JP2019081166A - 油分離器 - Google Patents

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森 一起
Kazuoki Mori
一起 森
井上 貴司
Takashi Inoue
貴司 井上
治則 宮村
Harunori Miyamura
治則 宮村
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Abstract

【課題】外筒(71)と内筒(82)を有する油分離器(40)で油分離効率が低下するのを抑制する。【解決手段】分離器本体(70)の上側を閉塞する天板(81)の下面に、内筒(82)と外筒871)の間の環状部分(91)に位置する円周状の溝(92)を形成して、天板(81)の下面を伝って内筒(82)へ向かう油滴を捕捉して油溜まりに落下させ、天板(81)から内筒(82)の下端まで進んだ油が、内筒(82)から流出する流体の流れに巻き込まれて流体と一緒に油分離器(40)から流出するのを抑制する。【選択図】図4

Description

本開示は、遠心分離式の油分離器に関する。
従来の遠心分離式の油分離器として、特許文献1には、筒状の外筒を有する分離器本体(筐体)と、分離器本体の上側を閉塞する天板と、油を含む流体を上記外筒の流入口から上記分離器本体の内部へ導入する流入管と、上記分離器本体の内部で上下方向に延在して流体を上記分離器本体から流出させる内筒(仕切板)とを有し、外筒と内筒の間を流体が旋回する油分離器が開示されている。遠心力で流体から分離された油滴は外筒の内面に付着し、さらに外筒の内面を伝って下降して分離器本体の下部に貯留される。
特許第5112152号公報
ここで、図23を用いて従来の油分離器(100)における流体や油の流れを説明する。
図において、油分離器(100)で例えば流体の流量が多い条件の場合などには、流入口(101)から外筒(102)へ入った流体中の油が天板(103)に衝突しやすいので、油滴が天板(103)に付着しやすい。また、流体の流速が増大した場合などは、天板(103)付近で旋回流によどみが生じ、外筒(102)と内筒(104)の間で図に矢印で示すような二次流れ(105)が発生することがある。この二次流れ(105)が発生すると、天板(103)に付着した油滴が天板(103)の下面を伝って径方向内方へ移動し、内筒(104)に付着する。内筒(104)に付着した油滴は内筒(104)の外周面を下降する。その結果、内筒(104)の下端で油滴が油分離器(100)から流出する流体に巻き込まれ、油分離器(100)から流出する。その結果、油分離器から流出する油の量が多くなり、油分離効率が低下するおそれがある。
本開示の目的は、外筒と内筒を有する油分離器における油分離効率の低下を抑制することである。
第1の態様は、筒状の外筒(71)を有し且つ油を含む流体が流入する分離器本体(70)と、上記分離器本体(70)の上側を閉塞する天板(81)と、上記分離器本体(70)の内部で上下に延在するとともに流体を上記分離器本体(70)から流出させる内筒(82)を有し、上記流体が上記内筒(82)の周りを旋回する遠心分離式の油分離器であって、上記天板(81)の下面には、上記内筒(82)の外周面と上記外筒(71)の内周面との間の環状部分に1つまたは複数の溝(92)が形成されていることを特徴とする。
この第1の態様では、天板(81)に付着した油滴は、天板(81)の環状部分に形成された溝(92)により、径方向内方へ移動するときに捕捉される。捕捉された油滴は溝(92)に沿って移動するうちに、他の油滴と結合して成長するなどして、自重で天板(81)から落下する。したがって、内筒(82)の下端で流体に巻き込まれて油分離器から流出しにくくなる。その結果、油分離効率が低下するのを抑制できる。
第2の態様は、第1の態様において、上記溝(92)は、上記環状部分の周方向へのびる溝であることを特徴とする。
この第2の態様では、天板(81)に付着した油滴は、天板(81)の環状部分の周方向へのびる溝(92)により、径方向内方へ移動するときに捕捉される。捕捉された油滴は溝(92)に沿って周方向へ移動するうちに、他の油滴と結合して成長するなどして、自重で天板(81)から落下する。したがって、内筒(82)の下端で流体に巻き込まれて油分離器から流出しにくくなる。その結果、油分離効率が低下するのを抑制できる。
第3の態様は、第2の態様において、上記溝(92)は、上記環状部分に同心状に配置された複数の溝であることを特徴とする。
この第3の態様では、天板(81)に付着した油滴は、天板(81)の環状部分に同心状に配置された複数の溝(92)により、径方向内方へ移動するときに捕捉される。捕捉された油滴は溝(92)に沿って周方向へ移動するうちに、他の油滴と結合して成長するなどして、自重で天板(81)から落下する。したがって、内筒(82)の下端で流体に巻き込まれて油分離器から流出しにくくなる。その結果、油分離効率が低下するのを抑制できる。
第4の態様は、第1の態様において、上記溝(92)は、上記環状部分を上記流体の旋回方向へ進むに従って径方向内側から径方向外側へ広がる螺旋状の溝であることを特徴とする。
この第4の態様では、天板(81)に付着した油滴は、天板(81)の環状部分を上記流体の旋回方向へ進むに従って径方向内側から径方向外側へ広がる螺旋状の溝(92)により、径方向内方へ移動するときに捕捉される。捕捉された油滴は溝(92)に沿って周方向へ移動するうちに、他の油滴と結合して成長するなどして、自重で天板(81)から落下する。また、天板(81)から落下しなくても、外筒(71)まで達すると外筒(71)を伝って油溜まりまで下降する。したがって、内筒(82)の下端で流体に巻き込まれて油分離器から流出しにくくなる。その結果、油分離効率が低下するのを抑制できる。
第5の態様は、第1の態様において、上記溝(92)は、上記環状部分の径方向線分に対して傾斜する複数の溝であり、各溝(92)は、径方向内側部分から径方向外側部分へ向かって、上記流体の旋回方向手前側から旋回方向奥側へ傾斜していることを特徴とする。
この第5の態様では、天板(81)に付着した油滴は、環状部分の径方向線分に対して上記の方向へ傾斜する複数の溝(92)により、径方向内方へ移動するときに捕捉される。捕捉された油滴は溝(92)に沿って周方向へ移動するうちに、他の油滴と結合して成長するなどして、自重で天板(81)から落下するか、天板(81)から落下しなくても、外筒(71)まで達すると外筒(71)を伝って油溜まりまで下降する。したがって、内筒(82)の下端で流体に巻き込まれて油分離器から流出しにくくなる。その結果、油分離効率が低下するのを抑制できる。
第6の態様は、第5の態様において、各溝(92)は、上記流体の旋回方向手前側縁部の傾斜角度と旋回方向奥側縁部の傾斜角度が異なり、径方向内側部分よりも径方向外側部分の幅が広いことを特徴とする。
この第6の態様では、天板(81)に付着した油滴は、環状部分の径方向線分に対して上記の方向へ傾斜する複数の溝(92)により、径方向内方へ移動するときに捕捉される。捕捉された油滴は溝(92)に沿って周方向へ移動するうちに、他の油滴と結合して成長するなどして、自重で天板(81)から落下するか、天板(81)から落下しなくても、外筒(71)まで達すると外筒(71)を伝って油溜まりまで下降する。なお、この第6の態様では、径方向内側部分よりも径方向外側部分の幅が広いため、油滴が結合して成長しやすいので、天板(81)から落下しやすい。したがって、内筒(82)の下端で流体に巻き込まれて油分離器から流出しにくくなる。その結果、油分離効率が低下するのを抑制できる。
第7の態様は、筒状の外筒(71)を有する分離器本体(70)と、上記分離器本体(70)の上側を閉塞する天板(81)と、油を含む流体を上記分離器本体(70)の内部へ導入する流入管(50)と、上記分離器本体(70)の内部で上下に延在して流体を上記分離器本体(70)から流出させる内筒(82)と、上記流体が上記内筒(82)の周りを旋回する遠心分離式の油分離器であって、上記流体から分離された油滴が上記天板(81)に付着して上記内筒(82)へ向かう流れが生じるのを抑制する油流れ抑制部(90)を備えていることを特徴とする。
この第7の態様では、油分離器の内部において、流体から分離された油滴が上記天板(81)に付着して上記内筒(82)へ向かう流れが生じるのが抑制される。したがって、天板(81)に油滴が付着しにくくなるか、天板(81)に油滴が付着しても、その油滴は、内筒(82)へ向かって径方向内方に移動しにくくなる。したがって、油滴は、内筒(82)に付着しにくくなるので、内筒(82)の下端で流体に巻き込まれて油分離器から流出しにくくなる。その結果、油分離効率が低下するのを抑制できる。
第8の態様は、第1から第6の態様の何れか1つにおいて、
上記天板(81)の下面及び上記内筒(82)の外周面の少なくとも一方に、撥油性被膜(97)が形成されていることを特徴とする。
この第8の態様では、天板(81)の下面に撥油性被膜(97)を形成すると、天板(81)に油滴が付着しても、その油滴は、内筒(82)へ向かって径方向内方に移動しにくくなる。内筒(82)の外周面に撥油性被膜(97)を形成すると、天板(81)に油滴が付着しても、油滴は、内筒(82)に付着しにくくなる。したがって、油滴が内筒(82)の下端で流体に巻き込まれて油分離器から流出しにくくなり、油分離効率が低下するのを抑制できる。
第9の態様は、第1から第8の態様の何れか1つにおいて、
上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方に、親油性被膜(98)が形成されていることを特徴とする。
この第9の態様では、外筒(71)の内周面に親油性被膜(98)を形成すると、油分離器の内部において、流体から分離された油滴が外筒(71)の内周面に付着しやすくなるとともに、外筒(71)の内周面に付着した油滴が上記天板(81)の下面や上記内筒(82)の外周面へ向かって移動しにくくなる。したがって、外筒(71)の内周面に付着した油滴は油分離器から流出しにくくなり、油分離効率が低下するのを抑制できる。内筒(82)の内周面に親油性被膜(98)を形成すると、油滴が内筒(82)の下端で流体に巻き込まれても、油滴が内筒(82)の内周面に付着してそこから油分離器の外へ移動しにくくなる。したがって、内筒(82)の内周面に付着した油滴が油分離器から流出しにくくなり、油分離効率が低下するのを抑制できる。
第10の態様は、第1から第9の態様の何れか1つにおいて、
上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方は、複数の凹凸により形成された油保持部(99)を有することを特徴とする。
この第10の態様では、油滴は、外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方に形成される油保持部(99)に捕捉され、油分離器から流出しにくくなるので、油分離効率が低下するのを抑制できる。
第11の態様は、第7の態様において、
上記油流れ抑制部(90)は、上記天板(81)の下面及び上記内筒(82)の外周面の少なくとも一方に形成された撥油性被膜(97)を含むことを特徴とする。
この第11の態様では、第8の態様と同様に、油滴が内筒(82)の下端で流体に巻き込まれて油分離器から流出しにくくなるので、油分離効率が低下するのを抑制できる。
第12の態様は、第1または第11の態様において、
上記油流れ抑制部(90)は、上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方に形成された親油性被膜(98)を含むことを特徴とする。
この第12の態様では、第9の態様と同様に、外筒(71)や内筒(82)の内周面に付着した油滴が油分離器から流出しにくくなり、油分離効率が低下するのを抑制できる。
第13の態様では、第11または第12の態様において、
上記油流れ抑制部(90)は、上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方に形成された複数の凹凸からなる油保持部(99)を有することを特徴とする。
この第13の態様では、第10の態様と同様に、油滴は、外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方に形成される油保持部(99)に捕捉され、油分離器から流出しにくくなるので、油分離効率が低下するのを抑制できる。
図1は、実施形態1に係る圧縮機の全体構成を示す縦断面図である。 図2は、油分離器を側方から視た斜視図である。 図3は、油分離器をフランジ側から視た斜視図である。 図4は、図1における油分離器を拡大した縦断面図である。 図5は、油分離器の内部材の底面図である。 図6は、実施形態1の変形例1に係る油分離器の内部材の底面図である。 図7は、実施形態1の変形例2に係る油分離器の内部材の底面図である。 図8は、実施形態1の変形例3に係る油分離器の内部材の底面図である。 図9は、実施形態1の変形例4に係る油分離器の縦断面図である。 図10は、図9の油分離器をフランジ側から視た斜視図である。 図11は、実施形態2に係る油分離器の縦断面図である。 図12は、実施形態3に係る油分離器の縦断面図である。 図13は、図12の油分離器のバッフルを示す斜視図である。 図14は、実施形態3の変形例1に係る油分離器のバッフルを示す斜視図である。 図15は、実施形態3の変形例2に係る油分離器のバッフルを示す斜視図である。 図16は、実施形態3の変形例3に係る油分離器のバッフルを示す斜視図である。 図17は、実施形態3の変形例4に係る油分離器のバッフルを示す斜視図である。 図18は、実施形態4に係る油分離器の縦断面図である。 図19は、実施形態4の変形例1に係る油分離器の縦断面図である。 図20は、実施形態4の変形例2に係る油分離器の縦断面図である。 図21は、実施形態4の変形例3に係る油分離器の縦断面図である。 図22は、実施形態5に係る油分離器の縦断面図である。 図23は、従来の油分離器の流体と油の流れを示す縦断面図である。
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下に説明する各実施形態、変形例、その他の例等の各構成は、実施可能な範囲において、組み合わせたり、一部を置換したりできる。
《実施形態1》
実施形態1について説明する。
この実施形態に係る油分離器(40)は、圧縮機(10)の一部に兼用されている。圧縮機(10)は、冷凍装置の冷媒回路に接続される。冷媒回路では、圧縮機(10)で圧縮された冷媒が循環することで冷凍サイクルが行われる。
図1に示す圧縮機(10)は、シングルスクリュー圧縮機である。圧縮機(10)は、ケーシング(11)と、該ケーシング(11)内の電動機(20)、駆動軸(23)、及び圧縮機構(30)を備えている。圧縮機(10)は、上記油分離器(40)を有している。油分離器(40)は、ケーシング(11)の一部として用いられている。
〈ケーシング〉
ケーシング(11)は、金属製の横長の半密閉容器で構成される。ケーシング(11)は、ケーシング本体(12)、吸入カバー(13)、及び吐出カバー(41)を備えている。ケーシング本体(12)は、横長の筒状に形成される。吸入カバー(13)は、ケーシング本体(12)の長手方向(軸方向)の一端の開口を閉塞する。吐出カバー(41)は、本体の長手方向の他端の開口を閉塞する。ケーシング(11)の内部には、吸入カバー(13)寄りに低圧空間(L)が形成され、吐出カバー(41)寄りに高圧空間(H)が形成される。
吸入カバー(13)の上部には、吸入口(13a)が形成される。吸入口(13a)には、吸入管(図示省略)が接続される。吸入管は、冷媒回路に接続される。吸入管からは、ケーシング(11)内の低圧空間(L)に低圧の冷媒が導入される。吐出カバー(41)は、油分離器(40)に兼用される。
〈電動機〉
電動機(20)は、低圧空間(L)に配置される。電動機(20)は、ケーシング本体(12)に固定されるステータ(21)と、該ステータ(21)の内部に配置されるロータ(22)とを備えている。ロータ(22)の中心部には駆動軸(23)が固定される。電動機(20)は、回転速度が可変に構成される。具体的には、電動機(20)は、インバータ装置を介して電力が供給されるインバータ駆動方式の電動機である。
〈駆動軸〉
駆動軸(23)は、電動機(20)及び圧縮機構(30)に連結している。駆動軸(23)は、ケーシング(11)の長手方向に沿って水平に延びている。駆動軸(23)は、第1軸受け(24)と第2軸受け(25)とに回転可能に支持される。第1軸受け(24)は、吸入カバー(13)の内部に配置される。第2軸受け(25)は、軸受け室(26)に配置される。軸受け室(26)は、ケーシング本体(12)の内部中央に設けられる。
〈圧縮機構〉
圧縮機構(30)は、駆動軸(23)を介して電動機(20)に駆動される。圧縮機構(30)では、冷媒が圧縮される。圧縮機構(30)は、シリンダ部(31)、スクリューロータ(32)、及び2つのゲートロータ(図示省略)を備えている。シリンダ部(31)は、ケーシング本体(12)の内部中央に設けられる。スクリューロータ(32)は、シリンダ部(31)の内部に収容されている。スクリューロータ(32)は、駆動軸(23)によって回転駆動される。スクリューロータ(32)の周囲には螺旋溝(33)が形成される。螺旋溝(33)には、ゲートロータの複数のゲートが歯合する。これにより、シリンダ部(31)、スクリューロータ(32)、及びゲートの間に、圧縮室(35)が形成される。圧縮室(35)で圧縮された冷媒は、吐出ポート(36)からシリンダ部(31)の周囲の吐出通路(37)に吐出される。
〈隔壁〉
圧縮機構(30)と高圧空間(H)の間には、円板状の仕切部(15)が形成される。仕切部(15)の外周面は、ケーシング本体(12)の内周面に固定される。仕切部(15)には、吐出通路(37)と高圧空間(H)とを連通させる吐出連通穴(16)が形成される。吐出通路(37)の冷媒は、吐出連通穴(16)を通過して高圧空間(H)に送られる。
仕切部(15)には、油導入路(17)が形成される。油導入路(17)は、高圧空間(H)の下部の第1油溜まり(18)と、軸受け室(26)とを連通させる。
〈油分離器の全体構成〉
次いで油分離器(40)の構成について、図1〜図5を参照しながら詳細に説明する。油分離器(40)は、高圧空間(H)の冷媒中から油を分離する。油分離器(40)は、遠心力を利用して油を含む流体から油を分離する遠心分離式の油分離器である。具体的には、油分離器(40)は、外筒(71)と内筒(82)との間(内筒(82)の周り)で旋回流を形成して冷媒中の油を分離するサイクロン方式の油分離器である。
油分離器(40)は、吐出カバー(41)と、流入管(50)と、分離器本体(70)と、内部材(80)とを備えている。吐出カバー(41)は、上述したケーシング(11)の一部を兼ねている。流入管(50)は、高圧空間(H)の高圧冷媒(油を含む流体)を分離器本体(70)に導入する。分離器本体(70)は、有底筒状に形成される。分離器本体(70)の周壁は、外筒(71)を構成している。内部材(80)は、分離器本体(70)の上部に取り付けられる。内部材(80)は、分離器本体(70)の上側を閉塞する天板(81)と、分離器本体(70)の内部に配置されて流体を流出させる内筒(82)とを有している。
この実施形態では、油分離器(40)は、吐出カバー(41)、流入管(50)、及び分離器本体(70)が、鋳造によって一体成形された部品である。
〈吐出カバー〉
図2及び図3に示すように、吐出カバー(41)は、吐出カバー本体(42)と、フランジ(43)とを備えている。吐出カバー本体(42)は、角形筒状に形成される。吐出カバー本体(42)には、ケーシング本体(12)を向く側面にカバー開口(44)が形成される。吐出カバー本体(42)の内部には、油を分離するための第1内部空間(45)が形成される。第1内部空間(45)は、高圧空間(H)の一部を構成している。つまり、第1内部空間(45)は、第1油溜まり(18)の一部を構成している。
フランジ(43)は、カバー開口(44)の外縁から径方向外方へ張り出している。フランジ(43)は、矩形枠状に形成される。フランジ(43)は、ボルトなどの締結部材(図示省略)でケーシング本体(12)に連結される。これにより、ケーシング本体(12)が吐出カバー(41)によって閉塞され、ケーシング(11)の全体が構成される。
〈流入管〉
流入管(50)は、分離器本体(70)の上部に設けられる。より詳細には、流入管(50)の高さ位置は、内筒(82)の下端よりも高い(図4を参照)。流入管(50)は、直線部(51)と湾曲部(60)とを含んでいる。直線部(51)は、流入管(50)の上流側に形成され、湾曲部(60)は流入管(50)の下流側に形成され、流出端(60a)が分離器本体(70)の第2内部空間(73)に開口している。
図3に示すように、直線部(51)は、吐出カバー本体(42)の内部に位置している。直線部(51)は、ケーシング(11)の軸心と並行に延びている。直線部(51)の流入端(即ち、流入管(50)の流入口(51a))は高圧空間(H)に面している。流入口(51a)は、フランジ(43)の端面と略面一に形成される。
〈分離器本体〉
分離器本体(70)は、冷媒の旋回流により生じる遠心力を利用して、冷媒中の油を冷媒から分離する。分離器本体(70)は、上側が開放する縦長の有底円筒状の容器である。分離器本体(70)は、上述した外筒(71)と、該外筒(71)の下側を閉塞する円板状の底板(72)とを有する。分離器本体(70)の内部には、第2内部空間(73)が形成される。第2内部空間(73)の下部には、分離された油が貯留される第2油溜まり(74)が形成される。
外筒(71)の下端部には、油排出口(75)が形成される。油排出口(75)は、第2内部空間(73)(第2油溜まり(74))と、第1内部空間(45)(第1油溜まり(18))とを連通させる。これにより、第2油溜まり(74)の油を、油排出口(75)を介して第1油溜まり(18)へ送ることができる。
〈内部材〉
内部材(80)は、上述した天板(81)及び内筒(82)を有している。
天板(81)は、円形開口(83)が板厚方向(鉛直方向)に貫通する円板状に形成される。天板(81)の外径は、分離器本体(70)の内径よりも大きい。天板(81)の外周縁部は、分離器本体(70)の上端に固定される。天板(81)の円形開口(83)には、冷媒回路の冷媒配管(吐出管)が接続される。
内筒(82)は、天板(81)の円形開口(83)の内縁から下方に延びる円筒状に形成される。内筒(82)は、外筒(71)と同心上に配置される。これにより、内筒(82)と外筒(71)との間には、冷媒が中心周り(図5の矢印で示す方向)に旋回する円筒状の空間が形成される。内筒(82)の内部には、冷媒が上方に流れる内部通路(84)が形成される。内部通路(84)の流入端(下端)は、第2内部空間(73)に連通する。内部通路(84)の流出端(上端)は、円形開口(83)に連通する。
内部材(80)の底面図である図5に示すように、上記天板(81)の下面には、上記内筒(82)の外周面と上記外筒(71)の内周面との間の環状部分(91)に、該環状部分(91)の周方向へのびる複数の溝(92)が形成されている。この複数の溝(92)は、上記環状部分(91)に同心状に配置された溝(円周溝(93))である。この円周溝(93)は、天板(81)に付着した油滴が内筒(82)の方向へ向かって移動するのを抑制する油移動抑制部(90)として設けられている。
なお、この円周溝(93)は必ずしも複数でなくてもよく、環状部分(91)の周方向にのびる1つの溝でもよい。その場合、周方向にのびる1つの溝(92)は、環状部分(91)の真ん中よりも内径寄りに形成すると、後述するように内筒(82)へ向かう油滴を捕捉する際に、油滴を内筒(82)の近傍で捕捉できるから、油滴を逃しにくくなる。
−油分離器の作用−
図1に示すように、圧縮機(10)の運転時には、圧縮室(35)で圧縮された後の冷媒が、高圧空間(H)から流入管(50)に流入する。この冷媒は、直線部(51)を通過した後、湾曲部(60)を流れる。湾曲部(60)では、冷媒が湾曲部(60)に沿って流れ、分離器本体(70)に流入する。
分離器本体(70)では、第2内部空間(73)において冷媒が旋回する。この結果、冷媒中の油滴が遠心力によって分離される。そして、油滴に遠心力が作用し、油が冷媒から分離される。
第2内部空間(73)で分離された油は、第2油溜まり(74)に貯留される。油が分離された後の冷媒は、内部通路(84)を上方へ流れ、吐出管を介して冷媒回路へ送られる。
第2油溜まり(74)の油は、油排出口(75)を介して第1油溜まり(18)へ送られる。第1油溜まり(18)の油は、油導入路(17)を経由して軸受け室(26)に送られる。この軸受け室(26)の油により、第2軸受け(25)の摺動部の潤滑が行われる。なお、軸受け室(26)の油は、所定の通路(図示省略)を経由して、圧縮機構(30)や第1軸受け(24)の摺動部にも供給される。
一方、例えば流体の流量が増大した場合など、場合によっては流入管(50)から外筒(71)へ入った流体中の油の一部が天板(81)に衝突し、油滴が天板(81)に付着することがある。また、外筒(71)と内筒(82)の間で、外筒(71)に沿った上向きの冷媒の流れが天板(81)に当たって径方向内方へ向かい、さらに内筒(82)に沿って下方へ向かう二次流れが発生すると、天板(81)に付着した油滴に対して、径方向内向きへ向かわせる力が作用する。
油滴は天板(81)の下面に付着した状態で径方向内方へ移動するが、その際に円周溝(93)に入り込むので径方向内方へは移動しなくなり、旋回流の作用で周方向へ移動するようになる。そして、油滴は円周溝(93)内を移動するときに他の油滴と結合するなどして、より大きな油滴になる。油滴が大きくなると自重も大きくなり、やがて天板から第2油溜まり(74)に落下する。円周溝(93)を形成しない場合には、天板(81)に付着した油滴は径方向内側へ移動して内筒(82)に付着し、その下端で流体に巻き込まれて油分離器(40)から流出しやすいのに対して、この実施形態では天板(81)に付着した油滴は第2油溜まり(74)に落下しやすくなり、油分離器(40)から流出しにくくなる。
−実施形態1の効果−
この実施形態1によれば、天板(81)に付着した油滴は、天板(81)の環状部分(91)に同心状に配置された複数の円周溝(93)により、径方向内方へ移動するときに捕捉される。捕捉された油滴は径方向内方へは移動しなくなり、周方向へ移動する。そして、捕捉された油滴は円周溝(93)に沿って周方向へ移動するうちに、他の油滴と結合して成長するなどして、自重で天板(81)から落下する。このため、油滴が内筒(82)の外周面に付着しにくくなる。油滴が内筒(82)の外周面に付着しにくくなるので、内筒(82)の下端部に付着する油滴も少なくなる。
したがって、この実施形態1によれば、内筒(82)の下端で流体に巻き込まれて油分離器(40)から流出しにくくなる。その結果、油分離効率が低下するのを抑制できる。
《実施形態の変形例》
上記実施形態については、次のような変形例の構成としてもよい。
〈変形例1〉
図6に示すように、上記溝(92)は、上記環状部分(91)を上記流体の旋回方向へ進むに従って径方向内側から径方向外側へ広がる螺旋状の溝(螺旋溝(94))で構成してもよい。
この変形例1のその他の構成は、実施形態1と同じである。
この変形例1では、油滴は天板(81)の下面に付着した状態で径方向内方へ移動すると、螺旋溝(94)に入り込むので径方向内方へは移動しなくなり、旋回流の作用で周方向へ移動するようになる。流体の旋回方向と螺旋溝(94)の広がる方向が同じであるから、油滴は内筒(82)へ向かうのではなく、外筒(71)へ向かっていく。
油滴は、螺旋溝(94)内を移動するときに他の油滴と結合して、より大きな油滴になって天板(81)から落下するか、落下しなくても外筒(71)に達するとその内周面に伝って下降し、いずれの場合も第2油溜まり(74)に回収される。螺旋溝(94)を形成しない場合には、天板(81)に付着した油滴は径方向内側へ移動して内筒(82)に付着し、その下端で流体に巻き込まれて油分離器(40)から流出しやすいのに対して、この変形例1では、天板(81)に付着した油滴は第2油溜まり(74)に回収されやすくなり、油分離器(40)から流出しにくくなる。
したがって、上記実施形態1と同様に油分離効率が低下するのを抑制できる。
〈変形例2〉
図7に示すように、上記溝(92)は、上記環状部分(91)の径方向線分に対して傾斜角度θで傾斜する複数の溝(放射溝(95))で構成してもよい。この構成において、各放射溝(95)は、径方向内側部分から径方向外側部分へ向かって、上記流体の旋回方向手前側から旋回方向奥側へ傾斜している。
その他の構成は、変形例1と同じである。
この変形例2では、油滴は天板(81)の下面に付着した状態で径方向内方へ移動すると、放射溝(95)に入り込む。放射溝(95)は、旋回流の下流へ進むほど径方向内方から外方へ向かう方向へ傾斜しているので、放射溝(95)に入り込んだ油滴は径方向内方へは移動しなくなり、旋回流の作用で径方向外方へ移動するようになる。このため、油滴は内筒(82)へは向かわずに、外筒(71)へ向かっていく。
油滴は、放射溝(95)内を移動するときに他の油滴と結合して、より大きな油滴になって天板(81)から落下するか、落下しなくても外筒(71)に達するとその内周面に伝って下降し、いずれの場合も第2油溜まり(74)に回収される。放射溝(95)を形成しない場合には、天板(81)に付着した油滴は径方向内側へ移動して内筒(82)に付着し、その下端で流体に巻き込まれて油分離器(40)から流出しやすいのに対して、この変形例2では、天板(81)に付着した油滴は第2油溜まり(74)に回収されやすくなり、油分離器(40)から流出しにくくなる。
したがって、上記実施形態1と同様に油分離効率が低下するのを抑制できる。
〈変形例3〉
変形例2の各放射溝(95)は幅が一定の溝で構成したものであるが、各放射溝(95)は、図8に示すように、上記流体の旋回方向手前側縁部の傾斜角度θ1と旋回方向奥側縁部の傾斜角度θ2が異なり、径方向内側部分の幅(W1)よりも径方向外側部分の幅(W2)が広い溝で構成してもよい。この変形例3の放射溝(95)は、変形例2の溝(92)の傾斜角度θの線分を中心として、傾斜角度θ1で傾斜した手前側縁部と傾斜角度θ2で傾斜した奥側縁部がほぼ対称になるように形成された溝である。なお、放射溝(95)の径方向内方側端部の幅は実質的にゼロでもよく、その場合、放射溝(95)はほぼ三角形の溝になる。
その他の構成は、変形例2と同じである。
この変形例3では、油滴は天板(81)の下面に付着した状態で径方向内方へ移動すると、放射溝(95)に入り込む。放射溝(95)は、旋回流の下流へ進むほど径方向内方から外方へ向かう方向へ傾斜しているので、放射溝(95)に入り込んだ油滴は径方向内方へは移動しなくなり、旋回流の作用で径方向外方へ移動するようになる。このため、油滴は内筒(82)へは向かわずに、外筒(71)へ向かっていく。
油滴は、放射溝(95)内を移動するときに他の油滴と結合して、より大きな油滴になって天板(81)から落下するか、落下しなくても外筒(71)に達するとその内周面に伝って下降し、いずれの場合も第2油溜まり(74)に回収される。なお、放射溝(95)が径方向外側ほど幅の広い溝であるため、油滴は他の油滴と結合して大きくなりやすく、天板(81)から落下しやすくなる。放射溝(95)を形成しない場合には、天板(81)に付着した油滴は径方向内側へ移動して内筒(82)に付着し、その下端で流体に巻き込まれて油分離器(40)から流出しやすいのに対して、この変形例3では、天板(81)に付着した油滴は第2油溜まり(74)に回収されやすくなり、油分離器(40)から流出しにくくなる。
したがって、上記実施形態1と同様に油分離効率が低下するのを抑制できる。
〈変形例4〉
上記油分離器(40)の流入管(50)は、直線部(51)と湾曲部(60)とを有する構成でなくてもよく、図9及び図10に示すように、直線部(51)のみを有する構成であってもよい。
この場合、天板(81)の下面の溝(92)は、実施形態1の1つ又は複数の円周溝(93)、変形例1の螺旋溝(94)、あるいは変形例2や変形例3の放射溝(95)のいずれであってもよい。
この変形例4でも油分離効率の低下を抑制できることは、上記実施形態1や各変形例と同様である。
《実施形態2》
実施形態2について説明する。
実施形態2は、上記分離器本体(70)の内部で流体から分離された油滴が上記天板(81)に付着して上記内筒(82)へ向かう流れが生じるのを抑制する油流れ抑制部(90)を、実施形態1及び各変形例とは異なる態様で設けた例である。
図11に示すように、この実施形態2では、流入管(50)が圧縮機(10)から分離器本体(70)の内部へ向かって下向きに傾斜して配置されており、この下向きに傾斜した流入管(50)が油流れ抑制部(90)を構成している。この実施形態2では、天板(81)の下面の溝(92)は形成されていない。
その他の構成は、実施形態1と同じであるため説明を省略する。
流入管(50)が圧縮機(10)から分離器本体(70)の内部へ向かって下向きに傾斜して配置されているので、流体に含まれる油滴が天板(81)に付着しにくい。つまり、上記流入管(50)を傾斜させたことにより、天板(81)から内筒(82)へ向かう油の流れが抑制され、油が油分離器(40)から流出しにくくなる。
したがって、この実施形態2においても、油分離効率が低下するのを抑制できる。
《実施形態3》
実施形態3について説明する。
実施形態3は、上記分離器本体(70)の中で流体から分離された油滴が上記天板(81)に付着して上記内筒(82)へ向かう流れが生じるのを抑制する油流れ抑制部(90)を、上記天板(81)に溝(92)を形成した実施形態1や、下向きに傾斜する流入管(50)を設けた実施形態2とは異なる態様で設けた例である。
図12,図13に示すように、この実施形態3での油流れ抑制部(90)は、天板(81)の下方に配置したバッフル(96)により構成されている。この例では、バッフル(96)は周方向に連続した環状の板材(96a)で構成され、この環状の板材(96a)が内筒(82)の周囲全体に配置されている。この実施形態3では、天板(81)の下面の溝(92)は形成されておらず、吸入管(50)も傾斜していない。
この実施形態3では、流入管(50)の開口(51b)から分離器本体(70)の中へ流入した流体に含まれる油は、バッフル(96)が存在することによって、天板(81)に付着しにくくなる。また、この実施形態3ではバッフルが設けられているので、流入管(50)から分離器本体(70)の中へ流入した流体の流れる方向が天板(81)へ向かう途中で変わることになり、天板に沿って径方向へ向かう力を油滴に作用させる上記二次流れが生じにくくなる。したがって、天板(81)に油滴が付着したとしても、油滴が内筒(82)まで移動することはおこりにくくなる。
以上のように、この実施形態3では、油滴が天板(81)に付着しにくくなるうえ、天板(81)に付着しても内筒(82)に付着するまでは移動しにくくなるので、内筒(82)の下端で流体に巻き込まれて油分離器(40)から流出する油が少なくなる。
したがって、この実施形態3の構成を採用した場合でも、油分離効率が低下するのを抑制できる。
《実施形態3の変形例》
〈変形例1〉
図14に示すように、バッフル(96)は、内筒(82)の周囲全体を囲む環状の板材でなくてもよい。この変形例1では、図14において、分離器本体(70)の内部空間を流入管(50)に平行な中心線と直角な中心線で4等分し、流入管(50)の開口(51b)が設けられている部分を第1象限、開口(51b)の対面側を第2象限とすると、バッフル(96)は、第1象限と第2象限をカバーするように、円周方向の長さが半周より少し長めの円弧状の板材(96b)により形成されている。
〈変形例2〉
図15に示すように、バッフル(96)は、上記第1象限にのみ設けてもよい。この変形例2では、90°の円弧状に湾曲した板材(96c)で形成されている。
〈変形例3〉
図16に示すように、バッフル(96)は、上記第2象限のみに設けてもよい。この変形例3においても、変形例2と同様に、90°の円弧状に湾曲した板材(96d)で形成されている。
〈変形例4〉
図17に示すように、バッフル(96)は、上記変形例2と同様に上記第1象限のみに設け、内筒(82)側の縁部を直線状にした板材(96e)で形成してもよい。
〈各変形例の効果〉
上記実施形態3とほぼ同様に、流入管(50)の開口(51b)から分離器本体(70)の中へ流入した流体に含まれる油は、バッフル(96)が存在することによって、天板(81)に付着しにくくなる。また、この実施形態3の各変形例ではバッフル(96)が設けられているので、流入管(50)から分離器本体(70)の中へ流入した流体の流れ方向(流体の少なくとも一部の流れ方向)が天板(81)へ向かう途中で変わることになり、天板に沿って径方向へ向かう力を油滴に作用させる上記の二次流れが生じにくくなる。したがって、天板(81)に油滴が付着したとしても、油滴が内筒(82)まで移動することは生じにくい。
このように、実施形態3の各変形例においても、油滴が天板(81)に付着しにくくなるうえ、天板(81)に付着しても内筒(82)に付着するまでは移動しにくくなるので、内筒(82)の下端で流体に巻き込まれて油分離器(40)から流出する油が少なくなる。
したがって、上記実施形態3と同様に、油分離効率が低下するのを抑制できる。
《実施形態4》
実施形態4について説明する。
図18に示す実施形態4は、上記分離器本体(70)の中で流体から分離された油滴が上記天板(81)に付着して上記内筒(82)へ向かう流れが生じるのを抑制する油流れ抑制部(90)を、太い一点鎖線で示す撥油性被膜(97)及び太い二点鎖線で示す親油性被膜(98)の一方または両方により構成した例である。この実施形態4では、実施形態1の溝(92),実施形態2の流入管(50)の傾斜,及び実施形態3のバッフル(96)のいずれも設けられていない。なお、作図の便宜上、一点鎖線及び二点鎖線を油分離器(40)の部材の表面から離した位置に表しているが、撥油性被膜(97)及び親油性被膜(98)は、実際には油分離器(40)の部材の表面上に形成される。本明細書において、撥油性被膜(97)及び親油性被膜(98)は、材料の表面に撥油性や親油性を持たせる表面処理が施された面の表層を言う。
撥油性被膜(97)は、図18において、上記天板(81)の下面及び上記内筒(82)の外周面の少なくとも一方に形成される被膜である。図18は、上記天板(81)の下面及び上記内筒(82)の外周面の両方に撥油性被膜(97)を形成した構成を例示している。親油性被膜(98)は、上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方に形成される被膜である。図18は、上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の両方に親油性被膜(98)を形成した構成を例示している。
撥油性被膜(97)は、例えば、フッ素化合物、シリコン系化合物により形成することができる。親油性被膜(98)は、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルにより形成することができる。
この実施形態4では、天板(81)の下面に撥油性被膜(97)が形成されているので、天板(81)に油滴が付着しても、その油滴は、内筒(82)へ向かって径方向内方に移動しにくくなる。また、内筒(82)の外周面に撥油性被膜(97)を形成しているので、天板(81)に油滴が付着しても、油滴は、内筒(82)に付着しにくくなる。したがって、油滴が内筒(82)の下端で流体に巻き込まれて油分離器から流出しにくくなり、油分離効率が低下するのを抑制できる。内筒(82)の外周面に油が付着しても、油は撥油性被膜(97)により滴下しやすくなり、その点からも油分離効率が向上する。
この実施形態4では、外筒(71)の内周面に親油性被膜(98)が形成されているので、油分離器の内部において、流体から分離された油滴が外筒(71)の内周面に付着しやすくなるとともに、外筒(71)の内周面に付着した油滴が上記天板(81)の下面や上記内筒(82)の外周面へ向かって移動しにくくなる。したがって、外筒(71)の内周面に付着した油滴は、再飛散などが生じにくいので、油分離器から流出しにくくなり、油分離効率が低下するのを抑制できる。
また、内筒(82)の内周面に親油性被膜(98)が形成されているので、油滴が内筒(82)の下端で流体に巻き込まれても、油滴が内筒(82)の内周面に付着してそこから油分離器の外へ移動しにくくなる。具体的には、内筒(82)の内周面が親油性であるから、油が液膜状に、つまり内筒(82)の内周面に均一な厚さの油膜になりやすくなる。そうすると、内筒(82)の内周面に付着した油は、内筒(82)から油分離器(40)の外へ流出するガスの揚力を受けにくくなる。したがって、内筒(82)の内周面の油膜から油が剥がれてガスとともに流出することが起こりにくくなる。このように、内筒(82)の内周面に付着した油滴は油分離器から流出しにくくなり、油分離効率が低下するのを抑制できる。
《実施形態4の変形例》
〈変形例1〉
図19に示す変形例1は、実施形態1及びその変形例1〜4で説明した溝(92)(円周溝(93),螺旋溝(94),放射溝(95))を形成し、さらに、撥油性被膜(97)及び親油性被膜(98)の一方または両方を設けた例である。図19の溝(92)は、円周溝(93),螺旋溝(94),及び放射溝(95)のいずれでもよい。
この変形例1においても、撥油性被膜(97)は、上記天板(81)の下面及び上記内筒(82)の外周面の少なくとも一方に形成される被膜であり、図19は、上記天板(81)の下面及び上記内筒(82)の外周面の両方に撥油性被膜(97)を形成した構成を例示している。親油性被膜(98)は、上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方に形成される被膜であり、図19は、上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の両方に親油性被膜(98)を形成した構成を例示している。
この変形例1では、撥油性被膜(97)や親油性被膜(98)を、実施形態1及びその変形例1〜4で説明した溝(92)とともに設けているので、油分離効率が低下するのを抑制できる効果を高められる。
〈変形例2〉
図20に示す変形例2は、実施形態2で説明したように、流入管(50)が圧縮機(10)から分離器本体(70)の内部へ向かって下向きに傾斜して配置されており、かつ、撥油性被膜(97)及び親油性被膜(98)の一方または両方を設けた例である。
この変形例2においても、撥油性被膜(97)は、上記天板(81)の下面及び上記内筒(82)の外周面の少なくとも一方に形成される被膜であり、図20は、上記天板(81)の下面及び上記内筒(82)の外周面の両方に撥油性被膜(97)を形成した構成を例示している。親油性被膜(98)は、上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方に形成される被膜であり、図20は、上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の両方に親油性被膜(98)を形成した構成を例示している。
この変形例2では、流入管(50)を圧縮機(10)から分離器本体(70)の内部へ向かって下向きに傾斜して配置し、かつ撥油性被膜(97)や親油性被膜(98)を設けているので、油分離効率が低下するのを抑制できる効果を高められる。
〈変形例3〉
図21に示す変形例3は、実施形態3及びその変形例1〜4で説明したバッフル(96)を設け、さらに、撥油性被膜(97)及び親油性被膜(98)の一方または両方を設けた例である。
この変形例3においても、撥油性被膜(97)は、上記天板(81)の下面及び上記内筒(82)の外周面の少なくとも一方に形成される被膜であり、図21は、上記天板(81)の下面及び上記内筒(82)の外周面の両方に撥油性被膜(97)を形成した構成を例示している。
バッフル(96)が天板(81)の下面の環状部(91)の全体に設けられる図13の態様では、天板(81)の下面の撥油性被膜(97)を必ずしも設けなくてもよいし、設けてもよい。また、バッフル(96)が環状部(91)の一部に設けられる図14〜図17の態様では、バッフル(96)が設けられる部分には撥油性被膜(97)を設けなくてもよいが、部分的に撥油性被膜(97)を形成するよりは、環状部(91)の全体に撥油性被膜(97)を形成する方が製造は容易である。親油性被膜(98)は、上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方に形成される被膜であり、図20は、上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の両方に親油性被膜(98)を形成した構成を例示している。
この変形例3では、撥油性被膜(97)や親油性被膜(98)を、実施形態3及びその変形例1〜4で説明したバッフル(96)とともに設けているので、油分離効率が低下するのを抑制できる効果を高められる。
《実施形態5》
実施形態5について説明する。
図22に示す実施形態5は、外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方に、複数の凹凸により形成された油保持部(99)が形成された例である。油保持部(99)を構成する凹凸は、複数の微小な半球状やその他形状の凹部や凸部であってもよいし、複数の細い溝により形成される凹部や凸部であってもよい。
図22では、天板(81)の環状部(91)に溝(92)が形成され、かつ上記天板(81)の下面及び上記内筒(82)の外周面に撥油性被膜(97)が形成され、上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面に親油性被膜(98)が形成されている。
本実施形態においては、溝(92)や撥油性被膜(97)は必ずしも形成しなくてもよい。また、本実施形態においては、複数の凹凸からなる油保持部(99)は、親油性被膜(98)とともに設けてもよいし、親油性被膜(98)の代わりに設けてもよい。図22は、油保持部(99)を親油性被膜(98)とともに設ける構成を例示し、油保持部(99)を複数の小さな凹部(ディンプル)にした例である。なお、図22は、作図の便宜上、凹部の大きさを誇張している。
この実施形態5では、油滴は、外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方に形成される油保持部(99)に捕捉され、油分離器から流出しにくくなる。具体的には、油は、外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の凹凸からなる油保持部(99)に捕捉されると、ガスの流れが油滴を巻き込もうとする力を受けにくくなり、外筒(71)や内筒(82)の内周面の油膜から油が剥がれることが起こりにくくなる。その結果、油滴が油分離器から流出しにくくなり、油分離効率が低下するのを抑制できる。
また、この実施形態5では、天板(82)の下面に溝(92)が形成されているので、油分離効率が低下するのを抑制できる効果を高められる。凹凸からなる油保持部(99)は、実施形態2のように流入管(50)を下向きに傾斜させる構成の油分離器(40)において、外筒(71)の内周面や内筒(82)の内周面に形成してもよい。また、凹凸からなる油保持部(99)は、実施形態3のようにバッフル(96)を設ける構成において、外筒(71)の内周面や内筒(82)の内周面に形成してもよい。このように構成しても、油分離効率が低下するのを抑制できる効果を高められる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
油分離器(40)は、分離器本体(70)の内部で遠心力を利用して油を分離する遠心分離式であれば、構成を適宜変更してもよい。
例えば、油分離器(40)は、吐出カバー(41)、流入管(50)、及び分離器本体(70)を、鋳物で一体に形成する構造でなくてもよい。
第2油溜まり(74)に回収した油を直接的に軸受け室(26)に送ってもよいし、軸受け室(26)を経由せずに、圧縮機構(30)などの摺動部へ供給してもよい。第2油溜まり(74)の油を圧縮室(35)の圧縮途中(中間圧部分)に戻してもよい。
圧縮機(10)は、2つのスクリューを有するツインスクリュー圧縮機であってもよいし、1つのゲートロータを有する1ゲート型のシングルスクリュー圧縮機であってもよい。
圧縮機(10)は、スクリュー式以外にも、ロータリ式、スイング式、スクロール式、ターボ式等の他の方式を採用できる。
冷凍装置は、室内の空調を行う空気調和装置、庫内の空気を冷却する冷却器、ヒートポンプ式の給湯器等であってもよい。
油分離器(40)は、流体から油を分離する用途であれば、圧縮機(10)や冷凍装置以外の装置に適用してもよい。
撥油性被膜(97)や親油性被膜(98)は、上述した材料に限定されるものではなく、撥油性や親油性の機能が得られる限り、材料を適宜変更してもよい。
本開示は、遠心式の油分離器について有用である。
10 圧縮機
40 油分離器
50 流入管
70 分離器本体
71 外筒
81 天板
82 内筒
90 油流れ抑制部
91 環状部分
92 溝
97 撥油性被膜
98 親油性被膜
99 油保持部

Claims (13)

  1. 筒状の外筒(71)を有し、油を含む流体が流入する分離器本体(70)と、
    上記分離器本体(70)の上側を閉塞する天板(81)と、
    上記分離器本体(70)の内部で上下に延在し、流体を上記分離器本体(70)から流出させる内筒(82)と、
    を有し、上記流体が上記内筒(82)の周りを旋回する遠心分離式の油分離器であって、
    上記天板(81)の下面には、上記内筒(82)の外周面と上記外筒(71)の内周面との間の環状部分(91)に、1つまたは複数の溝(92)が形成されていることを特徴とする油分離器。
  2. 請求項1において、
    上記溝(92)は、上記環状部分(91)の周方向へのびる溝であることを特徴とする油分離器。
  3. 請求項2において、
    上記溝(92)は、上記環状部分(91)に同心状に配置された複数の溝であることを特徴とする油分離器。
  4. 請求項1において、
    上記溝(92)は、上記環状部分(91)を上記流体の旋回方向へ進むに従って径方向内側から径方向外側へ広がる螺旋状の溝であることを特徴とする油分離器。
  5. 請求項1において、
    上記溝(92)は、上記環状部分(91)の径方向線分に対して傾斜する複数の溝であり、
    各溝(92)は、径方向内側部分から径方向外側部分へ向かって、上記流体の旋回方向手前側から旋回方向奥側へ傾斜していることを特徴とする油分離器。
  6. 請求項5において、
    各溝(92)は、上記流体の旋回方向手前側縁部の傾斜角度と旋回方向奥側縁部の傾斜角度が異なり、径方向内側部分よりも径方向外側部分の幅が広いことを特徴とする油分離器。
  7. 筒状の外筒(71)を有する分離器本体(70)と、
    上記分離器本体(70)の上側を閉塞する天板(81)と、
    油を含む流体を上記分離器本体(70)の内部へ導入する流入管(50)と、
    上記分離器本体(70)の内部で上下に延在し、流体を上記分離器本体(70)から流出させる内筒(82)と、
    を有し、上記流体が上記内筒(82)の周りを旋回する遠心分離式の油分離器であって、
    上記流体から分離された油滴が上記天板(81)に付着して上記内筒(82)へ向かう流れが生じるのを抑制する油流れ抑制部(90)を備えていることを特徴とする油分離器。
  8. 請求項1から6の何れか1つにおいて、
    上記天板(81)の下面及び上記内筒(82)の外周面の少なくとも一方に、撥油性被膜(97)が形成されていることを特徴とする油分離器。
  9. 請求項1から8の何れか1つにおいて、
    上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方に、親油性被膜(98)が形成されていることを特徴とする油分離器。
  10. 請求項1から9の何れか1つにおいて、
    上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方は、複数の凹凸により形成された油保持部(99)を有することを特徴とする油分離器。
  11. 請求項7において、
    上記油流れ抑制部(90)は、上記天板(81)の下面及び上記内筒(82)の外周面の少なくとも一方に形成された撥油性被膜(97)を含むことを特徴とする油分離器。
  12. 請求項7または11において、
    上記油流れ抑制部(90)は、上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方に形成された親油性被膜(98)を含むことを特徴とする油分離器。
  13. 請求項11または12において、
    上記油流れ抑制部(90)は、上記外筒(71)の内周面及び上記内筒(82)の内周面の少なくとも一方に形成された複数の凹凸からなる油保持部(99)を有することを特徴とする油分離器。
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