JP2019067962A - 発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光装置の軸上光度を向上させ、蛍光体板を安定して接着させること。
【解決手段】発光装置は、実装基板1と、実装基板1上にフリップチップ実装された発光素子2と、発光素子2上に接着剤4を介して接着された蛍光体板3と、発光素子2を囲むダム5と、ダム5に囲まれた領域を埋める反射材6と、によって構成されている。基板10の裏面(n層11が接する側とは反対側の面)には、凹凸加工が施されている。基板10裏面の凹凸形状は、複数の凸部10aが周期的に配列されたパターンである。凸部10aは円錐台であり、三角格子状に周期的に配列されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、基板裏面に凹凸形状が設けられた発光素子と、基板裏面に接着された蛍光体板とを有した発光装置に関するものである。
車載用などの耐熱性が要求されるパッケージでは、発光素子としてフリップチップ型のものを用い、蛍光体を無機材料に混合した蛍光体板を発光素子の基板裏面(光取り出し側の面)に接着している。GaN基板を使用した発光素子では、光取り出しが悪いため、発光素子の裏面に凹凸形状を設け、蛍光体板への光の入射効率を高めている。
凹凸形状の形成方法としては、基板裏面に、凸部が周期的に配列されたパターンのマスクをナノインプリント法によって形成し、マスクが全て除去されるまでドライエッチングすることで形成する方法がある。この場合、凸部の形状は釣鐘状や半球状となる。
特許文献1には、発光素子の基板裏面に、蛍光体が混合された樹脂層を介して、透明板を設けた発光装置が記載されている。そして、基板裏面はKOH等によるウェットエッチングによって凹凸形状が設けられていることが記載されている。
また、特許文献2には、発光素子の基板裏面と蛍光体板の発光素子側の面に凹凸形状を設けた発光装置が記載されている。この凹凸形状の具体的な形状については記載がなく、その形成方法についても記載はない。
特開2015−26753号公報 国際公開第2010/082286号
しかし、基板裏面の凹凸形状における凸部を釣鐘状や半球状とすると、軸上光度が十分に向上しない。
また、蛍光体板はセラミックのため表面に粗さがあり、基板裏面の凹凸形状における凸部を釣鐘状や半球状にすると、蛍光体板表面の凹凸に引っかかって凸部が破損してしまう場合がある。
また、凸部形状を釣鐘状や半球状とすると、形成時のエッチング速度の面内ばらつきによって凸部の高さにばらつきが生じやすい。特許文献1のようにウェットエッチングにより凹凸形状を形成する場合も同様に、高さのばらつきが生じてしまう。
このように凸部の高さにばらつきがあったり、凸部が破損していると、基板裏面に蛍光体板を配置する際にぐらついたり、ずれが生じてしまう。
そこで本発明の目的は、軸上光度が高く、蛍光体板を安定させることができる構造の発光装置を実現することである。
本発明は、実装基板と、基板と基板上に積層された半導体層とを有し、実装基板上にフリップチップ実装された発光素子と、基板の裏面に接着剤を介して接着された蛍光体板と、を備えた発光装置において、基板の裏面は、錐台状の凸部が周期的に配列されたパターンの凹凸形状を有している、ことを特徴とする発光装置である。
凸部の配列周期は、発光素子の発光波長の0.75〜1.25倍とし、凸部の直径は、配列周期の0.25〜0.75倍とするのがよい。この範囲とすることで、光取り出しをより向上させることができ、軸上強度をより向上させることができる。
凸部の側面は、前記基板の主面に対して50〜70°の傾斜とするのがよい。傾斜角度をこの範囲とすることで光取り出しをより向上させることができ、また軸上強度をより向上させることができる。また、傾斜角度がこれよりも小さいと、凸部の上面の面積が小さくなり、蛍光体板3との接触面積が小さくなるため、蛍光体板を安定して配置することが難しくなる。
凸部の高さは、前記発光素子の発光波長の0.5〜1.5倍とするのがよい。1.5倍よりも高いと、光が広がって軸上強度が十分に向上しない場合がある。0.5倍よりも低いと光取り出しを向上させる効果が弱くなる。
凸部の上面の面積の合計は、基板の面積の10〜40%とするのがよい。10%未満では、蛍光体板との接触面積が小さく、蛍光体板を十分に安定化できない可能性がある。また、40%より大きいと、光取り出しが十分でなくなる場合がある。
凸部は、三角格子状の配列とすることが好ましい。光の広がりを抑え、軸上光度をより向上させることができる。
本発明では、発光素子の基板裏面の凸部形状を錐台状としており、基板主面に平行な平坦な上面を有した形状としている。そのため、発光素子からの光取り出しを向上させることができ、蛍光体板への光の入射を高めることができ、発光装置の軸上強度を向上させることができる。また、発光素子の基板裏面に蛍光体板を安定して配置することができる。
実施例1の発光装置の構成について示した図。 発光素子2の構成について示した図。 基板10裏面の凹凸形状のパターンを示した図。 基板10裏面の凹凸形状の断面を示した図。 発光素子2の製造工程について示した図。 発光素子2の製造工程について示した図。 マスク20の除去工程について示した図。 実施例1の発光装置の製造工程について示した図。 基板10裏面の凹凸形状を撮影したSEM画像。 軸上強度を比較したグラフ。
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
図1は、実施例1の発光装置の構成を示した図である。実施例1の発光装置は、図1に示すように、実装基板1と、実装基板1上にフリップチップ実装された発光素子2と、発光素子2上に接着剤4を介して接着された蛍光体板3と、発光素子2を囲むダム5と、ダム5に囲まれた領域を埋める反射材6と、によって構成されている。
(実装基板1の構成)
実装基板1は、AlNからなるセラミック基板である。実装基板1表面には配線パターンが形成され(図示しない)、発光素子2と接続されている。なお、実装基板1の材料はAlNに限らず、SiC、SiN、Al2 3 、などを用いることができる。ただし、放熱性の点からAlNを用いることが好ましい。
(発光素子2の構成)
図2は、発光素子2の構成を示した図である。発光素子2は、図2に示すように、GaNからなる基板10と、基板10表面上に順に積層されたn層11、発光層12、p層13と、を有している。また、p層13上には透明電極14が設けられ、透明電極14上にはp電極15が設けられている。また、p層13表面からn層11に達する溝が設けられ、その溝の底面に露出するn層11上にn電極16が設けられている。また、p電極15上、およびn電極16上を除いて上面は絶縁膜17に覆われている。発光素子2は青色発光のフリップチップ型素子であり、基板10裏面側(n層11が設けられている側とは反対側の面)から光を取り出す構造である。
実装基板1上には、4つの発光素子2が2×2の正方格子状に配列されてフリップチップ実装されている。発光素子2のp電極15、およびn電極16側を実装基板1側に向け、基板10裏面を上面に向けた状態であり、実装基板1の配線パターンと発光素子2のp電極15、n電極16とが、Auバンプやはんだを介して電気的に接続されている。
次に、発光素子2の各構成についてより詳しく説明する。
基板10はGaNに限らず、発光波長に対して透光性を有した材料であれば任意の材料を用いることができる。たとえば、GaN以外のAlN、AlGaN、InGaNなどのIII 族窒化物半導体、サファイア、SiCなどを用いることができる。ただし、III 族窒化物半導体を用いる場合に好適である。III 族窒化物半導体からなる基板10では、サファイアなどに比べて光取り出しが難しいが、実施例1によるとIII 族窒化物半導体からなる基板10であっても光取り出しを向上させることができる。
基板10の裏面(n層11が接する側とは反対側の面)には、凹凸加工が施されている。この凹凸により光取り出しの向上を図っている。図3は、基板10裏面の凹凸形状の平面パターンを示した図であり、図4は断面形状(図3中A−Aでの断面)を示した図である。図3、4のように、基板10裏面の凹凸形状は、複数の凸部10aが周期的に配列されたパターンである。凸部10aは円錐台であり、三角格子状に周期的に配列されている。
凸部10aの形状は角錐台形状でもよい。要するに、基板10主面に対して平行な上面を有した錐台状であればよい。ただし、作製の容易さや光の広がりの対称性などの点から、実施例1のように円錐台とすることが好ましい。また、凸部10aの配列パターンは、三角格子以外にも正方格子など任意の周期的なパターンとすることができるが、三角格子とすることが望ましい。光の広がりを抑え、軸上光度をより向上させることができる。
凸部10aの高さHは、発光素子2の発光波長をλとして、λの0.5〜1.5倍とすることが望ましい。1.5倍よりも高いと、光が広がって軸上強度が十分に向上しないため望ましくない。また、0.5倍よりも低いと光取り出しを向上させる効果が弱くなり望ましくない。より望ましくは0.6〜1.4倍、さらに望ましくは0.75〜1.25倍である。
また、凸部10aの高さHのばらつき(高さHの最大値と最小値との差)は、30nm以下とすることが望ましい。基板10裏面に蛍光体板3を配置するときの蛍光体板3の傾きやずれがより抑制され、蛍光体板3をより安定して配置することができる。より望ましくは20nm以下、さらに望ましくは10nm以下である。
凸部10aの側面の傾斜角度θ(基板10主面に対する側面の角度)は、50〜70°とすることが望ましい。傾斜角度θをこの範囲とすることで光取り出しをより向上させることができ、また軸上強度をより向上させることができる。また、傾斜角度θがこれよりも小さいと、凸部10aの上面の面積が小さくなり、蛍光体板3との接触面積が小さくなるため、蛍光体板3を安定して配置することが難しくなる。より望ましい傾斜角度θは、52〜68°であり、さらに望ましくは54〜66°である。
凸部10aの配列周期S(隣接する凸部10aの中心間の距離)は、発光波長λの0.75〜1.25倍とすることが望ましい。この範囲とすることで、光取り出しをより向上させることができ、軸上強度をより向上させることができる。より望ましくは0.8〜1.2倍であり、さらに望ましくは0.9〜1.1倍である。
凸部10aの直径Rは、配列周期Sの0.25〜0.75倍とすることが望ましい。ここで直径Rは、円錐台の下面の直径である。凸部10aが円錐台でない場合には下面の外接円の直径とする。直径Rをこの範囲とすることで、光取り出しをより向上させることができ、軸上強度をより向上させることができる。より望ましくは0.3〜0.7倍であり、さらに望ましくは0.4〜0.6倍である。
また、凸部10a上面の面積の合計は、基板10の面積に対して10〜40%とすることが好ましい。10%未満では、蛍光体板3との接触面積が小さく、蛍光体板3を十分に安定化できない可能性がある。また、40%より大きいと、光取り出しが十分でなくなる場合がある。より望ましくは15〜35%であり、さらに望ましくは20〜30%である。
(蛍光体板3の構成)
蛍光体板3は、青色の波長帯を吸収して黄色の波長の光を発光する蛍光体(たとえばYAG蛍光体)とアルミナを混合して焼結した平板状のセラミック板である。蛍光体板3は、接着剤4によって発光素子2の基板10裏面に接着されている。実施例1の発光装置では、発光素子2から放射される青色光の一部を蛍光体板3により黄色光に変換し、青色光と黄色光を混合することにより白色発光を実現している。実施例1では蛍光体板3の両面は平坦であるが、一方の面あるいは両面に凹凸形状を設けて光取り出しの向上を図ってもよい。また、黄色蛍光体に限らず、発光素子2からの光を吸収して異なる波長の光を発光する蛍光体であれば任意でよい。また、セラミックに限らず、ガラス材料などであってもよい。
蛍光体板3は発光素子2の基板10よりもサイズが大きく、基板10裏面の端部からひさし状に迫り出している。そして、そのひさし下の領域に、発光素子2と蛍光体板3と接着の際にはみ出した接着剤4が硬化している。このはみ出した接着剤4は、蛍光体板3の発光素子2側の表面と発光素子2の側面の双方に接し、また反射材6と接する側面は逆テーパー状の傾斜を有している。逆テーパー状とは、光取り出し側に向かうにつれて(実装基板1から離れるにつれて)、実装基板1主面に平行な面での断面積が増加するような傾斜角度である。この傾斜のため、発光素子2から基板10主面に平行な方向に放射される光を軸上方向(基板10主面に垂直な方向)に反射させることができ、軸上光度を向上させることができる。なお、発光素子2と蛍光体板3との間には極薄く接着剤4の層が形成されているが、図1においては図示しない。
接着剤4の材料は、基板10の屈折率よりも高く蛍光体板3の屈折率よりも小さな屈折率のものを用いることが好ましい。基板10からの光取り出しをより向上させることができる。
ここで、基板10裏面の凹凸形状における凸部10aは、円錐台状であるため、基板10主面に対して水平で平坦な上面を有している。そして、凸部10aの高さはばらつきが少ない。そのため、基板10裏面に蛍光体板3を載せた際に、基板10裏面と蛍光体板3との接触面積が広くなり、蛍光体板3の傾きやずれなどを抑制することができ、蛍光体板3を安定して配置することができる。
(ダム5の構成)
ダム5は、実装基板1上に設けられており、発光素子2が実装された領域を囲うようにして壁状に設けられている。このダム5に囲われた領域内を反射材6が埋めている。反射材6は白色の樹脂であり、発光素子2からの光を軸方向に反射させる役割である。
以上、実施例1の発光装置によれば、発光素子2の基板裏面の凹凸形状において、凸部10aの形状を円錐台状としているため、発光素子2からの光取り出しが向上しており、軸上光度が向上している。
また、凸部10aは円錐台状であり、基板10主面に対して水平で平坦な上面を有した形状であり、凸部10aの高さのばらつきも少ないことから、基板10裏面に蛍光体板3を配置した際に基板10裏面と蛍光体板3との接触面積が広く、蛍光体板3を安定させることができる。そのため、蛍光体板3への光の入射も増加し、効率的に光の波長を変換できる。
次に、実施例1の発光装置の製造工程について、図を参照に説明する。
まず、以下のようにして発光素子2を作製する。GaNからなる基板10を用意し、基板10上に、発光素子2の素子構造を形成する。具体的には、まず、基板10上に、MOCVD法によってn層11、発光層12、p層13を順に積層する。次にp層13上の所定領域にスパッタや蒸着によって透明電極14を形成し、透明電極14上にスパッタや蒸着によってp電極15を形成する。そして、n電極16の形成領域をドライエッチングしてn層11を露出させる。次に、n層11上にスパッタや蒸着によってn電極16を形成する。その後、p電極15およびn電極16上を除いて上面全体を覆うようにして絶縁膜17を形成する(図5(a)参照)。
次に、基板10の裏面を研磨して基板10の厚さを140μmに薄くする。基板10の厚さはこの値に限らないが、光取り出しや分割の容易さのため、基板10は50〜250μmの厚さに薄くするのがよい。
次に、ナノインプリント法を用いて基板10裏面にマスク20を形成する(図5(b)参照)。マスク20は、その表面に凹凸形状を有し、凹部領域が凸部領域よりも薄くなっている。また、凹凸形状は平面視で円が三角格子状に周期的に配列したパターンである。その具体的な工程は次の通りである。
まず、基板10裏面に液状のレジン25を塗布する(図6(a)参照)。たとえばスピンコート、インクジェット、スプレーなどによって塗布する。レジン25は、1液型のエポキシ系樹脂である。レジン25はこれに限らず、ナノインプリント法で用いられている紫外線硬化樹脂であればよく、たとえば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂である。
次に、凹凸パターンが形成された型26をレジン25の上から押しつける(図6(b)参照)。レジン25は液状であるため、型26の凸部が接触する部分は押し出されて薄くなり、凹部に入り込む。
次に、型26をレジン25に押しつけた状態で紫外線を照射し、レジン25を硬化させる(図6(c)参照)。
次に、型26を硬化したレジン25から外す(図6(d)参照)。このようにして、表面に型26の凹凸パターンが転写された硬化したレジンからなるマスク20を形成する。マスク20のうち凹部領域の厚さは5nm以下とするのがよい。次工程においてこの凹部領域をエッチングして基板10を露出させるまでの時間を短縮でき、基板10の凹凸加工がより容易となるためである。
次に、塩素ガスを用いてドライエッチングを行う。ICP装置を用い、ガス流量は40sccm、アンテナ電力/バイアス電力は150(W)/50(W)、圧力は0.7Paとし、エッチングレートは100nm/minである。塩素以外にも塩素系ガスを含むのであれば任意であり、たとえば、BCl3 、SiCl4 などを用いることができる。塩素系ガスを含む混合ガスであってもよい。マスク20はドライエッチングによりエッチングされて薄くなっていく。ここで、マスク20は表面の凹凸によって厚さが異なっているため、マスク20のうち凹部の領域が先に全てエッチングされて基板10表面が露出する。そして基板10に達して基板10表面が露出すると、その後は基板10がエッチングされる。また、エッチング側面は傾斜する。この凹部のマスク20が全てエッチングされて基板10がエッチングされ、凸部10a上のマスク20はまだ残存している段階でドライエッチングは終了させる(図5(c)参照)。このような段階であれば、基板10のエッチング深さは任意である。
このドライエッチングの結果、基板10裏面は円錐台状の凸部10aが三角格子状に周期的に配列したパターンに凹凸加工が施され、凸部10a上面にマスク20が残存した状態となる。ここで、凸部10a上面は、基板10裏面の研磨によって平坦化された面である。また、マスク20が残存しているため、ドライエッチング前後で凸部10aの高さHは変化せず、凸部10a上面にも影響しない。よって、凸部10aの高さHのばらつきは少なく、かつその上面は平坦である。
発明者は、残存したマスク20について、BHF(バッファードフッ酸)によって除去できないか検討したが、除去できないことがわかった。残存したマスク20について光電子分光法により元素分析したところ、マスク20の表面からClが検出された。この結果から、残存したマスク20の表面には、硬化したレジンと塩素が反応して変質層21が形成されているものと考えられる。つまり、BHFのみでマスク20を除去できないのは、塩素系ガスによるドライエッチングによってマスク20の表面に変質層21が形成され、その変質層21がBHFに対して耐性を有しているためであると考えられる。そこで、図7に示す工程によって残存したマスク20を除去する。
まず、窒素と酸素の混合ガスを用いて発生させたプラズマをマスク20に照射する(図7のステップS1)。プラズマ生成にはICP装置を用い、酸素流量は100sccm、窒素流量は10sccm、アンテナ電力/バイアス電力は300(W)/30(W)、圧力は5.0Pa、照射時間は3分間とする。これにより、マスク20の表面に形成された変質層21を蒸発させて除去する。
なお、プラズマ照射の各種条件は上記に限らず、以下に示す条件であればよい。
プラズマを生成するためのガスは酸素に限らず、オゾンなど酸素系ガスであれば任意でよく、酸素系ガスに窒素、アルゴンなどの不活性ガスを混合した混合ガスであってもよい。
酸素プラズマの照射時間は、3分間以上であればよい。十分に変質層21を除去することができる。ただし、照射時間が長くなると基板10表面に何らかの影響を与える可能性があり、10分間以下が望ましい。より望ましくは3〜8分間、さらに望ましくは3〜6分間である。
また、プラズマの生成は誘導結合プラズマ(ICP)、容量結合プラズマ(CCP)、電子サイクロトロン共鳴プラズマ(ECR)など各種方式を用いることができる。誘導結合プラズマの場合、アンテナ電力は100〜600Wとすることが望ましい。この範囲であれば、効率的に変質層21を除去することができる。より望ましくは200〜500Wであり、さらに望ましくは250〜450Wである。また、同様の理由から、バイアス電力は10〜60Wとすることが望ましい。より望ましくは20〜50Wであり、さらに望ましくは25〜45Wである。
次に、BHF(バッファードフッ酸)を用いてマスク20を溶かし除去する(図7のステップS2)。BHFの温度は60℃とし、20分間行う。マスク20の表面に変質層21が形成されている場合、変質層21はBHFに耐性を有しているためエッチングストッパとして作用し、マスク20を除去することができない。そこで前工程の酸素プラズマ照射によりマスク20表面の変質層21を除去し、BHFによってマスク20を溶かして除去することができるようにしている。なお、BHFに漬ける前に、素子上面全体にレジストからなる保護膜(図示しない)を形成しておき、電極や絶縁膜がエッチングされないようにする。
BHFの温度は、40〜80℃とすることが望ましい。この範囲であれば、効率的にマスク20を除去することができる。より望ましくは50〜70℃、さらに望ましくは55〜65℃である。
また、BHFのフッ酸濃度は、15〜35%とすることが望ましい。フッ酸濃度が35%よりも高いと、素子上面の保護膜が取れて電極を露出させてしまい、電極がエッチングされてしまう可能性があるため望ましくない。また、フッ酸濃度が15%よりも低いと、マスク20を除去できない、あるいは、マスク20の除去速度が遅くなり、マスク20の除去に時間がかかるため望ましくない。より望ましいフッ酸濃度の範囲は17〜33%であり、さらに望ましくは20〜30%である。
また、BHFによるエッチング時間は、マスク20が全て除去できるのであれば任意であり、たとえば10〜30分間以上とする。10分間未満では十分にマスク20を除去できない可能性がある。より望ましくは15〜25分間であり、さらに望ましくは18〜22分間である。
このように、マスク20の表面に酸素プラズマを照射した後にBHFに漬けることで、マスク20を溶かして除去することができる(図5(d)参照)。
その後、素子上面に形成した保護膜をアセトンにより除去し、イソプロピルアルコール(IPA)、純水によって順に洗浄する。そして、ウェハを各素子ごとに分離する。以上のようにして発光素子2を製造する。
この発光素子2の製造方法によれば、ナノインプリント法を用いてマスク20を形成して塩素系ガスによってドライエッチングして基板10に凹凸加工を施す工程において、マスク20を全て除去しきる前にドライエッチングを終了してマスク20を残存させた場合であっても、マスク20を除去することができる。従来は塩素系ガスによるドライエッチングで変質したマスク20を除去できず、マスク20が全て除去されるまでドライエッチングを続ける必要があったが、実施例1によればその必要がなくなり、任意の段階でドライエッチングを終了させることができるようになる。そのため、円錐台状や角錐台状などの平坦な上面を有した凸部10aを容易に形成することができる。
次に、実装基板1を用意し、実装基板1上の所定領域に発光素子2をフリップチップ実装する(図8(a)参照)。接続方式は、はんだを用いて加熱圧着する方法でもよいし、Auバンプを用いる方法でもよい。
次に、発光素子2の基板10裏面に接着剤4を塗布する。そして、発光素子2の基板10裏面に蛍光体板3を載せて押圧し、接着剤4を硬化させて基板10裏面と蛍光体板3とを接着する。蛍光体板3は基板10よりもサイズが大きく、発光素子2の側面よりも外側に蛍光体板3がひさし状に迫り出した状態となる。接着のため押圧した際に、基板10裏面と蛍光体板3との間の接着剤4がこのひさし下の部分にはみ出し、その状態で硬化する。はみ出した接着剤4は、側面が逆テーパー状となる(図8(b)参照)。
ここで、基板10裏面の凸部10aは高さHのばらつきが少なく、また円錐台状であるため、基板10主面に平行で平坦な上面を有している。また、基板10裏面を研磨しているため、凸部10a上面の平坦性も非常に高い。そのため、基板10裏面に蛍光体板3を配置したときに接着剤4を介して基板10裏面と蛍光体板3との接触面積が広くなり、蛍光体板3の傾きやずれが抑制され、蛍光体板3を基板10主面に平行な姿勢に安定させることができる。その結果、発光素子2からの光を効率的に蛍光体板3へと入射させることができる。
次に、実装基板1上に、発光素子2を囲うようにして壁状のダム5を形成し、ダム5内の領域に反射材6を充填して硬化させる。以上によって図1に示す実施例1の発光装置を製造する。
図9は、実施例1の発光装置と比較例の発光装置とで基板10裏面の凹凸形状を撮影したSEM画像である。実施例1の発光装置において、発光素子2の基板10裏面の凹凸形状は、凸部10aの高さを250nm、上面の直径を241nm、下面の直径を422nm、凸部10aの配列周期を438nmとした。比較例の発光装置は、発光素子2の基板10裏面の凹凸形状を変更したものであり、他の構成は実施例1と同様である。比較例では、基板10裏面の凸部10aを釣鐘状とし、その高さを278nm、下面の直径を413nm、凸部10aの配列周期を441nmとした。比較例における釣鐘状の凸部10aは、ナノインプリント法によって形成したマスク20を全て除去しきるまでドライエッチングを行うことで形成した。
図9のように、比較例では凸部10aの高さのばらつきが大きいことがわかる。また、凸部10aの先端は丸みを帯びていることがわかる。そのため、基板10裏面に蛍光体板3を配置するときに蛍光体板3に傾きを生じたり、ずれを生じてしまう可能性がある。一方、実施例1では凸部10aの高さのばらつきは少なく、基板主面に平行で平坦な上面が形成されていることがわかる。そのため、基板10裏面に蛍光体板3を配置するときに蛍光体板3が傾いたりずれてしまうことがなく、安定して所望の位置に蛍光体板3を配置することができる。
図10は、実施例1の発光装置と比較例の発光装置とで軸上光度を比較した結果を示すグラフである。図10に示すように、実施例1の発光装置は、比較例の発光装置に比べて軸上光度が2.2%向上していた。
本発明の発光装置は、各種の光源として利用することができ、たとえば車両のヘッドランプなどに利用することができる。
1:実装基板
2:発光素子
3:蛍光体板
4:接着剤
5:ダム
6:反射材
10:基板
11:n層
12:発光層
13:p層
14:透明電極
15:p電極
16:n電極
17:絶縁膜
20:マスク
21:変質層

Claims (6)

  1. 実装基板と、基板と前記基板上に積層された半導体層とを有し、前記実装基板上にフリップチップ実装された発光素子と、前記基板の裏面に接着剤を介して接着された蛍光体板と、を備えた発光装置において、
    前記基板の裏面は、錐台状の凸部が周期的に配列されたパターンの凹凸形状を有している、
    ことを特徴とする発光装置。
  2. 前記凸部の配列周期は、前記発光素子の発光波長の0.75〜1.25倍であり、前記凸部の直径は、前記配列周期の0.25〜0.75倍である、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記凸部の側面は、前記基板の主面に対して50〜70°の傾斜を有している、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光装置。
  4. 前記凸部の高さは、前記発光素子の発光波長の0.5〜1.5倍である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発光装置。
  5. 前記凸部の上面の面積の合計は、前記基板の面積の20〜40%である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の発光装置。
  6. 前記凸部は、三角格子状に配列されている、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発光装置。
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