JP2019066376A - 放射線検出ユニット、放射線検出装置および放射線検出システム - Google Patents

放射線検出ユニット、放射線検出装置および放射線検出システム Download PDF

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尚志郎 猿田
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Abstract

【課題】通常の撮像と1ショットエネルギーサブトラクション法の両方に対応でき、1ショット法において品位の高いエネルギーサブトラクション画像を取得できる放射線検出ユニットを提供する。【解決手段】放射線検出ユニット1aは、入射した放射線を光に変換する波長変換部12と、波長変換部12において変換された光を検出して電気信号に変換する複数のフォトダイオードが配置されるセンサー基板部11と波長変換部12およびセンサー基板部11を収容する筐体30とを有し、筐体30は、波長変換部11およびセンサー基板部11を波長変換部12に放射線を入射させるために放射線を透過させる第1部材と挟むように第1部材と対向して配置される第2部材が、前記放射線から所定のエネルギー成分を吸収するフィルター部材によって構成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、放射線検出ユニット、放射線検出装置および放射線検出システムに関する。
医療画像診断や非破壊検査に放射線検出装置が広く利用されている。そして、放射線検出装置を用いて、エネルギー成分が互いに異なる複数の放射線画像を取得し、取得した複数の放射線画像の差分から、特定の被写体部分を分離または強調したエネルギーサブトラクション画像を取得する方法が知られている。特許文献1には、放射線検出パネルを有するパネルユニットを、ヒンジ等を用いて2台連結することにより、1ショット法によって2枚のエネルギー成分が互いに異なる放射線画像を取得する構成が開示されている。特許文献2には、2台の放射線検出パネルを重ねることにより、1ショット法によって2枚のエネルギー成分が互いに異なる放射線画像を取得する構成が開示されている。特許文献3には、エネルギーサブトラクション画像を取得するために、2台の放射線検出モジュールユニットを積層し、被写体に対して1回の放射線照射(1ショット法)でビームハードニング現象を利用することにより2つの異なるエネルギー成分の放射線画像を記録し、エネルギーサブトラクションを行う放射線検出装置が開示されている。
特開2011−137804号公報 特開2013−96759号公報 特開2010−101805号公報
しかしながら、特許文献1と特許文献2に開示される構成では、2台のパネルユニットが連結された状態や、2台の放射線検出パネルが重ねられた状態において、2枚の放射線検出パネルの間にそれぞれの筐体とフィルターを挟み込む構造となる。このような構成では、高エネルギー側が受ける線量が損なわれ、SNRが低くなるほか、散乱放射線を入射させてしまい画像の品位が劣化する。また2枚の放射線検出パネルどうしの距離が大きくなるため、放射線の投影ムラの影響が拡大し、低エネルギー側の放射線画像と高エネルギー側の放射線画像の位置ずれが大きくなる。また、特許文献3に記載の構成では、一つの筐体の中で2枚の放射線検出パネルが積層する。このような構成では、放射線検出装置の用途が限定される。また2枚の放射線検出パネルが積層する構成であるため、放射線検出装置が厚く重くなって取り扱いが容易でなくなる。
上述した実情に鑑み、本発明は、通常の撮像(1回の放射線の照射で1つの放射線画像を撮像する方法)と1ショットエネルギーサブトラクション法(1回の放射線照射で互いにエネルギー成分が異なる2つの放射線画像を撮像する方法)の両方に対応でき、1ショット法において品位の高いエネルギーサブトラクション画像を取得できるようにすることである。
上記課題を解決するため、本発明は、入射した放射線を光に変換する波長変換部と、前記波長変換部において変換された光を検出して電気信号に変換する複数の光電変換素子が配置されるセンサー基板部と、前記波長変換部およびセンサー基板部を収容する筐体と、を有し、前記筐体は、前記波長変換部および前記センサー基板部を挟むように互いに対向して配置される第1の部材と第2の部材とを有し、前記第1の部材は、前記波長変換部に前記放射線を入射させるために前記放射線を透過させる部材であり、前記第2の部材は、前記放射線から所定のエネルギー成分を吸収するフィルター部材によって構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、通常の撮像と1ショットエネルギーサブトラクション法の両方に対応でき、1回の放射線曝射で品位の高いエネルギーサブトラクション画像を取得できる。
放射線検出ユニットの構成例を模式的に示す断面図である。 放射線検出ユニットの構成例を模式的に示す断面図である。 反発部材と位置決め用ピン孔と位置決めピンを説明する図である。 反発部材と位置決め用ピン孔と位置決めピンを説明する図である。 放射線検出装置の構成例を模式的に示す断面図である。 放射線検出装置の構成例を模式的に示す断面図である。 放射線検出装置の構成例を模式的に示す断面図である。 放射線検出装置の構成例を模式的に示す断面図である。 放射線検出システムの構成例を模式的に示す図である。 比較例に係る放射線検出装置の構成例を模式的に示す図である。 実施例と比較例による物質弁別の結果を示す表である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明において、放射線とは、放射線崩壊によって放出される粒子(光子を含む)が作るビームであるα線、β線、γ線などの他に、同程度以上のエネルギーを有するビーム、例えばX線や粒子線、宇宙線なども含むものとする。
<放射線検出ユニット>
まず、本発明の実施形態に係る放射線検出ユニットの構成例について説明する。本発明の実施形態に係る放射線検出ユニットは、1台で通常の放射線画像の撮像ができる。さらに、2台の放射線検出ユニットを、後述するフィルター部どうしが対向する向きで分離可能に連結できる。そして、連結された2台の放射線検出ユニットは、1回の放射線曝射でエネルギー成分が互いに異なる複数の放射線画像(低エネルギー側の放射線画像と高エネルギー側の放射線画像)を撮像できる。
本発明の実施形態に係る放射線検出ユニット1a,1bとして、センサー基板部11と波長変換部12の配置構成が互いに異なる第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bを示す。図1は、放射線検出ユニット1a,1bにおけるセンサー基板部11と波長変換部12の配置構成を模式的に示す断面図である。図2は、放射線検出ユニット1a,1bの構成例を模式的に示す断面図である。なお、図1(a)と図2(a)は第1の放射線検出ユニット1aの例を示し、図1(b)と図2(b)は第2の放射線検出ユニット1bの例を示す。
図1(a)(b)と図2(a)(b)に示すように、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bは、それぞれ、重ねて配置されるセンサー基板部11と波長変換部12を有する。そして、センサー基板部11と波長変換部12は、第2の部材(フィルター部材)の例であるフィルター部13に重ねて配置される。
センサー基板部11には、複数の光電変換素子の例であるフォトダイオードと、複数のフォトダイオードのそれぞれを制御するためのスイッチング素子と、所定の配線とが配置される。複数のフォトダイオードとスイッチング素子は、二次元状(マトリックス状)に配置される。複数のフォトダイオードやスイッチング素子が二次元状に配置される領域を「有効画素領域111」と称する。なお、フォトダイオードは、MIS型、PN型、PIN型のいずれの種類であってもよい。センサー基板部11に設けられる配線には、例えば、スイッチング素子を操作する信号を伝送するためのゲート配線と、フォトダイオードから信号を読み出すための信号配線と、フォトダイオードにバイアスを印加するためのバイアス線が含まれる。センサー基板部11は、例えば、無アルカリガラス基板に、フォトエッチングプロセスを繰り返して前述のフォトダイオードやスイッチング素子や配線を形成していくことで製造される。
波長変換部12は、蛍光体層121と光反射層122を有し、これらが積層する構成を有する。蛍光体層121は、ラジオフォトルミネッセンスを発生させる性質を有し、放射線が入射すると励起して光を発する。光反射層122は、蛍光体層121が発する光をセンサー基板部11のフォトダイオードに向かわせるために設けられる。また、蛍光体層121が吸湿劣化する性質を有しているのであれば、蛍光体層121を水分から保護するための防湿保護層が設けられる構成や、光反射層122が防湿保護層の機能を有する構成が適用できる。具体的には例えば、蛍光体層121として膜厚が400μmのCsI:Tl(タリウム活性化ヨウ化セシウム)が適用できる。光反射層122および防湿保護層として、CsI:Tlに重ねて設けられる金属Alフィルムが適用できる。そして、金属Alフィルムの周縁部が防湿保護層として機能する樹脂により封止される構成が適用できる。
第2の部材の例であるフィルター部13は、放射線画像の撮像時において入射した放射線の所定のエネルギー成分を吸収する機能を有する。本発明の実施形態では、吸収する放射線の所定のエネルギー成分として、低エネルギー成分(放射線に含まれるエネルギー成分のうちの低エネルギー側の成分)が適用される。また、フィルター部13は、センサー基板部11と波長変換部12を収容する筐体30としての機能も有する。フィルター部13は、入射した放射線の所定のエネルギー成分の例である低エネルギー成分を吸収する材料により形成されるフィルター部材により構成される。また、フィルター部13は、低エネルギー成分を吸収する材料からなる低エネルギー成分吸収層131と金属からなる基材層132の積層構造を有するフィルター部材により構成されてもよい。すなわち、フィルター部13を構成するフィルター部材は、複合部材であってもよい。なお、フィルター部13を構成するフィルター部材が、低エネルギー成分吸収層131と基材層132の積層構造を有する複合部材である場合には、低エネルギー成分吸収層131と基材層132とが密着していることが好ましい。
放射線の低エネルギー成分を吸収する材料(低エネルギー成分吸収層131)としては、例えば、40keV以上60keV以下にK吸収端が存在する材料が適用される。このような材料としては、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウムが適用できる。そして、低エネルギー成分吸収層131には、前記元素のうちの少なくとも1種の粒子からなる層が適用できる。また、金属からなる基材層132には、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ag、In,Sn,Sbのいずれかの1種類以上からなる金属板または合金板が適用できる。
フィルター部13には、例えば、金属からなる基材層132として、厚さが0.5mmのCu板を有し、このCu板に密着する低エネルギー成分吸収層131として粉末状のCeO2を充填率35%にて0.2mmの膜厚で成膜した複合部材が適用できる。このような構成のフィルター部13によれば、2台の放射線検出ユニット1a,1bを連結して高エネルギー側の放射線画像と低エネルギー側の放射線画像を撮影する際に、高エネルギー成分と低エネルギー成分の平均エネルギー差(ΔE値)を大きくできる。このため、良好なスペクトラルイメージング画像を得ることが可能となる。
また、フィルター部13の厚さは、1mm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。このような構成によれば、フィルター部13どうし対向させて2台の放射線検出ユニット1a,1bを連結した状態において、センサー基板部11どうしの距離を小さくできる。
そして、第1の放射線検出ユニット1aにおいては、図1(a)と図2(a)に示すように、センサー基板部11の一方の表面(複数のフォトダイオードや配線が配置される側の表面。図1(a)においては上側の面)に波長変換部12が重ねて配置される。そして、センサー基板部11と波長変換部12は、センサー基板部11がフィルター部13に近い側に位置する向きで、フィルター部13に重ねて配置され、フィルター部13に固定される。換言すると、第1の放射線検出ユニット1aにおいては、フィルター部13の側から、センサー基板部11、波長変換部12の順に重ねて配置される。これに対して、第2の放射線検出ユニット1bにおいては、図1(b)と図2(b)に示すように、センサー基板部11の一方の表面(複数のフォトダイオードや配線が配置される側の表面。図1(b)においては下側の面)に波長変換部12が重ねて配置される。そして、センサー基板部11と波長変換部12は、波長変換部12がフィルター部13に近い側に位置する向きで波長変換部12にフィルター部13に重ねて配置され、フィルター部13に固定される。換言すると、第2の放射線検出ユニット1bにおいては、フィルター部13の側から、波長変換部12、センサー基板部11の順に重ねて配置される。
第1の放射線検出ユニット1aのセンサー基板部11とフィルター部13とは、密着していることが好ましい。なお、放射線の吸収や散乱に大きな影響を与えなければ、センサー基板部11とフィルター部13との間に、接着剤層など(例えば樹脂層)が存在してもよい。第2の放射線検出ユニット1bの波長変換部12とフィルター部13は、密着していることが好ましい。なお、第1の放射線検出ユニット1aと同様に、放射線の吸収や散乱に大きな影響を与えなければ、波長変換部12とフィルター部13との間に、接着剤層などが存在してもよい。
また、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bのいずれも、センサー基板部11の一方の表面(複数のフォトダイオードや配線が配置される側の表面)に、波長変換部12が重ねて配置される。波長変換部12の形成方法には、蛍光体層121の材料をセンサー基板部11の表面に直接蒸着することにより形成する直接法や、あらかじめ成膜した蛍光体層121のフィルムをセンサー基板部11の表面に貼り付ける間接法があるが、いずれの方法を用いてもよい。
第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bのいずれも、センサー基板部11には、FPCなどの配線を介して回路基板部14が接続される。回路基板部14には、例えば、CPUとROMとRAMが設けられたコンピュータが適用される。このコンピュータのROMには、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bのそれぞれを制御するためのコンピュータプログラムが記憶(格納)されている。そして、CPUはROMに記憶されているこのコンピュータプログラムを読み出し、RAMに展開して実行する。これにより、回路基板部14のコンピュータは、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bのそれぞれを制御する制御手段として機能する。なお、回路基板部14のROMは記憶手段として機能し、平均エネルギー差(ΔE値)を計算に用いられるフィルター部13とセンサー基板部11と波長変換部12の放射線の透過率の情報があらかじめ記憶されている。平均エネルギー差の計算に、あらかじめ記憶されている透過率を用いることにより、計算速度と計算精度の向上を図ることができる。
第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニットは、センサー基板部11と波長変換部12を収容する筐体30を有する。筐体30は、枠体部15と第1の部材の例である放射線透過部16を有する。さらに、第2の部材(フィルター部材)の例であるフィルター部13にも、筐体30の機能を持たせている。このように、フィルター部13は、放射線の所定のエネルギー成分(低エネルギー成分)を吸収する機能を有するほか、筐体30としての機能も有する。換言すると、筐体30を構成する部材のうち、センサー基板部11と波長変換部12を挟むように配置される部材の一方(第1の部材)を放射線透過部16によって構成し、他方(第2の部材)をフィルター部13によって構成する。すなわち、フィルター部13が筐体30とは別部材であるのではなく、フィルター部13が筐体30の一部となる。
枠体部15は、略四辺形の形状を有し、その内周側には開口部151が設けられるとともに、回路基板部14を支持する回路基板支持部152が設けられる。なお、枠体部15は、例えば軽金属などによって一体に形成される構成であることが好ましい。枠体部15が一体に形成される構成であると、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bのそれぞれの剛性を高めることができる。軽金属としては、例えばアルミニウムなどが適用できる。ただし、枠体部15の材料(材質)は特に限定されず、マグネシウム合金などの金属や、ガラスエポキシ材などの非金属材料であってもよい。
また、枠体部15には、2台の放射線検出ユニット(第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1b、第1の放射線検出ユニット1aどうし、第2の放射線検出ユニット1bどうし)を分離可能に連結するための連結手段の例である連結部154が設けられる。連結部154は、例えば、枠体部15の四辺の側面(フィルター部13が配置される面と、後述する放射線透過部16が配置される面以外の面)に配置される突起状の構成が適用できる。連結部154の数は特に限定されないが、例えば、枠体部15の短辺に2箇所ずつ、長辺に3箇所ずつ配置される構成が適用できる。図2(c)(d)に示すように、2台の放射線検出ユニット1a,1bを互いにフィルター部13が対向する向きで重ね合わせると、連結部154どうしが重なり合う。そして、重なり合った連結部154どうしを挟むように連結部材21をスライド式に装着できる。これにより、2台の放射線検出ユニット1a,1bが連結された状態に維持される。また、連結部材21を取り外すことにより、2台の放射線検出ユニット1a,1bを分離できる。このような構成によれば、2台の放射線検出ユニット1a,1bを簡便かつ強固に連結可能であり、かつ、簡便に分離可能である。なお、連結部154および連結部材21は、2台の放射線検出ユニット1a,1bを、フィルター部13どうしが対向する向きで分離可能に連結できる構成であればよく、具体的な構成は特に限定されない。また、連結部154の具体的な数や具体的な配置位置も特に限定されない。
放射線透過部16は、波長変換部12に放射線を入射させるために放射線を透過させる部材である。放射線透過部16は、剛性が高く、放射線の透過率が高く吸収や散乱が少ない材料により形成される。特に、フィルター部13のように所定のエネルギー成分を吸収するような構成ではなく、入射する放射線に対して透明であることが好ましい。このような材料としては、例えば、FRPやCFRPなどといった炭素繊維素材などが適用できる。ただし、放射線透過部16はFRPやCFRPに限定されず、これら以外の材料からなる構成であってもよい。放射線透過部16は、枠体部15の一側に配置され、その周縁部が枠体部15の四辺(周縁部)に固定(例えば接着)される。放射線透過部16が枠体部15の四辺に固定される構成であると、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bのそれぞれの剛性を高めることができる。
そして、図2(a)(b)に示すように、波長変換部12とセンサー基板部11とフィルター部13は、枠体部15の一側であって放射線透過部16が配置される側とは反対側に配置される。また、センサー基板部11と波長変換部12とフィルター部13は、フィルター部13が枠体部15の最も外側に位置する向きで配置される。このように、第1の部材の例である放射線透過部16と第2の部材の例であるフィルター部13とは、センサー基板部11と波長変換部12を挟んで対向するように配置される。換言すると、センサー基板部11と波長変換部12とは、放射線透過部16とフィルター部13とに挟まれた状態で、筐体30の内部(枠体部15の四辺と放射線透過部16とフィルター部13に囲まれた領域)に収容される。そして、第1の放射線検出ユニット1aにおいては、筐体30の外側から順に、フィルター部13とセンサー基板部11と波長変換部12が重なるように配置される。第2の放射線検出ユニット1bにおいては、筐体30の外側から順に、フィルター部13と波長変換部12とセンサー基板部11とが重なるように配置される。
第1の放射線検出ユニット1aには、図2(a)に示すように、波長変換部12と放射線透過部16との間に、荷重分散部18が配置される。第2の放射線検出ユニット1bには、図2(b)に示すように、センサー基板部11と放射線透過部16の間に、荷重分散部18が配置される。荷重分散部18は、センサー基板部11や波長変換部12にかかる荷重が狭い範囲に集中しないように、荷重を分散させる目的で配置される。荷重分散部18には、可撓性を有する材料、例えば、ラバー材やウレタン材などが適用できる。ただし、荷重分散部18の材料(材質)は特に限定されない。
なお、第1の放射線検出ユニット1aの荷重分散部18は、一方の表面が放射線透過部16に接触(例えば密着)しており、前記一方の表面とは反対側の表面は波長変換部12に接触(例えば密着)している。このような構成において、荷重分散部18は、接着剤によって放射線透過部16や波長変換部12と接着されてもよい。第2の放射線検出ユニット1bの荷重分散部18は、一方の表面が放射線透過部16の表面に接触(例えば密着)しており、前記一方の表面とは反対側の表面はセンサー基板部11に接触(例えば密着)している。第2の放射線検出ユニット1bの荷重分散部18は、放射線透過部16の表面とセンサー基板部11の表面に接着されてもよい。
回路基板部14は、枠体部15の回路基板支持部152に固定される。なお、回路基板部14は、回路基板支持部152の放射線透過部16が配置される側に近い側に配置される。そして、第1の放射線遮蔽部17が、回路基板部14の放射線透過部16に近い側に、回路基板部14に重ねて配置される。第1の放射線遮蔽部17は、外部から入射する放射線から回路基板部14を保護するために配置される。第1の放射線遮蔽部17には、例えば、Pb(鉛)やW(タングステン)などといった、放射線の透過率が低い材料からなる板やシートが適用できる。
図3は、第1の放射線検出ユニット1aを放射線透過部16が配置される側から見た分解斜視図である。なお、図3では、荷重分散部18を省略してある。図4は、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bを、フィルター部13が配置される側から見た平面図である。図3に示すように、枠体部15の四辺(周縁部)には、フィルター部13が配置される側(図3においては下側)に、反発部材19が配置される。反発部材19は、2台の放射線検出ユニット1a,1bをフィルター部13どうしが対向する向きで連結する際に、弾性圧縮変形可能な部材である。反発部材19には、発泡ゴム(ゴムスポンジ)などといった、弾性圧縮変形可能な材料により形成される。反発部材19は、2台の放射線検出ユニット1a,1bが連結された状態で、2台の放射線検出ユニット1a,1bの間における漏光を防止する機能を有する。また、反発部材19は、2台の放射線検出ユニット1a,1bをガタツキなく強固に連結する機能も有する。
図3と図4に示すように、反発部材19は、平面視(センサー基板部11の表面に直角な方向視をいう。以下同じ。)において四辺形の枠状の構成を有しており、内周側には貫通孔である開口部が設けられる。そして、図4に示すように、反発部材19は、平面視において枠体部15の四辺(周縁部)やフィルター部13の周縁部とは重なるが、少なくともセンサー基板部11の有効画素領域111とは重ならない。すなわち、平面視において、反発部材19は、センサー基板部11の有効画素領域111よりも外側に配置される。このように、フィルター部13の外面は、平面視において周縁部が反発部材19に覆われているほかは、反発部材19を含め他の部材に覆われずに露出している。特に、少なくとも平面視において有効画素領域111に対応する範囲は、反発部材19を含め他の部材に覆われずに露出している構成であることが好ましい。
このように、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bのいずれも、フィルター部13と放射線透過部16と枠体部15が筐体30を構成する。このため、フィルター部13とセンサー基板部11および波長変換部12との間には、筐体30を構成する部材などは配置されない。同様に、フィルター部13の外側にも、筐体30を構成する部材などは配置されず、周縁部の反発部材19を除き、フィルター部13が第1の放射線検出ユニット1aや第2の放射線検出ユニット1bの最外部に位置している(外部に露出している)。
このほか、図4に示すように、枠体部15には、フィルター部13が配置される側の面の周縁部には、2台の放射線検出ユニット1a,1bを位置決めするため、連結相手の放射線検出ユニット1a,1bに配置される位置決めピン20を挿抜可能な位置決めピン孔153が複数形成される。これらの位置決めピン孔153に位置決めピン20を差し込むことによって、2台の放射線検出ユニット1a,1bを連結する際に、正確に位置決めできる。このように、位置決めピン20と位置決めピン孔153が、2台の放射線検出ユニット1a,1bを位置決めする位置決め手段として機能する。なお、複数の位置決めピン孔153は、例えば、2台の放射線検出ユニット1a,1bを連結した状態で、平面視においてセンサー基板部11の有効画素領域111どうしが重なる(範囲が一致する)位置に位置決めできるように設けられる。ただし、複数の位置決めピン孔153の具体的な数や位置は特に限定されない。また、位置決めピン20の具体的な寸法や形状や材質も特に限定されない。
なお、位置決めピン20が位置決めピン孔153に挿抜可能である構成のほか、複数のうちの一部(例えば半数)の位置決めピン孔153にあらかじめ位置決めピン20が固定される構成であってもよい。この場合、2台の放射線検出ユニット1a,1bを対向させた状態において、位置決めピン20が固定された位置決めピン孔153と、位置決めピン20が固定されていない位置決めピン孔153とが対向する構成とする。例えば、図4に示すように、平面視において、枠体部15の中心に関して点対称の位置にある2つの位置決めピン孔153の一方に位置決めピン20が固定され、他方には位置決めピン20が固定されない構成が適用できる。
一部の位置決めピン孔153に位置決めピン20が固定される構成であると、2台の放射線検出ユニット1a,1bを連結する際に、位置決めピン20を位置決めピン孔153に差し込む作業が不要となる。このため、連結作業における手間を削減できる。また、2台の放射線検出ユニット1a,1bが連結されていない状態(単独の状態)では、位置決めピン20がフィルター部13より突出する構成となるため、フィルター部13に他の物体が接触することが抑制され、フィルター部13が保護される。
なお、前述のとおり、枠体部15の周縁部にはフィルター部13が接着されるとともに反発部材19が配置される。このため、図3や図4に示すように、フィルター部13の周縁部や反発部材19にも、枠体部15の位置決めピン孔153に対応する位置に、位置決めピン孔153を挿通できる開口部が設けられる。このような構成とすることにより、フィルター部13や反発部材19と干渉することなく、位置決めピン20を枠体部15に設けられる位置決めピン孔153に挿抜可能となる。
以上説明したとおり、フィルター部13には、周縁部に配置される反発部材19を除いては、他の部材が重ねて配置されない。このような構成であると、放射線検出ユニット1a,1bの薄型化や軽量化を図ることができ、取り扱いが容易となる。
なお、本発明の実施形態では、フィルター部13の周縁部に反発部材19が重ねて配置される構成を示したが、このような構成に限定されない。例えば、平面視において、フィルター部13よりも外側に反発部材19が配置される構成であってもよい。
<放射線検出装置>
次に、本発明の実施形態に係る放射線検出装置について説明する。本発明の実施形態に係る放射線検出装置として、次の第1〜第4の実施形態を示す。第1の実施形態に係る放射線検出装置5aは、連結された第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bの計2台の放射線検出ユニット1a,1bを有する。第2の実施形態に係る放射線検出装置5bは、連結された2台の第1の放射線検出ユニット1aを有する。第3の実施形態に係る放射線検出装置5cは、連結された2台の第2の放射線検出ユニット1bを有する。第4の実施形態に係る放射線検出装置5d,5eは、1台の第1の放射線検出ユニット1a、または、1台の第2の放射線検出ユニット1bを有する。
(放射線検出装置の第1の実施形態)
図5は、第1の実施形態に係る放射線検出装置5aの構成例を模式的に示す断面図であり、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bが連結された状態を示す図である(連結前の状態は、図2(a)(b)参照)。図5に示すように、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bは、フィルター部13および反発部材19が配置される側どうしが対向する(接近する)向きで連結される。
連結された状態では、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bの一方に配置される位置決めピン20が、他方に設けられる位置決めピン孔153に嵌まり込む。これにより、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bとが、前述のように位置決めされた状態に保持される。そして、連結部154に連結部材21を装着することによって、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bが連結された状態に維持される。このような構成によれば、1台の第1の放射線検出ユニット1aと1台の第2の放射線検出ユニット1bを簡便かつ強固に連結できる。また、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bに配置されている反発部材19どうしが接触して弾性圧縮変形する。これにより、連結が強固になり、ガタツキが防止されるとともに、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bの内部への漏光を防止できる。
第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bが連結された状態では、反発部材19が弾性圧縮変形してフィルター部13どうしが接近する。したがって、第1の放射線検出ユニット1aのセンサー基板部11と第2の放射線検出ユニット1bのセンサー基板部11どうしの距離も小さくなる。また、フィルター部13の外側には、周縁部の反発部材19を除き、他の物体が存在しない。すなわち、第1の放射線検出ユニット1a第2の放射線検出ユニット1bのそれぞれのフィルター部13が、所定のエネルギー成分を吸収する機能に加え、それぞれの筐体30としての機能を有する。このため、フィルター部13の外側にはフィルター部13とは別の筐体30となる部材が配置されない。このような構成であると、第1の放射線検出ユニット1aや第2の放射線検出ユニット1bの薄型化や軽量化を図ることができ、取り扱いが容易となる。さらに、連結された2台の放射線検出ユニット1a,1bを有する放射線検出装置5aの薄型化や軽量化を図ることができるから、放射線検出装置5aの取り扱いが容易となる。
また、連結された状態では、フィルター部13どうしの間には、周縁部に配置される反発部材19を除き、他の物体が存在しない。すなわち、反発部材19の開口部の内側(内周側)においては、フィルター部13どうしの間には、空気のみが存在する状態となる。なお、反発部材19の開口部の内側において、フィルター部13どうしは接触していてもよい。また、2台の放射線検出ユニット1a,1bともに、フィルター部13が筐体30を構成しており、フィルター部13とセンサー基板部11および波長変換部12の間には筐体30を構成する部材などは配置されない。このため、第1の実施形態に係る放射線検出装置5aによれば、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bのセンサー基板部11どうしの距離を小さくできる。したがって、1ショット法で高エネルギー側の放射線画像と低エネルギー側の放射線画像を撮像する場合に、放射線の投影広がりによる高エネルギー側の放射線画像と低エネルギー側の放射線画像の位置ずれを小さくできる。また、センサー基板部11どうしの間に存在する部材を少なくできる。具体的には、センサー基板部11どうしの間には、周縁部の反発部材19を除き、第1の放射線検出ユニット1aおよび第2の放射線検出ユニット1bのフィルター部13と第2の放射線検出ユニット1bの波長変換部12が存在する。そして、これら以外の部材や物体は存在しない。このため、センサー基板部11どうしの間で放射線の散乱が抑制される。
放射線画像の撮影の際には、第1の放射線検出ユニット1aの側から放射線を入射させてもよく、第2の放射線検出ユニット1bの側から放射線を入射させてもよい。いずれの場合にも、筐体30の放射線透過部16が配置される側から放射線を入射させることになり、放射線透過部16は、波長変換部12に放射線を入射させるために放射線を透過させる部材となる。図5中の矢印X1は、第1の放射線検出ユニット1aの側から入射する放射線を示す。放射線を第1の放射線検出ユニット1aの側から入射させると、放射線は、第1の放射線検出ユニット1aの放射線透過部16と荷重分散部18を順次透過して波長変換部12の蛍光体層121に入射する。そして、入射した放射線は蛍光体層121において光に変換され、センサー基板部11に配置されるフォトダイオード(光電変換素子)で検出されて電気信号に変換される。第1の放射線検出ユニット1aのセンサー基板部11を透過した放射線は、第1の放射線検出ユニット1aのフィルター部13と、第2の放射線検出ユニット1bのフィルター部13を透過して、第2の放射線検出ユニット1bの波長変換部12に入射する。そして、放射線が第1の放射線検出ユニット1aのフィルター部13と第2の放射線検出ユニット1bのフィルター部13を透過する際に、低エネルギー成分が吸収される。このため、第2の放射線検出ユニット1bの波長変換部12には、放射線の高エネルギー成分が入射する。そして、第2の放射線検出ユニット1bでは、入射した放射線の高エネルギー成分が波長変換部12において光に変換され、変換された光がセンサー基板部11に配置されるフォトダイオードで検出されて電気信号に変換される。なお、この場合には、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bはいずれも、表面入射方式(P.S.S)となる。
このように、第1の放射線検出ユニット1aの側から放射線を入射させると、第2の放射線検出ユニット1bのセンサー基板部11には、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bのフィルター部13によって低エネルギー成分が吸収された放射線が入射する。このため、第1の放射線検出ユニット1aは低エネルギー側の放射線画像を生成し、第2の放射線検出ユニット1bは高エネルギー側の放射線画像を生成する。このように、第1の実施形態に係る放射線検出装置5aは、1回の放射線曝射によって、それぞれエネルギー成分が異なる放射線画像を生成する。
図5中の矢印X2は、第2の放射線検出ユニット1bの側から入射する放射線を示す。放射線を第2の放射線検出ユニット1bの側から入射させると、放射線は、第2の放射線検出ユニット1bの放射線透過部16と荷重分散部18を透過して波長変換部12の蛍光体層121に入射する。第2の放射線検出ユニット1bのセンサー基板部11を透過した放射線は、第2の放射線検出ユニット1bのフィルター部13と、第1の放射線検出ユニット1aのフィルター部13およびセンサー基板部11を透過する。そして、第1の放射線検出ユニット1aの波長変換部12に入射する。この場合には、第1の放射線検出ユニット1aの波長変換部12には、第2の放射線検出ユニット1bと第1の放射線検出ユニット1aのフィルター部13において低エネルギー成分が吸収された放射線が入射する。このため、第2の放射線検出ユニット1bは低エネルギー側の放射線画像を生成し、第1の放射線検出ユニット1aは高エネルギー側の放射線画像を生成する。また、この場合には、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bは、いずれも、裏面入射方式(I.S.S)となる。
前述のとおり、フィルター部13のうち、反発部材19が重ねて配置される部分(すなわち周縁部)以外の部分は、最外部に露出している。このため、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bが、フィルター部13どうしが対向する向きで連結されると、反発部材19が弾性圧縮変形してフィルター部13どうしが接近するとともに、それらの間には空気以外の物質や物体が存在しない状態となる。したがって、入射した放射線が第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bの一方から他方へ透過する際に、放射線の損失や低減を防止してSNRの低下を防止できる。また、センサー基板部11どうしの間に外部から放射線が入射することが防止されるから、放射線画像の品位の低下を防止できる。また、フィルター部13どうしの間に他の部材(例えば筐体30など)が存在しないから、センサー基板部11どうしを接近させることができる。このため、放射線の投影広がりによる撮像される低エネルギー側の放射線画像と高エネルギー側の放射線画像の位置ずれを小さくできる。
さらに、フィルター部13が最外部に位置して露出しており、フィルター部13には筐体30である枠体部15などが重ねて配置されない。このような構成であると、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bの薄型化を図ることができる。このため、1台の放射線検出ユニット1a,1bを有する構成のみならず、連結された2台の放射線検出ユニット1a,1bを有する構成においても、薄型化や軽量化を図ることができる。したがって、エネルギーサブトラクション法により放射線画像を撮像する際に、放射線検出装置5aの取扱いが容易となる。
(放射線検出装置の第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る放射線検出装置5bについて説明する。第2の実施形態に係る放射線検出装置は、2台の第1の放射線検出ユニット1aを有する。図6は、第2の実施形態に係る放射線検出装置5bにおける2台の第1の放射線検出ユニット1aの配置を模式的に示す断面図である。図6(a)は連結される前の状態を示し、図6(b)は連結された状態を示す。2台の第1の放射線検出ユニット1aは、フィルター部13が互いに対向する向きで連結される。このため、第1の実施形態に係る放射線検出装置5aと同様に、反発部材19が弾性圧縮変形し、フィルター部13どうしが接近する。そして、フィルター部13どうしの間には、周縁部の反発部材19を除いては空気のみが存在する状態となる。この場合、フィルター部13どうしが接触していてもよい。なお連結方法は、第1の実施形態に係る放射線検出装置5aと同じである。そして、第2の実施形態に係る放射線検出装置5bによれば、第1実施形態に係る放射線検出装置5aと同様の効果を奏することができる。
放射線画像の撮影の際には、放射線を一方の第1の放射線検出ユニット1aの側から入射させる。説明の便宜上、入射する放射線の上流側に位置する第1の放射線検出ユニット1aを「上流側の第1の放射線検出ユニット1a」と称し、下流側に位置する第1の放射線検出ユニット1aを「下流側の第1の放射線検出ユニット1aと称する。図6(b)においては、矢印X1の向きに放射線を入射させる場合には、図中の上側に位置する第1の放射線検出ユニット1aが「上流側の第1の放射線検出ユニット1a」となる。矢印X2の向きに放射線を入射させる場合には、図中の下側に位置する第1の放射線検出ユニット1aが「上流側の第1の放射線検出ユニット1a」となる。なお、後述する第3の実施形態に係る放射線検出装置5c(図7参照)についても同様とする。
放射線は、上流側の第1の放射線検出ユニット1aの放射線透過部16と荷重分散部18を透過して波長変換部12に入射する。上流側の第1の放射線検出ユニット1aのセンサー基板部11を透過した放射線は、上流側の第1の放射線検出ユニット1aのフィルター部13と、下流側の第1の放射線検出ユニット1aのフィルター部13を透過する。そして、下流側の第1の放射線検出ユニット1aの波長変換部12に入射する。この場合には、下流側の第1の放射線検出ユニット1aの波長変換部12には、上流側および下流側の第1の放射線検出ユニット1aのフィルター部13によって低エネルギー成分が吸収された放射線が入射する。このため、上流側の第1の放射線検出ユニット1aは低エネルギー側の放射線画像を生成し、下流側の第1の放射線検出ユニット1aは高エネルギー側の放射線画像を生成する。また、上流側の第1の放射線検出ユニット1aは表面入射方式となり、下流側の第1の放射線検出ユニット1aは裏面入射方式となる。
(放射線検出装置の第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る放射線検出装置5cについて説明する。第3の実施形態に係る放射線検出装置5cは、2台の第2の放射線検出ユニット1bを有する。図7は、第3の実施形態に係る放射線検出装置5cにおける2台の第2の放射線検出ユニット1bの配置を模式的に示す断面図である。なお図7(a)は連結される前の状態を示し、図7(b)は連結された状態を示す。2台の第2の放射線検出ユニット1bは、フィルター部13が互いに対向する向きで連結される。このため、反発部材19が弾性圧縮し、フィルター部13どうしが接近する。そして、フィルター部13の間には、周縁部の反発部材19を除いては他の部材などは存在せず、空気のみが存在する状態となる。なお、フィルター部13どうしが接触していてもよい。連結方法は、第1の実施形態に係る放射線検出装置5cと同じである。そして、第3の実施形態に係る放射線検出装置5cによれば、第1の実施形態に係る放射線検出装置5aと同様の効果を奏することができる。
放射線を一方の第2の放射線検出ユニット1bの側から入射させると、放射線は、上流側の第2の放射線検出ユニット1bの放射線透過部16と荷重分散部18を透過して波長変換部12に入射する。上流側の第2の放射線検出ユニット1bのセンサー基板部11を透過した放射線は、さらに、上流側の第2の放射線検出ユニット1bのフィルター部13と、下流側の第2の放射線検出ユニット1bのフィルター部13を透過する。そして、下流側の第2の放射線検出ユニット1bの波長変換部12に入射する。この場合には、下流側の第2の放射線検出ユニット1bの波長変換部12には、上流側および下流側の両方の第2の放射線検出ユニット1bのフィルター部13によって低エネルギー成分が吸収された放射線が入射する。このため、上流側の第2の放射線検出ユニット1bは低エネルギー側の放射線画像を生成し、下流側の第2の放射線検出ユニット1bは高エネルギー側の放射線画像を生成する。また、上流側の第2の放射線検出ユニット1bは表面入射方式となり、下流側の第2の放射線検出ユニット1bは裏面入射方式となる。
(放射線検出装置の第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る放射線検出装置5d,5eについて説明する。第4の実施形態に係る放射線検出装置5d,5eは、1台の第1の放射線検出ユニット1aまたは1台の第2の放射線検出ユニット1bを有する。図8(a)は、1台の第1の放射線検出ユニット1aを有する構成を模式的に示す断面図であり、図8(b)は、1台の第2の放射線検出ユニット1bを有する構成を模式的に示す断面図である。
図8(a)(b)に示すように、放射線検出装置5d,5eが1台の第1の放射線検出ユニット1aまたは1台の第2の放射線検出ユニット1bを有する構成では、フィルター部13の外側に、第2の放射線遮蔽部22と底板部23が重ねて配置される。なお、この第2の放射線遮蔽部22と底板部23は、1台の第1の放射線検出ユニット1aや1台の第2の放射線検出ユニット1bのそれぞれに、着脱可能に装着される。第2の放射線遮蔽部22は、第1の放射線遮蔽部17と同様に、Pb(鉛)やW(タングステン)の板やシートなどが適用できる。要は、第2の放射線遮蔽部22は、放射線を遮蔽できる(特に、放射線の高エネルギー成分を遮蔽できる)構成であればよい。また、底板部23は、1台の第1の放射線検出ユニット1aや1台の第2の放射線検出ユニット1bの剛性を高める目的で配置される。底板部23には、軽量で剛性の高い材料からなる板状の部材が適用される。例えば、底板部23には、アルミニウムやマグネシウム合金などからなる板状の部材が適用できる。また、第2の放射線遮蔽部22と底板部23とは、一体に接合されて一つの部材を構成してもよい。なお、第2の放射線遮蔽部22と底板部23の第1の放射線検出ユニット1aや第2の放射線検出ユニット1bへの装着構造は特に限定されない。例えば、枠体部15に設けられる連結部154に連結部材21などを介して着脱可能に取り付けられる構成が適用できる。第2の放射線遮蔽部22と底板部23が着脱可能であることにより、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bは、2台連結して使用できることに加え、それぞれ単独でも使用できる。
そして、放射線画像の撮像の際には、放射線透過部16の側から放射線を入射させる。図8(a)(b)の矢印X1,X2は、それぞれ入射する放射線を示す。この場合、第1の放射線検出ユニット1aであれば表面入射方式となり、第2の放射線検出ユニット1bであれば裏面入射方式となる。なお、第1の放射線検出ユニット1aを有する構成においては、放射線透過部16の側から入射した放射線は、荷重分散部18と波長変換部12とセンサー基板部11とを順次透過してフィルター部13に到達する。第2の放射線検出ユニット1bを有する構成においては、放射線透過部16の側から入射した放射線は、荷重分散部18とセンサー基板部11と波長変換部12とを順次透過してフィルター部13に到達する。前述のとおり、フィルター部13は、放射線の低エネルギー成分を吸収する部材であるため、フィルター部13に到達した放射線の低エネルギー成分はフィルター部13に吸収される。フィルター部13を透過した放射線の高エネルギー成分は、フィルター部13に重ねて配置される第2の放射線遮蔽部22によって遮蔽されるため、放射線の外部への漏出が防止される。このように、フィルター部13は放射線の低エネルギー成分を重点的に吸収する部材であるため、放射線の高エネルギー成分を吸収するために、フィルター部13の外側に重なるように第2の放射線遮蔽部22が配置される。
このように、本発明の実施形態に係る放射線検出ユニット1a,1bは、単独では通常の放射線画像の撮像に使用でき、2台連結されることによって1ショット法によるエネルギーサブトラクション法の撮像にも使用できる。そして、1台の放射線検出ユニット1a,1bには1枚のセンサー基板部11が配置される構成であるから、例えば、1つの筐体に2枚のセンサー基板部が配置される構成に比較すると、放射線検出ユニット1a,1bの薄型化や軽量化を図ることができる。このため、放射線検出ユニット1a,1bを有する放射線検出装置5a〜5eの薄型化や軽量化を図ることもできる。したがって、1台の放射線検出ユニット1a,1bを有する放射線検出装置5a〜5eを用いて通常の放射線画像の撮影を行う際には、その取り扱いが容易となる。また、1つの筐体に2枚のセンサー基板部が配置される構成に比較すると、製造コストや製造工数の削減を図ることができる。
<放射線検出システム>
次に、本発明の実施形態に係る放射線検出システム6の構成例について、図9を参照して説明する。図9は、本発明の実施形態に係る放射線検出システム6の構成例を模式的に示す図である。図9に示すように、放射線検出システム6は、放射線源61と、放射線検出部62と、信号処理部63と、表示部64とを含む。放射線源61は、被検者P(被写体)に向けて放射線を曝射する。放射線検出部62は、放射線源61から曝射されて被検者P(被写体)を透過した放射線を検出する。放射線検出部62は、前記各実施形態に係る放射線検出装置5a〜5eを有する。信号処理部63は、イメージプロセッサなどを有する。表示部64は、ディプレイなどを含む。放射線源61から曝射された放射線は、被検者Pを透過し、放射線検出部62が有する放射線検出装置5a〜5eの放射線検出ユニット1a,1bに入射する。そして、放射線検出ユニット1a,1bは、被検者Pの体内の情報を含む放射線を検出して放射線画像の電気信号に変換する。信号処理部63は、放射線検出ユニット1a,1bから取得した放射線画像の電気信号に所定の信号処理を施す。この放射線画像の電気信号は、表示部64に表示される。
本発明の実施形態に係る放射線検出システム6は、1回の放射線曝射によってエネルギー成分が異なる2枚の放射線画像を取得することができる(1ショットエネルギーサブトラクション法)。この場合には、放射線検出部62には、連結された2台の放射線検出ユニット1a,1bを有する放射線検出装置(前記第1〜第3の実施形態に係る放射線検出装置5a〜5c)を有する構成が適用される。そして、放射線源61による1回の放射線の曝射により、入射する放射線の上流側に位置する放射線検出ユニット1a,1bにより放射線の低エネルギー成分を検出し、下流側の放射線検出ユニット1a,1bにより放射線の高エネルギー成分を検出する。そして、それぞれ、低エネルギー側の放射線画像と高エネルギー側の放射線画像を生成する。信号処理部63は、2台の放射線検出ユニット1a,1bがそれぞれ生成した高エネルギー側の放射線画像の電気信号と低エネルギー側の放射線画像の電気信号を取得する。そして、信号処理部63は、取得した高エネルギー側の放射線画像と低エネルギー側の放射線画像を差分する演算処理を行う。これにより、信号処理部63は、例えば硬部組織と軟部組織の一方を強調し他方を除去した画像(「エネルギーサブトラクション画像」と称する)を得ることができる。この際、信号処理部63は、2台の放射線検出ユニット1a,1bのそれぞれのコンピュータのROM(記憶手段)からフィルター部13とセンサー基板部11と波長変換部12の放射線の透過率の情報を読み出して平均エネルギー差(ΔE値)の計算に用いる。平均エネルギー差の計算に、あらかじめ記憶されている透過率を用いることにより、計算速度と計算精度の向上を図ることができる。
このように、本発明の実施形態に係る放射線検出システム6の放射線検出部62には、2台の連結された放射線検出ユニット1a,1bを有する放射線検出装置(第1〜第3の実施形態に係る放射線検出装置5a〜5c)を有する構成が適用できる。そして、1回の放射線曝射において取得した複数の放射線画像(低エネルギー側の放射線画像と高エネルギー側の放射線画像)から、新たな放射線画像(エネルギーサブトラクション画像)を生成できる。生成されたエネルギーサブトラクション画像は、表示部64に表示される。
また、放射線検出システム6は、通常の放射線画像の撮影を行うこともできる。この場合、放射線検出部62の放射線検出装置には、1台の放射線検出ユニット1a,1bを有する放射線検出装置(第4の実施形態に係る放射線検出装置5d,5e)を有する構成が適用される。
なお、エネルギーサブトラクション画像を生成する処理は、放射線検出部62の放射線検出装置5a〜5cの放射線検出ユニット1a,1bが実行してもよい。例えば、放射線検出ユニット1a,1bのコンピュータのROMには、放射線検出ユニット1a,1bの制御やエネルギーサブトラクション画像を生成する処理を実行するためのコンピュータプログラムがあらかじめ記憶される。さらに、ROMには、平均エネルギー差(ΔE値)を計算するための透過率があらかじめ記憶される。この場合、ROMが、フィルター部13とセンサー基板部11と波長変換部12の放射線の透過率を記憶する記憶手段として機能する。そして、放射線検出ユニット1a,1bのコンピュータは、高エネルギー側の放射線画像と低エネルギー側の放射線画像を差分する演算処理を行い、エネルギーサブトラクション画像を得る。この際、放射線検出ユニット1a,1bのコンピュータは、それぞれのROMからフィルター部13とセンサー基板部11と波長変換部12の放射線の透過率の情報を読み出して平均エネルギー差(ΔE値)の計算に用いる。なお、この処理は、2台の放射線検出ユニット1a,1bのうちの一方のコンピュータが実行してもよく、2台の放射線検出ユニット1a,1bの両方のコンピュータが協働して実行してもよい。
<実施例>
次に、本発明の実施例と比較例について説明する。実施例においては、前記本発明の第1〜第3の実施形態に係る放射線検出装置5a〜5cを用いて1ショット法により厚さが20mmのPMMA板と厚さが2mmのアルミ板を撮影した。第1の比較例においては、1台の比較例に係る放射線検出ユニット9を有する放射線検出装置を使用して2ショット法により前記PMMA板とアルミ板を撮影した。第2の比較例においては、2台の比較例に係る放射線検出ユニット9を有する放射線検出装置を使用して1ショット法により前記PMMA板とアルミ板を撮影した。そして、実施例と比較例のそれぞれについて、得られた低エネルギー側の放射線画像と高エネルギー側の放射線画像から、PMMA板およびアルミ板の厚さと、高エネルギー側の放射線画像と低エネルギー側の放射線画像の感度比I0 L/I0 Hを計算した。図11は、PMMA板およびアルミ板の厚さの計算結果と、高エネルギー側の放射線画像と低エネルギー側の放射線画像の感度比I0 L/I0 Hの計算結果を示す表である。また、この表においては、併せて、被検体の被曝線量と、高エネルギー成分と低エネルギー成分の平均エネルギー差(ΔE値)を示す。
(第1の比較例)
図10は、比較例に係る放射線検出装置の放射線検出ユニット9の構成例を模式的に示す断面図である。図10に示すように、放射線検出ユニット9の筐体は、筐体側壁部905と、筐体側壁部905の一側(放射線を入射させる側)に配置される放射線透過部907と、反対側の一側に配置される筐体底部906とを有する。筐体側壁部905は、軽金属または軽金属合金よりなる。放射線透過部907は、放射線を透過しやすい材料からなる。そして、筐体側壁部905に囲まれる領域であって放射線透過部907と筐体底部906の間には、荷重分散部904と、波長変換部903と、センサー基板部902と、基板支持部901とが、放射線透過部907の側から前記記載の順に重ねて配置される。なお、荷重分散部904の一方の面は放射線透過部907に接着され、他方の面は波長変換部903に接着される。また、センサー基板部11は基板支持部901に接着される。センサー基板部11とFPCを介して接続される回路基板部908は、基板支持部901のセンサー基板部902とは反対側に配置される。さらに、基板支持部901および回路基板部908と筐体底部906との間には、放射線の漏洩を防止する目的で、放射線遮蔽部909が配置される。なお、この放射線検出ユニット9は、いわゆる表面入射方式である。また、図10においては、1ショット法で用いた2台の放射線検出ユニット9が連結された放射線検出装置を示すが、2ショット法においては1台の放射線検出ユニット9を有する放射線検出装置を使用した。
(第1の比較例 2ショット法)
第1の比較例では、1台の放射線検出ユニット9を有する放射線検出装置を用いて2ショット法で互いにエネルギー成分の異なる放射線画像(低エネルギー側の放射線画像と高エネルギー側の放射線画像)を取得した。高エネルギー側の放射線画像の撮像条件は次のとおりである。放射線源51の位置は、放射線検出ユニット9の放射線透過部907から175cmの高さとした。放射線の照射野は、35cm×35cmとした。放射線源51の管電圧は、140kV、管電流は80mA、照射時間は12.5msecとした。この撮像条件で撮像を実行して高エネルギー白画像I0 Hを取得するとともに、放射線検出ユニット9の放射線透過部907に被検体として前記PMMA板と前記アルミ板を載せて撮像を実行し、高エネルギー画像IHを取得した。これら2つの画像を、次の数式を用いて除算することにより、高エネルギー白補正画像Ical Hを得た。

cal H =IH /I0 H
低エネルギー側の放射線画像の撮像条件は、放射線源51の管電圧を80kV、管電流を80mA、照射時間を50msecとした。それ以外は、高エネルギー側の放射線画像の撮像条件と同じである。この撮像条件で放射線を照射して低エネルギー側の白画像I0 Lを取得するとともに、放射線検出ユニット9の放射線透過部907に被検体として前記PMMA板と前記アルミ板を載せ、低エネルギー側の放射線画像ILを取得した。そして、これら2つの画像を次の数式を用いて除算することにより、低エネルギー白補正画像Ical Lを得た。

cal L =IL /I0 L
計算した白補正画像Ical H,Ical Lと、各管電圧条件で測定された放射線スペクトル分布D(E)と、PMMA板およびアルミ板の各線減弱係数のエネルギー分布μAl(E) ,μPMMA(E)を用いて、PMMA板の厚さtPMMAとアルミ板の厚さtAlを計算した。計算により得られたPMMA板の厚さtPMMAは、実際値20mmに対し17mmであり、アルミ板の厚さtAlは、実際値2mmに対し1.6mmであった。このことから、定量性は低いものの、物質弁別が可能であることが確認された。
高低エネルギー画像の感度比I0 L/I0 Hは、1に近いほどSNRを大きくとることができる。第1の比較例では、約1.15となった。
放射線の被曝線量は、少ないほど好ましい。第1の比較例においては、高エネルギー側の放射線画像の撮像の際の被曝線量は57μGyであり、低エネルギー側の放射線画像の撮像の際の被曝線量は73μGyであり、合計の被曝線量は133μGyとなった。2ショットによる第1の比較例では、被爆線量が必然的に多くなってしまい、好ましくないことがわかる。
平均エネルギー差(ΔE値)は、あらかじめ計測しておいた各放射線スペクトルと関連部材の線減弱係数、厚み、密度を用いて計算できる。平均エネルギー差(ΔE値)は、大きいほどSNRが高く、優れた物質弁別が可能となる。計算の結果、第1の比較例の平均エネルギー差(ΔE値)は、11keVであった。
(第2の比較例 1ショット法)
第2の比較例では、2台の比較例に係る放射線検出ユニット9が重ねて配置される放射線検出装置を用いた。放射線画像の撮像条件は、第1の比較例と同じである。そして、1回の放射線の曝射により、放射線の入射方向の上流側に位置する放射線検出ユニット9により高エネルギー補正画像I0 Hを取得し、下流側に位置する放射線検出ユニット9により低エネルギー補正画像I0 Lを取得した。
第2の比較例では、放射線の入射方向の上流側に位置する放射線検出ユニット9の放射線遮蔽部909により放射線が殆ど吸収されてしまうため、SNRが低く信頼に足るILを取得できなかった。このためPMMA板の厚さtPMMAとアルミ板の厚さtAlを計算できず、物質の弁別は不可能であった。
そこで、放射線の入射方向の上流側に位置する放射線検出ユニット9から放射線遮蔽部909を取り外し、上記条件で撮像を行った。そして放射線の入射方向の上流側の放射線検出ユニット9により高エネルギー補正画像I0 Hを取得し、下流側の放射線検出ユニット9により低エネルギー補正画像I0 Lを取得した。そして、PMMAの板の厚さtPMMAとアルミ板の厚さtAlを計算した。計算により得られたPMMA板の厚さtPMMAは、実際値20mmに対し0.2mmであり、アルミ板の厚さtAlは、実際値2mmに対し−5mmであった。また素抜け部に著しいアーチファクトとノイズが発生した。このように、ある程度の定量性を有する物質弁別は不可能であることが確認された。
この結果は、センサー基板部902どうしの距離が大きいことから、放射線の投影広がりによる2つの放射線画像の位置ずれが大きくなるためと考えられる。また、比較例に係る放射線検出装置の放射線検出ユニット9には、センサー基板部902どうしの間に基板支持部901や、FPCや、回路基板部908や、筐体底部906などといった、放射線を吸収散乱する物体が存在する。このため、高エネルギー側の放射線画像にこれらの物体(すなわち、放射線散乱成分)によるノイズやアーチファクトが発生したためと考えられる。
第2の比較例では、高エネルギー側の放射線画像と低エネルギー側の放射線画像の感度比I0 L/I0 Hは、約0.31となった。放射線の被曝線量は、57μGyであった。平均エネルギー差(ΔE値)は、14keVであった。
(第1の実施例、第2の実施例)
第1の実施例では、第1の実施形態に係る放射線検出装置5aを用い、撮像時には第1の放射線検出ユニット1aの側から放射線を入射させた。この場合、第1の放射線検出ユニット1aが表面入射方式で低エネルギー側の放射線画像を生成し、第2の放射線検出ユニット1bが表面入射方式で高エネルギー側の放射線画像を生成した。第2の実施例では、第1の放射線検出ユニット1aと第2の放射線検出ユニット1bを連結して用い、撮像時には第2の放射線検出ユニット1bの側から放射線を入射させた。この場合、第2の放射線検出ユニット1bが裏面入射方式で低エネルギー側の放射線画像を生成し、第1の放射線検出ユニット1aが裏面入射方式で高エネルギー側の放射線画像を生成した。それ以外の撮像条件は、第2の比較例と同じとした。なお、平均エネルギー差(ΔE値)の計算に必要となるセンサー基板部11とフィルター部13と波長変換部12の放射線の透過率は、0〜150keVの範囲で測定され、あらかじめ回路基板部14のROMに記憶されている。そして、計算時にはこの透過率を用いることにより、計算速度と精度を向上させることができる。
第1の実施例では、計算により得られたPMMA板の厚さtPMMAは、実際値20mmに対し19mmであり、アルミ板の厚さtAlは、実際値2mmに対し1.8mmであった。このように、第1の実施例によれば、物質弁別が可能であることが確認された。また、第1の実施例では、高エネルギー側の放射線画像と低エネルギー側の放射線画像の感度比I0 L/I0 Hは、約0.13となった。放射線の被曝線量は、57μGyであった。平均エネルギー差(ΔE値)は、14keVであった。第2の実施例では、計算により得られたPMMA板の厚さtPMMAは、実際値20mmに対し19mmであり、アルミ板の厚さtAlは、実際値2mmに対し1.7mmであった。このように、第2の実施例によれば、物質弁別が可能であることが確認された。また、第2の実施例では、高エネルギー側の放射線画像と低エネルギー側の放射線画像の感度比I0 L/I0 Hは、約0.14となった。放射線の被曝線量は、57μGyであった。平均エネルギー差(ΔE値)は、14keVであった。このように、第1の実施例と第2の実施例では、平均エネルギー差(ΔE値)が14keVと第1の比較例よりも大きく、第1の比較例よりも優れた定量性を有することが確認された。
(第3の実施例)
第3の実施例では、第2の実施形態に係る放射線検出装置5bを用いた。撮像条件は第1の比較例と同じとした。第3の実施例では、計算により得られたPMMA板の厚さtPMMAは実際値20mmに対して19mmであり、アルミ板の厚さtAlは、実際値2mmに対して1.6mmであった。高エネルギー側の放射線画像と低エネルギー側の放射線画像の感度比I0 L/I0 Hは0.13であった。被検体の被曝線量は57μGyであった。平均エネルギー差(ΔE値)は14であった。このように、第3の実施例では、平均エネルギー差(ΔE値)が14keVと第1の比較例よりも大きく、第1の比較例よりも優れた定量性を有することが確認された。
(第4の実施例)
第4の実施例では、第3の実施形態に係る放射線検出装置5cを用いた。撮像条件は第1の比較例と同じとした。第4の実施例では、計算により得られたPMMAの板の厚さtPMMAは、実際値20mmに対して19mmであり、Alの板の厚さtAlは、実際値2mmに対して1.8mmであった。高エネルギー側の放射線画像と低エネルギー側の放射線画像の感度比I0 L/I0 Hは0.14であった。被検体の被曝線量は57μGyであった。平均エネルギー差(ΔE値)は14であった。このように、第4の実施例は、平均エネルギー差(ΔE値)は14keVと第1の比較例よりも大きく、第1の比較例よりも優れた定量性を有することが確認された。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、前記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、前記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
1a,1b:放射線検出ユニット、11:センサー基板部、111:有効画素領域、12:波長変換部、121;蛍光体層、122:光反射層、13:フィルター部、131:低エネルギー成分吸収層、132:基材層、14:回路基板部、15:枠体部、151:開口部、152:回路基板支持部、153:位置決めピン孔、154:連結部、16:放射線透過部、17:第1の放射線遮蔽部、18:荷重分散部、19:反発部材、20:位置決めピン、21:連結部材、22:第2の放射線遮蔽部

Claims (17)

  1. 入射した放射線を光に変換する波長変換部と、
    前記波長変換部において変換された光を検出して電気信号に変換する複数の光電変換素子が配置されるセンサー基板部と、
    前記波長変換部およびセンサー基板部を収容する筐体と、
    を有し、
    前記筐体は、前記波長変換部および前記センサー基板部を挟むように互いに対向して配置される第1の部材と第2の部材とを有し、
    前記第1の部材は、前記波長変換部に前記放射線を入射させるために前記放射線を透過させる部材であり、
    前記第2の部材は、前記放射線から所定のエネルギー成分を吸収するフィルター部材によって構成されていることを特徴とする放射線検出ユニット。
  2. 前記フィルター部材は、40keV以上60keV以下にK吸収端が存在する低エネルギー成分吸収層を含むことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出ユニット。
  3. 前記フィルター部材は、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ag、In,Sn,Sbのいずれかの1種類以上の金属板または合金板からなる基材層をさらに有し、
    前記低エネルギー成分吸収層と前記基材層とが密着して重なっていることを特徴とする請求項2に記載の放射線検出ユニット。
  4. 前記波長変換部と前記センサー基板部は、互いに重ねて配置されており、前記フィルター部材に固定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の放射線検出ユニット。
  5. 前記筐体を構成する前記フィルター部材の表面に前記センサー基板部が重ねて配置され、さらに前記センサー基板部に前記波長変換部が重ねて配置されることを特徴とする請求項4に記載の放射線検出ユニット。
  6. 前記センサー基板部は、前記フィルター部材の前記表面に密着していることを特徴とする請求項5に記載の放射線検出ユニット。
  7. 前記筐体を構成する前記フィルター部材の表面に前記波長変換部が重ねて配置され、さらに前記波長変換部に前記センサー基板部が重ねて配置されることを特徴とする請求項4に記載の放射線検出ユニット。
  8. 前記波長変換部は、前記フィルター部材の前記表面に密着していること特徴とする請求項7に記載の放射線検出ユニット。
  9. 前記フィルター部材の前記筐体の外側に位置する表面には、前記センサー基板部の表面に直角な方向視において前記複数の光電変換素子が配置される領域の外側に、弾性圧縮変形可能な反発部材が配置されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の放射線検出ユニット。
  10. 2台の前記放射線検出ユニットを前記フィルター部材どうしが対向する向きで連結された状態で、2台の前記放射線検出ユニットを互いに位置決めする位置決め手段が設けられることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の放射線検出ユニット。
  11. 前記位置決め手段は、前記筐体の周縁部に配置される位置決めピンと、連結相手の放射線検出ユニットに設けられる位置決めピンを挿抜可能な位置決めピン孔であることを特徴とする請求項10に記載の放射線検出ユニット。
  12. 2台の前記放射線検出ユニットを前記フィルター部材どうしが対向する向きで連結された状態に保持する連結手段を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の放射線検出ユニット。
  13. 前記フィルター部と前記センサー基板部と前記波長変換部における放射線の透過率が記憶された記憶手段をさらに有することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の放射線検出ユニット。
  14. 2台の放射線検出ユニットを有し、
    前記2台の放射線検出ユニットは、それぞれ、請求項1から13のいずれか1項に記載の放射線検出ユニットであり、
    前記2台の放射線検出ユニットは、前記フィルター部材が対向する向きで重ねて連結されることを特徴とする放射線検出装置。
  15. 前記2台の放射線検出ユニットの前記フィルター部材どうしは接触していることを特徴とする請求項14に記載の放射線検出装置。
  16. 1台の放射線検出ユニットを有し、
    前記1台の放射線検出ユニットは、請求項1から13のいずれか1項に記載の放射線検出ユニットであり、
    前記放射線検出ユニットの前記フィルター部材に重ねて配置される放射線遮蔽部を有することを特徴とする放射線検出装置。
  17. 放射線源と、
    前記放射線源から曝射された放射線を検出して電気信号を生成する放射線検出部と、
    前記放射線検出部が生成した電気信号を処理する信号処理部と、
    を有し、
    前記放射線検出部は、請求項14から16のいずれか1項に記載の放射線検出装置を有することを特徴とする放射線検出システム。
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