以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されている場合があり、実際の比率とは異なる場合がある。
まず、図1及び図2を参照して、三次元造形装置10の構成について説明する。なお、以下では、シアン色をC、マゼンタ色をM、黄色をY、黒色をK、白色をW、色の付いていない透明色をTで表すと共に、各構成部位を色毎に区別する必要がある場合には、符号の末尾に各色に対応する色の符号(C、M、Y、K、W、T)を付して説明する。各構成部位を色毎に区別せずに総称する場合には、符号の末尾の色の符号を省略して説明する。
図1に示すように、三次元造形装置10は、コントローラ12、モデル材収容部14C、14M、14Y、14K、14W、14T、モデル材吐出ヘッド16C、16M、16Y、16K、16W、16T、及びサポート材収容部18を備える。また、三次元造形装置10は、サポート材吐出ヘッド20、UV(Ultra Violet)光源22、XY走査部24、造形台昇降部26、クリーニング部28、記憶部30、通信部32、及び残量検知部34を備える。
制御部の一例であるコントローラ12は、CPU(Central Processing Unit)12A、ROM(Read Only Memory)12B、RAM(Random Access Memory)12C、不揮発性メモリ12D、及び入出力インターフェース(I/O)12Eを備える。そして、CPU12A、ROM12B、RAM12C、不揮発性メモリ12D、及びI/O12Eがバス12Fを介して各々接続されている。
また、I/O12Eには、モデル材収容部14、モデル材吐出ヘッド16、サポート材収容部18、サポート材吐出ヘッド20、UV光源22、及びXY走査部24が接続されている。さらに、I/O12Eには、造形台昇降部26、クリーニング部28、記憶部30、通信部32、及び残量検知部34が接続されている。
モデル材収容部14は、三次元造形物を造形する造形材の一例であるモデル材を収容する。また、モデル材収容部14は、各々対応するCMYKWT各色のモデル材を収容する。モデル材は、UV光、すなわち紫外線が照射されると硬化する性質を有するUV硬化型樹脂等で構成される。
モデル材吐出ヘッド16は、CPU12Aからの指示に従って、対応する色のモデル材収容部14から供給されたモデル材をインクジェット方式により吐出する。モデル材吐出ヘッド16のモデル材を吐出する吐出面には複数のノズルが設けられており、CPU12Aによってモデル材を吐出するノズルが制御される。
サポート材収容部18は、三次元造形物を支持又は保護するためのサポート材を収容する。サポート材は、三次元造形物のオーバーハング部分(「張り出し部分」ともいう)を、三次元造形物の造形が完了するまで支持する用途で用いられ、三次元造形物の造形完了後に除去される。また、サポート材は、例えば三次元造形物が立方体のように垂直に近い面を有する形状の場合に、その面の液だれを防止して保護する用途にも用いられる。また、サポート材は、UV光の照射により三次元造形物が劣化してしまうことを避けるために、モデル材を覆って保護する用途にも用いられる。サポート材はモデル材と同様に、UV光が照射されると硬化する性質を有するUV硬化型樹脂等で構成される。
サポート材吐出ヘッド20は、CPU12Aからの指示に従って、サポート材収容部18から供給されたサポート材をインクジェット方式により吐出する。サポート材吐出ヘッド20のサポート材を吐出する吐出面には複数のノズルが設けられており、CPU12Aによってサポート材を吐出するノズルが制御される。
モデル材吐出ヘッド16は色毎に専用のモデル材吐出ヘッド16を備え、各色に対応した液体状のモデル材を、圧力によりノズルから吐出するピエゾ方式(圧電方式)の吐出ヘッドが適用される。同様に、サポート材吐出ヘッド20も、液体状のサポート材を、圧力によりノズルから吐出するピエゾ方式の吐出ヘッドが適用される。
各吐出ヘッドは、インクジェット方式であればモデル材及びサポート材の吐出方法に制限はなく、例えばポンプによる圧力によってモデル材及びサポート材を吐出する方式の吐出ヘッドであってもよい。
UV光源22は、モデル材吐出ヘッド16から吐出されたモデル材及びサポート材吐出ヘッド20から吐出されたサポート材に対してUV光を照射して、モデル材及びサポート材を硬化させる。
UV光源22としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、デイープ紫外線ランプ、マイクロ波を用いて外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、紫外線レーザー、キセノンランプ、及びUV−LED(Light Emitting Diode)等の光源を有する装置が適用される。また、UV光源22に代えて電子線照射装置を用いてもよい。電子線照射装置としては、例えば、走査型、カーテン型、及びプラズマ放電型等の電子照射装置が挙げられる。
図2は、モデル材吐出ヘッド16及びサポート材吐出ヘッド20と、三次元造形物40との配置の一例を示す図である。なお、図2では、説明を簡略化するために、モデル材吐出ヘッド16及びサポート材吐出ヘッド20をまとめて図示しているが、実際は、例えばモデル材吐出ヘッド16C、16M、16Y、16K、16W、16T、及びサポート材吐出ヘッド20がX軸方向に沿って配置される。なお、各吐出ヘッドの並び順はこれに限られるものではない。
モデル材吐出ヘッド16及びサポート材吐出ヘッド20は、例えば三次元造形物40が配置される造形台36の造形面に向かってモデル材及びサポート材の吐出面が配置され、図示しないXY走査部24の制御によって、図示しないUV光源22と共にX軸方向及びY軸方向に移動する。なお、色毎のモデル材吐出ヘッド16及びサポート材吐出ヘッド20の配置順に制限はない。また、Y軸方向に沿ったモデル材吐出ヘッド16の長さ(以降、「モデル材吐出ヘッド16の幅」という)及びサポート材吐出ヘッド20の長さ(以降、「サポート材吐出ヘッド20の幅」という)にも制限はなく、モデル材吐出ヘッド16の幅及びサポート材吐出ヘッド20の幅が、Y軸方向に沿った造形台36の長さ、すなわち造形台36の奥行きの幅以上であってもよい。
XY走査部24は、モデル材吐出ヘッド16、サポート材吐出ヘッド20、及びUV光源22がX軸方向及びY軸方向に移動するように駆動する。すなわちXY走査部24は、造形台36の造形面上を走査するように、モデル材吐出ヘッド16、サポート材吐出ヘッド20、及びUV光源22を駆動する。
なお、X軸方向をモデル材吐出ヘッド16及びサポート材吐出ヘッド20の走査方向といい、走査方向に直交したY軸方向をモデル材吐出ヘッド16及びサポート材吐出ヘッド20の幅方向という場合がある。モデル材吐出ヘッド16及びサポート材吐出ヘッド20は、各々の幅方向にそれぞれモデル材及びサポート材を吐出しながら走査方向に順次移動することで、三次元造形物40を造形する。
造形台昇降部26は、図2に示す造形台36をZ軸方向に昇降させる。CPU12Aは、三次元造形物40を造形する際には、モデル材及びサポート材が造形台36上に吐出され、吐出されたモデル材及びサポート材にUV光が照射されるように、モデル材吐出ヘッド16、サポート材吐出ヘッド20、及びUV光源22を制御する。また、CPU12Aは、モデル材吐出ヘッド16、サポート材吐出ヘッド20、及びUV光源22が造形台36の造形面上を走査するようにXY走査部24を制御すると共に、造形台36がZ軸方向に移動するように造形台昇降部26を制御する。以降では、Z軸方向を三次元造形物40の高さ方向という場合がある。なお、モデル材吐出ヘッド16、サポート材吐出ヘッド20、UV光源22及び造形台36が相対的に走査されればよく、モデル材吐出ヘッド16及びサポート材吐出ヘッド20と、三次元造形物40との配置は図2に示した構成に限定されるものではない。
クリーニング部28は、モデル材吐出ヘッド16及びサポート材吐出ヘッド20の各ノズルに付着した材料を吸引する等により、ノズルのクリーニングを行う機能を有する。例えば、クリーニング部28は、モデル材吐出ヘッド16及びサポート材吐出ヘッド20の走査範囲外の退避領域に設けられ、クリーニングを行う際には、モデル材吐出ヘッド16及びサポート材吐出ヘッド20を上記退避領域に退避させてからクリーニングを行う。
記憶部30は、後述する三次元造形データ30A、三次元データ30B、及びサポート材データ30Cを記憶する。
CPU12Aは、ROM12Bに記憶された三次元造形データ生成プログラムを読み込んで、三次元データ30Bによって表される三次元造形物40を三次元造形装置10で造形するためのデータ、すなわち三次元造形データ30Aを生成する。三次元造形データ30Aには、モデル材吐出ヘッド16によるモデル材の吐出位置情報、及びサポート材吐出ヘッド20によるサポート材の吐出位置情報が含まれる。ここで、吐出位置情報とは、モデル材が吐出される位置(座標)を表す情報である。
CPU12Aは、生成した三次元造形データ30Aに従って、モデル材吐出ヘッド16及びサポート材吐出ヘッド20を指定された位置まで移動させ、モデル材吐出ヘッド16及びサポート材吐出ヘッド20の指定されたノズルからモデル材及びサポート材を吐出する。
三次元データ30Bのフォーマットとしては、例えば三次元形状を表現するデータのフォーマットであるOBJフォーマットが用いられる。OBJフォーマットでは、幾何形状のデータを取り扱うOBJファイル、及び色情報を含む材質データを取り扱うMTLファイルが用いられる。従って、三次元造形物40は、三角形のポリゴンの集合として表現される。また、三次元データ30Bは、ポリゴンの表面に対応する部分に、色情報を有する。なお、三次元形状を表現するデータのフォーマットはOBJフォーマットに限定されず、他のフォーマットであってもよい。
通信部32は、例えばインターネット及びLAN(Local Area Network)といった通信回線に接続され、通信回線に接続されたコンピュータ等の外部装置とデータ通信を行うためのインターフェースを有する。三次元造形装置10は、三次元造形物40の三次元データ30Bを外部装置から受け付け、三次元造形物40を造形する。
残量検知部34は、例えば光学式センサ等を用いて、色毎のモデル材収容部14に収容されているモデル材の残量を個別に検知する。
次に、図3を参照して、三次元造形装置10によって、三次元データ30Bに基づいて造形される三次元造形物40の構造について説明する。
図3に示すように、三次元造形物40は、最外層50、着色層52、隠蔽層54、及び中実部56を含んで構成される。
最外層50は、三次元造形物40の最も外側に位置する層であり、着色層52の表面を保護するための層である。最外層50は、一例としてT色のモデル材(以降、「T色モデル材」という)、すなわちクリアインクで造形される。なお、三次元造形物40に必ずしも最外層50を設ける必要はなく、着色層52を最外層50の代わりとしてもよい。
着色層52は、最外層50と後述する隠蔽層54との間に位置する層であり、三次元造形物40の外部から視認される層である。着色層52は、三次元データ30Bに基づいて、C、M、Y、K、W、Tのうちの1色のモデル材、又は複数色を組み合わせたモデル材を用いて造形される。
隠蔽層54は、着色層52と後述する中実部56との間に位置する層である。隠蔽層54は、詳細には中実部56のうちで最も表面側(外側)に位置する領域を形成する層のことであり、隠蔽層54は広義の意味で中実部56に含まれる層である。
隠蔽層54は、外部からの光を反射する層であり、一例としてW色のモデル材(以降、「W色モデル材」という)を用いて造形される。これにより、着色層52の下地にW色が配置されるため、隠蔽層54で光が反射し、着色層52の色が三次元データ30Bで指定された色に近づいて視認されることになる。また、隠蔽層54で光が反射すれば、隠蔽層54の内部にある中実部56の色が隠蔽されることになるため、こうした点からも、着色層52の色が三次元データ30Bで指定された色に近づいて視認されることになる。このように、隠蔽層54を含む中実部56が光を反射する性質を「光の反射性」といい、隠蔽層54が中実部56内部を隠蔽する性質を「隠蔽性」という。
なお、隠蔽層54の色はW色に限定されず、W色と異なる少なくとも1つの色のモデル材を用いて隠蔽層54を造形してもよい。
中実部56は、隠蔽層54の内側に位置する領域であり、三次元造形物40の外部から視認されない内部領域を構成する。中実部56は、C、M、Y、K、W、Tのモデル材を適宜組み合わせて造形される。
三次元造形装置10は、三次元データ30Bを受け付けると、三次元データ30Bで表される三次元造形物40に対応した三次元モデルを生成する。
三次元造形装置10は、造形台36の造形面と平行な面、すなわちXY平面で生成した三次元モデルを予め定めた間隔で三次元造形物40の高さ方向にスライスし、三次元モデルをスライスすることによって得られる各層毎に、各色のモデル材及びサポート材の吐出位置情報を対応付けたスライスデータを生成する。生成したスライスデータに基づいてモデル材及びサポート材を順次積層すれば三次元造形物40が造形されることから、各々のスライスデータはn層目(n=1〜N:Nは整数)のスライスデータとして指定される。スライスデータによって各層の外形が特定される。
図4は、図3における三次元造形物40をXY平面でスライスした場合のn1層におけるスライスデータを視覚的に表現した模式図の一例である。図4に示すように、n1層目のスライスデータは、中実部56を横切る位置のスライスデータであるため、最外層50、着色層52、隠蔽層54、及び中実部56におけるモデル材の吐出位置情報が対応付けられる。
図5は、図3における三次元造形物40をXY平面でスライスした場合のn2層におけるスライスデータを視覚的に表現した模式図の一例である。図5に示すように、n2層目のスライスデータは、中実部56を横切らない位置のスライスデータであるため、例えば最外層50、着色層52、及び隠蔽層54におけるモデル材の吐出位置情報が対応付けられる。
図3に示したように、三次元造形物40の内部は中実部56として造形されることから、三次元造形物40において隠蔽層54を含めた中実部56の占める割合は、最外層50及び着色層52の占める割合より大きくなる。
したがって、隠蔽層54を含めた中実部56をW色モデル材で造形する場合、W色のモデル材吐出ヘッド16の同じノズルから連続してW色モデル材が吐出されることに伴い、W色モデル材の吐出量がばらついたり、W色モデル材が吐出しなかったり、W色モデル材が指定した位置とは異なる位置に吐出されたりする吐出不良が発生することが考えられる。
そこで、W以外の色のモデル材もバランス良く中実部56に配置することにより吐出不良の発生を抑えることが考えられる。しかしながら、色濃度が濃いモデル材が中実部56に配置されると、着色層52の発色性が低下してしまう場合がある。
このため、本実施形態では、三次元造形物の内側に向かうほど色濃度が濃い色のモデル材を配置する。ここで、色濃度とは、例えば測色計で測色した結果から得られる濃度で定義される。
なお、スライスデータにはサポート材の吐出位置情報も対応付けられる場合があるが、以降の説明では、モデル材の吐出位置情報に注目して三次元造形装置10の作用について説明するため、サポート材の吐出位置情報については説明を省略する。
また、スライスデータには、最外層50におけるモデル材の吐出位置情報も対応付けられるが、着色層52、隠蔽層54、及び中実部56におけるモデル材の吐出位置情報の対応付けに注目して三次元造形装置10の作用について説明するため、最外層50におけるモデル材の吐出位置情報については説明を省略する。
図6は、三次元造形装置10での三次元造形データ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。三次元造形データ生成処理を規定する三次元造形データ生成プログラムはROM12Bに予め記憶されており、例えばユーザから三次元データ30Bを受け付けると、CPU12Aが三次元造形データ生成プログラムをROM12Bから読み出して実行する。
なお、三次元造形データ生成プログラムを実行する前に、三次元データ30Bに対するスライスデータが予め生成されているものとする。ただし、生成されたスライスデータは、三次元造形物をスライスした層の外形が特定されているだけであり、各色のモデル材の吐出位置情報は対応付けられていない。そこで、以下で説明する三次元造形データ生成処理によって、各色のモデル材の吐出位置情報が対応付けられる。
まず、ステップS100において、CPU12Aは、スライスデータを選択するための層番号nを“1”に設定する。三次元モデルはN個の層にスライスされており、各々のスライスデータに対して層番号nが一意に対応付けられている。ここでは層番号が“1”のスライスデータは、例えば最下層のスライスデータに対応付けられているものとし、最下層のスライスデータから上の層のスライスデータに進むにつれて順次“2”、“3”、・・・、“N”の層番号が対応付けられているものとする。すなわち、三次元造形物40の最下層のスライスデータには層番号1が対応付けられ、最上層のスライスデータには層番号Nが対応付けられる。
ステップS102において、CPU12Aは、層番号nに対応したスライスデータを選択する。
ステップS104において、CPU12Aは、着色層52の吐出位置情報を生成して、ステップS102で選択したスライスデータに対応付ける。
例えば、図7に示すような円錐形状の三次元造形物40の三次元造形データを生成する場合について説明する。図7に示す三次元造形物40のXZ平面における断面図を図8に示す。また、三次元造形物40をXY平面でスライスした場合のn1層、n2層におけるスライスデータを視覚的に表現した模式図を図9、10に示す。
例えば、図9に示すn1層のスライスデータに着色層52の吐出位置情報を対応付ける場合、最外層50(図9では図示省略)との境界から予め定めた距離(厚み)d1の範囲を着色層52として設定する。なお、着色層52の厚みd1は、一例として数百μm程度であり、具体的には500μm程度であるが、これに限られるものではない。
そして、三次元データ30Bで指定された色情報を着色層52に設定することにより、着色層52に吐出されるモデル材の吐出位置情報が設定される。
ステップS106において、CPU12Aは、隠蔽層54の吐出位置情報を生成して、ステップS102で選択したスライスデータに対応付ける。
例えば、図9に示すn1層のスライスデータに隠蔽層54の吐出位置情報を対応付ける場合、着色層52との境界から予め定めた距離d2の範囲を隠蔽層54として設定する。なお、隠蔽層54の厚みは、一例として数百μm〜数mm程度であり、具体的には5mm程度であるが、これに限られるものではない。
そして、隠蔽層54に予め定めた色情報を設定することにより、隠蔽層54に吐出されるモデル材の吐出位置情報が設定される。本実施形態では、一例として隠蔽層54には白色を設定する。従って、隠蔽層54には、W色モデル材が吐出される。
ステップS108において、CPU12は、中実部56の吐出位置情報を生成して、ステップS102で選択したスライスデータに対応付ける。
例えば、図9に示すn1層のスライスデータに中実部56の吐出位置情報を対応付ける場合、隠蔽層54との境界より内側の範囲を中実部56として設定する。更に、隠蔽層54との境界から予め定めた距離da1の範囲を第1の中実部56−1、第1の中実部56−1との境界から予め定めた距離da2の範囲を第2の中実部56−2、第2の中実部56−2との境界から予め定めた距離d3の範囲を第3の中実部56−3、・・・のように順次中実部を設定していく。なお、図10に示すn2層のスライスデータの場合は、中実部56の面積が小さいため第1の中実部56−1のみ設定される。
そして、各中実部に予め定めた色情報を設定することにより、各中実部に吐出されるモデル材の吐出位置情報が設定される。
本実施形態では、三次元造形物40の三次元造形物40の内側に向かうほど色濃度が濃い色のモデル材が配置されるように、中実部56に対して複数のモデル材の配置を指定した吐出位置情報を設定する。
基本的には、三次元造形物40の外側から内側に向かうに従って、黄色系、赤色系、青色系、黒色の順で各中実部に色情報を設定する。
例えば図9の例では、中実部56は、第1の中実部56−1〜第8の中実部56−8を含んでいる。そして、第1の中実部56−1には、一例として白色と黄色との混色が設定される。また、第2の中実部56−2には、第1の中実部56−1よりも色濃度が濃い色として、一例として黄色が設定される。また、第3の中実部56−3には、第2の中実部56−2よりも色濃度が濃い色として、一例として黄色と赤の混色が設定される。また、第4の中実部56−4には、第3の中実部56−3よりも色濃度が濃い色として、一例として赤色が設定される。また、第5の中実部56−5には、第4の中実部56−4よりも色濃度が濃い色として、一例として赤と青の混色が設定される。また、第6の中実部56−6には、第5の中実部56−5よりも色濃度が濃い色として、一例として青色が設定される。また、第7の中実部56−7には、第6の中実部56−6よりも色濃度が濃い色として、一例として青色と黒色の混色が設定される。また、第8の中実部56−8には、第7の中実部56−7よりも色濃度が濃い色として、一例として黒色が設定される。なお、各中実部に設定される色は一例であり、上記の色に限られるものではない。
このように、図9の例では、中実部56の少なくとも一部の領域に混色領域が設けられる。ここで、混色領域とは、複数のモデル材が混合して配置された領域である。
以下では、白、黒、青、赤、緑、シアン、マゼンタ、及び黄色の8色を単色といい、混色とは、複数の単色を混合した色をいうものとする。
なお、中実部56の少なくとも一部の領域における複数のモデル材の配置が、三次元造形物40の予め定めた基準位置に対して対称となるように、各中実部に色情報を設定することが好ましい。
例えば図7に示す三次元造形物40は円錐形状なので、図9に示したように、XY平面における形状は円となる。従って、中実部56における色情報の配置は、図9における三次元造形物40の中心(第8の中実部56−8の中心)を通る基準線Kに対して線対称となっている。また、三次元造形物40の中心点Cに対して点対称となっているとも言える。
また、図8に示すように、三次元造形物40をXZ平面でスライスした場合の断面は、略三角形状となる。従って、中実部56における色情報の配置は、図8における三次元造形物40の中心(各中実部の中心)を通る基準線Kに対して線対称となっている。
基準線K及び中心点Cは、基準位置の一例である。すなわち、基準位置とは、各中実部に色情報を設定する際の基準となる位置であり、例えば直線又は点で定義される。
なお、中実部56の全ての領域ではなく、一部の領域で基準位置に対して対称となるように、各中実部に対して色情報を設定するようにしてもよい。
また、図11に示すように、直方体形状の三次元造形物40Aについても、中実部56の少なくとも一部の領域における複数のモデル材の配置が、三次元造形物40Aの予め定めた基準位置に対して対称となるように、各中実部に色情報を設定する。
図11に示す三次元造形物40AのXZ平面における断面図を図12に示す。また、三次元造形物40AをXY平面でスライスした場合のn1層におけるスライスデータを視覚的に表現した模式図を図13に示す。
図13の例では、中実部56は、第1の中実部56−1〜56−4で構成される。第1の中実部56−1には、一例として白色と黄色との混色が設定される。また、第2の中実部56−2には、第1の中実部56−1よりも色濃度が濃い色として、一例として黄色と赤の混色が設定される。また、第3の中実部56−3には、第2の中実部56−2よりも色濃度が濃い色として、一例として赤色と青色の混色が設定される。また、第4の中実部56−4には、第3の中実部56−3よりも色濃度が濃い色として、一例として青色と黒色の混色が設定される。
なお、図13の例では、全ての中実部に複数の色の混色が設定されているが、全ての中実部に単色が設定されてもよい。この場合、例えば第1の中実部56−1には、一例として黄色が設定される。また、第2の中実部56−2には、第1の中実部56−1よりも色濃度が濃い色として、一例として赤色が設定される。また、第3の中実部56−3には、第2の中実部56−2よりも色濃度が濃い色として、一例として青色が設定される。また、第4の中実部56−4には、第3の中実部56−3よりも色濃度が濃い色として、一例として黒色が設定される。
また、図14に示すように、XY平面における断面がL字形状の場合、例えばL字状の基準線Kと直交する方向における距離が同じ領域については同じ色情報が設定されるようにすることが好ましい。なお、図15に示すように、L字形状の一部の形状の幅Wが狭い場合は、その領域については、幅Wに応じた数の中実部が設けられる。
また、図16に示すように、中実部56が市松模様となるように色情報を設定してもよい。図16の例では、隠蔽層54と同じ白色が設定された正方形状の領域56−Wと、黄色が設定された正方形状の領域56−Yと、がX方向及びY方向に交互に配置されている。これにより、隠蔽層54からの色の変化が緩やかとなる。
また、図17に示すように、中実部56が縞模様となるように色情報を設定してもよい。図17の例では、隠蔽層54と同じ白色が設定された長方形状の領域56−Wと、黄色が設定された長方形状の領域56−Yと、がX方向に交互に配置されている。なお、図17の例では縦縞模様であるが、横縞模様でもよく、斜めの縞模様でもよい。
また、図16、17の例では、中実部56は単色である白及び黄色が設定されているが、混色の市松模様又は縞模様を含む構成としてもよい。
例えば図18に示す例では、中実部56は、第1の中実部56−1、第2の中実部56−2、および第3の中実部56−3を含む。
第1の中実部56−1には、一例として白色と黄色の混色が設定され、第2の中実部56−2には、黄色と赤色の混色が設定されている。
そして、第3の中実部56−3は、赤色と青色の正方形状の混色領域56−RBと、青色と黒色の正方形状の混色領域56−BKと、がX方向及びY方向に交互に配置された市松模様となっている。
また、図19の例では、混色領域56−RB、56−BKが長方形状であり、X方向に交互に配置された縞模様となっている。なお、図19の例では縦縞模様であるが、横縞模様でもよく、斜めの縞模様でもよい。
ところで、モデル材は、色の違いによって硬化特性等が異なる場合がある。これに対して、図18、19の例では、混色領域56−RB、56−BKには、共通の色として青色が設定されている。このため、混色領域56−RB、56−BKの境界における色の変化、すなわち硬化性の変化が緩やかとなる。
また、図20に示すように、中実部56を第1の中実部56−1及び第2の中実部56−2で構成し、第1の中実部56−1には白色と黄色の混色を設定し、第2の中実部56−2には黄色、赤色、青色、及び黒色の混色を設定してもよい。
なお、中実部56における複数のモデル材の配置パターンを受け付ける受付部を設け、受け付けた配置パターンで複数のモデル材を中実部56に配置するようにしてもよい。
この場合、受付部は、ユーザが自由に設定した配置パターンを受け付けるようにしてもよい。また、例えば市松模様及び縞模様を含む複数の配置パターンを図示しない表示部に表示させてユーザに選択させ、ユーザにより選択された配置パターンを受け付けるようにしてもよい。
ステップS110において、CPU12Aは、全ての層のスライスデータに対して、モデル材の吐出位置情報を対応付けたか否かを判定する。すなわち、CPU12Aは、層番号nが、三次元造形物40の最上層を表す層番号Nであるか否かを判定する。ステップS110の判定処理が否定判定の場合にはステップS112に移行する。
ステップS112において、CPU12Aは、現在の層番号nに“1”を加算する。そして、ステップS102に移行する。ステップS102において、CPU12Aは、直前にモデル材の吐出位置情報を対応付けたスライスデータの層に隣接した上層のスライスデータを選択する。
以降、ステップS110の判定処理が肯定判定になるまでステップS102〜S110を繰り返し実行して、各層のスライスデータにモデル材の吐出位置情報を対応付ける。
各層のスライスデータに吐出位置情報が対応付けられるとステップS110の判定処理が肯定判定となり、図6に示した三次元造形データ生成処理が終了する。三次元造形データ生成処理の終了にあたり、CPU12Aは、モデル材の吐出位置情報が対応付けられた各層のスライスデータを、三次元造形データ30Aとして記憶部30に記憶する。このようにコントローラ12は、三次元造形データ30Aを生成する生成部の一例でもある。
図21は、三次元造形物40の造形処理の流れの一例を示すフローチャートである。造形処理を規定する三次元造形プログラムはROM12Bに予め記憶されており、図6の三次元造形データ生成処理で生成された吐出位置情報が対応付けられたスライスデータと共に、ユーザから造形指示を受け付けると、CPU12Aが三次元造形プログラムをROM12Bから読み出して実行する。
ステップS200において、CPU12Aは、スライスデータを選択するための層番号nを“1”に設定する。
ステップS210において、CPU12Aは、層番号nのスライスデータに対応付けられた各色のモデル材の吐出位置情報を記憶部30から取得する。
ステップS220において、CPU12Aは各色のモデル材の吐出位置情報で示される位置に指定された色のモデル材を吐出するように、モデル材吐出ヘッド16及びXY走査部24を制御する。
ステップS230において、CPU12Aは、スライスデータに対応付けられたモデル材の吐出位置情報を、全ての層について取得したか否かを判定する。ステップS230の判定処理が否定判定の場合にはステップS240に移行する。
ステップS240において、CPU12Aは、現在の層番号nに“1”を加算する。そして、ステップS210に移行し、ステップS210において、CPU12Aは、直前にモデル材を吐出した層に隣接した上層のスライスデータに対応付けられた各色のモデル材の吐出位置情報を記憶部30から取得する。
以降、ステップS230の判定処理が肯定判定になるまでステップS210〜S240を繰り返し実行して、各層のスライスデータに対応付けられた各色のモデル材の吐出位置情報に基づいて、指定された位置に指定された色のモデル材を吐出する。
最上層のスライスデータに対応付けられた各色のモデル材の吐出位置情報に基づいてモデル材が吐出されると、ステップS230の判定処理が肯定判定となり、図21に示した造形処理が終了する。
すなわち、図21に示した造形処理により、三次元データ30Bによって指定された表面色及び形状を有する三次元造形物40が造形される。
このように三次元造形装置10によれば、中実部56の少なくとも一部を造形する場合に、三次元造形物の内側に向かうほど色濃度が濃い色のモデル材が配置されるように、モデル材吐出ヘッドを制御する。
以上、各実施形態を用いて本発明について説明したが、本発明は各実施形態に記載の範囲には限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で各実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、本実施形態では、中実部56には、透明色以外の色のモデル材を用いる場合について説明したが中実部56に透明色のモデル材を配置してもよい。
また、着色層52が黒色の場合は、中実部56にどのような色のモデル材を配置しても発色に与える影響は少ないため、色濃度を考慮せずにモデル材を配置してもよい。
また、例えば、図6に示した三次元造形データ生成処理、並びに、図21に示した造形処理をASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウエアで実現するようにしてもよい。この場合、ソフトウエアで実現する場合に比べて、処理の高速化が図られる。
また、各実施形態では、三次元造形データ生成プログラム及び三次元造形プログラムがROM12Bにインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。本発明に係る各種プログラムを、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、本発明に係る各種プログラムを、CD(Compact Disc)−ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)−ROM等の光ディスクに記録した形態、若しくはUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、本発明に係る各種プログラムを、通信部32に接続された通信回線を介して外部装置から取得するようにしてもよい。