JP2019077625A - ヒト用の口臭予防剤及び口腔用抗菌剤 - Google Patents

ヒト用の口臭予防剤及び口腔用抗菌剤 Download PDF

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Abstract

【課題】歯周病菌や、カンジダ菌、肺炎桿菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌などによる日和見感染を治療及び予防並びにそれらに伴う口臭を治療(抑制)及び予防するためのヒト用の口臭予防剤及び口腔用抗菌剤を提供する。【解決手段】マスティック樹脂及び卵黄油を有効成分として含有する。【選択図】図9

Description

本発明は、マスティック樹脂及び卵黄油を有効成分として含有するヒト(人間)用の口臭予防剤に関する。また、本発明は、マスティック樹脂及び卵黄油を有効成分として含有するヒト用の口腔用抗菌剤に関する。
一般的にヒトの場合、う蝕(虫歯)や歯周病の原因の1つとして、プラーク(歯垢)の付着があり、従来から口腔衛生においてはその除去や予防、即ちプラークコントロールが重要であることが指摘されている。プラークの形成機序は、口腔内微生物、特にう蝕の原因菌であるストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)の菌体外酵素であるグルコシルトランスフェラーゼがスクロースを基質として、粘着性で且つ、不溶性のグルカンを合成し、このグルカンが歯面に付着して菌体の凝集塊であるプラークを形成することからなる。
このプラークコントロールの方法としては、歯ブラシ等による機械的なプラーク除去や、口腔用殺菌剤を使用した口腔内殺菌が主である。しかしながら、歯ブラシ等による機械的なプラーク除去の場合は、訓練を受けた上手な磨き方で長時間かけて行わなければ充分にプラークを除去することはできない。また、口腔用殺菌剤による方法であれば、プラークなどの菌体凝集塊に対しては殺菌剤成分が内部まで浸透しないため、その効果が充分に発揮されないという問題点がある。そのため、殺菌剤成分の濃度を上げたり、処置時間を長くする等の工夫が必要となる。また、殺菌剤によるプラーク除去については、口腔内の菌すべてに対し作用するため、口腔常在菌や人体に有用な菌も殺菌することになり、安全性、経済性、有効性の面から、必ずしも満足できるものではなかった。
また、ヒトの場合における歯周病は、歯ぎん炎、歯肉炎又は歯槽膿漏などの歯の歯周組織に炎症を引き起こす症状を有する疾患である。歯周病の原因菌としては、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、トレポネマ・デンティコラ(Treponema denticola)などの菌が知られている。歯周病は、プラーク由来の疾患が主であるので、う蝕予防と同様にその予防にはプラークコントロールが有用であるが、上記に述べた懸念と同様の懸念が生じてしまう。また、歯周病の中には、プラークに由来しないものや、更に重症化してしまうと、歯科若しくは口腔外科医院で、専門的な治療(主に抗生物質などによる化学的療法、抜歯等)を受けなくてはならず、例えば投与した薬剤によっては、副作用として種々の消化器系疾患を誘発するといった懸念があった。
上記に述べたようなヒトにおけるう蝕及び歯周病予防の懸念を解消すべく、少量の有効成分で効果を示し、その成分の取扱いが簡便な材料(例えば天然物材料)で口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤の開発が種々成されている。その一例として、マスティック(主にその樹液)を使用した口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤が、特開2012−97018号公報(特許文献1)に開示されている。マスティックとは、ギリシャ・ヒオス島で栽培されるウルシ科カイノキ属マスティックス(Pistacia Lentiscus)を指し、主にう蝕や歯周病予防においてはその樹液を用いる。また、マスティック樹液は、ヒトにおけるう蝕及び歯周病予防だけでなく、そのほかにピロリ菌やカンピロバクター菌に対する抗菌作用も知られている。なお、マスティック樹液の主な成分としては、マスティック精油、マスチカジエノン酸、イソマスチカジエノン酸、トリテルペン類、アルデヒド類、アルコール類、ポリβ‐ミルセン等である。また、同じく少量の有効成分で効果を示し、その成分の取扱いが簡便な材料の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤として、植物性乳酸菌の一種であるラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)菌を主に使用した口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤が、特開2014−166992号公報(特許文献2)に開示されている。特許文献2において使用する植物性乳酸菌は、その菌体の体長を0.1〜5μm程度に揃えられ、且つ死菌として用いられたものである。そのことにより、少ない含有量で、且つ製造コストが抑えられた口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤が提供されるというものである。
更に、口腔内には、う蝕や歯周病の原因菌のほか、カンジダ菌、肺炎桿菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌などといった常在菌が存在する。これらの常在菌は、基本的に無毒若しくは弱毒性であり、健康体であればこれら常在菌による感染症疾患は殆ど発症しない。しかしながら、例えば血液疾患、免疫不全疾患、糖尿病、内臓疾患などの基礎疾患を罹患している者、抵抗力が低下している高齢者や障がい者、新生児等は、これらの常在菌により日和見感染、即ち感染症疾患に罹患することが多く、体の状態などによっては、誤嚥性肺炎や髄膜炎、敗血症などといった重篤な疾患を引き起こす可能性がある。このように、これらの常在菌による感染症疾患の治療及び予防には、う蝕や歯周病の治療及び予防の時同様に、薬剤による処置が一般的である。しかしながら、このような処置の場合、患部に改善が見られたとしても、他の正常な細胞が傷んでしまったり、薬剤の副作用により正常な臓器に疾患が起きてしまったりという懸念がある。このようなことから、う蝕や歯周病のほか感染症疾患をも口腔ケアで大幅に予防できることが近年知られている。
う蝕や歯周病の原因菌に対する抗菌と共に、カンジダ菌、肺炎桿菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌などといった常在菌に対する抗菌が期待できる口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤として、天然物由来のカチオン性ペプチドを使用した組成物が、特許第5401457号公報(特許文献3)に開示されており、また乳酸菌由来の組成物が、特表2012−512171号公報(特許文献4)にそれぞれ開示されている。
特開2012−97018号公報 特開2014−166992号公報 特許第5401457号公報 特表2012−512171号公報
ここで、う蝕や歯周病、細菌による感染症疾患を口腔ケアにより治療若しくは予防するには、これらの原因菌を除去するのが簡便且つ合理的な方法であるが、その一方で、口臭もまた懸念材料の一つである。口臭の主な成分として、硫化水素やメチルメルカプタンといったチオール(メルカプタン)類、ジメチルサルファイドなどのチオエーテル類、口腔内の食べ滓や歯垢や舌苔などのタンパク質成分が分解されて発生するジスルフィド化合物、アンモニア、イソ吉草酸、スカトール、イントール、アセトン、エタノール、メタノールなどが含まれる。中でも、チオール類やチオエーテル類といった揮発性の含硫黄有機化合物(Volatile Sulfur Compounds(VSC))が口腔から発生する口臭の主成分である。
VSCは、健康体ならば、例えば口腔内の食べ滓や歯垢若しくは歯石や舌苔が分解されて発生し、歯周病に罹患していれば、歯周病菌(例えばポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis))から産生される。また、歯周病だけでなく、更には胃や肝臓などの消化器疾患に罹患している場合でもジメチルサルファイドを主成分とした口臭が発生し、呼吸器疾患や耳鼻咽頭系疾患でも同様の口臭が発生する場合がある。そして、口臭の主成分たるVSCが口腔内に残存していると、折角歯周病菌や歯垢が除去されても、更に歯周病が悪化するといったことがある。
先ず、特許文献1乃至4においては、歯周病菌に対しては抗菌作用を示すことが知られているが、VSC又はその他の口臭成分に対する除去効果については、開示も示唆もされていない。また、特許文献2、4においては、乳酸菌を使用しているが、生菌の場合には乳酸菌を資化させる糖類(養分)が必要であり、死菌の乳酸菌を使用する場合には口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤を調製するごとにそれぞれ作成しなくてはならない(特許文献2)といったことがある。また、特許文献3においては、当該ペプチドをその都度合成しなくてはならないといったことがある。
本発明は、上記の事情を鑑み、歯周病菌や、カンジダ菌、肺炎桿菌(肺炎球菌)、緑膿菌、黄色ブドウ球菌などによる日和見感染を治療及び予防並びにそれらに伴う口臭を治療(抑制)及び予防するためのヒト用の口臭予防剤及び口腔用抗菌剤を提供することにある。
本発明に係るヒト用の口臭予防剤の上記目的は、マスティック樹脂及び卵黄油を有効成分として含有することを特徴とすることによって達成される。
また、本発明に係るヒト用の口臭予防剤の上記目的は、前記卵黄油は、前記口臭予防剤に対して、1〜30重量%であることにより、或いは前記マスティック樹脂は、濃度が3〜60%のマスティック樹脂液として使用することにより、或いは前記マスティック樹脂液は、溶剤に溶解させて成ることにより、或いは前記マスティック樹脂液の含有量は、0.1〜50%であることにより、或いは更にマスティック精油を有効成分として含有することにより、或いは前記マスティック精油の含有量は、0.01〜1.0%であることにより、より効果的に達成される。
本発明に係るヒト用の口腔用抗菌剤の上記目的は、マスティック樹脂及び卵黄油を有効成分として含有することを特徴とすることによって達成される。
また、本発明に係るヒト用の口腔用抗菌剤の上記目的は、前記卵黄油は、前記口腔用抗菌剤に対して、1〜30重量%であることにより、或いは前記マスティック樹脂は、濃度が3〜60%のマスティック樹脂液として使用することにより、或いは前記マスティック樹脂液は、溶剤に溶解させて成ることにより、或いは前記マスティック樹脂液の含有量は、0.1〜50%であることにより、或いは更にマスティック精油を有効成分として含有することにより、或いは前記マスティック精油の含有量は、0.01〜1.0%であることにより、或いは対象菌が、歯周病菌及び口腔常在菌であることにより、或いは前記歯周病菌が、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)であり、前記口腔常在菌が、カンジダ菌、肺炎桿菌、緑膿菌又は黄色ブドウ球菌のいずれかであることにより、より効果的に達成される。
本発明に係るヒト用の口臭予防剤は、卵黄油、更にはマスティック樹脂及び/又はマスティック精油を使用することにより、揮発性含硫黄有機化合物(VSC)に作用して口臭を抑制することが可能になった。
また、本発明に係るヒト用の口腔用抗菌剤は、歯周病菌だけでなく、日和見感染を起こす口腔内の常在菌(カンジダ菌、肺炎桿菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌)に対して作用し、これらの菌を抑制(抗菌)することが可能になった。
下記実施例1の(1−1)において、プラセボ(比較対象)を使用した場合における揮発性有機硫黄化合物(VSC)濃度の推移を示すグラフである。 下記実施例1の(1−1)において、マスティックゲル(3%樹脂液)を使用した場合におけるVSC濃度の推移を示すグラフである。 下記実施例1の(1−2)において、マスティックゲル(5%樹脂液)を使用した場合におけるVSC濃度の推移を示すグラフである。 下記実施例1の(1−3)において、卵黄油ゲル(1%)を使用した場合におけるVSC濃度の推移を示すグラフである。 下記実施例1の(1−4)において、卵黄油ゲル(1.5%)を使用した場合におけるVSC濃度の推移を示すグラフである。 下記実施例1の(1−5)において、マスティック(3%樹脂液)+卵黄油(1%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の推移を示すグラフである。 下記実施例1の(1−6)において、マスティック(5%樹脂液)+卵黄油(1%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の推移を示すグラフである。 下記実施例1の(1−7)において、マスティック(3%樹脂液)+卵黄油(1.5%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の推移を示すグラフである。 下記実施例1の(1−8)において、マスティック(5%樹脂液)+卵黄油(1.5%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の推移を示すグラフである。
以下、本発明に係るヒト用の口臭予防剤及び口腔用抗菌剤について、詳細を説明する。「卵黄油」とは、鶏卵の卵黄を加熱した際に生成する固化成分と油脂分のうち、油脂分をいい、その油脂分を一般的に卵黄油若しくは卵油と称している。
「マスティック樹液」はウルシ科のカイノキ属マスティクス(Pistacia lentiscus)から採れる樹液を言い、背景技術の項で上述したように主成分としてはマスチカジエノン酸、イソマスチカジエノン酸、トリテルペン類、アルデヒド類、アルコール類、ポリβ‐ミルセン等である。「マスティック樹脂」とはマスティック樹液を、自然乾燥させ凝固させたものを言う。「マスティック精油」とは、マスティック樹液又はマスティック樹脂を水蒸気蒸留法若しくは乾留により、揮発性の成分(主にテルペン類)を精油化したものをいう。また、「%」については、特段の記載が無い場合には、全て重量百分率とする。
先ず、卵黄油について、説明する。上述のように、卵黄油とは、鶏卵の卵黄を加熱して生成した固化成分と油脂分のうち、油脂分を一般的に卵黄油若しくは卵油と称している。一般的な卵黄油には、脂溶性ビタミンであるビタミンE(トコフェロール)、卵黄レシチン、コリン(及びフォスファチジルコリン)、フォスファチジルアミン、パルミチン酸(炭素数16。不飽和度0。)、ステアリン酸(炭素数18。不飽和度0。)、オレイン酸(炭素数18。不飽和度1。)、およびリノール酸(炭素数18。不飽和度2。)といった脂肪酸、前記脂肪酸から誘導されたリン脂質、トリグリセリド等が含まれる。なお、これらの成分は、鶏の種類、鶏に対する飼料、有精卵若しくは無精卵、又は飼育環境などの条件によって、成分比が多少変化することはあるが、成分自体は、このような条件の如何に関わらず、変わるものではない。
本発明において使用する卵黄油は、卵黄油の製法、餌や飼育場などの鶏の飼育環境の違い、有精卵か無精卵かといったことは特に制限がない。また、本発明において使用する卵黄油は、市販品を利用しても、用事調製のいずれでも構わない。また、用事調製の場合、製造方法は公知技術でよく、製造方法の条件(例えば加熱温度や容器の材質など)は特に制限はない。また、本発明に係る口臭予防剤及び後述する口腔用抗菌剤において、肺炎桿菌やカンジダ菌などの抗菌対象菌により抗体化された鶏卵から製造した卵黄油を使用してもよいが、その限りではなく、抗体化は特にしなくてもよい。なお、鶏卵の抗体化については常法による。
本発明において、使用する卵黄油は、本発明の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤に対して1〜30%が望ましい。1%未満であると、口臭予防や抗菌作用が十分に発揮できない。30%よりも多いと、口臭予防や抗菌作用といった効果がさほど出ないか、或いは粘性が強くなって口腔内に浸透しなかったり、或いはかえって細菌類の温床となる可能性がある。
次に、マスティック樹脂について説明する。マスティック樹脂は、本発明に係るヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤において、歯周病関連細菌(特にポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis))や日和見感染を起こす常在菌(例えばカンジダ菌)に対する抗菌作用を示す重要な構成要素である。マスティック樹脂は、上述のように、マスティック樹液を自然乾燥させたものを使用する。ちなみに、自然乾燥の時間は、1日以上であれば特に限定はない。
なお、当該予防剤若しくは抗菌剤においては、マスティック樹脂を溶剤に溶解させて使用する。溶剤に溶解させる理由は、マスティック樹脂自体が水に不溶であること、当該組成物がジェルや液体等の種々の剤型を採ったときに種々の添加剤との相溶性を検討した結果である。
マスティック樹脂を溶解させるための溶剤としては、エタノール、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、脂肪酸トリグリセリド(脂肪酸由来部分については炭素数8〜18程度で、中でも炭素数8〜12のものが望ましい。)トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、脂肪酸モノグリセリド(脂肪酸由来部分については炭素数8〜18程度で、中でも炭素数8〜12のものが望ましい。)、モノカプリン酸グリセリル、脂肪酸エステル(脂肪酸由来部分については炭素数8〜18程度で、中でも炭素数8〜12のものが望ましい。)、ミリスチン酸イソプロピル、イソオクタン酸エチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、高級アルコール(炭素数8〜22程度)、オレイルアルコール、ソルビタン脂肪酸エステル(脂肪酸由来部分については炭素数8〜18程度で、中でも炭素数8〜12のものが望ましい。)、ショ糖脂肪酸エステル(脂肪酸由来部分については炭素数8〜18程度で、中でも炭素数8〜12のものが望ましい。)、並びに/又は天然油脂類、特にオリーブ油やヤシ油などの不飽和脂肪酸、パーム油などの飽和脂肪酸等といったものを使用することができる。
なお、マスティック樹脂を本発明に係るヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤に使用する場合は、溶剤に対して、均一系溶液になるようにすればよい。以下、この均一系溶液を「マスティック樹脂液」とする。マスティック樹脂液の濃度は、3〜60%が望ましい。ちなみに、その濃度が3%未満であると、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)や日和見感染を起こす常在菌(例えばカンジダ菌)に対する抗菌効果が得られず、その濃度が60%より過剰であると、不均一系溶液になってしまい、且つ5%未満のときほどではないもののポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)に対する殺菌効果も低下する。
マスティック樹脂液の調製方法については、上記濃度を順守すれば常法で構わない。そして、マスティック樹脂の溶解温度は、溶剤の沸点等を考慮すれば適宜温度上昇させてよく、場合によっては常温で構わない。なお、マスティック樹脂を溶剤に溶解させた後に、濾過をして、マスティック樹脂液として使用するのが望ましい。
なお、マスティック樹脂液の含有量は、本発明に係るヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤全量に対し、0.1〜50%が望ましい。ちなみに、マスティック樹脂そのものとして換算した場合は、マスティック樹脂液の含有量が、0.1%未満であると、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)や日和見感染を起こす常在菌(例えばカンジダ菌)に対する殺菌効果が低下する又はその殺菌効果が示されない。またマスティック樹脂液の含有量が、50%より過剰であると、ポルフィロモナス・グラエに対する殺菌効果が十分であっても、口腔内の患部周辺の組織等が何らかの炎症やアレルギー反応を起こすといった懸念があり、且つ場合によってはこの濃度範囲内よりもポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)や日和見感染を起こす常在菌(例えばカンジダ菌)に対する殺菌効果が低下する可能性もある。
次に、マスティック精油について説明する。ちなみに、マスティック精油については、上述のように、マスティック樹液又は樹脂を水蒸気蒸留若しくは乾留して揮発性成分(主にテルペン類)を精油化したものを使用すればよい。なお精油化については常法で良い。
マスティック精油の含有量は、本発明に係るヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤全量に対し、0.01〜1.0%が望ましい。マスティック精油の含有量が、1.0%より過剰であると、マスティック樹脂液のときと同様に、口腔内の患部周辺の組織等が何らかの炎症やアレルギー反応を起こすといった懸念があり、且つ場合によってはポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)や日和見感染を起こす常在菌(例えばカンジダ菌)に対する殺菌効果が低下する可能性がある。ちなみに、マスティック精油については、本発明に係るヒト用口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤に含有させなくても、即ちマスティック樹脂のみでもポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)や日和見感染を起こす常在菌(例えばカンジダ菌)に対する殺菌効果を示すが、含有させればより良い殺菌効果が得られる。また、マスティック精油を添加することにより、口臭予防の役割を果たす。なお、マスティック精油の含有量が0.01%未満であると、口臭予防効果を示さないためである。
また、本発明のヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤の剤型は、練り歯磨き剤、ジェル、液状歯磨き剤、粉末状歯磨き剤、洗口剤、フィルム剤、チューインガム、カプセル剤、タブレット剤又はパスタから選択され得る。
以上に述べた態様で、本発明に係るヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤については実施可能であるが、種々の添加剤を含有させても良い。その添加剤について次に説明する。
その添加剤の一例として、更にパパイアエキス及び/又はキトサンを配合させることによって、本発明に係るヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤が成る。
パパイアエキスは、天然パパイア果実由来のエキスであり、天然パパイアの果実を擦り潰し、エタノール等の溶媒に漬け込んで抽出したエキスであり、パパイアの果実については、熟したものであっても、まだ青い状態の未完熟のものであってもよい。このパパイアエキスは湿潤剤としての役割を果たしており、口腔内の潤いを保つことができるとともに、特に未完熟のパパイアはパパイン酵素が豊富に含まれている。このパパイン酵素が歯面上や歯と歯茎との間にある歯垢を取り除き易くする効果がある。このパパイアエキスの配合量は特に限定はないが、本発明に係る口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤の全量に対し、0.005%〜10%が望ましい。0.005%未満であると上述の効果が発揮されず、10%より過剰になると本発明に係るヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤のポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)や日和見感染を起こす常在菌(例えばカンジダ菌)への効果が薄れてしまう可能性がある。
対してキトサンは、カニやエビ等の甲殻類の外骨格から得られるキチンを強アルカリ等の煮沸処理などで得られるものである。多糖類であるため、粘結剤として使用されることもあるが、抗菌剤や歯面のコーティング作用を示す効果もある。また、上述のパパイン酵素をより長時間歯面に留めることができる。これによりポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)を死活させる効果がより発揮される。このパパイアエキスの配合量は特に限定はないが、本発明に係る口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤の全量に対し、0.005%〜10%が望ましい。0.005%未満であると上述の効果が発揮されず、10%より過剰になるとポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)や日和見感染を起こす常在菌(例えばカンジダ菌)への効果が薄れてしまう可能性がある。
さらに、キトサン及びパパイアエキスを同時に配合しても良い。これによりキトサンがパパイン酵素を歯面又は歯と歯茎との間に滞留させる時間を長くすることができ、キトサンによる殺菌効果も合わさり、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)や日和見感染を起こす常在菌(例えばカンジダ菌)を死活させる効果がより発揮される。この場合の配合量も特に限定はないが、キトサン及びパパイアエキスそれぞれ0.005%〜10%が望ましい。0.005%未満であると上述の効果が発揮されず、10%より過剰になるとポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)や日和見感染を起こす常在菌(例えばカンジダ菌)への効果が薄れてしまう可能性がある。
研磨剤としてシリカゲル、沈降性シリカ、加成性シリカ、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ゼオライト、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、結晶セルロース、第二リン酸カルシウム二水和物、第二リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、合成樹脂研磨剤などが挙げられる。これらのうち1種又は2種以上を併用して用いることができる。これらの研磨剤の配合量は、本発明に係る口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤全量に対して0〜60%が一般的である。
湿潤剤としてグリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ソルビット、マルチトール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール、ローズマリーエキス、クマザサエキス、キク花エキス等の植物エキス、ソルビット液等の糖質類並びに乳由来のホエイが挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。なお、これらについては、マスティック樹脂を溶解させる溶剤としても使用可能である。
粘結剤(増粘剤)として、カラギーナン類、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルシウム含有アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウムなどアルギン酸及びその誘導体、キサンタンガム、グァーガム、ゼラチン、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、プルランなどが挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を併用して用いることができる。なお、増粘剤は、ゲル(ジェル)化剤としての役割も兼ねる。
発泡剤としてラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、N−アシルグルタメートなどのN−アシルアミノ酸塩、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリ‐ε‐リシンなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用することができる。
また、保存剤としてヒノキチオール、丁子油やハッカ油などの天然香油及び精油類などがあげられ、これらの1種又は2種以上を併用することができる。
pH(水素イオン濃度)調整剤としてクエン酸、クエン酸(モノ若しくはジ)ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸(モノ若しくはジ)ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸(モノ若しくはジ)ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、乳酸、乳酸(モノ若しくはジ)ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用することができる。
本発明に係るヒト用の口臭消臭剤の有効成分を滞留(持続)させるための滞留剤として、流動パラフィン、流動パラフィン及びポリエチレンの混合物であるゲル化炭化水素、植物油、ミツロウなどが使用でき、これらを1種又は2種以上を併用することができる。なお、前記ゲル化炭化水素は、ゲル化剤としての役割も果たす。
甘味剤としてサッカリンナトリウム、アスパルテーム、トレハロース、ステビオサイド、ステビアエキス、p−メトキシシンナムアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、キシリトールなどがある。
防腐剤としてメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンなどがある。
香料成分としてl−メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、メチルサリシレート、エチルブチレート、オイゲノール、チモール、シンナムアルデヒド、トランス−2−ヘキセナールなどの中から1種又は2種以上を併用することができる。これらの成分は単品で配合してもよいが、これらを含有する精油などを用いてもよい。
ちなみに、上記に述べた湿潤剤、粘結剤、発泡剤、保存剤、滞留剤、甘味剤、防腐剤、香料成分など各成分の配合量は、特に限定はないが、ヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤全量に対して0.001〜20%の範囲が一般的である。
また、上記香料成分に加えて、脂肪族アルコールやそのエステル、テルペン系炭化水素若しくはテルペン系アルコール、フェノールエーテル、アルデヒド、ケトン、ラクトンなどの香料成分、精油(マスティック精油以外)を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。上記香料の配合量は、本発明に係るヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤全量に対して0.001〜20%の範囲が一般的である。
本発明のヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤には、上記のほか、更なる有効成分を配合してもよい。そのような有効成分として塩化リゾチーム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、硝酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒノキチオール、アスコルビン酸(ビタミンC)、アスコルビン酸塩類、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ビサボロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、トコフェロール、酢酸トコフェロール、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アルミニウムヒドロキシルアラントイン、乳酸アルミニウム、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸塩類、銅クロロフィリン塩、塩化ナトリウム、グァイアズレンスルホン酸塩、デキストラナーゼ、塩酸ピリドキシン、薬用ハイドロキシアパタイトなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合することができる。該有効成分については、本発明に係る口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤全量に対して0.001〜20%の範囲が一般的である。
そして、本発明に係るヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤全量に対して、上記に述べたマスティック樹脂(但し、マスティック樹脂液として)、マスティック精油、卵黄油、添加物等について上記に述べた数値範囲で混合した場合、その残部を溶媒(例えばマスティック樹脂を溶解させた溶剤等)やゲル化剤等として良い。
本発明のヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤は、常法に準じて製造することができ、その製法は特に限定されるものではない。
また、本発明のヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤については、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)を対象とした場合について、種々態様を述べたが、それ以外の歯周病菌、例えば、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、トレポネマ・デンティコラ(Treponema denticola)等にも効果を示すものと思われる。また、歯周病菌以外の菌、即ち日和見感染を起こす常在菌(カンジダ菌、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、緑膿菌等)に対しても効果を示す。
以上に本発明に係るヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤についての実施態様を述べたが、上記の態様の限りではなく、特許請求の範囲及び本明細書の記載の事項を逸脱しない範囲であれば、種々の態様が採用可能であることは言うまでもない。
本発明に係るヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤についての実施態様について、具体的な製造例並びに効果試験等の実施例を挙げながら説明する。
[製造例]本発明に係るヒト用の口臭予防剤及び口腔用抗菌剤の製造(典型例)
先ず、本発明に係るヒト用の口臭予防剤及び口腔用抗菌剤を表1に示す配合で製造した。なお、表1中における「配合割合」については重量%とする。
先ず、卵黄油に、ビタミンE及びビタミンCを加え攪拌溶解する(以下、「A液」とする。)。次に、精製水にグリチルリチン酸ジカリウム、ハッカ油、チョウジ(丁子)油を加えて加温して攪拌する(以下、「B液」とする。)。次に、マスティック樹脂、マスティック精油及びトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを混合攪拌する(以下、「C液」とする。)。次に、ゲル化炭化水素を80℃以上に加温し、先述のA液、B液及びC液を加えて混合攪拌する(以下、「D液」とする。)。次にD液に高級アルコール及びキサンタンガムを加えることにより、本発明に係るヒト用の口臭予防剤及び口腔用抗菌剤と成る。
ちなみに、表1に記載した成分の混合の順番、攪拌温度や回数などは適宜変更可能である。また、配合割合については、上記実施形態や特許請求の範囲に記載の範囲を順守すれば適宜変更可能である。また、ヒト用の口臭予防剤及び口腔用抗菌剤については、同一のものとしてもかまわないし、成分の配合を適宜変更してもかまわない。
[実施例1]本発明に係るヒト用の口臭予防剤の有効成分の効果試験
次に、本発明に係るヒト用の口臭予防剤の有効成分である、マスティック及び/又は卵黄油について、効果試験、即ち試料(ヒト用の口臭予防剤)を口腔内に塗布後の揮発性有機硫黄化合物(VSC)濃度を測定した。
本実施例1においては、基剤(ゲル化炭化水素)のみを比較対象の「プラセボ」とした。また、本実施例1において、マスティックに関しては、マスティック樹脂及びトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを混合したものを「マスティック樹脂液」とし、そのマスティック樹脂液と、ゲル化炭化水素とを混合してゲル化したものを「マスティックゲル」とした。例えば、「マスティック(〇%)ゲル」(〇は数字)といった場合、「〇%のマスティック樹脂液を含むゲル」という意味である。
また、本実施例1において、卵黄油ゲルに関しては、卵黄油と、ゲル化炭化水素とを混合してゲル化したものを卵黄油ゲルとした。例えば、「卵黄油(△%)ゲル」(△は数字)といった場合、「△%の卵黄油を含むゲル」という意味である。
また、本実施例1において、マスティックゲルと卵黄油ゲルとの混合ゲルに関しては「マスティック(〇%)+卵黄油(△%)ゲル」(〇、△は数字)という記載があるが、どちらも同一の意味であり、即ち「〇%のマスティック樹脂液を含むゲル」と「△%の卵黄油を含むゲル」との混合液(混合ゲル)という意味である。
なお、プラセボ並びにマスティックゲル、卵黄油ゲル及びマスティック+卵黄油ゲルといった試料ゲルについての調製(製造)方法については、略均一に混合されればよいので、攪拌回数や攪拌温度などは任意である。
また、後述の1−1乃至1−8において、検体は、男性6人(30歳代1人、40歳代2人、50歳代3人)並びに女性6人(20歳代1人、30歳代3人、50歳代2人)に統一して各試験を行った。
(1−1)プラセボ(比較対象)を使用した場合及びマスティック(3%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の推移
先ず、プラセボ(ゲル化炭化水素)について、先述した検体(男性6人及び女性6人)に対し、VSC濃度を測定した。試験方法としては、各検体において、5日間で1日当たり1回、プラセボを歯茎及び歯周ポケットに塗布し、塗布1時間後のVSC濃度(ppb)を測定した。ちなみに、各検体において、プラセボを塗布前にもVSC濃度(ppb)を測定した。なお、VSC濃度の測定については、各検体に対して、口臭測定器ブレストロンII(株式会社ヨシダ製)により行った。
同様に、マスティック(3%)ゲルについて、先述した検体(男性6人及び女性6人)に対し、VSC濃度を測定した。試験方法としては、各検体において、5日間で1日当たり1回、マスティックゲル(3%樹脂液)を歯茎及び歯周ポケットに塗布し、塗布1時間後のVSC濃度(ppb)を測定した。ちなみに、各検体において、マスティック(3%)ゲルを塗布前にもVSC濃度(ppb)を測定した。なお、VSC濃度の測定については、各検体に対して、口臭測定器ブレストロンII(株式会社ヨシダ製)により行った。
プラセボを使用した場合におけるVSC濃度の結果の推移を、下記表2(主に左側参照)並びに図1(A)及び(B)に示す。
年齢に関係なく主に歯周病菌等の個数により、各検体でVSC濃度(ppb)の大小が分かれるが、プラセボの場合、塗布前(表2並びに図1(A)及び(B)における「初期値」に相当)のVSC濃度と、塗布後のVSC濃度とを比較すると、各検体全てで略横ばいか微増といった結果になった。
次にマスティック(3%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の結果の推移を、上記表2(主に右側参照)並びに図2(A)及び(B)に示す。
マスティック(3%)ゲルを使用した場合においては、プラセボ同様に主に歯周病菌等の個数により、各検体でVSC濃度(ppb)の大小が分かれる。しかしながら、塗布前(表2並びに図2(A)及び(B)における「初期値」に相当)のVSC濃度と、塗布後のVSC濃度とを比較すると、どの検体も塗布後1日目から3日目までで変化が右肩下がり、即ちVSC濃度の抑制効果が顕著に出たという結果になった。そして各検体とも3日目から5日目でほぼ横ばいとなった。
これらのことから、少なくともマスティック(樹脂液)を用いた場合、抗菌効果はもとより、口臭抑制効果をもたらすことが示唆される結果となった。
(1−2)マスティック(5%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の推移
次に、マスティック(5%)ゲルについて、先述した検体(男性6人及び女性6人)に対し、VSC濃度を測定した。試験方法としては、各検体において、5日間で1日当たり1回、マスティック(5%)ゲルを歯茎及び歯周ポケットに塗布し、塗布1時間後のVSC濃度(ppb)を測定した。ちなみに、各検体において、マスティック(5%)ゲルを塗布前にもVSC濃度(ppb)を測定した。なお、VSC濃度の測定については、各検体に対して、口臭測定器ブレストロンII(株式会社ヨシダ製)により行った。
マスティック(5%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の結果の推移を、下記表3並びに図3(A)及び(B)に示す。
マスティック(5%)ゲルを使用した場合においては、プラセボやマスティックゲル(3%樹脂液)の時同様に主に歯周病菌等の個数により、各検体でVSC濃度(ppb)の大小が分かれる。しかしながら、塗布前(表3並びに図3(A)及び(B)における「初期値」に相当)のVSC濃度と、塗布後のVSC濃度とを比較すると、どの検体も塗布後1日目から3日目までで変化が右肩下がり、即ちVSC濃度の抑制効果が顕著に出たという結果になった。そして各検体とも3日目から5日目でほぼ横ばいとなった。
そしてまた、VSC濃度の高い男性2人について、マスティック(3%)ゲルを使用した場合と、マスティック(5%)ゲルを使用した場合とを比べた場合、マスティック(5%)ゲルを使用した場合の方が、更に200ppbほどVSC濃度を抑制することが分かった。
これらのことから、少なくともマスティック(樹脂液)の濃度を高くした場合、抗菌効果はもとより、更なる口臭抑制効果をもたらすことが示唆される結果となった。
(1−3)卵黄油(1%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の推移
次に、卵黄油(1%)ゲルについて、先述した検体(男性6人及び女性6人)に対し、VSC濃度を測定した。試験方法としては、各検体において、5日間で1日当たり1回、卵黄油(1%)ゲルを歯茎及び歯周ポケットに塗布し、塗布1時間後のVSC濃度(ppb)を測定した。ちなみに、各検体において、卵黄油(1%)ゲルを塗布前にもVSC濃度(ppb)を測定した。なお、VSC濃度の測定については、各検体に対して、口臭測定器ブレストロンII(株式会社ヨシダ製)により行った。
卵黄油(1%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の結果の推移を、下記表4並びに図4(A)及び(B)に示す。
卵黄油(1%)ゲルを使用した場合においては、プラセボやマスティックゲルの時同様に主に歯周病菌等の個数により、各検体でVSC濃度(ppb)の大小が分かれる。しかしながら、塗布前(表4並びに図4(A)及び(B)における「初期値」に相当)のVSC濃度と、塗布後のVSC濃度とを比較すると、どの検体も塗布後1日目までで変化が出て、VSC濃度の高い人に男性(図4(A)参照)及び女性(図4(B)参照)ともに抑制効果が表れたが、VSC濃度の低い人には男性(図4(A)参照)及び女性(図4(B)参照)ともに逆にVSC濃度が若干高くなるという結果となった。しかしながら各検体とも2日目から5日目でほぼ横ばいとなった。
これらのことから、少なくとも卵黄油を用いた場合、マスティックを使用した場合と比べると、抗菌効果や口臭抑制効果は大分弱いが、口臭抑制効果を示唆する結果となった。
(1−4)卵黄油(1.5%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の推移
次に、卵黄油(1.5%)ゲルについて、先述した検体(男性6人及び女性6人)に対し、VSC濃度を測定した。試験方法としては、各検体において、5日間で1日当たり1回、卵黄油(1.5%)ゲルを歯茎及び歯周ポケットに塗布し、塗布1時間後のVSC濃度(ppb)を測定した。ちなみに、各検体において、卵黄油(1.5%)ゲルを塗布前にもVSC濃度(ppb)を測定した。なお、VSC濃度の測定については、各検体に対して、口臭測定器ブレストロンII(株式会社ヨシダ製)により行った。
卵黄油(1.5%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の結果の推移を、下記表5並びに図5(A)及び(B)に示す。
卵黄油(1.5%)ゲルを使用した場合においては、プラセボやマスティックゲル、卵黄油(1%)ゲルの時同様に主に歯周病菌等の個数により、各検体でVSC濃度(ppb)の大小が分かれる。しかしながら、塗布前(表5並びに図5(A)及び(B)における「初期値」に相当)のVSC濃度と、塗布後のVSC濃度とを比較すると、どの検体も塗布後2日目まで変化が出て、どの検体も抑制効果が表れるという結果となった。しかしながら各検体とも3日目から5日目でほぼ横ばいとなった。
そしてまた、VSC濃度の高い男性2人について、卵黄油(1%)ゲルを使用した場合と、卵黄油(1.5%)ゲルを使用した場合とを比べた場合、卵黄油(1.5%)ゲルを使用した場合の方が、更に100ppbほどVSC濃度を抑制することが分かった。
これらのことから、少なくとも卵黄油ゲルの濃度を高くした場合、抗菌効果はもとより、更なる口臭抑制効果をもたらすことが示唆される結果となった。しかしながらマスティックゲルを使用する場合に比べると、これらの効果は大分弱い。
(1−5)マスティック(3%)+卵黄油(1%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の推移
次に、マスティック(3%)+卵黄油(1%)ゲルについて、先述した検体(男性6人及び女性6人)に対し、VSC濃度を測定した。試験方法としては、各検体において、5日間で1日当たり1回、マスティック(3%)+卵黄油(1%)ゲルを歯茎及び歯周ポケットに塗布し、塗布1時間後のVSC濃度(ppb)を測定した。ちなみに、各検体において、マスティック(3%)+卵黄油(1%)ゲルを塗布前にもVSC濃度(ppb)を測定した。なお、VSC濃度の測定については、各検体に対して、口臭測定器ブレストロンII(株式会社ヨシダ製)により行った。
マスティック(3%)+卵黄油(1%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の結果の推移を、下記表6並びに図6(A)及び(B)に示す。
マスティック(3%)+卵黄油(1%)ゲルを使用した場合においては、プラセボやマスティックゲル、卵黄油ゲルの時同様に主に歯周病菌等の個数により、各検体でVSC濃度(ppb)の大小が分かれる。しかしながら、塗布前(表6並びに図6(A)及び(B)における「初期値」に相当)のVSC濃度と、塗布後のVSC濃度とを比較すると、どの検体も塗布後5日目まで、緩やか若しくは急激な右肩下がりの変化が出た。そして、初期値及び塗布後5日目それぞれのVSC濃度を対比した場合、男女ともにVSC濃度の一番高い人で約半分の濃度に抑制することが分かった。
これらのことから、少なくともマスティック+卵黄油を用いた場合、マスティック又は卵黄油のいずれか単独で使用した場合と比べると、更なる抗菌効果や口臭抑制効果を示すだけでなく、日を経ても抗菌効果や口臭抑制効果が持続することが示唆される結果となった。
(1−6)マスティック(5%)+卵黄油(1%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の推移
次に、マスティック(5%)+卵黄油(1%)ゲルについて、先述した検体(男性6人及び女性6人)に対し、VSC濃度を測定した。試験方法としては、各検体において、5日間で1日当たり1回、マスティック(5%)+卵黄油(1%)ゲルを歯茎及び歯周ポケットに塗布し、塗布1時間後のVSC濃度(ppb)を測定した。ちなみに、各検体において、マスティック(5%)+卵黄油(1%)ゲルを塗布前にもVSC濃度(ppb)を測定した。なお、VSC濃度の測定については、各検体に対して、口臭測定器ブレストロンII(株式会社ヨシダ製)により行った。
マスティック(5%)+卵黄油(1%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の結果の推移を、下記表7並びに図7(A)及び(B)に示す。
マスティック(5%)+卵黄油(1%)ゲルを使用した場合においては、プラセボやマスティックゲル、卵黄油ゲルの時同様に主に歯周病菌等の個数により、各検体でVSC濃度(ppb)の大小が分かれる。しかしながら、塗布前(表7並びに図7(A)及び(B)における「初期値」に相当)のVSC濃度と、塗布後のVSC濃度とを比較すると、上記(1−7)同様にどの検体も塗布後5日目まで、緩やか若しくは急激な右肩下がりの変化が出た。そして、初期値及び塗布後5日目それぞれのVSC濃度を対比した場合、最大でVSC濃度が約1/3の濃度に抑制されることが分かった。
これらのことから、マスティック+卵黄油において、少なくともマスティックの濃度を高くした場合、マスティックの濃度が低い時同様にマスティック又は卵黄油のいずれか単独で使用した場合と比べると、更なる抗菌効果や口臭抑制効果を示すだけでなく、日を経ても抗菌効果や口臭抑制効果が持続することが示唆される結果となった。更に、マスティックの濃度を高くした場合、VSC濃度の更なる抑制が可能であるということが分かった。
(1−7)マスティック(3%)+卵黄油(1.5%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の推移
次に、マスティック(3%)+卵黄油(1.5%)ゲルについて、先述した検体(男性6人及び女性6人)に対し、VSC濃度を測定した。試験方法としては、各検体において、5日間で1日当たり1回、マスティック(3%)+卵黄油(1.5%)ゲルを歯茎及び歯周ポケットに塗布し、塗布1時間後のVSC濃度(ppb)を測定した。ちなみに、各検体において、マスティック(3%)+卵黄油(1.5%)ゲルを塗布前にもVSC濃度(ppb)を測定した。なお、VSC濃度の測定については、各検体に対して、口臭測定器ブレストロンII(株式会社ヨシダ製)により行った。
マスティック(3%)+卵黄油(1.5%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の結果の推移を、下記表8並びに図8(A)及び(B)に示す。
マスティック(3%)+卵黄油(1.5%)ゲルを使用した場合においては、プラセボやマスティックゲル、卵黄油ゲルの時同様に主に歯周病菌等の個数により、各検体でVSC濃度(ppb)の大小が分かれる。しかしながら、塗布前(表8並びに図8(A)及び(B)における「初期値」に相当)のVSC濃度と、塗布後のVSC濃度とを比較すると、どの検体も塗布後5日目まで、緩やか若しくは急激な右肩下がりの変化が出た。そして、初期値及び塗布後5日目それぞれのVSC濃度を対比した場合、男女ともにVSC濃度の一番高い人で約4割の濃度に抑制することが分かった。
これらのことから、少なくともマスティック+卵黄油を用いた場合、マスティック又は卵黄油のいずれか単独で使用した場合と比べると、更なる抗菌効果や口臭抑制効果を示すだけでなく、日を経ても抗菌効果や口臭抑制効果が持続することが示唆される結果となった。そして卵黄油の濃度を高くした場合、マスティックの濃度を高くした時よりも弱いが、VSC濃度の更なる抑制が可能であるということが分かった。
(1−8)マスティック(5%)+卵黄油(1.5%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の推移
次に、マスティック(5%)+卵黄油(1.5%)ゲルについて、先述した検体(男性6人及び女性6人)に対し、VSC濃度を測定した。試験方法としては、各検体において、5日間で1日当たり1回、マスティック(5%)+卵黄油(1.5%)ゲルを歯茎及び歯周ポケットに塗布し、塗布1時間後のVSC濃度(ppb)を測定した。ちなみに、各検体において、マスティック(5%)+卵黄油(1.5%)ゲルを塗布前にもVSC濃度(ppb)を測定した。なお、VSC濃度の測定については、各検体に対して、口臭測定器ブレストロンII(株式会社ヨシダ製)により行った。
マスティック(5%)+卵黄油(1.5%)ゲルを使用した場合におけるVSC濃度の結果の推移を、下記表9並びに図9(A)及び(B)に示す。
マスティック(5%)+卵黄油(1.5%)ゲルを使用した場合においては、プラセボやマスティックゲル、卵黄油ゲルの時同様に主に歯周病菌等の個数により、各検体でVSC濃度(ppb)の大小が分かれる。しかしながら、塗布前(表9並びに図9(A)及び(B)における「初期値」に相当)のVSC濃度と、塗布後のVSC濃度とを比較すると、どの検体も塗布後5日目まで、緩やか若しくは急激な右肩下がりの変化が出た。そして、初期値及び塗布後5日目それぞれのVSC濃度を対比した場合、最大でVSC濃度が約3割の濃度に抑制されることが分かった。
これらのことから、少なくともマスティック+卵黄油を用いた場合、マスティック又は卵黄油のいずれか単独で使用した場合と比べると、更なる抗菌効果や口臭抑制効果を示すだけでなく、日を経ても抗菌効果や口臭抑制効果が持続することが示唆される結果となった。そして卵黄油の濃度を高くした場合、マスティックの濃度を高くした時よりも弱いが、VSC濃度の更なる抑制が可能であるということが分かった。
(1−9)まとめ
上記(1−1)乃至(1−8)の内容をまとめると、マスティック(樹脂液)又は卵黄油のいずれか単独で用いるよりも、マスティック(樹脂液)+卵黄油の混合物とした方が、抗菌効果や口臭抑制効果が更に高まることが分かった。
[実施例2]本発明に係るヒト用の口腔用抗菌剤の抗菌試験
実施例2として、本発明に係るヒト用の口腔用抗菌剤の抗菌試験を行った。当該抗菌試験の対象となる口腔内細菌については、日和見感染を起こす肺炎桿菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌及びカンジダ菌の計4種を用いた。また、本実施例2において、ヒト用の口腔用抗菌剤は、上記実施例1の(1−8)で用いたマスティック(5%)+卵黄油(1.5%)ゲルを試料として使用した。
(2−1)口内細菌液の調製
本実施例2で用いる肺炎桿菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌及びカンジダ菌の菌液(以下、総称して「口内細菌液」とする。)を調製した。
先ず、本実施例2では、肺炎桿菌としてクレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae) NBRC 13277、緑膿菌としてシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa) NBRC 13275、黄色ブドウ球菌としてスタフィロコッカス・アウレウス サブスピーシス アウレウス(Staphylococcus aureus subsp. aureus) NBRC 12732、及びカンジダ菌としてカンジダ・アルビカンス(Candida albicans) NBRC 1594を用いた。
次に、上記肺炎桿菌、緑膿菌及び黄色ブドウ球菌については、共通して、普通寒天培地(栄研化学株式会社製)を培地とし、35℃±1℃、及び18〜24時間の条件で前培養し、それぞれの菌数が10〜10個/mLとなるように生理食塩水を用いて使用する各菌に係る口内細菌液とした。
カンジダ菌については、Difco社製のポテトデキストロース寒天培地を培地として用いて、25℃±1℃、及び2日間の条件で前培養し、それぞれの菌数が10〜10個/mLとなるように生理食塩水を用いて使用するカンジダ菌に係る口内細菌液とした。
(2−2)試験液の調製
マスティック(5%)+卵黄油(1.5%)ゲル(これについては、実施例1の時に調整したものを使用)9mLに対し、上記(2−1)で調製した各口内細菌液を1mLずつ混合させた(以下、「試験液」とする。)。
なお、試験液に対する対照としては、各菌に係る口内細菌液を生理食塩水で10倍に希釈したものを使用した。
(2−3)生菌数の測定
各菌に係る試験液を生理食塩水で10倍に希釈して、それぞれの試験液を室温で2時間、6時間、24時間保存し、その時の生菌数を測定した。肺炎桿菌、緑膿菌及び黄色ブドウ球菌に係る各保存時間の試験液については、標準寒天培地(栄研化学株式会社製)を培地として、混釈平板培養法にて35℃±1℃及び2日間の条件で培養した後に生菌数を測定した。一方、カンジダ菌に係る各保存時間の試験液については、ポテトデキストロース寒天培地(栄研化学株式会社製)を培地として、混釈平板培養法にて25℃±1℃及び2日間の条件で培養した後に生菌数を測定した。
肺炎桿菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌及びカンジダ菌の生菌数の測定結果を次の表10に示す。
上記の結果から、肺炎桿菌、緑膿菌及び黄色ブドウ球菌に関しては、24時間後にほぼ測定限界、即ち生菌をほぼ検出しないという結果に至った。一方、カンジダ菌に関しては、他の3種の菌に比べると、生菌の減少数に大分差はあるが、対照と比べると、時間が経つにつれて、生菌は減少傾向にあった。
以上のことより、マスティック樹脂及び卵黄油を有効成分とする本発明に係るヒト用の口腔用抗菌剤については、日和見感染を起こす主な菌である、肺炎桿菌、緑膿菌及び黄色ブドウ球菌に関しては顕著な抗菌効果が見られた。カンジダ菌に関しては、他の3種の菌に比べると、抗菌効果は薄いものの、抗菌を示唆する結果となった。
以上述べた実施例はあくまで一例であり、実施形態に記載された範囲内で種々の検討が可能であることは言うまでもない。
上述の実施形態及び実施例にて、本発明に係るヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤について言及したが、本発明のヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤においては、卵黄油並びに/又はマスティック樹脂及び/若しくは精油を使用しているため、ヒト用の感染症予防薬(例えば口内炎や口角炎等)、剤型(例えばカプセル)によっては感染性消化器疾患予防薬等に応用することが可能である。
対してキトサンは、カニやエビ等の甲殻類の外骨格から得られるキチンを強アルカリ等の煮沸処理などで得られるものである。多糖類であるため、粘結剤として使用されることもあるが、抗菌剤や歯面のコーティング作用を示す効果もある。また、上述のパパイン酵素をより長時間歯面に留めることができる。これによりポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)を死活させる効果がより発揮される。このキトサンエキスの配合量は特に限定はないが、本発明に係る口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤の全量に対し、0.005%〜10%が望ましい。0.005%未満であると上述の効果が発揮されず、10%より過剰になるとポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)や日和見感染を起こす常在菌(例えばカンジダ菌)への効果が薄れてしまう可能性がある。

ここで、う蝕や歯周病、細菌による感染症疾患を口腔ケアにより治療若しくは予防するには、これらの原因菌を除去するのが簡便且つ合理的な方法であるが、その一方で、口臭もまた懸念材料の一つである。口臭の主な成分として、硫化水素やメチルメルカプタンといったチオール(メルカプタン)類、ジメチルサルファイドなどのチオエーテル類、口腔内の食べ滓や歯垢や舌苔などのタンパク質成分が分解されて発生するジスルフィド化合物、アンモニア、イソ吉草酸、スカトール、イントール、アセトン、エタノール、メタノールなどが含まれる。中でも、チオール類やチオエーテル類といった揮発性有機硫黄化合物(Volatile Sulfur Compounds(VSC))が口腔から発生する口臭の主成分である。
本発明に係るヒト用の口臭予防剤は、卵黄油、更にはマスティック樹脂及び/又はマスティック精油を使用することにより、揮発性有機硫黄化合物(VSC)に作用して口臭を抑制することが可能になった。
マスティック(5%)+卵黄油(1%)ゲルを使用した場合においては、プラセボやマスティックゲル、卵黄油ゲルの時同様に主に歯周病菌等の個数により、各検体でVSC濃度(ppb)の大小が分かれる。しかしながら、塗布前(表7並びに図7(A)及び(B)における「初期値」に相当)のVSC濃度と、塗布後のVSC濃度とを比較すると、上記(1−)同様にどの検体も塗布後5日目まで、緩やか若しくは急激な右肩下がりの変化が出た。そして、初期値及び塗布後5日目それぞれのVSC濃度を対比した場合、最大でVSC濃度が約1/3の濃度に抑制されることが分かった。
(2−2)試験液の調製
マスティック(5%)+卵黄油(1.5%)ゲル(これについては、実施例1の時に調したものを使用)9mLに対し、上記(2−1)で調製した各口内細菌液を1mLずつ混合させた(以下、「試験液」とする。)。
なお、マスティック樹脂液の含有量は、本発明に係るヒト用の口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤全量に対し、0.1〜50%が望ましい。ちなみに、マスティック樹脂そのものとして換算した場合は、マスティック樹脂液の含有量が、0.1%未満であると、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)や日和見感染を起こす常在菌(例えばカンジダ菌)に対する殺菌効果が低下する又はその殺菌効果が示されない。またマスティック樹脂液の含有量が、50%より過剰であると、ポルフィロモナス・ジンジバリスに対する殺菌効果が十分であっても、口腔内の患部周辺の組織等が何らかの炎症やアレルギー反応を起こすといった懸念があり、且つ場合によってはこの濃度範囲内よりもポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)や日和見感染を起こす常在菌(例えばカンジダ菌)に対する殺菌効果が低下する可能性もある。
対してキトサンは、カニやエビ等の甲殻類の外骨格から得られるキチンを強アルカリ等の煮沸処理などで得られるものである。多糖類であるため、粘結剤として使用されることもあるが、抗菌剤や歯面のコーティング作用を示す効果もある。また、上述のパパイン酵素をより長時間歯面に留めることができる。これによりポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)を死活させる効果がより発揮される。このキトサンの配合量は特に限定はないが、本発明に係る口臭予防剤若しくは口腔用抗菌剤の全量に対し、0.005%〜10%が望ましい。0.005%未満であると上述の効果が発揮されず、10%より過剰になるとポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)や日和見感染を起こす常在菌(例えばカンジダ菌)への効果が薄れてしまう可能性がある。
本発明に係るヒト用の口臭消臭剤の有効成分を滞留(持続)させるための滞留剤として、流動パラフィン、流動パラフィン及びポリエチレンの混合物であるゲル化炭化水素、植物油、ミツロウなどが使用でき、これらのいずれかを1種又は2種以上併用することができる。なお、前記ゲル化炭化水素は、ゲル化剤としての役割も果たす。

Claims (16)

  1. マスティック樹脂及び卵黄油を有効成分として含有することを特徴とするヒト用の口臭予防剤。
  2. 前記卵黄油は、前記口臭予防剤に対して、1〜30重量%である請求項1に記載のヒト用の口臭予防剤。
  3. 前記マスティック樹脂は、濃度が3〜60%のマスティック樹脂液として使用する請求項1又は2に記載のヒト用の口臭予防剤。
  4. 前記マスティック樹脂液は、溶剤に溶解させて成る請求項3に記載のヒト用の口臭予防剤。
  5. 前記マスティック樹脂液の含有量は、0.1〜50%である請求項3又は4に記載のヒト用の口臭予防剤。
  6. 更にマスティック精油を有効成分として含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のヒト用の口臭予防剤。
  7. 前記マスティック精油の含有量は、0.01〜1.0%である請求項6に記載のヒト用の口臭予防剤。
  8. マスティック樹脂及び卵黄油を有効成分として含有することを特徴とするヒト用の口腔用抗菌剤。
  9. 前記卵黄油は、前記口腔用抗菌剤に対して、1〜30重量%である請求項8に記載のヒト用の口腔用抗菌剤。
  10. 前記マスティック樹脂は、濃度が3〜60%のマスティック樹脂液として使用する請求項8又は9に記載のヒト用の口腔用抗菌剤。
  11. 前記マスティック樹脂液は、溶剤に溶解させて成る請求項10に記載のヒト用の口腔用抗菌剤。
  12. 前記マスティック樹脂液の含有量は、0.1〜50%である請求項10又は11に記載のヒト用の口腔用抗菌剤。
  13. 更にマスティック精油を有効成分として含有する請求項8乃至12のいずれか1項に記載のヒト用の口腔用抗菌剤。
  14. 前記マスティック精油の含有量は、0.01〜1.0%である請求項13に記載のヒト用の口腔用抗菌剤。
  15. 対象菌が、歯周病菌及び口腔常在菌である請求項8乃至14のいずれか1項に記載のヒト用の口腔用抗菌剤。
  16. 前記歯周病菌が、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)であり、前記口腔常在菌が、カンジダ菌、肺炎桿菌、緑膿菌又は黄色ブドウ球菌のいずれかである請求項15に記載のヒト用の口腔用抗菌剤。
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