JP2019064922A - C−4”位置換マクロライド化合物の塩、それらの結晶形及びそれらの製造方法 - Google Patents

C−4”位置換マクロライド化合物の塩、それらの結晶形及びそれらの製造方法 Download PDF

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史康 塩澤
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Naoki Sasamoto
直樹 笹本
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Abstract

【課題】新規なマクロライド化合物の提供。【解決手段】下記式で表される化合物のマロン酸塩又はベンゼンスルホン酸塩及びそれらの製造方法。(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=8.5度、10.0度、及び15.6度にピークを有し、(b)示差熱分析/熱質量測定(TG/DTA)において、吸熱ピークが173〜177℃である。【選択図】図1

Description

本発明は、エリスロマイシン類似骨格を有する新規抗生物質に関する。より具体的には、本発明は、クラジノースの4”位に窒素原子を有する置換基で置換されたメチル基を有するマクロライド化合物の塩、それらの結晶形及びそれらの製造方法に関するものである。
エリスロマイシンAはグラム陽性菌、マイコプラズマなどに起因する感染症の治療薬として広く使用されている抗生物質である。しかし、エリスロマイシンは胃酸で分解されるため、体内動態が一定しないという欠点があった。そこで酸に対する安定性を増した誘導体が検討され、その結果、クラリスロマイシン、アジスロマイシン(特許文献1及び2)、ロキシスロマイシンなどの体内動態の安定したマクロライド剤が開発されてきた。外来の呼吸器感染症を治療領域とするこれらマクロライド剤は、特に臨床分離頻度の高い肺炎球菌、連鎖球菌並びにインフルエンザ菌に対し強い抗菌活性を有する必要がある。さらに、市中肺炎からマクロライド耐性の肺炎球菌が高頻度に分離されていることから耐性肺炎球菌に有効であることも重要となっている。
近年、広範な研究の結果、エリスロマイシン耐性肺炎球菌、エリスロマイシン耐性連鎖球菌のいずれに対しても有効なマクロライドとしてAgouridasらは1995年にHMR3647(テリスロマイシン,特許文献3)を、Orらは1998年にABT−773(セスロマイシン,特許文献4)を相次いで見出した。その後、さらに薬効増強が図られた2−フルオロケトライド(特許文献5)が報告されている。
一方、クラジノースの4”位に窒素原子を有する置換基で置換されたメチル基を有するマクロライド化合物に関しては、ラクトン環内に窒素原子をもつという構造的な特徴を有しているアザライドタイプの化合物がほとんどである(特許文献6)。
更に、エリスロマイシン耐性肺炎球菌、エリスロマイシン耐性連鎖球菌のいずれに対しても有効なマクロライドとして、クラジノースの4”位に窒素原子を有する置換基で置換されたメチル基を有するマクロライド化合物については、出願人らも報告している(特許文献7、8及び9)。特にその中でも特許文献7、8に記載された実施例15が好ましい化合物である。
米国特許明細書第4474768号 米国特許明細書第4517359号 欧州特許第680967号 国際公開WO98/09978号 国際公開WO02/32919号 国際公開WO98/56801号 国際公開WO2012/115256号 日本国公表特許公報第2014−505723号 日本国公開特許公報第2014−058509号
本発明の課題は、従来のエリスロマイシン感受性菌のみならず、エリスロマイシン耐性菌(例えば耐性肺炎球菌、耐性連鎖球菌、及びマイコプラズマ)に対しても有効で、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の塩を結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する新規な化合物の塩、それらの結晶形及びそれらの製造方法を提供することにある。
そこで、本発明者らは新たなマクロライド化合物の研究を鋭意行った結果、下記式[1]で表される化合物(以下、化合物[1]と記すこともある)が優れた抗菌活性を有することを見出し、また物理的特性に優れた化合物[1]の塩、それらの結晶形及びそれらの製造方法を提供することができることを発見し、本発明を完成するに至った。
式[1]:
Figure 2019064922
以下、本発明の態様を説明する。
本発明の1つの態様は、
(I)化合物[1]のマロン酸塩である。
本発明の他の態様は、
(II)下記(a)〜(b)の物性を少なくとも1つ有する(I)記載の塩の結晶である。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=8.5度、10.0度、及び15.6度にピークを有する;
(b)示差熱分析/熱質量測定(TG/DTA)において、吸熱ピークが173〜177℃にある。
また、本発明の他の1つの態様は、
(III)化合物[1]の酢酸エチル溶液にマロン酸を添加し作用させた後、生じた結晶を濾取し、乾燥させることを特徴とする(I)記載の塩又は(II)記載の結晶の製造方法である。
本発明の他の1つの態様は、
(IV)化合物[1]のメタンスルホン酸塩である。
また、本発明の他の1つの態様は、
(V)下記(a)〜(b)の物性を少なくとも1つ有する(IV)記載の塩の結晶である。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=9.7度、11.1度、12.9度、及び13.4度にピークを有する;
(b)示差熱分析/熱質量測定(TG/DTA)において、吸熱ピークが57〜63℃、及び143〜149℃にある。
また、本発明の他の1つの態様は、
(VI)化合物[1]のアセトン溶液にメタンスルホン酸を添加し作用させた後、生じた結晶を濾取し、乾燥させることを特徴とする(IV)記載の塩又は(V)記載の結晶の製造方法である。
本発明の他の1つの態様は、
(VII)化合物[1]のベンゼンスルホン酸塩である。
また、本発明の他の1つの態様は、
(VIII)下記(a)〜(b)の物性を少なくとも1つ有する(VII)記載の塩の結晶である。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=8.2度、10.9度、12.8度、14.7度、16.5度、及び19.2度にピークを有する;
(b)示差熱分析/熱質量測定(TG/DTA)において、吸熱ピークが208〜214℃にある。
また、本発明の他の1つの態様は、
(IX)化合物[1]のアセトン溶液にベンゼンスルホン酸を添加し作用させた後、生じた結晶を濾取し、乾燥させることを特徴とする(VII)記載の塩又は(VIII)記載の結晶の製造方法である。
また、本発明の他の1つの態様は、
(X)上記(I)、(IV)又は(VII)いずれか1つに記載の塩を有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物である。
また、本発明の他の1つの態様は、
(XI)上記(II)、(V)又は(VIII)いずれか1つに記載の結晶を有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物である。
本発明により、優れた物性を有する式[1]で表される化合物の塩を提供することが可能となった。また、該塩の結晶は、室温付近の温度で安定な結晶形であり、保存安定性に優れている。また、本発明により、上記塩の結晶を、同一品質で安定して得るための新規な製造方法を提供することができた。
化合物[1]のマロン酸塩の粉末X線回折パターンを示す。 化合物[1]のマロン酸塩の示差熱分析/熱質量測定カーブを示す。 化合物[1]のメタンスルホン酸塩の粉末X線回折パターンを示す。 化合物[1]のメタンスルホン酸塩の示差熱分析/熱質量測定カーブを示す。 化合物[1]ベンゼンスルホン酸塩の粉末X線回折パターンを示す。 化合物[1]ベンゼンスルホン酸塩の示差熱分析/熱質量測定カーブを示す。 試験例3インフルエンザ菌感染動物における治療効果試験の結果を示す図である。 試験例4エリスロマイシン耐性(erm(B)遺伝子保有)肺炎球菌感染動物における治療効果試験の結果を示す図である。 試験例5エリスロマイシン耐性(mef(A)遺伝子保有)肺炎球菌感染動物における治療効果試験の結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を具体的に説明する。
本発明化合物である化合物[1]は、前記に示した化学構造式を有している。
本発明化合物の塩は、上述のように一定の品質を有する単一の塩として再現性良く得られ、医薬品の製造に用いられる塩として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れたものである。
本発明化合物の塩は、たとえば、以下の方法により製造することができる。
なお、本明細書において、「室温」とは20〜30℃を指す。
所定の溶媒に化合物[1]を溶解させる。ここに所定の酸を加え1時間から終夜攪拌させた後、析出した結晶をろ取、遠心分離等により溶媒と分離した後に乾燥させることにより化合物[1]の各種塩の結晶を得ることができる。
前記所定の溶媒の具体例としては、酢酸エチルなどの有機溶媒、水等が挙げられる。
有機溶媒としては、酢酸エチル、エタノール、アセトン、メチル−t−ブチルエーテルなどが挙げられる。
化合物[1]の塩製造は、通常0〜100℃で行う。好ましくは、20℃〜30℃である。
析出した化合物[1]の各種塩の結晶は、溶液からろ取、遠心分離などにより溶媒と分離することができる。
化合物[1]の各種塩の結晶の乾燥は、通常100℃以下で行う。好ましくは、20℃〜40℃である。
本発明の化合物[1]のマロン酸塩の結晶について、以下に説明する。
化合物[1]のマロン酸塩の結晶は、以下の(a)〜(b)の物性を少なくとも1つ有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=8.5度、10.0度、及び15.6度にピークを有する;
(b)示差熱分析/熱質量測定(TG/DTA)において、吸熱ピークが173〜177℃にある。
化合物[1]のマロン酸塩の結晶の粉末X線回折パターンは図1に、示差熱分析/熱質量測定カーブは図2に示した通りである。
なお、粉末X線結晶回折による特徴的なピークは、測定条件によって変動することがある。そのため、本発明化合物の粉末X線結晶回折のピークについて、誤差が生じたり、明確でなかったりする場合がある。
図1及び2から分かるように、本発明の製造方法により製造される化合物[1]のマロン酸塩の結晶は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。該結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本発明の製造方法により製造される化合物[1]のマロン酸塩の結晶は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
次に化合物[1]のメタンスルホン酸塩の結晶について、以下に説明する。
化合物[1]のメタンスルホン酸塩の結晶は、以下の(a)〜(b)の物性を少なくとも1つ有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=9.7度、11.1度、12.9度、及び13.4度にピークを有する;
(b)示差熱分析/熱質量測定(TG/DTA)において、吸熱ピークが57〜63℃、及び143〜149℃にある。
化合物[1]のメタンスルホン酸塩の結晶の粉末X線回折パターンは図3に、示差熱分析/熱質量測定カーブは図4に示した通りである。
なお、粉末X線結晶回折による特徴的なピークは、測定条件によって変動することがある。そのため、本発明化合物の粉末X線結晶回折のピークについて、誤差が生じたり、明確でなかったりする場合がある。
図3及び4から分かるように、本発明の製造方法により製造される化合物[1]のメタンスルホン酸塩の結晶は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。該結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本発明の製造方法により製造される化合物[1]のメタンスルホン酸塩の結晶は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
次に本発明の化合物[1]のベンゼンスルホン酸塩の結晶について、以下に説明する。
化合物[1]のベンゼンスルホン酸塩の結晶は、以下の(a)〜(b)の物性を少なくとも1つ有する。
(a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=8.2度、10.9度、12.8度、14.7度、16.5度、及び19.2度にピークを有する;
(b)示差熱分析/熱質量測定(TG/DTA)において、吸熱ピークが208〜214℃にある。
化合物[1]のベンゼンスルホン酸塩の結晶の粉末X線回折パターンは図5に、示差熱分析/熱質量測定カーブは図6に示した通りである。
なお、粉末X線結晶回折による特徴的なピークは、測定条件によって変動することがある。そのため、本発明化合物の粉末X線結晶回折のピークについて、誤差が生じたり、明確でなかったりする場合がある。
図5及び6から分かるように、本発明の製造方法により製造される化合物[1]のベンゼンスルホン酸の結晶は、基本的に純度の高い結晶であることが分かる。該結晶の純度は高いものが望ましく、好ましくは他の結晶形のものを実質的に含まないものである。
また、後述の実施例に示されるように、本発明の製造方法により製造される化合物[1]のベンゼンスルホン酸の結晶は、一定の品質を有する単一の結晶として再現性良く得られ、医薬品及び医薬品原料の製造に用いられる原薬の結晶として安定的に供給されることが可能で、保存安定性に優れた物理学的特性を有する。
本発明において、「抗菌剤」とはグラム陽性細菌、グラム陰性細菌やマイコプラズマといった細菌に作用してその生育を抑制又は殺菌する能力を持つ物質を意味する。菌の繁殖を抑えたり、一部の菌を殺してその数を減少させたりするようなものでもよい。グラム陽性細菌としては、例えば、ブドウ球菌属(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌など)、連鎖球菌属(化膿連鎖球菌、B群連鎖球菌、肺炎球菌など)、腸球菌属(エンテロコッカス・フェカーリス、エンテロコッカス・フェシウムなど)が挙げられる。グラム陰性菌としては、例えば、シュードモナス属(緑膿菌など)、大腸菌属(大腸菌など)、クレブシエラ属(肺炎桿菌、クレブシエラ・オキシトカなど)、ヘモフィルス属(インフルエンザ菌、パラインフルエンザ菌など)、ボルデテラ属(百日咳菌、気管支敗血症菌など)、セラチア属(セラチア・マルセッセンスなど)、プロテウス属(プロテウス・ミラビリスなど)、エンテロバクター属(エンテロバクター・クロアカなど)、カンピロバクター属(カンピロバクター・ジェジュニなど)、シトロバクター属、ビブリオ属(腸炎ビブリオ、コレラ菌など)、モルガネラ属(モルガネラ・モルガニなど)、サルモネラ属(チフス菌、パラチフス菌など)、シゲラ属(赤痢菌など)、アシネトバクター属(アシネトバクター・バウマニー、アシネトバクター・カルコアセチカスなど)、レジオネラ属(レジオネラ・ニューモフィラなど)、バクテロイデス属(バクテロイデス・フラジリスなど)、ナイセリア属(淋菌、髄膜炎菌など)、モラキセラ属(モラキセラ・カタラーリスなど)、クラミジア属(クラミジア・トラコマティス、クラミジア・シッタシーなど)及びヘリコバクター属(ヘリコバクター・ピロリなど)が挙げられる。マイコプラズマとしては、M. gallisepticum、M. genitalium、M. hominis、M. hyopneumoniae、M. laboratorium、M. mycoides、M. ovipneumoniae、M. pneumonia が挙げられる。
化合物[1]は、特に従来のマクロライド系抗生物質では十分な抗菌活性が得られなかったエリスロマイシン耐性菌(例えば耐性肺炎球菌、耐性連鎖球菌、及びマイコプラズマ)などに対しても優れた抗菌活性を示すという特徴がある。
化合物[1]には光学異性体が存在しうるが、それら光学異性体、及び光学異性体の混合物が含まれる。
化合物[1]は、優れた安全性を示す。安全性は、種々の試験によって評価されるが、たとえば、細胞毒性試験、hERG試験、シトクロムP450(CYP)活性阻害試験などで評価することができる。
化合物[1]は、優れた代謝安定性を示す。代謝安定性は、種々の試験によって評価されるが、たとえば、ヒト肝ミクロソーム代謝安定性試験などで評価することができる。
本発明の化合物[1]の塩は、一つ又は二つ以上の医薬的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と組み合せて医薬製剤とすることができる。化合物[1]の塩又はそれらの結晶は、一般的な医薬製剤として調製される。例えば、製剤上許容しうる担体(賦形剤、結合剤、崩壊剤、矯味剤、乳化剤、希釈剤、溶解補助剤など)と混合、溶解及び/又は分散して医薬組成物とする。この医薬組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、注射剤、座剤、吸入剤、経皮吸収剤などの製剤として経口または非経口に適した形態で投与される。 経口投与製剤には固形製剤と液状製剤がある。本発明における固形製剤とは、製剤の全体又は集合体を構成する各要素が少なくとも一定の形を有する形態の製剤をいう。具体的には、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は粉剤が挙げられる。本発明において、内容物が液体のカプセル剤は、全体もしくは複数のカプセルの集合体を構成する一つのカプセルが一定の形を有する場合は、固形製剤に含まれる。また、用時溶解又は懸濁して服用するドライシロップ剤も、保存時に製剤全体又は粉末もしくは顆粒の個々の粒子が一定の形を有する場合、固形製剤に含まれる。それに対して、本発明における液状製剤とは、保存時から投与時まで液体の溶媒又は分散媒に溶解又は分散され、一定の形を有しないため液体として取り扱われる形態の製剤をいう。これら製剤を製造するには賦形剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、抗酸化剤、安定化剤、保存剤、溶剤、可溶化剤、等張化剤などを添加することができる。医薬的に許容される賦形剤又は希釈剤としては、例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、麦芽糖、果糖、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、デンプン、スターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、粉末セルロース、結晶セルロース、カルメロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム、炭酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロプルセルロース、ヒプロメロース、デンプン、スターチ、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。崩壊剤としては、例えば、粉末セルロース、結晶セルロース、カルメロース、カルメロースカリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ポビドン、クロスポビドンなどが挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、セタノール、ミツロウ、サラシミツロウなどが挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、クエン酸、エデト酸塩などが挙げられる。溶剤としては、例えば水、生理食塩水、エタノールなど、可溶化剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類、ショ糖脂肪酸エステルなど、等張化剤可溶化剤としては、塩化ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリセリン、ソルビトール、ブドウ糖、プロピレングリコール、マクロゴール類、ホウ酸、ホウ砂、リン酸、リン酸水素塩類などが挙げられる。
本発明の化合物[1]の塩の投与量は、動物実験の結果に基づき、単回および反復投与したときに、一定量を超えないように定められる。試験例に開示した動物実験のデータに基づけば、成人患者に対して1日の投与量として1〜10000mg、好ましくは5〜1000mgを1日1回又は数回に分けて経口又は非経口で投与することが想定される。さらに、適量と投与回数は、投与方法、年齢、体重、性別、感受性、患者または被処置動物の症状の程度など、種々の要素を勘案し、専門医等によって決定されうる。また、本発明の化合物[1]の塩は、他の薬剤との組み合わせで使用することも可能である。
次に、参考例、実施例及び試験例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
粉末X線は、Rigaku RINT2200Ultimalllにて測定した。
示差熱分析/熱質量測定(TG/DTA)は、Rigaku Thermo plusEvoTG8120にて測定した。
以下の参考例、実施例記載の各機器データは以下の測定機器で測定した。
NMRスペクトル:日本電子社JNM-ECA600(600MHz)、日本電子社JNM-ECA500(500MHz)
MSスペクトル:島津社LCMS−2010EVあるいはmicromass社 Platform LC
以下の参考例、実施例において、高速液体クロマトグラフィーマススペクトル(LCMS)は以下の条件により測定した。
測定機械:Agilent 2900およびAgilent 6150
カラム:Waters Acquity CSH C18,1.7μm,φ2.1x50mm
溶媒:A液;0.1%ギ酸含有水、B液;0.1%ギ酸含有アセトニトリル
(条件1)
グラジエント:0分(A液/B液=80/20)、1.2−1.4分(A液/B液=1/99)
流速:0.8mL/分、検出法:UV、ELSD
(条件2)
グラジエント:0分(A液/B液=95/5)、1.20分(A液/B液=50/50)、1.0mL/分、1.38分(A液/B液=3/97)
流速:0.8mL/分、検出法:UV、ELSD
イオン化法:ESI
参考例、実施例中の略号を以下に示す。
ESI:エレクトロスプレーイオン化法
MS:マススペクトル
CDCl3:重クロロホルム
NMR:核磁気共鳴
s:シングレット
brs:ブロードシングレット(幅広いシングレット)
d:ダブレット
m:マルチプレット
t:トリプレット
q:カルテット
参考例1 N,N−ジイソプロピル−N−メチルエタン−1,2−ジアミンの合成
<スキームA>
Figure 2019064922
メチルアミンのメタノール溶液(8.9mol/L、135mL)に氷冷下、ジイソプロピルアミノエチルクロリド塩酸塩(24.0g)のメタノール(72mL)溶液を滴下し、室温にて20分間撹拌した。反応液を減圧濃縮して得た残渣をクロロホルムに溶解し、氷冷下2 mol/L 水酸化ナトリウム水溶液を加えた。反応液をクロロホルムにて2回抽出し、有機層を減圧下濃縮した後に、得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=5:1からクロロホルムのみ)にて精製し、表題化合物(19.4g)を得た。
MS(ESI) m/z= 159 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ(ppm):0.99 (d, J=1.71 Hz, 6 H) 1.00 (d, J=1.71 Hz, 6 H) 2.43 (s, 3 H) 2.54 -2.57 (m, 4 H) 2.96 -3.03 (m, 2 H)
参考例2 2−アミノ−N−エチルアセトアミドの合成
<スキームB>
Figure 2019064922
(1)N−(ベンジルオキシカルボニル)グリシン(209g)のクロロホルム(1.0L)溶液に70%エチルアミン水溶液(108mL)を加え、氷冷下1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(249g)を加えた後、室温にて終夜攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、クロロホルムにて抽出した。有機層を減圧下濃縮した後に、得られた残渣を酢酸エチル(400mL)に懸濁し、ヘキサン(200mL)を加え攪拌し、生じた固体をろ取し、アミド体(150g)を得た。
<スキームC>
Figure 2019064922
(2)上記の参考例2−(1)にて得られたアミド体(150g)のメタノール(630mL)溶液に10%パラジウム炭素(15g)を加え、水素雰囲気下、室温にて6日間攪拌した。反応液をろ過した後、濾液を減圧下濃縮し、表題化合物(64.4g)を得た。
MS(ESI) m/z= 103 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ(ppm) : 1.17 (t, J=7.2 Hz, 3 H) 1.38 (brs, 2 H) 3.29 - 3.37 (m, 4 H) 7.20 (brs, 1 H)
参考例3 式[2]で示される化合物の製造
Figure 2019064922
<スキームD>
Figure 2019064922
(1)クラリスロマイシン(200g)をアセトン(1.5L)に溶解し、無水酢酸(30.3mL)を滴下して、室温にて終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣に酢酸エチル、ヘキサン、水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、飽和重曹水を加えてpH=9に調整した。析出した固体をグラスフィルターにて濾取、蒸留水で洗浄した後、減圧下乾燥してアセチル体(202g)を得た。
MS(ESI) m/z= 790.6 [M+H]+
<スキームE>
Figure 2019064922
(2)上記の参考例3−(1)で得られたアセチル体(202g)をクロロホルム(1.8L)に溶解し、ピリジン(210mL)を加えた後氷冷し、トリホスゲン(77.4g)のクロロホルム(0.8L)溶液を40分間かけて滴下した。反応液を室温まで昇温した後、3時間攪拌した。反応液にピリジン(158mL)を加えて、氷冷下、トリホスゲン(57.9g)のクロロホルム溶液を滴下して、室温にて15分間攪拌した。反応液に蒸留水、飽和重曹水を加えてクロロホルムにて抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧濃縮して得られた残渣に酢酸エチルとヘキサンの1:1混合溶媒を加えて攪拌し、更にヘキサンを加え室温にて終夜攪拌した。生じた固体を濾取し、酢酸エチルとヘキサンの1:2混合溶媒で洗浄した後、減圧下乾燥してカーボネート体(220g)を得た。
MS(ESI) m/z= 816.5 [M+H]+
<スキームF>
Figure 2019064922
(3)N−クロロコハク酸イミド(99.7g)をクロロホルム(1L)に溶解し、−25℃に冷却した。反応液にジメチルスルフィド(210mL)のクロロホルム(0.2L)溶液を20分間かけて滴下して、15分間攪拌した後、上記参考例3−(2)で得られたカーボネート体のクロロホルム(1L)溶液を30分間かけて滴下して、15分間攪拌した。反応液にトリエチルアミン(136mL)のクロロホルム(0.2L)溶液を加えて、30分間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加えて室温まで昇温し、クロロホルムにて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した後、濾液を減圧濃縮して得られた残渣に酢酸エチルとヘキサンの1:5の混合溶媒を加え室温にて終夜攪拌した。生じた固体を濾取し、酢酸エチルとヘキサンの1:2混合溶媒で洗浄してケトン体(109g)を得た。濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1からアセトン:ヘキサン:トリエチルアミン=10:10:0.2)にて精製した後、上記と同様の方法にて結晶化してケトン体(59.5g)を得た。
MS(ESI) m/z= 814.5 [M+H]+
<スキームG>
Figure 2019064922
(4)トリメチルスルホキソニウムヨージド(210g)をジメチルスルホキシドとテトラヒドロフランの5:1混合溶媒(1.2L)に溶解し、70%水素化ナトリウム(32.6g)を少量ずつ加えて、室温にて1.5時間攪拌した。氷冷下、上記参考例3−(3)で得られたケトン体(155g)のテトラヒドロフラン(0.8L)溶液を滴下して、室温にて30分間攪拌した。反応液を氷冷し、蒸留水を加え、酢酸エチルにて抽出し、得られた有機層を蒸留水で洗浄した。水層を酢酸エチルにて抽出し、有機層を蒸留水で洗浄した。有機層を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧濃縮してエポキシ体(146g)を得た。
MS(ESI) m/z= 784.5 [M+H]+
1H-NMR (600 MHz, CDCl3) δ(ppm) : 0.90 (t, J=7.57 Hz, 3 H) 0.97 (d, J=7.34 Hz, 3 H) 1.04 (d, J=6.88 Hz, 3 H) 1.07 (s, 3 H) 1.14 (d, J=6.88 Hz, 3 H) 1.18 (d, J=5.96 Hz, 3 H) 1.21 - 1.36 (m, 7 H) 1.42 (s, 3 H) 1.47 - 1.55 (m, 1 H) 1.67 - 1.73 (m, 1 H) 1.83 - 1.98 (m, 5 H) 2.02 (d, J=1.83 Hz, 6 H) 2.18 - 2.29 (m, 1 H) 2.25 (s, 6 H) 2.58 - 2.69 (m, 1 H) 2.63 (d, J=4.13 Hz, 1 H) 2.80 - 2.89 (m, 1 H) 2.94 (d, J=4.13 Hz, 1 H) 3.12 - 3.26 (m, 1 H) 3.17 (s, 3 H) 3.34 (s, 3 H) 3.43 - 3.51 (m, 1 H) 3.66 (d, J=6.42 Hz, 1 H) 3.94 (brs, 1 H) 4.57 (d, J=7.34 Hz, 1 H) 4.73 (dd, J=10.55, 7.34 Hz, 1 H) 4.80 (q, J=6.42 Hz, 1 H) 4.98 - 5.06 (m, 2 H) 6.50 (s, 1 H)
<スキームH>
Figure 2019064922
(5)上記参考例3−(4)で得られたエポキシ体(138g)をテトラヒドロフランとジメチルホルムアミドの1:1混合溶媒(1.4L)に溶解し、1,1’−カルボニルジイミダゾール(85.6g)を加えた。氷冷下、70%水素化ナトリウム(18.1g)を40分間かけて加えて、室温にて0.5時間攪拌した。反応液を氷冷し、蒸留水を加え、酢酸エチルにて抽出し、有機層を蒸留水で2回洗浄した。水層を酢酸エチルにて抽出し、有機層を蒸留水で2回洗浄した。有機層を合わせて、無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサンからヘキサン:酢酸エチル=1:1からアセトン:ヘキサン:トリエチルアミン=10:10:0.2) にて精製した。得られた精製物に酢酸エチル、ヘキサン(1:1)を加えて、室温にて終夜攪拌した。生じた固体を濾取し、酢酸エチルとヘキサンの1:4混合溶媒にて洗浄し、式[2]で示される化合物(87.1g)を得た。
MS(ESI) m/z= 878.6 [M+H]+
1H-NMR (600 MHz, CDCl3) δ(ppm) : 0.85 - 1.41 (m, 25 H) 1.64 - 1.78 (m, 3 H) 1.79 (s, 3 H) 1.90 (dd, J=14.67, 5.04 Hz, 4 H) 1.86 (s, 3 H) 2.04 (s, 3 H) 2.19 - 2.28 (m, 1 H) 2.25 (s, 6 H) 2.60 - 2.68 (m, 1 H) 2.65 (d, J=4.13 Hz, 1 H) 2.86 - 2.97 (m, 1 H) 2.95 (d, J=4.13 Hz, 1 H) 3.15 (s, 3 H) 3.22 - 3.29 (m, 1 H) 3.35 (s, 3 H) 3.38 - 3.47 (m, 1 H) 3.66 (d, J=6.42 Hz, 1 H) 3.79 - 3.88 (m, 1 H) 4.56 (d, J=6.88 Hz, 1 H) 4.72 (dd, J=10.32, 7.57 Hz, 1 H) 4.79 (q, J=6.27 Hz, 1 H) 5.01 - 5.09 (m, 1 H) 5.83 (dd, J=10.55, 2.75 Hz, 1 H) 6.66 (s, 1 H) 7.07 (s, 1 H) 7.34 - 7.38 (m, 1 H) 8.08 (s, 1 H)
参考例4 式[3]で示される化合物の製造
Figure 2019064922
<スキームI>
Figure 2019064922
(1)参考例3で得られた式[2]で示される化合物(360mg)をアセトニトリル(1.5mL)に溶解し、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(280μL)、3−メタンスルホニルプロピルアミン塩酸塩(273mg)を加えて、室温にて1日間攪拌した。反応液に酢酸エチル、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて分液した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムからクロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=25:1:0.1から15:1:0.1)にて精製してカーバメート体(117mg)を得た。
<スキームJ>
Figure 2019064922
(2)上記の参考例4−(1)で得られたカーバメート体(115mg)をエタノール(1mL)に溶解し、N,N−ジエチル−N’−メチルエタン−1,2−ジアミン(195μL)を加えて、封管中100℃にて1日間攪拌した。反応液に酢酸エチル、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて分液した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過し、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムからクロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=12:1:0.1)、分取用薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=20:1:0.1)にて精製し、式[3]で示される化合物(62.7mg)を得た。
なお、式[3]で示される化合物は、特許文献7及び8において実施例15として記載された化合物である。
実施例1 式[1]で示される化合物の製造
Figure 2019064922
<スキームK>
Figure 2019064922
(1)参考例3で得られた化合物[2](277g)をアセトニトリル(315mL)に溶解し、参考例2で得られた化合物(64.4g)および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(191mL)を加え、室温にて1.5時間攪拌した。反応液に水(500mL)を加え、酢酸エチル(400mL)にて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムにて乾燥濾過後、減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチル(300mL)とヘキサン(300mL)より再結晶し、カーバメート体(83.5g)を得た。濾液を減圧下濃縮後、再結晶(酢酸エチル(200mL)、ヘキサン(200mL))することでカーバメート体(34.4g)を得た。さらに濾液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=99:1:0.1から85:15:1.5)で精製した後に、酢酸エチル(100mL)とヘキサン(100mL)より再結晶し、カーバメート体(16.3g)を得た。濾液と前記カラムで得られた一部のフラクションを併せて、アミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=20:80から酢酸エチルのみ)で精製した後に、酢酸エチル(200mL)とヘキサン(200mL)より再結晶することでカーバメート体(55.3g)を得た。これらカーバメート体を合わせて189.5g得た。
MS(ESI) m/z= 912.6 [M+H]+
1H-NMR (499 MHz, CDCl3) δ(ppm): 0.85 - 0.90 (m, 6 H) 0.95 (d, J=7.55 Hz, 3 H) 0.99 - 1.29 (m, 19 H) 1.33 (s, 3 H) 1.44 (s, 3 H) 1.50 - 1.65 (m, 3 H) 1.68 - 1.73 (m, 1 H) 1.84 - 2.00 (m, 3 H) 2.05 (s, 3 H) 2.21 (dd, J=14.75, 3.09 Hz, 1 H) 2.26 (s, 6 H) 2.53 - 2.60 (m, 1 H) 2.62 (d, J=4.12 Hz, 1 H) 2.63 - 2.70 (m, 1 H) 2.86 - 2.91 (m, 1 H) 2.93 (s, 3 H) 2.94 (d, J=4.12 Hz, 1 H) 3.06 (q, J=6.86 Hz, 1 H) 3.27 - 3.36 (m, 2 H) 3.34 (s, 3 H) 3.41 - 3.50 (m, 1 H) 3.68 (d, J=6.17 Hz, 1 H) 3.73 (d, J=10.29 Hz, 1 H) 3.76 (s, 1 H) 4.20 (d, J=16.81 Hz, 1 H) 4.49 (d, J=16.81 Hz, 1 H) 4.63 (d, J=7.55 Hz, 1 H) 4.68 - 4.77 (m, 2 H) 5.04 (dd, J=4.63, 3.26 Hz, 1 H) 5.25 (dd, J=10.63, 2.40 Hz, 1 H) 6.17 (t, J=5.66 Hz, 1 H)
<スキームL>
Figure 2019064922
(2)上記の実施例1−(1)で得られたカーバメート体(189g)をメタノール(410mL)に溶解し、4時間加熱還流した後、室温にて一昼夜攪拌した。反応液を減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチル(50mL)およびヘキサン(300mL)を加え、30分間攪拌し、生じた固体を濾取し、脱アセチル体(41.2g)を得た。濾液をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=20:80から100:0)およびシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=99:1:0.1から85:15:1.5)で3回精製した。得られた粗精製物に酢酸エチル(50mL)およびヘキサン(600mL)を加え、30分間攪拌し、生じた固体を濾取し、脱アセチル体(62.8g)を得た。濾液をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=99:1:0.1から85:15:1.5)で精製し、同様に酢酸エチル(20mL)とヘキサン(50mL)より再結晶し、脱アセチル体(2.99g)を得た。
MS(ESI) m/z= 870.6 [M+H]+
1H-NMR (499 MHz, CDCl3) δ(ppm): 0.88 (t, J=7.38 Hz, 3 H) 1.00 - 1.08 (m, 9 H) 1.09 - 1.27 (m, 1 H) 1.10 - 1.15 (m, 9 H) 1.18 (d, J=6.17 Hz, 3 H) 1.24 (d, J=7.20 Hz, 3 H) 1.36 (s, 3 H) 1.43 (s, 3 H) 1.58 (ddd, J=14.24, 10.46, 7.20 Hz, 1 H) 1.62 - 1.78 (m, 3 H) 1.88 (dd, J=14.92, 4.97 Hz, 1 H) 1.91 - 2.00 (m, 2 H) 2.23 (dd, J=14.75, 2.74 Hz, 1 H) 2.28 (s, 6 H) 2.42 - 2.50 (m, 1 H) 2.59 (dd, J=7.03, 4.29 Hz, 1 H) 2.62 (d, J=4.12 Hz, 1 H) 2.89 - 2.96 (m, 1 H) 2.93 (d, J=4.12 Hz, 1 H) 2.95 (s, 3 H) 3.08 (q, J=6.86 Hz, 1 H) 3.18 (dd, J=10.29, 7.20 Hz, 1 H) 3.27 - 3.39 (m, 2 H) 3.32 (s, 3 H) 3.42 - 3.50 (m, 1 H) 3.71 (d, J=6.52 Hz, 1 H) 3.76 (d, J=9.95 Hz, 1 H) 3.77 (s, 1 H) 4.21 (d, J=16.81 Hz, 1 H) 4.50 (d, J=10.63 Hz, 1 H) 4.52 (s, 1 H) 4.76 (q, J=6.52 Hz, 1 H) 5.04 (dd, J=4.80, 2.74 Hz, 1 H) 5.21 (dd, J=10.63, 2.40 Hz, 1 H) 6.25 (t, J=5.66 Hz, 1 H)
<スキームM>
Figure 2019064922
(3)上記の実施例1−(2)で得られた脱アセチル体(104g)をエタノール(120mL)に溶解し、参考例1で得られた化合物(56.5g)を加え、2時間加熱還流した。反応液を減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて3回洗浄した後、水を加え分液した。水層を酢酸エチルで再度抽出し、水で洗浄した。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムにて乾燥ろ過後、減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチル(100mL)とヘキサン(600mL)より再結晶し、化合物[1](41.4g)を得た。
MS(ESI) m/z= 1028.8 [M+H]+
1H-NMR (499 MHz, CDCl3) δ(ppm) : 0.87 (t, J=7.2 Hz, 3 H) 1.00 (m, J=10.6, 6.5 Hz, 15 H) 1.06 - 1.26 (m, 22 H) 1.38 (s, 3 H) 1.42 (s, 3 H) 1.52 - 1.79 (m, 4 H) 1.84 - 2.07 (m, 5 H) 2.29 (s, 6 H) 2.35 (s, 3 H) 2.39 - 2.55 (m, 5 H) 2.57 - 2.64 (m, 1 H) 2.83 (d, J=14.8 Hz, 1 H) 2.89 (dd, J=9.3, 7.2 Hz, 1 H) 2.94 (s, 3 H) 2.95-3.03 (m, 2 H) 3.08 (q, J=7.1 Hz, 1 H) 3.17 (dd, J=10.1, 7.4 Hz, 1 H) 3.22 - 3.32 (m, 1 H) 3.28 (s, 3 H) 3.34 - 3.48 (m, 3 H) 3.64 (d, J=7.6 Hz, 1 H) 3.73 (d, J=9.6 Hz, 1 H) 3.78 (s, 1 H) 4.08 (q, J=6.4 Hz, 1 H) 4.21 (d, J=17.2 Hz, 1 H) 4.40 (d, J=7.2 Hz, 1 H) 4.57 (d, J=16.8 Hz, 1 H) 4.95 (brs, 1 H) 4.99 (d, J=4.8 Hz, 1 H) 5.11 (dd, J=10.6, 2.1 Hz, 1 H) 6.39 (t, J=5.7 Hz, 1 H)
実施例2
化合物[1]のマロン酸塩、及びその結晶の製造
化合物[1](500mg)の酢酸エチル(1.5mL)溶液にマロン酸(101mg)を室温で加え、終夜攪拌した。沈殿物を濾取した後、減圧下40℃にて乾燥し表題化合物を無色の結晶(310mg)として得た。
1H-NMR(600MHz, DMSO-d6)δ ppm 0.83 (t, J=7.4 Hz, 3 H) 0.9 (d, J=7.0 Hz, 3 H) 094 - 1.00 (m, 6 H) 1.07 - 1.22 (m, 27 H) 1.24 (s, 3 H), 1.33-1.40 (m, 1 H), 1.41, (s, 3 H) 1.43-1.49 (m, 1 H) 1.60 - 1.65 (m, 1 H) 1.69-1.78 (m, 2 H) 1.80-1.91 (m, 3 H), 1.99-2.06 (m, 2H) 2.28 (s, 3 H) 2.42-2.52 (m, 7H) 2.56 - 2.63 (m, 4 H) 2.68 2.77(m, 6 H) 2.82 (bs, 4 H) 2.95 - 3.11 (m, 5 H) 3.21(m, 3 H) 3.22-3.28 (m, 2H) 3.38 - 3.43 (m, 2 H) 3.50 (d, J=7.43 Hz, 1 H) 3.56 (s, 1 H) 3.59 - 3.67 (d, J=7.02 Hz, 1 H) 3.96 (d, J=17.34 Hz, 1 H) 4.00 - 4.07 (m, 1 H) 4.24 (d, J=7.02 Hz, 1 H) 4.32 (d, J=16.93 Hz, 1 H) 4.75 (d, J=5.37 Hz, 1 H) 5.52 (dd, J=8.88, 3.92 Hz, 1 H) 7.87 (t, J=5.57 Hz, 1 H)
上記固体の粉末X線回析パターン、及び示差熱分析/熱質量測定(TG/DTA)を測定したところマロン酸塩の結晶であった。
粉末X線回折パターンをリガク製の粉末X線回折装置(Ultima III)を用い、Cu―Kα線をX線源として測定した。2θ=8.5度、10.0度、及び15.6付近にピークが認められた。
融点をリガク製の示差熱天秤(Thermo plus EVO TG8120)及び同等の装置を用い、大気下にて、室温から約250℃まで10℃/分の昇温速度で測定した。その結果、173〜177℃に融解に由来する吸熱ピークが認められた。
実施例3
化合物[1]のメタンスルホン酸塩、及びその結晶の製造
化合物[1](302mg)のアセトン(4.5mL)溶液にメタンスルホン酸(29μL)を加え、2時間15分攪拌した。反応液を濾過し、得られた残渣をアセトン(2mL)で2回洗浄後、減圧下40℃にて乾燥して表題化合物(213mg)を無色の結晶として得た。
1H-NMR(600MHz, DMSO-d6)δ ppm 0.84 (t, J=7.4 Hz, 3 H) 0.91 (d, J=7.0 Hz, 3 H) 0.94 - 1.02 (m, 6 H) 1.08 - 1.15 (m, 12 H) 1.21 (d, J=6.2 Hz, 3 H) 1.23 - 1.32 (m, 13 H) 1.37 - 1.53 (m, 5 H) 1.63 - 1.68 (m, 1 H) 1.70 - 1.80 (m, 2 H) 1.83 - 2.12 (m, 5 H) 2.29 (s, 3 H) 2.31 (s, 6 H) 2.44 - 2.49 (m, 1 H) 2.53 - 2.59 (m, 1 H) 2.66 - 2.84 (m, 12 H) 2.97 - 3.24 (m, 9 H) 3.40 - 3.46 (m, 1 H) 3.51 (br d, J=7.8 Hz, 1 H) 3.57 (s, 1 H) 3.59 - 3.67 (m, 3 H) 3.97 (d, J=16.9 Hz, 1 H) 4.06 (br q, J=6.1 Hz, 1 H) 4.24 (d, J=7.0 Hz, 1 H) 4.33 (d, J=17.3 Hz, 1 H) 4.77 (br d, J=5.4 Hz, 1 H) 4.97 (br s, 1 H) 5.48 - 5.55 (m, 1 H) 6.09 (br s, 1 H) 7.87 (t, J=5.6 Hz, 1 H) 9.30 (br s, 1 H)
上記固体の粉末X線回析パターン、及び示差熱分析/熱質量測定(TG/DTA)を測定したところメタンスルホン酸塩の結晶であった。
粉末X線回折パターンをリガク製の粉末X線回折装置(Ultima III)を用い、Cu―Kα線をX線源として測定した。2θ=9.7度、11.1度、12.9度、及び13.4度付近にピークが認められた。
融点をリガク製の示差熱天秤(Thermo plus EVO TG8120)及び同等の装置を用い、大気下にて、室温から約250℃まで10℃/分の昇温速度で測定した。その結果、57〜63℃、及び143〜149℃に融解に由来する吸熱ピークが認められた。
実施例4
化合物[1]のベンゼンスルホン酸塩、及びその結晶の製造
化合物[1](300mg)のアセトン(5.4mL)にベンゼンスルホン酸(52mg)のアセトン(0.5mL)溶液を加え、3時間攪拌した。反応液を濾過し、得られた残渣をアセトン(5mL)で2回洗浄後、減圧下40℃にて乾燥して表題化合物(135mg)を無色の結晶として得た。
1H-NMR(600MHz, DMSO-d6)δ ppm 0.84 (t, J=7.4 Hz, 3 H) 0.88 - 1.01 (m, 9 H) 1.08 - 1.15 (m, 12 H) 1.16 - 1.32 (m, 17 H) 1.38 - 1.53 (m, 5 H) 1.61 - 2.11 (m, 8 H) 2.28 (s, 3 H) 2.52 - 2.57 (m, 1 H) 2.62 - 2.84 (m, 12 H) 2.95 - 3.24 (m, 9 H) 3.31 (br s, 4 H) 3.40 - 3.47 (m, 1 H) 3.48 - 3.54 (m, 1 H) 3.56 - 3.67 (m, 3 H) 3.97 (br d, J=17.3 Hz, 1 H) 4.02 - 4.10 (m, 1 H) 4.24 (d, J=7.0 Hz, 1 H) 4.33 (br d, J=16.9 Hz, 1 H) 4.74 - 4.81 (m, 1 H) 4.96 - 5.04 (m, 1 H) 5.48 - 5.55 (m, 1 H) 6.09 (br s, 1 H) 7.26 - 7.35 (m, 6 H) 7.55 - 7.64 (m, 4 H) 7.74 (br s, 1 H) 7.83 - 7.91 (m, 1 H) 9.28 (br s, 1 H)
上記固体の粉末X線回析パターン、及び示差熱分析/熱質量測定(TG/DTA)を測定したところベンゼンスルホン酸塩の結晶であった。
粉末X線回折パターンをリガク製の粉末X線回折装置(Ultima III)を用い、Cu―Kα線をX線源として測定した。2θ=8.2度、10.9度、12.8度、14.7度、16.5度、及び19.2度付近にピークが認められた。
融点をリガク製の示差熱天秤(Thermo plus EVO TG8120)及び同等の装置を用い、大気下にて、室温から約250℃まで10℃/分の昇温速度で測定した。その結果、208〜214℃に融解に由来する吸熱ピークが認められた。
本発明化合物の作用は以下の薬理試験により確認された。
試験例1 インビトロ抗菌活性
本発明品、実施例1の化合物[1]の各種試験菌に対するインビトロ抗菌力は、微量液体希釈法(CLSI法)に準じて測定した。また、参考例4の式[3]で表される化合物も同様に測定した。使用した試験菌を表1に示した。菌体番号A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K及びLの試験菌に対するMIC値(微生物生育最小阻止濃度 μg/ml)を表2に示した。
Figure 2019064922
Figure 2019064922
試験例2 インフルエンザ菌感受性試験
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)39種類の臨床分離株を用い、試験例1と同様の手法を用いて、薬剤感受性について評価を実施した。表3に結果を示した。
Figure 2019064922
試験例3 インフルエンザ菌感染動物における治療効果試験
薬理効果の評価は下記に示す方法を用いた。
細菌として、Haemophilus influenzae ATCC43095株(菌体番号A)を用いた。チョコレート寒天培地で1晩培養した菌体を掻き取り、ヘモフィルス感受性試験培地またはフィルズエンリッチメント添加ブレインハートインフュージョン培地に懸濁後、1晩培養した。これをヘモフィルス感受性試験培地またはフィルズエンリッチメント添加ブレインハートインフュージョン培地で希釈し、接種菌液とした。マウス(ICR系、雄性、4週齢)に接種菌液0.05mLを気道内接種して感染させた。接種菌量は2.25x10CFU/マウスまたは9.00x10CFU/マウスであった。接種翌日から1日1回2日間、実施例1の化合物[1](100および200mg/kg)または媒体(0.1mol/Lラクトビオン酸溶液および0.5w/v%炭酸水素ナトリウム溶液の等量混液)を経口投与した。接種3日後の肺内生菌数(1群6例、平均値±標準誤差)を図7に示した。
なお、図7についての備考は以下の通りである。媒体との有意差:Steel検定 *:p<0.05、**:p<0.01 実施例1、式[1]の化合物MIC値は4μg/mL、参考例4、式[3]の化合物MIC値は4μg/mL。
以下において、試験結果としての肺内生菌数は、肺内生菌数(CFU/肺)の常用対数(常用対数は以下logと記載する)として表すこととする。
媒体投与群の肺内生菌数は5.88±0.14[log(CFU/肺)]であった。実施例1の化合物[1] 100および200mg/kg投与群の肺内生菌数は、それぞれ3.54±0.49[log(CFU/肺)]および2.83±0.53[log(CFU/肺)]であり、媒体投与群と比較して有意に減少した。同様に、参考例4の式[3]で表される化合物(100および200mg/kg)または媒体(0.1mol/Lラクトビオン酸溶液および0.5w/v%炭酸水素ナトリウム溶液の等量混液)を経口投与した。結果を、肺内生菌数(CFU/肺)の常用対数(常用対数は以下logと記載する)として表すこととすると、接種3日後の肺内生菌数は、媒体投与群で5.67±0.32[log(CFU/肺)]であった。参考例4の式[3]で表される化合物 100および200mg/kg投与群の肺内生菌数は、それぞれ4.37±0.27[log(CFU/肺)]および2.53±0.23[log(CFU/肺)]であり、媒体投与群と比較して有意に減少した。以上より、実施例1の化合物[1]は、当該菌株に対して参考例4の式[3]で表される化合物と同程度の治療効果を示した。
試験例4 エリスロマイシン耐性(erm(B)遺伝子保有)肺炎球菌感染動物における治療効果試験
薬理効果の評価は下記に示す方法を用いた。
細菌として、 Streptococcus pneumoniae 1101 株(臨床分離株)を用いた。使用菌株の凍結保存液を30vol%非働化ウマ血清添加トッドヒューイット液体培地に添加し、濁度(OD600)が約0.3となるまで培養した。これを30vol%非働化ウマ血清添加トッドヒューイット液体培地で希釈し、接種菌液とした。マウス(CBA/JN系、雄性、5週齢)に接種菌液0.05mLを経鼻接種して感染させた。接種菌量は7.50x10CFU/マウスまたは1.65x10CFU/マウスであった。接種翌日から1日1回2日間、実施例1の化合物[1](30および100mg/kg)または媒体(0.1mol/Lラクトビオン酸溶液および0.5w/v%炭酸水素ナトリウム溶液の等量混液)を経口投与した。接種3日後の肺内生菌数(1群5〜6例、平均値±標準誤差)を図8に示した。
なお、図8についての備考は以下の通りである。媒体との有意差:Steel検定 *:p<0.05、**:p<0.01 実施例1、式[1]の化合物MIC値は0.25μg/mL、参考例4、式[3]の化合物MIC値は0.12μg/mL
媒体投与群の肺内生菌数は5.83±0.08[log(CFU/肺)]であった。実施例1の化合物[1] 30および100mg/kg投与群の肺内生菌数は、それぞれ4.14±0.19[log(CFU/肺)]および2.28±0.24[log(CFU/肺)]であり、媒体投与群と比較して有意に減少した。同様に、参考例4の式[3]で表される化合物(10、30および100mg/kg)または媒体(0.1mol/Lラクトビオン酸溶液および0.5w/v%炭酸水素ナトリウム溶液の等量混液)を経口投与した結果、接種3日後の肺内生菌数は、媒体投与群で5.91±0.18[log(CFU/肺)]であった。参考例4の式[3]で表される化合物 10、30および100mg/kg投与群の肺内生菌数は、それぞれ5.86±0.12[log(CFU/肺)]、5.22±0.16[log(CFU/肺)]および3.65±0.36[log(CFU/肺)]であり、参考例4の式[3]で表される化合物 100mg/kg投与群で媒体投与群と比較して有意に減少した。以上より、実施例1の化合物[1]は参考例4の式[3]で表される化合物より優れた治療効果を示した。
試験例5 エリスロマイシン耐性(mef(A)遺伝子保有)肺炎球菌感染動物における治療効果試験
薬理効果の評価は下記に示す方法を用いた。
細菌として、 Streptococcus pneumoniae 1028 株(臨床分離株)を用いた。使用菌株の凍結保存液を30vol%非働化ウマ血清添加トッドヒューイット液体培地に添加し、濁度(OD600)が約0.3となるまで培養した。これを30vol%非働化ウマ血清添加トッドヒューイット液体培地で希釈し、接種菌液とした。マウス(CBA/JN系、雄性、5週齢)に接種菌液0.05mLを経鼻接種して感染させた。接種菌量は3.45x10CFU/マウスまたは3.90x10CFU/マウスであった。接種翌日から1日1回2日間、実施例1の化合物[1](3、10、30および100mg/kg)または媒体(0.1mol/Lラクトビオン酸溶液および0.5w/v%炭酸水素ナトリウム溶液の等量混液)を経口投与した。接種3日後の肺内生菌数(1群5〜6例、平均値±標準誤差)を図9に示した。
なお、図9についての備考は以下の通りである。媒体との有意差:Steel検定 *:p<0.05、**:p<0.01 実施例1、式[1]の化合物MIC値は0.12μg/mL、参考例4、式[3]の化合物MIC値は0.03μg/mL
媒体投与群の肺内生菌数は6.94±0.07[log(CFU/肺)]であった。実施例1の化合物[1]3、10、30および100mg/kg投与群の肺内生菌数は、それぞれ6.45±0.18[log(CFU/肺)]、1.30±0.00[log(CFU/肺)]、1.30±0.00[log(CFU/肺)]および1.30±0.00[log(CFU/肺)]であり、実施例1の化合物[1]10、30および100mg/kg投与群で肺内生菌数は全例検出限界値以下を示し、媒体投与群と比較して有意に減少した。同様に、参考例4の式[3]で表される化合物(10、30および100mg/kg)または媒体(0.1mol/Lラクトビオン酸溶液および0.5w/v%炭酸水素ナトリウム溶液の等量混液)を経口投与した結果、接種3日後の肺内生菌数は、媒体投与群で7.03±0.22[log(CFU/肺)]であった。参考例4の式[3]で表される化合物 10、30および100mg/kg投与群の肺内生菌数は、それぞれ5.67±0.38[log(CFU/肺)]、1.30±0.00[log(CFU/肺)]および1.30±0.00[log(CFU/肺)]であり、参考例4の式[3]で表される化合物 10、30および100mg/kg投与群で媒体投与群と比較して有意に減少した。ただし全例で検出限界値以下を示したのは参考例4の式[3]で表される化合物 30および100mg/kg投与群のみであった。以上より、実施例1の化合物[1]は参考例4の式[3]で表される化合物より優れた治療効果を示した。
本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩は、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌やマイコプラズマに強い抗菌活性を有し、特に従来のマクロライド系抗生物質では十分な抗菌活性が得られなかったエリスロマイシン耐性菌(例えば耐性肺炎球菌、連鎖球菌、及びマイコプラズマ)などに対しても優れた抗菌活性を有し、医薬品として利用することができる。また、本発明が提供する式[1]で表される化合物の塩及びそれらの結晶形は、室温付近の温度において安定で、優れた保存安定性、その他の物性を有しており、医薬品原体として有用である。

Claims (9)

  1. 式[1]で表される化合物のマロン酸塩。
    Figure 2019064922
  2. 下記(a)〜(b)の物性を少なくとも1つ有する請求項1に記載の塩の結晶。
    (a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=8.5度、10.0度、及び15.6度にピークを有する;
    (b)示差熱分析/熱質量測定(TG/DTA)において、吸熱ピークが173〜177℃にある。
  3. 式[1]で表される化合物の酢酸エチル溶液にマロン酸を添加し作用させた後、生じた結晶を濾取し、乾燥させることを特徴とする請求項1に記載の塩又は請求項2に記載の結晶の製造方法。
  4. 式[1]で表される化合物のメタンスルホン酸塩。
  5. 下記(a)〜(b)の物性を少なくとも1つ有する請求項4に記載の塩の結晶。
    (a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=9.7度、11.1度、12.9度、及び13.4度にピークを有する;
    (b)示差熱分析/熱質量測定(TG/DTA)において、吸熱ピークが57〜63℃、及び143〜149℃にある。
  6. 式[1]で表される化合物のアセトン溶液にメタンスルホン酸を添加し作用させた後、生じた結晶を濾取し、乾燥させることを特徴とする請求項4に記載の塩又は請求項5に記載の結晶の製造方法。
  7. 式[1]で表される化合物のベンゼンスルホン酸塩。
  8. 下記(a)〜(b)の物性を少なくとも1つ有する請求項7に記載の塩の結晶。
    (a)粉末X線回折(Cu−Kα)において、2θ=8.2度、10.9度、12.8度、14.7度、16.5度、及び19.2度にピークを有する;
    (b)示差熱分析/熱質量測定(TG/DTA)において、吸熱ピークが208〜214℃にある。
  9. 式[1]で表される化合物のアセトン溶液にベンゼンスルホン酸を添加し作用させた後、生じた結晶を濾取し、乾燥させることを特徴とする請求項7に記載の塩又は請求項8に記載の結晶の製造方法。
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