JP2019053142A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】堆積膜形成時のコンタミネーションの影響による電子写真感光体の電位特性均一性不良の発生を低減する。
【解決手段】減圧可能な反応容器内に円筒状基体を設置し、該反応容器内に原料ガスを導入し、該円筒状基体の上に堆積膜を形成する堆積膜形成工程と、該反応容器内から該円筒状基体を取り出し、該反応容器内に複数のガス放出孔を有するクリーニングガス導入管からクリーニングガスを導入して該反応容器内をクリーニングするクリーニング工程とを繰り返し行う電子写真感光体の製造方法であって、
該堆積膜形成工程の後に、製造した該電子写真感光体の表面に電荷を付与して帯電させ、該表面を露光した後の該電子写真感光体の母線方向の残留電位の分布を求め、
該クリーニング工程において、該残留電位の分布に応じて、該残留電位が高い箇所に対応する該反応容器内の箇所に、該クリーニングガスを多く放出する。
【選択図】 図1
【解決手段】減圧可能な反応容器内に円筒状基体を設置し、該反応容器内に原料ガスを導入し、該円筒状基体の上に堆積膜を形成する堆積膜形成工程と、該反応容器内から該円筒状基体を取り出し、該反応容器内に複数のガス放出孔を有するクリーニングガス導入管からクリーニングガスを導入して該反応容器内をクリーニングするクリーニング工程とを繰り返し行う電子写真感光体の製造方法であって、
該堆積膜形成工程の後に、製造した該電子写真感光体の表面に電荷を付与して帯電させ、該表面を露光した後の該電子写真感光体の母線方向の残留電位の分布を求め、
該クリーニング工程において、該残留電位の分布に応じて、該残留電位が高い箇所に対応する該反応容器内の箇所に、該クリーニングガスを多く放出する。
【選択図】 図1
Description
本発明はプラズマCVD法を用いた電子写真感光体の製造方法に関するものである。
アモルファスシリコン(以下、a−Siとも記す)電子写真感光体の製造は、プラズマCVD法によってa−Si(例えば、水素原子やハロゲン原子で補償されたa−Si)堆積膜を反応容器内に設置された円筒状基体の上に形成することで実用化されている。
プラズマCVD法でa−Si堆積膜を円筒状基体の上に形成する場合、堆積膜形成後に反応容器内から円筒状基体を取り出し、その後に円筒状基体以外の部分に付着した膜や、副生成物をクリーニングする必要がある。クリーニング方法としては、クリーニングガスを用いて行うことが知られている。このように、a−Si電子写真感光体は、堆積膜形成とクリーニングを繰り返し行うことで製造可能となる。
プラズマCVD法でa−Si堆積膜を円筒状基体の上に形成する場合、堆積膜形成後に反応容器内から円筒状基体を取り出し、その後に円筒状基体以外の部分に付着した膜や、副生成物をクリーニングする必要がある。クリーニング方法としては、クリーニングガスを用いて行うことが知られている。このように、a−Si電子写真感光体は、堆積膜形成とクリーニングを繰り返し行うことで製造可能となる。
また、a−Si電子写真感光体の製造工程としては、堆積膜形成工程が実施され、その次の工程としてa-Si感光体の様々な特性値が所望の値又は許容範囲内に入っているかどうか検査する検査工程が行われる。そして、検査工程で合格と判定されたものが製品として出荷される。検査工程では、特性値が許容範囲外となる規格外のものが市場に流出しないようにする役割はもちろん、安定的に生産するために得られた特性値をフィードバックし、堆積膜形成あるいはクリーニング条件を適切に管理していくことが非常に重要である。
a−Si電子写真感光体の製造において、堆積膜形成とクリーニングを交互に繰り返し行っていくと、完全にクリーニングしきれなかった付着膜や副生成物が反応容器内に残る場合がある。堆積膜形成とクリーニングを交互に繰り返すことによって、付着膜や副生成物が増加していくと、次の堆積膜形成時にコンタミネーションの原因になる場合がある。コンタミネーションとは、意図しない不純物が堆積膜中へ混入することである。その結果、形成されるa−Si堆積膜の膜特性が変化してしまい、電子写真感光体の電位特性に均一性不良が発生してしまう場合がある。従来は定期的に、あるいは電子写真感光体の電位特性に均一性不良が発生した後に、反応容器内の部材を物理的に清掃するメンテナンスを実施することによって、電子写真感光体の電位特性均一性不良の対策を行ってきた。しかしながら、このような対策では製造装置の稼働率を低下させる場合がある。
特許文献1では、帯電極性が異なる電子写真感光体を製造する場合に、反応容器の内壁の少なくとも円筒状基体に対向する部分を、液体を使って洗浄する技術が開示されている。
また、クリーニング後に付着膜や副生成物が反応容器に残らないようにクリーニング条件を改善する技術が提案されてきた。
特許文献2では、反応容器内の電極間外にクリーニング性ガスを供給する技術が開示されている。
また、クリーニング後に付着膜や副生成物が反応容器に残らないようにクリーニング条件を改善する技術が提案されてきた。
特許文献2では、反応容器内の電極間外にクリーニング性ガスを供給する技術が開示されている。
これらの技術により、堆積膜形成時のコンタミネーションの影響を無くすことが可能となり、電子写真感光体の電位特性均一性不良の発生を抑制することができる。しかしながら、反応容器の内壁を液体で洗浄するような方法では、大がかりなメンテナンス作業を伴うため製造装置の稼働率の低下を招き、改善の余地があるのが実状である。
また、堆積膜形成条件が大きく異なるような場合、クリーニング後における付着膜や副生成物の反応容器内の残り方が大きく変化するためにクリーニング条件を堆積膜形成条件ごとに条件振りを行い最適な条件に調整する必要があるのが実状である。
本発明の目的は、装置の稼働率を低下させることなく、堆積膜形成時のコンタミネーションの影響を無くすことができ、電子写真感光体の電位特性均一性不良の発生を抑制することができる電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
また、堆積膜形成条件が大きく異なるような場合、クリーニング後における付着膜や副生成物の反応容器内の残り方が大きく変化するためにクリーニング条件を堆積膜形成条件ごとに条件振りを行い最適な条件に調整する必要があるのが実状である。
本発明の目的は、装置の稼働率を低下させることなく、堆積膜形成時のコンタミネーションの影響を無くすことができ、電子写真感光体の電位特性均一性不良の発生を抑制することができる電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
上述した目的を達成するために、本発明の一態様によれば、
減圧可能な反応容器内に円筒状基体を設置し、該反応容器内に原料ガスを導入し、該円筒状基体の上に堆積膜を形成する堆積膜形成工程と、該反応容器内から該円筒状基体を取り出し、該反応容器内に複数のガス放出孔を有するクリーニングガス導入管からクリーニングガスを導入して該反応容器内をクリーニングするクリーニング工程とを繰り返し行う電子写真感光体の製造方法であって、
該堆積膜形成工程の後に、製造した該電子写真感光体の表面に電荷を付与して帯電させ、該表面を露光した後の該電子写真感光体の母線方向の残留電位の分布を求め、
該クリーニング工程において、該残留電位の分布に応じて、該残留電位が高い箇所に対応する該反応容器内の箇所に、該クリーニングガスを多く放出する電子写真感光体の製造方法が提供される。
減圧可能な反応容器内に円筒状基体を設置し、該反応容器内に原料ガスを導入し、該円筒状基体の上に堆積膜を形成する堆積膜形成工程と、該反応容器内から該円筒状基体を取り出し、該反応容器内に複数のガス放出孔を有するクリーニングガス導入管からクリーニングガスを導入して該反応容器内をクリーニングするクリーニング工程とを繰り返し行う電子写真感光体の製造方法であって、
該堆積膜形成工程の後に、製造した該電子写真感光体の表面に電荷を付与して帯電させ、該表面を露光した後の該電子写真感光体の母線方向の残留電位の分布を求め、
該クリーニング工程において、該残留電位の分布に応じて、該残留電位が高い箇所に対応する該反応容器内の箇所に、該クリーニングガスを多く放出する電子写真感光体の製造方法が提供される。
本発明によれば、装置の稼働率を低下させることなく、電子写真感光体の電位特性均一性不良の発生を抑制することができ、安定的な生産管理が実施可能となる。
以下、本発明について図を参照しつつ説明する。
図2に示すように、従来から一般的に行われているa−Si電子写真感光体の生産は、減圧可能な搬送装置2500を用いて減圧状態にある反応容器2302の中に円筒状基体2508が導入され、堆積膜の形成が行われる。その後、搬送装置2500を用いて反応容器2302から円筒状基体2508が取り出され、反応容器2302の中をクリーニングすることで1ロットの処理工程が終了する。そして、次のロットの円筒状基体2508が再び搬送装置2500を用いて反応容器2302の中へ導入される。
図2に示すように、従来から一般的に行われているa−Si電子写真感光体の生産は、減圧可能な搬送装置2500を用いて減圧状態にある反応容器2302の中に円筒状基体2508が導入され、堆積膜の形成が行われる。その後、搬送装置2500を用いて反応容器2302から円筒状基体2508が取り出され、反応容器2302の中をクリーニングすることで1ロットの処理工程が終了する。そして、次のロットの円筒状基体2508が再び搬送装置2500を用いて反応容器2302の中へ導入される。
以下の一連の工程は、反応容器2302の中を減圧に保った状態で繰り返し行われる。
反応容器2302の中に円筒状基体2508を入れ、円筒状基体2508の上に堆積膜を形成し、反応容器2302の中から円筒状基体2508を出し、反応容器2302の中をクリーニングする。
このような一連の工程において、反応容器2302外から反応容器2302内への汚染物質の持ち込みが低減され、堆積膜の中へ取り込まれる汚染物質の量も低減される。その結果、ロット毎の特性バラツキが低減され、製品の品質向上が達成される。
反応容器2302の中に円筒状基体2508を入れ、円筒状基体2508の上に堆積膜を形成し、反応容器2302の中から円筒状基体2508を出し、反応容器2302の中をクリーニングする。
このような一連の工程において、反応容器2302外から反応容器2302内への汚染物質の持ち込みが低減され、堆積膜の中へ取り込まれる汚染物質の量も低減される。その結果、ロット毎の特性バラツキが低減され、製品の品質向上が達成される。
しかし、減圧を保った状態で繰り返し処理生産を行っていくと、完全にクリーニングしきれなかった付着膜や副生成物が反応容器内に残る場合がある。そのため、堆積膜形成とクリーニングを交互に繰り返すことによって、反応容器内に残った付着膜や副生成物が増加していくと、次の堆積膜形成時にコンタミネーションの原因になる場合がある。
例えば、a−Si堆積膜形成では、堆積膜の中に取り込まれるコンタミネーションの量が多い場合、堆積膜特性が変化してしまい特性の均一性不良が発生してしまう。特性の均一性不良は、堆積膜の中に取り込まれるコンタミネーションの量を抑えることで制御可能である。即ち、コンタミネーションの原因となるクリーニングで落としきれなかった付着膜や副生成物を効果的に無くすことができれば特性の均一性不良を無くすことが可能となる。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、堆積膜形成とクリーニングを繰り返し行う電子写真感光体の製造において、電子写真感光体の電位特性の評価結果に基づいてクリーニング条件を変化させることが重要であることを見出した。
具体的には、製造した電子写真感光体の母線方向の電位分布を算出した後、得られた電位分布に応じて電位が高い箇所に、クリーニングガス放出量を多く分布させることで、電位特性均一性不良の発生を抑制することが可能となる。これにより、大がかりなメンテナンス作業の必要がなくなり、生産性を向上させることが可能となることを見出し、本発明に至った。
次に、本発明の実施の一例であるa−Si電子写真感光体の製造に関して説明する。
具体的には、製造した電子写真感光体の母線方向の電位分布を算出した後、得られた電位分布に応じて電位が高い箇所に、クリーニングガス放出量を多く分布させることで、電位特性均一性不良の発生を抑制することが可能となる。これにより、大がかりなメンテナンス作業の必要がなくなり、生産性を向上させることが可能となることを見出し、本発明に至った。
次に、本発明の実施の一例であるa−Si電子写真感光体の製造に関して説明する。
(a−Si電子写真感光体製造装置)
図2は電子写真感光体を製造する製造装置の一例を示す概略断面図である。図2に示す製造装置の構成は以下のとおりである。この装置は大別すると、投入装置2100、加熱装置2200、堆積膜形成装置2300、冷却及び排出装置2400、これらの装置間で移動可能な搬送装置2500から構成されている。
図2は電子写真感光体を製造する製造装置の一例を示す概略断面図である。図2に示す製造装置の構成は以下のとおりである。この装置は大別すると、投入装置2100、加熱装置2200、堆積膜形成装置2300、冷却及び排出装置2400、これらの装置間で移動可能な搬送装置2500から構成されている。
加熱容器2202、反応容器2302、冷却及び排出容器2402、並びに搬送容器2502には容器の中を減圧するための排気ポンプ2205、2305、2405、2505、及び排気バルブ2203、2303、2403、2503、2509が設置される。各容器には減圧状態を維持した状態で接続可能な開閉ゲート2101、2201、2301、2401、2501が設置されている。
反応容器2302は、反応ガス流入バルブ2304、2306、高周波マッチングボックス(図示せず)及び高周波電源(図示せず)が接続されている。
こうした製造装置は、例えば以下のように使用される。
作業者が投入容器2102の中に円筒状基体2508を設置した後に、開閉ゲート2101と開閉ゲート2501とを接続し、チャッキング部材2507により投入容器2102の中の円筒状基体2508を搬送容器2502の中へ移送する。
こうした製造装置は、例えば以下のように使用される。
作業者が投入容器2102の中に円筒状基体2508を設置した後に、開閉ゲート2101と開閉ゲート2501とを接続し、チャッキング部材2507により投入容器2102の中の円筒状基体2508を搬送容器2502の中へ移送する。
その後、搬送容器2502の中が所定の真空度になるように排気バルブ2503及び排気ポンプ2505により排気する。一方、排気バルブ2203及び排気ポンプ2205により加熱容器2202の中も所定の真空度になるまで排気する。そして、開閉ゲート2201と開閉ゲート2501とを接続し、チャッキング部材2507により搬送容器2502の中の円筒状基体2508を予め減圧保持した加熱容器2202の中へ移送する。円筒状基体2508は加熱容器2202の中で所定の温度に加熱される。
次に、開閉ゲート2201と開閉ゲート2501とを接続し、チャッキング部材2507により加熱容器2202の中の所定の温度に加熱された円筒状基体2508を搬送容器2502の中へ移送する。
次に、開閉ゲート2301と開閉ゲート2501とを接続し、排気バルブ2303及び排気ポンプ2305により予め減圧保持された反応容器2302の中へ円筒状基体2508を移送する。
次に、開閉ゲート2301と開閉ゲート2501とを接続し、排気バルブ2303及び排気ポンプ2305により予め減圧保持された反応容器2302の中へ円筒状基体2508を移送する。
次に、反応容器2302の中で所定の手段により円筒状基体2508の上に堆積膜を形成する。
その後、堆積膜が形成された円筒状基体2508は、排気バルブ2403及び排気ポンプ2405により予め減圧保持された冷却及び排出容器2402の中に移送され、所定の温度になるまで冷却される。
その後、リークバルブ2404からリーク用ガスを大気圧になるまで流し排出する。
その後、堆積膜が形成された円筒状基体2508は、排気バルブ2403及び排気ポンプ2405により予め減圧保持された冷却及び排出容器2402の中に移送され、所定の温度になるまで冷却される。
その後、リークバルブ2404からリーク用ガスを大気圧になるまで流し排出する。
また、堆積膜の形成が終了し、円筒状基体2508を反応容器2302から搬送容器2502へ移動した後、反応容器2302の内部は、ClF3ガス等によりクリーニング処理される。
加熱容器2202と搬送容器2502との間での円筒状基体2508の受け渡しは、まず、搬送装置2500が、加熱容器2202の上に移動し、搬送容器2502を下降させ、開閉ゲート2501を、開閉ゲート2201に接続させる。
加熱容器2202と搬送容器2502との間での円筒状基体2508の受け渡しは、まず、搬送装置2500が、加熱容器2202の上に移動し、搬送容器2502を下降させ、開閉ゲート2501を、開閉ゲート2201に接続させる。
その後、排気ポンプ2505、排気バルブ2509にて開閉ゲート間を減圧する。なお、搬送容器2502の内部が所定の真空度で無い場合は、排気バルブ2503にて排気を行う。
開閉ゲート間が所定の真空度に到達した段階で、双方の開閉ゲート(開閉ゲート2501及び開閉ゲート2201)を開き、円筒状基体2508の受け渡しを行う。受け渡し終了後、双方の開閉ゲートは閉じられ、開閉ゲート間リークバルブ2504からリーク用ガスを流し、ゲート間を大気圧にする。その後、搬送容器2502の開閉ゲート2501は切り離され、搬送装置2500は次工程へ移動する。
反応容器2302と搬送容器2502との間、冷却及び排出容器2402と搬送容器2502との間での円筒状基体2508の受け渡しも、同様に行う。
開閉ゲート間が所定の真空度に到達した段階で、双方の開閉ゲート(開閉ゲート2501及び開閉ゲート2201)を開き、円筒状基体2508の受け渡しを行う。受け渡し終了後、双方の開閉ゲートは閉じられ、開閉ゲート間リークバルブ2504からリーク用ガスを流し、ゲート間を大気圧にする。その後、搬送容器2502の開閉ゲート2501は切り離され、搬送装置2500は次工程へ移動する。
反応容器2302と搬送容器2502との間、冷却及び排出容器2402と搬送容器2502との間での円筒状基体2508の受け渡しも、同様に行う。
(電子写真感光体用堆積膜形成装置)
図3に示す堆積膜形成装置の概略断面図を用いて堆積膜の形成方法について説明する。堆積膜形成装置は、プラズマ処理によって円筒状基体301に堆積膜を形成する装置である。円筒状電極302、絶縁体303、開閉ゲート305、底壁306により、減圧可能な反応容器300を形成している。
図3に示す堆積膜形成装置の概略断面図を用いて堆積膜の形成方法について説明する。堆積膜形成装置は、プラズマ処理によって円筒状基体301に堆積膜を形成する装置である。円筒状電極302、絶縁体303、開閉ゲート305、底壁306により、減圧可能な反応容器300を形成している。
反応容器300の内部には、加熱用ヒーター307が設けられていてもよい。加熱用ヒーター307は、減圧下で使用可能なものであればどのようなものを用いてもよい。具体的には、シース状ヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター、カーボンヒーターの様な電気抵抗発熱体や、ハロゲンランプ、赤外線ランプの様な熱放射ランプや、液体、気体を熱媒とした熱交換手段が対象として挙げられる。また、反応容器300の内部には、堆積膜形成用の原料ガスを導入するための原料ガス導入管308Aとクリーニング用のクリーニングガスを導入するためのクリーニングガス導入管308Bとが設けられている。原料ガス導入管308A、クリーニングガス導入管308Bは、ミキシング装置310と、ガス流入バルブ311とからなるガス供給系に接続されている。その間には、接続配管309A、309B、原料ガスの流量を調整するためのマスフローコントローラ304A、304Bが介在している。堆積膜形成装置が備える排気系は、排気手段である真空ポンプユニット(不図示)が、排気配管312を介して、円筒状電極302の側壁の排気口313に接続されている。排気配管312には、排気メインバルブ314が設けられている。また、反応容器300には、その内部の圧力を測定する真空計315が取り付けられている。これらを用いて、反応容器300の内部を、各工程に適した所定の圧力に維持することができる。真空ポンプユニットには、例えばロータリーポンプや、メカニカルブースターポンプを用いることができる。円筒状電極302には、整合回路を有するマッチングボックス316を介して高周波電源317が電気的に接続されている。円筒状電極302の上下は、セラミックスからなる絶縁体303により底壁306と絶縁されている。絶縁体303には反応容器300の内部と外部とを連通させる開閉部である開閉ゲート305が設置されており、ここから反応容器300の中に、円筒状基体301が搬入・設置・搬出される。
以下、図3の装置を用いた電子写真感光体の製造方法の一例について説明する。
まず、不図示の排気手段により真空に排気された反応容器300の中に所定の温度に加熱された円筒状基体301を搬送容器(図示せず)により開閉ゲート305を介して設置する。
まず、不図示の排気手段により真空に排気された反応容器300の中に所定の温度に加熱された円筒状基体301を搬送容器(図示せず)により開閉ゲート305を介して設置する。
続いて加熱用ヒーター307により円筒状基体301の温度を200℃〜500℃の所望の温度に制御する。円筒状基体301が所望の温度になったところで、所望の原料ガスを原料ガス導入管308Aを介して反応容器300の中に導入する。次に、反応容器300の内圧が安定したところで、高周波電源317を所望の電力に設定して例えば、13.56MHzの高周波電力を高周波マッチングボックス316を介して円筒状電極302に供給し高周波グロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器300の中に導入させた各原料ガスが分解され、円筒状基体301の上に所望のケイ素原子を主成分とする下部電荷注入阻止層、光導電層、上部電荷注入阻止層、及び表面層を堆積させる。
堆積膜の形成が終了した後、反応容器300から円筒状基体301を取り出し、クリーニング用の基体を設置し反応容器300の中に残存する堆積膜やポリシランをクリーニングする。
クリーニングは、例えば三フッ化塩素(ClF3)ガスと不活性ガスの混合からなるクリーニングガスをクリーニングガス導入管308Bを介して反応容器300の中に導入する。次に、反応容器300の内圧が安定したところで、高周波電源317を所望の電力に設定して例えば、13.56MHzの高周波電力を高周波マッチングボックス316を介して円筒状電極302に供給し高周波グロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器300の中に導入させたクリーニングガスが分解され、反応容器300の中や排気配管312の中に残存する堆積膜やポリシランがクリーニングされる。
クリーニングは、例えば三フッ化塩素(ClF3)ガスと不活性ガスの混合からなるクリーニングガスをクリーニングガス導入管308Bを介して反応容器300の中に導入する。次に、反応容器300の内圧が安定したところで、高周波電源317を所望の電力に設定して例えば、13.56MHzの高周波電力を高周波マッチングボックス316を介して円筒状電極302に供給し高周波グロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器300の中に導入させたクリーニングガスが分解され、反応容器300の中や排気配管312の中に残存する堆積膜やポリシランがクリーニングされる。
堆積膜の形成に関して、電子写真感光体の母線方向(図3(a)の上下方向)の膜特性を調整するために原料ガス導入管308Aから放出される原料ガスのガス放出量を変化させることが有効な手段の一つとして挙げられる。
具体的には、図1(A)〜(C)に示すようにガス放出孔101の分布を変化させることで原料ガスのガス放出量が調整可能となる。
また、本発明で実施されるクリーニングに関しても堆積膜の形成と同様にクリーニングガス導入管308Bから放出されるクリーニングガスのガス放出量の制御は、図1に示すようなガス放出孔101の分布を変化させることで調整可能となる。
具体的には、図1(A)〜(C)に示すようにガス放出孔101の分布を変化させることで原料ガスのガス放出量が調整可能となる。
また、本発明で実施されるクリーニングに関しても堆積膜の形成と同様にクリーニングガス導入管308Bから放出されるクリーニングガスのガス放出量の制御は、図1に示すようなガス放出孔101の分布を変化させることで調整可能となる。
本発明では、製造した電子写真感光体の電位特性を評価し電子写真感光体の母線方向の電位分布を求め、その結果得られた電位分布に応じて電位が高い箇所に、クリーニングガス導入管から放出される母線方向のガス放出量を多く分布させる。
具体的には、図5(a)に示すような残留電位分布が得られた場合、図1(B)に示すようなクリーニングガス導入管のガス放出孔の分布にすることで反応容器内の上部空間領域に付着膜や副生成物の残留を抑制することが可能となる。
具体的には、図5(a)に示すような残留電位分布が得られた場合、図1(B)に示すようなクリーニングガス導入管のガス放出孔の分布にすることで反応容器内の上部空間領域に付着膜や副生成物の残留を抑制することが可能となる。
図5(a)に示すような残留電位分布とは、下記のような分布を意味する。
・母線方向位置が−150[mm]〜0[mm]の間:母線方向位置に対して、略一次関数的に残留電位が減少する。
・母線方向位置が0[mm]〜150[mm]の間:母線方向位置に対して、残留電位がほとんど減少しない。
図1(B)に示すようなクリーニングガス導入管のガス放出孔の分布とは、下記のような分布を意味する。
・母線方向位置が−175[mm]〜−100[mm]の間:7個のガス放出孔が略等間隔に配置。
・母線方向位置が−75[mm]〜−50[mm]の間:3個のガス放出孔が略等間隔に配置。
・母線方向位置が−25[mm]〜175[mm]の間:9個のガス放出孔が略等間隔に配置。
その結果、堆積膜の中に取り込まれるコンタミネーションの量を抑えることができ、電子写真感光体の電位特性の均一性不良の発生を抑制可能となる。
・母線方向位置が−150[mm]〜0[mm]の間:母線方向位置に対して、略一次関数的に残留電位が減少する。
・母線方向位置が0[mm]〜150[mm]の間:母線方向位置に対して、残留電位がほとんど減少しない。
図1(B)に示すようなクリーニングガス導入管のガス放出孔の分布とは、下記のような分布を意味する。
・母線方向位置が−175[mm]〜−100[mm]の間:7個のガス放出孔が略等間隔に配置。
・母線方向位置が−75[mm]〜−50[mm]の間:3個のガス放出孔が略等間隔に配置。
・母線方向位置が−25[mm]〜175[mm]の間:9個のガス放出孔が略等間隔に配置。
その結果、堆積膜の中に取り込まれるコンタミネーションの量を抑えることができ、電子写真感光体の電位特性の均一性不良の発生を抑制可能となる。
また、別の堆積膜形成条件を使用し、例えば図5(b)のような残留電位分布が得られた場合、図1(C)のようなクリーニングガス導入管のガス放出孔の分布にすることで反応容器内の下部空間領域に付着膜や副生成物の残留を抑制することが可能となる。
図5(b)に示すような残留電位分布とは、下記のような分布を意味する。
・母線方向位置が−150[mm]〜0[mm]の間:母線方向位置に対して、残留電位がほとんど増加しない。
・母線方向位置が0[mm]〜150[mm]の間:母線方向位置に対して、略一次関数的に残留電位が増加する。
図1(C)に示すようなクリーニングガス導入管のガス放出孔の分布とは、下記のような分布を意味する。
・母線方向位置が−175[mm]〜0[mm]の間:8個のガス放出孔が略等間隔に配置。
・母線方向位置が25[mm]〜50[mm]の間:3個のガス放出孔が略等間隔に配置。
・母線方向位置が75[mm]〜175[mm]の間:9個のガス放出孔が略等間隔に配置。
その結果、堆積膜の中に取り込まれるコンタミネーションの量を抑えることができ、電子写真感光体の電位特性の均一性不良の発生を抑制可能となる。
図5(b)に示すような残留電位分布とは、下記のような分布を意味する。
・母線方向位置が−150[mm]〜0[mm]の間:母線方向位置に対して、残留電位がほとんど増加しない。
・母線方向位置が0[mm]〜150[mm]の間:母線方向位置に対して、略一次関数的に残留電位が増加する。
図1(C)に示すようなクリーニングガス導入管のガス放出孔の分布とは、下記のような分布を意味する。
・母線方向位置が−175[mm]〜0[mm]の間:8個のガス放出孔が略等間隔に配置。
・母線方向位置が25[mm]〜50[mm]の間:3個のガス放出孔が略等間隔に配置。
・母線方向位置が75[mm]〜175[mm]の間:9個のガス放出孔が略等間隔に配置。
その結果、堆積膜の中に取り込まれるコンタミネーションの量を抑えることができ、電子写真感光体の電位特性の均一性不良の発生を抑制可能となる。
(a−Si電子写真感光体の層構成)
以下、図面を用いて本発明の電子写真感光体の構成について詳細に説明する。
図4に示す例では、例えばアルミニウム等の導電性の円筒状基体401と、その表面に順次積層された下部電荷注入阻止層402、光導電層403、上部電荷注入阻止層404、及び表面層405とからなる負帯電用電子写真感光体を製造している。
以下、図面を用いて本発明の電子写真感光体の構成について詳細に説明する。
図4に示す例では、例えばアルミニウム等の導電性の円筒状基体401と、その表面に順次積層された下部電荷注入阻止層402、光導電層403、上部電荷注入阻止層404、及び表面層405とからなる負帯電用電子写真感光体を製造している。
光導電層403には、伝導性を制御する原子いわゆるドーパント原子を含有させることができる。このドーパント原子の含有量や分布の調整により、光導電層内のキャリアの内で電子の走行性を向上させ感度や光メモリー特性を飛躍的に向上させることが可能となる。
下部電荷注入阻止層402や上部電荷注入阻止層404には、光導電層403に電荷が注入されるのを阻止する機能を持たせるために、ドーパント原子を含有させる。一般的には、下部電荷注入阻止層402に周期表第15族元素を、上部電荷注入阻止層404に周期表第13族元素を含有させる。
ドーパント原子は、光導電層403、下部電荷注入阻止層402、上部電荷注入阻止層404の中に万偏なく均一に分布した状態で含有されていてもよいし、また、層厚方向には不均一な分布状態で含有されている部分があってもよい。
ドーパント原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができる。すなわち、p型伝導性を与える周期表第13族に属する原子又はn型伝導性を与える周期表第15族に属する原子を用いることができる。
ドーパント原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができる。すなわち、p型伝導性を与える周期表第13族に属する原子又はn型伝導性を与える周期表第15族に属する原子を用いることができる。
周期表第13族に属する原子としては、具体的には、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)があり、特にホウ素(B)が好適である。ホウ素(B)供給用ガスとしては、ジボラン(B2H6)ガスが好ましい。
周期表第15族に属する原子としては、具体的にはリン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)があり、特にリン(P)が好適である。リン(P)供給用ガスとしては、ホスフィン(PH3)ガスが好ましい。
ドーパント原子の含有量としては、主な構成原子であるケイ素原子に対して1×10−2〜1×104原子ppmが好ましい。
周期表第15族に属する原子としては、具体的にはリン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)があり、特にリン(P)が好適である。リン(P)供給用ガスとしては、ホスフィン(PH3)ガスが好ましい。
ドーパント原子の含有量としては、主な構成原子であるケイ素原子に対して1×10−2〜1×104原子ppmが好ましい。
堆積膜形成用のケイ素供給用ガスとしては、シラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)などのシラン類が好適に使用できる。
堆積膜形成中の基体の温度は、150℃〜450℃の温度に保つことが特性上好ましい。
堆積膜形成中の反応容器内圧力は、1×10−2〜1×103Pa、好ましくは5×10−2〜5×102Pa、より好ましくは1×10−1〜1×102Paとする。
堆積膜形成中の基体の温度は、150℃〜450℃の温度に保つことが特性上好ましい。
堆積膜形成中の反応容器内圧力は、1×10−2〜1×103Pa、好ましくは5×10−2〜5×102Pa、より好ましくは1×10−1〜1×102Paとする。
また、光導電層403としてa−Si堆積膜を用いる場合は、a−Si堆積膜の中の未結合手を補償するため、水素原子(H)に加えて、ハロゲン原子を含有させることができる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
水素原子とハロゲン原子の含有量の合計は、ケイ素原子と水素原子とハロゲン原子の含有量の合計に対して10原子%以上40原子%以下であることが好ましく、15原子%以上25原子%以下であることがより好ましい。
光導電層403の層厚は、所望の電子写真特性が得られること、経済的効果等の点から適宜決定されるが、15μm以上60μm以下が好ましく、20μm以上50μm以下がより好ましく、20μm以上40μm以下がさらに好ましい。
水素原子とハロゲン原子の含有量の合計は、ケイ素原子と水素原子とハロゲン原子の含有量の合計に対して10原子%以上40原子%以下であることが好ましく、15原子%以上25原子%以下であることがより好ましい。
光導電層403の層厚は、所望の電子写真特性が得られること、経済的効果等の点から適宜決定されるが、15μm以上60μm以下が好ましく、20μm以上50μm以下がより好ましく、20μm以上40μm以下がさらに好ましい。
(電子写真感光体の母線方向の電位特性を算出する工程)
上記の方法で製造したa−Si電子写真感光体は、次工程となる検査工程で、電位特性評価を行うことができる。
図6は、電位評価装置の模式的構成図である。図6に示した電位評価装置は、除電露光602、帯電器603、画像露光604、及び表面電位測定器605を有している。評価対象物である電子写真感光体601が電位評価装置内に置かれたとき、除電露光602、帯電器603、画像露光604、及び表面電位測定器605は、電子写真感光体601の外周部の近傍に存在するように配置される。帯電器603としてはコロトロン帯電器を用いることができる。
上記の方法で製造したa−Si電子写真感光体は、次工程となる検査工程で、電位特性評価を行うことができる。
図6は、電位評価装置の模式的構成図である。図6に示した電位評価装置は、除電露光602、帯電器603、画像露光604、及び表面電位測定器605を有している。評価対象物である電子写真感光体601が電位評価装置内に置かれたとき、除電露光602、帯電器603、画像露光604、及び表面電位測定器605は、電子写真感光体601の外周部の近傍に存在するように配置される。帯電器603としてはコロトロン帯電器を用いることができる。
電子写真感光体601は、不図示の回転機構によって、矢印X方向に回転するように支持されている。除電露光602、帯電器603、画像露光604、及び表面電位測定器605は、ユニット606内の任意の角度位置に取付け可能である。このため、所望の電子写真装置と同様のプロセス条件において電子写真感光体601の電位特性の評価が可能である。また、除電露光602、帯電器603、及び画像露光604に関しては、電子写真感光体601の母線方向の略全域に渡って、露光及び帯電を行うことが可能な構成となっている。表面電位測定器605に関しては、電子写真感光体601の母線方向に必要に応じて複数個配備しており、電子写真感光体の母線方向における特性分布を一度に検査可能な構成となっている。
ここで、母線方向とは、円柱の母線の方向を指しており、円筒状の電子写真感光体の場合は、電子写真感光体が回転することによって電子写真感光体の表面の任意の一点が描く円を含む平面に対して垂直となる方向(図6の紙面に垂直な方向)を指している。
(実施例)
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
以下の実施例及び比較例では、図2の電子写真感光体製造装置及び図3の堆積膜形成装置を用いた。また、円筒状基体2508、301としては、直径84mm、長さ381mm、厚さ3mmからなるアルミニウム合金製のものを用いた。円筒状基体の厚さは、{(円筒の外径−円筒の内径)/2}である。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
以下の実施例及び比較例では、図2の電子写真感光体製造装置及び図3の堆積膜形成装置を用いた。また、円筒状基体2508、301としては、直径84mm、長さ381mm、厚さ3mmからなるアルミニウム合金製のものを用いた。円筒状基体の厚さは、{(円筒の外径−円筒の内径)/2}である。
(実施例1)
実施例1では、堆積膜形成とクリーニングを繰り返し行い、電子写真感光体を10ロット製造後、製造した10ロットの電子写真感光体の電位特性を評価し、その後クリーニング条件を変化させて電子写真感光体を10ロット製造した。
具体的には、電子写真感光体の製造は、表1に示す条件で、図4に示す層構成の堆積膜形成を行った。堆積膜形成後の反応容器300の内部のクリーニングは、表2に示す条件とし、前半の10ロットは図1(A)に示すクリーニングガス導入管を用いて実施し、後半の10ロットは図1(B)に示すクリーニングガス導入管に交換して実施した。
実施例1では、堆積膜形成とクリーニングを繰り返し行い、電子写真感光体を10ロット製造後、製造した10ロットの電子写真感光体の電位特性を評価し、その後クリーニング条件を変化させて電子写真感光体を10ロット製造した。
具体的には、電子写真感光体の製造は、表1に示す条件で、図4に示す層構成の堆積膜形成を行った。堆積膜形成後の反応容器300の内部のクリーニングは、表2に示す条件とし、前半の10ロットは図1(A)に示すクリーニングガス導入管を用いて実施し、後半の10ロットは図1(B)に示すクリーニングガス導入管に交換して実施した。
図7に実施例1における処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS701:電子写真感光体を10ロット製造した。
ステップS702:電子写真感光体の電位特性を評価し電子写真感光体の母線方向の残留電位分布を算出した。その結果、図5(a)に示すような残留電位分布が得られた。なお、母線方向位置の数値がマイナスは、反応容器300内の上部領域を示す。
ステップS703:得られた残留電位分布に応じて残留電位が高い箇所に、クリーニングガス導入管から放出される母線方向のガス放出量が多くなるように、ガス放出孔101を多く分布させた図1に示すクリーニングガス導入管(B)に交換した。なお、図1のクリーニングガス導入管(B)でガス放出孔101が多く分布している側が、反応容器300内の上部領域に対応する。図3(a)に示すように、クリーニングガス導入管308Bは、クリーニングガス導入管308Bの長手方向と、電子写真感光体の母線方向(すなわち、円筒状基体301の母線方向)とが略一致するように置かれる。
ステップS704:堆積膜形成とクリーニングを繰り返し行って電子写真感光体を10ロット製造した。
ステップS705:製造した10ロットの電子写真感光体の電位特性の評価を行った。
電子写真感光体について下記項目を評価する。
ステップS701:電子写真感光体を10ロット製造した。
ステップS702:電子写真感光体の電位特性を評価し電子写真感光体の母線方向の残留電位分布を算出した。その結果、図5(a)に示すような残留電位分布が得られた。なお、母線方向位置の数値がマイナスは、反応容器300内の上部領域を示す。
ステップS703:得られた残留電位分布に応じて残留電位が高い箇所に、クリーニングガス導入管から放出される母線方向のガス放出量が多くなるように、ガス放出孔101を多く分布させた図1に示すクリーニングガス導入管(B)に交換した。なお、図1のクリーニングガス導入管(B)でガス放出孔101が多く分布している側が、反応容器300内の上部領域に対応する。図3(a)に示すように、クリーニングガス導入管308Bは、クリーニングガス導入管308Bの長手方向と、電子写真感光体の母線方向(すなわち、円筒状基体301の母線方向)とが略一致するように置かれる。
ステップS704:堆積膜形成とクリーニングを繰り返し行って電子写真感光体を10ロット製造した。
ステップS705:製造した10ロットの電子写真感光体の電位特性の評価を行った。
電子写真感光体について下記項目を評価する。
(残留電位の母線方向電位分布の算出)
軸方向における電子写真感光体の中央部位置を0cm位置とし、±150mm、±130mm、±90mm、±50mmの計9点を測定位置とし、各測定位置において残留電位を測定した。
図6に示す電位評価装置を用いて、残留電位を測定し、以下のように評価した。
軸方向における電子写真感光体の中央部位置を0cm位置とし、±150mm、±130mm、±90mm、±50mmの計9点を測定位置とし、各測定位置において残留電位を測定した。
図6に示す電位評価装置を用いて、残留電位を測定し、以下のように評価した。
電位評価装置は、帯電器603をユニット606に取り付ける位置を0°とし、時計回りの方向を正とした場合に、除電露光602は−30°位置、画像露光604は30°位置、表面電位測定器605は90°位置に取り付けた。
帯電器603は、コロトロン帯電器を用いた。また、画像露光604は波長スペクトルのピーク波長680nmのLED、除電露光602は波長スペクトルのピーク波長630nmのLEDを用いた。
帯電器603は、コロトロン帯電器を用いた。また、画像露光604は波長スペクトルのピーク波長680nmのLED、除電露光602は波長スペクトルのピーク波長630nmのLEDを用いた。
不図示の加熱手段を用いて、電子写真感光体の表面温度が42℃±1℃で一定になるように制御した状態で測定を行った。
まず、除電露光602を点灯させ、電子写真感光体601を不図示のモーターにより750mm/secで回転させ、画像露光604を暗状態とした時に電子写真感光体601の暗部表面電位が−500Vとなるように帯電器603に流れる総電流を決定した。このとき、除電露光602の露光光量は4μJ/cm2とした。
そして、帯電器603を用いて電子写真感光体の表面に電荷を付与して帯電させ、暗部表面電位を−500Vとした。
まず、除電露光602を点灯させ、電子写真感光体601を不図示のモーターにより750mm/secで回転させ、画像露光604を暗状態とした時に電子写真感光体601の暗部表面電位が−500Vとなるように帯電器603に流れる総電流を決定した。このとき、除電露光602の露光光量は4μJ/cm2とした。
そして、帯電器603を用いて電子写真感光体の表面に電荷を付与して帯電させ、暗部表面電位を−500Vとした。
次に、画像露光604を明状態とし、電子写真感光体601の表面電位が−100Vとなるように画像露光604の光量を求め、その3倍の光量を電子写真感光体に照射した。
このときの電子写真感光体601の表面電位を測定し、周方向に等間隔な360点で測定し、それらの平均値を求め残留電位とした。
軸方向(母線方向)の各測定位置(9点)で測定された残留電位をプロットして図5に示すような残留電位分布を得た。
画像露光604の光量とは、静電潜像を形成するために照射される画像露光の光量である。
なお、複数ロット製造した電子写真感光体は、最後のロットで製造した電子写真感光体の評価結果を採用した。
このときの電子写真感光体601の表面電位を測定し、周方向に等間隔な360点で測定し、それらの平均値を求め残留電位とした。
軸方向(母線方向)の各測定位置(9点)で測定された残留電位をプロットして図5に示すような残留電位分布を得た。
画像露光604の光量とは、静電潜像を形成するために照射される画像露光の光量である。
なお、複数ロット製造した電子写真感光体は、最後のロットで製造した電子写真感光体の評価結果を採用した。
(電子写真感光体の帯電能均一性の評価)
軸方向における電子写真感光体の中央部位置を0cm位置とし、±150mm、±130mm、±90mm、±50mmの計9点を測定位置とし、各測定位置において帯電能を測定した。
残留電位は、本実施例で製造した電子写真感光体を図6に示す電子写真感光体の電位評価装置で上述した残留電位の母線方向電位分布の算出と同様の条件で以下のように評価した。
軸方向における電子写真感光体の中央部位置を0cm位置とし、±150mm、±130mm、±90mm、±50mmの計9点を測定位置とし、各測定位置において帯電能を測定した。
残留電位は、本実施例で製造した電子写真感光体を図6に示す電子写真感光体の電位評価装置で上述した残留電位の母線方向電位分布の算出と同様の条件で以下のように評価した。
まず、除電露光602を点灯させ、電子写真感光体601を不図示のモーターにより750mm/secで回転させ、画像露光604を暗状態とした時に帯電器603に流れる総電流の絶対値を1000μAの条件にして電子写真感光体を帯電させる。そして、黒色現像位置における電子写真感光体の暗部表面電位を測定し、周方向に等間隔な360点で測定し、それらの平均値を求め、求められた絶対値をその測定位置における帯電能とした。表面電位が大きい程、帯電能が良好となる。このとき、除電露光602の露光光量は4μJ/cm2とした。
軸方向(母線方向)の各測定位置(9点)で測定された帯電能(絶対値)の合計値を9で除した値を平均帯電能とした。また、9点で測定された帯電能の中の最大値と最小値との差分を平均帯電能で除し、かつ100倍して得られた値の小数第二位を四捨五入して得られた値を帯電能均一性の評価値とした。評価値が小さい程、帯電能均一性が良好となる
評価値について以下の基準でランク付けを行った。
なお、複数ロット製造した電子写真感光体は、最後のロットで製造した電子写真感光体の評価結果を採用した。
評価値について以下の基準でランク付けを行った。
なお、複数ロット製造した電子写真感光体は、最後のロットで製造した電子写真感光体の評価結果を採用した。
A・・・0.5%未満
B・・・0.5%以上1.0%未満
C・・・1.0%以上2.0%未満
D・・・2.0%以上
B・・・0.5%以上1.0%未満
C・・・1.0%以上2.0%未満
D・・・2.0%以上
(比較例)
比較例では、堆積膜形成とクリーニングを繰り返し行う電子写真感光体を10ロット製造後、クリーニングガス導入管から放出されるガス放出量の分布を変化させなかった。従って、本比較例ではクリーニングガス導入管の変更行わず図1に示すクリーニングガス導入管(A)を使用し続けて、さらに10ロット製造した。それ以外は実施例1と同様の方法で堆積膜形成とクリーニングを20ロット繰り返した。
比較例では、堆積膜形成とクリーニングを繰り返し行う電子写真感光体を10ロット製造後、クリーニングガス導入管から放出されるガス放出量の分布を変化させなかった。従って、本比較例ではクリーニングガス導入管の変更行わず図1に示すクリーニングガス導入管(A)を使用し続けて、さらに10ロット製造した。それ以外は実施例1と同様の方法で堆積膜形成とクリーニングを20ロット繰り返した。
(実施例2)
実施例2では、実施例1と同様に堆積膜形成とクリーニングを繰り返し行う電子写真感光体を10ロット製造後、製造した10ロットの電子写真感光体の電位特性を評価し、その後クリーニング条件を変化させて電子写真感光体を10ロット製造した。
実施例1と異なる点は、下記の1)及び2)である。
1)表3に示す条件で堆積膜形成を行った。
2)電子写真感光体を10ロット製造後、図5(b)に示すような残留電位分布が得られたため、後半の10ロットは図1(C)に示すクリーニングガス導入管に交換してクリーニングを実施した。
実施例2では、実施例1と同様に堆積膜形成とクリーニングを繰り返し行う電子写真感光体を10ロット製造後、製造した10ロットの電子写真感光体の電位特性を評価し、その後クリーニング条件を変化させて電子写真感光体を10ロット製造した。
実施例1と異なる点は、下記の1)及び2)である。
1)表3に示す条件で堆積膜形成を行った。
2)電子写真感光体を10ロット製造後、図5(b)に示すような残留電位分布が得られたため、後半の10ロットは図1(C)に示すクリーニングガス導入管に交換してクリーニングを実施した。
表4に示されるように、電子写真感光体の電位評価から得られた電位分布に応じて電位が高い箇所にクリーニングガス導入管から放出される母線方向のガス放出量を多く分布させることで、帯電能の均一性を改善することができた。
100‥‥ガス導入管 101‥‥ガス放出孔
Claims (3)
- 減圧可能な反応容器内に円筒状基体を設置し、該反応容器内に原料ガスを導入し、該円筒状基体の上に堆積膜を形成する堆積膜形成工程と、該反応容器内から該円筒状基体を取り出し、該反応容器内に複数のガス放出孔を有するクリーニングガス導入管からクリーニングガスを導入して該反応容器内をクリーニングするクリーニング工程とを繰り返し行う電子写真感光体の製造方法であって、
該堆積膜形成工程の後に、製造した該電子写真感光体の表面に電荷を付与して帯電させ、該表面を露光した後の該電子写真感光体の母線方向の残留電位の分布を求め、
該クリーニング工程において、該残留電位の分布に応じて、該残留電位が高い箇所に対応する該反応容器内の箇所に、該クリーニングガスを多く放出することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 前記残留電位は、前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成するために照射される画像露光の光量に比べて3倍の光量を前記電子写真感光体の表面に照射した後の残留電位である請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記反応容器内において、前記クリーニングガス導入管は、前記クリーニングガス導入管の長手方向と、前記電子写真感光体の母線方向とが略一致するように置かれ、
前記残留電位の分布に応じて、前記残留電位が高い箇所に対応する位置に、前記クリーニングガス導入管の前記ガス放出孔が多く存在する請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造方法。
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Cited By (1)
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CN114112843A (zh) * | 2021-10-18 | 2022-03-01 | 中国工程物理研究院激光聚变研究中心 | 一种低压氧等离子体清洗有机污染物的性能评价方法 |
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2017
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Cited By (2)
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CN114112843A (zh) * | 2021-10-18 | 2022-03-01 | 中国工程物理研究院激光聚变研究中心 | 一种低压氧等离子体清洗有机污染物的性能评价方法 |
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