JP2019059271A - ステアリングナックル - Google Patents

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友明 黒石
Tomoaki Kuroishi
友明 黒石
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Abstract

【課題】取付部とアーム部との境界の損傷を抑制できるステアリングナックルを提供する。【解決手段】ステアリングナックル1は、車軸に取り付けられる本体部2と、軸部材に貫通される軸孔31を有する取付部3と、本体部2と取付部3とを繋ぐアーム部4とを備える。取付部3は、軸孔31が開口する平面状の取付座面32を有する。アーム部4は、取付座面32と隣り合うと共に交差する交差面41を有する。取付座面32と交差面41との境界線5は、軸孔31の中心と結ぶ距離が最短となる複数の特定点6を境界線5の途中にのみ有する。【選択図】図2

Description

本発明は、ステアリングナックルに関する。特に、車軸が取り付けられる本体部と、軸部材に貫通される軸孔を有する取付部と、本体部と取付部とを繋ぐアーム部とを備え、取付部とアーム部との境界の損傷を抑制できるステアリングナックルに関する。
自動車の車輪を支持する部材として、特許文献1の車両用サスペンション装置に備わるナックル(ステアリングナックル)が知られている。このナックルは、車軸が取り付けられるボス孔を有するナックル本体(本体部)と、ナックル本体に下方に延びるように形成され、連結部材を介してロアアームが連結される下ブラケット部(取付部及びアーム部)とを有する。連結部材は、ロアアームに固定されたソケットと、ソケットにより揺動自在に支持されたボールジョイントを有する。ボールジョイントは、ソケット内に挿入されたボール部と、下ブラケット部に形成されたテーパ孔(軸孔)に挿入されるスタッド部(軸部材)とを有する。このスタッド部は、テーパ孔から下ブラケット部の上面(取付座面)に突出する突出箇所をナットで締め付けることで下ブラケット部に固定されている。
特開2012−131340号公報
ロアアームなどのステアリングナックルの連結対象から入力される荷重による応力は、取付部とアーム部との境界線のうち、取付部の軸孔の中心と結ぶ距離が最短となる箇所(最短箇所)に集中し易い。
一般に、取付部の取付座面の平面形状は軸孔と同心状の円形であるため、上記境界線は、円周上に沿った曲線で形成される。即ち、上記境界線と軸孔の中心とを結ぶ距離は上記境界線の全長に亘って一定であり、上記境界線はその全長に亘って上記最短箇所となる。上記境界線の両端は、上記最短箇所であることに加えて上記境界の縁であるため、応力集中部となり易い。そのため、取付部とアーム部との境界が損傷する虞がある。
取付座面の平面形状を上記境界線が上記曲線ではなく直線となるような形状とすれば、上記最短箇所を上記境界線の両端ではなく中央の1箇所に設けられるため、上記境界線の両端が応力集中部となることを抑制できる。しかし、応力集中部が上記境界線の中央の1箇所となる。そのため、取付部とアーム部との境界が損傷する虞がある。
本発明の目的の一つは、取付部とアーム部との境界の損傷を抑制できるステアリングナックルを提供することにある。
本発明の一態様に係るステアリングナックルは、
車軸に取り付けられる本体部と、
軸部材に貫通される軸孔を有する取付部と、
前記本体部と前記取付部とを繋ぐアーム部とを備えるステアリングナックルであって、
前記取付部は、前記軸孔が開口する平面状の取付座面を有し、
前記アーム部は、前記取付座面と隣り合うと共に交差する交差面を有し、
前記取付座面と前記交差面との境界線は、前記軸孔の中心と結ぶ距離が最短となる複数の特定点を前記境界線の途中にのみ有する。
上記ステアリングナックルは、取付部とアーム部との境界の損傷を抑制できる。複数の上記特定点を上記境界線の途中にのみ有することで、応力集中部が上記境界線の両端に形成されない上に、複数の応力集中部が上記境界線の途中に形成されることで応力を分散させられるからである。
実施形態1に係るステアリングナックルの概略を示す正面図である。 実施形態1に係るステアリングナックルに備わるロアアーム取付部の概略を示す斜視図である。 実施形態1に係るステアリングナックルに備わるロアアーム取付部を平面視した平面図である。
本発明のステアリングナックルの実施形態1を、図1〜図3を参照しつつ以下に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。以下の実施形態1では、自動車の独立懸架式サスペンションの1種であるストラット式サスペンションに備わるステアリングナックルを例に説明するが、ストラット式サスペンションに限定されず、例えば、ダブルウィッシュボーン式サスペンションに備わるステアリングナックルとすることもできる。
《実施形態1》
〔ステアリングナックル〕
実施形態1に係るステアリングナックル1は、タイヤ11が組み付けられる車輪12を支持する(図1)。このステアリングナックル1は、サスペンションの形式にもよるが、本例のようなストラット式サスペンションでは、ロアアーム14、ストラット(ショックアブソーバー15とコイルスプリング(図示略))、タイロッド16などの連結対象がそれぞれ軸部材7を介して連結される。ステアリングナックル1は、車軸13に取り付けられる本体部2と、軸部材7(ここでは後述するボールスタッド81)に貫通される軸孔31(図2、図3)を有する取付部3と、本体部2と取付部3とを繋ぐアーム部4とを備える。このステアリングナックル1は、鋳造部品で構成され、本体部2と取付部3とアーム部4とは一体成形されている。ステアリングナックル1の特徴の一つは、取付部3とアーム部4との境界線5(図2,図3)が、軸孔31の中心と結ぶ距離が最短となる複数の特定点6を境界線5の両端ではなく境界線5の途中にのみ有する点にある。以下、各構成を詳細に説明する。本例では、上記境界線5は、取付部3のうちロアアーム14が取り付けられるロアアーム取付部30Lと、アーム部4のうち本体部2の下部から下方に延設されて本体部2とロアアーム取付部30Lとを繋ぐ下部アーム部40Lとの間に形成される場合を例に説明する。図1は、左前輪に装着されるステアリングナックル1を自動車の前方から見た状態を示している。図1の紙面上側が車両上側、紙面下側が車両下側、紙面左側が車内側、紙面右側が車外側である。図3は、ロアアーム取付部30Lを平面視した状態であって、ロアアーム取付部30Lの取付座面32上に沿って下部アーム部40Lを切断した状態を示す。
[本体部]
本体部2は、貫通孔(図示略)が形成される筒状部材である。この貫通孔内には、ベアリング(図示略)が挿入され、本体部2は、ベアリングを介して車軸13に取り付けられる。
[ロアアーム取付部]
ロアアーム取付部30Lは、ロアアーム14が取り付けられる。ロアアーム取付部30Lは、後述の下部アーム部40Lを介して本体部2に対して車内側に突出するように形成されている。このロアアーム取付部30Lは、軸孔31と取付座面32とを有する(図2)。
(軸孔)
軸孔31は、軸部材7に貫通される。軸孔31は、本例では後述の上座面32u側に向かってテーパ状に形成されている円錐台状の孔である。軸部材7は、ロアアーム取付部30Lとロアアーム14とを取り付けるもので、例えば、ボールジョイント8のボールスタッド81が挙げられる。ボールジョイント8は、ボール部82及びスタッド部83が一体成形されるボールスタッド81と、ボール部82を収納するソケット84とを有する。スタッド部83は、軸孔31内に挿入されるテーパ部と、上座面32uに突出する突出部とを有する。突出部には雄ねじ溝が形成されており、この突出部側を上に向けて後述の下座面32d側から軸孔31にボールスタッド81を挿通し、ナット90を突出部に締め付けて上座面32uに固定する。そうして、ボールスタッド81がロアアーム取付部30Lに取り付けられる。ソケット84は、ロアアーム14の一端に固定される。
(取付座面)
取付座面32は、軸孔31が開口する平面である。取付座面32は、本例ではスタッド部83を締め付けるナット90が固定される上座面32uと、ボール部82が突出してソケット84が装着される下座面32dとを備える。この取付座面32は、切削加工により形成される。
[下部アーム部]
下部アーム部40Lは、本体部2とロアアーム取付部30Lとを繋ぐ。下部アーム部40Lは、本体部2の下部から下方に延設され、ロアアーム取付部30Lに対して交差するように、本体部2及びロアアーム取付部30Lと一体成形されている。この下部アーム部40Lは、交差面41を有する。
(交差面)
交差面41は、取付座面32(ここでは上座面32u)と隣り合うと共に交差する面である(図2)。この交差面41は、本例ではロアアーム取付部30Lの上座面32uから立ち上がる面である。交差面41は、本例では、平面ではなく、上座面32u側に突出する複数の湾曲面(ここでは2つ)を組み合わせて構成される。なお、交差面41をジグザグ面で構成し、このジグザグ面の頂点が後述する特定点6を構成していてもよい。交差面41は、取付座面32と同様、切削加工により形成される。本例では、この交差面41と取付座面32とは、フライスにより同時に切削加工されて形成される。
なお、交差面41は、下部アーム部40Lにおけるロアアーム取付部30Lとの境界に形成される溝の上座面32u側の側面であって、上座面32uから下がる面としてもよい。ロアアーム取付部30Lと下部アーム部40Lとが交差するように(L字状に)繋がっているため、切削加工により上座面32uを形成する際に、切削工具によっては下部アーム部40Lにおけるロアアーム取付部30Lとの境界に溝が形成されることがあるからである。
[境界線]
境界線5は、取付座面32(上座面32u)と交差面41との間に形成される(図2,図3)。境界線5は、上座面32uと交差面41とを繋ぐ稜線で構成され、平面状の上座面32uと交差面41との間の変曲点の連続する箇所である。
境界線5は、軸孔31の中心と結ぶ距離が最短となる複数の特定点6を境界線5の途中にのみ有する(図3)。即ち、境界線5の両端には特定点6が設けられていない。そうすれば、ロアアーム取付部30Lと下部アーム部40Lとの境界の損傷を抑制できる。ロアアーム14などのステアリングナックル1の連結対象から入力される荷重による応力は、境界線5のうち、ロアアーム取付部30Lの軸孔31の中心と結ぶ距離が最短となる箇所(特定点6)に集中し易い。即ち、複数の特定点6を境界線5の途中にのみ有することで、応力集中部が境界線5の両端に形成されない上に、複数の応力集中部が境界線5の途中に形成されることで応力を分散させられる。複数の特定点6を境界線5の途中にのみ有するとは、境界線5の途中に点状の特定点6を有することは勿論、軸孔31の中心と結ぶ距離が最短となる点が円弧線状に連続して存在する場合を含む。本例では、境界線5の途中に2つの点状の特定点6を有するが、3つ以上の点状の特定点6を有していてもよい。
境界線5のうち、2つの特定点6の間の領域は、軸孔31と同心状で特定点6と軸孔31とを結ぶ距離を半径とする仮想円弧(図2,図3の二点鎖線で示す)上に重なっておらず、仮想円弧よりも外側に位置している。なお、2つの特定点6の間の領域は、仮想円弧上に重複していてもよい。即ち、軸孔31の中心と結ぶ距離が最短となる円弧線状の特定領域(無数の特定点6)を境界線5の途中にのみ有してしていてもよい。2つの特定点6の両外側の領域は、上記仮想円弧よりも外側に位置している。
[その他]
ステアリングナックル1は、更に、ストラット取付部30Sと、上部アーム部40Uと、タイロッド取付部30Tと、ナックルアーム部40Nとを備える。ストラット取付部30Sは、ショックアブソーバー15(ストラット)を取り付ける。ストラット取付部30Sは、ロアアーム取付部30Lと同様の軸孔と取付座面とを有する。ストラット取付部30Sとショックアブソーバー15との取り付けは、上記軸孔に貫通されるボルト92(軸部材7)とナット91とで締結することで行える。上部アーム部40Uは、本体部2の上部から上方に延設されてストラット取付部30Sと本体部2とを連結する。上部アーム部40Uは、取付座面と隣り合うと共に交差する交差面を有する。タイロッド取付部30Tは、タイロッド16を取り付ける。タイロッド取付部30Tは、ロアアーム取付部30Lと同様の軸孔と取付座面とを有する。タイロッド取付部30Tとタイロッド16との取り付けは、上述のロアアーム取付部30Lとロアアーム14との取付と同様、上記軸孔に貫通されるボールスタッド(軸部材7)を有するボールジョイント8が利用できる。この場合、ソケットはタイロッド16に固定される。ナックルアーム部40Nは、本体部2の側部から車内側に延設されてタイロッド取付部30Tと本体部2とを連結する。ナックルアーム部40Nは、取付座面と隣り合うと共に交差する交差面を有する。上述の境界線5は、ストラット取付部30Sの取付座面と上部アーム部40Uの交差面との間や、タイロッド取付部30Tの取付座面とナックルアーム部40Nの交差面との間に設けることもできる。
〔作用効果〕
実施形態1に係るステアリングナックル1は、ロアアーム取付部30Lと下部アーム部40Lとの境界の損傷を抑制できる。ロアアーム取付部30Lの上座面32u(取付座面32)と下部アーム部40Lの交差面41との境界線5の途中にのみ複数の特定点6を有することで、応力集中部が境界線5の両端に形成されない上に、複数の応力集中部が境界線5の途中に形成されることで応力を分散させられるからである。
本発明は、これらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上述したようにダブルウィッシュボーン式サスペンションに備わるステアリングナックルとしてもよい。その場合、ステアリングナックルは、更に、アッパーアームを取り付けるアッパーアーム取付部と、本体部の上部から上方に延設されてアッパーアーム取付部と本体部とを繋ぐ上部アーム部とを有する。アッパーアーム取付部は、上述のロアアーム取付部と同様の軸孔と取付座面とを有する。上部アーム部は、上述の下部アーム部と同様の交差面を有する。上述の境界線は、上述のようにロアアーム取付部の取付座面と下部アーム部の交差面との間に設けてもよいし、アッパーアーム取付部の取付座面と上部アーム部の交差面との間に設けてもよい。
本発明のステアリングナックルは、自動車のサスペンションに好適に利用できる。
1 ステアリングナックル
2 本体部
3 取付部
30L ロアアーム取付部
31 軸孔
32 取付座面
32u 上座面
32d 下座面
30S ストラット取付部
30T タイロッド取付部
4 アーム部
40L 下部アーム部
41 交差面
40U 上部アーム部
40N ナックルアーム部
5 境界線
6 特定点
7 軸部材
8 ボールジョイント
81 ボールスタッド
82 ボール部
83 スタッド部
84 ソケット
90、91 ナット
92 ボルト
11 タイヤ
12 車輪
13 車軸
14 ロアアーム
15 ショックアブソーバー
16 タイロッド

Claims (1)

  1. 車軸に取り付けられる本体部と、
    軸部材に貫通される軸孔を有する取付部と、
    前記本体部と前記取付部とを繋ぐアーム部とを備えるステアリングナックルであって、
    前記取付部は、前記軸孔が開口する平面状の取付座面を有し、
    前記アーム部は、前記取付座面と隣り合うと共に交差する交差面を有し、
    前記取付座面と前記交差面との境界線は、前記軸孔の中心と結ぶ距離が最短となる複数の特定点を前記境界線の途中にのみ有するステアリングナックル。
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