JP2019081126A - 着色基材の製造方法および着色基材 - Google Patents

着色基材の製造方法および着色基材 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な方法により、色目の調整が可能な着色基材の製造方法を提供することを目的の1つとする。また、適切に色目が調整された着色基材を得ることを目的の1つとする。【解決手段】繊維質からなる表面を有する基材の、前記表面の少なくとも一部に、色目調整水性組成物を付与する付与工程と、前記基材に付与された前記色目調整水性組成物の少なくとも一部に風を吹き付ける吹付工程と、前記基材に前記色目調整水性組成物を浸透させる浸透工程と、前記表面に、水性着色塗料を押圧しながら塗布する塗料塗布工程とをこの順に含む、着色基材の製造方法。また、典型的には当該製造方法で得られた着色基材。【選択図】図3

Description

本発明は、着色基材の製造方法および着色基材に関する。
着色基材の製造にあたっては、意匠性を高める等の目的で、基材の表面に均一に塗料を塗るのではなく、敢えて不均一に塗料を塗る技術が種々検討されている。そのような技術は、例えば、建材や化粧板の製造などに適用される。
特許文献1には、インクジェット印刷技術を用いて、グラデーションを呈する化粧建築板を製造する方法が記載されている。
特許文献2には、被塗装面に水を吹き付け、その吹き付けた水が乾燥する前に、その上から被塗装面に多数の塗料滴をスプレー吹付することで、被塗装材の表面で塗料滴を「にじませて」、被塗装面に自然石の風合いを持たせる方法が記載されている。
特許文献3には、窯業系建材ボードの表面に水分を付着させた後、その表面の乾燥前に、水希釈可能な塗料の複数の塗料滴を付着させ、塗料の拡散した「ぼかし領域」を形成する方法が記載されている。
特開2007−204989号公報 特開2005−238138号公報 特開平11−216418号公報
着色基材の製造においては、木や紙などの繊維質からなる表面を有する基材に着色する場合がある。
基材が板状の木や紙である場合、工業的には、ロールコーターを用いて均一に着色塗料を塗ることがしばしば行われている。例えば、化粧合板の製造に際し、ロールコーターに合板を通して着色することがしばしば行われる。ロールコーターを用いた塗装は、他の塗装(例えばスプレー塗装など)に対して、コストや量産性の点で有利である。
近年、繊維質からなる表面を有する着色基材(化粧合板等)の色目を調整すること、例えば、色の濃淡をつけること(敢えて表面の色目を不均一にしたり、グラデーションをつけたりすること)で、着色基材の付加価値を高めることが試みられている。しかし、これまでのロールコーターによる塗装では、色目の微妙な調整は原理的に難しい。なぜならば、ロールコーターを用いた場合、基材の表面は基本的に均一に塗装されるためである。
一方、ロールコーター以外の方法、例えばスプレー塗装による色目の調整は、原理的には可能である。しかし、スプレー塗装は、塗料が飛散するため専用ブースを設ける必要がある。また、スプレー塗装は、ロールコーターによる塗装に比べて、同一製品を複数製造することが難しいなど、作業性の面で問題がある。作業性の問題は、コストアップにもつながる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。つまり、簡便な方法により、色目の調整が可能な着色基材の製造方法を提供することを本発明の目的の1つとする。また、適切に色目が調整された着色基材を得ることを本発明の目的の1つとする。
本発明者らは、検討の結果、以下に提供される発明をなし、上記課題を解決できることを見出した。
本発明によれば、
繊維質からなる表面を有する基材の、前記表面の少なくとも一部に、色目調整水性組成物を付与する付与工程と、
前記基材に付与された前記色目調整水性組成物の少なくとも一部に風を吹き付ける吹付工程と、
前記基材に前記色目調整水性組成物を浸透させる浸透工程と、
前記表面に、水性着色塗料を押圧しながら塗布する塗料塗布工程と
をこの順に含む、着色基材の製造方法
が提供される。
本発明によれば、簡便な方法により、色目の調整が可能な着色基材の製造方法を提供することができる。また、適切に色目が調整された着色基材を得ることができる。
本発明の実施形態における「付与工程」の説明図である。 本発明の実施形態における「付与工程」の説明図である(図1とは別態様のもの)。 本発明の実施形態における「吹付工程」の説明図である。 本発明の実施形態における「塗料塗布工程」の説明図である。 本発明の実施形態における「塗料塗布工程」を横から見たときの図である。 本発明の実施形態における「除去工程」の説明図である。 図7(A)は、色目が調整された基材1(着色基材)を模式的に表す図である。図7(B)は、図7(A)において、説明用の補助線(破線および一点鎖線)を記載したものである。 本発明の製造方法により得られた着色基材の表面と、本発明の製造方法ではない製造方法により得られた着色基材の表面とを対比する図(写真)である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素には改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものであり、図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書中、数値範囲の説明における「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。
本明細書中の基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
<着色基材の製造方法>
本実施形態の着色基材の製造方法は、
繊維質からなる表面を有する基材の、その表面の少なくとも一部に、色目調整水性組成物を付与する付与工程(以下、単に「付与工程」ともいう)と、
上記基材に付与された上記色目調整水性組成物の少なくとも一部に風を吹き付ける吹付工程(以下、単に「吹付工程」ともいう)と、
上記基材に上記色目調整水性組成物を浸透させる浸透工程(以下、単に「浸透工程」ともいう)と、
上記基材の表面に、水性着色塗料を押圧しながら塗布する塗料塗布工程(以下、単に「塗料塗布工程」ともいう)と
をこの順に含む。
この着色基材の製造方法により、色目に濃淡がある着色基材を製造できる理由は、以下のように説明できる。
まず、繊維質からなる表面を有する基材の表面に、色目調整水性組成物が付与される。そのあと、色目調整水性組成物が付与された場所に、風を吹き付ける吹付工程によって、付与工程で付与された色目調整水性組成物の一部は、基材上から除去もしくは蒸発し、偏在化することになる。つまり、基材上に塗布された色目調整水性組成物は、その塗布された状態において、基材上の各場所毎に存在している量が異なった状態になる。つまり、吹付工程において風がまともにぶつかる場所(以下、吹付直下ともいう)の色目調整水性組成物は量が少なく、風の吹付直下の位置から離れれば離れるほど風は徐々に弱まっていくため、当該位置から離れるほど色目調整組成物は徐々に増加していくことになる。このため、色目調整水性組成物は、いわゆる、塗装ムラのような状態で塗装されたものと同じような状態となっている。
その後、浸透工程を経ることにより、色目調整水性組成物は基材に浸透することになるが、その前提として、前述したとおり、色目調整水性組成物は基材上の各場所毎に存在している量は異なってるため、色目調整水性組成物がより多く浸透した部分(以下、単に「浸透量が多い部分」、ともいう)と、あまり浸透しなかった部分、ほとんど浸透しなかった部分、もしくは全く浸透がなかった部分(以下、単に「浸透量が少ない部分」、ともいう)が存在するなど、様々な状態となっている。つまり、色目調整水性組成物の基材への浸透量は、基材の同一面内上で様々に異なっている(色目調整水性組成物の浸透量がグラデーション化している)。色目調整水性組成物の浸透量が多い部分は、塗料塗布工程で水性着色塗料を吸い込む量が少なくなるため、当該部分については着色量が少なくなる。その一方で、色目調整水性組成物の浸透量が少ない部分は水性着色塗料を吸い込む量は相対的に多くなるため、当該部分については着色量が多くなる。
以上のようにして、同一基材内で色の濃淡の付いた、すなわちグラデーション化された着色基材を製造することができることになる。
なお、このような、塗料による着色前に、色目調整水性組成物を付与し、その付与した色目調整水性組成物に風を「吹き付け」たあと、色目調整水性組成物を基材に「浸透させ」、その後、水性着色塗料を「押圧しながら塗布する」という技術思想は、上述の特許文献1〜3には何ら記載も示唆もされていない。つまり、本発明は、本発明者らによる独創性の高い発明といえる。
つまり、特許文献1に記載の「インクジェット法」は、押圧しながら着色塗料を塗布するという本実施形態の着色基材の製造方法とは大きく異なっている。また、特許文献2および3の技術は、基材に水を吹き付けているものの、その水に対して風を「吹き付け」たりはしておらず、また、その水の「基材への浸透」は意図していない。さらに、特許文献2および3の技術は、基材の表面に「塗料滴」を付着させて、それをにじませたり、適当に拡散させたりすることを意図しており、本実施形態のように水性着色塗料を「押圧しながら塗布する」ものとは大きく異なる。
また、本実施形態における付与工程と浸透工程は、塗料そのものをスプレーで塗装することに比べて作業面での問題が少ない。すなわち、本実施形態の着色基材の製造方法は、簡便であり、工業的な適用に好ましい。
以下、本実施形態の着色基材の製造方法が含むことができる工程について、図面に言及しつつ具体的に説明する。
[付与工程]
本実施形態の着色基材の製造方法は、付与工程を含む。具体的には、例えば図1で示すように、繊維質からなる表面を有する基材1の、その表面の少なくとも一部に、適当な吐出装置2を用いるなどして、色目調整水性組成物3(以下、単に「組成物3」とも略記する)を付与することができる。
この工程は、典型的には、基材1を図1中の矢印の方向に搬送させながら行うことができる。もちろん、基材1を搬送させるのではなく、基材1を固定して吐出装置2を移動させることにより行ってもよい。
基材1については、表面が繊維質である限り、特に限定されない。表面の「繊維質」としては、木または紙が好ましい。
繊維質が木である表面を有する基材1としては、合板、つまり、スライスされた薄い木材(厚みに応じて突き板、挽き板などと呼ばれる。以下、総称して表層材とする。)が表面に貼りつけられた板状の材料や、合板ではない天然木材などが挙げられる。また、基材1が合板である場合、表層材の下の層は、スライスされた木材であってもよいし、木粉と接着剤とを混合して成形した素材(中質繊維板とも呼ばれる)であってもよい。なお、中質繊維板を用いて製造された合板は一般にMDF合板と呼ばれる。これらは、建材、例えばフローリング材などによく用いられる。
表層材の木材としては、例えば、ウォールナット、チェリー、オーク、バーチ、ビーチ、メープル、アッシュ、チーク、シカモア、ファルカタ、松、杉、ヒノキ、ユーカリ、オニグルミなどを挙げることができる。
表層材の厚みは、通常0.15〜5mm、好ましくは0.2〜5mmである。
特に、表層材の厚みが比較的薄い合板、具体的には表層材の厚みが0.15〜0.4mmの合板は、通常は高級感に乏しい汎用品・普及品と位置づけられている。表層材の厚みが薄い結果、合板の表面から深部までの木材自体の杢目の違い(導管、ヤニ、ツボ、入り皮等による色差)が少なく、色目の濃淡が乏しいためである。しかし、本実施形態の着色基材の製造方法によれば、表層材の厚みが薄くても、塗装により高級感のある色目(濃淡など)をつけることができる。つまり、商品価値の高い化粧合板を製造することができる。
繊維質が紙である場合の例としては、いわゆるプリント紙(プリントシート、化粧板用紙、化粧シート用原紙などともいう)として知られているものが挙げられる。プリント紙とは、例えば、木目などの印刷が施された紙のことであり、天然木やMDF合板に貼りつけて用いられることがある。
プリント紙には様々な種類があり、実質的に紙パルプのみからなるもの、原紙に樹脂が添加されたもの、抄造時または抄造後に樹脂を含浸させたもの、不透明度を高めるために酸化チタンや焼成クレー等が添加されたもの等、様々である。本実施形態においてはいずれも用いることができる。プリント紙の具体例としては、特開2003−027392号公報に記載のもの、特開2006−183218号公報に記載のもの、特開2014−159650号公報に記載のもの、特開2015−059292号公報に記載のもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、樹脂が含浸されたプリント紙の場合、組成物3や塗料12の浸透性が低いことがある。色目の調整の効果を確実に得るためには、水の浸透性が適度にあるプリント紙を用いることが重要である。
基材1の表面は、付与工程の前に研磨されていてもよい。例えば、基材1が合板または天然木材である場合、その表面はサンドペーパーで研磨されていてもよい。使用可能なサンドペーパーとしては、例えば320〜400番のサンドペーパーが挙げられる。
基材1の形状は特に限定されず、板状、シート状、棒状、その他任意の形状であってよい。ただし、後の塗料塗布工程のやりやすさなどを考えると、板状またはシート状であることが好ましい。
吐出装置2については、塗料分野で公知の吐出装置を適宜用いることができる。例えば、固定スプレー、ディスペンサー、スプレーガンなどを挙げることができる。また、図1で示される吐出装置2と形態は異なるが、図2で示される吐出装置4によって組成物3を付与しても良い。このような吐出装置の具体的な例としては、フローコーターなどを挙げることができる。さらに、後述の塗料塗布工程において、塗料を塗布するために通常用いられるロールコーターによって組成物3を付与しても良いし、組成物3をハケで塗ることで組成物3を基材1の表面に付与してもよい。
吐出装置2は、公知のものを用いるほかに、本実施形態向けに新たに作られたものであってもよい。また、塗料分野で公知の吐出装置を用いる場合であっても、適宜調整/最適化を行ってもよい。
本実施形態の着色基材の製造方法は、着色塗料を塗装する前に、基材1の表面の少なくとも一部に組成物3をしみ込ませておくことで、色目の調整を可能とするものである。よって、基材1への組成物3の「しみ込み具合」を調整することで、最終的な色目をさまざまに調整することが可能である。
具体的には、吐出装置2の先端形状、吐出装置2から吐出される組成物3の吐出量、吐出の強さ等を変えれば、後述する吹付工程と相まって、最終的に得られる着色基材の色目を変える(調整する)ことができる。例えば、吐出装置2を、先端の細いものから太いものに変えると、吐出される組成物3の量を変えることができ、その結果として、最終的に得られる着色基材の色目を変えることができる。換言すると、吐出装置2の先端形状、吐出装置2から吐出される組成物3の吐出量、吐出の強さ等を適切に調整することで、所望の色目や濃淡の着色基材を得られると期待できる。これは吐出装置4を用いる場合であっても同様である。
吐出装置の「配置」は、色目の調整のために適宜調整することができる。図1においては、2つの吐出装置2が並べられているが、吐出装置2は、1つのみを用いてもよいし、複数(例えば2〜5個)を並べて用いてもよい。また、複数の吐出装置2を用いる場合、その配置の間隔や、前後左右の相対的な位置関係なども、適宜調整または設定可能である。図2で示される吐出装置4のような場合であっても同様である。
あくまで一例であるが、複数の吐出装置2を用いる場合、それらの互いの間隔は、50〜140mmである。すなわち、図1において、2つの吐出装置2の間隔は、例えば50〜140mmである。
基材1と吐出装置2との距離は、特に限定されないが、あくまで一例として、200〜300mm程度である。この距離であれば、基材1と吐出装置2とが適度に近いため吐出位置を制御しやすいと考えられる。また、基材1と吐出装置2(あるいは吐出装置4)とが適度に離れているため、組成物3が一か所に過度に集中せず、適度に拡散すると考えられる。図2で示される吐出装置4のような場合であっても同様である。
この距離を調整することによっても、最終的に得られる着色基材の色目を変える(調整する)ことができる。
組成物3の成分等について説明する。
組成物3は、水を含み、基材1に浸透する性質を有していれば、特に限定されない。また、ここでの水は、最終的に得られる着色基材の品質を損なわない限り、純水、蒸留水、水道水などの任意の水であってよい。コストの面からは水道水が好ましい。
また、組成物3は、実質的に水のみを含む態様であってもよい。ここで、「実質的に水のみを含む」とは、通常の条件下で水が不可避的に含む成分(溶存気体、微量の不純物、水道水に含まれる塩素など)を排除するものではない。
好ましい態様として、組成物3は、その95質量%以上が水であることが好ましく、97質量%以上が水であることがより好ましく、99質量%以上が水であることが好ましい。このようにすることで、より安価かつ簡便に着色基材の色目を変えることができる。
別の態様としては、組成物3は、色目調整の目的、または、それ以外の目的で、種々の成分を含んでいてもよい。
一例として、基材1が木材である場合、組成物3に塩基性物質を加えてアルカリ性としてもよい。これにより、杢目が強調される効果が期待される(参考:特開2011−194758号公報)。
別の例として、基材の防腐などを期待して、防腐剤や防かび剤を加えることも考えられる。
さらに別の例として、組成物3の基材1への浸透性を調整可能な成分を組成物3に加えてもよい。具体的には、組成物3の基材1への浸透を一定程度抑えるため、塗料分野で公知の増粘剤を加えることなどが考えられる。または、界面活性剤を加えることで表面張力を調整し、その結果として浸透性を調整することも考えられる。
また、基材1が半透膜の性質を有している場合には、浸透圧の理論を応用して、組成物3の基材1への浸透を一定程度抑えることも考えられる。
具体的には、基材1が木材である場合には、組成物3の浸透圧を大きくすることで、理論上、組成物3の基材1への浸透を一定程度抑えられると考えられる。浸透圧の理論(ファントホッフの式)によれば、溶液中に存在する分子(イオン)の数が多いほど浸透圧は大きくなるから、例えば、水中で電離しイオンを生じる塩(えん)を適量加えることにより、組成物3の基材1への浸透を一定程度抑えることができると考えられる。
この場合、加えることができる塩としては、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化マンガン(II)4水和物、臭化カルシウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化アルミニウム(III)6水和物、塩化亜鉛などが挙げられる。
基材1に付与する組成物3の「量」などについて説明する。
組成物3は、基材1の表面の少なくとも一部に付与されればよい。
すなわち、組成物3は、基材1の表面の一部にのみ付与されても良いし、全部(全面)に付与してもよい。また、組成物3を基材1の表面の全部(全面)に付与する場合であっても、ある部分には多量の組成物3を付与し、別の部分には少量の組成物3を付与するようにしてもよい。
上記の、組成物3が基材1の表面の一部にのみ付与される場合においては、基材1の表面(片面)の10〜90%が、組成物3で濡れるように、組成物3は付与されることが好ましい。また、基材1の表面(片面)の15〜80%が、組成物3で濡れるように組成物3は付与されることがより好ましい。
組成物3の付与量を適切に調整することで、所望の濃淡の着色基材を得られると期待できる。よって、組成物3の付与量を適切に調整することが好ましい。
組成物3の付与量調整の方法は特に限定されない。例えば、吐出装置2(あるいは吐出装置4)から単位時間あたり吐出される組成物3の量を調整してもよいし、基材1の搬送速度を速めるまたは遅くすることで調整してもよい。
一例として、基材1の表面に付与される組成物3の量は、1〜100g/mであることが好ましく、2〜80g/mであることがより好ましい。なお、これら数値は、基材1のおもて面(吐出装置2または吐出装置4が存在している側の面)の面積を基準としたときの1mあたりの量である。
ちなみに、基材1が合板または天然木材である場合、通常の条件下では(例えば、浸透工程の時間が後述の時間程度である場合には)、基材1の表面に付与した組成物3の50〜75質量%程度が基材1に浸透すると考えられる。
これらの数値は、吐出装置2(あるいは吐出装置4)から吐出される組成物3の量、付与工程前の基材1の質量、付与工程後であって浸透工程前の基材1の質量などから知ることができる。
なお、吐出装置2(あるいは吐出装置4)から吐出される組成物3の量は、一例として、30〜150g/分である。
上記の各種数値は、例えば、数度の試作を行い、得られる着色基材の色目を見ながら、最適化することができる。
[吹付工程]
本実施形態の着色基材の製造方法は、吹付工程を含む。具体的には、図3に示すように、組成物3が付与された基材の、その組成物3の表面の少なくとも一部に、適当な吹付装置5を用いるなどして風を吹き付ける。これにより、付与工程により付与された組成物3の少なくとも一部は、蒸発、除去または移動することになる。その結果として、基材上の組成物3は、いかにも“塗布ムラ”のような状態(基材の場所ごとで、当該場所上に存在する組成物3の量が不均一となっているような状態)で存在させることができる。
この工程は、典型的には、基材1を図3中の矢印の方向に搬送させながら行うことができる。もちろん、基材1を搬送させるのではなく、基材1を固定して吹付装置5を移動させることにより行ってもよい。
なお、図3においては、吹き付けが行われた部分の組成物3が全て無くなってしまっている(組成物3の存在の有無がハッキリと分かれている)かのように描かれているが、これは図のわかりやすさを優先したためである。実際は、吹き付けられる風が拡散等することにより、風が吹き付けられた部分と吹き付けられなかった部分との間で、組成物3の量は連続的、あるいは段階的に変化する。
吹付装置5については、塗料分野で使用されているものだけでなく、風を発生させるものであれば特に限定されず、用いることができる。例えば、送風機、温風発生器、扇風機、ドライヤー、ジェット乾燥機などの、風を発生させる一般的な装置を挙げることができる。また、図3で示される吹付装置5と形態は異なるが、ハロゲンヒーター、IRヒーター、オイルヒーター、カーボンヒーター、セラミックヒーターなどのような加熱装置のように、積極的に風を発生させるのではなく、単に加熱または冷却するための温熱源・冷熱源を有する装置であってもよい。これは、特定の空間に温熱源・冷熱源が存在することによって空気の対流が生じ、この対流によって風が発生することが考えられるためである。
吹付装置5は、公知のものを用いるほか、本実施形態向けに新たに作られたものであってもよい。また、公知の吹付装置を用いる場合であっても、適宜調整/最適化を行ってもよい。
本実施形態の着色基材の製造方法は、着色塗料を塗装する前に、基材1の表面の少なくとも一部に組成物3をしみ込ませておくことで、色目の調整を可能とするものである。よって、吹付工程を経ることによって基材1上に塗布された組成物3の存在量を調整し、その後の基材1に対する組成物3の浸透量をコントロールすることで、最終的な色目をさまざまに調整することが可能である。
具体的には、吹付装置5の先端形状、吹付装置5から出てくる風の量・強さ・温度等を変えれば、最終的に得られる着色基材の色目を変える(調整する)ことができる。例えば、吹付装置5の先端形状を細いものから太いものに変えたり、あるいは、先端形状の口の形状を四角もしくは円形にしたりすることで、最終的に得られる着色基材の色目を変えることができる。換言すると、吹付装置5の先端形状、吹付装置5から出てくる風の量・強さ・温度等を適切に調整することで、所望の色目や濃淡の着色基材を得られることが期待できる。
吹付装置の「配置」は、色目の調整のために適宜調整することができる。図3においては、2つの吹付装置5が並べられているが、吹付装置5は、1つのみを用いてもよいし、複数(例えば2〜5個)を並べて用いてもよい。基材1と吹付装置5との距離も適宜調整することができるし、得たい着色基材の色目によって適宜調整すれば良い。
また、複数の吹付装置5を用いる場合、その配置の間隔や、前後左右の相対的な位置関係なども、適宜調整または設定可能である。
あくまで一例であるが、複数の吹付装置5を用いる場合、それらの互いの間隔は、50〜140mmである。すなわち、図3において、2つの吹付装置2の間隔は、例えば50〜140mmである。
基材1と吹付装置5との距離は、特に限定されないが、あくまで一例として、200〜300mm程度である。この距離であれば、基材1と吹付装置5とが適度に近いため吹付位置を制御しやすいと考えられる。この距離を調整することによっても、最終的に得られる着色基材の色目を変える(調整する)ことができる。
吹付ける風の速度は、得たい着色基材の色目によって変化させれば良く、特に限定されないが、基材にあたる瞬間の速度で1〜100m/秒であることが好ましい。吹付工程において吹き付けられる風の温度についても同様で、得たい着色基材の色目によって変化させれば良く、特に限定されないが、基材にあたる瞬間の温度で0〜150℃であることが好ましい。より好ましくは30〜100℃で、特に好ましくは50〜80℃である。
吹付工程は、付与工程で基材1に付与した組成物3が基材に浸み込んだり、乾燥する前に行われることが好ましい。このため、付与工程と吹付工程の間の時間が長く空きすぎないことが好ましい。付与工程と吹付工程の間の時間は、例えば1秒〜30分、好ましくは1秒〜10分、より好ましくは1秒〜5分である。
[浸透工程]
本実施形態の着色基材の製造方法は、浸透工程を含む。
本発明の効果を確実に得るべく、この浸透工程において、基材1の表面に付与された組成物3を、基材1の内部に浸透させる。
浸透工程は、例えば、吹付工程後であって、組成物3が付与された基材1(※組成物3は基材上で不均一に存在している状態である)を、一定時間静置することにより行うことができる。また、別のやり方として、吹付工程後の基材1を、製造ライン上で搬送しながら一定時間を経過させることにより行うこともできる。工業的な生産性や既存設備の活用の点からは、後者が好ましい。
浸透工程の時間は特に限定されず、組成物3の基材1への浸透性や生産効率などの点から適宜調整してよい。例えば、1秒〜30分、好ましくは1秒〜10分、より好ましくは1秒〜5分である。
[塗料塗布工程]
本実施形態の着色基材の製造方法は、塗料塗布工程を含む。
好ましい態様として、塗料塗布工程は、ロールコートにより行われる。具体的には、図4および図5に示されるような装置(ロールコーター)により行われることが好ましい。なお、図5は塗料塗布工程を真横から観察した状態を示している。
図4について説明する。
図4においては、送りロール11Aとコーティングロール11Bとが、基材1の厚さに対応して適当な間隔離間して対向配置されている。この間隔は、基材1の厚みよりも0.75〜2.50mmほど小さいことが好ましい。このように間隔を調整することで、基材1を適度に押圧することができる。
コーティングロール11Bの周面には、ドクターロール11Cが付設されている。
これらロールは、それぞれ矢印で示す方向に回転することができる。
送りロール11Aおよびドクターロール11Cは、通常、鉄製であり、これらの表面は滑らかに研磨されている。
コーティングロール11Bは、通常、鉄芯の表面にスポンジを巻いたものである。もちろん、スポンジ以外の素材(例えばゴムなど)であってもよい。また、送りロール11Aの表面をゴムとしてもよい。
互いに摺接するコーティングロール11Bとドクターロール11Cとの会合部には、水性着色塗料12(以下、単に塗料12ともいう)が一時的に貯留されている。塗料12は、適当な手段(図示せず)により適時供給される。
送りロール11A、コーティングロール11Bおよびドクターロール11Cを、図中に示されている向きに回転させる。そして、組成物3が浸透した基材1を、送りロール11Aとコーティングロール11Bとで挟持しながら、図中の矢印の方向に搬送する。これにより、塗料12が基材1の表面に塗布される。
なお、ドクターロール11Cは、原則として、基材1と直接接触することはない。
塗料12の基材1への塗布の際、基材1の組成物3が浸透していない部分は比較的濃く着色される。一方、基材1の組成物3が浸透している部分は、比較的薄く着色されるか、またはあまり着色されない。
なお、図4においては、吹付工程によって組成物3が蒸発、除去、もしくは移動された部分(番号13で示した部分)について特に色濃く着色されている(色目が不連続に変化している)ように描かれているが、これは図3の吹付工程と同様に、図のわかりやすさを優先したためである。実際は、組成物3が基材1の表面または内部で拡がること等により、吹付装置により風が当てられた部分とそうでない部分との間で、色目は連続的に変化する。
塗料塗布工程は、浸透工程で基材1に浸透した組成物3が乾燥する前に行われることが好ましい。このため、付与工程と塗料塗布工程の間の時間が長く空きすぎないことが好ましい。付与工程と塗料塗布工程の間の時間は、例えば5秒〜30分、好ましくは5秒〜10分、より好ましくは5秒〜5分である。
水性着色塗料12(塗料12)について説明する。
塗料12は、水性で、基材1への着色性があるものであれば、特に限定なく用いることができる。
より具体的には、塗料12は、揮発成分(最終的に基材1に残らない成分)の50質量%以上が水であり(つまり、主溶剤が水であり)、かつ、何らかの色素を含む限り、任意の組成であってよい。
塗料12が含むことができる成分としては、例えば以下の各成分が挙げられる。
・水
塗料12は、水を含む。この水は、純水、蒸留水、水道水などの任意の水であってよい。塗料12の安定性などの観点からは、無用な不純物が少ないことが好ましく、この点では純水または蒸留水が好ましい。
・有機溶剤
塗料12は、有機溶剤を含んでもよい。これにより、水に溶解または分散しにくい成分を溶解または分散させることができ、保存安定性を高める効果などが期待できる。有機溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤などの中から、水と任意の割合で混合する溶剤を適宜選択して使用可能である。また、2種以上の有機溶剤を用いてもよい。
なお、有機溶剤の使用量は、原則として、水の量より少なくする。
・色素
塗料12は、色素を含む。色素については、所望の色目の着色基材を得るために任意のものを選択可能である。
色素としては、着色顔料を用いることが好ましい。着色顔料としては、例えば、チタン白、亜鉛華、鉛白、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトポン、硫化亜鉛、アンチモン白などの白色顔料;カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラックなどの黒色顔料;ナフトールエローS、ハンザエロー、ピグメントエローL、ベンジジンエロー、パーマネントエローなどの黄色顔料;クロムオレンジ、クロムバーミリオン、パーマネントオレンジなどの橙色顔料;酸化鉄、アンバーなどの褐色顔料;ベンガラ、鉛丹、パーマネントレッド、キナクリドン系赤顔料などの赤色顔料;コバルト紫、ファストバイオレット、メチルバイオレットレーキなどの紫色顔料、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、インジゴなどの青色顔料;クロムグリーン、ピグメントグリーンB、フタロシアニングリーンなどの緑色顔料などが挙げられるが、これらのみに限定されるものでもない。また、複数種の着色顔料を併用してもよい。
また、必要に応じて、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシム、石膏、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、含水珪酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、マイカ粉等の体質顔料を併用してもよい。
着色顔料は、着色顔料分散体であること(つまり、分散剤により分散された顔料であること)が好ましい。着色顔料が適切に分散されることにより、塗料12の安定性が高まり、塗工時の意図せぬ色ムラを低減できる等の効果が期待できる。
分散剤としては、公知のものを適宜用いることができる。つまり、ノニオン系、カチオン系またはアニオン系の分散剤のいずれも用いることができる。
分散剤により分散された着色顔料を得る方法としては、例えば、上記の顔料および分散剤を、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、セラミックボールなどと混合のうえ、分散機により混合する方法が挙げられる。
一方、あらかじめ分散剤により分散された着色顔料を購入して用いてもよい。そのような着色顔料の市販品としては、例えば、大日精化工業株式会社製の「EPカラー」シリーズが挙げられる。
・水性樹脂
塗料12は、水性樹脂、すなわち、水中に溶解又は分散した樹脂を含むことが好ましい。例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
一態様として、水性樹脂は、エマルジョン粒子の形態で存在する(塗料中に分散している)ことが好ましい。具体的には、水性樹脂は、(メタ)アクリル樹脂エマルジョン粒子、ウレタン樹脂エマルジョン粒子、フッ素樹脂エマルジョン粒子、エポキシ樹脂エマルジョン粒子、ポリエステル樹脂エマルジョン粒子、アルキド樹脂エマルジョン粒子、メラミン樹脂エマルジョン粒子などの形態で存在してもよい。
これらの中では、コストや設計の自由度の高さなどから、(メタ)アクリル樹脂エマルジョン粒子が好ましい。なお、(メタ)アクリル樹脂エマルジョン粒子は、(メタ)アクリル系のモノマーに由来する構造単位のみを含むものであってもよいし、(メタ)アクリル系のモノマーと、他のモノマー(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニルモノマー)に由来する構造単位を含むものであってもよい。
また、別の態様として、水性樹脂は、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩などの水溶性樹脂であってもよい。
塗料12は、水性樹脂を1種のみを含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
・光硬化性成分
塗料12は、一態様として、光硬化性(例えば紫外線硬化性)であってもよい。この場合、塗料12は、何らかの光硬化性成分を含むことが好ましい。
光硬化性成分としては、例えば、重合性化合物と光重合開始剤の組み合わせが挙げられる。
重合性化合物としては、例えば、エチレン性二重結合を有する化合物を用いることができる。より具体的には、公知の(メタ)アクリルモノマーおよび/または(メタ)アクリルオリゴマーを用いることができる。
また、エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物などを用いることもできる。
重合性化合物は、多官能、すなわち、1分子中に2個以上(好ましくは2〜6個)の重合性官能基を有することが好ましい。
重合性化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤としては、公知のものを適宜用いることができる。また、2種以上の光重合開始剤を併用してもよい。
光重合開始剤の具体例としては、α−ヒドロキシケトン光開始剤、α−アミノケトン光開始剤、ビスアシルホスフィン光開始剤、モノアシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、モノ−およびビス−アシルホスフィン光開始剤、ベンジルジメチル−ケタール光開始剤等が挙げられる。これらはBASF社で製造され、IRGACURE(登録商標)シリーズ等の名称で販売されている。もちろん、これら以外の光重合開始剤も使用可能である。
また、光硬化性成分として、紫外線硬化型水性樹脂を用いてもよい。例えば、BASF社製の、商品名ラロマーLR8949、ラロマーLR8983、ラロマーLR9005や、住化バイエルウレタン社製の、商品名バイヒドロールUVVPLS2282、バイヒドロールUVVPLS2280などを用いることもできる。
・各種添加剤
塗料12は、上記以外の成分を適宜含んでよい。例えば、公知の増粘剤、凍結防止剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤などを含んでもよい。
なお、塗料12としては、市販の水性着色塗料を用いてもよい。例えば、ナトコ株式会社製の商品名「フローラ」、中国塗料株式会社製の商品名「ステインW」(UVシステム用水系ステイン)などを用いてもよい。
塗料12は、基材1への浸透性の観点などから、その粘度や不揮発成分の濃度が適宜調整されることが好ましい。
一態様として、塗料12の粘度は、1〜40Pa・sであることが好ましい。なお、ここでの粘度は、液温20℃で、B型粘度計で測定したときの数値である。
また、塗料12の不揮発成分の濃度は、通常5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%である。
塗料12の塗布量は、任意の量であってよく、得ようとする色目に応じて適宜調整してよい。
[除去工程]
本実施形態の着色基材の製造方法は、さらに、基材1の表面に塗布された塗料12の一部を除去する工程(以下、単に「除去工程」ともいう)を含んでいてもよい。この工程は、塗料塗布工程の後に行われることが好ましい。
除去工程として具体的には、例えば図6に示されるように、基材1の表面(余分な塗料12が存在する)に、基材の搬送方向とは逆方向に回転するロール(リバースロール21)を接触させて、塗料12の一部を除去する方法が挙げられる。ここで、リバースロール21に付着した塗料12は、ドクターブレード22によりかき集められる。
リバースロール21の表面の材質は、通常、スチールまたはゴムある。また、ドクターブレード22の材質は、通常、スチールまたはゴムである。
以上の各工程(および、場合によっては以下に追加で説明される[その他の工程])により、色目が調整された基材1を得ることができる。
なお、図7は、表面の色が比較的明るい基材1の表面に対して、比較的暗い色の塗料12を適用した場合の模式図となる。比較的暗い色の表面の基材1に対して、比較的明るい色の塗料12を適用した場合には、図7に示されたグラデーションとは逆のグラデーションとなることは容易に想像できる。
[その他の工程]
本実施形態の着色基材の製造方法は、上記各工程(付与工程、吹付工程、浸透工程、塗料塗布工程および除去工程)以外の任意の工程を含んでいてもよい。
例えば、以下のような任意の工程を含んでもよい。
・浸透工程と塗料塗布工程の間に、余分な(基材1に浸透しなかった)組成物3を除去する工程
具体的には、熱風(50〜150℃前後)で組成物3を乾燥させる方法や、除去工程のようにリバースロールを用いる方法などが挙げられる。
・除去工程の後の乾燥工程
具体的には、常温の風または熱風(50〜150℃前後)を基材1の表面に当てることで、基材1に付与された組成物3および/または塗料12の乾燥を促進してもよい。
・基材1に光(紫外線など)を当てる工程
塗料12が光硬化性である場合、塗料塗布工程の後または除去工程の後に、基材1に光(紫外線など)を当てることが好ましい。
また、後述の保護層を設ける場合であって、光硬化性の塗料組成物により保護層を設ける場合には、その塗料組成物を基材1に塗工した後にも光(紫外線など)を当てることが好ましい。
・塗料組成物を塗布する追加工程
色目の微調整などを目的として、上記の塗料塗布工程とは別に、さらに塗料組成物を塗布する追加工程があってもよい。
例えば、上記の除去工程の後に、適当な水性着色塗料を、ゴム製コーター等を用いて、基材1の表面に薄く均一に(例えば1〜10g/m程度の量で)塗布してもよい。
ここでの水性着色塗料は、上記の塗料塗布工程で説明した塗料12と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
・保護層形成工程
着色された基材1の耐久性向上や傷つき防止のために、保護層を設けることが好ましい。
保護層は、通常、保護層形成のための塗料組成物により形成される。このような塗料組成物は、「クリア塗料」などとも呼ばれ、典型的には着色色素(着色顔料など)を含まない。そして、得られる塗膜は実質的に透明である。
保護層は、単層でもよいし、多層(例えば2〜3層)であってもよい。
保護層形成のための塗料組成物としては、公知の塗料を適宜用いることができる。すなわち、ラッカー系塗料、ウレタン樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料、アミノアルキド樹脂系塗料などの、クリア塗料として公知の塗料を用いることができる。
また、保護層形成のための塗料組成物は、光硬化性(光重合性)であってもよい。例えば、特開2006−007202号公報で説明されているクリア塗料などを用いてもよい。当該公報で開示されているような、有機溶剤を実質的に含有しない光硬化性の塗料組成物であれば、有機溶剤を乾燥させる必要がなく、有機溶剤を排出するための排気装置も必要としないなどのメリットが期待できる。
保護層形成には、市販の保護層形成用の塗料組成物を用いてもよい。例えば、ナトコ株式会社の、商品名ラッカーウッドシーラー、ヤニ止めシーラー、ラッカーNo.1サンディング、No.1000ネオサンディング、ネオサンディング、No.5200ネオサンディング、ラッカーグランドコート、セブンマイルドサンディングNo.2速乾、セブンマイルドサンディング、セブンNo.2000サンディング、セブンサフェーサーM、クリヤーラッカー、ウッドフラット、セブンロイヤルクリヤー、セブンロイヤルフラット、セブンマイルドフラット、セブンロイヤルエナメル、セブン500Mエナメル、ウッドパテ、セブンNo.2フラット、セブンNo.20フラット等を用いてもよい。
保護層は、上述の塗料塗布工程で説明したようなロールコーターを用いて形成してもよいし、その他の方法で形成してもよい。例えば、スプレーコーターや、フローコーターを用いて形成してもよい。
保護層の厚みは、典型的には、20〜150μm程度である。
<着色基材>
本実施形態の着色基材は、上記の<着色基材の製造方法>で説明した方法により製造することができる。特に、付与工程および吹付工程を経ることによって、基材1の同一面内上で、組成物3の浸透量が多い部分と、組成物3の浸透量が少ない部分など、様々な状態を形成することによって製造することができる。
本実施形態の着色基材は、繊維質からなる表面を有し、そしてその表面の少なくとも一部が、水性着色塗料により着色されている。この着色基材は、好ましくは、合板の表層材が着色された、板状の化粧合板である。
合板や表層材の具体的態様については、前述の「基材1」における説明を参照されたい。
また、合板の表層材の着色は、水性着色塗料(より具体的には前述の塗料12)等で行うことができる。
本実施形態の着色基材は、その表面には、直径20〜200μmのドット状の塗装模様が実質上存在しないことが好ましい。
これは、本実施形態の着色基材が、スプレー塗装などの、微小な塗料滴を基材に吹き付ける方法により製造されるのではなく、好ましくは、上記の<着色基材の製造方法>で説明した方法等により製造される(すなわち、塗料12が、ロールコーター等を用いて押圧されながら塗装される)ためである。
なお、「ドット状の塗装模様」とは、真円状の模様だけでなく、拡大して観察したときに、常識的に円または楕円とみなせる塗装模様全般のことを意味する。また、ドット模様の「直径」については、ドット模様が真円または円とみなせる場合にはその直径を、ドット模様が楕円とみなせる場合には(長径+短径)/2の値を直径とする。
また、直径20〜200μmのドット状の塗装模様が「実質上存在しない」とは、着色基材の着色面における、直径20〜200μmのドット状の塗装模様の数(密度)が、典型的には30個/m以下であること、好ましくは10個/m以下であることを言う。
より好ましくは、本実施形態の着色基材は、ドット状の塗装模様を有しない。
本実施形態の着色基材は、好ましくは、表面に着色の濃淡がある。この濃淡は、基材の内部(基材が合板である場合は、表層材の内部)への塗料の浸透量の違いによるもの、および/または、基材表面への塗料の付着量の違いによるものと考えられる。より具体的には、着色の濃淡はグラデーション状となっている。つまり、本実施形態の着色基材は、一態様として、着色の濃さが不連続に変化しているのではなく、着色の濃さが連続的に変化している。
なお、塗料の浸透量や付着量は、基材の内部または基材の表面に存在する塗料由来の色素の量と言い換えることができる。
着色の濃淡模様は、着色基材の製造時の、付与工程で付与される組成物3の量であったり、特に吹付工程によって形成される基材表面の「組成物3による濡れ状態」に依存する。
例えば、図3で説明したように、一定方向に基材1を搬送しながら、その表面に吹付装置によって風を当てた場合、基材1の表面において、着色の薄い部分および着色の濃い部分が、帯状または筋状に存在することとなる(図7(A)も参照されたい)。
着色の濃淡について定量的に表現するならば、例えば以下のようになる。
着色基材の着色された部分における最も着色された部分(塗料が多く浸透または付着し、水性着色塗料由来の色素の量が多い部分)の明度をL とし、着色基材の着色された部分における着色が最も薄い部分(付与工程や浸透工程を行ったことにより、水性着色塗料があまり浸透・付着しなかった部分)の明度をL としたとき、L とL の差の絶対値は、1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。L とL の差の絶対値に上限は特にないが、典型的には10以下、好ましくは5以下である。
とL の測定について補足しておく。
例えば、図7(B)に模式的に示した、表面の色が比較的明るい基材1の表面に対して、比較的暗い色の塗料12を適用した場合においては、「最も着色された部分の明度L 」は、帯状または筋状に存在する着色が濃い部分の中心線(図7(B)における白抜きの破線)上の5か所を、市販の分光測色計で測定した明度の平均値とすることができる。
同様に、「着色が最も薄い部分の明度L 」は、帯状または筋状に存在する着色が薄い部分の中心線(図7(B)における一点鎖線)上の5か所を、市販の分光測色計で測定した明度の平均値とすることができる。
なお、念のため付言しておくと、L とL の大小関係は、L <L であっても、L >L であってもよい。この大小関係は、塗装前の基材1と、塗布する塗料12との相対的な色調・明るさの関係に依存する。つまり、比較的明るい地色の基材1に対して比較的暗い色の塗料12を塗布した場合には、L <L となる傾向にあり、比較的暗い地色の基材1に対して比較的明るい色の塗料12を塗布した場合には、L >L となる傾向にある。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(1)付与工程
合板(表層材:厚み0.25mmのウォールナット、サイズ:長辺60cm×短辺30cm×厚み1.2cm)の表面に、スプレー塗装機を用いて、水(水道水)を合板の片面全面に水を一様に付与した。
具体的には、水は、ノズル7本を用い、合板の短辺の端から0cm、5cm、10cm、15cm、20cm、25cm、30cmの部分をそれぞれスタート点として、長辺方向に、長さ60cmの直線状で7本付与した。これにより、水が合板の全面に付与された領域が形成された。
合板のおもて面の全体を基準として付与された水の量は、およそ60g/mだった。
(2)吹付工程
付与工程で得られた合板の表面(水が全面に付与された表面状態のもの)に、以下のようにして風を当てた。工業用ドライヤー(白光株式会社製、FV−310)を2機準備し、合板表面の上空約25cmの位置で、かつ、合板の一方の短辺の端から10cmおよび20cmの位置に該ドライヤーの風発生部の中心が位置するよう、2機のドライヤーをそれぞれ配置した。ドライヤーから発生させる風としては、風発生部出口の風速が約60m/秒、温度が約60℃となるように設定した。そして、速度350mm/sで合板をコンベアで搬送し(進行方向は合板の長辺方向)、2機のドライヤーから発生する風を当てた。これにより、前述の付与工程において水が付与された部分であって、その付与された水の一部が除去された状態の領域が形成された。なお、合板の表面直上における風の速度は約48m/秒、温度は約40℃であった。
吹付工程によって除去された水の量は、合板のおもて面の全体を基準として、およそ10g/mだった。
(3)浸透工程
付与工程で付与した水について、5秒間、合板に浸透させた。
(4)塗料塗布工程
浸透工程の後、付与した水が乾燥する前に、スポンジロールコーターを用いて、水性着色塗料を、合板の水を付与した面の全面に均一に塗工した。塗工量は39g/mとした。
なお、水性着色塗料としては、ナトコ社製の水性着色塗料、商品名「フローラ」シリーズの、レッド No.300 40質量部、イエローNo.300 40質量部、ブラックNo.300 20質量部およびベースNo.300 200質量部を均一に混合したものを用いた。
(5)除去工程
塗料塗布工程の後、合板をリバースロールに通すことで、表面に残る余剰の水性着色塗料を掻き取った。除去工程前後の合板の質量から見積もった掻き取り量は、6g/mだった。
(6)塗料組成物を塗布する追加工程
除去工程を行った後、さらに、ゴム製コーターを用いて、前述の塗料塗布工程と同じ水性着色塗料を、3g/mの量で、全面的に均一に塗布した。
(7)乾燥工程
上記各工程を経た合板を、100℃の熱風で、60秒間乾燥した。
(8)保護層形成工程
乾燥した上記合板に、活性エネルギー線硬化性塗料(ナトコ株式会社製:IST 5300上塗)を、塗布量が11g/mになるように塗装した。その後、照射線量300mJ/cmで紫外線を照射して塗料を硬化させた。
以上の工程(1)〜(8)により、着色基材(化粧合板)を得た。得られた着色基材(化粧合板)を目視したところ、水の浸透量が多い部分(吹付工程であまり風の影響を受けなかった部分)は薄く着色され、水の浸透量が少ない部分(吹付工程で風があたった部分付近)は濃く着色されていた。また、水の浸透量が多い部分から水の浸透量が少ない部分にかけて、着色がグラデーション状に濃くなっていた。つまり、色目が調整された着色基材を製造することができた。
[実施例2]
合板および水性着色塗料(工程(4)及び(6)の水性着色塗料)として以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にして着色基材(化粧合板)を得た。
・合板:表層材が厚み0.25mmのチェリーであるもの
・水性着色塗料:ナトコ社製の商品名「フローラ」シリーズの、ホワイトNo.300 15質量部、レッド No.300 40質量部、イエローNo.300 40質量部、ブラックNo.300 5質量部およびベースNo.300 150質量部を均一に混合したもの
この着色基材(化粧合板)についても実施例1と同様、水の浸透量が多い部分は薄く着色され、水の浸透量が少ない部分は濃く着色されていた。また、水の浸透量が多い部分から水の浸透量が少ない部分にかけて、着色がグラデーション状に濃くなっていた。つまり、色目が調整された着色基材を製造することができた。
[実施例3]
合板および水性着色塗料(工程(4)及び(6)の水性着色塗料)として以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にして着色基材(化粧合板)を得た。
・合板:表層材が厚み0.25mmのオークであるもの
・水性着色塗料:ナトコ社製の商品名「フローラ」シリーズの、ホワイトNo.300 100質量部およびベースNo.300 300質量部を均一に混合したもの
この着色基材については、用いた水性着色塗料が白色に近いものであったため、水の浸透量が少ない部分は白く(明るく)なり、水の浸透量が多い部分はさほど白くならなかった。また、水の浸透量が多い部分から水の浸透量が少ない部分にかけて、塗料に起因する白色の度合いがグラデーション状に変化していた。つまり、色目が調整された着色基材を製造することができた。
[実施例4]
合板および水性着色塗料(工程(4)及び(6)の水性着色塗料)として以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にして着色基材(化粧合板)を得た。
・合板:表層材が厚み0.25mmのバーチであるもの
・水性着色塗料:ナトコ社製の商品名「フローラ」シリーズの、ホワイトNo.300 15質量部、レッド No.300 40質量部、イエローNo.300 40質量部、ブラックNo.300 5質量部およびベースNo.300 150質量部を均一に混合したもの
この着色基材(化粧合板)についても実施例1と同様、水の浸透量が多い部分は薄く着色され、水の浸透量が少ない部分は濃く着色されていた。また、水の浸透量が多い部分から水の浸透量が少ない部分にかけて、着色がグラデーション状に濃くなっていた。つまり、色目が調整された着色基材を製造することができた。
[実施例5]
合板および水性着色塗料(工程(4)及び(6)の水性着色塗料)として以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にして着色基材(化粧合板)を得た。
・合板:表層材が厚み0.25mmのビーチであるもの
・水性着色塗料:ナトコ社製の商品名「フローラ」シリーズの、ホワイトNo.300 15質量部、レッド No.300 40質量部、イエローNo.300 40質量部、ブラックNo.300 5質量部およびベースNo.300 150質量部を均一に混合したもの
この着色基材(化粧合板)についても実施例1と同様、水の浸透量が多い部分は薄く着色され、水の浸透量が少ない部分は濃く着色されていた。また、水の浸透量が多い部分から水の浸透量が少ない部分にかけて、着色がグラデーション状に濃くなっていた。つまり、色目が調整された着色基材を製造することができた。
[実施例6]
合板および水性着色塗料(工程(4)及び(6)の水性着色塗料)として以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にして着色基材(化粧合板)を得た。
・合板:表層材が厚み0.25mmのメープルであるもの
・水性着色塗料:ナトコ社製の商品名「フローラ」シリーズの、ホワイトNo.300 100質量部およびベースNo.300 300質量部を均一に混合したもの
この着色基材については、用いた水性着色塗料が白色に近いものであったため、水の浸透量が少ない部分は白く(明るく)なり、水の浸透量が多い部分はさほど白くならなかった。また、水の浸透量が多い部分から水の浸透量が少ない部分にかけて、塗料に起因する白色の度合いがグラデーション状に変化していた。つまり、色目が調整された着色基材を製造することができた。
[実施例7]
合板および水性着色塗料(工程(4)及び(6)の水性着色塗料)として以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にして着色基材(化粧合板)を得た。
・合板:表層材が厚み0.25mmのアッシュであるもの
・水性着色塗料:ナトコ社製の商品名「フローラ」シリーズの、ホワイトNo.300 15質量部、レッド No.300 40質量部、イエローNo.300 40質量部、ブラックNo.300 5質量部およびベースNo.300 150質量部を均一に混合したもの
この着色基材(化粧合板)についても実施例1と同様、水の浸透量が多い部分は薄く着色され、水の浸透量が少ない部分は濃く着色されていた。また、水の浸透量が多い部分から水の浸透量が少ない部分にかけて、着色がグラデーション状に濃くなっていた。つまり、色目が調整された着色基材を製造することができた。
[実施例8]
(2)吹付工程で使用する工業用ドライヤーからの風の温度を、20℃(合板の表面直上の温度)とした以外は、実施例1と同様にして着色基材(化粧合板)を得た。なお、吹付工程によって除去された水の量は、合板のおもて面の全体を基準として、およそ5g/mだった。
この着色基材(化粧合板)についても実施例1と同様、水の浸透量が多い部分は薄く着色され、水の浸透量が少ない部分は濃く着色されていた。また、水の浸透量が多い部分から水の浸透量が少ない部分にかけて、着色がグラデーション状に濃くなっていた。つまり、色目が調整された着色基材を製造することができた。
[比較例1]
「付与工程」、「吹付工程」および「浸透工程」を行わない以外は、実施例1と同様にして着色基材(化粧合板)を得た。この着色基材(化粧合板)については、目視の限り、塗装による有意な色の濃淡は確認できなかった。
[比較例2]
「付与工程」、「吹付工程」および「浸透工程」を行わない以外は、実施例2と同様にして着色基材(化粧合板)を得た。この着色基材(化粧合板)についても、目視の限り、塗装による有意な色の濃淡は確認できなかった。
[比較例3]
「付与工程」、「吹付工程」および「浸透工程」を行わない以外は、実施例3と同様にして着色基材(化粧合板)を得た。この着色基材(化粧合板)についても、目視の限り、塗装による有意な色の濃淡は確認できなかった。
[比較例4]
「付与工程」、「吹付工程」および「浸透工程」を行わない以外は、実施例4と同様にして着色基材(化粧合板)を得た。この着色基材(化粧合板)についても、目視の限り、塗装による有意な色の濃淡は確認できなかった。
[比較例5]
「付与工程」、「吹付工程」および「浸透工程」を行わない以外は、実施例5と同様にして着色基材(化粧合板)を得た。この着色基材(化粧合板)についても、目視の限り、塗装による有意な色の濃淡は確認できなかった。
[比較例6]
「付与工程」、「吹付工程」および「浸透工程」を行わない以外は、実施例6と同様にして着色基材(化粧合板)を得た。この着色基材(化粧合板)についても、目視の限り、塗装による有意な色の濃淡は確認できなかった。
[比較例7]
「付与工程」、「吹付工程」および「浸透工程」を行わない以外は、実施例7と同様にして着色基材(化粧合板)を得た。この着色基材(化粧合板)についても、目視の限り、塗装による有意な色の濃淡は確認できなかった。
[比較例8]
比較例1で得られた着色基材(化粧合板)をそのまま利用して、これを比較例8の着色基材(化粧合板)とした。
[高級感の評価]
実施例1および比較例1で製造した各着色基材(化粧合板)を、消費者20人に並べて同時に示し、どちらの化粧合板が、より高級感を感じるか、アンケートを行った。
また、実施例2と比較例2の着色基材、実施例3と比較例3の着色基材、実施例4と比較例4の着色基材、実施例5と比較例5の着色基材、実施例6と比較例6の着色基材、実施例7と比較例7の着色基材、実施例8と比較例8の着色基材についても、同様のアンケートを行った。
各アンケートにおいて、「高級感が感じられる」と回答した人数を表1に示す。
表1に示されるとおり、比較例の化粧合板よりも実施例の化粧合板を高級と感じた消費者のほうが多かった。つまり、本発明の製造方法により、意匠性が高く商品価値の高い化粧合板を得られることが示された。
[着色基材表面の拡大観察(ドット状の塗装模様の有無)]
実施例1〜8で作製した着色基材(化粧合板)について、塗装面全体を拡大観察し、直径20〜200μmのドット状の塗装模様が存在するかどうかを調べた。結果、そのような塗装模様は確認されなかった。
一方、対比のため、スプレー塗装法により表面に濃淡をつけた着色基材(基材としては実施例1と同様のものを使用)の塗装面を拡大観察した。観察の結果、特に、着色が比較的薄い部分で、直径20〜200μmのドット状の塗装模様が見られた。
参考のため、実施例1〜3で作製した着色基材(化粧合板)の表面の拡大写真、および、対比のために作成したスプレー塗装法による着色基材(化粧合板)の表面の拡大写真を図8に示す。
図8中で、スプレー塗装法による化粧合板の写真の中で特に矢印で示した部分が「ドット上の塗装模様」である(全てのドットに矢印は付していない。また、最も着色されたものについて、ドットが重なりすぎてかなり見えづらいため、矢印は付していない)。なお、図中のドットの直径は、小さなもので35μm程度、大きなもので120μm程度であった。
[着色基材表面の明度の測定]
実施例1〜8の手順で作製した着色基材(化粧合板)8種をそれぞれ5枚ずつ用意し(合計40枚)、これらを測定対象とした。測定には、コニカミノルタ社製の分光測色計、CM−700d/600dを使用した。
まず、着色基材の塗装面をよく観察した。そして、吹付工程によって水が除去された結果として、基材中に存在する着色塗料の付着・浸透が多い部分(例えば図7(B)における一点鎖線にあたる部分)について、その中心線付近の10cm間隔の5か所の明度を測定し、これら明度の平均値L を算出した。
また、吹付工程で、吹付装置から発生する風の影響をあまり受けなかった結果として存在する着色塗料の付着・浸透が少ない部分(図7(B)における破線にあたる部分)について、その中心線付近の10cm間隔の5か所の明度を測定し、これら明度の平均値L を算出した。
とL の差の絶対値を表2に示す。
なお、参考までに述べておくと、実施例3と6においては、用いた水性着色塗料が白色に近いものであったため、L >L であった。その他の実施例においてはL <L であった。
1 基材
2 吐出装置(スプレータイプ)
3 色目調整水性組成物
4 吐出装置(フロータイプ)
5 吹付装置
6 風
11A 送りロール
11B コーティングロール
11C ドクターロール
12 水性着色塗料
13 塗料12によって色濃く着色された部分
21 リバースロール
22 ドクターブレード

Claims (8)

  1. 繊維質からなる表面を有する基材の、前記表面の少なくとも一部に、色目調整水性組成物を付与する付与工程と、
    前記基材に付与された前記色目調整水性組成物の少なくとも一部に風を吹き付ける吹付工程と、
    前記基材に前記色目調整水性組成物を浸透させる浸透工程と、
    前記表面に、水性着色塗料を押圧しながら塗布する塗料塗布工程と
    をこの順に含む、着色基材の製造方法。
  2. 請求項1に記載の着色基材の製造方法であって、
    前記塗料塗布工程の後に、さらに、前記基材の表面に塗布された前記水性着色塗料の一部を除去する除去工程を含む、着色基材の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の着色基材の製造方法であって、
    前記塗料塗布工程は、前記浸透工程で前記基材に浸透した前記色目調整水性組成物が乾燥する前に行われる、着色基材の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色基材の製造方法であって、
    前記付与工程において前記表面に付与される前記色目調整水性組成物の量が、1〜100g/mである、着色基材の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色基材の製造方法であって、
    前記吹付工程において吹き付けられる風の風速が1〜100m/秒である、着色基材の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の着色基材の製造方法であって、
    前記吹付工程において吹き付けられる風の温度が0〜100℃である、着色基材の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の着色基材の製造方法であって、
    前記繊維質が、木材または紙である、着色基材の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の着色基材の製造方法であって、
    前記塗料塗布工程が、ロールコートにより行われる、着色基材の製造方法。
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