JP2019081896A - 近赤外線吸収性組成物、近赤外線吸収性膜及び固体撮像素子用イメージセンサー - Google Patents

近赤外線吸収性組成物、近赤外線吸収性膜及び固体撮像素子用イメージセンサー Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、経時における、構成材料の分散安定性及び近赤外線カット安定性に優れた近赤外線吸収性組成物と、これを用いて形成した近赤外線吸収性膜と、当該近赤外線吸収性膜を具備する固体撮像素子用イメージセンサーを提供することである。
【解決手段】本発明の近赤外線吸収性組成物は、近赤外線吸収剤と溶剤を含有する近赤外吸収性組成物であって、前記近赤外線吸収剤が、下記一般式(I)で表される構造を有するリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体1、及び下記一般式(II)で表される構造を有するリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体2であることを特徴とする。
Figure 2019081896

【選択図】図1

Description

本発明は、近赤外線吸収性組成物と、これを用いた近赤外線吸収性膜及び固体撮像素子用イメージセンサーに関し、より詳しくは、経時における、構成材料の分散安定性及び近赤外線カット安定性に優れた近赤外線吸収性組成物と、これを用いた近赤外線吸収性膜と、当該近赤外線吸収性膜を具備する固体撮像素子用イメージセンサーに関する。
近年、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーが用いられているが、これら固体撮像素子は、その受光部において近赤外線波長領域の光に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているため、視感度補正を行うことが必要であり、近赤外線カットフィルターを用いることが多い。
近年、このような近赤外線カットフィルターを形成するための材料として、ホスホン酸銅錯体を用いた近赤外線吸収性組成物が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
上記各特許文献においては、ホスホン酸銅錯体の分散媒体として、特許文献1では1種の溶媒を適用すること、特許文献2では特定の可溶化剤を1種適用すること、特許文献3では特定の溶媒を1種適用することにより、品質の向上、例えば、保存安定性の向上を図っているが、いずれも、近赤外線吸収性組成物としては、ホスホン酸銅塩に対し、バイダンーである樹脂成分を添加した後での安定性を問題としているが、バインダー成分を含まない状態での近赤外線吸収性組成物の安定性に関しての言及はなく、本発明者らが検討を行った結果、バインダー樹脂を添加する前の段階での近赤外線吸収性組成物の分散安定性が、最終品質に対し大きく影響を与えることが判明した。
一方、特許文献4には、高分子量のリン酸エステル化合物と銅化合物との反応により得られるリン酸エステル銅化合物を含有している近赤外光吸収層を備えた光学フィルターが開示されているが、このような高分子量のリン酸エステル銅化合物を単独で用いた場合には、経時におけるリン酸エステル銅微粒子の分散安定性及び近赤外線カット安定性が不十分であることが判明した。
特許第4684393号公報 特許第4926699号公報 特許第5890805号公報 特許第4422866号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、経時における、構成材料の分散安定性及び近赤外線カット安定性に優れた近赤外線吸収性組成物と、これを用いて形成した近赤外線吸収性膜と、当該近赤外線吸収性膜を具備する固体撮像素子用イメージセンサーに関する。
本発明者は、上記課題を解決すべく上記問題の原因等について検討した結果、近赤外線吸収剤と溶媒を含有する近赤外吸収性組成物であって、高分子量の一般式(I)で表される構造を有するリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体1と、低分子量の一般式(II)で表される構造を有するリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体2との混合物から構成される近赤外線吸収剤を用いた近赤外吸収性組成物により、近赤外線吸収性組成物を構成するリン酸エステル銅錯体粒子の経時における分散安定性及び近赤外カット安定性が向上した近赤外線吸収性組成物と、これを用いて形成した近赤外線吸収性膜と、当該近赤外線吸収性膜を具備する固体撮像素子用イメージセンサーを実現することができることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、近赤外線吸収剤と溶媒を含有する近赤外吸収性組成物であって、前記近赤外線吸収剤が、下記一般式(I)で表される構造を有するリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体1、及び下記一般式(II)で表される構造を有するリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体2であることを特徴とする近赤外吸収性組成物。
Figure 2019081896
〔上記一般式(I)において、Rは、下記一般式(A)〜(H)から選ばれる少なくとも一つの基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を表す。nは1又は2であり、nが1のときにRは同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(II)において、R′は炭素数が1〜8の範囲内にあるアルキル基を表し、総炭素数は1〜16の範囲内である。n′は1又は2であり、n′が1のときにR′は同一であっても異なっていてもよい。〕
Figure 2019081896
〔上記一般式(A)〜(H)において、R11〜R18はそれぞれ炭素数が1〜20の範囲内にあるアルキル基、炭素数が6〜20の範囲内にあるアリール基又はアラルキル基を表す(ただし、芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子が、炭素数1〜6の範囲内にあるアルキル基又はハロゲンによって少なくとも一つ置換されていてもよい。)。R21〜R25、R28、R29はそれぞれ水素原子又は炭素数が1〜4の範囲内にあるアルキル基を表す。R28及びR29の少なくとも1つは炭素数が1〜4のアルキル基を表し、R28及びR29が同時に水素原子になることはない。R31及びR32はそれぞれ炭素数が1〜6の範囲内にあるアルキレン基を表す。R41は炭素数が1〜10の範囲内にあるアルキレン基を表す。R51及びR52はそれぞれ炭素数が1〜20の範囲内にあるアルキル基を表す。mは1〜12の整数を表し、kは0〜5の整数を表す。pは1〜10の整数を表す。rは1〜10の整数を表す。〕
2.更に、ホスホン酸と銅イオンからなるホスホン酸銅錯体を含有することを特徴とする第1項に記載の近赤外線吸収性組成物。
3.前記一般式(I)又は前記一般式(II)で表される構造を有するリン酸エステルにおけるモノエステルとジエステルのうち、モノエステルのモル比率が40〜90%の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の近赤外線吸収性組成物。
4.前記ホスホン酸銅錯体を構成するホスホン酸が、下記ホスホン酸群から選ばれる少なくとも1種のアルキルホスホン酸であることを特徴とする第2項又は第3項に記載の近赤外線吸収性組成物。
ホスホン酸群:エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸、2−クロロエチルホスホン酸、3−ブロモプロピルホスホン酸、3−メトキシブチルホスホン酸、1,1−ジメチルプロピルホスホン酸、1,1−ジメチルエチルホスホン酸、1−メチルプロピルホスホン酸、フェニルホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、(4−アミノフェニル)ホスホン酸、(4−ブロモフェニル)ホスホン酸、3−ホスホノ安息香酸、4−ホスホノ安息香酸、及び(4−ヒドロキシフェニル)ホスホン酸。
5.近赤外線吸収性組成物全質量に対する固形分の比率が、10〜34質量%の範囲内であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。
6.前記ホスホン酸銅錯体を構成するリンの銅に対するモル比(リン/銅)の値が、1.5以下であることを特徴とする第2項から第5項までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。
7.少なくとも第1項から第6項までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物を用いたことを特徴とする近赤外線吸収性膜。
8.ポリシロキサンを有するマトリックス樹脂を含有することを特徴とする第7項に記載の近赤外線吸収性膜。
9.エポキシ基を有するマトリックス樹脂を含有することを特徴とする第7項に記載の近赤外線吸収性膜。
10.第7項から第9項までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性膜を具備していることを特徴とする固体撮像素子用イメージセンサー。
本発明の上記手段により、経時における、構成材料の分散安定性及び近赤外線カット安定性に優れた近赤外線吸収性組成物と、これを用いて形成した近赤外線吸収性膜と、当該近赤外線吸収性膜を具備する固体撮像素子用イメージセンサーを提供することができる。
本発明の効果の発現機構・作用機構については明確になっていないが、以下のように推察している。
本発明の近赤外線吸収性組成物においては、近赤外線吸収剤と溶媒を含有する近赤外吸収性組成物であって、当該近赤外線吸収剤が、前記一般式(I)で表される構造を有する高分子量のリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体1と、前記一般式(II)で表される構造を有する低分子量のリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体2を含有して構成されていることを特徴とする。また、本発明においては、銅錯体として、更にホスホン酸銅錯体を併用することが好ましい態様である。
本発明の近赤外線吸収性組成物では、上述した一般式(II)で表される構造を有する低分子量のリン酸エステルと銅イオンとによってリン酸エステル銅塩(銅錯体2)が形成され、これにより吸光係数の高い近赤外線吸収特性が発現すると考えられる。低分子量のリン酸エステル銅塩の粒子状態で存在すると考えられるが、一般式(I)で表される構造を有する高分子量のリン酸エステルが存在することにより、きわめて微細な状態で維持することが可能となり、この微細な分散状態により、可視光の透過性が確保できると推測される。また、必要に応じて、ホスホン酸銅錯体を共存、あるいは層状に塗膜することにより更に効果が発現される。ただし、作用は必ずしもこれらに限定されない。
本発明においては、それぞれ単独のリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体(以下、リン酸エステル銅錯体ともいう。)やホスホン酸銅錯体では予想できなかったシナジー効果が発現し、樹脂成分を添加する前の状態でのリン酸エステル銅錯体粒子や、必要に応じて併用されるホスホン酸銅錯体粒子の微粒子化や、長期保存後の粒径安定性や近赤外線カット安定性に優れた効果を発現することが判明した。
特に、近赤外領域に吸収特性を発現するリン酸エステル銅錯体や、必要に応じて併用されるホスホン酸銅錯体を、いかに安定して調製することができるかを検討する際に、例えば、ホスホン酸銅錯体及び低分子量のリン酸エステル銅錯体の形成段階で、特定構造を有する高分子量のリン酸エステルを初期状態から混合しておくことにより、より低分子量のリン酸エステル銅錯体、あるいは必要に応じて添加されるホスホン酸銅に作用しやすくなり、これらの構成材料と分散媒である溶媒とがより強い相互作用を発現することにより、各銅錯体粒子の分散時に大きな剪断力を必要とすることなく、数100nmレベルのリン酸エステル銅錯体粒子を形成することができるとこと判明した。
加えて、溶媒の少なくとも1種として、後述する一般式(3)で表されるオキシアルキレン単位を主鎖に有し、かつ分子量を190以下に限定した溶媒を適用することにより、溶媒としての優れた作用の他に、液状で分散媒として効果的に作用するため、この点からも、近赤外線吸収性組成物中における2種のリン酸エステル銅錯体粒子や、必要に応じて併用するホスホン酸銅錯体粒子の安定化に大きく貢献しているものと推測している。
本発明の近赤外線吸収性膜を具備した固体撮像素子を備えたカメラモジュールの構成の一例を示す概略断面図
本発明の近赤外線吸収性組成物では、近赤外線吸収剤と溶媒を含有する近赤外吸収性組成物であって、当該近赤外線吸収剤が、前記一般式(I)で表される構造を有する高分子量のリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体1と、前記一般式(II)で表される構造を有する低分子量のリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体2を含有して構成されていることを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の近赤外線吸収性組成物においては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、更に、ホスホン酸と銅イオンからなるホスホン酸銅錯体を併用する態様が、より優れた経時安定性(銅錯体粒子の分散安定性と近赤外線カット安定性)を有する近赤外線吸収性組成物を得ることができ点で好ましい。
また、本発明に係るリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体においては、モノエステルとジエステルのうち、モノエステルのモル比率が40〜90%の範囲内であることが、各銅錯体粒子の高い分散安定性を得ることができる点で好ましい。
また、ホスホン酸銅錯体を構成するホスホン酸として、特定構造のアルキルホスホン酸を適用することが、本願発明の目的であるより優れた近赤外線吸収能を得ることができる点で好ましい。
また、近赤外線吸収性組成物全質量に対する固形分の比率が、10〜34質量%の範囲内であることが、適切な固形物(例えば、銅錯体粒子)の濃度となり、保存期間中での粒子凝集性が抑制され、より優れた経時安定性(銅錯体粒子の分散安定性と近赤外線カット安定性)を得ることができる点で好ましい。
また、ホスホン酸銅錯体を構成する銅に対するリンのモル比(リン/銅)の値を、1.5以下とすることが、より優れた近赤外線吸収能を得ることができる点で好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《近赤外線吸収性組成物の構成》
本発明の近赤外線吸収性組成物は、近赤外線吸収剤及び溶剤を含有し、当該近赤外線吸収剤が、少なくとも前記一般式(I)で表される構造を有する高分子量のリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体1と、前記一般式(II)で表される構造を有する低分子量のリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体2を含有していることを特徴とする。
以下、本発明の近赤外線吸収性組成物の代表的な構成成分である高分子量のリン酸エステル及び低分子量のリン酸エステルと、ホスホン酸銅錯体及び溶媒等について説明する。ただし、本発明はここで例示する構成にのみ限定されるものではない。
〔高分子量のリン酸エステル銅錯体〕
本発明の近赤外線吸収性組成物は、下記一般式(I)で表される高分子量のリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体1を含有する。ここで、高分子量とは混合物の場合はその平均分子量が400以上のものを示す。
Figure 2019081896
上記一般式(I)において、Rは、下記一般式(A)〜(H)から選ばれる少なくとも一つの基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を表す。nは1又は2であり、nが1のときにRは同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2019081896
上記一般式(A)〜(H)において、R11〜R18はそれぞれ炭素数が1〜20の範囲内にあるアルキル基、炭素数が6〜20の範囲内にあるアリール基又はアラルキル基を表す(ただし、芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子が、炭素数1〜6の範囲内にあるアルキル基又はハロゲンによって少なくとも一つ置換されていてもよい。)。R21〜R25、R28、R29はそれぞれ水素原子又は炭素数が1〜4の範囲内にあるアルキル基を表す。R28及びR29の少なくとも1つは炭素数が1〜4のアルキル基を表し、R28及びR29が同時に水素原子になることはない。R31及びR32はそれぞれ炭素数が1〜6の範囲内にあるアルキレン基を表す。R41は炭素数が1〜10の範囲内にあるアルキレン基を表す。R51及びR52はそれぞれ炭素数が1〜20の範囲内にあるアルキル基を表す。mは1〜12の整数を表し、kは0〜5の整数を表す。pは1〜10の整数を表す。rは1〜10の整数を表す。
11〜R18で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ステアリル基等が挙げられる。
11〜R18で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、フルオレノニル基である。
11〜R18で表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
上記一般式(A)〜(H)において、好ましくは、一般式(A)、(B)、(E)、(F)、(G)及び(H)で表される構造を有する基であり、このような構造を有する化合物は市販品として入手することも可能であり、例えば、
1)第一工業製薬社製
プライサーフA212C:ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル
プライサーフA215C:ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル
プライサーフA208F:ポリオキシエチレンアルキル(C8)エーテルリン酸エステル
プライサーフM208F:ポリオキシエチレンアルキル(C8)エーテルリン酸エステル−モノエタノールアミン塩
プライサーフA208N:ポリオキシエチレンアルキル(C12、13)エーテルリン酸エステル
プライサーフA208B:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(油系分散剤)
プライサーフA210B:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル
プライサーフA219B:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(水系分散剤)
プライサーフDB−01:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル−モノエタノールアミン塩
プライサーフAL:ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル等、
2)日光ケミカルズ社製
NIKKOL DDP−2:ポリオキシエチレンアルキル(C12〜C15)エーテルリン酸(2E.O. ジ(C12−15)パレス−2リン酸)
NIKKOL DDP−4:ポリオキシエチレンアルキル(C12〜C15)エーテルリン酸(4E.O. ジ(C12−15)パレス−4リン酸)
NIKKOL DDP−6:ポリオキシエチレンアルキル(C12〜C15)エーテルリン酸(6E.O. ジ(C12−15)パレス−6リン酸)
NIKKOL DDP−8:ポリオキシエチレンアルキル(C12〜C15)エーテルリン酸(8E.O. ジ(C12−15)パレス−8リン酸)
NIKKOL DDP−10:ポリオキシエチレンアルキル(C12〜C15)エーテルリン酸(10E.O. ジ(C12−15)パレス−10リン酸)
NIKKOL DLP−10:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム(ジラウレス−10リン酸ナトリウム)
NIKKOL DOP−8NV:ポリオキシエチレンオレイユエーテルリン酸ナトリウム(ジオレス−8リン酸ナトリウム)等、
3)アデカ社製
アデカコールTS−230E、アデカコールCS−141E、アデカコールCS1361E、アデカコールCS−279(以上、芳香族リン酸エステル)、アデカコールPS−440E、アデカコールPS−810E、アデカコールPS−807、アデカコールPS−984(以上、脂肪族リン酸エステル)等、
を挙げることができる。
〔低分子量のリン酸エステル銅錯体〕
本発明の近赤外線吸収性組成物においては、低分子量のリン酸エステル銅錯体(銅錯体2)を含有することを特徴とする。ここで、低分子量とは混合物の場合はその平均分子量が400未満のものを示す。
〈低分子量リン酸エステル〉
本発明の近赤外線吸収性組成物は、下記一般式(II)で表される低分子量のリン酸エステルを含むことを特徴の一つとする。
Figure 2019081896
上記一般式(II)において、R′は炭素数が1〜8の範囲内にあるアルキル基を表し、総炭素数は1〜16の範囲内である。R′で表されるアルキル基は、分岐状、直鎖状又は環状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。
上記一般式(II)において、n′は1又は2であり、n′が1のときにR′は同一であっても異なっていてもよい。
代表的な一般式(II)で表される代表的な低分子量のリン酸エステルとしては、
1)リン酸メチルエステル
2)リン酸エチルエステル
3)リン酸n−プロピルエステル
4)リン酸i−プロピルエステル
5)リン酸n−ブチルエステル
6)リン酸t−ブチルエステル
7)リン酸n−ペンチルエステル
8)リン酸n−ヘキシルエステル
9)リン酸2−エチルヘキシルエステル
10)リン酸n−へプチルエステル
11)リン酸n−オクチルエステル
12)リン酸シクロヘキシルエステル
等を挙げることができる。
〔リン酸エステル銅錯体の合成〕
本発明に係る一般式(I)で表される構造を有する高分子量のリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体1及び前記一般式(II)で表される構造を有する低分子量のリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体2の形成に用いられる銅塩としては、2価の銅イオンを供給することが可能な銅塩が用いられる。例えば、無水酢酸銅、無水ギ酸銅、無水ステアリン酸銅、無水安息香酸銅、無水アセト酢酸銅、無水エチルアセト酢酸銅、無水メタクリル酸銅、無水ピロリン酸銅、無水ナフテン酸銅、無水クエン酸銅等の有機酸の銅塩、該有機酸の銅塩の水和物若しくは水化物;酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、リン酸銅、塩基性硫酸銅、塩基性炭酸銅等の無機酸の銅塩、該無機酸の銅塩の水和物若しくは水化物;水酸化銅が挙げられる。
本発明に係る一般式(I)で表される構造を有するリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体1、及び下記一般式(II)で表される構造を有するリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体2の合成方法については、例えば、特許第4422866号公報に記載されている方法を適用することができる。
〔リン酸エステル銅錯体の特性〕
本発明に係るリン酸エステルのリン酸基が配位結合及び/又はイオン結合により銅イオンに結合し、この銅イオンはリン酸エステルに囲まれた状態で近赤外光吸収性膜中に溶解又は分散されており、この銅イオンのd軌道間の電子遷移によって近赤外光が選択吸収される。また、近赤外光吸収成膜中におけるリン原子の含有量が銅イオン1モルに対して1.5以下が好ましく、更には、0.4〜1.3、すなわち、銅イオンに対するリン原子の含有比(以下、「P/Cu」という)がモル比で0.4〜1.3であると、近赤外線吸収性膜の耐湿性、及び近赤外光吸収層における銅イオンの分散性の観点から非常に好適であることが確認された。
P/Cuがモル比で0.4未満であると、リン酸エステルに対して配位する銅イオンが過剰となり、銅イオンが近赤外光吸収性膜中に均一に分散しにくくなる傾向にある。こうすると、その樹脂特有の特性を近赤外線吸収性膜に付与することができ、この場合にも、P/Cuがモル比で0.4未満であると、樹脂中に銅イオンを均一に分散させがたくなる。一方、P/Cuがモル比で1.3を超えると、近赤外線吸収性膜の厚さを薄くして銅イオンの含有量を高めたときに、失透が起こりやすくなる傾向にあり、高温多湿の環境では特にこの傾向が顕著となる。さらに、P/Cuがモル比で0.8〜1.3モルであるとより好ましい。このモル比が0.8以上であると、樹脂中への銅イオンの分散性を確実に且つ十分に高めることができる。
また、近赤外線吸収性膜における銅イオンの含有割合が上記下限値未満であると、近赤外線吸収性膜の厚さが1mm程度より薄くされたときに、十分な近赤外光吸収性を得ることが困難な傾向となる。一方、銅イオンの含有割合が上記上限値を超えると、銅イオンを近赤外光吸収膜中に分散させることが困難となる傾向にある。
〔ホスホン酸銅錯体〕
次いで、本発明に係るリン酸エステル銅錯体である銅錯体1及び銅錯体2とともに併用することが好ましいホスホン酸銅錯体について説明する。
はじめに、本発明に係るホスホン酸銅錯体を構成するホスホン酸化合物について説明する。
〈ホスホン酸化合物〉
本発明の近赤外線吸収性組成物においては、下記一般式(1)で表される構造を有するホスホン酸化合物を含むことが好ましい。
Figure 2019081896
上記一般式(1)において、Rは、炭素数が1〜30の範囲内にある分岐状、直鎖状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアリル基を表し、少なくとも一つの水素原子が、ハロゲン原子、オキシアルキル基、ポリオキシアルキル基、オキシアリール基、ポリオキシアリール基、アシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、又は、芳香環を有する基で置換されていても、置換されていなくてもよい。
一般式(1)で表される構造を有するホスホン酸化合物の例としては、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸、2−クロロエチルホスホン酸、3−ブロモプロピルホスホン酸、3−メトキシブチルホスホン酸、1,1−ジメチルプロピルホスホン酸、1,1−ジメチルエチルホスホン酸、1−メチルプロピルホスホン酸、ベンゼンホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸等が挙げられ、その一例を、下記化合物(H−1)〜(H−8)として例示する。
Figure 2019081896
本発明においては、ホスホン酸銅錯体を構成するホスホン酸が、下記ホスホン酸群から選ばれる少なくとも1種のアルキルホスホン酸であることが好ましい。
1:エチルホスホン酸
2:プロピルホスホン酸
3:ブチルホスホン酸
4:ペンチルホスホン酸
5:ヘキシルホスホン酸
6:オクチルホスホン酸
7:2−エチルヘキシルホスホン酸
8:2−クロロエチルホスホン酸
9:3−ブロモプロピルホスホン酸
10:3−メトキシブチルホスホン酸
11:1,1−ジメチルプロピルホスホン酸
12:1,1−ジメチルエチルホスホン酸
13:1−メチルプロピルホスホン酸
〈ホスホン酸銅錯体〉
本発明に係るホスホン酸銅錯体は、下記一般式(2)で表される構造を有する。
Figure 2019081896
一般式(2)において、Rはアルキル基、フェニル基、又はベンジル基である。
一般式(2)で表される構造を有するホスホン酸銅錯体の形成に用いられる銅塩としては、2価の銅イオンを供給することが可能な銅塩が用いられる。例えば、無水酢酸銅、無水ギ酸銅、無水ステアリン酸銅、無水安息香酸銅、無水アセト酢酸銅、無水エチルアセト酢酸銅、無水メタクリル酸銅、無水ピロリン酸銅、無水ナフテン酸銅、無水クエン酸銅等の有機酸の銅塩、該有機酸の銅塩の水和物若しくは水化物;酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、リン酸銅、塩基性硫酸銅、塩基性炭酸銅等の無機酸の銅塩、該無機酸の銅塩の水和物若しくは水化物;水酸化銅が挙げられる。
本発明においては、ホスホン酸銅錯体を構成するホスホン酸が、アルキルホスホン酸であることが好ましく、例えば、エチルホスホン酸銅錯体、プロピルホスホン酸銅錯体、ブチルホスホン酸銅錯体、ペンチルホスホン酸銅錯体、ヘキシルホスホン酸銅錯体、オクチルホスホン酸銅錯体、2−エチルヘキシルホスホン酸銅錯体、2−クロロエチルホスホン酸銅錯体、3−ブロモプロピルホスホン酸銅錯体、3−メトキシブチルホスホン酸銅錯体、1,1−ジメチルプロピルホスホン酸銅錯体、1,1−ジメチルエチルホスホン酸銅錯体、1−メチルプロピルホスホン酸銅錯体、フェニルホスホン酸銅錯体、4−メトキシフェニルホスホン酸銅錯体、(4−アミノフェニル)ホスホン酸銅錯体、(4−ブロモフェニル)ホスホン酸銅錯体、3−ホスホノ安息香酸銅錯体、4−ホスホノ安息香酸銅錯体、(4−ヒドロキシフェニル)ホスホン酸銅錯体等を挙げることができる。
〈ホスホン酸銅錯体の調製方法〉
ホスホン酸銅錯体の調製方法としては、特に制限はないが、例えば、下記の方法に従って調製することができる。
銅を供給する銅塩として、酢酸銅を用い、第1の溶媒として、例えば、テトラヒドロフラン(THF)と、第2の溶媒として、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、分子量:132)を混合及び溶解する。この際、濾過操作により、不溶解状態の銅塩(例えば、酢酸銅)を除去して、酢酸銅溶液を調製する。次に、この酢酸銅溶液に対して、第2の溶媒であるPGMEAを加えて撹拌し、A液を調製する。また、アルキルホスホン酸にTHFを加えて撹拌し、B液を調製する。次に、A液を撹拌しながらA液にB液を添加し、室温で一定時間撹拌する。次に、高温環境下、例えば、85℃で3時間、で溶媒であるTHFを揮発させて、溶媒中にアルキルホスホン酸銅の微粒子が分散されているホスホン酸銅錯体分散液を調製することができる。
〔溶媒〕
次いで、本発明の近赤外吸収性組成物の調製に適用可能な溶媒について説明する。
本発明の近赤外吸収性組成物に用いることができる溶媒は、特に限定されるものではないが、炭化水素系溶剤を挙げることができ、より好ましくは脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒を好ましい例として挙げることができる。
脂肪族炭化水素系溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の非環状脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶媒等が挙げられる。芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、イソプロピルビフェニル等が挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、例えば、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロホルム等)を挙げることができる。更に、2−エチルヘキサン、sec−ブチルエーテル、2−ペンタノール、2−メチルテトラヒドロフラン、2−プロピレングリコールモノメチルエーテル、2,3−ジメチル−1,4−ジオキサン、sec−ブチルベンゼン、2−メチルシクロヘキシルベンゼンなどを挙げることができる。中でもエーテル系溶媒が好ましくテトラヒドロフランが沸点や溶解性の点から好ましい。
本発明の近赤外線吸収性組成物においては、溶媒の少なくとも1種が、下記一般式(3)で表される構造を有し、かつ分子量が190以下の溶媒であることが好ましい。
Figure 2019081896
上記一般式(3)において、Rは水素原子又は1〜4価の有機基、Rは炭素数2〜4のアルキレン基、Rは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表し、aは0〜10の整数であり、bは1〜4の整数である。aは好ましくは1〜10の整数である。bが2以上の場合、括弧内で表される構造は、同じであっても異なっていてもよい。
上記一般式(3)で表される化合物の中でも、bが1である化合物が好ましい。
更には、一般式(3)において、分子量が190以下となる範囲で、Rは、水素原子、炭素数が2〜10のアシル基、炭素数が1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数が6〜10のアリール基若しくはアラルキル基を示し、アルキル基を構成する炭素原子に結合した少なくとも一つの水素原子が、ハロゲン原子、ヘテロ原子又は芳香環で置換されていてもよい。Rは炭素数が2〜4のアルキレン基を示し、nは1〜10を示す。アシル基の炭素数は、好ましくは2〜10である。アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15である。アリール基又はアラルキル基の炭素数は、好ましくは6〜20である。Rで示されるアルキレン基の炭素数は、好ましくは2〜3、更に好ましくは2である。
上記一般式(3)において、Rで表されるアシル基としてはジカルボン酸から誘導される2価の酸基も含まれ、例えば、2−エチルブタノイル基、(メタ)アクリロイル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ヘキサノイル基、ヘプタンジオイル基が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基、2−エチルヘキサノイル基が好ましい。また、Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、ノニル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基、ラウリル基が好ましい。またさらに、Rで表されるアリール基若しくはアラルキル基としては、フェニル基、4−ノニルフェニル基が好ましい。さらに、Rで表されるアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、テトラメチレン基が好適である。このような基を採用することで、銅を含むリン酸エステルの樹脂への溶解性及び分散性を顕著に向上させることができる。
本発明に適用可能な溶媒の化合物例を以下に示す。
1)PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(分子量:132)
2)PGEEA:プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(分子量:146)
3)PGBEA:プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート(分子量:174)
4)エチレングリコールジアセテート(分子量:146)
5)エチレングリコールジグリシジルエーテル(分子量:174)
6)エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(分子量:118)
7)エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(分子量:132)
8)エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(分子量:160)
9)エチレングリコールジブチルエーテル(分子量:174)
10)エチレングリコールモノアセテート(分子量:104)
11)エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(分子量:104)
12)エチレングリコールモノエチルエーテル(分子量:90)
13)エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル(分子量:106)
14)グリセリン1,3−ジアセテート(分子量:176)
15)グリセリン1,2−ジメチルエーテル(分子量:120)
16)グリセリン1,3−ジメチルエーテル(分子量:120)
17)グリセリン1,3−ジエチルエーテル(分子量:148)
18)2−クロロ−1,3−プロパンジオール(分子量110)
19)3−クロロ−1,2−プロパンジオール(分子量110)
20)ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(分子量:148)
21)ジエチレングリコールジメチルエーテル(分子量:134)
22)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(分子量:176)
23)ジエチレングリコールモノブチルエーテル(分子量:162)
24)ジエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量:120)
25)ジプロピレングリコール(分子量:134)
26)ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(分子量:176)
27)トリエチレングリコール(分子量:150)
28)トリエチレングリコールジメチルエーテル(分子量:178)
29)トリエチレングリコールモノエチルエーテル(分子量:178)
30)トリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量:164)
31)プロピレングリコール(分子量:76)
32)プロピレングリコールモノエチルエーテル(分子量:104)
上記分散剤の中でも、特に、1)〜17)、20)〜24)、26)、28)〜30)、32)で示す分散剤が好ましい。
(その他の溶媒)
上記一般式(3)で表される構造を有する溶媒と併用可能なその他の溶媒としては、例えば、分子量が190を超えるジオキシエチレンラウリルエーテル、トリオキシエチレンラウリルエーテル、テトラオキシエチレンラウリルエーテル、ペンタオキシエチレンラウリルエーテル、ヘキサオキシエチレンラウリルエーテル、ヘプタオキシエチレンラウリルエーテル、オクタオキシエチレンラウリルエーテル、ノナオキシエチレンラウリルエーテル、デカオキシエチレンラウリルエーテル、ウンデカオキシエチレンラウリルエーテル、ドデカオキシエチレンラウリルエーテル、トリデカオキシエチレンラウリルエーテル、テトラデカオキシエチレンラウリルエーテル等のエーテル系化合物や、ジエチレングリコールジメタクリレート(NKエステル2G、新中村化学工業社製、分子量:242)、トリエチレングリコールジメタクリレート(分子量286)、ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート(NKエステル4G、新中村化学工業社製、分子量:330)、トリプロピレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサネート)(アクロス社製)、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート等を挙げることができる。
《近赤外線吸収性膜とその適用分野》
本発明においては、本発明の近赤外線吸収性組成物を用いて、近赤外線吸収性膜を形成することを一つの特徴とする。
本発明の近赤外線吸収性膜は、本発明の高分子量のリン酸エステル銅錯体と低分子量のリン酸エステル銅錯体と、溶剤とを少なくとも含む近赤外線吸収性組成物に、マトリクス樹脂を添加し、マトリクス樹脂に各リン酸エステル銅錯体の微粒子、更に必要に応じてホスホン酸銅錯体が分散していることによって形成されている。また、吸収波形調整用の添加剤として、650〜800nmの波長域に吸収極大波長を有する近赤外色素を少なくとも1種、添加することができる。近赤外色素としては、例えば、シアニン色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素、フロシアニン色素、ナフタロシアニン色素等を挙げることができる。
上記構成よりなる近赤外線吸収性膜形成用塗布液をスピンコーティング又はディスペンサによる塗布により基板上に塗布して、近赤外線吸収性膜を形成する。その後、この塗膜に対して所定の加熱処理を行って塗膜を硬化させて、近赤外線吸収性膜を形成する。
本発明の近赤外線吸収性組成物は、少なくとも2種のリン酸エステル銅錯体を用いるが、これらのリン酸エステル銅錯体は、それぞれ別々の塗布液を調製して、別層として塗布して近赤外線吸収性膜を形成してよいし、又は、両者を混合した塗布液を調製し、この塗布液を用いて近赤外線吸収性膜を形成してもよい。
近赤外線吸収性膜の形成に用いるマトリクス樹脂(バインダー樹脂ともいう。)は、可視光線及び近赤外線に対し光透過性を有し、かつ、ホスホン酸銅錯体の微粒子を分散可能な樹脂である。ホスホン酸銅錯体は、比較的極性が低い物質であり、疎水性材料に良好に分散する。このため、近赤外線吸収性膜形成用のマトリクス樹脂としては、アクリル基、エポキシ基、又はフェニル基を有する樹脂を用いることができる。その中でも、特に、近赤外線吸収性膜のマトリクス樹脂としては、フェニル基を有する樹脂を用いることが好ましい。この場合、近赤外線吸収性膜のマトリクス樹脂が高い耐熱性を発揮する。また、ポリシロキサンシリコーン樹脂は、熱分解しにくく、可視光線及び近赤外線に対して高い光透過性を有し、耐熱性も高いので、固体撮像素子用イメージセンサー用の材料として有利な特性を有する。このため、近赤外線吸収性膜のマトリクス樹脂として、ポリシロキサンを用いることも好ましい。近赤外線吸収性膜のマトリクス樹脂として使用可能なポリシロキサンの具体例としては、KR−255、KR−300、KR−2621−1、KR−211、KR−311、KR−216、KR−212、及びKR−251を挙げることができる。これらはいずれも信越化学工業社製のシリコーン樹脂である。
また、シリコーン樹脂としては、例えば、SS−6203、SS−6309、VS−9301、VS−9506を挙げることができ、これらはいずれもサンユレック社製のシリコーン樹脂である。
本発明の近赤外線吸収性膜の形成に用いるマトリクス樹脂としては、低ガス透過性の観点から、エポキシ基を有するマトリックス樹脂を含有することが好ましい態様である。
この場合、近赤外線吸収性膜を構成するエポキシ基を有するマトリクス樹脂は、高い耐湿性を発揮するため、固体撮像素子用イメージセンサー用の材料として好適な特性を有する。
近赤外線吸収性膜のマトリクス樹脂として使用可能なエポキシ基を有する樹脂の具体例としては、KJC−X5(信越化学工業社製)、NLD−L−672(サンユレック社製)、LE−1421(サンユレック社製)、EpiFineシリーズ(KISCO社製)を挙げることができる。
また、近赤外線吸収性膜のマトリクス樹脂として、上記に挙げたポリシロキサンとエポキシ基の両方を有する樹脂を用いることも好ましい。
この場合、これらのポリシロキサンとエポキシ基の両方を有するマトリクス樹脂は、高い耐熱性、耐湿性を発揮するため、固体撮像素子用イメージセンサー用の材料として好適な特性を有する。
近赤外線吸収性膜のマトリクス樹脂として使用可能なポリシロキサンとエポキシ基の両方を有する樹脂の具体例としては、EpiFineシリーズ(KISCO社製)、ILLUMIKAシリーズ(カネカ社製)を挙げることができる。
(その他の添加剤)
本発明の近赤外線吸収性膜には、本発明の目的効果を損なわない範囲で、その他の添加剤を適用することができ、例えば、増感剤、架橋剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする近赤外線吸収膜の安定性、膜物性などの性質を調整することができる。
これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183〜、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0102、特開2008−250074号公報の段落番号0103〜0104、特開2008−250074号公報の段落番号0107〜0109等に記載されている内容の参考にすることができる。
本発明の近赤外線吸収性組成物は、液状の湿式塗布液とすることができるため、例えば、スピン塗布することにより膜を形成するという簡単な工程によって、近赤外線吸収性膜、例えば、近赤外線カットフィルターを容易に製造できる。
《固体撮像素子用イメージセンサーへの適用》
本発明の近赤外線吸収性膜は、例えば、CCD用、CMOS用又は他の受光素子用の視感度補正部材、測光用部材、熱線吸収用部材、複合光学フィルター、レンズ部材(眼鏡、サングラス、ゴーグル、光学系、光導波系)、ファイバ部材(光ファイバ)、ノイズカット用部材、プラズマディスプレイ前面板等のディスプレイカバー又はディスプレイフィルター、プロジェクタ前面板、光源熱線カット部材、色調補正部材、照明輝度調節部材、光学素子(光増幅素子、波長変換素子等)、ファラデー素子、アイソレータ等の光通信機能デバイス、光ディスク用素子等を構成するものとして好適である。
本発明の近赤外線吸収性組成物の用途は、特に、固体撮像素子基板の受光側における近赤外線カットフィルター用(例えば、ウエハーレベルレンズに対する近赤外線カットフィルター用など)、固体撮像素子基板の裏面側(受光側とは反対側)における近赤外線カットフィルター用などとして、固体撮像素子用イメージセンサーに適用することが特徴である。
詳しくは、本発明の近赤外線吸収性膜(近赤外線カットフィルター)は、固体撮像素子用イメージセンサー上に具備する。
図1は、本発明の近赤外線吸収性膜である赤外線カットフィルターを具備した固体撮像素子を備えたカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。なお、図1の説明において、構成要素の末尾に括弧内で記載した数字は、各図における符号を表す。
図1に示すカメラモジュール(1)は、実装基板である回路基板(12)に接続部材であるハンダボール(60)を介して接続されている。
詳細には、カメラモジュール(1)は、シリコーン基板の第1の主面に撮像素子部を備えた固体撮像素子基板(10)と、固体撮像素子基板(10)の第1の主面側(受光側)に設けられた平坦化層(8)と、平坦化層(8)の上に設けられた近赤外線カットフィルター(9、近赤外線吸収性膜)と、近赤外線カットフィルター(9)の上方に配置されるガラス基板(3、光透過性基板)と、ガラス基板(3)の上方に配置され内部空間に撮像レンズ(4)を有するレンズホルダー(5)と、固体撮像素子基板(10)及びガラス基板(3)の周囲を囲うように配置された遮光兼電磁シールド(6)と、を備えて構成されている。各部材は、接着剤(2、7)により接着されている。
本発明は、固体撮像素子基板と、上記固体撮像素子基板の受光側に配置された赤外線カットフィルターとを有するカメラモジュールの製造方法であって、固体撮像素子基板の受光側において、上記本発明の赤外線吸収性液状組成物をスピンコーティングすることにより、近赤外線吸収性膜を形成することができる。
よって、カメラモジュール(1)においては、例えば、平坦化層(8)の上に、本発明の近赤外線吸収性組成物をスピンコーティングすることにより近赤外線吸収性膜を形成して、近赤外線カットフィルター(9)を形成する。
カメラモジュール(1)では、外部からの入射光(L)が、撮像レンズ(4)、ガラス基板(3)、近赤外線カットフィルター(9)、平坦化層(8)を順次透過した後、固体撮像素子基板(10)の撮像素子部に到達するようになっている。
また、カメラモジュール(1)は、固体撮像素子基板(10)の第2の主面側で、ハンダボール(11、接続材料)を介して回路基板(12)に接続されている。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行った。
実施例1
《近赤外線吸収性組成物の調製》
(近赤外線吸収性組成物1の調製)
下記の方法に従って、近赤外線吸収性組成物1を調製した。
酢酸銅を1.8gと、溶媒としてのテトラヒドロフラン(略称:THF)を60gと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(略称:PGMEA)を12g混合し、超音波照射機を用いて溶解し、濾過操作を行って不溶解の酢酸銅を除去して、溶媒(TTHF/PGMEA)を含む酢酸銅溶液を得た。
次いで、この酢酸銅溶液の60gに対して、高分子量のリン酸エステルとして、第一工業製薬社製のプライサーフA208F(商品名)を1.0g加えて撹拌し、A液を調製した。
一方、低分子量リン酸エステルとしてリン酸メチルエステルの0.63g(エステル比は表1に示す)にTHF6.0gを加えて撹拌し、B液を調製した。
次いで、A液を撹拌しながらA液にB液を順次添加し、室温で16時間撹拌した後、85℃の環境で3時間かけて溶媒であるTHFを揮発させた。
このようにして、リン酸メチルエステル銅錯体微粒子(銅錯体2)と、PGMEA及びプライサーフA208Fにより形成した高分子量のリン酸エステル銅錯体(銅錯体1)を含む近赤外線吸収性組成物1の5.4gを調製した。最後に、最終的な固形分比率を、リン酸メチルエステル銅錯体微粒子及び高分子量のリン酸エステル銅錯体以外の非固形成分の添加量を適宜調整し、固形分が20質量%となるようにして、近赤外線吸収性組成物1を調製した。
この近赤外線吸収性組成物1における銅イオンに対する高分子量のリン酸エステルのP原子のモル比率と、銅イオンに対する低分子量のリン酸エステルであるリン酸メチルエステル銅錯体のP原子の比率を原子吸光法で測定した結果、0.16:0.76(モル比率)であった。
(近赤外線吸収性組成物2及び3の調製)
上記近赤外線吸収性組成物1の調製において、低分子量のリン酸エステルとして、リン酸メチルエステルに代えて、エステル比の異なる2種のリン酸エチルエステル(エステル比は表Iに示す)を用いた以外は同様にして、近赤外線吸収性組成物2及び3を調製した。
(近赤外線吸収性組成物4及び5の調製)
上記近赤外線吸収性組成物1の調製において、低分子量のリン酸エステルとして、リン酸メチルエステルに代えて、エステル比の異なる2種のリン酸プロピルエステル(エステル比は表Iに示す)を用い、更に、高分子量のリン酸エステルとして、プライサーフA208Fに代えて、プライサーフA210Bを用いた以外は同様にして、近赤外線吸収性組成物4及び5を調製した。
(近赤外線吸収性組成物6〜12の調製)
上記近赤外線吸収性組成物1の調製において、上記2〜5と同様に表Iに示した構成要様に、低分子量のリン酸エステルの種類、溶媒の種類を適宜変更した以外は同様にして、近赤外線吸収性組成物6〜10を調製した。
(近赤外線吸収性組成物11の調製)
上記近赤外線吸収性組成物1の調製において、低分子量のリン酸エステルを除いた以外は同様にして、高分子量のリン酸エステルのみを用いた以外は同様にして、近赤外線吸収性組成物11を調製した。
(近赤外線吸収性組成物12の調製)
上記近赤外線吸収性組成物1の調製において、低分子量のリン酸エステルにおけるエステル比率として、ジエステル単独で、アルキル基の炭素数が10としたリン酸エステルを用いた以外は同様にして、近赤外線吸収性組成物12を調製した。
(近赤外線吸収性組成物13の調製)
〈第1液の調製〉
上記近赤外線吸収性組成物8の調製において、溶媒のPGMEAをPGBEAに変更し、固形分を30%に変更した以外は同様にして、第1液である近赤外線吸収性組成物13−1を調製した。
〈第2液の調製〉
更に上記近赤外線吸収性組成物1の調製において、低分子量のリン酸エステルとして用いたリン酸メチルエステルに代えて、ホスホン酸化合物であるプロピルホスホン酸を用いて固形分を30%に調整した以外は同様にして、第2液である近赤外線吸収性組成物13−2を調製した。
〈近赤外線吸収性組成物〉
上記調製した第1液である近赤外線吸収性組成物13−1及び第2液である近赤外線吸収性組成物13−2を全量混合して、近赤外線吸収性組成物13を調製した。
(近赤外線吸収性組成物14〜25の調製)
上記近赤外線吸収性組成物13の調製において、表Iに示した第1液及び第2液の組成に適宜変更を行った以外は同様にして、近赤外線吸収性組成物14〜25を調製した。
Figure 2019081896
なお、表Iに略称で記載した各構成材料の詳細は、以下のとおりである。
(銅錯体1:高分子量のリン酸エステル)
*A:プライサーフA208F(ポリオキシエチレンアルキル(C8)エーテルリン酸エステル 第一工業製薬社製)
*B:プライサーフA210B(ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル
第一工業製薬社製)
*C:プライサーフA208N(ポリオキシエチレンアルキル(C12、13)エーテルリン酸エステル 第一工業製薬社製)
*D:NIKKOL DDP−2(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(2エチレンオキサイド) 日光ケミカルズ社製)
*E:NIKKOL DDP−8(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(8エチレンオキサイド) 日光ケミカルズ社製)
(銅錯体2;低分子量のリン酸エステル)
表Iに記載の低分子量のリン酸エステルにおけるモノエステルとジエステルのモル比率(%)において、その総数が100%に満たないものは、上記リン酸エステルの他に不純物を含んでいることを表す。
(溶媒)
THF:テトラヒドロフラン
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGEEA:プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート
PGBEA:プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート
《近赤外線吸収性組成物の評価》
上記調製した各近赤外線吸収性組成物について、下記の方法に従って、粒径安定性及び可視光透過率安定性の評価を行った。
〔粒径安定性の評価〕
(調製直後の平均粒径の測定)
近赤外線吸収性組成物1〜12については、粒子であるリン酸エステル銅錯体の粒子濃度が1.0質量%となるように、近赤外線吸収性組成物の溶媒成分で希釈したサンプル1を調製した。
また、近赤外線吸収性組成物13〜25については、粒子であるリン酸エステル銅錯体及びホスホン酸銅錯体の総粒子濃度が1.0質量%となるように、近赤外線吸収性組成物の溶媒成分で希釈したサンプル1を調製した。
次いで、サンプル1を、測定装置として大塚電子株式会社製のELSZ−1000を用いた動的光散乱法により測定した。
上記方法で測定した調製直後の平均粒径を、下記の基準に従ってランク付けを行った。
◎:平均粒径が、10〜200nmの範囲内である
○:平均粒径が、201〜400nmの範囲内である
△:平均粒径が、401〜600nmの範囲内である
×:平均粒径が、601nm以上である
(保存後の平均粒径の測定)
近赤外線吸収性組成物(原液)を、ガラス容器に収納し、窒素ガスを充填した状態で密閉し、この容器を、5℃で3日間暗所保存した後、上記と同様の方法で、保存液を粒子であるリン酸エステル銅錯体、又はリン酸エステル銅錯体とホスホン酸銅錯体の総粒子濃度が1.0質量%となるように、近赤外線吸収性組成物の溶媒成分で希釈した保存処理後のサンプル2を調製した。
次いで、サンプル2について、上記と同様の方法で平均粒径を測定し、同様のランク付けを行った。
〔可視光透過率安定性の評価〕
(調製直後の可視光透過率の測定)
近赤外線吸収性組成物1〜12については、粒子であるリン酸エステル銅錯体の粒子濃度が1.0質量%となるように、近赤外線吸収性組成物の溶媒成分で希釈したサンプル1を調製した。
また、近赤外線吸収性組成物13〜25については、粒子であるリン酸エステル銅錯体及びホスホン酸銅錯体の総粒子濃度が1.0質量%となるように、近赤外線吸収性組成物の溶媒成分で希釈したサンプル1を調製した。
次いで、サンプル1を、測定装置として日本分光社製の分光光度計V−570を用い、380〜1200nmの分光透過率を測定した。次いで、750〜1100nmにおける平均分光透過率を1.0%としたときの、可視光領域(400〜750nm)における最大透過率Tmax1を測定した。
次いで、上記方法で測定した調製直後の近赤外線吸収性組成物の可視光領域での最大透過率Tmax1を、下記の基準に従ってランク付けを行った。
◎:最大透過率Tmax1が、95%以上である
○:最大透過率Tmax1が、93%以上、95%未満である
△:最大透過率Tmax1が、90%以上、93%未満である
×:最大透過率Tmax1が、90%未満である
(保存後の可視光透過率の測定)
近赤外線吸収性組成物(原液)を、ガラス容器に収納し、窒素ガスを充填した状態で密閉し、この容器を、5℃で3日間暗所保存した後、上記と同様の方法で、保存液を粒子であるリン酸エステル銅錯体、又はリン酸エステル銅錯体とホスホン酸銅錯体の総粒子濃度が1.0質量%となるように、近赤外線吸収性組成物の溶媒成分で希釈した保存処理後のサンプル2を調製した。
次いで、サンプル2について、上記と同様の方法で、保存後の可視光領域(400〜750nm)における最大透過率Tmax2を測定した。
次いで、上記測定した調製直後のサンプル1の最大透過率Tmax1に対する、保存後のサンプル2の最大透過率Tmax2の可視光透過率の低下幅(Tmax1−Tmax2)を求め、下記の基準に従って、保存後の可視光透過率のランク付けを行った。
◎:可視光透過率の低下幅が、1.0%未満である
○:可視光透過率の低下幅が、1.0%以上、3.0%未満である
△:可視光透過率の低下幅が、3.0%以上、5.0%未満である
×:可視光透過率の低下幅が、5.0%未満である
以上により得られた結果を、表IIに示す。
Figure 2019081896
表IIに記載の結果より明らかなように、本発明の近赤外線吸収性組成物は、比較例に対し、調製直後のリン酸エステル酸銅錯体粒子の平均粒子が小さく、かつ、保存されたのちの平均粒径の凝集などに起因する劣化率が低く、保存安定性に優れていることが分かる。更に、本発明の近赤外線吸収性組成物は、比較例に対し、近赤外領域の透過率に対する可視光領域における透過率が高く、可視光の透過率への影響が少なく、優れた近赤外光のカット能を有していることが分かる。更に、保存処理を行っても、その特性は変化しないことが分かる。また、近赤外線吸収性組成物13〜25で実証したように、ホスホン酸銅錯体粒子を加えることにより、上記特性が更に向上することが分かる。
実施例2
《近赤外線吸収性膜の作製》
実施例1で調製した各近赤外線吸収性組成物に、ポリシロキサンシリコーン樹脂(KR−255、信越化学工業社製)を加えて撹拌して、近赤外線吸収性膜形成用の塗布液を調製した。調製した塗布液をスピンコーティングにより基板上に塗布して近赤外線吸収性膜を形成した。
次いで、近赤外線吸収性膜に対して所定の加熱処理を行って塗膜を硬化させ、固体撮像素子用イメージセンサーに適用可能な近赤外線カットフィルターを作製した。
次いで、実施例1に記載の方法と同様にして保存処理後の各近赤外線吸収性組成物を用いて、同様にして、近赤外線カットフィルターを作製した。
上記作製した各近赤外線カットフィルターについて、実施例1に記載の方法と同様にして、可視光透過率安定性の評価した結果、フィルム系でも同様の効果が得られることを確認した。
実施例3
《近赤外線吸収性膜の作製》
実施例1で調製した各近赤外線吸収性組成物に、エポキシ基を有する樹脂(KJC−X5、信越化学工業社製)を加えて撹拌して、近赤外線吸収性膜形成用の塗布液を調製した。調製した塗布液をスピンコーティング法により基板上に塗布して近赤外線吸収性膜を形成した。
次いで、形成した近赤外線吸収性膜に対し、所定の加熱処理を行って塗膜を硬化させ、固体撮像素子用イメージセンサーに適用可能な近赤外線カットフィルターを作製した。
次いで、実施例1に記載の方法と同様にして保存処理後の各近赤外線吸収性組成物を用いて、同様にして、近赤外線カットフィルターを作製した。
上記作製した各近赤外線カットフィルターについて、実施例1に記載の方法と同様にして、可視光透過率安定性の評価した結果、フィルム系でも同様の効果が得られることを確認した。
1 カメラモジュール
2、7 接着剤
3 ガラス基板
4 撮像レンズ
5 レンズホルダー
6 遮光兼電磁シールド
8 平坦化層
9 近赤外線吸収性膜(近赤外線カットフィルター)
10 固体撮像素子基板
11 ハンダボール
12 回路基板
13 撮像素子部

Claims (10)

  1. 少なくとも、近赤外線吸収剤と溶媒を含有する近赤外吸収性組成物であって、前記近赤外線吸収剤が、下記一般式(I)で表される構造を有するリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体1、及び下記一般式(II)で表される構造を有するリン酸エステルと銅イオンからなる銅錯体2であることを特徴とする近赤外吸収性組成物。
    Figure 2019081896
    〔上記一般式(I)において、Rは、下記一般式(A)〜(H)から選ばれる少なくとも一つの基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルケニル基を表す。nは1又は2であり、nが1のときにRは同一であっても異なっていてもよい。
    上記一般式(II)において、R′は炭素数が1〜8の範囲内にあるアルキル基を表し、総炭素数は1〜16の範囲内である。n′は1又は2であり、n′が1のときにR′は同一であっても異なっていてもよい。〕
    Figure 2019081896
    〔上記一般式(A)〜(H)において、R11〜R18はそれぞれ炭素数が1〜20の範囲内にあるアルキル基、炭素数が6〜20の範囲内にあるアリール基又はアラルキル基を表す(ただし、芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子が、炭素数1〜6の範囲内にあるアルキル基又はハロゲンによって少なくとも一つ置換されていてもよい。)。R21〜R25、R28、R29はそれぞれ水素原子又は炭素数が1〜4の範囲内にあるアルキル基を表す。R28及びR29の少なくとも1つは炭素数が1〜4のアルキル基を表し、R28及びR29が同時に水素原子になることはない。R31及びR32はそれぞれ炭素数が1〜6の範囲内にあるアルキレン基を表す。R41は炭素数が1〜10の範囲内にあるアルキレン基を表す。R51及びR52はそれぞれ炭素数が1〜20の範囲内にあるアルキル基を表す。mは1〜12の整数を表し、kは0〜5の整数を表す。pは1〜10の整数を表す。rは1〜10の整数を表す。〕
  2. 更に、ホスホン酸と銅イオンからなるホスホン酸銅錯体を含有することを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収性組成物。
  3. 前記一般式(I)又は前記一般式(II)で表される構造を有するリン酸エステルにおけるモノエステルとジエステルのうち、モノエステルのモル比率が40〜90%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の近赤外線吸収性組成物。
  4. 前記ホスホン酸銅錯体を構成するホスホン酸が、下記ホスホン酸群から選ばれる少なくとも1種のアルキルホスホン酸であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の近赤外線吸収性組成物。
    ホスホン酸群:エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸、2−クロロエチルホスホン酸、3−ブロモプロピルホスホン酸、3−メトキシブチルホスホン酸、1,1−ジメチルプロピルホスホン酸、1,1−ジメチルエチルホスホン酸、及び1−メチルプロピルホスホン酸
  5. 近赤外線吸収性組成物全質量に対する固形分の比率が、10〜34質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。
  6. 前記ホスホン酸銅錯体を構成するリンの銅に対するモル比(リン/銅)の値が、1.5以下であることを特徴とする請求項2から請求項5までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。
  7. 少なくとも請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物を用いたことを特徴とする近赤外線吸収性膜。
  8. ポリシロキサンを有するマトリックス樹脂を含有することを特徴とする請求項7に記載の近赤外線吸収性膜。
  9. エポキシ基を有するマトリックス樹脂を含有することを特徴とする請求項7に記載の近赤外線吸収性膜。
  10. 請求項7から請求項9までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性膜を具備していることを特徴とする固体撮像素子用イメージセンサー。
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