以下、各実施形態について図面を用いて説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理システムの構成を示すブロック図である。この医用情報処理システムは、マンモグラフィ装置1、超音波診断装置30及び医用情報処理装置50がネットワークNwを介して通信可能となっている。なお、「マンモグラフィ装置」は、「X線診断装置」と呼んでもよい。「超音波診断装置」は、「医用情報処理装置」と呼んでもよく、「医用情報処理装置を含む超音波診断装置」と呼んでもよい。
ここで、マンモグラフィ装置1は、図2及び図3に示すように、X線撮像装置3とコンピュータ装置5とを備える。
X線撮像装置3は、基台部10とCアーム11とを有する。Cアーム11は、基台部10に突設された軸部12に取り付けられる。これによりCアーム11は、軸部12の軸心を回転中心軸Xとして回動可能なように基台部10に支持される。Cアーム11を回転させることにより、頭尾方向(Cranio-Caudal projection:CC)、内外方向(Medio-Lateral projection:ML)、内外斜方向(Medio-Lateral Oblique projection:MLO)等の撮影や、トモシンセシス撮影を行うことができる。トモシンセシス撮影の場合、Cアーム11を撮影台16の鉛直方向から片側に20°以上傾けた位置から開始し、開始位置から反対側に傾けた位置に向けて連続的に移動させながら一定間隔でX線発生・画像収集を繰り返す。X線撮影は、Cアーム11が撮影台16の鉛直方向に関し開始位置から反対側20°以上の位置で終了する。
Cアーム11は、アーム本体14にX線発生装置15、撮影台16、及び圧迫ユニット17を取り付けて構成される。X線発生装置15及び撮影台16は、アーム本体14の両端部に配置される。圧迫ユニット17は、X線発生装置15と撮影台16との中間に配置される。
X線発生装置15は、X線管18と高電圧発生器19とを有する。X線管18は、高電圧発生器19から管電圧の印加、及びフィラメント電流の供給を受けて圧迫ユニットに向けて所定のX線継続時間X線を発生する。印加する管電圧とX線継続時間とは、撮影制御回路24からの制御信号を受けて、撮影に適した値に調整される。
X線管18は、陰極フィラメントと陽極とを備える。陽極は、Mo(モリブデン)を材質としたMo陽極、Rh(ロジウム)を材質としたRh陽極、MoとRhとを混合してなるMo・Rh陽極等である。これら陽極は、撮影制御回路24からの制御信号を受けて、随時切り替え可能である。
フィラメント電流の供給を受けた陰極フィラメントは加熱せれ、熱電子を発生する。発生された熱電子は、陰極フィラメントと陽極との間に印加された管電圧によって、陽極に衝突される。このように熱電子が陽極へ衝突することによりX線が発生される。陽極に衝突する熱電子によって、管電流が流れる。管電流は、フィラメント電流により調整される。撮影時におけるX線線量の調節は、撮影制御回路24からの制御信号を受けて、管電流とX線継続時間との積である管電流時間積を調節することにより行なわれる。
X線管18には、発生されたX線の線質を変更するための線質フィルタが取り付けられる。線質フィルタは、Moを材質としたMoフィルタや、Rhを材質としたRhフィルタ、Al(アルミニウム)を材質としたAlフィルタ、或いはこれら材質を組み合わせてなるフィルタ等である。これら線質フィルタは、撮影制御回路24からの制御信号を受けて、随時切り替え可能である。
圧迫ユニット17は、撮影台16の載置面16aに沿って接近/離反可能なようにCアーム11によって支持される圧迫板17aを有する。圧迫ユニット17は、撮影制御回路24からの制御信号を受けて、圧迫板17aを動作させることにより被検体の乳房を載置面16aに圧迫し、乳房厚を所定の状態にする。
撮影台16は、乳房を透過したX線を検出するフラット・パネル・ディテクタ(FPD)等のデジタル検出器を筐体内に収容したユニットである。撮影台16は、載置面16aの面中心とX線管18の焦点とを結ぶZ軸に沿って、X線管18に接近/離反可能なようにCアーム11によって支持される。ここで、Y軸をX軸及びZ軸に直交する軸に規定する。つまり、XYZ座標系は、X軸を回転中心軸とした回転座標系である。Z軸は乳房の厚さ方向を規定する軸であり、XY平面は乳房の厚さ方向に垂直な広がり方向を規定する軸である。
また、圧迫ユニット17が上側圧迫板と下側圧迫板とを備え、載置面16aと、上側圧迫板と下側圧迫板とで圧迫された乳房との距離を離間させて拡大撮影を行う場合は、撮影台16の筐体を拡大撮影用のものに変更することで、拡大率を撮影に適した状態にする。
撮影台16内のデジタル検出器は、入射X線を直接的に電気信号に変換する直接変換形又は入射X線を蛍光体で光に変換しその光を電気信号に変換する間接変換形の複数の半導体検出素子を有する。この複数の半導体検出素子は2次元格子状に配列される。また、デジタル検出器は、フォトダイオード等の半導体検出素子に加え、増幅回路及びA/D変換回路を含んでいる。これにより、X線入射に伴って複数の半導体検出素子で発生した信号電荷は増幅回路及びA/D変換回路を介してデジタル信号としてコンピュータ装置5に出力される。
コンピュータ装置5は、X線撮像装置3とともに、記憶回路22、入力インタフェース23、撮影制御回路24、画像発生回路25、処理回路26、ディスプレイ27、システム制御回路28及びネットワークインタフェース29を備える。
記憶回路22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hardware Disk Drive)及び画像メモリなど電気的情報を記録するメモリと、それらメモリに付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成されている。記憶回路22は、被検体の乳房の検査毎に、乳房を撮像したマンモグラフィ画像と、当該マンモグラフィ画像の撮像角度を示す少なくともMLO角度情報とを記憶する。記憶回路22は、例えば、検査毎に、画像発生回路25により発生されたマンモグラフィ画像のデータに、撮影条件と、撮影時の撮影方向(撮影角度)を示すコードと、撮影した乳房の左右を示すコードとを関連付けて記憶してもよい。これに加え、記憶回路22は、乳房のトモシンセシス撮影により得られた複数の断層画像を記憶する。詳しくは、記憶回路22は、乳房のトモシンセシス撮影によって収集された複数の投影データから生成された複数の断層画像を記憶する。複数の断層画像は、乳房の厚さ方向(Z方向)に垂直な面(XY平面)を断面とした多断面の画像(マルチスライス画像)である。また、記憶回路22は、乳房のニップルからの距離を示す基準スケール画像を記憶してもよい。ここで、基準スケール画像は、例えば、複数の断層画像のうちで乳房のニップルを含むいずれかの第1断層画像上において、乳房のニップルからの距離を示すスケール画像に相当する。なお、記憶回路22は、DICOM規格に準拠した医用画像データとして、複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶してもよい。このとき、スケール画像及び基準スケール画像は、DICOMのオーバーレイ情報として医用画像ファイルに組み込まれていてもよい。
詳しくは、記憶回路22は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に準拠したデータ形式のファイルを記憶してもよい。このDICOM規格に準拠した形式のファイルとしては、具体的には、医用画像ファイルが挙げられる。医用画像ファイルは、互いに関連付けられた医用画像データと付帯情報とを有する。医用画像データは、患者に関する医用画像をDICOM規格に従って符号化したデータから成る。例えば、医用画像データは医用画像を構成する各画素に関する画素データの集合であり、画素データは医用画像を構成する各画素の座標と表示色に対応するグレー値またはカラー値を表現している。また付帯情報は、例えば、医用画像データが属する患者ID、検査ID、シリーズID、画像ID、画像サイズ、画像撮像日時等のDICOM規格において標準的に利用されている情報を含む。
また、記憶回路22は、アノテーションのデータを医用画像のデータに関連づけて記憶するようにしてもよい。なお、アノテーションとは、後に医用画像を再び観察する時のために、あるいは、他人が観察する時のために、医用画像に付される図形や文字、記号の総称である。例えば、アノテーションは、関心領域や直線、矢印、計測結果(グラフ等)である。本明細書中では、アノテーションは、スケール画像及び基準スケール画像である。
本実施形態に係るアノテーションのデータの記憶形式には、DICOM・オーバーレイ形式とDICOM・GSPS(グレイスケールソフトコピー提示状態:Gray Scale Presentation State)形式とが挙げられる。本明細書中では、主に、DICOM・オーバーレイ形式を例に挙げて述べる。DICOM・オーバーレイ形式の場合、アノテーションのデータは、DICOM・オーバーレイ情報として、医用画像ファイルに組み込まれる。「オーバーレイ情報」は「オーバーレイデータ」ともいう。DICOM・オーバーレイ形式の医用画像ファイルは、互いに関連付けられたDICOM付帯情報、DICOM・オーバーレイ情報、医用画像データのデータ項目を有している。このように医用画像ファイルには、DICOM・オーバーレイ情報が組み込まれている。
DICOM・オーバーレイ情報は、スケール画像及び基準スケール画像などのアノテーションに基づいて生成される。DICOM・オーバーレイ情報は、オーバーレイ付随情報とオーバーレイ画像データとを含む。オーバーレイ付随情報は、アノテーションの表示色のカラー値やマトリクスサイズ(XYサイズ)、ニップルの2次元の位置に対応する基準位置等のアノテーションに関する付随情報を有している。オーバーレイ画像データは、画素毎に1ビットの情報で定義される。すなわち、オーバーレイ画像データは、画素毎にアノテーション画素であるか否かの情報を有している。オーバーレイ画像データは、アノテーションの空間分布を表現するビットマップデータまたは文字列データであり、DICOM規格に従って符号化され、DICOM規格において定義されているデータ要素タグ(60XX,3000)により管理されている。なお、ビットマップデータの場合、DICOM規格の値表現VR(Value Representation)のOB(Other Binary String)として、また文字列データの場合、VRのOW(Other Word String)として符号化される。
一方、DICOM・GSPS形式の場合、アノテーションのデータは、DICOM・GSPSデータとして、医用画像ファイルに組み込まれたり、医用画像ファイルとは別のファイルで管理されたりする。なお、以上のようなDICOMに関する説明は、マンモグラフィ装置1の記憶回路22に限らず、他の装置30,50の記憶回路でも同様である。
入力インタフェース23は、操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定をコンピュータ装置5に入力するためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、及び表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インタフェース23は、撮影制御回路24、処理回路26等に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し撮影制御回路24又は処理回路26へと出力する。なお、本明細書において入力インタフェース23はマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を撮影制御回路24又は処理回路26へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース23の例に含まれる。
入力インタフェース23は、撮影条件(管電圧、管電流時間積、陽極の材質、線質フィルタの材質、乳房厚、X線焦点−X線検出器間距離、拡大率等)を撮影制御回路24に設定するための操作を受け付ける。また、入力インタフェース23は、撮影対象である乳房の左右いずれかを示すコードを撮影制御回路24に設定する。また、入力インタフェース23は、Cアーム11を動作させるためのインタフェースを備えており、その操作に応じてCアーム11はZ軸回りに回動され任意の位置に設定される。設定されたCアーム11の位置に応じて、撮影方向が決定される。
撮影制御回路24は、図示しないプロセッサとメモリを備え、入力インタフェース23を介して設定された撮影条件(管電圧、管電流時間積、陽極の材質、線質フィルタの材質、乳房厚、X線焦点−X線検出器間距離、拡大率等)に基づいてX線撮像装置3の各構成要素を制御することによって、X線撮像装置3に設定に応じたX線撮影を行わせる。
画像発生回路25は、撮影台16からのデジタル信号を補正する補正回路を含み、補正後の画像データに階調処理や空間フィルタ処理などの画像処理を施すことにより、マンモグラフィ画像のデータや複数の断層画像のデータを発生する。ここで、補正回路は、オフセット補正、ゲイン補正及び欠陥画素補正を行う回路である。オフセット補正は、半導体の暗電流などに起因するオフセット成分を補正する処理である。ゲイン補正は、X線検出物質の感度の2次元のばらつき、増幅回路ゲインのばらつき、又はX線分布の不均一性などを補正する処理である。欠陥画素補正は、周辺の正常画素の画素値から出力が異常な欠陥画素の画素値を推定して決定する処理である。なお、このような補正回路は、画像発生回路25とは別体として設けてもよく、処理回路26の機能に含めてもよい。また、この補正回路は、FPD補正ユニットと呼んでもよい。
処理回路26は、操作者により入力インタフェース23を介してから入力された指示に基づいて、記憶回路22に記憶されたマンモグラフィ画像、角度情報、断層画像及び制御プログラムを読み出し、これらに従ってコンピュータ装置5を制御する。例えば、処理回路26は、記憶回路22から読み出した制御プログラムに従って、既存の超音波診断支援機能と、ニップルからの距離を示すための各機能とを実現させるプロセッサである。既存の超音波診断支援機能は、2つの撮像方向から撮像された各マンモグラフィ画像上の所望の位置に関心領域を設定(ポインティング)し、関心領域の位置を含んで各撮影方向に沿った2本の直線を乳房正面のボディマーク(模式図)上に描画する機能である。例えば、CC方向に沿った直線は縦方向の直線として描画され、MLO方向に沿った直線は斜め方向の直線として描画される。ニップルからの位置を示す各機能としては、例えば、処理制御機能26a、スケール処理機能26b及び表示制御機能26cなどがある。但し、処理制御機能26aは、任意の付加的事項であり、省略してもよい。
処理制御機能26aは、入力インタフェース23を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路26の各種機能を制御する。また、処理制御機能26aは、DICOM規格に準拠した複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶回路22が記憶している場合、スケール画像及び基準スケール画像をDICOMのオーバーレイ情報として医用画像ファイルに組み込む機能を含んでいてもよい。
スケール処理機能26bは、記憶回路22に記憶された複数の断層画像のうちで乳房のニップルを含むいずれかの第1断層画像のスライス位置、当該複数の断層画像のうちで少なくとも1つの第2断層画像のスライス位置、当該第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づき、第2断層画像上でニップルからの3次元の距離を示すスケール画像を生成する。
ここで、スケール処理機能26bは、第1断層画像に対し、ニップルの2次元の位置を特定する特定機能を含んでもよい。特定機能は、操作者の操作に応じてニップルの位置を特定する方法を用いてもよく、一般的に知られた各種の画像検出方法を用いてもよく、既存の超音波診断支援機能において、CC方向のマンモグラフィ画像に特定されたニップルの位置を適用する方法を用いてもよい。
また、スケール処理機能26bは、第2断層画像に対し、関心領域を設定する設定機能を含んでもよい。設定機能は、操作者の操作に応じて関心領域を設定する方法を用いてもよく、既存の超音波診断支援機能においてCC方向のマンモグラフィ画像に設定された関心領域の位置及び画像に基づいて、第2断層画像に関心領域を設定する方法を用いてもよい。あるいは、設定機能は、当該CC方向のマンモグラフィ画像に設定された関心領域の2次元の位置に基づき、複数の断層画像の各々にマンモグラフィCADを施すことにより、第2断層画像に関心領域を設定する方法を用いてもよい。ここで「CAD」は「Computer-Aided Detection(コンピュータ支援検出)」の略称である。
また、スケール処理機能26bは、第1断層画像のスライス位置、第2断層画像のスライス位置、当該第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づいてスケール画像を生成する際に、例えば、ピタゴラスの定理を用いてもよい。
スケール画像は、ニップルに対して凹の弧状の部分を含んでもよい。スケール画像は、半円状の曲線でもよく、円形状の曲線でもよく、乳房上のみに描かれた弧状の曲線でもよい。曲線としては、実線、破線、一点鎖線などの任意の線が使用可能となっている。また、第2断層画像のうちの少なくとも1つは、乳房のニップルを含む断層画像であってもよい。すなわち、第2断層画像のうちの少なくとも1つは、ニップルを含む第1断層画像及び当該第1断層画像に隣接した断層画像のいずれでもよい。また、全ての第2断層画像が、ニップルを含まない断層画像でもよい。
表示制御機能26cは、医用画像などを表示するようにディスプレイ27を制御する機能である。表示制御機能26cは、例えば、第2断層画像上にスケール画像を重畳表示するようにディスプレイ27を制御する。また、表示制御機能26cは、第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づいて、当該第1断層画像上に基準スケール画像を重畳表示するようにディスプレイ27を制御してもよい。
ディスプレイ27は、医用画像などを表示するディスプレイ本体と、ディスプレイ本体に表示用の信号を供給する内部回路、ディスプレイ本体と内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成されている。ディスプレイ27は、処理回路26に制御され、画像発生回路25で生成されたマンモグラフィ画像及び断層画像、処理回路26で生成されたボディマーク(模式図)及びスケール画像、記憶回路22から読み出された基準スケール画像を表示する。
システム制御回路28は、図示しないプロセッサとメモリを備え、マンモグラフィ装置1の中枢として、各構成要素を制御する。
ネットワークインタフェース29は、コンピュータ装置5をネットワークNwに接続して超音波診断装置30及び医用情報処理装置50と通信するための回路である。ネットワークインタフェース29としては、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)が使用可能となっている。以下の説明では、コンピュータ装置5、超音波診断装置30及び医用情報処理装置50の間の通信にネットワークインタフェース29が介在する旨の記載を省略する。
なお、コンピュータ装置5とX線撮像装置3とは一体であるとしても良い。
一方、超音波診断装置30は、図4に示すように、超音波プローブ31及び装置本体32を備えている。装置本体32は、送受信回路33、画像生成回路34、記憶回路35、入力インタフェース36、ディスプレイ37、画像DB回路38、ネットワークインタフェース39及び処理回路40を備えている。
超音波プローブ31は、圧電セラミックス等の音響/電気可逆的変換素子としての圧電振動子を有する。複数の圧電振動子は並列され、超音波プローブ31の先端に装備される。なお、一つの圧電振動子が一チャンネルを構成するものとして説明する。圧電振動子は、送受信回路33から供給される駆動信号に応答して超音波を発生する。圧電振動子は、被検体の生体組織で反射された超音波の受信に応答して、受信エコー信号を発生する。超音波プローブとしては、1次元アレイを複数の振動子の配列方向と直交する方向に揺動させて3次元走査を実行するメカニカル4次元プローブとしてもよく、2次元アレイプローブとしてもよい。
送受信回路33は、処理回路40による制御のもとで、超音波プローブ31における複数の圧電振動子各々に駆動信号を供給する。送受信回路33は、各圧電振動子によって発生された受信エコー信号に基づいて、受信信号を発生する。なお、送受信回路33の詳細については記載を省略する。
画像生成回路34は、図示していないBモード処理ユニットとドプラ処理ユニットとを有する。Bモード処理ユニットは、図示していない包絡線検波器、対数変換器などを有する。包絡線検波器は、送受信回路33から出力された受信信号に対して包絡線検波を実行する。包絡線検波器は、包絡線検波された信号を、後述する対数変換器に出力する。対数変換器は、包絡線検波された信号に対して対数変換して弱い信号を相対的に強調する。Bモード処理ユニットは、対数変換器により強調された信号に基づいて、各走査線および各超音波送受信における深さごとの信号値(Bモードデータ)を発生する。
ドプラ処理ユニットは、図示していないミキサー、低域通過フィルタ、速度/分散/Power演算デバイス等を有する。ミキサーは、送受信回路33から出力された受信信号に、送信周波数と同じ周波数f0を有する基準信号を掛け合わせる。この掛け合わせにより、ドプラ偏移周波数fdの成分の信号と(2f0+fd)の周波数成分を有する信号とが得られる。低域通過フィルタは、ミキサーからの2種の周波数成分を有する信号のうち、高い周波数成分(2f0+fd)の信号を取り除く。ドプラ処理ユニットは、高い周波数成分(2f0+fd)の信号を取り除くことにより、ドプラ偏移周波数fdの成分を有するドプラ信号を発生する。
なお、ドプラ処理ユニットは、ドプラ信号を発生するために、直交検波方式を用いてもよい。このとき、受信信号(RF信号)は、直交検波されIQ信号に変換される。ドプラ処理ユニットは、IQ信号を複素フーリエ変換することにより、ドプラ偏移周波数fdの成分を有するドプラ信号を発生する。ドプラ信号は、例えば、血流、組織、造影剤によるエコー成分である。
速度/分散/Power演算デバイスは、図示していないMTI(Moving Target Indicator)フィルタ、自己相関演算器等を有する。MTIフィルタは、発生されたドプラ信号に対して、臓器の呼吸性移動や拍動性移動などに起因するドプラ成分(クラッタ成分)を除去する。自己相関演算器は、MTIフィルタによって血流情報のみが抽出されたドプラ信号に対して、自己相関値を算出する。自己相関演算器は、算出された自己相関値に基づいて、血流の平均速度値、分散値、ドプラ信号の反射強度等を算出する。速度/分散/Power演算デバイスは、複数のドプラ信号に基づく血流の平均速度値、分散値、ドプラ信号の反射強度等に基づいて、カラードプラデータを発生する。以下、ドプラ信号とカラードプラデータとをまとめて、ドプラデータと呼ぶ。
また、ドプラデータとBモードデータとをまとめてローデータ(Raw Data)と呼ぶ。ローデータは、エコー信号のうち、送信超音波の高調波成分によるBモードデータ、および被検体内の生体組織に関する弾性データであってもよい。Bモード処理ユニットおよびドプラ処理ユニットは、発生したローデータを後述するディジタルスキャンコンバータ(Digital Scan Converter:以下DSCと呼ぶ)に出力する。Bモード処理ユニットおよびドプラ処理ユニットは、発生したローデータを図示していないシネメモリに出力することも可能である。
画像生成回路34は、図示していないDSCを有する。画像生成回路34は、DSCに対して、座標変換処理(リサンプリング)を実行する。座標変換処理とは、例えば、ローデータからなる超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換することである。画像生成回路34は、座標変換処理に続けて補間処理を、DSCに対して実行する。補間処理とは、隣り合う走査線信号列におけるローデータを用いて、走査線信号列間にデータを補間する処理である。
画像生成回路34は、ローデータに対して座標変換処理と補間処理とを実行することにより、表示画像としての超音波画像を生成する。なお、画像生成回路34は、生成した超音波画像に対応するデータを記憶する画像メモリを有していてもよい。画像生成回路34は、生成された超音波画像に、種々のパラメータの文字情報および目盛等を合成する。Bモードデータを用いて生成された超音波画像をBモード画像と呼んでもよい。また、ドプラデータを用いて生成された超音波画像をドプラ画像と呼んでもよい。
シネメモリは、例えばフリーズする直前の複数のフレームに対応する超音波画像を保存するメモリである。このシネメモリに記憶されている画像を連続表示(シネ表示)することで、超音波動画像を表示することも可能である。
記憶回路35は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hardware Disk Drive)及び画像メモリなど電気的情報を記録するメモリと、それらメモリに付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成されている。記憶回路35は、フォーカス深度の異なる複数の受信遅延パターン、本超音波診断装置の制御プログラム、診断プロトコル、送受信条件等の各種データ群、Bモードデータ、ドプラデータ、画像生成回路34で生成されたBモード画像およびドプラ画像などを記憶する。これに加え、記憶回路35は、マンモグラフィ装置1からオンライン又はオフラインで受けたマンモグラフィ画像、角度情報、断層画像及び基準スケール画像を記憶してもよい。例えば、記憶回路35は、被検体の乳房の検査毎に、乳房を撮像したマンモグラフィ画像と、当該マンモグラフィ画像の撮像角度を示す少なくともMLO角度情報とを記憶する。記憶回路35は、例えば、マンモグラフィ画像のデータに、撮影条件と、撮影時の撮影方向(撮影角度)を示すコードと、撮影した乳房の左右を示すコードとを関連付けて記憶してもよい。これに加え、記憶回路35は、乳房のトモシンセシス撮影により得られた複数の断層画像を記憶する。詳しくは、記憶回路35は、乳房のトモシンセシス撮影によって収集された複数の投影データから生成された複数の断層画像を記憶する。複数の断層画像は、乳房の厚さ方向(Z方向)に垂直な面(XY平面)を断面とした多断面の画像(マルチスライス画像)である。また、記憶回路35は、乳房のニップルからの距離を示す基準スケール画像を記憶してもよい。ここで、基準スケール画像は、例えば、複数の断層画像のうちで乳房のニップルを含むいずれかの第1断層画像上において、乳房のニップルからの距離を示すスケール画像に相当する。なお、記憶回路35は、DICOM規格に準拠した医用画像データとして、複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶してもよい。このとき、スケール画像及び基準スケール画像は、DICOMのオーバーレイ情報として医用画像ファイルに組み込まれていてもよい。
入力インタフェース36は、操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を装置本体32に入力するためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、及び表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インタフェース36は、処理回路40に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路40へと出力する。なお、本明細書において入力インタフェース36はマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路40へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース36の例に含まれる。
ディスプレイ37は、医用画像などを表示するディスプレイ本体と、ディスプレイ本体に表示用の信号を供給する内部回路、ディスプレイ本体と内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成されている。ディスプレイ37は、画像生成回路34で生成された各種超音波画像を表示する。また、ディスプレイ37は、画像生成回路34で生成された超音波画像に対して、ブライトネス、コントラスト、ダイナミックレンジ、γ補正などの調整および、カラーマップの割り当てを実行してもよい。ディスプレイ37は、超音波画像と、画像DB回路38内のマンモグラフィ画像、断層画像及び基準スケール画像と、処理回路40により生成されたボディマーク(模式図)及びスケール画像などを表示可能である。
ネットワークインタフェース39は、超音波診断装置30をネットワークNwに接続してコンピュータ装置5及び医用情報処理装置50と通信するための回路である。ネットワークインタフェース39としては、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)が使用可能となっている。以下の説明では、超音波診断装置30、コンピュータ装置5及び医用情報処理装置50等との間の通信にネットワークインタフェース39が介在する旨の記載を省略する。
画像DB(database)回路38は、ネットワークNwを介してコンピュータ装置5からロードされたマンモグラフィ画像、角度情報、断層画像及び基準スケール画像などを記憶する。また、画像DB回路38は、USB(universal serial bus)メモリ、CD(compact disc)又はDVD(Digital Versatile Disc)等の情報記録媒体に保存されたデータを読み込むためのメディアドライブを有していてもよい。
処理回路40は、操作者により入力インタフェース36を介してから入力された指示に基づいて、記憶回路35に記憶された制御プログラム及び画像DB回路38に記憶されたマンモグラフィ画像、角度情報及び断層画像を読み出し、これらに従って本超音波診断装置30を制御する。例えば、処理回路40は、記憶回路35から読み出した制御プログラムに従って、既存の超音波診断支援機能と、ニップルからの距離を示すための各機能とを実現させるプロセッサである。ここで、各機能としては、例えば、処理制御機能40a、スケール処理機能40b及び表示制御機能40cなどがある。但し、処理制御機能40aは、任意の付加的事項であり、省略してもよい。
処理制御機能40aは、入力インタフェース36を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路40の各種機能を制御する。また、処理制御機能40aは、DICOM規格に準拠した複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶回路35が記憶している場合、スケール画像及び基準スケール画像をDICOMのオーバーレイ情報として医用画像ファイルに組み込む機能を含んでいてもよい。
スケール処理機能40bは、記憶回路35に記憶された複数の断層画像のうちで乳房のニップルを含むいずれかの第1断層画像のスライス位置、当該複数の断層画像のうちで少なくとも1つの第2断層画像のスライス位置、当該第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づき、第2断層画像上でニップルからの3次元の距離を示すスケール画像を生成する。
ここで、スケール処理機能40bは、第1断層画像に対し、ニップルの2次元の位置を特定する特定機能を含んでもよい。特定機能は、操作者の操作に応じてニップルの位置を特定する方法を用いてもよく、一般的に知られた各種の画像検出方法を用いてもよく、既存の超音波診断支援機能において、CC方向のマンモグラフィ画像に特定されたニップルの位置を適用する方法を用いてもよい。
また、スケール処理機能40bは、第2断層画像に対し、関心領域を設定する設定機能を含んでもよい。設定機能は、操作者の操作に応じて関心領域を設定する方法を用いてもよく、既存の超音波診断支援機能において、CC方向のマンモグラフィ画像に設定された関心領域の位置及び画像に基づいて関心領域を設定する方法を用いてもよい。
また、スケール処理機能40bは、第1断層画像のスライス位置、第2断層画像のスライス位置、当該第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づいてスケール画像を生成する際に、例えば、ピタゴラスの定理を用いてもよい。
スケール画像は、ニップルに対して凹の弧状の部分を含んでもよい。スケール画像は、半円状の曲線でもよく、円形状の曲線でもよく、乳房上のみに描かれた弧状の曲線でもよい。曲線としては、実線、破線、一点鎖線などの任意の線が使用可能となっている。また、第2断層画像のうちの少なくとも1つは、乳房のニップルを含む断層画像であってもよい。すなわち、第2断層画像のうちの少なくとも1つは、ニップルを含む第1断層画像及び当該第1断層画像に隣接した断層画像のいずれでもよい。また、全ての第2断層画像が、ニップルを含まない断層画像でもよい。
表示制御機能40cは、医用画像などを表示するようにディスプレイ37を制御する機能である。表示制御機能40cは、例えば、第2断層画像上にスケール画像を重畳表示するようにディスプレイ37を制御する。また、表示制御機能40cは、第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づいて、当該第1断層画像上に基準スケール画像を重畳表示するようにディスプレイ37を制御してもよい。
また一方、医用情報処理装置50は、図5に示すように、記憶回路51、入力インタフェース52、ディスプレイ53、ネットワークインタフェース54及び処理回路55を備えている。
ここで、記憶回路51は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hardware Disk Drive)及び画像メモリなど電気的情報を記録するメモリと、それらメモリに付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成されている。記憶回路51は、本医用情報処理装置の制御プログラム、マンモグラフィ画像、角度情報、角度情報、断層画像及び基準スケール画像等の各種データ群などを記憶する。記憶回路51は、例えば、マンモグラフィ画像のデータに、撮影条件と、撮影時の撮影方向(撮影角度)を示すコードと、撮影した乳房の左右を示すコードとを関連付けて記憶してもよい。これに加え、記憶回路51は、乳房のトモシンセシス撮影により得られた複数の断層画像を記憶する。詳しくは、記憶回路51は、乳房のトモシンセシス撮影によって収集された複数の投影データから生成された複数の断層画像を記憶する。複数の断層画像は、乳房の厚さ方向(Z方向)に垂直な面(XY平面)を断面とした多断面の画像(マルチスライス画像)である。また、記憶回路51は、乳房のニップルからの距離を示す基準スケール画像を記憶してもよい。ここで、基準スケール画像は、例えば、複数の断層画像のうちで乳房のニップルを含むいずれかの第1断層画像上において、乳房のニップルからの距離を示すスケール画像に相当する。なお、記憶回路51は、DICOM規格に準拠した医用画像データとして、複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶してもよい。このとき、スケール画像及び基準スケール画像は、DICOMのオーバーレイ情報として医用画像ファイルに組み込まれていてもよい。
入力インタフェース52は、操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を医用情報処理装置本体に入力するためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、及び表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インタフェース52は、処理回路55に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路55へと出力する。なお、本明細書において入力インタフェース52はマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路55へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース52の例に含まれる。
ディスプレイ53は、医用画像などを表示するディスプレイ本体と、ディスプレイ本体に表示用の信号を供給する内部回路、ディスプレイ本体と内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成されている。ディスプレイ53は、例えば、記憶回路51内のマンモグラフィ画像、断層画像及び基準スケール画像と、処理回路55により生成されたボディマーク(模式図)及びスケール画像などを表示可能である。
ネットワークインタフェース54は、医用情報処理装置50をネットワークNwに接続してコンピュータ装置5及び超音波診断装置30と通信するための回路である。ネットワークインタフェース54としては、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)が使用可能となっている。以下の説明では、医用情報処理装置50、コンピュータ装置5及び超音波診断装置30等との間の通信にネットワークインタフェース54が介在する旨の記載を省略する。
処理回路55は、操作者により入力インタフェース52を介してから入力された指示に基づいて、記憶回路51に記憶された制御プログラム、マンモグラフィ画像、角度情報、断層画像及び基準スケール画像を読み出し、これらに従って医用情報処理装置50を制御する。例えば、処理回路55は、記憶回路51から読み出した制御プログラムに従って、既存の超音波診断支援機能と、ニップルからの距離を示すための各機能を実現させるプロセッサである。ここで、各機能としては、例えば、処理制御機能55a、スケール処理機能55b及び表示制御機能55cなどがある。但し、処理制御機能55aは、任意の付加的事項であり、省略してもよい。
処理制御機能55aは、入力インタフェース52を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路55の各種機能を制御する。また、処理制御機能55aは、DICOM規格に準拠した複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶回路51が記憶している場合、スケール画像及び基準スケール画像をDICOMのオーバーレイ情報として医用画像ファイルに組み込む機能を含んでいてもよい。
スケール処理機能55bは、記憶回路51に記憶された複数の断層画像のうちで乳房のニップルを含むいずれかの第1断層画像のスライス位置、当該複数の断層画像のうちで少なくとも1つの第2断層画像のスライス位置、当該第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づき、第2断層画像上でニップルからの3次元の距離を示すスケール画像を生成する。
ここで、スケール処理機能55bは、第1断層画像に対し、ニップルの2次元の位置を特定する特定機能を含んでもよい。特定機能は、操作者の操作に応じてニップルの位置を特定する方法を用いてもよく、一般的に知られた各種の画像検出方法を用いてもよく、既存の超音波診断支援機能において、CC方向のマンモグラフィ画像に特定されたニップルの位置を適用する方法を用いてもよい。
また、スケール処理機能55bは、第2断層画像に対し、関心領域を設定する設定機能を含んでもよい。設定機能は、操作者の操作に応じて関心領域を設定する方法を用いてもよく、既存の超音波診断支援機能において、CC方向のマンモグラフィ画像に設定された関心領域の位置及び画像に基づいて関心領域を設定する方法を用いてもよい。
また、スケール処理機能55bは、第1断層画像のスライス位置、第2断層画像のスライス位置、当該第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づいてスケール画像を生成する際に、例えば、ピタゴラスの定理を用いてもよい。
スケール画像は、ニップルに対して凹の弧状の部分を含んでもよい。スケール画像は、半円状の曲線でもよく、円形状の曲線でもよく、乳房上のみに描かれた弧状の曲線でもよい。曲線としては、実線、破線、一点鎖線などの任意の線が使用可能となっている。また、第2断層画像のうちの少なくとも1つは、乳房のニップルを含む断層画像であってもよい。すなわち、第2断層画像のうちの少なくとも1つは、ニップルを含む第1断層画像及び当該第1断層画像に隣接した断層画像のいずれでもよい。また、全ての第2断層画像が、ニップルを含まない断層画像でもよい。
表示制御機能55cは、医用画像などを表示するようにディスプレイ53を制御する機能である。表示制御機能55cは、例えば、第2断層画像上にスケール画像を重畳表示するようにディスプレイ53を制御する。また、表示制御機能55cは、第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づいて基準スケール画像を重畳表示するようにディスプレイ53を制御してもよい。
次に、以上のように構成された医用情報処理システムの動作について図6乃至図15を用いて説明する。なお、マンモグラフィ装置1の処理回路26、超音波診断装置30の処理回路40、及び医用情報処理装置50の処理回路55は、超音波診断支援機能に付加された処理制御機能、スケール処理機能及び表示制御機能に関し、ほぼ同様の動作を実行する。但し、ほぼ重複した文言の繰り返しを避けて理解を容易にする観点から、以下の説明では、当該各機能の動作について、マンモグラフィ装置1の処理回路26及び医用情報処理装置50の処理回路55を代表例に挙げて述べる。このような代表例の説明は、適宜、装置名及び参照符号などを読み替えることにより、他の装置及びその処理回路の動作の説明に適用することができる。
いま、マンモグラフィ装置1では、MLO方向に沿ってマンモグラフィ画像が撮影された後、CC方向に沿ってマンモグラフィ画像が撮影される。マンモグラフィ装置1の記憶回路22には、各マンモグラフィ画像と、各マンモグラフィ画像の撮像角度を示す角度情報とが記憶される。また図6に示すように、マンモグラフィ装置1では、乳房のトモシンセシス撮影が行われ(ステップST10)、トモシンセシス撮影により得られた複数の断層画像が記憶回路22に記憶される。このとき、記憶回路22は、DICOM規格に準拠した医用画像データとして、複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶したとする。
ステップST10の後、マンモグラフィ装置1の処理回路26は、入力インタフェース23の操作に応じて、各マンモグラフィ画像をディスプレイ27に表示させる。また、処理回路26は、入力インタフェース23の操作に応じて、図7に示すように、右乳房の各マンモグラフィ画像上に、関心領域P1を設定(ポインティング)する。なお、図7に示す2つのマンモグラフィ画像のうち、左側がCC方向で撮影されたマンモグラフィ画像であり、右側がMLO方向で撮影されたマンモグラフィ画像である。処理回路26は、超音波診断支援機能により、関心領域P1の位置を含んで各撮影方向に沿った2本の直線を乳房正面のボディマークBM上に描画する。例えば、CC方向に沿った直線は縦方向の直線として描画され、MLO方向に沿った直線は斜め方向の直線として描画される。処理回路26は、ボディマークBMの画像を各マンモグラフィ画像に対応付けて記憶回路22に保存する。
同様に、マンモグラフィ装置1の処理回路26は、入力インタフェース23の操作に応じて、複数の断層画像のうちの第2断層画像をディスプレイ27に表示させる。また、処理回路26は、入力インタフェース23の操作に応じて、表示中の第2断層画像上に、関心領域を設定(ポインティング)する(ステップST20)。
ステップST20の後、処理回路26のスケール処理機能26bは、記憶回路22に記憶された複数の断層画像のうち、少なくとも1つの第2断層画像上でニップルからの3次元の距離を示すスケール画像を準備する(ステップST30)。例えば、スケール処理機能26bは、複数の断層画像のうちで乳房のニップルを含むいずれかの第1断層画像のスライス位置、第2断層画像のスライス位置、当該第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づき、スケール画像を生成する。なお、ステップST30としては、スケール画像を生成する処理に代えて、予め記憶回路22に記憶した複数のスケール画像からスケール画像を選択する処理を用いてもよい。以下では、主に、スケール画像を生成する処理について述べる。
このステップST30は、例えば、図8AのステップST31〜ST37に示すように実行される。但し、ステップST30は、ステップST31〜ST37の処理に限定されない。例えば、ステップST35以外の各ステップST31〜ST34,ST36,ST37は適宜、省略してもよい。以下、ステップST31〜ST37を説明する。
始めに、処理回路26は、図9に示すように、スケールボタンB1の操作に応じて、ニップルを含む各マンモグラフィ画像上に、基準スケールを表示する。なお、基準スケールの表示中に、スケールボタンB1を操作すると、基準スケールが画面から消去される。
また、処理回路26は、断層画像についても同様に、スケールボタンB1の操作に応じて、複数の断層画像のうちでニップルを含むいずれかの第1断層画像上に、基準スケールを表示する(ステップST31)なお、基準スケールの表示中に、スケールボタンB1を操作すると、基準スケールが画面から消去される。
ステップST31の後、処理回路26は、操作者による基準スケールのスライド操作に応じて、図10に示すように、基準スケールの中心をニップルの位置に移動させる。これにより、表示中の右乳房の各マンモグラフィ画像上でニップルの2次元の位置が特定される。なお、反対側の左乳房の各マンモグラフィ画像については、図11に示すように、LボタンB3を操作すると、表示中の各マンモグラフィ画像に代えて、ディスプレイ27に表示される。また、左乳房の各マンモグラフィ画像の表示中に、RボタンB2を操作すると、表示中の各マンモグラフィ画像に代えて、右乳房の各マンモグラフィ画像が新たに表示される。
また、処理回路26は、第1断層画像についても同様に、操作者による基準スケールのスライド操作に応じて、基準スケールの中心をニップルの位置に移動させる。これにより、表示中の第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置が特定される(ステップST32)。
ステップST32の後、処理回路26の処理制御機能26aは、図12に示すように、DICOMのオーバーレイ情報i2として、ニップルの2次元の位置を中心とした基準スケール画像sc(t25)を医用画像ファイルFAに組み込む(ステップST33)。符号“t25”は、ニップルの2次元の位置を特定した第1断層画像のスライス位置t25を示す。ここで、ニップルの2次元の位置に対応する基準位置等は、オーバーレイ情報i2内のオーバーレイ付随情報i21に組み込まれる。基準スケール画像sc(t25)のビットマップデータ(弧状の部分)及び文字列データ(D2,D4,…)は、オーバーレイ情報i2内のオーバーレイ画像データi22に組み込まれる。なお、この医用画像ファイルFAは、医用画像データi3として複数の断層画像を有している。符号“i1”は、DICOM付帯情報を示す。しかる後、医用画像ファイルFAは、記憶回路22に更新記憶される。
ステップST33の後、処理回路26のスケール処理機能26bは、ステップST20で設定された関心領域を含む少なくとも1つの第2断層画像のスライス位置を読み出す(ステップST34)。
ステップST34の後、スケール処理機能26bは、ステップST32でニップルの2次元の位置を特定した第1断層画像のスライス位置、ステップST34で読み出したスライス位置、当該ニップルの2次元の位置に基づき、第2断層画像上でニップルからの3次元の距離を示すスケール画像を生成する(ステップST35)。言い換えると、ニップルを含む第1断層画像上でニップルを特定すると、別の第2断層画像に重畳されるスケールが描画される。
具体的には例えば、図13に示すように、乳房の50枚の断層画像は、スライス位置が“t1”〜“t50”で表され、それぞれスライス厚が1mmであり、互いに隣接しているとする。また、1枚目の断層画像のスライス位置t1と圧迫板17aの圧迫面との間の距離は、1mmであり、10枚目の断層画像のスライス位置t10と圧迫板17aの圧迫面との間の距離は、10mmであるとする。以下同様にして、25枚目の断層画像のスライス位置t25と圧迫板17aの圧迫面との間の距離は、25mmであり、50枚目の断層画像のスライス位置t50と圧迫板17aの圧迫面との間の距離は、50mmであるとする。また、スライス位置t25におけるニップルの2次元の位置を黒丸で示す。図13中、ニップル(黒丸)からの3次元の距離D2,D4,…を、弧状の曲線で示すとする。なお、当該3次元の距離D2,D4,…は、それぞれ半径D2,D4,…の半球の殻のように示されるが、図13が平面のために弧状の曲線で描かれている。このことは、図14中のニップルからの3次元の距離D2,D4,…も同様である。
また例えば、図14中、スライス位置t25の断層画像は、ニップルを含む第1断層画像であり、スライス位置t10の断層画像は、関心領域を含む第2断層画像であるとする。また、スライス位置t25の第1断層画像と、スライス位置t10の第2断層画像との間の距離z(t10)は、スライス位置t25とスライス位置t10との間の断層画像が15枚分あり、スライス厚が1mmであるので、15×1=15mmであるとする。あるいは、当該距離z(t10)は、スライス位置t10,t25と圧迫板17aの圧迫面との間の距離(10mm、25mm)の差分として求めてもよい。
また、スライス位置tiの第2断層画像は、スライス位置t25の第1断層画像から離れるに従い、第1断層画像上のニップルからの2次元の距離Dnに対し、第2断層画像上の2次元の距離Dn(ti)が短くなっていく。例えば図14、図15(a)及び図15(b)に示すように、ニップルからの距離D4の場合、スライス位置t25の第1断層画像上の2次元の距離D4(t25)に比べ、スライス位置t10の第2断層画像上の2次元の距離D4(t10)が短くなる(D4(t10)<D(t25))。
具体的には、スライス位置tiの第2断層画像上の2次元の距離Dn(ti)は、ピタゴラスの定理に基づき、以下のように算出可能である。但し「^」は、べき乗を表す記号である。
Dn(ti)=(Dn(t25)^2−z(ti)^2)^(1/2)
例えばスライス位置t10の第2断層画像上の2次元の距離D4(t10)の場合、図14及び以下に示すように算出可能である。
D4(t10)=(D4(t25)^2−z(t10)^2)^(1/2)
スケール処理機能26bは、得られた2次元の距離D4(t10)を示す弧状の曲線を描画することにより、(スライス位置t10の第2断層画像に重畳される)スケール画像のうち、3次元の距離D4を示す曲線を生成する。以下、同様にして、スケール処理機能26bは、様々な2次元の距離D5(t10),D6(t10),…を示す弧状の曲線を描画することにより、(スライス位置t10の断層画像に重畳される)様々な3次元の距離D5,D6,…を示すスケール画像を生成する。補足すると、図14及び図15(b)に示すように、スライス位置t10に用いるスケール画像の場合、ニップルからの3次元の距離D4,…は、ニップルの2次元の位置からの2次元の距離D4(t10),…を示す曲線により表現されている。
また、処理回路26の表示制御機能26cは、スライス位置t10の第2断層画像上に、当該スケール画像を重畳表示するようにディスプレイ27を制御する。
なお、以上のようなステップST35は、スケール画像を生成する処理に代えて、図8Bに“ST35a”として示すように、予め記憶回路22に記憶した複数のスケール画像からスケール画像を選択する処理を用いてもよい。この場合、記憶回路22は、複数の断層画像と、乳房のニップルからの3次元の距離を示す複数のスケール画像とを記憶している。具体的には例えば、記憶回路22は、第1断層画像のスライス位置と第2断層画像のスライス位置との間の距離又は距離範囲と、各々のスケール画像とを関連付けて記憶しておく。
表示制御機能26cは、第1断層画像のスライス位置と第2断層画像のスライス位置との間の距離に応じたスケール画像を複数のスケール画像より選択する。例えば、表示制御機能26cは、第1断層画像のスライス位置と第2断層画像のスライス位置との間の距離に基づいて、記憶回路22内のスケール画像を選択的に読み出す。
しかる後、表示制御機能26cは、選択されたスケール画像を、第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づいて第2断層画像上に重畳表示するようにディスプレイ27を制御する。これにより、ステップST35aに変形した場合のステップST35が終了する。
ステップST35(又はST35a)の後、処理回路26の処理制御機能26aは、ステップST33と同様に、DICOMのオーバーレイ情報i2として、当該準備したスケール画像を医用画像ファイルFAに組み込む(ステップST36)。この医用画像ファイルFAは、ステップST33で用いたものである。ニップルの2次元の位置(XY座標)は、ステップST32で特定された位置と同じであり、ニップルの2次元の位置に対応する基準位置等は、オーバーレイ情報i2内のオーバーレイ付随情報i21に組み込まれる。スケール画像のビットマップデータ及び文字列データは、ステップST33と同様に、オーバーレイ情報i2内のオーバーレイ画像データi22に組み込まれる。しかる後、医用画像ファイルFAは、記憶回路22に更新記憶される。
ステップST36の後、スケール処理機能26bは、関心領域を含む他の第2断層画像があるか否かを判定し(ステップST37)、他の第2断層画像がある場合にはステップST34〜ST36の処理を繰り返し実行する。2回目以降のステップST35では、スケール処理機能26bは、他のスライス位置ti及び距離Dnの場合にも同様にして、距離Dn(ti)を示す弧状の曲線を描画することにより、(スライス位置tiの断層画像に重畳される)スケール画像を生成すればよい。
一方、ステップST37の判定の結果、否の場合には、ステップST30を終了してステップST40に移行する。
ステップST40において、マンモグラフィ装置1の処理回路26は、入力インタフェース23の操作に応じて、複数の断層画像、スケール画像及び基準スケール画像を含む医用画像ファイルFAをネットワークNwに出力する。この医用画像ファイルFAは、DICOM規格に準拠した通信により、ネットワークNwを介して超音波診断装置30又は医用情報処理装置50に送信される。同様に、マンモグラフィ装置1の処理回路26は、入力インタフェース23の操作に応じて、各マンモグラフィ画像及びボディマークBMの画像をネットワークNwに出力する。この各マンモグラフィ画像及びボディマークBMの画像は、DICOM規格に準拠した通信により、ネットワークNwを介して超音波診断装置30又は医用情報処理装置50に送信される。ここで、スケール画像を重畳した断層画像と、ボディマークBMの画像とは、互いに同一の装置に送信されてもよく、互いに異なる装置に送信されてもよい。すなわち、超音波検査の際に、スケール画像を重畳した断層画像と、ボディマークBMの画像とは、互いに同一の装置に表示されてもよく、互いに異なる装置に表示されてもよい。本実施形態では、医用画像ファイルFA、各マンモグラフィ画像及びボディマークBMの画像が、それぞれビューワとしての医用情報処理装置50に送信されたものとする。また、医用情報処理装置50は、超音波診断装置30の近傍に配置されているとする。
ステップST40の後、医用情報処理装置50の処理回路55は、送信された医用画像ファイルFA、各マンモグラフィ画像及びボディマークBMの画像を記憶回路51に記憶する。処理回路55の表示制御機能55cは、入力インタフェース52の操作に応じて、医用画像ファイルFAから関心領域を含む第2断層画像をディスプレイ53に表示させる(ステップST50)。また、表示制御機能55cは、入力インタフェース52の操作に応じて、記憶回路51内の各マンモグラフィ画像及びボディマークBMの画像をディスプレイ53に表示させる。但し、各マンモグラフィ画像については表示を省略してもよい。
ステップST50の後、表示制御機能55cは、入力インタフェース52の操作に応じて、関心領域を含む第2断層画像上に、スケール画像を重畳表示するようにディスプレイ53を制御する(ステップST60)。これにより、ディスプレイ53には、ボディマークBMの画像と、スケール画像が重畳された第2断層画像とがそれぞれ表示される。従って、超音波検査の際に、医師等の操作者は、ボディマークBMの画像から関心領域の大体の位置が分かり、第2断層画像上のスケール画像により、第2断層画像内の関心領域に関し、ニップルからの距離が分かる。従って、超音波診断装置30による超音波検査の際に、超音波プローブ31を用いた関心領域のスキャンを、より容易に実行することができる。
ステップST60の後、超音波プローブ31を用いた関心領域のスキャンにより、超音波診断装置30は、超音波プローブ31の出力に基づいて、超音波画像を生成及び表示し、超音波画像の検査が実行される。表示された超音波画像内の関心領域などが確認された後、確認に用いた超音波画像が記憶回路35に保存され、超音波画像の検査が終了する。この超音波画像は、DICOMの医用画像データとして、医用画像ファイルに組み込まれて記憶回路35に保存されてもよい。
超音波検査の終了後、例えば、医用情報処理装置50は、断層画像を含む医用画像ファイルFAを、読影医のコンピュータに送信する。また、超音波診断装置30は、超音波画像を含む医用画像ファイルを、読影医のコンピュータに送信する。なお、読影医のコンピュータが医用情報処理装置50の場合、医用情報処理装置50は医用画像ファイルFAを送信せず、超音波診断装置30は医用画像ファイルを医用情報処理装置50に送信する。
読影医のコンピュータは、それぞれ医用画像データを受信し、読影医の操作により、関心領域を含む断層画像と、超音波画像とをディスプレイに表示する。なお、読影時には、スケール画像が不要であるため、読影医の操作により、スケール画像は表示されない。読影医のコンピュータは、読影医の操作により、断層画像及び超音波画像に基づくレポートを作成し、処理を終了する。
上述したように第1の実施形態によれば、乳房のトモシンセシス撮影により得られた複数の断層画像のうちで乳房のニップルを含むいずれかの第1断層画像のスライス位置、複数の断層画像のうちで少なくとも1つの第2断層画像のスライス位置、当該第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づき、第2断層画像上でニップルからの3次元の距離を示すスケール画像を生成する。第2断層画像上にスケール画像を重畳表示するようにディスプレイを制御する。例えば、ニップルを含む第1断層画像上でニップルを特定すると、別の第2断層画像に重畳されるスケールが描画される。このように、第2断層画像にスケール画像を重畳表示することにより、第2断層画像内の関心領域に関し、ニップルからの距離を示すことができる。
また例えば、第1の実施形態によれば、スケール画像が、ニップルに対して凹の弧状の部分を含んでいる。これにより、第2断層画像における任意の位置の関心領域に対し、ニップルからの距離を示すことができる。
また例えば、第1の実施形態によれば、第2断層画像のうちの少なくとも1つが、乳房のニップルを含む断層画像である。これにより、ニップルを含む第1断層画像と、第2断層画像とが同一の断層画像である場合でも、当該断層画像内の関心領域に関し、ニップルからの距離を示すことができる。
また例えば、第1の実施形態によれば、複数の断層画像と、乳房のニップルからの2次元の距離を示す基準スケール画像とを記憶する。第1断層画像上に、ニップルの2次元の位置に基づいて基準スケール画像を重畳表示するようにディスプレイを制御する。このように、ニップルを含む第1断層画像に対しては、記憶された基準スケール画像を重畳表示することにより、スケール画像を生成する処理を省略することができる。
また例えば、第1の実施形態の変形動作によれば、複数の断層画像と、乳房のニップルからの3次元の距離を示す複数のスケール画像とを記憶する。第1断層画像のスライス位置と第2断層画像のスライス位置との間の距離に応じたスケール画像を複数のスケール画像より選択する。選択されたスケール画像を、第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づいて第2断層画像上に重畳表示するようにディスプレイを制御する。このように、記憶した複数のスケール画像から選択したスケール画像を重畳表示することにより、スケール画像を生成せずに、第2断層画像上でニップルからの3次元の距離を示すことができる。
また例えば、第1の実施形態によれば、DICOM規格に準拠した医用画像データとして複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶する。スケール画像及び基準スケール画像をDICOMのオーバーレイ情報として医用画像ファイルに組み込む。これにより、例えば、DICOM規格に準拠した通信により、医用画像ファイルを送信することができる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る医用情報処理システムについて説明する。以下の説明は、理解を容易にするため、略同一部分の説明を省略し、主に、異なる部分について述べる。
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、スライス位置毎のスケール画像を生成せず、全てのスライス位置で同一の基準スケール画像を用いる構成となっている。なお、本実施形態の「基準スケール画像」は、他にスケール画像がないので、単に「スケール画像」と呼んでもよい。
これに伴い、マンモグラフィ装置1の記憶回路22は、複数の断層画像と、第1断層画像上におけるニップルからの2次元の距離を示す基準スケール画像とを記憶する。なお、記憶回路22は、DICOM規格に準拠した医用画像データとして、複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶してもよい。このとき、基準スケール画像は、DICOMのオーバーレイ情報として医用画像ファイルに組み込まれていてもよい。
また、処理回路26の処理制御機能26aは、DICOM規格に準拠した複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶回路22が記憶している場合、基準スケール画像をDICOMのオーバーレイ情報として医用画像ファイルに組み込む機能を含んでいる。
スケール処理機能26bは、「第1断層画像のスライス位置、第2断層画像のスライス位置、第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づき、スケール画像を生成する」機能が省略される。
表示制御機能26cは、複数の断層画像のうちでニップルを含むいずれかの第1断層画像から特定された当該ニップルの2次元の位置に基づいて、複数の断層画像のうちで少なくとも1つの第2断層画像上に基準スケール画像を重畳表示するようにディスプレイ27を制御する。これにより、第2の実施形態においては、スケール画像に代えて、基準スケール画像がディスプレイ27に重畳表示される。
超音波診断装置30の記憶回路35は、複数の断層画像と、乳房のニップルからの距離を示す基準スケール画像とを記憶する。なお、記憶回路35は、DICOM規格に準拠した医用画像データとして、複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶してもよい。このとき、基準スケール画像は、DICOMのオーバーレイ情報として医用画像ファイルに組み込まれていてもよい。
また、処理回路40の処理制御機能40aは、DICOM規格に準拠した複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶回路35が記憶している場合、基準スケール画像をDICOMのオーバーレイ情報として医用画像ファイルに組み込む機能を含んでいる。
スケール処理機能40bは、「第1断層画像のスライス位置、第2断層画像のスライス位置、ニップルの2次元の位置に基づき、スケール画像を生成する」機能が省略される。
表示制御機能40cは、複数の断層画像のうちでニップルを含むいずれかの第1断層画像から特定された当該ニップルの2次元の位置に基づいて、複数の断層画像のうちで少なくとも1つの第2断層画像上に基準スケール画像を重畳表示するようにディスプレイ37を制御する。
医用情報処理装置50の記憶回路51は、複数の断層画像と、乳房のニップルからの距離を示す基準スケール画像とを記憶する。なお、記憶回路51は、DICOM規格に準拠した医用画像データとして、複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶してもよい。このとき、基準スケール画像は、DICOMのオーバーレイ情報として医用画像ファイルに組み込まれていてもよい。
また、処理回路55の処理制御機能55aは、DICOM規格に準拠した複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶回路51が記憶している場合、基準スケール画像をDICOMのオーバーレイ情報として医用画像ファイルに組み込む機能を含んでいる。
スケール処理機能55bは、「第1断層画像のスライス位置、第2断層画像のスライス位置、ニップルの2次元の位置に基づき、スケール画像を生成する」機能が省略される。
表示制御機能55cは、複数の断層画像のうちでニップルを含むいずれかの第1断層画像から特定された当該ニップルの2次元の位置に基づいて、複数の断層画像のうちで少なくとも1つの第2断層画像上に基準スケール画像を重畳表示するようにディスプレイ53を制御する。
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
以上のような構成によれば、例えば図16に示すように、前述同様にステップST10,ST20,ST31〜ST34を実行した後、ステップST35のスケール画像を生成する処理を実行しない。
ステップST34の後、処理回路26の表示制御機能26cは、複数の断層画像のうち、ステップST34で読み出したスライス位置の断層画像上に、ステップST32で特定されたニップルの2次元の位置に基づいて基準スケール画像を重畳表示するようにディスプレイ27を制御する。
処理制御機能26aは、ステップST33と同様に、DICOMのオーバーレイ情報i2として、記憶回路22内の基準スケール画像を医用画像ファイルFAに組み込む(ステップST36a)。この医用画像ファイルFAは、ステップST33で用いたものである。オーバーレイ画像データi22は、ステップST33で組み込まれている。基準スケール画像を重畳表示させる断層画像のスライス位置(又はスライス番号)がオーバーレイ付随情報i21に組み込まれる。しかる後、医用画像ファイルFAは、記憶回路22に更新記憶される。
ステップST36aの後、スケール処理機能26bは、関心領域を含む他の断層画像があるか否かを判定し(ステップST37)、他の断層画像がある場合にはステップST34〜ST36aの処理を繰り返し実行する。
一方、ステップST37の判定の結果、否の場合には、ステップST30を終了してステップST40に移行する。以下、前述同様に、ステップST40〜ST70が実行される。
従って、第2の実施形態によれば、乳房のトモシンセシス撮影により得られた複数の断層画像と、第1断層画像上におけるニップルからの2次元の距離を示す基準スケール画像とを記憶する。第1断層画像から特定された当該ニップルの2次元の位置に基づいて、複数の断層画像のうちで少なくとも1つの第2断層画像上に基準スケール画像を重畳表示するようにディスプレイを制御する。このように、断層画像に基準スケール画像を重畳表示することにより、断層画像上のニップルの有無によらず、任意の断層画像上において、ニップルからの2次元の距離を示すことができる。また、第1の実施形態に比べ、スケール画像の生成処理を省略したため、装置の負荷を低減させることができる。
また例えば、第2の実施形態によれば、DICOM規格に準拠した医用画像データとして複数の断層画像を含む医用画像ファイルを記憶し、基準スケール画像をDICOMのオーバーレイ情報として医用画像ファイルに組み込む。これにより、例えば、DICOM規格に準拠した通信により、医用画像ファイルを送信することができる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、断層画像上に、第1断層画像上におけるニップルの2次元の位置に基づいて、第2断層画像上にスケール画像(又は基準スケール画像)を重畳表示するため、ニップルからの距離を示すことができる。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
各実施形態における記憶回路22,35,51は、特許請求の範囲における記憶手段の一例である。各実施形態における処理回路26,40,55及びスケール処理機能26b,40b,55bは、特許請求の範囲における生成手段の一例である。各実施形態における処理回路26,40,55及び表示制御機能26c,40c,55cは、特許請求の範囲における表示制御手段の一例である。各実施形態における処理回路26,40,55及び処理制御機能26a,40a,55aは、特許請求の範囲における組込手段の一例である。第2の実施形態における基準スケール画像は、請求項6、7におけるスケール画像の一例である。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。