以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(運転支援装置)
本発明の実施形態に係る運転支援装置は、図1に示すように、案内情報生成回路1、車両制御回路2、センサ群3、入力装置4、出力装置5、アクチュエータ群6及び記憶装置7を備える。本実施形態に係る運転支援装置は、例えば図2に示すように、車両Vに搭載され、車両Vが走行する進入道路KEが第1退出道路KL1及び第2退出道路KL2に分岐する分岐点Jにおける道路形状を判別することにより、車両Vの走行を支援する。
センサ群3は、全地球航法測位システム(GNSS)受信機31、車速センサ32、加速度センサ33、ジャイロセンサ34、カメラ35、レーダ36及びレーザスキャナ37を備える。GNSS受信機31は、複数の航法衛星から受信した信号に基づいて、車両Vの緯度、経度及び高度を示す位置情報を算出し、案内情報生成回路1に出力する。GNSSは、例えば全地球測位システム(GPS)におけるGPS受信機である。
車速センサ32は、例えば車両Vの車輪速から車速を検出し、案内情報生成回路1に出力する。加速度センサ33は、車両Vの加速度を検出し、案内情報生成回路1に出力する。ジャイロセンサ34は、車両Vの角速度を検出し、案内情報生成回路1に出力する。
カメラ35は、車両Vの周囲の所定の範囲を撮像し、周囲の画像を取得するイメージセンサである。カメラ35は、例えば車両Vの車室内のフロントウィンドウ上部に設けられ、車両Vの前方を撮像する広角カメラである。カメラ35は、取得した画像から、道路、車両境界線、構造物、道路標示、標識、他車両、歩行者等を車両Vの周囲状況として検出する。カメラ35は、検出された車両Vの周囲状況のデータを車両制御回路2に出力する。カメラ35は、ステレオカメラや全方位カメラであってもよく、赤外線カメラを含むようにしてもよい。
レーダ36は、例えばミリ波や超音波を用いた測距レーダからなる。レーダ36は、例えばフロントグリル内に設けられる。レーダ36は、車両Vの周囲の所定の範囲を走査し、車両Vの周囲の3次元距離データを取得する。3次元距離データは、車両Vに対する対象の相対的な3次元座標を示す点群データである。これにより、レーダ36は、例えば車両Vに対する障害物の相対位置(方位)、障害物の相対速度、車両Vから障害物までの距離等を車両Vの周囲状況として検出する。レーダ36は、検出された車両Vの周囲状況のデータを車両制御回路2に出力する。
レーザスキャナ37は、例えばレーザレンジファインダ(LRF)等の測距レーダからなる。レーザスキャナ37は、車両Vの周囲の所定の範囲をレーザにより走査し、レーザパルスが往復する時間を計測することにより、車両Vの周囲の3次元距離データを取得する。レーザスキャナ37は、3次元距離データから検出される車両Vの周囲状況のデータを車両制御回路2に出力する。
入力装置4は、例えば乗員の操作に応じた信号を案内情報生成回路1に出力する入力インターフェースである。入力装置4としては、タッチパネル等のポインティングデバイス、マイク、各種スイッチ、キーボード等の他、カメラ、脳波計等を採用することも可能である。入力装置4は、車両Vが到達すべき目的地を設定する指示信号や、自動運転と手動運転を切り替える指示信号等を案内情報生成回路1に出力する。
地図データ71を格納する記憶装置7は、例えば、半導体メモリやディスクメディア等のコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体からなる。記憶装置7は、単一のハードウェアであっても複数のハードウェアから構成されてもよい。地図データ71は、外部のネットワークのサーバにおいて管理されたデータベースからテレマティクス等の無線通信により取得されてもよく、データベースとの差分が所定のタイミングで更新されるようにしてもよい。
地図データ71は、地図上の道路の基準点を示す道路ノードの情報と、道路ノード間の道路の区間態様を示す道路リンクの情報等の道路単位の情報を含む。道路ノードの情報は、例えばその道路ノードの識別番号、地図データ上の位置座標、接続される道路リンク数、接続される道路リンクの識別番号を含む。道路ノードは、道路リンク同士の接点であり、分岐点、合流点、交差点等を意味する。道路リンクの情報は、例えばその道路リンクの識別番号、道路属性、道路リンクの長さ、車線数、車線幅、曲率、制限速度、交通規制の状況を含む。
図2では、分岐点Jに進入する進入道路KEの道路リンクH1と、分岐点Jから退出する第1退出道路KL1の道路リンクH2及び第2退出道路KL2の道路リンクH3とが、道路ノードNにおいて互いに接続される場合が示されている。図2に示す例において、進入道路KE及び第2退出道路KL2は、互いに連続する車線を有する1本の本線道路であり、第1退出道路KL1は、本線道路から分岐する支線道路である。本実施形態において、分岐点Jは、例えば道路の分岐の開始位置JSから終了位置JEまでの範囲に定義される。地図データ71は、開始位置JS及び終了位置JEのデータを含む。
地図データ71は、地図上の道路の分岐点J毎の、進入道路KEに関する進入車線情報MEと、第1退出道路KL1に関する第1退出車線情報ML1及び第2退出道路KL2に関する第2退出車線情報ML2とを含む。進入車線情報MEは、分岐点Jにおける車線L11,L21,L22のうち、進入道路KEに連続する車線L21,L22を真(1)、連続しない車線L11を偽(0)と定義する。第1退出車線情報ML1は、分岐点Jにおける車線L11,L21,L22のうち、第1退出道路KL1に連続する車線L11を真(1)、連続しない車線L21,L22を偽(0)と定義する。第2退出車線情報ML2は、分岐点Jにおける車線L11,L21,L22のうち、第2退出道路KL2に連続する車線L21,L22を真(1)、連続しない車線L11を偽(0)と定義する。
図2に示す例において、進入車線情報MEの8ビットの各値のうち、下線で示される「011」は、分岐点Jにおける車線L11,L21,L22のそれぞれに対応する。「分岐点Jにおける車線」は、具体的には、分岐の終了位置JEを越える複数の車線を意味する。即ち、進入車線情報MEである「011」は、分岐点Jにおける車線L11,L21,L22のうち、進入道路KEに連続する車線が車線L21,L22であり、連続しない車線が車線L11であることを示している。車線L11は、実際には進入道路KEから連続して走行することが可能であるが、本実施形態において、車線L21から新たに発生し、車線L21,L22の何れとも同一の車線でない車線L11は、車線L21,L22の何れとも連続しない車線とみなす。
同様に、第1退出車線情報ML1として下線で示される「100」及び第2退出車線情報ML2として下線で示される「011」は、分岐点Jにおける各車線L11,L21,L22にそれぞれ対応する。即ち、第1退出車線情報ML1の「100」は、分岐点Jにおける車線L11,L21,L22のうち、第1退出道路KL1に連続する車線が車線L11であり、連続しない車線が車線L21,L22であることを示している。また、第2退出車線情報ML2の「011」は、分岐点Jにおける車線L11,L21,L22のうち、第2退出道路KL2に連続する車線が車線L21,L22であり、連続しない車線が車線L11であることを示している。このように、進入車線情報ME、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の各桁が示す車線は、互いに対応している。
また、進入車線情報ME、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の中央を境とする左右各4ビットは、分岐点Jにおいて分岐する第1退出道路KL1及び第2退出道路KL2にそれぞれ対応している。左右各4ビットのデータうち、中央から各退出道路の車線数分の桁(下線で示す桁)が、分岐点Jにおける車線に対応する。なお、下線が付されない桁は、更に多くの道路及び車線に対応可能なように用意された予備のデータ領域を意味し、実際には更に多くの桁が用意され得る。進入車線情報ME、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2は、図2においてそれぞれ下線で示すように、少なくとも各分岐点Jにおける各車線に対応する桁数を有していればよい。
地図データ71は更に、地図上の道路の車線の基準点を示す車線ノードの情報と、車線ノード間の車線の区間態様を示す車線リンクの情報等の車線単位の情報を含んでいてもよい。車線ノードの情報は、例えばその車線ノードの識別番号、位置座標、接続される車線リンク数、接続される車線リンクの識別番号を含む。車線リンクの情報は、例えばその車線リンクの識別番号、車線の種類、車線の幅員、車線境界線の種類、車線の交通規制の状況、車線の形状、車線基準線の形状を含む。
案内情報生成回路1及び車両制御回路2のそれぞれは、本発明の実施形態に係る運転支援装置が行う動作に必要な処理の算術論理演算を行う電子制御ユニット(ECU)等の処理回路であり、例えば、プロセッサ、記憶装置及び入出力インターフェースを備えてもよい。プロセッサには、算術論理演算装置(ALU)、各種レジスタ等を含む中央演算処理装置(CPU)等に等価なマイクロプロセッサ等を対応させることができる。記憶装置は、複数のレジスタ、複数のキャッシュメモリ、主記憶装置、補助記憶装置の他、半導体メモリやディスクメディア等を含む一群の内から適宜選択された任意の組み合わせにより構成され得る。プロセッサは、記憶装置に予め記憶された、本発明の実施形態に係る運転支援装置の動作に必要な一連の処理を示すプログラム(運転支援プログラム)を実行する。
案内情報生成回路1及び車両制御回路2は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)等で物理的に構成されてもよく、汎用の半導体集積回路中にソフトウェアによる処理で等価的に設定される機能的な論理回路等でも構わない。案内情報生成回路1及び車両制御回路2を構成する各部は、単一のハードウェアから構成されてもよく、それぞれ別個のハードウェアから構成されてもよい。例えば、案内情報生成回路1は車載インフォテイメント(IVI)システム等のカーナビゲーションシステムで構成でき、車両制御回路2は先進運転支援システム(ADAS)等の運転支援システムで構成できる。案内情報生成回路1と車両制御回路2は、例えばコントローラエリアネットワーク(CAN)バス等の通信ネットワークで互いに接続されている。
案内情報生成回路1は、車両位置算出部11、目的地設定部12、経路探索部13、案内情報生成部14、提示制御部15等の論理ブロックを機能的若しくは物理的なハードウェア資源として備える。車両位置算出部11は、GNSS受信機31により算出された位置情報、車速センサ32により検出される車速、加速度センサ33により検出される加速度、ジャイロセンサ34により検出される角速度に基づいて、地図データ71における時々刻々の車両Vの現在位置を算出する。車両位置算出部11は、カメラ35、レーダ36、レーザスキャナ37等により検出された地物の情報と地図データ71に含まれる地物の情報とを照合することにより、地図データ71における車両Vの詳細な現在位置を検出するようにしてもよい。
目的地設定部12は、乗員により入力装置4を介して入力された指示信号に基づいて、地図データ71において車両Vが到達すべき目的地を設定する。目的地は、乗員により具体的に限定される必要はなく、例えば、地図データ71における範囲、方角等であってもよい。
経路探索部13は、車両位置算出部11により算出された地図データ71における車両Vの現在位置等の出発地から、目的地設定部12により設定された目的地までの、車両Vが走行すべき走行経路を探索し設定する。走行経路は、例えば地図データ71の道路リンクに対応して立てられたフラグにより設定される。図2に示す例では、道路リンクH1,H2,H3のうち実線で示される道路リンクH1,H2は、走行経路としてフラグが立てられた状態であり、破線で示される道路リンクH3はフラグが立てられていない状態である。即ち、走行経路は、進入道路KEから第1退出道路KL1に進入する経路である。走行経路は、例えば走行距離、予想所要時間、経由地点、道路の種類等の種々の探索条件に基づいて探索され得る。経路探索部13は、探索された複数の走行経路の候補から、入力装置4を介して乗員に1つの走行経路を選択させるようにしてもよい。
案内情報生成部14は、経路探索部13により設定された走行経路に沿って車両Vが走行するのに必要な案内情報を生成する。案内情報は、車両制御回路2が車両Vに走行経路を走行させるために必要な情報や、運転者が車両Vに走行経路を走行させるために必要な情報を含む。具体的には、案内情報生成部14は、走行経路に存在する分岐点Jにおける道路形状を判別し、判別された道路形状に応じて異なる案内情報を生成する。案内情報生成部14は、分岐点Jにおける道路形状、言い換えれば分岐点Jの種類を判別する。
分岐点Jの道路形状は、図3の分岐点J1のような支線発生型、図4の分岐点J2のような本線分離型、及び図5の分岐点J3のような変則型の3種類に類別される。図3に示すように、支線発生型の分岐点J1において分岐する第1退出道路KL1又は第2退出道路KL2は、進入道路KEと同一の道路である。
図3に示す例において、進入道路KE及び第2退出道路KL2は、互いに同一の3本の車線L21,L22,L23を有し、同一の本線道路である。よって、図3に示すように、進入車線情報MEである「0111」は、第2退出車線情報ML2である「0111」と同一である。第1退出道路KL1は、本線道路から分岐点J1において新たに左側に発生する1本の車線L11を有する支線道路である。日本等の車両の左側通行が規定されている国においては、支線道路が左側に分岐する種類の分岐点を、基本型の分岐点と定義することができる。なお、以下において、図3〜図5の進入車線情報ME、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2に関して、下線が付されていない桁を無視して説明する。
図4に示すように、本線分離型の分岐点J2において分岐する第1退出道路KL1及び第2退出道路KL2のそれぞれの車線の数の和は、進入道路KEの車線の数と同一である。進入車線情報MEである「1111」は、進入道路KEの車線の数が4であることを意味する。第1退出車線情報ML1である「1000」は、第1退出道路KL1の車線の数が1であることを意味し、第2退出車線情報ML2である「0111」は、第2退出道路KL2の車線の数が3であることを意味する。
図4に示す例において、4本の車線L11,L21,L22,L23を有する進入道路KEは、分岐点J2において、1本の車線L11を有する支線道路である第1退出道路KL1と、3本の車線L21,L22,L23を有する本線道路である第2退出道路KL2とに分離する。なお、本線分離型の分岐点J2は、分岐の開始位置JSと終了位置JEとが、道路の延伸方向において一致する可能性があるが、この場合、分岐点J2は、幅方向の線状に定義されればよい。
図5に示す例において、変則型の分岐点J3では、本線道路である進入道路KEから右側に分岐する第2退出道路KL2が、進入道路KEから新たに右側に発生する車線L23を有する。3本の車線L11,L21,L22を有する進入道路KEは、分岐点J3において、1本の車線L11を有する支線道路である第1退出道路KL1と、3本の車線L21,L22,L23を有する本線道路である第2退出道路KL2とに分岐する。変則型は、支線発生型及び本線分離型の何れでもない種類の分岐点と定義することができる。分岐点J3では、進入道路KEの分離と新たな車線L23の発生の両方が生じる。
案内情報生成部14は、分岐点Jの道路形状、即ち、支線発生型、本線分離型及び変則型の何れかに応じて異なる案内情報を生成する。一般的に案内情報は、走行経路を示す道路リンク及び道路ノードの情報と、車両Vの現在位置から分岐点J(ノードN)までの距離D(図2参照)とを含む。加えて、案内情報生成部14は、分岐の開始位置JS及び終了位置JEと、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の少なくとも何れかを案内情報に含める。案内情報生成部14は、例えば設定経路側の第1退出道路KL1に関する第1退出車線情報ML1のみを案内情報に含めるが、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2が互いに補数の関係であるため、少なくとも何れかの情報を含めるようにしてもよい。案内情報生成部14は、生成した案内情報を車両制御回路2及び提示制御部15に出力する。
提示制御部15は、案内情報生成部14により生成された案内情報に基づいて、車両Vが走行経路を走行するために用いることができる案内情報を乗員に提示するように出力装置5を制御する。
出力装置5は、例えばディスプレイ51及びスピーカ52を備える。ディスプレイ51は、提示制御部15による制御に応じて、例えば図2に示すように、走行経路を示す道路リンクH1,H2にそって走行する車両Vの走行軌跡Pを生成して、地図上に重畳して表示する。走行軌跡Pは、分岐点Jにおいて支線道路への車線変更が必要な場合において、分岐の開始位置JS及び終了位置JEの間を通るように決定される。スピーカ52は、提示制御部15による制御に応じて、走行経路となる第1退出道路KL1に進入するように誘導する音声を出力する。
車両制御回路2は、案内情報生成部14により生成された案内情報と、センサ群3により検出された車両Vの走行状況及び周囲状況に基づいて、走行経路に沿って走行する走行軌跡Pを算出する。車両制御回路2は、車両Vが自動的に走行軌跡Pを走行するようにアクチュエータ群6を制御する。具体的には、車両制御回路2は、アクチュエータ群6を制御する制御信号を生成してアクチュエータ群6に出力することにより、車両Vの走行を制御する。車両制御回路2により実行される自動運転は、乗員の操作がない完全な自動運転であってもよく、駆動制御、制動制御及び操舵制御の少なくとも一部を行う自動運転であってもよい。
例えば、図2に示すように、車両Vが進入道路KEを分岐点Jに向かって走行しているとき、車両制御回路2は、車両Vが走行軌跡P上を走行するようにアクチュエータ群6を制御する。車両制御回路2は、センサ群3により検出された周囲状況及び案内情報生成部14により生成された案内情報に基づいて、進入道路KEの車線L21を走行する車両Vが、第1退出車線情報ML1において第1退出道路KL1に連続すると示される車線L11に進入するように車両Vを制御する。
なお、車両制御回路2により自動運転が実行されている間は、提示制御部15による乗員への情報の提示を省略してもよく、自動運転と同時に情報の提示が行われるようにしてもよい。また、車両制御回路2による完全な自動運転が行われていない間、即ち、乗員による手動運転が行われている間は、提示制御部15により乗員への情報の提示のみが行われ得る。
アクチュエータ群6は、例えばアクセルアクチュエータ61、ブレーキアクチュエータ62及びステアリングアクチュエータ63を備える。アクセルアクチュエータ61は、例えば電子制御スロットルバルブからなり、車両制御回路2からの制御信号に基づいて車両Vのアクセル開度を制御する。ブレーキアクチュエータ62は、例えば油圧回路からなり、車両制御回路2からの制御信号に基づいて車両Vのブレーキの動作を制御する。ステアリングアクチュエータ63は、車両制御回路2からの制御信号に基づいて車両Vの操舵を制御する。
ここで、分岐点における走行軌跡の決定方法として、車線ノードの情報と、車線ノード間における車線の区間態様を示す車線リンクの情報を含む地図データから、車線単位の案内情報を車両制御回路2に送信し、車両制御回路2がこの車線単位の案内情報に基づいて走行軌跡を決定する方法が考えられる。しかしながら、車線単位の案内情報のデータ量は非常に大きいため、車両制御回路2に接続されるCANバス等の通信ネットワークのトラフィックが増大する他、車両制御回路2の処理負荷が増大する。
これに対して、本発明の実施形態に係る運転支援装置では、案内情報生成部14が、車線単位の案内情報の代わりに、退出道路単位の退出車線情報を含む案内情報を車両制御回路2に送信し、車両制御回路2が、退出車線情報に基づいて車両Vが走行軌跡Pを決定する。よって、車線単位の情報を用いる場合と比較して、案内情報のデータ量を削減でき、案内情報生成部14と車両制御回路2とを接続するCANバス等の通信ネットワークのトラフィック及び車両制御回路2や提示制御部15の処理負荷を低減することができる。
一方、本発明の実施形態に係る運転支援装置の退出車線情報を用いる場合、分岐点の道路形状によっては、退出車線情報のみからでは車両Vが走行すべき車線を適正に決定できない場面が起こり得る。
例えば、車両Vが進入道路KEの最左端の車線を走行し、走行経路は分岐点から左側の第1退出道路KL1に続くとする。図3に示す例では、車両制御回路2は、センサ群3により検出された情報から、3車線の進入道路KEの最左端の車線L21を走行していることが認識可能であるため、第1退出車線情報ML1を用いて、分岐点J3において左側への車線変更が必要であると判断することが可能である。図4に示す例では、車両制御回路2は、4車線の進入道路KEの最左端の車線L11を走行しているとき、第1退出車線情報ML1を用いて、第1退出道路KL1に進入するために車線変更が必要でないと判断することができる。
しかしながら、図5に示す例では、進入道路KEの車線数と、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2とが、図3の場合と同一である。このため、車両制御回路2は、第1退出車線情報ML1を用いて、走行経路に沿って走行する走行軌跡Pを適正に決定できない可能性がある。具体的な例としては、車線変更ができない箇所において車線変更を行うような走行軌跡Pを算出し、その結果、自動運転制御が停止してしまう可能性がある。
これに対して、案内情報生成部14は、分岐点Jの道路形状が変則型である場合において選択的に、進入車線情報MEを含む案内情報を生成する。即ち、案内情報生成部14は、分岐点J3が変則型である場合において選択的に、進入車線情報MEと、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の少なくとも何れかとを含む案内情報を、車両制御回路2及び提示制御部15に提供する。車両制御回路2及び提示制御部15は、進入車線情報MEを案内情報生成部14から取得することにより、変則型の分岐点の道路形状を支線発生型と区別することができ、適正な走行軌跡Pを決定することが可能となる。
また、案内情報生成部14は、分岐点Jの道路形状が変則型でない場合において、車両制御回路2への進入車線情報MEの提供を省略する。これにより、案内情報のデータ量が更に削減され、案内情報生成部14と車両制御回路2とを接続するCANバス等の通信ネットワークのトラフィック及び車両制御回路2や提示制御部15の処理負荷を更に低減することができる。
(運転支援方法)
次に、図6のフローチャートを参照して、本発明の実施形態に係る運転支援装置を用いた運転支援方法の一例を説明する。
先ず、ステップS1において、車両位置算出部11は、GNSS受信機31により算出された位置情報の他、センサ群3により検出された車両Vの車速、加速度、角速度及び周囲状況等に基づいて、地図データ71における車両Vの現在位置を算出する。ステップS2において、目的地設定部12は、乗員の操作に応じて入力装置4から入力された指示信号等に基づいて、地図データ71における目的地を設定する。
ステップS3において、経路探索部13は、車両位置算出部11により算出された、地図データ71における車両Vの現在位置等の出発地から、目的地設定部12により設定された目的地までの、車両が走行すべき走行経路を探索する。
ステップS4において、案内情報生成部14は、経路探索部13により設定された走行経路に沿って車両Vが走行するのに必要な案内情報を生成する。案内情報生成部14は、走行経路において次に到達する分岐点の道路形状を判別し、分岐点の道路形状に応じて異なる案内情報を車両制御回路2及び提示制御部15に提供する。案内情報生成部14は、案内情報をCANバス等の通信ネットワークを介して車両制御回路2に送信するとともに、提示制御部15に出力する。
ステップS5において、車両制御回路2は、案内情報生成部14から送信された案内情報を受信して、案内情報に基づいて走行軌跡Pを決定し、車両Vが走行軌跡Pを走行するようにアクチュエータ群6を制御する。提示制御部15は、案内情報生成部14から出力された案内情報に基づいて走行軌跡Pを決定し、車両Vが走行軌跡Pを走行するように案内する情報を乗員に提示するように、出力装置5を制御する。これにより、ディスプレイ51に画像や文字を表示させたり、スピーカ52から音声を出力させたりする。
図7のフローチャートを参照して、図6のフローチャートのステップS4における案内情報生成部14における詳細な処理の一例を説明する。
ステップS11において、案内情報生成部14は、車両位置算出部11により算出された車両Vの現在位置と、経路探索部13により探索された設定経路とを用いて、車両Vの現在位置から分岐点Jまでの距離Dが、所定の距離範囲以下となる分岐点Jを地図データ71から検出する。或いは、案内情報生成部14は、設定経路において車両Vが次に通過する分岐点Jを地図データ71から検出するようにしてもよい。
ステップS12において、案内情報生成部14は、ステップS11で検出された分岐点Jの、進入車線情報ME、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2を地図データ71から抽出する。
ステップS13において、案内情報生成部14は、ステップS12で抽出した進入車線情報MEと、本線道路である第2退出車線情報ML2とが同一か否かを判定する。進入車線情報MEと第2退出車線情報ML2とが互いに同一である場合、ステップS15に処理を進め、互いに異なる場合、ステップS14に処理を進める。
図3に示すように、進入車線情報MEと第2退出車線情報ML2とが互いに同一である場合、案内情報生成部14は、分岐点Jを支線発生型であると判別することができる。この場合、第1退出道路KL1の全ての車線は、進入道路KEに連続しない。進入車線情報MEと第2退出車線情報ML2とが互いに同一でない場合、案内情報生成部14は、分岐点Jを本線分離型及び変則型の何れかであると判別することができる。この場合、第1退出道路KL1の少なくとも何れかの車線は、進入道路KEに連続する。このように、案内情報生成部14は、進入車線情報MEと、第1退出車線情報ML1又は第2退出車線情報ML2とを比較することにより、分岐点Jの道路形状を判別する。
ステップS14において、案内情報生成部14は、分岐点Jが本線分離型及び変則型の何れであるかを判別するために、進入道路KEの車線の数と、第1退出道路KL1及び第2退出道路KL2の車線の総数とを比較する。具体的には、案内情報生成部14は、進入車線情報MEと、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の論理和とを比較し、互いに同一か否かを判定する。進入車線情報MEと、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の論理和とが互いに同一である場合、ステップS15に処理を進め、互いに異なる場合、ステップS16に処理を進める。前述の通り、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2は通常、互いに補数の関係である。このため、進入車線情報MEと、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の論理和とを比較することにより、少なくとも、進入道路KEの車線の数と、第1退出道路KL1及び第2退出道路KL2の車線の数が同一か否かを判定することができる。
図4に示すように、進入車線情報MEである「1111」と、第1退出車線情報ML1である「1000」及び第2退出車線情報ML2である「0111」の論理和「1111」とが同一である場合、分岐点Jの道路形状は本線分離型であると判別される。一方、図5に示すように、進入車線情報MEである「1110」と、第1退出車線情報ML1である「1000」及び第2退出車線情報ML2である「0111」の論理和「1111」とが同一でない場合、分岐点Jの道路形状は変則型であると判別される。
更に、案内情報生成部14は、進入車線情報MEと、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の論理和とを比較することにより、分岐点Jにおける各車線のうち、第1退出道路KL1及び第2退出道路KL2において新たに発生した車線を認識することができる。即ち、案内情報生成部14は、単に車線の数を比較するよりも詳細に分岐点Jにおける道路形状を判別することができる。
ステップS15において、案内情報生成部14は、進入車線情報ME、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2のうち、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の少なくとも何れかのみを含む案内情報を生成し、車両制御回路2及び提示制御部15に提供する。分岐点Jの道路形状が支線発生型及び本線分離型の場合、車両制御回路2及び提示制御部15は、適正な走行軌跡Pを決定するために進入車線情報MEを必要としない。このため、案内情報生成部14は、ステップS15において、進入車線情報MEを含まない案内情報を生成する。
ステップS16において、案内情報生成部14は、進入車線情報MEと、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の少なくとも何れかとを含む案内情報を生成し、車両制御回路2及び提示制御部15に提供する。分岐点Jの道路形状が変則型の場合、車両制御回路2及び提示制御部15は、適正な走行軌跡Pを確実に決定するために進入車線情報MEを必要とする。このため、案内情報生成部14は、ステップS16において選択的に、進入車線情報MEを含む案内情報を生成する。
本実施形態に係る運転支援装置によれば、進入道路KEの車線の数と、第1退出道路KL1及び第2退出道路KL2の車線の数とを比較することにより、分岐点Jにおける道路形状を簡単に判別することができる。このため、分岐点Jの道路形状に応じた案内情報を生成することが可能となる。更に、進入車線情報MEと、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の論理和とを比較することにより、分岐点Jにおける道路形状を詳細に判別することができる。
また、本実施形態に係る運転支援装置によれば、進入車線情報MEが、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の何れとも異なる場合において、進入車線情報MEと、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の論理和とを比較することができる。これにより、分岐点Jにおける道路形状を完全に判別することができる。
また、本実施形態に係る運転支援装置によれば、進入車線情報MEと、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の論理和とが互いに異なる場合に選択的に進入車線情報MEを車両制御回路2に提供することにより、車両V内の通信ネットワークのトラフィック及び車両制御回路2の処理負荷を低減することができる。このとき、車両制御回路2は、第1退出車線情報ML1及び第2退出車線情報ML2の少なくとも何れかと、進入車線情報MEとを含む案内情報に基づいて、走行軌跡Pを決定する。これにより、車線単位の情報を用いる場合と比較して、案内情報のデータ量を削減でき、案内情報生成部14と車両制御回路2とを接続する通信ネットワークのトラフィック及び車両制御回路2の処理負荷を更に低減することができる。
また、本実施形態に係る運転支援装置によれば、進入車線情報MEと、第1退出車線情報ML1又は第2退出車線情報ML2とを比較することにより、第1退出車線情報ML1又は第2退出車線情報ML2の何れかが進入道路KEと同一の本線道路であるか否かを判定することができる。これにより、分岐点Jの道路形状が本線分離型か否かを判別することができる。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、上述の実施形態では、図7のフローチャートのステップS14において、分岐点Jが本線分離型及び変則型の何れであるかを判別するために、進入道路KEの車線の数と、第1退出道路KL1及び第2退出道路KL2の車線の総数とを比較する処理を一例として説明した。上述の通り、ステップS14では、既にステップS13で進入車線情報MEと第2退出車線情報ML2とが互いに同一でないと判定されており、第1退出道路KL1の車線が進入道路KEに連続すると判定されたとみなすことができる。ステップS14における処理は、進入道路KEの第1退出道路KL1に連続しない他の車線の数と、第2退出道路KL2の車線の数とを比較することにより、分岐点Jにおける道路形状を判別するようにしてもよい。
具体的には、案内情報生成部14は、進入道路KEの第1退出道路KL1に連続しない他の車線の数が、第2退出道路KL2の車線の数と同一か否かを判定する。進入道路KEの他の車線の数が第2退出道路KL2の車線の数と同一である場合、案内情報生成部14は、分岐点Jを本線分離型であると判別し、ステップS15に処理を進める。進入道路KEの他の車線の数が第2退出道路KL2の車線の数と異なる場合、案内情報生成部14は、分岐点Jの道路形状を変則型であると判別し、ステップS16に処理を進める。このような処理によっても、実質的に、進入道路KEの車線の数と、第1退出道路KL1及び第2退出道路KL2の車線の数とを比較することができる。ステップS15以降の処理は上述の通りである。
その他、図3〜図5に示した支線発生型、本線分離型及び変則型の各分岐点の構造は、単なる例示であり、進入道路KE、第1退出道路KL1及び第2退出道路KL2のそれぞれの車線の数、属性等は特に限定されない。また、車両の右側通行が規定されている国等おいて、右方に分岐する道路を第1退出道路KL1、左方に分岐する道路を第2退出道路KL2としてもよい。
その他、上記の実施形態において説明される各構成を任意に応用した構成等、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。