JP2019065247A - 粘着フィルム、及び光硬化性粘着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】光硬化性粘着剤組成物によって形成される粘着フィルムに関して、長時間の紫外線照射による発泡を抑制すること。【解決手段】(A)アクリルポリマー、(B)モノマー、及び(C)光重合開始剤を含む光硬化性粘着剤組成物の硬化物からなる粘着フィルムが開示される。粘着フィルムに含まれる、光重合開始剤又はこれに由来する低分子量化合物からなる低分子量成分の量が、粘着フィルムの質量を基準として1.00質量%以下である。【選択図】なし
Description
本発明は、粘着フィルム、及び光硬化性粘着剤組成物に関する。
粘着フィルムは、被着体同士を貼り合せて、屋内又は屋外の種々の環境で使用される部材を製造するために用いられる。光学部材等の美観が求められる被着体の貼り合わせに使用される場合、粘着フィルムが高い透明性を維持することが望まれる。
透明な粘着フィルムは、屋外で太陽光等の紫外線が含まれる電磁波に長時間晒されることで、劣化して透明性が低下する場合がある。そこで、紫外線による影響を抑制するために、例えば、特許文献2に記載されるように、粘着フィルムを形成するための熱硬化性の粘着性組成物に紫外線吸収剤が添加されることがある。
熱硬化性の樹脂組成物は、長い硬化時間及び養生時間を要する傾向があるため、生産性の観点からは、光硬化性の樹脂組成物によって粘着フィルムを形成することが望まれる。ところが、光硬化性の樹脂組成物の場合、紫外線吸収剤によって硬化反応が阻害される可能性があるため、紫外線吸収剤の添加によって紫外線の影響を十分に抑制することは困難であった。さらに、従来の光硬化性の樹脂組成物によって形成された粘着フィルムは、紫外線に長時間晒されると発泡を生じ、この発泡が粘着フィルムの外観を損なわせる場合があることが明らかになった。
そこで、本発明の一側面の目的は、光硬化性粘着剤組成物によって形成される粘着フィルムに関して、長時間の紫外線照射による発泡を抑制することにある。
本発明者が鋭意検討した結果、光硬化性粘着剤組成物の硬化物である粘着フィルムに含まれる低分子量成分に着目し、その量を小さくすることで、長時間の紫外線照射による発泡を抑制できることを見出した。
すなわち、本発明の一側面は、(A)アクリルポリマー、(B)モノマー、及び(C)光重合開始剤を含む光硬化性粘着剤組成物の硬化物を含む粘着フィルムに関する。当該粘着フィルムに含まれる、光重合開始剤及びこれに由来する低分子量化合物からなる低分子量成分の量が、当該粘着フィルムの質量を基準として1.00質量%以下である。
本発明の別の一側面は、(A)アクリルポリマー、(B)モノマー、及び(C)光重合開始剤を含む光硬化性粘着剤組成物に関する。この光硬化性粘着剤組成物における光重合開始剤の含有量が、当該光硬化性粘着剤組成物の質量を基準として5.00質量%以下である。この光硬化性粘着剤組成物が光硬化して形成される粘着フィルムも、含まれる低分子量成分の量が小さいため、長時間の紫外線照射による発泡が抑制される。
本発明の一側面によれば、光硬化性粘着剤組成物によって形成される粘着フィルムに関して、長時間の紫外線照射による発泡を抑制することができる。本発明に係る粘着フィルム及びこれによって貼り合わされた被着体を有する部材は、屋外のような紫外線に長時間晒される環境で使用された場合でも、良好な外観を維持することができる。気泡の発生が抑制されるため、被着体の良好な視認性が維持されるとともに、粘着フィルムの被着体からの剥離も生じにくい。
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書において、「(メタ)アクリレ−ト」は、アクリレ−ト又はメタクリレ−トを意味する。
一実施形態に係る粘着フィルムは、(A)アクリルポリマー、(B)モノマー、及び(C)光重合開始剤を含む光硬化性粘着剤組成物の硬化物である。光硬化性粘着剤組成物は、主に(B)成分のモノマーの光重合によって硬化する。
硬化後の光硬化性粘着剤組成物(又は粘着フィルム)は、光重合開始剤又はこれに由来する低分子量化合物からなる低分子量成分を含み得る。ここでの低分子量化合物及び低分子量成分の分子量は、例えば、600以下であってもよい。
この低分子量成分の含有量は、粘着フィルムが長時間紫外線照射に晒されたときの発泡の程度に関係する。粘着フィルムに紫外線を長時間照射したときの発泡メカニズムの詳細は不明であるが、低分子量成分の含有量に依存する、下記のようなメカニズムが推察される。
粘着剤組成物に対する紫外線照射によって光重合開始剤がラジカルを発生し、これにより重合反応(又は硬化反応)が進行する。硬化後の粘着フィルムには、光重合開始剤の一部、光重合開始剤に由来する低分子量化合物、又はこれらの両方を含む低分量成分が残存し得る。残存したこれら低分子量成分は、粘着フィルムに紫外線を長時間照射したときに、粘着フィルム中で反応又は分解して揮発成分となり、これが発泡を生じさせると考えられる。光重合開始剤に由来する低分子量化合物は、光重合開始剤から生じた化合物であって、紫外線照射によって分解して揮発成分を生成し得るものである。
長時間の紫外線照射による発泡の抑制の観点から、低分子量成分の含有量(光重合開始剤及びこれに由来する低分子量化合物の合計の含有量)は、粘着フィルムの質量を基準として、1.00質量%以下であり、0.50質量%以下、0.30質量%以下、0.20質量%以下、又は0.15質量%以下であることがより好ましい。低分子量成分の含有量の下限は、特に制限されないが、例えば、0質量%であってもよい。硬化後の光硬化性粘着剤組成物(又は粘着フィルム)は、未反応のモノマー等の他の化合物も含み得るが、光重合開始剤及びこれに由来する低分子量化合物の合計の含有量が上記範囲内にあることが好ましい。
低分子量成分の量が少ないと、例えば、下記条件の紫外線照射によっても発泡を実質的に発生しない粘着フィルムを得ることができる。
紫外線照射装置:GS YUASA LIGHTING(株)製 UV SYSTEM CS60
紫外線ランプ:GS YUASA LIGHTING(株)製 高圧水銀ランプ
露光条件:照度100mW/cm2
照射時間:45分以上60分以下
紫外線照射装置:GS YUASA LIGHTING(株)製 UV SYSTEM CS60
紫外線ランプ:GS YUASA LIGHTING(株)製 高圧水銀ランプ
露光条件:照度100mW/cm2
照射時間:45分以上60分以下
粘着フィルムにおける低分子量成分の含有量は、低分子量化合物の構造が明らかである場合、例えば、粘着フィルムから抽出される成分を逆相クロマトグラフ(RPLC)法によって分析することで求めることができる。ただし、構造が特定できる低分子量成分の検出方法は、RPLCに限られず、ガスクロマトグラフィ−質量分析法(GC/MS)、質量分析法(LC−MS、TOF−SIMS、MALDI−TOF−MS等)、高速液体クロマトグラフ法、X線光電子分光法、核磁気共鳴法、赤外分光法、ラマン分光法等の任意の方法であってもよい。逆相クロマトグラフ(RPLC)法による低分子量成分の含有量の決定方法の具体例については、後述の実施例において詳細に説明される。
さらに、粘着フィルムにおける低分子量成分の含有量は、例えば、1H−NMRを用いて分析することで求めることができる。1H−NMR法による低分子量成分の含有量の決定方法の具体例については、下記のように説明される。
[1H−NMR法による粘着フィルム中の低分子成分量の定量]
内部標準物質として12mgの1,4-ビストリメチルシリルベンゼン−d4(1,4−BTMSB−d4,和光純薬工業(株)製)を精密に秤量して30mLスクリューバイアルに加え、ここに溶媒として24 gのジメチルスルホキシド−d6(DMSO−d6, 和光純薬工業(株)製)を加えて秤量したのち、溶解して500μg/gの内標準液を調整する。このときの内部標準液の密度は、室温で1.18g/mLである。
光重合開始剤又はこれに由来する化合物は、粘着フィルムから溶液抽出して秤量し、その後内部標準液で希釈して1H−NMR測定で得られた各シグナルの面積比をもとに、算出可能である。1H−NMR測定に使用した試料溶液中の光重合開始剤に由来する成分の濃度は、例えば、下記式(1)を用いて算出可能である。
P開始剤=P内部標準×(A内部標準×M内部標準)/(A開始剤×M開始剤)×N開始剤/N内部標準・・・式(1)
ここで、光重合開始剤の濃度(g/mL)をP開始剤、内部標準物質の濃度(g/mL)をP内部標準、光重合開始剤の測定面積値をA開始剤、内部標準物質の測定面積値をA内部標準、光重合開始剤の1H数をN開始剤、内部標準の1H数をN内部標準、開始剤の分子量をM開始剤、内部標準の分子量をM内部標準とする。
得られたP開始剤(g/mL)に、希釈に使用した内部標準液V(mL)を掛けることにより、秤量した光重合開始剤量を求めることができる。得られた光重合開始剤量から低分子量成分中および抽出前の粘着フィルム中の光重合開始剤量を算出可能である。
対象成分が光重合開始剤だけでなく光重合開始剤由来の化合物が複数存在する場合は、上記と同様に式(1)を各成分に対して用いることでそれぞれの成分量を求めることができる。
内部標準物質として12mgの1,4-ビストリメチルシリルベンゼン−d4(1,4−BTMSB−d4,和光純薬工業(株)製)を精密に秤量して30mLスクリューバイアルに加え、ここに溶媒として24 gのジメチルスルホキシド−d6(DMSO−d6, 和光純薬工業(株)製)を加えて秤量したのち、溶解して500μg/gの内標準液を調整する。このときの内部標準液の密度は、室温で1.18g/mLである。
光重合開始剤又はこれに由来する化合物は、粘着フィルムから溶液抽出して秤量し、その後内部標準液で希釈して1H−NMR測定で得られた各シグナルの面積比をもとに、算出可能である。1H−NMR測定に使用した試料溶液中の光重合開始剤に由来する成分の濃度は、例えば、下記式(1)を用いて算出可能である。
P開始剤=P内部標準×(A内部標準×M内部標準)/(A開始剤×M開始剤)×N開始剤/N内部標準・・・式(1)
ここで、光重合開始剤の濃度(g/mL)をP開始剤、内部標準物質の濃度(g/mL)をP内部標準、光重合開始剤の測定面積値をA開始剤、内部標準物質の測定面積値をA内部標準、光重合開始剤の1H数をN開始剤、内部標準の1H数をN内部標準、開始剤の分子量をM開始剤、内部標準の分子量をM内部標準とする。
得られたP開始剤(g/mL)に、希釈に使用した内部標準液V(mL)を掛けることにより、秤量した光重合開始剤量を求めることができる。得られた光重合開始剤量から低分子量成分中および抽出前の粘着フィルム中の光重合開始剤量を算出可能である。
対象成分が光重合開始剤だけでなく光重合開始剤由来の化合物が複数存在する場合は、上記と同様に式(1)を各成分に対して用いることでそれぞれの成分量を求めることができる。
光重合開始剤の分解メカニズムから推定される低分子化合物の構造は、例えば、実際に分解後に得られる化合物の構造と、推定される構造とを1H−NMR法、RPLC、又はGC/MS等の手法によって得られるピークを比較することで、確認することができる。
また、光重合開始剤に由来する低分子量化合物の構造は、例えば、加熱時発生ガス質量分析(EGA−MS)を用いることにより、特定できる。具体的には、光重合開始剤をEGA−MSによって分析し、検出されたピークと類似したピークを有する化合物が、光重合開始剤の分解物の候補として挙げられ、ピークが類似した化合物のうち、光重合開始剤の一部/又は全ての構造を有する化合物を、光重合開始剤の分解物として考えることができる。候補として挙げられた化合物は、例えば、実際に光照射又は加熱による分解後に得られる化合物の構造と、推定される構造(既存の化合物)とを1H−NMR法、RPLC、又はGC/MS等の手法によって分析し、各々得られるピークの比較によって、確認することができる。
(A)成分のアクリルポリマーは、主として(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位(又はモノマー単位)から構成されるポリマーである。アクリルポリマーを構成する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、プロピル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−ト、イソブチル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、オクチル(メタ)アクリレ−ト、イソオクチル(メタ)アクリレ−ト、イソノニル(メタ)アクリレ−ト、及びラウリル(メタ)アクリレ−ト等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、及び無水フマル酸等の(メタ)アクリル酸及びその誘導体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレ−ト、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレ−ト等の芳香族基を有する(メタ)アクリレ−ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレ−ト、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト等の脂環基を有する(メタ)アクリレ−ト;並びに2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネ−ト、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネ−ト等のイソシアネ−ト基を有する(メタ)アクリレ−トが挙げられる。アクリルポリマーは、これらから選ばれる1種のモノマーから形成されたホモポリマーであってもよいし、2種以上のモノマーから形成されたコポリマーであってもよい。
アクリルポリマーを構成する(メタ)アクリレートは、水酸基を含有する(メタ)アクリレ−トモノマーを含むことが好ましい。アクリルポリマーが水酸基を含有する(メタ)アクリレ−トに由来する構成単位を含むことで、粘着フィルムが更に優れた粘着力、及び耐久性を有する傾向がある。水酸基を含有する(メタ)アクリレ−トに由来する構成単位の含有量は、アクリルポリマー全体の質量を100質量部して5〜30質量部であってもよい。水酸基を含有する(メタ)アクリレ−トに由来する構成単位の含有量が前記範囲であると、粘着フィルムの粘着力が特に優れる傾向にある。
アクリルポリマーを構成する(メタ)アクリレートは、脂環基を有する(メタ)アクリレ−トを含むことが好ましい。アクリルポリマーが脂環基を有する(メタ)アクリレ−トに由来する構成単位を含むことで、粘着フィルムが更に優れた粘着力を有する傾向がある。脂環基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量は、アクリルポリマー全体の質量を100質量部として5〜90質量部であってもよく、好ましくは10〜80質量部である。脂環基を有する(メタ)アクリレ−トに由来する構成単位の含有量が前記範囲であると、粘着フィルムの粘着力が特に優れる傾向にある。本明細書において、脂環基及び水酸基の両方を有する(メタ)アクリレートは、上述の水酸基を有する(メタ)アクリレートに分類される。
アクリルポリマーの重量平均分子量(Mw)は、100000〜2000000であることが好ましい。アクリルポリマーの重量平均分子量が100000以上であると、基板等の被着体に対して剥がれの発生し難い粘着力を有する粘着フィルムを得ることができる。アクリルポリマーの重量平均分子量が2000000以下であると、粘着剤組成物の粘度が高くなり過ぎず、良好な加工性で粘着フィルムを形成できる傾向にある。以上の観点から、アクリルポリマーの重量平均分子量は150000〜1500,000であることがより好ましく、250000〜1200000であることがさらに好ましい。
本明細書における、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−によって求められる、標準ポリスチレンの検量線に基づいて決定される換算値を意味する。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの装置及び測定条件の例は以下のとおりである。
装置:株式会社日立ハイテクサイエンス製
RI検出器:L−3350
溶媒:THF
カラム:日立化成株式会社製 Gelpac GL−R420+R430+R440
カラム温度:40℃
流量:2.0mL/分
装置:株式会社日立ハイテクサイエンス製
RI検出器:L−3350
溶媒:THF
カラム:日立化成株式会社製 Gelpac GL−R420+R430+R440
カラム温度:40℃
流量:2.0mL/分
アクリルポリマーのガラス転移温度(Tg)は、−60℃〜30℃、−40℃〜30℃、−40℃〜20℃、又は−30℃〜10℃であることが好ましい。ガラス転移温度が前記範囲であると、粘着フィルムのれた粘着特性が得られやすい傾向にある。
本明細書中において、アクリルポリマーのガラス転移温度(Tg)は、次のFOX式により求められる理論計算値を意味する。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
(式中、Tgはアクリルポリマーのガラス転移温度(K)であり、W1、W2、・・・、Wnは、それぞれ、全モノマーの質量を基準とする各モノマーの質量分率であり、Tg1、Tg2、・・・、Tgnは、それぞれ、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度である。この計算に用いるホモポリマーのガラス転移温度として、文献値を用いることができる。各種ホモポリマーのガラス転移温度は、例えば、三菱レイヨン株式会社のアクリルエステルカタログ(1997年度版)、及び新高分子文庫7、「塗料用合成樹脂入門」高分子刊行会、北岡協三著に記載されている。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
(式中、Tgはアクリルポリマーのガラス転移温度(K)であり、W1、W2、・・・、Wnは、それぞれ、全モノマーの質量を基準とする各モノマーの質量分率であり、Tg1、Tg2、・・・、Tgnは、それぞれ、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度である。この計算に用いるホモポリマーのガラス転移温度として、文献値を用いることができる。各種ホモポリマーのガラス転移温度は、例えば、三菱レイヨン株式会社のアクリルエステルカタログ(1997年度版)、及び新高分子文庫7、「塗料用合成樹脂入門」高分子刊行会、北岡協三著に記載されている。
アクリルポリマーを得るための重合反応に用いられる重合開始剤としては、熱、光、又はその両方によりラジカルを発生する化合物を用いることができる。熱ラジカル重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパ−オキシド等のような有機過酸化物;2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のようなアゾ系化合物などが挙げられる。光ラジカル重合開始剤としては、後述の光重合開始剤と同様のものを用いることができる。
アクリルポリマーを得るための重合法としては、例えば、溶液重合法を適用することができる。その際に使用される溶媒としては、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。溶液重合法以外の方法、具体的には、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法を用いてもよい。
(B)成分のモノマーは、通常、アクリルポリマーと相溶する重合性化合物である。アクリルポリマーが、モノマーによって希釈されていることで、粘着剤組成物が、低粘度化によって優れた塗工性を有する傾向にある。(B)成分のモノマーとしては、硬化性の観点から不飽和二重結合を有する化合物が好ましく、その例としては(メタ)アクリルモノマー、及び(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーが挙げられる。アクリルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレ−ト、4−ヒドロキシブチルアクリレ−ト、及びアクリロイルモルホリンが挙げられる。(メタ)アクリルモノマー以外のビニルモノマーの例としては、スチレン、酢酸ビニル、及びアクリロニトリルが挙げられる。(B)成分のモノマーは、アクリルポリマーとの相溶性、並びに、Tg及び凝集性等の粘着フィルムの物性の観点から、2−エチルヘキシルアクリレート、又は4−ヒドロキシブチルアクリレートのうち少なくとも一方を含むことが好ましい。
(C)成分の光重合開始剤は、紫外線等の活性光線の照射によってラジカルを発生することで、モノマーの光重合を開始させる化合物である。光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−2−フェニルプロパン−2−オン、2−(4−イソプロピルフェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−オン、2−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−2等のアセトフェノン系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエ−テル、ベンゾインエチルエ−テル、ベンゾインイソプロピルエ−テル、ベンゾインイソブチルエ−テル、及びベンジルジメチルケタ−ル等のベンゾイン系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、及び3、3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、及び2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤;並びにメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、及び2−メチルベンゾフェノン等のカルボニル系光重合開始剤が挙げられる。
未硬化の光硬化性粘着剤組成物における光重合開始剤の含有量が小さいと、硬化後の光硬化性粘着剤組成物(すなわち粘着フィルム)における上述の低分子量成分の含有量が小さくなる傾向がある。例えば、光重合開始剤の含有量がアクリルポリマー及びモノマーの合計質量を基準として5.00質量%以下であると、低分子量成分の含有量が1.00質量%以下である粘着フィルムを特に容易に形成することができる。同様の観点から、光重合開始剤の含有量は、2.50質量%以下、2.00質量%以下、又は1.50質量%以下であってもよい。光重合開始剤の含有量は、0.1質量%以上であってもよい。光硬化性粘着剤組成物が2種以上の光重合開始剤を含む場合、上記含有量はそれらの合計の含有量を意味する。
光硬化性粘着剤組成物は、アクリルポリマーを架橋させる架橋剤を更に含んでもよい。架橋剤は、粘着フィルムの凝集力の向上、及び耐熱性の付与に寄与し得る。アクリルポリマーが水酸基を有する構成単位を含む場合、架橋剤は水酸基と反応する官能基を有していてもよい。
架橋剤の具体例としては、多官能アクリレ−ト化合物、イソシアネ−ト化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレ−ト化合物、メラミン化合物が挙げられる。これら架橋剤の中でも、アクリルポリマーを容易に架橋できることから、多官能アクリレ−ト化合物、及びイソシアネ−ト化合物が好ましい。多官能アクリレ−ト化合物としては、例えば、ジアクリレ−ト、トリアクリレ−ト、及びテトラアクリレ−トが挙げられる。イソシアネ−ト化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、及びイソホロンジイソシアネ−トが挙げられる。
架橋剤の含有量は、所望とする粘着物性に応じて適宜選択され、光硬化性粘着剤組成物100質量部に対し、0.01〜20質量部であることが好ましい。凝集力の観点から、架橋剤の含有量は0.1〜15質量部であることがさらに好ましい。
光硬化性粘着剤組成物は、上記の成分の他に、各種添加剤を含んでいてもよい。各種添加剤としては、例えば、粘着剤組成物の保存安定性を高める目的で添加されるパラメトキシフェノ−ル等の重合禁止剤、粘着フィルムの耐熱性を高める目的で添加するトリフェニルホスファイト等の酸化防止剤、紫外線等の光に対する粘着剤組成物の耐性を高める目的で添加するHALS(HinderedAmine Light Stabilizer)等の光安定化剤、ガラス等に対する粘着剤組成物の密着性を高めるために添加するシランカップリング剤が挙げられる。
酸化防止剤は、特に制限はなく、従来公知の化合物を適宜採用することができる。その具体例としては、ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等の一次酸化防止剤、並びに、リン系酸化防止剤、チオ−ル系酸化防止剤、チオエ−テル系酸化防止剤等の二次酸化防止剤がある。酸化防止剤の含有量は粘着剤組成物100質量部に対して0.1〜1.0質量部が好ましい。光硬化性粘着剤組成物が酸化防止剤を含むことで、着色などの劣化現象を抑制できる傾向にある。特に、ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤、及びチオ−ル系酸化防止剤が好ましく、BASF社製のIrganox−1520Lが特に好ましい。
粘着フィルムを任意のセパレータ上に形成し、セパレータ及び粘着フィルムを有する積層フィルムとしてもよい。積層フィルムが重剥離セパレータ及び軽剥離セパレータを有し、粘着フィルムがこれらの間に設けられていてもよい。
粘着フィルムは、任意の被着体を貼り合わせるために用いられる。被着体の例としては、ガラス、プラスチック、木材、皮、繊維、及び金属があげられる。
粘着フィルムによって貼り合わせられる被着体の組み合わせは特に制限されない。例えば、ガラスとガラス、ガラスとプラスチックフィルム、プラスチックフィルムとプラスチックフィルムの貼り合せのために粘着フィルムを使用することができる。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、トリアセチルセルロ−ス(TAC)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリメチルメタクリレ−ト(PMMA)、ポリカ−ボネ−ト(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコ−ル(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ノルボルネン樹脂、ポリエ−テルスルホン、セロファン、芳香族ポリアミド又はこれらの組み合わせのフィルムが挙げられる。
一実施形態に係る粘着フィルムは、ガラス、プラスチックフィルム、及びそれらの複合シ−トから選ばれる被着体を貼り合わせるために有効である。貼り合わせられた被着体を有する部材は、車載、建材、画像表示装置等に用いることができる。対向する2枚のガラス及びそれらの間の粘着フィルムを有する部材は、ガラスが割れたときの飛散防止フィルムとして用いることができる。対向するガラス及びプラスチックフィルムとそれらの間の粘着フィルムを有する部材も、飛散防止フィルムとしても用いることができる。
一実施形態に係る粘着フィルムは、屋外のような、透明性、粘着性と併せて、紫外線に長時間晒される条件で、気泡発生を抑制すること(耐候性)が要求される用途に使用される部材を得るために、特に有用である。このような観点から、画像表示装置に用いることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の記載において、「部」及び「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
1.アクリルポリマーの製造
(製造例1)
[アクリルポリマーの重合工程]
攪拌機、温度計、還流冷却機、滴下装置、及び窒素導入管を備えたステンレス製加圧反応装置に、溶媒である酢酸エチルと、アクリルモノマーである2−エチルヘキシルアクリレ−ト(2EHA)48部、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト(HEA)20部、及びイソボルニルアクリレ−ト(IBXA)32部とを入れ、これらを含む反応液を攪拌した。反応液に窒素を吹き込みながら系内を65℃まで昇温させた後、酢酸エチル10部と、重合開始剤のジメチル2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)(和光純薬工業(株)製、商品名:V−602)0.42部との混合液を5分かけて反応液に加えた。6時間保温した後、反応液を酢酸エチルで希釈した。希釈された反応液を0.3MPaの加圧条件下で128℃まで昇温し、その温度で2.5時間保温することで重合開始剤を失活させて、アクリルポリマー1(重量平均分子量515000、ガラス転移温度−23℃)を濃度40%で含むアクリルポリマー溶液を得た。
(製造例1)
[アクリルポリマーの重合工程]
攪拌機、温度計、還流冷却機、滴下装置、及び窒素導入管を備えたステンレス製加圧反応装置に、溶媒である酢酸エチルと、アクリルモノマーである2−エチルヘキシルアクリレ−ト(2EHA)48部、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト(HEA)20部、及びイソボルニルアクリレ−ト(IBXA)32部とを入れ、これらを含む反応液を攪拌した。反応液に窒素を吹き込みながら系内を65℃まで昇温させた後、酢酸エチル10部と、重合開始剤のジメチル2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)(和光純薬工業(株)製、商品名:V−602)0.42部との混合液を5分かけて反応液に加えた。6時間保温した後、反応液を酢酸エチルで希釈した。希釈された反応液を0.3MPaの加圧条件下で128℃まで昇温し、その温度で2.5時間保温することで重合開始剤を失活させて、アクリルポリマー1(重量平均分子量515000、ガラス転移温度−23℃)を濃度40%で含むアクリルポリマー溶液を得た。
[アクリルポリマー溶液の脱溶工程]
以下の操作によって、得られたアクリルポリマー溶液中の溶剤をモノマーで置換した。
撹拌機、温度計、空気吹き込み管、及び真空ポンプを備えたセパラブルフラスコに、アクリルポリマー溶液を135部と、2EHAを54部と、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.016部と、メトキノン(MQ)0.016部とを入れた。フラスコの内容物を、空気をバブリングしながら撹拌し、昇温させた。50℃まで昇温したところで、真空ポンプによる減圧を開始した。発泡に注意しながらフラスコ内を減圧し、溶剤を留去しつつ液温が90℃となるまで昇温した。90℃で保温しながら減圧を継続した。2時間後、ガスクロマトグラフィ−にて系内の溶剤残存量が0.02%以下であること確認し、アクリルポリマー1及び2EHAを含む混合液(アクリルポリマー:2EHA=1:1(質量比))を得た。
以下の操作によって、得られたアクリルポリマー溶液中の溶剤をモノマーで置換した。
撹拌機、温度計、空気吹き込み管、及び真空ポンプを備えたセパラブルフラスコに、アクリルポリマー溶液を135部と、2EHAを54部と、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.016部と、メトキノン(MQ)0.016部とを入れた。フラスコの内容物を、空気をバブリングしながら撹拌し、昇温させた。50℃まで昇温したところで、真空ポンプによる減圧を開始した。発泡に注意しながらフラスコ内を減圧し、溶剤を留去しつつ液温が90℃となるまで昇温した。90℃で保温しながら減圧を継続した。2時間後、ガスクロマトグラフィ−にて系内の溶剤残存量が0.02%以下であること確認し、アクリルポリマー1及び2EHAを含む混合液(アクリルポリマー:2EHA=1:1(質量比))を得た。
(製造例2)
[アクリルポリマーの重合工程]において、アクリルモノマーを2EHA33部、HEA20部、及びIBXA47部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、アクリルポリマー2(重量平均分子量420000、ガラス転移温度0℃)及び2EHAを含む混合液(アクリルポリマー:2EHA=1:1(質量比))を得た。
[アクリルポリマーの重合工程]において、アクリルモノマーを2EHA33部、HEA20部、及びIBXA47部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、アクリルポリマー2(重量平均分子量420000、ガラス転移温度0℃)及び2EHAを含む混合液(アクリルポリマー:2EHA=1:1(質量比))を得た。
(製造例3)
攪拌機、温度計、還流冷却機、滴下装置、及び窒素導入管を備えたステンレス製加圧反応装置に、溶媒であるメチルエチルケトン(MEK)を入れ、これを攪拌した。MEKに窒素を吹き込みながら系内を82℃まで昇温させた後、アクリルモノマーである2EHA48部、HEA20部、及びIBXA32部と、重合開始剤V−601を0.15部との混合液を、2時間かけて均等な滴下量で加えた。全てのモノマーを滴下してから、82℃で2時間保温した。さらに、重合開始剤V−601を0.2部をMEKに溶解させて得た混合液を30分かけて均等な滴下量で加えた。滴下終了後、82℃で約1時間保温してから、フラスコ内の反応液をMEKで希釈した。希釈した反応液を0.3MPaの加圧条件下で128℃まで昇温し、2.5時間保温することで、重合開始剤を失活させて、アクリルポリマーを濃度40%で含むアクリルポリマー溶液を得た。得られたアクリルポリマー溶液を用いて、製造例1と[アクリルポリマー溶液の脱溶工程]と同様の操作で、アクリルポリマー3(重量平均分子量233000、ガラス転移温度−23℃)及び2EHAを含む混合液(アクリルポリマー:2EHA=1:1(質量比))を得た。
攪拌機、温度計、還流冷却機、滴下装置、及び窒素導入管を備えたステンレス製加圧反応装置に、溶媒であるメチルエチルケトン(MEK)を入れ、これを攪拌した。MEKに窒素を吹き込みながら系内を82℃まで昇温させた後、アクリルモノマーである2EHA48部、HEA20部、及びIBXA32部と、重合開始剤V−601を0.15部との混合液を、2時間かけて均等な滴下量で加えた。全てのモノマーを滴下してから、82℃で2時間保温した。さらに、重合開始剤V−601を0.2部をMEKに溶解させて得た混合液を30分かけて均等な滴下量で加えた。滴下終了後、82℃で約1時間保温してから、フラスコ内の反応液をMEKで希釈した。希釈した反応液を0.3MPaの加圧条件下で128℃まで昇温し、2.5時間保温することで、重合開始剤を失活させて、アクリルポリマーを濃度40%で含むアクリルポリマー溶液を得た。得られたアクリルポリマー溶液を用いて、製造例1と[アクリルポリマー溶液の脱溶工程]と同様の操作で、アクリルポリマー3(重量平均分子量233000、ガラス転移温度−23℃)及び2EHAを含む混合液(アクリルポリマー:2EHA=1:1(質量比))を得た。
(製造例4)
[アクリルポリマーの重合工程]において、アクリルモノマーを2EHA60部、HEA20部、IBXA20部に変更したこと以外は製造例3と同様にして、アクリルポリマー4(重量平均分子量180000、ガラス転移温度−39℃)及び2EHAを含む混合液(アクリルポリマー:2EHA=1:1(質量比))を得た。
[アクリルポリマーの重合工程]において、アクリルモノマーを2EHA60部、HEA20部、IBXA20部に変更したこと以外は製造例3と同様にして、アクリルポリマー4(重量平均分子量180000、ガラス転移温度−39℃)及び2EHAを含む混合液(アクリルポリマー:2EHA=1:1(質量比))を得た。
(製造例5)
[アクリルポリマーの重合工程]において、アクリルモノマーを2EHA60部、HEA20部、IBXA20部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、アクリルポリマー5(重量平均分子量482000、ガラス転移温度−39℃)及び2EHAを含む混合液(アクリルポリマー:2EHA=1:1(質量比))を得た。
[アクリルポリマーの重合工程]において、アクリルモノマーを2EHA60部、HEA20部、IBXA20部に変更したこと以外は製造例1と同様にして、アクリルポリマー5(重量平均分子量482000、ガラス転移温度−39℃)及び2EHAを含む混合液(アクリルポリマー:2EHA=1:1(質量比))を得た。
(製造例6)
[アクリルポリマーの重合工程]において、アクリルモノマーを2EHA33部、HEA20部、IBXA47部に変更したこと以外は製造例3と同様にして、アクリルポリマー6(重量平均分子量Mw132000、ガラス転移温度0℃)を含む混合液(アクリルポリマー:2EHA=1:1(質量比))を得た。
[アクリルポリマーの重合工程]において、アクリルモノマーを2EHA33部、HEA20部、IBXA47部に変更したこと以外は製造例3と同様にして、アクリルポリマー6(重量平均分子量Mw132000、ガラス転移温度0℃)を含む混合液(アクリルポリマー:2EHA=1:1(質量比))を得た。
2.粘着フィルム
(実施例1)
製造例1で準備したアクリルポリマー1及び2EHAを含む混合液を、2EHA、4−ヒドロキシブチルアクリレ−ト(4−HBA)、アクロイルモルフォリン(ACMO)、Irgacure184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、及び4−メチルベンゾフェノン(4MBP)と混合して、30部のアクリルポリマー1、50部の2EHA、5部の4−HBA、15部のACMO、1.0部のIrgacure184、及び0.5部の4MBPを含有する粘着剤組成物を調製した。
(実施例1)
製造例1で準備したアクリルポリマー1及び2EHAを含む混合液を、2EHA、4−ヒドロキシブチルアクリレ−ト(4−HBA)、アクロイルモルフォリン(ACMO)、Irgacure184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、及び4−メチルベンゾフェノン(4MBP)と混合して、30部のアクリルポリマー1、50部の2EHA、5部の4−HBA、15部のACMO、1.0部のIrgacure184、及び0.5部の4MBPを含有する粘着剤組成物を調製した。
得られた粘着剤組成物を、重剥離セパレ−タ(HTA−75、厚み75μm)と軽剥離セパレ−タ(BD−50、厚み50μm)の2種の剥離セパレ−タの間にスペ−サとともに挟むことで、粘着剤組成物の膜(厚み200μm)を形成した。粘着剤組成物の膜を以下の条件で紫外線硬化することにより、2枚のセパレータに挟まれた粘着フィルムを形成させた。
・紫外線照射装置:GS YUASA LIGHTING(株)製 UV SYSTEMCS60
・紫外線ランプ:GS YUASA LIGHTING(株)製 高圧水銀ランプ
・露光条件:照度100mW/cm2、積算光量3000mJ/cm2(428mJ/cm2×7回)
・紫外線照射装置:GS YUASA LIGHTING(株)製 UV SYSTEMCS60
・紫外線ランプ:GS YUASA LIGHTING(株)製 高圧水銀ランプ
・露光条件:照度100mW/cm2、積算光量3000mJ/cm2(428mJ/cm2×7回)
(実施例2)
Irgacure184の量を0.5部に変更したこと以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
Irgacure184の量を0.5部に変更したこと以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
(実施例3)
Irgacure184の量を0.2部に変更したこと以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
Irgacure184の量を0.2部に変更したこと以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
(実施例4)
アクリルポリマー1を含む混合液を製造例2で準備したアクリルポリマー2及び2EHAを含む混合液に変更したこと以外は実施例2と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
アクリルポリマー1を含む混合液を製造例2で準備したアクリルポリマー2及び2EHAを含む混合液に変更したこと以外は実施例2と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
(実施例5)
アクリルポリマー1を含む混合液を製造例3で準備したアクリルポリマー3及び2EHAを含む混合液に変更したこと以外は実施例2と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
アクリルポリマー1を含む混合液を製造例3で準備したアクリルポリマー3及び2EHAを含む混合液に変更したこと以外は実施例2と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
(実施例6)
Irgacure184を0.5部のIrgacure819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)変更したこと以外は実施例2と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
Irgacure184を0.5部のIrgacure819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)変更したこと以外は実施例2と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
(実施例7)
アクリルポリマー1を含む混合液を製造例4で準備したアクリルポリマー4及び2EHAを含む混合液に変更したこと以外は実施例3と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
アクリルポリマー1を含む混合液を製造例4で準備したアクリルポリマー4及び2EHAを含む混合液に変更したこと以外は実施例3と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
(実施例8)
アクリルポリマー1を製造例5で準備したアクリルポリマー5及び2EHAを含む混合液に変更したこと以外は実施例2と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
アクリルポリマー1を製造例5で準備したアクリルポリマー5及び2EHAを含む混合液に変更したこと以外は実施例2と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
(実施例9)
アクリルポリマー1を製造例6で準備したアクリルポリマー6及び2EHAを含む混合液に変更したこと以外は実施例2と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
アクリルポリマー1を製造例6で準備したアクリルポリマー6及び2EHAを含む混合液に変更したこと以外は実施例2と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
(比較例1)
Irgacure184の量を10.0部に変更したこと以外は実施例9と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
Irgacure184の量を10.0部に変更したこと以外は実施例9と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
(比較例2)
Irgacure184の量を8.0部に変更し、4−メチルベンゾフェノン(4MBP)の量を2.0部に変更したこと以外は実施例5と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
Irgacure184の量を8.0部に変更し、4−メチルベンゾフェノン(4MBP)の量を2.0部に変更したこと以外は実施例5と同様にして粘着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
3.評価
[耐候性試験]
粘着フィルムについて耐候性試験後の発泡性及びフィルム中の低分子量成分の量を以下の方法により測定した。それらの結果を表1に示す。
50mm×50mmのサイズに切り出した粘着フィルムを、ソ−ダ石灰ガラス板(松浪硝子工業株式会社製、大型スライドグラス、「水縁磨t1.3」(商品名)、S9213)に、ゴムロ−ルを用いて圧力5880N/mで貼り付けた。次いで、粘着フィルムのガラス板とは反対側の面にポリエチレンテレフタレ−ト(PET)フィルム(東洋紡株式会社製 コスモシャインA4300 膜厚75μm)を、ゴムロ−ルを用いて圧力5880N/mで貼り付け、試験片を作製した。
この試験片を、ガラス板側から紫外線を以下の条件で照射する耐候性試験に供した。その後、粘着フィルム中に気泡の発生の有無を目視にて確認した。照射時間を順次増加させながら紫外線照射を繰り返した。
紫外線照射装置:GS YUASA LIGHTING(株)製 UV SYSTEM CS60
紫外線ランプ:GS YUASA LIGHTING(株)製 高圧水銀ランプ
露光条件:照度;100mW/cm2
[耐候性試験]
粘着フィルムについて耐候性試験後の発泡性及びフィルム中の低分子量成分の量を以下の方法により測定した。それらの結果を表1に示す。
50mm×50mmのサイズに切り出した粘着フィルムを、ソ−ダ石灰ガラス板(松浪硝子工業株式会社製、大型スライドグラス、「水縁磨t1.3」(商品名)、S9213)に、ゴムロ−ルを用いて圧力5880N/mで貼り付けた。次いで、粘着フィルムのガラス板とは反対側の面にポリエチレンテレフタレ−ト(PET)フィルム(東洋紡株式会社製 コスモシャインA4300 膜厚75μm)を、ゴムロ−ルを用いて圧力5880N/mで貼り付け、試験片を作製した。
この試験片を、ガラス板側から紫外線を以下の条件で照射する耐候性試験に供した。その後、粘着フィルム中に気泡の発生の有無を目視にて確認した。照射時間を順次増加させながら紫外線照射を繰り返した。
紫外線照射装置:GS YUASA LIGHTING(株)製 UV SYSTEM CS60
紫外線ランプ:GS YUASA LIGHTING(株)製 高圧水銀ランプ
露光条件:照度;100mW/cm2
気泡が確認されなかった照射時間の最大値に基づいて、以下の基準で耐候性試験後の発泡性を判定した。「3以上」が合格と判断される。
1:20分以下
2:20分以上30分以下
3:30分以上45分以下
4:45分以上60分以下
5:60分以上
1:20分以下
2:20分以上30分以下
3:30分以上45分以下
4:45分以上60分以下
5:60分以上
[RPLC法による粘着フィルム中の低分子成分量の定量]
粘着フィルム0.036g及びアセトニトリルを容器に入れ、粘着フィルム及びアセトニトリルの合計量を3.604gとした。得られた混合液を、25℃で24時間静置した後、0.45μmのメンブレンフィルタでろ過した。ろ過によって得られたろ過液を、下記条件の逆相クロマトグラフ(RPLC)のカラムに注入した。カラムを通過して溶出した全成分の質量のうち、光重合開始剤、及び光重合開始剤の分解物に由来する低分子化合物の合計の質量を算出し、これを低分子量成分の質量とみなした。低分子量成分の質量の粘着フィルムの質量(0.036g)に対する割合を、粘着フィルムにおける低分子量成分の含有量とした。
装置:株式会社日立ハイテクサイエンス製 L−2100 ポンプ
検出器:株式会社日立ハイテクサイエンス製 L−2450 ダイオードアレイ検出器(検出波長:250nm)
カラム:ジーエルサイエンス株式会社製 Inertsil ODS−3(4.6mmφ×250mm)
カラム温度:40℃
溶離液:アセトニトリル/水=30/70(vol%)から、30分かけてアセトニトリル100(vol%)となるようにリニアグラジエント溶出した。リニアグラジエント溶出の後はアセトニトリル=100(vol%)で25分溶出した。
流量:1mL/分
注入量:20μL
粘着フィルム0.036g及びアセトニトリルを容器に入れ、粘着フィルム及びアセトニトリルの合計量を3.604gとした。得られた混合液を、25℃で24時間静置した後、0.45μmのメンブレンフィルタでろ過した。ろ過によって得られたろ過液を、下記条件の逆相クロマトグラフ(RPLC)のカラムに注入した。カラムを通過して溶出した全成分の質量のうち、光重合開始剤、及び光重合開始剤の分解物に由来する低分子化合物の合計の質量を算出し、これを低分子量成分の質量とみなした。低分子量成分の質量の粘着フィルムの質量(0.036g)に対する割合を、粘着フィルムにおける低分子量成分の含有量とした。
装置:株式会社日立ハイテクサイエンス製 L−2100 ポンプ
検出器:株式会社日立ハイテクサイエンス製 L−2450 ダイオードアレイ検出器(検出波長:250nm)
カラム:ジーエルサイエンス株式会社製 Inertsil ODS−3(4.6mmφ×250mm)
カラム温度:40℃
溶離液:アセトニトリル/水=30/70(vol%)から、30分かけてアセトニトリル100(vol%)となるようにリニアグラジエント溶出した。リニアグラジエント溶出の後はアセトニトリル=100(vol%)で25分溶出した。
流量:1mL/分
注入量:20μL
表1に示されるように、低分子量成分の含有量が1.00質量%以下の各実施例の粘着フィルムは、紫外線照射による耐候性試験後の発泡性の点で合格を示すことが確認された。
Claims (12)
- (A)アクリルポリマー、(B)モノマー、及び(C)光重合開始剤を含む光硬化性粘着剤組成物の硬化物を含む粘着フィルムであって、
当該粘着フィルムに含まれる、前記光重合開始剤及びこれに由来する低分子量化合物からなる低分子量成分の量が、当該粘着フィルムの質量を基準として1.00質量%以下である、粘着フィルム。 - 前記アクリルポリマーの重量平均分子量が、100000〜2000000である、請求項1に記載の粘着フィルム。
- 前記アクリルポリマーのガラス転移温度が、−40〜30℃である、請求項1又は2に記載の粘着フィルム。
- 前記アクリルポリマーが、水酸基を有する(メタ)アクリレ−トに由来する構成単位を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
- 前記アクリルポリマーが、脂環基を有し水酸基を有しない(メタ)アクリレ−トに由来する構成単位を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着フィルムを備える、画像表示装置。
- (A)アクリルポリマー、(B)モノマー、及び(C)光重合開始剤を含む光硬化性粘着剤組成物であって、
前記光重合開始剤の含有量が、前記アクリルポリマー及び前記モノマーの合計質量を基準として5.00質量%以下である、光硬化性粘着剤組成物。 - 前記アクリルポリマーの重量平均分子量が、100000〜2000000である、請求項7に記載の光硬化性粘着剤組成物。
- 前記アクリルポリマーのガラス転移温度が、−40〜30℃である、請求項7又は8に記載の光硬化性粘着剤組成物。
- 前記アクリルポリマーが、水酸基を有する(メタ)アクリレ−トに由来する構成単位を含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載の光硬化性粘着剤組成物。
- 前記アクリルポリマーが、脂環基を有し水酸基を有しない(メタ)アクリレ−トに由来する構成単位を更に含む、請求項7〜10のいずれか一項に記載の光硬化性粘着剤組成物。
- 請求項7〜11のいずれか一項に記載の光硬化性粘着剤組成物を含む、画像表示装置用光硬化性粘着剤組成物。
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