各図に適宜示すZ軸方向は、鉛直方向である。X軸方向およびY軸方向は、Z軸方向と直交する水平方向であり、互いに直交する方向である。本実施形態においてX軸方向は、本実施形態の駆動装置10が搭載される走行体の左右方向である。本実施形態においてY軸方向は、本実施形態の駆動装置10が搭載される走行体の前後方向である。
各図に適宜示す中心軸Jは、左右方向であるX軸方向と平行な方向に延びる仮想線である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向と平行な方向を単に「軸方向X」と呼び、軸方向Xのうち正の側を「右側」と呼び、軸方向Xのうち負の側を「左側」と呼ぶ。また、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。また、鉛直方向であるZ軸方向と平行な方向を「鉛直方向Z」と呼ぶ。また、鉛直方向Zのうち正の側を「上側」と呼び、鉛直方向Zのうち負の側を「下側」と呼ぶ。
本実施形態において、右側は、軸方向一方側に相当し、左側は、軸方向他方側に相当する。なお、鉛直方向、上側、下側、水平方向および左右方向とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
図1から図3に示す本実施形態の駆動装置10は、ホイールを回転させる駆動装置である。本実施形態において駆動装置10は、図示しないホイールを備える走行体に搭載される。駆動装置10は、走行体のシャーシに固定される。図示は省略するが、走行体のシャーシは、駆動装置10の左側に位置する。
図2および図3に示すように、本実施形態の駆動装置10は、中心軸Jに沿って配置されるモータシャフト31を有するモータ部11と、遊星歯車機構50と、出力部60と、第1軸受73と、第2軸受74と、第1シール部材75と、第2シール部材76と、を備える。遊星歯車機構50は、モータシャフト31の右側に接続される減速機構である。出力部60は、モータ部11の右側に位置する。出力部60には、遊星歯車機構50を介してモータシャフト31の回転が伝達される。第1軸受73および第2軸受74は、出力部60を中心軸J回りに回転可能に支持する。第1軸受73および第2軸受74は、例えば、ボールベアリングである。
図2に示すように、モータ部11は、ハウジング20と、ブッシュ28と、ゴムカバー29と、モータシャフト31を有するロータ30と、第1モータ軸受71と、第2モータ軸受72と、ステータ40と、回路基板80と、回転センサ86と、コネクタ81と、ケーブル83と、を有する。
ハウジング20は、ロータ30およびステータ40を収容する。本実施形態においてハウジング20の内部は、例えば、密閉される。ハウジング20は、カバー部材21と、ブラケット22と、を有する。カバー部材21は、ブラケット22の左側に固定される。カバー部材21は、カバー底部21aと、カバー筒部21bと、嵌合筒部21cと、第1固定部21dと、突出筒部23と、軸受保持部24と、を有する。すなわち、ハウジング20は、カバー底部21aと、カバー筒部21bと、嵌合筒部21cと、第1固定部21dと、突出筒部23と、軸受保持部24と、を有する。
カバー底部21aは、中心軸Jを囲む円環板状である。カバー底部21aの板面は、軸方向Xを向く。カバー底部21aは、ステータ40の左側を覆う。カバー筒部21bは、カバー底部21aの径方向外周縁部から右側に突出する筒状である。嵌合筒部21cは、カバー筒部21bの右側の端面から右側に突出する筒状である。本実施形態において嵌合筒部21cは、中心軸Jを中心とする円筒状である。
第1固定部21dは、駆動装置10が搭載される走行体のシャーシに固定される部分である。第1固定部21dは、例えば、ネジによって走行体のシャーシに固定される。図1に示すように、第1固定部21dは、カバー筒部21bから径方向外側に突出する。本実施形態において第1固定部21dは、複数設けられる。複数の第1固定部21dは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。本実施形態において第1固定部21dの周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って小さくなる。図2に示すように、本実施形態において第1固定部21dの軸方向Xの寸法は、カバー筒部21bの軸方向Xの寸法とほぼ同じである。
本実施形態において第1固定部21dは、カバー部材21とブラケット22とのうち左側に位置するカバー部材21に設けられる。本実施形態においてハウジング20は、第1固定部21dを左側に有する。第1固定部21dは、第2モータ軸受72よりも右側に位置する。
突出筒部23は、ハウジング20のうち左側に突出する部分である。突出筒部23は、筒部本体23aと、底部23bと、を有する。筒部本体23aは、カバー底部21aの径方向内周縁部から左側に突出する筒状である。筒部本体23aの内部には、モータシャフト31の左側の端部が挿入される。これにより、突出筒部23は、モータシャフト31のうち後述するロータ本体32よりも左側の部分の少なくとも一部を覆う。
図4および図5に示すように、本実施形態において筒部本体23aは、中心軸Jを中心とする略円筒状である。筒部本体23aは、径方向外側に突出する凸部23dを有する。本実施形態において凸部23dは、下側に突出する。凸部23dは、軸方向Xに沿って視て、略矩形状である。
図5に示すように、凸部23dは、凸部23dの下側の壁部を径方向のうちの鉛直方向Zに貫通する引出孔部23cを有する。すなわち、突出筒部23は、突出筒部23の壁部を径方向に貫通する引出孔部23cを有する。引出孔部23cには、ブッシュ28が嵌め合わされる。
ブッシュ28は、引出孔部23cの径方向外側の開口、すなわち本実施形態では下側の開口を塞ぐ。ブッシュ28は、ブッシュ本体部28aと、ブッシュフランジ部28bと、を有する。ブッシュ本体部28aは、引出孔部23cに嵌め合わされる部分である。ブッシュフランジ部28bは、ブッシュ本体部28aの下側の端部から、鉛直方向Zと直交する方向に拡がる。ブッシュフランジ部28bは、凸部23dの下側の端面のうち引出孔部23cの周縁部に接触する。ブッシュ28は、ブッシュ28を径方向に貫通する複数のブッシュ貫通孔28cを有する。本実施形態においてブッシュ貫通孔28cは、ブッシュ28を鉛直方向Zに貫通する。
ブッシュ28は、ゴムカバー29によって突出筒部23に固定される。図4に示すように、ゴムカバー29は、鉛直方向Zに沿って視て、右側に開口する略C字形状である。ゴムカバー29は、ネジ94によって凸部23dの下側の端部に固定される。これにより、ゴムカバー29は、突出筒部23の径方向外側面に固定される。図5に示すように、ゴムカバー29は、引出孔部23cとブッシュ28との隙間を径方向外側から覆う。これにより、引出孔部23cとブッシュ28との隙間から突出筒部23の内部に水分等が浸入することを抑制できる。また、本実施形態では、引出孔部23cが下側に開口するため、突出筒部23の内部に水分等が浸入することをより抑制できる。
ゴムカバー29の内縁部は、ブッシュフランジ部28bの下側の面に接触する。ゴムカバー29の内縁部は、ブッシュフランジ部28bを凸部23dの下側の面に押し付ける。これにより、ブッシュ28は、凸部23dに固定される。
図2に示すように、底部23bは、径方向に拡がり、モータシャフト31の左側を覆う。底部23bの径方向外周縁部は、筒部本体23aの左側の端部に繋がる。底部23bは、筒部本体23aの左側の開口を塞ぐ。
軸受保持部24は、底部23bから右側に突出する筒状である。図4および図5に示すように、本実施形態において軸受保持部24は、中心軸Jを中心とする円筒状である。軸受保持部24は、突出筒部23よりも径方向内側に位置する。図2に示すように、軸受保持部24の左側の部分は、突出筒部23の内部に位置する。軸受保持部24の右側の端部は、突出筒部23よりも右側に突出する。本実施形態において軸受保持部24の右側の端部は、後述する回路基板80の左側の面よりも右側に位置する。
軸受保持部24は、第2モータ軸受72を保持する。より詳細には、軸受保持部24は、内周面に第2モータ軸受72を保持する。これにより、カバー部材21は、第2モータ軸受72を保持する。図2に示すように、本実施形態において第2モータ軸受72は、軸受保持部24の内部のうち左側の端部に位置する。軸受保持部24の内部には、モータシャフト31の左側の端部が挿入される。
ブラケット22は、カバー部材21の右側に固定される。ブラケット22は、第1蓋部22aと、ブラケット筒部22bと、第3固定部22iと、突起部25と、保持部26と、を有する。第1蓋部22aは、径方向に拡がり、ステータ40の右側を覆う。図6および図7に示すように、第1蓋部22aの外形は、軸方向Xに沿って視て、中心軸Jを中心とする円形状である。
図2に示すように、第1蓋部22aは、第1蓋部22aを軸方向Xに貫通するモータシャフト挿通孔22cを有する。モータシャフト挿通孔22cは、例えば、中心軸Jを中心とする円形状である。モータシャフト挿通孔22cには、モータシャフト31が通される。第1蓋部22aは、左側に窪む第1穴部22dを有する。本実施形態において第1穴部22dは、第1蓋部22aを軸方向Xに貫通する。第1穴部22dは、モータシャフト挿通孔22cよりも径方向外側に位置する。第1穴部22dは、例えば、円形状である。図示は省略するが、本実施形態において第1穴部22dは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に3つ設けられる。
図6に示すように、第1蓋部22aは、第1蓋部22aの右側の面から左側に窪む凹部22fを有する。凹部22fは、径方向外側に開口する。凹部22fは、周方向に沿って複数設けられる。複数の凹部22fは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
図8に示すように、第1蓋部22aは、第1蓋部22aを軸方向Xに貫通する貫通孔22hを有する。本実施形態において貫通孔22hは、凹部22fの底面から第1蓋部22aの左側の面まで第1蓋部22aを貫通する。貫通孔22hには、右側からネジ91が通される。ネジ91は、貫通孔22hおよび後述するコア凸部42bの貫通孔42cを介してカバー部材21に締め込まれる。本実施形態においてネジ91は、カバー筒部21bの右側の端面に設けられた雌ネジ穴に締め込まれる。これにより、第1蓋部22aがカバー筒部21bと固定され、ブラケット22がカバー部材21に固定される。
ブラケット筒部22bは、第1蓋部22aの径方向外周縁部から左側に延びる筒状である。図5に示すように、本実施形態においてブラケット筒部22bは、中心軸Jを中心とする円筒状である。図2に示すように、ブラケット筒部22bの左側の端部は、嵌合筒部21cの径方向内側に嵌め合わされる。
第3固定部22iは、ブラケット筒部22bの内周面のうち右側の部分から径方向内側に突出する。第3固定部22iの右側の端部は、第1蓋部22aに繋がる。第3固定部22iの左側の端部は、ブラケット筒部22bの左側の端部よりも右側に位置する。第3固定部22iは、軸方向Xに沿って視て、カバー筒部21bのうち嵌合筒部21cよりも径方向内側の部分と重なる。図示は省略するが、第3固定部22iは、周方向に沿って複数設けられる。
突起部25は、第1蓋部22aから右側に突出する。図6および図7に示すように、本実施形態において突起部25は、中心軸Jを中心とする円筒状である。図2に示すように、突起部25は、第1穴部22dよりも径方向外側に位置する。突起部25の外径および内径は、ブラケット筒部22bの外径および内径よりも小さく、突出筒部23の外径および内径よりも大きい。突起部25には、第2軸受74が取り付けられる。すなわち、本実施形態において第2軸受74は、ブラケット22に取り付けられる。これにより、第2軸受74は、ハウジング20に取り付けられる。より詳細には、第2軸受74は、突起部25の外周面に嵌め合わされて固定される。
突起部25は、突起部25の外周面から径方向内側に窪む溝部25aを有する。図示は省略するが、溝部25aは、円環状であり、突起部25の外周面の全周に亘って設けられる。溝部25aは、突起部25の外周面のうち第2軸受74が固定される部分に設けられる。溝部25aには、環状の第2シール部材76が嵌め込まれる。第2シール部材76は、第2軸受74の内輪の内周面と突起部25の外周面との間を封止する。すなわち、第2シール部材76は、第2軸受74とハウジング20との間を封止する。そのため、出力部60の内部に水分等が浸入することを抑制できる。本実施形態において第2シール部材76は、例えば、Oリングである。
図6および図7に示すように、突起部25の径方向内側面は、第1曲面25bを有する。本実施形態において第1曲面25bは、突起部25の径方向内側面の全体である。第1曲面25bは、軸方向Xに沿って視て、周方向に延びる。本実施形態において第1曲面25bは、軸方向Xに沿って視て、中心軸Jを中心とする円形状である。第1曲面25bは、例えば、切削加工によって作られた切削面である。
図2に示すように、保持部26は、第1蓋部22aの左側面のうちモータシャフト挿通孔22cの周縁部から左側に突出する筒状である。本実施形態において保持部26は、中心軸Jを中心とする円筒状である。保持部26は、径方向内側に第1モータ軸受71を保持する。これにより、ブラケット22は、第1モータ軸受71を保持する。
図9に示すように、ブラケット22は、支持部22gと、位置決め部27と、をさらに有する。支持部22gは、第1蓋部22aの右側面のうち突起部25よりも径方向内側の部分の径方向外縁部から右側に突出する。支持部22gは、軸方向Xに沿って視て、略矩形状である。支持部22gの右側の面は、軸方向Xと直交する平坦面である。図示は省略するが、支持部22gは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に3つ設けられる。各支持部22gには、左側に窪む雌ネジ穴22eが設けられる。図3に示すように、本実施形態において雌ネジ穴22eは、第1蓋部22aを軸方向Xに貫通する。
図9に示すように、位置決め部27は、第1蓋部22aの右側面から右側に突出する。位置決め部27は、突起部25よりも径方向内側に位置する。位置決め部27は、支持部22gにおける周方向端部の径方向外側に位置する。位置決め部27は、突起部25の内周面と繋がる。図7に示すように、本実施形態において突起部25は、周方向に間隔を空けて2つ設けられる。
図2に示すように、ロータ30は、モータシャフト31と、ロータ本体32と、を有する。モータシャフト31は、中心軸Jを中心として軸方向Xに延びる円柱状である。モータシャフト31は、突出筒部23の内部から右側に延び、モータシャフト挿通孔22cを介して、ハウジング20の外部まで突出する。モータシャフト31は、第1モータ軸受71と第2モータ軸受72とによって回転可能に支持される。
ロータ本体32は、モータシャフト31の外周面に固定される。本実施形態においてロータ本体32は、ブラケット筒部22bの径方向内側に位置する。ロータ本体32は、ロータコア32aと、ロータマグネット32bと、を有する。すなわち、ロータ30は、ロータコア32aと、ロータマグネット32bと、を有する。ロータコア32aは、モータシャフト31の外周面に固定される。ロータマグネット32bは、ロータコア32aに固定される。本実施形態においてロータマグネット32bは、ロータコア32aを軸方向Xに貫通する孔に嵌め込まれて固定される。
第1モータ軸受71および第2モータ軸受72は、例えば、ボールベアリングである。第1モータ軸受71は、ロータコア32aよりも右側においてモータシャフト31を回転可能に支持する。第1モータ軸受71は、後述する遊星歯車52よりも左側においてモータシャフト31を回転可能に支持する。そのため、第1モータ軸受71が遊星歯車52より右側に配置されるような場合に比べて、駆動装置10を軸方向Xに小型化しやすい。第1モータ軸受71は、保持部26の径方向内側に嵌め合わされる。本実施形態において第1モータ軸受71は、軸方向Xに沿って視て、後述する遊星歯車52と重なる。
第2モータ軸受72は、ロータコア32aよりも左側においてモータシャフト31を回転可能に支持する。すなわち、第2モータ軸受72は、モータシャフト31のうちロータ本体32よりも左側の部分を回転可能に支持する。第2モータ軸受72は、軸受保持部24の径方向内側に嵌め合わされる。
ステータ40は、ロータ30と径方向に隙間を介して対向する。本実施形態においてステータ40は、ロータ30の径方向外側において、ロータ30を囲む。ステータ40は、ステータコア41と、インシュレータ44と、複数のコイル45と、を有する。
ステータコア41は、ブラケット筒部22bの径方向内側に位置する。ステータコア41は、コアバック42と、複数のティース43と、を有する。コアバック42は、周方向に沿った環状である。図10に示すように、コアバック42は、コアバック本体42aと、コア凸部42bと、を有する。すなわち、ステータコア41は、コアバック本体42aと、コア凸部42bと、を有する。本実施形態においてコアバック本体42aは、中心軸Jを中心とする円環状である。
コア凸部42bは、コアバック本体42aから径方向外側に突出する。本実施形態においてコア凸部42bは、複数設けられる。複数のコア凸部42bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。図2に示すように、コア凸部42bは、コア凸部42bを軸方向Xに貫通する貫通孔42cを有する。
コア凸部42bの左側の面は、カバー部材21のうち右側を向く面と直接的に接触する。本実施形態においてコア凸部42bの左側の面は、カバー筒部21bの右側の端面と直接的に接触する。すなわち、ステータコア41は、ハウジング20と直接的に接触する。そのため、複数のコイル45に生じる熱が、ステータコア41からハウジング20に放出されやすい。ハウジング20に放出された熱は、第1固定部21dを介して走行体のシャーシに放出される。したがって、コイル45に生じる熱を走行体のシャーシに好適に逃がすことができる。以上により、本実施形態によれば、駆動装置10の放熱性を向上できる。
また、本実施形態によれば、ハウジング20は、カバー部材21と、ブラケット22と、を有し、第1固定部21dは、カバー部材21に設けられる。そして、ステータコア41は、カバー部材21と直接的に接触する。そのため、ハウジング20のうちステータコア41が接触する部分と第1固定部21dとを近づけやすい。これにより、ハウジング20における放熱経路を短くでき、コイル45に生じる熱をステータコア41およびハウジング20を介して走行体のシャーシに逃がしやすい。したがって、駆動装置10の放熱性をより向上できる。
また、本実施形態によれば、第1固定部21dは、第2モータ軸受72よりも右側に位置する。そのため、第1固定部21dをよりステータコア41に近づけることができる。これにより、ステータコア41から走行体のシャーシまでの放熱経路をより短くでき、駆動装置10の放熱性をより向上できる。
また、本実施形態によれば、ハウジング20の内部は、密閉される。このような場合、ハウジング20の内部に空気等を送ることができず、コイル45を空冷により冷却する方法を採用できない。したがって、上述したようにステータコア41を直接的にハウジング20と接触させることで、コイル45の熱を走行体のシャーシに逃がせる構造は、本実施形態のようにハウジング20の内部が密閉されるような場合に特に有用である。
本実施形態において複数のコア凸部42bのうち一部のコア凸部42bにおける右側の面は、第3固定部22iの左側の面に接触する。すなわち、本実施形態においてステータコア41は、ブラケット22とも直接的に接触する。これにより、ブラケット22からカバー部材21を通る経路からも、コイル45の熱を走行体のシャーシに逃がしやすくできる。したがって、駆動装置10の放熱性をより向上できる。複数のコア凸部42bのうち一部のコア凸部42bは、カバー筒部21bと第3固定部22iとによって軸方向Xに挟持される。ブラケット22は、第3固定部22iがコア凸部42bと接触することで、カバー部材21に対して軸方向Xに位置決めされる。第3固定部22iが接触するコア凸部42bは、例えば、3つ設けられる。
複数のコア凸部42bのうち一部のコア凸部42bは、カバー部材21と固定される第2固定部42dである。第2固定部42dは、右側から貫通孔42cに通されたネジ90がカバー部材21に締め込まれて固定される。本実施形態においてネジ90は、カバー筒部21bの右側の端面に設けられた雌ネジ穴に締め込まれる。第2固定部42dは、第3固定部22iが接触するコア凸部42bとは異なるコア凸部42bであり、例えば、3つ設けられる。
このように、第2固定部42dを介してステータコア41をカバー部材21に固定することで、ステータコア41をより確実にカバー部材21と接触させやすい。そのため、駆動装置10の放熱性を向上させやすい。
上述したように、本実施形態において複数のコア凸部42bは、ブラケット22をカバー部材21に固定するためのネジ91が通る貫通孔42cを有するコア凸部42bを含む。このコア凸部42bは、第3固定部22iが接触するコア凸部42bおよび第2固定部42dであるコア凸部42bとも異なるコア凸部42bであり、例えば、6つ設けられる。
複数のティース43は、コアバック42から径方向内側に延びる。図示は省略するが、複数のティース43は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。インシュレータ44は、ステータコア41に装着される。複数のコイル45は、インシュレータ44を介してステータコア41に装着される。より詳細には、複数のコイル45のそれぞれは、インシュレータ44を介して複数のティース43のそれぞれに装着される。
本実施形態においてインシュレータ44の左側の部分およびコイル45の左側の部分は、カバー筒部21bの内部に挿入され、第1固定部21dの右側の部分と軸方向Xにおいて同じ位置に位置する。すなわち、第1固定部21dは、ステータ40の少なくとも一部と同じ軸方向位置に位置する部分を有する。そのため、第1固定部21dをさらにステータコア41に近い位置に配置できる。これにより、ステータコア41から走行体のシャーシまでの放熱経路をさらに短くでき、駆動装置10の放熱性をさらに向上できる。
回路基板80は、ロータ本体32よりも左側において、ハウジング20の内部に収容される。本実施形態において回路基板80は、カバー部材21の内部に収容される。そのため、回路基板80で生じた熱をカバー部材21から第1固定部21dを介して走行体のシャーシに逃がしやすい。これにより、駆動装置10の放熱性をより向上できる。
回路基板80は、突出筒部23の右側に位置する。図11に示すように、回路基板80は、板面が軸方向Xを向く板状である。回路基板80は、径方向外側に窪む凹部80aを有する。凹部80aには、軸受保持部24の右側の端部が嵌め合わされる。回路基板80の右側の面は、例えば、軸受保持部24の右側の端面と軸方向Xにおいてほぼ同じ位置に位置する。
回転センサ86は、回路基板80に取り付けられる。本実施形態において回転センサ86は、取付部材85を介して回路基板80の右側の面に取り付けられる。取付部材85は、周方向に延びる。取付部材85は、回路基板80の右側の面に固定される。回転センサ86は、ロータ30の回転を検出する。回転センサ86は、例えば、磁気センサである。磁気センサとしては、ホールICを含むホール素子、および磁気抵抗素子等が挙げられる。本実施形態において回転センサ86は、例えば、ホール素子であり、3つ設けられる。3つの回転センサ86は、取付部材85に固定され、周方向に沿って間隔を空けて配置される。
図2に示すように、コネクタ81は、回路基板80から左側に突出する。コネクタ81の左側の端部は、突出筒部23の内部に位置する。コネクタ81は、ステータ40よりも径方向内側に位置する。そのため、コネクタ81を径方向において中心軸Jに近づけて配置することができる。これにより、コネクタ81をステータ40と軸方向Xに重なる位置に配置するような場合に比べて、コネクタ81の左側の端部が収容される突出筒部23の外径を小さくできる。したがって、本実施形態によれば、ハウジング20を径方向に小型化でき、駆動装置10を小型化できる。
本実施形態においてコネクタ81は、ロータ本体32の径方向外側面よりも径方向内側に位置する。そのため、よりコネクタ81を径方向においてモータシャフト31に近づけて配置することができる。これにより、突出筒部23の外径をより小さくでき、ハウジング20をより径方向に小型化できる。本実施形態においてコネクタ81は、軸方向Xに沿って視て、ステータ40の径方向内側においてロータ本体32と重なる。
本実施形態においてコネクタ81は、第2モータ軸受72よりも径方向外側に位置する。そのため、コネクタ81をモータシャフト31から径方向に好適に離して配置できる。これにより、コネクタ81およびコネクタ81に繋がるケーブル83がモータシャフト31と接触することを抑制できる。コネクタ81の左側の端部は、軸受保持部24の径方向外側に位置する。すなわち、本実施形態においてコネクタ81の左側の端部は、突出筒部23と軸受保持部24との径方向の間に位置する。これにより、軸受保持部24によって、コネクタ81およびケーブル83がモータシャフト31と接触することをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、軸受保持部24の右側の端部は、回路基板80の左側の面よりも右側に位置する。そのため、回路基板80の左側の面から左側に突出するコネクタ81の全体が、軸受保持部24の右側の端部よりも左側に位置する。これにより、コネクタ81の全体とモータシャフト31との径方向の間を、軸受保持部24で遮ることができる。したがって、コネクタ81およびケーブル83がモータシャフト31と接触することをより抑制できる。
コネクタ81の左側の端部は、引出孔部23cの右側の端部よりも左側に位置する。これにより、引出孔部23cに嵌め合わされるブッシュ28の右側の端部は、コネクタ81の左側の端部よりも右側に位置する。そのため、コネクタ81の一部とブッシュ28の一部とを同じ軸方向位置に配置できる。したがって、突出筒部23の軸方向Xの寸法を小さくでき、ハウジング20を軸方向Xに小型化できる。これにより、駆動装置10をより小型化できる。
図4および図5に示すように、本実施形態においてコネクタ81は、例えば、コネクタ81aとコネクタ81bとの2つ設けられる。本実施形態においてコネクタ81a,81bは、軸方向Xに延びる四角柱状である。コネクタ81aとコネクタ81bとは、周方向に間隔を空けて配置される。
ケーブル83は、コネクタ81を介して回路基板80と電気的に接続される。図2に示すように、ケーブル83は、コネクタ81の左側の端部から引出孔部23cを介して突出筒部23の径方向外側に引き出される。図4および図5に示すように、ケーブル83は、突出筒部23と軸受保持部24との径方向の間を周方向に沿って延びる部分を有する。
本実施形態においてケーブル83は、ブッシュ貫通孔28cを介して、突出筒部23の外部に引き出される。そのため、ブッシュ貫通孔28cの内側面によってケーブル83を支持することができる。これにより、ケーブル83を安定して、突出筒部23の外部に引き出すことができる。本実施形態においてケーブル83は、ケーブル83aとケーブル83bとの2つ設けられる。ケーブル83aは、コネクタ81aに繋がる。ケーブル83bは、コネクタ81bに繋がる。
本実施形態においてケーブル83aは、コネクタ81aを介して回転センサ86と電気的に接続される。ケーブル83bは、コネクタ81bを介してコイル45と電気的に接続される。ケーブル83a,83bは、突出筒部23の外部において、図示しない外部装置と接続される。これにより、ケーブル83a,83bおよびコネクタ81a,81bを介して、回路基板80は、外部装置と電気的に接続される。外部装置は、駆動装置10に電源を供給する制御装置等である。
図3に示すように、遊星歯車機構50は、太陽歯車部31aと、キャリア51と、支持シャフト53と、複数の遊星歯車52と、複数の遊星歯車シャフト56と、内歯歯車54と、を有する。太陽歯車部31aは、モータシャフト31の右側の部分に設けられる。本実施形態において太陽歯車部31aは、モータシャフト31の右側の端部における外周面に設けられる。
キャリア51は、ブラケット22の右側に位置する。キャリア51は、ブラケット22に固定される。すなわち、キャリア51は、ハウジング20に固定される。キャリア51は、第2蓋部51aと、複数の脚部51dと、支持筒部51bと、リブ51mと、軸受支持部51nと、を有する。
図6に示すように、本実施形態において第2蓋部51aは、中心軸Jを中心とし、板面が軸方向Xを向く円板状である。第2蓋部51aは、遊星歯車52の右側に位置する。第2蓋部51aは、突起部25よりも右側に位置する。図3に示すように、第2蓋部51aは、第2蓋部51aを軸方向Xに貫通する支持シャフト挿通孔51kを有する。支持シャフト挿通孔51kは、例えば、中心軸Jを中心とする円形状である。支持シャフト挿通孔51kには、支持シャフト53が通される。
第2蓋部51aは、右側に窪む第2穴部51pを有する。本実施形態において第2穴部51pは、第2蓋部51aを軸方向Xに貫通する。第2穴部51pは、支持シャフト挿通孔51kよりも径方向外側に位置する。図6に示すように、本実施形態において第2穴部51pは、第2蓋部51aの径方向外縁部に位置する。第2穴部51pは、例えば、円形状である。本実施形態において第2穴部51pは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に3つ設けられる。図3に示すように、各第1穴部22dと各第2穴部51pとは、軸方向Xに沿って視て、それぞれ互いに重なる。本実施形態において第2穴部51pの内径は、例えば、第1穴部22dの内径よりも大きい。
複数の脚部51dは、第2蓋部51aから左側に延びる。図6および図7に示すように、複数の脚部51dは、突起部25よりも径方向内側において、周方向に沿って配置される。本実施形態において複数の脚部51dは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に3つ設けられる。脚部51dは、脚本体部51eと、脚固定部51fと、を有する。
脚本体部51eは、第2蓋部51aの径方向外縁部から左側に直線状に延びる。脚固定部51fは、脚本体部51eから径方向外側に突出する。脚固定部51fは、突起部25の径方向内側に位置する。複数の脚固定部51fは、突起部25の径方向内側に嵌め合わされる。図3に示すように、脚固定部51fの左側の面は、支持部22gの右側の面と接触する。
脚固定部51fは、脚固定部51fを軸方向Xに貫通する取付孔51jを有する。脚固定部51fは、取付孔51jに右側から通されるネジ92が第1蓋部22aに設けられた雌ネジ穴22eに締め込まれることで、第1蓋部22aに固定される。これにより、脚部51dは、ブラケット22に固定される。
図12に示すように、脚固定部51fは、位置決め凹部51hを有する。位置決め凹部51hは、脚固定部51fの左側の面から右側に窪む。位置決め凹部51hは、脚固定部51fの径方向外側の端部における周方向一方側の端部に位置する。位置決め凹部51hは、周方向一方側に開口する。図7に示すように、本実施形態において位置決め凹部51hは、3つの脚固定部51fのうち2つの脚固定部51fに設けられる。2つの脚固定部51fに設けられた位置決め凹部51hは、周方向に開口する向きが互いに逆向きである。
2つの位置決め凹部51hの内側面のうち周方向一方側を向く側面は、2つ位置決め部27のそれぞれと接触する。すなわち、位置決め部27は、脚部51dの周方向一方側に接触して対向する。これにより、位置決め部27は、キャリア51の周方向一方側に接触して対向する。したがって、位置決め部27によってキャリア51をブラケット22に対して周方向に位置決めできる。
また、本実施形態では、周方向において2つの位置決め凹部51hが開口する向きは、互いに逆向きである。これにより、2つの位置決め凹部51hの周方向側面にそれぞれ位置決め部27が接触することで、ブラケット22に対するキャリア51の周方向両側への移動を抑制できる。
図3に示すように、支持筒部51bは、第2蓋部51aから左側に突出する筒状である。支持筒部51bは、中心軸Jを中心とする円筒状である。支持筒部51bは、複数の脚部51dの径方向内側に位置する。支持筒部51bの左側の端部は、脚部51dの左側の端部よりも右側に位置する。支持筒部51bの内周面には、右側から左側に向かって、支持筒部51bの内径が大きくなる段差部51cが設けられる。
リブ51mは、支持筒部51bの外周面と脚本体部51eとを繋ぐ。図示は省略するが、リブ51mは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に3つ設けられる。軸受支持部51nは、第2蓋部51aの右側の面のうち支持シャフト挿通孔51kの周縁部から右側に突出する。本実施形態において軸受支持部51nは、中心軸Jを中心とする円環状である。
図7に示すように、キャリア51は、第2曲面51gを有する。本実施形態において第2曲面51gは、各脚部51dの径方向外側面にそれぞれ設けられる。すなわち、本実施形態において第2曲面51gは、3つ設けられる。本実施形態において第2曲面51gは、脚固定部51fの径方向外側面である。第2曲面51gは、第1曲面25bの径方向内側に位置する。第2曲面51gは、軸方向Xに沿って視て、周方向に延びる。第2曲面51gは、軸方向Xに沿って視て、中心軸Jを中心とする円弧状である。第2曲面51gは、第1曲面25bと接触する。第2曲面51gは、例えば、切削加工によって作られた切削面である。
図3に示すように、支持シャフト53は、キャリア51に取り付けられる。本実施形態において支持シャフト53は、中心軸Jを中心として軸方向Xに延びる円柱状である。支持シャフト53は、支持筒部51bに嵌め合わされる。図示は省略するが、支持シャフト53の外周面には、Dカット部が設けられる。これにより、支持シャフト53がキャリア51に対して回転することが抑制される。支持シャフト53は、支持シャフト挿通孔51kに通されて、キャリア51よりも右側に突出する。これにより、支持シャフト53は、キャリア51から中心軸Jに沿って右側に延びる。
支持シャフト53は、支持シャフト本体部53aと、拡径部53bと、を有する。支持シャフト本体部53aは、支持シャフト挿通孔51kに通されて、キャリア51よりも右側に突出する。支持シャフト本体部53aの右側の端部は、出力部60よりも右側に突出する。支持シャフト本体部53aの右側の端部における外周面には、雄ネジ部が設けられる。支持シャフト本体部53aの雄ネジ部には、ナット55が締め込まれる。
支持シャフト本体部53aのうちキャリア51よりも右側に突出した部分には、第1軸受73の内輪が嵌め合われて固定される。これにより、第1軸受73は、支持シャフト53に取り付けられる。すなわち、本実施形態において第1軸受73は、遊星歯車機構50に取り付けられる。支持シャフト53に取り付けられた第1軸受73の内輪は、軸受支持部51nに右側から接触する。第1軸受73の内輪は、ナット55と軸受支持部51nとによって軸方向Xに挟持される。これにより、第1軸受73を支持シャフト53に強固に固定できる。
支持シャフト本体部53aは、径方向内側に窪む溝部53cを有する。図示は省略するが、溝部53cは、円環状であり、支持シャフト本体部53aの全周に亘って設けられる。溝部53cは、支持シャフト本体部53aの外周面のうち第1軸受73が固定される部分に設けられる。溝部53cには、環状の第1シール部材75が嵌め込まれる。第1シール部材75は、第1軸受73の内輪の内周面と支持シャフト本体部53aの外周面との間を封止する。すなわち、第1シール部材75は、第1軸受73と支持シャフト53との間を封止する。そのため、出力部60の内部に水分等が浸入することを抑制できる。本実施形態において第1シール部材75は、例えば、Oリングである。
拡径部53bは、支持シャフト本体部53aの左側の端部に繋がる。拡径部53bは、外径が支持シャフト本体部53aの外径よりも大きくなる部分である。拡径部53bは、支持シャフト53の左側の端部である。拡径部53bは、支持筒部51bの内部に位置する。拡径部53bの右側の面は、段差部51cの左側を向く段差面と接触する。これにより、拡径部53bが段差部51cに引っ掛かり、支持シャフト53がキャリア51から右側に抜けることを抑制できる。また、ナット55を締め込むことにより、拡径部53bを段差部51cの段差面に押し付けることができる。これにより、支持シャフト53をキャリア51に対して強固に固定できる。
複数の遊星歯車52は、突起部25の径方向内側に位置する。複数の遊星歯車52は、第1蓋部22aの右側において周方向に沿って配置される。図6および図7に示すように、本実施形態において遊星歯車52は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に3つ設けられる。遊星歯車52は、内筒部52aと、外筒部52cと、円環板部52bと、を有する。
内筒部52aは、軸方向Xに延びる円筒状である。図3に示すように、内筒部52aは、第1蓋部22aと第2蓋部51aとの軸方向Xの間に位置する。内筒部52aの内部は、軸方向Xに沿って視て、第1穴部22dおよび第2穴部51pと重なる。内筒部52aの右側の部分は、突起部25よりも右側に突出し、支持筒部51bの径方向外側に位置する。内筒部52aの右側の部分における外周面には、歯車部が設けられる。
内筒部52aの内部には、遊星歯車シャフト56が通される。遊星歯車シャフト56は、軸方向Xに延びる円柱状である。遊星歯車シャフト56の左側の端部は、第1穴部22dに嵌め合わされる。遊星歯車シャフト56の右側の端部は、第2穴部51pに嵌め合わされる。これにより、遊星歯車シャフト56は、遊星歯車52を軸方向Xに貫通して回転可能に支持する。
図3および図6に示すように、外筒部52cは、軸方向Xと平行な軸を中心とする円筒状である。外筒部52cは、内筒部52aの左側の部分を外側から囲む。外筒部52cの外周面には、歯車部が設けられる。外筒部52cの歯車部は、太陽歯車部31aと噛み合う。外筒部52cは、突起部25の径方向内側に位置する。図3に示すように、外筒部52cの外周面は、突起部25の内周面から径方向内側に離れて配置される。これにより、遊星歯車52と突起部25とは、隙間Gを介して径方向に対向する。したがって、遊星歯車52が回転する際に、突起部25の内周面と擦れることを抑制できる。また、隙間Gに潤滑油を保持させることができ、外筒部52cの歯車部に潤滑油を供給することができる。
本実施形態において外筒部52cは、軸方向Xにおいて、突起部25および第2軸受74と同じ位置に位置する。すなわち、遊星歯車52と突起部25と第2軸受74とは、同じ軸方向位置に位置する部分を有する。そのため、駆動装置10を軸方向Xに小型化できる。
円環板部52bは、板面が軸方向Xを向く板状である。円環板部52bは、軸方向Xに沿って視て、円環状である。円環板部52bは、内筒部52aの外周面と外筒部52cの内周面とを繋ぐ。
内歯歯車54は、キャリア51の右側部分の径方向外側に位置する。内歯歯車54は、複数の遊星歯車52の径方向外側を囲む環状である。内歯歯車54は、内歯歯車本体54aと、固定板部54bと、を有する。内歯歯車本体54aは、中心軸Jを中心とする円筒状である。内歯歯車本体54aの外周面には、歯車部が設けられる。内歯歯車本体54aの歯車部は、内筒部52aの外周面に設けられた歯車部と噛み合う。これにより、内歯歯車54は、遊星歯車52と噛み合う。
固定板部54bは、内歯歯車本体54aの外周面から径方向外側に突出する。固定板部54bは、板面が軸方向Xを向く板状である。図示は省略するが、固定板部54bは、例えば、中心軸Jを中心とする円環状である。固定板部54bは、軸方向Xに沿って視て、円環板部52bおよび外筒部52cと重なる。
図2に示すように、出力部60は、遊星歯車機構50の径方向外側において遊星歯車機構50を囲む筒状である。本実施形態において出力部60は、中心軸Jを中心とし、左側に開口する有蓋の円筒状である。出力部60は、出力蓋部61と、出力筒部62と、ホイール取付部63と、を有する。
出力蓋部61は、第1軸受73における外輪に固定される。出力蓋部61は、第1軸受73における外輪の外周面から径方向外側に拡がる。出力蓋部61は、遊星歯車機構50の右側を覆う。出力蓋部61は、第1軸受73を介して支持シャフト53に回転可能に支持される。これにより、第1軸受73は、出力部60の右側の部分を支持する。第1軸受73は、出力蓋部61の径方向内側に位置する。すなわち、第1軸受73は、出力部60の径方向内側に位置する。図3に示すように、出力蓋部61の左側の面には、ネジ93によって固定板部54bが固定される。これにより、出力部60は、内歯歯車54と固定される。
図2に示すように、出力筒部62は、出力蓋部61の径方向外縁部から左側に延びる円筒状である。出力筒部62の左側の端部は、突起部25の径方向外側に位置する。出力筒部62の左側の端部における内周面には、第2軸受74における外輪の外周面が固定される。出力筒部62の左側の端部は、第2軸受74を介して突起部25に回転可能に支持される。これにより、第2軸受74は、出力部60の左側の部分を支持する。
このように、本実施形態によれば、第1軸受73と第2軸受74とによって、出力部60の右側の部分と出力部60の左側の部分とが支持できる。本実施形態では、駆動装置10は、左側に設けられた第1固定部21dを介して走行体のシャーシに固定される。そのため、駆動装置10において右側に配置される出力部60には荷重が掛かりやすい。これに対して、本実施形態によれば、第1軸受73と第2軸受74とによって、軸方向両側において出力部60に掛かる荷重を分散して受けることができる。したがって、出力部60が軸方向Xに対して傾くことを抑制できる。これにより、出力部60を支持する各軸受および減速機構である遊星歯車機構50の各歯車が損耗することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、第1軸受73は遊星歯車機構50に取り付けられ、第2軸受74はハウジング20に取り付けられる。そのため、第1軸受73と第2軸受74とを軸方向Xに離して配置しやすく、第1軸受73と第2軸受74とによって出力部60の軸方向両側を支持しやすい。これにより、出力部60に掛かる荷重をより好適に分散して受けることができる。したがって、出力部60を支持する各軸受および減速機構である遊星歯車機構50の各歯車が損耗することをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、モータシャフト31の回転を減速する減速機構が遊星歯車機構50である。そのため、減速機構に含まれる歯車の数が多くなりやすい。したがって、上述した減速機構の各歯車の損耗を抑制できる効果をより有用に得られる。
第2軸受74は、出力筒部62の径方向内側に位置する。すなわち、第2軸受74は、出力部60の径方向内側に位置する。本実施形態において第2軸受74は、第1軸受73よりも径方向外側に位置する。
ホイール取付部63は、図示しないホイールが取り付けられる部分である。図1に示すように、ホイール取付部63は、出力蓋部61の径方向外縁部から右側に突出する。ホイール取付部63は、例えば、台形柱状である。ホイール取付部63は、複数設けられる。複数のホイール取付部63は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。本実施形態においてホイール取付部63は、例えば、6つ設けられる。図2に示すように、ホイール取付部63は、軸方向Xに沿って視て第2軸受74と重なる位置に位置する。そのため、ホイール取付部63が第2軸受74よりも径方向外側に位置する場合に比べて、ホイール取付部63から第2軸受74までの径方向距離を小さくできる。これにより、ホイール取付部63がホイールから受ける荷重によって第2軸受74に加えられるモーメントを小さくできる。したがって、第2軸受74に加えられる負荷を低減できる。
また、本実施形態によれば、第2軸受74は、第1軸受73よりも径方向外側に位置する。このような場合、第2軸受74には第1軸受73よりも大きな負荷が掛かりやすい。そのため、このような構成の場合に、上述した第2軸受74に加えられる負荷を低減できる効果をより有用に得られる。
ホイール取付部63は、左側に窪む雌ネジ穴63aを有する。雌ネジ穴63aは、底部を有する穴である。本実施形態において各ホイール取付部63には、図示しないホイールのスポークがそれぞれ固定される。スポークは、雌ネジ穴63aに締め込まれるネジによってホイール取付部63に固定される。本実施形態において出力部60は、ホイールのハブに相当する。
モータ部11が駆動されてモータシャフト31が回転すると、太陽歯車部31aに噛み合う複数の遊星歯車52が、各遊星歯車シャフト56の軸回りに回転する。そして、複数の遊星歯車52が回転することで、遊星歯車52と噛み合う内歯歯車54が中心軸J回りに回転する。これにより、内歯歯車54に固定された出力部60が中心軸J回りに回転する。このようにして、モータシャフト31の回転が減速されて出力部60に伝達される。
本実施形態によれば、突起部25の第1曲面25bとキャリア51の第2曲面51gとが、軸方向Xに沿って視て周方向に延び、互いに接触する。これにより、突起部25とキャリア51とを互いに径方向に位置決めでき、ブラケット22とキャリア51とを軸精度よく固定できる。したがって、キャリア51に取り付けられた支持シャフト53を、ブラケット22に対して軸精度よく配置できる。そのため、支持シャフト53に取り付けられた第1軸受73とブラケット22に取り付けられた第2軸受74とを軸精度よく配置できる。以上により、第1軸受73と第2軸受74とによって中心軸J回りに回転可能に支持される出力部60の軸精度を向上できる。
また、本実施形態によれば、第2軸受74は、第1曲面25bを有する突起部25に取り付けられる。そのため、第2軸受74がブラケット22の他の部分に取り付けられる場合に比べて、第2軸受74の中心を、中心軸Jに合わせやすい。これにより、第1軸受73と第2軸受74とをより軸精度よく配置できる。したがって、出力部60の軸精度をより向上できる。
また、本実施形態によれば、第1曲面25bは、軸方向Xに沿って視て、円形状である。そのため、第1曲面25bの面積を大きくでき、第1曲面25bに接触させる第2曲面51gの面積を大きくできる。これにより、ブラケット22とキャリア51とをより軸精度よく固定できる。したがって、第1軸受73と第2軸受74とをより軸精度よく配置でき、出力部60の軸精度をより向上できる。
また、本実施形態によれば、周方向に沿って配置された複数の脚部51dの径方向外側面は、それぞれ第2曲面51gを有する。そのため、内周面が第1曲面25bである円筒状の突起部25に、複数の脚部51dを嵌め合わせることで、第1曲面25bと複数の第2曲面51gとを接触させることができる。これにより、キャリア51が突起部25に対して径方向に移動することを抑制でき、第1曲面25bと第2曲面51gとが離れることを抑制できる。したがって、ブラケット22とキャリア51とをより軸精度よく固定できる。
また、本実施形態によれば、ブラケット22は、キャリア51の周方向一方側に接触して対向する位置決め部27を有する。そのため、上述したように、ブラケット22に対してキャリア51を周方向に位置決めできる。これにより、ブラケット22の第1穴部22dとキャリア51の第2穴部51pとの周方向位置を精度よく合わせることができる。また、上述したように、本実施形態においては、ブラケット22とキャリア51とを軸精度よく固定できる。そのため、第1穴部22dと第2穴部51pとを精度よく軸方向Xに重ねて配置できる。これにより、第1穴部22dと第2穴部51pとに軸方向両側の端部が嵌め合わされる遊星歯車シャフト56が、軸方向Xに対して傾くことを抑制できる。したがって、遊星歯車52が傾くことを抑制でき、遊星歯車52の歯車部、および遊星歯車52の歯車部と噛み合う歯車部の損耗を抑制できる。
また、本実施形態によれば、位置決め部27は、第2曲面51gを有する脚部51dの周方向一方側に接触する。そのため、脚部51dの位置を合わせることで、ブラケット22に対するキャリア51の径方向位置とブラケット22に対するキャリア51の周方向位置との両方を決めることができる。したがって、ブラケット22に対するキャリア51の位置合わせを容易にできる。
また、本実施形態によれば、第1曲面25bおよび第2曲面51gは、切削面である。そのため、第1曲面25bの面精度および第2曲面51gの面精度を比較的高くできる。これにより、第1曲面25bと第2曲面51gとを接触させることによって、ブラケット22とキャリア51とをより軸精度よく配置できる。
本実施形態では、第1曲面25bと第2曲面51gとは、旋盤に対してブラケット22とキャリア51とを同時にチャックしたワンチャック加工によって作られる。これにより、第1曲面25bの曲率中心と第2曲面51gの曲率中心とを精度よく合わせることができる。したがって、第1曲面25bと第2曲面51gとを接触させることによって、ブラケット22とキャリア51とをより軸精度よく配置できる。
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。第1曲面と第2曲面とは、軸方向Xに沿って視て周方向に延び、互いに接触するならば、特に限定されない。第1曲面は、軸方向Xに沿って視て、円形状でなくてもよい。第1曲面は、周方向に沿って複数設けられてもよい。この場合、突起部は、周方向に沿って複数設けられてもよい。第2曲面は、1つのみ設けられてもよい。第2曲面は、軸方向Xに沿って視て、円形状であってもよい。第1曲面および第2曲面は、切削面でなくてもよい。第1曲面および第2曲面は、設けられなくてもよい。位置決め部は、1つのみ設けられてもよい。位置決め部は、設けられなくてもよい。
ステータコアは、第2固定部以外の部分においてハウジングと直接的に接触してもよい。コアバック本体がハウジングと直接的に接触してもよい。ステータコアは、カバー部材のみと直接的に接触してもよいし、ブラケットのみと直接的に接触してもよい。ステータコアは、ハウジングと直接的に接触せず、間接的に接触してもよい。
コネクタは、1つのみ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。コネクタは、引出孔部と軸方向位置が同じ部分を有しなくてもよい。コネクタおよび回転センサは、設けられなくてもよい。ブッシュは、設けられなくてもよい。ゴムカバーは、設けられなくてもよい。
遊星歯車機構の構成は、特に限定されない。遊星歯車機構は、遊星歯車が中心軸J回りに公転し、キャリアが回転する構成であってもよい。減速機構は、遊星歯車機構以外の減速機構であってもよい。
ホイール取付部は、第2軸受よりも径方向内側に位置してもよい。この場合においても、ホイール取付部がホイールから受ける荷重によって第2軸受に加えられるモーメントを小さくでき、第2軸受に加えられる負荷を低減できる。内歯歯車と出力部とは、互いに別部材でなくてもよく、同一の単一部材の一部であってもよい。出力部は、ホイールの一部を構成しなくてもよい。
ハウジングの内部は、密閉されなくてもよい。第1軸受は、出力部の右側の部分を支持するならば、いずれの箇所に取り付けられてもよい。第2軸受は、出力部の左側の部分を支持するならば、いずれの箇所に取り付けられてもよい。第2軸受は、例えば、ブラケット筒部に取り付けられてもよい。
図13に示す駆動装置110のように、出力部を支持する第3軸受が設けられてもよい。図13に示すように、駆動装置110は、第3軸受177と、第3シール部材178と、をさらに備える。第3軸受177は、例えば、ボールベアリングである。第3軸受177は、ブラケット122に取り付けられる。より詳細には、第3軸受177は、ブラケット筒部122bの外周面に嵌め合わされて固定される。すなわち、第3軸受177は、ハウジング120の径方向外側面に固定される。第3軸受177は、第2軸受74よりも左側に位置する。第3軸受177は、第2軸受74よりも径方向外側に位置する。第3軸受177は、径方向に沿って視て、ステータ40と重なる。
駆動装置110において、ブラケット筒部122bは、ブラケット筒部122bの外周面から径方向内側に窪む溝部122jを有する。図示は省略するが、溝部122jは、円環状であり、ブラケット筒部122bの外周面の全周に亘って設けられる。溝部122jは、ブラケット筒部122bの外周面のうち第3軸受177が固定される部分に設けられる。溝部122jには、環状の第3シール部材178が嵌め込まれる。第3シール部材178は、第3軸受177の内輪の内周面とブラケット筒部122bの外周面との間を封止する。すなわち、第3シール部材178は、第3軸受177とブラケット122との間を封止する。そのため、出力部160の内部に水分等が浸入することを抑制できる。第3シール部材178は、例えば、Oリングである。
駆動装置110において出力部160の出力筒部162は、第1部分164と、第2部分165と、第3部分166と、を有する。第1部分164は、図2に示す出力筒部62と同様である。第2部分165は、第1部分164の左側の端部から径方向外側に延びる。第2部分165は、板面が軸方向Xを向く板状であり、中心軸Jを中心とする円環状である。第3部分166は、第2部分165の径方向外周縁部から左側に延びる円筒状である。第3部分166は、ブラケット筒部122bの径方向外側に位置する。
第3部分166の左側の端部における内周面には、第3軸受177における外輪の外周面が固定される。第3部分166の左側の端部は、第3軸受177を介してブラケット筒部122bに回転可能に支持される。これにより、第3軸受177は、出力部60を中心軸J回りに回転可能に支持する。したがって、出力部160に掛かる荷重を第1軸受73と第2軸受74と第3軸受177との3つによって分散して受けることができる。そのため、出力部160を支持する各軸受および減速機構である遊星歯車機構50の各歯車が損耗することをより抑制できる。
なお、図13に示す駆動装置110においては、第2軸受74が設けられなくてもよい。この場合、第3軸受177が、第2軸受に相当する。第2軸受としての第3軸受177は、径方向に沿って視て、ステータ40と重なる。そのため、第2軸受としての第3軸受177を第1軸受73からより離して配置でき、出力部160に掛かる荷重をより好適に分散して受けることができる。
上述した実施形態の駆動装置は、ホイールを回転させる駆動装置であれば、特に用途は限定されない。駆動装置が搭載される走行体は、ホイールを備える走行体であれば、特に限定されない。走行体としては、例えば、自転車、自動車、車椅子等が挙げられる。また、ホイールの種類は、特に限定されない。また、上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。