JP2019056139A - 耐カルシウムスケール付着性に優れた銅合金部材 - Google Patents

耐カルシウムスケール付着性に優れた銅合金部材 Download PDF

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Abstract

【課題】より高い耐カルシウムスケール付着性を発揮することの出来る給湯器用熱交換器の伝熱管及びその配管や、建築用配管等において用いられる給湯用配管に好適に用いられ得る銅合金部材を提供すること、またそのような銅合金部材を用いて構成される機器の寿命を有利に向上せしめること。【解決手段】Pを0.15〜0.50重量%の割合で含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金部材において、銅合金部材の材質中に、P酸化物を含有し、且つかかるP酸化物のうちの円相当直径が0.1μm以上のものの数密度が、50000個/mm2以下となるように構成した。【選択図】なし

Description

本発明は、耐カルシウムスケール付着性に優れた銅合金部材の改良に係り、特に、エコキュート、エコジョーズ、エネファーム等の給湯器用熱交換器の伝熱管及びその配管や建築用配管等に好適に用いられる銅合金管に関するものである。
従来から、給湯器における熱交換器に用いられる伝熱管及びその給湯配管や建築用配管等において用いられる給湯用配管には、耐食性、ろう付け性、熱伝導性、曲げ加工性等において、優れた特徴を発揮するりん(P)脱酸銅管(JIS−H3300−C1220T)が、主として用いられてきている。
そして、そのような給湯器用熱交換器の伝熱管及びその配管や、建築用配管等において用いられる給湯用配管として、りん脱酸銅管を使用した場合において、その管内には、一般的に、上水乃至は水道水や地下水等の水が流通せしめられることとなるのであるが、それら水道水等の水中には、不可避的に、カルシウム(Ca)イオンや炭酸イオン(CO3 2- )、炭酸水素イオン(HCO3 -)が含有されることとなるために、それらのイオンを起因として、管内面に、炭酸カルシウム(CaCO3 )からなるカルシウム(Ca)スケールが付着し、堆積するようになり、これによって、流路が狭窄されて、圧損が高まり、機器の使用が困難となってしまう問題を惹起することは、よく知られているところである。
このため、給湯器用熱交換器の伝熱管及びその配管や、建築用配管等において用いられる給湯用配管における各種のCaスケール付着防止対策が、従来より提案されてきており、例えば、特開2008−304170号公報においては、りん(P)含有量を0.3〜8質量%とし、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有する銅合金管からなる耐Caスケール付着性熱交換器用伝熱管が明らかにされており、また、特開2009−235428号公報においては、Pを0.001〜0.2質量%含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金部材において、その表面に、Cu20 及び/又はCuOからなる酸化皮膜を100〜1000nmの厚さで存在させると共に、かかる酸化皮膜中のP濃度の最大値が0.1〜5.0原子%となるように構成することにより、炭酸カルシウムを主成分としたスケールの付着を抑制することが出来、更に合金中にZr及び/又はSnを含有させることにより、耐スケール性が改善され得ることが明らかにされている。更に、特開2010−151436号公報においては、二酸化炭素冷媒と水との間で熱交換を行う熱交換器において、水流路にCaスケールが析出するのを防止するために、水流路内にマイクロバブルを導入することからなるCaスケール析出防止方法が、提案されている。
しかしながら、それら従来からのCaスケール付着防止対策にあっては、何れも、Caスケールの付着防止効果が、今一つ充分でなかったり、銅合金管の製造自体を難しくしたり、或いは製造工程を複雑にして、製造コストの上昇を招いたり、更には銅合金管に対して特別な装置を設置したり、或いは特別な対策を講じたりする必要がある等、実用上において、何等かの問題を内在するものであった。例えば、上記した特開2008−304170号公報に開示の如き伝熱管において、Pを多量に添加すると、加工性が著しく低下してしまう問題があり、またPの添加量が少ない場合においては、耐Caスケール付着性に係る性能が充分に発揮され得ず、特に、水中に含まれるCaイオン、炭酸イオン、炭酸水素イオンが多い地域で使用された場合において、配管内壁へのCaスケールの形成を充分に防止することが出来ない問題を内在している。また、特開2009−235428号公報に開示の如き銅合金部材においても、上記と同様に、高Ca地域において、Caスケール付着防止能が不足する問題があり、更に表面に酸化皮膜を形成するために、銅管内部を特定のガスで置換してから焼鈍する工程が必要となる等、その生産工程を考慮すると、その生産性に問題を内在するものであった。更に、特開2010−151436号公報においても、マイクロバブルの導入装置を特別に設ける必要がある等の問題を内在しており、それが、製造コストの上昇に繋がるものであった。
特開2008−304170号公報 特開2009−235428号公報 特開2010−151436号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、耐Caスケール付着性に優れた銅合金部材を提供することにあり、特に、従来よりも高い耐Caスケール付着性を発揮することが出来、更に加工性や生産性に優れ、給湯器用熱交換器の伝熱管及びその配管や、建築用配管等において用いられる給湯用配管として好適に用いられ得る銅合金部材としての管体を提供することにあり、また、そのような銅合金部材を用いて構成される機器の寿命を、有利に向上せしめることにもある。
そこで、本発明者らは、給湯器用熱交換器の伝熱管及びその配管や、建築用配管等において用いられる給湯用配管等に用いられる銅管等の銅合金部材におけるCaスケールの付着について更に検討を重ねた結果、P(りん)の含有量を0.15〜0.50重量%の範囲に制御すると共に、かかる銅合金部材の材質中に含まれるP酸化物のうち、円相当直径が0.1μm以上であるものの数密度を50000個/mm2 以下の範囲内に制御することによって、従来技術の課題を解決しつつ、耐Caスケール付着性をより一層向上せしめ得る事実を見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、上述の如き課題の解決を図るべく、Pを0.15〜0.50重量%の割合で含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金部材にして、該銅合金部材の材質中に、P酸化物を含有し、且つかかるP酸化物のうちの、円相当直径が0.1μm以上のものの数密度が、50000個/mm2 以下であることを特徴とする耐カルシウムスケール付着性に優れた銅合金部材を、その要旨とするものである。
要するに、本発明にあっては、従来の耐食・耐スケール性銅合金部材とは異なり、実用的に有用な特定割合のPを含有し、且つ残部がCuと不可避的不純物からなるCu材質を採用すると共に、それに含有されるP酸化物のうちの、円相当直径が0.1μm以上のものの数密度を規制することによって、耐カルシウムスケール付着性を更に効果的に向上せしめ得たのである。
ところで、かかる本発明に従う耐スケール付着性に優れた銅合金部材において、その好ましい態様の一つにあっては、前記不可避的不純物のうちの、Cr,Mn,Fe,Co,Zr及びMoからなる特定不純物元素群の含有量は、合計で0.01重量%以下とされることとなる。
また、本発明に従う耐Caスケール付着性に優れた銅合金部材の望ましい態様の別の一つにあっては、前記不可避的不純物のうちの、上記特定不純物元素群以外の不純物元素の含有量は、合計量で、0.05重量%以下とされることとなる。
さらに、本発明の別の望ましい態様にあっては、かかる銅合金部材は、Caイオンや炭酸イオン乃至は炭酸水素イオンを含有する水に接触せしめられて、Caスケールが、表面に付着する作用にさらされる部材である。
加えて、本発明に従う銅合金部材は、好ましくは、前記Cu材質にて構成された管体であって、該管体内に、Caイオンや炭酸イオン乃至は炭酸水素イオンを含有する水が流通せしめられるようになっているものである。
なお、かかる管体は、望ましくは、熱交換器用伝熱管として、又は給湯用配管として、用いられるものである。
そして、本発明にあっては、熱交換器用伝熱管や給湯用配管に用いられて、管内にCaイオンや炭酸イオン乃至は炭酸水素イオンを含有する水が流通せしめられる管体において、その管内面に対するCaスケールの付着を抑制乃至は阻止する方法にして、かかる管体として、Pを0.15〜0.50重量%の割合で含有し、残部がCuと不純物からなる銅合金管にして、該銅合金管の材質中に、P酸化物を含有し、且つかかるP酸化物のうちの、円相当直径が0.1μm以上のものの数密度が、50000個/mm2 以下であるものを用いることを特徴とするCaスケール付着防止特性の向上方法をも、その要旨とするものである。
このような本発明によれば、従来から公知の銅管よりも優れた耐Caスケール付着性を発揮し得る銅管等の、実用的な銅合金部材が有利に提供され得ることとなったのであり、また、そのような銅合金部材としての銅管を、エコキュート、エコジョーズ、エネファーム等の給湯器用熱交換器の伝熱管及びその配管や、建築用配管等において用いられる給湯用配管等として用いることにより、それら機器の寿命が更に効果的に高められ得ることとなったのである。
実施例で用いた通水試験装置の概要を示す説明図である。
ところで、本発明に従う高耐Caスケール付着性の銅合金部材においては、それを構成するCu材質のP含有量が、0.15〜0.50重量%の範囲内となるように規制されると共に、そのようなCu材質中に含まれる、円相当直径が0.1μm以上のP酸化物の数密度が、50000個/mm2 以下となるように構成されているところに、大きな特徴を有しており、これによって、より効果的に、Caスケールの付着が防止され、更にその付着したCaスケールの脱落を促すことで、圧損に影響する程のスケールが管内面に堆積されないようにして、長期間に亘って低い圧損が維持されるようにすることによって、機器への負担や問題を生じさせないようにしたのである。
そして、かかる本発明に従う銅合金部材におけるP含有量が、0.15重量%よりも少なくなると、水と接触する銅合金部材表面におけるりん酸の形成を充分に行い得ず、従ってCaスケールの付着、堆積を有効に抑制乃至は阻止し得なくなるところから、本発明にあっては、P含有量は0.15重量%以上と規定されているのである。一方、P含有量が高くなり過ぎると、耐Caスケール付着性が飽和するようになることに加えて、銅合金部材の製造に際して、加工性が低下して、割れ等の問題を惹起するようになるところから、P含有量の上限は、0.50重量%に止める必要がある。
また、本発明に従う耐Caスケール付着性に優れた銅合金部材において、かかる銅合金部材の材質中に含まれるP酸化物のうちの、円相当直径が0.1μm以上のものの数密度が、50000個/mm2 を超える場合にあっては、より多量のCaスケール付着が生じる環境下において、耐Caスケール付着性が低下するようになるところから、本発明にあっては、銅合金部材の材質中に含まれる円相当直径が0.1μm以上のP酸化物の数密度を、50000個/mm2 以下と規制しているのである。
なお、本発明において、所定の大きさ以上のP酸化物の数密度を特定の値以下に制御することで、耐Caスケール付着性が向上する理由については、未だ充分に解明されてはいないが、現在までのところ、以下のように考えられている。
すなわち、本発明に従って、P含有量が増大せしめられてなる銅合金部材にあっては、当該銅合金部材がCaスケールの発生環境に晒されると、銅合金部材の材質中のPは、環境中の水と反応して溶解され、オルトリン酸やポリリン酸といったリン酸類を生成することとなる(以下、単にリン酸類と呼称する)。一方、銅合金部材が水と接していると、その表面には、Cu2O やCuOからなる、密で保護性の高い酸化物被膜が徐々に形成されるようになるのであるが、そのような酸化物皮膜の最表面には、微細な凹凸が多数存在しており、表面粗さが大きな状態となっているのである。そして、その表面に存在する微細な凹凸は、Caスケールが付着する基点として作用し、更に、その付着したスケールの銅合金部材の表面との密着性を高めることとなるために、かかる酸化物被膜は、耐Caスケール付着性の観点からは、望ましくないものとなるのである。
ところで、特に高温水と接している環境下においては、銅合金部材の表面から、環境中に、前記したようなリン酸類が溶出すると、非常に平滑な表面を有するガラス質の被膜が銅合金部材の表面に均一に生成するようになる。このため、Caスケールが発生しても、それが付着する基点が減少することとなり、以て、耐Caスケール付着性が向上せしめられるものと考えられるのである。従って、銅合金部材がCaスケールの発生環境に晒されたときに、銅合金部材から、リン酸類が効率的に生成されるようにすることが、耐Caスケール付着性を向上させる上において、極めて重要となるのである。また、Caスケールを構成する炭酸カルシウムの水に対する溶解度は、温度と共に低下することとなるため、高温水と接している場合において、よりCaスケールの沈着が生じることが、知られている。それ故に、本発明の対象とする銅合金部材にあっては、熱水中という、よりCaスケールの付着が生じ易い環境において、より高い耐Caスケール付着性を示すようにすることが、極めて重要となるのである。
このような状況下、銅合金部材の材質中に含有せしめられたPが酸化されて、P25等の形態のP酸化物として存在するようになると、かかる銅合金部材における耐Caスケール付着性の向上作用が、充分に発揮され難くなるのである。特に、P酸化物の存在による耐Caスケール付着性への影響は、銅合金部材の材質中に含まれる、円相当直径が0.1μm以上のP酸化物の数密度が、50000個/mm2 を超えるようになると、銅合金部材の材質中に存在するPの相当割合がP酸化物となってしまい、母層中のP濃度分布の不均一性が増加することとなり、均一なガラス質の皮膜が得られなくなる問題を惹起する。更に、P酸化物の脱落によって、銅合金部材の金属表面の粗さが増加して、その上に形成される酸化物被膜の平滑性が低下することとなるために、この点からしても、耐Caスケール付着性が低下すると考えられるのである。
ここで、本発明に従う耐Caスケール付着性に優れた銅合金部材は、上述の如きP含有量や所定大きさのP酸化物の含有量の規制の他、残部がCu(銅)と不可避的不純物からなる材質にて構成されるものであるが、本発明にあっては、特に、そのような不可避的不純物のうち、Cr,Mn,Fe,Co,Zr及びMoからなる特定不純物元素群の含有量が、合計で、0.01重量%以下となるように規制され、これによって、銅合金部材の耐Caスケール付着性が更に向上せしめられ得ることとなる。これらの特定不純物元素群は、焼鈍等の熱処理によって、Pとの化合物を形成し易く、そしてその生じたP系化合物の析出した物が、Caスケール付着の基点となり易く、またCu合金部材の表面からのリン酸類の生成能を低下せしめるようになるからである。
さらに、Cuと共に、不可避的に含有されるようになる不純物としては、上記した特定不純物元素群以外にも、S,Si,Ti,Ag,Pb,Se,Te,Bi,Sn,Sb,As等の元素があり、Cu材質中に、それら元素も不可避的不純物として存在するようになるが、そのような不可避的不純物は、一般に、合計量で0.05重量%以下となるように、調整されることが望ましい。
なお、かくの如き特定不純物元素群やそれ以外の不可避的不純物元素の含有量の低減されたCu材料としては、従来から公知の製錬技術によって純度の高められた工業用純銅、例えばCu含有量が99.99重量%以上となるように純度を高めてなる電気銅が、有利に用いられることとなる。
ところで、かくの如き本発明に従う組成を有するCu材料(材質)を用いて、目的とする銅合金部材(管体、板材)を製造するに際しては、従来と同様な製造工程が採用され、例えば、所定組成の鋳塊を用い、その鋳造、均質化処理、熱間押出、圧延、抽伸、焼鈍等の工程を経て、目的とする銅合金部材とされるものであって、具体的には、管体(銅管)の製造においては、インゴットやビレットの鋳造、管の熱間押出、管の抽伸等の工程を経て、目的とするサイズの管体が製造されることとなるのである。
また、その際、本発明に従って、Cu材料(材質)中のP酸化物のうちの、円相当直径が0.1μm以上のものの数密度が50000個/mm2 以下を満足するように、P酸化物の主な発生源となる鋳造において、Cu原料の溶解から凝固に至る工程における雰囲気を、有利には不活性ガスや還元ガス等の酸素不含ガスとして、特に好ましくは還元ガス中において、それらの工程を実施すると共に、Cu原料(溶湯)からO(酸素)を取り除くことも目的として添加されるP原料を2回に分けて添加する方式が、有利に採用されることとなる。このとき、最初に添加されるP量としては、Cu溶湯の脱酸を目的として、Cu溶湯に対して0.015〜0.040重量%程度の含有割合となるように、その添加量を調整して、Cu溶湯に添加され、その後、所定のP含有量とするために、残余のP原料が加えられることとなる。これによって、かかるCu原料(溶湯)から、O(酸素)を、Cu溶湯中のPと反応させて生成するP酸化物として、効果的に除去せしめると共に、所定のP含有量が容易に実現されてなる銅合金部材が有利に得られるのである。
そして、本発明に従う銅合金部材は、有利には、管体(銅管)として用いられ、地下水や上水或いは水道水等の、Caイオンや炭酸イオン乃至は炭酸水素イオンが含まれている水が流通せしめられる配管部材として、好適に用いられる他、板状形態において、或いはそれを所定の形状に成形加工してなる形態において、それらイオンを含む水に接触する部材として用いられて、そのCaスケール付着防止特性を有利に発揮せしめるようにすることも、可能である。そして、管体として用いられる場合にあっては、熱交換器用伝熱管として、好適に用いられ、また、給湯器用熱交換器の伝熱管及びその配管や、建築用配管等において用いられる給湯用配管が、有利に、その対象とされることとなる。
具体的には、飲用や風呂用等の給湯水を加熱する熱交換器(給湯器)においては、水の流通せしめられる水流路管の周りに、加熱冷媒が流通せしめられる冷媒管が巻き付けられて、それらの間で熱交換を行う方式のものや、水流路管と冷媒管とが同心的な二重管構造において組み付けられて、それらの間で熱交換が行われるようにした方式のもの等が知られているが、そこで用いられている水流路管として、本発明に従う銅合金部材としての管体は、好適に用いられることとなるのである。
また、そのような本発明に従う銅合金部材である銅管が、伝熱管として用いられる場合にあっては、管内面や管外面が平滑とされてなる形態の平滑管が採用される他、よく知られているように、公知の各種の内面加工や外面加工が施されて、各種形態の内面溝や外面溝等が設けられてなる溝付き管の形態において、用いることも有効である。
以下に、本発明に従う幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には、上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、下記表1に示されるP含有量を有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる化学組成を有する銅合金部材である供試銅管No.1〜9を得るべく、それら供試銅管にそれぞれ対応する各種押出用ビレットを鋳造する際に、それら供試銅管の材質中に含まれるP酸化物のうち、円相当直径が0.1μm以上のものの数密度を制御するために、P原料を、下記表1に示されるような割合において、2段階に分けて添加する方式を採用した。また、供試銅管No.6及びNo.8に対応する押出用ビレットの鋳造に際しては、溶解から凝固に至る鋳造工程における雰囲気を大気とする一方、残余の供試銅管に対応する押出用ビレットの鋳造においては、溶解から凝固に至る鋳造工程中の雰囲気を、窒素ガスからなる不活性雰囲気として、目的とするビレットを、それぞれ鋳造した。
具体的には、供試銅管No.1〜6,8,9に対応するビレットの鋳造においては、下記表1から明らかな如く、P原料の1回目の添加は、脱酸目的のために、形成されるCu溶湯中に0.016〜0.036重量%のP含有量となる割合で実施し、その後、所定のP濃度とするために、表1に示される割合の2回目のP原料を加えることで、目的とするP含有量を有する押出用ビレットを得た。また、供試銅管No.7に対応するビレットの鋳造においては、P原料の添加は1回目のみとして、目的とするP濃度からなる押出用ビレットを得た。次いで、かかる鋳造の後、その得られた押出用ビレットを用いて、従来と同様にして、管の熱間押出、管の抽伸等の加工工程を実施して、外径:10.5mm、管肉厚(管壁厚):0.4mmのサイズの各種の供試銅管を作製した。
また、供試銅管No.1〜9における不純物含有量は、それぞれの供試銅管を、酸(王水)に溶解して、不純物として含有されている元素の含有量を、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−OES)によって、分析した。その結果、何れの銅管中の特定不純物元素群(Cr,Mn,Fe,Co,Zr及びMo)の合計含有量も0.01重量%未満であり、また、そのような特定不純物元素群以外の不可避的不純物にあっても、その合計含有量が0.05重量%未満であることを確認した。
なお、各供試銅管中に含まれるP酸化物の数密度は、電子顕微鏡を用いて、以下のようにして算出した。即ち、管軸方向に垂直な方向の管横断面において、管肉厚方向の中央付近を観察した。このとき、観察視野の大きさを25μm×25μmとし、この領域内に存在する円相当直径が0.1μm以上の粒状晶出物(P酸化物)の個数を数えた。そして、この測定を同一円周断面上で8箇所、任意の点を基準として45°間隔で観察し、更に、合計で3つの円周断面で、それぞれ測定を行うことで、各銅管から計24視野のP酸化物の数を測定し、得られた値の算術平均を、1mm2 当たりの数値に換算した。なお、各供試銅管の観察断面の調製には、研磨機としてクロスセクションポリッシャを用いた研磨を実施した。
また、供試銅管No.9の場合にあっては、Pの含有量が多いCu材料を用いているために、造管工程において、クラック等の不具合が発生して、耐Caスケール付着性試験に供し得る銅管を得ることが出来なかったため、目的とする耐Caスケール付着性試験を実施するに至らなかった。
Figure 2019056139
次いで、かかる準備された各種の供試銅管について、図1に示される通水試験装置を用いて、耐Caスケール付着性試験を実施した。なお、図1において、2は、加熱装置であって、供試銅管(外径:10.5mm、肉厚:0.4mm、長さ:1000mm)からなる直管の8本を直列に繋いで、構成される供試管材10を収容し、その直管部を、ヒータで所定温度に加熱し得るようになっている。そして、貯水タンク4内に収容されたCa硬度調整水である試験水が、ポンプ6によって、加熱装置2内に収容した供試管材10の入口部に供給されるようになっている一方、供試管材10の出口部からは、加熱装置2内において加熱された試験水が、外部に排出せしめられるようになっている。また、加熱装置2内に収容された供試管材10の入口側と出口側の圧力差が、差圧計8によって測定されて、差圧(圧損)が評価されるようになっている。
そして、耐Caスケール付着性試験においては、名古屋市上水に炭酸ガスを吹き込み、pH4.5に調整した後、飽和水酸化カルシウム水溶液を加えて、Ca硬度(CaCO3 濃度)を500ppmに調整してなるものを、試験水として用い、それを、貯水タンク4から、ポンプ6によって、加熱装置2内に収容された供試管材10の入口に、0.1m/sの流速にて供給して、流通せしめる一方、かかる供試管材10の入口側の温度が約20℃となるように、そして出口側の試験水温度が90℃となるように、ヒータによる加熱を調整して、40時間の通水を行った。また、加熱装置2内に収容した供試管材10の入口側と出口側の圧力差を、差圧計8にて測定して、圧損の評価を行い、その結果を、下記表2に示した。なお、かかる圧力損失の測定は、上記した通水後40時間経過した時点から開始し、その測定開始から10分間の間の平均値を取って、評価の対象とした。そして、このようにして測定された圧力損失の値が、2.0kPa以下であったものを合格とし、2.0kPaを超えた場合は不合格とした。
Figure 2019056139
かかる表2の結果から明らかな如く、P含有量が0.15〜0.50重量%の範囲内にあり、且つP酸化物の中の円相当直径が0.1μm以上のものの数密度が50000個/mm2 以下である供試銅管No.1〜6にあっては、何れも、圧力損失が2.0kPa以下となった。
これに対して、P含有量が本発明の範囲外である供試銅管No.7(比較例)の場合にあっては、多量のCaスケールが銅管内壁に沈着し、2.0kPaを超える圧力損失が生じた。また、P含有量は本発明の範囲内ではあるが、P酸化物の数密度が本発明の範囲外となる供試銅管No.8(比較例)においても、2.0kPaを超える圧力損失が生じていることが認められ、実施例である供試銅管No.1〜6に対して、耐Caスケール付着性に劣るものと判断された。
2 加熱装置
4 貯水タンク
6 ポンプ
8 差圧計
10 供試管材

Claims (8)

  1. Pを0.15〜0.50重量%の割合で含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金部材にして、該銅合金部材の材質中に、P酸化物を含有し、且つかかるP酸化物のうちの、円相当直径が0.1μm以上のものの数密度が、50000個/mm2 以下であることを特徴とする耐カルシウムスケール付着性に優れた銅合金部材。
  2. 前記不可避的不純物のうちの、Cr,Mn,Fe,Co,Zr及びMoからなる特定不純物元素群の含有量が、合計で0.01重量%以下である請求項1に記載の耐カルシウムスケール付着性に優れた銅合金部材。
  3. 前記不可避的不純物のうちの、前記特定不純物元素群以外の不純物元素の含有量が、合計量で0.05重量%以下である請求項2に記載の耐カルシウムスケール付着性に優れた銅合金部材。
  4. カルシウムイオンや炭酸イオン乃至は炭酸水素イオンを含有する水に接触せしめられて、カルシウムスケールが表面に付着する作用にさらされる部材であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の耐カルシウムスケール付着性に優れた銅合金部材。
  5. 前記Cu材質にて構成された管体であって、該管体内に、カルシウムイオンや炭酸イオン乃至は炭酸水素イオンを含有する水が流通せしめられるようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の耐カルシウムスケール付着性に優れた銅合金部材。
  6. 前記管体が、熱交換器用伝熱管であることを特徴とする請求項5に記載の耐カルシウムスケール付着性に優れた銅合金部材。
  7. 前記管体が、給湯用配管であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の耐カルシウムスケール付着性に優れた銅合金部材。
  8. 熱交換器用伝熱管や給湯用配管に用いられて、管内にカルシウムイオンや炭酸イオン乃至は炭酸水素イオンを含有する水が流通せしめられる管体において、その管内面に対するカルシウムスケールの付着を抑制乃至は阻止する方法にして、かかる管体として、Pを0.15〜0.50重量%の割合で含有し、残部がCuと不純物からなる銅合金管にして、該銅合金管の材質中に、P酸化物を含有し、且つかかるP酸化物のうちの、円相当直径が0.1μm以上のものの数密度が、50000個/mm2 以下であるものを用いることを特徴とするカルシウムスケール付着防止特性の向上方法。
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