以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
<1.構成の概要:図1および図2>
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図を、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
図1に示すパチンコ遊技機1(以下「遊技機1」と略す)は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。また遊技盤3の背面側には、遊技動作を制御するための各種制御基板(図3参照)が配設されている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球を遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。
また上受け皿ユニット8には、遊技者が操作可能に構成された、演出ボタン13(第1操作手段)と、方向キー75(第2操作手段)とが設けられている。前者の演出ボタン13は、主に、所定の入力受付期間(演出ボタンの監視期間)中に内蔵ランプが点灯されて操作可能(入力受付可能)となり、その内蔵ランプ(ボタンLED13b)点灯時(入力受付期間中)に所定の操作(押下、連打、長押し等)がされると、特定の演出に変化をもたらすことが可能となっている。後者の方向キー75は、図2に示すように十字キーの形をしており、その上下左右の各方向指示ボタンとして、上ボタン75a、右ボタン75b、下ボタン75c、左ボタン75dを備えており、これらの方向指示ボタンを操作することで、遊技に関する設定画面を現出させて、音量設定、光量設定、演出モード設定等を変更し設定することが可能になっている。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。
また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を発揮するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の適所には、光の装飾により光演出効果を発揮する装飾ランプ45(フルカラーLED:光演出用LED)が複数設けられている。この装飾ランプ45としてのフルカラーLED(光演出用LED)は、パチンコ遊技機の周囲、つまりガラス扉6の前枠周縁に周方向に複数個設けられており、本明細書で「周囲LED45」と称される。
(遊技盤:図2)
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール5に取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3a、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、液晶表示装置(LCD)36が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、たとえば3つ(左、中、右)の表示エリア(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示動作(変動表示および停止表示)を含む、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48(流路振分手段)が設けられている。センター飾り48は、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、遊技盤3に固定される前面装着板48aと、センター飾り48の外周囲を形成し液晶表示装置36の表示画面を取り囲む鎧枠部48bとを一体に備えている。このセンター飾り体48の上面と球誘導レール5との間には遊技球が通過可能な遊動領域が形成され、センター飾り48の右側へも遊技球が案内されるようになっている。発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長によって、鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り体48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を中始動口34及び右始動口33(第1の特別図柄用)と、右下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。特別図柄表示装置38a、38bでは、「特別図柄」の変動表示動作による特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。そして上記の液晶表示装置36では、この特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示して、種々の予告演出(演出画像)とともに、装飾図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている(これらの図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する)。
また各種機能表示部には、特別図柄表示装置38a、38bの隣に、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)38cが配設されている。複合と称したのは、特別図柄1、2、普通図柄の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。
また各種機能表示部には、複合表示装置38cの隣りに、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作により普通図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。たとえば、変動表示動作として、LEDによる普通図柄がシーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで、普通図柄変動表示ゲームの当否が判明するようになっている。また、この普通図柄表示装置39aに隣接して1個のLEDによる右打ち表示装置39bが設けられている。この右打ち表示装置39bは、LEDの点灯・消灯状態の組合せにより、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利であるのか、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利であるのかを報知する。LEDが点灯した状態であれば、右打ち有利であることが報知される。
センター飾り48の下方には、中始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)が設けられ、その内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a(中始動口センサ34a:図3参照)が形成されている。中始動口34より下方において、遊技盤面内の左下部には複数個の一般入賞口43が配設されており(本実施形態の場合、左側に3つ)、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である中始動口34は、特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)における第1の特別図柄(以下、「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る特別図柄1用の入賞口であり、始動口開閉手段(始動口を開放または拡大可能にする手段)を有しない「入賞率固定型の入賞装置」として構成されている。本実施形態の場合、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り48など)の作用により、中始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入球(入賞)容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入球困難または入球不可能な構成となっている。また本実施形態の場合、中始動口34と同様に、特別図柄1の変動表示動作の始動条件に係る入賞口として、後述の特別図柄1用の右始動口33が設けられている。
また右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲートからなる役連ゲート57(特定通過領域)が設けられている。この役連ゲート57は、大当りした場合、ラウンド遊技を実行させるための通過領域であり、その内部には、通過する遊技球を検出する役連ゲートセンサ57a(図3参照)が形成されている。
上記役連ゲート57の下方には、役連ゲート57と同様に、通過ゲートからなる普通図柄始動口37(第3の始動手段)が設けられている。この普通図柄始動口37は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。
普通図柄始動口37の下方には、大当り用の上特別変動入賞装置42(第1の特別電動役物:第1の大入賞手段)、いわゆる電動チューリップとして機能する普通変動入賞装置41、小当り用の下特別変動入賞装置52(第2の特別電動役物:第2の大入賞手段)、後述する特別図柄2用の右下始動口35、が、この順序で順次下方に位置するように設けられている。この5者は全体として略千鳥状に配置されており、最も遊技盤の右側に普通図柄始動口37が位置し、次いで普通変動入賞装置41、上特別変動入賞装置42、右下始動口35、下特別変動入賞装置52の順に内側に変位して位置している。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な入賞率変動型の入賞装置として構成されている。本実施形態の場合、遊技球2個分以上の横長の開口を持つ右始動口33(第1の特別図柄始動口:第2の始動手段)と、この右始動口33を覆う蓋として存在し遊技盤面から突没可能な可動片47とを備えており、可動片47が遊技盤面から突出した前進状態にあるときは右始動口33が閉鎖(閉状態)され、遊技盤面に後退状態にあるときは右始動口33が開口(開状態)される。普通変動入賞装置41が非作動状態(通常状態)にある場合は、可動片47が突出状態にあって右始動口33を閉じているが(入賞困難または入賞不可能状態)、普通変動入賞装置41が作動状態にあるときは、可動片47が後退状態となって右始動口33上から去り、右始動口33を開く(入賞容易状態)。これにより右始動口33の横長の開口が現出し、遊技球が多く拾われる形に変化する。右始動口33の内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ33a(右始動口センサ33a:図3参照)が設けられており、これにより拾われた遊技球が検出される。
普通変動入賞装置41に設けられた右始動口33は、中始動口34と同じく、特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)における特別図柄1の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、本実施形態では、可動片47が非作動の場合、右始動口33への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
上記した普通変動入賞装置41の作用は、始動口上に左右一対の可動翼片(可動部材)を設けた、いわゆる「電動チューリップ型の入賞装置(電チューと略称される)」と同じ働きをする。そこで本明細書では、場合により普通変動入賞装置41を「電チュー」とも略称する。なお普通変動入賞装置41の構成は、本実施形態のものに限られない。たとえば、中始動口34のような入賞率固定型の入賞装置と(第1始動口)、始動口開閉手段により入賞領域が拡大または開放する入賞率変動型の入賞装置(第2始動口)とを上下に設けた、一般的な電動チューリップ型の入賞装置として構成してもよい。この場合、第1右始動口を特図2(または特図1)、第2右始動口を特図1(または特図2)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口として構成してもよいし、双方を特図2(または特図1)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口として構成してもよい。また、遊技盤から遊技球1個分の幅を持つ可動片を突没させ、可動片が遊技球を拾って遊技盤裏面の誘導樋に導くように構成してもよい。
また普通変動入賞装置41の下流側の右下始動口35は、特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置)における第2の特別図柄(以下、「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る特別図柄2用の入賞口であり、本実施形態では、電チューではなく、中始動口34と同じ「入賞率固定型の入賞装置」として構成されている。
右流下経路3c内において、普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41(電チュー)へかけての流下経路途中には、大当り用の上特別変動入賞装置42が設けられている。この上特別変動入賞装置42は、上大入賞口40と、これを覆う突没式の開放扉42bとを備え、開放扉42bが遊技盤面に突没することにより上大入賞口40を開閉可能に構成されており、その上大入賞口40の内部には入球した遊技球を検出する上大入賞口センサ42a(図3参照)が形成されている。この大当り用の上特別変動入賞装置42の開放扉42bは上面が右下りに傾斜しており、開放扉42bに乗った遊技球が、普通変動入賞装置41(電チュー)側へ案内流下されるようになっている。
この上特別変動入賞装置42の上方には、普通図柄始動口37との間において、右流下経路3cの領域をクロスする形で、左下りに傾斜した横長の流路修正板37dが設けられている。この流路修正板37dは、右流下経路3cを流下する遊技球を受けて、遊技球を上特別変動入賞装置42の方向(図2の左方向)に寄せる働きをする。流路修正板37dの左下端は上特別変動入賞装置42の上方に在る。したがって遊技球はすべて流路修正板37dで拾われて、上特別変動入賞装置42に案内される。
また、上特別変動入賞装置42の下方には、普通変動入賞装置41との間において、左下りに傾斜した横長の流下案内板40dが設けられている。この流下案内板40dは、右上端が上特別変動入賞装置42の開放扉42bの下端付近に位置しており、開放扉42bから流下して直下の誘導釘により向きが変更されたた遊技球について、その一部を拾い、下特別変動入賞装置52上へ流下させる働きをする。
小当り用の下特別変動入賞装置52は、下大入賞口50と、この下大入賞口50を覆う突没式の開放扉52bにより下大入賞口50を開放または拡大可能に構成されており、その内部には下大入賞口50に入球した遊技球を検出する下大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
大当り時の上大入賞口40への入球過程は次のようになる。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、右流下経路3cを流下する。遊技球はすべて流路修正板37dで拾われ、上特別変動入賞装置42上に案内される。大当りの場合、上大入賞口40は開かれている。したがって大当りの場合、遊技球はほとんどすべてが流路修正板37dから上大入賞口40に入賞する。
また小当り時の下大入賞口50への入球過程は次のようになる。遊技球は右流下経路3cを流下して来る。遊技球は流路修正板51dにより上特別変動入賞装置42の方向に案内される。遊技球は、上大入賞口40を閉じている開放扉42b上を転動して右下端から流下する。この遊技球は、さらに図示しない所定配列の遊技くぎにより、その多くは普通変動入賞装置41の方向に導かれ、一部は流下案内板40dに乗って下大入賞口50側に案内される。普通変動入賞装置41の可動片47による右始動口33の開放時間は、確変状態および時短状態では3.7秒(1.2秒の開放3回+0.5秒の開放2回)であるが、通常状態および潜確状態では0.1秒と短い。このため、右始動口33の開放期間中に拾われずに、下大入賞口50側に案内される遊技球が多くなる。
本実施形態の遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数(たとえば、中始動口34は4個、右始動口33は1個、右下始動口35は2個、上大入賞口40(大当り用大入賞口)は15個、下大入賞口50(小当り用大入賞口)は10個、一般入賞口43は6個、普通図柄始動口37は0個(賞球なし))が遊技球払出装置19(図3参照)から払い出されるようになっている。上記の各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、または入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。なお、入賞口に遊技球が入球すれば、その遊技球は入賞検出スイッチにより検出されることとなるため、本明細書中では特に断りのない限り、入賞検出スイッチに遊技球が検出されたか否かによらず、入賞口に遊技球が入球した場合を含めて「入賞」と称する場合がある。
また遊技盤の領域内には遊技球の流下を妨害しない位置に複数の可動体役物が配設されている。本例ではセンター飾り48内の右上側、つまり右流下経路3cを通る遊技球の流下を妨害しない位置に第1の可動体役物(時計型役物)80が配設され、その右斜め下側に第2の可動体役物(花型役物)90が配設されている。これらは、可動体役物は演出手段として機能し、その動作態様により、当りへの当選期待度を示唆するなどの可動体演出を実現する。
<2.制御装置:図3>
次に図3を参照して、本実施形態に係る遊技機1の遊技動作制御を司る制御装置について説明する。図3は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係る遊技機1の制御装置は、遊技動作全般に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御基板(主制御手段)20(以下「主制御部20」と称する)と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、演出手段による演出の実行制御(現出制御)を統括的に司る演出制御基板(演出制御手段)24(以下「演出制御部24」と称する)と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源(図示せず)から遊技機の各基板に対して必要な電源(バックアップ電源を含む)を生成し供給する電源基板(電源制御手段(図示せず))と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
(2−1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータを格納するROM202(主制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
また図示はしていないが、主制御部20は、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込み等の割込許可/割込禁止機能を発揮する割込みコントローラ回路、電源投入時や遮断時や電源異常などを検知してシステムリセット信号を出力してCPUをリセット可能なリセット回路、制御プログラムの動作異常を監視するウォッチドッグタイマ(WDT)回路、あらかじめ設定したアドレス範囲内でプログラムが正しく実行されているか否かを監視する指定エリア外走行禁止(IAT)回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成するためのカウンタ回路なども備えている。なお、少なくとも主制御部(払出制御基板)20と払出制御基板29とは、電源基板から受ける電圧降下信号を受けることによって、電源遮断に先立ち、必要なバックアップ処理の実行を開始し、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できるようになっている(バックアップ機能)。この遊技機1では少なくとも数日は、各RAMの記憶内容が保持することが可能となっている。
上記カウンタ回路は、乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(大当り判定用乱数(乱数の大きさ:65536))として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。なお、内部抽選用乱数は、当り狙い打ち等のゴト行為を防ぐために、適宜なソフトウェア処理で生成しているソフト乱数値と、ハード乱数値とを加算したものを取得している。
主制御部20には、中始動口34への入賞を検出する中始動口センサ34aと、右始動口33への入賞を検出する右始動口センサ33aと、右下始動口35への入賞を検出する右下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37への遊技球の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、上大入賞口40への入賞を検出する上大入賞口センサ42a、下大入賞口50への入賞を検出する下大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aと、アウト口49および各入賞口を通じて遊技機から排出される遊技球(いわゆる、アウト球)を検出するOUT監視スイッチ49aが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。主制御部20は、各センサからの検出信号に基づき、いずれの入賞口に遊技球が入賞(入球)したのかを把握する。
また主制御部20には、役連ゲート52への遊技球の通過を検出する役連ゲートセンサ57aと、RAM203の所定領域を初期化するRAMクリアスイッチ98と、図示はしていないがパチンコ遊技機1に対する不正行為を検出するための不正検出センサ(振動センサ、電波センサ、磁気センサ等)とが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。不正検出センサは、不正行為を検出するに適切な位置に設置されている。
また主制御部20には、右始動口33の可動片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、上大入賞口40の開放扉42bを開閉制御するための上大入賞口ソレノイド42cと、下大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための下大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄1、2を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また、主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、複合表示装置38c、ラウンド数表示装置(図示せず)が接続され、主制御部20は、これに表示される各種情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、右打ち表示装置39bが接続され、主制御部20は、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利であるのか、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利であるのかを報知するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部端子基板21が接続され、主制御部20は、この枠用外部端子基板21から所定の遊技情報(たとえば、当り遊技開始情報、始動口への入賞情報(特別図柄の変動開始情報)、賞球数情報、特定のエラー情報(振動センサエラー、電波センサエラー、磁気センサエラー等)など)を含む信号(外端信号)を遊技機の外部に出力可能となっている。枠用外部端子基板21は、遊技機外部に設けられたデータカウンタDTや、ホールコンピュータHCに接続可能に構成されており、枠用外部端子基板21から出力される信号(外端信号)が、このデータカウンタDTやホールコンピュータHCに送られる。
枠用外部端子基板21は、外部出力用の複数のチャネルが設けられている。各チャネルに対応するコネクタと、データカウンタDT側のコネクタとはケーブルによって接続されている。そして、各コネクタ(情報端子)からはそれぞれ一つの信号が外部に出力されるようになっている。枠用外部端子基板21の情報端子を通じて遊技機外部に出力される外端信号には、たとえば、下記(1)〜(10)の信号がある。
(1)特別図柄1および特別図柄2の変動表示が停止したときに出力される「特別図柄確定信号(情報端子1)」、
(2)後述の特別図柄時短機能が作動中時の大当り遊技中のときに出力される「変短時大当り中信号(情報端子2)」、
(3)特別図柄時短機能が作動中のときに出力される「変動短縮信号(情報端子3)」、
(4)始動口センサ33a、34a、35aが遊技球の通過を検出したときに出力される「始動口信号(情報端子4)」、
(5)後述の役物連続作動装置が作動中に出力される「大当り中信号(情報端子5)」、
(6)特別図柄1の変動表示が停止したときに出力される「特別図柄1確定信号(情報端子6)」、
(7)右始動口センサ33aまたは中始動口センサ34aが遊技球を検出したときに出力される「特別図柄1始動口信号(情報端子7)」、
(8)右下始動口センサ35aが遊技球を検出したときに出力される「特別図柄2始動口信号(情報端子8)」、
(9)入賞口に入賞があった場合、その賞球数を加算し、合計値が10個以上となる毎にその合計値から10を減算するとともに出力する「メイン賞球信号(情報端子9)」、
(10)RAMクリア時(RAMクリア時から30000ms間出力)、後述の設定変更処理実行時(図11参照)、磁気センサによる不正磁気検出時(磁気検出から解除後30000ms間出力)、電波センサによる不正電波検出時(電波検出から解除後30000ms間出力)、普通始動入賞口センサ37aの不正入賞検出時(200ms連続ON検出から解除後30000ms間出力)などに出力される「セキュリティ信号(情報端子10)」などの各種の信号が出力可能に構成されている。
なお主制御部20は、各信号の出力契機が到来したタイミングで、情報端子1〜10から対応する外端信号を所定時間(たとえば、100ms間)出力するが、出力信号が連続しないように所定時間(たとえば、100ms)空けて出力する。
上記ホールコンピュータHCは、枠用外部端子基板21から出力される外端信号に基づき、遊技機の遊技情報を監視・収集し、パチンコホールに設置された遊技機の稼働状況等を統括的に管理する。
ここで図31A(3)を参照して、本発明に関連するデータカウンタDTについて、詳細に説明する。データカウンタDTは、接続されている遊技機に関する特定の遊技情報を報知する遊技情報報知装置であり、通常、遊技機の上部に設置される。データカウンタDTは、枠用外部端子基板21からの外端信号に基づき、所定の遊技情報を報知する報知手段を備えている。この報知手段は、たとえば、フルカラーLEDを内蔵した発光部DTaや、液晶表示装置などの表示装置からなる表示部DTb、DTc、DTd、DTe等である。
図示のデータカウンタDTは、次のような報知機能を備えている。
(A)大当りが発生した場合にその旨を報知する「大当り報知機能(発光部DTa)」、
(B)大当りの合計回数(開店時からの大当り回数)を報知する「大当り累積回数報知機能(大当り回数表示部DTd)」、
(C)大当り中の獲得球数を報知する「獲得球数報知機能(図示せず)」、
(D)開店時または大当り(特定の大当りであってもよい)の終了後からの図柄変動表示ゲーム実行回数(特別図柄の変動回数)を報知する「スタート回数報知機能(スタート回数表示部DTb)」、
(E)開店時からの特別図柄の総変動回数を報知する「スタート累計回数報知機能(総回転数表示部DTc)」、
(F)前日・前々日等の大当り回数情報(特定の大当り回数であってもよい)や大当り回数などの履歴情報を報知する「履歴情報報知機能(図示せず)」、
(G)今回の大当りに起因した連荘数(本実施形態では、初当りを含ない連荘数)を報知する「連荘数報知機能(連荘数表示部DTe)」。
また、符号DTgは、ホール店員を呼び出すための呼出ボタンである。この呼出ボタンDTgが押下されると、発光部DTaが呼び出し中専用の発光態様で発光するようになっている。また、符号DThは、上記履歴情報を表示させるための履歴情報切替用の押しボタンである。
上記したデータカウンタDTは、現在、殆どのパチンコホールにおいて、遊技台ごとに設置されているものである。斯様なデータカウンタDTは、たとえば、大当り中に出力される上記「大当り信号」および「変短時大当り中信号」のいずれかの信号を受信すると、大当りが発生した旨を報知したり、大当り回数等を更新する。これにより、遊技者に対して大当り発生を知らせるだけでなく、周囲の遊技者やホール店員にも大当り発生中の遊技台であることが報知され、大当り発生を容易に識別できるようになっている。
データカウンタDTは、一般的には、外端信号の非受信から受信への切り変わり(ONエッジ)に基づいて、外端信号種別に応じて、各種の表示部に必要な情報を表示する。
また主制御部20は、保安電子通信技術協会(保通協)で実施される型式試験(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則に基づく遊技機の型式に関する検定に係る試験)に対応して、遊技動作をリアルタイムに特定する型式試験信号を枠用外部端子基板21から出力可能となっている。なお、型式試験に適合した遊技機をパチンコホールに設置する際には、その適合した制御プログラムの変更は一切認められていない。このため、パチンコホールに設置後も型式試験信号が繰り返し出力処理されることになる(後述の性能表示モニタ処理中の試射試験信号端子管理処理(図28のステップS823、その詳細を示す図29参照)。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、賞球の払い出しの必要がある場合には、払出制御基板29に対して、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。
この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。この払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への状態信号の送信などである。
遊技球払出装置19には、遊技球の供給不足を検出する補給切れ検出センサ19aや払い出される遊技球(賞球)を検出する球計数センサ19bが設けられており、払出制御基板29は、これらの各検出信号を受信可能となっている。また遊技球払出装置19には、遊技球を払い出すための球払出機構部(図示せず)を駆動する払出モータ19cが設けられており、払出制御基板29は、払出モータ19cを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また払出制御基板29には、上受け皿9が遊技球で満杯状態を検出する満杯検出センサ60(本実施形態では、上受け皿9に貯留される遊技球の貯留状態を検出する検出センサ)と、扉開放センサ61(本実施形態では、前枠2および/または前面操作パネル7の開放状態を検出する検出センサ)が接続されている。
払出制御基板29は、満杯検出センサ60、扉開放センサ61、補給切れ検出センサ19a、球計数センサ19bからの検出信号に基づいて、主制御部20に対して、各種の状態信号を送信可能となっている。この状態信号には、満杯状態を示す球詰り信号、前枠2・前面操作パネル7が開放されていることを示す扉開放信号、遊技球払出装置19からの遊技球の供給不足を示す補給切れ信号、賞球の払出不足や球計数センサ19bに異常が発生したこと示す計数エラー信号、払い出し動作が完了したことを示す払出完了信号などが含まれ、様々な状態信号を送信可能な構成となっている。主制御部20は、これら状態信号に基づいて、前枠2・前面操作パネル7の開放状態(扉開放エラー)や、遊技球払出装置19の払出動作が正常か否か(補給切れエラー)や、上受け皿9の満杯状態(球詰りエラー)等を監視する。
また払出制御基板29には発射制御基板28が接続され、発射制御基板28に対し発射を許可する発射許可信号ES(発射制御信号)を送信可能になっている。発射制御基板28は、払出制御基板29からの発射許可信号ESが出力されていることに基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球の発射動作を実現している。具体的には、払出制御基板29から発射許可信号ESが出力されていること、発射操作ハンドル15に設けられたタッチセンサ(図示せず)により遊技者がハンドルに触れていることを検出されていること、発射操作ハンドル15に設けられた発射停止スイッチ(図示せず)が操作されていないことを条件に、遊技球の発射動作が許容される。したがって、発射許可信号ESが出力されていない場合には、発射操作ハンドル15を操作しても発射動作は実行されず、遊技球が発射されることはない。また、遊技球の打ち出しの強さは、発射操作ハンドル15の操作量に応じて変化可能となっている。なお、払出制御基板29が上記球詰りエラーを検出すると、主制御部20に球詰り信号を送信するとともに発射制御基板28に対する発射許可信号ESの出力を停止し、上受け皿9の満杯状態が解消されるまで打ち出し動作を停止する制御を行うようになっている。
また主制御部20には、設定キースイッチ94、設定変更スイッチ95、設定変更完了スイッチ96が接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。また主制御部20には、設定表示器97が接続され、主制御部20は、これを表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
上記の設定キースイッチ94は、電源投入時にホール関係者が所持する設定鍵を挿入してON/OFF操作することにより、設定値の変更操作が可能な「設定変更操作許容状態(ON操作時)」に切り替えるためのキースイッチである。また、設定変更スイッチ95は、設定値を変更するための押しボタン式スイッチである。また、設定変更完了スイッチ96は、変更した設定値を確定させる際に用いる設定確定用スイッチである。これらのスイッチは、遊技機内部の適所に設けられている。
また設定表示器97は、設定値に関する情報を表示するもので、設定表示手段として機能する。本実施形態の場合、1個の7セグメント表示器から構成されており、主制御部(主制御基板)20上に装着されている。なお、設定表示器97は、主制御基板に限らず、払出制御基板28、発射制御基板29、中継基板(各種表示装置やスイッチ類等と制御基板との接続を中継する中継用基板:図示せず)、または演出制御部(演出制御基板(液晶制御基板を含む))24など、遊技機内部の適所に設けることができる。
上記「設定値」とは、段階的に出玉率(所謂、機械割(PAYOUT率))に変化をもたらすものであり、本実施形態では、設定1〜6の6段階の設定値が設けられている。この「設定値」は、少なくとも大当り(後述の条件装置が作動することとなる当り種別)の抽選確率(当選確率)を段階別(たとえば、設定1〜6の6段階)に規定するもので、設定値が高くなるほど、その当選確率が高く設定され、遊技者に有利に作用するようになっている。たとえば、設定1で1/410、設定値2で1/390、設定3で1/370、設定4で1/350、設定5で1/330、設定6で1/320などである。すなわち、設定値が高くなるほど、機械割が高くなり、遊技者に有利に作用することになる。このように、設定値とは、機械割などを規定する値であり、特定事象(たとえば、大当り)の発生し易さに関連する等級についての値を意味する。
ところで「設定値」は、専ら、パチンコホール(遊技店)の営業戦略に基づき、ホール店員が設定変更スイッチ95を操作して、目的の設定値が決定される。なお、大当りを複数種類設けている場合には、設定値に応じて、条件装置の作動契機となる大当り種別の全部または一部の当選確率を変化させることができる。たとえば、大当り1〜4という4種類の大当りがある場合、設定値が相対的に高くなるほど、大当り1〜4のすべての当選確率を高くしてもよいし、特定の大当りである大当り1〜3の当選確率だけを高くし、大当り4については全設定値で共通の当選確率にしてもよい(大当り1〜4の合算当選確率を高くしてもよい)。また、条件装置の作動契機とならない小当り種別の当選確率を、前述の大当りのケースと同様に、設定値に応じて変化させてもよい。
(設定値の変更操作について)
設定変更操作可能状態中において、設定変更スイッチ95がON操作されると、設定表示器97の現在の表示値が「1→2→3→4→5→6→1→2→3→・・・」のように1〜6の範囲で循環するように切り替えられる。そして希望する設定値となった際、設定変更完了スイッチ96がON操作されると、現在の表示値が設定値として確定される。この設定値情報は、RAM203の所定領域(設定値格納領域)に格納(記憶)される。そして、設定キースイッチ94が現在のON状態からOFF状態に操作されると、設定変更操作可能状態が終了する。したがって主制御部20は、所定の操作手段(設定キースイッチ94、設定変更スイッチ95)の操作に基づいて、複数種類の設定値のうちから、いずれかの設定値を選択する設定値選択手段として機能する。
さらに主制御部20には、性能表示器99が接続され、主制御部20は、これを表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
(性能表示器99に表示される遊技結果情報について)
性能表示器99は、所定期間(特定遊技期間)の遊技結果に係る情報(以下「性能情報」と称する)を表示(報知)する情報表示手段として機能し、複数個の7セグメント表示器(7セグメントLED)からなる。本実施形態の性能表示器99は、表示部と回路部がユニット化された7セグメントLEDを4個横に並べ、これをたとえば、主制御基板20上に搭載して、4桁の数字を表示可能な表示器を構成する。詳細は後述するが、上記の「性能情報」とは、パチンコホール店や関係各庁が確認したい情報であり、遊技機に対する過剰賞球等の不正賞球ゴトの有無や遊技機本来の出玉性能などに関する情報(遊技実績に関する所定情報)などがその代表例である。したがって、性能情報自体は、予告演出などとは異なり、遊技者が遊技に興じる際に、その遊技進行自体には直接的に関係の無い情報である。このため性能表示器99は、遊技者に視認可能な箇所に設置するのではなく、遊技機内部の視認し易い箇所に設置される。具体的には、4個の7セグメントLEDで構成される性能表示器99の表示部を遊技機裏面から見やすい場所に、つまりシールや構造物等で隠れて見難くならないように、主制御部(主制御基板)20、払出制御基板28、発射制御基板29、上記中継基板、演出制御部(演出制御基板(液晶制御基板を含む))24などの基板上、あるいは、制御基板を保護する基板ケース上などに搭載される。また4個の7セグメントLEDは横に並べられて4桁の数字を表示可能となっており、各7セグメントLEDには、7セグメント数字の下にデシマルポイントDPを有している。
ここで上記性能情報には、具体的には、下記のような情報を採用することができる。
(1)特定状態中において入賞により払い出された総払出個数(特定中総賞球数:α個)を、当該特定状態中おける総アウト球数(特定中アウト個数:β個)で除した値(α/β)に基づく情報(特定比率情報)を、性能情報として採用することができる。斯様な特定比率情報は、遊技機が有する出玉性能を評価する指標として有用である。
(1−1)上記「総払出個数」とは、入賞口(中始動口34、右始動口33、右下始動口35、一般入賞口43、大入賞口40、50)に入賞した際に払い出された遊技球(賞球)の合計値である。本実施形態の場合、中始動口34は4個、右始動口33は1個、右下始動口35は2個、上大入賞口40は15個、下大入賞口50は10個、一般入賞口43は6個である。総アウト球数とは、発射装置32から遊技領域3aに打ち込まれた遊技球数(OUT監視スイッチ49aにより検出される遊技球数)である。
(1−2)また「特定状態」として、いずれの状態を採用するかについては、取得したい性能情報に応じて適宜定めることができる。本実施形態であれば、通常状態、潜確状態、時短状態、確変状態、大当り遊技中、小当り遊技中などのうち、いずれの状態も採用することができる(各遊技状態についての詳細は後述する)。また、1つの状態だけを計測対象とするのではなく、複数種類の状態を計測対象としてもよい。たとえば、通常状態と潜確状態、通常状態と小当り遊技、当り遊技中を除くすべての遊技状態など、複数種類の状態を計測対象として適宜選択可能である。
(1−3)また、特定状態中の期間として、通常状態等の各遊技状態や当り遊技に着目するのではなく、大当り抽選確率に着目した期間を計測対象としてもよい。たとえば、大当り抽選確率が低確率状態および/または高確率状態の期間を計測対象としてもよい。なお、大当りによる当り遊技(大当り遊技中)は低確率状態に制御され、また小当りによる当り遊技(小当り遊技)中は当選時の遊技状態が継続するため、当選時の大当り抽選確率状態が継続される。このため、純粋な低確率状態の期間を計測したい場合には、大当り遊技中を除く期間を計測対象とすればよい。また、大当りおよび小当りの双方の当り遊技中を除いた低確率状態または高確率状態の期間を計測したい場合には、当り遊技を除く期間を計測対象とすればよい。なお、大当り種別、小当り種別、これらの当り遊技の動作態様等についての詳細は後述する。
(1−4)また「総払出個数」として、1または複数の特定の入賞口を計測対象から除外したものを総払出個数としてもよい(特定入賞口除外総払出個数)。たとえば、各入賞口のうち、大入賞口40、50を計測対象から除外したもの(この場合は、実質的に当り中を計測対象から除外したものが総払出個数となる)を総払出個数としてもよい。
(2)なおその他、総払出個数、特定入賞口除外総払出個数、総アウト球数のいずれかだけを計測し、その計測結果を性能情報としてもよい。
本実施形態では、通常状態中の総払出個数(通常時払出個数)と、通常状態中の総アウト球数(通常時アウト個数)とをリアルタイムで計測し、通常時払出個数を通常時アウト個数で除した値に百を乗じた値(通常時払出個数÷通常時アウト個数×100で算出される値)を性能情報(以下「ベース値」と称する)として表示する(表示値は、小数点第1位を四捨五入した値を表示する)。したがって、通常時払出個数、通常時アウト個数、ベース値の各データが、RAM203の該当領域(通常時払出個数格納領域、通常時アウト個数格納領域、特定比率情報格納領域)にそれぞれ格納(記憶)されるようになっている。ただし、単に永続的に計測して性能情報を表示するのではなく、総アウト球数が所定の規定個数(たとえば、60000個)に達した場合、一旦、計測を終了し、その計測終了時点のベース値を、履歴情報として、RAM203の所定領域(性能表示格納領域)に格納する(今回のベース値を記憶する)。上記の計測終了契機となる「規定個数」とは、本実施形態の場合、通常時アウト個数ではなく、全遊技状態中(当り遊技中を含む)の総アウト球数(以下「全状態アウト個数」と称する)を採用している。この全状態アウト個数もリアルタイムに計測され、RAM203の該当領域(全状態アウト個数格納領域)に格納される。以下、特に必要のない限り、上記した(通常時払出個数格納領域、通常時アウト個数格納領域、特定比率情報格納領域、全状態アウト個数格納領域を纏めて「計測情報格納領域」と称する。
そして、履歴情報として、今回のベース値を記憶したあと、今回の計測で使用した計測情報格納領域をクリアし、次回の通常時払出個数、通常時アウト個数、ベース値および全状態アウト球数の計測を開始する。これにより、次回の性能情報がリアルタイムに計測され記憶される。
性能表示器99には、履歴情報としての前回のベース値と、現在リアルタイムで計測中のベース値とが、所定時間ごとに交互に切り替え表示されるようになっている(同時表示可能に構成してもよい)。本実施形態の場合、4個の7セグメントLEDのうち、正面左側半分の2つの7セグメントLEDを、リアルタイムで計測中のベース値(リアルタイムベース値:第1ベース値)であるか前回のベース値(履歴ベース値:第2ベース値)であるかを識別可能な識別情報を表示する‘識別表示部(識別セグ)’とし、正面右側半分の2つの7セグメントLEDを、ベース値を表示する‘ベース表示部(比率セグ)’としている。ベース表示部にリアルタイムベース値を表示する場合には、識別表示部にはたとえば「「bL.」と表示し、ベース表示部に履歴ベース値を表示する場合には、識別表示部にはたとえば「「b6.」と表示する(識別表示)。ベース値は小数点第1位を四捨五入した上で数値表示部に表示するが、四捨五入後の値が3桁以上の場合には、ベース表示部にオーバーフローを示す「99.」を表示する。なお、履歴ベース値は、前回のベース値に限らず、前々回やその前(3回前)などの特定の回数目のベース値を表示可能に構成してもよく、何回前までのベース値を表示するかについては適宜定めることができる。また性能表示器99に関し、リアルタイムベース値と前回の履歴ベース値とを少なくとも表示可能な構成であれば、ベース値の表示をどのような表示態様とするか、また、その切り替え表示形態についても、周期的な切替表示形態にするか、あるいはそれ以外の表示形態とするかも自由である。
また主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報やエラーに関する情報などを含む種々の演出制御コマンドを、演出制御部24に対して送信可能となっている。ただし、ゴト行為を防止するために、主制御部20は演出制御部24に対して信号を送信するのみで、演出制御部24からの信号を受信不可能な片方向通信の構成となっている。
(2−2.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、演出制御処理に要する演出データを格納したROM242(演出制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音響制御部(音源LSI)、RTC機能部(Real Time Clock)、カウンタ回路、割込みコントローラ回路、リセット回路、WDT回路などが設けられ、演出動作全般を制御する。
この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、演出手段である液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45や各種LED(ボタンLED13b、その他の演出用LED(図示せず))の発光制御、可動体役物80、90の動作制御などである。
演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDPと、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24は、種々の演出(光演出や音演出や可動体役物による可動体演出)を現出させるために、装飾ランプ45(周囲LED45)や各種の演出用LEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、可動体役物(図示せず)を動作させる可動体役物モータ80cに対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。演出制御部24は、これらの制御部に対し、演出手段に関する制御信号を送信可能となっている。
また演出制御部24には、可動体役物の動作を監視する位置検出センサ82aが接続され、演出制御部24は、位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の現在の動作位置(たとえば、原点位置からの移動量)を監視しながらその動作態様を制御する。また位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の動作の不具合を監視し、不具合が生じれば、これをエラーとして報知する。
また演出制御部24には、演出ボタン13の操作を検出する演出ボタンスイッチ13aと、方向キー75(75a〜75d)の操作を検出する方向キースイッチ(図示せず)とが接続され、演出制御部24は、これら演出ボタン13や方向キー75からの操作検出信号を受信可能となっている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドに基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種の演出手段を制御して、目的の演出を現出させる。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、装飾ランプ45やLEDの点灯点滅駆動が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄変動表示動作や予告演出など)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(図3)を用いた遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3−1.図柄変動表示ゲーム)
(3−1−1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態の遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が中始動口34、右始動口33または右下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、中始動口34または右始動口33への入賞に基づく大当り抽選と、右下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、中始動口34、右始動口33に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、右下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、中始動口34または右始動口33に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始される。他方、特別図柄表示装置38b側においては、右下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「当り(大当り、小当り)」の場合には所定の「当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出表示されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜のために、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略す)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」である場合(大当り抽選結果が「大当り」である場合)、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了し、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了して、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、第1の特別変動入賞装置42が備える上大入賞口ソレノイド42c(図3参照)が作動して開放扉42bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより上大入賞口40が開閉されるか、または、第2の特別変動入賞装置52の下大入賞口ソレノイド52c(図3参照)が作動して開放扉52bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより下大入賞口50が開閉され、通常状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、28.5秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口への入賞球)が所定個数(最大入賞数:役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、15個(上大入賞口40)、10個(下大入賞口50))に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定ラウンド数(たとえば、最大16ラウンド)繰り返される。
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了する。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング演出期間、最大ラウンド数を上限としたラウンド遊技実行期間、およびエンディング演出期間の各遊技期間から構成される。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、右始動口33、中始動口34または右下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、これら始動口センサ33a、34a、または35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」、「小当り」、または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選(当否種別抽選)’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「小当り」であったならばその小当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当選種別(当り種別)抽選)’とを含む大当り抽選を行い(大当り、小当り、またはハズレが1種類の場合は、種別抽選を行う必要がないため、その抽選を省略してもよい)、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、当選種別に応じて最終的に停止表示させる特別図柄(以下、「特別停止図柄」と称する)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果および特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄の情報(図柄抽選結果情報(当り種別に関する情報))を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信するようになっている。
上記特別図柄の変動パターン情報には、特定の予告演出(たとえば、後述の「リーチ演出」や「疑似連演出」など)の発生の有無を指定する情報を含むことができる。詳述するに、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」に大別され、これら変動パターンには、たとえば、リーチ演出の発生を指定する‘リーチ変動パターン’、リーチ演出の発生を指定しない‘通常変動パターン’、疑似連演出とリーチ演出との発生を指定する‘疑似連有りリーチ変動パターン’、疑似連演出の発生を指定しリーチ演出の発生は指定しない‘疑似連有り通常変動パターン’など、複数種類の変動パターンが含まれる。なお、リーチ演出や疑似連演出の演出時間を確保する関係上、基本的には、リーチ変動パターンや疑似連有り変動パターンの方が、通常変動パターンよりも変動時間が長く定められている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(予告演出等の演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)を決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い装飾図柄を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームを実行させる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45やLEDなどの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
(3−1−2.普通図柄変動表示ゲーム)
また遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態、または「○」と「×」を表現するLEDのうち「○」側のLEDが点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動して可動片47が所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより右始動口33が開放されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常遊技状態(通常状態)よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動片47により、右始動口33の開放時間が所定時間経過するまでか、または右始動口33に入賞した遊技球数が所定個数(たとえば、4個)に達するまで、その入賞領域が開放され、これらいずれかの条件を満たした場合に右始動口33を閉鎖するようになっている。なお、右始動口33が閉鎖される条件はこれに限らず、右始動口33の開放時間のみに基づくものであっても良いし、右始動口33に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
ここで本実施形態では、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中などに、各始動口33〜35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち始動口センサ33a〜35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
また本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する各作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されない。また各図柄の最大保留記憶数の全部または一部が異なっていてもよく、その数は遊技性に応じて適宜定めることができる。
(同時変動タイプ:図7(イ))
本実施形態のパチンコ遊技機1は、特別図柄表示装置38aにおける特別図柄1の変動表示動作と、特別図柄表示装置38bにおける特別図柄2の変動表示動作とが、それぞれ独立して実行可能な構成となっている。つまり、特別図柄1の変動表示と特別図柄2の変動表示とが並行して実行可能な、いわゆる「同時変動タイプ」と称されるパチンコ遊技機の構成である。この同時変動タイプの場合は、双方の特別図柄が並行して変動表示動作が可能であるため、たとえば、一方の特別図柄を対象とした当り遊技の実行中に、他方の特別図柄の変動時間が終了して当り図柄(大当りを示す図柄(大当り図柄)または小当りを示す図柄(小当り図柄))で停止してしまうケースが生じうる。しかし当り遊技は、特別図柄1、2のいずれか一方を対象として実行されるため、特別図柄1、2双方を対象とした当り遊技を実行することはできない。したがって、特別図柄1、2の双方が大当り図柄で同時的(確定表示中、当り遊技中など)に停止表示させない工夫が必要である。
そこで図7(イ)に示すように、たとえば、特別図柄1、2の変動表示が並行して実行される場合において、一方の特別図柄の変動時間が終了して、他の特別図柄よりも先に当り図柄で停止表示されるケースでは、他方の特別図柄が変動表示中であっても変動時間を強制的に終了させ、ハズレを示す図柄(ハズレ図柄)で停止させる(強制ハズレ停止制御)。また、一方の特別図柄が先に当り図柄で停止表示される場合には、他方の特別図柄の変動時間の計測を中断したまま変動表示を継続させ(停止表示させない)、当該一方の特別図柄の当り図柄に係る当り遊技が終了した後に当該計測を再開させる場合には、ハズレ図柄で強制的に停止させなくてもよい(計測中断制御)。ただし、一方の特別図柄が先にハズレ図柄で停止表示するケースでは、その後に他方の特別図柄が当り図柄で停止しても何ら問題がないため、そのまま変動を継続させる。本実施形態では、大当りの場合には強制ハズレ停止、小当りの場合には計測中断をする「大当り時強制ハズレ・小当り時計測中断型」の同時変動タイプを採用している。
(3−2.遊技状態)
本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「確率変動機能(確変機能)」を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄確変機能は、大当り抽選確率を所定確率(通常確率)の低確率(たとえば、320分の1)から高確率(たとえば、137分の1)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「高確率状態」を発生させる機能である。また普通図柄確変機能は、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)である低確率(たとえば、200分の1)から高確率(たとえば、200分の199)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「補助当り確変状態」を発生させる機能である。
また、主制御部20がその機能部を担う「変動時間短縮機能(時短機能)」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから停止表示される迄の平均時間)を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され、通常遊技状態よりも単位時間当りの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。また普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから停止表示されるまでの平均的な時間)を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され、通常遊技状態よりも単位時間当りの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄または普通図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、時短機能が作動しているわけではなく、他の制御処理によるものである。
また本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動片47の開動作期間(可動片47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)を延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。この開放延長状態は、いわゆる「電チューサポート状態」と称される。上記開放延長機能が作動中の遊技状態(開放延長状態)下では、可動片47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば0.1秒から3.7秒に延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から3回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態(内部遊技状態)に変化をもたらすことができる。以下では、説明の便宜上、特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、これらの機能のうちから特別図柄確変機能を除去した遊技状態を「時短状態」と称し、少なくとも特別図柄確変機能が作動し開放延長機能が作動しない遊技状態を「潜確状態(潜確)」と称する。また全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常遊技状態(通常状態)」と称する。したがって、これらの遊技状態における大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「時短状態」または「通常状態」である場合には大当り抽選確率が‘低確率’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」の場合においては大当り抽選確率が‘高確率’となる。
本実施形態では、確変状態、時短状態、および潜確状態の場合に、特別図柄時短機能が作動するようになっている。上記潜確状態中は、特図2に係る特別図柄時短機能が作動し、特図2が特別図柄時短状態とされる。
また上記電チューサポート状態下(以下、「電サポ有り状態」と称する)では、普通変動入賞装置41の可動片47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して右始動口33への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(以下、「電サポ無し状態」と称する)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常遊技状態」または「潜確状態」の場合には‘電サポ無し状態’となり、遊技状態が「時短状態」または「確変状態」である場合には‘電サポ有り状態’となる。上記大当り抽選確率や電サポ状態の有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況に着目した遊技状態を「内部遊技状態」と称する。また上記各機能の作動状況については、主制御部20側において、各機能に対応したフラグのON/OFF状態によりその作動・未作動が管理されるとともに、内部遊技状態種別も「遊技状態番号YJ(YJ=通常「00H」、時短「01H」、潜確「02H」、確変「03H」等)」という識別子を用いて管理されるようになっている。
なお、大当り中は大入賞口が開閉される当り遊技(大当り遊技)が発生するが、上記各機能については全ての機能が非作動とされ、基本的には、上記通常状態と同じ遊技状態下に置かれる。ただし、小当りによる当り遊技(小当り遊技)中は、上述の大当り遊技中とは異なる。小当り遊技中も大当り遊技中と同様に大入賞口が開閉される当り遊技であるが、小当りに当選した場合は、内部遊技状態自体の移行は行われない。すなわち、小当り遊技中は、小当り当選時の遊技状態が継続されるようになっている。たとえば、時短状態中に小当りに当選した場合は、小当り中も時短状態下に置かれ、潜確状態中に小当りに当選した場合は、小当り遊技中も潜確状態下に置かれる。
<4.当りについて>
次に図4を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機の「当り」について説明する。
(4−1.当り種別と当り遊技について)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、上記の特別図柄変動表示ゲームにて抽選される当りの種類、つまり大当り抽選対象となる当り種別として、大当り種別に属する「大当り1〜8」、小当り種別に属する「小当り」などの複数種類の当りが設けられている。図示の「16R」や「8R」などの表記は、それぞれ、規定ラウンド数(最大ラウンド数)を示す。なお、大当りおよび小当りではない「ハズレ」種別として、複数種類のハズレ(ハズレA、B、C)が設けられている(図35参照)。また、小当りは1種類であるが、複数種類設けてもよい。
大当り種別は条件装置の作動契機となる当りであり、「小当り」は条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りである。ここで「条件装置」とは、その作動が、ラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合(役物連続作動装置が作動中に大入賞口に入賞したものを除く)に作動するものをいう。また「役物連続作動装置」とは、特別電動役物を連続して作動させることができるものをいう。また、特別電動役物」とは、電動役物のうち、大入賞口の入口を開きまたは拡大するものをいう。したがって、小当りの場合は、ラウンド遊技自体は実行されず、大当りによるラウンド遊技と同一または酷似する動作態様(疑似的なラウンド遊技)、あるいは、大当りによるラウンド遊技とは全く異なる動作態様で大入賞口の開閉動作が制御される。大当り種別に属する当り、小当り種別に属する当りのいずれも大入賞口の開閉動作を伴う特別遊技状態への移行契機(当り遊技の発生契機)となる当りであり、この点で、小当りは、単なる「ハズレ」とは異なる。
また図4に示す通り、大当り1〜4は、特別図柄1側の大当り抽選対象であり、大当り5〜8および小当りは、特別図柄2側の大当り抽選対象となっており、本実施形態では、特別図柄2側(特別図柄変動表示ゲーム2側)にだけ、小当りに当選可能となっている。
また、大当り1〜8は、その当選時の遊技状態に応じて、大当り遊技終了後の遊技状態が決定されるようになっている。たとえば、大当り1は、当選時の遊技状態がいずれの遊技状態であっても「潜確状態(高確率、電サポ無し)」に移行され、大当り2は、当選時の遊技状態が通常状態の場合には「確変状態(高確率、電サポ有り)」に移行され、潜確・時短・確変状態の場合には、「潜確状態に」移行される。また、大当り4、8は、時短状態(低確率、電サポ有り)への移行契機となる大当りであり、当選時の遊技状態が通常状態の場合には「時短状態A(時短回数50回)」に移行され、潜確・時短・確変状態の場合には、「時短状態B(時短回数7回)」に移行される。他の大当り3、6〜7については、図4に示す通りである。
また大当り1〜8は、1回のラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間が、大入賞口への入賞数が最大入賞数(9個)に達する可能性が見込める時間幅の「長開放時間(たとえば、29.8秒)」に設定される「長開放大当り」となっている。したがって本実施形態の場合、大当り遊技中の利益状態については、最大ラウンド数が相対的に多いほど高くなる。なお、出玉率の関係上、大当りの一部に、1回のラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間が「短開放時間(たとえば、0.1秒)」となる「短開放大当り」を設けてもよい。この短開放大当りでは、大入賞口の最大開放時間が非常に短いため、入賞が殆ど見込めない(入賞不可能であってもよい)大当りとすることができる。また、いずれの大当りも最大ラウンド数について適宜定めることができる。
本実施形態に係る「潜確状態」、「確変状態」、「時短状態」については、特別図柄変動表示ゲーム(特別図柄の変動回数)の実行回数が、所定の規定回数(特別図柄変動表示ゲーム1および2(特別図柄1および2の変動回数)の合計実行回数)終了するまで継続され、その規定回数内で大当り(小当りを除く)に当選することなく特別図柄変動表示ゲームが終了すると、次ゲームから通常状態(通常遊技状態)に移行されるようになっている。本実施形態の場合、潜確状態または確変状態は、所定の規定回数(ST規定回数)が設定され(回数切りタイプ(ST機タイプ))、時短状態は7回(時短状態Aの場合)または50回(時短状態Bの場合)が設定される。なお、潜確状態または確変状態ついては上記ST規定回数を定めるのではなく、次回大当りが当選するまで高確率状態を継続させる「一般確変機タイプ」としてもよい。また時短状態については、適宜な回数(たとえば、100回など)に設定することができる。また潜確状態または確変状態への移行を、大入賞口内の特定領域に遊技球が入球したことを条件してもよい(V確変機タイプ)。
(小当りによる当り遊技について)
小当りによる当り遊技(以下、「小当り遊技」と称する)では、下大入賞口50の開放が1回または複数回行われる(本実施形態では、1回)。ここで「小当り」は、上記したように「条件装置」の作動契機とはならない当り種別であることから、「大当り」のようなラウンド遊技は実行されない。つまり、小当り遊技中の下大入賞口50の開閉動作は、疑似的なラウンド遊技となっている。ここで、下大入賞口50の開放時間は、法的要請により、下大入賞口50の開放が一回行われる場合にあっては当該開放の時間が、開放が複数回繰り返される場合にあっては当該開放の時間の合計が1.8秒を超えない時間と定められている。そこで本実施形態の場合には、下大入賞口50の開放時間を1.2秒に設定してある。この開放時間は、遊技くぎの配列パターン(不図示)や流路修正板37d、40d等を考慮し、遊技球が1〜数個程度入賞しうる開放時間として定められている。また小当り遊技における下大入賞口50の閉鎖条件に関しては、下大入賞口50の最大開閉動作時間が経過した場合か、または下大入賞口50に入賞した遊技球数が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合かのいずれか一方の条件が満たされた場合となっている。本実施形態の場合、上記最大開閉動作時間内(1.2秒内)に、下大入賞口50に入賞した遊技球数が最大入賞数に達することがないため、実際には、下大入賞口50の最大開閉動作時間の1.2秒が経過した後、具体的には、大入賞口の一連の開閉動作が実行された後、小当り遊技が終了されることになる。
また小当りによる小当り遊技後は、その小当り当選時の内部遊技状態がそのまま継続され、小当り当選に起因した内部遊技状態の移行制御は行われない。したがって、小当り当選時の内部遊技状態とその小当り遊技後の内部遊技状態とは、いずれも同じ内部遊技状態となる。この点、内部遊技状態の移行制御が行われうる「大当り」とは性質を異にする。
なお、小当りは1種類であってもよいし複数種類であってもよい。複数種類の小当りを設ける場合、小当り遊技の態様が異なるものとすることが好ましい。たとえば、少なくとも第1小当りと第2小当りを設ける場合、第1小当りは、大入賞口の開放時間1.0秒の小当り遊技を実行し、第2小当りは、当該第1小当りよりも短い、大入賞口の開放時間0.5秒の小当り遊技を実行するものとすることができる。このように、大入賞口の開放時間が異なる小当り遊技を実行する複数の小当りを設けることで、後述の小当りラッシュの出球増加スピードに抑揚や緩急を付けることができ、遊技の面白み向上させることができる。なお、複数種類の小当りを設ける場合、それらの当選確率は適宜定めることができる。出球増加スピード感を出す遊技性であれば、大入賞口の開放時間が相対的に長い小当り種別を高確率に設定し(上述の例では、第1小当りを第2小当りよりも高確率に定める)、出球増加スピード感を緩やかにする遊技性であれば、大入賞口の開放時間が相対的に短い小当り種別を高確率に設定(上述の例では、第1小当りを第2小当りよりも低確率に定める)すればよい。また大当りの種類も遊技性に応じて適宜定めることができる。
<5.演出について>
(5−1.演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1には、遊技状態に関連する演出をなす複数種類の演出モードが設けられており、遊技状態の移行に対応して、各演出モード間を移行制御可能に構成されている。演出モードには、「通常状態」に対応する「通常演出モード」、「潜確状態」に対応する「潜確演出モード(小当りラッシュ演出モード)」、「確変状態」に対応する「確変演出モード」、「時短状態」に対応する「時短演出モード」といった、各遊技状態に応じた複数種類の演出モードが設けられている。
演出制御部24(CPU241)は、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24は、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド、具体的には、現在の遊技状態を指定したり、遊技状態が移行される旨を指定したりする演出制御コマンドに基づいて、主制御部20側の遊技状態と整合性を保つ形で、複数種類の演出モード間を移行制御可能に構成されている。特定の演出制御コマンドには、変動パターン指定コマンド、遊技状態指定コマンド、デモ表示コマンド1、デモ表示コマンド2、当り中に送信される所定のコマンド(大当り開始を指定する大当り開始コマンドや、大当り終了を指定する大当り終了コマンド)などがある。また演出制御部24は、遊技状態に関連した演出モードを管理する機能部(演出状態管理手段)を有する。演出制御部24(演出状態管理手段)は、主制御部20側と整合性を保つ形で、現在の演出モードを管理する。
(5−2.各演出モード下の演出)
また各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、演出モードのそれぞれにおいて、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示が、それぞれ異なる背景演出に切替え制御されるようになっている。また背景演出を各演出モードに応じて変化させるものに限らず、各演出モードに対応した異なる絵柄の装飾図柄を利用したり、音演出や光演出などを変化させたりすることにより各演出モードを示唆することもできる。
(5−3.予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、主制御部20からの演出制御コマンドの内容、具体的には、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報に基づき、現在の演出モードと大当り抽選結果とに関連した様々な「予告演出」を現出制御可能に構成されている。このような予告演出は、当り種別に当選したか否かの期待度(当選期待度)を示唆(予告)し、遊技者の当選期待感を煽るための「煽り演出」として働く。予告演出として代表的なものには、「リーチ演出」や「疑似連演出」の他、「先読み予告演出」や遊技者参加型演出などがある。演出制御部24は、これら演出を実行(現出)制御可能な予告演出制御手段を備えている。
「リーチ演出」とは、リーチ状態を伴う演出態様をいい、具体的には、リーチ状態を経由してゲーム結果を導出表示するような演出態様をいう。リーチ演出には当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出、たとえば、Nリーチ(ノーマルリーチ)などの当選期待度が相対的に低いリーチ演出と、Nリーチよりも当選期待度が相対的に高いリーチ演出(SPリーチ演出)とが含まれる。「SPリーチ」の多くは、遊技者の当選期待感を煽るべく、Nリーチによりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持つ。SPリーチとしては、たとえば、NリーチからSPリーチに発展する通常のSPリーチや、NリーチからSPリーチに発展し、さらに別のSPリーチに発展する発展型SPリーチなどが含まれる。
本実施形態では、Nリーチには、たとえば「Nリーチ1〜2」などの複数種類のNリーチが、SPリーチには「SPリーチA〜Cや、弱SPリーチ、強SPリーチ」などの複数種類のSPリーチが設けられている。また、当選期待度の関係については、「Nリーチ1<Nリーチ2」、「SPリーチA<SPリーチB<SPリーチC」という関係を持たせている。NリーチやSPリーチは、遊技状態に応じて、種々のリーチが含まれる(後述の図34〜図36参照)。
「疑似連演出」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(疑似変動)を伴う演出態様をいう。この「疑似変動」とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を一旦仮停止状態とし(リーチ状態、非リーチ状態を含む)、その仮停止状態から装飾図柄の再変動表示動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回繰り返す変動表示態様をいう。この点、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って展開されるような後述の「先読み予告演出(連続予告演出)」とは異なる。斯様な「疑似連」は、基本的には、疑似変動回数が多くなるほど当り当選期待度が高まるようにその発生率が定められており、たとえば、疑似変動回数が相対的に多いほど、SPリーチC(高期待度SPリーチ)の発生期待度が高まるようになっている。
また「先読み予告演出」とは、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、主に、保留表示態様や先に実行される図柄変動表示ゲームの背景演出等を利用して、当該作動保留球に関する当選期待度を事前に報知しうる演出態様である。なお、図柄変動表示ゲームにおいては、上記「リーチ演出」の他、いわゆる「キャラクタ予告演出」、「ステップアップ予告演出」などの種々の演出が発生し、ゲーム内容を盛り上げるようになっている。
ここで図5を用いて、上記先読み予告演出を含め、本実施形態に係る液晶表示装置の画面表示について説明する。本実施形態の遊技機1の場合、液晶表示装置36の画面内の上側の表示エリアには、装飾図柄変動表示ゲームを現出する表示エリア(装飾図柄の変動表示演出や予告演出を現出するための表示領域)が設けられており、また画面内の下側の表示エリアには、特別図柄1側の作動保留球数を表示する保留表示領域76(保留表示部a1〜d1)と特別図柄2側の作動保留球数を表示する保留表示領域77(保留表示部a2〜d2)とが設けられている。作動保留球の有無に関しては、所定の保留表示態様により、その旨が報知される。図示では、作動保留球の有無を点灯状態(作動保留球あり:図示の「○(白丸印)」)あるいは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知される例を示してある。
作動保留球の有無に関する表示(保留表示)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。また、保留表示領域76、77の左側には、現に特別図柄変動表示ゲームに供されている作動保留球を示すための変動中表示領域78が設けられている。この実施形態の場合、変動中表示領域78は、受座Jのアイコン上に、現在ゲームに供されているゲーム実行中保留Kのアイコンが載る形の画像が現れるように構成されている。すなわち、特別図柄1または特別図柄2の変動表示が開始される際に、保留表示領域76、77に表示されていた最も古い保留a1またはa2のアイコン(アイコン画像)が、ゲーム実行中保留Kのアイコンとして、変動中表示領域78おける受座Jのアイコン上に移動し、その状態が所定の表示時間にわたり維持される。
作動保留球が発生した場合、主制御部20から、大当り抽選結果に関連する先読み判定情報と、先読み判定時の作動保留球数(今回発生した作動保留球を含め、現存する作動保留球数)とを指定する「保留加算コマンド」が演出制御部24に送信される(図17のステップS361参照)。上記保留加算コマンドは、2バイトで構成され、先読み判定時の作動保留球数を特定可能とする上位バイト側のデータ(入賞コマンド2(MODE))と、先読み判定情報を特定可能とする下位バイト側データ(入賞コマンド2(EVENT))とから構成される(図17参照)。
演出制御部24が保留加算コマンドを受信すると、これに含まれる先読み判定情報に基づき、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、「先読み予告演出」に関する演出制御処理を行う。具体的には、保留加算コマンドに含まれる情報に基づいて、先読み予告演出の実行可否を抽選する先読み予告抽選を行い、これに当選した場合、当選期待度に応じた先読み予告演出(たとえば、後述の特別保留表示態様等)を現出させる。上記先読み予告抽選による当選確率は、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が高確率となっており、先読み予告演出が発生するか否かにより、大当りまたは特定の当り種別への当選期待度が示される。
ここで先読み判定情報とは、具体的には、主制御部20において、作動保留球が図柄変動表示ゲームに供される際に実行される大当り抽選結果(変動開始時の大当り抽選結果)に関連する情報や、変動開始時の変動パターンを先読み判定した際に得られる先読み変動パターンに関する情報、すなわち、この先読み判定情報には、少なくとも変動開始時の当落抽選結果の先読み判定結果(先読み当落結果)情報が含まれ、その他、図柄抽選結果の先読み判定結果(先読み図柄結果)情報や変動開始時の変動パターンの先読み判定結果(先読み変動パターン)情報を含ませることができる。如何なる情報を含む保留加算コマンドを演出制御部24に送るかについては、先読み予告にて報知する内容に応じて適宜定めることができる。なお、作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。たとえば、上記変動開始時の変動パターンが「疑似N(N=2、3)+SPリーチA」を指定する変動パターンであるケースであれば、先読み変動パターンにより指定される内容が「疑似N+SPリーチA」というリーチ演出の種類そのものではなく、その骨子である「SPリーチA種別」である旨を指定してもよい。
この実施形態の場合、先読み予告抽選に当選した場合には、保留表示部a1〜d1、a2〜d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示(通常保留表示態様)の白色から、予告表示の青色、緑色、赤色、虹色などの特殊な保留色や色彩の保留表示(特別保留表示態様)に変化するといった「保留表示変化系」の先読み予告演出が行われる。図5では、ハッチングされた保留表示部b1の作動保留球が、特別保留表示に変化した例を示している。ここで、保留アイコンの青色、緑色、赤色、虹色の表示は、この色の順に、当選期待度が高いことを意味しており、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコン(当確保留予告)となっている。したがって、この保留表示部が作動保留数を表示する保留表示手段として働く。しかし、先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1〜d1、a2〜d2のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(特別保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を発生させる手段として働く。現存する作動保留球は、図柄変動表示ゲームの実行を契機に順次消化される。このとき、作動保留球が1つ消化したことを表現するべく、現存する作動保留球に対応した保留表示部の表示位置を繰り上げ移行され(順次左側にシフト)、その表示個数が減じられるといった表示制御(シフト表示)が行われるが、上記した通常と異なる保留表示態様は、この間も保留表示の表示位置を変えながら連続的に表示され続ける。
次に、遊技者参加型演出について説明する。遊技者参加型演出とは、いわゆる「ボタン予告演出」に属する演出態様であり、遊技者が演出ボタン13(操作手段)に対して所定の操作(たとえば、押圧、長押し、連打等の操作)に基づき、演出の内容が変化し得る予告演出態様である。遊技者参加型演出では、所定のボタン有効期間中になると、演出ボタン13に対して所定の操作を指示する操作指示演出が現出され、ボタン有効期間中に演出ボタン13が操作された場合、現出中の演出態様が他の演出態様(操作時演出)に変化し(たとえば、キャラクタ表示が変化する、特殊な効果音や光演出が発生する等)、操作前後の演出態様(演出内容)に応じて、当選期待度を予告する予告演出態様となっている。
(表変動、裏変動について:図7(ロ))
本実施形態のパチンコ遊技機は、同時変動タイプであるため、特別図柄変動表示ゲーム1、2のそれぞれに対応した装飾図柄変動表示ゲームを液晶表示装置36に表示してもよいが、2つの図柄変動表示ゲームに係る演出を同時に表示するのは、遊技者にとって煩わしく、どちらの図柄変動表示ゲームの演出に集中してよいのかという混乱を招いてしまう。そこで本実施形態では、特図1、2が同時変動中であっても(特別図柄変動表示ゲーム1、2の双方が実行中)、遊技状態に応じて、いずれか一方の特別図柄に係る図柄変動表示ゲームの演出を優先的に現出させるようになっている。たとえば、通常状態であれば、中始動口34への入賞を狙ってゲームを進めることになるので、特別図柄1側に対応した図柄変動表示ゲーム1が支配的となり、他方、潜確状態の場合には、潜確状態であれば、右下始動口35への入賞を狙ってゲームを進めることになるので、特別図柄2側に対応した図柄変動表示ゲーム2が支配的となる。この点を考慮し、通常状態、確変状態、および時短状態のいずれかであれば、演出は、装飾図柄変動表示ゲーム1をメイン演出(表変動表示状態(表変動状態)側の演出)として現出させ、潜確状態であれば、装飾図柄変動表示ゲーム2をメイン演出として現出させる(図7(ロ)の対応関係参照)。たとえば、通常状態であれば、特別図柄1が表変動状態であるので、液晶表示装置36の液晶画面に、装飾図柄変動表示ゲーム1に係る装飾図柄の変動表示動作や予告演出等を表示する。したがって、現在の遊技状態が通常状態、確変状態、および時短状態のいずれかであれば、メイン演出が図柄変動表示ゲーム1を対象としたものとなり(特図1表変動状態)、原則、図柄変動表示ゲーム2を対象とした予告演出(リーチ演出等)や保留アイコンや装飾図柄は表示されない(特図2裏変動状態)。現在の遊技状態が潜確状態であれば、メイン演出が図柄変動表示ゲーム2を対象としたものとなり(特図2表変動状態)、図柄変動表示ゲーム1を対象とした予告演出(リーチ演出等)や保留アイコンや装飾図柄は表示されない(特図1裏変動状態)。ただし本実施形態の場合、裏変動表示状態(裏変動状態)側の演出を一切現出しない訳ではなく、たとえば、液晶表示装置36の左下隅に、メイン演出とは別のサブ的な演出(サブ演出)として、特別図柄1、2に係る保留個数と変動表示の有無についての専用表示領域160を設けてある(たとえば、図31A〜図31Gの符号160を参照)。以下、説明の便宜のために、表変動状態を「表変動」、裏変動状態を「裏変動」と略す場合がある。
なお、演出制御部24は、「右打ち有利」な遊技状態(当り遊技中、潜確状態、時短状態、確変状態)下で遊技者が左打ちをしていると想定される場合、たとえば、中始動口34に入賞があった場合、遊技者に右打ちする旨を警告する「右打ち警告報知演出」を現出し、「左打ち有利」な遊技状態(通常状態)下で遊技者が右打ちをしていると想定される場合、たとえば、役連ゲート57、普通図柄始動口37、右始動口33、または右下始動口35に入賞があった場合、遊技者に左打ちする旨を警告する「左打ち警告報知演出」を現出させる警告報知制御手段を備えている。
(5−4.演出手段)
遊技機1における各種の演出は、遊技機に配設された演出手段により現出される。斯様な演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮し得る刺激伝達手段であれば良く、装飾ランプ45やLED装置などの光発生手段(光演出手段)、スピーカ46などの音響発生装置(音演出手段)、液晶表示装置36などの演出表示装置(表示手段)、操作者の体に接触圧を伝える加圧装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、ないし、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物などは、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<6.遊技状態の遷移:図6>
次に図6を用いて、上記遊技状態の遷移について説明する。図6に示すように、本実施形態では、「通常状態」、「潜確状態」、「時短状態」、「確変状態」にて遊技が制御される。
既に説明したように、「通常状態」や「潜確状態」は電チューサポート機能が付与されない‘電サポ無し’状態であるが、補助当り確率がゼロではなく、普通図柄始動口37に入球して補助当りとなれば、普通変動入賞装置41の可動片47(電チュー)が作動する普電開放遊技が発生する。しかし、補助当り抽選確率は低確率状態(1/200)下に置かれ、また可動片47の作動時間(開放時間)は非常に短く(0.1秒の1回開放)、右始動口33への入賞は非常に困難となる。これに対し「時短状態」や「確変状態」は電チューサポート機能が付与される‘電サポ有り’状態であるため、補助当り抽選確率は高確率状態(199/200)下に置かれ、また可動片47の開放時間が長く(1.2秒の開放3回+0.5秒の開放2回)、右始動口33への入賞が容易になる。本実施形態の場合、普通図柄の変動時間については、通常状態中および潜確状態中は1000ms、確変状態中および時短状態中も1004msと略同一時間となっており、変動パターンも1種類である。勿論、電サポの有り無しで普通図柄の変動時間が同一であってもよいし、異ならせてもよい。また、変動時間が異なる普通図柄の変動パターンを複数種類設けてもよい。
本実施形態の場合、遊技者がどのような打ち方をすれば有利な状況となるかについては、遊技状態に応じて変化する。具体的には、通常状態であれば、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利とされ、確変状態、潜確状態、または時短状態であれば、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利とされる。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、各遊技状態の特徴を説明しておく。
(通常状態中について)
上記「通常状態」中は、「左打ち」が有利とされ、したがって遊技者は、左流下経路3bを狙いながら遊技を進行させる。すなわち、中始動口34への入賞を狙って、特図1側の大当り抽選(特別図柄変動表示ゲーム1)を受けながら遊技を進行させる。
ところで本実施形態の場合、特図1側の抽選対象種別には小当りが存在せず、特図2側の抽選対象種別に小当りが存在する構成となっており(図4参照)、その小当り当選確率も非常に高確率の約1/1.14となっている(図4参照)。そこで、通常状態中に「右打ち」をして小当り当選を狙い、小当り遊技による賞球を得ようとする攻略打ちがなされる恐れがある。しかし、通常状態中の場合、特別図柄1の変動時間は、最長でも112秒となっているが(図34の変動パターン種別の欄‘RUSH直撃リーチ’を参照)、特別図柄2の変動時間は、600秒(ハズレ、小当り時)という非常に長い変動時間を持つ「超ロング変動パターン」が選択されるようになっている(図36の変動パターン種別の欄‘潜確以外中10分変動1〜6’参照)。したがって、仮に通常状態中に「右打ち」をして特図2側の右下始動口35に入賞させたとしても、この超ロング変動パターン(潜確以外中10分変動1〜6のいずれか)が選択されるため、小当り遊技開始までの待ち時間が非常に長くなる。また、小当りに当選した場合に、遊技者が特図2の停止表示(停止特別図柄)を確認した直後に、または下大入賞口50の開放動作を確認した直後に、たとえ右打ちを開始して下大入賞口50を狙い打ちしたとしても、遊技球が開放扉52bに到達したときには、既に、下大入賞口50は閉鎖されてしまうという構成となっており、右打ちし続けていなければ、下大入賞口50への入賞が望めない構成となっている。また、通常状態における特図2側の抽選対象種別には、後述の「小当りラッシュ」が生起する「潜確状態」への移行契機となる大当り(小当りラッシュ確定大当り)種別が存在しない。よって、通常状態中に「右打ち」をするという行為は、利益を得るに際して時間的損失が極めて大であり、また闇雲に遊技球の損失を招く可能性が高く、当該行為が遊技者にとり無駄な行為となるようにし、攻略打ちを実質的に無効化されるようになっている。
(潜確状態中について:小当りラッシュの発生)
一方、「潜確状態」中は、通常状態中とは異なり「右打ち」が有利とされ、したがって遊技者は、右流下経路3cを狙いながら遊技を進行させる。ここで潜確状態中は、小当り当選時の特別図柄2の変動時間は、変動時間が2〜4秒という「ショート変動パターン(高速変動パターン)」となっている(図36参照)。また「潜確状態」における特図2側の小当り当選率は、「約1/1.14(図4参照)」という非常に高い確率で当選する。このため、右下始動口35に入賞すると、ほぼ毎ゲーム小当りに当選し、かつショート変動パターンが選択され、短時間のうちに小当り遊技が発生し、下大入賞口50が1.2秒にわたり開放される。また、潜確状態中は、電チューサポート機能が付与されない‘電サポ無し状態’下に置かれ、普電開放遊技がほぼ発生しない(潜確状態中の補助当り確率は、1/200)。仮に発生しても、可動片47の作動時間が非常に短く、右始動口33への入賞は困難である。
したがって潜確状態下において、遊技盤3の右側流路3cを流下した遊技球は、まず、流路修正板37dに拾われて同流路修正板37d上を左側に流下していく。そして、流路修正板37dの下端を抜けて上大入賞口40の開閉扉42b上に流下し、同開閉扉42上を右側に転動して下端から流下する。この開閉扉42から流下した遊技球は、遊技盤の誘導くぎ(図示せず)により、大部分が電チューの普通変動入賞装置41側、つまり右始動口33側に案内され、まれに流下案内板40d上に乗る方向に案内される。このうち一方の電チュー側に案内された遊技球は、普電開放遊技がほぼ発生しないために、右始動口33に入賞することなく、可動片47上を左下方に転動し、可動片47下端から流下して、右下始動口35側か、小当り用の下特別変動入賞装置52側のいずれかに案内される。本実施形態の場合、可動片47下端から流下した遊技球の概ね40%程度が右下始動口35側に案内され、残りの60%が小当り用の下特別変動入賞装置52側に案内される。すなわち、打ち出した遊技球の多くが、特別図柄変動表示ゲーム2用の右下始動口35と、小当り用の下大入賞口50とに、案内される状況を作りだす。
小当り用の下大入賞口50側に案内された遊技球は、開放扉52bが開放されていれば、下大入賞口50に入賞する。他方の流下案内板40d側に案内された遊技球は、斜め左下に位置する下大入賞口50に向けて落下し、まれにこれに入賞する。一方、右下始動口35側に案内された遊技球は、右始動口下35に確実に入賞するわけではなく、その入賞率が80%程度となっており、比較的多くの遊技球が右下始動口35に入賞する。
このように、潜確状態下では、普電開放遊技が発生しにくいために、右打ちした遊技球が、電チューにほぼ拾われることなく、その下方に位置する、特図2用の右下始動口35や小当り用の下特別変動入賞装置52に向かい、その多くが、いずれかの入賞口に入賞する。また右下始動口35への入賞率も比較的高く、小当り当選時は高速変動パターンが選択されるので、特別図柄変動表示ゲーム2の単位時間当りの実行頻度が他の遊技状態に比し高くなる。このため、潜確状態にあっては頻繁に小当り遊技が発生し、その小当り当選の度に下大入賞口50(賞球数10個)に平均1〜2個ほどの入賞が発生するようになっている。すなわち「潜確状態」では小当りの連荘によって出玉が積み上がるという「小当りラッシュ」が発生し、潜確状態が続けば続くほど(大当りに当選せずにハマればハマるほど)、遊技者の獲得利益は増大していく。
(時短状態・確変状態について)
これに対し「時短状態」や「確変状態」は、電チューサポート機能が付与される‘電サポ有り状態’下に置かれる。この電サポ有り状態では、普電開放遊技が高確率で発生し、また右始動口33の開放時間も、電サポ無し状態下(潜確状態、通常状態)の0.1秒から3.7秒に延長される。このため右流下経路3cを流下する遊技球は、その多くが電チューの普通変動入賞装置41によって拾われてしまい、右下始動口35にほぼ入賞しない構成となっている。勿論、遊技球のすべてが、必ずしも電チューに拾われて特図1用の右始動口33に入賞するわけではなく、右始動口33に入賞せずに零れた遊技球が、下流側の特図2用の右下始動口35に入賞することがある。
したがって時短状態や確変状態中は、図柄変動表示ゲームに関し、特図1側の図柄変動表示ゲーム1の発生が支配的となり、特図2側の図柄変動表示ゲーム2が発生し難く、潜確状態とは逆の状況となる。また、たとえ、特別図柄変動表示ゲーム2が実行されたとしても、時短状態や確変状態中の小当り当選時には、超ロング変動パターンである「潜確以外中10分変動1〜6」のいずれかの変動パターン(変動時間600秒)」が選択されるため(図36参照)、いくら小当りが高確率に当選するとはいえ、小当り遊技自体が長時間発生し難い状況が作り出される。よって、下大入賞口50に入賞が困難となり、上記のような小当り遊技が短時間で頻発する「小当りラッシュ」は発生しない。
このように、時短状態や確変状態は電チューサポート機能によって特図1側始動口の右始動口33に入賞させ易いものの、上記した小当りラッシュを伴わないことから、出玉性能の点で、潜確状態よりも遊技者に対する有利度が圧倒的に劣る。特に本実施形態の場合、時短状態または確変状態下における潜確状態への移行確率、つまり「小当りラッシュ」移行率も特図2側では50%(図4の大当り5参照)、特図1側では15%(図4の大当り1、2参照)となっている。この点においても、特図2側の大当り抽選を頻繁に受けられる潜確状態よりも、遊技者に対する有利度が劣ることとなる。この点、時短状態や確変状態の電サポ有り状態であれば利益状態が高まる一般的なパチンコ遊技機とは、決定的に異なる。
なお本実施形態では、上記「小当りラッシュ」が潜確状態下で発生する構成となっているが、本発明はこれに限られない。遊技盤上に配設される役物や各種入賞装置(41、42、51等)等の構成や、当り種別、補助当り種別、その当り遊技態様や普電開放遊技態様等により、確変状態下および/または時短状態下(電サポ有り状態を伴う遊技状態下)にて、小当りラッシュが発生可能な構成としてもよい。
(通常状態→大当り遊技)
図6を参照して、ラインL1は、「通常状態」にて、特別図柄変動表示ゲーム1で大当り抽選確率1/320に当選した場合である。特別図柄表示装置38aに大当り図柄が停止表示されると、大当り用の上特別変動入賞装置42を用いて、その当選種別に応じた大当り遊技が実行される。特図1の当選種別には、図4に示す通り、大当り1〜4があり、「図柄抽選」の各選択確率(抽選確率)は、それぞれ、10/200(5%)、20/200(10%)、100/200(50%)、70/200(35%)となっている。このうち、潜確状態への移行契機となる「大当り1」が選択された場合(ラインL2)、「ビッグボーナス(小当りラッシュ確定時大当り遊技)」が開始される。一方、大当り2〜4が選択された場合(ラインL3)、「第1バトルボーナス(小当りラッシュ非確定時大当り遊技)」が開始される。
上記ビッグボーナス中では、当り中演出として、潜確状態、つまり「小当りラッシュ」への移行確定を祝福する特別な祝福演出が現出される。一方、第1バトルボーナス中では、当り中演出として、今回当選した大当り種別を秘匿するといった、いわゆる「バトル演出」のようなストーリー性を有する物語風演出が現出される。ここでは、主人公と宇宙人とが戦う様を表現したバトル演出が現出される。このバトル演出では、1〜7R目の各ラウンド遊技中演出において、大当り種別が大当り2〜4のいずれであるかの推測要素を与えるようなバトル演出が展開され、7R目のラウンド遊技中に、バトル演出の結果演出として、今回当選した大当り種別が確定的に報知される、つまり、確変状態と時短状態のいずれに移行されるのか、また最大ラウンド数が16Rであるか8Rであるかかが報知される。
大当り遊技終了後の遊技状態は、既に説明したように、今回当選となった大当り種別に応じて定まる(図4参照)。これについて、図示のラインL4は、大当り1(通常時潜確大当り)による大当り遊技終了後に「潜確状態」に移行されるルートを、ラインL5は、大当り2、3(通常時確変大当り)による大当り遊技終了後に「確変状態」に移行されルートを、ラインL6は、大当り4(通常時時短大当り)による大当り遊技終了後「時短状態」に移行するルートを示している。
(潜確状態→小当り遊技→潜確状態)
潜確状態中は、ラインL7→ラインL8に示すように小当り遊技をループする上記「小当りラッシュ」が発生しうる。この小当りラッシュは、1/137の大当りに当選することなく、1/1.14の小当りに当選し続ける限り、継続される。小当り遊技では、小当り用の下大入賞口50が1.2秒間にわたり開放され、右下始動口35側に案内されることなく到達した遊技球が、開放中の下大入賞口50に入賞する。また、小当りに当選しても内部遊技状態の移行はなく(小当りは、内部遊技状態の移行契機とならない当り)、小当り遊技が終了すると、元の「潜確状態」に戻るため(ラインL8)、「小当りラッシュ」が可能であり、小当りの連荘によって獲得球数が増加し、短時間で大量の賞球を獲得可能となっている。
このように潜確状態中は、遊技者は右打ちにより、特図2用の右下始動口35への入賞を狙い、小当りの連荘(小当りラッシュ)に期待を寄せて遊技を進行させていく。また潜確状態中は、潜確時時短大当りの大当り4、8または潜確時確変大当りの大当り3、6、7(時短状態または確変状態への移行契機となる大当り)に当選しない限り継続される。遊技者は、これらの大当りに当選することなく、現在の潜確状態が続くこと、あるいは、大当り当選となっても、再度、潜確状態への移行契機となる潜確時潜確大当り(大当り1、2、5)への当選を期待しながら、遊技を進行させていく(ラインL17)。
なお、特別図柄変動表示ゲーム2の実行前に、特別図柄変動表示ゲーム1が実行された場合は、特図1側がハズレでない限り、小当りラッシュが終了してしまうことになる。これは、特図1が大当りに当選した場合(大当り変動の場合)、特図2の大当り抽選では、すべての大当りが図柄抽選対象から除外され、小当り当選かまたはハズレとされて(図18のステップS413、S414、図21のステップS431、S432参照)、小当りラッシュが継続することになるが、その特図1側の大当り変動が終了してしまうと、特図2側が強制的に「ハズレ図柄」で停止されるとともに(図24のステップS485〜S489参照)、特図1側で当選した大当り遊技が開始されてしまい、特図2側の変動表示動作の実行が禁止されるからである。したがって、潜確状態中の特図1の当り変動パターンは、図34に示す通り、全大当りにおいて「潜確中4分当り変動(変動時間240秒)」が選択されるので、当該変動が終了するまでの最大4分間が小当りラッシュのチャンス期間とされる。ただし、このようなケースであっても、大当り1、2(潜確時潜確大当り)が当選していれば、再度、潜確状態に移行されるので(図4、図6の小当りラッシュの破線枠参照)、実質的には、小当りラッシュが継続されることとなる。
(確変状態→小当り遊技、ハズレ→確変状態)
確変状態中は、既に説明したように、下流側の下大入賞口50に向かう遊技球の殆どが電チューに拾われてしまい、下大入賞口50にはほぼ入賞しない構成となっている。また、特図2の小当り時には「超ロング変動パターン(600秒)」が選択され、小当り遊技が発生し難い状況となる。したがって、上記「小当りラッシュ」が発生しない(ラインL10、ラインL11)。本実施形態の場合、「確変状態」中では、右始動口33への入賞が頻発するがその賞球数は1個、つまり右始動口33に入賞しても純増個数は0個であり、また小当り遊技が発生し難い状況下であり、下大入賞口50の入賞がほぼ発生しないため、出玉が増加せず、基本的には、遊技者の持ち球が微減あるいは現状維持をしながら遊技が進行していく(電サポ有り状態中の電チュー入賞のベース値が100%以下となっている)。また確変状態中は、実質的に次回大当り当選まで継続され(ST規定回数65535回)、遊技者は、確変状態における大当りが、潜確状態への移行契機となる大当りであることに期待を寄せながら遊技に興じることになる。
(時短状態→小当り遊技、ハズレ→時短状態)
「時短状態」中も確変状態と同事象の遊技状況下に置かれ(下大入賞口50にはほぼ入賞しない、特図2の小当り時には「超ロング変動パターン」が選択される)、小当りラッシュが発生しない(ラインL13、ラインL14)。また時短状態は、時短回数7回または50回で終了し通常状態に移行されてしまうため(ラインL15、L20)、遊技者は、時短状態における大当りが、潜確状態への移行契機となる大当りであることに期待を寄せながら遊技に興じることになる。
(潜確状態、確変状態、または時短状態中の大当り当選)
潜確状態、確変状態、または時短状態において大当りに当選すると(ラインL9、L12、L16)、大当り種別に応じた、当り中演出と大当り遊技が開始される。図示では、その一例として、連荘状態中の大当り遊技として「第2バトルボーナス」が開始される例を示してある。この第2バトルボーナスでは、第1バトルボーナスと同じく、今回当選した大当り種別を秘匿する「バトル演出」が現出される。ただし、第2バトルボーナスのバトル演出は、第1バトルボーナスのバトル演出とは異なる演出内容となっている。ここでは、いずれの大当りに当選しても、バトル演出が展開され、(最終ラウンド)のラウンド遊技中〜エンディング演出にわたり、バトル演出の結果演出として、今回当選した大当り種別が確定的に報知される、つまり、潜確状態、確変状態、および時短状態のいずれに移行されるかが報知される。具体的には、潜確状態への移行契機となる「大当り1、2、5」の場合には小当りラッシュ突入(潜確状態移行)を報知する祝福演出が現出され、「大当り3、6、7」の場合には確変突入(確変状態移行)を報知するチャンス演出が現出され、「大当り4、8」の場合には時短突入(時短状態移行)を報知するチャレンジ演出が、それぞれバトル演出の結果演出として現出される。大当り遊技後は、今回当選となった大当り種別に応じて、所定の遊技状態に移行される(ラインL17〜L19)。
(時短状態→通常状態)
ところで、時短状態を終えて通常状態に戻る場合、特別図柄2の作動保留球数(特図2作動保留球)が存在した状態となっていることが多いと考えられる。
時短状態中は、電チューサポート機能の作用により、右始動口33への入賞が頻繁に発生する。このため、時短回数消化時には、特図1作動保留球が存在する可能性が高い。また、特図1用の右始動口33に入賞せずに零れた遊技球が、下流側の特図2用の右下始動口35に入賞する可能性があり、右下始動口35に入賞すれば、特図2側の変動も開始される。時短状態中の特図2側の変動は、ハズレ及び小当り時に600秒の超ロング変動パターンが選択されるようになっており(図36の「通常/確変/時短」の欄「潜確以外中10分変動1〜6」参照)、1個の特図2作動保留球が消化されるまでの時間が非常に長く、したがって、時短回数消化時に、特図2作動保留球も存在する、あるいは特図2が変動中である可能性が高い。
このような遊技状況下で時短状態を抜けて通常状態に移行した場合、メイン演出については、特図1側は、時短状態中と同じく「表変動状態」であり、他方の特図2側は「裏変動状態」となっている(図7(ロ)、図31E参照)。仮に、時短状態を抜けたとき、特図2作動保留球が最大の4個まで溜まっていて、その中に、大当り当選保留が存在する場合、通常状態中の特図2に係る変動パターンは、攻略打ちを防止するために、ハズレおよび小当り時は600秒の超ロング変動パターン(潜確以外中10分変動1〜6)が選択され、大当りであっても240秒のロング変動パターン(通常中4分当り変動)が選択されるようになっている(図36の通常の欄および図34の通常の欄参照)。仮に大当り当選保留が保留2個目だとすれば、現在仕掛中の特図2の変動時間を除き、その待ち時間は(2個目の大当り当選保留の変動表示が停止するまで)、約14分(1個の作動保留球変動時間10分+大当り当選保留の変動時間4分)程度要し、大当り当選保留が保留4個目だとすれば、その待ち時間はさらに長くなり、約34分(3個の作動保留球変動時間30分+大当り当選保留の変動時間4分)程度も要することになる。
したがって、遊技者の中には、特図2が変動中であることに気が付かずに、遊技を辞めていく者も多い。勿論、遊技者が遊技を辞めていった場合でも、そのまま特図2の変動は行われるので、大当り当選保留に係る図柄変動表示ゲーム(特図2の大当り変動)が終了すれば、大当りが発生し(後述の条件装置作動フラグON)、その後、遊技球が役連ゲート57を通過するまでは、実質的な大当り遊技(ラウンド遊技)は開始されず、「ラウンド遊技開始待ち状態」下に置かれる。このような状況下で、何ら対策をせずに、特図2が裏変動状態下において、闇雲に大当りが発生したことを報知してしまうと、次のような問題が生じる。
誰も遊技をしていないにもかかわらず、データカウンタDTが大当り報知を開始して(上記大当り報知機能)、周囲の遊技者に不信感や違和感を与えてしまう。また、データカウンタDTが大当り報知中であるが、遊技台に誰も居ないことを確認した遊技者が、その台を確保するといったハイエナ行為が横行する恐れがあり、遊技者同士やホール側と遊技者間のトラブルを誘発する恐れがある。したがって、大当りとなった場合に、少なくとも役連ゲート57を遊技球が通過するまではデータカウンタDTによる大当り報知を実行させないことが好ましい。
(初当り時:通常状態中の大当り当選時)
そこで本実施形態では、大当り遊技中を示す外端信号の「大当り中信号」を、次に述べるようなタイミングで枠用外部端子基板21から出力するようになっている。これについて、図32を参照しながら詳細に説明する。
図32(A)は、通常状態中に大当りに当選した場合の大当り中信号の出力タイミングを示すタイムチャートである。
上記「大当り中信号」は、特図が大当り図柄で停止し条件装置作動後(条件装置作動フラグON後)、役物連続作動装置が作動(役物連続作動装置作動フラグON)を契機に出力される。条件装置作動フラグとは、大当り遊技中であるか否かを指定するフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。また、上記「役物連続作動装置作動フラグ」とは、役物連続作動装置の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には役物連続作動装置作動中(ラウンド遊技継続可)である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には役物連続作動装置非作動(ラウンド遊技継続不可)である旨を示す。役物連続作動装置作動フラグは、後述の特別電動役物管理処理(図13のステップS095)にて、役連ゲートセンサ57aが遊技球を検出したときにON状態に設定され、大当り遊技終了したときにOFF状態に設定される。
詳しくは図32(A)を参照して、主制御部20は、大当りに係る特別図柄(ここでは、特図1)が停止表示して所定の確定表示時間(時刻t0〜時刻t1)が経過した場合、大当りが発生し(時刻t1後(条件装置作動フラグON後))、役連ゲートセンサ57aにより遊技球が検出されるまでは大当り中信号を出力せず、役連ゲートセンサ57aにより遊技球が検出されたことを契機に(役物連続作動装置作動フラグONを契機に)、大当り中信号を出力する(時刻ta)。そして、図示はしていないが、大当り遊技が終了した場合(規定ラウンド数のラウンド遊技が終了した場合)に出力を停止する。なお、上記「確定表示時間」とは、特別図柄の変動時間が終了した後、特別図柄の停止表示態様を報知するための余裕時間幅であり、この確定表示時間が経過すると、次の処理に移行可能となっている(後述の図24のステップS482、図25のステップS492、図26のステップS502、S508参照)。
ここで本実施形態では、大当りが発生した後に、所定時間(たとえば、5秒)が経過する前に、役連ゲートセンサ57aが遊技球を検出しても、その検出信号を無効として扱うための「検出無効期間(時刻t1〜t2)」が設けられている。この検出無効期間(役連ゲート有効待ち時間)は、当り中演出の一環としての「右打ち指示演出135(後述の図31A参照)」を現出させるための演出時間幅として利用される。したがって、この検出無効期間に遊技球が役連ゲート57を通過しても、ラウンド遊技は開始されず、大当り中信号も出力されない(時刻te参照)。
しかし上記検出無効期間(役連ゲート有効待ち時間)が経過した後は(時刻t2後)、役連ゲートセンサ57aによる遊技球の検出が有効化される(図示の「役連ゲート」参照)。したがって、この有効期間中に、役連ゲートセンサ57aが遊技球を検出した場合、大当り中信号が出力されるとともに(時刻ta)、所定のインターバル時間(たとえば20ms)の経過した後、ラウンド遊技が開始されるようになっている(時刻tb)。
これにより、初当り時には、少なくとも役連ゲート57を遊技球が通過するまではデータカウンタDTによる大当り報知を実行させないようにすることができる。特に、特図2側が裏変動状態下において、データカウンタDTによる突然の大当り報知が実行されてしまうことを防止することができる。また初当り時には、変動短縮信号が出力されておらず、データカウンタDTは、時短状態や確変状態や潜確状態に出力される「変動短縮信号」が非受信であることに基づき、大当り中信号を受信しても、今回の大当りが連荘中の大当りではなく、初当りと判断することができる。
(連荘時(潜確状態、時短状態、または確変状態の大当り当選時))
また本実施形態では、上記「大当り中信号」の他、大当り遊技中を示す外端信号の上記「変短時大当り中信号」を枠用外部端子基板21から出力するが、「変短時大当り中信号」については、上記特別図柄時短機能が作動中(特別図柄時短状態フラグON中)の大当り遊技中に(条件装置作動フラグONを契機に)出力するようになっている。つまり、変短時大当り中信号は、潜確状態、時短状態、または確変状態中に当選した大当り開始時に出力される。
図32(B)は、特別図柄時短機能作動中の遊技状態の一例として、潜確状態中に大当りに当選した場合の変短時大当り中信号の出力タイミングを示すタイムチャートである。なお、図32(A)と同様の内容についての説明は、重複記載を避けるために適宜省略する。
上記「変短時大当り中信号」は、条件装置作動中(条件装置作動フラグON中)に出力され、役物連続作動装置作動中(役物連続作動装置作動フラグON中)に出力される。詳しくは図32(B)を参照して、主制御部20は、大当りに係る特別図柄(ここでは、特図2)が停止して、時刻t1の大当りが発生したタイミング(条件装置作動フラグON時)で変短時大当り中信号を出力する。そして、大当り中信号と同様に、最大ラウンド数のラウンド遊技が終了したことを契機に出力を停止する(図示せず)。
そして、データカウンタDTは、大当り中信号または変短時大当り中信号を受信した場合には、大当り報知を開始するようになっている。すなわち、本実施形態に係る遊技機1では、「初当り時(通常状態中の大当り)」の場合と「連荘時(本実施形態の場合、確変状態、潜確状態、または時短状態中における大当り当選時)」の場合とで、データカウンタDTによる大当り報知の開始タイミングを異ならせることができるようになっている。具体的には、連荘時は初当り時よりも先行して、大当り遊技中、換言すれば、条件装置作動中であることを特定可能な外端信号を出力する。
詳述するに、大当りが発生した場合において、初当り時(通常状態中の大当り)には、変短時大当り中信号は出力されずに(図32(A)参照)、上述の大当り中信号だけが出力されるので、データカウンタDT側は、この大当り中信号を受けて大当り報知を開始する。したがって、データカウンタDT側では、遊技機1側で大当りが発生しただけでは大当り報知を開始せずに、役連ゲート57への遊技球通過を待って大当り報知を開始することになる。一方、連荘時(通常状態中以外の大当り)には、上記大当り中信号に先立って「変短時大当り中信号」が出力されるので、データカウンタDT側は、この変短時大当り中信号を受けて、役連ゲート57への遊技球通過前、すなわち、遊技機1側の大当り開始とともに大当り報知を開始する。なお、役連ゲート57通過時には、大当り中信号が出力されるが、データカウンタDT側は、既に変短時大当り中信号を受けて大当り報知を開始しているため、大当り中信号に起因した大当り報知は実行しない。
このように、初当り時の場合と連荘時の場合とで、データカウンタDTによる大当り報知の開始タイミングを異ならせているのは、初当り時の場合には、遊技者に不信感与える等の上記した問題を防止するという観点から役連ゲート通過時(役物連動作動装置ON時)にデータカウンタDTによる大当り報知を開始させる必要があるが、連荘時の場合には、遊技者が遊技を辞めていくことは極めて稀なことであり、大当り発生時(条件装置作動フラグONのタイミング)に、直ちに大当り報知を開始しても問題は無く、大当り発生の時点を以って、これを正しく報知する方が好ましいからである(後述の図31A〜図31G参照)。
なお、変動短縮信号と大当り中信号とに基づいて、初当り時と連荘時を判別することが可能なデータカウンタDTの場合には、変短時大当り中信号を出力しない構成としてもよい。詳しくは、データカウンタDT側において、変動短縮信号を受信すると(ONエッジ検出)、現在の遊技状態が特図時短機能の作動を伴う遊技状態(本実施形態の場合は、時短状態、確変状態、または潜確状態)であることを把握する。他方、遊技機側においては、特図時短機能の作動を伴う遊技状態中に大当りが発生した場合、変動短縮信号の出力を停止して(大当り中は時短機能が作動しない)、その直後に大当り中信号を出力する(図32(B)の大当り中信号の破線部を参照)。このような出力形態を利用して、データカウンタDT側において、特図時短機能の作動を伴う遊技状態中に特別図柄確定信号を受けた後、今回の特図変動短縮信号のOFFエッジを検出するとともに、大当り中信号のONエッジを検出した場合、連荘時の大当りであると判断することができる。勿論、変短時大当り中信号、大当り中信号、および変動短縮信号のいずれの信号も出力可能な構成であれば、前述したデータカウンタにも対応することができ、種々のデータカウンタDTにも対応可能な遊技機を提供することができる。
なお詳細は後述するが、通常状態中における今回の大当りが、特図1側の大当り(大当り1〜4)である場合と特図2側の大当りとで、遊技機1側の大当り開始時の演出(大当り開始演出(オープニング演出))が異なるようになっている(後述の図31A〜図31G参照)。換言すれば、今回の大当りが特図1表変動状態(特図2裏変動状態)下における特図1側の大当り(特図1表大当り)である場合と、今回の大当りが特図1表変動状態(特図2裏変動状態)下における特図2側の大当り(特図2裏大当り)である場合とで、大当り開始演出が異なるようになっておる。これにより、当り中演出にも対策を施すことで、周囲に違和感を与えることを効果的に防止するとともに、ハイエナ行為をも効果的に防止することができるようになっている。
(遊技機1側とデータカウンタDT側の演出の具体例について:図31A〜図31G)
図31A〜図31Gは、遊技状況に応じた遊技機1側の演出例とデータカウンタDT側の演出例とを示したものである。図31A〜図31Gでは、遊技機1側の演出態様として、主に、液晶表示装置36による画像表示演出と、装飾ランプ45(周囲LED45)による光演出の演出内容について示す。
本実施形態では、既に説明したように、通常状態、確変状態、および時短状態のいずれかの場合には、特図1に係る図柄変動表示ゲーム1をメインの演出(特図1表変動状態)として現出させる。また潜確状態の場合には、特図2に係る図柄変動表示ゲーム2をメインの演出(特図2表変動状態)として現出させる。したがって、どのような遊技状態で、どのような大当りに当選したかに応じて、大当り遊技中の演出(当り中演出)が異なる場合がある。
(初当り時の具体例:図31A〜図31B)
図31A〜図31Bに、初当り時における遊技機1側の演出内容(液晶表示装置36の画面と装飾ランプ45の演出内容)の推移と、その大当り時のデータカウンタDTの演出内容(DT側の大当り報知態様)の推移を示す。図31A〜図31Bでは、本発明の理解を容易なものとするために、特図1作動保留球の個数が3個、特図2作動保留球の個数がゼロの状況下において、特図1側の図柄変動表示ゲーム1で大当りに当選し、その大当りが、ホール開店後の初回の大当り(ここでは、開店時から634回転目に、大当り1(小当りラッシュ移行となる通常時潜確大当り)に当選したものとする)であるケースを代表的に示す。すなわち、今回の大当りが特図1表変動状態(特図2裏変動状態)下における特図1側の大当り(特図1表大当り)のケースである。
図31A(1)に、初当り時における演出例を示す。図31A(1)を参照して、液晶画面内には、特図1に係る図柄変動表示ゲーム1がメインの演出(通常演出モード下の演出)として表示され(特図1表変動状態、特図2裏変動状態)、その左下隅に、メイン演出とは別のサブ演出(サブの表示領域)として、特別図柄1、2に係る保留個数と変動表示の有無についての専用表示領域160が、小さい4つの升目により示されている。なお図示では、専用表示領域160を誇張して示してあり、実際の専用表示領域160の画面占有率は図示よりも低い。また変動中表示領域78の受座Jおよびゲーム実行中保留Kは省略してある。
この専用表示領域160に係る4つの升目のうち、上側の左升目は特図1作動保留球数を表示する第1保留個数表示領域156であり、上側の右升目は特図1が変動表示中であるか否かを表示する第1変動有無表示領域157となっている。また下側の左升目は特図2作動保留球数を表示する第2保留個数表示領域158であり、下側の右升目は特図2が変動表示中であるか否かを表示する第2変動有無表示領域159となっている。第1保留個数表示領域156および第2保留個数表示領域158では保留個数をアラビア数字で示し、第1変動有無表示領域157および第2変動有無表示領域159では、図柄変動中であることを「⇔」で示し、図柄が停止中であることを「X」で示している。図31A(1)では、特図1作動保留球数「3」個、特図1が変動状態「⇔」、特図2作動保留球数「0」個、特図2が非変動状態「X」となっている。なお、第1変動有無表示領域157および第2変動有無表示領域159の表示について、「X」はハズレ図柄、「△」は小当り図柄で、「○」は大当り図柄での停止表示状態を示す。したがって、これら「X」「△」「○」のいずれかが表示されている場合は、特別図柄が非変動状態であることを示す。
上記第1変動有無表示領域157と第2変動有無表示領域159にて表示される画像は、特図1と特図2の変動表示中か否かを示すことから、3つの装飾図柄とは別の4つ目の図柄として、特図1または特図2の「第4図柄」と称し、場合により、特図1側の第4図柄を「装飾図柄1第4図柄」または「第4図柄157」、特図2側の第4図柄を「装飾図柄2第4図柄」または「第4図柄159」とも称する。なお、専用表示領域160は、特図1表変動状態、特図1裏変動状態、特図2表変動状態、および特図2裏変動状態のいずれであっても、4つの表示領域156〜159の内容を表示するようになっている。
図31A(1)において、今回の特図1の大当り変動(図柄変動表示ゲーム1)が終了すると、大当りの種類に関連した装飾図柄の組合せ(装飾図柄131)が停止する。ここではメイン演出である特図1側の図柄変動表示ゲーム1にて、「大当り1(通常時潜確大当りである)」の当選を示す「777(小当りラッシュ突入確定図柄)」が停止表示した例を示している。ただし図示では、特図1の変動表示の確定表示直前の状態の段階を示しており、装飾図柄131の「777」が確定表示直前の仮停止表示状態(揺れ変動)となっている。サブ演出の専用表示領域160の表示内容は、特図1作動保留球数「3」個、特図1(第4図柄157)が変動状態「⇔」で、特図2作動保留球数「0」個、特図2(第4図柄159)が非変動状態(ハズレ図柄停止表示状態)「X」となっている。
その後、特図1の変動が終了し(確定表示時間経過後)、大当りが発生する。その結果、図31A(2)における専用表示領域160の表示内容が、特図1作動保留球数「3」個、特図1(第4図柄157)が非変動状態(大当り図柄停止状態)「○」、特図2作動保留球数「0」個、特図2(第4図柄159)が非変動状態(ハズレ図柄停止状態)「X」となる。なお大当り遊技中は、特別図柄変動表示ゲーム(特図の変動)は実行されないので、専用表示領域160の表示内容は、大当り遊技が終了するまで変わらない。
図31A(2)に、大当り遊技開始時の遊技機側1(液晶画面、装飾ランプ45)と、データカウンタDT側の演出状況を示す。
遊技機側1では、当り中演出の一環として、画面中央に大きく「大当り」のメッセージを表示し、装飾ランプ45(周囲LED45)を虹色に点灯する大当り開始演出132が現出される。また大当り開始演出132とともに、「右打ち」を指示する右打ち指示演出135が現出される。この大当り開始演出132と右打ち指示演出135は、役連ゲートセンサ57aが有効化されるまでの「役連ゲート有効待ち時間(たとえば、5秒)」が経過するまで現出される。また装飾図柄(装飾停止図柄)131の「777」が左上隅部に小さく退避表示され、今回の大当りがどのような装飾図柄の組合せで停止したかを表示する。なお、当り中演出は、当選時の遊技状態と当り種別とに応じた演出が現出される。
またこの段階では、大当り中信号は出力されず(図32(A)の時刻t1参照)、同図(2)示す通り、データカウンタDT側による大当り報知は実行されず(図中、発光部DTaは、通常点灯)、データカウンタDTの表示内容の更新も行われない。したがって図31A(2)おけるデータカウンタDTの表示内容は、大当り回数表示部DTdの表示値(以下「大当り回数DTd」と略す)がゼロ、スタート回数表示部DTbの表示値(以下「スタート回数DTb」と略す)が「634」、総回転数表示部DTcの表示値(以下「総回転数DTb」と略す)が「634」、連荘数表示部DTeの表示値(以下「連荘数DTe」と略す)がゼロとなっている。
そして、役連ゲート有効待ち時間(5秒)が経過すると、図31B(3)に示すように、役連ゲート57を狙う旨(役連ゲート57に遊技球を通過させる旨)を指示するゲート入賞指示演出137が現出される。ゲート入賞指示演出137として、ここでは、「ゲートを狙え!」のメッセージと矢印画像が現出している。
(右打ち指示演出135→ゲート入賞指示演出137の現出について)
ここで本実施形態では、大当り開始時に、単に役連ゲート57を狙う旨を指示するのではなく、まずは、事前に右打ち指示をした後に、役連ゲート57を狙う旨を指示するようになっている(右打ち指示演出135を現出した後、ゲート入賞指示演出137現出させる)。その理由を次に述べる。
大当りが開始されて直ぐに役連ゲート57を狙う旨を指示してしまうと、遊技初心者の場合には、役連ゲート57がどこの位置にあるのか分からず、左打ちをするのか右打ちをするのか分からないまま、適当に遊技球を打ち出してしまう場合も想定される。本実施形態の場合は、役連ゲート57が右流下経路3c側に形成されているため、遊技者が左打ちをしてしまった場合は、遊技者の利益を損ねてしまう。このような事情に鑑み、本実施形態では、まずは、事前に右打ち指示をした後に(右打ち指示演出135を所定時間現出)、役連ゲート57を狙う旨を指示する(ゲート入賞指示演出137)、といった「親切指示演出」が現出される。
そして、遊技者がゲート入賞指示演出137に従い、役連ゲート57に遊技球を通過させた場合、役物連続作動装置が作動するとともに(役物連続作動装置フラグON)、枠用外部端子基板21から大当り中信号が出力される(図32(A)の時刻ta参照)。そして、所定のインターバル時間(たとえば、20ms)の経過後に、1R目のラウンド遊技(大当り用の上大入賞口40開放)が開始される(図32(A)の時刻tb参照)。
図31B(4)に、役連ゲート57に遊技球が通過したときの遊技機1側とデータカウンタDT側の演出状況を示す。遊技機1側では、ラウンド遊技の開始を契機に、ラウンド中演出139が開始される。ラウンド中演出139では、宇宙人が円盤から降りてくるアニメーション画像や、大当り用の上大入賞口40への入賞を指示する「上アタッカーを狙え」のメッセージ表示の他、現在のラウンド数や獲得球数を表示する報知演出130等が現出される。
データカウンタDT側では、大当り中信号を受けて、発光部DTaを虹色等に発光させて、独自の大当り報知を開始し、データカウンタの表示内容を更新する。データカウンタの表示内容については、大当り回数DTdが、初当り時なので、今回の大当り分の1加算した値に更新される(大当り回数1回、今回の大当りに起因する連荘数0回)。なお、図示はしていないが、今回の大当り遊技が終了すると、大当り中信号がOFFになり、データカウンタDTは大当りが終了したとして、スタート回数DTbの値をゼロに戻す。
(小当りラッシュ中(潜確状態中)の演出例:図31C)
上記図31Cで説明した大当り1による大当り遊技が終了した後は、潜確状態に突入する(図4参照)。図31C(5)は、大当り1(通常時潜確大当り)に係るエンディング演出を、図31C、31D(6)〜(8)は、潜確状態中における演出例を示したものである。
上記エンディング演出は、大当り終了後に移行する遊技状態に関する情報などを報知する演出内容となっており、大当り種別に応じたエンディング演出が現出される。本例では、大当り1に当選したケースについて説明しているので、エンディング演出175は、潜確状態(小当りラッシュ)に移行される旨を報知する演出内容となっている。図31C(5)では、宇宙人の画像と潜確状態(小当りラッシュ)に突入する旨を示す「Alian Abduction Rush」のメッセージを含むものとなっている。
大当り1による大当り遊技が終了するとともにエンディング演出175が終了して、遊技状態が潜確状態に移行される。潜確状態では、特図2表変動状態(特図1裏変動状態)となり、特図2に係る図柄変動表示ゲーム2がメインの演出(潜確演出モード(小当りラッシュ演出モード)下による演出)として表示される。
図31C(6)は、潜確演出モード(小当りラッシュ演出モード)中の小当り遊技において、小当り用の下大入賞口50に遊技球が入賞した際の演出例を示している。
図31C(6)に示す増加演出180は、下大入賞口50に入賞するごとに獲得球数に加算される獲得球数(下大入賞口50の賞球数10個)を報知(表示)するとともに、現在の獲得球数の累積値をリアルタイムに報知する演出内容となっている。なお、現在の獲得球数は、初当り時〜連荘終了(通常状態に移行)するまでの総獲得球数がリアルタイムに表示されるようになっている(後述の図31E(12)参照)。
この増加演出180は、現在の獲得球数(概算値)を報知する獲得球数報知演出177、下大入賞口50に入賞するごとに現在の獲得球数に加算される獲得球数を表示する加算球数報知演出178、キャラクタ画像により入賞数が報知されるアブダクション演出179などを含むものとなっている。また、図31C(6)における専用表示領域160の表示内容は、特図1作動保留球数「2」個、特図1(第4図柄157)が変動状態「⇔」、特図2作動保留球数「4」個、特図2(第4図柄159)が非変動状態(小当り図柄停止表示態様)「△」となっている。
図31C(6)の演出例は、小当り遊技による下大入賞口50開放中に、2個の遊技球が連続的に入賞したケースを示している。下大入賞口50が開放中に入賞が発生すると、液晶画面には、加算球数報知演出178により「+10」の数字画像が連続的に現出され、この数字画像が現出されると、獲得球数報知演出177のカウント値(現在の獲得球数)が更新表示されていくようになっている。現在のカウント値は「Total 2180」(獲得球数2180発)であるので、この値が「Total 2190」→「Total 2200」という具合にカウント値が「+10」ずつ増加していくことになる。また、アブダクション演出179では、1入賞ごとに一匹の牛画像179aが表示され、円盤に連れ去れる様を表現した演出画像が表示される。
図31C(7)と図31C(6)に示す増加演出180の違いは、加算球数報知演出178による「+10」の数字画像が所定色で縁取りされた数字画像(強調数字画像176)に変化している点、アブダクション演出179に牛画像179aの他、女の子のキャラクタ画像179bが表示されている点である。
強調数字画像176は、先読み予告演出の一態様であり、現存の作動保留球の中に、大当り当選保留が存在するか否かの保留内当選期待度を示唆する演出態様となっている。この強調数字画像(加算球数報知演出)176は、その縁取り色の違いにより、保留内当選期待度の高低を示唆する。たとえば、通常の白色(図31C(6)の数字画像)、予告表示の緑色、赤色、虹色などの特殊な縁取り色や色彩パターンの数字画像に変化するといった「獲得球数表示系」の先読み予告演出とすることができる。ここで、緑色、赤色、虹色の縁取り色は、この色の順に、保留内当選期待度が高いことを示唆しており、特に虹色の縁取りは、保留内に大当り当選保留が存在することを確定的に示す(保留内当確)ものとなっている。なお、数字画像の表示態様を変化させることにより保留内当選期待度の高低を示唆してもよい。たとえば、アラビア数字(「+10」)、漢数字(「+十」)、ローマ数字(「+X」)等で表現する数字画像を設け、この順に、保留内当選期待度が高いことを示唆することができる。
また、キャラクタ画像179bも先読み予告演出の一態様であり、保留内当選保留が存在する場合、いかなる当選種別であるかの「当選種別期待度」を示すもので、たとえば、図31C(7)に示す女の子のキャラクタ画像179bは、小当りラッシュ継続となる潜確大当り(大当り5)の期待度が高いことを示唆する予告画像(特定大当り高期待度先読み予告演出)である。本実施形態では、キャラクタ画像179a、179bの他に、複数種類のキャラクタ画像が用意されており、どのようなキャラクタ画像が出現するのかに応じて、潜確時潜確大当り(大当り5)の期待度、潜確時確変大当り(大当り6、7)の期待度、潜確時時短大当り(大当り8)の期待度を示唆する。具体的には、牛画像179aであれば潜確時時短大当り(大当り8)が他の大当りよりも相対的に期待度が高いことを、男の子のキャラクタ画像(図示せず)であれば潜確時確変大当り(大当り6、7)が他の大当りよりも相対的に期待度が高いことを、女の子のキャラクタ画像179bであれば潜確時潜確大当り(大当り5)が他の大当りよりも相対的に期待度が高い(当確でもよい)ことを報知するようになっている。なお、上述の各種キャラクタ画像の出現率は、それぞれ異なっていてもよいし、同一であってもよく、適宜定めることができる。ただし、女の子のキャラクタ画像は、小当りラッシュ継続報知となるプレミアム的な演出としての位置付けであり、他のキャラクタ画像よりもその出現率が相対的に低確率であることが好ましい。
本実施形態の場合、強調数字画像176と、アブダクション演出179で表示されるキャラクタ画像とにより、現存の作動保留球の中に大当り当選保留が存在するか否か、大当り当選保留が存在するならばその当選種別は如何なるものか、という推測要素を、小当りラッシュ中の獲得球数表示系の演出により与えることができるようになっている。これにより、小当りラッシュ中の演出が多彩なものとなり、遊技の面白みを向上させることができる。
(小当りラッシュ中の演出の変形例)
図31C(6)(7)の加算球数報知演出176、178では、入賞があるごとに「+10」の数字画像を表示しているが、次のような表示態様とすることができる。たとえば、1回の小当り遊技中に下大入賞口50に入賞があった場合、入賞1個目の場合は「+10」を表示し、入賞2個目の場合は「+20」を表示し、入賞3個目の場合は「+30」を表示し、入賞4個目の場合は「+40」という表示態様とすることができる(累積表示型加算球数報知演出)。そして最終的な値(ここでは+40)を、獲得球数報知演出177の現在値に加算し、獲得球数を更新する。
また、現在の獲得球数に応じて、加算球数報知演出の演出内容を変化させてもよい。たとえば、現在の獲得球数(総獲得球数)が10000以下の場合は、上述の変形例の累積表示型加算球数報知演出とし、10000を超えた場合には、上記図31C(6)(7)の加算球数報知演出とする。
また上記の増加演出180(176〜179の少なくとも1つの演出)を利用して、裏変動側の抽選結果を報知(示唆)可能に構成してもよい。たとえば、特図2が表変動となる潜確状態中に、裏変動側の特図1が大当り当選状態中(大当り変動中)である場合、数字画像176または178が、「+当(裏変動側が大当りの意)」等を表示する。
なお、増加演出180は、連荘中の獲得球数等を報知する演出内容である。したがって、小当りラッシュ中(潜確状態中、小当りラッシュ演出モード)だけに限らず、時短状態中(時短演出モード中)、確変状態中(確変演出モード中)のいずれの遊技状態(演出モード)においても現出させることができる。また、特定の遊技状態中(たとえば、確変状態中(確変演出モード中)および/または時短状態中(時短演出モード中))は、保留内当選期待度を示す強調数字画像(加算球数報知演出)176および/またはキャラクタ画像179a,bを現出させない構成としてもよい。
(連荘時の具体例:図31D)
次に図31Dを参照して、「連荘時」における遊技機1側とデータカウンタDT側の演出例を説明する。図31Dは、上記した図31Aにおいて、通常状態中に大当り1に当選して潜確状態に移行した後、その潜確状態中に「大当り8(潜確時時短大当り)」に当選したときの遊技機1側の演出内容(液晶表示装置36の画面と装飾ランプ45の演出内容)の推移と、その大当り時のデータカウンタDTの演出内容(DT側の大当り報知態様)の推移を示したものである。すなわち図31Dは、今回の大当りが特図2表変動状態(特図1裏変動状態)下における特図2側の大当り(特図2表大当り)のケースである。なお以下で説明する図31D〜図31Gについて、図31A〜図31Bの構成要素と実質的に同じ構成要素には同一符号を付し、その詳細については重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
図31D(8)に、潜確状態中に、特図2側の抽選で大当り(ここでは、大当り8)に当選したときの液晶表示装置36の液晶画面の一例を示す。なお、図31D(8)〜(10)に示す例は、通常状態中に溜まっていた特図1作動保留球の個数1個消費されて2個の保留が存在し、特図2作動保留球の個数が最大の4個の状況下において、前回の大当りから140回転目に、特図2側の図柄変動表示ゲーム2で大当り8(潜確時時短大当り)に当選したケースの演出例を示したものである。
図31D(8)を参照して、液晶画面内には、特図2に係る図柄変動表示ゲーム2がメインの演出(潜確演出モード下による演出)として表示され(特図1裏変動状態、特図2表変動状態)、その左下隅に、専用表示領域160が表示されている。同図において、今回の特図2の当り変動(図柄変動表示ゲーム2)が終了すると、大当りの種類に関連した図柄の組合せで装飾図柄138が停止表示する。ここではメイン演出である特図2側の図柄変動表示ゲーム2にて、潜確時時短大当りである「大当り8」に当選を示す「222(時短大当り対応図柄)」が停止表示した例を示している。ただし図示では、特図2の変動表示の確定表示直前の状態の段階を示しており、装飾図柄138の「222」が確定表示直前の仮停止表示状態(揺れ変動)となっている。よって図31D(8)における専用表示領域160の表示内容は、特図1作動保留球数「2」個、特図1(第4図柄157)が変動状態「⇔」、特図2作動保留球数「4」個、特図2(第4図柄159)が変動状態「⇔」となっている。ここでは、特図1と特図2とが並行して変動中となっている。
その後、特図2の大当り変動が終了し(確定表示時間経過)、並行して変動状態であった特図1(第4図柄157)の変動が強制的にハズレ図柄(強制ハズレ図柄)で停止表示されて、大当りが発生する。その結果、図31D(9)における専用表示領域160の表示内容は、特図1作動保留球数「2」個、特図1が非変動状態(ハズレ図柄停止状態)「X」、特図2作動保留球数「4」個、特図2が非変動状態(大当り図柄停止状態)「○」」となる。
図31D(9)に、大当り遊技開始時の液晶画面と、データカウンタDT側の演出状況を示す。遊技機1側では、変短時大当り中信号を出力するとともに、オープニング演出(大当り開始演出)を開始する。液晶画面には、オープニング演出の一環として、旭日旗背景画像に「大当り」のメッセージを表示し、装飾ランプ45(周囲LED45)を虹色に点灯する大当り開始演出132が現出される。また大当り開始演出132とともに、「右打ち」を指示する右打ち指示演出135が現出される。
また、データカウンタDT側では、変短時大当り中信号を受けて、発光部DTaを虹色に発光させて大当り報知を開始し、データカウンタDTの表示内容を更新する。データカウンタの表示内容については、大当り回数DTdと連荘数DTeとが、今回の大当り分の1加算した値に更新される(大当り回数2回、今回の大当りに起因する連荘数1回)。したがって図31D(9)おけるデータカウンタDTの表示内容は、大当り回数DTdが「2」、連荘数DTeが「1」、スタート回数DTbが「140」、総回転数DTcが「774(前回の634回転目+今回の140回転目の合計774回転)」となる。連荘時は、初当り時とは異なり、役連ゲート57への遊技球通過前に、データカウンタDTによる大当り報知が開始される。
そして、役連ゲート有効待ち時間(5秒)が経過すると、図31D(10)に示すように、液晶画面には、ゲート入賞指示演出137が現出される。役連ゲート57に遊技球が通過した場合には、ラウンド遊技が開始されるとともに、ラウンド中演出(図示せず)が現出される。なお、役連ゲート57に遊技球が通過した場合には、大当り中信号が出力されるが、データカウンタDT側では、「変短時大当り中信号」を受けて大当り報知を既に開始しているので、大当り中信号に起因した大当り報知は実行されない(再実行しても問題は無い)。そして、今回の大当り遊技が終了すると、変短時大当り中信号がOFFになり、データカウンタDTは大当りが終了したとして、スタート回数DTbの値をゼロに戻す。
(大当り遊技終了→時短状態→通常状態:図31E)
上記図31Dで説明した大当り8による大当り遊技が終了した後は、時短状態B(時短回数7回)に突入する(図4参照)。図31E(11)は、大当り8(潜確時時短大当り)に係るエンディング演出、図31E(12)〜(14)は、時短状態から通常状態に移行後における演出内容の推移を示したものである。
エンディング演出143は、時短状態に移行される旨や残り時短回数を報知する演出内容となっている。図31E(11)では、円盤の画像と「チャンスモード突入!円盤を探し出せ」のミッション的メッセージを含む時短移行報知画像141と、「あと7回」のメッセージを含む時短回数報知画像142を含むものとなっている。
大当り8による大当り遊技が終了するとともにエンディング演出143が終了して、遊技状態が時短状態に移行される。なお図示はしていないが、時短状態では、特図1表変動状態(特図2裏変動状態)となり、特図1に係る図柄変動表示ゲーム1がメインの演出(時短演出モード下による演出)として表示される。また、通常状態や潜確状態等と同じく、液晶画面の左下隅に、専用表示領域160が表示される。
図31E(12)は、時短状態を抜けて、通常状態開始時(時短状態終了後、1ゲーム目)の液晶画面の一例を示したものである。図31E(12)において、符号146は、リザルト演出を示す。このリザルト演出とは、一般的には、今回の変動で時短状態が終了する旨(通常状態に移行する旨)や一連の連荘で獲得した獲得球数に関する情報などを含む演出内容である。したがって「リザルト演出」は、普通は、時短状態が終了する最終回目(本例では、最終変動の7回転目))の図柄変動表示ゲーム中で現出すべき演出である。
しかし本実施形態では、同時変動タイプやその遊技性等の関係上、「時短状態」においては特図1のハズレ時の変動パターンとして、変動時間が1秒の超高速変動パターン(時短中通常変動1s)が選択される(図35(ロ)参照)。このため、最終変動の7回転目に、リザルト演出の演出時間幅を確保することができない。
そこで、時短状態中はリザルト演出を現出させずに、時短状態から通常状態に移行後の1回転目に、リザルト演出を現出させるようになっている。「通常状態」においては、最短4秒の変動パターンが選択されうる。したがって、リザルト演出自体の演出時間幅は、最短の4秒(通常変動4s)の変動パターンが選択されることを考慮し、4秒以内に収まる演出シナリオ構成としてある。勿論、上記リザルト演出は、時短状態が終了することとなる図柄変動表示ゲームで現出させてもよいが、この場合は、時短状態が終了する最終回目の(最終変動)の変動パターンとして、リザルト演出を十分現出可能な変動時間を持つ変動パターンが選択されるように構成すればよい。
リザルト演出146は、通常状態に移行後の1回転目(1ゲーム目)に現出させる関係上、一般的なリザルト演出のように時短状態が今回の変動で終了する旨を報知するのではなく、時短状態を完全に抜けたこと(通常状態に転落移行したこと)等を暗示、示唆する演出とすることが好ましい。たとえば、「時短モード終了」などのメッセージではなく、図31E(12)に示すように、円盤を探し出せというミッションに失敗した旨のメッセージ(第1種接近遭遇失敗)143や、一連の連荘(初当りを含む)で獲得した獲得球数の概略値(「GET+3530」)を示す獲得球数報知演出145などを含むものとなっている。なお、通常状態に移行後の1回転目を、時短状態の最終変動(本例では、7回転目)が如く装うリザルト演出としてもよい。この場合、通常状態を時短状態であるように装う関係上、右打ち指示演出135は表示せず、後述の左打ち指示演出147も表示しないことが好ましい(図31E(12))。
また通常状態中は、時短状態と同じく、特図1に係る図柄変動表示ゲーム1がメインの演出(通常演出モード下による演出)として表示される。したがって、図31E(12)における液晶画面には、特図1対応の装飾図柄131の他、特図1対応の保留アイコンが保留表示領域76に表示される。また、リザルト演出146を液晶画面内に大きく表示する関係上、右下隅には、特図1の装飾図柄(「556」のハズレ装飾図柄)が小さく表示されている。
図31E(12)では、特図1の変動表示の確定表示直前の状態の段階を示しており、装飾図柄「556」が確定表示直前の仮停止表示状態(揺れ変動)となっている。また図31E(12)における専用表示領域160の表示内容は、特図1作動保留球数「3」個、特図1が変動状態「⇔」で、特図2作動保留球数「3」個、特図2が変動状態「⇔」となっている。ここでは、特図1と特図2とが並行して変動中となっているが、本例では、この後、先に特図1の変動が終了され、特図2は変動状態が継続される。
図31E(13)以降では、現在遊技に興じている遊技者が時短状態を抜けたことを知って、遊技球の打ち出しを一切辞めて、退席準備に入っているケースを想定する。
図31E(13)に、通常状態移行後の2回転目(2ゲーム目)の液晶画面を示す。同図には、四角の枠内(液晶表示装置36の画面内)に描いた縦矢印で、装飾図柄131が変動中であることを示している。本実施形態では、上記したように、通常状態転落移行後の1ゲーム目でリザルト演出を現出する関係上、次の2ゲーム目で、左打ち指示演出147を現出させる。この左打ち指示演出147は、今回のゲーム(2ゲーム目)開始を契機に表示され、所定時間(たとえば、4秒程度)表示した後に終了される。
また図31E(13)における液晶画面には、前回のゲームから特図1作動保留球が1個消化されて、保留アイコンが2個の表示状態を示している。また図31E(13)における専用表示領域160の表示内容は、特図1作動保留球数「2」個、特図1が変動状態「⇔」で、特図2作動保留球数「3」個、特図2が変動状態「⇔」となっている。ここでは、特図1と特図2とが並行して変動中となっている。
(裏変動が大当り変動中の場合に、遊技者が退席したケースについて)
その後、上記特図1作動保留球2個がすべて消化されて最後の作動保留球に係る図柄変動表示ゲーム1が終了し、特図1作動保留球0個で特図1が待機中となり、今まで遊技に興じていた遊技者が、最後の図柄変動表示ゲームの結果が「ハズレ」となったことを確認して、特図2の保留が残存している状態または変動中であることに気が付かずに、この遊技台を辞めていったケースを想定する。なお、この遊技者が退席した後、本遊技台では、誰も遊技をしていないものとして説明を進める。
図31E(14)は、特図1については、特図1作動保留球0個、かつ装飾図柄131がハズレ図柄「135」で停止表示中(待機中)であり、特図2については、3個の特図2作動保留球数の1つが消化されて、新たな特図2の変動(図柄変動表示ゲーム2)が開始され、今回の図柄変動に供された2個目の作動保留球が、偶々、大当り当選保留であったケースを示している。端的に言えば、特図2裏変動状態下で、特図2が大当り変動中(裏変動中の大当り変動(通常中4分当り変動))の遊技状況である。よって、図31E(14)における専用表示領域160の表示内容は、特図1作動保留球数「0」個、特図1が非変動状態(ハズレ図柄停止状態)「X」、特図2作動保留球数「2」個、特図2が変動状態(ここでは、大当り変動中)「⇔」となっている。
特図2の作動保留球が記憶されている場合、既に説明したように、「通常状態」においてハズレ変動または小当り変動の場合には、変動時間が600秒(潜確以外中10分変動1〜6)、大当りであっても240秒(通常中4分当り変動)と長時間にわたる図柄変動表示ゲーム2が行われることとなる。
通常状態中は、「特図1表変動状態、特図2裏変動状態」の関係である。したがって図31E(14)における液晶画面には、特図2側の図柄変動表示ゲーム2に係る演出は現出されておらず、最後に実行された特図1側の図柄変動表示ゲーム1の結果として、特図1対応の装飾図柄131が、ハズレを示す「135(ハズレ目)」で停止表示中の状態となっている。
その後、時間が経過して、裏変動中の大当り変動(通常中4分当り変動)が終了する。その結果、図31F(15)における専用表示領域160の表示内容が、特図1作動保留球数「0」個、特図1が非変動状態(ハズレ図柄停止状態)「X」、特図2作動保留球数「2」個、特図2が非変動状態(大当り図柄停止状態)「○」となり、裏変動の特図2が大当りであることを示している。
図31F(15)は、上記裏変動中の大当り変動(通常中4分当り変動)が終了して、「特図2裏大当り」が発生した遊技状況を示している。同図において、液晶画面には、専用表示領域160の上部近傍または一部重複する表示形態で、「右打ち」を指示する‘裏右打ち指示演出135a’が現出されている。この裏右打ち指示演出135aは、専用表示領域160よりも小さく表示される。付言すれば、裏大当りによる大当り遊技が発生した場合に、関連する他の演出無しに、しれっと表示される右打ち指示演出となっている。
この裏右打ち指示演出135aは、役連ゲート有効待ち時間(5秒)の経過後に終了される。この点は、図31A(2)、図31B(3)で示す特図1表大当りとなった場合と同じである。なお、裏変動による大当りであるか否かは、大当り遊技開始時に主制御部20から送信される「大当り開始コマンド」により、演出制御部24が把握することができる。この大当り開始コマンドには、当選時の遊技状態情報と当選した大当り種別情報とが含まれる。演出制御部24は、大当り開始コマンドを受信した場合、これに含まれる情報が、たとえば、当選時の遊技状態が通常状態であり、大当り種別が大当り5〜8のいずれかであれば、今回の大当りが裏変動による大当りであることを把握することができる。勿論、他のコマンドを利用したり、専用のコマンドを設けて、裏変動による大当りであるか否かを、演出制御部24側が識別可能に構成してもよい。
図31F(16)を参照して、役連ゲート有効待ち時間(5秒)の経過後、役連ゲート57への遊技球通過を指示する‘裏ゲート入賞指示演出137a’が現出される。この裏ゲート入賞指示演出137aは、裏右打ち指示演出135aと同様に、関連する他の演出無しに、しれっと表示されるゲート入賞指示演出となっている。裏ゲート入賞指示演出137aは、役連ゲート57に遊技球が通過するまで表示される。この点は、図31B(3)参照)で示す特図1表大当りとなった場合と同じである。
また、装飾ランプ45(周囲LED45)については、今回の大当りが特図2裏大当りであるため、通常の大当りの光演出(たとえば、図31A(2)の遊技機1の装飾ランプ45(大当り開始演出132)参照)は実行されない。本実施形態では、光演出や音演出については、たとえば、客待ち待機中などと同じ演出状態(たとえば、消灯)となっている。この演出状態で、役連ゲート57に遊技球が通過するのを待つ。
このように本実施形態では、今回の大当りが特図2裏大当りである場合、指示演出135、137は現出するものの、その表示はしれっと実行され、また、特図1表大当りのような派手な大当り開始演出(オープニング演出)は現出せずに、なるべく、こっそりと大当りである旨を報知する。このように当り中演出にも裏大当り対策を施すことで、誰もいない遊技台から突発的に大当りが発生しても周囲に与える違和感を防止することができ、またハイエナ行為を効果的に防止することができるようになっている。
なお図31F(17)において、役連ゲート57に遊技球が通過した場合は、図31B(4)と同様に、通常通り、大当り中信号が出力され、1R目のラウンド遊技、ラウンド中演出等が開始される。また、データカウンタDT側も大当り報知を開始し、データ表示内容(大当り回数DTd等)を更新する(図31B(4)下段のデータカウンタDT参照)。
(特殊大当り中告知演出:図31F)
ところで、上記の図31F(15)(16)の遊技状況下は、大当り遊技中(ここでは、特図2裏大当りによる大当り遊技中)の状態であるが、役連ゲート57を遊技球が通過するまでは、裏ゲート入賞指示演出137aが現出し続け、ラウンド遊技開始待ち状態となっている。この裏ゲート入賞指示演出137aは左下隅に表示される比較的小さなメッセージであり、気が付きにくい。このような状態の遊技台に着席した遊技者は、通常通り、左打ちをして中始動口34への入賞を狙いながら遊技を開始することが想定される。また、同時変動タイプでは、一方の特図が大当りの場合には、他方の特図の変動が強制ハズレで停止、または変動動時間の計時を中断したまま変動表示を継続するため、新たな変動を開始させることができず、中始動口34に遊技球が入賞しても、装飾図柄の変動表示が開始せず、遊技者に不信感を与えてしまう。このような場合には、遊技者に対して大当り(裏大当り)中である旨をいち早く知らせることが好ましい。
そこで本実施形態では、現在発生中の大当りが、裏変動状態側の大当り(裏大当り)当選に起因したものである場合、所定の現出条件の下で、裏大当り中である旨を報知する「特殊大当り中告知演出」を現出可能な構成となっている。特殊大当り中告知演出の現出条件は、たとえば、下記の条件A、Bとすることができる。
(条件A)裏変動となる特図側の大当り抽選で大当りに当選し、その大当り変動開始から所定時間Tが経過していること(「変動時間≦T」の関係を満たすこと)。
(条件B)表変動となる特図側の始動口への入賞があったこと。
上記条件Aおよび条件Bを満たしことを条件に、特殊大当り中告知演出を現出させる。
具体例を挙げて説明すれば、主制御部20は、通常状態中に特図2側で大当りに当選し合(特図2裏大当り当選)、裏変動に係る大当り変動パターンである「通常中4分当り変動」が選択された場合、その変動を特定可能な変動パターン指定コマンドを演出制御部24に送信し、この通常中4分当り変動の変動開始からの経過時間を計測する。そして、所定時間として、たとえば、通常中4分当り変動が終了することとなる。4分が経過した場合、演出制御部24に対し、専用の演出制御コマンド(裏大当り中コマンド)を送信する。演出制御部24は、裏大当り中コマンドを受けると、演出状態(演出モード)を「特殊大当り中告知演出実行待ち状態」に制御し、特図1始動口への入賞を待つ。具体的には、特図1側の保留加算コマンドが送られてくるのを待つ。保留加算コマンドを待つのは、上記したように、一方の特図が大当りの場合には、他方の特図で新たな変動を開始させることができず、主制御部20が変動表示に関するコマンド(たとえば、変動パターン指定コマンド等)を送信することができないからである。このため、特殊大当り中告知演出の実行契機となるコマンドとして、保留加算コマンドが最適となる。
演出制御部24は、上記特殊大当り中告知演出実行待ち状態下で特図1側の保留加算コマンドを受信した場合、特殊大当り中告知演出を現出させる。特殊大当り中告知演出の演出内容は特に制限はないが、裏大当り中であることが分かる演出内容が好ましい。たとえば、上記した親切指示演出の観点から、役連ゲート有効待ち時間が経過しているか否かにかかわらず、少なくとも右打ち指示演出135を液晶画面に大きく現出させて、遊技者に右打ちを促すことが好ましい。なお、大当り開始コマンドを受信したことを契機に、特殊大当り中告知演出実行待ち状態に制御することもできる。この場合は、裏大当り発生時から特殊大当り中告知演出実行待ち状態に制御することができる。
(裏変動中大当り予告演出:図31G)
また、前述した図31F(15)(16)の遊技状況下と同様の問題が図31E(14)の遊技状況、つまり、裏変動が大当り変動中(通常中4分当り変動中)である場合にも生じうる。
詳しくは、図31E(14)の遊技状況は、裏変動が大当り変動(通常中4分当り変動)中である。このような状態の遊技台は、メインの演出の対象が図柄変動表示ゲーム1となっているため、遊技者が普通に左打ちをして、中始動口34への入賞を狙いながら遊技を進めていくものと考えられる。しかし、特図2が大当り変動である場合には、その変動中に実行される特図1の大当り抽選が「大当り無しの抽選(ハズレ抽選)」となってしまい、いくら中始動口34に入賞させて大当り抽選を受けても無に帰することになる。このような場合には、遊技者に対して、現在実行中の裏変動が大当り変動である旨をいち早く知らせることが好ましい。
そこで本実施形態では、裏変動に係る大当り変動中である場合、所定の現出条件の下で、裏変動が大当りである旨を報知する「裏変動中大当り予告演出」を現出させることができるようになっている。裏変動中大当り予告演出の現出条件は、たとえば、下記の条件Cとすることができる。
(条件C)裏変動に係る特図側(たとえば、通常状態中の特図2)の大当り抽選で大当り(たとえば、大当り5〜8のいずれか)に当選し(特図2裏大当り当選)、その大当りに係る特図が変動中である場合(特図2が変動中(図柄変動表示ゲーム2が実行中)の場合)、表変動に係る特図側(特図1)の始動口(たとえば、中始動口34)への入賞があったこと(条件C−1)、または表変動に係る特図側(特図1)の変動が開始されたこと(条件C−2)。
上記条件Cを満たしことを条件に、裏変動中大当り予告演出を現出させる。なお、上記(条件C−1)と上記(条件C−2)とについては、いずれか一方の条件を採用することができる。
具体例を挙げて説明すれば、主制御部20は、通常状態中に特図2側で大当りに当選し(特図2裏大当り当選)、当該大当り当選に係る「通常中4分当り変動」が選択された場合、その変動を特定可能な変動パターン指定コマンドを演出制御部24に送信する。この変動パターン指定コマンドを演出制御部24が受けると、演出制御部24は、今回の変動パターンが「通常中4分当り変動」であることを把握し、当該変動が終了するまで「裏変動中大当り予告演出実行待ち状態」に制御する。そして演出制御部24は、上記(条件C−1)を現出条件とする場合には、特図1側の保留加算コマンドが送られてくるのを待ち、上記(条件C−2)を現出条件とする場合には、特図1に係る変動パターン指定コマンドが送られてくるのを待つ。演出制御部24は、裏変動中大当り予告演出実行待ち状態下で、特図1側の保留加算コマンドを受信した場合(上記(条件C−1)の場合)、あるいは変動パターン指定コマンドを受信した場合(上記(条件C−2)の場合)、裏変動中大当り予告演出を現出させる。なお、裏変動中大当り予告演出を現出させる場合には、突発的に現出させることで、遊技者の意表を突く演出とすることができ、現出時の衝撃度が高いものとなる。たとえば、液晶画面をブラックアウト表示にした後(ブラックアウト演出)、裏変動中大当り予告演出を現出させる等である。
(裏変動中大当り予告演出の具体例:図31G)
図31Gに、裏変動中大当り予告演出の演出例を示す。ここでは、図31E(14)と同様に、特図1については、特図1作動保留球0個、かつ装飾図柄131がハズレ図柄「135」で停止表示中(待機中)であり、特図2については、特図1作動保留球2個、かつ特図2が通常中4分当り変動(裏変動に係る大当り変動)中であるケースを想定している。図31G(14A)は、この遊技状況下で、中始動口34に入賞あり、上記(条件C−1)または上記(条件C−2)を満たして、裏変動中大当り予告演出が現出されたケースを示したものである。よって、図31G(14A)における専用表示領域160の表示内容は、特図1作動保留球数「0」個、特図1が変動状態「⇔」、特図2作動保留球数「2」個、特図2が変動状態(通常中4分当り変動中)「⇔」となる。また図31G(14B)は、図31G(14A)の状態から30秒経過したときの裏変動中大当り予告演出を示したものである。
図31G(14A)の符号173は、裏変動中大当り予告演出である。裏変動中大当り予告演出173は、カウントダウンタイマ170、メッセージ171、複数の円盤画像133などを含む演出内容となっている。
カウントダウンタイマ演出170は、裏変動(ここでは、特図2)に係る大当り変動(通常中4分当り変動)開始からの経過時間(概略値でもよい)を表示し、現時点でどの程度終了しているのか、またいつ変動が終了して大当りが始まるのかを、カウントダウン表示し、遊技者に報知する。また、メッセージ171は、「超チャンス到来!球を発射するな!離席しないで残り200秒待て!」からなり、(イ)「超チャンス到来!」メッセージにより現在実行中の特別図柄変動表示ゲーム2(裏変動)が大当りの当選期待度が高期待度または当確であること、(ロ)「球を発射するな!」メッセージにより球を発射してしまうと、無駄玉になる可能性があること、(ハ)「離席しないで残り200秒待て!」メッセージにより離席してしまうと大当り権利を失う可能性があることなどを、報知することができる。また、大軍団のUFO(複数の円盤画像133)が表示されているが、その中に、牛画像134が表示されている。この牛画像134は、大当り5〜7(通常時確変大当り)に当選している可能性が高いことを示し、本実施形態では、牛画像134がUFO群に紛れて出現した場合には、大当り5〜7のいずれかに当選していることを示す。
また、裏変動中大当り予告演出173は、裏変動が大当り変動(大当り当選状態)であることを報知する当確演出の一態様である。したがって、裏変動中大当り予告演出173の現出中は、特図1側の図柄変動表示ゲーム1(表変動側)に係る予告演出(リーチ演出等)や先読み予告演出は現出させず、予告演出が実行中であってもすべてキャンセルする。ただし、特図1に係る装飾図柄131については、変動中は非表示とするが、変動終了時には右下隅に小さくハズレ目を停止表示して、特図1側の図柄変動表示ゲーム1が終了したことを報知するようになっている(図31G(14B)を参照)。また、裏変動中大当り予告演出173の現出中は、「左打ち警告報知演出」および「右打ち警告報知演出」を実行しないようになっている。
<主制御部側の処理:図8A〜図30C>
次に図8A〜図30Cを参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、無限ループ状のメイン処理(主制御側メイン処理:図8Aおよび図8B)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図13)とを含んで構成される。
<10.主制御側メイン処理:図8Aおよび図8B>
図8Aおよび図8を参照して、主制御部20側のメイン処理(主制御側メイン処理)について説明する。図8Aおよび図8は、主制御部20側のメイン処理の詳細を示すフローチャートである。このメイン処理が開始されるのは、停電状態や電源異常などからの復旧時におけるシステムリセットが生起した場合や、制御プログラムが暴走したことにより、ウォッチドッグタイマ(WDT)機能が発揮されてCPUが強制的にリセット(WDTリセット)される場合などがある。いずれの場合でも、メイン処理が開始されると、主制御部20(CPU201)は、まず、CPU201を含む各部のレジスタの値を初期設定したり、周辺基板の電源供給状態を監視したりする等の遊技動作開始に必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。なお、この初期設定処理については、図9にて後述する。
ステップS011の初期設定処理を終えると、入力ポート1(図示せず)の情報を取得してWレジスタにセットし(ステップS012)、Wレジスタに所定のマスク処理を施し、「設定キースイッチ94(設定キー信号)、RAMクリアスイッチ98(RAMクリア信号)、および扉開放センサ61(扉開放信号)」の入力状態(ON/OFF状態)を取得する(ステップS013)。本実施形態に係る入力ポート1の情報は(最下位ビット(b0)〜最上位ビット(b7)が示す情報)、図示の通り、設定キー信号(設定キースイッチ94)のON/OFF状態(b0)、RAMクリア信号(RAMクリアスイッチ98)のON/OFF状態(b1)、扉開放信号(扉開放センサ61)のON/OFF状態(b2)、断線検出信号1(b3)、断線検出信号2(b4)、計数エラー信号(球計数センサ19b)のON/OFF状態(b5)、補給切れ信号(補給切れ検出センサ19a)のON/OFF状態(b6)、電源投入時信号及び払出通信確認信号のON/OFF状態(b7)となっている。たとえば、RAMクリア信号は、RAMの所定領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、ホール店員が操作するRAMクリアスイッチ98のON/OFF状態に対応した値を有している。また設定キー信号とは、設定値を変更可能な設定変更モードに移行するか否かを決定する信号の一つであって、上述のRAMクリアスイッチと同じく、通常、ホール店員が操作する設定キースイッチ94のON/OFF状態に対応した値を有している。このため、RAMクリア信号や設定変更信号の取得タイミングが遅れると、ホール店員がスイッチから手を離すことで、ON操作を見逃すことになるが、本実施形態では、そのような事態を回避するために、電源復旧時に速やかにこれら信号を取得するようになっている。
本実施形態では、設定キースイッチ94、RAMクリアスイッチ98、および扉開放センサ61のON/OFF状態の組合せ、具体的には、ステップS013で得られたWレジスタの下位3ビットのビットパターン「W(x、y、z):x、y、z=1(ON状態)または0(OFF状態)」により指定される移行処理状態(分岐判定条件)に応じて、後述の「設定変更処理(ステップS022)」、「設定確認処理(ステップS026)」、「領域内RAMクリア処理(ステップS028)」、「バックアップ復帰処理(ステップS027)」の4種類の処理のうちいずれかの処理が実行されるようになっている。上記の移行処理状態(分岐判定条件)は、図8Cに示す通りであり、W(1、1、1)の場合は「設定変更移行状態」、W(1、0、1または0)の場合は「設定確認移行状態」、W(0、1、1または0)の場合は「RAMクリア移行状態」、W(0、0、1または0)の場合は「バックアップ復帰移行状態」を指定する。なお、設定キースイッチ94とRAMクリアスイッチ98は、遊技機内部に設けられているため、これらスイッチを操作する際には、前枠2が開放しなければならないため、通常、扉開放センサ61は、ON状態(扉開放信号ON)である。また本実施形態では、制御負担を軽減するために、少なくととも遊技開始可能状態が整うまで(たとえば、後述のステップS035の処理(CTC設定処理)が実行される前(図13の主制御側タイマ割込処理が開始される前)、あるいは、少なくともステップS039〜S042のループ処理が実行される前まで)、前枠2が開放状態(扉開放状態)であっても扉開放エラー報知を実行しないようになっている。ただし、扉開放センサ61がON状態の場合には、扉開放センサ61がONである旨の情報がセキュリティ信号により、ホールコンピュータHCに送信されるようになっている。
(設定変更処理実行処理ルート:ステップS020〜S023)
ステップS014の処理では、Wレジスタのビットパターンが設定変更移行状態に対応するW(1、1、1)である否かを判定する(ステップS014)。W(1、1、1)である場合には(ステップS014:=W(1、1、1))、「設定変更移行状態」であるとして、まず、設定変更中である旨を指定する「設定変更中コマンド(BA5AH)」を演出制御部24に送信する(ステップS020)。演出制御部24が設定変更中表示コマンドを受けると、演出手段を用いて、設定値変更中であること報知する設定変更中演出を実行する。たとえば、装飾ランプ45を青色全点灯させ、スピーカ16から「設定変更中です♪」の警報音を出力させ、液晶表示装置36に「設定変更中です」の演出画像を表示させる。
次いで、領域内RAM初期化処理(電源投入時のRAMクリア処理)を実行する(ステップS021)。この領域内RAM初期化処理では、通常の遊技処理(図柄変動表示ゲームの遊技処理等)で使用するデータを格納するための領域内RAMのうち、少なくとも設定値格納領域を除く全領域(通常データ格納領域)を初期化(クリア)して遊技機の動作状態を初期状態に戻す(ステップS021)。本実施形態では、性能表示に関する処理のプログラムや記憶領域は、CPU201が通常の遊技進行の際にアクセスする領域(領域内メモリ(第1メモリ領域))とは異なる領域(領域外メモリ(第2メモリ領域))に規定されている。具体的には、主制御部20は、通常の遊技進行(たとえば、性能表示器99の表示に関する処理以外の処理)に係る遊技処理で用いられる遊技データを記憶可能な第1RAM領域(領域内RAM)と、当該遊技進行に直接関連のない情報表示処理(図8BのステップS033、S040、図13のステップS101、図28等)で用いられる情報表示データを記憶可能な第2RAM領域(領域外RAM)とを含むRAM203と、上記通常の遊技処理を実行するための遊技制御プログラムを記憶する第1ROM領域(領域内ROM)と、上記情報表示処理を実行するための情報表示制御プログラムを記憶する第2ROM領域(領域外ROM)とを含むROM202と、遊技制御プログラムおよび情報表示制御プログラムに基づいて遊技制御動作を実行するCPU201と、を有して構成される。ここでは、クリア対象を領域内メモリに係るRAM領域(領域内RAM)だけとしている。なお、領域内RAMのデータであっても設定値格納領域(設定値データ)のデータはクリア対象とされない。設定値データについての初期化・その変更等については、後述の設定変更処理(図11)にて行う。
上述した「通常データ格納領域」には、主として、図8BのステップS039と、後述する図13のタイマ割込処理のステップS081〜S085、S089〜S095、S097〜S100等で利用される各種のフラグや動作タイマやカウンタ等の各種データが記憶され(各種データに対応する格納領域に記憶)、代表的なものには、次のようなデータがある。
遊技状態を指定するための各種機能に係るフラグ(開放延長機能の作動状態を指定する「普電役物開放延長状態フラグ」、普通図柄時短機能の作動状態を指定する「普通図柄時短状態フラグ」、普通図柄確変機能の作動状態を指定する「普通図柄確変状態フラグ」、特別図柄時短機能の作動状態を指定する「特別図柄時短状態フラグ」、特別図柄確変機能の作動状態を指定する「特別図柄確変状態フラグ」)
特別図柄時短機能の作動回数をカウントする「特別図柄時短回数カウンタ」、特別図柄確変機能の作動回数をカウントする「特別図柄確変回数カウンタ」、
大当り抽選結果に係る各種データ(大当り判定フラグ、小当り判定フラグ、特別図柄判定データ、特別停止図柄番号等)
「当り遊技の実行に係る各種データ(現在のラウンド数(特別電動役物作動回数)、規定ラウンド数、大入賞口入賞数、条件装置作動フラグ、小当り中フラグ、役物連続作動装置作動フラグ等)」、
「特別図柄の動作状態に関するパラメータ(特別図柄停止1フラグ、特別図柄停止2フラグ、変動中フラグ、特別図柄動作ステータス、特別図柄動作確認データ等)」、「遊技進行を管理する各種動作タイマ(性能表示に関するタイマは除く)」、
「現在の遊技状態を特定可能な遊技状態データ(遊技状態番号YJ)」、
「スイッチ・センサ類に係る入出力データ(性能表示に係る入賞口等のセンサの入力データは除く)」、
「入賞球数をカウントする入賞カウンタ」、「各種のエラーフラグ」などである。
いずれにしても領域内RAM初期化処理(ステップS021)が実行されると、特定のデータ(設定値データ、ベース値の表示に利用されるデータ)以外のすべてのデータが初期状態に設定される。
なお詳細は後述するが、領域外メモリに係るRAM203の所定領域(領域外RAM)、すなわち、性能情報に係るRAM領域(計測情報格納領域、性能表示格納領域、性能表示器99に係るLEDデータ設定領域等))は、後述の図28の性能表示モニタ処理(ステップS101)にて、当該RAM領域に不具合が生じた場合に初期化処理(領域外RAMクリア処理)を行うようになっている(図13のステップS101、図28のステップS823、図30A等参照)。このように、RAM203のワーク領域を区分し、電源投入時のRAM初期化処理では領域外RAMを初期化(クリア)しない。これにより、電源投入時のRAM初期化処理が行われた場合であっても、性能表示に関する通常時払出個数、通常時アウト個数、ベース値などのデータについては、電断を跨いで引き継ぐことが可能となっている。
そして、上記領域内RAM初期化処理(ステップS021)を終えると、次いで、設定値の変更に係る設定変更処理を実行する(ステップS022)。この設定変更処理についての詳細は、図11にて後述する。
なお、設定変更移行状態(設定キースイッチ94やRAMクリアスイッチ98がON状態(ここでは、扉開放センサ61は、ON状態であるとする))であると判定されるためには、遊技機の電源(メイン電源)を落としたまま(電源OFF)、設定キースイッチ94およびRAMクリアスイッチ98をON状態とし、そのON状態のまま電源を投入(電源ON)することを要する。すなわち、設定値を変更するためには、前枠2を開放状態とし、遊技機の電源をOFFにしたまま、設定キースイッチ94を設定値変更モード側(ON操作)に入れ、RAMクリアスイッチ98をON操作したままの状態で、電源を投入することを要する。これは、遊技機に電源を投入してから設定キースイッチ94またはRAMクリアスイッチ98をON操作した場合、電源投入からON操作まで少なくとも数秒程度の時間を要し、その間に、ステップS014の処理が実行されて、設定キースイッチ94あるいはRAMクリアスイッチ98がOFF状態であると判定されてしまい(ステップS014:≠W(1、1、1))、ステップS022の設定変更処理が実行されないからである。この場合は、図示の通り、ステップS015が実行される処理ルートを辿ることになり、以後、設定値の変更操作禁止状態に制御される。したがって、設定値を変更したい場合に、設定キースイッチ94またはRAMクリアスイッチ98をON操作しないまま電源を投入してしまったときは、一旦電源を落とした後、設定キースイッチ94およびRAMクリアスイッチ98をON操作したまま、電源を再投入すればよい。なお、設定変更処理が実行された場合には、RAMクリアスイッチ98をOFF状態としても設定変更操作の許容状態は維持される。
設定変更処理(ステップS022)を終えると、客待ち中コマンド(BA04H)を送信し(ステップS023)、後述の図8Bに示すステップS032の処理に進む。客待ち中コマンドを演出制御部24が受けると、所定の現出条件に基づき、パチンコ遊技機1における遊技の進行の説明やその紹介(デモンストレーション)のための客待ち待機演出(客待ちデモ画面)を現出させる。なお、ステップS032の処理以降の処理については、説明の便宜のため、追って説明する。
ステップS014の説明に戻り、Wレジスタのビットパターンが設定変更移行状態に対応するW(1、1、1)でない場合(ステップS014:≠W(1、1、1))、次いで、RAM異常であるか否かを判定する(ステップS015)。ここでの判定対象となるRAM領域のデータは、設定値格納領域の設定値データである。本実施形態では、設定値1〜6の6段階の設定が規定されており、これら設定値1〜6を特定するデータとして00H〜05Hの値が定められている。したがって、設定値格納領域には、00H〜05Hのいずれかの設定値データ(正常値)が格納されているはずである。しかし、ノイズ等の何かしらの不具合により、設定値データが、00H〜05H以外の異常値となってしまう場合もありうる。
そこで本処理では、設定値格納領域から設定データを取得し、取得した設定値が00H〜05Hのいずれの値でもない場合(正常値でない場合)、つまり取得した設定値が設定値1〜6のいずれにも該当しない場合には(ステップS015:YES)、設定値データに異常が発生した(設定値データに正当性が無い)として、ステップS018の処理に進み、RAMエラー処理として、電源再投入コマンド(0B07H)を送信する(ステップS018)。演出制御部24が電源再投入コマンドを受けると、演出手段を用いて、電源再投入指示演出を実行する。たとえば、装飾ランプ45を赤色全点灯させ、スピーカ16からの警報音を出力させ、液晶表示装置36に「RAMエラー 電源を再投入して設定値を1に決定してください」等の演出画像を表示させる。そして、後述の図10(A)に示す第1電源異常チェック処理を実行する(ステップS019)。
またステップS015の判定処理において、RAM異常でないと判定した場合には(ステップS015:NO)、バックアップフラグBFが正常値(5AH)であるか否かを判定する(ステップS016)。なお、バックアップフラグBFは、後述する第2電源異常チェック処理(図13のステップS081)の処理にて5AH(正常値)に設定される。電源投入時や、停電状態からの復旧時である場合には、バックアップフラグBFの内容が5AHのはずである。しかし何らかの理由で不具合が生じてバックアップフラグBFが正常値(00H等)でない場合には(ステップS016:≠5AH)、前述したRAM異常である場合と同じく(ステップS014の判定結果がYESの場合と同様)、ステップS018の処理に進み、電源再投入コマンド(0B07H)を送信し(ステップS018)、第1電源異常チェック処理を実行する(ステップS019)。
(10−2−1.第1電源異常チェック処理:図10(A))
上記第1電源異常チェック処理(ステップS019)の処理について説明する。図10(A)は第1電源異常チェック処理の詳細を示すフローチャートである。
図10(A)において、CPU201は、まずWDTをクリアし(ステップS056)、電断を示す電源異常信号のON状態を確認しなければ(ステップS057:NO)、第1電源異常チェック処理を抜ける。つまり、RAM203の記憶内容に異常(RAMエラー)が発生した場合には、WDTクリア処理(ステップS056)と電断確認処理(ステップS057)とを無限に繰り返す電源再投入待ち状態下に置かれる。したがって、RAMエラーが発生した場合には、以後、遊技進行に係る処理が進行せず、電源が再投入されるまで(本実施形態の場合、ステップS022の設定変更処理が実行されるまで)遊技動作が停止することになる(遊技停止処理)。なお、RAMエラーが発生した場合には、電源異常信号が確認されるまでWDTクリア処理を実行し、無限ループ処理を繰返しているタイミングで、WDTリセットが生起しないようになっている。
電源異常信号のON状態を確認した場合には(ステップS057:YES)には、図8AのステップS011の処理に戻り、電源投入時と同じく、ステップS011以降の処理を順次実行する。
ただし本実施形態では、設定値データ異常(RAM異常)やバックアップ異常(バックアップフラグ異常)等のRAMエラーが発生しても、その後の処理(ステップS018〜S019)にて、RAM203の内容をクリアする処理は実行されない。そのため仮に、設定値データやバックアップデータが破損状態のままであれば、そのまま電源を再投入しても、破損したデータが残存したままであり、電源投入の際に、設定変更移行状態(Wレジスタ=W(1、1、1))に設定されない限り、再度、ステップS018〜S019が実行されることになる。したがって、一度RAMエラーが生じると、単に電源を再投入してもRAMエラーが解消されず、ステップS022の設定変更処理が実行されない限り、RAMエラーが解消されないようになっている。このため、ステップS018にて上記電源再投入コマンドを送信し、これを受けた演出制御部24がRAMエラー報知(電源再投入指示演出)として、液晶表示装置36に「RAMエラー 電源を再投入して設定値を1に決定してください」等の演出画像を表示して、RAMエラーの解消をホール店員に促すようになっている。
図8AのステップS015の説明に戻る。RAM異常ではなく(ステップS015:NO)、かつバックアップフラグBFが正常値(5AH)である場合には(ステップS016:=5AH)、Wレジスタに所定のマスク処理を施し、設定キースイッチ94(設定キー信号)およびRAMクリアスイッチ98(RAMクリア信号)の入力情報を取得する(ステップS017)。
(バックアップ復帰処理実行処理ルート:ステップS24→S027)
次いで図8Bを参照して、Wレジスタのビットパターンが、バックアップ復帰移行状態に対応するW(0、0)である否かを判定する(ステップS024)。W(0、0)である場合には(ステップS024:=W(0、0))、「バックアップ復帰移行状態(図8C参照)」であるとして、バックアップされた電源遮断直前の遊技情報に基づいて遊技を再開するためのバックアップ復帰処理を実行する(ステップS27)。
このバックアップ復旧処理では、まず、電断遮断時にバックアップ機能(図示せず)により保存されたRAMの記憶内容(電断時に保存されたバックアップデータ)に基づいて、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要な復帰処理を行い、電源遮断時の遊技動作を復帰させる(遊技復帰手段)。またここでは、バックアップデータから所定の遊技情報(たとえば、電源遮断時における特図1・特図2作動保留球(保留データ)、当り遊技に関する情報、遊技状態情報など)を取得し、その情報を含ませた1または複数種類の遊技復帰用コマンドを演出制御部24に送信する。演出制御部24は、遊技復帰用コマンドを受信すると、これに含まれる遊技情報に基づき、電源遮断時の遊技進行状態を把握し、電源遮断時の演出状態に復帰させる。そして、復帰処理を終えると、停電復帰表示コマンド(BA03H)を演出制御部24に送信し、バックアップ復帰処理を終える。演出制御部24が停電復帰表示コマンドを受けると、演出手段を利用して、復旧が完了した旨を報知する「復旧完了演出」を現出させる。たとえば、液晶表示装置36に「停電から復帰しました 遊技を再開してください」などの演出画像を表示させる。上記バックアップ復帰処理を終えると、後述のステップS032の処理に進む。
(RAMクリア処理実行処理ルート:ステップS25→S028〜S030)
図8BのステップS024の説明に戻り、Wレジスタのビットパターンが、バックアップ復帰移行状態に対応するW(0、0)でない場合(ステップS024:≠W(0、0))、次いで、Wレジスタのビットパターンが、RAMクリア移行状態に対応するW(0、1)であるか否かを判定する(ステップS025)。W(0、1)である場合(ステップS025:=W(0、1))、「RAMクリア移行状態(図8C参照)」であるとして、領域内RAM処理化処理を実行する(ステップS028)。このステップS028の領域内RAM処理化処理は、上記ステップS021の領域内RAM処理化処理と共通の処理である。次いで、RAMクリアコマンド(BA20H)と客待ち中コマンド(BA04H)とを演出制御部24に順次送信し(ステップS029)、RAMクリアされた旨を周囲に報知(ホールコンピュータHCへの通知を含む)するための時間として、RAMクリア報知タイマに所定の報知時間(たとえば、30秒)を設定する(ステップS030)。また演出制御部24が上記RAMクリアコマンドを受けると、演出モードを初期状態の「通常演出モード」に設定し、演出状態を初期状態に戻すとともに、演出手段を用いて、RAMクリアに対応したエラー報知(RAMクリア報知演出)を、報知タイマの設定時間と同じ30秒間実行する。たとえば、装飾ランプ45を赤色全点灯させ、スピーカ16からのRAMクリア時の警報音を出力させ、液晶表示装置36に「RAMクリア中です」等の演出画像を表示させる。また、ステップS029では、RAMクリアコマンドを送信するとともに、客待ち中コマンドを送信しているが、このタイミングでは客待ち待機演出を実行せず、RAMクリア報知を30秒間実行した後に、客待ち待機演出を実行する。たとえば、警報音をフェードアウトするとともに、液晶表示装置36に客待ちデモ画面等を表示する。本実施形態では、RAMクリア報知演出(RAMクリア報知)が最優先で実行されるようになっている。
なお既に説明したように、本実施形態に係る領域内RAM初期化処理(ステップS021、S028)において、領域内RAMのうち設定値格納領域(設定値データ)は初期化されず、設定値データについての初期化・変更等(バックアップフラグBFのクリアを含む)は、後述の設定変更処理(図11)にて行うようになっている。したがって、単に、このステップS028の領域内RAM初期化処理(ステップS021の初期化後に設定値を変更しない場合(同一設定に打ちかえた場合)も同様)が実行されるだけの場合には、設定値は前回の電源遮断時の同一値のままであるが、遊技状態や保留データ等は初期化された状態(通常状態、かつ保留データ無し等の初期状態)で遊技が開始されることとなる。これにより、たとえば、前日の営業から設定値だけを引き継ぎたい場合は、態々、作業工程の多い設定変更操作をしなくとも、RAMクリアスイッチ98のON/OFF操作という簡易操作でクリア作業が済む、という利点がある。
(設定確認処理実行処理ルート:ステップS24→S026)
一方、Wレジスタのビットパターンが、RAMクリア移行状態に対応するW(0、1)でない場合(ステップS025:=W(1、0))、すなわち、「設定確認移行状態(図8C参照)」に対応するW(1、0)である場合、設定値の確認作業に係る設定確認処理を実行する(ステップS026)。なお、この設定確認処理の詳細は、図12にて後述する。上記設定確認処理を終えると、バックアップ復帰処理(ステップS027)を実行し、ステップS032の処理に進む。
以上のように、設定キースイッチ94、RAMクリアスイッチ98、および扉開放センサ61のON/OFF状態の組合せに応じて、「設定変更処理(ステップS022)」、「設定確認処理(ステップS026)」、「領域内RAMクリア処理(ステップS028)」、「バックアップ復帰処理(ステップS027)」のいずれかの処理が実行され、当該処理を終えると、全レジスタの内容を退避させて(ステップS032)、後述の動作確認タイマ設定処理(図8D)を実行し(ステップS033)、退避していた全レジスタの内容を復帰させる(ステップS034)。
(10−2−2.動作確認タイマ設定処理:図8D)
上記動作確認タイマ設定処理(ステップS033)の処理について説明する。図8Dは、動作確認タイマ設定処理の詳細を示すフローチャートである。この動作確認タイマ設定処理では、性能表示器99の電源投入時の確認動作に要する初期設定を行う。本実施形態では、電源投入時の処理の一環として、性能表示器99に対する動作チェックを行うために、電源投入後に、4個の7セグメントLEDを所定時間(たとえば、5秒間)、全点灯と全消灯とを周期的に繰り返す全点滅させる「動作確認表示」を行うようになっている。なお、性能表示器99の動作確認表示に関する処理(動作確認処理)は、後述の主制御側タイマ割込処理(図13)中の性能表示モニタ処理中で行われる(図13のステップS101、図28のステップS833、図30B)。
ここで、ステップS011〜S030の一連の電源投入時の処理を終えた後、ステップS035にてタイマ割込処理(図13)を起動させるが、仮に、スイッチ入力等の検出のために電源投入時からタイマ割込処理を起動させる場合、性能表示モニタ処理も電源投入時から実行されてしまい、闇雲に動作確認タイマ設定処理を実行してしまうと、設定確認中や設定変更中に、動作確認表示が実行されてしまい動作チェックが疎かになってしまう。また電源投入やシステムリセット等の電断復帰時(電源リセット時)には、設定確認処理や設定変更処理やバックアップ復帰処理等の種々の電源投入時の処理が実行されうるため、闇雲に動作確認タイマ設定処理を実行してしまうと、処理が複雑化し、スムーズに遊技開始状態を整えることができない恐れもある。また制御負担に繋がる可能性もある。また、本実施形態ではタイマ割込処理の時間間隔が4ms程度であるが、制御プログラムよっては、割込み時間間隔が1ms程度等の極短時間で実行する可能性もあり、闇雲に確認タイマ設定処理を実行してしまうと、動作確認表示よりもベース値が先行表示する可能性もあり動作チェックが煩雑になる可能性もありうる。これら種々の事情を考慮し、動作確認タイマ設定処理は、少なくともタイマ割込処理が起動する前に(ステップS035よりも前に)実行することが好ましく、ステップS011〜S030の一連の電源投入時の処理を終えた後、ステップS035のタイマ割込処理が起動される前に実行することがより好ましい。そこで本実施形態では、図8Bに示す通り、設定確認処理、バックアップ復帰処理、設定変更処理、領域内RAMクリア処理等を含む一連の電源投入時の処理を終えた後、タイマ割込処理の起動に関するCTCの設定処理よりも前段階にて、動作確認タイマ設定処理を行うようになっている。
図8Dの説明に戻り、CPU201は、まずスタック領域を特定するスタックポインタを所定領域に格納する(ステップS881)。次いで、性能表示器99の動作確認時間をカウントする動作確認タイマに初期値(たとえば、5000ms)を設定し(ステップS882)、性能表示器99の点滅周期をカウントする点滅用タイマをゼロクリアする(点滅用タイマ←0)(ステップS883)。そして、スタックポインタを復帰させ、動作確認タイマ設定処理を抜ける。
動作確認に係るステップS032〜S034の処理を終えると、次いで、4ms毎に定期的にタイマ割込みを発生させるためのCTCの設定処理を行う(ステップS035)。以後、割込コントローラへの割込要求信号が定期的に出力され、図13に示す主制御側タイマ割込処理が実行される。詳細は後述するが、主制御側タイマ割込処理では、スイッチ類ON/OFF状態を監視する入力管理処理、LEDの表示制御を行うLED管理処理、図柄変動表示ゲームの制御処理、当り遊技の制御処理など、遊技進行に係る各種処理が実行されるようになっている。
次いで、遊技開始可能状態が整ったとして、発射制御信号(発射許可信号ES)をOFF状態からON状態に設定する(ステップS036)。具体的には、発射装置32の発射動作を許可する発射制御信号を払出制御基板29に出力する。払出制御基板29は、発射制御信号を受信した場合、発射許可状態であると判断し、上記発射制御信号を発射制御基板28に対して出力し、発射装置32による発射動作を許容する。これにより、発射動作禁止状態から発射動作許容状態下に制御され、発射操作ハンドル15による遊技球の発射が可能になる。なお本実施形態では、主制御部20からの発射制御信号を払出制御基板29が受けて発射動作を許容する構成、つまり、主制御部20からの発射許可の指示情報が、払出制御基板29を通じて間接的に発射制御基板28に送られる構成となっているが、本発明はこれに限られない。たとえば、主制御部20による上記発射制御信号を直接的に発射制御基板28に対して出力して、発射動作を許容する構成としてもよい。
なお本実施形態では、図8Aおよび図8Bに示す通り、ステップS035の処理が実行される前は、発射制御信号を出力しない(ステップS011の初期設定処理中において、発射許可信号をOFF状態に制御される(後述の図9のステップS046参照))、つまり、発射禁止状態に制御している。したがって、たとえば、設定変更操作を行う場合は、設定変更処理(ステップS022)を終えるまで発射制御信号を出力せず(OFF状態に制御)、設定変更処理を終えた後で発射制御信号を出力し(発射許可信号をON状態に制御)、発射許容状態に制御する。
次いで、遊技開始コマンド(BA77H)を演出制御部24に送信する(ステップS037)。演出制御部24が遊技開始コマンドを受けると、時計型役物80や花型役物90等の可動体役物に関する電源投入時の初期動作(イニシャライズ動作)を実行する。そして、一連の電源投入時処理(S011〜S038:電源投入時における遊技開始前処理)を終えると、通常の遊技進行に係る遊技処理(ステップS038〜S041のループ処理)に移行し、これにより、遊技の進行が可能な状態に制御されることになる。
次いで、CPUを割込み禁止状態に設定した状態で(ステップS038)、各種乱数更新処理を実行する(ステップS039)。この各種乱数更新処理では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種のソフトウェア乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している乱数)を更新する。たとえば、図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数、補助当りの図柄抽選に利用される普通図柄判定用乱数)の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数等)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数などを更新する。
上記各種乱数更新処理(ステップS039)を終えると、次いで、性能表示モニタ集計除算処理を実行する(ステップS040)。この性能表示モニタ集計除算処理では、性能表示器99に表示するためのベース値の算出処理を実行する。
既に説明したように、性能表示に関する処理のプログラムや記憶領域は、CPU201が通常の遊技進行の際にアクセスする領域内メモリ(第1メモリ領域)とは異なる領域外メモリ(第2メモリ領域)に規定されている。そこでCPU201は、まず領域内メモリ側のスタックポインタを退避させ、領域外メモリ側のスタックポインタを設定する。
次いで、後述の図30Aに示す領域外RAMチェック処理を実行した後、図13に示すタイマ割込処理中の性能表示モニタ処理中(後述のステップS101、図28のステップS828参照)で得られた、中始動口センサ34a、右始動口センサ33a、右下始動口センサ35a、上大入賞口センサ42a、下大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43a、OUT監視スイッチ49aの各入力データに基づき、各入賞口への入賞の有無、遊技球の排出の有無などをチェックする。
現在の遊技状態が通常状態である場合において、いずれかの入賞口に入賞を確認した場合には、通常時払出個数に対して入賞があった入賞口の賞球数を加算し(通常状態中賞球加算処理)、通常時アウト個数および全状態アウト個数を1加算して(アウト球数加算処理)、現在のカウント値をそれぞれ更新する。しかし入賞が確認されず、OUT監視スイッチ49aへの入力が確認された場合には、通常時アウト個数および全状態アウト個数だけに1加算し、これらのカウント値を更新する(通常状態中アウト球数加算処理)。一方、現在の遊技状態が通常状態ではない場合には(確変状態、時短状態、潜確状態のいずれかである場合)、いずれかの入賞口に入賞を確認しても通常時払出個数には賞球数を加算せずに、全状態アウト個数だけを+1加算し、また入賞が確認されず、OUT監視スイッチ49aへの入力が確認された場合にも全状態アウト個数だけに1加算する(非通常状態中アウト球数加算処理)。
そして、更新後の通常時払出個数と通常時アウト個数、すなわち、最新の通常時払出個数と通常時アウト個数とに基づき、ベース値を算出し、その値をRAM203の計測情報格納領域に格納する。なお、通常状態であるか否かは、後述の通常状態判定フラグ(図28の性能表示モニタ処理中のステップS827〜S828参照)がON状態(5AH)であるか否かで判断される。しかし本発明はこれに限らず、領域内RAMで管理される遊技状態番号YJを直接取得して、YJの値により現在の遊技状態を判断してもよい。
ここで「大当り遊技中」は、基本的には通常状態と同じ「低確・電サポ無し」であるが、通常状態とは別個の遊技状態であるので、ベース値を計測する上で、上大入賞口40の賞球数については計数対象から除外してある(上大入賞口センサ42aの検出情報は計測対象から除外)。一方、通常状態には小当り遊技中も含まれる。これは、小当りに当選した場合は内部的な遊技状態の移行制御というものはなく、小当り遊技中の遊技状態は、その当選時の遊技状態がそのまま継続されるからである。したがって、現在の遊技状態が通常状態であれば、小当り遊技中は通常状態のままとなり、通常状態時における下大入賞口50の賞球数はベース値の計数対象に含まれる(下大入賞口センサ52aの検出情報は計測対象から除外しない)。なお本実施形態の場合、大当りと小当りとで、開放対象となる大入賞口が別々になっているが、たとえば、共通の大入賞口を利用する場合において(たとえば、大入賞口が1つの場合)、大当り遊技中における当該大入賞口への入賞を除外するには、条件装置の作動の有無に応じて、通常状態中であるか否かを判断すればよい。具体的には、条件装置が作動している場合には、大入賞口への入賞を確認してもこれを計数対象から除外し、条件装置が作動していない場合に(通常状態および小当り遊技中に該当)大入賞口への入賞を確認した場合にはこれを計数対象として、その賞球数を通常時払出個数に加算する構成とすればよい。
また、初回電源投入時または領域外RAMのオールクリア時から、全状態アウト個数が所定個数(たとえば、299個)に達するまでは、テスト区間として、全状態アウト個数だけをカウントし、ベース値等は計測しない。これは、パチンコホールに遊技機を初めて設置した際、動作テストとして、たとえば、始動口に遊技球を手入れして動作を確認したり、試し打ちをしたりすることがあり、このような動作テストによる賞球やアウト球を計測対象から排除するためである。したがって、初回(1回目)の計測は、上記テスト区間終了後から開始する。
また初回(1回目)の計測を開始してから上記全状態アウト個数が所定の規定個数(ここでは60000個)に達した場合、この時点のベース値(初回のベース値)をRAM203の性能表示格納領域に格納し、2回目の計測のために、現在の通常時払出個数、通常時アウト個数および全状態アウト個数をそれぞれゼロクリアする(計測データ初期化処理)。すなわち、規定個数の60000個がカウントされる毎に、今回のベース値を記憶し、次回のベース値の計測のために、計測中の通常時払出個数、通常時アウト個数および全状態アウト個数をゼロクリアする。
(性能表示器99の表示態様の具体例)
性能表示器99の表示態様の具体例を説明する。たとえば、全状態アウト個数が60000個に達した時、今回のベース値が‘35’であるケースでは、リアルタイムベース値を表示する場合には4桁の文字情報(識別表示部(識別セグ)+ベース表示部(比率セグ))として「bL.00」が表示され(上述の計測データ初期化処理によるゼロクリアのため、ここではベース値は0になる)、履歴ベース値を表示する場合には「b6.35」が点灯表示されることになる。
(テスト区間中)
なお、上記テスト区間中では、現在の計測がテスト区間であることを報知すべく、リアルタイムベース値を表示する場合には、識別表示部に「bL.」を点滅表示し、ベース表示部に「−−」を点灯表示する。また、履歴ベース値を表示する場合には、識別表示部に「b6.」を点滅表示し、ベース表示部に「−−」を点灯表示する。
(初回計測時:N=1)
なお、初回の計測時は、履歴ベース値が保存されていないため、リアルタイムベース値を表示する場合には「bL.**」(‘**’は現在計測中のベース値)が表示され、履歴ベース値を表示する場合には「b6.−−」が表示される。ただし、識別表示部「b6.」は、初回の計測時であることを報知すべく、点滅表示されるようになっている。
(次回以降計測時:N≧2)
また、次回以降(N≧2)の計測については、次回計測のためゼロクリア後から全状態アウト個数が所定個数(たとえば、6000個)に達するまでは、リアルタイムベース値にバラツキのある計測区間であるとして、リアルタイムベース値を表示する場合には、識別表示部に「bL.」を点滅表示し、ベース表示部にはそのままリアルタイムベース値を点灯表示する。履歴ベース値を表示する場合には「b6.**」(‘**’は前回のベース値)が表示される。ただし初回(N=1)の場合は、履歴ベース値が保存されていないため、履歴ベース値を表示する場合には、「b6.−−」を表示するが、識別表示部の「b6.」は点滅表示させるようになっている。
そして上記性能表示モニタ集計除算処理(ステップS041)を終えると、割込み許可状態に設定して(ステップS042)、ステップS039の処理に戻り、以後、ステップS039〜S042の処理を繰り返す(メインループ処理)。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理と性能表示モニタ集計除算処理とを繰り返し実行するようになっている。
(10−1.初期設定処理:図9)
次に、図8A中の初期設定処理(ステップS011)について説明する。図9は、初期設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図9において、システムリセットやWDTリセットが発生すると、CPU201は、起動時の初期設定として、最初に自らを割込み禁止状態に設定し(ステップS043)、スタックポインタを設定する(ステップS044)。次いで、第1電源異常チェック処理でのスタック使用に備えて、RAMのプロテクトおよび禁止領域を無効とする(S045)。RAMプロテクトとは、誤作動や誤操作などによるRAMに対する書き換え防止機能である。RAMプロテクトの動作は、次のようになる。システムリセットまたはWDTリセットが発生した後はRAMのプロテクトが有効(RAMプロテクト状態)となっている。RAMのプロテクトが有効に設定されている場合にはRAMからデータを読み出すことができるが、RAMにデータを書き込むことができない。したがってRAMにデータを書き込む場合には、RAMのプロテクトを無効に設定する必要がある。また、禁止領域が有効である場合、あらかじめ設定したアドレス範囲(たとえば、設定値の変更設定に係るプログラムなど)にアクセスがあると、指定エリア以外にアクセスがあったとして、IAT回路からIAT発生信号が出力され、IATリセットが発生するが(指定エリア外走行禁止機能(IAT機能))、禁止領域の設定を無効にすると、このIATリセットは発生しない。IATリセットが発生した場合、CPUコアだけがリセットされ、内部機能はリセットされないが、システムリセットやWDTリセットが発生した場合には、CPUコアを含むすべての内部機能がリセットされる。つまり、IATリセットが発生してもRAMプロテクト状態とはならず、またCTCやWDTは初期化されないが、システムリセットやWDTリセットが発生した場合には、RAMプロテクト状態(RAMはプロテクトが有効)に設定され、CTCやWDTは初期化される。ただし、システムリセット、WDTリセット、IATリセットのいずれかが行われた場合でもRAMの記憶内容は変化しない。なお、IATリセットが発生した場合、不正なプログラムが実行されたとして、システムリセットがかかる構成としてもよい。
次いで、後述する設定変更処理中に電源のOFF/ONが行われた可能性を考慮して、枠用外部端子基板21から出力するセキュリティ信号をOFFにすると共に、設定表示器97への設定値表示に関する表示用データをクリアし、また不用意な発射制御信号(発射許可信号)が出力されてしまうことを防止するために、発射許可信号もOFF状態に設定する(ステップ046)。
次いで、第1電源異常チェック処理(図10(A))を実行する(ステップS047)。この第1電源異常チェック処理は、既に説明したステップS019と同じ処理である。
次いで、各種初期設定処理を実行する(ステップS048)。ここでは、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値等を初期設定する設定処理、所定の割込みモード(割込みモード2)に設定する割込みモード設定処理、割込み優先順位の設定処理、内部ハード乱数回路を起動させる内部ハード乱数設定処理などの電源投入時における各種の設定処理を実行する。
次いで、サブ制御基板(演出制御部24)の起動待ち時間をセットする(ステップS049)。そして、サブ基板起動待ち時間が経過するまで(ステップS052:=0)、サブ基板起動待ち時間の減算処理(サブ基板起動待ち時間−1)(ステップS050)と第1電源異常チェック処理(ステップS051)を繰り返し実行する(ステップS052:≠0)。このサブ基板起動待ち時間の経過により、演出制御部24の起動が完了することになる。
上記サブ基板起動待ち時間が経過したならば(ステップS052:=0)、待機画面表示コマンド(BA01H)を演出制御部24に送信する(ステップS053)。演出制御部24が待機画面表示コマンドを受けると、演出手段を利用して、電源投入時待機演出を現出させる。たとえば、液晶表示装置36に「Please Wait」など演出画像を表示させる。
次いで、第1電源異常チェック処理(ステップS054)を実行しながら、払出制御基板29からの電源投入時信号が送れてくるのを待つ(ステップS054〜S055)。この電源投入時信号は、払出制御基板29が正常に立ち上がった場合に出力される信号であり、CPU201は、払出制御基板29が正常起動するまで待機するようになっている。これにより、何らかのトラブルによって払出制御基板29が正常に機能していない場合には、ステップS054〜S055の処理を繰り返すだけで遊技動作は開始されない。そして、上記の電源投入時信号を確認した場合は(ステップS055:ON)、この初期設定処理を抜けて、図8Aの主制御側メイン処理のステップS012の処理を実行する。
(10−3.設定変更処理:図11)
次に、図8A中の設定変更処理(ステップS024)について説明する。図11は、設定変更処理の詳細を示すフローチャートである。本処理は、設定キースイッチ94、RAMクリアスイッチ98、および扉開放センサ61がいずれもON状態の設定変更移行状態の場合(W(1、1、1)の場合)に実行される処理である。
図11において、CPU201は、まず入力データ作成処理(ステップS901)を実行する。この入力データ作成処理では、RAMクリアスイッチ98、設定変更スイッチ95、設定キースイッチ95等の入力情報を取得するもので、たとえば、タイマ割込み処理における入力データ作成処理(図13のS082)から呼び出されるようになっている。
次いで、RAM203の設定値格納領域に記憶されている設定値Nc(現在の設定値データ)を取得し(本実施形態では、設定作業値として、設定値データの値を所定のレジスタに取得する)、設定値Ncが正常値(00H〜05Hのいずれかの値)であるか否かを判定する(ステップS903)。取得した設定値Ncが00H〜05Hのいずれの値でもない場合(正常値でない場合)、つまり取得した設定値Ncが設定値1〜6のいずれにも該当しない場合には(ステップS903:NO)、設定値データに異常(RAM異常)が発生したとして、設定値データを初期化する(ステップS904)。ここでは、設定1に対応する00H(設定1)を設定値Nc(設定作業値)に設定する(設定値Nc←00H)。
設定値Ncが正常値である場合(ステップS903:YES)、または、ステップS904の設定値データに対して初期化処理(設定値Nc←00H)を実行した後、次いで、図10(A)の第1電源異常チェック処理を実行する(ステップS905)。
次いで、セキュリティ信号を枠用外部端子基板21から出力し(ステップS906)、続いて、チャタリング防止待ち時間(たとえば、0.12ms程度)をセットする(ステップS907)。そして、チャタリング防止待ち時間の減算処理を実行しつつ(ステップS908)、チャタリング防止待ち時間が経過するのを待つ(ステップS909:NO)。本実施形態の設定変更処理では、設定完了変更スイッチ96がOFFになるまで(ステップS916:YES)、ステップS905〜S916の処理が高速で繰り返され、その度に設定変更操作があったか否か、つまり、設定変更スイッチ95がOFF→ONに変化したか否かが判定されるが、ステップS907〜S909によりチャタリング防止待ち時間を設けることにより、設定変更スイッチ95のチャタリングによる誤検出を防止することができる。
チャタリング防止待ち時間が0になったならば(ステップS909:YES)、入力データ作成処理を実行し(ステップS910)、設定変更スイッチ95がON状態であるか否か、つまり、設定変更操作の有無を判定する(ステップS911)。本実施形態では、設定変更スイッチ95のONエッジを検出した場合に設定変更操作が行われたものと判定するようになっている。なお本実施形態では、設定変更スイッチ95の入力情報を取得する入力データ作成処理を、ステップS911の直前のステップS910だけでなく、設定変更処理開始時のステップS901でも実行するようになっている。これは、設定変更スイッチ95が押下されたままの状態で設定変更処理が開始された場合に、いきなり設定変更スイッチ95のONエッジが立ってしまったとしても、それをステップS910で空検出することにより、ステップS911の判定処理に影響を与えないようにするためである。
設定変更スイッチ95がON状態でない場合には(ステップS911:NO)、設定変更操作がなかったとして、ステップS915の処理に進む。一方、設定変更スイッチ95がON状態である場合には(ステップS911:NO)、設定変更操作があったとして、現在の設定値Ncを変更(更新)する(ステップS912)。変更操作時の設定値については、既に説明したように、設定変更スイッチ95を操作するごとに、設定1〜6の範囲で循環するように切り替わるようになっている。そして、ステップS912の処理を終えると、再度、設定値データが正常値であるか否かを判定し(ステップS913)、正常値でない場合には(ステップS913:NO)、設定値Ncに設定1に対応する00H(設定1)を設定する(設定値Nc←00H)(ステップS914)。
次いで、現在の設定値Ncに基づいて、設定表示器97に表示する設定表示用データを作成し、出力する(ステップS915)。これにより、設定表示器97には、設定変更操作中における現在の設定値が表示される。なお、設定変更操作中に表示される設定値は、その時点の設定情報(設定値格納領域の設定値データの値)ではなく、設定確定前の暫定的な設定値を示している。
ステップS915の処理を終えると、設定変更完了スイッチ96がON状態であるか否か、つまり、設定変更操作が完了したか否かを判定する(ステップS916)。設定変更完了スイッチ96がON状態でない場合(ステップS916:NO)、設定変更操作が完了していないとして、ステップS905の処理に進み、以後、設定変更完了スイッチ96がON状態となるまで、ステップS905〜ステップS916の処理を繰り返し実行する。
設定変更完了スイッチ96がON状態となった場合(ステップS916:YES)、設定値が確定されたとして、現在の設定値Nc(レジスタに持つ設定作業値)をRAM203の設定値格納領域に保存するとともに(ステップS917)、設定値確定表示処理を実行する(ステップS918)。この設定値確定表示処理では、現在の設定表示用データをクリアとともに、設定確定LEDの点灯表示用データを出力する。本実施形態の設定確定LEDは、7セグメントLEDである設定表示器97のDP部(デシマルポイント)がその機能を担い、設定変更完了スイッチ96がON状態になると、表示中の設定値が消えて、DP部が点灯し、設定値が確定されたことが報知される。
次いで、バックアップフラグBFをクリアし(ステップS919)、セキュリティ信号の出力を停止し(ステップS920)、設定変更完了コマンド(BA09H)を演出制御部24に送信する(ステップS921)。演出制御部24が設定変更完了コマンドを受けると、実行中の設定変更中演出を終了させて、設定変更完了演出を所定時間(ここでは、30秒)実行する。たとえば、装飾ランプ45を赤色全点灯させ、スピーカ16から設定変更完了音(「設定が変更されました♪」などの音声)を出力させ、液晶表示装置36に「設定が変更されました」等の演出画像(設定変更完了画面)を表示させる。なお、設定変更操作をする場合には領域内RAMクリア処理(図8AのステップS021)が実行されるため、設定変更完了演出に替えて、RAMクリアに対応したエラー報知(RAMクリア報知演出)を行ってもよい。たとえば、設定変更完了演出を、RAMクリア報知演出(ステップS028の領域内RAMクリア処理が実行された際のエラー報知態様)と同じ演出態様としてもよい。また、RAMクリア報知演出と設定変更完了演出とを重複的に行ってもよい。たとえば、液晶表示装置36に、「設定が変更されました」「RAMクリア中です」等の表示を同時的に表示することができる。
そして、設定キースイッチ94がOFF状態になるまで待ち(ステップS922:NO)、設定キースイッチ94のOFF状態が確認されたならば(ステップS922:YES)、設定確定LED(DP部)を消灯させ、設定変更処理を抜ける。これにより、一連の設定変更操作が終了したことになる。なお本実施形態では、設定変更完了演出は、設定キースイッチ94がOFF状態であるか否かにかかわらず、所定時間(30秒間)現出されるようになっている。その後は、図8Aの主制御側メイン処理に戻り、客待ち中コマンドを演出制御部24に送信する(ステップS023)。
なお、設定キースイッチ94がOFF状態になった後は、単に前枠2が開放状態となっている。したがって、電源投入時の処理(少なくともS038〜S041のループ処理に入る前)において扉開放エラーを報知可能に構成している場合には、設定変更完了演出が終了した後に、扉開放エラー報知(たとえば、装飾ランプ45を赤色全点滅、スピーカ16から扉開放警報音を出力する)に切り替える。これは、新たな設定値が選択され決定されたこと(同一設定値に打ちかえることを含む)を報知すべく設定変更完了演出を扉開放エラーよりも優先的に報知することが好ましいからである。また設定変更完了演出は、設定変更操作が終了した旨(設定値を変更した旨)を報知するものであるから、扉開放エラー報知や設定変更中演出と混同しないように、これらとは異なる演出態様(報知態様)とすることが好ましい。
ところで、設定変更操作が完了した後は、設定変更完了コマンドに続いて客待ち中コマンドが送信されるが(ステップS921、図8AのステップS023)、演出制御部24は、設定変更完了演出が終了するまで客待ち待機演出(客待ちデモ画面等)を実行しないようになっている。本実施形態の場合、設定変更完了演出が終了した後、液晶表示装置36に通常時の画面を表示し(たとえば、通常状態に対応する通常演出モードの背景画像を表示するとともに、装飾図柄については特定の図柄の組合せ(たとえば、「7」「3」「1」)を表示。)、この表示状態から、始動口への入賞等が発生せずに遊技が開始されずに所定時間経過した場合(たとえば、180秒経過)、客待ち待機演出(客待ちデモ画面)を実行する。
なお本実施形態では、専用の設定変更スイッチ95を設けているが、RAMクリアスイッチ98を設定変更スイッチとして利用可能に構成してもよい。また本実施形態では、専用の設定変更完了スイッチ96を設けているが、設定キースイッチ94を設定変更完了用スイッチとして利用可能に構成してもよい。この場合、ステップS922の処理を設けなくてもよく、制御負担の軽減に繋がる。また、遊技球を検出するセンサ(たとえば、センサ33a、34a。35a、42a、52a、43a、または49a等)を、設定変更完了スイッチとして機能させてもよい。この場合、ステップS916の判定処理で、遊技球を入賞口に手入れする等して、当該センサが遊技球を検出したこと(ON状態)を以って、設定値が確定されたと判断すればよい。
(10−4.設定確認処理:図12)
次に、図8B中の設定確認処理(ステップS026)について説明する。図12は、設定変更処理の詳細を示すフローチャートである。本処理は、設定キースイッチ94およびRAMクリアスイッチ98のうち、設定キースイッチ94がON状態の設定確認移行状態の場合(W(1、0)の場合)に実行される処理である。
図12において、CPU201は、まず設定確認中コマンド(E021H)を演出制御部24に送信する。演出制御部24が設定確認中コマンドを受けると、演出手段を利用して、設定確認中演出を実行する(ステップS931)。たとえば、液晶表示装置36に「設定確認中です」など演出画像を表示する。ところで、設定値を確認する際には、まず前枠2を開放してから設定キースイッチ94をON操作(ON状態)する。ここで扉開放エラーを報知可能に構成している場合には、扉開放エラー報知が設定確認中演出よりも先行して発生する。一方、設定値の確認を終了する場合は、その逆に、まず設定キースイッチ94をOFF操作(OFF状態)してから、前枠2を閉めることになる(設定確認が終了しても前枠2を閉めるまでは扉開放エラーが発生している)。すなわち、設定値の確認開始からその確認が完了するまでは、いずれにしても扉開放エラーが生じていることになる。したがって、扉開放エラー報知よりも設定確認演出の報知優先順位を高く定め、設定キースイッチ94がON状態中は設定確認演出だけを現出し、設定キースイッチ94がOFF状態となった後で、再度、扉開放エラーを現出してもよい。勿論、扉開放エラーと設定確認作業中である旨を明確にするために、設定確認中である旨と扉開放中である旨とを重複的に報知してもよい。
次いで、RAM203の設定値格納領域から設定値データを取得する(ステップS932)。
次いで、第1電源異常チェック処理(図10(A))を実行し(ステップS933)、設定キースイッチ94がON状態であるか否かを判定する(ステップS934)。設定キースイッチ94がON状態である場合は、設定確認中である。この場合には(ステップS934:YES)、セキュリティ信号を出力し(ステップS935)、RAM203の設定値格納領域から設定値データを取得し、その設定値データに基づく設定表示用データを作成し(ステップS936)、その設定表示用データを出力する(ステップS937)。これにより、現在の設定値(ここでは、設定変更処理中と異なり、確定中の設定値)が設定表示器99に表示される。その後は、設定キースイッチ94がOFF状態となるまで、すなわち、設定確認が終了するまで、ステップS933〜S937の処理を繰り返し実行する。
そして、設定キースイッチ94がOFF状態となった場合には(ステップS934:NO)、設定確認終了処理として、設定表示用データをクリアして設定表示器99に表示されている設定値の表示を消灯するとともに(ステップS938)、セキュリティ信号の出力を停止し(ステップS939)、設定確認終了コマンド(E022H)を演出制御部24に送信する(ステップS940)。演出制御部24が設定確認終了コマンドを受けると、設定確認中演出を終了させる。これにより、一連の設定確認期間が終了したことになる。
<13.主制御側タイマ割込処理:図13>
次に図13を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図13は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図13において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容を保存することなく、直ちに第2電源異常チェック処理を実行する(ステップS081)。この電源異常チェック処理では、図10(B)に示すように、電源基板から供給されている電源レベルを監視し、電断が生じるなどの異常が発生した場合、電源復帰時に支障なく遊技を復帰できるように、電断時における所定の遊技情報をRAMに格納するバックアップ処理などが行われる。したがって、電源異常チェック処理は、バックアップ手段として機能する。なお、第2電源異常チェック処理の詳細は、後述する。
次いで、スイッチ入力データ作成処理を実行する(ステップS082)。各種センサやスイッチから入力情報(ON/OFF信号や、立ち上がり状態(ONエッジ、OFFエッジ))に基づき、入力データ作成する。ここでの各種センサによる検出情報とは、たとえば、入賞検出スイッチ(右始動口センサ33a、中始動口センサ34a、右下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、上大入賞口センサ42a、下大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43a、OUT監視スイッチ49a、および役連ゲートセンサ57aなど)から出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(入賞検出情報)や、設定変更操作に係るスイッチ(設定キースイッチ94、設定変更スイッチ95および設定変更完了スイッチ96など)から出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(操作情報)や、払出制御基板29からの状態信号(扉開放センサ61や満杯検出センサ60のON/OFF情報)などである。
次いで、エラー管理処理を実行する(ステップS083)。このエラー管理処理では、各種センサ類に係る入力データや払出制御基板29からの状態信号に基づき、エラーが生じたか否かを監視し、エラーが生じた場合には、エラー種別に応じたエラー処理を実行する。エラー処理には、エラー種別に応じたエラーコマンドの送信、エラーが解消された場合のエラー解除コマンドの送信などがある。演出制御部24は、エラーコマンドを受けた場合には、エラー種別に応じたエラー報知を実行し、エラー解除コマンドを受けた場合には、実行中のエラー報知を終了させる。
次いで、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を実行する(ステップS084)。パチンコ遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマ(たとえば、後述の特別図柄役物動作タイマなど)のタイマ値はここで更新(減算処理)される。このタイマ管理処理の詳細は、図14にて後述する。
次いで、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込内乱数管理処理を実行する(ステップS085)。ここでは、乱数カウンタのカウント値をランダムなものとするために、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数などに対し、乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値を変更する処理を行う。なお内部抽選用乱数(大当り判定用乱数)は、上記乱数生成回路で生成されるので、ここでは更新されることはない。
ステップS089の入力管理処理では、スイッチ入力データ作成処理(ステップS082)で作成された入力データに基づき、各入賞口別に設けられ、入賞数を計数する入賞カウンタやアウト球数を計数するOUT球監視カウンタの値などを更新する。
次いで、賞球管理処理を実行する(ステップS090)。この賞球管理処理では、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞がある場合には、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板29に送信する。払出制御基板29は、払出制御コマンドを受信した場合、これに含まれる賞球数情報に基づき、遊技球払出装置19を制御して、指定された賞球数分の払い出し動作を実行させる。
次いで、普通図柄管理処理を実行する(ステップS091)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームを実行させるために必要な処理を行う。ここでは、普通図柄始動口センサ37aに遊技球が検出されたか否かを監視し、遊技球が検出された場合には補助当り抽選に必要な所定の遊技情報(補助当り判定用乱数など)を取得し(普図乱数取得処理)、その遊技情報を保留データ(普通図柄に関する作動保留球(普図作動保留球))として、最大保留球数を上限まで保留記憶する(普図保留記憶処理)。そして、普図に関する所定の変動表示開始条件が成立した場合、普図作動保留球に基づく補助当り抽選を行い、その補助当り抽選結果に基づく普通図柄の変動パターンの選択および普通図柄の停止表示態様(普通停止図柄)を決定する。またここでは、普通図柄を変動表示動作させるために、変動中であれば変動表示用のLED表示用データを作成し、変動中でなければ、停止表示用のLED表示用データを作成する(普通図柄表示データ更新処理)。
次いで、普通電動役物管理処理を実行する(ステップS092)。この普通電動役物管理処理では、普電開放遊技の実行に必要な処理を行う。具体的には、補助当り抽選の抽選結果が当りの場合に、普通電動役物ソレノイド41cに対するソレノイド制御用データの設定処理を行う。ここで設定されたソレノイド制御用データに基づき、後述のステップS100のソレノイド管理処理にて、普通電動役物ソレノイド41cに対して励磁信号が出力され、これにより、可動片47の開閉動作パターンが制御される。
次いで、特別図柄管理処理1、2を実行する(ステップS093、S094)。この特別図柄管理処理1、2では、主に、特別図柄変動表示ゲームの実行に必要な処理を行う。この特別図柄管理処理1の詳細は図15にて、特別図柄管理処理2の詳細は図16にて後述する。
次いで、特別電動役物管理処理を実行する(ステップS095)。この特別電動役物管理処理では、当り遊技を実行制御するために必要な処理を行う。具体的には、大当り抽選結果が大当り1〜8または小当りに当選した場合に、当選した当り種別に対応する当り遊技(大当り遊技または小当り遊技)を実行制御する。大当りの場合には、役連ゲートセンサ57aの検出信号に基づくラウンド遊技の開始処理、ラウンド遊技の実行制御、大当り遊技終了後の遊技状態の移行制御などが含まれる。
またここでは、当り遊技の進行状況に応じて、複数種類の演出制御コマンドを送信する。大当りの場合には、大当り遊技開始時に「大当り開始コマンド」を、ラウンド遊技開始時(1R目は役連ゲート57への遊技球通過時、2R目以降は大入賞口開放時)に「ラウンド開始コマンド」を、各ラウンド遊技終了時(大入賞口閉鎖時)に「ラウンド終了コマンド」を、規定ラウンド数終了時(最終ラウンド遊技終了時)に「大当り終了コマンド」を、大入賞口入賞時に「大入賞口入賞コマンド」を演出制御部24に送信する。また、小当りの場合には、小当り遊技開始時に「小当り開始コマンド」を、小当り遊技終了時に「小当り終了コマンド」を演出制御部24に送信する。演出制御部24は、これらコマンドを受けて、当り遊技の進行状況に応じて、目的の演出(当り中演出)を現出制御する。
たとえば、上記大当り開始コマンドには、今回の当り種別とその当り当選時の遊技状態とに関する情報が含まれ、演出制御部24側において、表大当り、裏大当り、および今回の大当り種別に応じて、大当り遊技中に展開される一連の当り中演出シナリオを決定する際に利用される。また、ラウンド開始コマンドには、現在のラウンド数情報が含まれ、演出制御部24側においてラウンド数に応じた演出を現出する際に利用される。また、大当り終了コマンドには、今回の当り種別とその当り当選時の遊技状態とに関する情報が含まれ、演出制御部24側において、エンディング演出を開始したり、当り遊技終了後の遊技状態を特定して当り遊技後の演出モードを決定する際に利用される。
なお、大当り遊技が終了した場合(本実施形態では、エンディング演出期間が終了した場合(小当り遊技も同様))、条件装置作動フラグ、役物連続作動装置作動フラグ、連続回数カウンタ(ラウンド数をカウントするカウンタ)、特別図柄停止1フラグ等がクリアされる。また小当り遊技が終了した場合、後述の小当り中フラグや特別図柄停止2フラグ等がクリアされる。
次いで、右打ち報知情報管理処理を実行する(ステップS097)。この右打ち報知情報管理処理では、「右打ち有利」な遊技状態(当り遊技中、潜確状態、時短状態、確変状態)下である場合には、右打ち表示装置39bを点灯させるためのLEDデータを作成し、「左打ち有利」な遊技状態下(通常状態)である場合には、右打ち表示装置39bを消灯させるためのLEDデータを作成する。
次いで、LED管理処理を実行する(ステップS098)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39a、特別図柄表示装置38a、38b、複合表示装置38c、右打ち表示装置39bに対する制御信号(ダイナミック点灯データ)の出力制御を行う。上述の普通図柄管理処理(ステップS091)や特別図柄管理処理(ステップS093)などで作成されたLED表示用データに基づく制御信号は、このLED管理処理で出力される。これにより、特別図柄や普通図柄の一連の変動表示動作(変動表示および停止表示)などが実現される。
次いで、外部端子管理処理を行う(ステップS099)。この外部端子管理処理では、枠用外部端子基板21を通して、大当り中信号や変短時大当り中信号などを含む各種の外端信号を作成して、データカウンタDTやホールコンピュータHCなどの外部装置に対して出力制御を行う。
次いで、ソレノイド管理処理を行う(ステップS100)。このソレノイド管理処理では、普通電動役物管理処理(ステップS092)または特別電動役物管理処理(ステップS094)で設定されたソレノイド制御データに基づき、普通電動役物ソレノイド41cや大入賞口ソレノイド42c、52cなどに対する励磁信号の出力制御を行う。これにより、可動片47や大入賞口40、50の開閉動作を実現する。
次いで、性能表示モニタ処理を実行する(ステップS101)。この性能表示モニタ処理では、性能表示器99に対する性能情報を表示させるために必要な処理を行う。性能表示モニタ処理の詳細は、図28にて後述する。
次いで、WDTのカウント値をクリアする(ステップS102)。これにより、WDTがリセットされ、カウント値が初期値に戻される。
以上のステップS081〜ステップS102の処理を終えた後、割込み許可状態に設定する(ステップS103)。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
<10B.第2電源異常チェック処理:図10B>
次に図10Bを参照して、図13中の第2電源異常チェック処理(ステップS081)について説明する。図10Bは、第2電源異常チェック処理を示すフローチャートである。
図13Bにおいて、CPU201は、まず図示しない電源基板から供給される電源異常信号(電圧降下信号)を、入力ポート(図示せず)を通じて取得する(ステップS951)。そして、電源異常信号のレベルが2回連続して一致するか否かを判定し(ステップS952)、一致するまでステップS951〜S952の処理を繰り返す(ステップS952:NO)。電源異常信号のレベルが一致した場合(ステップS952:YES)、電源異常信号が異常レベルか否かを判定する(ステップS953)。
電源異常信号が異常レベルでない場合(ステップS953:NO)、バックアップフラグBFをクリアするとともに(ステップS956)、電源異常確認カウンタの値をクリアし(ステップS957)、第2電源異常チェック処理を抜ける。
一方、電源異常信号が異常レベルである場合(ステップS953:YES)、電源異常確認カウンタの値に1加算し(ステップS954)、加算後の電源異常確認カウンタの値が上限値Yに達したか否かを判定する(ステップS955)。これは、入力ポートからの取得データが、ノイズなどの影響でビット化けしている可能性があることを考慮したものであり、取得データが連続して異常レベルを維持して上限値Y(たとえば、Y=2)に達した場合に、交流電源が現に遮断されたと判定する。
電源異常確認カウンタの値が上限値Yに達している場合(ステップS955:YES)、電源異常が発生したとして、バックアップ処理を行う。具体的には、電源異常確認カウンタをゼロクリアし(ステップS958)、発射制御信号をOFF状態に設定し(ステップS959)、バックアップフラグBFをON状態(5AH)に設定する(ステップS960)。そして、電源異常が発生した旨を示す電源断コマンドを演出制御部24に送信する(ステップS961)。電源断コマンドは、各16ビット長の電断Aコマンドと電断Bコマンドとで構成されており、この順番で、8ビット毎に連続的に送信される。このような構成を採るのは、ノイズなどの影響で、電断状況が他の制御部に誤って通知されることを防止するためである。
次いで、RAMプロテクトを有効、禁止領域を無効に設定し(ステップS962)、すべての出力ポートの出力データをクリアする(ステップS963)。これにより、以降の処理においてRAMへのデータ書込みが禁止される。これにより、電圧降下に伴い、RAMの不正アドレスの読出し等によりRAMが異常に書き換えられてしまうことを防止し、同種の電源異常チェック処理を主制御部20より遅れて開始する払出制御基板29に対して、不合理なデータが送信を防止することができる。そして、以上のバックアップ処理を終えた後、CTCに対する設定処理によって割込み信号の生成を禁止するとともに、CPUを割込み禁止に設定して(ステップS964)、無限ループ処理を繰り返しつつ電源電圧が降下してCPUが非作動状態になるのを待つ。
<14.タイマ管理処理:図14>
次に、図13中のタイマ管理処理(ステップS084)について説明する。図14は、タイマ管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図14において、CPU201は、まず、2バイトタイマの減算処理(タイマ更新処理)を行う(ステップS531)。
本実施形態では、2バイトタイマとして、普通変動入賞装置41(可動片47)動作時間を管理する普通図柄電動役物動作タイマ、型式試験用の普通図柄電動役物動作タイマ(試験信号用普通電動役物作動中タイマ)、特別図柄1の確定表示時間を管理する特別図柄1動作タイマ2、特別図柄2の確定表示時間を管理する特別図柄2動作タイマ2、特別変動入賞装置42、52(開放扉42b、52b)の動作時間を管理する特別電動役物動作タイマ、所定のエラー報知時間を管理するエラータイマなどを扱っている。ここでは、これら2バイトタイマのタイマ値がゼロであるか否かをそれぞれチェックし、ゼロでないタイマがあれば、そのタイマ値を1減算する。
次いで、特別図柄2動作タイマ1を取得する(ステップS532)。この「特別図柄2動作タイマ1」とは、特別図柄2の変動時間を管理するタイマであり、3バイトで構成される(3バイトタイマ)。上記特別図柄2動作タイマ1と同じ3バイト構成を持つタイマとして、特別図柄1の変動時間を管理する「特別図柄1動作タイマ1」が設けられている。本実施形態では、2バイトタイマで計測できない特別図柄に係る変動パターンとして、変動時間が600秒(600000ms)の超ロング変動パターンを採用している。このため、特別図柄の変動時間を管理するタイマとして、3バイトタイマを用いている。変動時間については、後述の図22の特別図柄変動パターン作成処理中(図18の特別図柄変動開始処理中のステップS417)のステップSS457にて設定される。
次いで、取得した特別図柄2動作タイマ1がゼロであるか否かを判定する(ステップS533)。特別図柄2動作タイマ1がゼロであれば(ステップS533:=0)、ステップS535の処理に進み、特別図柄2動作タイマ1がゼロでないならば(ステップS533:≠0)、特別図柄2動作タイマ1を1減算する(ステップS534)。
(特図2小当り当選時における特図1変動時間計測中断処理:S535〜S538)
次いで、特別図柄停止2フラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS535)。この「特別図柄停止2フラグ」とは、特別図柄が「小当り図柄停止および小当り遊技中」であるか否かを指定するためのフラグであり、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には「小当り図柄停止および小当り遊技中」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には「小当り図柄停止および小当り遊技中」ではない旨を示す(たとえば、後述の図24のステップS483〜S484参照)。ここで、特別図柄停止2フラグのON状態期間は、特別図柄の変動時間が終了して小当りに対応する図柄表示態様(小当り図柄)が停止表示された後、確定表示時間(500ms)を経て、小当り遊技が終了するまでの期間を指す。特別図柄停止2フラグは、上記した特別電動役物管理処理(ステップS095)において、小当り遊技終了時にクリアされる((特別図柄停止2フラグ←00H)。ただし、特別図柄停止2フラグがOFF状態とされても、特別図柄の変動表示が新たに開始されるまでは、特別図柄表示装置に小当り図柄が停止表示されたままとなっている。しかしこの場合は、特別図柄停止2フラグがOFF状態であるため、小当り図柄非停止中の扱いとなる。このように、特別図柄停止2フラグのON/OFF状態が、確定表示時間(変動時間終了後の500ms間)〜小当り遊技中の遊技期間であるか否かという点で「小当り図柄停止および小当り遊技中」と称している。以下では、小当り図柄停止および小当り遊技中を「小当り図柄停止中」と略す。なお本実施形態の場合、小当りは、特図2側のみの大当り抽選対象種別となっているが(図4参照)、小当りを特図1側にも設けた場合も同様である。
また本実施形態では、上述した特別図柄停止2フラグの他、大当り中であるか否かを指定するためのフラグとして「特別図柄停止1フラグ」を扱っている。特別図柄が「大当り図柄停止および大当り遊技中」であるか否かを指定するためのフラグであり、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には「大当り図柄停止および大当り遊技中」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には「大当り図柄停止および大当り遊技中」ではない旨を示す(たとえば、後述の図25のステップS493〜S494参照)。ここで、特別図柄停止1フラグのON状態期間は、特別図柄の変動時間が終了して大当りに対応する図柄表示態様(大当り図柄)が停止表示された後、確定表示時間(500ms)を経て、大当り遊技が終了するまでの期間を指す。この「特別図柄停止1フラグ」も上記した「特別図柄停止2フラグ」と同様に、特別電動役物管理処理(ステップS095)において、大当り遊技終了時にクリアされる(規定ラウンド数のラウンド遊技終了後、エンディング演出時間終了を契機にクリア:特別図柄停止1フラグ←00H)。ただし、特別図柄停止1フラグがOFF状態とされても、特別図柄の変動表示が新たに開始されるまでは、特別図柄表示装置に大当り図柄が停止表示されたままとなっている。しかしこの場合は、特別図柄停止1フラグがOFF状態であるため、大当り図柄非停止中の扱いとなる。このように、特別図柄停止1フラグのON/OFF状態が、確定表示時間〜大当り遊技中の遊技期間であるか否かという点で「大当り図柄停止および大当り遊技中」と称している。以下では、大当り図柄停止および大当り遊技中を「大当り図柄停止中」と略す。
特別図柄停止2フラグがON状態(5AH)である場合(ステップS535:=5AH)、何もせずにタイマ管理処理を抜ける。
一方、特別図柄停止2フラグがON状態(5AH)でない場合(ステップS535:≠5AH)、特別図柄1動作タイマ1を取得し(ステップS536)、取得した特別図柄1動作タイマ1がゼロであるか否かを判定する(ステップS537)。特別図柄1動作タイマ1とは、前述したように、特別図柄1の変動時間を管理する3バイトタイマである。
特別図柄1動作タイマ1がゼロであれば(ステップS537:=0)、何もせずにタイマ管理処理を抜ける。特別図柄1動作タイマ1がゼロでなければ(ステップS537:≠0)、特別図柄2動作タイマ1を1減算しタイマ値を更新して(ステップS538)、タイマ管理処理を抜ける。
本実施形態では、ステップS535の判定処理において、特別図柄停止2フラグがON状態(5AH)である場合(ステップS535:=5AH)、つまり小当り中である場合には、特別図柄1動作タイマ1を対象としたタイマ減算処理を行わずに、タイマ管理処理を抜けるようになっている。したがって、特別図柄停止2フラグのON状態が維持される期間は、特図1の変動時間の計測が中断され、特図1が停止表示することなく変動表示状態が維持される(計測中断中は、‘変動表示中’の扱いとなる)。これにより「小当り時計測中断型」の同時変動タイプの遊技機を実現している。なお本実施形態では、一方の特図が大当りの場合には、他方の特図を強制ハズレ図柄で停止表示させることになるので、大当り遊技中に特別図柄1動作タイマ1または特別図柄2動作タイマ1を対象とするタイマ減算(更新)処理は設けられていない。
<15.特別図柄管理処理1:図15>
次に、図13中の特別図柄管理処理1(ステップS093)について説明する。図15は、特別図柄管理処理1の詳細を示すフローチャートである。
ここで特別図柄管理処理1の処理内容の理解を容易なものとするために、先ず、図中の特別図柄作動確認データ、特別図柄動作ステータス(特別図柄1動作ステータス、特別図柄2動作ステータス)について説明しておく。
「特別図柄作動確認データ」とは、特別図柄管理処理1、2(ステップS093、S094)中の各処理において、処理対象となる特別図柄種別を指定するデータであり、特別図柄作動確認データが「ゼロ(00H)」である場合には「特図1」を処理対象として指定し、特別図柄作動確認データが「1(01H)」である場合には「特図2」を処理対象として指定する。特別図柄作動確認データは、処理状態に応じて、その値が00H、01Hに変更される(ステップS301、ステップS306参照)。
また「特別図柄動作ステータス」とは。特別図柄の挙動を指定するステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更される。本実施形態では、特図1の挙動を示す「特別図柄1動作ステータス」と、特図2の挙動を示す「特別図柄2動作ステータス」とが設けられている。特別図柄動作ステータスには、特別図柄の挙動を示すステータス値として「客待ち中(00H)」「待機中(01H)」「変動中(02H)」「確定中(03H)」の4つのステータス値が用意されている。上記「客待ち中(00H)」「待機中(01H)」とは特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確定中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を示す。
ここで(α)ステップS304とステップS309の処理(特別図柄変動中処理)、(β)ステップS305とステップS310の処理(特別図柄確認時間中処理)、(γ)後述の図16に示すステップS331とステップS334の処理(特別図柄変動開始処理)は、制御負担軽減するべく、それぞれ共通処理として構成されている。本実施形態では、特別図柄作動確認データや特別図柄動作ステータス等を上手く連携させて、特別図柄の変動表示動作制御に関し次のような制御を行う構成としている。
(図15中の前半部の処理(特図1側の処理):ステップS301〜S305)
図15に示す前半部のステップS301〜S305の処理では、特図1の変動表示動作を実現するための処理として、まず特別図柄作動確認データを00Hに更新(設定)し「特図1」を処理対象として指定した後(ステップS301)、特別図柄1動作ステータスが「変動中(02H)」である場合には「特別図柄変動中処理(ステップS304)」を実行し、「確定中(03H)」である場合には「特別図柄確認時間中処理(ステップS305)」を実行する。
また後述の図16に示す特別図柄管理処理2中において、変動開始許容条件を満たす場合、特別図柄作動確認データを00Hに更新し、「特図1」を処理対象として指定した後(ステップS329)、特別図柄1動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合は、同図に示す特別図柄管理処理2中の「特別図柄変動開始処理(ステップS331)」を実行する。
(後半部の処理(特図2側の処理):ステップS306〜S310)
図15に示す後半部のステップS306〜S310の処理では、特図2の変動表示動作を実現するための処理として、まず特別図柄作動確認データを01Hに更新し「特図2」を処理対象として指定した後(ステップS306)、特別図柄2動作ステータスが「変動中(02H)」である場合には「特別図柄変動中処理(ステップS309)」を実行し、「確定中(03H)」である場合には「特別図柄確認時間中処理(ステップS310)」を実行する。そして、特別図柄管理処理1を抜けて、図13のステップS094の特別図柄管理処理2に進む。
また後述の図16に示す特別図柄管理処理2中において、変動開始許容条件を満たす場合、特別図柄作動確認データを01Hに更新し「特図2」を処理対象として指定した後、(ステップS332)、特別図柄2動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合は、同図に示す特別図柄管理処理2中の「特別図柄変動開始処理(ステップS334)」を実行する。
なお、特別図柄変動開始処理(ステップS331、ステップS334)の詳細については図18を用い、特別図柄変動中処理(ステップS304、S309)の詳細については図23〜図25を用い、特別図柄確認時間中処理(ステップS305、S310)の詳細については図26A〜図26Bを用いて、後述する。
<16.特別図柄管理処理2:図16>
次に、図13中の特別図柄管理処理2(ステップS094)について説明する。図16は、特別図柄管理処理2の詳細を示すフローチャートである。この特別図柄管理処理2は、主に、始動口に遊技球が入賞したときの保留記憶に関する処理や先読み予告(保留加算コマンド)に関する始動口チェック処理の他、特別図柄の変動開始に関する特別図柄変動開始処理を中心に構成される。
図16において、CPU201は、まず、特図1始動口である右始動口33、特図1始動口である中始動口34、特図2始動口である右下始動口35への入賞の有無を順次チェックしていく(ステップS321、S323、S325)。
右始動口33に入賞があった場合(ステップS321:YES)、右始動口チェック処理を実行し(ステップS322)、中始動口34に入賞があった場合(ステップS323:YES)、中始動口チェック処理を実行し(ステップS324)、右下始動口35に入賞があった場合(ステップS325:YES)、右下始動口チェック処理を実行する(ステップS326)。ステップS322の「右始動口チェック処理」、ステップS324の「中始動口チェック処理」およびステップS326「右下始動口チェック処理」についての詳細は、図17にて後述する。なお、特図1を処理対象とするステップS322の「右始動口チェック処理」とステップS324「中始動口チェック処理」とは共通処理となっている。
ステップS321〜ステップS326の処理を終えると、特別図柄停止1フラグのON/OFF状態と、特別図柄停止2フラグのON/OFF状態とを順次判定する(ステップS327〜S328)。
特別図柄停止1フラグおよび特別図柄停止2フラグのいずれもON状態(5AH)でない場合(ステップS327:≠5AH、かつS328:≠5AH)、すなわち、特図1および特図2が小当り図柄停止中でもなく大当り図柄停止中でもない場合、新たな特別図柄の変動開始許容条件(実行条件)が成立したとして、ステップS329〜S334の特別図柄の変動表示を開始させるために必要な処理を実行する。なお、ステップS329〜S331は特図1を対象とした処理、ステップS332〜S334は特図2を対象とした処理となっている。
一方、特別図柄停止1フラグおよび特別図柄停止2フラグのいずれかがON状態であれば(ステップS327:=5AH、またはS328:=5AH)、新たな特別図柄の変動開始許容条件が成立していないとして、特別図柄の変動開始に関する処理(特別図柄変動開始処理)を実行せず、後述のステップS335の特別図柄表示データ更新処理を実行し、特別図柄管理処理2を抜ける。
本実施形態では、ステップS327〜S328の処理により、一方の特別図柄の変動時間が終了して小当り図柄または大当り図柄で停止表示した場合、確定表示時間開始〜当り遊技が終了するまでは、他方の特別図柄の変動表示の開始は行うことを禁止することができる。これにより、当り図柄の確定表示時間中に他方の特別図柄の変動表示が開始されることがなく、一方の特別図柄が当り図柄停止中であるにもかかわらず、他方の変動表示動作が開始されてしまうという不適切な表示状態(表示動作)を確実に防止することができる。なお、当り遊技が終了した後は、ON状態中の特別図柄停止1フラグまたは特別図柄停止2フラグがクリアされ、新たな特別図柄の変動表示の開始が許容されることになる。
次いで、特別図柄作動確認データに00Hをセットし(ステップS329)、特別図柄1動作ステータスが「待機中(00H、01H)」であるか否かを判定する(ステップS330)。特別図柄1動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合(ステップS330:YES)、特別図柄変動開始処理を実行し(ステップS331)、特別図柄1動作ステータスが待機中ではない場合(ステップS330:NO)、ステップS332の処理に進む。上記特別図柄変動開始処理では、特図1の変動表示を開始させるために必要な処理を実行する。なお、特別図柄変動管理処理の詳細は、図18にて後述する。
次いで、特別図柄作動確認データに01Hをセットし(ステップS332)、特別図柄2動作ステータスが「待機中(00Hまたは01H)」であるか否かを判定する(ステップS333)。特別図柄2動作ステータスが待機中(00Hまたは01H)である場合(ステップS333:YES)、特別図柄変動開始処理を実行し(ステップS334)、特別図柄2動作ステータスが待機中ではない場合(ステップS333:NO)、ステップS335に進む。上記特別図柄変動開始処理では、特図2の変動表示を開始させるために必要な処理を実行する。なお、ステップS331とステップS334とは(特別図柄変動開始処理)、共通処理となっている。
上記ステップS335の処理に進むと、特別図柄表示データ更新処理を実行する。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間(たとえば、128ms)毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(特別図柄変動中表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(特別図柄停止表示中表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データに基づく制御信号が図13のLED管理処理(ステップS098)にて出力され、特別図柄表示装置38a、38b上における特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。これにより特別図柄管理処理2を抜けて、図13のステップS095の特別電動役物管理処理に進む。
<17.始動口チェック処理(右下始動口チェック処理、右始動口チェック処理、中始動口チェック処理:図17>
次に、図16中の右下始動口チェック処理、右始動口チェック処理、中始動口チェック処理(ステップS322、S324、S326)について説明する。図17は、始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。これら始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たす。
ここで、右下始動口チェック処理(ステップS326)は、特図2(図柄変動表示ゲーム2)を対象とした処理であり、右始動口チェック処理(ステップS322)と中始動口チェック(ステップS324)とは、特図1(図柄変動表示ゲーム1)を対象とした処理となっている。しかし、いずれも処理対象の特別図柄種別が異なるだけで、実質的に同一の処理内容となっている。したがって図17では、代表的に、特図1を対象とした始動口チェック処理(右始動口チェック処理、中始動口チェック処理)を中心に説明し、特図2を対象とした始動口チェック処理(右下始動口チェック処理)ついての詳細な説明は、特に必要のない限り、重複記載を避けるために省略する。
図17において、CPU201は、まず、特別図柄作動確認データを00Hに更新して(特別図柄作動確認データ←00H)処理対象を特図1に指定した後、作動保留球数、つまり特図1作動保留球数が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)であるか否か判定する(ステップS351)。なお、ステップS322の右下始動口チェック処理では、まず特別図柄作動確認データを01Hに更新して(特別図柄作動確認データ+1)処理対象を特図2に指定した後、特図2作動保留球数が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)であるか否か判定する。上述したように以下では、特別図柄作動確認データが00Hの場合、すなわち処理対象が特図1側である場合について説明していく。
特図1作動保留球数が最大保留記憶数である場合には(ステップS351:=MAX)、後述のステップS363の処理(オーバー入賞用コマンド送信処理)を実行し、特図1作動保留球数が最大保留記憶数でない場合(4未満の場合)には(ステップS351:≠MAX)、特図1作動保留球数に1加算する(ステップS352)。
次いで、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する(ステップS353)。具体的には、各種の乱数カウンタから、大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数の現在値を取得し、その取得した乱数値をRAM203の保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が、特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア、すなわち、特図1保留記憶エリアと、特図2保留記憶エリアとが設けられている。これら保留記憶エリアには、保留1記憶エリア〜保留n記憶エリア(nは最大保留記憶数:本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大保留記憶数分の保留データを格納可能となっている。
次いで、保留加算コマンドの下位バイト側(EVENT)の「入賞コマンドデータ1」として、先読み判定を禁止する(先読み予告を禁止する)先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を取得し(ステップS354)、次いで、「先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS355)。上記「先読み禁止条件」とは、作動保留球を対象とした先読み判定を禁止する条件である。ここでは、特図1側が処理対象であるので、特図1作動保留球を対象とした先読禁止条件(特図1先読み禁止条件)が成立しているか否かを判定する。
上記先読み禁止条件が成立している場合(ステップS355:YES)、先読み判定に関するステップS358〜S359の処理がスキップされ、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を持つ保留加算コマンドが作成されることになる(後述のステップS360参照)。これにより、先読み予告演出も実行されないことになる。換言すれば、上記先読み禁止データは、先読み判定処理(ステップS358)を実行していない旨を指定するデータといえる。
先読み禁止条件に関し、本実施形態では、現在の遊技状態に基づいて、先読み禁止か否かを判定するようになっている。具体的には、特図1始動口への入賞頻度が高い通常状態と確変状態の場合には特図2側の先読み判定を禁止し特図1側の先読み判定を許容し、特図2始動口35への入賞頻度が高い潜確状態の場合には、特図1側の先読み判定を禁止し特図2側の先読み判定を許容する。また、時短状態および大当り遊技中は、特図1および特図2の双方の先読み判定を禁止する。時短状態の場合に先読み禁止とする理由は、時短状態中は特図1始動口への入賞が頻繁に生じるが、ハズレ時の変動パターンが「時短中通常変動1s」の高速変動パターンが選択されるため(図35(ロ))、先読み予告を発生させる意義に乏しいからである。このため、時短状態中は、特図1および特図2の双方の先読み判定を禁止している。
ステップS355の説明に戻り、特図1先読み禁止条件が成立していない場合(ステップS355:NO)、設定異常チェック処理を実行する(ステップS356)。
<27.設定異常チェック処理:図27>
ここで説明の便宜のため、先ず、設定異常チェック処理について説明しておく。図27は、ステップS356の設定異常チェック処理の詳細を示すフローチャートである。
図27の設定異常チェック処理では、CPU201は、まず設定エラーフラグがON状態(=5AH:設定異常エラー中)であるか否かを判定する(ステップS061)。設定エラーフラグがON状態である場合(ステップS062:=5AH)、何もせずに、設定異常チェック処理を抜ける。しかし、設定エラーフラグがON状態でない場合(ステップS062:≠5AH)、RAM203の設定値格納領域から設定値を取得し、その設定値が正常値(設定値1〜6に対応する00H〜05Hのいずれかの値)であるか否かを判定する(ステップS062)。この判定処理は、図11の設定変更処理中のステップS903、S913の判定処理の内容と同じであり、共通の処理である。取得した設定値が00H〜05Hのいずれの値でもない場合(ステップS062:NO)、設定値データに異常(設定値データ異常(RAM異常))が発生したとして、設定エラーフラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS063)。そして、設定値異常コマンド(0E33H)を演出制御部24に送信し(ステップS064)、設定異常チェック処理を抜ける。なお。演出制御部24が設定値異常コマンドを受けると、演出手段を利用して、設定異常エラー報知を実行する。たとえば、装飾ランプ45を赤色全点灯させ、液晶表示装置36に「RAM異常です 係員を呼んでください」等の表示を行う。なお、設定異常エラー(RAMエラー)は、既に説明したように、設定変更操作を行うことにより解消される。
(設定異常チェック処理の変形例)
上記設定異常チェック処理は、主制御側タイマ割込処理中で実行してももよい。この場合、少なくともステップS093の特別図柄管理処理よりも前に実行することが好ましい。たとえば、エラー管理処理の前に実行することが好ましい。
上述した設定異常チェック処理を終えると、設定エラーフラグがON状態(=5AH)であるか否かを判定する(ステップS357)。設定エラーフラグがON状態である場合(ステップS357:=5AH)、設定値データ異常(RAM異常)が発生したとして、先読み判定処理(ステップS358)は実行せずに、後述のステップS360の処理に進む。したがって、設定値データ異常が生起した場合には、先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を持つ保留加算コマンドが作成されることになる(後述のステップS360参照)。
なお詳細は後述するが、始動口チェック処理(入賞時の処理)において設定値データ異常が発生した場合、特にRAMエラー処理をすることなく、先読み禁止データ(9FH)を含む保留加算コマンドを送信して、この始動口チェック処理を抜けるようになっている。設定値データ異常が発生した場合には、後続の図18の特別図柄変動開始処理(変動開始時の処理)にて、RAMエラー処理を行うようになっている(図18のステップS411参照)。
一方、設定エラーフラグがON状態でない場合(ステップS357:≠5AH)、つまり、設定値データが正常値である場合には、先読み判定処理を実行する(ステップS358)。この先読み判定処理では、変動開始時に実行される大当り抽選結果を先読み判定し、その抽選結果に基づき、先読み変動パターンを決定する。詳しくは、変動開始時の当落抽選結果を先読み判定する「先読み当落判定処理」と、変動開始時の図柄抽選結果を先読み判定する「先読み図柄判定処理」と、変動開始時の変動パターンの内容を先読み判定する「先読み変動パターン判定処理」とを含む、先読み判定に関する一連の処理が実行される。
((a)入賞時大当り乱数判定処理(先読み当落判定処理))
ステップS358の先読み判定処理では、まず、先読み当落判定処理を実行する。この先読み当落判定処理では、まず、特別図柄作動確認データに応じた当り乱数判定テーブルを取得し、次いで、ステップS353の処理で取得した大当り判定用乱数値を取得する。そして、取得した大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づき、今回の作動保留球を対象とした当落抽選(先読み当落判定)を行う。すなわち、今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される変動開始時の当落抽選結果(後述の「大当り判定処理(後述の図18のS413)」「小当り判定処理(後述の図18のS414)」の結果)を先読み判定し、その結果(先読み当落結果)を取得する。
上記の当り乱数判定テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る特図1用当り乱数判定テーブル(図示せず)と、特別図柄変動表示ゲーム2に係る特図2用当り乱数判定テーブル(図示せず)とが含まれる。本処理では、特図1用または特図2用のいずれかの乱数判定テーブルが特別図柄作動確認データの値に応じて選択される。これらの当り乱数判定テーブルには、大当り・小当り(本実施形態では、特図2用のみ)・ハズレの別を決定するための判定値(高確率と低確率とに応じた当選領域)が定められており(大当りと小当りとが同時当選するような判定値(当選領域)は存在しない)、大当り判定用乱数値がいずれの判定値(当選領域)に属するか否かを判定することにより、現在の大当り抽選確率(高確率、低確率)に応じて当落種別が決定されるようになっている。大当り抽選確率は、換言すれば、条件装置の作動確率である。
本実施形態の場合、上記当り乱数判定テーブルには、設定値に対応したテーブル(設定値1〜6に応じて、少なくとも大当りの抽選確率がそれぞれ異なるテーブル)が設けられている。また、低確率時の大当り抽選確率に対する高確率時の大当り抽選確率の割合は(確率上昇割合)、各設定値において同一である。本実施形態の場合、その割合は10を超えない値に設定されている。たとえば、特図1用当り乱数判定テーブルに係る設定6の場合、低確率時は、1/320、高確率時は約1/137で大当り当選となり、設定5の場合、低確率時は、1/332、高確率時は約1/142で大当り当選という具合である。なお、設定値ごとに異なる当り乱数判定テーブルではなく、各設定値の一部で共通のテーブルであってもよい。たとえば、設定1、2で共通で、設定3〜6で大当りの抽選確率がそれぞれ異なるテーブルなどである。なお、一部の設定値で共通の当り乱数判定テーブルを参照する場合は、利益度合(出玉率)が同一性能になってしまうが、後述の図柄テーブルにおいて、当り種別の図柄選択率を設定値ごとに異なる確率とすればよい。また上記当り乱数判定テーブルは、変動開始時の処理(図18)にも利用される。
ここで本実施形態では、先読み当落結果をCPU内蔵の所定の汎用レジスタに取り込んだまま、RAM203には格納しない。これは、先読み当落判定結果が、この後の先読み図柄判定の処理で直ちに利用され、このデータが必要とされることがなく、RAMに記憶する必要がないからである。
((b)入賞時特別停止図柄作成処理(先読み図柄判定処理))
先読み図柄判定処理では、まず上記先読み当落結果(大当り、小当り、ハズレの別)に応じた「図柄テーブル(大当り図柄テーブル、小当り図柄テーブル、またはハズレ図柄テーブル:図示せず)」と、ステップS353の処理で取得した特別図柄判定用乱数値とを取得する。次いで、取得した図柄テーブルと特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の作動保留球を対象とした図柄抽選(先読み図柄判定)を行う。すなわち、今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される変動開始時の図柄抽選結果(後述の「特別停止図柄作成処理(図18のS415参照)」の結果)を先読み判定し、その結果(先読み図柄結果)を取得する。
上記の大当り図柄テーブル、小当り図柄テーブル、またはハズレ図柄テーブルには、それぞれ、特別図柄変動表示ゲーム1に係る特図1用の図柄テーブル、特別図柄変動表示ゲーム2に係る特図2用の図柄テーブルが含まれる。各図柄テーブルには、当選種別を決定するための判定値(当選領域)が定められており、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かで、特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定される。また、上記の図柄テーブルは、変動開始時の処理である特別停止図柄作成処理(図18のステップS415)においても利用される。
上記「特別図柄判定データ」とは、当選の種類、すなわち当選種別(図柄種別)を識別するデータであり、具体的には、大当り1〜8、小当り、およびハズレA〜Cのいずれに当選したのかを識別するためのデータである。また上記「特別停止図柄番号」とは、特別図柄表示装置38a、38bに停止表示させる特別停止図柄態様を指定するデータであり、主制御部20側において特別図柄の停止図柄種を特定する際に利用される。本実施形態では、たとえば、同じ「ハズレA」の場合であっても、特別図柄表示装置38a、38bに表示される特別停止図柄の表示態様(7セグの表示態様)が異なる場合がある(たとえば、特図1のハズレAの場合には「−.」、特図2のハズレAの場合には「1.」など)。
なお本実施形態では、特図1側の大当り抽選対象から「小当り」は除外されているので(小当り当選無し)、特図1用の小当り図柄テーブルは設けられていない。したがって、特図1に関しては、特図1用の大当り図柄テーブルでは、大当り1〜大当り4のいずれかが所定の図柄抽選率で決定され(図4参照)、特図1用のハズレ図柄テーブルには、ハズレA〜Cのいずれかが所定の図柄抽選率(たとえば、ハズレAは95%、ハズレBは4%、ハズレCは1%)で決定される。また特図2に関しては、特図2用の大当り図柄テーブルでは、大当り5〜大当り8のいずれかが所定の図柄抽選率で決定され(図4参照)、特図2用の小当り図柄テーブルでは、小当りが100%で決定され、特図2用のハズレ図柄テーブルでは、ハズレAが100%で決定される。なお、特図2側では、ハズレの種類がハズレAの1種類であるので、ハズレ図柄テーブルを設けずに(図柄抽選を行うことなく)、単に、ハズレAを決定すればよい。
また上記した各図柄テーブルの一部または全部について、設定値に応じて異なる図柄選択率を定めた図柄テーブルを設けてもよい。たとえば、大当り図柄テーブルについて、設定値1〜6ごとに、大当り種別の選択率が異なるテーブル(このケースでは、設定値6段階に対応した6種類の大当り図柄テーブル)を設けることができる(小当り図柄テーブル、ハズレ図柄テーブルについても同様)。たとえば、特図1側の当り種別を代表的に説明すれば、大当り1〜4の図柄抽選率を、設定1の場合には「3%、7%、55%、35%」とし、設定6の場合には「8%、12%、45%、35%」とすることができる(設定が高いほど、小当りラッシュ(潜確状態)移行契機となる大当り1の当選確率や、大当り2(16R確変)の当選確率が相対的に高い)。また、設定値によらず、確変突入率を一定としてもよいが、設定値に応じて異なるものとしてもよい。たとえば図4の例では、確変突入率が65%(35%が時短大当り)となっているが、設定1の場合は確変突入率を60%、設定6の場合は確変突入率を65%という具合に、設定値の全部または一部で異なる確変突入率としてもよい。また時短突入率についても同様に、設定値によらず一定としてもよいし、設定値の全部または一部で異ならせてもよい。上記図柄抽選率、確変突入率、時短突入率については、設定値が高くなるに従い出玉性能が、遊技者にとって有利となるように定めることができる。
そして上記先読み図柄結果を、上述した先読み当落判定のときと同じく、CPU内蔵の所定の汎用レジスタに取り込んだまま、RAM203には格納しない。これは、先読み図柄結果が、この後の先読み変動パターン判定で直ちに利用され、このデータが必要とされることがなく、RAMに記憶する必要がないからである。
((c)始動口入賞時乱数判定処理(先読み変動パターン判定処理))
先読み変動パターン判定処理では、まず上記先読み図柄結果に応じて先読み変動パターン振分テーブル(図示せず)を取得し、ステップS353の処理で取得した変動パターン用乱数値を取得する。次いで、取得した先読み変動パターン振分テーブルと変動パターン用乱数値とに基づく変動パターン抽選(先読み変動パターン判定)を行い、先読み変動パターンを決定する。つまり、今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに決定される変動開始時の変動パターン(後述の特別図柄変動パターン作成処理(後述の図18のS417参照)」の結果)を先読み判定し、その結果(先読み変動パターン)を取得する。上記先読み変動パターン振分テーブルには、先読み変動パターンに対応する入賞コマンドデータ1(保留加算コマンド(EVENT))が決定されるようになっている。すなわち、先読み変動パターン判定処理において決定される入賞コマンドデータ1により、先読み変動パターン(保留球数情報は除く)の内容が指定される。これにより、入賞コマンドデータ1が、ステップS354で設定された「9FH」から、先読み変動パターンに対応するデータ値に更新される(ステップS359)。
上記先読み変動パターン振分テーブルには、遊技状態と当選種別(ハズレA用(特図1・特図2兼用)、ハズレB、ハズレC、大当り1〜8)とに応じた複数種類の先読み変動パターン振分テーブルが設けられており、変動パターン用乱数値を利用した抽選により、先読み変動パターン(入賞コマンドデータ1)を決定可能なテーブル構成となっている。たとえば、今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに、変動開始時の変動パターンとして「通常中SPリーチA」(図35(イ)ハズレBの欄参照)が決定されるケースでは、先読み変動パターン判定でも「通常中SPリーチA」を指定する先読み変動パターン情報(入賞コマンドデータ1として、たとえば「03H」)が得られるようになっている。なお、先読み変動パターンを決定する際に、変動開始時と同じ変動パターン振分テーブルを利用しない。これは、先読み判定時の作動保留球数が変動開始時の作動保留数と必ずしも一致しないため、正確な変動開始時の変動パターンを先読み判定することができないからである。このため、先読み変動パターンの判定段階においては、作動保留球数を考慮せずに変動パターンを決定するようになっている。ただし、このように作動保留球数を考慮せずに先読み変動パターンを決定したとしても、先読み変動パターンと変動開始時の変動パターンとの内容が極力乖離しない先読み変動パターンが決定可能となっている。なお、本実施形態では、設定値に対応した変動パターン振分テーブル(図34〜図36)が設けられているため、上述の先読み変動パターン振分テーブルも同様に、設定値ごとに対応したテーブルが設けられている。勿論、各設定値で共通のテーブルであってもよい。
上記先読み変動パターン情報(入賞コマンドデータ1(EVENT))は、ステップS359の保留加算コマンド作成処理で直ちに利用され、その後、このデータが必要とされることはない。したがってここでも、先読み変動パターン判定の結果をRAM203に格納することなくレジスタに取り込んだまま、処理を終えるようになっている。
ステップS358〜S359の一連の先読み判定処理を終えると、続いて、上述の先読み変動パターン判定処理で得られた下位バイト側の入賞コマンドデータ1(EVENT)と、現在の作動保留球数および特別図柄種別に基づく上位バイト側の入賞コマンドデータ2(MODE)とに基づいて、「保留加算コマンド」を作成し(ステップS360)、これをRAM203に格納することなく、演出制御部24に送信する(ステップS361)。上記MODE側のデータについては、たとえば、特図1の保留1個〜特図1の保留4個に応じて「B6H〜B9H」が設定され、特図2の保留1個〜特図2の保留4個に応じて「BBH〜BEH」が設定される。なお、上記EVENT側のデータについては、先読み禁止条件である場合や設定値データ異常が発生した場合は、ステップS354で取得された先読み禁止データ(9FH)がステップS359の処理で更新されることなくそのまま維持され、先読み禁止データを持つ保留加算コマンド「**9FH(‘**’は、B6H〜B9H、BBH〜BEHのいずれかの値)」が送信されることになる。
また、上記ステップS351における判定処理で、作動保留球数が最大保留記憶数(4個)であった場合(ステップS351:=MAX)、オーバー入賞が発生したとして、オーバー入賞用コマンドを演出制御部24に送信する(ステップS363)。具体的には、特別図柄作動確認データが00Hの場合、つまり特図1始動口(中始動口34または右始動口33)においてオーバー入賞が発生した場合には、特図1用のオーバー入賞用コマンド「B006H」が送信される。また、特別図柄作動確認データが01Hである場合、つまり特図2始動口(右下始動口35)においてオーバー入賞が発生した場合には、特図2用のオーバー入賞用コマンド「B106H」が送信される。
上記保留加算コマンドまたはオーバー入賞用コマンドが主制御部20から演出制御部24に送られた後は、演出制御部24側において今回の作動保留球に係る「先読み予告演出」を現出する際に利用されるだけであり、後続の処理において利用されるものではない。したがって、これらコマンドもRAM203に格納することなく、始動口チェック処理を抜ける。
上記のように本実施形態では、ステップS358の一連の先読み判定処理で得られた各種データを、一々RAMに格納することなく、始動口チェック処理を終える。これにより、ROMやRAMのメモリ容量を削減し、制御負担を軽減させることができる。
また、始動口チェック処理(入賞時の処理)において、設定値データに異常が生じか否かによらず、保留加算コマンドを送信するが、この保留加算コマンドは、先読み禁止データ(9FH)を持つコマンドであるので、先読み予告に係る演出制御自体が禁止される。したがって、不具合に起因する先読み予告が現出されることがない。仮に、設定値に関連する保留加算コマンドを作成したり、これに基づく先読み予告演出を現出可能に構成している場合において、設定値データに異常が生じた場合に、先読み予告を許容する構成としてしまうと、設定値データ異常に起因して、不具合のある先読み予告演出、たとえば、ハズレであるのに高期待度先読み予告や当確先読み予告などが、無闇に現出されてしまう恐れがある。しかし、本実施形態の場合は、設定値データに異常の場合に、先読み予告自体が一切禁止されるので、このような問題は生じない。また、不具合により高期待度の先読み予告演出が現出された場合であっても、遊技者にはそれが異常によるものかどうか判別不能である。このため、その後のRAMエラー処理(後述の図18に示す特別図柄変動開始処理中のステップS411)により遊技進行が強制停止されて、高期待度の先読み予告演出が消失してしまった場合には、遊技者が抱いていた当選期待感が一気に消滅してしまい、遊技機に対する大きな不信感を招来してしまうが、本実施形態の場合はこのような問題も生じない。
<18.特別図柄変動開始処理:図18>
次に、図16中の特別図柄変動開始処理(ステップS331、S334)について説明する。図18は、特別図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図18において、CPU201は、まず、現在の特別図柄作動確認データが「00H(特図1が処理対象)」であるのか、「01H(特図2が処理対象)」であるのかを判定する(ステップS401)。特別図柄作動確認データが00Hである場合には、今回の処理対象が特図1であるので、この場合は特図1作動保留球がゼロであるか否かを判定し(ステップS403)、特図1作動保留球がゼロであるならば(ステップS403:YES)、後述のステップS420の「客待ちコマンド送信処理」を実行し、特図1作動保留球がゼロでないならば(ステップS403:NO)、今回の変動表示に供する特図1作動保留球を対象とした変動開始時の処理(ステップS404〜S419)を実行する。
他方、特別図柄作動確認データが01Hである場合には、今回の処理対象が特図2であるので、この場合は特図2作動保留球がゼロであるか否かを判定し(ステップS402)、特図2作動保留球がゼロであるならば(ステップS402:YES)、後述のステップS420の「客待ちコマンド送信処理」を実行し、特図2作動保留球がゼロでないならば(ステップS402:NO)、今回の変動表示に供する特図2作動保留球を対象とした変動開始時の処理(ステップS404〜S419)を実行する。
(客待ちコマンド送信処理:ステップS420)
ステップS420では、特図1が処理対象である場合(特別図柄作動確認データ「00H」)には、次に述べる処理となる。まず、特別図柄1動作ステータスが「客待ち中(00H)」であるか否かを判定する。特別図柄1動作ステータスが「客待ち中(00H)」である場合には、既に客待ち状態であるため、何もせずに、客待ちコマンド送信処理を抜けて、特別図柄変動開始処理を抜ける。一方、特別図柄1動作ステータスが「客待ち中(00H)」でない場合には、特図1作動保留球がゼロとなった場合の客待ち待機処理を実行する。この客待ち待機処理では、特別図柄1動作ステータスに00Hをセットし、特図1側が保留無しの待機状態(第1客待ち状態)に移行したとして「特図1保留ゼロ時コマンド(BA14H)」を演出制御部24に送信する。次いで、特別図柄1動作ステータス及び特別図柄2動作ステータスが「客待ち中(00H)」であるか否かを判定し、双方が「客待ち中(00H)」である場合には、全保留がゼロの客待ち状態(第3客待ち状態)に移行したとして「全保留ゼロ時コマンド(BA04H)」を演出制御部24に送信して、客待ちコマンド送信処理を抜ける。なお本実施形態の場合、この全保留ゼロ時コマンドは、電源投入時に送信される客待ち中コマンド(BA04H)と同様のコマンドとなっている(図8AのステップS023、S029参照)。
ま特図2が処理対象である場合も、上述した特図1の場合とほぼ同様の処理内容である。ステップS420において、特図2が処理対象である場合(特別図柄作動確認データ「01H」)には、まず特別図柄2動作ステータスが「客待ち中(00H)」であるか否かを判定する。特別図柄2動作ステータスが「客待ち中(00H)」である場合には、何もせずに、客待ちコマンド送信処理を抜けて、特別図柄変動開始処理を抜ける。一方、特別図柄2動作ステータスが「客待ち中(00H)」でない場合には、特図2作動保留球がゼロとなった場合の上記客待ち待機処理を実行する。この客待ち待機処理では、特別図柄2動作ステータスに00Hをセットし、特図2側が保留無しの待機状態(第2客待ち状態)に移行したとして「特図2保留ゼロ時コマンド(BA24H)」を演出制御部24に送信する。次いで、特別図柄1動作ステータス及び特別図柄2動作ステータスが「客待ち中(00H)」であるか否かを判定し、双方が「客待ち中(00H)」である場合には、全保留がゼロの客待ち状態に移行したとして「全保留ゼロ時コマンド(BA04H)」を演出制御部24に送信して、客待ちコマンド送信処理を抜ける。
ここで、特別図柄動作ステータスである「客待ち中(00H)」場合、何もせずに、特別図柄変動開始処理を抜ける理由は、作動保留球数がゼロの場合に条件なしに客待ちコマンドを送信すると、作動保留球数がゼロである間は4msの周期でデモ表示コマンドの送信を繰り返すことになり、不必要な送信が発生する。そこで、上記「作動保留球なし」の状態となった場合に、特図1、特図2、全保留ゼロ時コマンドをそれぞれ1回送信して、既にデモ表示コマンドが送信済みである場合は、デモ表示コマンドを演出制御部24に送信することなく、この特別図柄変動開始処理を抜けるようになっている。
演出制御部24は、特図1保留ゼロ時コマンドを受信した場合、現在の遊技状態が通常状態、時短状態、または確変状態、すなわち特図1表変動状態であり(図7(ロ)参照)、第1所定時間(たとえば、59秒)以上にわたって、表変動側となる特別図柄変動表示ゲーム1が行われていない場合、第1デモ状態(第1通常客待ち演出モード)に移行させ、客待ちデモ画面を表示させる。このとき、特図2が変動中(裏変動中)であっても第1デモ画面を表示する。なお、第1デモ状態(第1デモ画面)は、少なくとも特図1作動保留球が発生するまで(特図1の変動表示が開始されるまでであってもよい)継続される。
また演出制御部24は、特図2保留ゼロ時コマンドを受信した場合、現在の遊技状態が潜確状態、すなわち特図2表変動状態であり(図7(ロ)参照)、第2所定時間(たとえば、60秒)以上にわたって、表変動側となる特別図柄変動表示ゲーム2が行われていない場合、第2デモ状態(第2通常客待ち演出モード)に移行させ、デモ画面を表示させる。このとき、特図1が変動中(裏変動中)であっても第2デモ画面を表示する。なお、第2デモ状態(第2デモ画面)は、少なくとも特図2作動保留球が発生するまで(特図2の変動表示が開始されるまでであってもよい)継続される。
また演出制御部24は、全保留ゼロ時コマンドを受信した場合、この場合は、全作動保留球がゼロであるので、遊技状態によらず、第3所定時間(たとえば、61秒)以上にわたって、図柄変動表示ゲーム1、2が行われていない場合、第3デモ状態(第3通常客待ち演出モード)に移行させ、デモ画面を表示させる。なお、第3デモ状態(第3デモ画面)は、現在の遊技状態において、少なくとも表変動側に係る作動保留球が発生するまで継続される。
また、全保留無しに係る上記第3デモ画面表示後(第3デモ状態移行後)に所定時間(たとえば、120秒)が経過すると、「節電モード(特別客待ち演出モード)」に移行する。この節電モードとは、遊技機1が低消費電力に制御される「節電客待ち状態」である。この実施形態の場合、節電モード移行条件として、上記第3デモ画面表示後(第3デモ状態移行後)、メニュー画面(遊技設定画面)に切り替わることなく所定時間経過(たとえば、120秒)した場合に、節電モードに移行されるようになっている。演出制御部24は、節電モード移行条件が成立すると、液晶表示装置36に節電用画面(たとえば、液晶画面に「節電中」の文字表示)を表示させるように制御し、ボタンLED13bを除き、装飾ランプ45やその他の演出用LEDの一部またはすべてを消灯させるように制御する。なお、節電モードにはデモ画面を経由して移行されるため、節電モード時には、既にボタンLED13bが操作有効報知中となっている。ただし図8Aおよび図8Bに示す主制御側メイン処理においては、遊技開始コマンド(図8BのステップS034参照)が送信された後、所定時間が経過した場合に「節電モード」に移行されるようになっている。これは、主制御部20から遊技開始コマンドが送信されてくるまでは、遊技開始可能状態が整っていないと判断されるためである。
また本実施形態では、このデモ画面の表示期間中(デモ画面中)において演出ボタン13や方向キー75の操作を検出した場合、音量や光量などを遊技の設定が可能な「メニュー画面(遊技設定演出)」に切り替え表示可能となっている。メニュー画面への切り替え可能なタイミング、すなわち、デモ画面中のボタン有効期間(操作有効期間)は、ボタンLED13bにより報知される。この実施形態の場合、デモ画面中の操作有効報知として、ボタンLED13bが通常の報知態様(たとえば白色)とは異なる報知態様(たとえば橙色)で点灯または点滅し、メニュー画面への切替可能期間であることが報知される。
なお、上記第1所定時間、第2所定時間、および第3所定時間は、それぞれ同一時間であってもよいし、一部同士(たとえば、第1所定時間と第2所定時間)で同一時間であってもよい。また、第1デモ画面、第2デモ画面、および第3デモ画面の表示内容は同一であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。また、第1デモ画面と第2デモ画面の場合には、デモ画面に対して優先的に専用表示領域160を表示し、裏変動中の特図の変動表示動作を明らかにしてもよい。
以下ステップS404〜S419の説明において、特別図柄作動確認データが00H(の場合は特図1作動保留球を対象とした処理、01H(特図2が処理対象)である場合は特図2作動保留球を対象とした処理となるが、処理の仕方は実質的に同じであるため、特に必要が無い限り、重複記載を避けるために、特図1が処理対象であるケースについて説明し、特図2が処理対象である場合については省略して説明する。
ステップS404の処理に進むと、作動保留球数を1減算し(今回の変動表示動作に供する特図の作動保留球数−1:ステップS404)、減算後の作動保留球数情報を含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS405)。この保留減算コマンドにより、演出制御部24側は、今回の作動保留球数消化後の残余作動保留球数を把握し、現在表示中の保留表示をシフト表示させる。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS406)、保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS407)。このステップS406〜S407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データ(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、および変動パターン用乱数)を読み出し、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリア(保留2記憶エリア、保留3記憶エリア、保留4記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ‘n−1’に対応する保留記憶エリアに格納し、保留4記憶エリアをゼロクリアして空き領域を設ける。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
次いで、遊技状態情報送信処理を実行する(ステップS408)。遊技状態情報送信処理の詳細は、図19にて後述する。
次いで、設定異常チェック処理を実行し(ステップS409)、設定エラーフラグがON状態(=5AH)であるか否かを判定する(ステップS410)。ステップS409の設定異常チェック処理は、図17の始動口チェック処理中のステップS356の設定異常チェック処理(図27)と共通の処理であり、また、ステップS410の処理内容は、同処理中のステップS357と共通の処理である。
(設定異常エラーが生じていない場合(正常時の場合):S410→S413の処理ルート)
先ず、設定エラーフラグがON状態でない場合(正常動作の場合)について説明し、設定エラーフラグがON状態である場合(RAM異常時)については、追って説明する。
設定エラーフラグがON状態でない場合(ステップS410:=5AH)、設定値コマンドを送信して、大当りに当選したか否かを判定する大当り判定処理、小当りに当選したか否かを判定する小当り判定処理を順次実行する(ステップS413、S414)。上記設定値コマンドは、現在の設定値を特定可能な情報が含まれ演出制御部24側にて、当該設定値に基づく予告演出や設定示唆演出等を現出制御する際に利用される。なお、大当り判定処理についての詳細は図20と小当り判定処理とについての詳細は、図21にて後述する。
(設定値に関連する演出態様について)
上記した設定値コマンドは、設定値情報を含むので、演出制御部24は、設定値コマンドから現在の設定値を把握し管理可能となっている。本実施形態では、予告演出(先読み予告を含む)や当り中演出において、現在の設定値に関連する演出(たとえば、後述の設定示唆演出)を現出可能に構成されている。これにより、内部的な設定値を推測する推測要素を遊技者に与えることができ、遊技者は、内部的な設定値が如何なる値であるかを推測しながら遊技を楽しむことができる。また、設定値に応じた演出を実現することで、演出のバリエーションを多彩なものとすることができる。
「設定示唆演出」としては、たとえば、低設定(設定1〜3)を示唆する「低設定示唆演出」、偶数設定(設定2、4、6)を示唆する「偶数設定示唆演出」、奇数設定(設定1、3、5)を示唆する「奇数設定示唆演出」、高設定(設定4〜6)を暗示する「高設定示唆演出」、最高設定値の「設定6」を確定的に報知する「設定6確定演出」、特定範囲の設定値(たとえば、設定N以上(N<6)))を示唆する特定範囲示唆演出などがある。たとえば、特定のアイテム画像やキャラクタ画像を表示したり、特定の効果音や特定の光演出を現出したりして、現在の設定値を示唆することができる。斯様な設定示唆演出は、リーチ演出や疑似連、遊技者参加型演出、先読み予告演出等の各種の予告演出に付随して現出させることができる。
また設定値に関連する演出として、各設定値または一部の設定値で、1または複数種の特定の予告演出(たとえば、通常中SPリーチBや、疑似3を伴うSPリーチなど)の出現率を異なるものとすることができる。たとえば、設定1と設定6とで、同じ変動パターン(たとえば、通常中SPリーチA)が選択された場合であっても、出現率の違いにより設定推測要素が生まれる。また装飾図柄について、各設定値または一部の設定値で、特定のハズレ図柄態様(ハズレ時の装飾停止図柄:たとえば、「2」「2」「4」)の出現率を異なるものとすることができる。なお出現率については適宜定めることができる。たとえば、設定1〜6の順で出現率を高確率としたり、設定1〜3と設定4〜5と設定6とでそれぞれ異なる出現率としたり、設定1〜3は同一出現率で設定4〜6はそれぞれ異なる出現率としたりすることができる。
また先読み予告演出を利用した設定示唆演出も可能である。たとえば、保留表示(保留アイコン)を設定示唆用のアイテム画像に変化させたり、特別保留表示態様以外の保留色を利用した保留アイコンを表示したりすることができる(特殊保留表示態様)。この場合、特殊保留表示態様を利用して、上述した低設定示唆演出〜特定範囲示唆演出などを現出させることができる。また、各設定値または一部の設定値で、特殊保留表示態様の出現率を異なるものとすることができる。また、特殊保留表示態様を利用せずに、各設定値または一部の設定値で、特定の特別保留表示態様(たとえば、青色保留色)の出現率を異なるものとしてもよい。
また設定示唆演出を、電源投入後において、図柄変動表示ゲームが所定回数(たとえば、128ゲーム)に達した場合に出現させたり、特定のゲーム数範囲内(たとえば、128ゲーム〜150ゲーム間)で出現率を高確率としたりすることができる。また電源投入後だけでなく、大当り遊技終了後であってもよいし、特定の大当りによる大当り終了後であってもよい。また、確変状態や時短状態への移行(潜確状態非移行)契機となる大当り遊技中の当り中演出やその大当り遊技終了後における図柄変動表示ゲームの実行回数を対象としてもよい。特に、大当りとなっても小当りラッシュへの移行を獲得できなかった場合(潜確状態非移行契機大当り(図4参照)に当選した場合)、遊技者を盛り上げるために設定示唆演出を、潜確状態移行契機大当りに当選した場合(出現率0%でもよい)よりも高確率(100%を含む)で現出することが好ましい。その逆に、小当りラッシュへの移行を獲得した特典として(潜確状態移行契機大当り(図4参照)に当選した場合)、設定示唆演出を、潜確状態非移行契機大当りに当選した場合(出現率0%でもよい)よりも高確率(100%を含む)で現出することが好ましい。
ステップS413〜S414の当落抽選を終えた後、次いで、特別停止図柄作成処理を実行する(ステップS415)。この特別停止図柄作成処理は、図柄抽選を実行する処理であり、本処理により当選種別(当り種別)が決定される。具体的には、特別図柄判定データ(当選種別(図柄種別))および特別停止図柄番号が決定される。なお、この特別停止図柄作成処理は、図17の始動口チェック処理中の先読み判定処理(ステップS358)で説明した、「入賞時特別停止図柄作成処理(先読み図柄判定処理)」と実質的に同じ処理内容であり、ここでは、変動開始時の図柄抽選を行う。
次いで、遊技状態移行準備処理を実行する(ステップS416)。この遊技状態移行準備処理では、大当りである場合に、その大当り種別と現在の遊技状態とに基づき、大当り遊技終了後の遊技状態を指定するための必要な設定処理を行う(図4参照)。
次いで、特別図柄変動パターン作成処理を実行する(ステップS417)。この特別図柄変動パターン作成処理では、今回の変動表示動作に供される作動保留球に係る変動開始時の変動パターン(図33〜図36)を決定する。この特別図柄変動パターン作成処理の詳細については、図22にて後述する。
次いで、変動開始時のコマンド送信処理(ステップS418)を行う。変動開始時のコマンド送信処理では、上記特別図柄変動パターン作成処理(ステップS417)で決定した変動パターンの内容を特定可能な「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側に送信する。この変動パターン指定コマンドには、変動パターン情報として、たとえば、遊技状態情報、当落抽選結果情報、特別図柄の変動時間、疑似連の有無(疑似連有りの場合は、その疑似連回数)、リーチ演出の有無(リーチ演出有りの場合は、そのリーチ演出種別)などに関する情報が含まれ、演出制御部24側において、装飾図柄変動表示ゲーム中に現出させる種々の予告演出を決定する際に利用される。
また、変動パターン指定コマンドに続いて、上記特別停止図柄作成処理(ステップS415)で得られた図柄抽選結果に基づき、「装飾図柄指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24に送信する。この装飾図柄指定コマンドは、特別図柄種別を指定する上位バイト(MODE)と、大当り種別、小当り種別、ハズレ種別を指定する下位バイト(EVNET)の2バイトで構成される。したがって「装飾図柄指定コマンド」には、特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。この装飾図柄指定コマンドには当選種別情報が含まれることから、演出制御部24側において、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せを決定する際に利用される。なお、上記変動パターン指定コマンドには、少なくとも当落結果情報と変動パターン情報とが含まれるので、演出制御部24は、この変動パターン指定コマンドに基づいて、今回の図柄変動表示ゲームに係る予告演出態様や停止装飾図柄を決定し、図柄変動表示ゲームを実行させることもできる。
そして、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、今回処理対象の特別図柄種別の変動中フラグをON状態(5AHを格納)に設定し、判定用乱数記憶エリアをゼロクリアする(ステップS419)。上記「変動中フラグ」とは特別図柄が変動中であるかを示すフラグであり、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄の表示動作が変動表示中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄が停止表示中である旨を示す。本実施形態では、特図1対応の「特別図柄1変動中フラグ」と、特図2対応の「特別図柄2変動中フラグ」を扱う。ここでは特図1について説明しているので、特別図柄1変動中フラグをONにし、特別図柄1動作ステータスを「変動中(02H)」に切り替える。
(設定異常エラーが生じた場合(RAM異常時):S410→S415の処理ルート)
ステップS410の説明に戻り、設定エラーフラグがON状態である場合(ステップS357:=5AH)、設定値データ異常が発生したとして、当落抽選に係るステップS413〜S414の処理をスキップして、ステップS415の特別停止図柄作成処理を実行する。
本実施形態では、設定値データ異常が発生した場合は当落抽選を実行しない。前回の図柄変動表示ゲームで、大当りまたは小当りに当選した場合には、当り当選を示す大当り判定フラグ、小当り判定フラグは、図柄変動表示ゲームの終了時にクリア(00H)されるようになっている(後述の図26AのステップS505、S511参照)。したがって、今回の図柄変動表示ゲームにおいてステップS413〜S414の当落抽選処理が実行されない場合には、当落抽選結果は必ず「ハズレ」となる。
ステップS415の特別停止図柄作成処理では、上記当落抽選結果が「ハズレ」であることに基づき、図柄抽選が実行される。なお、設定異常エラーの場合、通常通りに、ハズレ図柄テーブルを用いてハズレ種別を決定してもよいが、エラー専用のハズレを決定してもよい。たとえば、本実施形態では、‘ハズレA〜C’が設けられているが、設定異常エラー時用のハズレ(エラー時用ハズレ種別)として、通常時には選択されない‘ハズレD’を設けることができる。
次いで、特別図柄変動パターン作成処理を実行する(ステップS417)。設定異常エラー時における特別図柄変動パターン作成処理の詳細については、図22にて後述する。なお、特別図柄変動パターン作成処理を終えると、ステップS418、S419の処理を実行して、特別図柄変動開始処理を抜ける。
以上によりこの特別図柄変動開始処理を抜けると、図16の特別図柄表示データ更新処理(ステップS335)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。
(設定異常エラーが生じた場合の変形例)
上記実施形態では、設定異常エラーが生じた場合、当落抽選(大当り判定処理、小当り判定処理)をスキップする処理としたが、当落抽選だけでなく図柄抽選(ステップS415)、変動パターン抽選(ステップS416)を含めたステップS415〜S419をスキップして、何もせずに処理を抜ける構成としてもよい。換言すれば、図柄変動表示ゲームを開始させることなく、特別図柄管理処理を抜ける。この場合、演出制御部24に対して変動パターン指定コマンドや装飾図柄指定コマンドが送信されないため、RAMエラーが発生したとして、遊技実行不能状態に制御することが好ましい。たとえば、RAMエラーが発生した場合には、遊技進行が停止したこと(特別図柄変動表示ゲームが非実行であること)を明示的に報知するべく、少なくとも特別図柄表示装置38a、38bに送信するデータをクリアする。また、このRAMエラー中は、図柄変動表示ゲームに係る処理として、少なくとも普通図柄管理処理(ステップS091)〜特別電動役物管理処理(ステップS095)の処理を実行しないことが好ましい。なお、性能表示モニタ処理(ステップS101)は、領域外メモリ側に属する処理であるので、RAMエラーが発生しても処理を実行するように構成してもよい。
<19.遊技状態情報送信処理:図19>
次に、図18中の遊技状態情報送信処理(ステップS408)について説明する。図19は、遊技状態情報送信処理の詳細を示すフローチャートである。
図19において、CPU201は、まず、変動中コマンド送信処理を実行する(ステップS425)。この変動中コマンド送信処理では、まず、現在の特別図柄1動作ステータスと特別図柄2動作ステータスとを取得し、変動中コマンドを作成し、これを演出制御部24に送信する。
上記「変動中コマンド」は、2バイトで構成され、変動中コマンドである旨を指定する上位バイト側のデータ(EEH:MODE)と、特図1と特図2の挙動を特定可能な特図挙動情報を含む下位バイト側のデータ(EVENT)とから構成される。下位バイト(EVENT)のデータは、上位4ビットが特図2の特図挙動情報(「1*H」〜「3*H」:*は1〜3)、下位4ビットが特図1の特図挙動情報(「*1H」〜「*3H」:*は1〜3)となっており、これらの組合せで、特図1および特図2の挙動を指定する。たとえば、「EE11H」であれば「特図2待機中、特図1待機中」を示し、「EE12H」であれば「特図2待機中、特図1変動中」を示し、「EE13H」であれば「特図2待機中、特図2確定中」を示す。変動中コマンドに含まれる特図挙動情報は、演出制御部24側において、専用表示領域160の第4図柄157、第4図柄159の演出表示、表変動状態と裏変動状態との間の演出表示を切り替える際などに利用される。
次いで、状態コマンド送信処理を実行する(ステップS426)。状態コマンドには、少なくとも現在の遊技状態を特定可能な遊技状態情報を含むが、本実施形態の場合、現在の遊技状態の他、大当り回数情報(初当り・連荘中の大当り回数情報)、残余時短回数情報、残余ST回数情報などを含む状態コマンドを送信する。状態コマンドに含まれる情報は、演出制御部24側において、演出モードの移行制御や予告演出抽選に利用したり、液晶画面に残り時短回数の表示や連荘回数情報の表示に利用される。そして、状態コマンド送信を終えると、遊技状態情報送信処理を抜ける。
<20.大当り判定処理:図20>
次に、図18中の大当り判定処理(ステップS413)について説明する。図20は、大当り判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図20において、CPU201は、まず、特別図柄1大当り判定フラグ、特別図柄2大当り判定フラグの状態を順次判定する(ステップS431、S432)。この特別図柄1大当り判定フラグ、特別図柄2大当り判定フラグとは、大当りに当選したか否かを指定するためのフラグであり、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り当選を示し(大当り当選状態中)、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り非当選(大当り非当選状態中)を示す。特別図柄1大当り判定フラグまたは特別図柄2大当り判定フラグは、後述のステップS436の当落抽選結果(大当りに関する当落抽選結果)に基づき、5AH(当選)または00H(非当選)が設定される。この特別図柄1大当り判定フラグまたは特別図柄2大当り判定フラグがON状態(5AH)の場合、図柄変動表示ゲーム終了を契機に(正確には、特別図柄の変動表示が終了し後の確定表示時間経過時)ゼロクリア(特別図柄大当り判定フラグ←00H)される(後述の図26AのステップS505参照)。
特別図柄1大当り判定フラグと特別図柄2大当り判定フラグのいずれかがON状態(5AH)である場合(ステップS431またはS432の判定結果が‘=5AH’)、すなわち、特図1の変動開始時に特図2が大当り当選の場合、または特図2の変動開始時に特図1が大当り当選の場合には、何もせずに、大当り判定処理を抜ける。
一方、特別図柄1大当り判定フラグ及び特別図柄2大当り判定フラグのいずれもOFF状態(00H)である場合(ステップS431またはS432の判定結果が‘≠5AH’)、特別図柄作動確認データに応じた上記当り乱数判定テーブル(図示せず)を取得する(ステップS433)。この当り乱数テーブルは、先読み判定処理中(図17のステップS358)の入賞時大当り乱数判定処理(先読み当落判定処理)で利用したテーブルと同じものである。
次いで、判定用乱数記憶エリアに格納された大当り判定用乱数値を取得し(ステップS434)、大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づく当落抽選を行い(ステップS435:乱数判定処理)、その結果をRAM203の大当り判定フラグ領域に格納する(ステップS436)。ただしここでは、大当りの当落を判定し、小当りの当落については、後続の小当り判定処理(ステップS414)で行う。これにより、大当り判定処理を抜けて、続いて、小当り判定処理を実行する。
(通常抽選(大当り当落抽選有り)、大当り無抽選(大当り当落抽選なし)について)
上記大当り判定処理について付言すれば、今回の判定対象が特図1作動保留球である場合、その大当り判定処理の実行の際に、他方の特図2が既に大当り当選状態中であれば(ステップS432:特別図柄2大当り判定フラグ=5AH)、自身の大当りの当落判定(ステップS435)は実行せずに、今回の大当り判定処理を抜ける。また、今回の処理対象が特図2作動保留球である場合も同様に、他方の特図1が既に大当り当選状態中であれば(ステップS431:特別図柄1大当り判定フラグ=5AH)、自身の大当りの当落判定(ステップS435)は実行せずに、今回の大当り判定処理を抜ける。すなわち、一方の特別図柄が大当りであると判定されている場合(図柄変動表示ゲームの結果が大当りとされる場合)、他方の特別図柄に係る当落抽選を実行する際には、大当りをその抽選対象から除外する、つまり大当りであるか否かの当落判定を実行しないという「大当り無抽選状態(特別抽選状態:以下「無抽選」と略す)」に制御される。したがって、この大当り無抽選下の他方の図柄変動表示ゲームの結果は、大当り以外結果、つまり‘ハズレ’または‘小当り’が導出されることになる。本実施形態の場合、特図1側の当落抽選を実行する際に、特図2側が大当り当選である場合には、特図1側の当落抽選結果は「ハズレ」となり、特図2側の当落抽選を実行する際に、特図1側が大当り当選である場合には、特図1側の当落抽選結果は「小当りまたはハズレ」となる。
<21.小当り判定処理:図21>
次に、図18中の小当り判定処理(ステップS414)について説明する。図21は、小当り判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図21において、CPU201は、まず、特別図柄作動確認データを判定する(ステップS441)。特別図柄作動確認データが00Hである場合(ステップS441:=00H)、何もせずに、小当り判定処理を抜ける。これは、特図1側の大当り抽選対象に小当りが含まれないからである。したがって、特図1側の大当り抽選対象に小当りが含まれる場合には、後述のステップS442〜S445の処理を実行させればよい。
特別図柄作動確認データが01Hである場合(ステップS441:=01H)、特図2用当り乱数判定テーブルを取得し(ステップS442)、判定用乱数記憶エリアに格納された大当り判定用乱数値を取得する(ステップS443)。
そして、大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づく当落抽選を行い(ステップS4444:乱数判定処理)、その結果をRAM203の小当り判定フラグ領域に格納する(ステップS445)。ここでは、当落抽選の一環として、小当りの当落について判定する。なお、大当りにも小当りにも当選しなかった場合には、今回の当落抽選結果は、ハズレとなる。
<22.変動パターン作成処理:図22>
次に、図18中の変動パターン作成処理(ステップS417)について説明する。図22は、変動パターン作成処理の詳細を示すフローチャートである。
図22において、CPU201は、まず、図33に示す「変動パターン振分テーブル選択テーブル」を取得し(ステップS451)、次いで、現在の特別図柄作動確認データが00H(特図1が処理対象)であるのか、01H(特図2が処理対象)であるのかを判定する(ステップS452)。本実施形態の変動パターン振分テーブル選択テーブルには、図33に示す通り、現在の遊技状態(YJ)、当選種別(特別図柄判定データ)、特別図柄大当り判定フラグ(通常抽選、無抽選の別を特定するために利用)、および作動保留球数(今回消化分を減算した作動保留球数:保留0〜3)に関連付けられた変動パターン振分テーブル(FB1〜FB16(大当り用)、FH1〜FH25(ハズレ用))が定められている。
現在の特別図柄作動確認データが00H、つまり特図1が処理対象である場合には(ステップS452:=00H)、図33に示す変動パターン振分テーブル選択テーブルを参照して、現在の遊技状態(YJ)、当選種別(特別図柄判定データ)、特別図柄2大当り判定フラグの状態、および特図1作動保留球数等に応じた変動パターン振分テーブル(図34の大当り用または図35の特図1用ハズレ)を取得する(ステップS453B)。
他方、現在の特別図柄作動確認データが01H、つまり特図2が処理対象である場合には(ステップS452:=01H)、図33に示す変動パターン振分テーブル選択テーブルを参照して、現在の遊技状態(YJ)、当選種別(特別図柄判定データ)、特別図柄1大当り判定フラグの状態、および特図2作動保留球数に応じた変動パターン振分テーブル(図34(大当り用)、図36(特図2用ハズレ・小当り))を取得する(ステップS453A)。
次いで、変動パターン用乱数(乱数値の大きさ:10000)を取得し、ステップS453AまたはステップS453Bの処理にて取得した変動パターン振分テーブルを参照して、変動パターンを選択する(ステップS455)。変動パターン振分テーブルには、図34〜図36に示すように、変動パターンに対応した判定値(当選領域)が定められており、所定の選択率にて、いずれかの変動パターンが決定されるようになっている。たとえば、図34の変動パターン振分テーブルFB1であれば、「通常変動直撃当り」が200/10000、通常中Nリーチ1が80/10000、・・・、RUSH直撃リーチが2600/10000の選択率で、通常変動直撃当り〜RUSH直撃リーチのうちからいずれかの変動パターンが、抽選により決定されるようになっている。変動パターンが決定されると、「変動パターン指定コマンド」を構成するための上位バイト側(MODE)と下位バイト側(EVENT)のコマンドデータが決定される。なお、変動パターン指定コマンド自体は、後続の図18のステップS418の処理で作成され、演出制御部24に送信される。
また変動パターンの決定に伴い、変動パターンに対応する変動時間テーブル(図示せず)も決定される(ステップS456)。この「変動時間テーブル」には、特別図柄の変動時間が定められており、当該変動時間テーブルを参照して変動時間を決定する。
そして、現在の特別図柄作動確認データに応じた特別図柄動作タイマ1に、ステップS456で決定した変動時間を設定する(ステップS457)。特別図柄作動確認データが00Hであれば、特図1の特別図柄1動作タイマ1に変動時間を設定し、特別図柄作動確認データが01Hであれば、特図2の特別図柄2動作タイマ1に変動時間を設定する。
以上により、特別図柄変動パターン作成処理を抜けて、図18の変動開始時のコマンド送信処理(ステップS418)を実行する。
(22−1.特図2を対象とした変動パターン振分テーブル選択処理:ステップステップS453A〜S455)
ここで本発明の特徴的要素である、変動パターン振分テーブル選択テーブルと変動パターン振分テーブルとについて説明する。ここでは、説明の便宜のため、先ず、特別図柄作動確認データが01Hである場合(ステップS452:=01H)、つまり、今回の処理対象が特図2作動保留球であるケースについて説明する。
ステップS453Aの処理では、図33の変動パターン振分テーブル選択テーブルを参照して変動パターン振分テーブルを決定するが、特に、特図2が表変動状態である‘潜確状態’において、図柄抽選結果が「ハズレA(特図2保留0ハズレA、特図2保留1−3ハズレA)または小当り時(特図2保留0小当り、特図2保留1−3小当り)」の場合には、特別図柄1大当り判定フラグのON・OFF状態に応じて、選択されうる変動パターン振分テーブルが異なるようになっている。換言すれば、特図1側が大当りに当選しているか否かに応じて、選択されうる変動パターン振分テーブルが異なる。
具体的には、図33の変動パターン振分テーブル選択テーブルを参照して、特別図柄1大当り判定フラグがOFF状態(00H)でない場合、つまり、他方の特図1が大当りに当選していない「大当り非当選状態中(特図1ハズレ変動)」である場合には、同図に示す「通常抽選時」の欄の変動パターン振分テーブル「FH9〜FH12」のいずれかが選択されるようになっている。一方、特別図柄1大当り判定フラグがON状態(5AH)である場合、つまり、他方の特図1が大当りに当選している「大当り当選状態中(特図1大当り変動)」である場合、同図に示す「無抽選時」の欄の変動パターン振分テーブル「FH13〜FH16」のいずれかが選択されるようになっている(特別図柄種別の欄「特図2」の‘保留0ハズレA〜保留1−3小当り’に対応する変動パターン振分テーブルを参照)。なお、特図2が裏変動状態となる‘通常状態、時短状態および確変状態’の場合は、特別図柄1大当り判定フラグの状態によらず、それぞれ共通の変動パターン振分テーブル「FH7」が選択されるようになっている。
このように、今回の処理対象が特図2の場合において、他方の特図1が大当りに当選しているか否か(特別図柄1大当り判定フラグのON、OFF状態:特図1の大当り当落抽選結果)を変動パターンの選択条件の一つとして定めている理由は、下記の通りである。
今回の処理対象が特図2側である場合において、他方の特図1が既に大当りに当選している場合には、特図2の大当りの当落抽選(図20のステップS435)が実行されない。したがって、今回の当落抽選結果は、強制的に「ハズレ」または「小当り」のいずれかとなり(図20、図21参照)、図柄抽選結果(図18のステップS415)は、「ハズレA」または「小当り」のいずれかとなる。なお以下では、大当りの当落抽選が実行される場合を「通常抽選時」、大当りの当落抽選が非実行の場合を「無抽選時」または「強制ハズレ時」と称する。
ここで本発明の理解を容易なものとするために、現在の遊技状態を、小当りラッシュが生起する「潜確状態中(特図2表変動状態)」であるとして説明する。
潜確状態中は、特別図柄の変動時間幅が2秒乃至4秒とする高速変動パターン(通常変動2s〜通常変動4s)が高確率で選択される(図36参照)。このような「高速変動状態」は、主に「ゲームの平均消化速度を上げて、遊技の進行に関する時間効率を高める(出玉スピードを増加させる)」という遊技性に重きを置いた遊技状態に有用である。特に、小当りラッシュが生起する潜確状態では、スピーディに短時間で出玉を積み上げ、出玉増加スピード感を堪能したいと欲する遊技者も多く、高速変動状態は、このような遊技状態に好適である。
一方、変動パターンを選択する際には、大当りへの当選期待感を煽るために、リーチ演出を指定するリーチ変動や、疑似連を指定する疑似連変動を程よく織り交ぜて、煽り演出が単調にならないように工夫する必要がある。そこで従来の遊技機では、たとえば図36に示す通常抽選時(特図2大当り当落抽選有り)用の変動パターン振分テーブル「FH9〜FH12」(「潜確(通常抽選)」の欄参照)のように、煽り度合いが高い予告演出(たとえば、高期待度予告演出)を指定する変動パターンを選択対象に含めている。具体的には、変動時間が比較的長い「潜確中弱SPリーチ(変動時間30秒)」や「潜確中強SPリーチ(変動時間40秒)」や「転落回避リーチガセ(変動時間20秒)」などの高期待度予告演出(たとえば、SPリーチ等の高期待度予告演出、7図柄(小当りラッシュ移行確定図柄)でリーチになるか否かを煽る特殊な予告演出(転落回避リーチガセ)、遊技者参加型演出等)を現出させるための変動パターンを選択対象に含めている。
しかし、無抽選時の状況下において、上述の従来の変動パターン選択技術のように、煽り度合いが高い予告演出を指定する変動パターンを選択対象に含めてしまうと、ハズレまたは小当りしか当選しないにもかかわらず、無闇に変動時間が長い変動パターンが選択されてしまい、遊技の進行が無駄に遅延するという遊技状況を招来する。また、無抽選時の状況下では、高期待度予告演出も無意味に遊技者の緊張感等を煽るだけであり、その演出を現出させる意義に乏しい。
そこで本実施形態では、図33に示す変動パターン振分テーブル選択テーブルに関し、通常抽選時であるか無抽選時であるかに応じた変動パターン振分テーブルを選択可能な構成としている。ここでは、現在の遊技状態が潜確状態であると説明しているので、他方の特図1が‘大当り非当選状態中(特図1ハズレ変動中)’の場合には「通常抽選時(特図2大当り当落抽選有り)用変動パターン振分テーブル「FH9〜FH12(図示の「潜確、通常抽選時」の欄参照)」が選択されるようにし、‘大当り当選状態中(特図1大当り変動中)’の場合には、無抽選時用(特図2大当り当落抽選無し)変動パターン振分テーブル「FH13〜FH16(図示の「潜確、無抽選時」の欄参照)」が選択される。
(22−1−2:無抽選時用変動パターン振分テーブルの特徴について)
図36に示すように、上記「無抽選時用変動パターン振分テーブルFH9〜FH12」は、「通常抽選時用変動パターン振分テーブルFH13〜FH16」と比較して、下記のような特徴を持たせてある。以下で「選択されない」と称する場合は、「変動パターン抽選は行うがその選択率が0%」のケースと、「抽選対象から除外する」ケースのいずれのケースであってもよい。
(ワ)少なくともリーチ変動パターンが選択されない。本実施形態の場合、リーチ変動パターンおよび疑似連有り変動パターンが選択されず当選期待度が相対的に低い通常変動パターンだけが選択されるようになっている(たとえば、テーブルFH13〜FH16参照)。したがって、比較的に長い演出時間幅を要する遊技者参加型演出やリーチ演出、その他、大当り当選期待感を煽り度合の高い予告演出、つまり、高期待度予告演出が現出されない。特に、リーチ変動パターンを選択しない場合には、リーチ演出の出現率はゼロとすることができる。なお、リーチ変動パターンの選択率を相対的に低確率としてもよい。 (カ)変動時間が相対的に短い「短変動パターン」(たとえば、通常変動2s、通常変動3s等)の選択率が高い。換言すれば、変動時間が相対的に長い「長変動パターン」の選択率が低い。したがって、この場合も前述の(ワ)と同じく、高期待度予告演出が現出されない、あるいは現出されにくくなる。また本実施形態の場合、最短の通常変動2sの選択率が高い(たとえば、「FH10とFH14」や、「FH12とFH16」との比較)。したがって、無抽選時と通常抽選時とで共通の変動パターン振分テーブルを参照する形態よりも、無抽選時と通常抽選時とで変動パターン振分テーブル切り替える構成の方が、無抽選下では、1ゲームあたりの平均的な消化スピードが速まることになる。
上記(ワ)および(カ)を端的に言えば、無抽選時用変動パターン振分テーブルは、通常抽選時用変動パターン振分テーブルよりも、大当りへの当選期待度が相対的に低い変動パターンが選択され易い、というテーブル構成である。これにより、無抽選時は通常抽選時よりも、当選期待度が相対的に低い低期待度予告演出が出現しやすくなり(出現率が高確率となる)、高期待度予告演出等が現出されにくくなる(出現率が低確率となる)。
(無抽選時用変動パターン振分テーブルの変形例)
なお、無抽選時の場合には上記したように‘高期待度予告演出を現出させ難くする’あるいは‘高期待度予告演出を現出させない’という技術思想に着目して、下記のようなテーブル構成としてもよい。
(ヨ)無抽選時の場合には、上述の(ワ)のように「リーチ変動パターンを選択しない」というものではなく、Nリーチ指定の変動パターンは選択するが、SPリーチ指定の変動パターンは選択しない(リーチ変動パターンのうち、少なくともSPリーチ指定のリーチ変動パターンを選択しない)、というテーブル構成としてもよい。Nリーチ種別(たとえば、潜確中Nリーチ)は、SPリーチ種別(たとえば、潜確中弱SPリーチ等)と比べて変動時間が短く、また当選期待度も低いからである。この場合、高期待度予告演出(たとえば、SPリーチ)の中でも期待度が相対的に高い「激熱予告演出(たとえば、強SPリーチ)」が現出されないようになる。
(ヨ−1)また、ハズレ時の変動パターン種別のうち、少なくとも当選期待度が最も高い変動パターンを選択しない構成としてもよい。たとえば、潜確中の場合には、潜確中強SPリーチ以外の「通常変動2s〜潜確中弱SPリーチ、転落回避リーチガセ」を選択対象とすることができる。この場合、激熱予告演出が現出されないあるいは現出されにくくなる。すなわちこの例は、激熱予告演出の現出までも排除しない形態である。
(タ)また無抽選時において、ハズレの場合と小当りの場合とで、「無抽選時用変動パターン振分テーブル」を兼用する構成としてもよい。たとえば、ハズレA用「FH13(保留ゼロの場合)、FH14(保留数1〜3の場合)」を設けず、小当り用の「FH15(保留ゼロの場合)、FH16(保留数1〜3の場合)」を兼用することができる。
(レ)また無抽選時において、作動保留球数に依存しないテーブルを用いてもよい。たとえば、特図2作動保留数によらず、ハズレAの場合には「FH14」を用い、小当りの場合には「FH16」を用いる構成とすることができる。この場合、ハズレAおよび小当りで「FH14」または「FH16」を兼用する構成としてもよい。
(ソ)また本実施形態に係る「無抽選時用変動パターン振分テーブルFH11〜FH12」は、図36に示すように、「通常抽選時用変動パターン振分テーブルFH13〜FH16」と共通の変動パターンを定めているが、本発明はこれに限られない。「通常抽選時用変動パターン振分テーブル」と「無抽選時用変動パターン振分テーブル」とで、一部が異なる種類の変動パターン、または全部が異なる種類の変動パターンを定めることができる。具体的には下記(ソ−1)〜(ソ−2)の構成とすることができる。
(ソ−1)「通常抽選時用変動パターン振分テーブル」では、図36に示すように「通常変動2s〜転落回避リーチガセ」という変動パターンが定められている。しかし「無抽選時用変動パターン振分テーブル」ではこれらと一部または全部が異なる種類の変動パターンを定めることができる。たとえば、無抽選時専用の変動パターンとして、1または複数種類の変動パターンを定めることができる。具体的には、通常変動2s〜転落回避リーチガセ」のいずれにも該当しない変動パターン「無抽選用通常変動2s(変動時間2秒)」や「無抽選用Nリーチ」などを用意し、「無抽選時用変動パターン振分テーブル」に、通常変動2s〜通常変動4s(通常抽選時と共通)、無抽選用通常変動2s(無抽選専用)の4種類のを定めてもよいし、無抽選用通常変動2sだけを定めてもよい。なお、リーチ変動パターンを選択可能な構成とする場合は、「無抽選用Nリーチ」をさらに含んでもよい。いずれにしても、無抽選時用変動パターン振分テーブルは、通常抽選時用変動パターン振分テーブルよりも、大当りへの当選期待度が相対的に低い変動パターンが選択され易い、というテーブル構成とすることができる。
(ソ−2)無抽選時専用の変動パターンが選択された場合、予告演出として、裏変動側の図柄変動表示ゲームの結果が大当りであることを示唆または確定的に報知する予告演出を現出させることができる。つまり、表変動側のメイン演出側にて、裏変動側のゲーム結果に関する予告演出を現出させることができる。
(ツ)なお、無抽選時は、必ず、ハズレまたは小当り当選となるため、上述の(ワ)〜(ソ−2)のいずれの場合においても、当然に、大当り当選を確定的に報知する当確演出は現出されないが、小当り当選を報知する当確演出は現出することができる。
(無抽選時用の変動パターン振分テーブルを設ける他の理由について)
ところで、前述の「無抽選時と通常抽選時とで変動パターン振分テーブルを切り替える構成の方が1ゲームあたりの平均的な消化スピードが速まる」という点については、次のような利点もある。以下、詳述する。
今回の処理対象が特図2であり、他方の特図1が大当りに当選している場合、特図1の変動パターンは「潜確中4分当り変動」が選択される(図34の遊技状態種別「潜確」の欄に対応する「特図1、共通A(大当り1〜4で共通(兼用)の意)の「FB5」の欄参照)。したがって、この特図1の大当り変動が終了するまで最長240秒かかることになる。
ここで、特図1が大当りに当選しているということは、その大当り種別が大当り1(選択率5%)または大当り2(選択率10%)であれば潜確状態に再突入して再度、小当りラッシュとなるが、大当り3または大当り4に当選しているか可能性も多分にある(本実施形態の場合、潜確状態からの転落確率は85%(大当り3の選択率が50%、大当り4の選択率が35%)という高確率となっている(図4参照))。なお潜確状態中の場合、特図1側は裏変動状態であり(図7参照)、演出上は、大当り1〜4のいずれの大当りに当選しているのかは報知されず、遊技者側にとっては、特図1の変動が大当り変動かハズレ変動であるかについて知る手掛かりは無い。
しかし遊技状況的には、いずれにしても、特図1の大当り当選により「小当りラッシュ」が終了してしまうという危機的状況下にある。特に、大当り3または大当り4に内部当選している場合には、潜確移行契機大当りでないため、特図1の変動が終了するまでの間に、特図2において、より多くの大当り抽選を受け、より多くの小当り当選を獲得できるかどうかで、今後の遊技者の利益が大きく左右されることとなる。
ところが、特図2側が無抽選状態にもかかわらず、特図2の変動パターンとして、変動時間が数十秒〜分オーダーの長変動パターンが無闇に選択されてしまうと、特図2側の抽選を受けるチャンスがその変動時間分失われてしまい、小当りラッシュ中に遊技者が受ける利益に大きな影響を与えてしまう。
しかし本実施形態のように、無抽選時には、図36の無抽選時専用の変動パターン振分テーブル(FH13〜FH16)が選択される構成であれば、短変動パターンが選択されるので、遊技者が不利益を被ることが無く、遊技者にとり有益なゲーム展開が付与されることになる。
(22−2.特図1を対象とした変動パターン振分テーブル選択処理:ステップステップS453B〜S455)
次に、特別図柄作動確認データが00Hである場合(ステップS451:=00H)、つまり、今回の処理対象が特図1作動保留球であるケースについて説明する。
ステップS453Bの処理では、上記した特図2と同様に、図33の変動パターン振分テーブル選択テーブルを参照して変動パターン振分テーブルを決定するが、ここでは、特別図柄2大当り判定フラグのON・OFF状態に応じて、選択されうる変動パターン振分テーブルが異なるようになっている。換言すれば、特図2側が大当りに当選しているか否かに応じて、選択されうる変動パターン振分テーブルが異なる。
具体的には、図36を参照して、特図1が表変動状態の一つである‘確変状態’において、図柄抽選結果が「ハズレA〜C」の場合に、特別図柄2大当り判定フラグがOFF状態(00H)でない場合、つまり、他方の特図2が大当り非当選状態中(特図2ハズレ変動)である場合には、「通常抽選時用(特図1大当り当落抽選有り)の変動パターン振分テーブル「FH17〜FH20(図示の「確変、通常抽選」の欄参照)」を選択対象とし、一方、特別図柄2大当り判定フラグがON状態(5AH)である場合、つまり、他方の特図2が大当り当選状態中で(特図2大当り変動)ある場合、同図に示す無抽選時用(特図1大当り当落抽選無し)の変動パターン振分テーブル「FH21〜FH24(図示の「確変、無抽選」の欄参照)」を選択対象とするようになっている。なお、特図1が裏変動状態となる‘潜確状態’の場合は、特別図柄2大当り判定フラグの状態によらず、それぞれ共通の変動パターン振分テーブル「FH8」が選択されるようになっている。
このように、今回の処理対象が特図1の場合にも、他方の特図2の特別図柄2大当り判定フラグのON、OFF状態(大当り当落抽選結果)を変動パターンの選択条件の一つとして定めている理由は、下記の通りである。
今回の処理対象が特図1の場合に、他方の特図2が大当りに当選している場合、特図1の大当り当落抽選が実行されずに、当落抽選結果は、強制的にハズレとなる(図20、図21参照)。したがって、図柄抽選結果(図18のステップS415)は、ハズレA〜Cのいずれかになる。
無抽選時の状況下において、たとえば図35に示す「通常抽選用の変動パターン振分テーブル「FH17〜FH20」が選択されるとすれば、ハズレしか発生しないにもかかわらず、無闇に、変動時間が比較的長い「確変中弱SPリーチ(変動時間30秒)」や「確変中強SPリーチ(変動時間40秒」等が選択されてしまい、遊技の進行が無駄に遅延するという遊技状況を招来する。また、無抽選時の状況下において、大当り当選を煽る予告演出(たとえば、SPリーチ等の高信頼度演出)は、無意味に遊技者の期待感や緊張感を煽るだけでその演出を現出させる意義に乏しい。
このような事情を鑑みて本実施形態では、図33に示す変動パターン振分テーブル選択テーブルに関し、上記した特図2の場合と同じく特図1についても、通常抽選時であるか無抽選時であるかに応じた変動パターン振分テーブルを選択可能な構成としている。詳しくは、現在の遊技状態が確変状態である場合、他方の特図2が‘大当り非当選状態中(特図2ハズレ変動中)’の場合には「通常抽選時(特図1大当り当落抽選有り)用の変動パターン振分テーブル「FH17〜FH20」が選択されるようにし、‘大当り当選状態中(特図2大当り変動中)’の場合には、変動時間が長い変動パターンが選択されない「無抽選時(特図1大当り当落抽選無し)用の変動パターン振分テーブル「FH21〜FH24」が選択されるようになっている。
図35を参照して、本実施形態に係る上記「無抽選時用変動パターン振分テーブルFH21〜FH24」は、上記「通常抽選時用変動パターン振分テーブルFH21〜FH24」と比較して、次のような特徴を持つ。これについて、代表的に、ハズレB、C時に選択される「無抽選時用変動パターン振分テーブルFH19、FH20」と「無抽選時用変動パターン振分テーブルFH23、FH24」とに着目しながら説明する。
「無抽選時用変動パターン振分テーブルFH23、FH24」は、先述した「(22−X:無抽選時用変動パターン振分テーブルの特徴)」の箇所で述べた特徴と同様に、(1)リーチ変動パターンが選択されない、(2)変動時間が相対的に短い短変動パターン(ここでは、通常変動1s)の選択率が高い等の特徴を持つ。また(3)無抽選時の場合には、「リーチ変動パターンを一切選択しない」というものではなく、Nリーチ指定の変動パターンは選択するが、SPリーチ指定の変動パターンは選択しない、というテーブル構成としてもよい。
なお本実施形態では、ハズレ種別のうちハズレA時(保留0ハズレA、保留1−3ハズレA)に選択される「通常抽選時用変動パターン振分テーブルF17、F18」と、「無抽選時用変動パターン振分テーブルF21、FH22」とは、図35に示す通り、同一の構成となっているが、「通常抽選時用変動パターン振分テーブルF17、F18」においても、ハズレB、C時に選択されるFH19やFH20と同様に、「確変中7図柄煽りガセ」やリーチを指定する変動パターンを設けてもよく、その選択率も適宜定めることができる。また本実施形態では、ハズレA〜Cの複数種類のハズレを設けているが、1種類でもよく、この場合には、たとえば、通常抽選時用変動パターン振分テーブルとして「F19」を、無抽選時用変動パターン振分テーブルとして「FH23」を採用すればよい。この場合も無抽選時用変動パターン振分テーブルが持つ上記特徴及びこれによる作用効果を発揮することができる。
(22−3.設定異常エラー時の変動パターンの選択について)
設定異常エラー中は、既に説明したように、常に「ハズレ」が決定される。具体的には、特図1側ではハズレA〜Cのいずれか、特図2側ではハズレAが決定される。したがって、この場合は、実質的に強制的にハズレとなるケースであり、上記した「無抽選時の状況下」と同じである(図20、図21参照)。したがって、遊技状態が確変状態か潜確状態中の設定異常エラー時(設定エラーフラグがON状態の場合)には、上記無抽選時用の変動パターン振分テーブルを選択する構成とすることができる。
(設定異常エラー時の変動パターンの選択形態の変形例)
なお、設定異常エラー時に限り選択される「設定エラー用の変動パターン振分テーブル」を設けてもよい。この場合、特別図柄種別に応じた設定エラー用の変動パターン振分テーブル(特図1用、特図2用)を設けることができる。ここで、設定異常エラー中は、強制的にハズレとされるため、設定エラー用の変動パターン振分テーブルにおいては、無抽選時用の変動パターン振分テーブルと同じように、煽り度合いが高い予告演出(高期待度予告演出等)を指定する変動パターンが選択されないようなテーブル構成とすることが好ましい。この点を考慮して、たとえば、下記(ツ)〜(ナ)のような構成とすることができる。
(ツ)少なくともリーチ変動パターンを選択しない。
(ネ)少なくともリーチ変動パターンおよび疑似連有り変動パターンを選択しない。
(ナ)少なくともSPリーチ指定の変動パターンを選択しない。この場合、Nリーチ指定のリーチ変動および通常変動パターンを選択対象とすることができる。
上述の(ツ)または(ネ)の場合、作動保留球数(減算後の作動保留球数)に応じた通常変動パターンを選択することができる。たとえば、作動保留球数が1個の場合は通常変動12s、作動保留球数が2個の場合は通常変動8s、作動保留球数が3個の場合は通常変動4sなどを選択することができる。また、作動保留球数によらず、特定の通常変動パターンだけを選択することができる。ただし、特定の通常変動パターンには特に制限はなく、たとえば、変動時間が最長の変動パターン(10分変動)を選択してもよいし、変動時間が最短の変動パターン(たとえば、通常変動2s)を選択してもよいし、その他の通常変動パターン(たとえば、通常変動12s)を選択してもよい。また、特定の通常変動パターンとして、設定異常エラー時専用の通常変動パターンを設けてもよい。なお、上述の(1)〜(3)は、ハズレA〜Cのいずれの場合にも適用することが好ましい。また、既に説明したように、設定異常エラー時に限り選択される「ハズレD」を設け、ハズレDが選択された場合に、設定異常エラー中専用の変動パターン振分テーブル(設定異常用変動パターン振分テーブル)が選択される構成とすることができる。
また、設定異常エラー中における変動パターン指定コマンド(以下、「設定異常用変動パターン指定コマンド」と称する)には、設定異常エラー用の変動パターンであることを特定可能な情報を含ませることが好ましい。演出制御部24は、図27のステップS064で送信される「設定値異常コマンド」を受信することにより、設定異常エラーが発生したことを把握することができるが、このコマンドは、専ら、エラー報知用に利用されるコマンドである。このため、設定異常用変動パターン指定コマンドに、設定異常エラー時に選択されたものである旨を特定する情報を含ませることで、演出制御部24は、今回送られてきた変動パターン指定コマンドが設定異常エラー中に選択された変動パターンであることを把握し、設定異常エラー中専用の装飾図柄変動表示ゲームに係る演出制御を実行することができる。
たとえば、下記(ウ)〜(ヤ)のような装飾図柄変動表示ゲームを実行するように構成することができる。
(ウ)設定異常エラー中は、予告演出自体を現出させない。たとえば、画像表示演出として、当選期待度に関係しない背景画像表示(演出モードに対応した背景画像)と装飾図柄の変動表示だけを行う。
(ヰ)装飾図柄の変動表示を行わない。この場合、特別図柄の変動表示動作は実行されているが、装飾図柄は停止したままの状態となる。なお、専用表示領域160の第4図柄157(装飾図柄1第4図柄)、第4図柄159(装飾図柄2第4図柄)については、変動表示させてもよいし、停止状態のままとしてもよい。
(ノ)設定異常エラー中専用の変動表示(RAMエラー中変動表示)を行う。たとえば、通常の変動表示を開始せずに、装飾図柄を上下に搖動させる「揺れ変動」を行う。この場合、特定の図柄の組合せ(たとえば、「2」「4」「0」等のハズレ図柄)のまま揺れ変動を行ってもよい。
(ヤ)通常の変動表示を行うが、停止表示した際には、特定の図柄の組合せ(たとえば、「2」「4」「0」等のハズレ図柄)で停止表示させる、あるいは、通常の変動表示を行った後、特定の図柄の組合せで揺れ変動(仮停止状態)を所定時間行う。
(マ)通常の装飾図柄から設定異常エラー中専用の装飾図柄に変更する。たとえば、通常の装飾図柄は1〜9の数字を表示した図柄であるが、設定異常エラー中専用の装飾図柄は、「エ」「ラ」「−」等の文字を表示した図柄に変更する。
<23.特別図柄変動中処理:図23>
次に、図15中の特別図柄管理処理1中の特別図柄変動中処理(ステップS304(特図1対応)、S309(特図2対応))について説明する。図23は、図15の特別図柄変動中処理の詳細を示すフローチャートである。
図23において、CPU201は、まず、現在の特別図柄作動確認データが00H(特図1が処理対象)であるのか、01H(特図2が処理対象)であるのかを判定する(ステップS471)。特別図柄作動確認データが00Hである場合には(ステップS471:=00H)、次いで、「特別図柄1動作タイマ1」がゼロであるか否かを判定する(ステップS472)。ここでの特別図柄1動作タイマは、特図1の変動時間(残余変動時間)がセットされている。特別図柄1動作タイマがゼロでない場合は(ステップS472:≠0)、未だ特図1の変動時間が経過していない、つまり特図1が変動中であるので、何もしないでこの特別図柄変動中処理(ここでは、特図1が処理対象のステップS304)を抜ける。一方、特別図柄1動作タイマ1がゼロになったならば(ステップS472:=0)、後述の図24に示す「特別図柄1変動中処理」を実行する(ステップS473)。
ステップS471の判定処理において、特別図柄作動確認データが01H(特図2が処理対象)場合には(ステップS471:=01H)、次いで、「特別図柄2動作タイマ1」がゼロであるか否かを判定する(ステップS474)。ここでの特別図柄2動作タイマは、特図2の変動時間(残余変動時間)がセットされている。特別図柄2動作タイマがゼロでない場合は(ステップS474:≠0)、未だ特図2の変動時間が経過していない、つまり特図2が変動中であるので、何もしないでこの特別図柄変動中処理(ここでは、特図2が処理対象のステップS309)を抜ける。一方、特別図柄2動作タイマ1がゼロになったならば(ステップS474:=0)、後述の図25に示す「特別図柄2変動中処理」を実行する(ステップS475)。
<24.特別図柄1変動中処理:図24>
次に、図23中の特別図柄1変動中処理(ステップS473)について説明する。図24は、図23の特別図柄1変動中処理の詳細を示すフローチャートである。
図24において、CPU201は、まず、装飾図柄1第4図柄停止コマンド「BF01H」(特図1通常変動停止コマンド)を演出制御部24に送信する(ステップS481)。この装飾図柄1第4図柄停止コマンドを受けた演出制御部24側は、特別図柄1の変動時間が経過して特別図柄変動表示ゲーム1が終了したことを把握し、現在変動表示中(表変動である場合)の特図1対応の装飾図柄(装飾図柄1)と、専用表示領域160の第4図柄157とを停止表示(確定表示)させる。これにより、特別図柄変動表示ゲーム1の終了とともに、装飾図柄変動表示ゲーム1も終了することになる。なお、後述の図25のステップS498で送信される、装飾図柄1第4図柄停止コマンド「BF11H」は、上述の装飾図柄1第4図柄停止コマンド「BF01H」と同じ機能を持つコマンドであるが、前者は、特別図柄1動作タイマ1がゼロになった場合に送信される「通常変動停止コマンド」として働くコマンドであり、後者は、強制ハズレ時において、変動中の装飾図柄1及び第4図柄157を強制的に停止表示させるための「特図1強制停止コマンド」として働くコマンドである。
次いで、特図1の変動停止時の設定処理として、特別図柄1動作ステータスを「確定中(03H)」に切り替え(特別図柄1動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄1動作タイマ2に確定表示時間(たとえば、500ms)を設定し、特別図柄1変動中フラグをOFF状態(00H)に設定する(ステップS482)。特別図柄1変動中フラグがOFF状態に設定されると、その後の特別図柄表示データ更新処理(図16のステップS335)にて、停止表示が開始されることになる。したがってこの段階では、正確には特別図柄(ここでは、特図1)の停止表示段階ではなく、特別図柄表示データ更新処理を経てLED管理処理(ステップS098)にて表示用データに基づく制御信号が特別図柄表示装置に出力されて停止表示が開始され、確定表示時間が経過するまでその停止表示が継続される。
次いで、小当り判定フラグの状態を判定する(ステップS483)。ここでは、特図1が小当りに当選したか否かを判定するが、本実施形態の場合、特図1側の大当り抽選対象からは小当りが除外されているので、ステップS483の判定結果は、必ず、‘≠5AH’となる。
(特別図柄2強制ハズレ設定処理;ステップS485〜S489)
次いで、特別図柄1大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS485)。特別図柄1大当り判定フラグがON状態(5AH)でない場合(ステップS485:≠5AH)、何もせずに特別図柄1変動中処理を抜ける。
特別図柄1大当り判定フラグがON(5AH)である場合(ステップS485:=5AH)、特別図柄停止1フラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS486)。
次いで、特別図柄2変動中フラグの状態を判定する(ステップS487)。特別図柄2変動中フラグがON状態(5AH)でない場合(ステップS487:≠5AH)、特図2が変動中でないとして、何もせずに、特別図柄1変動中処理を抜ける。一方、特別図柄2変動中フラグがON状態(5AH)である場合(ステップS487:=5AH)、変動中の特図2を強制停止させるべく、ステップS488〜S489の特別図柄2強制ハズレ設定処理を行う。
特別図柄2強制ハズレ設定処理では、まず、装飾図柄2第4図柄停止コマンド「BF12H」を演出制御部24に送信する(ステップS488)。装飾図柄2第4図柄停止コマンドを受けた演出制御部24側は、特別図柄2の変動時間が経過して特別図柄変動表示ゲーム2が終了したことを把握し、現在変動表示中(表変動である場合)の特図2対応の装飾図柄(装飾図柄2)と、専用表示領域160の第4図柄159とを停止表示(確定表示)させる。これにより、特別図柄変動表示ゲーム2の終了とともに、装飾図柄変動表示ゲーム2も終了することになる。したがって、ここで送信される「装飾図柄2第4図柄停止コマンド」は、変動中の‘装飾図柄2第4図柄’を強制的に停止表示させるための「特図2強制停止コマンド」として働く。
次いで、特別図柄2強制ハズレ時における各種の設定処理を行う(ステップS489)。具体的には、特別図柄2動作ステータスを「確定中(03H)」に切り替え(特別図柄2動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄2動作タイマ1(特図2変動時間管理タイマ)をゼロクリアし、特別図柄2動作タイマ2に確定表示時間(500ms)を設定し、特別図柄2変動中フラグをOFF状態(00Hを格納)に設定し、小当り判定フラグをOFF状態(00Hを格納)に設定し、特別図柄2停止図柄番号に「200(特図2側のハズレA対応の特別停止図柄番号)」を設定する。
以上によりステップS489の処理を終えると、この特別図柄1変動中処理を抜ける。そして、特別図柄変動中処理(ステップS309)を抜けて、図15の特別図柄管理処理1のステップS306の処理に進む。
<25.特別図柄2変動中処理:図25>
次に、図23中の特別図柄2変動中処理(ステップS475)について説明する。図25は、図23の特別図柄2変動中処理の詳細を示すフローチャートである。なお、この特別図柄2変動中処理(ステップS475)は、前述した特別図柄1変動中処理(ステップS473)の処理対象の特別図柄種別が異なるだけで、基本的には同じ処理内容となっている。したがって図25では、図24で述べた内容と実質的に同じ内容についての説明は、重複記載を避けるため適宜省略する。
図25において、CPU201は、まず、装飾図柄2第4図柄停止コマンド「BF02H」(特図2通常変動停止コマンド)を演出制御部24に送信する(ステップS491)。この装飾図柄2第4図柄停止コマンドを受けた演出制御部24側は、特別図柄2の変動時間が経過して特別図柄変動表示ゲーム2が終了したことを把握し、現在変動表示中(表変動である場合)の特図2対応の装飾図柄(装飾図柄2)と、専用表示領域160の第4図柄159とを停止表示(確定表示)させる。これにより、特別図柄変動表示ゲーム2の終了とともに、装飾図柄変動表示ゲーム2も終了することになる。なお、本処理で送信される、装飾図柄2第4図柄停止コマンド「BF02H」は、上述の図24のステップS488で送信される、装飾図柄2第4図柄停止コマンド「BF12H」と同じ機能を持つコマンドであるが、前者は、特別図柄2動作タイマ1がゼロになった場合に送信される「通常変動停止コマンド」として働くコマンドであり、後者は、強制ハズレ時において、変動中の装飾図柄2及び第4図柄159を強制的に停止表示させるための「特図2強制停止コマンド」として働くコマンドである。
次いで、特図2の変動停止時の設定処理として、特別図柄2動作ステータスを「確定中(03H)」に切り替え(特別図柄2動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄2動作タイマ2に確定表示時間(たとえば、500ms)を設定し、特別図柄2変動中フラグをOFF状態(00H)に設定する(ステップS492)。
次いで、小当り判定フラグの状態を判定する(ステップS493)。小当り判定フラグがON状態(5AH)でない場合(ステップS493:≠5AH)、ステップS495の判定処理に進む。一方、小当り判定フラグがON状態(5AH)である場合(ステップS493:=5AH)、小当り図柄が停止したとして、特別図柄停止2フラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS494)。
(特別図柄1強制ハズレ設定処理;ステップS495〜S499)
次いで、特別図柄2大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS495)。特別図柄2大当り判定フラグがON状態(5AH)でない場合(ステップS495:≠5AH)、何もせずに、この特別図柄2変動中処理を抜ける。
特別図柄2大当り判定フラグがON(5AH)である場合(ステップS495:=5AH)、特別図柄停止1フラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS496)。
次いで、特別図柄1変動中フラグの状態を判定する(ステップS497)。特別図柄1変動中フラグがON状態(5AH)でない場合(ステップS497:≠5AH)、特図1が変動中でないとして、何もせずに、特別図柄2変動中処理を抜ける。一方、特別図柄1変動中フラグがON状態(5AH)である場合(ステップS497:=5AH)、変動中の特図1を強制停止させるべく、ステップS498〜S499の特別図柄1強制ハズレ設定処理を行う。
特別図柄1強制ハズレ設定処理では、まず、装飾図柄1第4図柄停止コマンド「BF11H」を演出制御部24に送信する(ステップS498)。
次いで、特別図柄1強制ハズレ時の設定を行う(ステップS499)。ここでは、特別図柄1強制ハズレ時の各種設定処理として、特別図柄1動作ステータスを「確定中(03H)」に切り替え(特別図柄1動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄1動作タイマ1(特図1変動時間管理タイマ)をゼロクリアし、特別図柄1動作タイマ2に確定表示時間(500ms)を設定し、特別図柄1変動中フラグをOFF状態(00Hを格納)に設定し、特別図柄1停止図柄番号に、上記特別停止図柄作成処理(図18のステップS415)で決定されたハズレ種別(ハズレA〜Cのいずれか)を指定する停止図柄番号を設定する。
以上のように本実施形態では、特別図柄1、2が並行して変動表示中である場合、一方の特別図柄の変動時間が先に終了して大当り図柄で停止表示させる場合には、変動表示中の他方の特別図柄の変動時間を強制終了させて(変動時間をゼロに設定)当該他方の特別図柄をハズレ図柄で停止表示させる強制停止制御を行う。また、一方の特別図柄の変動時間が先に終了して小当り図柄で停止表示させる場合には、変動表示中の他方の特別図柄の変動時間の計測を中断する計測中断制御を行う。また、計測中断中は変動中フラグをOFF状態にしない、つまり「変動表示中」として扱う。
そして特別図柄1、2のうち、一方の特別図柄を大当り図柄にて先に停止表示させ、他方の変動中の特別図柄をハズレ図柄で停止させる「強制ハズレ停止制御」を行う場合には、確定表示時間開始前、すなわち、当該一方の特別図柄の変動時間が終了したときに(特別図柄1動作タイマ1がゼロ、または特別図柄2動作タイマ1がゼロとなったとき)、当該他方の特別図柄をハズレ図柄で強制停止させるように制御する。このように制御する理由は、仮に、確定表示時間中(確定表示時間開始時〜確定表示経過時)に、他方の特別図柄をハズレ図柄で強制停止させる構成とした場合には、次のような問題が生じるからである。
たとえば、現在、特図1が大当り変動、特図2が小当り変動で並行して変動表示中の場合、先に特図1が大当り図柄で停止表示し確定表示期間の500ms中に、特図2が小当り図柄で停止表示してしまうというケースが生じうる。この場合、大当り図柄と小当り図柄が同時に停止表示される重複期間が生起してしまうばかりか、先に停止した特図1側では確定表示時間経過後に大当り遊技が発生し、その大当り遊技中に特図2の小当り図柄が停止表示している、という特別図柄表示装置38a、38bにおいて不適切な表示状態が発生してしまう。このため、強制ハズレ停止に係る処理を、変動時間が終了したタイミングで実行するようになっている(図23のステップS472またはS474の判定結果が‘=0’、図24〜図25の特別図柄1変動中処理、特別図柄2変動中処理を参照)。
また本実施形態では、一方の特別図柄(ここでは、特図2)を小当り図柄にて先に停止表示し、他方の変動中の特別図柄(ここでは、特図1)の変動時間の計測を中断させる計測中断制御を行う場合には、確定表示時間経過に「特別図柄停止2フラグ」をセットするのではなく、特図2の変動時間が終了したときに(特別図柄2動作タイマ1がゼロとなったとき)、「特別図柄停止2フラグ」をセットし(ステップS493〜S494)、図14のタイマ管理処理にて、特図1を対象とする計測中断処理を実行するようになっている(ステップS535の‘=5AH’の処理ルート)。このように制御する理由は、仮に、確定表示時間開始時〜確定表示経過時の間に、特別図柄停止2フラグをセットする構成とした場合には、次の問題が生じるからである。
たとえば、現在、特図2が小当り変動、特図1が大当り変動で並行して変動表示中の場合、先に特図2が小当り図柄で停止表示し確定表示期間の500ms中に、特図1が大当り図柄で停止表示してしまうというケースが生じうる。この場合、特図1の変動時間は既に経過しているため、特図1の変動時間に対する計測中断処理は最早できない。したがってこの場合も、上述した「強制ハズレ停止」ケースと同事象の問題が生じる。つまり、大当り図柄と小当り図柄が同時に停止表示される重複期間が生起してしまい、先に停止した特図2側では確定表示時間経過後に小当り遊技が発生し、その小当り遊技中に特図1の大当り図柄が停止表示するという、特別図柄表示装置38a、38bにおいて不適切な表示状態が発生してしまう。このため、小当り時に係る計測中断に係る処理を特図2の変動時間が終了したタイミングで実行するようになっている(図23のステップS472またはS474の判定結果が‘=0’、図25の特別図柄2変動中処理のステップS493〜S494、図14のタイマ管理処理のステップS535の‘=5AH’の処理ルート参照)。
上記「強制ハズレ停止制御」または「計測中断制御」を行う場合には、いずれにしても、確定表示時間中に行うのではなく、特別図柄の変動時間が終了したタイミングにて(変動時間終了時)、必要な処理を行うようになっている。これにより、不適切な表示状態を確実に防止することができる。
以上によりステップS499の処理を終えると、この特別図柄2変動中処理を抜ける。そして、特別図柄変動中処理(ステップS309)を抜けて、図15の特別図柄管理処理1の処理を抜ける。
<26.特別図柄確認時間中処理:図26A、図26B>
次に、図15中の特別図柄確認時間中処理(ステップS305(特図1対応)、S310(特図2対応))について説明する。図26A〜図26Bは、特別図柄確認時間中処理の詳細を示すフローチャートである。
図26Aにおいて、CPU201は、まず、現在の特別図柄作動確認データが00H(特図1が処理対象)であるのか、01H(特図2が処理対象)であるのかを判定する(ステップS501)。
特図作動確認データが00Hである場合(ステップS501:=00H)、次いで、特別図柄1動作タイマ2がゼロであるか否かを判定し(ステップS502)、特別図柄1動作タイマ2がゼロでないならば(ステップS502:≠0)、確定表示時間が経過していないとして、何もせずに、特別図柄確認時間中処理を抜ける。一方、特別図柄1動作タイマ2がゼロとなったならば(ステップS502:=0)、特図1の確定表示が終了したとして、特別図柄1動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄1動作ステータスに01Hを格納)(ステップS503)、ステップS504の判定処理に進む。
他方、特図作動確認データが01Hである場合(ステップS501:=01H)、次いで、特別図柄2動作タイマ2がゼロであるか否かを判定し(ステップS508)、特別図柄2動作タイマ2がゼロでないならば(ステップS508:≠0)、確定表示時間が経過していないとして、何もせずに、特別図柄確認時間中処理を抜ける。一方、特別図柄2動作タイマ2がゼロとなったならば(ステップS508:=0)、特図2の確定表示が終了したとして、特別図柄2動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄1動作ステータスに01Hを格納)(ステップS509)、ステップS504の判定処理に進む。
以下、ステップS504〜S521の処理では、特図作動確認データに基づく処理を行うが、処理対象の特別図柄種別が異なるだけで、基本的には同じ処理内容となっている。したがって以下では処理対象が特図1の場合(特図作動確認データが00H)を代表的に説明し、処理対象が特図2の場合についての説明は、重複記載を避けるために適宜省略する。
ステップS504に進むと、大当り判定フラグを取得し、今回の処理対象側の大当り判定フラグ(特図1の場合は特別図柄1大当り判定フラグ、特図2の場合は特別図柄2大当り判定フラグ)の状態を判定する(ステップS504)。ここでは、処理対象が特図1の場合(特図作動確認データが00H)について説明しているので、特別図柄1大当り判定フラグの状態を判定する。
(大当り判定フラグがON状態の場合:ステップS505〜S507)
上記ステップS504の判定で、大当り判定フラグが「ON状態(5AH)」であると判定された場合(ステップS504:=5AH)、大当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS505)。ここでは、大当り図柄停止時の各種設定処理(大当り遊技の開始前処理)として、大当り遊技中の遊技状態を指定する処理を行う。具体的には、図示の通り、条件装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納する。また試験信号用大当り判定フラグをON状態(5AH)に設定する。この試験信号用大当り判定フラグとは、型式試験信号を出力する際に利用されるフラグであり(後述の性能表示モニタ処理中の試射試験信号端子管理処理(図28のステップS823、図29参照)、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。試験信号用大当り判定フラグには、特図1に対応する試験信号用特別図柄1大当り判定フラグと、特図2に対応する試験信号用特別図柄2大当り判定フラグとが設けられている。ここでは、処理対象が特図1であるので、試験信号用特別図柄1大当り判定フラグをON状態(5AH)に設定する。またここでは、大当り判定フラグや各種機能のフラグをOFF状態(00H)に設定して大当り遊技中の遊技状態を「低確率・電サポ無し」に指定し、また特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変カウンタをゼロクリアする(00Hを格納)。
次いで、役連ゲート有効待ち時間として、特別電動役物動作タイマに5000msを設定する(ステップS506)。役連ゲート有効待ち時間は、特別図柄の確定表示時間が経過して大当りが確定した後、役連ゲートセンサ57aによる遊技球の検出を有効状態に設定されるまでのインターバル区間であって、オープニング演出区間(大当り開始演出や右打ち指示演出)を定めた時間幅を指す。したがって、この役連ゲート有効待ち時間が経過するまでは、役連ゲートスイッチ57aの検出は無効状態とされ、役連ゲートを遊技球が通過してもラウンド遊技は開始されない。
次いで、役連ゲート動作インターバル開始コマンド(ED01H)を演出制御部24に送信する(ステップS507)。役連ゲート動作インターバル開始コマンドには、今回の大当り種別とその大当り当選時の遊技状態とを特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、今回の大当り種別に応じた大当り開始演出や右打ち指示演出を開始する際に利用される。以上の処理を終えると、この特別図柄確認時間中処理を抜ける。
(大当り判定フラグがOFF状態の場合:ステップS510〜S521)
上記ステップS504の判定で、大当り判定フラグが「OFF状態(00H)」であると判定された場合(ステップS504:≠5AH)、小当り判定フラグを取得し、今回の処理対象側の小当り判定フラグ(特図1の場合は特別図柄1小当り判定フラグ、特図2の場合は特別図柄2小当り判定フラグ)の状態を判定する(ステップS510)。本実施形態の場合、特図1側に小当り当選は無いので、実際には、特図2の特別図柄2小当り判定フラグ(小当り判定フラグ)の状態だけが判定される。
小当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS510:≠5AH)、ステップS512の処理に進む。小当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS510:=5AH)、小当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS511)。ここでは、小当りを示す特別図柄が停止した場合の小当り遊技の開始前処理として、小当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、小当り中フラグに5AH(ON状態)を格納する。この小当り中フラグは、小当り遊技中であるか否かを指定するフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。またここでは、試験信号用小当り判定フラグをON状態(5AH)に設定する。この試験信号用小当り判定フラグとは、上記した試験信号用大当り判定フラグと同様に、型式試験信号を出力する際に利用されるフラグであり(後述の図28中の試射試験信号端子管理処理(S823)、図29参照)、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。上記小当り図柄停止時の各種設定処理を終えると、ステップS512の処理に進む。
次いで、特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態の残り回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS512)。特別図柄時短回数カウンタがゼロである場合(ステップS512:=0)、何もしないでステップS517の処理に進む。
特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS512:≠0)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄時短回数カウンタを1減算し(ステップS513)、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS514)。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS514:≠0)、特別図柄時短状態の終了回数に達していないので、何もしないでステップS517の処理に進む。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロの場合(ステップS514:=0)、特別図柄時短状態の終了回数(本実施形態では、7回(時短Bの場合)または50回(時短Aの場合))に達したとして、時短終了時の設定処理を行う(ステップS515)。ここでは、時短終了時の設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、および特別図柄時短状態フラグの各々に00H(OFF状態)を格納する。これにより次ゲームから、電チューサポートが付与されない「電サポ無し状態」下に置かれることになる。
ステップS515の時短終了時の設定処理を終えると、遊技状態情報送信処理(図19)を実行する(ステップS516)。遊技状態情報送信処理にて送信される状態コマンドには、残余時短回数情報が含まれるので、演出制御部24は、今回の図柄変動表示ゲームで時短状態が終了して次ゲームから通常状態に移行されることを把握し、次ゲーム(通常状態移行後の1ゲーム目)が開始された場合、上記「リザルト演出」を現出させ、2ゲーム目に上記「発射位置誘導演出(左打ち指示演出)」を現出させるための演出制御処理を行う((図31E(12)(13)参照)。
次いでステップS517の処理に進むと、特別図柄確変回数カウンタ(残りST回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS517)。
特別図柄確変回数カウンタがゼロである場合(ステップS517:=0)、特別図柄確認時間中処理を抜ける。一方、特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS517:≠0)、今回の特別図柄の変動回数消化分として、特別図柄確変回数カウンタを1減算し(ステップS518)、その減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS519)。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS519:≠0)、ST規定回数に達していないので、この特別図柄確認時間中処理を抜ける。一方、減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロの場合(ステップS519:=0)、特別図柄の変動回数がST規定回数(本実施形態では、65535回)に達したとして、確変終了時の設定処理を行う(ステップS520)。ここでは、潜確状態終了または確変状態終了に伴う通常遊技状態への移行設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、および特別図柄確変状態フラグの各々に00H(OFF状態)を格納する。これにより、次ゲームから、大当り抽選確率が高確率状態から低確率状態下に置かれることになる。なお本実施形態の場合、ST規定回数が65535回であるため、潜確状態または確変状態は、実質的に次回大当り当選まで継続されることになる。
ステップS520の確変終了時の設定処理を終えると、遊技状態情報送信処理(図19)を実行し(ステップS521)、この特別図柄確認時間中処理を抜ける。
以上により、この特別図柄確認時間中処理を終えると、図13に示すステップS093の特別図柄管理処理1(図15)を抜けて、次いで、同図のステップS094の特別図柄管理処理2(図16)を実行する。
<28.性能表示モニタ処理:図28>
次に、図13中の性能表示モニタ処理(ステップS101)について説明する。図28は、性能表示モニタ処理の詳細を示すフローチャートである。
本実施形態では、性能表示に関する処理の動作プログラムや記憶領域は、領域外メモリ(第2メモリ領域)に規定されている。そこで図28において、性能表示に関する処理を実行するために、CPU201は、まず、領域内RAMに係るスタックポインタを退避させ(ステップS821)、領域外RAMに係るスタックポインタの設定等の処理を実行する(ステップS822)。
次いで、試射試験装置に対する試験信号の出力処理に関する試射試験信号端子管理処理を実行する(ステップS823)。この試射試験信号端子管理処理についての詳細は、図29にて後述する。
次いで、領域内RAMの性能表示に係る記憶データに破損等があるか否かをチェックする領域外RAMチェック処理を実行する(ステップS824)。この領域外RAMチェック処理についての詳細は、図30Aにて後述する。
次いで、領域外用LED管理処理を実行する(ステップS825)。領域外用LED管理処理では、後述のステップS831で作成される表示データに基づき、性能表示器99に対して制御信号(ダイナミック点灯データ)の出力制御を行う。領域外用LED管理処理では、前回の割込み時にステップS831で設定された識別表示部用出力バッファ、ベース表示部用出力バッファにセットされたデータを性能表示器99に出力し、識別表示部およびデータ表示部の表示制御を行う。識別表示部用出力バッファ、ベース表示部用出力バッファは、識別表示部、ベース表示部の各表示パターンデータを格納するためのもので、これらは領域外RAMに設けられている。なお、この領域外用LED管理処理は、後述する表示更新処理(ステップS831)の後に実行してもよい。また、性能表示器99に対して制御信号の出力は、図13のLED管理処理(ステップS098)を利用してもよい。
(動作確認表示に関する処理:ステップS826→S833の処理ルート)
次いで、動作確認タイマがゼロであるか否か、すなわち、電源投入時の動作確認時間の5000msが経過したか否かを判定する(ステップS826)。動作確認タイマがゼロでない場合(ステップS826:≠0)、電源投入時の動作確認表示(全点滅)を行うための動作確認処理を実行する(ステップS833)。なお動作確認表示は、既に説明したように、動作確認タイマは、電源投入時における処理の一環である動作確認タイマ設定処理(図8BのステップS033)において設定されるようになっているため、動作確認中に電断した場合、その後の電断復帰時には、電断時の状態から動作確認が再開されるのではなく、電源復帰時に動作確認タイマが初期設定され、再度、動作確認時間5000msが経過するまで動作確認表示が行われることになる。この動作確認処理についての詳細は、図30Bにて後述する。
(通常表示に関する処理:ステップS826→S827の処理ルート)
一方、動作確認タイマがゼロである場合(ステップS826:=0)、動作確認表示が終了したとして、性能表示器99に対して性能情報を表示させるための通常表示処理(ステップS828〜S831)を行っていく。
まず、通常状態判定フラグに00Hを設定する(ステップS827)。この通常状態判定フラグとは、性能情報(本実施形態の場合、ベース値)を計測するための「計測対象区間」であるか否かを指定するためのフラグである。本実施形態の場合、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には計測対象区間(通常状態中)である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には計測非対象区間(通常状態中以外の遊技状態)である旨を示す。
次いで、現在の遊技状態が通常状態であるか否かを判定し(ステップS828)、通常状態である場合には(ステップS828:YES)、通常状態判定フラグにON状態(5AH)に設定し(ステップS829)、これにより、計測対象区間である旨を指定する。しかし通常状態でない場合には(ステップS828:NO)、何もせずに、すなわち、通常状態判定フラグをOFF状態(00H)のまま、ステップS830の処理に進む。したがって、この場合は、通常状態判定フラグがOFF状態に維持されて、現在の遊技状態が計測非対象区間である旨が指定されることとなる。
ところで、領域外RAMにおいて、領域内RAMで管理される現在の遊技状態情報(本実施形態では、遊技状態番号YJが該当)と同一のデータを管理する記憶領域を設けて、領域外RAMにおいても遊技状態番号YJを管理する構成とし、ステップS828の通常状態であるか否かの判定を行うに際して、そのYJの値を取得して判定処理を行う構成することができる。しかしこの場合、同一データが領域内RAMで管理されているにもかかわらず、重複した同一データをRAM203内で管理等することになり、無闇に領域外メモリを圧迫して制御負担が増してしまう。特に、本実施形態に係る遊技機では、領域外メモリに係る処理(性能表示に関する処理等)を実行する際に、領域内RAMにアクセスすることは禁止されておらず、また法的要請によりRAMの使用容量等が厳しく制限されているため、少しでもメモリ容量を提言させることが好ましい。そこで本実施形態では、領域外RAMにおいて、現在の遊技状態情報(遊技状態番号YJ)を管理する格納領域を設けることなく、領域内RAM側の遊技状態番号YJを取得することにより、通常状態であるか否かの判定処理を行うようになっている。
次いで、スイッチ入力データ設定処理を実行する(ステップS828)。スイッチ入力データ設定処理では、ステップS082で取得されるスイッチ入力データ、具体的には、中始動口センサ34a、右始動口センサ33a、右下始動口センサ35a、上大入賞口センサ42a、下大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43a、OUT監視スイッチ49aの各入力データに基づき、各入賞口に対する入賞の有無に関する入力データを作成する。ここで作成されたデータは、図8の性能表示モニタ集計除算処理(ステップS022)にて、通常時払出個数、通常時アウト個数、ベース値、全状態アウト個数のカウントに利用される。
次いで、図8Aの性能表示モニタ集計除算処理(ステップS040)で得られたベース値を性能表示器99に対して表示させるためのLED用表示データを更新し(ステップS829:表示データを更新処理)、識別表示部用出力バッファおよびデータ表示部用出力バッファ等のLED出力用バッファに設定する。ここで作成されたデータは、次回割込み時における上記領域外用LED管理処理(ステップS825)にて出力処理される。これにより、性能表示器99の性能情報の表示を実現する。
そして、退避していたレジスタの内容を復帰させて性能表示モニタ処理を抜ける。これにより、性能表示器99において性能情報(この実施形態では、現在のベース値(リアルタイムベース値)と前回の履歴情報(履歴ベース値))のリアルタイム表示を実現している。以上、図28の処理は、上記情報表示制御プログラムに基づいて性能表示器99に関する制御を行う情報表示制御手段として機能する。本実施形態では、RAM202の領域内RAMに、現在の遊技状態を特定するための遊技状態データ(本実施形態では、遊技状態番号YJ)を記憶可能な遊技情報記憶領域が設けられている一方、RAM202の領域外2RAMには、特定の遊技状態(たとえば、通常状態)であることを示す特定データを記憶可能な特定情報記憶領域が設けられている(ステップS829)。上記情報表示制御手段は、領域内RAMの遊技情報記憶領域に記憶されている遊技状態データ(遊技状態番号YJ)に基づいて、現在の遊技状態が特定の遊技状態(本実施形態では、通常状態(YJ=00H)であるか否かを判定する判定手段(ステップS828)と、上記判定手段により特定の遊技状態であると判定された場合、上記特定情報記憶領域に上記特定データを記憶する特定情報記憶手段(ステップS829)と、上記特定データに基づいて、上記遊技実績に関する特定情報(ベース値)を算出する算出手段(図8BのS040、S830)と、上記算出手段の算出された特定情報に関する情報を性能表示器99に表示制御するための表示制御手段(図28のS825、S831)と、を含んで構成される。
<29.試射試験信号端子管理処理:図29>
次に、図28中の試射試験信号端子管理処理(ステップS822)について説明する。図29は、試射試験信号端子管理処理の詳細を示すフローチャートである。
本実施形態の遊技機1は、第三者の試験機関(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第20条第5項の規定に基づく指定試験機関)が適正な遊技機であるか否かを判断するための型式試験に対応して、遊技機の制御状態を特定可能な「型式試験信号」を枠用外部端子基板21から出力可能に構成されている。なお、型式試験を行うために提供する遊技機には、試験装置に接続するための専用接続端子(試射試験装置情報端子)を設けてあり、遊技機と試験装置間で、試験信号の入出力を行い、型式試験の実施が可能となっている。また型式試験に適合した遊技機をパチンコホールに設置する際には、その適合した制御プログラムの変更は一切認められていないため、パチンコホールに設置後も、ステップS822の試射試験信号端子管理処理が割込みごとに繰り返し実行されることになるが、量産用の遊技機には上記専用接続端子が実装されておらず、データカウンタDTやホールコンピュータHC用の外端信号としては利用することができないようになっている。したがって、型式試験信号は、大当り中信号や短時大当り中信号などの外端信号とは異なる。
この試射試験信号端子管理処理では、型式試験に必要な遊技情報(試験用情報)を、領域外RAMに設けた1バイト長の外部出力バッファ(試射試験装置情報端子ポート1〜5に対応)に取得して、その情報(たとえば、フラグのON/OFF情報)を8ビットの出力ポート(試射試験装置情報端子ポート1〜5)に供給し、各種の試験用情報を型式試験信号として外部出力するようになっている。本実施形態では、試験用情報として、以下の第1情報〜第5情報の遊技情報を取得し、これらの情報を試射試験装置情報端子(試射試験装置情報端子ポート1〜5)から出力可能となっている。CPU201は、領域内RAMに格納されている各種データ(通常の遊技進行の処理状態に応じて格納されるフラグ等)を取得し、型式試験に必要な遊技情報を試験装置に送信するようになっている。
図29において、CPU201は、まず、第1情報を取得する第1情報取得処理を実行する(ステップS601)。この第1情報とは、図示の通り、特定のエラー種別フラグ(b0)、普通図柄当りフラグ(b1)、普通図柄確率変動フラグ(b2)、普通図柄時短状態フラグ(b3)、普通電動役物作動中フラグ(b4)、普電役物開放延長状態フラグ(b5)、普通図柄変動中フラグ(b6)、および試験信号用特別図柄2小当りフラグ(b7)である。なお、括弧内のb7〜b0(最上位ビットb7〜最下位ビットb0)は、各情報に対応するビット番号を示す(後述の第2情報〜第5情報についても同様)。
第1情報取得処理では、まず、特定のエラーが発生しているか否かを判定する。特定のエラーとして、ここでは、状態信号に係る入力ポートの状態をチェックし、上記球詰り信号、補給切れ信号、計数エラー信号、扉開放信号などが発生していれば、最下位ビットb0を1(H)に設定する。そして、普通図柄当りフラグ(b1)、普通図柄確率変動フラグ(b2)、普通図柄時短状態フラグ(b3)、普通電動役物作動中フラグ(b4)、普電役物開放延長状態フラグ(b5)、普通図柄変動中フラグ(b6)、および試験信号用特別図柄2小当りフラグ(b7)を取得し、フラグ値がOFF状態(00H)であるものは対応するビットに0(L)、ON状態(5AH)であるものは対応するビットに1(H)を設定する(後述の第2情報〜第5情報についても同様)。たとえば、特定のエラー未発生、確変状態(普通図柄確率変動フラグON、普通図柄時短状態フラグON、普電役物開放延長状態フラグON)、普電開放遊技中(普通図柄当りフラグON,普通電動役物作動中フラグON、普通図柄変動中フラグOFF(普通図柄は補助当り図柄で停止中))、および特図2が小当り当選状態(試験信号用特別図柄2小当りフラグON)の遊技状況であれば、第1情報に係るビットパターンは「10111110」となる。そして、第1情報に係る各種フラグのON/OFF状態に関する情報を試射試験装置情報端子ポート1へ出力する(ステップS602)。なお、試験装置に対する送信形態は、シリアル形態であってもパラレル形態であってもよい(後述のステップS603〜S610についても同様)。これにより、第1情報に属する各種の情報が型式試験信号として出力される。したがって、本処理において各ビットに対応して試験装置に出力される型式試験信号種別は、図示の試射試験装置情報端子ポート1の欄に掲げる「遊技機エラー状態信号(b0)〜特別図柄2小当り信号(b7)」となる。
次いで、第2情報を取得する第2情報取得処理を行う(ステップS603)。この第2情報とは、条件装置作動フラグ(b0)、役物連続作動装置作動フラグ(b1)、試験信号用特別図柄1大当りフラグ(b2)、特別図柄確率変動フラグ(b3)、特別図柄時短状態フラグ(b4)、特別図柄1変動中フラグ(b5)、および特別電動役物1作動フラグ(b6)であり、最上位のビットb7は、未使用となっている。上記「特別電動役物1作動フラグ」とは、上特別変動入賞装置42(大当り用の上大入賞口40側)が作動中か否かを判定するために利用されるフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には、特別変動入賞装置42が作動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には、上特別変動入賞装置42が未作動中である旨を示す。なお、ラウンド遊技間において当該フラグがON状態(=5AH)となる期間、つまり上特別変動入賞装置42が作動中とされる期間は、大入賞口40が開放してからその大入賞口40が閉鎖された後、残存球排出時間(遊技球が大入賞口から排出される余裕時間:1980ms)が経過するまでの期間となっており、それ以外は、OFF状態(=00H)となっている。また上記「特別電動役物1作動フラグ」とは別に「特別電動役物2作動フラグ」が設けられており、この「特別電動役物2作動フラグ」とは、下特別変動入賞装置52(小当り用の下大入賞口40側)が作動中か否かを判定するために利用されるフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には、下特別変動入賞装置52が作動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には、下特別変動入賞装置52が未作動中である旨を示す。
そして、上記第2情報に係る各種フラグのON/OFF状態を、枠用外部端子基板21の試射試験装置情報端子ポート2へ出力する(ステップS604)。これにより、第2情報に属する各種の情報が型式試験信号として出力される。本処理における型式試験信号種別は、図示の試射試験装置情報端子ポート2の欄に掲げる「条件装置作動中信号(b0)〜特別電動役物1作動中信号(b6)(最上位ビット(b7)は未使用)」となる。
次いで、第3情報を取得する第3情報取得処理を行う(ステップS605)。この第3情報は、普通図柄番号(b0〜b2)、試験信号用特別図柄2大当りフラグ(b3)、特別図柄確率変動フラグ(b4)、特別図柄時短状態フラグ(b5)、および特別図柄2変動中フラグ(b6)、および特別電動役物2作動フラグ(b7)である。普通図柄番号(普通停止図柄番号)とは、普通図柄表示装置39aに停止表示させる普通停止図柄態様を指定するデータである。ここでは、下位3ビットを使用し普通停止図柄番号を特定する。
そして、上記第3情報に係る普通停止図柄番号および各種フラグのON/OFF状態を、枠用外部端子基板21の試射試験装置情報端子ポート3へ出力する(ステップS606)。これにより、第3情報に属する各種の情報が型式試験信号として出力される。本処理における型式試験信号種別は、図示の試射試験装置情報端子ポート3の欄に掲げる「普通停止図柄番号(b0〜b2)〜特別電動役物2作動中信号(b7)」となる。なお、特別図柄変動中フラグ(特別図柄1変動中フラグまたは特別図柄2変動中フラグ)は、変動表示中はON状態であることは勿論のこと、変動時間の計測中断中もON状態が維持される(図24、図25参照)。したがって、特図1が計測中断中の期間は、特別図柄1変動中信号の出力状態が維持され、特図2が計測中断の期間は、特別図柄2変動中信号の出力状態が維持される。ただし本実施形態の場合、特図2側にのみ小当り当選があるので、計測が中断されるのは特図1側だけとなる。また、強制ハズレ停止の場合は、強制的にハズレ図柄で停止表示されるため、特別図柄変動中フラグはOFF状態となり、特別図柄2変動中信号の出力が停止状態とされる。
次いで、第4情報を取得する第4情報取得処理を行う(ステップS607)。この第4情報は、特図1の特別停止図柄番号(特別図柄1停止図柄番号)(b0〜b7)である。ここでは、1バイト以下を使用して特図2の特別停止図柄番号を指定する。
そして、上記第4情報に係る特別図柄1停止図柄番号を特定可能な情報を、枠用外部端子基板21の試射試験装置情報端子ポート4へ出力する(ステップS608)。これにより、第4情報に属する各種の情報が型式試験信号として出力される。本処理における型式試験信号種別は、図示の試射試験装置情報端子ポート4の欄に掲げる「特別図柄1データ(特別図柄1停止図柄番号を特定可能な信号)(b0〜b7)」号となる。
次いで、第5情報を取得する第5情報取得処理を行う(ステップS609)。この第5情報は、特図2の特別停止図柄番号(特別図柄2停止図柄番号)(b0〜b7)である。ここでは、1バイト以下を使用して特図2の特別停止図柄番号を指定する。
そして、上記第5情報に係る特別図柄1停止図柄番号を特定可能な情報を、枠用外部端子基板21の試射試験装置情報端子ポート5へ出力する(ステップS610)。これにより、第5情報に属する各種の情報が型式試験信号として出力される。本処理における型式試験信号種別は、図示の試射試験装置情報端子ポート5の欄に掲げる「特別図柄2データ(特別図柄2停止図柄番号を特定可能な信号)(b0〜b7)」となる。そして上記ステップS610の処理を終えると、試射試験信号端子管理処理を抜ける。
なお、上記第1情報〜第5情報の各種情報をどのように組み合せて、どの試射試験装置情報端子ポートから型式試験装置に出力するかは、適宜決定することができる。また、試験用情報も第1情報〜第5情報に限らず、必要に応じて適宜決定することができる。
<30A.領域外RAMチェック処理:図30A>
次に、図28中の領域外RAMチェック処理(ステップS824)について説明する。図30A(A)は、本実施形態に係る領域外RAMチェック処理の詳細を示すフローチャートであり、同図(B)は、領域外RAMチェック処理の変形例を示すフローチャートである。この領域外RAMチェック処理は、図28の性能表示モニタ処理中だけでなく、図8Aの性能表示モニタ集計除算処理中(ステップS040)にも実行される処理(共通処理)となっている。
この領域外RAMチェック処理では、性能表示に関する処理が正しく実行されているか否かのチェック(ステップS841)、性能表示に係るRAM領域のデータに破損等があるか否かのチェックを行い(ステップS842)、異常がある場合には、計測データをクリアするデータ初期化処理を実行する(ステップS843)。
図30において、CPU201は、まず、チェックデータが初期値の正常値(AA55H)であるか否かを判定する(ステップS831)。このチェックデータとは、全状態アウト個数Rと通常時アウト個数Sとを比較判定する処理(アウト球数確認処理:図示せず)において監視されるデータであり、たとえば、全状態アウト個数Rよりも通常時アウト個数Sが多い場合に(R<S)、異常が発生したとして、チェックデータの異常を示す値として「00H」が設定される。このチェックデータが正常値(AA55H)でない場合には(ステップS831:NO)、ステップS843に進み、後述のデータ初期化処理を実行する。
チェックデータが正常値である場合には(ステップS841:YES)、続いて、計数データに異常が発生したか否かを判定する(ステップS842)。計数データに異常が発生した場合とは、たとえば、スイッチ入力データが異常値を示している場合や、性能情報の算出に要する演算処理が正しく実行されていない場合などである。演算処理が正しく実行されていない場合とは、代表的には、性能情報の算出に係るセンサに対する演算処理(球数カウント処理)が正しく行われていない場合が挙げられる。本実施形態の計数対象となるセンサとは、中始動口センサ33a、右始動口センサ34a、右下始動口センサ35a、一般入賞口センサ43a、下大入賞口センサ52a(上大入賞口センサ42aは大当り用の上大入賞口40に係る検出センサのため除外)、OUT監視スイッチ49aの6種類のセンサである。したがって、これらのすべてのセンサを対象とした「球数カウント処理」、具体的には、賞球数加算処理(図示せず)とアウト球数加算処理(図示せず)とが正しく実行されたか否かが判定される。
球数カウント処理は、既に説明したように、図8に示すメイン処理中の性能表示モニタ集計除算処理(ステップS040)にて実行される。この球数カウント処理では、まず、中始動口センサ33a、右始動口センサ34a、右下始動口センサ35a、一般入賞口センサ43a、および下大入賞口センサ52aの5つのセンサを対象に、入賞の有無を順番にチェックしていき、入賞を確認した場合にはその賞球数を加算する賞球数加算処理を行い、当該処理を終える毎に、処理回数をカウントする「センサ検出回数カウンタ」に1加算していく(センサ検出回数カウンタ+1)。具体的には、中始動口センサ33aに係る賞球数加算処理を終えるとセンサ検出回数カウンタに1加算されて、その値が「01H」に更新され、続いて、右始動口センサ34aに係る賞球数加算処理を終えるとセンサ検出回数カウンタの値が1加算されて「02H」に更新され、・・・、最後の下大入賞口センサ52aに係る賞球数加算処理を終えるとセンサ検出回数カウンタは「05H」に更新される。そして最後に、OUT監視スイッチ49aを対象としたアウト球数加算処理を行い、このアウト球数加算処理を終えたときに、センサ検出回数カウンタをゼロクリア(00H)する。したがって、上記球数カウント処理(賞球数加算処理、アウト球数加算処理)を終えたときの、センサ検出回数カウンタがとり得る値の範囲は「00H」〜「05H」となり、球数カウント処理(最後のアウト球数加算処理)を正しく終えたときは、センサ検出回数カウンタに「00H」が設定されているはずである。しかし何かしらの不具合により、この値が「00H」〜「05H」以外の値となった場合、または中始動口センサ33aに対する賞球数加算処理を開始する際に「00H」以外である場合等は、計数データに正当性がない(異常である)として(ステップS842:=範囲外)、データ初期化処理を実行する(ステップS843)。一方、計数データが正当である場合には(ステップS832:範囲内)、正常であるとして、ステップS843のデータ初期化処理をスキップして、領域外RAMチェック処理を抜ける。
ステップS843のデータ初期化処理では、チェックデータに初期値(正常値)である「AA55H」を設定し、性能表示に係るRAM領域(性能表示格納領域、計測情報格納領域等)をクリアし、現在表示中の表示データをクリアする。ただし、性能表示に係るRAM領域のうち、計測情報格納領域だけをクリアしてもよい。その理由は、性能表示格納領域に保存されているデータには、通常、前回のベース値データが保存されているが(今回が初回計測時の場合は、テスト区間用の特定値が保存(データ無しを指定する値が保存)、このデータは、前回正しく処理された結果が保存されていると考えられるからである。また、動作確認タイマもクリアしてもよい。なお異常と判断されて、データ初期化処理が実行されても、性能表示器99にエラー表示をするだけで、遊技停止や新たなベース値を計測しない等の特別なエラー処理は実行せずに、新たなベース値を算出するための後続処理(図28のステップS824〜S829)を進める。
なお、ステップS843のデータ初期化処理が実行された場合、所定時間(たとえば、10分)にわたってエラー報知(ベース値カウントエラー報知)を実行する構成としてもよい。この場合、性能表示器99をエラー専用の表示態様で表示することができる。また、エラー表示中であっても、新たなベース値の計測(通常時払出個数、通常時アウト個数、全状態アウト個数のカウント、ベース値の算出)を行う。上記エラー表示期間は、所定時間であってもよいし、所定の遊技期間、たとえば、通常時払出個数、通常時アウト個数、または全状態アウト個数が所定個数(エラー解除個数:たとえば、100個)に達するまでの期間や、新たな通常状態が到来するまでの期間(新たな計測対象区間が到来するまでの期間)であってもよい。勿論、エラー表示期間中に新たな計測は開始せず、エラー表示が終了後に新たな計測を開始する構成としてもよいし、領域内RAM異常(バックアップフラグ異常、設定値データ異常など)と同じく、電源再投入をエラー解消条件としてもよい。
以上のように本実施形態では、性能表示に係るRAM領域は、性能表示モニタ集計除算処理(図8BのステップS040)および性能表示モニタ処理(図13のステップS101)においてチェックされ、不具合がある場合には、少なくとも性能情報を算出するために必要な計測データを記憶した領域外RAM領域(計測情報格納領域)を初期化した後、初期状態から計測を開始させる。また、性能表示に係る領域外RAM領域は、電源投入時におけるRAMチェック対象、つまり図8AのステップS021、図8BのステップS028のRAM初期化処理の対象ではない。したがって仮に、領域内RAMの内容に不具合が生じても、性能表示に関するデータが一緒くたには初期化(クリア)されることがなく、通常の遊技進行に係るデータだけが独立して初期化される。よって、性能表示に係るRAM領域の記憶内容にさえ不具合がなければ、バックアップ機能が正常に動作し、遊技機が通常通りに動作する限り、数日であっても数年であっても永続的にそのデータが保持することができ、長期にわたる性能情報の保持と性能情報表示とが可能となる。
(領域外RAMチェック処理の変形例:図30A(B))
図30A(A)の領域外RAMチェック処理は、次のような構成とすることができる。
図30A(B)は、図30A(A)の領域外RAMチェック処理の構成に、ステップS843のデータ初期化処理に、動作確認タイマをゼロクリアする処理と、ステップS844の動作確認タイマに5000msを設定する処理とを追加したものである。他の処理内容は、図30A(A)と同一内容である。
図30A(B)の構成では、図示の通り、データ等の不具合によりステップS841の判定結果がNO、ステップS842の判定結果が範囲外と判定された場合、ステップS843のデータ初期化処理として、チェックデータ、性能表示に係るRAM領域(性能表示格納領域、計測情報格納領域等)をクリアし、現在表示中の表示データをクリアし、さらに、動作確認タイマをクリアする。そして、動作確認タイマに5000msを再セットする(ステップS844)。したがって、本変形例の場合、領域外RAMの内容に異常が生じた場合、RAMの初期化後に、再度、動作確認表示が5秒間実行されることになる。この点、電断復帰時にしか動作確認表示が実行されない図30A(A)の構成とは異なる。なお、本変形例において動作確認タイマを再セットしない場合には、データ初期化処理が実行されると動作確認表示中である場合はその表示が強制終了することになる。その後、性能表示器99には、リアルタイムベース値や履歴ベース値が表示される。
<30B.領域外RAMチェック処理:図30B>
次に、図28中の動作確認処理(ステップS833)について説明する。図30Bは、動作確認処理の詳細を示すフローチャートである。
図30Bにおいて、CPU201は、まず、動作確認タイマを1減算するとともに、点灯用タイマに1加算する(ステップS851、S852)。
次いで、点滅切替タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS853)。本実施形態では、動作確認表示中は消灯期間と点灯期間とが、たとえば300msの所定周期で繰り返される。この点滅切替タイミングは、点灯用タイマにより管理される。本実施形態では、4msの割込み毎に点灯用タイマが1加算される。切替タイミングが300ms周期であれば、点灯用タイマの値が「75」であるか否かで点滅切替タイミングが到来したと判定することができる。点滅切替タイミングが到来していない場合には(ステップS853:NO)何もせずに、つまり現在の点灯または消灯状態を維持したまま動作確認処理を抜ける。
一方、点滅切替タイミングが到来した場合(ステップS853:YES)、点灯用タイマをクリアし(ステップ854)、更新周期カウンタを更新する(ステップS856)。更新周期カウンタは、点灯であるか点滅であるかを決定するためのカウンタとして利用される。たとえば、更新周期カウンタが0〜255の範囲をインクリメント処理(ステップS856が該当)により循環する8ビットカウンタである場合、更新周期カウンタの値の最下位ビットが‘0’である場合には点灯制御し、‘1’である場合には消灯制御をする、といった点滅制御を行うことができる。
次いで、更新周期カウンタを参照して、その値が「0」であるか「1」であるかを判定する(ステップS856)。本実施形態の場合、動作確認表示開始時は、更新周期カウンタはゼロ、性能表示器99は全点灯に制御されるようになっている。したがって、最初に本処理を通過する場合は、上記ステップS856の処理にて更新周期カウンタの値が「1」に更新されるため、ステップS857の処理に進み(ステップS856:=1)、識別表示部用出力バッファとベース表示部用出力バッファとに、それぞれ消灯データ、すなわち「0000H」をセットする(ステップS857、S858)。これらの消灯データは、データテーブル等を参照することなく各出力バッファに直接書き込まれる。これにより、点灯期間が終了し消灯期間が生起する。
他方、次回の点滅切替タイミングが到来して(ステップS853:YES)、更新周期カウンタが「0」である場合(ステップS856:=0)、ステップS859の処理に進み、識別表示部用出力バッファとベース表示部用出力バッファとに、それぞれ点灯データ、すなわち「FFFFH」をセットする(ステップS859、S860)。これらの点灯データもデータテーブル等を参照することなく各出力バッファに直接書き込まれる。これにより、点灯期間が終了し消灯期間が生起する。これにより、消灯期間が終了し点灯期間が生起する。本実施形態では、動作確認表示をするに際し、たとえば、通常時の表示制御に用いる図37に示すようなLEDデータテーブルを参照することなく、単に各出力バッファに所定のデータ値をセットするだけであるので、簡易な処理で動作確認表示(全点滅)を実現することができる。
以上の動作確認処理により、性能表示器99が全点灯と全消灯とを繰り返す全点滅(動作確認表示)が所定時間(5000ms間)行われ、目視により性能表示器99の動作チェックが可能である。仮に性能表示器99が正常な動作確認表示を行わない場合、たとえば、断線等により7セグメント表示器の一部が消灯しっぱなしの場合等は、部品交換等の適切な処置を行えばよい。
なお、動作確認処理中も、性能表示モニタ集計除算処理(図8BのS040)は実行され、少なくともベース値の算出に必要なカウント処理は行われる。これにより、動作確認中の入賞球やアウト球についても、動作確認表示後に表示されるベース値に正確に反映させることが可能となっている。ただし動作確認表示中はベース値が表示されないため、動作確認表示中の5000ms間はベース値の算出は行わなくてもよいし、行ってもよい。また、動作確認処理中に、性能表示器99に異常が生じたか否かを判定する判定処理を設け、異常が生じた場合には、専用のエラーコマンド(動作確認表示エラーコマンド)を演出制御部24に送信する処理を設けてもよい。演出制御部24が動作確認表示エラーコマンドを受けた場合、演出手段を利用して、性能表示器99に異常が生じた旨を報知することができる。たとえば、警報音とともに、液晶表示装置36に「性能表示器99に異常が生じています」等の演出画像を表示する。これにより、たとえば、目視では確認し辛いデシマルポイントDP等の不具合を見逃す恐れが無い。
<30C.表示データ更新処理:図30C>
次に、図28中の表示データ更新処理(ステップS831)について説明する。図30Cは、表示データ更新処理の詳細を示すフローチャートである。
図30において、CPU201は、まず、ベース値の表示期間として、テスト区間であるのか、初回(N=1)の計測区間であるのか、その後の計測区間(N≧2)であるのか、リアルタイムベース値表示区間であるのか、履歴ベース値表示区間であるのかなど、複数の表示区間のいずれかに応じて、識別表示部LEDデータテーブルから識別表示部表示パターンデータを取得し(ステップS871)、識別表示部用出力バッファにセットする(ステップS872)。本実施形態では、リアルタイムベース値を表示する第1ベース値出力期間と、履歴ベース値を表示する第2ベース値出力期間の2種類のベース値出力期間を設け、それらを5000ms毎に切り替えるようになっている。また、識別表示部LEDデータテーブルには、図38(a)に示すように、リアルタイムベース値を示す「bL.」の識別表示に対応する表示パターンデータ(上位「01111100B」(‘b’表示の7セグ用)、下位「10111000B」(‘L’表示の7セグ用)と、履歴ベース値を示す「b6.」の識別表示部の表示に対応する表示パターンデータ(上位「01111100B」(‘b’表示の7セグ用)、下位「11111101B」(‘6.’表示の7セグ用))とが記憶されている。
また、その時点のベース値(リアルタイム計測中のベース値)に応じて、10進数値LEDデータテーブルからベース表示部用表示パターンデータを取得し(ステップS873)、ベース表示部用出力バッファにセットする(ステップS874)。10進数値LEDデータテーブルには、図38(b)に示すように、0〜9の10種類の数値に対応する各1バイト長の表示パターンデータが記憶されている。たとえば、上記リアルタイムベース値を表示する第1ベース値出力期間であって、その時点の第1ベース値が「35」であれば、10進数値LEDデータテーブルから10の位の表示データとして「3」に対応する‘01001111B’を取得し、1の位の表示データとして「5」に対応する‘01101101B’とを取得し、ベース表示部用出力バッファにセットする。
以上の表示更新処理により、全点滅(動作確認)を終了した後の性能表示器99には、リアルタイムベース値と前回の履歴ベース値とが周期的に切替表示される(たとえば、5000ms毎)性能表示を実現することができる。
(電源投入後における性能表示器99の表示態様の具体例:図38)
図38は、RAM初期化(RAMクリア)時、設定変更時、RAM異常時(設定値データ異常時、バックアップフラグ異常時)、設定確認時、バックアップ復帰時の場合における、各種の期間中の性能表示器99の表示態様を示したものである。ただし、図38は、性能表示器99の4個の7セグメント表示器のうちの1個を、設定表示器97として機能させる構成とした場合の表示態様を例示する。
本実施形態では、RAM異常時を除き、領域内RAM初期化処理(図8BのステップS028)、設定変更処理(図8BのステップS022、図11)、設定確認処理(図8BのステップS026、図12)、またはバックアップ復帰処理(図8BのステップS027)が終了した後に、主制御部側タイマ割込処理(図13)が起動して動作確認期間が開始され、性能表示器99による5秒間の全点滅(確認表示)が行われた後、ベース値の表示が行われるようになっている(図8BのステップS032〜S035、図28のステップS833)。したがって、図38に示すように、RAMクリア時における「RAMクリア中です」等のRAMクリア報知演出中、設定変更時における「設定変更中です」等の設定変更中演出中(設定変更操作期間中)、RAM異常時における「RAMエラー 電源を再投入して設定値を変更してください」等の電源再投入指示演出中(電源再投入待ち期間中)については、動作確認期間の開始前であるため、性能表示器99の表示は、全消灯または非表示状態となる。ただし、設定確認中演出中(設定確認期間中)、設定変更中演出中(設定変更操作期間中)については、性能表示器99の4個の7セグメントLEDのうち1つが設定表示器97として機能するため、設定値情報が表示される(図示の「設定値表示」の表記の欄参照)。RAM異常時の場合には、電源再投入待ち状態下に置かれ(図8AのステップS019、図10(B))、電源が再投入されるまで遊技動作が停止するため、性能表示器99には全消灯(非表示)のままとなる(図示の電源再投入表示の欄参照)。
なお、RAMクリア時、設定変更時、設定確認時、バックアップ復帰時のいずれの場合についても、各処理後の客待ち待機演出中(客待ちデモ画面表示中)に、動作確認表示に係る5秒間の全点滅が終了した場合には、その後、ベース値の表示を開始する。また設定変更時には、設定変更操作の終了を契機に5秒間の全点滅が開始するため、「設定が変更されました」等の設定変更完了演出が5秒以上継続する場合には、その設定変更完了演出中に5秒間の全点滅が終了し、ベース値の表示を開始する。したがってこの場合は、設定変更完了演出とベース値表示との重複表示期間が生じることになる。他の演出、たとえば、バックアップ復帰時の「停電から復帰しました 遊技を再開してください」を表示する復旧完了演出等(図示せず)も同様に、5秒以上継続する場合には、その復旧完了演出中に5秒間の全点滅が終了し、ベース値の表示を開始する。
なお、RAMクリア時に係るRAMエラー報知は他の報知演出よりも最優先で実行され、そのRAMエラー報知実行中に主制御部20から演出制御コマンドが送信された場合であっても、RAMエラー報知が終了しない限り(RAMクリア報知タイマの30秒経過後)、他の演出は実行されない。また、RAMクリア報知タイマ(図8BのステップS030参照)が経過しなければ、それ以上処理が進まない構成である場合には、RAMエラー報知中は全消灯(非表示)のままである。しかしRAMクリア報知タイマが単にRAMエラー報知時間をカウントするだけで後続の処理を進める構成であれば、RAMエラー報知の開始から5秒間は全点滅し、その後はベース値の表示が開始されることになる。
以上に説明した各実施形態では、遊技媒体として遊技球を利用したパチンコ遊技機について説明したが、本発明の目的を達成できる遊技機であれば特に制限されない。たとえば、遊技媒体として遊技メダルを利用する遊技機や、電磁気的記録を利用した遊技媒体を利用した遊技機(いわゆる「封入式遊技機(管理式遊技機)」などの遊技機)や、回胴式遊技機などであってもよい。また本発明の目的を達成し作用効果を奏するものであれば、同時変動タイプに限らず、一方の特別図柄が変動表示中の場合は他方の特別図柄を変動させないタイプの遊技機にも当然に適用することができる。