JP2019066395A - 尿路感染症バイオマーカー及びその用途 - Google Patents

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晃輔 水谷
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隆 出口
雅史 伊藤
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雅史 伊藤
泰典 藤田
Yasunori Fujita
泰典 藤田
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恭司郎 川上
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Abstract

【課題】尿路感染症と無症候性細菌尿の診断/鑑別に有用な手段を提供することを課題とする。【解決手段】尿中エクソソーム由来の膜タンパク質又は細胞内因子のレベルを指標として尿路感染症を検査する。【選択図】なし

Description

本発明は尿路感染症バイオマーカーに関する。詳しくは、尿路感染症の検査(特に無症候性細菌尿との鑑別)に有用なバイオマーカー及びその用途に関する。
現在、日本は高齢化社会を迎え、高齢者特有の問題が生じている。高齢者は免疫能の低下により様々な感染症に罹患しやすい。膀胱炎や腎盂腎炎に代表される尿路感染もその一つである。尿路感染は自覚症状や膿尿、細菌尿をもって診断される。高齢者においては発熱で病院を受診することも多いが、自覚症状に乏しい場合も少なくなく、熱源の診断に苦慮する場合が多い。高齢者の尿では本来治療を必要としない無症候性細菌尿が存在するため、さらに熱源の特定を困難にしている。無症候性細菌尿とは、症状は認めないが尿中に細菌を認める状態であり、通常は問題を起こすことは少ないため治療対象とならない。しかし前述のように発熱を呈する高齢者で無症候性細菌尿を呈する場合では、尿検査で細菌を認めたため尿路感染症と診断され、他の熱源の検索がされなかったり、正確な診断が遅れたりする可能性がある。また、本来は治療の必要がない無症候性細菌尿に漫然と抗菌薬が処方され、医療費の高騰や薬剤耐性菌出現の原因ともなっている。
尿路感染症の診断は主に尿検査(試験紙法、尿沈渣)や尿培養によって行われる。細菌尿や膿尿があれば尿路感染が疑われるが、無症候性の場合でも細菌尿と膿尿が認められる場合も多く、症状が軽度の患者や訴えられない患者では診断が困難となる。そのような症例では現在、治療が必要である症候性尿路感染症と無症候性細菌尿とを簡単に且つ他覚的に判別できる方法は確立されていない。炎症性サイトカイン等を利用して両者を区別する方法が模索されているものの(例えば非特許文献1〜4を参照)、実際には身体所見や画像検査、血液検査などによる総合的な判断が行われている。しかし、症状がはっきりとしない又は訴えることが出来ない高齢者においては判別が困難な場合がある。適切な診断や鑑別が簡単にできるようになれば、より良い治療の提供が可能になる。また、医師の負担も軽減し、更には医療経済へも貢献できる。
Sunden F. et al., J Urol. 2017 Jul;198(1):107-115. Kjolvmark C. et al., Diagn Microbiol Infect Dis. 2016 Jun;85(2):243-8. Rodhe N. et al., Scand J Prim Health Care. 2009;27(2):74-9. Grazyna Krzemien et al., Cent Eur J Immunol. 2016; 41(3): 260-267.
そこで本発明は、尿路感染症(症候性)と無症候性細菌尿の診断/鑑別に有用な手段を提供することを課題とする。
上記課題に鑑み研究を進める中で本発明者らは、細胞から分泌・放出されるエクソソームに着眼した。具体的には、尿中のエクソソーム由来の分子(膜タンパク質、細胞内因子)が尿路感染症のマーカーとなり、尿路感染症と無症候性細菌尿の鑑別を可能にするとの期待の下、その検証を試みた。エクソソームは直径30〜100nmの膜小胞であり、内部にタンパクや核酸を内包し細胞外に分泌され血中や尿中にも放出される。内包された内容物は分泌する元の細胞の特徴を有している。そのため、エクソソームを精製し解析することで、細胞内の情報が得られる可能性がある。細胞は細菌に感染するとToll様受容体ファミリー(TLR)を介して細胞内因子の活性化が起こることが知られている。
患者の尿検体等を用いた詳細な検討の結果、尿中エクソソーム由来の分子が尿路感染症のマーカーとして極めて有用であり、期待を超える診断精度で尿路感染症と無血清細菌尿を区別し得ることが判明した。以下の発明は、主として当該成果に基づく。
[1]尿中エクソソーム由来の膜タンパク質又は細胞内因子からなる、尿路感染症バイオマーカー。
[2]前記膜タンパク質がCD9、CD63又はCD81であり、前記細胞内因子がAkt又はNF-κBである、[1]に記載の尿路感染症バイオマーカー。
[3]尿路感染症と無症候性細菌尿の鑑別に用いられる、[1]又は[2]に記載の尿路感染症バイオマーカー。
[4][1]又は[2]に記載のバイオマーカーのレベルを指標とした、尿路感染症の検査法。
[5]以下のステップ(1)及び(2)を含む、[4]に記載の検査法:
(1)尿検体中の前記バイオマーカーを検出するステップ;
(2)検出結果に基づき、尿路感染症の罹患の有無を判定するステップ。
[6]尿路感染症と無症候性細菌尿の鑑別のための検査法である、[4]又は[5]に記載の検査法。
[7]ステップ(1)が、尿検体からエクソソームを回収するステップと、回収したエクソソームを試料として前記バイオマーカーを検出するステップとを含む、[5]又は[6]に記載の検査法。
[8]ステップ(1)の検出が免疫学的方法で行われる、[5]〜[7]のいずれか一項に記載の検査法。
[9]前記バイオマーカーの検出値が高いことが尿路感染症を罹患していることの指標となる、[4]〜[8]のいずれか一項に記載の検査法。
[10][2]に記載のバイオマーカーに特異的結合性を有する物質からなる、尿路感染症検査試薬。
[11][10]に記載の尿路感染症試薬を含む、尿路感染症検査キット。
培養細胞系による細菌刺激に対するエクソソーム関連因子の評価。不死化尿路上皮細胞(SV-HUC-1)(左)と単球系細胞(THP-1)(右)を用いた。 ヒト感染尿を用いた密度勾配遠心によるエクソソーム分画内のAktの証明。 尿路感染尿を使用したAkt、CD9の評価。ウェスタンブロットの結果(A)からAktとCD9の発現量を数値化した(B)。治療前(Pre)と治療後(Post)を比較した。 尿路感染症患者(症候性UTI)と無症候性細菌尿患者(ABU)の尿中エクソソームのAkt、CD9の評価。ウェスタンブロットの結果(A)からAktとCD9の発現量を数値化した(B)。 尿路感染症患者と無症候性細菌尿患者の尿中エクソソームのAkt、CD9のROC曲線。ウェスタンブロットの結果から特異度と感度を算出し、Akt(左)とCD9(右)のROC曲線を作成した。 尿路感染患者、無症候性患者の尿中エクソソーム内のAktとCD9の相関。 磁気ビーズを用いたエクソソームのCLEIA法(概要)。 抗CD9抗体を用いたCD9-CELIA法による尿路感染患者、無症候性患者の尿中エクソソームの定量。尿路感染症と無症候性細菌尿の比較(A)、ROC曲線(B)、ウェスタンブロットの結果とCLEIAの結果の相関関係(C)を示す。UTI:症候性尿路感染症患者、ABU:無症候性細菌尿患者。 抗CD63抗体とCD81抗体を用いたCELIA法による尿路感染患者、無症候性患者の尿中エクソソームの定量。上段にCD63の結果、下段にCD81の結果を示す。UTI:症候性尿路感染症患者、ABU:無症候性細菌尿患者。 抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体を用いたCELIA法の信頼性の検討。
1.尿路感染症バイオマーカー
本発明の第1の局面は尿路感染症バイオマーカーに関する。本明細書において「尿路感染症バイオマーカー」とは、尿路感染症の罹患の指標となる生体分子のことをいう。本発明のバイオマーカーは尿路感染症の検出(尿路感染症に罹患していることの把握)、尿路感染症と無症候性尿路細菌尿の鑑別に有用である。典型的には、本発明のバイオマーカーは、尿路感染症を罹患している可能性/疑いがある者、或いは、尿路感染症又は無症候性細菌尿を罹患している可能性/疑いがある者の検査に利用される(詳細は後述する)。
尿路感染症とは、尿路に病原体(主に細菌)が感染することで発症する疾患(感染症)である。主な尿路感染症としては膀胱炎、腎盂腎炎がある。主な症状は発熱、頻尿、血尿、膿尿、排尿痛等である。一方、尿路感染において細菌が存在するが生体に影響を及ぼさず治療を必要としないものは無症候性細菌尿といわれ、細菌と生体が共存している状態と考えられる。その判断は尿検査などの客観的指標のみでは困難である。本発明はこのような治療を必要としない病態と、治療を要する病態(即ち尿路感染症)を区別(鑑別)する手段として特に有用である。理論に拘泥する訳ではないが、細菌が細胞に影響を及ぼす際には細菌と細胞が反応しその結果、細胞内での因子が変化する。本発明はエクソソーム由来の分子を利用し、当該変化を捉える。この特徴が故に本発明を利用すれば高い精度で尿路感染症の診断や鑑別などが可能になる。IL-6等の炎症性サイトカイン(細胞内の変化を反映し最終的に上昇することになる)を利用して尿路感染症の診断等を行う方法も提案されているが、細胞内の変化を直接的に捉えていない点において本発明に劣るといえる。
本明細書において「生体分子」とは、生体内に見出される分子(化合物)をいう。本発明では生体分子である「尿中エクソソーム由来の膜タンパク質又は細胞内因子」をバイオマーカーとして用いるが、その利用(典型的には検査法への適用)に際しては、生体から分離された試料/検体中の当該分子が用いられることになる。
本発明のバイオマーカーは「尿中エクソソーム由来の膜タンパク質又は細胞内因子」からなる。即ち、本発明では、尿中エクソソーム由来の膜タンパク質、又は尿中エクソソーム由来の細胞内因子がバイオマーカーとなる。尿中エクソソーム由来の膜タンパク質とは、尿中のエクソソームの膜を構成するタンパク質であり、エクソソームを分泌する細胞の表面に発現する各種タンパク質が該当し得る。尿中エクソソーム由来の膜タンパク質の具体例を挙げるとCD9、CD63、CD81である。他方、尿中エクソソーム由来の細胞内因子とは、尿中のエクソソームに含有され、当該エクソソームを分泌した細胞内でのシグナル伝達等に関与する分子であり、エクソソームを分泌する細胞内で発現する各種タンパク質が該当し得る。尿中エクソソーム由来の細胞内因子の具体例を挙げるとAkt、NF-κBである。本明細書において「尿中」とは、尿に存在していることを意味する。従って、本発明のバイオマーカーは尿検体又はその処理物(典型的には、尿検体から回収したエクソソームを含む試料)の中で検出される。
CD9、CD63、CD81はテトラスパニン(Tetraspanin)と呼ばれる4回膜貫通タンパク質であり、エクソソームのマーカー分子として知られている。一方、プロテインキナーゼBとしても知られるAktは細胞内シグナル伝達ネットワークの中心的存在である。Aktシグナル伝達経路は細胞増殖をはじめ、様々な細胞プロセスを調節する。NF-κBは転写因子として作用するタンパク質複合体であり、免疫反応において中心的役割を果たす。細菌の付着や感染によって、TLR(Toll-like Receptor)を介したこれらの転写因子(Akt、NF-κB)が活性化し、最終的に炎症性サイトカインの産生が促されることが知られている。
2.尿路感染症の検査、無症候性細菌尿との鑑別
本発明の第2の局面は本発明のバイオマーカーの用途に関し、尿路感染症の検査法(以下、「本発明の検査法」とも呼ぶ)を提供する。本発明の検査法は尿路感染症を簡便に検出する手段として有用である。また、尿路感染症と無症候性細菌尿を鑑別する手段としても有用である。本発明の検査法によれば、尿路感染症の罹患の有無、或いは尿路感染症と無症候性細菌尿の鑑別を可能にする客観的根拠が提供される。本発明の検査法がもたらす情報(検査結果)は、細胞内の変化を直接的に反映したバイオマーカー(生体分子)という客観的な指標に基づくものであり、それ自体で尿路感染症の罹患の判定や鑑定を可能にするが、それを補助的に利用し、必要に応じてその他の指標も考慮して最終的な判断(典型的には確定診断)を行うことにしてもよい。
本発明の検査法では、被検者由来の尿検体における、本発明のバイオマーカーのレベルが指標として用いられる。ここでの「レベル」は、典型的には「量」ないし「濃度」を意味する。但し、慣例及び技術常識に従い、検出対象の分子を検出できるか否か(即ち見かけ上の存在の有無)を表す場合にも用語「レベル」が用いられる。
典型的には、本発明の検査法では以下のステップ(1)及び(2)を行う。
(1)尿検体中の本発明のバイオマーカーを検出するステップ
(2)検出結果に基づき、尿路感染症の罹患の有無を判定するステップ
ステップ(1)
ステップ(1)では、被検者から採取された尿検体を用意し、本発明のバイオマーカー、即ち「尿中エクソソーム由来の膜タンパク質又は細胞内因子」を検出する。被検者は特に限定されない。即ち、尿路感染症の罹患の有無の判定が必要な者に対して広く本発明を適用することができる。例えば、発熱、腹部痛、排尿時痛など、尿路感染症の場合に生じ得る症状を認め、尿路感染症を罹患している可能性/疑いがある者が被検者となる。自覚症状がない者(特に高齢者)も好適な被検者となる。また、尿路感染症又は無症候性細菌尿を罹患している可能性/疑いがある者も好適な被検者である。
尿検体は常法で採取すればよい。タンパク分解酵素阻害剤の添加、遠心処理等の前処理を施した尿を検体として用いることにしてもよい。通常は、尿検体からエクソソームを回収した上で検出操作を行う。即ち、ステップ(1)として、尿検体からのエクソソームの回収、回収したエクソソームを含む試料でのバイオマーカーの検出を行う。
エクソソームの回収は常法で行えばよい。例えば、遠心処理、密度勾配遠心法、フィルター処理、サイズ排除クロマトグラフィー、超遠心処理等が利用される(例えばThe impact of disparate isolation methods for extracellular vesicles on downstream RNA profiling.J Extracell Vesicles. 2014 Sep 18;3等を参照)。尚、エクソソームの回収のための試薬やシステム(例えば、System Biosciences社のExoQuickTM、JSR ライフサイエンス株式会社ExoCapTM、Miltenyi Biotec社のExosome Isolation Kit CD9, ヒト、和光純薬工業株式会社が提供するMagCaptureTM)を利用してエクソソームの回収を行うことにしてもよい。
検出対象のバイオマーカーとして、尿中エクソソーム由来の膜タンパク質を用いれば、より感度の高い検出が可能となり、簡便性、正確性等の点で有利である。後述の実施例に示した実験の結果を踏まえると、これらの膜タンパク質の中でも、CD9とCD81は診断性能が高い点において特に好ましい。一方、尿中エクソソーム由来の細胞内因子を用いることは、エクソソームが単一性でない(例えばCD9などがすべてのエクソソームに発現しているというわけではない)可能性を考えると細胞内情報の反映を正確にとらえられるという点で有利である。
バイオマーカーのレベルを厳密に定量することは必須でない。即ち、後続のステップ(2)において所望の判定が可能となる程度にバイオマーカーのレベルを検出すればよい。例えば、検体中のバイオマーカーレベルが所定の基準値を超えるか否かが判別可能なように検出を行うこともできる。
バイオマーカーの検出方法は特に限定されないが、好ましくは免疫学的手法を利用する。免疫学的手法によれば迅速に且つ感度よくバイオマーカーを検出できる。また、操作も簡便である。免疫学的手法による検出では、検出対象のバイオマーカーに特異的結合性を有する物質が使用される。当該物質としては通常は抗体(抗バイオマーカー抗体)が用いられるが、検出対象のバイオマーカーに特異的結合性を有し、その結合量を測定可能な物質であれば抗体に限らず使用することができる。本発明のバイオマーカーとなる、CD9、CD63、CD81、Akt、NF-κB等は同定・精製されており、これらの分子に特異的結合性を示す抗体は常法で調製可能である。また、抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体は各社が販売しており(例えば、MBL社の製品である抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、cell signaling社の製品である抗Akt抗体、抗NF-kB抗体)、これら市販の抗体を利用することもできる。
測定法として、凝集法(ラテックス凝集法(LA)等)、蛍光抗体法(FA)、酵素免疫測定法(EIA)、蛍光酵素免疫測定法(FLEIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)、イムノクロマトグラフィー(ICA)、ウェスタンブロット法(WB)、放射免疫測定法(RIA)を例示することができる。好ましい測定法としては、FA法、EIA法(ELISA法を含む)、FLEIA法、CLIA法、CLEIA法を挙げることができる。これらの方法によれば高感度、迅速且つ簡便に検出可能である。
CLEIA法は検出感度が高いことや特異性が高いこと、定量性に優れること、操作が簡便であること、多検体の同時処理に適することなど、多くの利点を有する。CLEIA法を利用する場合の典型的な操作手順は、試料と固相化捕捉抗体の接触、洗浄による非特異的結合成分の除去、検出用抗体(蛍光標識抗体)の添加、及び光強度の測定、である。尚、CLEIA法の詳細については数多くの成書や論文に記載されており、各方法の実験手順や実験条件を設定する際にはそれらを参考にできる。また、CLEIA法用の試薬やキットも販売されており、それらを利用すれば本発明の検査法を簡便に実施することができる。
ステップ(2)
ステップ(2)では、ステップ(1)の検出結果に基づき、尿路感染症の罹患の有無を判定する。精度のよい判定を可能にするため、ステップ(2)で得られた検出値を対照検体(コントロール)の検出値と比較した上で判定を行うとよい。コントロールには例えば、健常者のバイオマーカーレベルを用いることができる。
後述の実施例に示す通り、本発明のバイオマーカーのレベルは尿路感染症の患者で高い。換言すれば、本発明のバイオマーカーのレベルは尿路感染症の罹患と正の相関を示す。従って、基本的には、バイオマーカーの検出値が高いことが尿路感染症を罹患していることの指標となる。
本発明の一態様では、ステップ(1)の検出結果を、尿路感染症と無症候性細菌尿の鑑別に用いる。この態様の検査法によれば、被検者が罹患している疾患が尿路感染症又は無症候性細菌尿のいずれであるかを見分けるための客観的根拠が示される。具体的には、本発明の検査法によれば、罹患している疾患に関して、「尿路感染症である」との判定結果、又は「無症候性細菌尿である」との判定結果を得ることができる。後述の実施例に示す通り、本発明のバイオマーカーのレベルは尿路感染症患者で高い(換言すれば、無症候性細菌尿患者で低い)。即ち、本発明のバイオマーカーのレベルと尿路感染症の罹患は正の相関を示す。従って、基本的には、バイオマーカーの検出値が高いことが、無症候性細菌尿ではなく尿路感染症であることの指標となる。
ステップ(2)における判定は定性的、半定量的、定量的のいずれであってもよい。定性的判定と定量的判定の例を以下に示す。判定区分の数、各判定区分に関連付けられるバイオマーカーのレベル、判定結果等は、下記の例に何らとらわれることなく、予備実験等を通して任意に設定することができる。また、判定に用いる基準値やカットオフ値は、例えば、使用する検体、要求される精度(信頼度)などを考慮しつつ設定すればよい。基準値やカットオフ値の設定にあたっては、多数の検体を用いた統計的解析を利用するとよい。尚、ここでの判定は、その判断基準から明らかな通り、医師や検査技師など専門知識を有する者の判断によらずとも自動的/機械的に行うことができる。
(罹患の有無を判定する場合の定性的判定の例1)
基準値よりも検出値(バイオマーカーレベル)が高いときに「尿路感染症に罹患している」と判定し、基準値よりも測定値が低いときに「尿路感染症に罹患していない」と判定する。
(罹患の有無を判定する場合の定性的判定の例2)
反応性を認める(陽性の)ときに「尿路感染症に罹患している」と判定し、反応性が認められない(陰性の)ときに「尿路感染症に罹患していない」と判定する。
(罹患の有無を判定する場合の定量的判定の例)
以下に示すように検出値の範囲毎に罹患している可能性(%)を予め設定しておき、検出値から罹患している可能性(%)を判定する。
検出値>a:尿路感染症に罹患している可能性は80%より大きい
a≧検出値>b:尿路感染症に罹患している可能性は20%〜80%
b>検出値:尿路感染症に罹患している可能性は20%未満
この例では3段階に区分したが、区分数は任意に設定できる。区分数の例は2〜10、好ましくは2〜5である。
(尿路感染症と無症候性細菌尿の鑑別の場合の定性的判定の例)
基準値よりも検出値(バイオマーカーレベル)が高いときに「尿路感染症である」又は「尿路感染症である可能性が高い」と判定し、基準値よりも検出値が低いときに「無症候性細菌尿である」又は「無症候性細菌尿である可能性が高い」と判定する。
(尿路感染症と無症候性細菌尿の鑑別の場合の定量的判定の例)
以下に示すように検出値の範囲毎に「無症候性細菌尿ではなく尿路感染症である可能性(%)」を予め設定しておき、検出値から「無症候性細菌尿ではなく尿路感染症である可能性(%)」を判定する。
検出値>a:無症候性細菌尿ではなく尿路感染症である可能性は80%より大きい
a≧検出値>b:無症候性細菌尿ではなく尿路感染症である可能性は20%〜80%
b>検出値:無症候性細菌尿ではなく尿路感染症である可能性は20%未満
この例では3段階に区分したが、区分数は任意に設定できる。区分数の例は2〜10、好ましくは2〜5である。
本発明の一態様では、同一の被検者について、ある時点での検出値と、過去の検出値とを比較し、バイオマーカーのレベルの増減の有無及び/又は増減の程度を調べる。その結果得られる、バイオマーカーのレベル変化に関するデータは、罹患の有無の変動をモニターするため、或いは予防/治療効果を把握するために有用な情報となる。具体的には例えば、バイオマーカーレベルの変動を根拠として、前回の検査から今回の検査までの間に病態が軽快(改善)した又は増悪(重症化)した、或いは変化がないとの判定を行うことができる。このような評価を予防又は治療と並行して行えば、予防又は治療の効果の確認が行える。
3.検査試薬及び検査キット
本発明は更に、本発明の検査法に使用することが可能な検査試薬及び検査キットを提供する。本発明の試薬は、本発明のバイオマーカー、即ち「尿中エクソソーム由来の膜タンパク質又は細胞内因子」に特異的結合性を有する物質からなる。当該物質の具体例は抗体(例えば、抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、抗Akt抗体、抗NF-κB抗体)であるが、標的の分子に特異的結合性を示し、本発明の検査法に利用可能であれば、抗体以外の物質を用いることも可能である。
本発明の試薬としての抗体は、標的の分子(本発明のバイオマーカー)に対する特異的結合性を有する限り、その種類や由来などは特に限定されない。また、ポリクローナル抗体、オリゴクローナル抗体(数種〜数十種の抗体の混合物)、及びモノクローナル抗体のいずれでもよい。ポリクローナル抗体又はオリゴクローナル抗体としては、動物免疫して得た抗血清由来のIgG画分のほか、抗原によるアフィニティー精製抗体を使用できる。抗フロチリン抗体が、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、dsFv抗体などの抗体断片であってもよい。
本発明の試薬としての抗体は、免疫学的手法、ファージディスプレイ法、リボソームディスプレイ法などを利用して調製することができる。免疫学的手法によるポリクローナル抗体の調製は次の手順で行うことができる。抗原(本発明のバイオマーカーとなる分子又はその一部)を調製し、これを用いてウサギ等の動物に免疫を施す。生体試料を精製することにより抗原を得ることができる。また、組換え型抗原を用いることもできる。組換え型抗原は、例えば、抗原をコードする遺伝子(遺伝子の一部であってもよい)を、ベクターを用いて適当な宿主に導入し、得られた組換え細胞内で発現させることにより調製することができる。
免疫惹起作用を増強するために、キャリアタンパク質を結合させた抗原を用いてもよい。キャリアタンパク質としてはKLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)、BSA(Bovine Serum Albumin)、OVA(Ovalbumin)などが使用される。キャリアタンパク質の結合にはカルボジイミド法、グルタルアルデヒド法、ジアゾ縮合法、MBS(マレイミドベンゾイルオキシコハク酸イミド)法などを使用できる。一方、GST、βガラクトシダーゼ、マルトース結合タンパク、又はヒスチジン(His)タグ等との融合タンパク質として発現させた抗原を用いることもできる。このような融合タンパク質は、汎用的な方法により簡便に精製することができる。
必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で採血し、遠心処理などによって血清を得る。得られた抗血清をアフィニティー精製し、ポリクローナル抗体とする。
一方、モノクローナル抗体については次の手順で調製することができる。まず、上記と同様の手順で免疫操作を実施する。必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で免疫動物から抗体産生細胞を摘出する。次に、得られた抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを融合してハイブリドーマを得る。続いて、このハイブリドーマをモノクローナル化した後、標的の分子に対して高い特異性を有する抗体を産生するクローンを選択する。選択されたクローンの培養液を精製することによって目的の抗体が得られる。一方、ハイブリドーマを所望数以上に増殖させた後、これを動物(例えばマウス)の腹腔内に移植し、腹水内で増殖させて腹水を精製することにより目的の抗体を取得することもできる。上記培養液の精製又は腹水の精製には、プロテインG、プロテインA等を用いたアフィニティークロマトグラフィーが好適に用いられる。また、抗原を固相化したアフィニティークロマトグラフィーを用いることもできる。更には、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、硫安分画、及び遠心分離等の方法を用いることもできる。これらの方法は単独ないし任意に組み合わされて用いられる。
標的の分子への特異的結合性を保持することを条件として、得られた抗体に種々の改変を施すことができる。このような改変抗体を本発明の試薬としてもよい。
本発明の試薬として標識化抗体を使用すれば、標識量を指標に結合抗体量を直接検出することが可能である。従って、より簡便な検査法を構築できる。標識物質としては例えば、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、オレゴングリーン等の蛍光色素、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ等の酵素、ルミノール、アクリジン色素等の化学又は生物発光化合物、32P、131I、125I等の放射性同位体、及びビオチンを挙げることができる。
一態様では、本発明の試薬はその用途に合わせて固相化されている。固相化に用いる不溶性支持体は特に限定されない。例えばポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、ナイロン樹脂等の樹脂や、ガラス、磁性体からなるビーズ(磁気ビーズ)等の水に不溶性の物質からなる不溶性支持体を用いることができる。不溶性支持体への抗体の担持は物理吸着又は化学吸着によって行うことができる。
本発明の検査キットは主要構成要素として本発明の試薬を含む。検査法を実施する際に使用するその他の試薬(緩衝液、ブロッキング用試薬、酵素の基質、発色試薬など)及び/又は装置ないし器具(容器、反応装置、蛍光リーダーなど)をキットに含めてもよい。また、標準試料として、本発明のバイオマーカーをキットに含めることが好ましい。尚、通常、本発明のキットには取り扱い説明書が添付される。
尿路感染症の検出、特に尿路感染症と無症候性細菌尿の鑑別に有効な方法の確立を目指し、以下の検討を行った。
1.方法
(1)不死化尿路上皮細胞(SV-HUC-1)又は単球系細胞(THP-1)の培養細胞中のエクソソーム回収
70-80%のコンフルエント状態とした細胞(SV-HUC-1、THP-1)をエクソソームフリー培地を使用して播種した。大腸菌(NIHJ JC-2株)又はNIHJ JC-2株から抽出した細胞毒素であるLipopolysaccharide(以下LPS)を培養液中に20μl添加した。SV-HUC-1は48時間後、THP-1は24時間後に細胞培養中から超遠心法にてエクソソームを精製した。60mlの細胞培養液を使用した。最初に細胞や細胞の残渣を取り除くために1800G 10分で遠心し上清を回収した。回収した上清を16500G 20分間遠心してさらに残渣を取り除いた。その後、0.22μmのフィルターを通して、サイズの大きい小胞を取り除いた。その後、25000G 70分間で超遠心を行い、エクソソーム分画を沈殿させた(日立製超遠心機、P40STローターを使用)。沈殿物をPBSで洗浄し、さらに同じ条件でエクソソームを沈殿させた。精製したエクソソームを60μlのcell lysis buffer(cell signaling社)に融解し、5μlをウェスタンブロットに使用した。
(2)ヒト尿の密度勾配遠心法によるエクソソーム回収
ヒト尿は回収後速やかにleupeptin, 4-(2-aminoethyl)-benzenesulfonyl fluoride and sodium azide (Wako Pure Chemical Industries, Ltd)を添加し、1800G 10分で遠心し上清を回収した。回収した上清を16500G 20分間遠心して残渣を取り除いた後に分注して-80℃で保存した。実験に使用する際には尿(10ml)を融解し、0.22μmのフィルターを通し、超遠心法にてエクソソームを回収した。回収したエクソソームをOptiPrepTM(Alere Technologies AS)とスクロースを用いて段階的に密度勾配を作成した溶液に重層し、110000G 16時間で分離を行い、12分画に分けて回収した。回収した分画をPBSで希釈して、さらに110000G 70分間遠心を行い、エクソソームを回収した。精製したエクソソームを60μlのcell lysis buffer(cell signaling社)に融解し、5μlをウェスタンブロットに使用した。
(3)ヒト尿の超遠心法によるエクソソーム回収
尿(10m)を融解した後に、0.22μmのフィルターを通して、サイズの大きい小胞を取り除いた。その後110000G 70分間で超遠心を行い、エクソソーム分画を沈殿させた。沈殿物をPBSで洗浄し、さらに同じ条件でエクソソームを沈殿させた。精製したエクソソームを60μlのcell lysis buffer(cell signaling社)に融解し、5μlをウェスタンブロットに使用した。
(4)ヒト尿のポリマー沈殿法によるエクソソーム回収
尿(5ml)を融解した後に、ExoQuick-TCTM(System Biosciences)を1ml添加し混和後に4℃で一晩放置した。その後、1500g 30分間遠心してエクソソームを沈殿させた。沈殿したエクソソームはPBSで融解した。ウェスタンブロットには3μl、後述のCLEIAには10μlを使用した。
(5)ウェスタンブロット
前述したサンプルを使用し、常法でウェスタンブロットを行い、1次抗体(cell signalingより購入した抗Akt抗体及び抗CD9抗体)と反応させてイムノスター(Wako Pure Chemical Industries, Ltd)にて検出した。
(6)エクソソームCELIA
添付文書に沿ってExoCapTM(Medical & Biological Laboratories Co) streptavidinビーズにCD9、CD63、CD81用の抗体を付加し、各抗体ビーズを作成した。ExoQuick-TCTMにて回収したエクソソームを添加し、洗浄後に各検出用抗体(CD9、CD63、CD81)を添加した。蛍光強度を測定しエクソソーム量を定量した。
(7)統計学的評価
統計学的評価はGraph Pad Prism 7 Version 7.03 (Graph Pad Software, Inc.)を用いて、paired t-test、t-test又はROC曲線にて行った。
2.結果
(1)培養細胞系による細菌刺激に対するエクソソーム関連因子の評価(図1)
尿路感染の原因菌として最も多い大腸菌を不死化尿路上皮細胞(SV-HUC-1)の培養液中に加えて、疑似感染状態とした。培養液を尿と見立てて実験を進めた。培養液を回収して超遠心法にてエクソソームを解析しウェスタンブロット法にて解析した。不死化尿路上皮細胞(SV-HUC-1)では大腸菌またはLPS刺激によりエクソソーム内のAktが増加した(図1左)。膀胱炎では尿中に白血球が遊走してくることが知られている。そこで、炎症系細胞由来のエクソソームの影響を調べるため、単球系細胞株(THP-1)を用いて同様の検証を行った。単球系細胞(THP-1)でも同様に、大腸菌またはLPS刺激によりエクソソーム内のAkt、NF-κB又はCD9が増加していた(図1右)。尚、細胞内(細胞ライセート)のAktやCD9の量に変化が無かったり、或いは低下しているのは、細菌やLPS刺激によって細胞が死に始めることによるタンパク発現量の低下が影響していると考えられる。
(2)ヒト感染尿を用いた密度勾配遠心によるエクソソーム分画内のAktの証明(図2)
超遠心法では遊離状態(フリー)のAktが沈殿している可能性があり、厳密にはエクソソーム内のAktを検出できているかが証明できないため、密度勾配遠心法によりその確認を行った。エクソソームのマーカーであるCD9と同じ分画(フラクション6、7)にAktが認められ、ヒト尿路感染尿のエクソソーム内にAktが存在し、それを検出できていることが証明された。
(3)尿路感染尿を使用したAkt、CD9の評価)(図3)
5名の患者から尿路感染症診断時と治療後の尿エクソソームを超遠心法にて採取してウェスタンブロットを行い、AktとCD9の発現の変化を確認した(図3A)。その発現をデンシトメトリーで測定し数値化した。図3Bに示すように感染治療後の尿エクソソームではAkt、CD9ともに有意に低下していた。
(4)尿路感染症患者(症候性UTI)と無症候性細菌尿患者の尿中エクソソームのAkt、CD9の評価(図4)
ExoquickTMにて採取した尿エクソソームをサンプルとしてウェスタンブロットを行い、AktとCD9の発現量をデンシトメトリーで評価した。図4Bに示すように、尿路感染症(症候性UTI)とは対照的に、無症候性細菌尿(ABU)では尿エクソソーム中のAkt、CD9が有意に少なかった。
(5)尿路感染症患者と無症候性細菌尿患者の尿中エクソソームのAkt、CD9のROC曲線(図5)
図示の通り、Akt、CD9のAUCはそれぞれ0.82、0.81であった。
(6)尿路感染患者、無症候性患者の尿中エクソソーム内のAktとCD9の相関(図6)
図示の通り、尿中エクソソーム内のウェスタンブロット法によるAktとCD9の発現には正の相関関係があった。このため、ELISAなど、より定量性がある方法を使用する場合はAktとCD9、いずれも採用し得る可能性が見出された。
(7)抗CD9抗体を用いたCD9-CELIA法による尿路感染患者、無症候性患者の尿中エクソソームの定量(図8)
ExoquickTMにて採取した尿エクソソームをCD9-CLEIAを使用し定量した。図8Aに示すように尿路感染症(UTI)と無症候性細菌尿(ABU)では有意に差があった。ROC曲線ではAUC=0.84と良好な結果を示した(図8B)。図8Cに示す通り、ウェスタンブロットの解析とCLEIAはよく相関しており、信頼性が高いことが示された。
(8)抗CD63抗体とCD81抗体を用いたCELIA法による尿路感染患者、無症候性患者の尿中エクソソームの定量(図9)
他のエクソソームマーカーであるCD63及びCD81の量も、CD9と同様に尿路感染(UTI)と無症候性細菌尿(ABU)の間で有意な差を認めた。CD63とCD81のAUCはそれぞれ0.77と0.82であった。
(9)抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体を用いたCELIA法の信頼性の検討(図10)
尿路感染患者と無症候性細菌尿の両方の結果を用いて各エクソソームマーカー(CD9、CD63、CD81)のCLEIA法の相関を検証すると全てが正の相関を有しており、エクソソームのCLEIA法として定量性や普遍性があり信頼できることが示された。
本発明は、簡便且つ精度よく尿路感染症と無症候性細菌尿を区別(鑑別)することを可能にする。本発明を利用することにより、より適切な治療方針の決定及びそれによる治療効果の増大、無駄な投薬の回避及びそれによる薬剤耐性菌出現の防止や医療費の削減、医療現場の医師の負担軽減等の効果を期待できる。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (11)

  1. 尿中エクソソーム由来の膜タンパク質又は細胞内因子からなる、尿路感染症バイオマーカー。
  2. 前記膜タンパク質がCD9、CD63又はCD81であり、前記細胞内因子がAkt又はNF-κBである、請求項1に記載の尿路感染症バイオマーカー。
  3. 尿路感染症と無症候性細菌尿の鑑別に用いられる、請求項1又は2に記載の尿路感染症バイオマーカー。
  4. 請求項1又は2に記載のバイオマーカーのレベルを指標とした、尿路感染症の検査法。
  5. 以下のステップ(1)及び(2)を含む、請求項4に記載の検査法:
    (1)尿検体中の前記バイオマーカーを検出するステップ;
    (2)検出結果に基づき、尿路感染症の罹患の有無を判定するステップ。
  6. 尿路感染症と無症候性細菌尿の鑑別のための検査法である、請求項4又は5に記載の検査法。
  7. ステップ(1)が、尿検体からエクソソームを回収するステップと、回収したエクソソームを試料として前記バイオマーカーを検出するステップとを含む、請求項5又は6に記載の検査法。
  8. ステップ(1)の検出が免疫学的方法で行われる、請求項5〜7のいずれか一項に記載の検査法。
  9. 前記バイオマーカーの検出値が高いことが尿路感染症を罹患していることの指標となる、請求項4〜8のいずれか一項に記載の検査法。
  10. 請求項2に記載のバイオマーカーに特異的結合性を有する物質からなる、尿路感染症検査試薬。
  11. 請求項10に記載の尿路感染症試薬を含む、尿路感染症検査キット。
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