以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は本実施形態に限定されない。
本発明の合わせガラス用中間膜は、375nm以上425nm以下の範囲に極大吸収波長を有する特定波長吸収剤と、325nm以上375nm未満の範囲に極大吸収波長を有する紫外線吸収剤とを含んでなる。互いに波長吸収域の異なる2種類の光吸収剤を含むことにより、本発明の合わせガラス用中間膜は、380nm以下の紫外線のみでなく、400nm付近の光に対する吸収特性も有し、300〜400nmの広い範囲に亘って高い紫外線(光)遮蔽性を有する。
本発明の合わせガラス用中間膜が、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂および熱可塑性エラストマーからなる群より選択される少なくとも1つを含有するA層のみからなる単層構造である場合、特定波長吸収剤および紫外線吸収剤はA層に含まれる。本発明の合わせガラス用中間膜がA層以外の層を有する積層構造である場合、特定波長吸収剤および紫外線吸収剤は、A層およびA層以外の層(例えば、後述するB層やC層等)のいずれか1層に含まれていてもよく、2層以上の複数の層に含まれていてもよい。合わせガラス用中間膜が積層構造である場合、特定波長吸収剤と紫外線吸収剤は同じ層に含まれていてもよく、別々の層に含まれていてもよい。
(特定波長吸収剤)
本発明において、特定波長吸収剤とは、375nm以上425nm以下の範囲に極大吸収波長を有する化合物をいう。特に、380〜400nmの範囲の光に対する遮蔽性を高めるために、本発明に用いる特定波長吸収剤の極大吸収波長は、380nm以上が好ましく、385nm以上がより好ましく、390nm以上がさらに好ましい。また、中間膜の黄色化を抑え、高い視認性を確保する観点から、特定波長吸収剤の極大吸収波長は、420nm以下が好ましく、415nm以下がより好ましく、410nm以下がさらに好ましい。
また、特定波長吸収剤の半値幅は、5nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましく、25nm以上がさらに好ましい。特定波長吸収剤の半値幅は、80nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、60nm以下がさらに好ましい。特定波長吸収剤の半値幅が上記下限値以上であると、380〜400nm付近の光に対する遮蔽性を効果的に高めることができる。また、特定波長吸収剤の半値幅が上記上限値以下であると、中間膜の黄色化を抑制でき、着色がなく、視認性の高い合わせガラスを得ることができる。
本発明において、特定波長吸収剤の極大吸収波長は、特定波長吸収剤の溶液を用い、吸光度を測定した場合に、吸光度が最大となる波長を意味し、特定波長吸収剤の半値幅は、極大吸収波長における吸光度の2分の1の吸収帯の幅を意味する。吸光度は、例えば日本化学会編「第4版実験化学講座 7 分光II」(丸善、1992年)180〜186ページなどに記載されている方法に従い測定できる。具体的には、適当な溶媒に特定波長吸収剤を溶解し、石英製またはガラス製のセルを用いて、試料用と対照用の2つのセルを使用して分光光度計によって測定される。特定波長吸収剤の吸光度を測定する際に用いる溶媒としては、特定波長吸収剤の溶解性と合わせて、測定波長領域に吸収を持たないこと、特定波長吸収剤との相互作用が小さいこと、揮発性があまり著しくないこと等の要件を満たす溶媒から任意に選択できる。上記溶媒としては、例えばアミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン)、スルホン系溶媒(例えばスルホラン)、スルホキシド系溶媒(例えばジメチルスルホキシド)、ウレイド系溶媒(例えばテトラメチルウレア)、エーテル系溶媒(例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、シクロヘキサノン)、炭化水素系溶媒(例えばトルエン、キシレン、n−デカン)、ハロゲン系溶媒(例えばクロロホルム、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、クロロナフタレン)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、シクロヘキサノール、フェノール)、ピリジン系溶媒(例えばピリジン、γ−ピコリン、2,6−ルチジン)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)、カルボン酸系溶媒(例えば酢酸、プロピオン酸)、ニトリル系溶媒(例えばアセトニトリル)、スルホン酸系溶媒(例えばメタンスルホン酸)、アミン系溶媒(例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン)等を用いることができる。中でも、特定波長吸収剤の溶解性の観点から、ハロゲン系溶媒を用いることが好ましく、クロロホルムを用いることがより好ましい。
本発明において、特定波長吸収剤としては、例えばインドール系化合物が挙げられ、下記式(1):
〔式中、R
1およびR
2は水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素基またはアラルキル基を表す。〕
で表される化合物が好ましい。
式(1)においてR1およびR2が表すアルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、2−エチルへキシル基、オクチル基等が挙げられ、中でも炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。式(1)においてR1およびR2が表す芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基等が挙げられ、中でも炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が好ましい。式(1)においてR1およびR2が表すアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等が挙げられ、中でも炭素数7〜13のアラルキル基が好ましい。
式(1)で表されるインドール系化合物としては、例えば、[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリル、[(2−メチル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルなどが挙げられる。これらの特定波長吸収剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、波長380nm〜400nmにおける紫外線吸収能が大きいこと、容易に入手し得る観点から、[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルが好ましい。[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルを用いることにより、比較的少量で前記範囲の紫外線遮蔽性を効率よく高めることができるため、高い紫外線遮蔽性能を有しながら、ブリードアウトをより生じ難い合わせガラス用中間膜を得ることができる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、好ましくは0.02g/m2以上、より好ましくは0.05g/m2以上、さらに好ましくは0.10g/m2以上、特に好ましくは0.15g/m2以上の面密度で特定波長吸収剤を含む。また、好ましくは0.40g/m2以下、より好ましくは0.35g/m2以下、さらに好ましくは0.30g/m2以下の面密度で特定波長吸収剤を含む。特定波長吸収剤を上記面密度の範囲内で含むことにより、380nm〜400nmの波長域においても高い紫外線遮蔽性能を有し、かつ、着色(黄色化)のない視認性に優れた合わせガラス用中間膜を得やすい。
特定波長吸収剤の面密度は、特定波長吸収剤の添加率と添加した層の単位面積当たりの質量の積から含まれる特定波長吸収剤の質量を求め、1m2当たりの値に換算し算出できる。また、例えばガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーを用いて、層中に含まれている特定波長吸収剤の量を測定し、添加した層の単位面積当たりの質量を用い、1m2当たりの値に換算することにより求めてもよい。本発明において、上記面密度の範囲は、前者の換算方法により算出した値におけるものである。また、本発明の合わせガラス用中間膜が積層構造である場合、合わせガラス用中間膜における上記面密度は、合わせガラス用中間膜を構成する全ての層における面密度の和(合計値)として算出される。
(紫外線吸収剤)
本発明において、紫外線吸収剤とは、325nm以上375nm未満の範囲に極大吸収波長を有する化合物をいう。特に、300〜380nmの範囲の光に対する遮蔽性を高めるために、本発明に用いる紫外線吸収剤の極大吸収波長は、330nm以上が好ましく、335nm以上がより好ましく、340nm以上がさらに好ましく、370nm以下が好ましく、365nm以下がより好ましく、360nm以下がさらに好ましい。
また、紫外線吸収剤の半値幅は、5nm以上が好ましく、25nm以上がより好ましく、45nm以上がさらに好ましい。紫外線吸収剤の半値幅は、150nm以下が好ましく、125nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましい。紫外線吸収剤の半値幅が上記範囲内であると、300nm〜380nmの広い範囲に渡り、高い紫外線遮蔽性を有する合わせガラス用中間膜を得ることができる。
なお、紫外線吸収剤の極大吸収波長および半値幅は、先に記載した特定波長吸収剤における測定方法と同様の方法により測定できる。
本発明において用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ベンゾトリアゾール化合物としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
ベンゾエート系化合物としては、例えば、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、波長300nm〜380nmにおける紫外線吸収能および入手容易性の観点から、ベンゾトリアゾール系化合物が好ましく、中でも、2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールがより好ましい。2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールを用いることにより、比較的少量で、300nm〜380nmの波長域の紫外線に対する高い遮蔽性能を効率よく高めることができるため、高い紫外線遮蔽性能を有しながら、ブリードアウトをより生じ難い合わせガラス用中間膜を得ることができる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、好ましくは0.10g/m2以上、より好ましくは0.30g/m2以上、さらに好ましくは0.50g/m2以上の面密度で紫外線吸収剤を含む。また、好ましくは1.40g/m2以下、より好ましくは1.20g/m2以下、さらに好ましくは1.00g/m2以下の面密度で紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤を上記面密度の範囲内で含むことにより、300nm〜380nmの広範囲の波長域に渡り高い紫外線遮蔽性能を有する合わせガラス用中間膜を得ることができる。
なお、紫外線吸収剤の面密度は、先に記載した特定波長吸収剤における算出方法と同様の方法により測定できる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、2mm厚のクリアガラス2枚で該合わせガラス用中間膜を挟持した合わせガラスにおいて、ISO9050(2003)に準じて算出したスキンダメージファクターが0.1%以下である。スキンダメージファクターは、太陽光(特に波長300nm〜400nmの光)が窓ガラスを透過して肌にダメージを与える程度を表す指標であり、この値が低いほど300nm〜400nmの波長域全体に渡る光に対する遮蔽性能が高いといえる。スキンダメージファクターが0.1%を超えると、合わせガラス用中間膜の紫外線遮蔽性能が低くなり、特に可視光域に近い380nm〜400nmを含む300nm〜400nmの広範囲に渡る紫外線遮蔽性能に劣る。本発明の合わせガラス用中間膜において、上記スキンダメージファクターは、0.08%以下であることが好ましく、0.06%以下であることがより好ましく、0.04%以下であることがさらに好ましく、0.02%以下であることが特に好ましい。上記スキンダメージファクターの下限値の理想は0%であるが、例えば0.001%であってもよい。
上記スキンダメージファクターの値は、用いる特定波長吸収剤や紫外線吸収剤の種類、その配合量、特定波長吸収剤と紫外線吸収剤の配合比率、特定波長吸収剤や紫外線吸収剤を添加する合わせガラス用中間膜の厚さ等を調整することにより制御できる。
スキンダメージファクターは、対象とする合わせガラス用中間膜を厚さ2mmのクリアガラス2枚に挟み、得られる合わせガラスについて、波長300〜400nmの分光透過率を測定し、下記式(2)に従い、各波長における透過率にISO9050(2003)に記載の重価係数(E
λS
λΔλ)を乗じ、加重平均することで求められる。
〔式中、F
sdはスキンダメージファクターを表し、τ(λ)は分光透過率を表し、E
λはCIE紅斑作用スペクトルを表し、S
λは日射の相対分光分布を表し、Δλは波長間隔を表す。〕
なお、重価係数E
λS
λΔλの値は、ISO9050(2003)に記載されている。
また、上記式(2)によれば、特定の波長において合わせガラスの分光透過率が同じであっても、スキンダメージファクターが同じになるとは限らない。したがって、高い紫外線遮蔽性を達成するためには特定の波長において合わせガラスの分光透過率が小さいだけでは不十分で、スキンダメージファクターの値が特定の範囲内になることが重要である。
本発明の合わせガラス用中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂および熱可塑性エラストマーからなる群より選択される少なくとも1つを含有するA層を少なくとも1層含む。A層は、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂および熱可塑性エラストマーからなる群より選択されるいずれか1つのみを含んでいても、2つ以上を含んでいてもよい。
(ポリビニルアセタール樹脂)
A層がポリビニルアセタール樹脂を含む場合、ポリビニルアセタール樹脂の平均アセタール化度は40モル%以上90モル%以下が好ましい。平均アセタール化度が上記範囲内にあると、可塑剤との相溶性が良好であり、かつ製造し易くなる。上記平均アセタール化度は60モル%以上がより好ましく、耐水性の観点から65モル%以上がさらに好ましい。また、平均アセタール化度は85モル%以下がより好ましく、80モル%以下がさらに好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂のビニルアセテート単位の平均含有量は30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましい。ビニルアセテート単位の平均含有量が上記上限値以下であると、ポリビニルアセタール樹脂の製造時にブロッキングを起こし難く、製造し易くなる。ビニルアセテート単位の平均含有量の下限値は、特に限定されないが、通常0.1モル%以上である。
ポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位の平均含有量は5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上がさらに好ましい。ビニルアルコール単位の平均含有量は50モル%以下が好ましく、45モル%以下がより好ましく、40モル%以下がさらに好ましい。ビニルアルコール単位の平均含有量が上記下限値以上であると、ガラスとの接着性が良好であり、ビニルアルコール単位の平均含有量が上記上限値以下であると、耐水性が向上する傾向にある。
ポリビニルアセタール樹脂は、通常、ビニルアセタール単位、ビニルアルコール単位およびビニルアセテート単位から構成されており、これらの各単位量は例えば、JIS K 6728「ポリビニルブチラール試験方法」や核磁気共鳴法(NMR)によって測定できる。
ポリビニルアセタール樹脂が、ビニルアセタール単位以外の単位を含む場合は、ビニルアルコールの単位量とビニルアセテートの単位量を測定し、これらの両単位量をビニルアセタール単位以外の単位を含まない場合のビニルアセタール単位量から差し引くことで、残りのビニルアセタール単位量を算出できる。
ポリビニルアセタール樹脂は、従来公知の方法により製造でき、代表的には、アルデヒド類を用いてポリビニルアルコールをアセタール化することにより製造できる。具体的には、ポリビニルアルコールを温水に溶解し、得られた水溶液を所定の温度、例えば、0℃以上、好ましくは10℃以上、90℃以下、好ましくは20℃以下に保持しておいて、所要の酸触媒およびアルデヒド類を加え、撹拌しながらアセタール化反応を進行させる。次いで、反応温度を70℃程度に上げて熟成して、反応を完結させ、その後、中和、水洗および乾燥を行って、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得ることができる。
ポリビニルアセタール樹脂の原料となるポリビニルアルコールの粘度平均重合度は100以上が好ましく、300以上がより好ましく、400以上がより好ましく、600以上がさらに好ましく、700以上が特に好ましく、750以上が最も好ましい。ポリビニルアルコールの粘度平均重合度が上記下限値以上であると、合わせガラスの耐貫通性を高めることができる。また、ポリビニルアルコールの粘度平均重合度は5000以下が好ましく、4500以下がより好ましく、4000以下がさらに好ましく、3500以下が特に好ましく、3000以下が最も好ましい。ポリビニルアルコールの粘度平均重合度が上記上限値以下であると、成形性が良好となる。さらに、得られる合わせガラス用中間膜のラミネート適性を向上させ、外観に一層優れた合わせガラスを得るためには、ポリビニルアルコールの粘度平均重合度が2500以下であることが好ましい。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の粘度平均重合度は、原料となるポリビニルアルコールの粘度平均重合度と一致するため、上記したポリビニルアルコールの好ましい粘度平均重合度はポリビニルアセタール樹脂の好ましい粘度平均重合度と一致する。
得られるポリビニルアセタール樹脂のビニルアセテート単位の平均含有量を30モル%以下に設定するために、ケン化度が70モル%以上のポリビニルアルコールを使用することが好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度が上記下限値以上であると、樹脂の透明性や耐熱性に優れる傾向にあり、またアルデヒド類との反応性も良好となる。ケン化度は、より好ましくは95モル%以上である。
ポリビニルアルコールの粘度平均重合度およびケン化度は、例えば、JIS K 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定できる。
ポリビニルアルコールのアセタール化に用いるアルデヒド類としては、炭素数1以上で、12以下のアルデヒドが好ましい。アルデヒドの炭素数が上記範囲内であると、アセタール化の反応性が良好になり、反応中に樹脂のブロックが発生し難くなり、ポリビニルアセタール樹脂の合成を容易に行うことができる。
アルデヒド類としては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド等の脂肪族、芳香族、脂環式アルデヒドが挙げられる。中でも、炭素数2以上で、6以下の脂肪族アルデヒドが好ましく、ブチルアルデヒドが特に好ましい。上記アルデヒド類は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。さらに、多官能アルデヒド類やその他の官能基を有するアルデヒド類などを全アルデヒド類の20質量%以下の範囲で少量併用してもよい。
ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂が最も好ましいが、ポリビニルブチラール樹脂として、ビニルエステルと他の単量体との共重合体をケン化して得られるポリビニルアルコール系重合体を、ブチルアルデヒドを用いてブチラール化した変性ポリビニルブチラール樹脂を用いることもできる。ここで、前記他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン;フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸またはその誘導体;アクリル酸またはその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸またはその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有ビニルエーテル;アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル;オキシアルキレン基を有する単量体;酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミン等のカチオン基を有する単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリエトキシシラン等のシリル基を有する単量体などが挙げられる。ビニルエステルと他の単量体とを共重合する際の他の単量体の使用量は、その使用される目的および用途等によっても異なるが、通常、共重合に用いられる全ての単量体を基準にした割合で、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
(可塑剤)
A層がポリビニルアセタール樹脂を含む場合、さらに可塑剤を含んでいてもよい。A層に含まれる可塑剤としては特に制限はないが、例えば一価カルボン酸エステル系、多価カルボン酸エステル系などのカルボン酸エステル系可塑剤;リン酸エステル系可塑剤;有機亜リン酸エステル系可塑剤;カルボン酸ポリエステル系、炭酸ポリエステル系、ポリアルキレングリコール系などの高分子可塑剤;ひまし油などのヒドロキシカルボン酸と多価アルコールのエステル化合物、ヒドロキシカルボン酸と一価アルコールのエステル化合物などのヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤;等が挙げられる。これらの可塑剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一価カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えば、ブタン酸、イソブタン酸、へキサン酸、2−エチルブタン酸、へプタン酸、オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリル酸などの一価カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的には、トリエチレングリコールジ2−ジエチルブタノエート、トリエチレングリコールジヘプタノエート、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジオクタノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルブタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジオクタノエート、ジエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、PEG#400ジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、グリセリンまたはジグリセリンの2−エチルヘキサン酸との完全または部分エステル化物などが挙げられる。ここでPEG#400とは、平均分子量が350〜450であるポリエチレングリコールを表す。
多価カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメット酸などの多価カルボン酸と、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルブタノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、ベンジルアルコールなどの炭素数1〜12のアルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的には、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルブチル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ(ブトキシエチル)、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)、アジピン酸モノ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジヘキシル、セバシン酸ジ2−エチルブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ(2−エチルブチル)、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジドデシルなどが挙げられる。
リン酸系可塑剤または亜リン酸系可塑剤としては、例えば、リン酸または亜リン酸と、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルブタノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、またはベンジルアルコールなどの炭素数1〜12のアルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的には、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリ(ブトキシエチル)、亜リン酸トリ(2−エチルヘキシル)などが挙げられる。
カルボン酸ポリエステル系可塑剤としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの多価カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどの多価アルコールを交互共重合して得られるカルボン酸ポリエステルや、脂肪族ヒドロキシカルボン酸;グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、6−ヒドロキシへキサン酸、8−ヒドロキシへキサン酸、10−ヒドロキシデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、芳香環を有するヒドロキシカルボン酸;4−ヒドロキシ安息香酸、4−(2−ヒドロキシエチル)安息香酸などのヒドロキシカルボン酸の重合体(ヒドロキシカルボン酸ポリエステル)、脂肪族ラクトン化合物;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、δ−ヘキサノラクトン、ε−カプロラクトン、ラクチドなど、芳香環を有するラクトン化合物;フタリドなどのラクトン化合物を開環重合して得られるカルボン酸ポリエステルなどが挙げられる。これらのカルボン酸ポリエステルの末端構造は特に限定されず、水酸基やカルボキシル基でもよいし、また、末端水酸基や末端カルボキシル基を1価カルボン酸あるいは1価アルコールと反応させてエステル結合としたものでもよい。
炭酸ポリエステル系可塑剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどの多価アルコールと、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルなどの炭酸エステルをエステル交換反応により交互共重合して得られる炭酸ポリエステルなどが挙げられる。これらの炭酸ポリエステル化合物の末端構造は特に限定されないが、炭酸エステル基、または水酸基などであるとよい。
ポリアルキレングリコール系可塑剤としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、オキセタンなどのアルキレンオキシドを、一価アルコール、多価アルコール、一価カルボン酸および多価カルボン酸を開始剤として開環重合させて得られる重合体が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤としては、ヒドロキシカルボン酸の1価アルコールエステル;リシノール酸メチル、リシノール酸エチル、リシノール酸ブチル、6−ヒドロキシヘキサン酸メチル、6−ヒドロキシヘキサン酸エチル、6−ヒドロキシヘキサン酸ブチル等のヒドロキシカルボン酸の多価アルコールエステル;エチレングリコールジ(6−ヒドロキシヘキサン酸)エステル、ジエチレングリコールジ(6−ヒドロキシヘキサン酸)エステル、トリエチレングリコールジ(6−ヒドロキシヘキサン酸)エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(6−ヒドロキシヘキサン酸)エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(2−ヒドロキシ酪酸)エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(3−ヒドロキシ酪酸)エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(4−ヒドロキシ酪酸)エステル、トリエチレングリコールジ(2−ヒドロキシ酪酸)エステル、グリセリントリ(リシノール酸)エステル、L−酒石酸ジ(1−(2−エチルヘキシル))、ひまし油の他、ヒドロキシカルボン酸の多価アルコールエステルのヒドロキシカルボン酸由来の基を、水酸基を含まないカルボン酸由来の基または水素原子に置き換えた化合物も使用可能であり、これらヒドロキシカルボン酸エステルは従来公知の方法で得られるものを使用できる。
A層に含有される可塑剤としては、可塑剤とポリビニルアセタール樹脂との相溶性、他の層への低移行性、非移行性を一層高める観点から、融点が30℃以下または非晶性であり、水酸基価が15mgKOH/g以上、450mgKOH/g以下であるエステル系可塑剤またはエーテル系可塑剤が好ましい。ここで非結晶性とは、−20℃以上の温度において融点が観測されないことを指す。前記水酸基価は15mgKOH/g以上が好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましく、45mgKOH/g以上がさらに好ましい。また、前記水酸基価は450mgKOH/g以下が好ましく、360mgKOH/g以下がより好ましく、280mgKOH/g以下がさらに好ましい。前記エステル系可塑剤としては、上記規定を満たすポリエステル(前述したカルボン酸ポリエステル系可塑剤、炭酸ポリエステル系可塑剤など)や、ヒドロキシカルボン酸エステル化合物(前述したヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤など)が挙げられ、エーテル系可塑剤としては、前記規定を満たすポリエーテル化合物(前述したポリアルキレングリコール系可塑剤など)が挙げられる。
A層における可塑剤の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましく、80質量部以下がさらに好ましい。可塑剤の含有量が上記上限値以下であると、得られる中間膜を用いた合わせガラスは耐衝撃性に優れる。可塑剤の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上がさらに好ましい。
また、可塑剤として、水酸基を有する化合物を用いる場合は、A層中に含まれる可塑剤の全量に対する水酸基を有する化合物の含有量の割合は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。水酸基を有する化合物はポリビニルアセタール樹脂と高い相溶性を有し、他の樹脂層への移行性が低いため、好適に用いることができる。水酸基を有する化合物としては、例えばポリエステルポリオール、ヒマシ油等が挙げられる。
(アイオノマー樹脂)
A層に含まれるアイオノマー樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレン由来の単量体単位、およびα,β−不飽和カルボン酸由来の単量体単位を有し、α,β−不飽和カルボン酸の少なくとも一部が金属イオンによって中和された樹脂等が挙げられる。金属イオンとしては、例えばナトリウムイオンが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸などが挙げられ、中でも、アクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。金属イオンによって中和される前のエチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体において、α,β−不飽和カルボン酸由来の単量体単位の含有割合は2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸由来の単量体単位の含有割合は30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。本発明においては、入手のしやすさの点から、エチレン−アクリル酸共重合体のアイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体のアイオノマーが好ましく、エチレン−アクリル酸共重合体のナトリウムアイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体のナトリウムアイオノマーがより好ましい。アイオノマー樹脂は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(熱可塑性エラストマー)
本明細書において、熱可塑性エラストマーとは、加熱すると軟化して可塑性を示し、冷却すると固化してゴム弾性を示す高分子化合物を意味し、熱可塑性樹脂とは区別される。上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば後述するハードセグメントとソフトセグメントを有する高分子化合物;天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴムなどのゴム;が挙げられる。
本発明において、A層を構成する熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントとソフトセグメントを有する高分子化合物を用いることが好ましく、例えば、ポリスチレン系エラストマー(ソフトセグメント;ポリブタジエン、ポリイソプレンなど/ハードセグメント;ポリスチレン)、ポリオレフィン系エラストマー(ソフトセグメント;エチレンプロピレンゴム/ハードセグメント;ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル系エラストマー(ソフトセグメント;ポリ塩化ビニル/ハードセグメント;ポリ塩化ビニル)、ポリウレタン系エラストマー(ソフトセグメント;ポリエーテル、ポリエステル/ハードセグメント;ポリウレタン)、ポリエステル系エラストマー(ソフトセグメント;ポリエーテル/ハードセグメント;ポリエステル)、ポリアミド系エラストマー(ソフトセグメント;ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールもしくはポリエステル系、ポリエーテル系/ハードセグメント;ポリアミド<ナイロン樹脂>)、ポリブタジエン系エラストマー(ソフトセグメント;非晶性ブチルゴム/ハードセグメント;シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン樹脂)、アクリル系エラストマー(ソフトセグメント;ポリアクリル酸エステル/ハードセグメント;ポリメタクリル酸メチル)などの熱可塑性エラストマーが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明において、熱可塑性エラストマー中のハードセグメントの含有量は、熱可塑性エラストマーの全量に対して3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましい。ハードセグメントの含有量は、熱可塑性エラストマーの全量に対して30質量%以下が好ましく、27質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、22質量%以下が特に好ましい。ハードセグメントの含有量が上記下限値以上であると、A層の成形性が良好となる。また、ハードセグメントの含有量が上記上限値以下であると、A層に適度な靱性を付与することができ、得られる中間膜を用いた合わせガラスの耐衝撃性を向上させることができる。
本発明において、熱可塑性エラストマー中のソフトセグメントの含有量は、熱可塑性エラストマーの全量に対して70質量%以上が好ましく、73質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、78質量%以上が特に好ましい。ソフトセグメントの含有量は、熱可塑性エラストマーの全量に対して97質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、93質量%以下がさらに好ましく、90質量%以下が特に好ましい。ソフトセグメントの含有量が上記下限値以上であると、A層に適度な靱性を付与でき、得られる中間膜を用いた合わせガラスの耐衝撃性を向上させることができる。また、ソフトセグメントの含有量が上記上限値以下であると、A層の成形性が良好となる。
A層を構成する熱可塑性エラストマーとしては、成形性と合わせガラスの耐衝撃性を両立させる観点から、ハードセグメントとソフトセグメントを有するブロック共重合体を用いることがより好ましい。そのような熱可塑性エラストマーとしては、例えば、芳香族ビニル重合体ブロック(以下、「重合体ブロック(a)」ということがある)と、ビニル重合体ブロックまたは共役ジエン重合体ブロックとの共重合体が挙げられる。中でも、芳香族ビニル重合体ブロックと脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック(以下、「重合体ブロック(b)」ということがある)とを有するブロック共重合体(A)(以下、「ブロック共重合体(A)ということがある」)が好ましく、成形性と合わせガラスの耐衝撃性とを両立させる観点から、ポリスチレン系エラストマーがより好ましい。
熱可塑性エラストマーとして、芳香族ビニル重合体ブロックと、ビニル重合体ブロックまたは共役ジエン重合体ブロックとの共重合体、例えば、ブロック共重合体(A)を用いる場合、これらの重合体ブロックの結合形態は特に制限されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはこれらの2つ以上が組み合わさった結合形態のいずれであってもよいが、直鎖状の結合形態であることが好ましい。
直鎖状の結合形態の例としては、芳香族ビニル重合体ブロックをaで、ビニル重合体ブロックまたは共役ジエン重合体ブロックをbで表したとき、a−bで表されるジブロック共重合体、a−b−aまたはb−а−bで表されるトリブロック共重合体、a−b−a−bで表されるテトラブロック共重合体、a−b−a−b−aまたはb−a−b−a−bで表されるペンタブロック共重合体、(а−b)nX型共重合体(Xはカップリング残基を表し、nは2以上の整数を表す)、およびこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、ジブロック共重合体またはトリブロック共重合体が好ましく、トリブロック共重合体としては、a−b−aで表されるトリブロック共重合体であることがより好ましい。
ブロック共重合体(A)における芳香族ビニル単量体単位および脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の合計量は、ブロック共重合体(A)を構成する全単量体単位に対して80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。なお、前記ブロック共重合体(A)中の脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロックは、一部またはすべてが水素添加されたものでもよい。
ブロック共重合体(A)における芳香族ビニル単量体単位の含有量は、ブロック共重合体(A)の全単量体単位に対して3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましい。芳香族ビニル単量体単位の含有量は、ブロック共重合体(A)の全単量体単位に対して、30質量%以下が好ましく、27質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、22質量%以下が特に好ましい。ブロック共重合体(A)における芳香族ビニル単量体単位の含有量が上記下限値以上であると、A層の良好な成形性を確保でき、芳香族ビニル単量体単位の含有量が上記上限値以下であると、A層に適度な靱性を付与でき、得られる中間膜を用いた合わせガラスの耐衝撃性を向上させることができる。なお、ブロック共重合体(A)における芳香族ビニル単量体単位の含有量は、ブロック共重合体(A)を合成する際の各単量体の仕込み比、ブロック共重合体の1H−NMR等の測定結果から求めることができる。
芳香族ビニル重合体ブロック(a)に含まれる芳香族ビニル単量体単位の割合は、重合体ブロック(a)中の全単量体単位に対して80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。
芳香族ビニル重合体ブロック(a)を構成する芳香族ビニル単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレンなどのアルキルスチレン;2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどのアリールスチレン;ハロゲン化スチレン;アルコキシスチレン;ビニル安息香酸エステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、芳香族ビニル重合体ブロック(a)中には、芳香族ビニル単量体以外の単量体が共重合されていてもよい。芳香族ビニル単量体以外の単量体の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−フェニル−1−ブテン、6−フェニル−1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、2−フルオロプロペン、フルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン、3−フルオロプロペン、トリフルオロエチレン、3,4−ジクロロ−1−ブテン、ノルボルネン、アセチレン等の不飽和単量体;メチルアクリレート、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体;ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン等の共役ジエン単量体;などが挙げられる。芳香族ビニル単量体以外の単量体の含有量は、芳香族ビニル重合体ブロック(a)中の全単量体単位に対して20質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。
ブロック共重合体(A)における脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の含有量は、ブロック共重合体(A)の全単量体単位に対して70質量%以上が好ましく、73質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、78質量%以上が特に好ましい。ブロック共重合体(A)における脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の含有量は、ブロック共重合体(A)の全単量体単位に対して97質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、93質量%以下がさらに好ましく、90質量%以下が特に好ましい。よりいっそうA層の成形性を向上させる観点からは、ブロック共重合体(A)における脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の含有量は、ブロック共重合体(A)の全単量体単位に対して85質量%以下がより好ましく、84質量%以下がさらに好ましく、83質量%以下が特に好ましく、82質量%以下が最も好ましい。ブロック共重合体(A)における脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の含有量が上記下限値以上であると、得られる中間膜を用いた合わせガラスの耐衝撃性を向上させることができる。また、ブロック共重合体(A)における脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の含有量が上記上限値以下であると、A層の良好な成形性を確保できる。なお、ブロック共重合体における脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の含有量は、ブロック共重合体を合成する際の各単量体の仕込み比や、ブロック共重合体の1H−NMR等の測定結果から求めることができる。
脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック(b)中には、少量であれば、脂肪族不飽和炭化水素単量体以外の単量体が共重合されていてもよい。脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック(b)中の脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の割合は、脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック(b)中の全単量単位に対して、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。
脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック(b)を構成する脂肪族不飽和炭化水素単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−フェニル−1−ブテン、6−フェニル−1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、2−フルオロプロペン、フルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン、3−フルオロプロペン、トリフルオロエチレン、3,4−ジクロロ−1−ブテン、ブタジエン、イソプレン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、アセチレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂肪族不飽和炭化水素単量体は、入手容易性や取り扱い性の観点から、炭素数2以上の脂肪族不飽和炭化水素が好ましく、炭素数4以上の脂肪族不飽和炭化水素がより好ましく、また、炭素数12以下の脂肪族不飽和炭化水素が好ましく、炭素数8以下の脂肪族不飽和炭化水素がより好ましい。中でも、共役ジエンを用いることが好ましく、ブタジエン、イソプレンならびにブタジエンおよびイソプレンの併用がより好ましい。
また、脂肪族不飽和炭化水素単量体は、入手容易性や取り扱い性、ブロック共重合体(A)の製造のしやすさの観点からも、共役ジエン単量体が好ましい。脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック(b)中の共役ジエン単量体単位の割合は、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。熱安定性を向上させる観点から、脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック(b)の単量体単位として共役ジエン単量体を用いる場合は、その一部または全部が水素添加(以下、「水添」と略称することがある)された水添物であることが好ましい。その際の水添率は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上、特に好ましくは80モル%以上である。ここで、水添率とは、水素添加反応前後のブロック共重合体のヨウ素価を測定して得られる値である。
脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック(b)中の共役ジエンの結合形態は複数あり、例えば、イソプレン単位には、1,4−結合、1,2−結合、3,4−結合があり、ブタジエン単位については、1,4−結合と1,2−結合がある。脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中の全共役ジエン単量体単位の合計量(例えば、イソプレン単位およびブタジエン単位の合計量)に対する、イソプレン単位の1,2−結合および3,4−結合の含有量ならびにブタジエン単位の1,2−結合の含有量の合計は、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、40モル%以上がさらに好ましい。また、上記合計は、100モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましく、90モル%以下がさらに好ましい。重合体ブロック(b)中にイソプレン単位が含まれている場合は、上記合計は、85モル%以下が好ましく、75モル%以下がさらに好ましい。
脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック(b)中に共役ジエン単量体単位が含まれ、かつ、共役ジエン単量体単位中にイソプレン単位が90モル%以上含まれる場合、共役ジエン単量体単位以外の単量体単位が含まれておらず、イソプレン単位の1,2−結合および3,4−結合の含有量の合計が30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましい。また、上記合計は75モル%以下であることが好ましく、60モル%以下であることがより好ましい。
脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック(b)中に共役ジエン単量体単位が含まれ、かつ、共役ジエン単量体単位中にブタジエン単位が90モル%以上含まれる場合、ブタジエン単位の1,2−結合の含有量は20モル%以上が好ましく、65モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。また、上記含有量は100モル%以下が好ましい。
脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック(b)中に共役ジエン単量体単位が含まれ、かつ、共役ジエン単量体単位中のイソプレン単位およびブタジエン単位の合計含有量が90モル%以上であり、イソプレン単位とブタジエン単位の質量比(イソプレン単位/ブタジエン単位)が10/90〜90/10である場合、イソプレン単位およびブタジエン単位の1,2−結合および3,4−結合の含有量の合計は、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましい。また、上記合計は、95モル%以下が好ましく、85モル%以下がより好ましい。
本発明においては、上述の通り、入手容易性や取り扱い性、ブロック共重合体(A)の製造のしやすさの観点から、脂肪族不飽和炭化水素単量体として共役ジエン単量体を用いることが好ましく、熱安定性を向上させる観点から、共役ジエン単量体単位を含む脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロックの一部を水素添加(以下、「水添」と略称することがある)した水素添加物を用いることがより好ましい。脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロックを水添することにより、共役ジエン単量体単位由来の炭素間二重結合の残存量を調整できる。
共役ジエン単量体単位由来の炭素間二重結合の残存量は2モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、4モル%以上がさらに好ましく、5モル%以上が特に好ましい。共役ジエン単量体由来の炭素間二重結合の残存量は40モル%以下が好ましく、35モル%以下がより好ましく、30モル%以下がさらに好ましく、25モル%以下が特に好ましい。共役ジエン単量体単位由来の炭素間二重結合の残存量が上記範囲であると、合成が容易であり、また、A層に十分な熱安定性を付与できる。
ブロック共重合体(A)の重量平均分子量は、その力学特性、成形加工性の観点から30,000以上が好ましく、50,000以上がより好ましい。ブロック共重合体(A)の重量平均分子量は、その力学特性、成形加工性の観点から400,000以下が好ましく、300,000以下がより好ましい。ブロック共重合体(A)の重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.0以上が好ましく、2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。ここで、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量であり、数平均分子量とは、GPC測定によって求めたポリスチレン換算の数平均分子量である。
ブロック共重合体(A)の製造方法は特に限定されず、例えばアニオン重合法、カチオン重合法、ラジカル重合法などの当該分野において公知の方法により製造できる。例えばアニオン重合の場合、具体的には、
(i)アルキルリチウム化合物を開始剤として用い、芳香族ビニル単量体、共役ジエン単量体、次いで芳香族ビニル単量体を逐次重合させる方法;
(ii)アルキルリチウム化合物を開始剤として用い、芳香族ビニル単量体、共役ジエン単量体を逐次重合させ、次いでカップリング剤を加えてカップリングする方法;
(iii)ジリチウム化合物を開始剤として用い、共役ジエン単量体、次いで芳香族ビニル単量体を逐次重合させる方法;などが挙げられる。
脂肪族不飽和炭化水素単量体として共役ジエン単量体を用いる場合、アニオン重合の際に有機ルイス塩基を添加することによって、熱可塑性エラストマーの1,2−結合量および3,4−結合量を増やすことができ、該有機ルイス塩基の添加量によって、熱可塑性エラストマーの1,2−結合量および3,4−結合量を容易に制御できる。
前記有機ルイス塩基としては、例えば、酢酸エチルなどのエステル;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N−メチルモルホリンなどのアミン;ピリジンなどの含窒素複素環式芳香族化合物;ジメチルアセトアミドなどのアミド;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;などが挙げられる。
未水添の熱可塑性エラストマー、例えばポリスチレン系エラストマーを水素添加反応に付す場合、水素添加触媒に対して不活性な溶媒に得られた未水添のポリスチレン系エラストマーを溶解させるか、または、未水添のポリスチレン系エラストマーを反応液から単離せずにそのまま用い、水素添加触媒の存在下、水素と反応させることにより行うことができる。
水素添加触媒としては、例えばラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Niなどの金属をカーボン、アルミナ、珪藻土などの単体に担持させた不均一系触媒;遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物などとの組み合わせからなるチーグラー系触媒;メタロセン系触媒などが挙げられる。水素添加反応は、通常、水素圧力0.1MPa以上、20MPa以下で、反応温度20℃以上、250℃以下で、反応時間0.1時間以上、100時間以下の条件で行うことができる。
A層は、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂および熱可塑性エラストマーからなる群より選択される少なくとも1つの他に、上述した特定波長吸収剤および/または紫外線吸収剤を含み得る。さらに、必要に応じて、その他の成分として、上述した可塑剤、遮熱材料、酸化防止剤、光安定剤、接着力調整剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料等を含んでいてもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜は、A層のみからなる単層構造であってもよく、例えば、A層にA層とは異なる別の層(以下、「B層」とする)を積層した積層構造であってもよい。本発明の合わせガラス中間膜がB層を含む場合、B層は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂および熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、ポリビニルアセタール樹脂またはアイオノマー樹脂を含むことがさらに好ましい。
B層が含み得るポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂および熱可塑性エラストマーとしては、先に記載したA層に含まれるポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂および熱可塑性エラストマーと同様のものが挙げられる。ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂および熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。
B層は、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂、および/または熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂の他に、上述した特定波長吸収剤および/または紫外線吸収剤を含み得る。さらに、必要に応じて、その他の成分として、可塑剤、遮熱材料、酸化防止剤、光安定剤、接着力調整剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料等を含んでいてもよい。
(遮熱材料)
A層および/またはB層が、遮熱材料(例えば、赤外線吸収能を有する、無機遮熱性微粒子または有機遮熱性材料)を含むことで、合わせガラス用中間膜に遮熱機能を付与し、合わせガラスとしたときに、波長1500nmの近赤外光の透過率を下げる(例えば、50%以下とする)ことができる。
無機遮熱性微粒子としては、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン酸亜鉛(ZnSb2O5)、六ホウ化ランタン、一般式MmWOn(Mは金属元素を表し、mは0.01以上1.0以下、nは2.2以上3.0以下である)で表される金属ドープ酸化タングステンなどが挙げられる。中でも、ITO、ATO、金属ドープ酸化タングステンが好ましい。前記金属ドープ酸化タングステンの一般式中のMで表される金属元素としては、例えばCs、Tl、Rb、Na、Kなどが挙げられ、特にCsが好ましい。遮熱性の観点から上記一般式中のmは0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、また0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜に無機遮熱性微粒子が含まれる場合、その含有量は、合わせガラス用中間膜を構成する層を形成する全構成成分(アイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤等の、各層を構成する全構成成分)の総量100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、0.2質量%以上が特に好ましい。また、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。無機遮熱性微粒子の含有量が上記範囲内にあると、得られる中間膜を用いた合わせガラスの波長1500nmの近赤外光の透過率を効果的に下げつつ、高い可視光線透過率を保つことができる。無機遮熱性微粒子の平均粒子径は、100nm以下が好ましく、透明性の観点から50nm以下がより好ましい。なお、上記無機遮熱性微粒子の平均粒子径は、レーザー回折装置で測定されるものである。
有機遮熱性材料としては、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物などが挙げられる。前記有機遮熱性材料はさらに遮熱性を向上させる観点から、金属を含有することが好ましい。前記金属としては、例えばNa、K、Li、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt、Mn、Sn、V、Ca、Alなどが挙げられ、特にNiが好ましい。
有機遮熱性材料の含有量は、合わせガラス用中間膜を構成する層を形成する全構成成分の総量に対して0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましい。また、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。有機遮熱性材料の含有量が上記範囲内にあると、得られる中間膜を用いた合わせガラスの波長1500nmの近赤外光の透過率を効果的に下げつつ、高い可視光線透過率を保つことができる。
本発明において、遮熱材料は、ITO、ATO、AZO、アンチモン酸亜鉛、六ホウ化ランタン、金属ドープ酸化タングステン、フタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましく、ITO、ATOおよび金属ドープ酸化タングステンからなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。遮熱材料は、A層またはB層のいずれに含まれていてもよい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、リン系化合物、硫黄系化合物などが挙げられ、これらの中でもフェノール系化合物が好ましく、アルキル置換フェノール系化合物が特に好ましい。
フェノール系化合物の例としては、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどのアクリレート系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−)ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
リン系化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレンなどのモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)4,4’−イソプロピリデン−ビス(ジフェニルモノアルキル(C12〜C15)ホスファイト)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスファイトなどのジホスファイト系化合物;などが挙げられる。これらの中でもモノホスファイト系化合物が好ましい。
硫黄系化合物としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、合わせガラス用中間膜を構成する層を形成する全構成成分の総量100質量部に対して0.001質量部以上が好ましく、0.01質量部以上がより好ましい。また、酸化防止剤の配合量は、合わせガラス用中間膜を構成する層を形成する全構成成分の総量100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、1質量部以下がさらに好ましい。酸化防止剤の量が上記範囲内にあれば、十分な酸化防止効果を発揮できる。
(光安定剤)
光安定剤としてはヒンダードアミン系のもの、例えば、株式会社ADEKA製「アデカスタブLA−57(商品名)」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「チヌビン622(商品名)」が挙げられる。
(接着力調整剤)
ガラスとの接着力を調整するため、合わせガラスを作製する際にガラスと接する層に接着力調整剤を添加してもよい。接着力調整剤としては、従来公知のものを用いることができ、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、2−エチルブタン酸、2−エチルヘキサン酸などの有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、シランカップリング剤などが用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。接着力調整剤の含有量は、用いる接着力調整剤の種類に応じて適宜決定すればよく、通常、得られる合わせガラス用中間膜のガラスへの接着力が、パンメル試験(Pummel test;国際公開第03/033583号等に記載)において3〜10になるように調整することが好ましい。特に、合わせガラスに高い耐貫通性が求められる場合は、上記接着力が3〜6になるように含有量を調整することが好ましく、高いガラス飛散防止性が求められる場合は、上記接着力が7〜10になるように含有量を調整することが好ましい。高いガラス飛散防止性が求められる場合は、接着力調整剤を添加しないことも有用な方法である。通常、合わせガラスを作製する際にガラスと接する層の接着力調整剤の含有量は、該層を構成する全構成成分の総質量に対して0.0001〜1質量%が好ましく、0.0005〜0.1質量%がより好ましく、0.001〜0.03質量%がさらに好ましい。
また、合わせガラス用中間膜において隣接するA層とB層との接着力を調整するため、A層またはB層に接着力調整剤を添加してもよい。このような隣接する層間の接着力を調整するために用いる接着力調整剤としては、カルボキシル基、カルボキシル基の誘導体基、エポキシ基、ボロン酸基、ボロン酸基の誘導体基、アルコキシル基、またはアルコキシル基の誘導体基などの接着性官能基を有するポリオレフィン類が挙げられる。
特に、B層にポリビニルアセタール樹脂を用いる場合には、接着性官能基を有するポリオレフィン類をB層に添加し、A層とB層との共押出成形を行うことで、A層とB層との接着力を好適に調整できる。接着性官能基を有するポリオレフィン類の添加量は、B層中のポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。接着性官能基を有するポリオレフィン類の添加量が上記範囲内にあると、合わせガラスを作製した際のヘイズの悪化を抑制できる。接着性官能基を有するポリオレフィン類としては、上記ポリオレフィン類の中でもカルボキシル基を含有するポリプロピレンが、入手の容易さ、接着性の調整のしやすさ、およびヘイズの調整のしやすさの観点から好適である。
(合わせガラス用中間膜)
本発明の合わせガラス用中間膜は、上述の通り、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂および熱可塑性エラストマーからなる群より選択される少なくとも1つを含有するA層を少なくとも1層含むものである。
A層の膜厚は、0.02mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましい。また、A層の膜厚は、10mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。A層の膜厚が上記範囲内であると合わせガラスを作製する際のラミネートが容易になり、コストの低減にもなるため好ましい。本発明の合わせガラス用中間膜中にA層が複数含まれる場合には、A層全体の合計の厚さが上記範囲を満たしていることが好ましい。
B層の膜厚は、10mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。B層の膜厚が上記上限値以下であると、コストの低減になるため好ましい。
合わせガラス用中間膜における積層構成は、合わせガラスの用途、目的等によって適宜決定すればよく、例えば、A層/B層、B層/A層/B層、A層/B層/A層、B層/A層/B層/A層/B層、B層/A層/B層/A層/B層/A層/B層という積層構成が挙げられる。これらの構成において、A層および/またはB層が、それぞれ2層以上含まれる場合、各A層、B層を構成する成分は互いに同じであっても異なっていてもよい。ガラスへの接着性の観点から、最外層の両方がB層であることが好ましい。
また、本発明の合わせガラス用中間膜は、A層、B層以外の層(C層とする)を1層以上含んでいてもよく、例えば、B層/A層/C層/B層、B層/A層/B層/C層、B層/C層/A層/C層/B層、B層/C層/A層/B層/C層、B層/A層/C層/B層/C層、C層/B層/A層/B層/C層、C層/B層/A層/C層/B層/C層、C層/B層/C層/A層/C層/B層/C層などの積層構成でも構わない。また上記積層構成において、A層、B層および/またはC層が、それぞれ2層以上含まれる場合、各A層、B層、C層を構成する成分は互いに同じであっても異なっていてもよい。ガラスへの接着性の観点から、最外層の両方がB層であることが好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜に含まれ得るC層は、公知の樹脂から構成される層であってよい。C層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステルのうちポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフロロエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリイミドなどを用いることができる。また、必要に応じ、可塑剤、酸化防止剤、特定波長吸収剤、紫外線吸収剤、光安定剤、接着力調整剤および/または接着性を調整するための各種添加剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料、遮熱材料(例えば、赤外線吸収能を有する、無機遮熱性微粒子または有機遮熱性材料)などの添加剤を添加してよい。これらの添加剤としては、A層またはB層に用いられ得るものと同様のものが挙げられる。
本発明の合わせガラス用中間膜の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、A層は、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂または熱可塑性エラストマー樹脂と、特定波長吸収剤や紫外線吸収剤等のA層を構成する全ての成分を混合した組成物を均一に混練した後、押出法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法、インフレーション法等、公知の製膜方法により作製できる。また、同様の方法で、B層を作製し、これらをプレス成形等で積層させてもよいし、A層、B層およびその他必要な層を共押出法により成形してもよい。
公知の製膜方法の中でも、特に押出機を用いて合わせガラス用中間膜を製造する方法が好適に採用される。押出時の温度(組成物の温度)は150℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましい。また、押出し時の温度(組成物の温度)は250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましい。押出し時の温度が上記範囲内であると、組成物に含まれる樹脂等の分解を引き起こし難く、押出機からの吐出を安定させることができる。揮発性物質を効率的に除去するためには、押出機のベント口から減圧により、揮発性物質を除去することが好ましい。
また、本発明の合わせガラス用中間膜は表面にメルトフラクチャー、エンボスなど、従来公知の方法で凹凸構造を形成することが好ましい。メルトフラクチャー、エンボスの形状は特に限定されず、従来公知のものを採用できる。
合わせガラス用中間膜の膜厚の合計は、0.02mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましい。また、合わせガラス用中間膜の膜厚の合計は、10mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。合わせガラス用中間膜の膜厚の合計が上記範囲内であると、合わせガラスを作製する際のラミネートが容易になり、コストの低減にもなるため好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜は、(i)〜(v)のいずれかの実施態様であることが好ましい。
(i)A層のみからなり、A層がアイオノマー樹脂を含有する層である;
(ii)A層と、A層の両面に積層されたアイオノマー樹脂を含有するB層からなり、A層が熱可塑性エラストマー樹脂を含有する層である;
(iii)A層と、A層の両面に積層されたポリビニルアセタール樹脂を含有するB層からなり、A層が熱可塑性エラストマー樹脂および特定波長吸収剤を含有する層である;
(iv)A層と、A層の両面に積層されたポリビニルアセタール樹脂を含有するB層からなり、A層がポリビニルアセタール樹脂を含有する層である;
(v)A層のみからなり、A層がポリビニルアセタール樹脂を含有する層である。
実施態様が上述の(i)または(v)のとき、本発明の合わせガラス用中間膜において、特定波長吸収剤および紫外線吸収剤は、いずれもA層に含まれる。実施態様が上述の(ii)または(iv)のとき、本発明の合わせガラス用中間膜において、特定波長吸収剤および紫外線吸収剤は、それぞれA層またはB層のいずれか一方に含まれていてもよく、A層およびB層の両方に含まれていてもよい。実施態様が上述の(iii)のとき、本発明の合わせガラス用中間膜において、特定波長吸収剤は熱可塑性エラストマーを含むA層に配合され、紫外線吸収剤は、A層またはB層のいずれに含まれていてもよい。
実施態様が上述の(iii)または(iv)のとき、B層がさらに可塑剤を含有していてもよい。B層における可塑剤の含有量は、B層に含まれるポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましい。B層に含まれる可塑剤としては、A層で用いられる可塑剤として例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明において、A層は、アイオノマー樹脂または熱可塑性エラストマーを含むことが好ましく、アイオノマー樹脂または熱可塑性エラストマーを主成分(A層を構成する全樹脂成分の総質量に対して90質量%以上)として含むことがより好ましい。A層がアイオノマー樹脂または熱可塑性エラストマーを含むとき、本発明の合わせガラス用中間膜の黄色化をより抑制できる。また可塑剤を配合する必要がなく、透明性のより高い合わせガラス用中間膜を得ることができるため、かかる合わせガラス用中間膜を用いて作製した合わせガラスはより視認性に優れる。したがって、本発明の実施態様は、上述の(i)〜(iii)のいずれかであることが好ましい。本発明においてA層がアイオノマー樹脂または熱可塑性エラストマーを含む場合、透明性のより高い合わせガラス用中間膜を得る観点から、A層における可塑剤含有量は、A層を構成するアイオノマー樹脂および熱可塑性エラストマーの総量100質量部に対して、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは5質量部以下であり、0質量部であってもよい。
(合わせガラス)
本発明の合わせガラス用中間膜を用いることにより、紫外線遮蔽性に優れる合わせガラスを得ることができる。そのため、本発明の合わせガラス用中間膜は、自動車用フロントガラス、自動車用サイドガラス、自動車用サンルーフ、自動車用リアガラスまたはヘッドアップディスプレイ用ガラスなどに好適に用いることができる。本発明の合わせガラス用中間膜の構成を内部に有する合わせガラスが、ヘッドアップディスプレイ用ガラスに適用される場合、用いられる該合わせガラス用中間膜の断面形状は、一方の端面側が厚く、他方の端面側が薄い形状であることが好ましい。その場合、断面形状は、一方の端面側から他方の端面側に漸次的に薄くなるような、全体が楔形である形状であってもよいし、一方の端部から該端面と他方の端部の間の任意の位置までは同一の厚さで、該任意の位置から他方の端部まで漸次的に薄くなるような、断面の一部が楔形のものであってもよい。
本発明の合わせガラスには、通常、ガラスを2枚使用する。本発明の合わせガラスを構成するガラスの厚さは特に限定されないが、100mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。また、2枚とも同じ厚さのガラスを使用してもよいし、厚さの異なるガラスを組み合わせて使用してもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜を、2mm厚のクリアガラス2枚で挟持した合わせガラスにおいて、JIS K 7373に準じて、合わせガラスの黄色度を測定したとき、その値は18以下が好ましく、16以下がより好ましく、14以下がさらに好ましい。黄色度が18以下であると、合わせガラスを通した視認性が向上する傾向にある。合わせガラス用中間膜における上記黄色度の値は、特定波長吸収剤および紫外線吸収剤の種類、その量、その配合比率等を調整することにより制御できる。
本発明の合わせガラス用中間膜を、2mm厚のクリアガラス2枚で挟持した合わせガラスにおいて、JIS K 7105に準じて、合わせガラスのヘイズを測定したとき、その値は3%以下が好ましく、1.5%以下がより好ましく、1.2%以下がさらに好ましく、1%以下が特に好ましく、0.8%以下が最も好ましい。ヘイズが3%以下であると、合わせガラスの透明性が向上する傾向にある。
本発明の合わせガラス用中間膜を、2mm厚のクリアガラス2枚で挟持した合わせガラスにおいて、波長1500nmの近赤外光の透過率が50%以下であると、赤外光線の遮蔽率が高くなり、合わせガラスの遮熱性能が向上する傾向にある。合わせガラス用中間膜における上記近赤外光の透過率は、遮熱材料の種類、配合量等を適宜選択することにより制御できる。
[合わせガラスの製造方法]
本発明の合わせガラスは、従来公知の方法で製造でき、例えば、真空ラミネータ装置を用いる方法、真空バッグを用いる方法、真空リングを用いる方法、ニップロールを用いる方法等が挙げられる。また、仮圧着後に、オートクレーブ工程に投入する方法も付加的に行うことができる。
真空ラミネータ装置を用いる場合、例えば、太陽電池の製造に用いられる公知の装置を使用し、1×10−6MPa以上、3×10−2MPa以下の減圧下、100℃以上、200℃以下で、特に130℃以上、170℃以下の温度でラミネートされる。真空バッグまたは真空リングを用いる方法は、例えば、欧州特許第1235683号明細書に記載されており、例えば約2×10−2MPaの圧力下、130℃以上、145℃以下でラミネートされる。
合わせガラスの作製方法については、ニップロールを用いる場合、例えば、ポリビニルアセタール樹脂の流動開始温度以下の温度で1回目の仮圧着をした後、さらに流動開始温度に近い条件で仮圧着する方法が挙げられる。例えば、赤外線ヒーターなどで30℃以上、100℃以下に加熱した後、ロールで脱気し、さらに50℃以上、150℃以下に加熱した後ロールで圧着して接着または仮接着させる方法が挙げられる。
また、本発明の合わせガラス用中間膜の構成を合わせガラス内部に有するように、A層の両面に、B層を塗布したガラスを合わせて積層し、合わせガラスとしてもよい。
仮圧着後に付加的に行われるオートクレーブ工程は、モジュールの厚さや構成にもよるが、例えば、1MPa以上、15MPa以下の圧力下、120℃以上、160℃以下の温度で0.5時間以上、2時間以下で実施される。
合わせガラスを作製する際に使用するガラスは特に限定されず、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、熱線吸収板ガラスなどの無機ガラスのほか、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなどの従来公知の有機ガラス等が使用でき、これらは無色、有色、あるいは透明、非透明のいずれであってもよい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、使用するガラスの形状に特に制限はなく、単純な平面状の板ガラスであっても、自動車用サンルーフガラスなどの曲率を有するガラスであってもよい。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、以下の実施例において「%」は特に断りのない限り、「質量%」を意味する。
以下の実施例において、ポリビニルブチラール樹脂としては、目的とする粘度平均重合度と同じ粘度平均重合度(JIS K 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定した粘度平均重合度)を有するポリビニルアルコールを塩酸触媒下にn−ブチルアルデヒドでアセタール化したものを用いた。
1.物性評価(積層体表面からの添加剤の耐ブリードアウト性評価)
下記の実施例・比較例で得られた合わせガラス用中間膜(縦100mm×横100mm)を、温度20℃、相対湿度20%の下で30日間保持した。その後、形状測定レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製、VK−X200)を用いて、積層体表面の観察を行い、以下の基準により添加剤の耐ブリードアウト性評価を行った。
<判断基準>
1:ブリードアウトが観察されなかった
2:ブリードアウトがわずかに観察された
3:著しいブリードアウトが観察された
2.物性評価(合わせガラスのスキンダメージファクターの算出)
市販のクリアガラス(縦50mm×横50mm×厚さ2mm)2枚に実施例・比較例で得られた合わせガラス用中間膜を挟み、真空バッグ法(条件:30℃から160℃に60分間で昇温し、その後160℃で30分間保持)によって、合わせガラスを作製した。その後、紫外可視近赤外分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、U−4100)を用いて、ISO9050(2003)に準じて、透過測定方法で該合わせガラスの分光透過率を20℃で測定し、スキンダメージファクターを算出した。
3.物性評価(合わせガラスの黄色度の算出)
市販のクリアガラス(縦50mm×横50mm×厚さ2mm)2枚に実施例・比較例で得られた合わせガラス用中間膜を挟み、真空バッグ法(条件:30℃から160℃に60分間で昇温し、その後160℃で30分間保持)によって、合わせガラスを作製した。その後、カラーメーター(スガ試験機株式会社製)を用いて、JIS K 7373に準じて、透過測定方法で該合わせガラスの黄色度を20℃で測定した。
4.物性評価(合わせガラスのヘイズの算出)
市販のクリアガラス(縦50mm×横50mm×厚さ2mm)2枚に実施例・比較例で得られた合わせガラス用中間膜を挟み、真空バッグ法(条件:30℃から160℃に60分間で昇温し、その後160℃で30分間保持)によって、合わせガラスを作製した。その後、ヘイズメーター「HZ1」(スガ試験機株式会社製)を用いて、JIS K 7105に準じて、該合わせガラスのヘイズを20℃で測定した。
5.物性評価(合わせガラスの遮熱性評価:1500nmにおける近赤外光の透過率測定)
市販のクリアガラス(縦50mm×横50mm×厚さ2mm)2枚に実施例・比較例で得られた合わせガラス用中間膜を挟み、真空バッグ法(条件:30℃から160℃に60分間で昇温し、その後160℃で30分間保持)によって、合わせガラスを作製した。その後、紫外可視近赤外分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、U4100)を用いて、透過測定方法で該合わせガラスの波長1500nmにおける分光透過率を20℃で測定した。
6.特定波長吸収剤および紫外線吸収剤の極大吸収波長および半値幅の測定
実施例および比較例で用いた特定波長吸収剤および紫外線吸収剤を、それぞれ、クロロホルムを溶媒として溶解し、濃度10mg/Lに調整をした後、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製、UV2600)を用いて、波長250〜500nmの範囲で吸光度を測定した。測定の結果、吸光度が最大となる波長を、極大吸収波長とした。また、極大吸収波長における吸光度の2分の1の吸収帯の幅を、半値幅とした。極大吸収波長および半値幅の測定結果を表1に示す。
7.積層体に含まれる特定波長吸収剤または紫外線吸収剤の面密度の算出
実施例および比較例で調製した合わせガラス用中間膜の各層に含まれる特定波長吸収剤または紫外線吸収剤の質量は、特定波長吸収剤または紫外線吸収剤の添加率と各層の単位面積当たりの質量の積を求めることで得た。合わせガラス用中間膜に含まれる特定波長吸収剤または紫外線吸収剤の質量は、先に求められた各層に含まれる特定波長吸収剤または紫外線吸収剤の質量の和を求めることで算出した。これを1m2当たりの値に換算し、面密度とした。
例えば、実施例1の合わせガラス用中間膜における特定波長吸収剤の面密度は、以下に従い算出される。
面密度(g/m2)=A層に対する特定波長吸収剤の添加率(質量%)×特定波長吸収剤を含むA層の質量(g)×10000/A層の面積(cm2)
各合わせガラス用中間膜における面密度の算出結果は表3および表5に示す。
下記表2に示す組成に従い、下記に記載の手順により、実施例1〜17の合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製した。
<実施例1>
(1)A層の作製
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン50kg、アニオン重合開始剤としてsec−ブチルリチウム130gを仕込み、ルイス塩基としてテトラヒドロフラン290gを仕込んだ(sec−ブチルリチウムは、10.5質量%のシクロヘキサン溶液を含むため、sec−ブチルリチウムの実質的な添加量は13.9gである)。耐圧容器内を50℃に昇温した後、スチレン1.8kgを加えて1時間重合させ、引き続いてイソプレン13.2kgを加えて2時間重合させ、さらにスチレン1.8kgを加えて1時間重合させることにより、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応液を得た。
該反応液に、オクチル酸ニッケルおよびトリメチルアルミニウムから形成されるチーグラー系水素添加触媒を水素雰囲気下で添加し、水素圧力1MPa、80℃の条件で5時間反応させた。該反応液を放冷および放圧させた後、水洗により上記触媒を除去し、真空乾燥させることにより、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、TPE−1とする)を得た。
なお、TPE−1を構成する単量体の含有量(TPE−1の全単量体単位に対する質量%)は、以下の通りであった。
芳香族ビニル単量体単位の含有量:20質量%
脂肪族不飽和炭化水素単量体の含有量:80質量%
得られたTPE−1を100質量部、特定波長吸収剤として[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリル(オリヱント化学工業株式会社製、BONASORB(R) UA−3911)を0.12質量部、紫外線吸収剤として2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、Tinuvin(R)326)を0.39質量部混合して、押出成形法によって厚み0.27mmのシート状に成形し、A層を得た。
(2)B層の作製
アイオノマー(デュポン社製、SentryGlas(R)N−UV)100質量部を押出成形法によって厚み0.27mmのシート状に成形し、B層を得た。
(3)積層体の作製
2層のB層の間にA層を挟み、150℃でプレス成形をして3層構成の複合膜からなる厚さ0.81mmの合わせガラス用中間膜を作製した。得られた合わせガラス用中間膜を用いて、上記の評価方法に従い、耐ブリードアウト性、スキンダメージファクター、黄色度、遮熱性の評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例2>
A層において2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールを0.39質量部用いる代わりに、0.19質量部用いた以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例3>
A層において[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルを0.12質量部用いる代わりに、0.07質量部用いた以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例4>
A層において[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルを0.12質量部用いる代わりに、0.07質量部用い、2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールを0.39質量部用いる代わりに、0.19質量部用いた以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例5>
A層において[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルを0.12質量部用いる代わりに、0.15質量部用い、2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールを0.39質量部用いる代わりに、0.06質量部用いた以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例6>
A層において[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルを0.12質量部用いる代わりに、0.02質量部用い、2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールを0.39質量部用いる代わりに、0.56質量部用いた以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例7>
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン50kg、アニオン重合開始剤としてsec−ブチルリチウム76gを仕込み、ルイス塩基としてテトラヒドロフラン313gを仕込んだ(sec−ブチルリチウムは、10.5質量%のシクロヘキサン溶液を含むため、sec−ブチルリチウムの実質的な添加量は8.0gである)。耐圧容器内を50℃に昇温した後、スチレン0.5kgを加えて1時間重合させ、引き続いてイソプレン8.2kgおよびブタジエン6.5kgからなる混合液を加えて2時間重合させ、さらにスチレン1.5kgを加えて1時間重合させることにより、ポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応液を得た。
該反応液に、オクチル酸ニッケルおよびトリメチルアルミニウムから形成されるチーグラー系水素添加触媒を水素雰囲気下で添加し、水素圧力1MPa、80℃の条件で5時間反応させた。該反応液を放冷および放圧させた後、水洗により上記触媒を除去し、真空乾燥させることにより、ポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物(以下、TPE−2とする)を得た。
なお、TPE−2を構成する単量体の含有量(TPE−2の全単量体単位に対する質量%)は、以下の通りであった。
芳香族ビニル単量体単位の含有量:12質量%
脂肪族不飽和炭化水素単量体の含有量:88質量%
A層においてTPE−1を用いる代わりに、TPE−2を用いた以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例8>
B層において、アイオノマー100質量部(デュポン社製、SentryGlas(R)N−UV)に対して、[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルを0.06質量部および2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾール0.18質量部を用い、A層において[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルおよび2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールを用いない以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例9>
B層において、アイオノマー100質量部(デュポン社製、SentryGlas(R)N−UV)に対して、2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾール0.18質量部を用い、A層において2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールを用いない以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例10>
A層において、100質量部のTPE−1に対して、セシウムドープ酸化タングステン(CWO、住友金属鉱山株式会社製、YMDS−874)0.70質量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例11>
アイオノマー100質量部(デュポン社製、SentryGlas(R)N−UV)に対して、[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルを0.04質量部および2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾール0.12質量部を用い、厚み0.81mmのシート状に成形し、A層を得て、単層構造の合わせガラス用中間膜を作製した以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例12>
B層において、アイオノマー100質量部(デュポン社製、SentryGlas(R)N−UV)を用いる代わりに、粘度平均重合度約1700、平均アセタール化度70モル%、ビニルアルコール単位の平均含有量29モル%、ビニルアセテート単位の平均含有量1モル%のポリビニルブチラール樹脂(以下、PVB−2とする)100質量部に、ポリエステルポリオール(株式会社クラレ製、クラレポリオールP−510;ポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)−alt−(アジピン酸)])38質量部を配合した組成物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例13>
B層において、アイオノマー100質量部(デュポン社製、SentryGlas(R)N−UV)を用いる代わりに、100質量部のPVB−2に、ポリエステルポリオール(株式会社クラレ製、クラレポリオールP−510;ポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)−alt−(アジピン酸)])38質量部、2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾール0.16質量部を配合した組成物を用い、A層において2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールを用いない以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例14>
粘度平均重合度約2400、平均アセタール化度74モル%、ビニルアルコール単位の平均含有量19モル%、ビニルアセテート単位の平均含有量7モル%のポリビニルブチラール樹脂(以下、PVB−1とする)100質量部およびトリエチレングリコール−ジ2−エチルヘキサノエート60質量部を配合した組成物から、押出成形法により厚み0.15mmのシート状に成形したA層を得た。また、100質量部のPVB−2に、トリエチレングリコール−ジ2−エチルヘキサノエート38質量部、[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルを0.06質量部および2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾール0.19質量部を配合した組成物から、押出成形法により厚みを0.33mmのシート状に成形したB層を得た。
得られたA層およびB層を用いて、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例15>
B層において、[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルを0.07質量部、および2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールを0.03質量部とした以外は、実施例14と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例16>
100質量部のPVB−2に対して、トリエチレングリコール−ジ2−エチルヘキサノエート38質量部、[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリル0.05質量部および2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾール0.15質量部を用い、厚み0.81mmのシート状に成形し、A層を得て、単層構造の合わせガラス用中間膜を作製した。作製した合わせガラス用中間膜を用いて、実施例1と同様の方法で合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
<実施例17>
[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルを0.06質量部、および2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールを0.02質量部とした以外は、実施例16と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
下記表4に示す組成に従い、下記に記載の手順により、比較例1〜5の合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製した。
<比較例1>
A層において[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルを0.12質量部用いる代わりに、0.05質量部用い、2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールを0.39質量部用いる代わりに、0.14質量部用いた以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表5に示す。
<比較例2>
A層において、[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルを用いず、2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールを0.39質量部用いる代わりに、0.60質量部用いた以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表5に示す。
<比較例3>
A層において、[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルを0.12質量部用いる代わりに、0.19質量部用い、2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールを用いない以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表5に示す。
<比較例4>
A層において、特定波長吸収剤として[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチレン]−プロパンジニトリルを用いる代わりに、C.I.ソルベントイエロー33(住化ケムテックス株式会社製、Sumiplast Lemon Yellow HL)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表5に示す。
<比較例5>
A層において、紫外線吸収剤として2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾリル)−6−t−ブチル−p−クレゾールを用いる代わりに、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((ヘキシル)オキシ)−フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、Tinuvin(R)1577)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、各種物性評価を行った。結果を表5に示す。