従来、磁気共鳴イメージングにおいて、グラフィックスライス位置決めが広く適用されている。グラフィックスライス位置決めは、参照画像に基づくグラフィックインターフェースであり、磁気共鳴スキャンのスライス群等のグラフィックオブジェクトを可視化して、定義することができる。
従来技術において、参照画像は一般に、先にスキャンされた位置決め画像、又は、同じ患者の同一検査で先に得られた画像シリーズである。位置決め画像は、参照画像の一種であり、一般的には、ある領域の冠状面、矢状面、横断面それぞれの1つの画像である。当該冠状面、矢状面及び横断面は特定のスキャンシーケンスによって得られ、これらの参照画像は、後続のスライス位置決め及びスキャンで用いられる。一般的に、1回目のスキャンでは、位置決め画像が参照画像として用いられ、それにより得られた画像が、後続スキャンでスライス位置決め用の参照画像として用いられる。
通常、従来の磁気共鳴イメージングにおけるグラフィックスライス位置決めでは、2次元グラフィック位置決めモードが用いられている。2次元グラフィック位置決めモードでは、冠状面、矢状面及び横断面等の位置決め画像が3つのウィンドウにそれぞれ表示され、マウスを用いてグラフィックオブジェクトをドラッグして移動したり、拡大、縮小、追加、削除したりすることによって、位置決め画像の平面上で相互に関連するグラフィックオブジェクトを調整することができ、これにより、3次元空間におけるグラフィックオブジェクトの位置、即ち、被検体のスライス面の位置や方向等を変更することができる。
しかしながら、このような従来の2次元グラフィック位置決めでは、3次元の参照画像を提供することによって、操作者に直観的なスライス位置表示を提供することができない。従って、目標とするグラフィックスライス位置決めを得るために操作者が2次元の位置決め画像上で行った調整は、3次元空間におけるスライスの位置を相応に変えるが、操作者は、2次元の位置決め画像に基づいて、3次元空間におけるスライスの位置、方向等が要求を満たし、かつ、目標領域(関心領域と呼ぶことがある)をカバーしているか否かを自身で予測する必要がある。しかし、従来の2次元グラフィック位置決めモードは、表示及び操作が直観的でない、初心者の習得期間が長い、操作が難しい等の欠点を有する。さらに、従来の磁気共鳴イメージングにおけるグラフィック位置決めでは、2次元グラフィック位置決めモードが用いられるのが一般的であり、操作者は、3次元空間に逆投影させた状態を想像しながら、2次元平面上で位置決めを行う必要がある。このような操作モードは、直観的でなく、かつ、繰り返し調整して初めて理想的な結果が得られるものであり、操作性が悪く、かつ、多大な時間を要する。
また、近年では、上述した方法を改良した技術的な方法も提案されている。例えば、操作結果を3次元的に可視化して表示し、これらのグラフィックオブジェクトを3次元空間で直接操作するための多数の3次元画像操作ツールを提示する方法が提案されている。
しかしながら、このように改良された技術案では、3次元参照画像が得られるものの、そのような3次元参照画像からは空間上の位置決めの方向が分かるのみであり、位置の詳細な情報を認識することはできない。
また、近年では、磁気共鳴イメージングにおいて、局所励起パルスイメージングが注目されており、今後の磁気共鳴イメージングは、小さい撮像視野及び高解像度のイメージングになると考えられる。しかし、従来の磁気共鳴イメージング技術では、小さい撮像視野及び高解像度の局所励起パルスイメージングを実現するためには、課題がまだ存在している。即ち、詳細な情報を直観的な見せ方で提示することが不足しており、位置決め及び次のスキャンを行うための調整が操作者の空間想像力に依存しているという課題がある。また、小さい領域を正確に位置決めする方法も提供されていない。
また、磁気共鳴イメージングの分野では、一般的なスキャンとして、非局所励起スキャンが広く用いられている。一般的に、非局所励起スキャンが用いられるのは、図13Aに示すように、スキャン領域が身体の輪郭(ここでは、頭部の輪郭)より大きい場合であるが、このような場合には、オーバーサンプリング技術が用いられることによって、高精細効果が妨げられる。また、撮像領域における人体の輪郭より小さい撮像視野をイメージングするために非局所励起スキャンを用いた場合には、折り返しアーチファクト(Wrap artifact)が生じ得る。そのため、小さい撮像視野をイメージングするために非局所励起スキャンを用いた場合には、理想的な撮像効果は得られないと考えられる。
また、局所励起パルスイメージングを利用した局所励起スキャンの技術は、図13Bに示すように、スキャン領域が身体の輪郭(ここでは、頭部の輪郭)より小さい場合でも、高精細のスキャンを実現することができる。
また、図14は、非局所励起スキャンと局所励起スキャンとを用いて、小さい撮像視野をスキャンした場合の画像を示している。図14の上側に示す画像が、非局所励起スキャンを用いた場合の画像であり、図14の下側に示す画像が、局所励起スキャンを用いた場合の画像である。図14に示すように、局所励起スキャンを用いて得られた画像は、より高精細、かつ、より明瞭であると考えられる。
また、局所励起スキャン及び非局所励起スキャンでは、異なるパラメータが用いられる。従来、磁気共鳴イメージングを行う際には、操作者は、局所励起スキャン又は非局所励起スキャンに対応するパラメータを設定した後に、局所励起スキャン又は非局所励起スキャンを実行する。イメージングで用いられるスキャン方式を変えたい場合には、操作者は、パラメータの設定を手動で変更する必要があるが、これは非常に煩雑である。
本実施形態は、上述した課題を解決するために提案されたものである。本実施形態の目的は、直観的なプレビューを提供することができる磁気共鳴イメージング装置、磁気共鳴イメージング方法及び磁気共鳴イメージングシステムを提供することである。また、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置、磁気共鳴イメージング方法及び磁気共鳴イメージングシステムは、複雑な解剖構造又は小さい領域の位置決めであっても、位置決め関心領域を高精度で位置決めすることができる。また、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置、磁気共鳴イメージング方法及び磁気共鳴イメージングシステムは、簡単な操作で、小さい撮像視野及び高分解のイメージングを実現することができる。また、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置、磁気共鳴イメージング方法及び磁気共鳴イメージングシステムは、局所励起スキャンと非局所励起スキャンとを自動的に切り替えることができる。
本実施形態の一態様に係る磁気共鳴イメージング装置は、少なくとも位置決め画像と参照画像とを表示する表示部と、被検体をスキャンして、3次元データを取得する第1スキャン部と、前記3次元データに基づいて、位置決め画像を生成して前記表示部に表示する位置決め画像生成部と、前記表示部に表示されている前記位置決め画像に関心領域を設定する入力部と、前記3次元データに基づいて、前記関心領域の位置に対応する参照画像を生成して前記表示部に表示する参照画像生成部と、前記入力部によって前記位置決め画像及び前記参照画像の一方における前記関心領域の大きさ又は位置が変えられた場合に、前記位置決め画像及び前記参照画像の他方の表示倍率又は位置を相応に変えるように調整する調整部とを備える。
また、本実施形態の一態様に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記調整部は、前記参照画像が縮小又は拡大された場合に、縮小後又は拡大後に前記表示部に表示されている参照画像の領域に対応するように、前記位置決め画像に設定されている関心領域の大きさを調整し、前記位置決め画像に設定されている関心領域が大きく又は小さくされた場合に、大きくされた後又は小さくされた後の関心領域に対応するように、前記参照画像を縮小又は拡大する。
また、本実施形態の一態様に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記被検体の前記関心領域に対応する部分をスキャンして、画像データを取得する第2スキャン部をさらに備える。
また、本実施形態の一態様に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記位置決め画像生成部は、前記3次元データに基づいて、所定の位置及び方向においてMPR(Multi-Plane Reconstruction)画像を前記位置決め画像として生成する。
また、本実施形態の一態様に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記位置決め画像生成部は、前記3次元データに基づいて、所定の方向からレンダリングするボリュームレンダリング画像を前記位置決め画像として生成する。
また、本実施形態の一態様に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記第2スキャン部は、局所励起スキャンを用いて前記被検体から前記関心領域に対応する部分の2次元データ又は3次元データを得る。
また、本実施形態の一態様に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記関心領域の大きさが所定の大きさより小さいか否かを判定する判定部をさらに備え、前記第2スキャン部は、局所励起スキャンを実行する局所励起スキャン部と、非局所励起スキャンを実行する非局所励起スキャン部とを含み、前記判定部により前記関心領域の大きさが規定範囲内と判定された場合に、前記局所励起スキャン部が局所励起スキャンを実行し、前記判定部により前記関心領域の大きさが前記規定範囲より大きいと判定された場合に、前記非局所励起スキャン部が非局所励起スキャンを実行する。
また、本実施形態の一態様に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記判定部により、前記関心領域の大きさが、前記局所励起スキャンがサポート可能な前記規定範囲よりも小さいと判定された場合に、前記表示部に前記局所励起スキャンを行えないことを警告するように警告を出す報知部をさらに備える。
また、本実施形態の一態様に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記判定部により、前記関心領域の大きさが、前記局所励起スキャンがサポート可能な前記規定範囲よりも小さいと判定された場合に、前記局所励起スキャンを行えないことを提示するようにメッセージを出力する報知部をさらに備える。
また、本実施形態の一態様に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記判定部により、前記関心領域の大きさが、前記局所励起スキャンがサポート可能な前記規定範囲よりも小さいと判定された場合に、前記局所励起スキャンを行えないことを提示するようにメッセージを出力する報知部をさらに備え、前記調整部は、前記関心領域の大きさを前記サポート可能な前記規定範囲内の大きさとなるように自動的に調整する。
また、本実施形態の一態様に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記第1スキャン部は、3次元データとしてボリュームデータを取得する。
また、本実施形態の一態様に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記第1スキャン部は、3次元データとしてマルチスライス画像を取得する。
本実施形態の一態様に係る磁気共鳴イメージング方法は、少なくとも位置決め画像と参照画像とを表示する表示部を有する磁気共鳴イメージング装置に用いられる磁気共鳴イメージング方法であって、被検体をスキャンして、3次元データを取得し、前記3次元データに基づいて、位置決め画像を生成して前記表示部に表示し、前記表示部に表示されている前記位置決め画像に関心領域を設定し、前記3次元データに基づいて、前記関心領域の位置に対応する参照画像を生成して前記表示部に表示し、前記位置決め画像及び前記参照画像の一方における前記関心領域の大きさ又は位置が変えられた場合に、前記位置決め画像及び前記参照画像の他方の表示倍率又は位置を相応に変えるように調整することを含む。
本実施形態の一態様に係る磁気共鳴イメージングシステムは、少なくとも位置決め画像と参照画像とを表示する表示部を有する磁気共鳴イメージング装置に用いられる磁気共鳴イメージングシステムであって、被検体をスキャンして、3次元データを取得する第1スキャン手段と、前記3次元データに基づいて、位置決め画像を生成して前記表示部に表示する位置決め画像生成手段と、前記表示部に表示されている前記位置決め画像に関心領域を設定する入力手段と、前記3次元データに基づいて、前記関心領域の位置に対応する参照画像を生成して前記表示部に表示する参照画像生成手段と、前記入力手段によって前記位置決め画像及び前記参照画像の一方における前記関心領域の大きさ又は位置が変えられた場合に、前記位置決め画像及び前記参照画像の他方の表示倍率又は位置を相応に変えるように調整する調整手段とを含む。
本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置、磁気共鳴イメージング方法及び磁気共鳴イメージングシステムによれば、直観的なプレビューを提供することができる。また、複雑な解剖構造又は小さい領域の位置決めであっても、位置決め関心領域を高精度で位置決めすることができる。また、簡単な操作で、小さい撮像視野及び高分解のイメージングを実現することができる。また、局所励起スキャンと非局所励起スキャンとを自動的に切り替えることができる。
以下、図面を参照して、磁気共鳴イメージング装置、磁気共鳴イメージング方法及び磁気共鳴イメージングシステムの実施形態を説明する。なお、以下で説明する実施形態は何れも一具体例である。よって、以下の実施形態に示す数値、形状、大きさ、構成要素、構成要素の配置位置及び接続方式等は、何れも一例であり、主旨は実施形態を限定するものではない。よって、以下の実施形態の構成要素のうち、最上位概念を示す技術案に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明する。
また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付与しており、重複する説明については省略又は簡略にする場合がある。
(第1の実施形態)
以下では、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100を説明する。
[磁気共鳴イメージング装置100の全体構成]
図1は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100の構成例を示す図である。例えば、図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、送信コイル4、送信回路5、受信コイル6、受信回路7、寝台8、架台9、インタフェース11、ディスプレイ12、記憶回路13、第1処理回路14、第2処理回路15、第3処理回路16、及び、第4処理回路17を備える。
静磁場磁石1は、中空の略円筒形状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成され、内周側に形成される撮像空間に一様な静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、永久磁石や超伝導磁石等によって実現される。
傾斜磁場コイル2は、中空の略円筒形状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成され、静磁場磁石1の内周側に配置される。傾斜磁場コイル2は、互いに直交するx軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を発生させる3つのコイルを有する。ここで、x軸、y軸及びz軸は、磁気共鳴イメージング装置100に固有の装置座標系を構成する。例えば、x軸の方向は、鉛直方向に設定され、y軸の方向は、水平方向に設定される。また、z軸の方向は、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁束の方向と同じに設定される。
傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2が有する3つのコイルそれぞれに個別に電流を供給することで、x軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を撮像空間に発生させる。x軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を適宜に発生させることによって、互いに直交するリードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った傾斜磁場を発生させることができる。ここで、リードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った軸は、撮像の対象となるスライス領域又はボリューム領域を規定するための論理座標系を構成する。なお、以下では、リードアウト方向に沿った傾斜磁場をリードアウト傾斜磁場と呼び、位相エンコード方向に沿った傾斜磁場を位相エンコード傾斜磁場と呼び、スライス方向に沿った傾斜磁場をスライス傾斜磁場と呼ぶ。
ここで、各傾斜磁場は、静磁場磁石1によって発生する静磁場に重畳され、磁気共鳴信号(Magnetic Resonance:MR)に空間的な位置情報を付与するために用いられる。具体的には、リードアウト傾斜磁場は、リードアウト方向の位置に応じてMR信号の周波数を変化させることで、MR信号にリードアウト方向に沿った位置情報を付与する。また、位相エンコード傾斜磁場は、位相エンコード方向に沿ってMR信号の位相を変化させることで、MR信号に位相エンコード方向の位置情報を付与する。また、スライス傾斜磁場は、撮像領域がスライス領域の場合には、スライス領域の方向、厚さ、枚数を決めるために用いられ、撮像領域がボリューム領域である場合には、スライス方向の位置に応じてMR信号の位相を変化させることで、MR信号にスライス方向に沿った位置情報を付与する。
送信コイル4は、中空の略円筒形状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成され、傾斜磁場コイル2の内側に配置される。送信コイル4は、送信回路5から出力されるRF(Radio Frequency)パルスを撮像空間に印加する。
送信回路5は、ラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル4に出力する。例えば、送信回路5は、発振回路、位相選択回路、周波数変換回路、振幅変調回路、及び、RF増幅回路を有する。発振回路は、静磁場中に置かれた対象原子核に固有の共鳴周波数のRFパルスを発生する。位相選択回路は、発振回路から出力されるRFパルスの位相を選択する。周波数変換回路は、位相選択回路から出力されるRFパルスの周波数を変換する。振幅変調回路は、周波数変換回路から出力されるRFパルスの振幅を例えばsinc関数に従って変調する。RF増幅回路は、振幅変調回路から出力されるRFパルスを増幅して送信コイル4に出力する。
受信コイル6は、被検体Sから発せられるMR信号を受信するRFコイルである。具体的には、受信コイル6は、撮像空間に置かれた被検体Sに装着され、送信コイル4によって印加されるRF磁場の影響で被検体Sから発せられるMR信号を受信するRFコイルである。また、受信コイル6は、受信したMR信号を受信回路7へ出力する。例えば、受信コイル6には、撮像対象の部位ごとに専用のコイルが用いられる。ここでいう専用のコイルは、例えば、頭部用の受信コイル、頚部用の受信コイル、肩用の受信コイル、胸部用の受信コイル、腹部用の受信コイル、下肢用の受信コイル、脊椎用の受信コイル等である。
受信回路7は、受信コイル6から出力されるMR信号に基づいてMR信号データを生成し、生成したMR信号データを第2処理回路15に出力する。例えば、受信回路7は、選択回路、前段増幅回路、位相検波回路、及び、アナログデジタル変換回路を有する。選択回路は、受信コイル6から出力されるMR信号を選択的に入力する。前段増幅回路は、選択回路から出力されるMR信号を増幅する。位相検波回路は、前段増幅回路から出力されるMR信号の位相を検波する。アナログデジタル変換回路は、位相検波回路から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換することでMR信号データを生成し、生成したMR信号データを第2処理回路15に出力する。
なお、ここでは、送信コイル4がRFパルスを印加し、受信コイル6がMR信号を受信する場合の例を説明するが、送信コイル4及び受信コイル6の形態はこれに限られない。例えば、送信コイル4が、MR信号を受信する受信機能をさらに有してもよい。また、受信コイル6が、RF磁場を印加する送信機能をさらに有していてもよい。送信コイル4が受信機能を有している場合は、受信回路7は、送信コイル4によって受信されたMR信号からもMR信号データを生成する。また、受信コイル6が送信機能を有している場合は、送信回路5は、受信コイル6にもRFパルスを出力する。
寝台8は、被検体Sが載置される天板8aを備え、被検体Sの撮像が行われる際に、静磁場磁石1及び傾斜磁場コイル2の内側に形成される撮像空間へ天板8aを挿入する。例えば、寝台8は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。
架台9は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、及び送信コイル4を収容している。具体的には、架台9は、円筒状に形成された中空のボアBを有しており、ボアBを囲むように静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、及び送信コイル4を配置した状態で、それぞれを収容している。ここで、架台9が有するボアBの内側の空間が、被検体Sの撮像が行われる際に被検体Sが配置される撮像空間となる。
インタフェース11は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、インタフェース11は、第4処理回路17に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して第4処理回路17へ出力する。例えば、インタフェース11は、撮像条件や関心領域(Region Of Interest:ROI)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、本明細書において、インタフェース11は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を第4処理回路17へ出力する電気信号の処理回路もインタフェース11の例に含まれる。
ディスプレイ12は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ12は、第4処理回路17に接続されており、第2処理回路15から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ12は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
記憶回路13は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路13は、MR信号データや画像データを被検体Sごとに記憶する。例えば、記憶回路13は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
第1処理回路14は、寝台制御機能を有する。具体的には、寝台制御機能は、寝台8に接続され、制御用の電気信号を寝台8へ出力することで、寝台8の動作を制御する。例えば、寝台制御機能は、インタフェース11を介して、天板8aを長手方向、上下方向又は左右方向へ移動させる指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に従って天板8aを移動するように、寝台8が有する天板8aの駆動機構を動作させる。例えば、第1処理回路14は、プロセッサによって実現される。
第2処理回路15は、実行機能を有する。具体的には、実行機能は、第4処理回路17から出力されるシーケンス実行データに基づいて傾斜磁場電源3、送信回路5及び受信回路7を駆動することで、各種パルスシーケンスを実行する。例えば、第2処理回路15は、プロセッサによって実現される。
ここで、シーケンス実行データは、MR信号データを収集するための手順を示すパルスシーケンスを定義した情報である。具体的には、シーケンス実行データは、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に電流を供給するタイミング及び供給される電流の強さ、送信回路5が送信コイル4に供給するRFパルス電流の強さや供給タイミング、受信回路7がMR信号を検出する検出タイミング等を定義した情報である。
また、実行機能は、各種パルスシーケンスを実行した結果として、受信回路7からMR信号データを受信し、受信したMR信号データを記憶回路13に格納する。なお、実行機能によって受信されたMR信号データの集合は、前述したリードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及びスライス傾斜磁場によって付与された位置情報に応じて2次元又は3次元に配列されることで、k空間を構成するデータとして記憶回路13に格納される。
第3処理回路16は、データ処理機能を有する。例えば、第3処理回路16は、プロセッサによって実現される。データ処理機能は、記憶回路13に格納されたMR信号データに基づいて画像を生成する。具体的には、データ処理機能は、第2処理回路15の実行機能によって記憶回路13に格納されたMR信号データを読み出し、読み出したMR信号データに後処理すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことで画像を生成する。また、データ処理機能は、生成した画像の画像データを記憶回路13に格納する。
第4処理回路17は、磁気共鳴イメージング装置100が有する各構成要素を制御することで、磁気共鳴イメージング装置100の全体制御を行う。例えば、第4処理回路17は、プロセッサによって実現される。例えば、第4処理回路17は、インタフェース11を介して操作者からパルスシーケンスに関する各種のパラメータの入力を受け付け、受け付けたパラメータに基づいてシーケンス実行データを生成する。そして、第4処理回路17は、生成したシーケンス実行データを第2処理回路15に送信することで、各種のパルスシーケンスを実行する。また、例えば、第4処理回路17は、操作者から要求された画像の画像データを記憶回路13から読み出し、読み出した画像をディスプレイ12に出力する。
[磁気共鳴イメージング装置100の構成]
次に、図2〜図4を参照して、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100を説明する。図2は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100のブロック図である。図3は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100が実行する磁気共鳴イメージング方法のフローチャートである。図4は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100の一表示例の略図である。
なお、磁気共鳴イメージング装置100は各種の構成要素を含んでいるが、図2では、本実施形態の技術思想に関する構成要素のみを示しており、他の構成要素については図示を省略している。
図2に示すように、磁気共鳴イメージング装置100は、ディスプレイ12と、第1スキャン機能151と、位置決め画像生成機能161と、インタフェース11と、参照画像生成機能162と、調整機能171と、を備える。
本実施形態では、第2処理回路15が、第1スキャン機能151を有する。また、第3処理回路16が、位置決め画像生成機能161と、参照画像生成機能162とを有する。また、第4処理回路17が、調整機能171を有する。
ディスプレイ12は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ等から構成され、表示機能を有する。例えば、ディスプレイ12は、少なくとも、位置決め画像と参照画像とを表示することができる。なお、ディスプレイ12は、表示部の実現手段の一例である。
第1スキャン機能151は、磁気共鳴イメージングの被検体(以下では、被検体と略称する)、例えば人間の頭部をスキャンして、当該被検体の3次元データを取得する。第1スキャン機能151は、3次元データとしてボリュームデータを取得することができる。また、第1スキャン機能151は、3次元データとしてマルチスライス画像を取得することもできる。なお、第1スキャン機能151は、第1スキャン部の実現手段の一例である。
位置決め画像生成機能161は、第1スキャン機能151により得られた3次元データに基づいて、位置決め画像を生成し、生成された位置決め画像をディスプレイ12に送信して適切な表示倍率で表示する。この位置決め画像生成機能161は、3次元データに基づいて、所定の位置及び方向においてMPR(Multi-Plane Reconstruction)画像を位置決め画像として生成することができる。また、位置決め画像生成機能161は、前記3次元データに基づいて、所定の方向からレンダリングするボリュームレンダリング画像を位置決め画像として生成することもできる。なお、位置決め画像生成機能161は、位置決め画像生成部の実現手段の一例である。
インタフェース11はマウス、キーボード、ジョイスティック、トラックボール、タッチスクリーン、ライトペン、音声コントローラ等の入力することができる機器であってもよく、該インタフェース11は操作者、例えば医者の操作に応じて、ディスプレイ12に表示されている位置決め画像に、関心領域ROIを設定する。ここで、関心領域とは、その後にスキャンする際に対象とする領域である。なお、インタフェース11は、入力部の実現手段の一例である。
参照画像生成機能162は、第1スキャン機能151により得られた3次元データに基づいて、関心領域ROIの位置に対応する参照画像を生成し、生成された参照画像をディスプレイ12に送信して適切な表示倍率で表示する。なお、参照画像生成機能162は、参照画像生成部の実現手段の一例である。
調整機能171は、操作者、例えば医者がインタフェース11を操作することによって位置決め画像及び参照画像の一方における関心領域ROIの大きさ又は位置が変えられた場合に、位置決め画像及び参照画像の他方の表示倍率又は位置を相応に変えるように調整する。なお、調整機能171は、調整部の実現手段の一例である。
[磁気共鳴イメージング装置100が実行する磁気共鳴イメージング方法]
次に、図3及び図4を参照して、磁気共鳴イメージング装置100が実行する磁気共鳴イメージング方法を説明する。ここで、図4には、磁気共鳴イメージング装置100を用いて人間の脳部をイメージングする場合の具体例が示されている。
図3に示すように、磁気共鳴イメージング装置100の稼働が開始した場合に、まず、ステップS200において、第1スキャン機能151が、被検体、即ち人間の頭部をスキャンすることにより、当該被検体に関する3次元データを取得する。その後、ステップS202に処理が進む。
続いて、ステップS202において、位置決め画像生成機能161が、第1スキャン機能151により得られた3次元データに基づいて、例えば、図4(a)、(b)に示すような位置決め画像であって、同図に示す白い実線を含まない位置決め画像を生成し、生成された位置決め画像をディスプレイ12によって適切な表示倍率で表示する。その後、ステップS204に処理が進む。ここで、図4(a)、(b)は、同一の被検体の異なる視点での2つの位置決め画像であり、図4(a)は、矢状面の位置決め画像であり、図4(b)は、冠状面の位置決め画像である。
続いて、ステップS204において、操作者、例えば医者が、インタフェース11を操作することにより、位置決め画像に関心領域ROIを設定する。その後、ステップS206に処理が進む。ここで、位置決め画像に関心領域ROIが設定された後には、図4(a)、(b)に示すように、当該関心領域ROIが白い実線で表される。
続いて、ステップS206において、参照画像生成機能162が、第1スキャン機能151により得られた3次元データに基づいて、関心領域ROIの位置に対応する参照画像を生成し、生成された参照画像をディスプレイ12によって適切な表示倍率で表示する。その後、ステップS208に処理が進む。ここで、参照画像は、図4(c)に示す通りである。
続いて、ステップS208において、操作者、例えば医者がインタフェース11を操作することによって、位置決め画像及び参照画像の一方における関心領域ROIの大きさ又は位置が変えられた場合に、調整機能171が、位置決め画像及び参照画像の他方の表示倍率又は位置を相応に変えるように調整する。その後、処理が終了する。
次に、図4を参照して、第1の実施形態に係る第1の具体例を説明する。本具体例は、操作者が、インタフェース11によって、ディスプレイ12に表示されている参照画像(図4(c))に対して縮小操作又は拡大操作を行う場合の例である。例えば、本具体例では、操作者が拡大操作を行った場合、即ち、図4(c)の右側に示す矢印カーソルをドラッグすることによって参照画像(図4(c))を拡大した場合に、調整機能171は、図4(e)、(f)に示すように、ディスプレイ12に表示されている位置決め画像(図4(a)、(b))の表示倍率を調整することによって、拡大操作後にディスプレイ12に表示されている参照画像(図4(d))の領域に対応するように、位置決め画像に設定されている関心領域ROI(即ち、白い実線)の大きさを調整する。ここで、図4(g)に示す白い四角の枠は、図4(d)に示されている参照画像の領域を示している。
なお、図4では、操作者がインタフェース11によって参照画像を拡大する場合の例を示しているが、必要に応じて参照画像に対して縮小操作を行う場合も、上述した第1の実施形態が同様に適用可能である(図示省略)。
このように、第1の実施形態に係る第1の具体例の磁気共鳴イメージング装置100によれば、操作者は、参照画像を用いて関心領域を高精度に位置決めしながら、簡単な拡大操作又は縮小操作で位置決め画像の表示倍率を調整することによって、位置決め画像における関心領域の大きさを調整することができる。これにより、操作者は、従来技術のように想像に基づいて関心領域を位置決め又は調整する必要がある場合と比べて、直観的に、参照画像によって関心領域を高精度で位置決めすることができる。これは、小さい領域、複雑又は詳細な解剖構造等の磁気共鳴イメージングを行うためには非常に有意義である。
さらに、図4を参照して、第1の実施形態に係る第2の具体例を説明する。本具体例は、操作者が、インタフェース11によって、ディスプレイ12に表示されている位置決め画像に設定されている関心領域ROIを大きくする操作、又は、小さくする操作を行う場合の例である。具体的には、本具体例では、操作者が、関心領域ROIを大きくする操作、又は、小さくする操作を行った場合に、調整機能171は、参照画像の表示倍率を調整することによって、大きくされた後、又は、小さくされた後の関心領域ROIに対応するように、ディスプレイ12に表示されている参照画像を縮小又は拡大する。例えば、操作者が、インタフェース11によって、図4(a)又は(b)に示す位置決め画像における関心領域ROI(即ち、白い実線)を小さくする操作を行った場合に、調整機能171は、図4(c)に示す画面を拡大することにより、小さくされた後の関心領域に対応する領域、即ち、図4(g)の参照画像における白い四角の枠に示す領域を、ディスプレイ12に表示する。
なお、図4では、操作者がインタフェース11によって位置決め画像における関心領域を小さくする場合の例を示しているが、必要に応じて位置決め画像における関心領域を大きくする場合も、上述した第1の実施形態が同様に適用可能である(図示省略)。
このように、第1の実施形態に係る第2の具体例の磁気共鳴イメージング装置100によれば、操作者が位置決め画像における関心領域を大きくする又は小さくする簡単な操作を行う際に、同時に、関心領域の大きさが調整されるように、ディスプレイ12において参照画像の表示倍率が調整されるようになる。すなわち、操作者が現在位置決めした関心領域が所望の関心領域であるか否かを容易に確認し易いように、直観的な参照画像情報を提供できるようになり、所望の関心領域を便利にかつ高精度で位置決めすることができるようになる。これにより、上述した第1の具体例と同様に、操作者は、従来技術のように想像に基づいて関心領域を位置決め又は調整する必要がある場合と比べて、直観的に、参照画像によって関心領域を高精度で位置決めすることができる。これは、小さい領域、複雑又は詳細な解剖構造等の磁気共鳴イメージングを行うためには非常に有意義である。
(第2の実施形態)
次に、図5〜図6を参照して、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100Aを説明する。図5は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100Aのブロック図である。図6は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100Aが実行する磁気共鳴イメージング方法のフローチャートである。
[磁気共鳴イメージング装置100Aの構成]
図5に示す第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100Aは、図2に示す第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100と比べて、判定機能172と、第2スキャン機能152とを更に備える。なお、本実施形態では、磁気共鳴イメージング装置100と同一の構成要素については説明を省略する。
本実施形態では、第2処理回路15が、第2スキャン機能152をさらに有する。また、第4処理回路17が、判定機能172をさらに有する。
判定機能172は、関心領域の大きさが所定の大きさ(例えば、所定の面積)より小さいか否かを判定する。なお、判定機能172は、判定部の実現手段の一例である。
第2スキャン機能152は、被検体の関心領域ROIに対応する部分をスキャンして、イメージングデータである画像データを取得する。また、図5に示すように、第2スキャン機能152は、局所励起スキャンを実行する局所励起スキャン機能1521と、非局所励起スキャンを実行する非局所励起スキャン機能1522とを含む。また、第2スキャン機能152は、局所励起スキャンを用いて被検体から関心領域に対応する部分の2次元データ又は3次元データを得ることができる。なお、第2スキャン機能152は、第2スキャン部の実現手段の一例である。また、局所励起スキャン機能1521は、局所励起スキャン部の実現手段の一例である。また、非局所励起スキャン機能1522は、非局所励起スキャン部の実現手段の一例である。
具体的には、判定機能172によって関心領域の大きさが規定範囲内と判定された場合には、局所励起スキャン機能1521が、局所励起スキャンを実行し、判定機能172によって関心領域の大きさが規定範囲より大きいと判定された場合には、非局所励起スキャン機能1522が、非局所励起スキャンを実行する。ここで、規定範囲とは、局所励起スキャンがサポート可能な範囲であり、つまり、当該規定範囲内のみで、局所励起スキャンを行うことができ、当該規定範囲を超えた場合には、局所励起スキャンを用いることはできない。当該規定範囲の上限値を所定の大きさに設定し、当該規定範囲の下限値を規定の大きさに設定した場合には、判定機能172は、例えば、2回の判定を行うことによって、関心領域の大きさが規定範囲内にあるか否かを判定する。具体的には、判定機能172は、まず、関心領域の大きさが、当該規定範囲の上限値である所定の大きさより小さいか否かを判定し、次に、関心領域の大きさが、当該規定範囲の下限値である規定の大きさより小さいか否かを判定する。そして、判定機能172は、関心領域の大きさが、当該規定範囲の上限値である所定の大きさより小さく、かつ、当該規定範囲の下限値である規定の大きさより小さくないと判定した場合に、関心領域の大きさが規定範囲内であると判定する。当然ながら、関心領域の大きさと規定範囲の上限値、下限値とを比較する順序は特に限定されない。
[磁気共鳴イメージング装置100Aが実行する磁気共鳴イメージング方法]
次に、図6を参照して、磁気共鳴イメージング装置100Aが実行する磁気共鳴イメージング方法を説明する。なお、ここでは、図3に示すフローチャートにおけるステップと同一のステップについては、同一の符号を付すこととして詳細な説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態では、磁気共鳴イメージング装置100Aの稼働が開始した後に、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100と同様に、ステップS200〜S208の動作が実行され、ステップS208の動作が終了した後に、ステップS500に処理が進む。
続いて、ステップS500において、判定機能172が、ステップS208にて調整された関心領域ROIの大きさが所定の大きさより小さいか否かを判定する。ここで、当該所定の大きさは、例えば、スキャンオブジェクトの外部輪郭に囲まれた面積であってもよいし、スキャンオブジェクトの違いに応じて異なる値であってもよい。
ステップS500において、関心領域ROIの大きさが所定の大きさより小さいと判定された場合には(ステップS500,Yes)、次のステップS502において、判定機能172は、ステップS208にて調整された関心領域ROIの大きさが規定の大きさより小さいか否かをさらに判定する。ここで、当該規定の大きさは、局所励起スキャンが行える規定範囲の下限値である。そして、関心領域ROIの大きさが当該規定の大きさより小さくないと判定された場合には(ステップS502,No)、次のステップS504において、第2スキャン機能152の局所励起スキャン機能1521が、局所励起スキャンを実行してデータを取得し、その後、処理が終了する。また、ステップS502において関心領域ROIの大きさが当該規定の大きさより小さいと判定された場合には(ステップS502,Yes)、局所励起スキャンは行えないため、処理が終了する。ここで、当該規定の大きさは、スキャンオブジェクトの相違に応じて異なる値であってもよい。
一方、ステップS500において、判定機能172により関心領域ROIの大きさが所定の大きさより小さくない、つまり、関心領域ROIの大きさが前記規定範囲以上であると判定された場合には(ステップS500,No)、次のステップS506に処理が進み、第2スキャン機能152の非局所励起スキャン機能1522が、非局所励起スキャンを実行してデータを取得し、その後、処理が終了する。
このように、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100Aによれば、上述した第1の実施形態の効果が奏される以外に、調整機能171によって調整された関心領域ROIの大きさと局所励起スキャンがサポート可能な範囲である規定範囲とが比較され、その比較結果に応じて、局所励起スキャン又は非局所励起スキャンが自動的に切り替えられて実行される。これにより、従来技術と比べて、操作者が手動でパラメータの変更又は設定を行うことによってスキャン方式を切り替える必要がなく、適切なスキャン方式が自動的に選択されるため、操作者の操作を減らすことができ、磁気共鳴イメージング装置100Aの操作の利便性を向上させることができる。
(第3の実施形態)
次に、図7〜図9を参照して、第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100Bを説明する。図7は、第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100Bのブロック図である。図8は、第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100Bが実行する磁気共鳴イメージング方法のフローチャートである。図9は、第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100Bの一表示例の略図である。
[磁気共鳴イメージング装置100Bの構成]
図7に示す第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100Bは、図5に示す第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100Aと比べて、報知機能173をさらに備える。なお、本実施形態では、磁気共鳴イメージング装置100Aと同一の構成要素については説明を省略する。
本実施形態では、第4処理回路17が、報知機能173をさらに有する。
報知機能173は、磁気共鳴イメージング装置100Bの稼働状況に応じて、操作者に対する情報の報知及び提示を行う。なお、報知機能173は、報知部の実現手段の一例である。
例えば、報知機能173は、判定機能172によって、関心領域の大きさが、局所励起スキャンがサポート可能な規定範囲の下限値である規定の大きさよりも小さい(即ち、関心領域の大きさが規定範囲よりも小さい)と判定された場合に、ディスプレイ12に、局所励起スキャンを行えないことを警告するように警告を出すことができる。
また、報知機能173は、判定機能172によって、関心領域の大きさが、局所励起スキャンがサポート可能な規定範囲の下限値である規定の大きさよりも小さい(即ち、関心領域の大きさが規定範囲よりも小さい)と判定された場合に、局所励起スキャンを行えないことを提示するようにメッセージを出力してもよい。
[磁気共鳴イメージング装置100Bが実行する磁気共鳴イメージング方法]
次に、図8及び図9を参照して、磁気共鳴イメージング装置100Bが実行する磁気共鳴イメージング方法を説明する。なお、ここでは、図3及び図6に示すフローチャートにおけるステップと同一のステップについては、同一の符号を付すこととして、詳細な説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態では、磁気共鳴イメージング装置100Bの稼働が開始した後に、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100と同様に、ステップS200〜S208の動作が実行され、ステップS208の動作を終了した後に、ステップS500に処理が進む。
続いて、ステップS500において、判定機能172が、ステップS208にて調整された関心領域ROIの大きさが所定の大きさより小さいか否かを判定する。
ステップS500において、判定機能172により関心領域ROIの大きさが所定の大きさより小さくないと判定された場合には(ステップS500,No)、次のステップS504において、第2スキャン機能152が、非局所励起スキャンを実行してデータを取得し、その後、処理が終了する。
一方、判定機能172により関心領域ROIの大きさが所定の大きさより小さいと判定された場合には(ステップS500,Yes)、ステップS502に処理が進む。
ステップS502において、判定機能172は、ステップS208にて調整された関心領域ROIの大きさが規定の大きさより小さいか否か(即ち、関心領域の大きさが規定範囲よりも小さいか否か)をさらに判定する。ここで、当該規定の大きさは、局所励起スキャンが行える規定範囲の下限値である。即ち、関心領域ROIの大きさが当該規定の大きさより小さい(即ち、関心領域の大きさが規定範囲よりも小さい)場合には、局所励起スキャンは行えない。ここで、スキャンオブジェクトの相違に応じて、当該規定の大きさは異なる値であってもよい。
また、判定機能172により関心領域ROIの大きさが規定の大きさより小さくないと判定された場合には(ステップS502,No)、次のステップS504において、第2スキャン機能152の局所励起スキャン機能1521が、局所励起スキャンを実行してデータを取得し、その後、処理が終了する。
一方、判定機能172により関心領域ROIの大きさが所定の大きさより小さい(即ち、関心領域の大きさが規定範囲よりも小さい)と判定された場合には(ステップS502,Yes)、ステップS700に処理が進む。
続いて、ステップS700において、報知機能173が、局所励起スキャンがサポート可能な範囲を超えたため、局所励起スキャンを行えないことを操作者に警告するように、ディスプレイ12に警告を出し、その後、処理が終了する。
ここで、図9をさらに参照して、磁気共鳴イメージング装置100Bが実行する磁気共鳴イメージング方法を説明する。
磁気共鳴イメージング装置100Bは、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100と同様に、ステップS200〜S208処理を実行する。これにより、図9(a)〜(f)に示す画像が得られる。ここで、図9(a)〜(c)は、調整機能171によって調整される前の位置決め画像(図9(a)、(b))及び参照画像(図9(c))を示しており、図9(d)〜(f)は、調整機能171によって調整された後の位置決め画像(図9(e)、(f))及び参照画像(図9(d))を示している。
続くステップS500において、関心領域ROIの大きさが所定の大きさより小さいと判定された場合には(ステップS500,Yes)、判定機能172は、関心領域ROIの大きさが、局所励起スキャンがサポート可能な範囲よりも小さいか否かをさらに判定する(例えば、規定の大きさより小さいか否かを判定する)。本表示例では、関心領域ROIの大きさが規定の大きさより小さく、即ち、関心領域の大きさが規定範囲よりも小さいと判定され(ステップS700では、Yes)、ステップS700に処理が進む。そして、ステップS700において、報知機能173が、図9(d)のように、既に局所励起スキャンがサポート可能な範囲を超えたため、局所励起スキャンを行えないことを操作者に警告するように、警告マークを表示することによって警告を出す。
このように、第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100Bによれば、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態の効果が奏される以外に、関心領域の大きさが、局所励起スキャンがサポート可能な範囲を超えた(より小さい)か否かも判定される。これにより、操作者が関心領域の大きさを小さすぎるように調整することで後続の局所励起スキャンが行えなくなる事態を回避することができるようになり、操作者に不快感を与えることを避けるとともに、磁気共鳴イメージング装置100を使用する際の快適性を向上させることができる。
(第3の実施形態の変形例1)
なお、上述した第3の実施形態では、調整された関心領域の大きさが局所励起スキャンがサポート可能な規定範囲よりも小さい場合に、局所励起スキャンが支持範囲を超えたことを操作者に警告するように警告を出しているが、実施形態はこれに限られない。例えば、本変形例1のように、調整された関心領域の大きさが局所励起スキャンがサポート可能な規定範囲よりも小さい場合に、局所励起スキャンが支持範囲を超えたことを操作者に報知するようにメッセージを出力してもよい。
また、調整の処理で行われる判定において、関心領域の大きさが規定の大きさまで小さくされた場合に、関心領域の大きさをそれ以上小さくしないように操作者に提示するか、又は、関心領域をそれ以上小さくできないように自動的に設定するようにしてもよい。
このような第3の実施形態の変形例1に係る磁気共鳴イメージング装置100によれば、上述した第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100の技術効果が奏される。
(第3の実施形態の変形例2)
本変形例2では、調整された関心領域の大きさが局所励起スキャンがサポート可能な規定範囲よりも小さい場合に、局所励起スキャンが支持範囲を超えたことを操作者に報知するようにメッセージを出力するとともに、調整機能171が、局所励起スキャンを行えるように、関心領域の大きさを、局所励起スキャンがサポート可能な規定範囲内の大きさとなるように自動的に調整する。
このような第3の実施形態の変形例2に係る磁気共鳴イメージング装置100によれば、上述した第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100の技術効果が奏される以外に、調整された関心領域の大きさが局所励起スキャンがサポート可能な規定範囲よりも小さい場合に、その旨を操作者に提示するだけでなく、関心領域の大きさを規定範囲内の大きさとなるように自動的に調整するため、操作者の操作を増やすことなく、磁気共鳴イメージング装置100の順調な稼働を保証でき、局所励起スキャンを行えないことで磁気共鳴イメージング装置100のイメージングに問題が生じることを避けることができる。
(第4の実施形態)
なお、上述した各実施形態では、位置決め画像に平面状のスライス領域を示す直線状の関心領域(図4の(a)、(b)に白い実線で示した領域)が設定される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限れられない。例えば、厚みを有するスライス領域やボリューム領域が撮像される場合には、位置決め画像に設定される関心領域が厚みを有していてもよい。以下では、このような例を第4の実施形態として説明する。
なお、第4の実施形態で説明する内容は、上述した第1〜第3の実施形態のいずれにも適用することが可能である。そのため、以下では、上述した各実施形態で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については同一の符号を付すこととし、既に説明した機能については詳細な説明を省略する。
図10は、第4の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の一表示例の略図である。例えば、図10の(a)、(b)に示すように、位置決め画像生成機能161は、図4の(a)、(b)に示した例と同様に、同じ被検体の脳部の矢状面の位置決め画像と、冠状面の位置決め画像とを生成し、生成した各位置決め画像をディスプレイ12に表示する。
そして、本実施形態では、インタフェース11は、操作者の操作に応じて、ディスプレイ12に表示されている位置決め画像に、厚みを有する関心領域を設定する。ここで、関心領域が設定された後は、例えば、図10の(a)、(b)に黒い実線の細長い矩形で示すように、位置決め画像において、当該関心領域が矩形状のグラフィックで表示される。
また、本実施形態では、参照画像生成機能162は、第1スキャン機能151により得られた3次元データに基づいて、インタフェース11によって設定された関心領域の厚み方向の情報を含む参照画像を生成してディスプレイ12に表示する。このとき、例えば、参照画像生成機能162は、参照画像として、関心領域の厚み方向に沿って複数のサンプリング点における画素値の平均値、最大値又は最小値を求めることで、厚み付き方向の情報を含む画像を生成する(例えば、厚み付きMIP(Maximum Intensity Projection)等)。図10に示す例では、(c)に参照画像を示している。
そして、本実施形態では、調整機能171は、位置決め画像及び参照画像の一方において関心領域の厚みが変えられた場合に、他方における関心領域の厚みを相応に変えるように調整する。ここで、図10の(d)及び(e)は、それぞれ、(a)及び(b)に示す位置決め画像上で関心領域が変更された後の様子を示しており、(f)は、(c)に示す参照画像が変更された後の様子を示している。
例えば、図10の(d)及び(e)に示すように、インタフェース11によって、位置決め画像に設定されている関心領域の厚みが大きくなるように変更された場合には、調整機能171は、変更後の厚みに対応する厚み方向の情報を含んだ参照画像を参照画像生成機能162に生成させる。これにより、厚み方向の情報が増加した参照画像が生成されることになる。そして、例えば、図10の(f)に示すように、調整機能171は、それまで表示されていた参照画像に置き換えて、新たに生成された参照画像をディスプレイ12に表示する。
これとは逆に、例えば、図10の(a)及び(b)に示すように、インタフェース11によって、位置決め画像に設定されている関心領域の厚みが小さくなるように変更された場合も、調整機能171は、変更後の厚みに対応する厚み方向の情報を含んだ参照画像を参照画像生成機能162に生成させる。これにより、厚み方向の情報が減少した参照画像が生成されることになる。そして、例えば、図10の(c)に示すように、調整機能171は、それまで表示されていた参照画像に置き換えて、新たに生成された参照画像をディスプレイ12に表示する。
一方、例えば、調整機能171は、図10の(c)及び(f)の左下側に示す矢印状の厚み変更用のカーソルを左右にスライドさせる操作によって、操作者から参照画像における関心領域の厚みを変更する指示を受け付ける。具体的には、図10に示す例では、カーソルが左に移動されると、関心領域の厚みが小さくなり、カーソルが右に移動されると、関心領域の厚みが大きくなる。
そして、例えば、図10の(f)に示すように、厚み変更用のカーソルが右に移動された場合には、調整機能171は、当該カーソルの移動量に応じて厚み方向の情報を増加させた参照画像を参照画像生成機能162に生成させて、ディスプレイ12に表示する。また、これと連動して、調整機能171は、図10の(d)及び(e)に示すように、変更後の厚みに対応する厚さとなるように、位置決め画像に設定されている関心領域の厚みを大きくする。
これとは逆に、例えば、図10の(c)に示すように、厚み変更用のカーソルが左に移動された場合には、調整機能171は、当該カーソルの移動量に応じて厚み方向の情報を減少させた参照画像を参照画像生成機能162に生成させて、ディスプレイ12に表示する。また、これと連動して、調整機能171は、図10の(a)及び(b)に示すように、変更後の厚みに対応する厚さとなるように、位置決め画像に設定されている関心領域の厚みを小さくする。
このように、第4の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置によれば、位置決め画像に設定されている関心領域の厚みと、参照画像の厚みとが連動して変化するように表示される。これにより、操作者は、位置決め画像に表示される関心領域と参照画像とを見ながら、撮像したいスライス領域やボリューム領域の厚さを、直感的に、高精度で設定できるようになる。
(第5の実施形態)
なお、上述した各実施形態では、位置決め画像に関心領域が表示される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、磁気共鳴イメージング装置による撮像では、折り返しアーチファクト(エイリアシング(aliasing)とも呼ばれる)を防ぐために、関心領域より広い範囲のデータを収集するオーバーサンプリングが行われることもある。ここで、折り返しアーチファクトとは、撮像視野の外側に位置する構造物が画像に映り込むことで生じるアーチファクトである。このように、折り返しアーチファクトを防ぐためのオーバーサンプリングが行われる場合には、位置決め画像上に、オーバーサンプリングの対象範囲として設定されるオーバーサンプリング領域(NoWrap領域とも呼ばれる)をさらに表示してもよい。以下では、このような例を第5の実施形態として説明する。
なお、第5の実施形態で説明する内容は、上述した第1〜第4の実施形態のいずれにも適用することが可能である。そのため、以下では、上述した各実施形態で説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については同一の符号を付すこととし、既に説明した機能については詳細な説明を省略する。
図11は、第5の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の一表示例の略図である。例えば、図11の(a)に示すように、位置決め画像生成機能161は、図4の(b)に示した例と同様に、被検体の脳部の冠状面の位置決め画像を生成し、生成した各位置決め画像をディスプレイ12に表示する。
そして、本実施形態では、インタフェース11は、操作者の操作に応じて、ディスプレイ12に表示されている位置決め画像上でオーバーサンプリング領域を設定する。なお、例えば、オーバーサンプリング領域は、撮像条件の1つとして、撮像部位や撮像目的等に応じて予め設定されていてもよい。ここで、オーバーサンプリング領域が設定された後は、例えば、図11の(a)に黒い破線の細長い矩形で示すように、位置決め画像において、当該オーバーサンプリング領域が矩形状のグラフィックで表示される。このとき、例えば、図11の(a)に黒い実線の細長い矩形で示すように、位置決め画像には、上述した実施形態と同様に、関心領域も矩形状のグラフィックで表示される。
また、本実施形態では、参照画像生成機能162は、第1スキャン機能151により得られた3次元データに基づいて、例えば、図11の(b)に示すように、位置決め画像に設定された関心領域及び当該関心領域の周辺領域を含む参照画像を生成してディスプレイ12に表示する。これにより、ディスプレイ12における参照画像の表示領域には、位置決め画像に設定された関心領域及び当該関心領域の周辺領域を含む範囲が表示されるようになる。
このとき、例えば、参照画像生成機能162は、背景マスク処理等の画像処理によって3次元データから被検体の体表を検出し、検出した体表を含む範囲に所定のマージンを加えた領域を含む参照画像を生成する。または、例えば、参照画像生成機能162は、関心領域の2倍の大きさの領域、又は、関心領域の2倍の大きさに所定のマージンを加えた大きさの領域を含む参照画像を生成してもよい。または、例えば、参照画像生成機能162は、撮像条件の1つとして予め設定されたオーバーサンプリング領域と同じ大きさの領域、又は、当該オーバーサンプリング領域の大きさに所定のマージンを加えた大きさの領域を含む参照画像を生成してもよい。
また、本実施形態では、調整機能171は、位置決め画像に設定された関心領域及び当該関心領域の周辺領域を含む範囲に、折り返しアーチファクトを防ぐためのオーバーサンプリングを行うオーバーサンプリング領域を表示する。例えば、調整機能171は、図11の(b)に黒い破線の細長い矩形で示すように、オーバーサンプリング領域を矩形のグラフィックで表示する。また、調整機能171は、例えば、図11の(b)に黒い実線の細長い矩形で示すように、関心領域についても矩形のグラフィックで表示する。
そして、本実施形態では、調整機能171は、位置決め画像及び参照画像の一方においてオーバーサンプリング領域の大きさ又は位置が変えられた場合に、他方における前記オーバーサンプリング領域の大きさ又は位置を相応して変えるように調整する、ここで、図11の(c)は、(a)に示す位置決め画像上でオーバーサンプリング領域が変更された後の様子を示しており、(d)は、(b)に示す参照画像上でオーバーサンプリング領域が変更された後の様子を示している。
例えば、図11の(c)に示すように、インタフェース11によって、位置決め画像に設定されているオーバーサンプリング領域の大きさが小さくなるように変更された場合には、調整機能171は、変更後の大きさに対応するように、参照画像に表示されているオーバーサンプリング領域の大きさを変更する。これにより、例えば、図11の(d)に示すように、参照画像上に表示されているオーバーサンプリング領域の大きさが、それまでに表示されていた大きさと比べて小さくなる。
これとは逆に、例えば、図11の(a)に示すように、インタフェース11によって、位置決め画像に設定されているオーバーサンプリング領域の大きさが大きくなるように変更された場合も、調整機能171は、変更後の大きさに対応するように、参照画像に表示されているオーバーサンプリング領域の大きさを変更する。これにより、例えば、図11の(b)に示すように、参照画像上に表示されているオーバーサンプリング領域の大きさが、それまでに表示されていた大きさと比べて大きくなる。
一方、例えば、図11の(d)に示すように、インタフェース11によって、参照画像に表示されているオーバーサンプリング領域の大きさが小さくなるように変更された場合には、調整機能171は、変更後の大きさに対応するように、位置決め画像に設定されているオーバーサンプリング領域の大きさを変更する。これにより、例えば、図11の(c)に示すように、位置決め画像上に表示されているオーバーサンプリング領域の大きさが、それまでに表示されていた大きさと比べて小さくなる。
これとは逆に、例えば、図11の(a)に示すように、インタフェース11によって、参照画像に設定されているオーバーサンプリング領域の大きさが大きくなるように変更された場合も、調整機能171は、変更後の大きさに対応するように、位置決め画像に設定されているオーバーサンプリング領域の大きさを変更する。これにより、例えば、図11の(a)に示すように、位置決め画像上に表示されているオーバーサンプリング領域の大きさが、それまでに表示されていた大きさと比べて大きくなる。
このように、第5の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置によれば、位置決め画像に設定されているオーバーサンプリング領域の大きさと、参照画像に表示されているオーバーサンプリング領域の大きさとが連動して変化するように表示される。これにより、操作者は、位置決め画像及び参照画像それぞれに表示されているオーバーサンプリング領域を見ながら、オーバーサンプリング領域の大きさを、直感的に、高精度で設定できるようになる。
図12は、第5の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の他の表示例の略図である。ここで、図12は、被検体の脚部を撮像対象とした場合の例を示しており、(a)及び(b)は、脚部の冠状面の位置決め画像を示し、(c)は、位置決め画像に設定された関心領域に対応する脚部の参照画像を示している。また、図12の(c)の上側は、被検体の頭足方向における頭側を示し、下側は、被検体の頭足方向における足側を示している。また、図12の(a)は、(c)の参照画像に示すAの位置に対応する位置決め画像であり、(b)は、(c)の参照画像に示すBの位置に対応する位置決め画像である。
例えば、図12の(a)〜(c)に黒い実線の矩形で示すように、被検体の両脚部のうちの一方を撮像対象とする場合には、撮像対象の脚部だけを含むように関心領域が設定される。そして、このような場合には、撮像対象でない脚部によって折り返しアーチファクトが発生しないように、図12の(a)〜(c)に黒い破線の矩形で示すように、関心領域とその周辺領域を含むようにオーバーサンプリング領域が設定される。
ここで、例えば、図12の(c)に示すように、通常、被検体の両脚部の間隔は、人体の構造上、股部に近付くにつれて狭くなる。そのため、例えば、図12の(a)に示すように、足側に近い位置の位置決め画像では、図12の(b)に示すように、頭側に近い位置の位置決め画像と比べて、両脚部の間隔が広く描出されることがあり得る。
このような場合には、足側に近い位置の位置決め画像を見ただけでは、オーバーサンプリング領域を大きくし過ぎた場合に、頭側に近い側で、撮像対象でない脚部が想定以上にオーバーサンプリング領域に入り込んでしまうことがあり、その結果、折り返しアーチファクトを適切に除去できないこともあり得る。
本実施形態では、このような場合でも、操作者は、参照画像によって、撮像対象でない脚部とオーバーサンプリング領域との位置関係を容易に認識することができるので、オーバーサンプリング領域の大きさを適切に設定できるようになる。
なお、第1〜第3の実施形態では、調整機能171は、参照画像を縮小又は拡大する操作が行われた場合に、参照画像の表示サイズは変えずに、表示倍率を変更することとしたが、本実施形態では、例えば、参照画像の表示倍率は変えずに、参照画像の表示サイズを変更するようにしてもよい。または、例えば、調整機能171は、PinP(Picture in Picture)やワイプ等の表示方法を用いて、小画面の埋め込み表示で参照画像を表示してもよい。これにより、参照画像上でオーバーサンプリング領域を表示することができる大きさの表示範囲を確保することができる。
(変形例)
上述した各実施形態では、磁気共鳴イメージング装置100及び磁気共鳴イメージング装置100が実行する方法について詳細に説明したが、実施形態はこれに限らず、磁気共鳴イメージングシステム、方法、集積回路等の各種の形態で実施することもできる。
また、上述した第2及び第3の実施形態では、磁気共鳴イメージング装置100が、第1スキャン機能151と第2スキャン機能152とを備える場合を説明したが、実施形態はこれに限られず、必要に応じて、第1スキャン機能151、第2スキャン機能152、局所励起スキャン機能1521、及び非局所励起スキャン機能1522の機能を実行できる1つのスキャン機能のみを備えるものであってもよい。
また、上述した第3の実施形態の変形例1及び2では、メッセージを送信することとしたが、これは、文字メッセージを表示し、物音メッセージ又は音声メッセージ等の各種のメッセージを送信するものであってもよい。
また、上述した各実施形態では、磁気共鳴イメージングの被検体が人間の脳部である場合の例を詳細に説明したが、実施形態はこれに限られず、被検体は、小関節、下垂体、腹部、靭帯、肘関節、腕関節、足首関節等の他の人体器官であってもよい。
また、上述した各実施形態では、調整機能171による調整の方法として、ディスプレイ12に表示されるカーソルをドラッグする例を説明したが、実施形態はこれに限られず、調整機能171が調整する方法は、シングルクリック、ダブルクリック、平行移動、回転、摺動、マルチタッチして移動、延伸、短縮等の各種の調整方法であってもよい。
また、上述した各実施形態では、位置決め画像生成機能161及び参照画像生成機能162が、どちらも第1スキャン機能151によって得られた3次元データに基づいて、画像を生成する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。すなわち、位置決め画像生成機能161及び参照画像生成機能162によって用いられる3次元データは、同じデータであってもよいし、別のデータであってもよい。例えば、参照画像生成機能162は、参照画像を生成する時点で、位置決め画像の生成に用いられた3次元データの他に、参照画像の生成により適した3次元データが既に収集されている場合には、当該3次元データに基づいて、参照画像を生成してもよい。
以上、各処理回路が有する処理機能について説明した。ここで、例えば、上述した各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路13に記憶される。各処理回路は、各プログラムを記憶回路13から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各処理回路は、図2、図5、図7に示した各処理機能を有することとなる。なお、各処理回路が有する処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
また、上述した説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路13にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、直観的なプレビューを提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。