実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る管理システム106に接続される冷凍サイクル装置について説明する。管理システム106については後述する図2を参照されたい。管理システム106の詳細については後述するが、本実施の形態1においては、管理システム106は、例えば、データ取得システム又は異常検知システムとして構成される。
図1は、本実施の形態1に係る空気調和装置101の概略構成の一例を示す冷媒回路図である。本実施の形態1では、冷凍サイクル装置として、空気調和装置101を例示している。本実施の形態1の空気調和装置101は、ビル、マンション又は商業施設等に設置されるビル用マルチエアコンである。この空気調和装置101は、空調用の冷媒を循環させる蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、冷房運転又は暖房運転を実行することができるものである。冷房運転及び暖房運転は、利用ユニット側での選択により切り換えられるようになっている。
図1に示すように、空気調和装置101は、内部に冷媒を循環させる冷凍サイクル回路を有している。冷凍サイクル回路は、圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、少なくとも1つの膨張弁14a、14b、少なくとも1つの室内熱交換器15a、15b、及びアキュムレータ19が、冷媒配管を介して環状に接続された構成を有している。冷房運転時には、圧縮機1、室外熱交換器3、膨張弁14a及び室内熱交換器15a、又は、圧縮機1、室外熱交換器3、膨張弁14b及び室内熱交換器15bがこの順に環状に接続される。暖房運転時には、四方弁2により冷媒流路が切り替えられ、圧縮機1、室内熱交換器15a、膨張弁14a及び室外熱交換器3、又は、圧縮機1、室内熱交換器15b、膨張弁14b及び室外熱交換器3がこの順に環状に接続される。
また、空気調和装置101は、室外熱交換器3と膨張弁14a、14bとの間を流れる冷媒の一部をアキュムレータ19に戻すバイパス回路21を有している。バイパス回路21には、バイパス回路21に分流した冷媒を減圧するバイパス減圧機構20が設けられている。さらに、空気調和装置101は、室外熱交換器3と膨張弁14a、14bとの間を流れる冷媒をバイパス減圧機構20で減圧された冷媒との熱交換によって冷却する過冷却熱交換器11を有している。
空気調和装置101は、例えば室外に設置される1台の熱源ユニット304と、例えば室内に設置され、熱源ユニット304に対して並列に接続された複数台の利用ユニット303a、303bと、を有している。熱源ユニット304と利用ユニット303a、303bとの間は、液配管27及びガス配管28を介して接続されている。液配管27及びガス配管28は、熱源ユニット304と利用ユニット303a、303bとの間を接続する延長配管であり、冷凍サイクルを構成する冷媒配管の一部である。図1では、1台の熱源ユニット304と2台の利用ユニット303a、303bとを示しているが、空気調和装置101は、2台以上の熱源ユニット304を有していてもよいし、1台のみ又は3台以上の他の利用ユニットを有していてもよい。なお、熱源ユニット304は室内機の一例である。また、利用ユニット303a、303bは室内機の一例であり、負荷ユニットとも称される。
熱源ユニット304には、圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、アキュムレータ19、過冷却熱交換器11及びバイパス減圧機構20等が収容されている。また、熱源ユニット304には、室外熱交換器3に外気を送風する室外送風機4が収容されている。
利用ユニット303aには、膨張弁14a及び室内熱交換器15aが収容されている。また、図示しないが、利用ユニット303aには、室内熱交換器15aに空気を送風する室内送風機が収容されている。同様に、図示しないが、利用ユニット303bには、膨張弁14b、室内熱交換器15b、及び室内熱交換器15bに空気を送風する室内送風機が収容されている。
圧縮機1は、吸入した低圧冷媒を圧縮し、高圧冷媒として吐出する流体機械である。本実施の形態1の圧縮機1は、インバータにより回転数が制御されるようになっている。
四方弁2は、冷媒流路切替装置の一例であり、冷房運転時と暖房運転時とで冷媒の流れ方向を切り替える弁である。四方弁2は、第1〜第4の4つのポートを有している。第1ポートは、圧縮機1の吐出側に接続されている。第2ポートは、室外熱交換器3に接続されている。第3ポートは、圧縮機1の吸入側に接続されるアキュムレータ19に接続されている。第4ポートは、ガス配管28に接続されている。冷房運転時には、四方弁2は、図1の実線で示すように、第1ポートと第2ポートとが連通し、第3ポートと第4ポートとが連通する状態に設定される。暖房運転時には、四方弁2は、図1の破線で示すように、第1ポートと第4ポートとが連通し、第2ポートと第3ポートとが連通する状態に設定される。
室外熱交換器3は、熱源側熱交換器とも称され、冷房運転時には凝縮器として機能し、暖房運転時には蒸発器として機能する熱交換器である。図1に示すように、室外熱交換器3は、例えば、内部を流通する冷媒と、室外送風機4により送風される空気、すなわち外気との熱交換が行われる空冷式熱源側熱交換器として構成できる。空冷式熱源側熱交換器は、例えば、伝熱管と複数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器として構成できる。なお、凝縮器は放熱器とも称され、蒸発器は冷却器とも称される。
室外送風機4は、熱源側送風ファンとも称され、室外熱交換器3に供給する空気の流量を可変に調整できるようになっている。室外送風機4は、例えば、DCファンモータによって駆動されるプロペラファンである。
アキュムレータ19は、余剰の冷媒を貯留する冷媒貯留機能と、運転状態が変化する際に一時的に発生する液冷媒を滞留させることにより、圧縮機1に大量の液冷媒が流入するのを防ぐ気液分離機能と、を有している。
膨張弁14a、14bは、例えば、多段階又は連続的に開度を調節可能な電子膨張弁である。電子膨張弁としては、例えばリニア電子膨張弁が用いられる。なお、膨張弁14a、14bは減圧装置の一例であり、膨張弁14a、14bに代えて、キャピラリ等の他の減圧装置を用いることもできる。
室内熱交換器15a、15bは、負荷側熱交換器とも称され、冷房運転時には蒸発器として機能し、暖房運転時には凝縮器として機能する熱交換器である。室内熱交換器15a、15bでは、内部を流通する冷媒と、室内送風機によりそれぞれ送風される空気との熱交換が行われる。室内熱交換器15a、15bは、例えば、伝熱管と複数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器として構成できる。
また、空気調和装置101には、圧縮機1から吐出される冷媒の圧力である吐出圧力を検出する圧力センサ201と、圧縮機1に吸入される冷媒の圧力である吸入圧力を検出する圧力センサ211と、が設けられている。圧力センサ201、211は、後述する制御部107に検出信号を出力するようになっている。
また、空気調和装置101には、冷凍サイクル内の冷媒の温度を直接又は冷媒配管等を介して間接的に検出する複数の温度センサが設けられている。具体的には、熱源ユニット304には、圧縮機1から吐出される冷媒の温度を検出する温度センサ202と、室外熱交換器3の液側の冷媒、すなわち、冷房運転時には室外熱交換器3から流出する液冷媒、暖房運転時には室外熱交換器3に流入する液冷媒又は二相冷媒の温度を検出する温度センサ203と、過冷却熱交換器11の高圧側流路と液配管27との間の冷媒の温度を検出する温度センサ207と、バイパス減圧機構20と過冷却熱交換器11の低圧側流路との間の冷媒の温度を検出する温度センサ212と、過冷却熱交換器11の低圧側流路の出口側の冷媒の温度を検出する温度センサ213とが設けられている。利用ユニット303aには、室内熱交換器15aの入口側及び出口側の冷媒の温度を検出する温度センサ208a、209aが設けられている。同様に、利用ユニット303bには、室内熱交換器15bの入口側及び出口側の冷媒の温度を検出する温度センサ208b、209bが設けられている。
また、熱源ユニット304には、圧縮機1の底部の温度を検出する温度センサ214と、熱源ユニット304の外気温度等の雰囲気温度を検出する温度センサ204とが設けられている。利用ユニット303aには、利用ユニット303aの室内温度等の雰囲気温度を検出する温度センサ210aが設けられている。利用ユニット303bには、利用ユニット303bの室内温度等の雰囲気温度を検出する温度センサ210bが設けられている。
また、空気調和装置101は、制御部107を有している。制御部107は、CPU、ROM、RAM、I/Oポート等を備えたマイコンを備えている。制御部107は、熱源ユニット304に設けられる熱源ユニット制御装置と、利用ユニット303a、303bのそれぞれに設けられ、熱源ユニット制御装置とデータ通信可能な利用ユニット制御装置とにより構成されていてもよい。
制御部107は、圧力センサ201、211及び温度センサ202、203、204、207、208a、208b、209a、209b、210a、210b、212、213、214からの検出信号等に基づいて、少なくとも冷凍サイクルの運転及び停止を含む空気調和装置101の運転状態を制御するものである。また、制御部107は、少なくとも冷凍サイクルの運転期間中、又は冷凍サイクルの運転期間及び停止期間を含む常時に、各種センサからの検出信号に基づき取得される圧力及び温度のデータ、冷凍サイクルの運転/停止状態を示すデータ、並びに空気調和装置101の単位期間毎、例えば、1日毎の運転データ等を、データ送信装置102に送信するように構成できる。例えば、制御部107からデータ送信装置102に送信されるデータとしては、冷凍サイクル内の冷媒の圧力及び温度のデータ、冷凍サイクルの圧縮機1の底部温度のデータ、熱源ユニット304の雰囲気温度のデータ、利用ユニット303a、303bの雰囲気温度のデータ等が含まれる。
次に、空気調和装置101の動作について説明する。制御部107は、利用ユニット303a、303bからの要求に基づいて、熱源ユニット304及び利用ユニット303a、303bに搭載されている各機器を制御し、冷房運転モード及び暖房運転モードを実行することができる。
まず、冷房運転モードについて説明する。冷房運転モードでは、圧縮機1の吐出側と室外熱交換器3とが接続され、圧縮機1の吸入側とガス配管28とが接続されるように四方弁2が制御される。
圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁2を経由して室外熱交換器3に流入する。冷房運転では、室外熱交換器3は凝縮器として機能する。すなわち、室外熱交換器3では、内部を流通する冷媒と、室外送風機4により送風される外気との熱交換が行われ、冷媒の凝縮熱が送風空気に放熱される。これにより、室外熱交換器3に流入した冷媒は、凝縮して高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、過冷却熱交換器11で低圧冷媒との熱交換により冷却される。その後、液冷媒の一部はバイパス回路21に流入し、その他の液冷媒は液配管27に流入する。
液配管27を通過した高圧の液冷媒は、膨張弁14a、14bで減圧されて低圧の二相冷媒となる。膨張弁14a、14bを通過した低圧の二相冷媒は、室内熱交換器15a、15bに流入する。冷房運転では、室内熱交換器15a、15bは蒸発器として機能する。すなわち、室内熱交換器15a、15bでは、内部を流通する冷媒と、室内送風機により送風される室内空気との熱交換が行われ、冷媒の蒸発熱が送風空気から吸熱される。これにより、室内熱交換器15a、15bに流入した冷媒は、蒸発して低圧のガス冷媒又は二相冷媒となる。また、室内送風機により送風される空気は、冷媒の吸熱作用によって冷却され、冷風となる。室内熱交換器15a、15bを通過した低圧のガス冷媒又は二相冷媒は、ガス配管28及び四方弁2を通過し、アキュムレータ19に流入する。アキュムレータ19内の低圧のガス冷媒は、圧縮機1に吸入されて圧縮され、高温高圧のガス冷媒となる。冷房運転では、これらのサイクルが繰り返される。
冷房運転時には、圧縮機1は、蒸発温度が所定値となるように制御されている。蒸発温度は、圧力センサ211で検出される吸入圧力における飽和温度である。室外送風機4は、凝縮温度が所定値となるように制御されている。凝縮温度は、圧力センサ201で検出される吐出圧力における飽和温度である。すなわち、圧縮機1及び室外送風機4は、冷媒圧力を制御する機能を有している。バイパス減圧機構20は、バイパス過熱度が所定値となるように制御されている。バイパス過熱度は、温度センサ213で検出される温度から温度センサ212で検出される温度を差し引いた値である。膨張弁14aは、室内過熱度が所定値となるように制御されている。室内過熱度は、温度センサ209aで検出される温度から温度センサ208aで検出される温度を差し引いた値である。同様に、膨張弁14bは、温度センサ209bで検出される温度から温度センサ208bで検出される温度を差し引いた値である室内過熱度が所定値となるように制御されている。
また、冷房運転時には、空気調和装置101は、凝縮温度が一定の温度範囲内となる場合において、過冷却度が一定の温度範囲となるように、空気調和装置101の系全体が制御されている。過冷却度は、圧力センサ201で検出される吐出圧力における飽和温度から温度センサ207の検出温度を差し引いた値である。
次に、暖房運転モードについて説明する。暖房運転モードでは、圧縮機1の吐出側とガス配管28とが接続され、圧縮機1の吸入側と室外熱交換器3とが接続されるように四方弁2が制御される。
圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁2及びガス配管28を経由して、室内熱交換器15a、15bに流入する。暖房運転では、室内熱交換器15a、15bは凝縮器として機能する。すなわち、室内熱交換器15a、15bでは、内部を流通する冷媒と、室内送風機により送風される室内空気との熱交換が行われ、冷媒の凝縮熱が送風空気に放熱される。これにより、室内熱交換器15a、15bに流入した冷媒は、凝縮して高圧の液冷媒となる。また、室内送風機により送風される空気は、冷媒の放熱作用によって加熱され、温風となる。室内熱交換器15a、15bで凝縮した高圧の液冷媒は、膨張弁14a、14bで減圧されて低圧の二相冷媒となる。
膨張弁14a、14bを通過した低圧の二相冷媒は、液配管27及び過冷却熱交換器11を経由して、室外熱交換器3に流入する。暖房運転では、室外熱交換器3は蒸発器として機能する。すなわち、室外熱交換器3では、内部を流通する冷媒と、室外送風機4により送風される外気との熱交換が行われ、冷媒の蒸発熱が送風空気から吸熱される。これにより、室外熱交換器3に流入した冷媒は、蒸発して低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、四方弁2を通ってアキュムレータ19に流入する。アキュムレータ19内の低圧のガス冷媒は、圧縮機1に吸入されて圧縮され、高温高圧のガス冷媒となる。暖房運転では、これらのサイクルが繰り返される。
暖房運転時には、圧縮機1は、凝縮温度が所定値となるように制御されている。室外送風機4は、蒸発温度が所定値となるように制御されている。膨張弁14a、14bは、室内過冷却度が所定値となるように制御されている。室内過冷却度は、圧力センサ201で検出される吐出圧力における飽和温度から温度センサ208a又は温度センサ208bで検出される温度を差し引いた値である。
また、暖房運転時には、空気調和装置101は、凝縮温度が一定の温度範囲内となる場合において、過冷却度が一定の温度範囲となるように、空気調和装置101の系全体が制御されている。過冷却度は、圧力センサ201で検出される吐出圧力における飽和温度から温度センサ208a又は温度センサ208bの検出温度を差し引いた値である。
次に、上述の冷凍サイクル装置に接続される本実施の形態1の管理システム106について説明する。上述したように、本実施の形態1では、冷凍サイクル装置の管理システム106は、データ取得システム又は異常検知システムとして構成される。また、以下では、管理システム106に接続する冷凍サイクル装置の一例として、空気調和装置101を用いて説明する。
図2は、本実施の形態1に係る管理システム106の空気調和装置101への接続例を示す概略図である。図2に示すように、管理システム106は、少なくとも1台の空気調和装置101に接続されたデータ送信装置102に、通信ネットワーク103を介して接続できる。
データ送信装置102は、例えば、ローカルコントローラとして構成され、空気調和装置101と共に物件108内に設置されている。データ送信装置102は、1台又は複数台の空気調和装置101に直接又は専用アダプタを介して接続されている。データ送信装置102は、1台又は複数台の空気調和装置101の制御部107との間でデータの送受信を行い、空気調和装置101を集中して管理するものである。データ送信装置102は、CPU、ROM、RAM、I/Oポート等を備えたマイコンを有している。また、データ送信装置102は、管理システム106との間でデータの送受信を行うように構成される。例えば、データ送信装置102は、圧力及び温度等のデータを制御部107から定期的に受信し、受信したデータを管理システム106に送信する。
管理システム106は、データ送信装置102から受信したデータを処理する監視装置104と、データ送信装置102から受信したデータを蓄積するデータ蓄積装置105とを有している。管理システム106は、例えば、物件108から離れた遠隔サーバとして、例えば、遠隔管理センター内に設置できる。
図3は、本実施の形態1に係る管理システム106における監視装置104の構成を示すブロック図である。図3に示すように、監視装置104は、管理システム106における制御装置の一例であり、演算部120、制御部121、通信部122及び表示部123を有している。演算部120は、データの平均値算出などの演算を行うように構成される。制御部121は、データ送信装置102へのデータ送信命令等の制御を行うように構成される。例えば、管理システム106が異常検知システムとして構成される場合には、制御部121は、異常検知モードの設定、異常判定などの制御を行うように構成できる。通信部122は、インターネット回線等の通信ネットワーク103を介してデータ送信装置102との間でデータの送受信を行うとともに、データ蓄積装置105との間でデータの送受信を行うように構成される。表示部123は、例えば、管理システム106が異常検知システムとして構成される場合には、監視装置104で実施された空気調和装置101の異常判定の判定結果、すなわち異常の有無を表示するように構成される。
図4は、本実施の形態1に係る管理システム106におけるデータ蓄積装置105の構成を示すブロック図である。図4に示すように、データ蓄積装置105は、記憶装置140を有している。記憶装置140には、監視装置104との間でデータの送受信を行う通信部141と、受信したデータを記憶する記憶部142とが設けられている。データ蓄積装置105は、監視装置104から1組のデータ、例えば、空気調和装置101の冷凍サイクルの圧力又は温度のデータ、及び熱源ユニット304の雰囲気温度のデータ、利用ユニット303a、303bの雰囲気温度のデータを受信すると、1組のデータを相互に関連付けた上で、新規データとして記憶部142に逐次、時系列に蓄積する。なお、本実施の形態1では、データ蓄積装置105は、監視装置104を介して通信ネットワーク103に接続されているが、データ蓄積装置105は通信ネットワーク103に直接接続される構成としてもよい。
本実施の形態1では、データ送信装置102、監視装置104及びデータ蓄積装置105を空気調和装置101とは別の構成としたが、データ送信装置102、監視装置104及びデータ蓄積装置105の機能を空気調和装置101の制御部107に備える構成としてもよい。また、本実施の形態1では、管理システム106は、データ送信装置102及び通信ネットワーク103を介して空気調和装置101に接続するように構成されているが、空気調和装置101に直接接続するように構成してもよい。
次に、本実施の形態1に係る管理システム106をデータ取得システムとして構成した場合に、監視装置104で実行される制御処理について図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態1に係る管理システム106をデータ取得システムとして構成した場合に、監視装置104で実行される制御処理の一例を示すフローチャートである。図5に示す処理は、少なくとも空気調和装置101の運転中を含む常時、又は空気調和装置101の運転中のみに、所定の時間間隔に繰り返して実行される。
また、以降の説明では、空気調和装置101において測定されるパラメータのうち、空気調和装置101の圧力又は温度、例えば、空気調和装置101の冷凍サイクルにおける圧力又は温度のデータ等の状態を示すパラメータを、環境のパラメータと称する。また、空気調和装置101において測定されるパラメータのうち、圧縮機1の周波数、膨張弁14a、14bの開度、又は室外送風機4の回転数等の空気調和装置101を構成する機器、すなわちアクチュエータの運転状態を示すパラメータを、運転状態のパラメータと称する。
ステップS1においては、監視装置104の制御部121は、空気調和装置101において測定されるパラメータの一部である第1のデータを、空気調和装置101からデータ送信装置102及び通信ネットワーク103を介して取得する処理を行う。例えば、第1のデータは、空気調和装置101における環境のパラメータ又は空気調和装置101の運転状態のパラメータを含むものである。
ステップS2においては、監視装置104の制御部121は、取得した第1のデータを複数のデータ群に分類する処理を行う。複数のデータ群の数値範囲は、凝縮温度、蒸発温度等の第1のデータの属性に応じて、任意の数値範囲に決定される。図6は、本実施の形態1に係る第1のデータを複数のデータ群に分類する工程の一例を概略的に示したブロック図である。図6に示すように、監視装置104において分類された第1のデータはデータ蓄積装置105に送信される。送信された第1のデータは、データ蓄積装置105内にある記憶装置140の記憶部142にデータ群ごとに記憶される。第1のデータを複数のデータ群に分類するための演算は、監視装置104の演算部120で行われる。
ステップS3においては、監視装置104の制御部121は、記憶された複数のデータ群の中から、目標範囲となる指標データ群を選択する処理を行う。目標範囲となる指標データ群は、例えば、複数のデータ群の発生率である頻度を監視装置104の演算部120で演算し、該演算の結果に基づいて監視装置104の制御部121で高頻度の指標データ群が選択されることにより決定される。図6では、目標範囲となる高頻度の指標データ群は、「条件A」として図示されているものである。
ステップS4においては、監視装置104の制御部121で、第1のデータが目標範囲にあるか否かが判定される。第1のデータが目標範囲にないと判定された場合は制御処理は終了する。例えば、図6においては、ステップS4においては、第1のデータが条件Aを満たすか否かが判定される。第1のデータが、条件Aを満たさないと判定された場合、例えば、第1のデータが図6における低頻度の条件B、Cを満たす場合は、制御処理は終了する。
第1のデータが目標範囲にあると判定された場合、ステップS5において、監視装置104の制御部121は、空気調和装置101において測定されるパラメータの他の一部である第2のデータを、空気調和装置101からデータ送信装置102及び通信ネットワーク103を介して取得する処理を行う。第2のデータは、空気調和装置101における環境のパラメータ又は空気調和装置101の運転状態のパラメータを含み、第1のデータと異なるものである。
具体的には、ステップS5において、監視装置104の制御部121は、第2のデータの送信命令をデータ送信装置102に送信する。データの送信命令を受信したデータ送信装置102は、第2のデータを空気調和装置101から取得し、通信ネットワーク103を介して管理システム106に送信する。管理システム106内の監視装置104の制御部121は、取得した第2のデータをデータ蓄積装置105に送信する。データ蓄積装置105に送信された第2のデータは、データ蓄積装置105内にある記憶装置140の記憶部142に記憶される。
なお、ステップS2〜S4においては、第1のデータの目標範囲が監視装置104において決定される構成を例示しているが、第1のデータの目標範囲は、第1のデータの属性、空気調和装置101の仕様等を考慮して、所定の値に予め設定してもよい。例えば、第1のデータが凝縮温度である場合には、第1のデータの目標範囲、すなわち凝縮温度の目標温度の範囲は、33℃〜37℃の範囲に設定できる。
次に、本実施の形態1に係る管理システム106を異常検知システムとして構成した場合に、監視装置104で実行される制御処理について図7を用いて説明する。
図7は、本実施の形態1に係る管理システム106を異常検知システムとして構成した場合に、監視装置104で実行される制御処理の一例を示すフローチャートである。図7に示す処理は、図5の処理と同様に、少なくとも空気調和装置101の運転中を含む常時、又は空気調和装置101の運転中のみに、所定の時間間隔に繰り返して実行される。
ステップS11においては、監視装置104の制御部121は、データ取得システムでのステップS1の処理と同様に、空気調和装置101において測定されるパラメータの一部である第1のデータを、空気調和装置101から取得する処理を行う。ステップS12においては、監視装置104の制御部121は、データ取得システムでのステップS2の処理と同様に、取得した第1のデータを複数のデータ群に分類する処理を行う。
ステップS13においては、監視装置104の制御部121は、データ取得システムでのステップS3の処理と同様に、記憶された複数のデータ群の中から、第1の目標範囲となる指標データ群を選択する処理を行う。該指標データ群は、異常検知システムにおいては、異常検知の指標となるデータ群である。ステップS14においては、データ取得システムでのステップS4の処理と同様に、監視装置104の制御部121で、データ送信装置102から送信された第1のデータが第1の目標範囲にあるか否かが判定される。第1のデータが第1の目標範囲にあると判定された場合、ステップS15において、監視装置104の制御部121は、データ取得システムでのステップS5の処理と同様に、空気調和装置101において測定されるパラメータの他の一部である第2のデータを、空気調和装置101からデータ送信装置102及び通信ネットワーク103を介して取得する処理を行う。
ステップS16においては、監視装置104の制御部121は、第2のデータと、第2の目標範囲と比較する処理を行う。該比較演算は、監視装置104の演算部120で行われる。監視装置104の制御部121は、例えば、過去に取得された第2のデータを第3のデータとして、データ蓄積装置105内にある記憶装置140の記憶部142に記憶させ、記憶装置140に記憶された第3のデータから第2の目標範囲を決定するように構成できる。
ステップS17においては、監視装置104の制御部121で、第2のデータが、第2の目標範囲にあるか否かが判定される。第2のデータが、第2の目標範囲にあると判定された場合は、第2のデータは正常値であると見なされ、制御処理は終了する。
第2のデータが、第2の目標範囲にないと判定された場合、ステップS18において、監視装置104の制御部121は、第2のデータは異常であると検知する。
図8は、本実施の形態1に係る管理システム106を異常検知システムとして構成した場合における、監視装置104の制御部121における異常検知の一例を概略的に示したグラフである。図8の縦軸は第2のデータの大きさであり、例えば、第2のデータが圧縮機1の運転周波数である場合、縦軸の単位はHzとなる。図8の横軸は時間の経過を示している。図8のグラフに引かれた横軸に平行な2本の点線は、過去の第2のデータから正常値であると判定される第2の目標範囲を表している。任意の時点における第2のデータの大きさは、プロットで示されている。図8のグラフに示されるように、監視装置104は、現在の第2のデータが、過去の第2のデータの数値範囲、すなわち記憶装置140に記憶された第3のデータから決定される第2の目標範囲から外れた場合に異常と判定するように構成できる。
第2のデータが異常であると検知された場合、監視装置104の制御部121は、表示部123に異常をリアルタイムで表示させるように構成できる。また、監視装置104の制御部121は、空気調和装置101の保守点検又は定期点検の時に、記憶装置140に記憶した第2のデータを図8のグラフのように出力するように構成できる。第2のデータをグラフとして出力することによって、空気調和装置101の保守点検者又は定期点検者は、グラフのデータ推移から異常を検知することができる。
次に、管理システム106を異常検知システムとして構成した場合における、データ送信装置102と管理システム106との間のデータの送受信、及び管理システム106における異常検知について実施例1〜3を用いて具体的に説明する。
以下の実施例1〜3は、図7の制御処理で説明した、第1のデータ、第2のデータ、異常検知の指標となる指標データ群である条件A、その他のデータ群である条件B及びC、並びに過去の第2のデータの数値範囲を具体的に特定したものである。なお、図7の制御処理で説明したように、条件Aは、第1の目標範囲に該当するものであり、条件B及び条件Cは、第1の目標範囲外のデータ群である。また、過去の第2のデータの数値範囲は、記憶装置140に記憶された第3のデータから決定される第2の目標範囲に該当するものである。
また、以下の実施例1〜3においては、第1のデータは、空気調和装置101における制御量に該当するものである。第1の目標範囲は、空気調和装置101における制御量の目標値に該当するものである。第2のデータは、空気調和装置101における制御量の目標値に、第1のデータを調整する操作量に該当するものである。第2の目標範囲は、空気調和装置101における制御量の目標値に、第1のデータを調整するのに用いられる通常の操作量である。
(実施例1)
本実施の形態1における実施例1について図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態1の制御処理における、データ送信装置102と管理システム106との間のデータの送受信の一例を概略的に示したものである。鉛直下方に延在する矢印は時間経過を示し、水平方向の矢印はデータの送受信を示している。
空気調和装置101において、圧縮機1の運転周波数fは、凝縮温度Tが所定の数値範囲となるように制御されている。すなわち、実施例1の空気調和装置101の制御系においては、凝縮温度Tが制御量となり、圧縮機1の運転周波数fが操作量となる。実施例1では、第1のデータを制御量である凝縮温度Tとし、第2のデータを操作量である圧縮機1の運転周波数fとした。凝縮温度Tは、例えば、圧力センサ201で検出される吐出圧力における飽和温度として算出される。
圧縮機1の性能が正常である場合、制御量である凝縮温度Tが所定の数値範囲となるように、操作量である圧縮機1の運転周波数fは所定の数値範囲に制御される。したがって、圧縮機1に異常がある場合、例えば、圧縮機1の性能が低下している場合には、凝縮温度Tが所定の数値範囲となるように、圧縮機1の運転周波数fは所定の数値範囲よりも大きくなるように制御される。
実施例1における異常検知の指標となる指標データ群である条件A、すなわち第1の目標範囲は、凝縮温度Tが34℃<T≦36℃となるものとした。また、その他のデータ群である条件B、Cは、それぞれ、凝縮温度Tが36℃<T≦38℃、32℃<T≦34℃となるものとした。
また、実施例1における過去の第2のデータ、すなわち、過去の圧縮機1の運転周波数fの数値範囲である第2の目標範囲は、58Hz<f≦62Hzになることとした。
図9のフェーズP1では、データ送信装置102から条件Aを満たさない制御量である第1のデータ、例えば、T=37.0℃、33.5℃が送信された場合を考える。この場合、管理システム106はこれらの第1のデータを条件B、Cのデータ群に分類する。一方、データ送信装置102に対しては、管理システム106は何のアクションも起こさないため、フェーズP1での異常検知処理は終了する。
図9のフェーズP2では、データ送信装置102から条件Aを満たす制御量である第1のデータ、例えば、T=35.0℃が送信された場合を考える。この場合、管理システム106は、これらの第1のデータを条件Aのデータ群に分類し、管理システム106はデータ送信装置102に第2のデータである圧縮機1の運転周波数fの送信要求を行う。データ送信装置102は、この送信要求を受けて、操作量である第2のデータを管理システム106に送信する。ここでは、管理システム106に送信された圧縮機1の運転周波数fは、f=60.0Hzであったとする。管理システム106では、取得した第2のデータが過去の第2のデータの数値範囲である第2の目標範囲と比較され、取得した第2のデータは、第2の目標範囲にあると判定される。結果、第2のデータは正常値であると検知され、フェーズP2での異常検知処理は終了する。
図9のフェーズP3では、データ送信装置102から条件Aを満たす制御量である第1のデータ、例えば、T=35.5℃が送信された場合を考える。この場合、管理システム106は、これらの第1のデータを条件Aのデータ群に分類し、管理システム106はデータ送信装置102に第2のデータである圧縮機1の運転周波数fの送信要求を行う。データ送信装置102は、この送信要求を受けて、操作量である第2のデータを管理システム106に送信する。ここでは、管理システム106に送信された圧縮機1の運転周波数fは、f=65.0Hzであったとする。管理システム106では、取得した第2のデータが過去の第2のデータの数値範囲である第2の目標範囲と比較され、取得した第2のデータは、第2の目標範囲にないと判定される。結果、第2のデータは異常であると検知され、フェーズP3での異常検知処理は終了する。
(実施例2)
暖房運転時の空気調和装置101においては、室外送風機4の回転数n、例えば、分単位の回転数nは、蒸発温度T1が所定の数値範囲となるように制御されている。すなわち、実施例2の空気調和装置101の制御系においては、蒸発温度T1が制御量となり、室外送風機4の回転数nが操作量となる。実施例2では、第1のデータを制御量である蒸発温度T1とし、第2のデータを操作量である室外送風機4の分単位の回転数nとした。蒸発温度T1は、例えば、圧力センサ201で検出される吐出圧力における飽和温度として算出される。
室外送風機4の性能が正常である場合、制御量である蒸発温度T1が所定の数値範囲となるように、操作量である室外送風機4の回転数nは所定の数値範囲に制御される。したがって、室外送風機4に異常がある場合、例えば、室外送風機4の性能が低下している場合には、蒸発温度T1が所定の数値範囲となるように、室外送風機4の回転数nは所定の数値範囲よりも大きくなるように制御される。
実施例2における異常検知の指標となる指標データ群である条件A、すなわち第1の目標範囲は、蒸発温度T1が−36℃<T1≦−34℃となるものとした。また、その他のデータ群である条件B、Cは、それぞれ、蒸発温度T1が−38℃<T1≦−36℃、−34℃<T1≦−32℃となるものとした。
また、実施例2における過去の第2のデータ、すなわち、過去の室外送風機4の分単位の回転数nの数値範囲である第2の目標範囲は、58<n≦62になることとした。
データ送信装置102から条件Aを満たさない制御量である第1のデータ、例えば、T1=−37.0℃、−35.5℃が送信された場合を考える。この場合、図9のフェーズP1の場合と同様に、管理システム106はこれらの第1のデータを条件B、Cのデータ群に分類する。一方、データ送信装置102に対しては、管理システム106は何のアクションも起こさないため、このフェーズでの異常検知処理は終了する。
データ送信装置102から条件Aを満たす制御量である第1のデータ、例えば、T1=−35.0℃が送信された場合を考える。この場合、図9のフェーズP2の場合と同様に、管理システム106は、これらの第1のデータを条件Aのデータ群に分類し、管理システム106はデータ送信装置102に第2のデータである室外送風機4の回転数nの送信要求を行う。データ送信装置102は、この送信要求を受けて、操作量である第2のデータを管理システム106に送信する。ここでは、管理システム106に送信された室外送風機4の回転数nは、n=60.0であったとする。管理システム106では、取得した第2のデータが過去の第2のデータの数値範囲である第2の目標範囲と比較され、取得した第2のデータは、第2の目標範囲にあると判定される。結果、第2のデータは正常値であると検知され、このフェーズでの異常検知処理は終了する。
データ送信装置102から条件Aを満たす制御量である第1のデータ、例えば、T1=−35.5℃が送信された場合を考える。この場合、図9のフェーズP3の場合と同様に、管理システム106は、これらの第1のデータを条件Aのデータ群に分類し、管理システム106はデータ送信装置102に第2のデータである室外送風機4の回転数nの送信要求を行う。データ送信装置102は、この送信要求を受けて、操作量である第2のデータを管理システム106に送信する。ここでは、管理システム106に送信された室外送風機4の回転数nは、n=65.0であったとする。管理システム106では、取得した第2のデータは、第2の目標範囲と比較され、取得した第2のデータは、第2の目標範囲にないと判定される。結果、第2のデータは異常であると検知され、このフェーズでの異常検知処理は終了する。
(実施例3)
暖房運転時の空気調和装置101においては、膨張弁14aの開度Dは、室内過冷却度T2が所定の数値範囲となるように制御されている。実施例3の空気調和装置101の制御系においては、室内過冷却度T2が制御量となり、膨張弁14aの開度Dが操作量となる。実施例3では、第1のデータを制御量である室内過冷却度T2とし、第2のデータを操作量である膨張弁14aの開度Dとした。ここでは、膨張弁14aの開度Dは全開開度を1、全閉開度を0と規定することとし、開度Dの取り得る範囲は0≦D≦1とした。室内過冷却度T2は、例えば、圧力センサ201で検出される吐出圧力における飽和温度から温度センサ208aの検出温度を減算した値として算出される。
膨張弁14aの性能が正常である場合、制御量である室内過冷却度T2が所定の数値範囲となるように、操作量である膨張弁14aの開度Dは所定の数値範囲に制御される。したがって、膨張弁14aに異常がある場合、例えば、膨張弁14aに詰まりが発生している場合には、室内過冷却度T2が所定の数値範囲となるように、膨張弁14aの開度Dは所定の数値範囲よりも大きくなるように制御される。
実施例2における異常検知の指標となる指標データ群である条件A、すなわち第1の目標範囲は、室内過冷却度T2が5℃<T2≦6℃となるものとした。また、その他のデータ群である条件B、Cは、それぞれ、室内過冷却度T2が6℃<T2≦7℃、5℃<T≦6℃となるものとした。
また、実施例3における過去の第2のデータ、すなわち、過去の膨張弁14aの開度Dの数値範囲である第2の目標範囲は、0.40<D≦0.60になることとした。
データ送信装置102から条件Aを満たさない制御量である第1のデータ、例えば、T2=6.5℃、5.1℃が送信された場合を考える。この場合、図9のフェーズP1の場合と同様に、管理システム106は、これらの第1のデータを条件B、Cのデータ群に分類する。一方、データ送信装置102に対しては、管理システム106は何のアクションも起こさないため、このフェーズでの異常検知処理は終了する。
データ送信装置102から条件Aを満たす制御量である第1のデータ、例えば、T2=5.1℃が送信された場合を考える。この場合、図9のフェーズP2の場合と同様に、管理システム106は、これらの第1のデータを条件Aのデータ群に分類し、管理システム106はデータ送信装置102に第2のデータである膨張弁14aの開度Dの送信要求を行う。データ送信装置102は、この送信要求を受けて、操作量である第2のデータを管理システム106に送信する。ここでは、管理システム106に送信された膨張弁14aの開度Dは、D=0.42であったとする。管理システム106では、取得した第2のデータは、第2の目標範囲と比較され、取得した第2のデータは、第2の目標範囲にあると判定される。結果、第2のデータは正常値であると検知され、このフェーズでの異常検知処理は終了する。
データ送信装置102から条件Aを満たす制御量である第1のデータ、例えば、T2=5.5℃が送信された場合を考える。この場合、図9のフェーズP3の場合と同様に、管理システム106は、これらの第1のデータを条件Aのデータ群に分類し、管理システム106はデータ送信装置102に第2のデータである膨張弁14aの開度Dの送信要求を行う。データ送信装置102は、この送信要求を受けて、操作量である第2のデータを管理システム106に送信する。ここでは、管理システム106に送信された膨張弁14aの開度Dは、D=0.65であったとする。管理システム106では、取得した第2のデータが過去の第2のデータの数値範囲である第2の目標範囲と比較され、取得した第2のデータは、第2の目標範囲にないと判定される。結果、第2のデータは異常であると検知され、このフェーズでの異常検知処理は終了する。
以上説明したように、本実施の形態1に係るデータ取得システムは、圧縮機1と膨張弁14a、14bとを備える空気調和装置101に接続され、空気調和装置101において測定されるパラメータの一部である第1のデータを、空気調和装置101から取得し、第1のデータが目標範囲にある場合に、空気調和装置101において測定されるパラメータの他の一部である第2のデータを、空気調和装置101から取得する監視装置104を備える。
また、本実施の形態1に係るデータ取得方法は、圧縮機1と膨張弁14a、14bとを備える空気調和装置101において測定されるパラメータを取得する、データ取得システムのデータ取得方法であって、空気調和装置101において測定されるパラメータの一部である第1のデータを、空気調和装置101から取得する工程と、第1のデータが目標範囲にある場合に、空気調和装置101において測定されるパラメータの他の一部である第2のデータを、空気調和装置101から取得する工程とを有する。
上述の構成によれば、冷凍サイクル装置において測定されるパラメータの一部を取得する構成にできるため、データ蓄積装置105の容量不足を解消できる。
また、本実施の形態1に係るデータ取得システムは、空気調和装置101に通信ネットワーク103を介して接続できる。本実施の形態1に係るデータ取得システムは、空気調和装置101において測定されるパラメータの一部を取得する構成にできるため、通信ネットワーク103の通信容量の増加を解消できる。また、データ取得システムを通信ネットワーク103を介して接続することにより、データ取得システムを遠隔監視サーバとして構成できるため、多数の空気調和装置101のデータを同時に管理可能なデータ取得システムを構築できる。
また、本実施の形態1に係るデータ取得システムにおいては、第1のデータ及び第2のデータは、空気調和装置101における環境のパラメータ又は空気調和装置101の運転状態のパラメータを含むように構成できる。具体的には、前記環境のパラメータは、圧力のパラメータ又は温度のパラメータを含むように構成できる。また、温度のパラメータは、凝縮温度、蒸発温度、又は過冷却度のうちの1つ以上を含むように構成できる。また、運転状態のパラメータは、圧縮機1の運転周波数又は膨張弁14a、14bの開度を含むように構成できる。また、本実施の形態1に係るデータ取得システムは、空冷式熱源側熱交換器と、空冷式熱源側熱交換器に空気を供給する室外送風機4とを備える空気調和装置101で用いることができ、運転状態のパラメータが、室外送風機4の回転数を含むように構成できる。
本実施の形態1では、例えば、空気調和装置101における異常検知のためのデータとして、環境のパラメータ又は運転状態のパラメータを取得することができる。取得した環境のパラメータ又は運転状態のパラメータは、データ蓄積装置105に記憶させることができ、データ蓄積装置105に記憶されたデータは、空気調和装置101の保守点検又は定期点検の時に、例えば、図8のグラフのように紙面に出力できる。空気調和装置101の保守点検者又は定期点検者は、出力されたグラフのデータ推移から異常を検知することができる。具体的には、圧縮機1の運転周波数のデータ推移から圧縮機1の性能低下を検知することができる。また、膨張弁14a、14bの開度のデータ推移から膨張弁14a、14bの詰まりを検知することができる。また、室外送風機4の回転数のデータ推移から室外送風機4の性能低下を検知することができる。
なお、本実施の形態1に係るデータ取得システム及びデータ取得方法においては、データ取得システムは、管理システム106の一例であり、膨張弁14a、14bは、減圧装置の一例であり、空気調和装置101は、冷凍サイクル装置の一例であり、監視装置104は、制御装置の一例である。また、空冷式熱源側熱交換器は、室外熱交換器3の一例であり、室外送風機4は、熱源側送風ファンとも称される。
本実施の形態1に係る異常検知システムは、圧縮機1と膨張弁14a、14bとを備える空気調和装置101に接続され、空気調和装置101において測定されるパラメータの一部である第1のデータを、空気調和装置101から取得し、第1のデータが第1の目標範囲にある場合に、空気調和装置101において測定されるパラメータの他の一部である第2のデータを、空気調和装置101から取得し、第2のデータが第2の目標範囲にない場合に、空気調和装置101が異常であると検知する監視装置104を備える。
また、本実施の形態1に係る異常検知方法は、圧縮機1と膨張弁14a、14bとを備える空気調和装置101の異常を検知する、異常検知システムの異常検知方法であって、空気調和装置101において測定されるパラメータの一部である第1のデータを、空気調和装置101から取得する工程と、第1のデータが第1の目標範囲にある場合に、空気調和装置101において測定されるパラメータの他の一部である第2のデータを、空気調和装置101から取得する工程と、第2のデータが第2の目標範囲にない場合に、空気調和装置101が異常であると検知する工程とを有する。
上述の構成によれば、空気調和装置101から取得可能な少量のデータで、空気調和装置101の異常を検知することができる。したがって、本実施の形態1によれば、異常検知のために用いるデータ量を大幅に削減できるため、データ蓄積装置105の容量不足が解消可能である。また、これらの構成によれば、異常検知のために異常検知システムで消費されるエネルギー消費量を削減できる。
また、本実施の形態1に係る異常検知システムは、空気調和装置101に通信ネットワーク103を介して接続できる。本実施の形態1に係る異常検知システムは、空気調和装置101において測定されるパラメータの一部を取得する構成にできるため、通信ネットワーク103の通信容量の増加を解消できる。また、異常検知システムを通信ネットワーク103を介して接続することにより、異常検知システムを遠隔監視サーバとして構成できるため、多数の空気調和装置101のデータを同時に管理可能な異常検知システムを構築できる。
本実施の形態1に係る異常検知システムは、空気調和装置101から取得された第2のデータを、第3のデータとして記憶するデータ蓄積装置105を更に備え、監視装置104は、データ蓄積装置105に記憶された第3のデータから、第2の目標範囲を決定するように構成できる。この構成によれば、少量のデータを時系列で比較することによって、冷媒漏れを含む異常を検知することができるため、製品の安全性及び環境保全性を高めることができるとともに、環境負荷を低減することができる。
本実施の形態1に係る異常検知システムにおいては、第1のデータは、空気調和装置101における制御量を含み、第1の目標範囲は、制御量の目標値とし、第2のデータは、目標値に第1のデータを調整する操作量を含み、第2の目標範囲は、目標値に第1のデータを調整するのに用いられる通常の操作量となるように構成できる。具体的には、本実施の形態1に係る異常検知システムにおいては、制御量は、凝縮温度を含み、操作量は、圧縮機1の運転周波数を含み、空気調和装置101の異常は、圧縮機1の性能低下を含むように構成できる。また、本実施の形態1に係る異常検知システムにおいては、制御量は、過冷却度を含み、操作量は、膨張弁14a、14bの開度を含み、空気調和装置101の異常は、膨張弁14a、14bの詰まりを含むように構成できる。また、本実施の形態1に係る異常検知システムは、空冷式熱源側熱交換器と、空冷式熱源側熱交換器に空気を供給する室外送風機4とを備える空気調和装置101で用いることができ、制御量は、蒸発温度を含み、操作量は、室外送風機4の回転数を含み、空気調和装置101の異常は、室外送風機4の性能低下を含むように構成できる。
本実施の形態1では、空気調和装置101の制御系の一部に着目することにより、空気調和装置101のアクチュエータの異常を検知することができる。例えば、異常検知システムは、凝縮温度が所定の温度範囲に制御されているときの圧縮機1の運転周波数を監視し、圧縮機1の運転周波数が所定の運転周波数範囲にない場合に、圧縮機1の性能低下を検知するように構成できる。また、異常検知システムは、過冷却度が所定の温度範囲に制御されているときの膨張弁14a、14bの開度を監視し、膨張弁14a、14bの開度が所定の開度範囲にない場合に、膨張弁14a、14bの詰まりを検知するように構成できる。また、異常検知システムは、蒸発温度が所定の温度範囲に制御されているときの室外送風機4の回転数を監視し、室外送風機4の回転数が所定の回転数範囲にない場合に、室外送風機4の性能低下を検知するように構成できる。
なお、本実施の形態1に係る異常検知システム及び異常検知方法においては、異常検知は、管理システム106の一例であり、膨張弁14a、14bは、減圧装置の一例であり、空気調和装置101は、冷凍サイクル装置の一例であり、監視装置104は、制御装置の一例である。また、空冷式熱源側熱交換器は、室外熱交換器3の一例であり、室外送風機4は、熱源側送風ファンとも称される。
本実施の形態1に係る空気調和装置101は、圧縮機1と膨張弁14a、14bとを備える冷凍サイクル回路と、冷凍サイクル回路において測定されるパラメータの一部である第1のデータを冷凍サイクル回路から取得し、第1のデータが第1の目標範囲にある場合に、冷凍サイクル回路において測定されるパラメータの他の一部である第2のデータを冷凍サイクル回路から取得する制御部107とを備える。この構成によれば、本実施の形態1に係る異常検知システムと同等の制御処理が可能な制御部107を備える空気調和装置101を提供できる。
また、本実施の形態1に係る空気調和装置101においては、制御部107は、第2のデータが第2の目標範囲にない場合に、冷凍サイクル回路が異常であると検知するように構成できる。この構成によれば、本実施の形態1に係る異常検知システムと同等の制御処理が可能な制御部107を備える空気調和装置101を提供できる。
なお、本実施の形態1に係る空気調和装置101は、冷凍サイクル装置の一例であり、膨張弁14a、14bは、減圧装置の一例であり、制御部107は、制御装置の一例である。
実施の形態2.
上述の実施の形態1では、室外熱交換器3を空冷式熱源側熱交換器とした空冷式の空気調和装置101を構成した場合について説明した。本発明の実施の形態2では、室外熱交換器3を水冷式熱源側熱交換器とした水冷式の空気調和装置101を構成した場合について説明する。例えば、水冷式の空気調和装置101の熱源ユニット304としては、水冷式のチラーユニット等がある。
図10は、本実施の形態2に係る空気調和装置101の概略構成の一例を示す冷媒回路図である。本実施の形態2に係る空気調和装置101では、室外熱交換器3の一例である空冷式熱源側熱交換器及び室外送風機4の代わりに、室外熱交換器3の別の一例である水冷式熱源側熱交換器と、水冷式熱源側熱交換器に接続された水冷ポンプ305とを備える。水冷式熱源側熱交換器及び水冷ポンプ305は配管接続され、水又はブラインを循環させる水冷回路を構成する。また、図示しないが、水冷回路には、水又はブラインを大気と直接的又は間接的に接触させて冷却する、屋外に設置された冷却塔が配管接続されている。
水冷式熱源側熱交換器は、冷凍サイクル回路の内部を流通する冷媒と、水冷ポンプ305により水冷回路に循環される水又はブラインとの熱交換が行われるように構成できる。水冷式熱源側熱交換器は、例えばシェルアンドチューブ式又は二重管コイル式の熱交換器として構成できる。
水冷回路においては、水冷式熱源側熱交換器の流入口側に、水冷式熱源側熱交換器の水冷回路側の入口側を流れる水又はブラインの冷却水温度を配管を介して検出する温度センサ220が設けられている。また、水冷回路においては、水冷式熱源側熱交換器の流出口側に、水冷式熱源側熱交換器の水冷回路側の出口側を流れる水又はブラインの冷却水温度を配管を介して検出する温度センサ221が設けられている。温度センサ220、221は、例えばサーミスタ等を用いて構成される。
水冷ポンプ305は、冷却塔から水又はブラインを吸引し、吸引した水又はブラインを水冷式熱源側熱交換器に圧入する流体機械である。水冷ポンプ305は、電流によって水又はブラインの流量を調整できるように構成される。水冷ポンプ305は、例えば、モータを流れる電流量によって容量制御可能なDCポンプ等で構成される。
水冷ポンプ305を駆動するモータを流れる電流量は電流センサ240によって検出される。電流センサ240は、例えばホール素子を用いて構成できる。電流センサ240は制御部107に検出信号を出力するように構成される。
本実施の形態2における空気調和装置101の他の構成は、上述の実施の形態1で説明した構成と同一である。
次に、本実施の形態2において、管理システム106を異常検知システムとして構成した場合における、データ送信装置102と管理システム106との間のデータの送受信、及び管理システム106における異常検知の一例について説明する。
以下の例は、上述の実施の形態1の図7の制御処理で説明した、第1のデータ、第2のデータ、異常検知の指標となる指標データ群である条件A、その他のデータ群である条件B及びC、並びに過去の第2のデータの数値範囲を具体的に特定したものである。なお、図7の制御処理で説明したように、条件Aは、第1の目標範囲に該当するものであり、条件B及び条件Cは、第1の目標範囲外のデータ群である。また、過去の第2のデータの数値範囲は、記憶装置140に記憶された第3のデータから決定される第2の目標範囲に該当するものである。
また、以下の例においては、第1のデータは、空気調和装置101における制御量に該当するものである。第1の目標範囲は、空気調和装置101における制御量の目標値に該当するものである。第2のデータは、空気調和装置101における制御量の目標値に、第1のデータを調整する操作量に該当するものである。第2の目標範囲は、空気調和装置101における制御量の目標値に、第1のデータを調整するのに用いられる通常の操作量である。
冷房運転時の空気調和装置101においては、水冷ポンプ305を駆動するモータの電流値Iは、水冷式熱源側熱交換器の出入口温度、すなわち水冷式熱源側熱交換器の水冷回路側の流入口と流出口との間の温度差ΔT3が所定の数値範囲となるように制御されている。すなわち、本実施の形態2の空気調和装置101の制御系の一例においては、水冷式熱源側熱交換器の水冷回路側の流入口と流出口との間の温度差ΔT3が制御量となり、モータの電流値Iが操作量となる。本実施の形態2では、第1のデータを制御量である水冷式熱源側熱交換器の水冷回路側の流入口と流出口との間の温度差ΔT3とし、第2のデータを操作量であるモータの電流値Iとした。水冷式熱源側熱交換器の水冷回路側の流入口と流出口との間の温度差ΔT3は、例えば、温度センサ220で検出される温度と温度センサ221で検出される温度との差として算出される。また、モータの電流値Iは、電流センサ240によって検出される。なお、以下では、「水冷式熱源側熱交換器の水冷回路側の流入口と流出口との間の温度差ΔT3」を「温度差ΔT3」と称する。
水冷ポンプ305の性能が正常である場合、制御量である温度差ΔT3が所定の数値範囲となるように、操作量であるモータの電流値Iは所定の数値範囲に制御される。したがって、水冷ポンプ305に異常がある場合、例えば、水冷回路に詰まりが発生している場合には、温度差ΔT3が所定の数値範囲となるように、モータの電流値Iは所定の数値範囲よりも大きくなるように制御される。
本実施の形態2における異常検知の指標となる指標データ群である条件A、すなわち第1の目標範囲は、温度差ΔT3が5.0℃<ΔT3≦7.0℃となるものとした。また、その他のデータ群である条件B、Cは、それぞれ、温度差ΔT3が7.0℃<ΔT3≦9.0℃、3.0℃<ΔT3≦5.0℃となるものとした。
また、本実施の形態2における過去の第2のデータ、すなわち、過去のモータの電流値Iの数値範囲である第2の目標範囲は、0.5A<I≦1.0Aになることとした。
データ送信装置102から条件Aを満たさない制御量である第1のデータ、例えば、ΔT3=8.0℃、4.3℃が送信された場合を考える。この場合、上述の実施の形態1における図9のフェーズP1の場合と同様に、管理システム106はこれらの第1のデータを条件B、Cのデータ群に分類する。一方、データ送信装置102に対しては、管理システム106は何のアクションも起こさないため、このフェーズでの異常検知処理は終了する。
データ送信装置102から条件Aを満たす制御量である第1のデータ、例えば、ΔT3=6.0℃が送信された場合を考える。この場合、上述の実施の形態1における図9のフェーズP2の場合と同様に、管理システム106は、これらの第1のデータを条件Aのデータ群に分類し、管理システム106はデータ送信装置102に第2のデータであるモータの電流値Iの送信要求を行う。データ送信装置102は、この送信要求を受けて、操作量である第2のデータを管理システム106に送信する。ここでは、管理システム106に送信されたモータの電流値Iは、I=0.8Aであったとする。管理システム106では、取得した第2のデータが過去の第2のデータの数値範囲である第2の目標範囲と比較され、取得した第2のデータは、第2の目標範囲にあると判定される。結果、第2のデータは正常値であると検知され、このフェーズでの異常検知処理は終了する。
データ送信装置102から条件Aを満たす制御量である第1のデータ、例えば、ΔT3=6.5℃が送信された場合を考える。この場合、図9のフェーズP3の場合と同様に、管理システム106は、これらの第1のデータを条件Aのデータ群に分類し、管理システム106はデータ送信装置102に第2のデータであるモータの電流値Iの送信要求を行う。データ送信装置102は、この送信要求を受けて、操作量である第2のデータを管理システム106に送信する。ここでは、管理システム106に送信されたモータの電流値Iは、I=1.5Aであったとする。管理システム106では、取得した第2のデータは、第2の目標範囲と比較され、取得した第2のデータは、第2の目標範囲にないと判定される。結果、第2のデータは異常であると検知され、このフェーズでの異常検知処理は終了する。
なお、管理システム106をデータ取得システムとして構成した場合、同様の方法で、水冷ポンプ305における異常検知のためのデータとして、モータの電流値I又は温度差ΔT3を取得することができる。
以上に説明したとおり、本実施の形態2に係るデータ取得システムは、水冷式熱源側熱交換器と水冷式熱源側熱交換器に接続された水冷ポンプ305とを備え、水冷式熱源側熱交換器及び水冷ポンプ305が、水又はブラインを循環させる水冷回路を構成する空気調和装置101で用いることができ、温度のパラメータは、水冷式熱源側熱交換器の水冷回路側の流入口と流出口との間の温度差を含み、運転状態のパラメータは、水冷ポンプ305を駆動させる電流の測定値を含むように構成できる。
この構成によれば、本実施の形態2に係るデータ取得システムは、例えば、水冷ポンプ305における異常検知のためのデータとして、モータの電流値I又は温度差ΔT3を取得することができる。取得したモータの電流値I又は温度差ΔT3は、データ蓄積装置105に記憶させることができ、データ蓄積装置105に記憶されたデータは、空気調和装置101の保守点検又は定期点検の時に、例えば、図8のグラフのように紙面に出力できる。空気調和装置101の保守点検者又は定期点検者は、出力されたグラフのデータ推移から異常を検知することができる。すなわち、モータの電流値Iのデータ推移から水冷回路の詰まりを検知することができる。
また、本実施の形態2に係る異常検知システムは、水冷式熱源側熱交換器と、水冷式熱源側熱交換器に接続された水冷ポンプ305とを備え、水冷式熱源側熱交換器及び水冷ポンプ305が、水又はブラインを循環させる水冷回路を構成する空気調和装置101で用いることができ、制御量は、水冷式熱源側熱交換器の水冷回路側の流入口と流出口との間の温度差を含み、操作量は、水冷ポンプ305を駆動させる電流の測定値を含み、空気調和装置101の異常は、水冷回路の詰まりを含むように構成できる。
この構成によれば、空気調和装置101が水冷式であったとしても、異常検知システムを用いて、水冷式の空気調和装置101に特有の異常を検知することができる。
なお、本実施の形態2に係るデータ取得システム及び異常検知システムにおいては、データ取得システム及び異常検知システムは、管理システム106の一例であり、空気調和装置101は、冷凍サイクル装置の一例であり、水冷式熱源側熱交換器は、室外熱交換器3の一例である。
実施の形態3.
上述の実施の形態1及び上述の実施の形態2では、空気調和装置101を構成する機器、すなわちアクチュエータの運転状態を示すパラメータを第2のデータとして取得する管理システム106について具体例とともに説明した。本発明の実施の形態3では、温度状態を示すパラメータを第2のデータとして取得する管理システム106について具体例とともに説明する。
以下では、本実施の形態3における管理システム106を異常検知システムとして構成した場合における、データ送信装置102と管理システム106との間のデータの送受信、及び管理システム106における異常検知の一例について説明する。
以下の例は、上述の実施の形態1の図7の制御処理で説明した、第1のデータ、第2のデータ、異常検知の指標となる指標データ群である条件A、その他のデータ群である条件B及びC、並びに過去の第2のデータの数値範囲を具体的に特定したものである。なお、上の制御処理で説明したように、条件Aは、第1の目標範囲に該当するものであり、条件B及び条件Cは、第1の目標範囲外のデータ群である。また、過去の第2のデータの数値範囲は、記憶装置140に記憶された第3のデータから決定される第2の目標範囲に該当するものである。
空気調和装置101においては、凝縮温度T4が一定の温度範囲内となるとき、過冷却度T5が一定の温度範囲となるように、空気調和装置101の系全体が制御されている。本実施の形態3では、第1のデータを凝縮温度T4とし、第2のデータを過冷却度T5とした。凝縮温度T4は、例えば、圧力センサ201で検出される吐出圧力における飽和温度として算出される。過冷却度T5は、冷房運転時においては、例えば、圧力センサ201で検出される吐出圧力における飽和温度から温度センサ207の検出温度を減算した値として算出される。また、暖房運転時においては、過冷却度T5は、例えば、圧力センサ201で検出される吐出圧力における飽和温度から温度センサ208a又は温度センサ208bの検出温度を減算した値として算出される。
空気調和装置101からの冷媒漏れがない場合、凝縮温度T4が一定の範囲内となるときは、過冷却度T5が一定の範囲となる。一方、空気調和装置101からの冷媒漏れがある場合には、冷媒不足のために過冷却度T5が一定の範囲を外れて大きくなる。
本実施の形態3における異常検知の指標となる指標データ群である条件A、すなわち第1の目標範囲は、凝縮温度T4が34℃<T≦36℃となるものとした。また、その他のデータ群である条件B、Cは、それぞれ、凝縮温度T4が36℃<T≦38℃、32℃<T≦34℃となるものとした。
また、本実施の形態3における過去の第2のデータ、すなわち、過去の過冷却度T5の数値範囲である第2の目標範囲は、5℃<T4≦6℃になることとした。
データ送信装置102から条件Aを満たさない第1のデータ、例えば、T4=37.5℃、33.5℃が送信された場合を考える。この場合、上述の実施の形態1における図9のフェーズP1の場合と同様に、管理システム106はこれらの第1のデータを条件B、Cのデータ群に分類する。一方、データ送信装置102に対しては、管理システム106は何のアクションも起こさないため、このフェーズでの異常検知処理は終了する。
データ送信装置102から条件Aを満たす第1のデータ、例えば、T4=35.0℃が送信された場合を考える。この場合、上述の実施の形態1における図9のフェーズP2の場合と同様に、管理システム106は、これらの第1のデータを条件Aのデータ群に分類し、管理システム106はデータ送信装置102に第2のデータである過冷却度T5の送信要求を行う。データ送信装置102は、この送信要求を受けて、第2のデータを管理システム106に送信する。ここでは、管理システム106に送信された過冷却度T5は、T5=5.5℃であったとする。管理システム106では、取得した第2のデータが過去の第2のデータの数値範囲である第2の目標範囲と比較され、取得した第2のデータは、第2の目標範囲にあると判定される。結果、第2のデータは正常値であると検知され、このフェーズでの異常検知処理は終了する。
データ送信装置102から条件Aを満たす第1のデータ、例えば、T4=35.0℃が送信された場合を考える。この場合、図9のフェーズP3の場合と同様に、管理システム106は、これらの第1のデータを条件Aのデータ群に分類し、管理システム106はデータ送信装置102に第2のデータである過冷却度T5の送信要求を行う。データ送信装置102は、この送信要求を受けて、第2のデータを管理システム106に送信する。ここでは、管理システム106に送信された過冷却度T5は、T5=7.0℃であったとする。管理システム106では、取得した第2のデータは、第2の目標範囲と比較され、取得した第2のデータは、第2の目標範囲にないと判定される。結果、第2のデータは異常であると検知され、このフェーズでの異常検知処理は終了する。
以上に説明したとおり、本実施の形態3に係る異常検知システムにおいては、第1のデータは、凝縮温度を含み、第1の目標範囲は、空気調和装置101における凝縮温度の許容範囲となり、第2のデータは、過冷却度を含み、第2の目標範囲は、凝縮温度における過冷却度の許容範囲となるように構成でき、空気調和装置101の異常として、空気調和装置101からの冷媒漏れを検知できるように構成できる。
この構成によれば、空気調和装置101からの冷媒漏れを、凝縮温度が一定の範囲にある場合の過冷却度から検知できるため、空気調和装置101からの取得データ量を低減した状態であっても、空気調和装置101からの冷媒漏れを検知できるように構成できる。
また、管理システム106をデータ取得システムとして構成した場合、同様の方法で、空気調和装置101からの冷媒漏れ検知のためのデータとして、凝縮温度T4又は過冷却度T5を取得することができる。
なお、本実施の形態3に係るデータ取得システム及び異常検知システムにおいては、データ取得システム及び異常検知システムは、管理システム106の一例であり、空気調和装置101は、冷凍サイクル装置の一例である。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4では、上述の実施の形態1〜3に係る管理システム106における、第1のデータを複数のデータ群に分類するための数値範囲、例えば分割幅の決定処理について説明する。図11は、本実施の形態4に係る管理システム106における、第1のデータを複数のデータ群に分類するための数値範囲の決定処理の例を示すフローチャートである。図11に示す処理は、図5のステップS2の処理を行う際に一度だけ行うようにしてもよいし、最適な数値範囲を決定するために、例えば、1年に1回といった頻度で定期的に行うようにしてもよい。
図11におけるステップS21は、第1のデータを空気調和装置101から取得する工程であり、上述の実施の形態1に係る図5のステップS1及び図7のステップS11と同一の処理である。
ステップS22は、管理システム106に送信された第1のデータを複数のデータ群に分類する工程であり、上述の実施の形態1に係る図5のステップS2及び図7のステップS12と同一の処理である。
ステップS23は、記憶された複数のデータ群の中から、目標範囲となる指標データ群を選択する工程であり、上述の実施の形態1に係る図5のステップS3及び図7のステップS13と同一の処理である。
ステップS24においては、管理システム106内の監視装置104の制御部121は、現在の数値範囲で分類した場合の指標データ群のばらつき、すなわち分散を演算する。指標データ群のばらつきは、例えば指標データ群の標準偏差又は標準誤差とすることができる。監視装置104の制御部121は、演算部120で指標データのばらつきを演算させるようにしてもよい。
ステップS25においては、監視装置104の制御部121では、ステップS24で演算した指標データのばらつきが、ばらつきの基準値よりも小さいか否かが判定される。ばらつきの基準値は、第1のデータの属性に応じて任意に決定される。例えば、第1のデータが、上述の実施の形態1の実施例1の凝縮温度Tであり、指標データのばらつきが指標データ群の標準偏差である場合、ばらつきの基準値を35±0.5℃としてもよい。
ステップS25において、指標データのばらつきが、ばらつきの基準値以上であると判定された場合、ステップS26において、監視装置104の制御部121は、数値範囲が小さくなるように複数のデータ群の数値範囲を変更する。数値範囲の変更は、所定の幅で行うことができる。例えば、第1のデータが、上述の実施の形態1の実施例1の凝縮温度Tである場合、数値範囲の上限値と下限値を0.05℃ずつ変更し、数値範囲を小さくすることができる。その後、ステップS22において、管理システム106に送信された第1のデータを、変更後の数値範囲ごとに複数のデータ群に分類する工程が再度行われ、ステップS25において、ステップS24で演算した指標データのばらつきが、ばらつきの基準値よりも小さいと判定されるまで、ステップS22〜S26が繰り返し行われる。
ステップS25において、ステップS24で演算した指標データのばらつきが、ばらつきの基準値よりも小さいと判定された場合、ステップS27において、第1のデータを複数のデータ群に分類するための数値範囲が現在の数値範囲に決定される。
本実施の形態4によれば、このような決定処理を行うことによって、第1のデータの属性に応じた最適な数値範囲を動的に決定できるため、冷凍サイクル装置から取得可能な全てのデータから選択される少量のデータで、冷凍サイクル装置の異常を精度良く検知することができる。
その他の実施の形態.
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、通信ネットワーク103としてインターネット回線を例に挙げたが、通信ネットワーク103としてLAN又はWANを用いることもできる。
また、上述の実施の形態2では、数値範囲を指標データのばらつき、例えば、標準偏差に応じて変更し、最適な数値範囲を決定することとしたが、数値範囲を第1のデータの発生率、すなわち発生頻度に応じて変更し、最適な数値範囲を決定するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、冷凍サイクル装置として空気調和装置101を例に挙げたが、本発明は、給湯装置、冷凍機、冷蔵庫、自動販売機等の他の冷凍サイクル装置にも適用できる。