JP2019070362A - 内燃機関の過給圧力制御システム及び内燃機関の過給圧力制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドライバビリティの悪化を抑制しつつ、ターボ式過給システムの過給性能を向上させることができる内燃機関の過給圧力制御システム及び内燃機関の過給圧力制御方法を提供する。【解決手段】排気マニホールド5よりも下流側で、かつ、タービン8よりも上流側の排気通路7に絞り弁9を配置する。エンジン2の運転状態が属する制御領域に応じて設定された設定開度αcに絞り弁9の開度αがなるように、絞り弁9を駆動する駆動装置10を駆動して絞り弁9の開度αを調整する。エンジン2の運転状態が属する制御領域が変わるまでは絞り弁9の開度αをこの設定開度αcに維持する。【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の過給圧力制御システム及び内燃機関の過給圧力制御方法に関する。
ターボ式過給システムのタービンよりも上流側に配置された開閉バルブを閉じて開閉バルブよりも上流側の排気管(排気通路)に排気ガスを滞留させることで排気ガスの排圧を高めてから、開閉バルブを開いてその排圧を高めた排気ガスをタービンに供給する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置は、開閉バルブを閉じることで、タービンより上流側の排気管を蓄圧タンクのように機能させて、排圧を高めた排気ガスによりタービンの回転をアシストしている。
しかしながら、上記の特許文献1の装置は、開閉バルブを閉じて排気ガスを滞留させることで排圧を高めるものであり、開閉バルブが排気ブレーキとして機能してしまう。それ故、開閉バルブを開いて加圧した排気ガスを過給機に送り込む前後で、エンジンの出力トルクに差がでるため、ドライバビリティに影響がでていた。
本発明の目的は、ドライバビリティの悪化を抑制しつつ、ターボ式過給システムの過給性能を向上させることができる内燃機関の過給圧力制御システム及び内燃機関の過給圧力制御方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の内燃機関の過給圧力制御システムは、ターボ式過給システムを備えた内燃機関の過給圧力制御システムにおいて、排気ガスの流れに関して排気マニホールドよりも下流側で、かつ、前記ターボ式過給システムのタービンよりも上流側の排気通路に配置された絞り弁と、この絞り弁を駆動する駆動装置と、前記内燃機関の運転状態に関するパラメータを取得するパラメータ取得装置と、このパラメータ取得装置及び前記駆動装置に電気的に接続される制御装置とを備えて、前記制御装置に、前記内燃機関の運転状態に応じて予め設定された複数の制御領域と、この制御領域毎に予め設定された前記絞り弁の設定開度を記憶しておき、前記制御装置を、前記パラメータ取得装置が取得した前記内燃機関の運転状態に基づいて、取得したその内燃機関の運転状態が属する制御領域が変わるまで、前記駆動装置に前記絞り弁の開度を前記設定開度に維持させて、前記排気マニホールドの出口から前記排気通路に排出されて前記絞り弁通過前の排気ガスの圧力を上昇させ、前記タービンに流入する排気ガスの流速を調整する制御を行う構成にしたことを特徴とする。
また、上記の目的を達成するための本発明の内燃機関の過給圧力制御方法は、ターボ式過給システムを備えた内燃機関の過給圧力制御方法において、排気ガスの流れに関して排気マニホールドよりも下流側で、かつ、前記ターボ式過給システムのタービンよりも上流側の排気通路に配置された絞り弁と、この絞り弁を駆動する駆動装置を備えて、前記内燃機関の運転状態に応じて複数の制御領域を予め設定するとともに、この制御領域毎に前記絞り弁の設定開度を予め設定しておき、前記内燃機関の運転状態を取得し、取得したその内燃機関の運転状態が属する制御領域に応じて設定された前記設定開度に前記絞り弁の開度がなるように前記駆動装置により調整した後、取得したその内燃機関の運転状態が属する制御領域が変わるまで、前記駆動装置により前記絞り弁の開度を前記設定開度に維持して、前記排気マニホールドの出口から前記排気通路に排出された排気ガスの圧力を上昇させ、前記タービンに流入する排気ガスの流速を調整する制御を行うことを特徴とする。
本発明によれば、内燃機関の運転状態を基にした制御領域が変わるまで絞り弁の開度をその制御領域に応じて設定された設定開度に維持させて、タービンに流入する排気ガスの流速を調整する。つまり、排気ガスの流速を高めたい制御領域の場合に絞り弁を排気通路を完全に閉鎖しないように絞った状態を維持し、それ以外の制御領域の場合に絞り弁を開いた状態に維持する。それ故、タービンに流入する排気ガスの流速を調整する際に生じる内燃機関の出力トルクの変化を抑制しつつ、タービンに流入する排気ガスの流速を高めることができる。このタービンの応答性の改善により、ドライバビリティの悪化の解消及び出力トルクの変化の減少には有利になり、ターボ式過給システムの過給性能を効果的に向上させることができる。
以下、本発明に係る内燃機関の過給圧力制御システム1及び内燃機関の過給圧力制御方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、エンジン(内燃機関)2の燃料としてCNG燃料を用いているが、CNG燃料以外の燃料をエンジン2の燃料とした場合でも本発明を適用することができる。また、本実施形態では、排気通路(排気管)7内を排気ガスGが通過する方向をX方向、排気管7の断面の平面内の一方向をY方向、このX方向とY方向に垂直な方向をZ方向と定義する。
図1に示すように、エンジン2は、複数の気筒(シリンダ)3と、この各気筒3に連通する吸気マニホールド4及び排気マニホールド5と、吸気マニホールド4に接続された吸気通路6と、排気マニホールド5に接続された排気通路7と、排気通路7に配置されたターボ式過給システムのタービン8とを有する。
気筒3は、その内部にピストンを収納する容器である。ピストンは気筒3の筒軸方向に摺動する。ピストンとシリンダヘッド(気筒3の蓋部)の間には燃焼室が形成される。燃焼室には吸入される空気(=新気+EGRガス)A+Geと燃料の混合気を点火する点火プラグが配設される。ピストンを摺動して燃焼室の容積を狭めることでこの混合気を圧縮し、点火プラグにより混合気を点火することにより、気筒3内で燃焼反応が発生する。この燃焼反応で得た動力により、エンジン2を備えた車両は走行する。なお、図1では、気筒3の設置個数が6個の6気筒エンジンとしているが、気筒3の設置個数は6個に限定されることなく、気筒3の設置個数が4個の4気筒エンジン等にも本発明を適用可能である。
吸気通路6は、気筒3に吸入される混合気(A+Ge)が通過する通路である。排気通路7は、各気筒3内での燃焼反応により生成された排気ガスGが排気マニホールド5を経由後に通過する通路である。ターボ式過給システムは、タービン8を排気ガスGにより回転駆動することで、このタービン8と直結し、吸気通路6に配置されるコンプレッサ(図示しない)を駆動して気筒3に供給する新気Aを圧縮(過給)するシステムである。タービン8は、排気通路7とEGR通路の接続点(分岐点)より下流側の排気通路7で、かつ、この下流側の排気通路7に備わる排気ガス浄化装置より上流側の位置(中途位置)の排気通路7に配置される。EGR通路は、図示しないが、排気通路7と吸気通路6を接続する通路で、排気通路7を通過する排気ガスGの一部であるEGRガスGeを吸気通路6に還流するための通路である。排気ガス浄化装置は、図示しないが、三元触媒等、排気ガスGに含まれるNOx等を浄化するための触媒を担持する装置である。
本発明では、図1、図2に示すように、排気ガスGの流れに関して排気マニホールド5よりも下流側で、より詳細には、排気通路7とEGR通路の接続点よりも下流側で、かつ、タービン8よりも上流側の排気通路7に絞り弁9を配置するとともに、この絞り弁9を駆動する電気モータ等の駆動装置10を備える。
絞り弁9は、複数の弁本体9aとシャフト9bで構成される。複数の弁本体9aは、それぞれ、排気管7内で、かつ、タービン8の各吸気口(入口)8aにX方向に対向する位置に配置される。弁本体9aは吸気口8a毎に設置することが好ましい(本実施形態では、吸気口8a及び弁本体9aを各2つ例示しているが、この個数に限定されない)。シャフト9bは、複数の弁本体9aのZ方向略中央部をY方向に延在して貫通するものである。シャフト9bの弁本体9aとは反対側の端部には駆動装置10が接続される。
後述する制御装置14の制御信号により駆動装置10が駆動することで、シャフト9bが回転して、図3に示すように、各弁本体9aが排気管7内でXZ平面上に回転する。本実施形態では、絞り弁9の開度αを全閉(α=αm)を基準として全開(α=90°)側に開いたときの開度を正として、αm≦α≦90°まで回転可能とする。言い換えれば、絞り弁9は通路を完全に閉鎖しないように(例えば、αm≠0°、あるいは、αm=0°でも最小量の流通面積が確保されるように)駆動装置10により開度調整される。X方向から見て、絞り弁9の開度αが全開(α=90°)から小さくなるにつれて、弁本体9aは吸気口8aを塞いでいき、α=αmでは吸気口8aの開口面積が弁本体9aにより予め設定された絞り量(最大絞り量)まで塞がれる。
駆動装置10により絞り弁9が絞られたときには、タービン8に流入する排気ガスGaの流速が速くなる。これは、絞り弁9が抵抗となり、排気マニホールド5の出口から排気通路7に排出されて絞り弁9を通過する前の排気ガスGbの圧力Pbが上昇するためである。一方、駆動装置10により絞り弁9が全開されたときには、絞り弁9が抵抗とならないため、排気ガスGaの圧力Paは排気ガスGbの圧力Pbと略同一になる。絞り弁9は、排気通路7において、その絞り度合により上述のような作用を発生させる位置に配置されている。
より詳細には、絞り弁9が全開(α=90°)のときには、タービン8側の圧力Paは絞り弁9の上流側の圧力Pbと略同一になる。また、絞り弁9が全開ではない(αm≦α<90°)ときには、絞り弁9の上流側の圧力Pbは絞り弁9が全開時よりも高くなり、タービン8に流入する排気ガスGaの流速が速くなる。ただし、絞り弁9の開度αが90°近傍であるときには、タービン8側の圧力Paは絞り弁9の上流側の圧力Pbと略同一である。絞り弁9の開度が全開(90°)から全閉(αm)に向うにつれて(αが小さくなるにつれて)、圧力Paと圧力Pbの差は大きくなり、タービン8に流入する排気ガスGaの流速が速くなる。
本発明の内燃機関の過給圧力制御システム1では、パラメータ取得装置11と、過給圧力取得装置12と、開度取得装置13と、制御装置14とを備える。パラメータ取得装置11は、エンジン2の運転状態に関するパラメータを取得する装置である。本実施形態では、このパラメータ取得装置11として、車両の運転者によるアクセルペダルの踏込量(アクセル開度)を取得する装置(アクセル開度取得装置)とエンジン回転数を取得する装置を備える。アクセル開度取得装置としてはアクセル開度検出センサが例示される。エンジン回転数を取得する装置としてはエンジン回転数検出センサが例示される。
過給圧力取得装置12は、ターボ式過給システムの過給圧力を取得する装置である。この過給圧力を取得する装置としては、過給圧力検出センサが例示される。開度取得装置13は、絞り弁9の開度αを取得する装置である。この開度αを取得する装置としては、角度センサが例示される。角度センサを配置する場合は、シャフト9bにおける弁本体9aから離間した位置、すなわち、排気ガスGの熱の影響をほとんど受けない位置に配置することが好ましい。
制御装置14は、各種情報処理を行うCPU、その各種情報処理を行うために用いられるプログラムや情報処理結果を読み書き可能な内部記憶装置、及び各種インターフェースなどから構成されるハードウエアである。制御装置14は、上記した駆動装置10、パラメータ取得装置11、過給圧力取得装置12、開度取得装置13等の各種装置に信号線を介して電気的に接続されている。なお、図1では、図の煩雑さを避けるために、これらの装置10〜13と制御装置14の間の信号線以外の信号線は省略している。
本発明では、制御装置14に、エンジン2の運転状態に応じて実験等により予め設定された複数の制御領域と、この制御領域毎に実験等により予め設定された絞り弁9の設定開度αc(αm≦αc≦90°)を記憶しておく。複数の制御領域とは、例えば、横軸にエンジン回転数、縦軸にエンジン負荷(アクセル開度)を設定したマップ上に区画された複数の領域である。
制御装置14は、パラメータ取得装置11が取得したエンジン2の運転状態に基づいて、取得したそのエンジン2の運転状態が属する制御領域に対応する絞り弁9の設定開度αcに絞り弁9の開度αがなるように駆動装置10に制御信号を送信する。この制御信号を受けた駆動装置10により、絞り弁9の開度αは設定開度αcに調整される。このとき、絞り弁9の開度αが確実に設定開度αcになるように、開度取得装置13の取得値を用いてフィードバック制御を行うと好ましい。
そして、制御装置14は、取得したそのエンジン2の運転状態が属する制御領域が変わるまで、駆動装置10に絞り弁9の開度αをこの設定開度αcに維持させて、タービン8に流入する排気ガスGaの流速を調整する制御を行うように構成されている。パラメータ取得装置11が取得したエンジン2の運転状態が属する制御領域が変更された場合には、この変更後の制御領域に対応する絞り弁の設定開度αcに絞り弁9の開度αがなるように駆動装置10に制御装置14から制御信号が送信され、この制御信号を受けた駆動装置10により、絞り弁9の開度αは変更後の制御領域に対応する設定開度αcに調整される。
切替(変更)後の制御領域が切替前の制御領域より高負荷側に移動するときには、設定開度αcをより小さな値にして、絞り弁9を絞っていくと好ましい。この場合、切替後の制御領域が切替前の制御領域より低負荷側に移動するときには、設定開度αcをより大きな値にして、絞り弁9を開いていく。
また、切替後の制御領域が切替前の制御領域より高回転数側に移動するときには、設定開度αcをより大きな値にして、絞り弁9を開いていくと好ましい。この場合、切替後の制御領域が切替前の制御領域より低回転数側に移動するときには、設定開度αcをより小さな値にして、絞り弁9を絞っていく。
そして、エンジン2の運転状態が低回転数側に移動し、かつ、高負荷側に移動するほど、ターボ式過給システムの過給圧力を早期に向上させる必要性が増すが、ターボ式過給システムの応答遅れが発生しやすくなる。そのため、ターボ式過給システムの応答遅れが発生しやすいと実験的に求まる制御領域(本実施形態では、この制御領域を、エンジン2の運転状態が低回転数領域で、かつ、高負荷領域にある領域とする)に限って、絞り弁9を絞ってタービン8に流入する排気ガスGaの流速を速くしてターボ式過給システムの過給圧力の向上を補助することが好ましい。
また、エンジン2の運転状態が低回転数領域にはない、または、高負荷領域にはないときには、ターボ式過給システムの過給圧力はエンジン2の運転状態に応じた値になっていることが多く、タービン8に流入する排気ガスGaの流速を速める必要性が低いため、絞り弁9を全開にすると好ましい。
すなわち、制御装置14が、パラメータ取得装置11が取得したエンジン2の運転状態が属する制御領域が、低回転数領域にあり、かつ、高負荷領域にあるときに、設定開度αcを実験等により予め設定された第1の設定開度αc1(αm<αc1<90°)として、取得したそのエンジン2の運転状態が属する制御領域が変わるまで、駆動装置10に絞り弁9の開度αを第1の設定開度αc1に維持させて、タービン8に流入する排気ガスGaの流速を調整する制御を行う。
この第1の設定開度αc1は、絞り弁9の開度αを全開から全閉に向う方向に変動させていき、排気マニホールド5の出口から排気通路7に排出されて絞り弁9を通過する前の排気ガスGbの圧力を上昇させ、タービン8に流入する排気ガスGaの流速が、絞り弁9全開時よりも速くなるときの開度とすることが好ましい。
また、制御装置14が、パラメータ取得装置11が取得したエンジン2の運転状態が、低回転数領域にはない、または、高負荷領域にはないときに、設定開度αcを絞り弁9の全開時の開度(α=90°)にして、取得したそのエンジン2の運転状態が属する制御領域が変わるまで、駆動装置10に絞り弁9を全開に維持させる制御を行う。
絞り弁9の設定開度αcは、同じ制御領域内で一定値としてもよいし、同じ制御領域内でもエンジン2の運転状態に応じて変動する変動値としてもよい。例えば、制御装置14が、アクセル開度取得装置の取得値に基づいてこの設定開度αcを補正するようにしてもよい。この場合、開度取得装置13の取得値を基にフィードバック制御を行いながら、制御装置14が駆動装置10を駆動して、絞り弁9の開度αはこの補正した設定開度αcまで調整される。
制御装置14が、絞り弁9の開度αを設定開度αcに調整した後で、過給圧力取得装置12の取得値がエンジン2の出力トルクの目標値に応じて設定されるターボ式過給システムの過給圧力の目標値になるように、開度取得装置13の取得値を基に駆動装置10を駆動して絞り弁9の開度αを設定開度αcからさらに調整するようにしてもよい。
本発明の内燃機関の過給圧力制御システム1を基にした制御フローについて、言い換えれば、内燃機関の過給圧力制御方法について、図4を参照しながら説明する。図4に示す制御フローは、エンジン2の運転中に周期的に実施される制御フローである。
図4に示す制御フローがスタートすると、ステップS10にて、エンジン2の運転状態(エンジン回転数と、アクセル開度(エンジン負荷))を取得する。ステップS10を実施後、ステップS20に進む。ステップS20では、制御装置14に記憶されているエンジン運転状態に応じて設定された複数の制御領域のなかで、ステップS10で取得したエンジン2の運転状態に対応する制御領域を取得する。ステップS20を実施後、ステップS30に進む。
ステップS30では、ステップS20で取得した制御領域に対応する絞り弁9の設定開度αcを算出する。ステップ30を実施後、ステップS40に進む。ステップS40では、ステップS30で算出した設定開度αcまで絞り弁9の設定開度αを駆動装置10で調整する。ステップS40を実施後、リターンに進んで、本制御フローを終了する。
以上より、本発明によれば、エンジン2の運転状態を基にした制御領域が変わるまで絞り弁9の開度αをその制御領域に応じて設定された設定開度αcに維持させて、タービン8に流入する排気ガスGaの流速を調整する。つまり、排気ガスGaの流速を速くしたい制御領域の場合に絞り弁9を排気通路7が完全に閉鎖されないように絞った状態を維持し、それ以外の制御領域の場合に絞り弁9を開いた状態に維持する。それ故、タービン8に流入する排気ガスGaの流速を調整する際に生じるエンジン2の出力トルクの変化を抑制しつつ、タービン8に流入する排気ガスGaの流速を高めることができる。このタービン8の応答性の改善により、ドライバビリティの悪化の解消及び出力トルクの変化の減少には有利になり、ターボ式過給システムの過給性能を効果的に向上させることができる。
排気通路7において、駆動装置10により絞り弁9が絞られたときに限って、タービン8に流入する排気ガスGaの流速が速くなる作用が発生する位置に絞り弁9を配置する。これにより、ターボ式過給システムの過給圧力を向上させる必要があるときに絞り弁9を閉じることで、この過給圧力を確実に向上させることができる。また、ターボ式過給システムの過給圧力を向上させる必要がないときに絞り弁9を全開にすることで、絞り弁9が排気通路7内の排気ガスGの流通を妨げることがなく、絞り弁9を駆動するためのエネルギー量を低減することができる。
エンジン2の運転状態が属する制御領域が、低回転数領域にあり、かつ、高負荷領域にあるときに限って絞り弁9を絞るようにすると、すなわち、ターボ式過給システムの応答遅れが発生しやすいときに限って絞り弁9を絞るようにすると、絞り弁9を駆動するためのエネルギー量を最適化しつつ、ターボ式過給システムの応答遅れを確実に解消することができる。
エンジン2の運転状態が属する制御領域が、低回転数領域にあり、かつ、高負荷領域にあるときの絞り弁9の開度αを、絞り弁9全開時より排気ガスGaの流速を速くするときの開度αc1とすると、絞り弁9の開度調整の前後でエンジン2の出力トルクの差がほとんどなく、ドライバビリティの改善には有利になる。
エンジン2の運転状態が属する制御領域毎に設定された絞り弁9の設定開度αcは、同じ制御領域内でもアクセル開度に基づいて補正するようにすると、ターボ式過給システムの過給圧力をエンジン2の運転状態に適した値にすることが容易になる。
絞り弁9の開度αを設定開度αcに調整した後で、ターボ式過給システムの過給圧力がその目標値になるように、絞り弁9の開度αを設定開度αcからさらに調整すると、ターボ式過給システムの過給圧力を迅速にその目標値に到達させることができ、ドライバビリティの改善にますます有利になる。
1 内燃機関の過給圧力制御システム
2 エンジン(内燃機関)
3 気筒
5 排気マニホールド
7 排気通路
8 タービン
9 絞り弁
10 駆動装置
11 パラメータ取得装置
12 過給圧力取得装置
13 開度取得装置
14 制御装置
2 エンジン(内燃機関)
3 気筒
5 排気マニホールド
7 排気通路
8 タービン
9 絞り弁
10 駆動装置
11 パラメータ取得装置
12 過給圧力取得装置
13 開度取得装置
14 制御装置
Claims (7)
- ターボ式過給システムを備えた内燃機関の過給圧力制御システムにおいて、
排気ガスの流れに関して排気マニホールドよりも下流側で、かつ、前記ターボ式過給システムのタービンよりも上流側の排気通路に配置された絞り弁と、この絞り弁を駆動する駆動装置と、前記内燃機関の運転状態に関するパラメータを取得するパラメータ取得装置と、このパラメータ取得装置及び前記駆動装置に電気的に接続される制御装置とを備えて、
前記制御装置に、前記内燃機関の運転状態に応じて予め設定された複数の制御領域と、この制御領域毎に予め設定された前記絞り弁の設定開度を記憶しておき、
前記制御装置を、前記パラメータ取得装置が取得した前記内燃機関の運転状態に基づいて、取得したその内燃機関の運転状態が属する制御領域が変わるまで、前記駆動装置に前記絞り弁の開度を前記設定開度に維持させて、前記排気マニホールドの出口から前記排気通路に排出されて前記絞り弁通過前の排気ガスの圧力を上昇させ、前記タービンに流入する排気ガスの流速を調整する制御を行う構成にしたことを特徴とする内燃機関の過給圧力制御システム。 - 前記絞り弁の配置位置を、前記駆動装置により前記絞り弁が絞られたときには、前記排気マニホールドの出口から前記排気通路に排出された排気ガスの圧力を上昇させ、前記タービンに流入する排気ガスの流速を速くすると共に、前記駆動装置により前記絞り弁が開かれたときには、前記タービンに流入する排気ガスの圧力を前記排気マニホールドの出口から前記排気通路に排出された排気ガスの圧力と略同一にする位置とする請求項1に記載の内燃機関の過給圧力制御システム。
- 前記制御装置を、
前記パラメータ取得装置が取得した前記内燃機関の運転状態が属する制御領域が、低回転数領域にあり、かつ、高負荷領域にあるときに、前記設定開度を予め設定された第1の設定開度として、取得したその内燃機関の運転状態が属する制御領域が変わるまで、前記駆動装置に前記絞り弁の開度を前記第1の設定開度に維持させて、前記タービンに流入する排気ガスの流速を調整する制御を行い、
前記パラメータ取得装置が取得した前記内燃機関の運転状態が、前記低回転数領域にはない、または、前記高負荷領域にはないときに、前記設定開度を前記絞り弁の全開時の開度にして、取得したその内燃機関の運転状態が属する制御領域が変わるまで、前記駆動装置に前記絞り弁を全開に維持させる制御を行う構成にしたことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の過給圧力制御システム。 - 前記絞り弁の開度を全開から全閉に向う方向に変動させていき、前記排気マニホールドの出口から前記排気通路に排出された排気ガスの圧力を上昇させ、前記タービンに流入する排気ガスの流速を速くするときの開度を前記第1の設定開度とすることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の過給圧力制御システム。
- 前記パラメータ取得装置として、アクセル開度を取得するアクセル開度取得装置を備えると共に、前記絞り弁の開度を取得する開度取得装置を備えて、
前記制御装置を、前記アクセル開度取得装置の取得値に基づいて前記設定開度を補正するとともに、前記開度取得装置の取得値を基に前記駆動装置を駆動して前記絞り弁の開度をこの補正した設定開度まで調整する制御を行う構成にしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の過給圧力制御システム。 - 前記ターボ式過給システムの過給圧力を取得する過給圧力取得装置を備えると共に、前記絞り弁の開度を取得する開度取得装置を備えて、
前記制御装置を、前記過給圧力取得装置の取得値が前記内燃機関の出力トルクの目標値に応じて設定される前記ターボ式過給システムの過給圧力の目標値になるように、前記開度取得装置の取得値を基に前記駆動装置を駆動して前記絞り弁の開度を前記設定開度からさらに調整する制御を行う構成にしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の過給圧力制御システム。 - ターボ式過給システムを備えた内燃機関の過給圧力制御方法において、
排気ガスの流れに関して排気マニホールドよりも下流側で、かつ、前記ターボ式過給システムのタービンよりも上流側の排気通路に配置された絞り弁と、この絞り弁を駆動する駆動装置を備えて、
前記内燃機関の運転状態に応じて複数の制御領域を予め設定するとともに、この制御領域毎に前記絞り弁の設定開度を予め設定しておき、
前記内燃機関の運転状態を取得し、取得したその内燃機関の運転状態が属する制御領域に応じて設定された前記設定開度に前記絞り弁の開度がなるように前記駆動装置により調整した後、
取得したその内燃機関の運転状態が属する制御領域が変わるまで、前記駆動装置により前記絞り弁の開度を前記設定開度に維持して、前記排気マニホールドの出口から前記排気通路に排出された排気ガスの圧力を上昇させ、前記タービンに流入する排気ガスの流速を調整する制御を行うことを特徴とする内燃機関の過給圧力制御方法。
Priority Applications (1)
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JP2017197381A JP2019070362A (ja) | 2017-10-11 | 2017-10-11 | 内燃機関の過給圧力制御システム及び内燃機関の過給圧力制御方法 |
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