JP2019068741A - ステロールの製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ステロールを生成する藻類およびそれを利用したステロールの製造法を提供する。【解決手段】AJ7867株(FERM P-22304)およびその誘導株等のステロール生成能を有する藻類を培養し、得られた藻体からステロールを回収することにより、ステロールを製造する。【選択図】なし
Description
本発明は、ステロールを生成する藻類およびそれを利用したステロールの製造法に関する。
ステロールは、C−3位に水酸基を有するステロイド誘導体であり、動物、植物、真菌等の各種生物において見出される。ステロールは、例えば、それらステロールを有する生物資源からの抽出により製造されている。また、従属栄養藻類であるラビリンチュラ類の中にはコレステロール等のステロールを生産するものが知られている(非特許文献1)。
Weete JD, et al., Lipids and ultrastructure of Thraustochytrium sp. ATCC 26185., Lipids. 1997 Aug;32(8):839-45.
本発明は、ステロールを生成する藻類およびそれを利用したステロールの製造法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ステロールを生成する新規な藻類を自然界から見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通り例示できる。
[1]
AJ7867株(FERM P-22304)およびその誘導株からなる群より選択される藻類を培地で培養すること、
前記培養により生成した藻体からステロールを回収すること、
を含む、ステロールを製造する方法。
[2]
前記ステロールが、動物ステロール、植物ステロール、および真菌ステロールからなる群より選択される1種またはそれ以上のステロールである、前記方法。
[3]
前記ステロールが、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、グリコール酸、タウロコール酸、コール酸、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、エストリオール、デヒドロエピアンドロステロン、メチルアンドロステンジオール、5β−プレグナン−3α,20α−ジオール、プレグネノロン、ケノデオキシコール酸、デヒドロコール酸、ジヒドロキシコレステロール、ジギトキシゲニン、デスモステロール、ラソステロール、スチグマステロール、β−シトステロール、ブラシカステロール、カンペステロール、ジオスゲニン、オレアノール酸、ベツリン酸、ウルソール酸、ヘコゲニン、サルササポゲニン、イソフコステロール、アベナステロール、Δ7−スチグマステノール、Δ7−カンペステノール、フコステロール、サルガステロール、エルゴステロールからなる群より選択される1種またはそれ以上のステロールである、前記方法。
[4]
前記ステロールが、コレステロールである、前記方法。
[5]
前記藻類が、配列番号3に示す塩基配列を有するオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属藻類である、前記方法。
[6]
AJ7867株(FERM P-22304)およびその誘導株から選択される藻類。
[7]
配列番号3に示す塩基配列を有する、オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属藻類。
[8]
配列番号3に示す塩基配列を有するオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属藻類を培地で培養すること、
前記培養により生成した藻体からステロールを回収すること、
を含む、ステロールを製造する方法。
[9]
前記ステロールが、動物ステロール、植物ステロール、および真菌ステロールからなる群より選択される1種またはそれ以上のステロールである、前記方法。
[10]
前記ステロールが、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、グリコール酸、タウロコール酸、コール酸、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、エストリオール、デヒドロエピアンドロステロン、メチルアンドロステンジオール、5β−プレグナン−3α,20α−ジオール、プレグネノロン、ケノデオキシコール酸、デヒドロコール酸、ジヒドロキシコレステロール、ジギトキシゲニン、デスモステロール、ラソステロール、スチグマステロール、β−シトステロール、ブラシカステロール、カンペステロール、ジオスゲニン、オレアノール酸、ベツリン酸、ウルソール酸、ヘコゲニン、サルササポゲニン、イソフコステロール、アベナステロール、Δ7−スチグマステノール、Δ7−カンペステノール、フコステロール、サルガステロール、エルゴステロールからなる群より選択される1種またはそれ以上のステロールである、前記方法。
[11]
前記ステロールが、コレステロールである、前記方法。
[12]
前記藻類が、AJ7867株(FERM P-22304)およびその誘導株から選択される藻類である、前記方法。
[1]
AJ7867株(FERM P-22304)およびその誘導株からなる群より選択される藻類を培地で培養すること、
前記培養により生成した藻体からステロールを回収すること、
を含む、ステロールを製造する方法。
[2]
前記ステロールが、動物ステロール、植物ステロール、および真菌ステロールからなる群より選択される1種またはそれ以上のステロールである、前記方法。
[3]
前記ステロールが、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、グリコール酸、タウロコール酸、コール酸、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、エストリオール、デヒドロエピアンドロステロン、メチルアンドロステンジオール、5β−プレグナン−3α,20α−ジオール、プレグネノロン、ケノデオキシコール酸、デヒドロコール酸、ジヒドロキシコレステロール、ジギトキシゲニン、デスモステロール、ラソステロール、スチグマステロール、β−シトステロール、ブラシカステロール、カンペステロール、ジオスゲニン、オレアノール酸、ベツリン酸、ウルソール酸、ヘコゲニン、サルササポゲニン、イソフコステロール、アベナステロール、Δ7−スチグマステノール、Δ7−カンペステノール、フコステロール、サルガステロール、エルゴステロールからなる群より選択される1種またはそれ以上のステロールである、前記方法。
[4]
前記ステロールが、コレステロールである、前記方法。
[5]
前記藻類が、配列番号3に示す塩基配列を有するオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属藻類である、前記方法。
[6]
AJ7867株(FERM P-22304)およびその誘導株から選択される藻類。
[7]
配列番号3に示す塩基配列を有する、オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属藻類。
[8]
配列番号3に示す塩基配列を有するオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属藻類を培地で培養すること、
前記培養により生成した藻体からステロールを回収すること、
を含む、ステロールを製造する方法。
[9]
前記ステロールが、動物ステロール、植物ステロール、および真菌ステロールからなる群より選択される1種またはそれ以上のステロールである、前記方法。
[10]
前記ステロールが、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、グリコール酸、タウロコール酸、コール酸、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、エストリオール、デヒドロエピアンドロステロン、メチルアンドロステンジオール、5β−プレグナン−3α,20α−ジオール、プレグネノロン、ケノデオキシコール酸、デヒドロコール酸、ジヒドロキシコレステロール、ジギトキシゲニン、デスモステロール、ラソステロール、スチグマステロール、β−シトステロール、ブラシカステロール、カンペステロール、ジオスゲニン、オレアノール酸、ベツリン酸、ウルソール酸、ヘコゲニン、サルササポゲニン、イソフコステロール、アベナステロール、Δ7−スチグマステノール、Δ7−カンペステノール、フコステロール、サルガステロール、エルゴステロールからなる群より選択される1種またはそれ以上のステロールである、前記方法。
[11]
前記ステロールが、コレステロールである、前記方法。
[12]
前記藻類が、AJ7867株(FERM P-22304)およびその誘導株から選択される藻類である、前記方法。
本発明により、ステロールを生成する藻類が提供される。当該藻類を利用してステロールを製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<1>本発明の藻類
本発明の藻類は、高いステロール生成能を有する。本発明の藻類は、1種のステロールの生成能を有していてもよく、2種またはそれ以上のステロールの生成能を有していてもよい。
本発明の藻類は、高いステロール生成能を有する。本発明の藻類は、1種のステロールの生成能を有していてもよく、2種またはそれ以上のステロールの生成能を有していてもよい。
本発明の藻類は、例えば、AJ7867株(FERM P-22304)およびその誘導株から選択される藻類であってよい。
AJ7867株は、2016年1月8日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター(郵便番号292-0818、日本国千葉県木更津かずさ鎌足2-5-8 120号室)に、受託番号FERM P-22304の下に寄託されている。AJ7867株は、18S rDNA配列を指標とした分子系統解析により、オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属と類縁関係にあると考えられる。AJ7867株の18S rDNAの塩基配列を配列番号3に示す。すなわち、本発明の藻類は、例えば、配列番号3に示す塩基配列を有する、オーランチオキトリウム属藻類等の藻類であってもよい。
上記「誘導株」とは、AJ7867株を親株(祖先株)として構築された株であって、且つ、親株(祖先株)と同等以上のステロール生成能を有するものをいう。誘導株は、例えば、人為的な改変により育種されたものであってよい。人為的な改変としては、遺伝子工学的手法による改変や、突然変異処理による改変が挙げられる。突然変異処理としては、X線の照射、紫外線の照射、ならびにN−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)、エチルメタンスルフォネート(EMS)、およびメチルメタンスルフォネート(MMS)等の変異剤による処理が挙げられる。また、誘導株は、例えば、親株(祖先株)の使用の際に自然に生じたものであってもよい。そのような誘導株としては、例えば、AJ7867株を培養する際に自然に生じた変異株が挙げられる。誘導株は、1種の改変により構築されてもよく、2種またはそれ以上の改変の組み合わせにより構築されてもよい。
「誘導株が親株と同等以上のステロール生成能を有する」とは、誘導株を培地で培養した際に、藻体乾燥重量当たり、親株を同条件で培養した際に生成(すなわち蓄積)するステロール量の、70%以上、80%以上、90%以上、または95%以上の量でステロールを生成(蓄積)することを意味してよい。誘導株は、例えば、2.5%(w/w−DCW)以上、2.7%(w/w−DCW)以上、3.0%(w/w−DCW)以上、または3.3%(w/w−DCW)以上の量でステロールを生成(蓄積)してもよい。また、誘導株は、例えば、1.2%(w/w−DCW)以上、1.5%(w/w−DCW)以上、または2.0%(w/w−DCW)以上の量でコレステロールを生成(蓄積)してもよい。なお、「%(w/w−DCW)」とは、乾燥藻体重量(DCW)に対する対象物(ステロール等)の重量のパーセンテージを示す。培養条件は、本発明の藻類が十分に生育できるものであれば特に制限されない。そのような培養条件としては、後述する培養条件が挙げられる。また、そのような培養条件として、具体的には、実施例に記載の培養条件が挙げられる。ステロール量は、例えば、後述する手法により測定できる。なお、「ステロール量」とは、特記しない限り、遊離型のステロールの重量に換算した量をいう。
「ステロール」とは、C−3位に水酸基を有するステロイド誘導体の総称である。
「ステロイド」とは、シクロペンタノヒドロフェナントレン環骨格を有する化合物の総称である。
すなわち、「ステロール」とは、具体的には、C−3位に水酸基を有するシクロペンタノヒドロフェナントレン環骨格を有する化合物の総称である。ステロールの基本骨格、すなわちC−3位に水酸基を有するシクロペンタノヒドロフェナントレン環骨格、を下記式(1)に示す。
ステロールは、上記基本骨格において種々の置換基を有していてよい。ステロールが有する代表的な置換基としては、C−10位のメチル基、C−13位のメチル基、C−17位のアルキル基が挙げられる。アルキル基は、例えば、直鎖状でも分岐鎖状でも環状でもよく、飽和でも不飽和でもよい。また、シクロペンタノヒドロフェナントレン環骨格は、1またはそれ以上の二重結合を含んでいてもよい。
ステロイドが有する代表的な骨格としては、コレスタン(cholestane)、コラン(cholane)、プレグナン(pregnane)、アンドロスタン(androstane)、エストラン(estrane)が挙げられる。これら代表的なステロイド骨格をそれぞれ下記式(2−1)〜(2−5)に示す。すなわち、代表的なステロールとしては、下記式(2−1)〜(2−5)に示すステロイド骨格のC−3位に水酸基が導入された骨格を有する化合物が挙げられる。
ステロールとしては、動物ステロール、植物ステロール、真菌ステロールが挙げられる。「動物ステロール」、「植物ステロール」、「真菌ステロール」とは、それぞれ、動物、植物、真菌において見出されるステロールをいう。なお、ここでいう「植物」には、藻類も包含される。
動物ステロールとしては、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、グリコール酸、タウロコール酸、コール酸、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、エストリオール、デヒドロエピアンドロステロン、メチルアンドロステンジオール、5β−プレグナン−3α,20α−ジオール、プレグネノロン、ケノデオキシコール酸、デヒドロコール酸、ジヒドロキシコレステロール、ジギトキシゲニン、デスモステロール、ラソステロールが挙げられる。
植物ステロールとしては、スチグマステロール、β−シトステロール、ブラシカステロール、カンペステロール、ジオスゲニン、オレアノール酸、ベツリン酸、ウルソール酸、ヘコゲニン、サルササポゲニン、イソフコステロール、アベナステロール、Δ7−スチグマステノール、Δ7−カンペステノール、フコステロール、サルガステロールが挙げられ
る。
る。
真菌ステロールとしては、エルゴステロールが挙げられる。
ステロールは、例えば、遊離型、脂肪酸エステル型、配糖体型等の形態で存在し得る。すなわち、「ステロール」とは、特記しない限り、遊離型のステロール、ステロール脂肪酸エステル、ステロール配糖体、またはそれらの混合物を意味してよい。
<2>本発明の藻類の利用
本発明の藻類は、例えば、ステロールの製造に利用できる。すなわち、本発明の方法は、本発明の藻類を培地で培養すること、および前記培養により生成した藻体からステロールを回収すること、を含む、ステロールを製造する方法である。なお、本発明において、「藻体」とは、藻類を培地で培養して得られる藻類の細胞をいう。本発明の方法においては、1種のステロールが製造されてもよく、2種またはそれ以上のステロールが製造されてもよい。
本発明の藻類は、例えば、ステロールの製造に利用できる。すなわち、本発明の方法は、本発明の藻類を培地で培養すること、および前記培養により生成した藻体からステロールを回収すること、を含む、ステロールを製造する方法である。なお、本発明において、「藻体」とは、藻類を培地で培養して得られる藻類の細胞をいう。本発明の方法においては、1種のステロールが製造されてもよく、2種またはそれ以上のステロールが製造されてもよい。
使用する培地は、本発明の藻類が増殖でき、ステロールが生産される限り、特に制限されない。培地としては、例えば、ラビリンチュラ類等の従属栄養藻類の培養に用いられる通常の培地を用いることができる。培地は、炭素源、窒素源、リン酸源、硫黄源、その他の各種有機成分や無機成分から選択される成分を必要に応じて含有してよい。培地として、具体的には、例えば、0〜1×人工海水で調製したGPY培地(実施例)が挙げられる。
炭素源として、具体的には、例えば、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、廃糖蜜、澱粉加水分解物、バイオマスの加水分解物等の糖類、酢酸やクエン酸等の有機酸類、エタノール、グリセロール、粗グリセロール等のアルコール類、脂肪酸類が挙げられる。炭素源としては、1種の炭素源を用いてもよく、2種またはそれ以上の炭素源を組み合わせて用いてもよい。
窒素源として、具体的には、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、大豆タンパク質分解物等の有機窒素源、アンモニア、ウレアが挙げられる。pH調整に用いられるアンモニアガスやアンモニア水を窒素源として利用してもよい。窒素源としては、1種の窒素源を用いてもよく、2種またはそれ以上の窒素源を組み合わせて用いてもよい。
リン酸源として、具体的には、例えば、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2カリウム等のリン酸塩、ピロリン酸等のリン酸ポリマーが挙げられる。リン酸源としては、1種のリン酸源を用いてもよく、2種またはそれ以上のリン酸源を組み合わせて用いてもよい。
硫黄源として、具体的には、例えば、硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩等の無機硫黄化合物、システイン、シスチン、グルタチオン等の含硫アミノ酸が挙げられる。硫黄源としては、1種の硫黄源を用いてもよく、2種またはそれ以上の硫黄源を組み合わせて用いてもよい。
その他の各種有機成分や無機成分として、具体的には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類;鉄、マンガン、マグネシウム、カルシウム等の微量金属類;ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ビタミンB12等のビタミン類;アミノ酸類;核酸類;これらを含有するペプトン、カザミノ酸、酵母エキス、大豆タンパク質分解物等の有機成分が挙げられる。その他の各種有機成分や無機成分としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
培養条件は、本発明の藻類が増殖でき、ステロールが生産される限り、特に制限されない。培養は、例えば、ラビリンチュラ類等の従属栄養藻類の培養に用いられる通常の条件で行うことができる。
培養は、液体培地を用いて行うことができる。培養の際には、本発明の藻類を寒天培地等の固体培地で培養したものを直接液体培地に接種してもよく、本発明の藻類を液体培地で種培養したものを本培養用の液体培地に接種してもよい。すなわち、培養は、種培養と本培養とに分けて行われてもよい。その場合、種培養と本培養の培養条件は、同一であってもよく、そうでなくてもよい。培養開始時に培地に含有される本発明の藻類の量は特に制限されない。本培養は、例えば、本培養の培地に、種培養液を1〜50%(v/v)植菌することにより行ってよい。
培養は、回分培養(batch culture)、流加培養(Fed-batch culture)、連続培養(continuous culture)、またはそれらの組み合わせにより実施することができる。なお、培養開始時の培地を、「初発培地」ともいう。また、流加培養または連続培養において培養系(発酵槽)に供給する培地を、「流加培地」ともいう。また、流加培養または連続培養において培養系に流加培地を供給することを、「流加」ともいう。なお、培養が種培養と本培養とに分けて行われる場合、例えば、種培養と本培養を、共に回分培養で行ってもよい。また、例えば、種培養を回分培養で行い、本培養を流加培養または連続培養で行ってもよい。
培養は、例えば、好気条件で行うことができる。好気条件とは、液体培地中の溶存酸素濃度が、酸素膜電極による検出限界である0.33ppm以上であることをいい、好ましくは1.5ppm以上であることであってよい。酸素濃度は、例えば、飽和酸素濃度の5〜50%、好ましくは10%程度に制御されてもよい。好気条件での培養は、具体的には、通気培養、振盪培養、撹拌培養、またはそれらの組み合わせで行うことができる。培地のpHは、例えば、pH3〜10、好ましくはpH4.0〜9.5であってよい。培養中、必要に応じて培地のpHを調整することができる。培地のpHは、アンモニアガス、アンモニア水、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、塩酸、硫酸等の各種アルカリ性または酸性物質を用いて調整することができる。培養温度は、例えば、20〜35℃、好ましくは25℃〜35℃であってよい。培養期間は、例えば、10時間〜120時間であってよい。培養は、例えば、培地中の炭素源が消費されるまで、あるいは本発明の藻類の活性がなくなるまで、継続してもよい。このような条件下で本発明の藻類を培養することにより、ステロールを含有する藻体が生成する。
ステロールは藻体から適宜回収することができる。すなわち、藻体からステロールを抽出して回収することができる。藻体は、培地に含まれたままステロールの抽出に供してもよく、培地から回収してからステロールの抽出に供してもよい。また、藻体は、すなわち藻体を含む培地や培地から回収された藻体は、適宜、希釈、濃縮、凍結、融解、乾燥等の処理に供してから、ステロールの抽出に供してもよい。これらの処理は、単独で、あるいは適宜組み合わせて行ってもよい。これらの処理は、ステロールの抽出法の種類等の諸条件に応じて適宜選択することができる。
藻体を培地から回収する手法は特に制限されず、例えば公知の手法(Grima, E. M. et al. 2003. Biotechnol. Advances 20: 491-515)を利用できる。具体的には、例えば、自然沈降、遠心分離、濾過等の手法により、藻体を培地から回収することができる。また、その際、凝集剤(flocculant)を利用してもよい。回収した藻体は、適当な媒体を用いて適宜洗浄することができる。また、回収した藻体は、適当な媒体を用いて適宜再懸濁する
ことができる。洗浄や懸濁に利用できる媒体としては、例えば、水や水性緩衝液等の水性媒体(水性溶媒)、メタノール等の有機媒体(有機溶媒)、およびそれらの混合物が挙げられる。媒体は、ステロールの抽出法の種類等の諸条件に応じて適宜選択することができる。
ことができる。洗浄や懸濁に利用できる媒体としては、例えば、水や水性緩衝液等の水性媒体(水性溶媒)、メタノール等の有機媒体(有機溶媒)、およびそれらの混合物が挙げられる。媒体は、ステロールの抽出法の種類等の諸条件に応じて適宜選択することができる。
ステロールを抽出する手法は特に制限されず、例えば公知の手法を利用できる。そのような手法としては、例えば、一般的な藻類から脂質を抽出する手法が挙げられる。そのような手法として、具体的には、例えば、有機溶剤処理、超音波処理、ビーズ破砕処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理、水熱処理、超臨界処理、マイクロ波処理、電磁場処理、圧搾処理が挙げられる。これらの手法は、単独で、あるいは適宜組み合わせて利用することができる。
有機溶剤処理に用いられる有機溶剤は、藻体からステロールを抽出できるものであれば特に制限されない。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、n−ヘキサン等のアルカン類、クロロホルムが挙げられる。有機溶剤による脂質の抽出法としては、Bligh-Dyer法やFolch法が挙げられる。有機溶剤としては、1種の有機溶剤を用いてもよく、2種またはそれ以上の有機溶剤を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ処理のpHは、藻体からステロールを抽出できるpHであれば特に制限されない。アルカリ処理のpHは、通常にはpH 8.5以上、好ましくはpH 10.5以上、さらに好ましくはpH 11.5以上であってよく、pH 14以下であってよい。アルカリ処理の温度は、通常には30℃以上、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは70℃以上であってよい。アルカリ処理の温度は、好ましくは120℃以下であってよい。アルカリ処理の時間は、通常には10分以上、好ましくは30分以上、さらに好ましくは50分以上であってよい。アルカリ処理の時間は、好ましくは150分以下であってよい。アルカリ処理には、NaOHやKOH等のアルカリ性物質を利用することができる。
抽出したステロールの回収は、化合物の分離精製に用いられる公知の手法により行うことができる。そのような手法としては、例えば、イオン交換樹脂法や膜処理法が挙げられる。これらの手法は、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
回収されたステロールは、ステロール以外に、藻体、培地成分、水分、抽出処理に用いられた成分、本発明の藻類の代謝副産物等の成分を含んでいてよい。ステロールは、所望の程度に精製されていてよい。ステロールの純度は、例えば、1%(w/w)以上、2%(w/w)以上、5%(w/w)以上、10%(w/w)以上、30%(w/w)以上、50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、90%(w/w)以上、または95%(w/w)以上であってよい。
ステロールの種類および量は、化合物の検出または同定に用いられる公知の手法により決定することができる。そのような手法としては、例えば、HPLC、LC/MS、GC/MS、NMRが挙げられる。これらの手法は、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
回収されるステロールは、例えば、遊離型のステロール、ステロール脂肪酸エステル、ステロール配糖体、またはそれらの混合物であってよい。また、ステロールが脂肪酸エステル型または配糖体型で存在する場合、加水分解により遊離型のステロールを生成することもできる。加水分解は常法により実施できる。例えば、ステロール脂肪酸エステルはエステラーゼにより、ステロール配糖体はグリコシダーゼにより、それぞれ酵素的に加水分
解できる。
解できる。
ステロールは、種々の用途に利用できる。ステロールの用途は特に制限されない。ステロールは、例えば、そのまま単独で、あるいは他の成分と配合して、あるいは他の成分の原料として、利用できる。ステロールの用途としては、食品添加物、飼料添加物、健康食品、医薬品、医薬原料、化成品、化成品原料、化粧品成分、化粧品原料が挙げられる。飼料としては、畜産飼料や水産飼料が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
〔実施例1〕ラビリンチュラのステロール蓄積株の取得
沖縄県の川の水を含んだ葉の腐敗物のサンプルを採取した。サンプルに松の花粉(宮崎県で採取)を適量添加し、室温で8日間静置した。0.5×人工海水で調製した0.1×ライヒマニ保存用培地(ニッスイ)に終濃度がそれぞれ50mg/LとなるようにペニシリンGカルシウムやストレプトマイシン硫酸塩を加え、さらに終濃度がそれぞれ2mg/L、0.01mg/L、0.01mg/LとなるようにビタミンB1(ナカライ)、ビタミンB2(ナカライ)、及びビタミンB12(ナカライ)を加えた培地のプレートに、前記静置後のサンプルを100μl播種した。各々のプレートを、28℃で4日間培養し、得られたコロニーを同培地で画線分離し、コロニーの純化を実施した。このようにして取得した株をAJ7867株と命名した。尚、1×ライヒマニ保存用培地(ニッスイ)と1×人工海水の組成は以下のとおりである。
沖縄県の川の水を含んだ葉の腐敗物のサンプルを採取した。サンプルに松の花粉(宮崎県で採取)を適量添加し、室温で8日間静置した。0.5×人工海水で調製した0.1×ライヒマニ保存用培地(ニッスイ)に終濃度がそれぞれ50mg/LとなるようにペニシリンGカルシウムやストレプトマイシン硫酸塩を加え、さらに終濃度がそれぞれ2mg/L、0.01mg/L、0.01mg/LとなるようにビタミンB1(ナカライ)、ビタミンB2(ナカライ)、及びビタミンB12(ナカライ)を加えた培地のプレートに、前記静置後のサンプルを100μl播種した。各々のプレートを、28℃で4日間培養し、得られたコロニーを同培地で画線分離し、コロニーの純化を実施した。このようにして取得した株をAJ7867株と命名した。尚、1×ライヒマニ保存用培地(ニッスイ)と1×人工海水の組成は以下のとおりである。
<1×ライヒマニ保存用培地(ニッスイ)の組成>
酵母エキス 8.5 g
ペプトン 8.5 g
グルコース 11 g
リン酸二水素カリウム 2.0 g
トマトジュース末 3.7 g
ポリソルベート80 1.0 g
寒天 15 g
超純水 1000 ml
酵母エキス 8.5 g
ペプトン 8.5 g
グルコース 11 g
リン酸二水素カリウム 2.0 g
トマトジュース末 3.7 g
ポリソルベート80 1.0 g
寒天 15 g
超純水 1000 ml
<1×人工海水の組成>
NaCl 30 g
KCl 0.7 g
MgCl2・6H2O 10.8 g
MgSO4・7H2O 5.4 g
CaCl2・2H2O 1 g
超純水 1000 ml
NaCl 30 g
KCl 0.7 g
MgCl2・6H2O 10.8 g
MgSO4・7H2O 5.4 g
CaCl2・2H2O 1 g
超純水 1000 ml
〔実施例2〕ステロール蓄積株の分子系統解析
上記のようにして単離されたAJ7867株について、ラビリンチュラの18S rDNA領域増幅用ユニバーサルプライマー(配列番号1、2)を用いて、18S rDNA領域の塩基配列を指標とした分子系統解析を行った。配列決定したAJ7867株の18S rDNA領域の塩基配列を、配列番号3に示す。既知のラビリンチュラ類の18S rDNA領域の塩基配列のアラインメント・ファイル(Mayumi Ueda, et al., Seasonal dynamics of culturable thraustochytrids (Labyrinthulomycetes, Stramenopile) in estuarine and coastal waters., Aquatic Microbial Ecology. 2015 ;74:187-204)に上記の配列番号3を含めてアラインメントし系統解析を行った。系統解析は、MEGA 6.06を使用し、Tamura & Nei modelを適用した近隣結合(NJ)法により行った。なお、アラインメントによるギャップが含まれたサイトは、系統
解析に含めていない。得られた系統樹を図1に示す。図中、各ノードの数値は、1000回のbootstrap re-samplingによる支持率を示す。この結果、AJ7867株はオーランチオキトリウム属と類縁関係にあることが明らかになったため、同株をAurantiochytrium sp. AJ7867株と命名した。
上記のようにして単離されたAJ7867株について、ラビリンチュラの18S rDNA領域増幅用ユニバーサルプライマー(配列番号1、2)を用いて、18S rDNA領域の塩基配列を指標とした分子系統解析を行った。配列決定したAJ7867株の18S rDNA領域の塩基配列を、配列番号3に示す。既知のラビリンチュラ類の18S rDNA領域の塩基配列のアラインメント・ファイル(Mayumi Ueda, et al., Seasonal dynamics of culturable thraustochytrids (Labyrinthulomycetes, Stramenopile) in estuarine and coastal waters., Aquatic Microbial Ecology. 2015 ;74:187-204)に上記の配列番号3を含めてアラインメントし系統解析を行った。系統解析は、MEGA 6.06を使用し、Tamura & Nei modelを適用した近隣結合(NJ)法により行った。なお、アラインメントによるギャップが含まれたサイトは、系統
解析に含めていない。得られた系統樹を図1に示す。図中、各ノードの数値は、1000回のbootstrap re-samplingによる支持率を示す。この結果、AJ7867株はオーランチオキトリウム属と類縁関係にあることが明らかになったため、同株をAurantiochytrium sp. AJ7867株と命名した。
〔実施例3〕ステロール生産培養
AJ7867株のステロール生産能の評価のために、既存のラビリンチュラのステロール生産株であるThraustochytrium sp. ATCC26185株を対照株として、ステロール生産能の比較を行った。
AJ7867株のステロール生産能の評価のために、既存のラビリンチュラのステロール生産株であるThraustochytrium sp. ATCC26185株を対照株として、ステロール生産能の比較を行った。
AJ7867株とATCC26185株を、0.5×人工海水で調製した0.2×ライヒマニ保存用培地(ニッスイ)に終濃度がそれぞれ2mg/L、0.01mg/L、0.01mg/LとなるようにビタミンB1(ナカライ)、ビタミンB2(ナカライ)、及びビタミンB12(ナカライ)を加えた培地のプレートに播種し、25℃で60時間培養した。そのプレート培地上の細胞を6白金耳分掻き取り、下記組成の0.25×人工海水で調製したGPY培地30 mLを入れた300ml容量バッフル付の三角フラスコに植菌し、培養温度25℃、撹拌120rpm(ロータリー)にて、24時間培養を行った。得られた培養液を0.25×人工海水で調製したGTY培地45mlを入れた500ml容量バッフル付の三角フラスコに5ml植菌し、培養温度25℃、撹拌120rpm(ロータリー)にて、51時間培養を行った。
<GPY培地の組成>
(A区)
グルコース 20 g/L
(B区)
ポリペプトン 10 g/L
酵母エキス 5 g/L
(C区)
ビタミンB1 2 mg/L
ビタミンB2 0.01 mg/L
ビタミンB12 0.01 mg/L
(D区)
MES 8.79 g/L
B区はHClを用いてpH6.0に調整した後、A区はpH無調整にて、それぞれ120℃で10分オートクレーブした。D区はNaOHを用いてpH6.0に調整した後、C区はpH無調整にて、それぞれフィルター濾過を行った。A区とB区を室温に冷却後、4区を混合した。
(A区)
グルコース 20 g/L
(B区)
ポリペプトン 10 g/L
酵母エキス 5 g/L
(C区)
ビタミンB1 2 mg/L
ビタミンB2 0.01 mg/L
ビタミンB12 0.01 mg/L
(D区)
MES 8.79 g/L
B区はHClを用いてpH6.0に調整した後、A区はpH無調整にて、それぞれ120℃で10分オートクレーブした。D区はNaOHを用いてpH6.0に調整した後、C区はpH無調整にて、それぞれフィルター濾過を行った。A区とB区を室温に冷却後、4区を混合した。
<GTY培地の組成>
(A区)
グルコース 50 g/L
(B区)
トリプトン 10 g/L
酵母エキス 5 g/L
(C区)
ビタミンB1 2 mg/L
ビタミンB2 0.01 mg/L
ビタミンB12 0.01 mg/L
(D区)
MES 8.79 g/L
B区はHClを用いてpH6.0に調整した後、A区はpH無調整にて、それぞれ120℃で10分オートクレーブした。D区はNaOHを用いてpH6.0に調整した後、C区はpH無調整にて、それぞれ
フィルター濾過を行った。A区とB区を室温に冷却後、4区を混合した。
(A区)
グルコース 50 g/L
(B区)
トリプトン 10 g/L
酵母エキス 5 g/L
(C区)
ビタミンB1 2 mg/L
ビタミンB2 0.01 mg/L
ビタミンB12 0.01 mg/L
(D区)
MES 8.79 g/L
B区はHClを用いてpH6.0に調整した後、A区はpH無調整にて、それぞれ120℃で10分オートクレーブした。D区はNaOHを用いてpH6.0に調整した後、C区はpH無調整にて、それぞれ
フィルター濾過を行った。A区とB区を室温に冷却後、4区を混合した。
培養終了後、培養液0.5mlを遠心分離し、得られた沈殿物からBligh-Dyer法を利用して脂質の抽出を行い、脂質抽出物を得た。脂質抽出物中のステロールエステルを加水分解するために、脂肪酸をメチル化する一方でステロールエステルを加水分解できる脂肪酸メチル化キット(ナカライ)を用いた。得られたヘキサン層をガスクロマトグラフィーにアプライして各ステロールの定量を実施した。また、乾燥藻体重量(DCW)は、培養液0.5mlを遠心分離し、得られた沈殿物を50℃で3日間乾燥させた後に重量測定した値からエッペンチューブの重量を差し引いて算出した。結果を表1に示す。結果、AJ7867は、ATCC26185よりもDCWが1.23倍高いことに加えて、コレステロール/DCW(%)とスチグマステロール/DCW(%)もATCC26185よりもそれぞれ1.9倍と1.3倍高いことが示された。
<配列表の説明>
配列番号1、2:プライマー
配列番号3:AJ7867株(FERM P-22304)の18S rDNA領域の塩基配列
配列番号1、2:プライマー
配列番号3:AJ7867株(FERM P-22304)の18S rDNA領域の塩基配列
Claims (12)
- AJ7867株(FERM P-22304)およびその誘導株から選択される藻類を培地で培養すること、
前記培養により生成した藻体からステロールを回収すること、
を含む、ステロールを製造する方法。 - 前記ステロールが、動物ステロール、植物ステロール、および真菌ステロールからなる群より選択される1種またはそれ以上のステロールである、請求項1に記載の方法。
- 前記ステロールが、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、グリコール酸、タウロコール酸、コール酸、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、エストリオール、デヒドロエピアンドロステロン、メチルアンドロステンジオール、5β−プレグナン−3α,20α−ジオール、プレグネノロン、ケノデオキシコール酸、デヒドロコール酸、ジヒドロキシコレステロール、ジギトキシゲニン、デスモステロール、ラソステロール、スチグマステロール、β−シトステロール、ブラシカステロール、カンペステロール、ジオスゲニン、オレアノール酸、ベツリン酸、ウルソール酸、ヘコゲニン、サルササポゲニン、イソフコステロール、アベナステロール、Δ7−スチグマステノール、Δ7−カンペステノール、フコステロール、サルガステロール、エルゴステロールからなる群より選択される1種またはそれ以上のステロールである、請求項1に記載の方法。
- 前記ステロールが、コレステロールである、請求項1に記載の方法。
- 前記藻類が、配列番号3に示す塩基配列を有するオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属藻類である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- AJ7867株(FERM P-22304)およびその誘導株から選択される藻類。
- 配列番号3に示す塩基配列を有する、オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属藻類。
- 配列番号3に示す塩基配列を有するオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属藻類を培地で培養すること、
前記培養により生成した藻体からステロールを回収すること、
を含む、ステロールを製造する方法。 - 前記ステロールが、動物ステロール、植物ステロール、および真菌ステロールからなる群より選択される1種またはそれ以上のステロールである、請求項8に記載の方法。
- 前記ステロールが、コレステロール、7−デヒドロコレステロール、グリコール酸、タウロコール酸、コール酸、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、エストリオール、デヒドロエピアンドロステロン、メチルアンドロステンジオール、5β−プレグナン−3α,20α−ジオール、プレグネノロン、ケノデオキシコール酸、デヒドロコール酸、ジヒドロキシコレステロール、ジギトキシゲニン、デスモステロール、ラソステロール、スチグマステロール、β−シトステロール、ブラシカステロール、カンペステロール、ジオスゲニン、オレアノール酸、ベツリン酸、ウルソール酸、ヘコゲニン、サルササポゲニン、イソフコステロール、アベナステロール、Δ7−スチグマステノール、Δ7−カンペステノール、フコステロール、サルガステロール、エルゴステロールからなる群より選択される1種またはそれ以上のステロールである、請求項8に記載の方法。
- 前記ステロールが、コレステロールである、請求項8に記載の方法。
- 前記藻類が、AJ7867株(FERM P-22304)およびその誘導株から選択される藻類である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
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2017
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