JP2019077450A - 金属容器の製造方法および蓋体付金属容器の製造方法 - Google Patents

金属容器の製造方法および蓋体付金属容器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蓋体を取り付けるときに加わる軸方向の荷重による金属容器の変形を効果的に抑制できる金属容器の製造方法および蓋体付金属容器の製造方法を提供する。【解決手段】金属容器10は、有底円筒状の金属製缶体50から変形させて製造する。金属製缶体50は、本体部53とそれに連なる先端部54とを有している。金属容器10の製造方法は、先端部を270度以上向きを変えるように径方向外方に向けて巻くように折り返し、先端部を本体部の外周面に当接させる工程を含む。そして、蓋体を取り付ける際に金属容器に加わる軸方向の荷重の1.0〜1.2倍の大きさの軸方向の荷重を先端部に加える。【選択図】図7

Description

本発明は、金属容器の製造方法、およびこの金属容器を有する蓋体付金属容器の製造方法に関する。
飲料、食用品や薬剤等の容器に用いられる金属容器として、金属容器の開口部にスクリューキャップやマキシキャップなどの蓋体が取り付けられたボトル缶等が広く提供されている。
このような金属容器の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の金属容器は、胴部の一端に開口部が設けられている。開口部には、胴部の一端がその径方向外方に向けて折り返されることによりカール部が形成されている。胴部の外周面には、径方向内方に向けて凹んだ係止溝が設けられている。そして、カール部の先端が係止溝の内部に収容されている。そのため、カール部に対して荷重が加えられても、カール部の先端の移動が規制される。
特許4990736号公報
このような金属容器への蓋体の取り付けは、蓋体を開口部やカール部に押しつけながら金属容器に密着するように当該蓋体を変形させることにより行う。このとき、蓋体を押しつける軸方向の荷重によって金属容器の開口部やカール部が変形してしまうおそれがあった。
そこで、本発明は、蓋体を取り付けるときに加わる軸方向の荷重による金属容器の変形を効果的に抑制できる金属容器の製造方法および蓋体付金属容器の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様の金属容器の製造方法は、先端に開口を有し、前記開口を塞ぐ蓋体が取り付けられる金属容器の製造方法であって、有底円筒状の金属製缶体の本体部に連なる先端部を、270度以上向きを変えるように径方向外方に向けて巻くように折り返し、前記先端部を前記本体部の外周面に当接させる工程を含み、前記蓋体を取り付ける際に前記金属容器に加わる軸方向の荷重の1.0〜1.2倍の大きさの軸方向の荷重を前記先端部に加えることを特徴とする。
本発明は、金属容器の前身である金属製缶体を変形して金属容器を得る製造方法に関する。金属製缶体は、有底円筒状に形成されており、本体部とそれに連なる先端部とを有している。本発明によれば、先端部を270度以上向きを変えるように径方向外方に向けて巻くように折り返し、先端部を本体部の外周面に当接させる工程を含む。蓋体を取り付ける際に金属容器に加わる軸方向の荷重の1.0〜1.2倍の大きさの軸方向の荷重を先端部に加える。このようにしたことから、金属容器の製造時に、蓋体を取り付ける際の荷重と同等またはそれより大きい荷重が先端部に加えられる。これにより、先端部がこの荷重を受け止めた形状になる。そのため、蓋体を取り付ける際に荷重が加えられても、先端部がすでに当該荷重と同等またはそれより大きい荷重を受け止めた形状になっているので、さらなる先端部の変形を抑制できる。したがって、蓋体を取り付ける際の変形を効果的に抑制することができる。
本発明においては、前記先端部を巻くように折り返すことにより形成された当該先端部の凸の曲面を、前記本体部の外周面に当接させることが好ましい。このようにすることで、滑らかな曲面が本体部の外周面に当接される。そのため、本体部が傷ついてしまうことを抑制できる。
本発明においては、前記本体部の外周面に、全周にわたって径方向内方に向けて凹んだ係止溝を形成し、前記先端部の凸の曲面を前記係止溝内の凹面に当接させることが好ましい。このようにすることで、係止溝内に先端部が係止される。そのため、先端部の移動が規制される。したがって、先端部に荷重が加わった際の変形をより効果的に抑制することができる。
本発明においては、前記荷重を加えて前記先端部を変形させることにより、前記先端部の凸の曲面を前記係止溝内の凹面に当接させることが好ましい。このようにすることで、先端部がこの荷重を受け止めた形状を、先端部が係止溝内に係止された最終形状とすることができる。そのため、先端部に荷重がかかった際の変形をより効果的に抑制することができる。
本発明においては、前記係止溝内の凹面の曲率半径を、前記先端部の凸の曲面の曲率半径以上にすることが好ましい。このようにすることで、係止溝内に先端部を進入させることができる。そのため、先端部を係止溝により確実に係止できる。また、係止溝内の凹面と先端部の凸の曲面との接触面積を確保できる。そのため、先端部にかかる荷重をより広い面積で受けることができ、荷重が集中することによる変形を効果的に抑制できる。
上記目的を達成するために、本発明の他の一態様の蓋体付金属容器の製造方法は、上記の製造方法により金属容器を製造し、前記金属容器に液体を収容したのち、前記金属容器の開口を塞ぐように蓋体を取り付けることを特徴とする。
本発明によれば、金属製缶体の先端部を270度以上向きを変えるように径方向外方に向けて巻くように折り返し、先端部を本体部の外周面に当接させる工程を含む。蓋体を取り付ける際に金属容器に加わる軸方向の荷重の1.0〜1.2倍の大きさの軸方向の荷重を先端部に加える。このようにしたことから、金属容器の製造時において、蓋体を取り付ける際の荷重と同等またはそれより大きい荷重が先端部にあらかじめ加えられる。これにより、先端部がこの荷重を受け止めた形状になる。そのため、蓋体を取り付ける際に荷重が加えられても、先端部がすでに当該荷重と同等またはそれより大きい荷重を受け止めた形状になっているので、さらなる先端部の変形を抑制できる。したがって、蓋体を取り付ける際の変形を効果的に抑制することができる。
本発明によれば、蓋体を取り付けるときに加わる軸方向の荷重による金属容器の変形を効果的に抑制できる。
本発明の製造方法によって製造される蓋体付金属容器の正面図である。 図1の蓋体付金属容器の蓋体近傍を説明する図である。 図1の蓋体付金属容器の口金部近傍を拡大した縦断面図である。 金属容器の前身となる金属製缶体を説明する図である。 本発明の第1実施形態に係る製造方法における金属製缶体の先端部の変形過程を模式的に示す縦断面図である。 金属製缶体の先端部に軸方向の荷重を加える加工工具の一例を示す縦断面図である。 図6の加工工具を用いて金属製缶体の先端部を加工する様子を示す図である。 金属製缶体の先端部に径方向の荷重を加える加工工具の一例を示す縦断面図である。 図8の加工工具を用いて金属製缶体の先端部を加工する様子を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る製造方法における金属製缶体の先端部の変形過程を模式的に示す縦断面図である。 図6の加工工具を第2実施形態に係る製造方法に適用した様子を示す図である。 図6の加工工具を用いて金属製缶体の先端部を加工する様子を示す図である。 本発明に係る製造方法によって製造される金属容器の他の一例を示す拡大縦断面図である。 本発明に係る製造方法によって製造される金属容器のさらに他の一例を示す拡大縦断面図である。
以下に、本発明の実施形態に係る蓋体付金属容器の製造方法について説明する。
(蓋体付金属容器の構成)
はじめに、本発明の実施形態に係る製造方法で製造される蓋体付金属容器の構成について、図1〜図3を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る製造方法によって製造される蓋体付金属容器の正面図である。図2は、図1の蓋体付金属容器の蓋体近傍を説明する図である。図2では、蓋体および金属容器の上端を断面図で示している。図3は、図1の蓋体付金属容器の口金部近傍を拡大した縦断面図である。図3の左下円内では、係止溝近傍を拡大して示している。縦断面図とは、上下方向(図1の軸L方向)に沿う断面図のことをいう。径方向とは、本体の径方向(図1の軸Lと直交する方向)のことをいう。
蓋体付金属容器1は、例えば、清涼飲料やアルコール飲料などの液体飲料を収容する飲料用容器である。液体飲料以外にも、液体状または粒状の食用品や薬剤などの内容物を収容してもよい。図1に示すように、蓋体付金属容器1は、金属容器10と、蓋体30と、を有している。
金属容器10は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属を材料とした金属製缶体50(図4)を加工することにより得られる。本発明の目的に反しない限り、例えば鉄などの上記以外の金属材料で構成されていてもよい。金属容器10は、軸Lに沿って延びる有底円筒状に形成されている。金属容器10は、本体11と、カール部17(図2)とを一体に有している。
本体11は、先端が開口した、有底円筒状に形成されている。本体11は、底部12、胴部13、肩部14、首部15および開口部16(図2)を一体に有している。胴部13は、円筒状に形成されており、底部12の周縁から一定の径のまま軸Lに沿って上方に延びている。肩部14は、胴部13の上端から上方に向かうにしたがい漸次縮径している。首部15は、胴部13より小径の円筒状に形成されており、肩部14から上方に延びている。本実施形態において、首部15は、上方に向かうにしたがい肩部14より緩く漸次縮径している。開口部16は、首部15の上端に連なっている。
図3に示すように、開口部16は、溝部分16aと、テーパー部16bとを有している。溝部分16aは、首部15寄りの箇所に全周にわたって径方向内方に向けて凹んだ係止溝16a1が設けられている。溝部分16aは、縦断面形状が円弧状となるように形成されている。係止溝16a1内は凹面となるように形成されている。テーパー部16bは、溝部分16aの上端に連なり、上方側に向かうにしたがい漸次縮径する円筒状に形成されている。
カール部17は、本体11の開口部16の上端に連なり、径方向外方に膨出する(すなわち張り出す)ように形成されている。カール部17は、金属製缶体50を加工して本体11(本体部53)を形成した際に本体11の上端に連なった先端部54が、径方向外方に向けて全体的に丸く巻くように折り返されることにより形成されている。カール部17は、当初は軸L方向上方を向いた先端部54が360度向きを変えるように折り返されることにより形成されている。なお、先端部54は、270度以上向きを変えるように折り返されていればよい。
カール部17は、側壁部分18と、巻込部分19とを有している。側壁部分18は、開口部16の上端(本体11の一端)に連なりかつ開口部16との間に空間を設けるように配置されている。巻込部分19は、側壁部分18の先端18aに連なっている。
カール部17の巻込部分19は、縦断面略J字状に折り曲げられている。巻込部分19は、その先端面19aを内側に巻き込んで当該先端面19aが上方を向きかつ折り曲げ箇所19bが径方向内方を向くように折り返されている。折り曲げ箇所19bの外面は凸の曲面状に形成されており、つまり、凸の曲面19cとなる。
カール部17は、巻込部分19の折り曲げ箇所19bが係止溝16a1内に配置されており、凸の曲面19cが係止溝16a1内の凹面(すなわち、本体11の外周面)に当接している。これにより、凸の曲面19cを有する巻込部分19は、係止溝16a1に係止されて移動が規制される。なお、先端部54の凸の曲面19cではなく、先端面19aが開口部16の外周面に当接された構成でもよい。
本実施形態では、縦断面において、係止溝16a1内の凹面の曲率半径R1(図3の一点鎖線)が、カール部17の凸の曲面19cの曲率半径R2(図3の二点鎖線)より大きくされている。曲率半径R1と曲率半径R2とを等しくすることがより好ましい。
カール部17の凸の曲面19cの曲率半径をR2とし、カール部17の巻込部分19(先端部54)の厚みをtとしたとき、以下の式(1)および(2)を満たすことが好ましい。
(1)0.2mm≦t≦0.6mm
(2)1.0×t≦R2≦4.0×t
このように、厚みtが0.2mm以上かつ0.6mm以下の場合に、曲率半径R2を厚さtの4倍以下にすることで先端部54を折り返す際の際の金属板の延び量をより少なくすることができる。そのため、延伸による先端部54の割れを抑制できる。厚みtは、0.3mm以上かつ0.5mm以下がより好ましく、延伸による先端部54の割れをより効果的に抑制できる。
また、係止溝16a1内の凹面の曲率半径をR1としたとき、以下の式(3)を満たすことが好ましい。
(3)1.0×R2≦R1≦2.0×R2
曲率半径R1を、曲率半径R2の1〜2倍の範囲にすることで、カール部17を係止溝16a1により適切に係止することができる。
本体11の開口部16とカール部17とで、全体的に略中空ドーナツ形状(トーラス体状)となる口金部20を構成している。
蓋体30は、マキシキャップとも呼ばれるものであり、キャップ部31と、シール材32と、プルタブ部33とを有している。キャップ部31は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属を材料としている。キャップ部31は、円板状の上部31aと、上部31aの周縁から下方に延びる環状の側部31bと、を一体に有している。シール材32は、弾力を有する合成樹脂製の円環状部材である。シール材32は、上部31aの下面に重ねて配置されている。プルタブ部33は、キャップ部31の側部31bの先端に一体に連なっている。
蓋体30は、シール材32が金属容器10のカール部17に密着するように押しつけられ、この状態でキャップ部31の側部31bの先端部が全周にわたってカール部17に巻き締められる。これにより、蓋体30は、金属容器10に固定して取り付けられている。蓋体30は、プルタブ部33を手前から上方に引き上げることにより、キャップ部31の側部31bおよび上部31aが裂けて、金属容器10から取り外すことができる。
(第1実施形態に係る製造方法)
次に、上述した金属容器10の本発明の第1実施形態に係る製造方法について、図4〜図9を参照して説明する。
図4は、金属容器の前身となる金属製缶体を説明する図である。図4(a)および(b)は、金属製缶体の斜視図および縦断面図である。図4(c)は、金属製缶体の本体部(金属容器の本体)と本体部に連なる先端部とを示す縦断面図である。図5は、本発明の第1実施形態に係る製造方法における金属製缶体の先端部の変形過程を模式的に示す縦断面図である。図6は、金属製缶体の先端部に軸方向の荷重を加える加工工具の一例を示す縦断面図である。図7は、図6の第1加工工具を用いて金属製缶体の先端部を加工する様子を示す図である。図7(a)は第1加工工具の押当部材の凹部に先端部を挿入した状態を示す縦断面図である。図7(b)は第1加工工具全体を押し下げて軸方向の荷重を加えた状態を示す縦断面図である。図7(c)は、第1加工工具によって荷重を加える前後の先端部の形状を模式的に示す図である。
図8は、金属製缶体の先端部に径方向の荷重を加える加工工具の一例を示す縦断面図である。図9は、図8の加工工具を用いて金属製缶体の先端部を加工する様子を示す図である。図9(a)は第2加工工具の円環状の隙間に先端部を挿入した状態を示す縦断面図である。図9(b)は第2加工工具全体を押し下げて径方向の荷重を加えた状態を示す縦断面図である。図9(c)は、第2加工工具によって荷重を加える前後の先端部の形状を模式的に示す図である。図7(c)および図9(c)において、一点鎖線が荷重を加える前を示し、実線が荷重を加えた後を示す。
金属容器10は、図4に示す金属製缶体50に絞りしごき加工(Drawing and Ironing;DI加工)を施すことにより形成される。金属製缶体50は、先端が開口した有底円筒状に形成されている。金属製缶体50は、円板状の底部51と、底部51の周縁から軸Lに沿って上方に延びる円筒状の側部52とを一体に有している。
本実施形態の製造方法では、先端部54に荷重を加える工具として、図6に示す第1加工工具60および図8に示す第2加工工具70を用いる。もちろん、これら加工工具は一例であって、他の加工工具を用いてもよい。
第1加工工具60は、上板61と、下板62と、荷重調整部材63と、ガイド部材64と、押当部材65とを有している。上板61および下板62は、上下方向に間隔を空けて対向配置されている。荷重調整部材63は、上板61と下板62の間に配置されている。荷重調整部材63は、下板62に上板61との間隔を狭める方向の荷重が加わったときに、当該荷重が設定値になるまではその間隔を保持する。そして、荷重調整部材63は、当該荷重が設定値を超えると間隔保持を解除して、設定値を超える荷重が加わらないようにする。この設定値は、蓋体30を取り付ける際に金属容器10に加わる軸L方向の荷重の1.0〜1.2倍の大きさの範囲内で設定される。本実施形態では、設定値が蓋体30を取り付ける際に金属容器10に加わる軸L方向の荷重の1.1倍の大きさに設定されている。ガイド部材64は、棒状に形成されている。ガイド部材64の上端部は、上板61に固定されている。ガイド部材64の下端部は、下板62に形成された貫通孔62aに貫通方向(上下方向)に移動可能に挿通されている。ガイド部材64は、上板61に対して下板62が横方向にずれないように移動を案内する。押当部材65は、先端部54に押し当てられる部材である。押当部材65は、下板62の下面に固定して取り付けられている。押当部材65は、下方を向く凹部65aが形成されている。凹部65aは、軸L方向から見たときに円形となる凹みであり、開口近傍において下方に向かうにしたがって徐々に径が大きくなるように形成されている。
第2加工工具70は、基部71と、円柱部72とを有している。基部71は、直方体形状を有し、中央に上下方向に貫通する円形の貫通孔71aが形成されている。貫通孔71aは、下方を向く開口近傍において下方に向かうにしたがって徐々に径が大きくなるように形成されている。円柱部72は、貫通孔71aの径より小さくかつ開口部16の上端の径と同一の径を有している。円柱部72の下端部は、貫通孔71aから下方に突き出しており、先端に向かうにしたがって徐々に径が小さくなるように形成されている。円柱部72は、基部71の貫通孔71aに同軸となるよう収容され、図示しない支持部によって基部71に固定されている。基部71と円柱部72との間には円環状の隙間73が形成されている。
本実施形態の製造方法では、はじめに、図示しない絞りしごき加工工具を用いて、金属製缶体50を加工して本体11を形成する(本体形成工程S1)。
具体的には、金属製缶体50を軸L方向に細長く延ばし、その下部を底部12および胴部13とし、その上部に絞り加工を施して肩部14、首部15および開口部16を順次形成する。開口部16には、係止溝16a1を設けて溝部分16aを形成し、さらに、溝部分16aの上端に連なるテーパー部16bを形成する。この状態において、金属製缶体50は、図4(c)に示すように、本体11に相当する本体部53と、本体部53の上端に連なる円筒状の先端部54とを有した形状となる。
次に、開口部16の上端に連なる先端部54を径方向外方に向けて全体的に丸く巻くように折り返し、先端部54を開口部16の外周面に当接させてカール部17を形成する(カール部形成工程S2)。
図5(a)〜(e)に、カール部形成工程S2における金属製缶体50の先端部54の変形過程を模式的に示す。図5(a)に示す円筒状の先端部54を、その先端面19aの向きが上方(0度)から図5(b)に示すように下方(180度)に向くように変形させる。さらに、図5(c)に示すように先端面19aが上方(360度)に向くように変形させる。この時点で、先端部54は開口部16の外周面と当接していない。
次に、図6に示す第1加工工具60を用いて、先端部54に軸L方向の荷重を加える。
第1加工工具60を上方から先端部54に近づけて、図7(a)に示すように、押当部材65の凹部65aに図5(c)の形状の先端部54を挿入する。先端部54の頂部Aおよび側部Bが凹部65aの内面に接する。そして、第1加工工具60全体を軸L方向に押し下げると、図7(b)に示すように、押当部材65により先端部54に軸L方向の荷重が加わり、先端部54が変形する。そして、先端部54に加わる荷重を徐々に大きくし、当該荷重が荷重調整部材63の設定値を超えると、荷重調整部材63が上板61と下板62との間隔保持を解除して、先端部54に加わる荷重を減少させる。つまり、先端部54に加わる荷重の最大値はこの設定値となる。先端部54は、第1加工工具60によって荷重を加えることにより、図7(c)に示すように変形する。このようにして、先端部54を図5(d)に示す形状に変形させる。この時点で、先端部54は開口部16の外周面と当接していない。
次に、図8に示す第2加工工具70を用いて、先端部54が開口部16に当接するように変形させる。
第2加工工具70を上方から先端部54に近づけて、円柱部72の下端部を開口部16内に挿入する。これにより、図9(a)に示すように、円環状の隙間73の下方を向く開口内に先端部54を位置づける。そして、第2加工工具70全体を軸L方向に押し下げると、先端部54が円環状の隙間73に進入する。これにより、先端部54に径方向内方を向く荷重が加わる。この荷重により、先端部54が開口部16に近づくように変形して、図9(b)に示すように、先端部54が開口部16の外周面に当接される。先端部54は、第2加工工具70によって荷重を加えることにより、図9(c)に示すように変形する。
図9(c)に示すように、径方向内方を向く荷重を加えた後は、先端部54の凸の曲面19cが開口部16の係止溝16a1内の凹面に当接されている。このようにして、先端部54を図5(e)に示す最終形状に変形させる。これにより、側壁部分18および巻込部分19を有するカール部17が完成し、カール部17と開口部16とで口金部20が構成される。こうして、金属容器10が製造される。
そのあと、金属容器10の内部に液体飲料などの内容物を収容する(内容物収容工程S3)。そして、金属容器10の開口を塞ぐように巻き締め加工前の蓋体30が口金部20に被せられる。キャッピング装置によって蓋体30を金属容器10の口金部20に押しつけるとともに、蓋体30の側部31bの先端部をカール部17に巻き締めて蓋体30を口金部20に取り付ける(蓋体取付工程S4)。このとき、蓋体30が口金部20に押しつけられることにより軸L方向の荷重が加わる。上記カール部形成工程S2において、この荷重より大きい荷重があらかじめ口金部20に加えられているので、口金部20のさらなる変形を抑制できる。こうして、蓋体付金属容器1が完成する。
(第2実施形態に係る製造方法)
以下に、本発明の第2実施形態に係る蓋体付金属容器の製造方法について、図10〜図12を参照して説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係る製造方法における金属製缶体の先端部の変形過程を模式的に示す縦断面図である。図11は、図6の加工工具を第2実施形態に係る製造方法に適用した様子を示す縦断面図である。図12は、図6の加工工具を用いて金属製缶体の先端部を加工する様子を示す図である。図12(a)は第1加工工具の押当部材の凹部に先端部を挿入した状態を示す縦断面図である。図12(b)は第1加工工具全体を押し下げて軸方向の荷重を加えた状態を示す縦断面図である。図12(c)は、第1加工工具によって荷重を加える前後の先端部の形状を模式的に示す図である。
上述した第1実施形態の製造方法では、第1加工工具60により先端部54に軸L方向の荷重を加えたあとに、先端部が本体部に当接するように変形させる製造方法であった。しかしながら、本発明はこのような製造方法に限定されるものではない。
第2実施形態に係る製造方法は、上述した本体形成工程S1、内容物収容工程S3および蓋体取付工程S4を含む。また、第2実施形態に係る製造方法は、上述したカール部形成工程S2に代えて、先端部が本体部に当接するように変形させたあとに軸L方向の荷重を加えるカール部形成工程S2Aを含む。本体形成工程S1、内容物収容工程S3および蓋体取付工程S4については、第1実施形態と同一であるため説明を省略する。この第2実施形態に係る製造方法を用いることでも、上記蓋体付金属容器1を製造することができる。
図10(a)〜(e)に、上述した第2実施形態に係る製造方法におけるカール部形成工程S2Aでの金属製缶体50の先端部54の変形過程を模式的に示す。このカール部形成工程S2Aでは、図10(a)に示す円筒状の先端部54を、その先端面19aの向きが上方(0度)から図10(b)に示すように下方(180度)に向くように変形させる。さらに、図10(c)に示すように先端面19aが上方(360度)に向くように変形させる。そして、先端部54に径方向の荷重を加えて、図10(d)に示すように先端部54が開口部16の外周面に当接するように変形させる。図10(c)の形状から図10(d)の形状への変形は、例えば、上述した第2加工工具70と同様の工具を用いて行ってもよい。この時点で、先端部54は開口部16の外周面における係止溝16a1より上方の箇所に当接している。
そして、図11に示すように第1加工工具60を用いて先端部54に軸L方向の荷重を加える。第1加工工具60を上方から先端部54に近づけて、図12(a)に示すように、押当部材65の凹部65aに図10(d)の形状の先端部54を挿入する。先端部54の頂部Aが凹部65aの内面に接する。そして、第1加工工具60全体を軸L方向に押し下げると、図12(b)に示すように、押当部材65により先端部54に軸L方向の荷重が加わり、先端部54が変形する。そして、先端部54に加わる荷重を徐々に大きくし、当該荷重が荷重調整部材63の設定値を超えると、荷重調整部材63が上板61と下板62との間隔保持を解除して、先端部54に加わる荷重を減少させる。つまり、先端部54に加わる荷重の最大値はこの設定値となる。先端部54は、第1加工工具60によって軸L方向の荷重を加えることにより全体的に軸L方向にずれ、先端部54の凸の曲面19cが係止溝16a1内の凹面に当接して、先端部54を図10(e)に示す最終形状に変形する。これにより、側壁部分18および巻込部分19を有するカール部17が完成し、カール部17と開口部16とで口金部20が構成される。こうして、金属容器10が製造される。そして、金属容器10に内容物が収容されるとともに蓋体30が取り付けられて、蓋体付金属容器1が完成する。
以上説明したように、各実施形態の製造方法によれば、先端部54を、360度向きを変えるように径方向外方に向けて巻くように折り返し、先端部54を開口部16の外周面に当接させるカール部形成工程S2、S2Aを含む。そして、この工程において、蓋体30を取り付ける際に金属容器10に加わる軸方向の荷重の1.1倍の大きさの荷重を先端部54に加える。このようにしたことから、金属容器10の製造時において、蓋体30を取り付ける際の荷重より大きい荷重が先端部54にあらかじめ加えられる。これにより、先端部54がこの荷重を受け止めた形状になる。そのため、蓋体30を取り付ける際に荷重が加えられても、先端部54であるカール部17がすでに当該荷重より大きい荷重を受け止めた形状になっているので、さらなる変形を抑制できる。したがって、蓋体30を取り付ける際の変形を効果的に抑制することができる。
また、先端部54を巻くように折り返すことにより形成された当該先端部54の凸の曲面19cを、開口部16の外周面に当接させる。このようにすることで、滑らかな曲面が開口部16の外周面に当接される。そのため、開口部16が傷ついてしまうことを抑制できる。
また、開口部16の外周面に、全周にわたって径方向内方に向けて凹んだ係止溝16a1を形成し、先端部54の凸の曲面19cを係止溝16a1内の凹面に当接させる。このようにすることで、係止溝16a1内に先端部54が係止される。そのため、先端部54であるカール部17の移動が規制される。したがって、カール部17に荷重が加わった際の変形をより効果的に抑制することができる。
また、係止溝16a1内の凹面の曲率半径R1を、先端部54の凸の曲面19cの曲率半径R2以上にする。このようにすることで、係止溝16a1内に先端部54を収めることができる。そのため、先端部54であるカール部17を係止溝16a1により確実に係止できる。また、係止溝16a1内の凹面と先端部54の凸の曲面19cとの接触面積を確保できる。そのため、先端部54であるカール部17にかかる荷重をより広い面積で受けることができ、荷重が集中することによる変形を効果的に抑制できる。
また、第2実施形態に係る製造方法においては、軸L方向の荷重を加えて先端部54を変形させることにより、先端部54の凸の曲面を係止溝16a1内の凹面に当接させる。このようにすることで、先端部54がこの荷重を受け止めた形状を、先端部54が係止溝16a1内に係止された最終形状とすることができる。そのため、先端部54に荷重がかかった際の変形をより効果的に抑制することができる。
本実施形態の製造方法によれば、蓋体30を取り付けるときに加わる軸L方向の荷重による変形を効果的に抑制できる金属容器10および蓋体付金属容器1を得ることができる。
(金属容器の他の構成例)
また、上述した各実施形態に係る製造方法では、縦断面略J字状の巻込部分19が設けられたカール部17を有する金属容器10を製造する方法であったが、カール部17とは異なる形状の他のカール部を有する金属容器を製造することもできる。例えば、図13に示すように、上記巻込部分19に代えて縦断面略U字状の巻込部分19Aが設けられたカール部17Aを有する金属容器10Aを製造するようにしてもよい。金属容器10Aでは、開口部16とカール部17Aとで口金部20Aを構成している。
カール部17Aは、巻込部分19Aが縦断面略U字状に折り曲げられかつ先端面19aが側壁部分18の内面18bに当接されている。つまり、カール部17Aは、先端部54を、450度向きを変えるように径方向外方に向けて巻くように折り返し、先端面19aが側壁部分18の内面18bに当接するように形成されている。これにより、巻込部分19Aによって、側壁部分18の先端18aおよび内面18bの二箇所が支持されている。換言すると、巻込部分19Aは、側壁部分18の先端18aおよび内面18bを支持する、径方向に延在する2つの支持部分19d、19eを有している。これら支持部分19d、19eにより、側壁部分18に加わる径方向内方に向かう荷重を分散して支える。
カール部17Aは、巻込部分19Aの折り曲げ箇所19bが係止溝16a1内に収容されており、凸の曲面19cが係止溝16a1内の凹面に当接している。これにより、凸の曲面19cが設けられた箇所である巻込部分19Aは、係止溝16a1に係止されて移動が規制される。
上述した製造方法により、このような形状のカール部17Aを有する金属容器10Aも製造することができる。
また、上述した各実施形態に係る製造方法では、係止溝16a1が設けられた開口部16を有する金属容器10を製造する方法であったが、開口部16とは異なる形状の他の開口部を有する金属容器を製造することもできる。例えば、図14に示すように、係止溝16a1およびテーパー部16bが設けられた開口部16に代えて、係止溝16a1が省略されてテーパー部16bのみ設けられた開口部16Bを有する金属容器10Bを製造するようにしてもよい。この場合、本体形成工程S1において、溝部分16aを形成せずに、テーパー部16bのみ形成する。金属容器10Bでは、開口部16Bとカール部17Aとで、口金部20Bを構成している。
上述した実施形態の製造方法により、このような形状の開口部16Bを有する金属容器10Bも製造することができる。
なお、金属容器10Bを製造する際、首部15の延在方向H1と開口部16Bの延在方向H2とがなす角をαとしたとき、以下の式(4)を満たすことが好ましい。
(4)20度≦α≦60度
首部15の延在方向H1とカール部17が当接する開口部16Bの延在方向H2とがなす角αを20度以上かつ60度以下にすることで、カール部17Aに荷重がかかった際の本体11の変形を抑制しつつ、カール部17Aを開口部に適切に係止することができる。角αが20度を下回ると、カール部17Aに荷重がかかった際にカール部17Aの巻込部分19Aが下方に移動しやすくなる。角αが60度を上回ると荷重により首部15と開口部16Bとがより折れ曲がりやすくなる。なお、「延在方向」とは、縦断面図において各部位が延在する方向をいう。図3および図10に示す金属容器10、10Aのように、係止溝16a1が設けられた開口部16を有する構成であっても、上記式(4)を満たすことで同様の効果を奏する。
また、上述した実施形態では、金属容器10の口金部20にマキシキャップである蓋体30を巻き締めして取り付ける方法であったが、これに限定されるものではない。例えば、金属容器に着脱可能なスクリューキャップを取り付けるボトル缶の製造方法等にも、本発明を適用することが可能である。
上記に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。前述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
1…蓋体付金属容器、10、10A、10B…金属容器、11…本体、12…底部、13…胴部、14…肩部、15…首部、16、16B…開口部、16a…溝部分、16a1…係止溝、16b…テーパー部、17、17A…カール部、18…側壁部分、18a…先端、18b…内面、19、19A…巻込部分、19a…先端面、19b…折り曲げ箇所、19c…凸の曲面、19d、19e…支持部分、20、20A、20B…口金部、30…蓋体、31…キャップ部、31a…上部、31b…側部、32…シール材、33…プルタブ部、50…金属製缶体、51…底部、52…側部、53…本体部、54…先端部、60…第1加工工具、61…上板、62…下板、62a…貫通孔、63…荷重調整部材、64…ガイド部材、65…押当部材、65a…凹部、70…第2加工工具、71…基部、71a…貫通孔、72…円柱部、73…円環状の隙間、L…軸、R1…係止溝の凹面の曲率半径、R2…凸の曲面の曲率半径、S1…本体形成工程、S2、S2A…カール部形成工程、S3…内容物収容工程、S4…蓋体取付工程

Claims (6)

  1. 先端に開口を有し、前記開口を塞ぐ蓋体が取り付けられる金属容器の製造方法であって、
    有底円筒状の金属製缶体の本体部に連なる先端部を、270度以上向きを変えるように径方向外方に向けて巻くように折り返し、前記先端部を前記本体部の外周面に当接させる工程を含み、
    前記蓋体を取り付ける際に前記金属容器に加わる軸方向の荷重の1.0〜1.2倍の大きさの軸方向の荷重を前記先端部に加えることを特徴とする金属容器の製造方法。
  2. 前記先端部を巻くように折り返すことにより形成された当該先端部の凸の曲面を、前記本体部の外周面に当接させることを特徴とする請求項1に記載の金属容器の製造方法。
  3. 前記本体部の外周面に、全周にわたって径方向内方に向けて凹んだ係止溝を形成し、
    前記先端部の凸の曲面を前記係止溝内の凹面に当接させることを特徴とする請求項2に記載の金属容器の製造方法。
  4. 前記荷重を加えて前記先端部を変形させることにより、前記先端部の凸の曲面を前記係止溝内の凹面に当接させることを特徴とする請求項3に記載の金属容器の製造方法。
  5. 前記係止溝内の凹面の曲率半径を、前記先端部の凸の曲面の曲率半径以上にすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の金属容器の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の製造方法により金属容器を製造し、
    前記金属容器に液体を収容したのち、前記金属容器の開口を塞ぐように蓋体を取り付けることを特徴とする蓋体付金属容器の製造方法。


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