JP2019062887A - 皮膚常在細菌叢解析を用いた皮膚状態を予測する方法 - Google Patents

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真理子 横田
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【課題】本発明は、皮膚常在細菌叢を構成する特定の細菌の存在比率と皮膚パラメーターの測定結果から、相関図を作成し、その相関図より皮膚状態を予測する方法を提供することを課題とする。【解決手段】本発明者らは、ヒトの皮膚常在細菌叢の状態について、次世代シークエンサーによるメタゲノム解析によって皮膚常在細菌叢を構成する全ての細菌種とその存在比率を解析した結果と、同時に画像解析システムによって測定したキメ、シワなどの皮膚パラメーターの測定結果との相関分析により、皮膚状態を予測する方法を見出し、本発明を完成するに至った。【選択図】図1

Description

本発明は、複数の被験者の皮膚常在細菌叢を測定し、そのうちの特定の細菌の存在比率と皮膚パラメーターの相関図を母集団として事前に作成しておく。これを利用して、対象者個人の皮膚常在細菌叢を測定し、そのうちの特定の細菌の存在比率を前記相関図と照合することで皮膚状態を予測する方法に関する。
常在細菌叢(フローラ)とは、ある特定の環境下において、種々の細菌が集合して生育している状態を呼ぶ。これらはヒトにおいても存在し、腸内フローラ、口腔フローラ、皮膚常在細菌叢などが知られている。常在細菌叢を構成している菌種やその割合は、常在細菌叢の生育環境、外界からの刺激、および個人差など種々の要素で変化すると言われている。
近年、この常在細菌叢の状態が各種機能へ影響を及ぼすことが明らかとなってきた。例えば腸内フローラは、ヒトでは困難な多糖類の分解(非特許文献1)、ビタミン類の合成(非特許文献2)、および免疫機能の強化(非特許文献3)へ寄与することが報告されている。
現在では、このような腸内フローラの各種機能を応用し、ジュンサイ抽出物による腸内インドール生成抑制剤(特許文献1)、乳酸発酵ローヤルゼリーによる腸内の乳酸菌増加、大腸菌減少によるフローラバランス改善剤(特許文献2)、Bifidobacterium属の大豆発酵物による腸内フローラ内のBifidobacterium属の増加、Bacteroides属の減少による腸内環境改善(特許文献3)といった技術が報告されている。
皮膚においても常在細菌叢は存在し、腸内フローラと同様、皮膚機能に対して影響を及ぼすことが明らかとなってきた。例えば、病原菌の侵入を防ぐ皮膚バリア機能の改善作用(非特許文献4)、Streptococcus thermophilusによるセラミド産生作用(非特許文献5)、およびStaphylococcus epidermidisによる保湿作用(非特許文献6)が報告されている。またPropionibacterium acnesはリパーゼにより皮脂を分解し、遊離脂肪酸を作ることで皮膚を弱酸性に保ち、Staphylococcus aureusなどの悪玉菌の増殖を抑制する。一方でPropionibacterium acnesはニキビの原因にもなるため、適正な存在比が望ましい(非特許文献7)。ワールドフュージョン社より提供される皮膚常在細菌叢解析サービス「S−KIN」によるとPropionibacterium acnesの最適な存在比率は25.17%と報告されている。
また、皮膚常在細菌叢内には皮膚機能に対して良好な作用を示す善玉菌と悪影響を及ぼす悪玉菌が存在することが知られている。
善玉菌の影響としては、Staphylococcus epidermidisによる保湿成分グリセリンの産生やStreptococcus thermophilusによるセラミド産生が挙げられる。
悪玉菌の影響としては、Staphylococcus aureusやCorynebacterium属によるアトピーの悪化などが挙げられる(非特許文献8)。Corynebacterium属には重篤な感染症の原因となるCorynebacterium diphtheriaeや弱毒性であるが院内感染の原因となるCorynebacterium jeikeium、腋臭の原因となるCorynebacterium xerosisなどが属している。
このように、これまでは善玉菌や悪玉菌と呼ばれる単一の菌種に対して解析を行うことで、皮膚状態やその影響について議論することが一般的であったが、近年、個々の細菌の機能だけではなく、常在細菌叢全体を構成する菌種の多様性の重要度が注目されており、病原菌への耐性や栄養の吸収などに大きな関与があることが報告されている(非特許文献9)。しかしながら、皮膚において、単一の菌種ではなく皮膚常在細菌叢全体の多様性や特定の細菌の存在比率と皮膚状態との相関についての研究は十分になされていない。また、事前に複数の被験者がもつ皮膚常在細菌叢を測定し、そのうちの特定の細菌の存在比率と皮膚パラメーターを測定し、その相関図を作成し、対象者個人の皮膚常在細菌叢を測定したのちに、前記の相関図と対象者個人の測定データを照合することで皮膚状態を予測するという報告はこれまでにない。
特開2014−070058号公報 特開2011−126831号公報 WO2002/045732
澱粉科学 第37巻 第2号 p107-114(1990) Nippon Nogeikagaku Kaishi, Vol.18 (1942) No.8 p.723-726 Immunity 41, 152-165, July 17, 2014 日本皮膚科学会雑誌, 115巻, 7号, p.977-984, (2005) The Journal of Investigative Dermatology (1999) vol.113, No.1 p.98-106 Journal of Dermatological Science, August 2015 Volume 79,Issue 2, Pages 119-126 Nature. Rev. Microbiol., 9, p.244-253, 2011 Immunity, 42, 756-766, April 21, 20152015.03.014 Nature, vol.518, No.7540, 26 February 2015, S14-S15
本発明は、複数の被験者の皮膚常在細菌叢を測定し、そのうちの特定の細菌の存在比率と皮膚パラメーターの相関図を母集団として事前に作成しておく。これを利用して、対象者個人の皮膚常在細菌叢を測定し、そのうちの特定の細菌の存在比率を前記相関図と照合することで皮膚状態を予測することができる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、これらの実情を鑑み、次世代シークエンサーによるメタゲノム解析によって、複数の被験者の皮膚常在細菌叢を構成する全細菌種の存在比率の解析結果と、画像解析システムを用いて各種皮膚パラメーターのデータ解析により得られたデータを相関分析した結果、皮膚常在細菌叢におけるCorynebacterium属の存在比率と、皮膚パラメーターであるキメ、シワに相関関係があることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の皮膚常在細菌叢を構成する特定の細菌の存在比率から皮膚状態を予測する方法により、化粧品原料、化粧料、皮膚外用剤などの皮膚に対する効果を皮膚常在細菌叢への影響と関連付けて説明することが可能となる。さらに、本発明を使用することにより、皮膚常在細菌叢の改善剤及び皮膚パラメーターの改善効果のある化粧料、皮膚外用剤や有効成分の開発が可能となる。
皮膚常在細菌叢におけるCorynebacterium属の存在比率(%)とキメ(皮膚の凹凸)の個数の相関(全被験者)を示した図である。 皮膚常在細菌叢におけるCorynebacterium属の存在比率(%)とキメ(皮膚の凹凸)の個数の相関(シンプソンインデックスが0.7未満の被験者)を示した図である。 皮膚常在細菌叢におけるPropionibacterium acnesの存在比率(%)とキメ(皮膚の凹凸)の個数の相関(全被験者)を示した図である。 皮膚常在細菌叢におけるCorynebacterium属の存在比率(%)とシワの本数の相関(全被験者)を示した図である。 皮膚常在細菌叢におけるCorynebacterium属の存在比率(%)とシワの本数の相関(シンプソンインデックスが0.7未満の被験者)を示した図である。 皮膚常在細菌叢におけるPropionibacterium acnesの存在比率(%)とシワの本数の相関(全被験者)を示した図である。
以下に、本発明の構成を更に詳細に説明する。
一般に、ヒトの皮膚常在細菌叢は、Propionibacterium属、Staphylococcus属、Streptococcus属、Corynebacterium属等から構成されることが知られている。皮膚常在細菌叢を構成する細菌種やその存在比率は、皮膚常在細菌叢の生育環境、外界からの刺激、および個人差など種々の要素で変化すると言われている。近年、この皮膚常在細菌叢を構成する細菌種の多様性の重要度が注目されているが、単一の細菌種ではなく、皮膚常在細菌叢全体の細菌種の多様性や特定の細菌の存在比率と皮膚状態との相関についての研究や、皮膚常在細菌叢の多様性もしくは特定の細菌の存在比率と皮膚パラメーターの相関関係から皮膚状態を予測する研究は十分にはなされていないのが現状である。
生態学では種の多様性の指標としては、群集を構成する種の豊富さと、種の均等度の2つがある。このうち、種の豊富さとは群集に存在する種の数を示し、種の数が多いほど群集は多様性が高いといえる。しかしながら、群集に含まれる種の数が同程度であっても、特定の種の個体数が多く存在し、他種の個体数が少ない場合、その群集の多様性は低いということになる。また、種の均等度とは群集内に存在する各種間の個体数の等しさのことを示す。種の多様性を表現するためには、この2つ(種の豊富さと種の均等度)を共に考慮した多様度指数が用いられている。多様度指数は、各々の種が占める割合を式1から計算されるシンプソンインデックス(D;Simpson Index)により数値化される。
シンプソンインデックス:
Figure 2019062887
式1におけるSは、群集に含まれる種の数を表す。Pは菌種iの個体数が群集の全個体数に占める割合である。シンプソンインデックス(D)では、多様性が高いほど1に近い値をとり、多様性が低くなるときに0に近づく。
つまり、皮膚常在細菌叢においては、シンプソンインデックスが1に近いほど常在細菌叢は菌種の多様性が高く、良好な状態であると解釈できる。
本発明では、式1で求められるシンプソンインデックスが0.7以上を常在細菌叢のバランスが良好である状態とし、0.7未満を常在細菌叢のバランスが良好でない状態とした。さらに、本発明では、全被験者に対して皮膚常在細菌叢の測定値を式1に当てはめ、シンプソンインデックスを算出し、算出値が0.7未満である被験者(細菌種の多様性が低く、バランスが良好ではない)を抽出した。
従来は、善玉菌や悪玉菌と呼ばれる単一の細菌種に対して解析を行うことで、特定の細菌種が皮膚に与える影響を評価されているが、皮膚常在細菌叢全体のバランスを考慮して、皮膚全体における影響に関して予測する方法に関しては、まだ研究がなされていない。
以上を鑑み、本発明では、皮膚常在細菌叢全体の多様性や皮膚常在細菌叢を構成する特定の細菌の存在比率といったバランスが、ヒトの皮膚パラメーターに与える影響について検討した結果、皮膚常在細菌叢を構成する特定の細菌の存在比率と皮膚パラメーターに相関関係があることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明で用いる皮膚常在細菌叢の測定方法について詳細に説明する。
皮膚常在細菌叢の採取には、湿式綿棒、テープストリッピング等を用いる方法がある。皮膚常在細菌叢は、洗顔や外的ストレスによっても常に変化することから、例えば、スキンケアの対象部位である顔に対しては、きれいに洗浄後就寝し、起床直後に湿式綿棒もしくはテープストリッピング等で採取した常在細菌叢を解析することが望ましい。また、皮膚常在細菌叢は採取時点では多くの細菌種が生存しているために、保存状態によっては菌の増殖等の影響を受け常在細菌叢の組成が変化する可能性があることから、採取後は迅速に解析を実施することが望ましい。
採取した皮膚常在細菌叢の解析方法としては、培養法、定量RT−PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction)法、次世代シークエンサーによるメタゲノム解析等があるが、次世代シークエンサーによるメタゲノム解析が好ましい。次世代シークエンサーによるメタゲノム解析を用いることで、皮膚常在細菌叢を構成する全ての細菌種とその存在比率の解析が可能である。皮膚常在細菌叢の多様性や皮膚常在細菌叢を構成する特定の細菌の存在比率が明らかになる方法であれば、特に限定されるものではないが、次世代シークエンサーによるメタゲノム解析による皮膚常在細菌叢解析方法として市販されているものは、例えばワールドフュージョン社のS−KIN、タカラバイオ社の細菌叢検査、およびTAK−Circulator社のMySkinなどが解析の受託サービスなどがある。
代表的なヒトの皮膚常在細菌としては、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、アクネ桿菌(Propionibacterium acnes)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、マラセチア真菌(Malassezia)等があり、250種以上の菌属が表皮に棲息している。表皮ブドウ球菌は善玉菌の一種で、皮脂を分解して皮膚表面を弱酸性に保ち、黄色ブドウ球菌の増殖を抑制する作用が知られている。アクネ桿菌は、日和見菌と呼ばれ、表皮ブドウ球菌と同様に皮脂を分解して皮膚表面を弱酸性に保つ効果がある。ただし、アクネ桿菌は皮脂の量が増えすぎると異常増殖し、毛穴を詰まらせてニキビの原因となる。また、悪玉菌の一種である黄色ブドウ球菌は、アトピー性皮膚炎や肌荒れをひき起こすことが知られている。この他に悪玉菌のCorynebacterium属は、腋臭の原因菌であることが知られている。
本発明は、悪玉菌に代表されるCorynebacterium属について、皮膚常在細菌叢中におけるCorynebacterium属の存在比率を用いて皮膚状態を予測する方法である。
本発明で用いる皮膚パラメーターは、一般的に皮膚で測定されるパラメーターであれば、特に限定されるものでなく、例えば、水分量、経皮水分蒸散量、皮膚色、皮膚粘弾性などの物理測定値や、画像解析等により算出される、シミ、紫外線ジミ、茶ジミ、シワ、キメ、毛穴、ポルフィリン、赤みなどのパラメーターが挙げられる。これらの中で確認の容易さから、キメおよびシワが皮膚パラメーターとして特に好ましい。
本発明に係る皮膚パラメーターについて、以下に詳細に説明をする。シワとは、例えば、皮膚の撮影画像から画像解析によって算出されたシワのことを指し、キメとは、例えば、皮膚の撮影画像から画像解析によって算出されたキメの指標である皮膚の凹凸のことを指す。
皮膚常在細菌叢を構成する特定の細菌の存在比率の解析結果と皮膚パラメーターの測定結果との相関分析方法としては、スピアマンの順位相関分析、ケンドールの順位相関分析、ピアソンの積率相関分析などがあるが、好ましくはピアソンの積率相関分析である。
本発明に係る被験者とは、母集団となる相関図を作成するための皮膚常在細菌叢を構成する特定の細菌の存在比率と皮膚パラメーターを測定した複数の人を指す。さらに対象者とは、母集団によって作成された相関図をもとに、皮膚常在細菌叢を構成する特定の細菌の存在比率から皮膚パラメーターを測定した人を指す。
以下に、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、これにより本発明が制限されるものではない。
臨床試験に際しては、ヘルシンキ宣言に基づき、被験者に対して文書による説明と同意を得て試験を実施した。
皮膚常在細菌叢の測定は、被験者20名に対し、起床直後に生理食塩水を染み込ませた綿棒で皮膚常在細菌叢を採取した。採取した皮膚常在細菌叢は、次世代シークエンサーによるメタゲノム解析を行い、皮膚常在細菌叢を構成する特定の細菌とその存在比率を測定した。さらに、メタゲノム解析を行った各被験者の皮膚常在細菌叢の結果を用いて、各被験者のシンプソンインデックスを算出し、その算出値が0.7未満の被験者を抽出した。
皮膚パラメーターの測定は、画像解析システムVISIA Evolution(Canfileid Scientific社製)を用いて、皮膚パラメーターであるキメおよびシワの測定を行った。
1.試験の概要
皮膚常在細菌叢内のCorynebacterium属及びPropionibacterium acnesの存在比率と皮膚パラメーターであるキメ(皮膚の凹凸)の相関についての評価を実施した。
2.試験方法
相関分析には、縦軸を皮膚常在細菌叢内のCorynebacterium属及びPropionibacterium acnesの存在比率(%)、横軸を皮膚パラメーターであるキメの個数をプロットした。解析に際して、被験者全員またはシンプソンインデックスが0.7未満の被験者のみを抽出した場合で解析を行った。
3.結果
結果を図1〜3に示す。全被験者によるCorynebacterium属の存在比率とキメ(皮膚の凹凸)の個数の相関係数は0.66であり、相関が認められた(図1)。さらに、シンプソンインデックス0.7未満の被験者(8名)の場合でも、Corynebacterium属の存在比率とキメ(皮膚の凹凸)の個数の相関係数は0.86であり、強い正の相関が認められた(図2)。一方、Propionibacterium acnesとの相関係数は−0.15であり相関は認められず(図3)、さらにシンプソンインデックス0.7未満の被験者(8名)においても相関が認められなかった。
このことから、Propionibacterium acnesよりもCorynebacterium属がキメの個数の増減の予測に適切であることがいえる。さらにシンプソンインデックスが0.7未満である被験者を考慮することで、より精度良くキメの状態を予測することが可能となった。
1.試験の概要
皮膚常在細菌叢内のCorynebacterium属及びPropionibacterium acnesの存在比率と皮膚パラメーターであるシワの本数の相関についての評価を実施した。
2.試験方法
相関分析には、縦軸を皮膚常在細菌叢内のCorynebacterium属及びPropionibacterium acnesの存在比率、横軸を皮膚パラメーターであるシワの本数をプロットした。解析に際して、被験者全員またはシンプソンインデックスが0.7未満の被験者のみを抽出した場合で解析を行った。
3.結果
結果を図4〜6に示す。全被験者によるCorynebacterium属の存在比率とシワの本数の相関係数は0.27であり、相関が認められた(図4)。さらにシンプソンインデックス0.7未満の被験者(8名)のCorynebacterium属の存在比率とシワの本数の相関係数は0.80であり、強い正の相関が認められた(図5)。一方、Propionibacterium acnesとの相関係数は0.18となり相関が認められず(図6)、さらにシンプソンインデックス0.7未満の被験者(8名)においても相関が認められなかった。
このことから、Corynebacterium属がシワの個数の増減の予測に適切であり、さらにシンプソンインデックスが0.7未満である被験者を考慮することで、より精度良くシワの個数の増減が予測可能となった。
1.試験の概要
実施例1〜2に記載の方法に基づいて、複数の被験者の皮膚常在細菌叢を測定し、そのうちの特定の細菌の存在比率と皮膚パラメーターの相関図を母集団として事前に作成し、これを利用して、対象者個人の皮膚常在細菌叢を測定し、そのうちの特定の細菌の存在比率を前記相関図と照合することで対象者個人の皮膚状態を予測し、本発明の妥当性を検証した。
2.試験方法
対象者5名に対して、皮膚常在細菌叢の測定を行った。そのうち、シンプソンインデックス0.7未満の対象者3名に対して、皮膚常在細菌叢を構成するCorynebacterium属の存在比率から、前記母集団の相関図を用いて皮膚パラメーター(キメ、シワ)を予測した。各皮膚パラメーターの相関図から算出される予測式(図2、図5の相関図の近似直線)を式2及び式3として示した。ただし、相関図から算出される予測式は、母集団の構成人数を増やすことで、精度をより向上させた近似直線へと変更が可能であることから、以下に示す予測式に限定されるものではない。
キメ予測式:
(Corynebacterium属の存在比率−(−0.2736))/0.0014(95%信頼区間836) (式2)
シワ予測式:
(Corynebacterium属の存在比率−(0.2280))/0.0954(95%信頼区間12) (式3)
3.結果
対象者個人のCorynebacterium属の存在比率および皮膚パラメーターの実測値、および各皮膚パラメーターの予測式から算出される予測範囲の結果を表1に示した。皮膚パラメーターの実測値は、皮膚常在細菌叢を構成するCorynebacterium属の存在比率から予測された皮膚パラメーターの予測範囲内であることが確認された。このことより、本発明は特定の細菌の存在比率を相関図と照合することで対象者個人の皮膚状態を予測することができることが確認された。
Figure 2019062887
本発明は、皮膚常在細菌叢の状態から皮膚状態を予測する方法であり、この方法を用いることで化粧品原料、化粧料、皮膚外用剤などの皮膚に対する効果を皮膚常在細菌叢への影響と関連付けて説明することが可能となる。さらに、本発明により皮膚常在細菌叢の改善剤及び皮膚パラメーターの改善効果のある化粧料や皮膚外用剤、有効成分の開発が可能となる。

Claims (3)

  1. 複数の被験者の皮膚常在細菌叢を測定し、そのうちのCorynebacterium属の存在比率と皮膚パラメーターの相関図を母集団として事前に作成し、これを利用して、対象者個人の皮膚常在細菌叢を測定し、そのうちのCorynebacterium属の存在比率を前記相関図と照合することで皮膚状態を予測する方法。
  2. Corynebacterium属の存在比率の測定が、次世代シークエンサーによるメタゲノム解析であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 皮膚パラメーターがキメ、シワから選ばれることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の方法。
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