JP2019070240A - 建屋の温湿度変動抑制方法 - Google Patents

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長之 松石
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Abstract

【課題】建屋内への外気の侵入量を抑制することで、結露発生までの時間を長くすることが可能となり、結露防止対策にかかる工事費や設備費を抑制することができる。【解決手段】外側壁11と屋根12とから構成され、少なくとも外側壁11の上部及び下部に建屋外に連通する隙間を有する建屋1の温湿度変動抑制方法であって、外側壁11の下部に形成される下部隙間S1の隙間量を低減するように閉塞するようにした建屋の温湿度変動抑制方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、建屋の温湿度変動抑制方法に関する。
従来、密閉性が確保されず、空調設備を備えていない倉庫等の建屋の場合には、外気の変化により室内の露点温度が変動し、例えばコイル等の製品の周囲で結露が発生すると、錆が発生して品質が低下することが知られている。
このような密閉性が確保されていない製品倉庫では、外気が建屋の開口や隙間から侵入し、建屋内を対流して前記開口や隙間から排出される現象が生じる。そのため、製品倉庫では、高温多湿の空気が建屋の開口や隙間から侵入し、建屋内の露点温度が上昇して製品温度を上回ることにより結露する現象「夏型結露」が生じることになる。
そこで、建屋内の結露を防止する手段としては、例えば特許文献1、2に示すように、建屋内に暖かい空気を送風または循環させて水蒸気発生設備(製品)の温度を上昇させて結露を防止させる方法が知られている。
特開2014−201192号公報 特開2015−205603号公報
しかしながら、上述した特許文献1、2のような暖かい空気を送風または循環させて製品温度を上昇させる場合には、加熱装置等の空調設備を設置する必要があることから、大規模倉庫では工事費や設備費が大きくなるという問題があった。
また、製品に対して防錆塗油を施したり、製品にシートを掛ける等の結露予報時に一時的に行う対策もあるが、手間と時間がかかり、生産性が低下する問題があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたものであって、建屋内への外気の侵入量を抑制することで、結露発生までの時間を長くすることが可能となり、結露防止対策にかかる工事費や設備費を抑制することができる建屋の温湿度変動抑制方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る建屋の温湿度変動抑制方法は、外側壁と屋根とから構成され、少なくとも前記外側壁の上部及び下部に前記建屋外に連通する隙間を有する建屋の温湿度変動抑制方法であって、前記外側壁の下部に形成される下部隙間の隙間量を低減するように閉塞することを特徴としている。
本発明に係る建屋の温湿度変動抑制方法によれば、建屋の下部に位置する腰壁部や建具における下部隙間(開口や隙間)を塞ぐことにより、その下部隙間の隙間量を低減、あるいは密閉にすることができるため、建屋内への外気の侵入を抑制することができ、建屋内の対流を低減することができる。これにより、外気変動による建屋内の温湿度変動を抑制することが可能となるから、建屋内の露点温度の上昇を抑制することができる。したがって、結露発生までの時間を長くすることが可能となり、結露防止対策にかかる工事費や設備費を抑制することができる。
また、本発明に係る建屋の温湿度変動抑制方法では、建屋の外側壁の上部や屋根等の高所に形成される開口や隙間を塞ぐ必要がなくなり、このような高所での足場を使用した作業が不要になるという利点がある。
さらに、本建屋の温湿度変動抑制方法では、外気で拡散するガスや臭気が建屋内に侵入することを低減する効果も有している。
また、本発明に係る建屋の温湿度変動抑制方法は、前記下部隙間は、前記外側壁の腰壁の高さに位置していることが好ましい。
この構成によれば、腰壁の高さの位置に下部隙間があるので、その下部隙間を塞ぐ作業を容易に行うことができる。これにより、結露防止対策にかかる作業効率を向上させることができ、工事費や設備費を抑制することができる。
また、本発明に係る建屋の温湿度変動抑制方法は、前記下部隙間は、前記外側壁の下端から上方に1.0mまでの高さに位置していることが好ましい。
この構造によれば、外側壁の下端から上方に1.0mまでの高さの位置に下部隙間があるので、その下部隙間を塞ぐ作業を容易に行うことができる。これにより、結露防止対策にかかる作業効率を向上させることができ、工事費や設備費を抑制することができる。
また、本発明に係る建屋の温湿度変動抑制方法は、前記下部隙間は、断熱材の重ね貼り、及びシール材による前記下部隙間の充填のうち少なくとも一方を実施することにより塞がれることが好ましい。
この場合には、下部隙間における気密性を確保することができるとともに、建屋内の断熱性を高めることができ、外気変動による建屋内の温湿度変動をより確実に抑制することが可能となる。
また、本発明に係る建屋の温湿度変動抑制方法は、前記下部隙間を閉塞することによる該下部隙間の隙間率、すなわち前記外側壁の壁総面積に対する隙間面積の比率を0.3%以下にすることが好ましい。
この場合には、隙間率が0.3%以下となるように下部隙間を塞ぐことで、外気の侵入をより確実に抑えることができ、外気変動による建屋内の温湿度変動を抑制することが可能となるから、建屋内の露点温度の上昇を抑制することができる。
本発明の建屋の温湿度変動抑制方法によれば、建屋内への外気の侵入量を抑制することで、結露発生までの時間を長くすることが可能となり、結露防止対策にかかる工事費や設備費を抑制することができる。
本発明の実施の形態による温湿度変動抑制方法を採用する建屋の構成を示す縦断面図である。 図1に示す外側壁の下部隙間の構成を示す要部拡大部である。 温湿度変動抑制方法によって外側壁の下部隙間を閉塞した状態を示す縦断面図であって、図2に対応した図である。 第1実施例による気流解析で用いる二次元建屋モデルを示す図である。 第1実施例の解析条件を示す図であって、(a)は時間毎の外気温、建屋の室内温度、室内の露点温度、製品温度、外気の相対湿度の測定結果を示す図、(b)は時間毎の外気温度と外気露点温度の測定結果を示す図である。 第1実施例による実施例1と比較例1、2の解析結果を示す図である。 (a)、(b)は、二次元建屋モデルによる解析データを示す図である。 第1実施例による実施例2、3、4の解析結果を示す図である。 第1実施例による実施例5と比較例1の解析結果を示す図である。 第2実施例による気流解析で用いる二次元建屋モデルを示す図である。 第2実施例によるケース1、2、5の解析結果を示す図である。 第2実施例によるケース1〜4の解析結果を示す図である。 第2実施例によるケース1、6〜9の解析結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態による建屋の温湿度変動抑制方法について、図面に基づいて説明する。
本実施の形態による建屋の温湿度変動抑制方法では、図1に示すように、建屋1の内部空間において、温湿度の変動を抑制し、結露の抑制効果を向上させるための方法である。本実施の形態の建屋1は、既設の建物であって、例えばコイル等の製品Kを収容する製品倉庫を対象とし、建屋内の床面1aに製品Kが設置されるようになっている。
建屋1は、図1に示すように、床上に立設された外側壁11と、外側壁11の上端に支持された屋根12と、を備え、少なくとも外側壁11の上部及び下部に建屋外に連通する隙間(本実施の形態では後述する隙間S1〜S4)を有している。
図2に示すように、建屋1の外側壁11は、床上に設置され腰壁の高さ(例えば1.0m)に積み上げられたコンクリート製のブロック13と、このブロック13の屋外側に設けられた壁鉄板14と、を有している。ブロック13は、複数段に積まれた状態で図示しないアンカーや鉄筋等で互いに連結され、上方から見て建屋1の外周縁に沿って配置されている。
壁鉄板14は、例えば波形鋼板でブロック13の屋外側上部において上下方向に重なるようにして配置され、ブロック13と同様に上方から見て建屋1の外周縁に沿って配置されている。具体的には、建屋1の外周部に立設される柱(図示省略)に支持されている。壁鉄板14は、外側壁11の高さが例えば4mとなるように、上下左右に適宜な接続手段により複数接続されている。この壁鉄板14、14同士の接続部には、建屋内と建屋外とを連通する図1に示す隙間(中間隙間S3)がある。中間隙間S3は、壁鉄板14の接続部に形成されるものであるから、外側壁11における複数箇所に形成されている。
また、ブロック13の上端13aと壁鉄板14の下端14aとの間には、互いに対向する方向に隙間(下部隙間S1)が形成されている。すなわち、下部隙間S1は、外側壁11の腰壁の高さとほぼ一致している。
屋根12は、図1に示すように、上述した柱の上端に支持されている。屋根12と壁鉄板14の上端14bとの間の軒先部には、建屋内と建屋外とを連通する隙間(上部隙間S2)がある。そして、屋根12の中央には、建屋内と建屋外とを連通する隙間(屋根隙間S4)が形成されている。
次に、上述した既設の建屋1における温湿度変動抑制方法の一例について説明する。
温湿度変動抑制方法としては、図2に示すように、外側壁11の下部に形成される下部隙間S1を、その隙間量が低減するように閉塞する。
具体的には、図3に示すように、建屋内において、下部隙間S1の直上の位置で、壁鉄板14の内面14cとブロック13の内面13bとを架け渡すようにして例えばゴム板等の遮蔽部材15をボルト等の固定部材16を使用して取り付ける。つまり、建屋内側からみて、下部隙間S1が遮蔽部材15によって覆われた状態となっている。
次に、壁鉄板14とブロック13とが重なり合う下部隙間S1に例えば発泡ウレタン等の充填材17を建屋外から充填する。これにより、下部隙間S1が充填材17によって充填され、さらにその充填材17の建屋内側が遮蔽部材15で覆われているので、この下部隙間S1の部分における建屋内と建屋外の連通が遮断される。このときの隙間率(外側壁11の壁総面積に対する下部隙間S1の隙間面積の比率)は、0.3%以下が好ましく、0.05以下がより好ましく、0%(密閉状態)が理想的である。
なお、下部隙間S1の閉塞する方法としては、上述したように遮蔽部材15を取り付けてから下部隙間S1に充填材17を充填する手順であることに限定されることはなく、先に下部隙間S1に充填材17を充填した後に、遮蔽部材15を設ける手順であってもかまわない。
次に、上述した建屋1の温湿度変動抑制方法の作用について、説明する。
本実施の形態では、図1及び図3に示すように、建屋1の下部に位置する腰壁部や建具における下部隙間S1(開口や隙間)を塞ぐことにより、その下部隙間S1の隙間量を低減、あるいは密閉にすることができるため、建屋内への外気の侵入を抑制することができ、建屋内の対流を低減することができる。これにより、外気変動による建屋内の温湿度変動を抑制することが可能となるから、建屋内の露点温度の上昇を抑制することができる。
したがって、結露発生までの時間を長くすることが可能となり、結露防止対策にかかる工事費や設備費を抑制することができる。
また、本実施の形態による建屋1の温湿度変動抑制方法では、建屋1の外側壁11の上部や屋根12等の高所に形成される開口や隙間(上部隙間S2、中間隙間S3、屋根隙間S4)を塞ぐ必要がなくなり、このような高所での足場を使用した作業が不要になるという利点がある。
さらに、本建屋の温湿度変動抑制方法では、外気で拡散するガスや臭気が建屋内に侵入することを低減する効果も有している。
また、本実施の形態では、腰壁の高さであって、外側壁11の下端から上方に1.0mの高さに位置に下部隙間S1があるので、その下部隙間S1を塞ぐ作業を容易に行うことができる。これにより、結露防止対策にかかる作業効率を向上させることができ、工事費や設備費を抑制することができる。
また、本実施の形態では、隙間率が0.3%以下となるように下部隙間S1を塞ぐことで、外気の侵入をより確実に抑えることができ、外気変動による建屋内の温湿度変動を抑制することが可能となるから、建屋内の露点温度の上昇を抑制することができる。
上述のように本実施の形態による建屋の温湿度変動抑制方法では、建屋内への外気の侵入量を抑制することで、結露発生までの時間を長くすることが可能となり、結露防止対策にかかる工事費や設備費を抑制することができる。
次に、上述した実施の形態による建屋の温湿度変動抑制方法の効果を裏付けるために行った実施例について以下説明する。
(第1実施例)
本第1実施例では、上述した図1に示す実施の形態の建屋1とアスペクト比を同じとし、外側壁11の隙間(下部隙間S1、上部隙間S2)と、屋根12の隙間(屋根隙間S4)と、をモデル化した図4に示す二次元建屋モデル2を作成し、この二次元建屋モデル2を使用して気流解析を行って建屋内の露点温度の変化の確認と、温湿度変動抑制方法の有効性について検証した。
二次元建屋モデル2は、図4に示すように、建屋の寸法が横幅10m、高さ4mとし、建屋内に配置される製品の高さを1.0mとし、この製品高さ位置で横幅6mの領域を評価エリアDとした。二次元建屋モデル2では、外側壁21の下部に形成される下部隙間22と、上部に形成される上部隙間23と、屋根24の中央に形成された屋根隙間25と、の隙間を設定している。
解析条件としては、図5(a)、(b)に示すように、所定地区の気象データにおいて最も外気の露点温度の上昇量が大きかった朝の6時から7時を解析範囲D(図5(b)の破線の範囲)とした。
図5(a)は、外気温(℃)、建屋の室内温度(℃)、室内の露点温度(℃)、製品温度(℃)、外気の相対湿度(%)を時間毎(0時〜18時)に測定した結果を示している。また、製品が結露した時間帯を破線で示している。図5(b)は、4時から9時までの外気温度(℃)と外気露点温度(℃)の測定結果を示している。
第1実施例では、表1に示すように、各隙間(下部隙間22、上部隙間23、屋根隙間25)の隙間率(%)を変えた5ケースの実施例1〜5と、2ケースの比較例1、2について、それぞれ気流解析を行い、隙間率と塞ぐ隙間の位置の違いによる建屋内の露点温度上昇量の違いを評価した。
ここで、表1において、隙間率0%が密閉状態(以下、「密閉」と表示)であり、隙間率0.05%が密閉性が高く、シール材や断熱材等で塞がれたシール状態(以下、「シール」と表示)であり、隙間率0.70%が健全な状態(以下、「健全」と表示)であり、隙間率3.00%がシャッター等が開放された開状態、或いは建屋が老朽化した状態(以下、「劣化」と表示)である。すなわち、密閉性が高い順に「密閉」>「シール」>「健全」>「劣化」となる。
表1に示すように、実施例1は、下部隙間22、上部隙間23、屋根隙間25ともに「シール」としたケースである。実施例2は、下部隙間22を「密閉」とし、上部隙間23と屋根隙間25を「健全」としたケースである。実施例3は、下部隙間22と屋根隙間25を「健全」とし、上部隙間23を「密閉」としたケースである。実施例4は、上部隙間23と屋根隙間25を「シール」とし、下部隙間22を「シール」としたケースである。実施例5は、上部隙間23と屋根隙間25を「劣化」とし、下部隙間22を「シール」としたケースである。比較例1は、下部隙間22、上部隙間23、屋根隙間25ともに「劣化」としたケースである。比較例2は、下部隙間22、上部隙間23、屋根隙間25ともに「健全」としたケースである。
図6に基づく解析結果について説明する。図6は、実施例1と比較例1、2の解析結果を示しており、建屋の健全化、密閉化の効果を示している。
この結果、比較例2は、比較例1に対して約33%の低減となった。すなわち、外側壁21と屋根24の隙間をすべて「健全」としたときには、建屋内の露点温度上昇量の低減効果は約33%にとどまっていた。このとき、結露発生までの時間を1.5倍(1/(1−0.33))に延ばすことができる。
これに対して、実施例1は、比較例1に対して約90%の低減となった。すなわち、外側壁21と屋根24の隙間をすべて「シール」としたときには、建屋内の露点温度上昇量の低減効果は約90%となり、結露防止効果が極めて高いことが確認できた。このとき結露発生までの時間を約10倍(1/(1−0.9))に延ばすことができる。
次に、図7(a)、(b)及び図8に基づく解析結果について説明する。図7(a)は下部隙間22を塞いだ状態(実施例2)の解析結果を示し、図7(b)は、上部隙間23を塞いだ状態(実施例3)の解析結果を示している。図8は、実施例2、3、4の解析結果を示しており、結露抑制効果を示している。
図7(a)に示す下部隙間22を塞いだケースでは、建屋内の対流が外側壁21の内面に沿って僅かに上昇する程度に小さいことが確認できた。すなわち、下部隙間22を塞ぐことで、外気の侵入が抑制されたために建屋内の対流が小さくなったものと考えられる。これに対して、図7(b)に示す上部隙間23を塞いだケースでは、建屋内の対流が外側壁21の内面に沿って上昇するとともに、屋根24の下面に沿って幅方向中央に向けて移動し、さらに幅方向中央で下降して下部隙間22に向けて流れる建屋内対流が顕著に表れていることが確認できた。
実施例2、3の結果より、上部隙間23よりも下部隙間22を塞ぐ方が建屋内の露点温度上昇量を抑制できることがわかった。
また、実施例2、4の結果より、下部隙間22を完全に密閉できずに「シール」とした場合であっても、建屋内の露点温度上昇量を効果的に低減できることが確認された。
次に、図9に基づく解析結果について説明する。図9は、実施例5と比較例1との解析結果を示しており、下部隙間22のみを塞ぐ対策の効果を示している。
この結果、上部隙間23及び屋根隙間25を健全化することよりも、下部隙間22を「シール」とした実施例5のケースでは、建屋内の露点温度上昇量の低減効果は約74%と高くなることが確認できた。このとき、結露発生までの時間を約3.9(1/(1−0.74))に延ばすことができる。
以上の解析結果より、建屋内の結露抑制効果を高めるためには、下部隙間を「シール」とすることが好ましいことが確認できた。
(第2実施例)
次に、第2実施例は、上述した実施例1と同様の建屋をモデル化した図10に示す二次元建屋モデル3を作成し、この二次元建屋モデル3を使用して気流解析を行って建屋内の露点温度の変化の確認と、温湿度変動抑制方法の有効性について検証した。
第2実施例の二次元建屋モデル3は、外側壁31に上述した中間隙間を設けたモデルである。屋根32の屋根隙間33は、幅方向両側の外側壁31寄りのそれぞれに位置する隙間33A、33Bと、幅方向の中央に位置する隙間33Cと、の3箇所が設定されている。外側壁31の隙間34は、上方から下方の順で隙間34A、34B、34C、34D、34Eの5箇所が設定されている。これら外側壁31の隙間34のうち、最上部に位置する隙間34Aが上部隙間に相当し、最下部に位置する隙間34Eが下部隙間に相当し、隙間34B、34C、34Dが中間隙間に相当する。
第2実施例の解析条件は、上述した第1実施例の図5(a)、(b)に示すものと同様である。
第2実施例では、表2に示すように、各隙間33、34A〜34Eの隙間率(%)を変えた9ケース(ケース1〜9)について、それぞれ気流解析を行い、隙間率と塞ぐ隙間の位置の違いによる建屋内の露点温度上昇量の違いを評価した。表2に示す「close」は、各隙間における密閉状態を示している。なお、ケース1は、上述した隙間33、34A〜34Eのすべてにおいて隙間量を低減する対策を行っていないケースである。
図11に基づく解析結果について説明する。図11は、ケース1、2、5の解析結果を示している。この結果、下部隙間34Eを塞いで密閉したケース2では、下部隙間34Eの隙間率が1%であるケース1、5に対して建屋内の露点温度上昇量の低減効果が大きいことが確認できる。そして、上部隙間34Aが1%のケース1と密閉状態のケース5がほぼ同等の露点温度上昇量となっていることから、上部隙間34Aの密閉にする効果は小さいことがわかる。
次に、図12に基づく解析結果について説明する。図12は、ケース1〜4の解析結果を示している。この結果、外側壁31のうち上部隙間34Aを除き、少なくとも下部隙間34Eを密閉したケース2、3、4は、各隙間に対して無対策であるケース1に対して建屋内の露点温度上昇量の低減効果が大きいことが確認できる。そして、下部隙間34Eを密閉したケース2、3、4を比較すると、中間隙間34を密閉しないケース2と、中間隙間34Dを密閉するケース3、及び中間隙間34C、34Dを密閉するケース4とがほぼ同等の露点温度上昇量となることから、中間隙間34C、34Dを密閉することによる露点温度上昇量の低減効果は小さいことがわかる。
このことから、隙間率が1%と大きな腰壁部分の下部隙間34Eを塞ぐことで、露点温度上昇量の低減効果が大きくなり、腰壁部分よりも高い部分の中間隙間34B、34C、34Dを塞ぐことの効果が小さいことが確認できた。
次に、図13に基づく解析結果について説明する。図13は、ケース1、6〜9の解析結果を示しており、下部隙間34Eの密閉度の違いによる室内の露点温度の変化を示している。ケース6、7、8,9は、この順で下部隙間34Eの隙間率が大きくなっている。この解析の結果、隙間率が小さいケース6ほど建屋内の露点温度上昇量の低減効果が大きいことが確認できた。この結果より、下部隙間34Eの隙間率は、0.3%以下が好ましく、0.2%以下がより好ましいとすることができる。
以上、本発明による建屋の温湿度変動抑制方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では、1.0mの腰壁の高さ位置を下部隙間S1の位置としているが、この高さであることに限定されることはない。例えば、外側壁の下端から上方に1.0mまでの高さに下部隙間S1が位置する建屋に適用することも可能である。
また、本実施の形態では、建屋の温湿度変動抑制方法として、遮蔽部材15とシール材からなる充填材17とによって下部隙間S1を閉塞する一例を採用しているが、このような閉塞方法に限定されることはなく、他の閉塞方法を採用してもよい。例えば、遮蔽部材15を省略して、充填材17のみを下部隙間S1に充填する方法であってもよい。
また、下部隙間S1を塞ぐ際に、断熱材を重ね貼りするようにしてもよい。この場合には、下部隙間S1における気密性を確保することができるとともに、建屋内の断熱性を高めることができ、外気変動による建屋内の温湿度変動をより確実に抑制することが可能となる。なお、断熱材と上述したような充填材17を併用する方法であってもよい。
さらに、本実施の形態の建屋の温湿度変動抑制方法は、既設の建屋1を適用対象とし、建屋1に設けられている下部隙間S1を閉塞する一例を示しているが、新設の建屋にも上述した温湿度変動抑制方法を適用することが可能である。
さらにまた、本実施の形態の建屋の温湿度変動抑制方法を適用する建屋として、湿度や結露により劣化する製品を収容する建屋が適用対象となる。そして、建屋内に収容される製品としては、上述した実施の形態のような鋼材の他に、例えば食品、焼結粉等の製品を適用することができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1 建屋
11 外側壁
12 屋根
13 ブロック
14 壁鉄板
15 遮蔽部材
17 充填材
S1 下部隙間
S2 上部隙間
S3 中間隙間
S4 屋根隙間

Claims (5)

  1. 外側壁と屋根とから構成され、少なくとも前記外側壁の上部及び下部に前記建屋外に連通する隙間を有する建屋の温湿度変動抑制方法であって、
    前記外側壁の下部に形成される下部隙間の隙間量を低減するように閉塞することを特徴とする建屋の温湿度変動抑制方法。
  2. 前記下部隙間は、前記外側壁の腰壁の高さに位置していることを特徴とする請求項1に記載の建屋の温湿度変動抑制方法。
  3. 前記下部隙間は、前記外側壁の下端から上方に1.0mまでの高さに位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の建屋の温湿度変動抑制方法。
  4. 前記下部隙間は、断熱材の重ね貼り、及びシール材による前記下部隙間の充填のうち少なくとも一方を実施することにより塞がれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の建屋の温湿度変動抑制方法。
  5. 前記下部隙間を閉塞することによる該下部隙間の隙間率、すなわち前記外側壁の壁総面積に対する隙間面積の比率を0.3%以下にすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の建屋の温湿度変動抑制方法。
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Gallegos Specification Section 15810 Ductwork.

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