次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、部品搭載装置1の構成および機能を説明する。部品搭載装置1は、部品を基板に搭載して部品搭載基板を製造する機能を有する。図1において、基台1aの上面には、X方向(基板搬送方向)に基板搬送部2が配設されている。基板搬送部2は上流側装置(図示省略)から部品装着作業の対象となる基板3を受け取って、部品搭載装置1における装着作業位置まで搬送して位置決め保持する。すなわち基板搬送部2は基板3を保持する基板保持部として機能する。基板搬送部2の両側方には部品供給部5が配置されており、部品供給部5にはそれぞれ複数のテープフィーダ6が並設されている。テープフィーダ6は、部品P(図12、図13参照)を収納したキャリアテープを、以下に説明する搭載ヘッド11による部品取り出し位置まで搬送する機能を有している。
部品搭載装置1においてX方向の両端部に配設された1対のフレーム部材7の上面には、それぞれリニアモータによって駆動されるY軸移動テーブル8がY方向に配設されている。Y軸移動テーブル8の間には同様にリニアモータによって駆動されるX軸移動テーブル9がY方向に移動自在に架設されている。X軸移動テーブル9には、搭載ヘッド11がX方向への移動が自在に装着されている。
Y軸移動テーブル8およびX軸移動テーブル9は、XYテーブル10を構成し、XYテーブル10を駆動することにより、搭載ヘッド11はXY方向に移動する。これにより、搭載ヘッド11は、テープフィーダ6から部品保持部31(図2参照)によって部品Pを取り出して基板3に装着する。したがってXYテーブル10は、基板3を保持する基板保持部および部品Pを供給する部品供給部5に対して搭載ヘッド11を移動させる搭載ヘッド移動機構となっている。
基板搬送部2と部品供給部5との間において搭載ヘッド11の移動経路には、部品認識カメラ12が撮像方向を上方に向けて配置されている。部品認識カメラ12は、搭載ヘッド11によって保持された状態の部品Pを下方から撮像する。この撮像結果を認識処理することにより、搭載ヘッド11によって保持された部品Pの識別や位置検出が行われる。搭載ヘッド11には搭載ヘッド制御部13が内蔵されており、基台1aには本体制御部14が内蔵されている。
搭載ヘッド制御部13は、搭載ヘッド11において部品Pを保持する部品保持部31(図2参照)の昇降動作を制御する機能を有している。また本体制御部14は、装置本体部を制御するとともに搭載ヘッド制御部13に対して作業指令を発出する機能を有している。搭載ヘッド制御部13および本体制御部14は部品搭載装置1の各部を制御する制御部15を構成している。
本実施の形態においては、搭載ヘッド11は搭載ヘッド移動機構であるXYテーブル10のX軸移動テーブル9に着脱可能となっている。図2(a)は、搭載ヘッド11がX軸移動テーブル9に装着された状態におけるX軸移動テーブル9の断面を示している。下端部に部品を保持する部品保持部31を備えた構成の搭載ヘッド11の背面には、背面部材23が設けられている。図2(b)に示すように、背面部材23はX軸移動テーブル9に設けられた移動ベース22に着脱自在(矢印a)となっている。
移動ベース22は、一対のスライドガイド21を介してX軸移動テーブル9にX方向の移動が自在に結合されている。移動ベース22は、リニアモータ20によってX軸移動テーブル9に対してX方向に駆動される。リニアモータ20は、移動ベース22に結合された移動子20bをX軸移動テーブル9にX方向に配列された固定子20aに対向させた構成となっている。移動ベース22の下端部には、基板認識カメラ16が撮像方向を下向きにして配置されている。基板認識カメラ16は搭載ヘッド11と一体的に移動して、下方に位置する基板3を撮像する。
移動ベース22の上端部には、水平な結合部材24を介してコネクタ保持部25が結合されている。搭載ヘッド11の上部とコネクタ保持部25とは、配管コネクタ26および配線コネクタ27を介して接続されている。配管コネクタ26は、搭載ヘッド11に装置本体部より空圧や真空圧を供給する機能を有している。配線コネクタ27は、装置本体部より搭載ヘッド11に対して給電および電気信号の授受を行う機能を有している。これにより、搭載ヘッド11に内蔵された搭載ヘッド制御部13と基台1aに内蔵された本体制御部14とが接続される。
図2(b)に示すように、移動ベース22から背面部材23を取り外した状態では、配管コネクタ26、配線コネクタ27において搭載ヘッド11に設けられたヘッド側接続部26a、27aは、コネクタ保持部25に設けられた本体部側接続部26b、27bから離脱する。そして搭載ヘッド11を他の部品搭載装置に装着する際には、背面部材23を他装置の移動ベース22に固定結合するとともに、ヘッド側接続部27a、26aを他装置のコネクタ保持部25に設けられた本体部側接続部26b、27bに嵌合させる。
次に図3、図4を参照して、搭載ヘッド11の構成を説明する。図3、図4に示すように、搭載ヘッド11は垂直な背面部材23の前面に複数基(ここではX方向に6基が配列されたノズル列をY方向に2列配置した12基)のノズルユニット30を配置した構成となっている。これらのノズルユニット30は、背面部材23に固定されたシャフト保持部23a、サーボモータ取付部23bによって保持されており、外面側はカバー部材11aによって閉囲されている。
図3に示すように、ノズルユニット30は上部36および下部32を有するシャフト35をサーボモータ41によって昇降させ、これにより部品保持部31を昇降させる構成となっている。シャフト35は、シャフト保持部23aによって支持されており、サーボモータ41はサーボモータ取付部23bに取り付けられている。サーボモータ41によって昇降移動する移動ロッド42は、回転部材40を介して上部36と結合されている。回転部材40は移動ロッド42に対して回転自在に装着されており、上部36を移動ロッド42に対して相対回転を許容する形態で結合している。
サーボモータ41を駆動することにより、シャフト35の下部32に装着された部品保持部31が昇降し、これにより部品保持部31に保持された部品Pを基板3に搭載するための昇降動作が行われる。この部品保持部31の昇降動作を行わせる搭載ヘッド制御部13は、背面部材23に取り付けられてヘッド側接続部27aに接続されており、この構成により、前述のように搭載ヘッド制御部13を本体制御部14と着脱可能に接続することができる。
図4に示すように、それぞれの上部36には、プーリ37が上部36の昇降を許容しつつ上部36への回転伝達が可能な形態で取り付けられている。プーリ37に調帯されたベルト37aはΘ軸モータ38によって駆動され、これにより各上部36を回転させて部品保持部31をノズル軸周りに回転させるΘ回転動作が可能となっている。これらの複数の部品保持部31は、吸引孔31d(図6参照)に導入された負圧によって部品Pを保持する機能を有している。
すなわち本実施の形態に示す部品搭載装置1における搭載ヘッド11は、吸引孔31dに導入された負圧によって部品Pを保持する複数の部品保持部31と、複数の部品保持部31を昇降させる複数のサーボモータ41と、予め設定された動作パターンに基づいてサーボモータを制御することにより、部品保持部31に保持された部品Pを基板3に搭載するための昇降動作を部品保持部31に行わせる搭載ヘッド制御部13とを有する構成となっている。
次に図5を参照して、ノズルユニット30の構成および機能を説明する。図5において、上部36および下部32を有するシャフト35は、シャフト保持部23aによって保持されている。下部32に設けられたホルダ部32a(図6参照)には、ノズル31aおよびノズル保持部31bを有する部品保持部31が、上下方向に変位可能な状態で取り付けられている。下部32と部品保持部31のノズル保持部31bとの間には、弾性体である圧縮ばねを用いた付勢部材33が装着されている。付勢部材33は、予め与圧値として設定された所定の付勢力で、常に部品保持部31を下方に押圧している。
上部36に取り付けられたプーリ37と回転部材40との間には、圧縮ばねであるリターンスプリング39が装着されている。リターンスプリング39は回転部材40に対して上向きの反力を作用させる。すなわち部品保持部31を下降させる際には、サーボモータ41の下向きの推力によりリターンスプリング39の反力に抗して上部36を下降させる。そして部品保持部31を上昇させる際には、サーボモータ41の上向きの推力とリターンスプリング39の上向きの反力によって上部36を上昇させる。
シャフト35には、下部32の上方に位置して、エアジョイント部34が設けられている。エアジョイント部34は、部品保持部31に設けられた吸引孔31dを外部の負圧発生源(図示省略)と連通させる。部品保持部31を昇降させる際には、エアジョイント部34はシャフト保持部23aから下方に延出して設けられた昇降ガイド部材34aにガイドされて、シャフト35とともに昇降する。
シャフト35を昇降させるサーボモータ41は、上下方向に挿通した移動ロッド42を昇降駆動するリニアモータ部41aと、移動ロッド42の移動に伴ってパルス信号を出力するエンコーダ44とを備えている。エンコーダ44は、移動ロッド42に設けられたリニアスケール44aと、リニアスケール44aと対向して縦部材43に設けられ、リニアスケール44aの移動を検出する移動検出部44bとを有している。移動検出部44bはリニアスケール44aの移動距離と方向を示すエンコーダパルスを位置信号として位置検出部53(図8参照)へ出力する。
次に図6、図7を参照して、部品保持部31の詳細構成および下部32へ部品保持部31を装着して保持させる装着動作について説明する。図6は下部32へ部品保持部31を保持させた状態における側面を示しており、図6(a)、(b)は直交する2方向の側面をそれぞれ示している。
図6(a)に示すように、下部32には部品保持部31を保持するためのホルダ部32aが設けられている。ホルダ部32aに中空円孔形状で設けられた嵌合部32bには、部品保持部31に円柱形状で設けられたスライド部31cが、上下方向に変位可能な状態で嵌合している。スライド部31cの下部にはノズル保持部31bが設けられており、ノズル保持部31bは部品を吸着する吸着部31fが設けられたノズル31aを保持する。
スライド部31cの上端部には、部品保持部31をホルダ部32aに位置固定するためのピン31eが径方向の両側に突出した形状で設けられている。ホルダ部32aには、ピン31eを固定位置にガイドするためのガイド溝が以下に説明する構成で設けられている。すなわち図6(a)に示すように、ホルダ部32aの側面には、ホルダ部32aの下端面から垂直上方に至る挿入部32cが設けられている。
挿入部32cの上端部には、ホルダ部32aを半回転だけ周回する範囲に水平部32dが設けられている。さらに、図6(b)に示すように、水平部32dの終端部は、ホルダ部32aの高さの中途まで垂直下方に延出した案内部32eと接続されている。部品保持部31をホルダ部32aに保持させた状態では、ピン31eは案内部32eの下端部に位置し、これにより部品保持部31はホルダ部32aに保持される。このとき、スライド部31cの上端部と嵌合部32bの天井面との間には所定のクリアランスが確保されており、さらに案内部32eにおいてピン31eは上下方向に移動可能となっている。これにより部品保持部31は、下部32に対して上下方向の位置が変位可能となっている。
吸着部31fは部品保持部31の内部に形成された吸引孔31dと連通しており、部品保持部31をホルダ部32aに保持させた状態では、吸引孔31dは下部32に形成された吸引孔32fと連通状態となる。吸引孔32fはエアジョイント部34(図5参照)を介して外部の負圧発生源に接続されており、これにより部品保持部31において、ノズル31aによって負圧による部品Pの保持が行われる。
上記構成において、ノズル31a、ノズル保持部31b、スライド部31c、吸引孔31dおよびピン31eは、シャフト35の下部32に上下方向に変位可能な状態で取り付けられ、負圧によって部品を保持するための吸引孔31dを有する部品保持部31を構成する。ホルダ部32aの下端面とノズル保持部31bとの間のスライド部31cの外周には、弾性体である付勢部材33が嵌着されている。付勢部材33は、シャフト35の下部32に対して部品保持部31を下方に付勢する。
次に図7を参照して、部品保持部31を下部32のホルダ部32aに保持させる際の動作手順について説明する。まず図7(a)に示すように、部品保持部31においてスライド部31cに設けられたピン31eをホルダ部32aの挿入部32cに対して位置合わせする。そしてこの状態で、スライド部31cを嵌合部32bに嵌合させように、部品保持部31をホルダ部32aに対して接近させる(矢印b)。
次いで図7(b)に示すように、ピン31eを挿入部32cによってガイドしながら(矢印c)部品保持部31を上昇させ、ピン31eが水平部32dに到達したならば、ピン31eを水平部32dによってガイドしながら部品保持部31を軸周りに回転させる。これにより、図7(c)に示すように、ピン31eは水平部32dの終端部に到達する。この後、図7(d)に示すように、ピン31eを案内部32eによってガイドしながら(矢印e)部品保持部31を引き下げる。これにより、ピン31eは案内部32eの下端部に位置し、部品保持部31は下部32のホルダ部32aに保持された状態となる。
ここで上述構成のノズルユニット30に作用する力の関係について、図10を参照して説明する。図10において、推力Tはサーボモータ41が発生する推力であり、回転部材40を介して結合されたシャフト35を下方に押し下げる方向に作用する。重さWは、図中において可動部を示すハッチング部分、すなわち移動ロッド42、回転部材40、上部36、エアジョイント部34、下部32、部品保持部31などの自重の総和であり、推力Tと同様にシャフト35を下方に押し下げる方向に作用する。
反力F1は、リターンスプリング39の反力であり、回転部材40を介してシャフト35を押し上げる方向に作用する。抵抗F2は、上述の可動部を摺動自在に保持する摺動ガイド部などの抵抗外力であり、下降方向に駆動されるシャフト35については上向きに作用する。そして荷重LFは、部品保持部31が下降して当接した当接部、例えば部品保持部31が保持した部品Pを基板に押圧する際の荷重を示している。
図10では、推力−荷重相関データ(図11参照)を取得するために、荷重LFを計測する機能を有する荷重検出部45(図8、図9参照)に、部品保持部31を押し当てた状態を示している。また図10に示す付勢力FPは、部品保持部31と下部32との間に介在する付勢部材33の与圧値であり、部品保持部31と下部32に及ぼす押圧力を示している。
上述の力の作用状態において、荷重LFは図中の数式(1)に示す関係、すなわち、LF=T+W−F1−F2で示される。ここで、重さW、反力F1、抵抗F2は同一のノズルユニット30については固定値とみなしてよいことから、荷重LFは推力Tに一意的に依存する。本実施の形態に示す部品搭載装置1においては、付勢力FPと荷重LFとが不等式(2)を満たすように、すなわち荷重LFが付勢力FPよりも小さくなるように、推力Tを設定するようにしている。
荷重LFが付勢力FPよりも小さくなるように推力Tを設定することは、以下のような技術的意義を有する。すなわち従来技術においては、付勢部材33は部品保持部31を弾性支持する役割を有しており、部品保持部31に保持した部品を搭載する際には、付勢部材33が押し込まれることにより発生する反力によって部品を基板に押圧するようにしていた。
これに対し本実施の形態に示す部品搭載装置1では、部品保持部31を押し下げる荷重LFが付勢部材33の付勢力FPよりも小さくなるような荷重LFの限界値を制限荷重LFLとしてまず規定する。そしてこのような制限荷重LFLに対応するサーボモータ41の推力Tを推力制限値TLとして求めて搭載ヘッド制御部13に記憶させておく。そして実際の部品搭載動作におけるサーボモータ41の駆動に際しては、推力Tが推力制限値TLを超えないようにサーボモータ41を制御する。
ノズルユニット30におけるサーボモータ41の推力Tをこのように制御することにより、部品保持部31の下降動作において付勢部材33を押し縮めることなく、荷重LFそのものの押圧力によって部品を基板に搭載することができる。これにより、部品装着位置によって基板の高さにばらつきが存在するような場合にあっても、高精度で制御可能な荷重LFによって部品を基板に押圧することが可能となっている。
そしてこのような推力Tの制御を可能とするため、本実施の形態においては、搭載ヘッド11のノズルユニット30の動作を制御する搭載ヘッド制御部13において、サーボモータ41の推力Tの値を制限する推力制限値TLを各サーボモータ41毎に設定し、設定された推力制限値TLに基づいてサーボモータ41を制御するようにしている。推力制限値TLの設定は、部品搭載装置1の本体が備えた本体制御部14からの指令に含まれる制限荷重LFLを、予め作成された推力−荷重相関データ(図11参照)と参照することにより行われる。以下、部品搭載装置1においてこのような制御処理を実行するために、搭載ヘッド制御部13および本体制御部14よりなる制御部15が備えた構成について、図8を参照して説明する。
図8において、部品搭載装置1の全体を制御する制御部15は、本体制御部14および本体制御部14に配線コネクタ27を介して接続された搭載ヘッド制御部13より構成される。本体制御部14は、部品搭載装置1における基板3の搬送や搭載ヘッド11による部品供給部5からの部品の取り出しなどの動作を制御するとともに、搭載ヘッド制御部13に対して制御指令を送信する機能を有している。
すなわち本体制御部14は、少なくとも搭載ヘッド11を移動させるXYテーブル10(搭載ヘッド移動機構)を制御し、搭載ヘッド制御部13に部品保持部31の昇降動作を行うための指令を送信する。換言すれば制御部15は、予め設定されて第2の記憶部58に「標準動作パターン」58dとして記憶された動作パターンに基づいて、ノズルユニット30のシャフト35を昇降させるサーボモータ41を制御することにより、部品保持部31に保持された部品を基板3に搭載するための昇降動作を部品保持部31に行わせる。
搭載ヘッド制御部13には、搭載ヘッド11に配置された複数基(ここでは12基)のノズルユニット30毎に、当該ノズルユニット30のサーボモータ41(#1〜#12)を制御するサーボモータ制御部50(#1〜#12)が設けられている。それぞれのサーボモータ制御部50は、モータドライバ51、推力検出部52、位置検出部53、着地検出部54、タイマー55、推力制限部56、第1の記憶部57および第2の記憶部58を備えている。
ここで前述のように搭載ヘッド11は搭載ヘッド移動機構であるXYテーブル10に着脱可能に構成されており、第1の記憶部57は不揮発性の記憶部となっている。この構成により、搭載ヘッド11がXYテーブル10のX軸移動テーブル9から取り外されて単体となった状態においても、記憶内容を保持できるようになっている。これにより、1つの部品搭載装置1から取り外した搭載ヘッド11を他の部品搭載装置1へ移した場合にあっても、当該搭載ヘッド11の各ノズルユニット30を、第1の記憶部57に記憶された相関データを参照して正しく動作させることが可能となっている。
モータドライバ51は、サーボモータ41の駆動制御装置であり、予め設定された動作パターンに基づいてサーボモータ41に電力を供給して(矢印f)、サーボモータ41を駆動する。そして動作パターンで定められた目標位置や目標速度との偏差をサーボモータ41のエンコーダ44から送られるパルス信号によって検出し(矢印g)、検出された偏差をフィードバックするサーボ制御によってサーボモータ41を駆動する。
推力検出部52はサーボモータ41の推力を検出する機能を有する。すなわちモータドライバ51からサーボモータ41に供給される電流(矢印f)、またはモータドライバ51から通知された電流値(矢印h)により、サーボモータ41で発生している推力を検出する。本実施の形態においては、サーボモータ41の推力は推力制限部56の機能によって前述の推力制限値TLに基づいて制限される。
推力制限部56は、本体制御部14からの制御指令に含まれる制限荷重LFLを、相関データ記憶部である第1の記憶部57に記憶された推力−荷重相関データと参照して推力制限値TLを求め、第1の記憶部57に「推力制限値」57aとして記憶する。そして求められた推力制限値TLをモータドライバ51に設定する処理を実行する(矢印i)。
すなわち、部品保持部31が下降して、予め設定されて第2の記憶部58に「推力制限高さ」58cとして記憶されている推力制限高さTLh(図13参照)に到達したら、第1の記憶部57に「推力制限値」57aとして記憶されている推力制限値TLをモータドライバ51に設定する。なお部品保持部31が上昇して推力制限高さTLhよりも高い位置まで移動したら、モータドライバ51における推力制限値TLの設定を解除する。
この構成において、推力制限部56およびモータドライバ51は、推力−荷重相関データと本体制御部14からの制御指令に含まれる制限荷重LFLの情報に基づいて、サーボモータ41の推力を制限する推力制限値TLを設定し、部品保持部31を基板3に向かって下降させる際に、サーボモータ41の推力を推力制限値TL以下に制限する推力制限部を構成する。ここで推力制限値TLは、サーボモータ41を推力制限値TLと同じ推力で駆動させたときに部品保持部31から部品に作用する荷重が、弾性体である付勢部材33が部品保持部31を付勢する付勢力FPよりも小さくなる範囲で設定されている。
そして上述構成の推力制限部は、サーボモータ41を駆動させたときに部品保持部31から部品に作用する荷重LFが、付勢部材33が部品保持部31を付勢する付勢力FPよりも小さくなる範囲でサーボモータ41の推力を制限する推力制限値TLを設定し、サーボモータ41の推力をこの推力制限値TL以下に制限する。具体的にはモータドライバ51によるサーボモータ41の駆動において、推力が推力制限値TL以下となるように、サーボモータ41へ供給する電流を制限する。
位置検出部53は、サーボモータ41のエンコーダ44からのエンコーダパルスをカウントする。このカウント値は部品保持部31の高さ方向の位置を示す位置情報となる。すなわち、位置検出部53は、サーボモータ41からの位置信号に基づいて部品保持部31の高さ方向の位置を検出する高さ位置計測機能を有する。後述する装着位置高さ計測は、この位置検出部53の高さ位置計測機能を用いて行われる。
着地検出部54は、部品保持部31に保持された部品が基板3に着地したことを検出する。この着地検出は、以下に示す2つの方法のいずれかによって行われる。まず1つの方法として、推力制限値TLが設定されて上述の推力制限部による推力Tの制限中に、サーボモータ41の推力Tが設定された推力制限値TLに到達したことを推力検出部52が検出したならば、部品が基板3に着地したことを検出する。なおこの方法の代替方法として、サーボモータ41のエンコーダ44から出力されるエンコーダパルスが停滞していることを以て、部品が基板3に着地したことを検出するようにしてもよい。
タイマー55は、着地検出部54が着地を検出してからの経過時間を計測する機能を有する。そして計測された経過時間が、予め適正な静定時間として設定され第2の記憶部58に記憶された「目標時間」58eに到達したら、部品保持部31の上昇を開始するようにしている。本実施の形態においては、制御部15の搭載ヘッド制御部13は、第2の記憶部58の「標準動作パターン」58dに記憶された動作パターンで定めた上昇開始タイミングの前に経過時間が「目標時間」58eに到達したら、サーボモータ41を制御して部品保持部31を上昇させるようにしている。
第1の記憶部57は相関データ記憶部であり、サーボモータ41の推力Tと部品保持部31の先端に発生する荷重LFとの関係を示す相関データ(推力−荷重相関データ)を、複数のサーボモータ別に記憶する。なお第1の記憶部57は不揮発性の記憶部であり、搭載ヘッド11をXYテーブル10から取り外した状態においても記憶内容を保持することができるようになっている。
図11を参照して、上述の推力−荷重相関データの内容を説明する。図11は、サーボモータ41の推力Tを横軸とし、部品保持部31の先端に発生する荷重LFを縦軸としたグラフである。図10に示す構成のノズルユニット30においては、推力Tと荷重LFとは、実用的に対象となる区間ではリニアな関係にあり、図11のグラフにおいて、推力Tと荷重LFとは特性直線[L]によって表される関係にある。
この特性直線[L]は、以下のようにして取得される。まず大きさが相異なる2つの推力A、推力Bにてサーボモータ41を駆動したときに部品保持部31の先端に発生する荷重A、荷重Bを、図9に示す荷重検出部45によって計測する。そして図11において、(推力A、荷重A)、(推力B、荷重B)によって規定される2つのデータ点(PA)、(PB)を結ぶ直線を特性直線[L]とする。
そして部品搭載動作の実行時において、本体制御部14から送信される制御指令にて制限荷重LFLが指定されると、特性直線[L]上においてこの制限荷重LFLに対応する推力を推力制限値TLとして求める。すなわち部品Pを基板3に搭載する際の部品保持部31が部品Pに加える制限荷重LFLと、図11に示す推力−荷重相関データを使用してサーボモータ41が発生する推力Tを制限するための推力制限値TLを算出する。求められた推力制限値TLは、相関データ記憶部である第1の記憶部57に「推力制限値」57aとして複数のサーボモータ別に記憶される。
部品搭載動作におけるサーボモータ41の駆動では、このようにして記憶された推力制限値TLが所定のタイミングにてモータドライバ51に設定され、サーボモータ41の推力が推力制限値TL以下となるように推力が制御される。このような構成により、複数の部品保持部31とサーボモータ41を備えた部品搭載装置1において、サーボモータ41の特性のばらつきに起因する荷重のばらつきを少なくすることができる。
上述の推力−荷重相関データにおいて、推力Aは第1の推力であり、荷重Aはサーボモータ41を第1の推力で駆動させたときに発生する第1の荷重である。そして推力Bは第1の推力とは異なる大きさの第2の推力であり、荷重Bはサーボモータ41を第2の推力で駆動させたときに発生する第2の荷重である。この推力−荷重相関データは、第1の記憶部57においては「推力制限値」57a、「推力A」57b、「荷重A」57c、「推力B」57d、「荷重B」57eを示すデジタル値の形態で記憶される。
なお、第1の荷重である荷重A、第2の荷重である荷重Bは、弾性体である付勢部材33が部品保持部31を付勢する付勢力FPよりも小さくなるように設定される。これにより、荷重検出部45を用いた荷重測定において、付勢部材33を押し縮めること無く荷重LFを測定することができ、推力−荷重の相関を正しく求めることができる。
第2の記憶部58は、装着動作における昇降動作制御用の高さパラメータや動作パターンなど、本体制御部14から搭載ヘッド制御部13に送信された作業実行用データを記憶する。これらの作業用実行データは、以下の図12に示す基板種毎の装着データに基づいて、本体制御部14の装着作業実行部60によって作成され、搭載ヘッド制御部13に送信される。
図12(a)は、本実施の形態に示す部品搭載装置1を含む部品実装システムによって基板3に部品を搭載して製造された部品搭載基板3*を示している。基板3において認識マーク3aが形成された部品実装面には、部品搭載装置1による部品搭載の対象となる部品搭載範囲3bが設定されている。部品搭載範囲3b内には部品搭載装置1によって部品Pが搭載される。部品搭載範囲3bの外側に範囲には、他の部品搭載装置によって部品P*が搭載される。
図12(b)は、部品搭載装置1によって部品搭載範囲3b内に部品Pを搭載する際に参照される装着データ70を示している。装着データ70は本体制御部14の装着データ記憶部64に記憶されている。装着データ70には、基板3における部品Pの装着位置の番号をMP1、MP2・・にて示す「装着位置No」70a、「装着位置No」70aのそれぞれにおける部品Pの装着位置座標を示す「装着位置座標(X、Y、Θ)」70b、「装着位置No」70aのそれぞれにおける部品Pの装着位置高さを示す「装着位置高さ(Z)」70c、装着される部品Pの名称を示す「部品名」70dなどが含まれる。
次にこれらの作業用実行データに含まれる昇降動作制御用の高さパラメータについて、図13を参照して説明する。図13は、部品Pを保持した部品保持部31が装着されたシャフト35(図5参照)をサーボモータ41によって下降させる際の制御用の高さパラメータの位置関係を模式的に図示している。図13において、上方に描かれた水平線は、部品保持部31の動作開始前の位置である待機高さZ0を示している。
左側の下方に示す第1例EX1では、理想状態における部品Pの装着状態を示している。すなわちここでは、高さが正しく保持された基板保持部に変形のない理想状態の基板3をセットし、この基板3に対して部品Pを保持した部品保持部31を下降させた状態を示している。この状態での基板3の上面は、理想状態における装着高さZ1を示している。待機高さZ0から装着高さZ1に至る途中には、推力制限値TLを適用してサーボモータ41の推力を制限する推力制限を開始する高さである推力制限高さTLhが設定されており、予め搭載ヘッド制御部13の第2の記憶部58に記憶されている。
また装着高さZ1から装着厚み寸法d(ここでは部品Pの厚さ、ランド3cの厚さ、接合用半田Sの厚さを加えた厚み寸法)だけ上方の高さは、部品保持部31が保持した部品Pが接合用半田に接触するときの部品保持部31の高さを示す着地高さZCである。そしてこの着地高さZCから所定の減速高さオフセットOFDだけ上方の位置が、部品保持部31の下降速度を高速から低速に減速する減速位置を規定する減速高さDhとなる。また着地高さZCから空振り防止を考慮した目標高さオフセットOFTだけ下方の位置が、部品保持部31を下降させる目標となる目標高さThとなる。
ここで減速高さDhは、部品保持部31の下降時間を短くして生産性を高める観点からは、減速高さオフセットOFDをできるだけ小さくして、減速高さDhを着地高さZCに近い高さに設定することが望ましい。しかしながら、作業対象の基板3の装着高さZ1がばらついている場合には、減速高さDhの設定位置によっては次のような不都合が生じる。
すなわち減速高さDhが低すぎると、下降速度が減速されないまま部品保持部31に保持された部品Pが着地することによる搭載不具合のおそれがある。逆に減速高さDhが高すぎると、必要以上に早いタイミングから下降速度の減速が行われることによる動作時間の遅延が生じる。このような不都合を防止するため、本実施の形態に示す部品搭載装置1においては、部品搭載作業の実行過程において位置検出部53の機能によって検出された実際の装着高さに基づいて、適正な減速高さを動的に設定するようにしている。
第1例EX1の右側に示す第2例EX2、第3例EX3は、基板3の高さ位置が理想状態における基板3から、それぞれ上方へのばらつきΔ1、下方へのばらつきΔ2だけ変位した状態での部品Pの装着状態を示している。第2例EX2における基板3の上面は、この状態での装着高さZ11を示している。そして装着高さZ11から前述の装着厚み寸法dだけ上方の高さが着地高さZC1となり、着地高さZC1から所定の減速高さオフセットOFDだけ上方の位置が減速高さDh1となる。
第3例EX3における基板3の上面はこの状態での装着高さZ12を示している。そしてこの装着高さZ12から装着厚み寸法dだけ上方の高さは、着地高さZC2であり、この着地高さZC1から目標高さオフセットOFT1だけ下方の位置が、部品保持部31を下降させる目標となる目標高さTh1となる。ここでは、想定される装着位置の高さが最も低い場合でも空振りが生じないような高さに設定される。なお、第2例EX2については、目標高さの図示を省略しており、第3例EX3については減速高さの図示を省略している。
これらの高さパラメータは第2の記憶部58に記憶される。ここで目標高さTh、減速高さDhは、搭載ヘッド11におけるノズルユニット30の動作毎に設定される。そして部品搭載動作において部品保持部31を下降させる際の目標とする下降高さである「目標高さ」58a、部品保持部31を下降させる速度を高速から低速に減速するタイミングを規定する高さである「減速高さ」58bとして、その都度更新して記憶される。また推力制限高さTLhは、「推力制限高さ」58cとして記憶される。
「標準動作パターン」58dは、基板3を対象として搭載ヘッド11による部品搭載における装着動作の動作パターンである。この動作パターンには、部品保持部31を下降させる速度を高速から低速に減速する減速高さと部品保持部31の目標とする下降高さである目標高さとが含まれる。
「目標時間」58eは、部品Pを保持した部品保持部31が下降して、部品Pを基板3に押圧したままの静定状態を維持する静定時間である。本実施の形態では、着地検出部54が着地を検出してからの経過時間を着地検出部54で計測した経過時間が「目標時間」58eとして記憶された目標時間Tsに到達すると、部品保持部31を部品Pから離脱して上昇させるようにしている。
本体制御部14には、XYテーブル10、基板搬送部2、部品供給部5、タッチパネル68、基板認識カメラ16、部品認識カメラ12、報知部69、荷重検出部45が接続されている。本体制御部14は、内部処理機能部としての、装着作業実行部60、空振り検出部61、装着位置高さ計測部62、減速高さ演算部63、装着データ記憶部64、部品情報記憶部65、装着高さ記憶部66、推力−荷重相関データ取得部67を備えている。
装着作業実行部60は、装着データ記憶部64に記憶された装着データ(図12(b)参照)に基づき、XYテーブル10、基板搬送部2、部品供給部5、搭載ヘッド11、部品認識カメラ12、基板認識カメラ16を制御する。これにより、基板3に部品Pを搭載するための一連の作業(図19に示すフロー参照)が実行される。タッチパネル68は入力操作および入力操作時の操作画面を表示する操作入力部であり、上述の一連の作業実行に際して必要とされる入力操作を行う。報知部69は、所定の状況で作動するシグナルタワーや表示画面などの報知手段であり、搭載ヘッド11による部品搭載動作において不正常な状態が検出された場合にその旨を報知する。
荷重検出部45は、図10に示す荷重LFを検出する機能を有する検出ユニットである。図9に示すように、荷重検出部45は上面にロードセルなどの荷重検出器45aを備えており、荷重検出器45aに部品保持部31の下端部を当接させて押圧することにより、荷重LFを計測することができる。荷重検出部45は、コネクタ装置45bを介して本体制御部14に取り外し自在に接続できるようになっている。荷重計測が必要とされるときには、図9に示すように、搭載ヘッド11の基台1a上に配置される。
空振り検出部61は、前述構成の推力制限部がサーボモータ41の推力を制限した後に、予め設定された動作パターンで定めた上昇開始タイミングまでの期間中に、推力検出部52で検出した推力が設定された推力制限値TLに到達しなかったこと、換言すれば部品保持部31に保持された部品が基板の上面に到達せずに搭載動作が「空振り」となったことを検出する。
そして空振り検出部61によって空振りを検出した場合には、報知部69を作動させてその旨報知するようにしている。このように本実施の形態では、実装不良の可能性の高い「空振り」を即座に検出することができ、さらにその旨報知することにより、不良の発生予測や当該部品の目標高さの修正等の対応を迅速に行って、品質を安定させることが可能となっている。
装着位置高さ計測部62は、部品が基板3の装着位置に着地してから部品保持部31が上昇を開始する直前までの所定のタイミングで、位置検出部53が検出した部品保持部31の高さ方向の位置と、部品保持部31によって装着された部品Pの寸法とに基づいて、部品Pが装着された装着位置である装着完了位置における高さを示す装着高さを計測する。計測された複数の装着完了位置の複数の装着高さは、装着高さ記憶部66に記憶される。
減速高さ演算部63は、装着高さ記憶部66に記憶された少なくとも1つの装着高さを利用して、未だ部品が装着されていない装着位置である未装着位置に部品を装着する際の減速高さ(図17(b)に示す減速高さDh2参照)を演算する。すなわち本実施の形態では、同一の基板3において既に装着が実行された装着完了位置について位置検出部53によって検出された装着高さに基づいて、その後に作業対象となる未装着位置についての減速高さを演算により補正するようにしている。
ここで図18を参照して、減速高さ演算部63による減速高さ補正の実行例について説明する。図18は、減速高さ補正の補正対象位置を示している。図18(a)、(b)において、基板3の上面には、部品が装着される複数の装着位置MP1〜MP7が設定されている。これらの装着位置のうち矩形枠で囲まれた装着位置は、部品Pが装着された装着位置である装着完了位置を示している。
図18(a)においては、装着位置MP1、MP2、MP3が装着完了位置であり、装着位置MP4が次の装着動作の対象となる未装着位置である。この未装着位置である装着位置MP4について、既設定の減速高さに替えて新たな減速高さを演算により設定する際には、当該未装着位置(装着位置MP4)から予め設定した範囲内(ここでは、装着位置MP4を中心とする半径Rの円形範囲C内)に装着完了位置が存在するか否かを判断する。
そして装着完了位置が存在する場合にはその装着完了位置(ここでは装着位置MP2)について計測された装着高さに基づいて、未装着位置(ここでは装着位置MP4)を対象とする減速高さを演算する。すなわちこの場合には、減速高さ演算部63は、未装着位置からあらかじめ設定した範囲内に存在する装着完了位置の装着高さに基づいて減速高さを演算する。減速高さ演算部63は、装着位置MP2の装着高さより装着位置MP4の装着高さを計算する。一例として、装着位置MP2の装着高さが当初想定した装着高さと異なっている場合はその近傍に存在する装着位置MP4の装着高さも同様に異なると仮定した上で、装着位置MP4の装着高さZ11(図17(b)参照)を計算する。そして、減速高さ演算部63は、装着高さZ11と装着位置MP4の装着厚み寸法dと減速高さオフセットOFDを用いて、装着位置MP4における減速高さDh2を演算する。
なお装着動作の対象となる未装着位置の近傍に装着完了位置が予め設定した数以上存在するか否かを条件として減速高さの演算の可否を判断するようにしてもよい。図18(b)に示す例では、装着位置MP1、MP2、MP3、MP4、MP5が装着完了位置であり、装着位置MP6が次の装着動作の対象となる未装着位置である。この未装着位置である装着位置MP6について、既設定の減速高さに替えて新たな減速高さを演算により設定する際には、当該未装着位置(装着位置MP6)から予め設定した範囲内(ここでは、装着位置MP6を中心とする半径Rの円形範囲C内)に装着完了位置が予め設定した数(ここでは3)存在するか否かを判断する。
そして装着完了位置があらかじめ設定した数またはそれ以上存在する場合にはそれらの複数の装着完了位置(ここでは装着位置MP3、MP4、MP5)について計測された複数の装着高さに基づいて、未装着位置(ここでは装着位置MP6)を対象とする減速高さを演算する。すなわちこの場合には、減速高さ演算部63は、あらかじめ設定した数の装着完了位置の装着高さに基づいて未装着位置の減速高さを演算する。この演算では、例えば複数の装着高さの平均値より装着位置MP6の装着高さZ11を計算する。そして、減速高さ演算部63は装着高さZ11と装着位置MP6の装着厚み寸法dと減速高さオフセットOFDを用いて装着位置MP6における減速高さDh2を演算する。
装着データ記憶部64は、当該部品搭載装置1による搭載作業対象となる基板3における部品Pの装着位置座標や装着位置座標などの装着データ(図12参照)を記憶する。部品情報記憶部65は、基板3に搭載される部品Pの型番や寸法などを示す部品情報を記憶する。装着高さ記憶部66は、装着位置高さ計測部62で計測した複数の装着完了位置の複数の装着高さを記憶する。
推力−荷重相関データ取得部67は、図11に示す推力−荷重相関データを取得するための処理を行う。すなわち図9に示すように、搭載ヘッド11を基台1aの所定位置に準備された荷重検出部45に対してアクセスさせ、測定対象のノズルユニット30のサーボモータ41を規定の推力で駆動して部品保持部31を荷重検出部45の荷重検出器45aに押圧し、このときの推力に対応する荷重LFを計測する。計測結果は推力−荷重相関データとして搭載ヘッド制御部13に送信されて、相関データ記憶部としての第1の記憶部57に記憶される。
このように、本実施の形態においては搭載ヘッド制御部13に、相関データ記憶部としての第1の記憶部57と前述の推力制限部とを備えた構成となっている。ここで第1の記憶部57は、サーボモータ41の推力と部品保持部31の先端に発生する荷重LFとの関係を示す相関データを複数のサーボモータ別に記憶する。そして推力制限部は、第1の記憶部57に記憶された相関データと本体制御部14からの指令に含まれる荷重の情報に基づいてサーボモータ41が発生する推力を制限する推力制限値TLを設定し、部品保持部31を基板3に向かって下降させる際にサーボモータ41の推力を推力制限値TL以下に制限する機能を有している。このような構成の搭載ヘッド制御部13を有することにより、複数の部品保持部31毎にサーボモータ41を備えた構成において、装着荷重を高精度に安定して制御することが可能となっている。
ここで図11に示す推力−荷重相関データを作成し、部品保持部31を昇降させるサーボモータ41を有する搭載ヘッド11を使用して部品を基板3に搭載して部品搭載基板を製造する部品搭載方法について説明する。この部品搭載方法では、まず図9に示すように、荷重を検出する荷重検出部45を準備して搭載ヘッド11の下方に配置する。次いで、サーボモータ41を所定の推力で駆動して部品保持部31の下端部(ノズル31aもしくはノズル31aに替えて装着された荷重計測用治具)を荷重検出部45に押し当て、サーボモータ41の推力Tと荷重LFの相関データを計測する(図10参照)。これにより、図11に示す特性直線[L]が取得され、計測した相関データを相関データ記憶部である第1の記憶部57に記憶する。
次に、部品Pを基板3に搭載する際の部品保持部31が部品に加える制限荷重LFLと上述の相関データを使用して、サーボモータ41が発生する推力を制限するための推力制限値TLを算出する。制限荷重LFLは、本体制御部14から搭載ヘッド制御部13に送信される制御指令に含まれている。部品装着動作が開始されると、部品Pを保持した部品保持部31を基板3の装着位置に向かって下降させる。
この部品保持部31の下降動作において、部品Pが装着位置に着地する前にサーボモータ41の推力Tを推力制限値TL以下に制限する。そして部品Pが装着位置に着地した後に部品保持部31を上昇させて、装着位置に着地した部品Pから部品保持部31を離脱させることにより、部品搭載方法における一つの部品装着動作が終了する。このような方法を用いることにより、サーボモータ41の推力を制限荷重LFLに応じて制限するための推力制限値TLの設定を簡便な方法で行うことができる。
次に図19を参照して、上述構成の部品搭載装置1によって実行される部品装着処理について説明する。なお図19に示す処理の開始に先立って、作業対象の基板3は基板搬送部2に搬入されて位置決め保持され、基板認識カメラ16による基板認識が実行された状態となっている。部品装着処理が開始されると、まず搭載ヘッド11を部品供給部5に移動させ、部品保持部31を下降させて部品保持部31で装着対象の部品Pを保持する(ST1)。次いで部品Pを部品保持部31によって保持した搭載ヘッド11を部品認識カメラ12の上方へ移動させ、部品Pを部品認識カメラ12によって撮像して部品認識を行う(ST2)。
次いで部品保持部31を装着位置へ移動させる(ST3)。すなわち本体制御部14の装着作業実行部60が、図12に示す装着データ70に基づいてXYテーブル10を制御することにより、部品保持部31を装着作業のシーケンスによって指定される基板3の装着位置の上方に位置させる。次いで、当該装着位置を対象とする部品装着動作における減速高さDh(図13参照)の計算が行われる(ST4)。この減速高さ計算は、前述のように当該装着位置の近傍における装着完了位置の装着高さが計測済みである場合にのみ実行される。新たに搬入された基板3を対象とする場合など、前述の減速高さ演算の条件が満たされていない場合には、この処理はスキップされ予め記憶されているデフォルトの減速高さをそのまま適用する。
次いで、本体制御部14から部品搭載指令を搭載ヘッド制御部13に送信する(ST5)。すなわち、作業対象となる搭載ヘッド11における部品保持部31を特定する番号、目標高さTh、減速高さDh、制限荷重LFLなどの装着動作パラメータを含む制御指令を、搭載ヘッド制御部13に送信する。そしてこれらの装着動作パラメータは、当該搭載ヘッド11における装着動作の実行のために、第1の記憶部57、第2の記憶部58に記憶される。
この後、搭載ヘッド制御部13の制御処理機能によって搭載ヘッド11のノズルユニット30による部品装着動作が実行される。この部品装着動作においては、サーボモータ制御部50によってサーボモータ41を駆動し(ST6)、これにより部品Pを保持した部品保持部31を基板3の装着位置に対して昇降させる。そして基板3の装着位置に着地させて所定の静定時間が経過した後に部品保持部31を上昇させることにより、部品装着の動作が完了する(ST7)。
この動作完了に伴い、部品装着動作においてサーボモータ制御部50の推力検出部52が検出した推力検出結果、位置検出部53が検出した部品Pの装着時の部品保持部31の装着高さを、本体制御部14に送信する(ST8)。そしてこの後、上述の部品装着動作において空振り発生か否かを判断する(ST9)。すなわち、部品保持部31の下降動作において、推力検出部52によって検出された推力が、設定された推力制限値TLに到達していない場合には、部品保持部31に保持された部品Pが基板に着地していない空振りが発生したと判断し、その旨を報知部69によって報知するとともに装置停止する(ST10)。
(ST9)にて空振り発生無しと判断された場合には、本体制御部14が受信した部品保持部31の装着高さを装着高さ記憶部66に記憶する(ST11)。これにより、1つのノズルユニット30の部品保持部31を対象とする部品装着動作が終了し、次いで作業未完了の部品保持部31の有無を確認する(ST12)。ここで作業未完了の部品保持部31が有る場合には、(ST3)に戻って以降の処理を反復実行する。これに対し、作業未完了の部品保持部31が無い場合には、全部品の装着完了を確認する(ST13)。ここで装着未完了の場合には、(ST1)に戻って以降の処理を反復実行する。そして(ST13)にて全部品の装着完了を確認して、部品搭載装置1による部品装着処理を終了する。
次に上述構成の部品搭載装置1による部品搭載方法について、図14〜図17を参照して説明する。これらの図面をそれぞれ参照して示される複数の部品搭載方法は、予め設定された動作パターンに基づいてサーボモータ41を制御することにより、部品保持部31に保持された部品Pを基板3の装着位置に搭載するための昇降動作を部品保持部31に行わせる制御部15を備えた部品搭載装置1によって実行される。この部品搭載方法に示す各動作は、搭載ヘッド制御部13、本体制御部14を含む制御部15によって図8に示す各部を制御することにより実行され、これにより基板3に部品Pを搭載した部品搭載基板3*(図12参照)が製造される。
なお図14〜図17は部品の装着動作における部品保持部31の昇降動作を模式的に示しており、縦軸は部品保持部31の昇降変位に、横軸は時間の経過にそれぞれ対応している。また図14〜図17において太破線で示すTR1は、予め設定された動作パターンにおいて部品保持部31の下端部が移動する設定軌跡TR1を示している。また太実線で示すTR2は、各図にて示す実際の装着動作において部品保持部31の下端部が移動する実軌跡TR2を示している。
なお各図において、タイミングtaは動作開始のタイミングであり、部品保持部31を基板3の装着位置の上方へ移動させて待機高さZ0にて待機させた状態を示している。推力制限高さTLhは、部品保持部31の下降時においてサーボモータ41の推力を推力制限値TL以下に制限する推力制限の開始高さを示している。着地高さZCは、保持した部品Pの端子が基板3に供給された半田部に接触して部品Pが着地する際の部品保持部31の高さを示している。また目標高さTh1は、部品保持部31の下降動作の目標となる高さであり、基板3の装着高さのばらつきを考慮して、実際に部品Pが着地する高さよりも低く設定されている。
まず図14を参照して、この部品搭載方法による部品の装着動作の基本実施例M0について説明する。図14(a)は、この基本実施例M0において、作業動作時間を短縮するために部品保持部31の下降を高速のみで行う高速装着モードM0−1を示している。また図14(b)は、基本実施例M0において、部品保持部31に保持された部品Pが着地する際の衝撃を極力抑えた低衝撃装着モードM0−2を示している。
図14(a)を参照して、高速装着モードM0−1を説明する。部品Pを保持した部品保持部31は基板3の装着位置の上方に移動して、タイミングtaにおいて、待機高さZ0に位置して待機状態にある。次いでサーボモータ制御部50が備えた推力制限部56の機能により、サーボモータ41の推力を制限する推力制限値TLを設定する。ここでは、サーボモータ41を推力制限値TLと同じ推力で駆動させたときに部品保持部31から部品Pに作用する荷重が、弾性体である付勢部材33が部品保持部31を付勢する付勢力FPよりも小さくなる範囲で推力制限値TLを設定する。
次いで予め設定された動作パターンに基づいてサーボモータ41を制御することにより、部品保持部31を基板3の装着位置へ向かって、目標高さTh1を目標として下降させる。この下降の途中において、部品保持部31の高さが推力制限高さTLhに到達したタイミングにて、部品Pが装着位置に着地する前にサーボモータ41の推力を推力制限値TL以下に制限する。
なお、サーボモータ制御部50が備えた推力制限部56による推力制限値TLの設定、部品保持部31の下降の途中にて推力制限高さTLhに到達したタイミングにおけるサーボモータ41の推力の制限、部品Pが基板3に着地したことを検出する着地検出は、図15、図16、図17に示す第1実施例、第2実施例および第3実施例においても同様に適用される。
この後、部品保持部31がさらに下降すると部品保持部31が着地高さZCに到達し、保持した部品Pの端子が基板3に供給された半田部に接触して部品Pが着地した状態となる。この着地時の衝撃は付勢部材33によって吸収され、衝撃吸収後には付勢部材33は着地前の通常状態の長さに戻る。この後、部品保持部31は動作パターンにおいて予め設定された押圧開始タイミングから、部品Pの着地状態を静定させるための目標時間Tsの間押圧状態を維持する。そして目標時間Tsがタイムアップする上昇開始タイミングにて部品保持部31の上昇が開始され、部品保持部31が待機高さZ0まで上昇して装着動作が終了する。
上述の押圧状態において、部品Pが装着位置に着地する前に付勢力FPよりも小さくなる範囲で推力制限値TLが設定されていることから、サーボモータ41は付勢力FPよりも小さな推力で部品Pを基板3に対して押圧する。したがって、着地後に押し込まれて弾性変形した付勢部材33の弾性力によって部品Pを基板3へ押圧する従来方式と比べて、装着荷重を低荷重領域で高精度に安定して制御することが可能となっている。
図14(b)に示す低衝撃装着モードM0−2においては、推力制限高さTLhと着地高さZCの間に減速高さDh1が設定されている点が、高速装着モードM0−1と異なっている。すなわち低衝撃装着モードM0−2では、部品Pを保持した部品保持部31が待機高さZ0から下降する過程において減速高さDh1に到達したならば、下降速度を高速から低速に切り換える。これにより、部品保持部31が着地高さZCまで下降して部品Pが着地する際の衝撃を低減することができるという効果を得る。
なお、上述の装着動作の過程では、サーボモータ制御部50の推力検出部52はサーボモータ41の推力を検出している。これにより、サーボモータ制御部50の空振り検出部61は、サーボモータ41の推力を制限した後、動作パターンで定めた上昇開始タイミングまでの期間中に検出した推力が推力制限値TLに到達しなかったことを検出することができる。このように、推力制限後の推力が推力制限値TLに到達しないことは、部品保持部31に保持された部品Pが基板3に着地しない「空振り」状態が発生した可能性があることを意味している。このような状態が発生した場合には、本体制御部14は報知部69により、サーボモータ41の推力が推力制限値TLに到達しなかった旨を報知する。
次に図15を参照して、この部品搭載方法による部品の装着動作の第1実施例M1について説明する。図13に示す基本実施例M0では予め定められた動作パターンで定められた上昇タイミングに従って部品保持部31を上昇させていた。これに対し、第1実施例M1では、部品保持部31に保持された部品Pが着地してからの経過時間を計測して、部品保持部31の上昇タイミングを決定するようにしている。
このような第1実施例M1を適用することの技術的意義を説明する。すなわち、基板の変形により装着位置の高さがばらついている場合には、部品Pが基板の半田部に接触する着地高さもばらついている。このような場合には、装着動作において部品Pが着地するタイミングも一定とはならない。このため部品Pを半田部に押圧する時間を適正に確保することができず、適正な半田接合品質を確保することが難しい。特に押圧時間が長すぎる場合には、隣接するランド間で半田が連結するブリッジや粒子状の半田が分離した状態となる半田ボールなどの不具合が生じるおそれがある。このように装着位置の高さがばらついている場合にあっても、本実施の形態に示す第1実施例M1を適用することにより、部品Pを半田部に押圧する時間を適正に確保することができる。
図15(a)は、この第1実施例M1において、作業動作時間を短縮するために部品保持部31の下降を高速のみで行う高速装着モードM1−1を示している。また図15(b)は、第1実施例M1において、部品保持部31に保持された部品Pが着地する際の衝撃を極力抑えた低衝撃装着モードM1−2を示している。
図15(a)を参照して、高速装着モードM1−1を説明する。部品Pを保持した部品保持部31は基板3の装着位置の上方に移動して、タイミングtaにおいて、待機高さZ0に位置して待機状態にある。次いで予め設定された動作パターンに基づいてサーボモータ41を制御することにより、部品保持部31を基板3の装着位置へ向かって、目標高さTh1を目標として下降させる。
この下降に先立って、図14に示す基本実施例M0と同様に、サーボモータ41の推力を制限する推力制限値TLが設定される。そして部品保持部31の下降の途中において、図14に示す基本実施例M0と同様に、部品Pが装着位置に着地する前にサーボモータ41の推力を推力制限値TL以下に制限する。この推力制限により、図14に示す基本実施例M0にて述べた効果と同様の効果を得る。
この後、部品保持部31がさらに下降すると部品保持部31が着地高さZCに到達する。これにより、保持した部品Pの端子が基板3に供給された半田部に接触して部品Pが基板3に着地する。この着地はサーボモータ制御部50が備えた着地検出部54の機能によって、以下に示すいずれかの方法により検出される。
まず1つの方法はサーボモータ制御部50において推力検出部52によってサーボモータ41の推力を監視することにより行われる。すなわち推力が推力制限値TL以下に制限中のサーボモータ41の推力が設定された推力制限値TLに到達したことで部品Pが基板3に着地したことを検出する。着地検出の他の方法は、サーボモータ41からの位置信号による方法である。すなわちサーボモータ41のエンコーダ44から出力されるエンコーダパルスが停滞している場合に、部品が基板3に着地したことを検出する。
このようにして上述のいずれかの方法により部品Pの着地が検出されると、タイマー55の計時機能によって着地を検出したタイミングt1からの経過時間を計測する。そして設定軌跡TR1にて示す動作パターンで定めた上昇開始タイミングの前に、タイマー55によって計時された経過時間が目標時間Tsに到達したら、このタイミングt2にてサーボモータ41を制御して部品保持部31を上昇させる。
これにより、変形などにより着地高さZCがばらついている基板3を対象とする場合にあっても、常に適正な目標時間Tsで部品Pを半田部に押圧することができ、押圧時間のばらつきに起因する半田接合不良を防止することが可能となっている。さらに押圧時間が不必要に長くなることによる装着動作時間の遅延を防止して、生産性を向上させることができる。
図15(b)に示す低衝撃装着モードM1−2においては、推力制限高さTLhと着地高さZCの間に減速高さDh1が設定されている点が、高速装着モードM1−1と異なっている。すなわち低衝撃装着モードM1−2では、部品Pを保持した部品保持部31が待機高さZ0から下降する過程において減速高さDh1に到達したならば、下降速度を高速から低速に切り換える。これにより、部品保持部31が着地高さZCまで下降して部品Pが着地する際の衝撃を低減することができるという効果を得る。
次に図16を参照して、この部品搭載方法による部品の装着動作の第2実施例M2について説明する。第2実施例M2では、部品保持部31に保持された部品Pを着地させて搭載する装着動作中に、装着位置高さ計測部62が装着位置における装着高さを計測するようにしている。このように、装着動作中に装着位置における装着高さを計測することにより、基板高さ計測のための計測動作を別途行わせることなく、簡便な方法によって基板高さ情報を取得することができる。
図16(a)は、この第2実施例M2において、作業動作時間を短縮するために部品保持部31の下降を高速のみで行う高速装着モードM2−1を示している。また図16(b)は、第2実施例M2において、部品保持部31に保持された部品Pが着地する際の衝撃を極力抑えた低衝撃装着モードM2−2を示している。
図16(a)を参照して、高速装着モードM2−1を説明する。部品Pを保持した部品保持部31は基板3の装着位置の上方に移動して、タイミングtaにおいて待機高さZ0に位置して待機状態にある。次いで予め設定された動作パターンに基づいてサーボモータ41を制御することにより、部品保持部31を基板3の装着位置へ向かって、目標高さTh1を目標として下降させる。
この下降に先立って、図14に示す基本実施例M0と同様に、サーボモータ41の推力を制限する推力制限値TLが設定される。そして部品保持部31の下降の途中において、図14に示す基本実施例M0と同様に、部品Pが装着位置に着地する前にサーボモータ41の推力を推力制限値TL以下に制限する。この推力制限により、図14に示す基本実施例M0にて述べた効果と同様の効果を得る。
この後、部品保持部31がさらに下降すると部品保持部31が着地高さZCに到達する。これにより、保持した部品Pの端子が基板3に供給された半田部に接触して部品Pが基板3に着地する。この着地はサーボモータ制御部50が備えた着地検出部54の機能によって検出され、タイマー55の計時機能によって着地を検出したタイミングt1からの経過時間を計測する。そして設定軌跡TR1にて示す動作パターンで定めた上昇開始タイミングの前に、タイマー55によって計時された経過時間が目標時間Tsに到達したら、このタイミングt2にてサーボモータ41を制御して部品保持部31を上昇させる。
すなわち上述の装着動作では、部品Pが基板3の装着位置に着地した後に部品保持部31を上昇させて基板3の装着位置に着地した部品Pから部品保持部31を離脱させる。そして少なくとも部品Pが基板3の装着位置に着地してから部品保持部31が上昇を開始する前までの期間、サーボモータ41の推力を制限する。部品Pの装着のための部品保持部31による押圧は、サーボモータ41の推力が制限された状態で行われる。
本実施の形態に示す第2実施例M2では、上述の装着動作の間に装着高さの検出を行う。すなわち部品Pが基板3の装着位置に着地してから部品保持部31が上昇を開始する直前までの所定のタイミングで、装着位置高さ計測部62は位置検出部53から部品保持部31の位置情報を取得する。このタイミングで取得した部品保持部31の位置情報は、図13にて部品保持部31の高さ方向の位置示す着地高さZCとなる。そして、装着位置高さ計測部62は取得した位置情報と装着された部品Pの寸法とに基づいて、部品Pが装着された装着位置の装着高さを算出する。すなわち装着位置高さ計測部62は、着地高さZCと、部品Pの部品Pの厚さを含む装着厚み寸法dとに基づいて装着高さZ1を求める。
なお、装着位置高さ計測部62が位置検出部53から部品保持部31の位置情報を取得するタイミングは、弾性体である付勢部材33が装着位置に部品Pが着地した際の衝撃を吸収した後、部品保持部31が上昇を開始する直前までの期間内であり、上昇開始の直前が最も好ましい。この位置情報の取得は、緩衝用の付勢部材33が伸びきった状態で行われることから、緩衝用の付勢部材33を備えている場合にあっても、位置検出部53の位置情報から部品保持部31の高さ検出を高精度で行うことができる。
さらに部品保持部31が基板3を押圧する荷重LFは低荷重であることから基板3の変形は少ない。したがって、部品保持部31の高さ位置を用いて装着位置の高さを計測しても誤差は少なく、正確な高さ計測を行うことができる。これにより、専用の計測装置を使用することなく部品装着動作の実行と並行して、装着位置の高さを含む基板高さ情報を、簡便な方法によって取得することが可能となっている。
図16(b)に示す低衝撃装着モードM2−2においては、推力制限高さTLhと着地高さZCの間に減速高さDh1が設定されている点が、高速装着モードM2−1と異なっている。すなわち低衝撃装着モードM2−2では、部品Pを保持した部品保持部31が待機高さZ0から下降する過程において減速高さDh1に到達したならば、下降速度を高速から低速に切り換える。これにより、部品保持部31が着地高さZCまで下降して部品Pが着地する際の衝撃を低減することができるという効果を得る。
次に図17を参照して、この部品搭載方法による部品の装着動作の第3実施例M3について説明する。第3実施例M3では、部品保持部31に保持された部品Pを着地させて搭載する装着動作中に、部品が装着された装着完了位置における装着高さを検出し、検出された装着高さに基づいて未装着位置に部品を装着する際の減速高さを演算して補正するようにしている。
図17(a)は、この第3実施例M3において、装着完了位置が未だ存在せず減速高さの補正を行っていない状態で部品装着動作を行う補正前装着モードM3−1を示している。また図17(b)は、第3実施例M3において、装着完了位置における装着高さを検出し、検出された装着高さに基づいて減速高さを補正した後に部品を装着する補正後装着モードM3−2を示している。
図17(a)を参照して、補正前装着モードM3−1を説明する。部品Pを保持した部品保持部31は基板3の装着位置の上方に移動して、タイミングtaにおいて待機高さZ0に位置して待機状態にある。次いで予め設定された動作パターンに基づいてサーボモータ41を制御することにより、部品保持部31を基板3の装着位置へ向かって、目標高さTh1を目標として下降させる。ここでは動作パターンには部品保持部31を下降させる速度を減速する減速高さDh1と部品保持部31の目標とする目標高さTh1とが含まれている。部品保持部31の下降においては、減速高さDh1までは高速で、減速高さDh1からは低速で下降させる。補正前装着モードM3−1においては、減速高さDh1は目標高さTh1からΔh1の高さに設定されている。
この下降に先立って、図14に示す基本実施例M0と同様に、サーボモータ41の推力を制限する推力制限値TLが設定される。そして部品保持部31の下降の途中において、図14に示す基本実施例M0と同様に、部品Pが装着位置に着地する前にサーボモータ41の推力を推力制限値TL以下に制限する。この推力制限により、図14に示す基本実施例M0にて述べた効果と同様の効果を得る。
この後、部品保持部31がさらに下降すると部品保持部31が着地高さZCに到達する。これにより、保持した部品Pの端子が基板3に供給された半田部に接触して部品Pが基板3に着地する。この着地はサーボモータ制御部50が備えた着地検出部54の機能によって検出され、タイマー55の計時機能によって着地を検出したタイミングt1からの経過時間を計測する。そして設定軌跡TR1にて示す動作パターンで定めた上昇開始タイミングの前に、タイマー55によって計時された経過時間が目標時間Tsに到達したら、このタイミングt2にてサーボモータ41を制御して部品保持部31を上昇させて、装着位置に着地した部品Pから部品保持部31を離脱させる。そして部品保持部31が待機高さZ0まで上昇したタイミングtbにて1つの装着動作が完了する。補正前装着モードM3−1では、一回の装着動作についてタイミングtaからタイミングtbまで作業時間WT1を要している。
この作業時間WT1を極力短縮して生産性を向上させるため、本実施の形態に示す第3実施例M3では、上述の装着動作の間に減速高さの補正を目的とした装着高さの検出を行う。すなわち部品Pが基板3の装着位置に着地してから部品保持部31が上昇を開始する直前までの所定のタイミングで、装着位置高さ計測部62は位置検出部53から部品保持部31の位置情報(着地高さZC)を取得する。
そして、取得した着地高さZCと装着された部品Pの寸法とに基づいて、部品Pが装着された装着位置である装着完了位置における高さを示す装着高さを算出する装着高さ計測処理を実行する。この装着高さ計測処理は、本体制御部14の装着位置高さ計測部62によって実行される。すなわち図13にて部品保持部31の高さ方向の位置示す着地高さZCと、部品Pの部品Pの厚さを含む装着厚み寸法dとに基づいて、装着高さZ1を求める。
そして複数の装着完了位置について同様の装着高さ計測処理を行って複数の装着高さを本体制御部14の装着高さ記憶部66に記憶する。次いで、装着高さ記憶部66に記憶された少なくとも1つの装着高さを利用して、未だ部品が装着されていない装着位置である未装着位置に部品を装着する際の減速高さを演算する。この演算処理は、本体制御部14の減速高さ演算部63によって実行される。
この減速高さの演算処理は、図18にて説明した減速高さ演算部63による減速高さ補正の実行例に示されている。すなわち図18(a)に示す例では、減速高さ演算部63は、未装着位置からあらかじめ設定した範囲内に存在する装着完了位置の装着高さに基づいて減速高さを演算する。また図18(b)に示す例では、減速高さ演算部63は、あらかじめ設定した数の装着完了位置の装着高さに基づいて未装着位置の減速高さを演算する。これにより、補正前の減速高さDh1に替えて、装着完了位置の装着高さに基づいて演算された補正後の減速高さDh2が求められる。
図17(b)は、このようにして演算された補正後の減速高さDh1−1に基づいて未装着位置に部品Pを装着する補正後装着モードM3−2を示している。ここに示す例では、目標高さTh1からΔh2の高さに補正後の減速高さDh2が設定されている。ここでΔh2は既知の装着完了位置の装着高さに基づいて設定されることからΔh1よりも小さい適正値に設定することができる。
したがって補正後の減速高さDh2を着地高さZCにより近い高さに設定することができ、不必要に高い位置から減速することによる下降時間の遅延を防止することができる。これにより、補正前装着モードM3−1では、一回の装着動作についてタイミングtaからタイミングtbまでに作業時間WT1を要していたのに対し、補正後装着モードM3−2では、タイミングtaからタイミングtbまでの所要時間は、WT1よりも短い作業時間WT2に短縮される。このように反り変形状態がばらついている基板を対象とする場合にあっても、装着完了位置の装着高さに基づいて減速高さを適正に設定することにより、生産性を向上させることができる。
なお本実施の形態では、装着位置高さ計測部62による装着高さZ1の算出および減速高さ演算部63による減速高さDh2の算出で使用される装着厚み寸法dは、部品Pの厚さ、ランド3cの厚さ、接合用半田Sの厚さを加えた厚み寸法となっているが、ランド3cの厚さと接合用半田Sの厚さの両方もしくはいずれかを無視した値を装着厚み寸法dとして使用してもよい。ランド3cの厚さと接合用半田Sの厚さの両方を無視する場合は部品Pの厚さを装着厚み寸法dとして使用してもよい。言い換えれば、装着厚み寸法dは少なくとも部品Pの厚さを含む。