JP2019060843A - ストロンチウム90放射能測定装置、およびその測定方法 - Google Patents

ストロンチウム90放射能測定装置、およびその測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 試料を化学処理せず、サーベーメーター的に簡易に短時間でストロンチウム90を検出することが可能なストロンチウム90放射能測定装置を提供する。【解決手段】 ガンマ線およびX線に対して光電効果を起こしにくい原子番号の小さい元素のガスが封入されている比例計数管112を、放射性同位元素から放出される電子線を遮断可能な筐体111に格納する。放射性同位元素から放出される電子線を遮断可能な筐体121に試料20を保持する。筐体111の、筐体121との接続口に、イットリウム90からのベータ線よりもエネルギーの低い電子線を除去するベータ線遮蔽板113を、比例計数管112を遮蔽するように設ける。制御・表示器133は、比例計数管112から出力される、ベータ線のエネルギー損失に応じた信号に基づき、試料20に含まれるストロンチウム90から放出されるベータ線の数を測定する。【選択図】図3

Description

本発明は、試料中に含まれるストロンチウム90の放射能を測定するストロンチウム90放射能測定装置、およびその測定方法に関する。
試料中に含まれるストロンチウム90(半減期28.79年)の放射能を測定する方法としては、ストロンチウム90を試料から抽出して、さらにストロンチウム90の娘核であるイットリウム90(半減期2.67日)を抽出し、これから放出されるベータ線を検出し、その放射能が半減期2.67日で減衰することを確認することにより、間接的にストロンチウム90の同定と放射能を求める化学分離(イオン交換法、発煙硝酸法、シュウ酸塩法及び溶媒抽出法)による方法が知られている(文部科学省、放射性ストロンチウム分析法(例えば、非特許文献1参照)。
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震などに起因する福島第一原子力発電所の事故などにより、原子力発電所などで生成される放射性セシウム、放射性ストロンチウムなどの放射性物質が大気中や水中などに放出された。放射性セシウムについては、放射性セシウム固有のエネルギーを持つガンマ線を検出することによって、汚染状態を簡易に調べることができる。しかし、放射性ストロンチウムは連続のエネルギーを持つベータ線しか発生しないので、上記の方法で放射性ストロンチウムの汚染状態を調べることができるが、通常、数日間から3週間程度の時間がかかる。
原子炉事故で放出された放射性同位元素の中、健康への影響に対しては放射性セシウムなどは体全体に分布するのに対し、ストロンチウム90は骨髄に集積するため危険度が高く、迅速且つ徹底したストロンチウム90の検出が必要とされる。原子力発電所の事故によって放射性物質が飛散して汚染された地域、及び高レベルに汚染された原子力発電所内においてはサーベーメーター的に簡易にストロンチウム90を測定できる技術が人の健康の安全のために必要とされている。
ストロンチウム90を直接検出する方法としてイオンを加速して電磁石で質量分析する方法がある。タンデム型静電加速器を用いてイオンのエネルギーを高くして、質量分析するAMS法は炭素14分析による年代測定によく利用され、非常に精度は良い。また、ICP−QMSを用いた方法では、精度も良く測定時間が30分程度である(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらの装置は持ち運びができるほど小型でないため、汚染現場などで直接簡易にストロンチウム90を検出できない。
ストロンチウム90からはベータ線しか放出されない。ベータ線はGM管サーベイメーターでも検出できる。福島第一原子力発電所の事故によって汚染された土壌などには、放射性ストロンチウムより放射性セシウムが多く含まれており、これらはベータ線を大量に放出している。さらに、土壌中の自然放射性同位元素であるカリウム40、ビスマス210、鉛210などの放射性物質からもベータ線が放出され、ベータ線のエネルギーが連続であるため、どの核種から来たベータ線かを区別できない。ベータ線とガンマ線を区別するために2連のシンチレーターを通過した放射線をベータ線と断定し、他の核種からのベータ線のエネルギーよりも高いストロンチウム90の娘核イットリウム90からの1.33MeV〜2.28MeVのベータ線を検出することにより、ストロンチウム90を検出することができる(例えば、非特許文献2参照)。
一方、屈折率1.04のシリカアエロゲルを発光体として用いると、カリウム40からのベータ線の最大エネルギー1.33MeV以上のエネルギーを持つ電子線に対してはチェレンコフ光を検出できるが、それ以下の速度の電子はチェレンコフ光を発しないことを利用してストロンチウム90を検出する方法が開発されている(例えば、特許文献2参照)。
これらの方法では、得られる信号は連続スペクトルであり、データ収集系において何らかの連続のバックグラウンドが発生した場合、区別がつかない欠点がある。特に、ストロンチウム90からの1.33MeV〜2.28MeVのベータ線の数が少なくてバックグラウンドと同程度の場合は問題となる。また、ライトガイドと光電子増倍管の組み合わせを用いた光検出器を用いているので、小型化して携帯できるようにすることは困難である。
特開2015−087363号公報 特開2016−080557号公報
"放射性ストロンチウム分析法"、[online]、平成15年改訂、文部科学省、[平成29年8月30日検索]、インターネット<URL:http://www.kankyo-hoshano.go.jp/series/lib/No2.pdf> "Non-destructive measurement of environmental radioactive strontium"、EPJ Web of conferences、Volume 66、2014、INPC 2013 International Nuclear Physics Conference 柴田徳思著、「放射線概論」、第8版、通商産業研究社、2012年12月 Kevan Hashemi、James Bensinger、"Radiation Detection with Alignment Sensors"、[online]、Muon Upgrade Meeting CERN、2011年11月、[平成29年8月30日検索]、インターネット<URL:http://alignment.hep.brandeis.edu/Devices/Dosimeter/Hit_Counting.html> 加藤正夫、武谷清昭、「核放射線を用いた厚み計」、生産研究、1954年4月、第6巻、第4号、p.88−92 村上悠紀雄著、「講座アイソトープ実験の基礎」、JAPAN ANAYST、1963年、vol.12、p.209 日本アイソトープ協会著、「密封線源の基礎」、第6版、日本アイソトープ協会、2013年5月、p.139
福島第一原子力発電所事故によって放出された汚染土壌、汚染動物、汚染野菜などに含まれるストロンチウム90を検出することは、人の周りからの放射線、食品中からの放射線に対する安全のために必要なことである。
これまでは、ストロンチウム90を検出するには、時間がかかるか、または測定装置まで試料を運搬しなければならなかった。また、試料を化学処理する必要があった。
試料を化学処理せずに、簡易に測定できる方法も提案されたが、感度が低すぎるなどの欠点があり、実用的でなかった。
本発明は、試料を化学処理せず、サーベーメーター的に簡易に短時間でストロンチウム90を検出することが可能な測定装置を提供すること、およびその放射能測定方法を提供することを目的とする。
実施形態によれば、ストロンチウム90放射能測定装置は、筐体、第1の検出器、ベータ線遮蔽板、および信号処理部を具備する。筐体は、バックグラウンドとなる放射線を遮断し、内部に試料を保持可能に形成される。第1の検出器は、前記筐体内の、前記試料と対向する位置に設けられ、入射されるベータ線のエネルギー損失に応じた信号を出力する。ベータ線遮蔽板は、前記筐体内において、前記試料と前記第1の検出器との間に設けられ、予め設定されたエネルギー以下のベータ線を遮断する。信号処理部は、前記第1の検出器から出力される、予め設定されたエネルギー損失の信号の数に基づき、前記試料中に含まれるストロンチウム90の娘核イットリウム90から放出されるベータ線を検出し、その放射能を測定する。
また、第2の態様では、ストロンチウム90放射能測定装置は、第2の検出器をさらに具備する。第2の検出器は、前記筐体内の、前記第1の検出器と前記試料との間に、前記第1の検出器と並列して設けられ、入射されるベータ線のエネルギー損失に応じた信号を出力する。前記ベータ線遮蔽板は、前記第1の検出器と前記第2の検出器との間に設けられる。そして、信号処理部は、前記第1の検出器と前記第2の検出器とから出力される、予め設定されたエネルギー損失の信号の数に基づき、前記試料中に含まれるストロンチウム90の娘核イットリウム90から放出されるベータ線を検出し、その放射能を測定する。
本発明によれば、試料を化学処理せず、サーベーメーター的に簡易に短時間でストロンチウム90を検出し、その放射能を測定することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るストロンチウム90放射能測定装置の構成を表す図である。 図2は、図1におけるA−A断面図である。 図3は、図1におけるB−B断面図である。 図4は、図2で示される比例計数管中での電子のエネルギー損失と入射電子のエネルギーとの関係を示す図である。 図5は、図3で示される制御・表示器で算出されるベータ線のエネルギー損失スペクトルを説明するための図である。 図6は、一様な強度分布を仮定したベータ線のエネルギースペクトルを表す図である。 図7は、図1に示されるストロンチウム90放射能測定装置で実際に測定したストロンチウム90からのベータ線のエネルギー損失のスペクトルを表す図である。 図8は、本発明の第2の実施形態に係るストロンチウム90放射能測定装置の構成を表す図である。 図9は、図8におけるA−A断面図である。 図10は、図8におけるB−B断面図である。 図11は、図8で示される制御・表示器格納部に格納される回路のブロックダイアグラムの例を示す図である。 図12は、図11で示される第1の比例計数管から出力される電気信号により求められるエネルギー損失のスペクトルを表す図である。 図13は、図11で示される第2の比例計数管から出力される電気信号により求められるエネルギー損失のスペクトルを表す図である。 図14は、図11で示される波高分析器により作成される同時計数スペクトルの例を表す図である。 図15は、図11で示される同時計数回路で実際に算出される同時計数の時間スペクトルを表す図である。 図16は、本発明の実施形態に係わるストロンチウム90放射能測定装置のその他の構成例を表す図である。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
ストロンチウム90はガンマ線を放出せず、連続のエネルギースペクトルを示すベータ線(最大エネルギー546keV)しか放出しない。しかしながら、汚染された土壌などには、福島第一原子力発電所事故によって放出されたセシウム137からのベータ線(最大エネルギー1176keV)、自然の放射性物質カリウム40からのベータ線(1311keV)がストロンチウム90からのベータ線の測定を困難にする。
本発明では、ストロンチウム90(半減期が28.9年)と娘核のイットリウム90(半減期2.67日)とが永続平衡の関係にあることより、これらの放射能が同じであることを利用する。そして、イットリウム90からのベータ線の最大エネルギーが2280keVで、他の放射性同位元素からのベータ線よりも高く、これを測定することによってイットリウム90の放射能すなわち、ストロンチウム90の放射能を求める。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るストロンチウム90放射能測定装置10の構成を表す図である。図2は、図1におけるA−A断面図であり、図3は、図1におけるB−B断面図である。図1乃至図3では、1つの比例計数管112を用いるストロンチウム90放射能測定装置10を表している。
図1に示されるストロンチウム90放射能測定装置10は、検出器格納部11、試料格納部12、および制御・表示器格納部13を備えている。検出器格納部11と試料格納部12とは、取り外し可能に接続されている。
検出器格納部11は、筐体111を有し、筐体111の内部に、検出器である比例計数管112を格納している。また、試料格納部12は、筐体121を有し、筐体121の内部に試料20が格納可能となっている。
福島の汚染試料には、福島第一原子力発電所事故由来のストロンチウム90(半減期28.8年、ベータ線(546keV、2280keV(イットリウム90由来))、セシウム137(半減期30年、ベータ線(514keV、1176keV)、ガンマ線(662keV))、セシウム134(半減期2年、ベータ線(658keV)、ガンマ線(605keV、796keV))に加えて、自然の放射性物質、カリウム40(半減期12億年、ベータ線(1311keV)、ガンマ線(1461keV))、鉛212(半減期10時間、ベータ線(335keV、574keV)、ガンマ線(239keV))、ビスマス214(半減期20分、ベータ線(3272keV、1542keV、1508keV)、ガンマ線(609keV))、鉛214(半減期26分、ベータ線(671keV、728keV)、ガンマ線(352keV、295keV))、タリウム208(半減期3分、ベータ線(1796keV、1519keV、1286keV)、ガンマ線(2615keV、583keV))が含まれている。カリウム40を除いた自然の放射性物質は地中のウラン238、トリウム232由来のもので非常に微量である。また、半減期の短いビスマス214、鉛214、タリウム208は、試料を採取して、1時間程度放置すれば、無視できるようになる。このように、短寿命自然放射性同位体のバックグラウンドは低い。
以上のことから、ストロンチウム90の検出の主なバックグラウンドになるのは、鉛212、セシウム134、セシウム137、およびカリウム40となる。これらの放射性同位元素の中で、ベータ線のエネルギーが最も高いのはカリウム40からの1311keVのベータ線である。カリウム40からのベータ線は、2次X線の放射が少ない5mm厚のアクリル樹脂(密度1.18)などで遮断可能である。
そこで、筐体111,121は、地中に存在するウラン系列およびトリウム系列の放射性同位元素からのベータ線から比例計数管112及び試料20を遮蔽する遮蔽体として設けられる。また、筐体111,121は、筐体外部に存在するイットリウム90から放出されるベータ線を遮断する必要がある。筐体111,121の材質は、ベータ線が2次制動X線を強く発生しないように、炭素と水素とを主元素としたプラスチックを使用する。筐体111,121の厚さは、例えば、アクリル樹脂が使用される場合、ストロンチウム90の娘核のイットリウム90から放出される2280keVのベータ線の遮断が可能な14mmである。なお、カリウム40から放出される1311keVのベータ線以下のエネルギーの電子線を遮断するのであれば、筐体111,121の厚さは、2次X線の放射が少ない5mm厚のアクリル樹脂(密度1.18)であって構わない。
筐体111には、試料格納部12と接続する接続口が設けられている。また、筐体121には、検出器格納部11と接続する接続口が設けられている。筐体111の接続口には、筐体111に格納される比例計数管112を遮蔽するようにベータ線遮蔽板113が設けられている。検出器格納部11と、試料格納部12とが接続された場合、検出器格納部11に格納された比例計数管112と、試料格納部12に格納された試料20とは、ベータ線遮蔽板113を介して対向することになる。
ベータ線遮蔽板113は、例えば、5mm厚のアクリル樹脂である。ベータ線遮蔽板113は、イットリウム90からのベータ線のエネルギーが自然界の放射性同位元素からのベータ線のエネルギーより高いことを利用して、イットリウム90からの高いエネルギーを持つベータ線以外の電子を遮断・除去する。ベータ線遮蔽板113により、試料20中のイットリウム90からのベータ線のうち、1311keVから2280keVのベータ線が比例計数管112に入射されることになる。ベータ線の物質透過による減衰は知られており(例えば、非特許文献6参照)、これを考慮すると試料中のイットリウム90のベータ線で検出器に向かって放出されたベータ線のうち7.5%が検出されることになる。ベータ線の最大エネルギーが1311keV以下のベータ線を放出する放射性同位元素の量が少ない場合は、これらのベータ線の物質透過による減衰を考慮すると、ベータ線遮蔽板113のアクリルの厚さは5mmより薄くてよい。
比例計数管112は、ベータ線の検出に対しては絶対検出効率が1で、ガンマ線およびX線の検出に対しては低検出効率であるガス検出器であり、数keVの低いエネルギーも測定できるように構成されている。
具体的には、例えば、比例計数管112は、カソードとして用いられる金属からなる円筒容器1121と、円筒容器1121の中心軸に沿って張られた、アノードとして用いられる芯線1122とを有する。円筒容器1121は、例えば、その直径が約5cmであり、高さが約10cmである。
円筒容器1121内には、ガスが密閉されている。比例計数管112に密閉されるガスとしては、ガンマ線およびX線に対して光電効果(原子番号の5乗に比例)を起こしにくい原子番号の小さい元素のガスを用いる。ヘリウムガスを使用するのが良いが、検出器を小型化する場合は単位長さ当りのエネルギー損失が大きいものが良いので、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガスなどを使用しても良い。なお、ガス検出器としての比例計数管112は、携帯的に使用することを考えるとガス密封型が望ましいが、これに限定される訳ではない。
円筒容器1121の側面部のうち試料20と対向する所定の位置には、入射口が設けられている。入射口は、検出器内の有感領域が十分に見える形状が望ましい。例えば、円形をしている。なお、楕円形でも構わない。入射口には検出窓1123が形成されている。後述するエネルギー損失のピークは、円筒容器1121内で使用されるガスによって異なる。ピークの位置は、使用されるガスにより、数keVから数10keVになる。比例計数管112は、数keVから数10keVのエネルギー領域で、15〜25%のエネルギー分解能を実現するように形成されている。検出窓1123でのベータ線強度の減衰を小さくするために、検出窓1123には、ベリリウム薄膜などの金属薄膜、アルミニウムなどを蒸着したプラスチック薄膜が使用される。
比例計数管112では、円筒容器1121をカソードとし、芯線1122をアノードとし、両極間に所定の電圧が印加される。このとき印加される電圧は、比例計数管112におけるガス増幅が印加電圧に対して直線性を有する程度の電圧である。この電圧下において、収集電荷は入射放射線によって作られた最初のイオン対数に比例することになる。円筒容器1121内に放射線(ベータ線)が入射すると、円筒容器1121内のガスが電離し、2次電子が発生する。そして、発生した2次電子の数に比例した電気信号が制御・表示器格納部13へ出力される。このとき、電気信号の振幅は、例えば、放射線のエネルギー損失を表している。
試料20は、比例計数管112の有効検出断面積に合わせた形状の薄いプラスチックの袋に納められ、外部からのベータ線の混入を防ぐ14mm厚のプラスチック板の筐体121の内側に固定される。試料20を良く混ぜてストロンチウムの分布を一様にし、その厚さは、ベータ線遮蔽板113の厚さが1311keVの電子の飛程以下では、密度を掛けた値が0.515g/cm以上とする。この厚さとベータ線遮蔽板113の厚さを足した厚さが2.28MeVの電子の飛程に等しくなる。試料20が液体の場合、固形の吸着材で吸収させて作る。
制御・表示器格納部13は、増幅器131、高電圧器132、制御・表示器133、およびデータディスプレイ134を格納している。増幅器131は、比例計数管112から出力される電気信号を増幅し、増幅した信号を制御・表示器133へ出力する。高電圧器132は、制御・表示器133からの制御に従い、比例計数管112へ電圧を印加する。
制御・表示器133は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、CPUが処理を実行する際に用いるメモリ、及び、CPUからの制御に従って所定の処理を実行するFPGA(Field Programmable Gate Array)などを備える信号処理部である。CPUがFPGAに所定の処理を実行させることで、制御・表示器133は、電圧制御、および増幅器131で増幅された信号に対する処理などを実行する。
例えば、制御・表示器133は、波高分析機能などを有する。制御・表示器133は、受信した信号の波高値をデジタル信号としてメモリに記憶する。制御・表示器133は、記憶されている波高値に基づき、比例計数管112のガス中を通過するベータ線のエネルギー損失のスペクトルを算出する。制御・表示器133は、算出したエネルギー損失のスペクトルをデータディスプレイ134に表示する。
また、制御・表示器格納部13には、回路系に電気を供給するバッテリー(図示せず)も内蔵されている。バッテリーが制御・表示器格納部13に格納されることにより、ストロンチウム90放射能測定装置10はハンディ検出器となり、可搬できるストロンチウム90サーベーメーターが実現される。
次に、本実施形態に係る放射能測定装置10の動作原理を説明する。
本発明は、ベータ線のエネルギーが0.8MeV以上では、比例計数管112のガス中でのベータ線のエネルギー損失が一定であることを利用する。
比例計数管112の検出実行距離をDとすると、比例計数管112で測定されるエネルギー損失ΔEは、
R(E)<Dのとき ΔE=E (1)
R(E)>Dのとき ΔE=E-E1 ここで R(E)=D+R(E1) (2)
である。なお、R(E)は飛程(cm)を表し、Eは電子のエネルギー(MeV)を表す。本実施形態において、飛程R(E)はエネルギーEの粒子が物質中で電磁相互作用によってエネルギーを失って静止するまでの平均距離をいう。
密度ρ(g/cm)の物質に対する電子の飛程Rは、
ρR=0.407E1.38 (0.15<E<0.8) (3)
ρR=0.542E-0.133 (0.8<E<3) (4)
で近似的に与えられる(例えば、非特許文献3参照)。
比例計数管112の検出実行距離をDとすると、検出実行距離Dでのエネルギー損失ΔEは、0.15<E<0.8の電子に対しては、D<R(0.8)のとき、
0.15<E<(ρD/0.407)1/1.38のとき ΔE=E (5)
E>(ρD/0.407)1/1.38のとき ΔE=E-(ρ(R(E)-D)/0.407)1/1.38 (6)
となり、0.8<E<3.0の電子に対しては、
0.8<E<(ρD+0.133)/0.542のとき ΔE=E (7)
E>(ρD+0.133)/0.542のとき ΔE=ρD×1.84 (8)
となる。ここで、本実施形態に係る比例計数管112は、0.8>(ρD+0.133)/0.542を満たすように設けられている。比例計数管112におけるエネルギー損失は、式(5),(6),(8)から図4のように表される。図4から0.8MeV以上の電子については、比例計数管112中でのエネルギー損失は一定になることが分かる。本発明ではこの性質を利用する。また、他のエネルギーについては、比例計数管の検出実効距離Dで止まるエネルギーR−1(D)までのエネルギーの電子は0からR−1(D)の間で検出され、R−1(D)から0.8MeVまでのエネルギーの電子は、ρD×1.84からR−1(D)の間に分布することになる。
図5は、図3で示される制御・表示器133で算出されるエネルギー損失のスペクトルの例を表す模式図である。図5によれば、0.8MeV以上のエネルギーの電子のエネルギー損失は、電子のエネルギーに関係なく一定で、スペクトル上でピークを形成する。このエネルギー損失一定の性質によれば、電子線のエネルギースペクトルが図6のように一様な分布であると仮定した場合であっても、比例計数管112のガス中でのエネルギー損失のスペクトルは図5ようになる。つまり、エネルギー損失のスペクトルにおけるピークは、電子線のエネルギー分布が如何なる場合でも、電子のエネルギーが0.8MeV以上であれば形成される。すなわち、0.8MeV以上の電子線のエネルギー損失は一定であることより、ベータ線が連続のエネルギースペクトルを示すのに対して、エネルギー損失のスペクトルでは1つのピークに変換されることとなる。
図7は、図3で示される制御・表示器133で実際に算出されて表示されたエネルギー損失のスペクトルの例を表す図である。図5で示したように、高いエネルギーのベータ線のエネルギー損失は、ベータ線のエネルギーの違いに拘わらず一定のため、スペクトル上で10keVのエネルギーレンジ(18keV)でピークを形成することが確かめられた。なお、比例計数管112の中ではベータ線の方向は一方方向だけでないので、図7のピークは高エネルギー側に広がる形状となっている。
制御・表示器133は、例えば、図5のようにエネルギー損失ΔE1〜ΔE2のベータ線を検出する。これにより、エネルギーの異なる高いエネルギーを持ったベータ線を一義的に検出することが可能となる。
また、制御・表示器133は、試料20に含まれるイットリウム90から放出されるベータ線の計数値を算出する。具体的には、例えば、まず、試料20から放出された電子線が、ベータ線遮蔽板113を介して比例計数管112に到達する。比例計数管112に到達した電子線は、検出窓1123から円筒容器1121内部へ入射される。円筒容器1121内に電子線が入射すると円筒容器1121内で2次電子が発生し、発生した2次電子の数に比例した電気信号が制御・表示器格納部13へ出力される。制御・表示器133は、電気信号が増幅器131で増幅された信号を、予め設定された時間の間測定し、計数率N(カウント/秒)を求める。
続いて、10mm厚のアクリル樹脂を試料20とベータ線遮蔽板113との間に置く。これにより、試料20に含まれるであろうストロンチウムからのベータ線も遮断されることになる。制御・表示器133は、バックグラウンドを上記の測定と同じ時間測定し、バックグラウンドの計数率Nを求める。制御・表示器133は、先に取得した計数率Nからバックグラウンドの計数率Nを差し引いた計数率N−Nを算出する。計数率N−Nが、イットリウム90からのベータ線の計数率である。
また、制御・表示器133は、試料20中の比放射能を算出しても良い。具体的には、ストロンチウム90の放射能分布が一様で厚さに密度を掛けた値が0.515g/cm以上で放射能の強度が既知a(Bq/g)なストロンチウム90標準線源を、試料20を入れたプラスチック袋と同じ形状のプラスチック袋に入れて作成する。ストロンチウム90標準線源から放出された電子線が、ベータ線遮蔽板113を介して比例計数管112の円筒容器1121内部へ入射すると円筒容器1121内で2次電子が発生し、発生した2次電子の数に比例した電気信号が制御・表示器格納部13へ出力される。制御・表示器133は、電気信号が増幅器131で増幅された信号を、予め設定された時間の間測定し、計数率N(カウント/秒)を求める。
ベータ線の強度は、線源と測定器との間の物質の厚さがxで、その密度がρのとき近似的にe−μmρx(μは物質に依存しない。)で与えられる(例えば、非特許文献5参照)。また、電子のエネルギーが一定ならば、密度×飛程は、物質に依存しない。これらの性質を用いると、試料20中の比放射能a(Bq/g)は、イットリウム90からのベータ線の計数率N−Nを用いて、
a=as×(N−NB)/(NS−NB) (9)
と求められる。
また、制御・表示器133は、試料20中の放射能強度を算出しても良い。検出器窓に垂直な試料20の面積S(cm)が検出窓の面積より小さく、試料の密度×厚さが0.515(g/cm)より大きく、その密度と比放射能が一様な場合、試料を、既知の放射能強度A(Bq)のストロンチウム90標準線源を試料とした測定と同じ幾何学的条件で測定する。試料中の比放射能強度a(Bq/g)は、既知の放射能強度A、イットリウム90からのベータ線の計数率N−N、および、ストロンチウム90標準線源の測定により得られた計数率N−Nを用い、下式から求められる。
a=As×(N−NB)/((NS−NB)×0.228×S) (10)
以上のように、第1の実施形態では、ガンマ線およびX線に対して光電効果を起こしにくい原子番号の小さい元素のガスが封入されている比例計数管112を、放射性同位元素から放出される電子線を遮断可能な筐体111に格納する。そして、筐体111の接続口に、イットリウム90からのベータ線よりもエネルギーの低い電子線を除去するベータ線遮蔽板113を、比例計数管112を遮蔽するように設けるようにしている。これにより、試料20を保持している筐体121を筐体111に接続した場合、試料20に含まれるストロンチウム90の娘核であるイットリウム90から放出されたベータ線がベータ線遮蔽板113を介して比例計数管112に入射することになる。また、ベータ線のエネルギーが0.8MeV以上では、比例計数管112のガス中でのベータ線のエネルギー損失は一定である。このため、一定のエネルギーが損失したベータ線の数を、制御・表示器133で計測することで、試料20に含まれるイットリウム90からのベータ線を検出することが可能となる。
したがって、第1の実施形態に係るストロンチウム90放射能測定装置10によれば、試料20を化学処理せず、サーベーメーター的に簡易に短時間でストロンチウム90を検出し、その放射能を測定することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ストロンチウム90放射能測定装置10が1つの比例計数管112を備える例を説明した。第2の実施形態では、検出器としての比例計数管112を2つ備えるストロンチウム90放射能測定装置30について説明する。なお、検出限界値は、バックグラウンドの標準偏差の3倍程度であるので、バックグラウンドは小さければ小さいほど良い。そこで、比較的ストロンチウム90の放射能が高い場合は、第1の実施形態に係るストロンチウム90放射能測定装置10で検査する。実際、小型にできるので携帯的に使用できる。一方、ストロンチウム90の放射能が低い試料の場合は、本実施形態に係るストロンチウム90放射能測定装置30で検査する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係るストロンチウム90放射能測定装置30の構成を表す図である。図9は、図8におけるA−A断面図であり、図10は、図8におけるB−B断面図である。図8乃至図10では、2つの比例計数管311,312を用いるストロンチウム90放射能測定装置30を表している。
図8に示されるストロンチウム90放射能測定装置30は、検出器格納部31、試料格納部12、および制御・表示器格納部32を備えている。検出器格納部31と試料格納部12とは、取り外し可能に接続されている。
検出器格納部31は、筐体111を有し、筐体111の内部に、検出器である比例計数管311,312を格納している。筐体111の内部において、比例計数管311,312は、その底面が水平方向を向き、かつ、水平方向に並列に配列されている。なお、比例計数管312は、比例計数管311を挟んで試料20と対向するように、比例計数管311と並列して配列されていると換言可能である。
測定において、試料中の放射性同位元素からのガンマ線がコンプトン散乱又は光電効果を起こして発生する2次電子もバックグラウンドとなり得る。数100keV以上のガンマ線の場合は、コンプトン散乱が主となる。コンプトン散乱による2次電子のエネルギーは、ガンマ線のエネルギーより小さい。一方、光電効果の場合は、ガンマ線とほぼ同じエネルギーの光電子が発生する。バックグラウンドを形成すると考えられるセシウム137(ガンマ線(662keV))、セシウム134(ガンマ線(605keV、796keV))、カリウム40(ガンマ線(1461keV))、鉛212(ガンマ線(239keV))からのガンマ線による2次電子は、その飛程に基づくと、厚さ5.58mmのアクリル樹脂によって遮断できると理論的に計算できる。そこで、筐体111の中央部には、内部を2部屋に仕切るように、アクリル樹脂から成る低エネルギーベータ線遮蔽板1111が設けられている。ところで、低エネルギーベータ線遮蔽板1111には、ベータ線を吸収する効果がある。つまり、低エネルギーベータ線遮蔽板1111は、1MeV以上のセシウム137、カリウム40からのベータ線等を吸収すると共に、イットリウム90からのベータ線も吸収する。このため、ガンマ線の飛程のみを考慮に入れて低エネルギーベータ線遮蔽板1111を設計すると、イットリウム90からのベータ線の検出効率が下がってしまう。そこで、イットリウム90からのベータ線の検出効率を極力下げず、セシウム137、カリウム40からのベータ線の検出効率を十分に下げるように、低エネルギーベータ線遮蔽板1111の厚さを求める必要がある。
ストロンチウム90からのベータ線を用いて、アクリル板によるベータ線の吸収効果を調べたところ、アクリル板の厚さの指数関数でベータ線の強度が減衰することが分かった。吸収関数が指数関数ならば、ベータ線の最大エネルギーでの飛程で横軸を揃えると(規格すると)、吸収関数はどのベータ線も同じ関数になることが分かっている(例えば、非特許文献6参照)。この結果を用いて、セシウム137からのベータ線(最大エネルギー1.17MeV)及びカリウム40からのベータ線(最大エネルギー1.3MeV)は、2mmのアクリル板で約20分の1に減衰されることが期待される。
自然界の物質でカリウム40を多く含んでいる物質、例えばカリウム肥料はカリウム40を7000Bq/kg程度含んでいる。カリウム40は試料中に一様に含まれているので、ベータ線は試料中でも吸収され、この吸収効果((1−Exp(−μR))/μR)をμ=10.17cm/g(非特許文献6)、R=0.5716g/cm(非特許文献7)と求めて計算すると、0.17となる。したがって、7000Bq/kgのカリウム40が7000×0.05×0.17=60Bq/kgとなり、一般のカリウム肥料に含まれるカリウム40は、ストロンチウム90の測定において、無視できるようになる。一方、2mmのアクリル板によって、イットリウム90からのベータ線に対する検出効率は約0.3となり、イットリウム90からのベータ線を十分測定できる。セシウム137の最大エネルギー1.17MeVのベータ線は、1壊変に対して放出割合が5.6%と小さく、またカリウム40のベータ線よりエネルギーが低いので、遮蔽体による吸収効果は大きいが、非常に放射能が高い場合、ストロンチウム90の測定に影響を与える可能性がある。しかしながら、ガンマ線測定により、セシウム137の放射能が分かるので、バックグラウンドとして差し引くことができる。
上記実験に基づき、低エネルギーベータ線遮蔽板1111の厚さを2mmとした。低エネルギーベータ線遮蔽板1111の厚さをベータ線の飛程と吸収の効果とを考慮して決定することにより、イットリウム90からベータ線のみを効率良く測定できる。
比例計数管311,312はそれぞれ、低エネルギーベータ線遮蔽板1111により仕切られている各部屋に格納されている。比例計数管311,312で同時計数を行うことにより、1461keV(カリウム40からのガンマ線の光電子のエネルギー)以上から2280keVまでのイットリウム90からのベータ線を検出し、その放射能の測定を確定し、感度も上げることが可能となる。
筐体111には、試料格納部12と接続する接続口が設けられている。筐体111の接続口には、筐体111に格納される比例計数管311を遮蔽するように検出窓313が設けられている。検出窓313は、試料格納部12に格納される試料20から、比例計数管311を保護するためのものであり、例えば、0.1mm厚のアクリル樹脂が用いられる。
比例計数管311,312は、ベータ線の検出に対しては絶対検出効率が1で、ガンマ線およびX線の検出に対しては低検出効率であるガス検出器であり、数keVの低いエネルギーも測定できるように構成されている。
具体的には、例えば、比例計数管311,312は、円筒容器と、円筒容器の中心軸に沿って張られた芯線とを有する。それぞれの円筒容器は、例えば、その直径が約5cmであり、高さが約10cmである。
比例計数管311の側面部のうち、試料20と対向する所定の位置、および比例計数管312と低エネルギーベータ線遮蔽板1111を隔てて対向する所定の位置には、入射口が設けられている。入射口にはそれぞれ検出窓3111,3112が形成されている。検出窓3111,3112には、ベリリウム薄膜などの金属薄膜、アルミニウムなどを蒸着したプラスチック薄膜が使用される。
比例計数管312の側面部のうち、比例計数管311と低エネルギーベータ線遮蔽板1111を隔てて対向する所定の位置には、入射口が設けられている。入射口には検出窓3121が形成されている。検出窓3121には、ベリリウム薄膜などの金属薄膜、アルミニウムなどを蒸着したプラスチック薄膜が使用される。なお、比例計数管312の筐体111側の側面部にも入射口が設けられ、この入射口に検出窓が形成されても構わない。これにより、比例計数管311と比例計数管312との構造が同一となり、予備の比例計数管の所有本数を減らすことが可能となる。
図11は、図8で示される制御・表示器格納部32に格納される回路のブロックダイアグラムの例を示す図である。図11に示される制御・表示器格納部32は、増幅器321−1,321−2、高電圧器322、同時計数回路323、制御・表示器324、およびデータディスプレイ325を格納している。増幅器321−1,321−2は、比例計数管311,312から出力される電気信号をそれぞれ増幅し、増幅した信号を同時計数回路323へ出力する。高電圧器322は、制御・表示器324からの制御に従い、比例計数管311,312へ電圧を印加する。
同時計数回路323は、例えば、複数のアナログ回路を有している。具体的には、同時計数回路323は、例えば、リニア−ゲート回路(LG)3231−1,3231−2、遅延回路(DL)3232、時間波高変換器(TAC)3233、およびアナログ−デジタル変換器(ADC)3234を有している。
比例計数管311から出力される電気信号ΔEにより求められるエネルギー損失のスペクトルは、例えば、図12で示されるように、図5で示されるスペクトルと同様の特性を有する。リニア−ゲート回路3231−1は、比例計数管311の出力ΔEのうち、ρD×1.84を中心に比例計数管311のΔE1〜ΔE2のエネルギー損失の信号だけを時間波高変換器3233へ通す。これにより、主として0.8MeV以上の電子が選択されることになる。リニア−ゲート回路3231−1から出力された信号は、時間波高変換器3233のSTARTに入力される。
比例計数管312には、比例計数管311、および比例計数管311,312の間に設けられている低エネルギーベータ線遮蔽板1111を通り抜けてきたベータ線が到達する。比例計数管312から出力される電気信号ΔEにより求められるエネルギー損失のスペクトルは、例えば、図13のようになる。リニア−ゲート回路3231−2は、比例計数管312の出力ΔEのうち、ΔE’1(≒0keV)からΔE’2(=R−1(D))の間の信号を遅延回路3232へ通す。遅延回路3232は、入力された信号を予め設定された時間、例えば、T秒遅らせる。遅延回路3232でT秒遅らされた信号は、時間波高変換器3233のSTOPへ入力される。時間波高変換器3233は、比例計数管311からの信号の時間波高変換器3233への到着時刻と、比例計数管312からの信号の時間波高変換器3233への到着時刻との差tを電圧値へ変換し、その波高のパルス信号をアナログ−デジタル変換器3234へ出力する。アナログ−デジタル変換器3234は、時間波高変換器3233から出力されるパルス信号に基づき、同時計数スペクトルを作成する。例えば、アナログ−デジタル変換器3234は、受信したパルス信号の数を、パルス信号の波高に応じた時間毎にカウントする。
図14は、アナログ−デジタル変換器3234により作成される同時計数スペクトルの例を表す図である。図14に示されるように、同時計数スペクトルは、時間tの関数として表される。このように、比例計数管311で検出されて、比例計数管312で検出された検出時間の差についてのスペクトルが、遅延回路3232で遅らせたT秒において、一つのピークを形成する。制御・表示器324は、時間波高変換器3233が持つ時間分解能ΔTの幅の、ピークが出現する時間幅ΔT1間の計数をN(カウント/秒)とし、ΔT1から外れた任意の位置でのΔTの幅の時間幅ΔT2間の計数をバックグラウンドN(カウント/秒)とする。制御・表示器324は、(N−N)(カウント/秒)を、イットリウム90からのベータ線のうち、低エネルギーベータ線遮蔽板1111を通り抜けたベータ線の計数とする。
データディスプレイ325は表示面が制御・表示器格納部32の上側表面を向くように配置されている。データディスプレイ325は、同時計数回路323により取得された計測データを表示する。測定者は、データディスプレイ325に表示される計測データを、ストロンチウム90放射能測定装置30の上側から視認することが可能である。また、制御・表示器格納部32には、回路系に電気を供給するバッテリー(図示せず)も内蔵されている。データディスプレイ325及びバッテリーが制御・表示器格納部32に格納されることにより、ストロンチウム90放射能測定装置30はハンディ検出器となっている。
図15は、図11で示される同時計数回路323で実際に算出される同時計数の時間スペクトルの例を表す図である。図9、図10で示される比例計数管311,312で同時計数されるベータ線の連続エネルギースペクトルは、時間スペクトルで一つのピークになることが確認された。これにより、ストロンチウム90の娘核イットリウム90からのベータ線が測定された。
以上のように、第2の実施形態では、比例計数管311,312を、側面部を放射線の進行方向に互いに対向させて筐体111に格納する。そして、比例計数管311と比例計数管312との間に、イットリウム90からのベータ線よりもエネルギーの低い電子線を除去し、かつ、ガンマ線による2次電子を遮断する低エネルギーベータ線遮蔽板1111を設けるようにしている。これにより、試料20を保持している筐体121を筐体111に接続した場合、ストロンチウム90の娘核であるイットリウム90を含む試料20内の元素から放出されたベータ線が比例計数管311に入射することになる。また、比例計数管311と低エネルギーベータ線遮蔽板1111とを通過した、イットリウム90からのベータ線よりも低いエネルギーの電子線が除去され、かつ、ガンマ線による2次電子が遮断されたベータ線が比例計数管312に入射することになる。このため、比例計数管311,312での検出結果に基づき、試料20に含まれるストロンチウム90の放射能を正確に測定することが可能となる。
したがって、第2の実施形態に係るストロンチウム90放射能測定装置30によれば、試料20を化学処理せず、サーベーメーター的に簡易に短時間でストロンチウム90を検出することができる。
また、第2の実施形態では、検出器格納部31の筐体111内部において、比例計数管311,312が、その底面が水平方向を向き、かつ、水平方向に並列に配列されている。2次宇宙線である高エネルギーのミューオンはバックグラウンドとなり得る。ミューオンは天頂から下方に向けて降ってくる。そこで、ミューオンが最も多く入射する天頂の方向に、比例計数管311,312の側面部を向けることにより、ミューオンが二つの比例計数管311,312を同時に通り抜けないように、すなわち、ミューオンの同時計数を減らすようにしている。これにより、感度を上げることが可能となる。また、検出器の後部に比例計数管を置き、ベータ線検出用の比例計数管と反同時計数を行うことによって、非常に希に水平から検出器に入射するミューオンを排除できる。
(その他の実施形態)
数ベクレル/kg程度の検出感度が欲しい場合は、検出領域を広くし、一度に測定する試料の量を増やすことにより、検出感度を上げることができる。検出領域を広くするために、試料と対向して配置される比例計数管の本数を増やしても構わない。
また、比例計数管の代わりに検出面積が広いGas Electron Multiplier(GEM)を使用しても良い。図16は、GEMを用いたストロンチウム90放射能測定装置40の例を表す図である。ストロンチウム90放射能測定装置40は、検出器格納部41、および制御・表示器格納部42を備える。検出器格納部41は、例えば、第1の筐体411、第2の筐体412、GEM413−1,413−2、アノード414−1,414−2、カソード415、及び検出窓416を有している。
第1の筐体411は、例えば、ストロンチウム90の娘核のイットリウム90から放出される2280keVのベータ線を遮断可能な14mm厚のアクリル樹脂であり、試料20を固定可能な形状をしている。第1の筐体411は、第2の筐体412と接続可能な接続口を有している。第2の筐体412は、第1の筐体411と同様に、例えば、14mm厚のアクリル樹脂である。第2の筐体412は、第1の筐体411と接続可能な接続口を有している。第1の筐体411と、第2の筐体412とが接続することで、第1及び第2の筐体411,412の内部にGEM413−1,413−2、アノード414−1,414−2、カソード415、及び検出窓416が格納される。
検出窓416は、GEM413−1と、試料20との間に設けられている。検出窓416は、試料20からGEM413−1を保護するためのものであり、例えば、0.1mm厚のアクリル樹脂が用いられる。カソード415は、イットリウム90からのベータ線以外の電子を遮断又は除去する役目をし、約2mmのプラスチックの全面にアルミニウムを薄く蒸着したものである。カソード415は、第2の実施形態で説明した低エネルギーベータ線遮蔽板1111の役割も果たす。
制御・表示器格納部42は、図11に示される制御・表示器格納部32と同様に、例えば、増幅器、高電圧器、同時計数回路、制御・表示器、およびデータディスプレイなどを格納している。
比例計数管の代わりにGEM413−1,413−2を使用することにより、検出領域を広くし、一度に測定する試料の量を増やすことが可能となり、検出感度を上げることができるようになる。
なお、上記実施形態では、ベータ線検出部は、ベータ線を通しやすく、かつエネルギー損失を精度よく測定できるガスを用いた検出器を用いているが、この形態に限られるものではない。ベータ線のエネルギー損失検出部としては、非常に薄いゲルマニウム半導体検出器、シリコン半導体検出器などの半導体検出器、プラスチックシンチレータなどを採用してもよい。
また、上記実施形態では、検出器格納部11と試料格納部12とが別々の筐体により実現される場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。検出器格納部11及び試料格納部12は、試料20を内部に保持可能であれば、1つの物体として構成されても構わない。
福島第一原子力発電所事故によってストロンチウム90が事故前より多く汚染された地域が福島第一原子力発電所を中心として半径80km以内で確認されている。相馬市、浪江町、双葉町では2000ベクレル/mを超える汚染箇所が局所的に確認されている。これらの場所の安全確認に本発明は貢献するものと期待できる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても本発明に含まれる。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成などに特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
10,30,40…ストロンチウム90放射能測定装置、11,31,41…検出器格納部、111,121…筐体、1111…低エネルギーベータ線遮蔽板、112,311,312…比例計数管、1121…円筒容器、1122…芯線、1123,3111,3112,3121…検出窓、113…ベータ線遮蔽板、12…試料格納部、13,32,42…制御・表示器格納部、131,321−1,321−2…増幅器、132,322…高電圧器、133,324…制御・表示器、134,325…データディスプレイ、313,416…検出窓、323…同時計数回路、3231−1,3231−2…リニア−ゲート回路、3232…遅延回路、3233…時間波高変換器、3234…アナログ−デジタル変換器、20…試料、411…第1の筐体、412…第2の筐体、413−1,413−2…GEM、414−1,414−2…アノード、415…カソード。

Claims (13)

  1. バックグラウンドとなる放射線を遮断し、内部に試料を保持可能に形成される筐体と、
    前記筐体内の、前記試料と対向する位置に設けられ、入射されるベータ線のエネルギー損失に応じた信号を出力する第1の検出器と、
    前記筐体内において、前記試料と前記第1の検出器との間に設けられ、予め設定されたエネルギー以下のベータ線を遮断するベータ線遮蔽板と、
    前記第1の検出器から出力される、予め設定されたエネルギー損失の信号に基づき、前記試料中に含まれるストロンチウム90の娘核イットリウム90から放出されるベータ線の数を測定する信号処理部と
    を具備するストロンチウム90放射能測定装置。
  2. 前記第1の検出器は、比例計数管である請求項1記載のストロンチウム90放射能測定装置。
  3. 前記筐体内の、前記第1の検出器と前記試料との間に、前記第1の検出器と並列して設けられ、入射されるベータ線のエネルギー損失に応じた信号を出力する第2の検出器をさらに具備し、
    前記ベータ線遮蔽板は、前記第1の検出器と前記第2の検出器との間に設けられ、
    前記信号処理部は、前記第1の検出器と前記第2の検出器とから出力される、予め設定されたエネルギー損失の信号に基づき、前記試料中に含まれるストロンチウム90の娘核イットリウム90から放出されるベータ線の数を測定する請求項1記載のストロンチウム90放射能測定装置。
  4. 前記第1の検出器と、前記第2の検出器とで略同時に検出されたベータ線の数をカウントする同時計数回路をさらに具備し、
    前記信号処理部は、前記同時計数回路でカウントされた計数に基づき、前記試料中に含まれるストロンチウム90の娘核イットリウム90から放出されるベータ線の数を測定する請求項3記載のストロンチウム90放射能測定装置。
  5. 前記第1及び第2の検出器は、比例計数管である請求項3又は4記載のストロンチウム90放射能測定装置。
  6. 比例計数管である前記第1及び第2の検出器は、底面が水平方向を向くように、並列配置される請求項5記載のストロンチウム90放射能測定装置。
  7. 前記第1及び第2の検出器は、Gas Electron Multiplier(GEM)から成る請求項3又は4記載のストロンチウム90放射能測定装置。
  8. 試料から放出されるベータ線を、予め設定されたエネルギー以下のベータ線を遮断するベータ線遮蔽板を介して第1の検出器に入射させ、
    前記第1の検出器により、前記入射させたベータ線のエネルギー損失に応じた信号を発生させ、
    前記第1の検出器で発生された、予め設定されたエネルギー損失の信号の数に基づき、前記試料中に含まれるストロンチウム90の娘核イットリウム90から放出されるベータ線の数を測定するストロンチウム90放射能測定方法。
  9. 前記第1の検出器は、比例計数管である請求項8記載のストロンチウム90放射能測定方法。
  10. 前記試料から放出されるベータ線を第2の検出器に入射させ、
    前記第2の検出器により、前記入射させたベータ線のエネルギー損失に応じた信号を発生させ、
    前記第2の検出器を透過したベータ線を、前記ベータ線遮蔽板を介して第1の検出器に入射させ、
    前記第1の検出器と前記第2の検出器とで発生された、予め設定されたエネルギー損失の信号の数に基づき、前記試料中に含まれるストロンチウム90の娘核イットリウム90から放出されるベータ線の数を測定する請求項8記載のストロンチウム90放射能測定方法。
  11. 前記第1の検出器と、前記第2の検出器とで略同時に発生された信号の数をカウントし、
    前記カウントされた計数に基づき、前記試料中に含まれるストロンチウム90の娘核イットリウム90から放出されるベータ線の数を測定する請求項10記載のストロンチウム90放射能測定方法。
  12. 前記第1及び第2の検出器は、比例計数管である請求項10又は11記載のストロンチウム90放射能測定方法。
  13. 前記第1及び第2の検出器は、Gas Electron Multiplier(GEM)から成る請求項10又は11記載のストロンチウム90放射能測定方法。
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