試験結果を、網羅的、客観的にとらえ、組織的・総合的にそれらの効果の有無、効果の程度、あるいはその研究ニーズを把握する方法として、研究レビューやシステマティックレビューがある。
しかし、その多くは、疾患に罹患した患者を対象とし、また、その治療効果や改善を確認するためのものであった。しかし、今回、純然たる食品の開発を目指し、これまでに行われなかった対象者の選択、および対象項目に着眼した研究レビューの方法を開発し、健常者・未病者が安心して利用できる食品の用途を、開発した。
対象者をヒト(18歳以上)とした場合の研究レビューの作成手順は、以下の通りとなる。
・手順1.(主にウェブ上の)データベースを対象とした論文検索を行うためのキーワードを決定し、検索を行う。
手順1は、以下の表1によって行った。
・手順2.得られた検索結果から、設定したPICO*に合致する論文のみを選別する。
手順2は、以下の表2によって行った。
・手順3.手順2で得られた論文を精査し、必要なデータを抽出する。
上記手順の中で、本研究レビューの結果を得るためには、手順2のPICOの設定、特に「O」についての設定が重要となる。
本研究レビューのPICOは、以下のように設定した。
P:疾病に罹患していない者を対象として
I:イミダゾールジペプチドを経口摂取させて
C:プラセボの摂取もしくはイミダゾールジペプチドの摂取なしを対照として
O:疲労に関連する諸症状への影響を評価している。
上記の「O」は、疲労を以下の通り分類して構成されている。
・「疲労感」・・・アンケート等、対象者の主観での評価(例:「疲労感を感じる頻度は?」)
・「運動機能」・・・運動に関わる身体各部の主観的および客観的な評価と、運動能力の客観的な評価(例1:運動中の自律神経の活動量の変化、例2:腕立て伏せの回数)。
・「作業効率」・・・作業負荷**における活動能力の客観的な評価(例:暗算の正解数)。
「眼の疲労」・・・主観的な目の疲労と、客観的な目の機能の測定結果の総合的な評価(例1:動体視力、例2:「眼の疲れは?」)。
上記PICO*に従って文献を検索し選定した結果、25報が評価対象となり、効果が認められた「O」の項目と、その摂取量との相関が以下の通り明らかとなった。
・「疲労感」
17報が評価し、うち16報が当該効果を肯定的に評価した。
効果が認められた摂取量は、50〜4000 mg/日である。これらの中で、群間有意差を認めていたのは6報で、その摂取量は112〜2000 mg/日であった。
・「運動機能」
14報が評価し、うち11報が当該効果を肯定的に評価した。
効果が認められた摂取量は、120〜4000 mg/日であった。これらの中で、群間有意差を認めていたのは9報で、その摂取量は120〜4000 mg/日であった。
・「作業効率」
5報が評価し、うち3報が当該効果を肯定的に評価した。
効果が認められた摂取量は、94〜434 mg/日であった。
群間有意差が認められた報告は無かった。
・「眼の疲労」
8報が評価し、うち5報が当該効果を肯定的に評価した。
効果が認められた摂取量は、50〜163 mg/日であった。これらの中で、群間有意差***を認めていたのは4報で、その摂取量は112〜163 mg/日であった。
以上の結果より、記載された量のイミダゾールジペプチドを含有する食品であれば、機能性表示食品として、例えば以下のような届出表示が可能になるとの結論を得た。
(例1:イミダゾールジペプチドを112〜4000mg/日含有する食品)
「イミダゾールジペプチドには、日常生活や運動によって生じる一過性の身体的な疲労感を軽減する機能があることが報告されています。一時的なからだの疲れを感じている方に適した食品です。」
(例2:イミダゾールジペプチドを120〜4000mg/日含有する食品)
「イミダゾールジペプチドには、日常生活や運動によって生じる一過性の身体的な疲労感や、運動機能の低下を軽減する機能があることが報告されています。一時的なからだの疲れを感じている方に適した食品です。」
本発明の独自性として、以下の点が挙げられる。
疲労の評価は、アウトカムを「疲労感」と設定して行われることが多く、上記のような分類で評価を行った先例は無いため、この点において独自性が高いといえる。このPICO*を設定し、文献の選定を行ったことにより、疲労および運動に対するイミダゾールジペプチド摂取の効果をまとめることが可能になった。
なお、上記の説明における用語について以下に説明する。
(用語)
PICOとは、臨床試験の内容を、以下のように定式化したものである
P (Participant):どのような対象者に
I (Intervention):どのような物を摂取させて
C (Comparison):どのような物と比較して
O (Outcome):どのような項目を評価したか。
作業負荷とは、計算問題など、認知活動に関する負荷を意味する。
群間有意差とは、調べたい物を摂取させた場合と、その対照となる物を摂取させた場合とを比較する方法で、臨床試験の結果の評価として非常に明確な方法であるとされる。
最終的に評価対象となった文献は以下の通りである。
・文献1:日本補完代替医療学会誌, 11(2) : 75-80 (2014)、「機能性食品の筋疲労効果を評価する新手法の提案」
・文献2:薬理と治療, 41(9) : 879-893 (2013)、「鯨肉抽出物の身体作業負荷および日常作業による疲労に対する軽減効果」
・文献3:アミノ酸研究, 4(1) : 75-77 (2010)、「アンセリン含有サケエキス(SEAns)の眼精疲労及び老視に対する効果」
・文献4:環太平洋大学研究紀要, 1 : 83-87 (2008)、「遅発性筋肉痛および筋疲労感に対する鶏胸肉抽出物(CBEX)摂取の影響」
・文献5:薬理と治療, 37(3) : 255-263 (2009)、「イミダゾールジペプチド配合飲料の日常的な作業のなかで疲労を自覚している健常者に対する継続摂取による有用性 第一次エントリー207名の解析結果報告」
・文献6:薬理と治療, 36(3) : 213-224 (2008)、「健常者を対象としたCBEX-Dr配合飲料の長期摂取における安全性」
・文献7:薬理と治療, 36(3) : 199-212 (2008)、「CBEX-Dr配合飲料の健常者における抗疲労効果」
・文献8:体育学研究, 49(2) : 159-169 (2004)。「トリ胸肉抽出物(CBEX)の経口摂取が高強度間欠的運動パフォーマンスに及ぼす影響」
・文献9:新薬と臨牀, 51(6) : 525-530 (2002)、「アンセリン含有食品「マリンアクティブ」の継続的摂取が疲労感に及ぼす影響」
・文献10:Medical science monitor, 19 : 540-547 (2013)、「Effects of chicken essence on recovery from mental fatigue in healthy males.」
・文献11:Journal of strength and conditioning research, 25(2) : 398-405 (2011)、「Hormonal responses to resistance exercise after ingestion of carnosine and anserine.」
・文献12:日本食品科学工学会誌, 55(9) : 428-431 (2008)、「アンセリン含有サケエキスの疲労低減効果」
・文献13:International Journal of Sport and Health Science, 4 : 86-94 (2006)、「Effects of Carnosine and Anserine Supplementation on Relatively High Intensity Endurance Performance」
・文献14:Nippon Shokuhin Kagaku Kogaku Kaishi, 59(4) : 182-185 (2012)、「Effect of long-term ingestion of chicken extract on muscular power for middle and advanced age groups」
・文献15:視覚の科学, 27(4):95-101(2006)、「鰹節だし継続摂取が眼精疲労に及ぼす影響」
・文献16:薬理と治療, 35(3):343-348(2007)、「鰹節だし摂取による日常生活における眼精疲労症状の改善効果」
・文献17:Journal of Health Science, 53(5) : 543-551 (2007)、「Ingestion of Dried-bonito Broth Ameliorates Blood Fluidity in Humans」
・文献18:日本食生活学会誌, 16(1) : 39-43 (2005)、「アンケート方式 (POMS) による鰹だし摂取の気分・感情に及ぼす影響の調査」
・文献19:Physiology & behavior,92(5):957-962(2007)、「Effect of dried-bonito broth on mental fatigue and mental task performance in subjects with a high fatigue score.」
・文献20:Young H, et al.,Nutrients, 7(2): 887-904 (2015)、「The effect of chicken extract on mood, cognition and heart rate variability.」
・文献21:寺沢ら,日本水産学会誌, 80(4): 601-609 (2014)、「アンセリン含有サケエキスが学生スポーツ選手の疲労低減に及ぼす効果」
・文献22:棟田ら,アミノ酸研究, 6(1): 61-63 (2012)「アンセリン含有サケエキス(SEAns)の運動機能に対する効果」
・文献23:Suzuki Y, et al., Medicine and science in sports and exercise, 38(2): 334-338 (2006)「Carnosine and anserine ingestion enhances contribution of nonbicarbonate buffering.」
・文献24:Slowinska-Lisowska M, et al., Acta physiologica Hungarica, 101(4): 461-470 (2014)「Influence of l-carnosine on pro-antioxidant status in elite kayakers and canoeists.」
・文献25:Nagai H, et al., Applied human science : journal of physiological anthropology, 15(6): 281-286 (1996)「Effects of chicken extract on the recovery from fatigue caused by mental workload.」
(実施例3)
対象者をヒト成人とした場合の研究レビューの作成手順は、以下の通りとなる。
・手順1.(主にウェブ上の)データベースを対象とした論文検索を行うためのキーワードを決定し、検索を行う。
手順1は、実施例2で用いた様式V−5によって行った。
・手順2.得られた検索結果から、設定したPICO*に合致する論文のみを選別する。
手順2は、以下の表3によって行った。
・手順3.手順2で得られた論文を精査し、必要なデータを抽出する。
上記手順の中で、本研究レビューの結果を得るためには、手順2のPICOの設定、特に「O」についての設定が重要となる。
本研究レビューのPICOは、以下のように設定した。
P:疾病に罹患していない成人を対象として
I:イミダゾールジペプチドを経口摂取させて
C:プラセボの摂取もしくはイミダゾールジペプチドの摂取なしを対照として
O:疲労に関連する諸症状への影響を評価している。
上記の「O」は、疲労を以下の通り分類して構成されている。
・「疲労感」・・・アンケート等、対象者の主観での評価(例:「疲労感を感じる頻度は?」)
・「運動機能」・・・運動に関わる身体各部の主観的および客観的な評価と、運動能力の客観的な評価(例1:運動中の自律神経の活動量の変化、例2:腕立て伏せの回数)。
・「作業効率」・・・作業負荷**における活動能力の客観的な評価(例:暗算の正解数)。
「眼の疲労」・・・主観的な目の疲労と、客観的な目の機能の測定結果の総合的な評価(例1:動体視力、例2:「眼の疲れは?」)。
上記PICO*に従って文献を検索し選定した結果、25報が評価対象となり、効果が認められた「O」の項目と、その摂取量との相関が以下の通り明らかとなった。
・「疲労感」
14報が評価し、14報全てが当該効果を肯定的に評価した。
効果が認められた摂取量は、50〜4000 mg/日である。これらの中で、群間有意差を認めていたのは6報で、その摂取量は112〜2000 mg/日であった。
・「運動機能」
10報が評価し、うち8報が当該効果を肯定的に評価した。
効果が認められた摂取量は、400〜4000 mg/日であった。これらの中で、群間有意差を認めていたのは6報で、その摂取量は400〜2000 mg/日であった。
・「作業効率」
3報が評価し、3報全てが当該効果を肯定的に評価した。
効果が認められた摂取量は、94〜434 mg/日であった。
群間有意差が認められた報告は無かった。
・「眼の疲労」
8報が評価し、うち5報が当該効果を肯定的に評価した。
効果が認められた摂取量は、50〜163 mg/日であった。これらの中で、群間有意差***を認めていたのは4報で、その摂取量は112〜163 mg/日であった。
以上の結果より、記載された量のイミダゾールジペプチドを含有する食品であれば、機能性表示食品として、例えば以下のような届出表示が可能になるとの結論を得た。
(例1:イミダゾールジペプチドを112〜4000mg/日含有する食品)
「イミダゾールジペプチドには、日常生活や運動によって生じる一過性の身体的な疲労感を軽減する機能があることが報告されています。一時的なからだの疲れを感じている方に適した食品です。」
(例2:イミダゾールジペプチドを400〜4000mg/日含有する食品)
「イミダゾールジペプチドには、日常生活や運動によって生じる一過性の身体的な疲労感や、運動機能の低下を軽減する機能があることが報告されています。一時的なからだの疲れを感じている方に適した食品です。」
本発明の独自性として、以下の点が挙げられる。
疲労の評価は、アウトカムを「疲労感」と設定して行われることが多く、上記のような分類で評価を行った先例は無いため、この点において独自性が高いといえる。このPICO*を設定し、文献の選定を行ったことにより、疲労および運動に対するイミダゾールジペプチド摂取の効果をまとめることが可能になった。
なお、上記の説明における用語については実施例2で説明した通りである。
最終的に評価対象となった文献は以下の通りである。
・文献1:日本補完代替医療学会誌, 11(2) : 75-80 (2014)、「機能性食品の筋疲労効果を評価する新手法の提案」
・文献2:薬理と治療, 41(9) : 879-893 (2013)、「鯨肉抽出物の身体作業負荷および日常作業による疲労に対する軽減効果」
・文献3:アミノ酸研究, 4(1) : 75-77 (2010)、「アンセリン含有サケエキス(SEAns)の眼精疲労及び老視に対する効果」
・文献4:環太平洋大学研究紀要, 1 : 83-87 (2008)、「遅発性筋肉痛および筋疲労感に対する鶏胸肉抽出物(CBEX)摂取の影響」
・文献5:薬理と治療, 37(3) : 255-263 (2009)、「イミダゾールジペプチド配合飲料の日常的な作業のなかで疲労を自覚している健常者に対する継続摂取による有用性 第一次エントリー207名の解析結果報告」
・文献6:薬理と治療, 36(3) : 213-224 (2008)、「健常者を対象としたCBEX-Dr配合飲料の長期摂取における安全性」
・文献7:薬理と治療, 36(3) : 199-212 (2008)、「CBEX-Dr配合飲料の健常者における抗疲労効果」
・文献8:体育学研究, 49(2) : 159-169 (2004)。「トリ胸肉抽出物(CBEX)の経口摂取が高強度間欠的運動パフォーマンスに及ぼす影響」
・文献9:新薬と臨牀, 51(6) : 525-530 (2002)、「アンセリン含有食品「マリンアクティブ」の継続的摂取が疲労感に及ぼす影響」
・文献10:Medical science monitor, 19 : 540-547 (2013)、「Effects of chicken essence on recovery from mental fatigue in healthy males.」
・文献11:Journal of strength and conditioning research, 25(2) : 398-405 (2011)、「Hormonal responses to resistance exercise after ingestion of carnosine and anserine.」
・文献12:日本食品科学工学会誌, 55(9) : 428-431 (2008)、「アンセリン含有サケエキスの疲労低減効果」
・文献13:International Journal of Sport and Health Science, 4 : 86-94 (2006)、「Effects of Carnosine and Anserine Supplementation on Relatively High Intensity Endurance Performance」
・文献14:Nippon Shokuhin Kagaku Kogaku Kaishi, 59(4) : 182-185 (2012)、「Effect of long-term ingestion of chicken extract on muscular power for middle and advanced age groups」
・文献15:視覚の科学, 27(4):95-101(2006)、「鰹節だし継続摂取が眼精疲労に及ぼす影響」
・文献16:薬理と治療, 35(3):343-348(2007)、「鰹節だし摂取による日常生活における眼精疲労症状の改善効果」
・文献17:Journal of Health Science, 53(5) : 543-551 (2007)、「Ingestion of Dried-bonito Broth Ameliorates Blood Fluidity in Humans」
・文献18:日本食生活学会誌, 16(1) : 39-43 (2005)、「アンケート方式 (POMS) による鰹だし摂取の気分・感情に及ぼす影響の調査」
・文献19:Physiology & behavior,92(5):957-962(2007)、「Effect of dried-bonito broth on mental fatigue and mental task performance in subjects with a high fatigue score.」
(実施例4)
イミダゾールジペプチドの疲労感低減や運動機能サポートに関する実施例2及び3における研究レビューのエビデンス補強を目的に、テニスによる運動パフォーマンスや疲労感を評価指標としたヒト臨床試験(ランダム化二重盲検並行群間比較試験)を実施した。
以下に、ヒト臨床試験及びその結果について説明する。
<方法>
(1)試験方法
ランダム化二重盲検並行群間比較試験により、テニスによる運動パフォーマンスや疲労感を評価指標としたヒト臨床試験を行なった。
(2)試験食品
イミダゾールジペプチドの含有量が140mgとなるように実施例1に記載の方法に従って魚肉ソーセージ(1本の重量35g)を製造し、被験食品として用いた。プラセボ食品は、イミダゾールジペプチドの含有量が検出限界以下となるようにソーセージ(1本の重量35g)を製造して用いた。これらの成分分析結果を表4に示す。
被験者を、被験食品を摂取するA群(イミダゾールジペプチド群)と、B群(プラセボ群)に分けた。
(3)被験者
20〜50代の健康な男女(各群11名)を選択した。
(4)試験日程
各被験者は、ソーセージ1日1本を、1日目から2週間毎日摂取した。
0日目(0wk)の試験開始日及び2週間目(2wk)に表5に示すスケジュールでの各種検査及び運動試験を行った。2週間目の運動試験日の当日に、各被験者は運動開始30分前に被験食1日分を摂取した。
<表5に示す項目の説明>
(運動1〜3)
運動パフォーマンス(テニス)
運動負荷は、一定間隔でコートの左右に球出しを30秒間行い、その後20秒間休憩するサイクルを4回行った。これを1セットとし、1セット終了毎に5分間の休憩を挟んで3セット(運動1〜3)行った。図1に示す左側で被験者が右側へ返球を行い、ネットを越えずに返球されなかった場合と、返球された側のコートを4区画に分けて得点化し、被験者には高得点を取るよう指示した(図1参照)。
テニススコア(セット得点)の集計方法は以下のとおりとした。
スコア集計方法:
1セット(30秒×4回)中に獲得した点数の合計をセット得点とし、1セット目の得点、2セット目の得点、3セット目の得点を集計し、セット得点平均(全3回の平均)を算出した。
(動体視力)
興和株式会社動体視力計(AS-4F)を用いて、静止視力および動体視力の測定を行い、取扱説明書の評価表に従い、静止視力に対する動体視力の評価値の算出を行った。
動体視力の評価は、AS-4Fの取扱説明書p.45に記載の方法によって行った。得られたデータは、静止視力と動体視力平均の評価値分布表に従い、数値化した。数値化された評価値は数値が高いほど静止視力に対する動体視力が高いことを示す。
(脈派、心拍)
休憩時に脈波計(Lifescore Quick、WINフロンティア株式会社)を用いて脈派を測定した。運動時に心拍センサー(WHS-1、ユニオンツール株式会社)を用いて心拍数を計測しデータを記録した。
休憩時は脈波計、運動時は心拍計のデータを用いて、交感神経活動量(LF)と副交感神経活動量(HF)から自律神経機能の解析を定法により行った。LF/HFの値は、自律神経バランスを表し、交感神経機能の指標として用いられている。値が大きいほど緊張、興奮、ストレスを感じている状態とされる(Task Force of the European Society of Cardiology. "Heart rate variability, standards of measurement, physiological interpretation, and clinical use." circulation 93 (1996): 1043-1065)。
また、LFとHFの総和はトータルパワー(TP)と呼ばれ、自律神経の活動量を表し、この値が小さいほど疲労が蓄積されている状態を示すとされている(倉恒ら, 自律神経異常を伴い慢性的な疲労を訴える患者に対する客観的な疲労診断法の確立と慢性疲労診断指針の作成, 厚生労働科学研究障害者対策総合研究事業(精神の障害/神経・筋疾患分野)平成21-23 年度総合研究報告書, 2011.)。
自律神経指標の値を解析する際、「周波数解析時に使用したRRIの累積時間(秒)」がLF,HF,LF/HFの値は54秒以上(データ欠損率90%以上)、心拍数は30秒以上(データ欠損率50%以上)のデータのみを使用した。
(アンケート)
運動前後においてアンケート(POMS 2 短縮版)を行った。
また、運動前のアンケートにおいて自覚症しらべ(VAS法)も行った。
(血流及び酸素濃度)
運動前および運動後に、血流計(研究用レーザ血流系、パイオニア株式会社)を用いて、血流の測定を行った。また休憩時に、酸素濃度計(パルスオキシメーター PULSOX-1、コニカミノルタジャパン株式会社)を用いて、酸素濃度の測定を行った。
<結果>
(運動パフォーマンス)
各セットの平均得点では、0日目、2週間目ともにA群およびB群ともに有意な差は認められなかった。次に、0日目と2週間目の各セットの平均得点の変化幅(Δ2-0wk)を比較したところ、全3セット中、1、2セット目の得点では群間で有意差が認められなかったが、疲労が生じてくる3セット目において、A群は有意な増加を示した(表6、図2)。この結果は、昨年度実施したテニスパフォーマンス試験と同じ傾向であった。
(アンケート(POMS2 短縮版+自覚症しらべ(VAS法))
運動前実施のPOMS2アンケートの結果、有意な差は認められなかったものの疲労や怒りのパラメーターが低く、友好や活気のパラメーターが高い傾向が認められた(図3)。
また、自覚症しらべでは、ねむけ感、不安定感、不快感、だるさ感、ぼやけ感の5つの項目に分けて解析した結果、だるさ感においてA群はB群と比較して有意な低値を示した(図4)。
(動体視力)
試験食摂取後のテニスパフォーマンス運動前後における静止視力に対する動体視力の評価値において、A群はB群より高値であり、運動による動体視力の低下を抑制したと考えられた(表7)。
(脈波、心拍)
休憩時の自律神経機能に関して、2週間目の運動2セット目において、A群は脈拍(ウォーミングアップ(以下WU)前からの変化幅)の上昇を抑える傾向が認められた(表8)。また、TP(WU前からの変化幅)は、A群およびB群との間に、有意な差は認められなかった(表9)。一方で、自律神経バランス(LF/HF)(WU前からの変化幅)は、2週間目のWU後において、A群はB群と比較して有意な高値を示した(表10)。
次に、運動時の自律神経機能に関して、0日目でのTPおよびLF/HFは、両群に有意な差は認められなかった(表11)。しかし、2週間目の運動2セット目の心拍および運動1〜3セットのLF/HFの平均値は、B群と比べ、A群は、有意な高値を示した(表12)。また、被験食摂取15分後を運動前とし、心拍、TP 、LF/HFの運動前後の変化幅を調べたところ、2週間目のTPは、A群が有意に小さく(表13)、A群は、運動による疲労蓄積の低下を有意に抑制していたと考えられた。また、自律神経機能は、休憩時、運動時を通してA群の交感神経は高値であった。
(酸素濃度および血流量)
A群およびB群との間に、有意な差は認められなかった。
以上のとおり、摂取2週間目のA群は、B群と比較して運動による疲労が生じてくる3セット目の返球精度が有意に高値を示し、運動後の動体視力の低下抑制が確認された。また、運動時の心拍データから、A群は自律神経バランスが有意に高値を示した。さらに、A群は運動後の疲労蓄積の指標となるトータルパワーの低下を有意に抑制した。
以上の結果から、イミダゾールジペプチドの継続的な摂取は、運動による疲労感および動体視力の低下を抑制し、運動パフォーマンスを維持する効果があることが示唆された。

Claims (26)

  1. 魚肉と、有効成分としてのイミダゾールジペプチドを含み、イミダゾールジペプチドの一日当たりの摂取量が50mg〜4000mgであることを特徴とする抗疲労及び/または運動パフォーマンス向上のための魚肉加工食品。
  2. イミダゾールジペプチドの一日当たりの摂取量の下限が112mg〜2000mgである、請求項1に記載の魚肉加工食品。
  3. 前記魚肉が、サケ・マス類、カツオ類及びマグロ類から選択される少なくとも1種の魚の魚肉である、請求項1または2に記載の魚肉加工食品。
  4. 前記魚肉として、少なくともサケ肉を含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の魚肉加工食品。
  5. 前記有効成分としてのイミダゾールジペプチドが、前記魚肉から供給されたものである、請求項1乃至4のいずれかに記載の魚肉加工食品。
  6. 食塩を含み、食塩の摂取量が1.5g/日以下である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の魚肉加工食品。
  7. イミダゾールジペプチドを、魚肉加工食品100g当たり65mg以上含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載の魚肉加工食品。
  8. イミダゾールジペプチドの、抗疲労及び/または運動パフォーマンス向上のための魚肉を含む魚肉加工食品の製造における有効成分としての使用方法であって、
    前記魚肉加工食品のイミダゾールジペプチドの一日当たりの摂取量が50mg〜4000mgであることを特徴とする使用方法。
  9. イミダゾールジペプチドの一日当たりの摂取量の下限が112mg〜2000mgである、請求項8に記載の使用方法。
  10. 前記魚肉が、サケ・マス類、カツオ類及びマグロ類から選択される少なくとも1種の魚の魚肉である、請求項8または9に記載の使用方法。
  11. 前記魚肉として、少なくともサケ肉を含む、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の使用方法。
  12. 前記有効成分としてのイミダゾールジペプチドが、前記魚肉から供給されたものである、請求項8乃至11のいずれかに記載の使用方法。
  13. 食塩を含み、食塩の摂取量が1.5g/日以下である、請求項8乃至12のいずれか1項に記載の使用方法。
  14. イミダゾールジペプチドを、魚肉加工食品100g当たり65mg以上含む請求項8乃至13のいずれか1項に記載の使用方法。
  15. 魚肉と、有効成分としてのイミダゾールジペプチドを含み、魚肉加工食品100g当たりイミダゾールジペプチドを65mg以上含むことを特徴とする抗疲労及び/または運動パフォーマンス向上のための魚肉加工食品。
  16. 前記魚肉が、サケ・マス類、カツオ類及びマグロ類から選択される少なくとも1種の魚の魚肉である、請求項15に記載の魚肉加工食品。
  17. 前記魚肉として、少なくともサケ肉を含む、請求項15または16に記載の魚肉加工食品。
  18. 前記有効成分としてのイミダゾールジペプチドが、前記魚肉から供給されたものである、請求項15乃至17のいずれかに記載の魚肉加工食品。
  19. 食塩を含み、食塩の摂取量が1.5g/日以下である、請求項15乃至18のいずれか1項に記載の魚肉加工食品。
  20. イミダゾールジペプチドの一日当たりの摂取量が50mg〜4000mgである請求項15乃至19のいずれか1項に記載の魚肉加工食品。
  21. イミダゾールジペプチドの、抗疲労及び/または運動パフォーマンス向上のための魚肉を含む魚肉加工食品の製造における有効成分としての使用方法であって、
    前記魚肉加工食品が該魚肉加工食品100g当たりイミダゾールジペプチドを65mg以上含むことを特徴とする使用方法。
  22. 前記魚肉が、サケ・マス類、カツオ類及びマグロ類から選択される少なくとも1種の魚の魚肉である、請求項21に記載の使用方法。
  23. 前記魚肉として、少なくともサケ肉を含む、請求項21または22に記載の使用方法。
  24. 前記有効成分としてのイミダゾールジペプチドが、前記魚肉から供給されたものである、請求項21乃至23のいずれかに記載の使用方法。
  25. 食塩を含み、食塩の摂取量が1.5g/日以下である、請求項21乃至24のいずれか1項に記載の使用方法。
  26. イミダゾールジペプチドの一日当たりの摂取量が50mg〜4000mgである請求項21乃至25のいずれか1項に記載の使用方法。
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