JP2019080009A - ウェハの洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、撥水性保護膜が形成されたウェハ表面を洗浄し、乾燥させる方法において、上記乾燥後の撥水性保護膜の撥水性を向上させる方法を提供することを課題とする。【解決手段】表面に撥水性保護膜が形成されたウェハを、リンス液を用いて洗浄するウェハの洗浄方法において、該ウェハは、表面にSiN、TiN、W、又はRuを有するものであり、該リンス液は含フッ素溶媒であり、該含フッ素溶媒を該撥水性保護膜上に保持する含フッ素リンス工程、及び該含フッ素リンス工程の後に、該撥水性保護膜表面を乾燥させる乾燥工程、を有する、ウェハの洗浄方法。【選択図】なし
Description
本発明は、ウェハの回路パターンのパターン倒れを防止することができるウェハの洗浄方法に関する。
ネットワークやデジタル家電用の半導体デバイスにおいて、さらなる高性能・高機能化や低消費電力化が要求されており、半導体デバイスに用いられるウェハの回路パターンがより微細化する趨勢にある。また、半導体デバイス製造では、パーティクルや金属不純物の除去を目的とした洗浄工程が多用されており、近年では製造工程全体の3〜4割を洗浄工程が占めるようになっている。ここで、ウェハの回路パターンが微細化するとパターンのアスペクト比が高くなるが、該アスペクト比が高くなるに伴って、上記の洗浄工程における洗浄又はリンス後の乾燥時、気液界面が該パターンを通過する時にパターンが倒れる現象(以下、「パターン倒れ」と記載することもある)が生じ易くなるという問題がある。そのため、回路パターンの設計を変更せざるを得なかったり、また生産時の歩留まりの低下に繋がったりすることから、上記のパターン倒れを防止する方法が望まれている。
パターン倒れを防止する方法として、ウェハに形成された回路パターン表面に撥水性保護膜を形成し、パターン表面を撥水化することが有効であることが知られている。上記の撥水化を行うために、パターン表面に撥水性保護膜形成用薬液を塗布し、撥水性保護膜を形成することが知られている。
特許文献1には、半導体基板上にドライエッチング処理によって複数の凸形状パターンを形成し、前記凸形状パターン表面を硫酸と過酸化水素水の混合溶液(SPM)等の薬液を用いて洗浄及び改質し、改質された前記凸形状パターン表面に界面活性剤(水溶性界面活性剤)やヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)等のシランカップリング剤により撥水性保護膜を形成し、前記撥水性保護膜形成後に水を用いて前記半導体基板をリンスし、前記半導体基板を乾燥させ、前記凸形状パターンを残存させて前記撥水性保護膜を除去する半導体基板の表面処理方法が開示されている。
また、特許文献2には、ウェットエッチング又はドライエッチングの後の洗浄工程において、リン酸エステル及び/又はポリオキシアルキレンエーテルリン酸エステルを含む処理液を用いて金属微細構造体を疎水化した後で、純水で接液処理し乾燥させる金属微細構造体の製造方法が開示されている。
また、本出願人は、特許文献3において、
下記一般式[A]で表されるケイ素化合物Aと酸Aとを含み、
該酸Aはトリメチルシリルトリフルオロアセテート、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルシリルトリフルオロアセテート、ジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ブチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、オクチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、オクチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、デシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、及び、デシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートからなる群から選ばれる少なくとも1つである
保護膜形成用薬液を、
表面に微細な凹凸パターンを有し該凹凸パターンの少なくとも一部がシリコン元素を含むウェハの少なくとも凹部表面に保持して、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成した後で、水やアルコールで洗浄するウェハ表面の洗浄方法について開示している。
R1 aSi(H)b(X)4−a−b [A]
(式[A]中、R1は、それぞれ互いに独立して、炭素数が1〜18の炭化水素基を含む1価の有機基、及び、炭素数が1〜8のフルオロアルキル鎖を含む1価の有機基から選ばれる少なくとも1つの基であり、Xは、それぞれ互いに独立して、Si元素に結合する元素が窒素である1価の有機基であり、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数であり、aとbの合計は1〜3である。)
下記一般式[A]で表されるケイ素化合物Aと酸Aとを含み、
該酸Aはトリメチルシリルトリフルオロアセテート、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルシリルトリフルオロアセテート、ジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ブチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、オクチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、オクチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、デシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、及び、デシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートからなる群から選ばれる少なくとも1つである
保護膜形成用薬液を、
表面に微細な凹凸パターンを有し該凹凸パターンの少なくとも一部がシリコン元素を含むウェハの少なくとも凹部表面に保持して、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成した後で、水やアルコールで洗浄するウェハ表面の洗浄方法について開示している。
R1 aSi(H)b(X)4−a−b [A]
(式[A]中、R1は、それぞれ互いに独立して、炭素数が1〜18の炭化水素基を含む1価の有機基、及び、炭素数が1〜8のフルオロアルキル鎖を含む1価の有機基から選ばれる少なくとも1つの基であり、Xは、それぞれ互いに独立して、Si元素に結合する元素が窒素である1価の有機基であり、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数であり、aとbの合計は1〜3である。)
また、本出願人は、特許文献4において、
下記一般式[B]で表されるケイ素化合物B、及び、プロトンをケイ素化合物Bに供与する酸又は/及び電子をケイ素化合物Bから受容する酸を含み、前記薬液の出発原料中の水分の総量が、該原料の総量に対し5000質量ppm以下であることを特徴とする、撥水性保護膜形成用薬液を、
表面に微細な凹凸パターンを有し該凹凸パターンの少なくとも一部がシリコン元素を含むウェハの少なくとも凹部表面に保持して、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成した後で、水やアルコールで洗浄するウェハ表面の洗浄方法について開示している。
R1 aSi(H)b(X)4−a−b [B]
(式[B]中、R1は、それぞれ互いに独立して、炭素数が1〜18の炭化水素基を含む1価の有機基、及び、炭素数が1〜8のフルオロアルキル鎖を含む1価の有機基から選ばれる少なくとも1つの基であり、Xは、それぞれ互いに独立して、ハロゲン基、Siに結合する元素が酸素又は窒素の1価の有機基、ニトリル基から選ばれる少なくとも1つの基であり、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数であり、aとbの合計は3以下である。)
下記一般式[B]で表されるケイ素化合物B、及び、プロトンをケイ素化合物Bに供与する酸又は/及び電子をケイ素化合物Bから受容する酸を含み、前記薬液の出発原料中の水分の総量が、該原料の総量に対し5000質量ppm以下であることを特徴とする、撥水性保護膜形成用薬液を、
表面に微細な凹凸パターンを有し該凹凸パターンの少なくとも一部がシリコン元素を含むウェハの少なくとも凹部表面に保持して、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成した後で、水やアルコールで洗浄するウェハ表面の洗浄方法について開示している。
R1 aSi(H)b(X)4−a−b [B]
(式[B]中、R1は、それぞれ互いに独立して、炭素数が1〜18の炭化水素基を含む1価の有機基、及び、炭素数が1〜8のフルオロアルキル鎖を含む1価の有機基から選ばれる少なくとも1つの基であり、Xは、それぞれ互いに独立して、ハロゲン基、Siに結合する元素が酸素又は窒素の1価の有機基、ニトリル基から選ばれる少なくとも1つの基であり、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数であり、aとbの合計は3以下である。)
また、特許文献5には、Si、SiO2、SiON、SiN、p−Si、α−Si、W、W−Si、Al、Cu、Al−Si等からなる基板の表面を疎水化する為に、公知のシリル化剤と炭化水素系非極性溶剤とを有する表面処理方法が開示されている。また、当該文献では、該炭化水素系非極性溶剤の具体例として、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、テルペン系溶剤等を挙げている。
また、本出願人は、特許文献6において、
撥水性保護膜形成剤として非水溶性の界面活性剤を含む撥水性保護膜形成用薬液を、
表面に微細な凹凸パターンを形成され、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面の一部がチタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、ルテニウム、及びシリコンからなる群から選ばれる少なくとも1種の物質を含むウェハの、該凹凸パターンの少なくとも凹部に保持して撥水性保護膜を形成した後で、アルコール等で洗浄するウェハ表面の洗浄方法について開示している。
撥水性保護膜形成剤として非水溶性の界面活性剤を含む撥水性保護膜形成用薬液を、
表面に微細な凹凸パターンを形成され、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面の一部がチタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、ルテニウム、及びシリコンからなる群から選ばれる少なくとも1種の物質を含むウェハの、該凹凸パターンの少なくとも凹部に保持して撥水性保護膜を形成した後で、アルコール等で洗浄するウェハ表面の洗浄方法について開示している。
また、本出願人は、特許文献7において、
撥水性保護膜形成剤として下記一般式[C]で示される化合物と溶媒を含む撥水性保護膜形成用薬液を、
表面に凹凸パターンを形成され該凹凸パターンの凹部表面に、チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、タンタル、及び、ルテニウムのうち少なくとも1種の元素を有するウェハの、該凹凸パターンの少なくとも凹部に保持して撥水性保護膜を形成した後で、水やアルコール等で洗浄するウェハ表面の洗浄方法について開示している。
R1−P(=O)(OH)a(R2)2−a [C]
(式[C]中、R1は、一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基である。R2は、それぞれ互いに独立して一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1乃至18の炭化水素基を含む1価の有機基である。aは、0乃至2の整数である。)
撥水性保護膜形成剤として下記一般式[C]で示される化合物と溶媒を含む撥水性保護膜形成用薬液を、
表面に凹凸パターンを形成され該凹凸パターンの凹部表面に、チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、タンタル、及び、ルテニウムのうち少なくとも1種の元素を有するウェハの、該凹凸パターンの少なくとも凹部に保持して撥水性保護膜を形成した後で、水やアルコール等で洗浄するウェハ表面の洗浄方法について開示している。
R1−P(=O)(OH)a(R2)2−a [C]
(式[C]中、R1は、一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基である。R2は、それぞれ互いに独立して一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1乃至18の炭化水素基を含む1価の有機基である。aは、0乃至2の整数である。)
ウェハ表面に形成された微細な回路パターンのパターン倒れ防止効果を向上させるために、パターン表面の撥水性をより高めることが求められている。具体的には、例えばパターン表面に撥水性保護膜を形成した後に各洗浄工程を経て乾燥を行うが、この乾燥後に該撥水性保護膜の接触角が極力大きいことが望ましい。
そこで本発明は、撥水性保護膜が形成されたウェハ表面を洗浄し、乾燥させる方法において、上記乾燥後の撥水性保護膜の撥水性を向上させる方法を提供することを課題とする。
本発明者らが上記課題に対して鋭意検討を行ったところ、フルオロエーテル類やフルオロカーボン類といった含フッ素溶媒をリンス液として用い、撥水性保護膜が形成されたウェハ表面を洗浄した後に乾燥させると、含フッ素溶媒を使用しなかった場合と比べて該撥水性保護膜の接触角が大きくなることがわかった。また、さらに検討を進めたところ、特定の種類のウェハを用いた時に上記の効果が得られることがわかった。
すなわち本発明は、表面に撥水性保護膜が形成されたウェハを、リンス液を用いて洗浄するウェハの洗浄方法において、該ウェハは、表面にSiN、TiN、W、又はRuを有するものであり、該リンス液は含フッ素溶媒であり、該含フッ素溶媒を該撥水性保護膜上に保持する含フッ素リンス工程、及び該含フッ素リンス工程の後に、該撥水性保護膜表面を乾燥させる乾燥工程、を有する、ウェハの洗浄方法である。
本発明により、撥水性保護膜が形成されたウェハ表面を洗浄し、乾燥させる方法において、上記乾燥後の撥水性保護膜の撥水性を向上させる方法を得ることが可能となった。
(用語の説明)
本明細書において、「ウェハ表面」や「撥水性保護膜表面」とはウェハや撥水性保護膜と接触する状態を指すものとし、「ウェハ上」や「撥水性保護膜上」は接触していても、任意の層や膜が介在していても良い状態を指すものとする。
本明細書において、「ウェハ表面」や「撥水性保護膜表面」とはウェハや撥水性保護膜と接触する状態を指すものとし、「ウェハ上」や「撥水性保護膜上」は接触していても、任意の層や膜が介在していても良い状態を指すものとする。
1:各種材料
本発明で利用可能な各材料について以下に説明する。
本発明で利用可能な各材料について以下に説明する。
(ウェハ)
ウェハは表面に微細な凹凸パターンが形成されたものである。当該凹凸パターンは、凹部の幅が小さく、凸部のアスペクト比が大きいと、パターン倒れが生じやすくなるとされており、一般的に、洗浄工程でのパターン倒れは、凹部の幅が70nm以下、特には45nm以下、凸部のアスペクト比が4以上、特には6以上のときに生じやすくなるとされている。従って、本発明はパターンの凹部の幅が70nm以下、凸部のアスペクト比が4以上、のパターンを有するウェハに特に有用である。
ウェハは表面に微細な凹凸パターンが形成されたものである。当該凹凸パターンは、凹部の幅が小さく、凸部のアスペクト比が大きいと、パターン倒れが生じやすくなるとされており、一般的に、洗浄工程でのパターン倒れは、凹部の幅が70nm以下、特には45nm以下、凸部のアスペクト比が4以上、特には6以上のときに生じやすくなるとされている。従って、本発明はパターンの凹部の幅が70nm以下、凸部のアスペクト比が4以上、のパターンを有するウェハに特に有用である。
本発明では、表面にSiN、TiN、W、又はRuを用いることが可能である。上記ウェハは、SiN、TiN、W、Ru等によって構成されたものでも、任意の基材上に上記のSiN、TiN、W、Ru等の膜が形成されたものでもよい。また、上記のような凹凸パターンが形成された後、該パターンの表面にSiN、TiN、W、又はRuを有するものとしてもよい。また、より好ましくはSiN、TiN、及びWとしてもよい。
(撥水性保護膜)
撥水性保護膜は、ウェハ表面に撥水性を付与する膜であり、表面に凹凸パターンを有するウェハ表面に形成されたものである。また、本発明における「撥水性」とは、物品表面の表面エネルギーを低減させて、水やその他の液体と該物品表面との間(界面)での相互作用(例えば、水素結合、分子間力等)を低減させることを意味する。本発明の撥水性保護膜は、特に水に対して相互作用を低減させる効果が大きいが、水と水以外の液体の混合液や、水以外の液体に対しても相互作用を低減させる効果を有する。該相互作用の低減により、物品表面に対する液体の接触角を大きくすることが可能となる。
撥水性保護膜は、ウェハ表面に撥水性を付与する膜であり、表面に凹凸パターンを有するウェハ表面に形成されたものである。また、本発明における「撥水性」とは、物品表面の表面エネルギーを低減させて、水やその他の液体と該物品表面との間(界面)での相互作用(例えば、水素結合、分子間力等)を低減させることを意味する。本発明の撥水性保護膜は、特に水に対して相互作用を低減させる効果が大きいが、水と水以外の液体の混合液や、水以外の液体に対しても相互作用を低減させる効果を有する。該相互作用の低減により、物品表面に対する液体の接触角を大きくすることが可能となる。
また、本発明の撥水性保護膜は、必ずしも連続的に形成されていなくてもよく、また、必ずしも均一に形成されていなくてもよいが、より優れた撥水性を付与できるため、連続的に、また、均一に形成されていることがより好ましい。
また、含フッ素溶媒は撥水性保護膜上から除去されるが、当該撥水性保護膜はウェハ表面に保持される。よって、本明細書では含フッ素リンス工程後の乾燥工程を経ていない撥水性保護膜を「撥水性保護膜」、該乾燥工程後の撥水性保護膜を「撥水性保護膜B」と記載することもある。
(撥水性保護膜B)
前述したように、撥水性保護膜Bは含フッ素溶媒で洗浄し、洗浄後に該撥水性保護膜表面を乾燥させた後の撥水性保護膜を指す。当該撥水性保護膜Bは、撥水性保護膜よりも撥水性が向上した膜であり、具体的には該撥水性保護膜Bとの接触角が乾燥工程後に大きくなればよい。また、好ましくは、ウェハの少なくとも凹部表面に水が保持されたと仮定したときの接触角が50〜130°であると、パターン倒れが発生し難いためより好ましい。
前述したように、撥水性保護膜Bは含フッ素溶媒で洗浄し、洗浄後に該撥水性保護膜表面を乾燥させた後の撥水性保護膜を指す。当該撥水性保護膜Bは、撥水性保護膜よりも撥水性が向上した膜であり、具体的には該撥水性保護膜Bとの接触角が乾燥工程後に大きくなればよい。また、好ましくは、ウェハの少なくとも凹部表面に水が保持されたと仮定したときの接触角が50〜130°であると、パターン倒れが発生し難いためより好ましい。
(撥水性保護膜形成用薬液)
上記の撥水性保護膜は、撥水性保護膜形成用薬液をウェハ表面に供給し、該ウェハ表面と該撥水性保護膜形成用薬液との間に化学的な結合を生じさせたり、ファンデルワールス力や静電気的相互作用等を生じさせ、吸着させたりすることによって得ることが可能である。使用可能な撥水性保護膜形成用薬液はウェハ表面の材料によって異なり、各ウェハ表面に撥水性を付与することが可能であれば、本発明では特に限定するものではない。また、例えば公知の撥水性保護膜形成用薬液を用いればよい。
上記の撥水性保護膜は、撥水性保護膜形成用薬液をウェハ表面に供給し、該ウェハ表面と該撥水性保護膜形成用薬液との間に化学的な結合を生じさせたり、ファンデルワールス力や静電気的相互作用等を生じさせ、吸着させたりすることによって得ることが可能である。使用可能な撥水性保護膜形成用薬液はウェハ表面の材料によって異なり、各ウェハ表面に撥水性を付与することが可能であれば、本発明では特に限定するものではない。また、例えば公知の撥水性保護膜形成用薬液を用いればよい。
表面にSiNを有するウェハを用いる場合、撥水性保護膜形成用薬液は、Siを有する撥水性保護膜形成剤と、必要に応じて溶媒や反応促進剤等とを有する。この撥水性保護膜形成剤の反応性基がウェハ表面のシラノール基と反応し、同様に該撥水性形成剤の撥水性を示す官能基を有する部位が、該ウェハ表面に固定されることにより該ウェハ表面に撥水性の保護膜を形成する。上記の反応性基としては、撥水性保護膜形成剤のSiと結合する元素が窒素や酸素の1価の有機基又はニトリル基等が挙げられる。また、このような撥水性保護膜形成用薬液としては、例えば、前述したように、特許文献3に開示されたようなケイ素化合物Aと酸Aとを含む撥水性保護膜形成用薬液や、特許文献4に開示されたようなケイ素化合物Bとプロトンを該ケイ素化合物Bに供与する酸又は/及び電子をケイ素化合物Bから需要する酸を含む撥水性保護膜形成用薬液等が挙げられる。また、例えば、前述したように特許文献5に開示されたようなシリル化剤と、該シリル化剤を希釈するための溶媒として炭化水素系非極性溶剤を用いてもよい。
また、撥水性保護膜形成剤がアルコキシシランのとき、反応促進剤としては上記の酸の他に、スルホン系反応促進剤を用いることができる。当該スルホン系反応促進剤としては、スルホン酸エステル、スルホンイミド、及びこれらのスルホンイミド誘導体等が挙げられる。また、スルホンメチドや、スルホンメチド誘導体等を用いてもよい。
表面にSiNを有するウェハを用いる場合の撥水性保護膜形成用薬液としては、撥水性保護膜形成剤として、ヘキサメチルジシラザンやテトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン、1,3−ビス(トリフルオロプロピル)テトラメチルジシラザン、トリメチルシリルジメチルアミン、トリメチルシリルジエチルアミン、トリメチルシリルイソシアネート、トリメチルシリルイミダゾール、ブチルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、オクチルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、1、3−ジブチルテトラメチルジシラザン、1,3−ジオクチルテトラメチルジシラザン等からなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、酸として、トリメチルシリルトリフルオロアセテート、ジメチルシリルトリフルオロアセテート、ブチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、オクチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、デシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ブチルトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、オクチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、デシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートからなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、溶媒としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、Novec7100、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン等からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものを用いるのが好ましい。
また、撥水性保護膜形成剤として、トリメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルクロロシラン等からなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、酸として、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、硫酸等からなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、溶媒として、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、1−プロパノール、2−プロパノール、Novec7100、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン等からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む撥水性保護膜形成用薬液が好ましい。
また、撥水性保護膜形成剤として、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン、トリメチルヘキソキシシラン、トリメチルオクトキシシラン等からなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、酸として、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、ペンタフルオロエタンスルホン酸無水物、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸無水物、ノナフルオロブタンスルホン酸無水物、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸無水物、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート等からなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、溶媒として、ジイソアミルエーテル、ジノルマルアミルエーテル、ジノルマルヘキシルエーテル、エチルメチルエーテル、ジノルマルデシルエーテル、デカン、ドデカン、デカリン、ペンタン、ペンタデカン、1−ドデカンチオール、1−デカンチオール、1−オクタンチオール等からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む撥水性保護膜形成用薬液が好ましい。
表面にTiN、W、又はRuを有するウェハを用いる場合、前述した特許文献2に開示されたような、リン酸エステルやポリオキシアルキレンエーテルリン酸エステルを含む処理液を用いることや、前述した特許文献6に開示されたような非水溶性の界面活性剤を含む撥水性保護膜形成用薬液や、前述した特許文献7に開示されたような一般式[C]で示される化合物と溶媒を含む撥水性保護膜形成用薬液を用いることが可能である。上記のような撥水性保護膜形成用薬液を用いると、ウェハ表面と撥水性保護膜形成剤との間にファンデルワールス力や静電気的相互作用等を生じさせ、物理的に吸着させることによって撥水性保護膜を得ることができる。
上記の非水溶性の界面活性剤としては、TiN、W、Ruに対して親和性を持つ官能部を有することが好ましい。上記の親和性を持つ官能部としては、非共有電子対を持つ元素を一つ以上含有する官能部であり、例えば、アミノ基、−(C=O)−U結合、−(C=O)−V−W結合、イソシアネート基、メルカプト基、アルデヒド基、チオフェン環(チエニル基)の硫黄原子、−(C=O)−Z−(C=O)−結合、−OH結合等が挙げられる。なお、上記「U結合」のUは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、及び、ヨード基からなる群から選ばれる基を示し、上記「V−W結合」のVは、酸素原子、又は硫黄原子を示し、Wは、水素原子、アルキル基、芳香族基、ピリジル基、キノリル基、スクシンイミド基、マレイミド基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、及び、ベンゾトリアゾール基からなる群から選ばれる基を示し、上記「Z−(C=O)−結合」のZは、酸素原子又は硫黄原子を示す。
表面にTiN、W、又はRuを有するウェハを用いる場合の撥水性保護膜形成用薬液は、撥水性保護膜形成剤として、オクタデシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、デシルホスホン酸、デシルホスホン酸ジエチル、オクチルホスホン酸、パーフルオロヘキシルエチルホスホン酸、ノナフルオロヘキシルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸等からなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−プロパノール、テトラヒドロフラン、水、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメテルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールジアセテート、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ブチレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものが好ましい。
また、撥水性保護膜形成剤として、オクチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、ラウリン酸クロリド、パルミチン酸クロリド、オクタノイルクロリド、ミリスチン酸クロリド、イソシアン酸ドデシル、イソシアン酸オクタデシル、イソシアン酸オクチル、イソシアン酸ヘキシル、オクタンチオール、ドデカンチオール、オクタン酸、ノナン酸、オクタン酸無水物、オクチルアルデヒド、2−ペンチルチオフェン等からなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、溶媒として、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−プロパノール、Novec7100、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ゼオローラH等からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む撥水性保護膜形成用薬液が好ましい。
また、上記の撥水性保護膜形成用薬液には、該薬液の安定性をさらに高めるために、重合禁止剤や連鎖移動剤、酸化防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。例えば、4−メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、1,4−ベンゼンジオール、2−(1,1−ジメチルエチル)−1,4−ベンゼンジオール、1,4−ベンゾキノン、1−オクタンチオール、1−ノナンチオール、1−デカンチオール、1−ウンデカンチオール、1−ドデカンチオール、オクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロ肉桂酸(BASF製、Irganox1135)、6−tert−ブチル−2,4−キシレノール等が挙げられる。また、薬液の清浄性の観点から上記の添加剤は液体が好ましく、例えば、25℃大気圧で液体の1−ドデカンチオール、オクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロ肉桂酸(BASF製、Irganox1135)、6−tert−ブチル−2,4−キシレノール等が好ましい。
また、上記薬液中の液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定における0.2μmより大きい粒子の数が、該薬液1mL当たり100個以下であることが好ましい。上記0.2μmより大きい粒子の数が該薬液1mL当たり100個超であると、パーティクルによるパターンダメージを誘発する恐れがありデバイスの歩留まり低下及び信頼性の低下を引き起こす原因となるため好ましくない。また、0.2μmより大きい粒子の数が該薬液1mL当たり100個以下であれば、上記撥水性保護膜を形成した後の、各種洗浄を低減できるため好ましい。なお、上記0.2μmより大きい粒子の数は少ないほど好ましいが、上記の含有量範囲内であれば該薬液1mL当たり1個以上あってもよい。なお、本明細書における薬液中の液相でのパーティクル測定は、レーザを光源とした光散乱式液中粒子測定方式における市販の測定装置を利用して測定するものであり、パーティクルの粒径とは、PSL(ポリスチレン製ラテックス)標準粒子基準の光散乱相当径を意味する。
ここで、上記パーティクルとは、原料に不純物として含まれる塵、埃、有機固形物、無機固形物などの粒子や、薬液の調製中に汚染物として持ち込まれる塵、埃、有機固形物、無機固形物などの粒子などであり、最終的に薬液中で溶解せずに粒子として存在するものが該当する。
また、上記薬液中のNa、Mg、K、Ca、Mn、Fe、Cu、Li、Al、Cr、Ni、Zn及びAgの各元素(金属不純物)の含有量が、該薬液総量に対し各0.1質量ppb以下であることが好ましい。上記金属不純物含有量が、該薬液総量に対し0.1質量ppb超であると、デバイスの接合リーク電流を増大させる恐れがありデバイスの歩留まりの低下及び信頼性の低下を引き起こす原因となるため好ましくない。また、上記金属不純物含有量が、該薬液総量に対し各0.1質量ppb以下であると、上記撥水性保護膜をウェハ表面に形成した後の、該ウェハ表面又は撥水性保護膜表面の洗浄を低減できるため好ましい。このため、上記金属不純物含有量は少ないほど好ましいが、上記の含有量範囲内であれば該薬液の総量に対して、各元素につき、0.001質量ppb以上であってもよい。
(含フッ素溶媒)
含フッ素溶媒は、撥水性保護膜が形成されたウェハを洗浄する薬液であり、該含フッ素溶媒を用いることによって、撥水性が向上する。該含フッ素溶媒は、フルオロエーテル類、フルオロカーボン類、及びフルオロアルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものであるのが好ましい。
含フッ素溶媒は、撥水性保護膜が形成されたウェハを洗浄する薬液であり、該含フッ素溶媒を用いることによって、撥水性が向上する。該含フッ素溶媒は、フルオロエーテル類、フルオロカーボン類、及びフルオロアルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものであるのが好ましい。
上記の「フルオロエーテル類」としては、例えば、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、アサヒクリンAE−3000(旭硝子製)、Novec7100、Novec7200、Novec7300(いずれも3M製)等が挙げられる。また、「フルオロカーボン類」としては、例えば、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロシクロペンタン、パーフルオロシクロヘキサン、ヘキサフルオロベンゼン、1、1、1、3、3−ペンタフルオロブタン、オクタフルオロシクロペンタン、2、3−ジハイドロデカフルオロペンタン、ゼオローラH(日本ゼオン製)、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン等が挙げられる。また、「フルオロアルコール類」としては、例えば、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等が挙げられる。
上記の含フッ素溶媒のうち、極性の低い、上記のフルオロエーテル類や、上記のフルオロカーボン類を用いると、より撥水性が向上するため好ましい。
(アルコールリンス液)
アルコールリンス液は、上記の含フッ素溶媒と同様に撥水性保護膜が形成されたウェハを洗浄する薬液であり、本発明においては含フッ素溶媒よりも前の工程で用いる。例えば、含フッ素溶媒と撥水性保護膜形成用薬液との親和性が低い場合や、ウェハ上に不要な成分が残留する場合等に用いる事が可能である。該アルコールリンス液は、とくに限定するものではないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、及び2−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものが好ましいとしてもよい。
アルコールリンス液は、上記の含フッ素溶媒と同様に撥水性保護膜が形成されたウェハを洗浄する薬液であり、本発明においては含フッ素溶媒よりも前の工程で用いる。例えば、含フッ素溶媒と撥水性保護膜形成用薬液との親和性が低い場合や、ウェハ上に不要な成分が残留する場合等に用いる事が可能である。該アルコールリンス液は、とくに限定するものではないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、及び2−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものが好ましいとしてもよい。
(易溶解性溶媒)
易溶解性溶媒は、上記の含フッ素溶媒と同様に撥水性保護膜が形成されたウェハを洗浄する薬液であり、本発明においては主に、ウェハ表面に撥水性保護膜形成用薬液を保持した後に用いるのが望ましい。ウェハ表面に保持した撥水性保護膜形成用薬液のうち、撥水性保護膜の形成に関与しなかった余剰の撥水性保護膜形成剤を、該易溶解性溶媒へ溶解させることによって、上記の余剰分を除去することが可能である。該易溶解性溶媒としては、使用する撥水性保護膜形成剤を溶解可能な薬液を用いればよく、特に限定するものではないが、ウェハ上に不要な成分を残留させないため、好ましくは、撥水性保護膜形成剤や撥水性保護膜形成用薬液と化学反応を生じない溶媒を用いるのがよい。例えば、該当する撥水性保護膜形成用薬液に使用可能な溶媒を用いるものでもよい。また、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、スルホキシド系溶媒、及びOH基を含まない多価アルコールの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものとしてもよい。
易溶解性溶媒は、上記の含フッ素溶媒と同様に撥水性保護膜が形成されたウェハを洗浄する薬液であり、本発明においては主に、ウェハ表面に撥水性保護膜形成用薬液を保持した後に用いるのが望ましい。ウェハ表面に保持した撥水性保護膜形成用薬液のうち、撥水性保護膜の形成に関与しなかった余剰の撥水性保護膜形成剤を、該易溶解性溶媒へ溶解させることによって、上記の余剰分を除去することが可能である。該易溶解性溶媒としては、使用する撥水性保護膜形成剤を溶解可能な薬液を用いればよく、特に限定するものではないが、ウェハ上に不要な成分を残留させないため、好ましくは、撥水性保護膜形成剤や撥水性保護膜形成用薬液と化学反応を生じない溶媒を用いるのがよい。例えば、該当する撥水性保護膜形成用薬液に使用可能な溶媒を用いるものでもよい。また、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、スルホキシド系溶媒、及びOH基を含まない多価アルコールの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものとしてもよい。
上記の「炭化水素類」としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、アイコサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン等が挙げられる。また、「エステル類」としては、例えば、エステル類の例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチル等が挙げられる。また、「エーテル類」としては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。また、「ケトン類」としては、例えば、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。また、「スルホキシド系溶媒」としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。また、「OH基を含まない多価アルコールの誘導体」としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
2:ウェハの洗浄方法
本発明は、表面に撥水性保護膜が形成されたウェハを、リンス液を用いて洗浄するウェハの洗浄方法において、該ウェハは、表面にSiN、TiN、W、又はRuを有するものであり、該リンス液は含フッ素溶媒であり、該含フッ素溶媒を該撥水性保護膜上に保持する含フッ素リンス工程、及び該含フッ素リンス工程の後に、該撥水性保護膜表面を乾燥させる乾燥工程、を有する、ウェハの洗浄方法である。
本発明は、表面に撥水性保護膜が形成されたウェハを、リンス液を用いて洗浄するウェハの洗浄方法において、該ウェハは、表面にSiN、TiN、W、又はRuを有するものであり、該リンス液は含フッ素溶媒であり、該含フッ素溶媒を該撥水性保護膜上に保持する含フッ素リンス工程、及び該含フッ素リンス工程の後に、該撥水性保護膜表面を乾燥させる乾燥工程、を有する、ウェハの洗浄方法である。
また、本発明のウェハの洗浄方法は、前記含フッ素リンス工程の前に、前記撥水性保護膜上にアルコールを有するアルコールリンス液を保持する、アルコールリンス工程を有し、該含フッ素リンス工程が、該アルコールリンス工程後に撥水性保護膜上に保持された液を、含フッ素溶媒へ置換する工程であるのが好ましい。
また、本発明のウェハの洗浄方法は、該ウェハ表面に、撥水性保護膜形成剤を有する撥水性保護膜形成用薬液を保持する保護膜形成工程、該保護膜形成工程の後、該ウェハ上に保持された液を、該撥水性保護膜形成剤を溶解可能な易溶解性溶媒へ置換する易溶解性リンス工程、該易溶解性リンス工程の後、該撥水性保護膜上に保持された液を前記アルコールリンス液へ置換するアルコールリンス工程、該アルコールリンス工程の後、該撥水性保護膜上に保持された液を前記含フッ素溶媒へ置換する含フッ素リンス工程、及び該含フッ素リンス工程の後、該撥水性保護膜表面を乾燥させる乾燥工程、を有するのが好ましい。
本発明のウェハの洗浄方法の各工程について、以下に説明する。なお、本発明の洗浄工程の前に、表面に凹凸パターンを形成した際に生じたエッチングの残渣などを除去する目的で各種洗浄液を用いて洗浄してもよく、また、該洗浄後に凹部に残っている洗浄液を該洗浄液とは異なる別の洗浄液に置換する目的で、さらに洗浄してもよい。
また、本発明は各種薬液をウェハ表面やウェハ上に供給する。この時、ウェハの凹凸パターンの少なくとも凹部に各種薬液を保持できる洗浄装置を用いるのであれば、使用する洗浄装置や洗浄方法は特に限定されない。例えば、ウェハをほぼ水平に保持して回転させながら回転中心付近に薬液を供給し、ウェハを1枚ずつ洗浄するスピン洗浄装置を用いるような枚葉方式や、洗浄槽内で複数枚のウェハを浸漬し洗浄する洗浄装置を用いるバッチ方式等が挙げられる。なお、ウェハの凹凸パターンの少なくとも凹部に上記薬液を供給するときの該薬液の形態としては、該凹部に保持された時に液体になるものであれば特に限定されず、たとえば、液体、蒸気などがある。
(保護膜形成工程)
保護膜形成工程は、表面に凹凸等のパターンが形成されたウェハ表面に、前述したような撥水性保護膜形成用薬液を供給し、所定時間保持させることによって、撥水性保護膜を得る工程である。本工程では、凹凸パターンの少なくとも凹部に該撥水性保護膜形成用薬液が保持されている間に、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に所望の撥水性保護膜が形成される。
保護膜形成工程は、表面に凹凸等のパターンが形成されたウェハ表面に、前述したような撥水性保護膜形成用薬液を供給し、所定時間保持させることによって、撥水性保護膜を得る工程である。本工程では、凹凸パターンの少なくとも凹部に該撥水性保護膜形成用薬液が保持されている間に、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に所望の撥水性保護膜が形成される。
撥水性保護膜形成用薬液は、撥水性保護膜の形成に要する時間を短縮するために、10℃以上、該撥水性保護膜形成用薬液の沸点未満の環境下で、ウェハ表面に保持するのが好ましい。上記の温度範囲から外れると、均質な撥水性保護膜を形成し難くなることがある。また、より好ましくは15℃以上、該撥水性保護膜形成用薬液の沸点−10℃以下としてもよい。なお、該上記の撥水性保護膜形成用薬液の沸点は、該薬液に含まれる成分のうち質量比で最も量の多い成分の沸点を意味するものとする。
(易溶解性リンス工程)
上記の保護膜形成工程の後、通常、ウェハ上の少なくとも凹部には、余剰の撥水性保護膜形成剤や撥水性保護膜形成用薬液等が残留している。ウェハ上に不要な成分が残留すると、最終的に得られる撥水性を低下させる場合があるため、上記の保護膜形成工程の後に易溶解性リンス工程を行うのが好ましい。易溶解性リンス工程は、上記のウェハ上に易溶解性溶媒を供給し所定時間保持させることによって、該易溶解性溶媒と残留する撥水性保護膜形成用薬液や撥水性保護膜形成剤とを置き換える(=以後「置換」と記載することもある)工程である。また、易溶解性リンス工程は必要に応じて複数回行ってもよく、該撥水性保護膜形成用薬液又は該撥水性保護膜形成剤と置換した後、保持された易溶解性溶媒を別の易溶解性溶媒を置換するものでもよい。また、使用する易溶解性溶媒は、前述したように、使用する撥水性保護膜形成剤を溶解可能な薬液を用いればよく、特に限定するものではないが、ウェハ上に不要な成分を残留させないため、好ましくは、撥水性保護膜形成剤や撥水性保護膜形成用薬液と化学反応を生じない溶媒を用いるのがよい。例えば、該当する撥水性保護膜形成用薬液に使用可能な溶媒を用いるものでもよい。
上記の保護膜形成工程の後、通常、ウェハ上の少なくとも凹部には、余剰の撥水性保護膜形成剤や撥水性保護膜形成用薬液等が残留している。ウェハ上に不要な成分が残留すると、最終的に得られる撥水性を低下させる場合があるため、上記の保護膜形成工程の後に易溶解性リンス工程を行うのが好ましい。易溶解性リンス工程は、上記のウェハ上に易溶解性溶媒を供給し所定時間保持させることによって、該易溶解性溶媒と残留する撥水性保護膜形成用薬液や撥水性保護膜形成剤とを置き換える(=以後「置換」と記載することもある)工程である。また、易溶解性リンス工程は必要に応じて複数回行ってもよく、該撥水性保護膜形成用薬液又は該撥水性保護膜形成剤と置換した後、保持された易溶解性溶媒を別の易溶解性溶媒を置換するものでもよい。また、使用する易溶解性溶媒は、前述したように、使用する撥水性保護膜形成剤を溶解可能な薬液を用いればよく、特に限定するものではないが、ウェハ上に不要な成分を残留させないため、好ましくは、撥水性保護膜形成剤や撥水性保護膜形成用薬液と化学反応を生じない溶媒を用いるのがよい。例えば、該当する撥水性保護膜形成用薬液に使用可能な溶媒を用いるものでもよい。
易溶解性溶媒で洗浄する場合、洗浄の時間、すなわち易溶解性溶媒を保持する時間は、凹凸パターン表面のパーティクルや不純物除去の観点から10秒以上、より好ましくは20秒以上とすることが好ましい。一方、上記洗浄の時間が長くなりすぎると生産性が悪くなるため、15分以下とすることが好ましい。
(アルコールリンス工程)
アルコールリンス工程は、上記の撥水性保護膜上にアルコールリンス液を供給し所定時間保持させることによって、アルコールリンス液と撥水性保護膜上に残留する各種薬液とを置換する工程である。該アルコールリンス工程は、前記の保護膜形成工程と、含フッ素リンス工程との間に行うものであり、前述したように、含フッ素溶媒と撥水性保護膜形成用薬液との親和性が低い場合や、撥水性保護膜上に不要な成分が残留する場合等に行う事が好ましい。例えば、撥水性保護膜形成用薬液の溶媒として水を含み、さらに後工程で用いる含フッ素溶媒としてフルオロエーテル類やフルオロカーボン類を使用する場合は、当該アルコールリンス工程を行うのが好ましい。また、上記の易溶解性リンス工程の代わりに行うものでも、易溶解性リンス工程の後に行うものでもよい。
アルコールリンス工程は、上記の撥水性保護膜上にアルコールリンス液を供給し所定時間保持させることによって、アルコールリンス液と撥水性保護膜上に残留する各種薬液とを置換する工程である。該アルコールリンス工程は、前記の保護膜形成工程と、含フッ素リンス工程との間に行うものであり、前述したように、含フッ素溶媒と撥水性保護膜形成用薬液との親和性が低い場合や、撥水性保護膜上に不要な成分が残留する場合等に行う事が好ましい。例えば、撥水性保護膜形成用薬液の溶媒として水を含み、さらに後工程で用いる含フッ素溶媒としてフルオロエーテル類やフルオロカーボン類を使用する場合は、当該アルコールリンス工程を行うのが好ましい。また、上記の易溶解性リンス工程の代わりに行うものでも、易溶解性リンス工程の後に行うものでもよい。
アルコールリンス液で洗浄する場合、洗浄の時間、すなわちアルコールリンス液を撥水性保護膜上に保持する時間は、凹凸パターン表面のパーティクルや不純物除去の観点から10秒以上、より好ましくは20秒以上とすることが好ましい。一方、上記洗浄の時間が長くなりすぎると生産性が悪くなるため、15分以下とすることが好ましい。
(含フッ素リンス工程)
含フッ素リンス工程は、後の乾燥工程の前に行う工程であり、該含フッ素工程を経ることによって撥水性保護膜の撥水性を向上させ、該撥水性保護膜の接触角をより大きくすることが可能となる。含フッ素リンス工程は、撥水性保護膜上に含フッ素溶媒を供給し所定時間保持させることによって、撥水性保護膜上に残留する各種薬液を含フッ素溶媒と置き換える工程である。上記の「撥水性保護膜上に残留する各種薬液」は、前述したような撥水性保護膜形成用薬液、易溶解性溶媒、及びアルコールリンス液等が挙げられる。使用可能な含フッ素溶媒としては、前述したようにフルオロエーテル類、フルオロカーボン類、及びフルオロアルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものとしてもよい。
含フッ素リンス工程は、後の乾燥工程の前に行う工程であり、該含フッ素工程を経ることによって撥水性保護膜の撥水性を向上させ、該撥水性保護膜の接触角をより大きくすることが可能となる。含フッ素リンス工程は、撥水性保護膜上に含フッ素溶媒を供給し所定時間保持させることによって、撥水性保護膜上に残留する各種薬液を含フッ素溶媒と置き換える工程である。上記の「撥水性保護膜上に残留する各種薬液」は、前述したような撥水性保護膜形成用薬液、易溶解性溶媒、及びアルコールリンス液等が挙げられる。使用可能な含フッ素溶媒としては、前述したようにフルオロエーテル類、フルオロカーボン類、及びフルオロアルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものとしてもよい。
含フッ素溶媒で洗浄する場合、洗浄の時間、すなわち含フッ素溶媒を撥水性保護膜上に保持する時間は、凹凸パターン表面のパーティクルや不純物除去の観点から10秒以上、より好ましくは20秒以上を行うことが好ましい。一方、上記洗浄の時間が長くなりすぎると生産性が悪くなるため、15分以下とすることが好ましい。上記の保持後に含フッ素溶媒を除去する。除去方法は特に限定するものではなく、公知の方法で気化や消失させたり、エアーを吹き付ける等によって物理的に除去したりしてもよい。また、該含フッ素溶媒の除去は、後述する乾燥工程と併せて行うと生産性が良いため好適である。
(乾燥工程)
上記の含フッ素リンス工程の後、撥水性保護膜表面を乾燥させる。また、前述したように、撥水性保護膜は乾燥工程後に除去されず、撥水性が向上した撥水性保護膜Bとなる。乾燥工程は、スピン乾燥、IPA(2−プロパノール)蒸気乾燥、マランゴニ乾燥、加熱乾燥、温風乾燥、送風乾燥、真空乾燥などの公知の乾燥方法によって行うことが可能である。また、前述したように、当該乾燥工程で上記の含フッ素溶媒を除去するものでもよい。
上記の含フッ素リンス工程の後、撥水性保護膜表面を乾燥させる。また、前述したように、撥水性保護膜は乾燥工程後に除去されず、撥水性が向上した撥水性保護膜Bとなる。乾燥工程は、スピン乾燥、IPA(2−プロパノール)蒸気乾燥、マランゴニ乾燥、加熱乾燥、温風乾燥、送風乾燥、真空乾燥などの公知の乾燥方法によって行うことが可能である。また、前述したように、当該乾燥工程で上記の含フッ素溶媒を除去するものでもよい。
(その他工程)
得られた撥水性保護膜Bは、ウェハの洗浄を終えた後に必要に応じて除去してもよい。該撥水性保護膜Bを除去する場合、該撥水性保護膜B中のC−C結合、C−F結合を切断することが有効である。例えば、前記乾燥工程の後、前記撥水性保護膜B表面に、加熱処理、光照射処理、オゾン曝露処理、プラズマ照射処理、及びコロナ放電処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの処理を施して前記撥水性保護膜Bを除去することが好ましい。
得られた撥水性保護膜Bは、ウェハの洗浄を終えた後に必要に応じて除去してもよい。該撥水性保護膜Bを除去する場合、該撥水性保護膜B中のC−C結合、C−F結合を切断することが有効である。例えば、前記乾燥工程の後、前記撥水性保護膜B表面に、加熱処理、光照射処理、オゾン曝露処理、プラズマ照射処理、及びコロナ放電処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの処理を施して前記撥水性保護膜Bを除去することが好ましい。
光照射で撥水性保護膜Bを除去する場合、該撥水性保護膜BのC−C結合、C−F結合の結合エネルギーである83kcal/mol、116kcal/molに相当するエネルギーである340nm、240nmよりも短い波長を含む紫外線を照射することが好ましい。この光源としては、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、エキシマランプ、カーボンアークなどが用いられる。紫外線照射強度は、メタルハライドランプであれば、例えば、照度計(コニカミノルタセンシング製照射強度計UM−10、受光部UM−360〔ピーク感度波長:365nm、測定波長範囲:310〜400nm〕)の測定値で100mW/cm2以上が好ましく、200mW/cm2以上が特に好ましい。なお、照射強度が100mW/cm2未満では除去にかかる時間が長くなることがある。また、低圧水銀ランプであれば、より短波長の紫外線を照射することになるため、照射強度が低くても短時間で除去できるので好ましい。
また、光照射で撥水性保護膜Bを除去する場合、紫外線で該撥水性保護膜Bの構成成分を分解すると同時にオゾンを発生させ、該オゾンによって該撥水性保護膜Bの構成成分を酸化揮発させると、処理時間が短くなるので特に好ましい。この光源として、低圧水銀ランプやエキシマランプなどが用いられる。また、光照射しながらウェハを加熱してもよい。
ウェハを加熱する場合、400〜1000℃、好ましくは、500〜900℃でウェハの加熱を行うことが好ましい。この加熱時間は、10秒〜60分間、好ましくは30秒〜10分間の保持で行うことが好ましい。また、当該工程では、オゾン曝露、プラズマ照射、コロナ放電などを併用してもよい。また、ウェハを加熱しながら光照射を行ってもよい。
加熱により撥水性保護膜Bを除去する方法は、ウェハを熱源に接触させる方法、熱処理炉などの加熱された雰囲気にウェハを置く方法などがある。なお、加熱された雰囲気にウェハを置く方法は、複数枚のウェハを処理する場合であっても、表面に保護膜を除去するためのエネルギーを均質に付与しやすいことから、操作が簡便で処理が短時間で済み、処理能力が高いという工業的に有利な方法である。
ウェハをオゾン曝露する場合、低圧水銀灯などによる紫外線照射や高電圧による低温放電等で発生させたオゾンを撥水性保護膜表面に供することが好ましい。ウェハをオゾン曝露しながら光照射してもよいし、加熱してもよい。
以下、本発明の実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
ここで、水滴の接触角の評価は、JIS R 3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」にもあるように、サンプル(基材)表面に数μlの水滴を滴下し、水滴と基材表面のなす角度を測定することで求められる。しかし、パターンを有するウェハの場合、接触角が基材の表面形状(ラフネス)に影響され、Wenzel効果やCassie効果が生じるために、見かけ上の接触角が非常に大きくなる。すなわち、表面に凹凸パターンを有するウェハだと、該凹凸パターン表面に形成された撥水性保護膜自体の接触角を正確に評価できない。
そこで、以下の実施例及び比較例では上記薬液を表面が平滑なウェハに供して、ウェハ表面に撥水性保護膜を形成して、該撥水性保護膜を表面に凹凸パターンが形成されたウェハの表面に形成された保護膜とみなし、評価を行った。
(1)測定用サンプルの作成
(保護膜形成工程)
ウェハ表面に撥水性保護膜形成用薬液を保持させた。SiNウェハ、TiNウェハ、及びWウェハとしては、シリコンウェハ表面にそれぞれSiN層、TiN層、及びW層を厚み50nmで形成したものを、SiO2ウェハとしてはシリコンウェハ表面に厚み1μmの熱酸化層を形成したものを、それぞれ使用した。また、各ウェハと撥水性保護膜形成用薬液は表1、2に記載した通りの組み合わせとして、まずSiNウェハ及びSiO2ウェハの場合は、ウェハを1質量%のフッ酸水溶液に室温で10分浸漬させ、TiNウェハとWウェハの場合は、ウェハを0.5質量%のフッ酸水溶液に室温で5分浸漬させた。次に、各ウェハを純水に室温で1分、2−プロパノール(iPA)に室温で1分浸漬させた。次に、各ウェハを撥水性保護膜形成用薬液に室温で20秒(ただし、Wウェハは3分)浸漬させた。
(保護膜形成工程)
ウェハ表面に撥水性保護膜形成用薬液を保持させた。SiNウェハ、TiNウェハ、及びWウェハとしては、シリコンウェハ表面にそれぞれSiN層、TiN層、及びW層を厚み50nmで形成したものを、SiO2ウェハとしてはシリコンウェハ表面に厚み1μmの熱酸化層を形成したものを、それぞれ使用した。また、各ウェハと撥水性保護膜形成用薬液は表1、2に記載した通りの組み合わせとして、まずSiNウェハ及びSiO2ウェハの場合は、ウェハを1質量%のフッ酸水溶液に室温で10分浸漬させ、TiNウェハとWウェハの場合は、ウェハを0.5質量%のフッ酸水溶液に室温で5分浸漬させた。次に、各ウェハを純水に室温で1分、2−プロパノール(iPA)に室温で1分浸漬させた。次に、各ウェハを撥水性保護膜形成用薬液に室温で20秒(ただし、Wウェハは3分)浸漬させた。
(易溶解性リンス工程)
表1、2に易溶解性溶媒の記載がある例については、上記の薬液を保持した撥水性保護膜上にPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、又はデカンを浸漬させ、室温で15秒間保持した。
表1、2に易溶解性溶媒の記載がある例については、上記の薬液を保持した撥水性保護膜上にPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、又はデカンを浸漬させ、室温で15秒間保持した。
(アルコールリンス工程)
次に、上記の薬液を保持した撥水性保護膜上にiPA(イソプロピルアルコール)を浸漬させ、室温で5秒間保持し、これを合計で3回行った。
次に、上記の薬液を保持した撥水性保護膜上にiPA(イソプロピルアルコール)を浸漬させ、室温で5秒間保持し、これを合計で3回行った。
(含フッ素リンス工程)
次に、表1、2に含フッ素溶媒の記載がある例については、上記の薬液を保持した撥水性保護膜上に表1、2に示した含フッ素溶媒を浸漬させ、室温で15秒保持した。
次に、表1、2に含フッ素溶媒の記載がある例については、上記の薬液を保持した撥水性保護膜上に表1、2に示した含フッ素溶媒を浸漬させ、室温で15秒保持した。
(乾燥工程)
次に、エアーを吹き付けて撥水性保護膜上から含フッ素溶媒を除去し、同時に該撥水性保護膜表面を乾燥させた。以上より、測定用サンプルを得た。
次に、エアーを吹き付けて撥水性保護膜上から含フッ素溶媒を除去し、同時に該撥水性保護膜表面を乾燥させた。以上より、測定用サンプルを得た。
なお、表1、2において、「Novec7100」は3M製の含フッ素溶媒を意味する。
(2)撥水性の評価
得られた測定用サンプルの撥水性保護膜上に純水約2μlを置き、水滴と撥水性保護膜表面とのなす角(接触角)を接触角計(協和界面科学製:CA−X型)で測定した。得られた結果を表1、2に記載した。
得られた測定用サンプルの撥水性保護膜上に純水約2μlを置き、水滴と撥水性保護膜表面とのなす角(接触角)を接触角計(協和界面科学製:CA−X型)で測定した。得られた結果を表1、2に記載した。
以上より、いずれの実施例も対応する比較例(例えば、実施例1−1及び1−2に対応するのは比較例1−1)より接触角が大きく、含フッ素溶媒で洗浄することによって、撥水性が向上することがわかった。また、易溶解性溶媒で洗浄した場合についても、同様に撥水性が向上する傾向が見られた。
また、比較例4−1〜4−8、5−1〜5−4に見られるように、SiO2ウェハやSiウェハは含フッ素リンス工程を経ても撥水性の向上は見られなかった。また、易溶解性溶媒で洗浄した場合についても、同様の傾向が見られた。
Claims (9)
- 表面に撥水性保護膜が形成されたウェハを、リンス液を用いて洗浄するウェハの洗浄方法において、
該ウェハは、表面にSiN、TiN、W、又はRuを有するものであり、
該リンス液は含フッ素溶媒であり、
該含フッ素溶媒を該撥水性保護膜上に保持する含フッ素リンス工程、及び
該含フッ素リンス工程の後に、該撥水性保護膜表面を乾燥させる乾燥工程、を有する、ウェハの洗浄方法。 - 前記含フッ素溶媒が、フルオロエーテル類、フルオロカーボン類、及びフルオロアルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものである、請求項1に記載のウェハの洗浄方法。
- 前記含フッ素リンス工程の前に、前記撥水性保護膜上にアルコールを有するアルコールリンス液を保持する、アルコールリンス工程を有し、
該含フッ素リンス工程が、該アルコールリンス工程後に該撥水性保護膜上に保持された液を、含フッ素溶媒へ置換する工程である、請求項1又は請求項2に記載のウェハの洗浄方法。 - 前記アルコールリンス液が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、及び2−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものである、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のウェハの洗浄方法。
- 前記ウェハが表面にSiNを有するウェハである、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のウェハの洗浄方法。
- 前記ウェハが表面にTiN、W、又はRuを有するウェハである、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のウェハの洗浄方法。
- 前記ウェハの洗浄方法が、
該ウェハ表面に、撥水性保護膜形成剤を有する撥水性保護膜形成用薬液を保持する保護膜形成工程、
該保護膜形成工程の後、該ウェハ上に保持された液を、該撥水性保護膜形成剤を溶解可能な易溶解性溶媒へ置換する易溶解性リンス工程、
該易溶解性リンス工程の後、該撥水性保護膜上に保持された液を前記アルコールリンス液へ置換するアルコールリンス工程、
該アルコールリンス工程の後、該撥水性保護膜上に保持された液を前記含フッ素溶媒へ置換する含フッ素リンス工程、及び
該含フッ素リンス工程の後、該撥水性保護膜表面を乾燥させる乾燥工程、を有するものである、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のウェハの洗浄方法。 - 前記易溶解性溶媒が、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、スルホキシド系溶媒、及びOH基を含まない多価アルコールの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものである、請求項7に記載のウェハの洗浄方法。
- 前記乾燥工程の後、前記撥水性保護膜表面に、加熱処理、光照射処理、オゾン曝露処理、プラズマ照射処理、及びコロナ放電処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの処理を施して前記撥水性保護膜を除去する、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のウェハの洗浄方法。
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WO2021106580A1 (ja) * | 2019-11-29 | 2021-06-03 | セントラル硝子株式会社 | 保護膜形成用薬液及びウェハの洗浄方法 |
WO2023136081A1 (ja) * | 2022-01-17 | 2023-07-20 | 富士フイルム株式会社 | 薬液、修飾基板の製造方法、積層体の製造方法 |
WO2023199824A1 (ja) * | 2022-04-11 | 2023-10-19 | セントラル硝子株式会社 | 表面処理組成物、およびウェハの製造方法 |
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